以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、サプライチェーンの一般的なモデルの一例を示す。例えば、自動車、電化製品、衣服、および、食品等、実体のあるモノには生産から販売まで共通した流れ、すなわち、供給の連鎖が存在する。これをサプライチェーンという。サプライチェーンには、原材料から生産物を生産する複数の生産工程が含まれる。一例として、サプライチェーンには、本図に示すように、原料メーカー10a、素材メーカー10b、部品メーカー10c、および、製品メーカー10d(「メーカー10」と総称する。)が含まれてよい。
原料メーカー10aでは、例えば、原油や天然ガス等を出発原料として石油製品等の原料を生産し、これを素材メーカー10bへ供給する。素材メーカー10bでは、例えば、原料メーカー10aの生産物である石油製品等を原料として樹脂材等の素材を生産し、これを部品メーカー10cへ供給する。部品メーカー10cでは、例えば、素材メーカー10bの生産物である樹脂材等を材料として電子部品等の部品を生産し、これを製品メーカー10dへ供給する。製品メーカー10dでは、例えば、部品メーカー10cの生産物である電子部品等の部品を組み立てて完成品を生産する。このように、サプライチェーンにおいては、上流から下流に向けて、例えば、原料メーカー10a、素材メーカー10b、部品メーカー10c、および、製品メーカー10d等の複数のメーカー10がプレイヤーとなって、供給の連鎖を実現している。
このようなサプライチェーンにおいては、一般に、下流の生産工程における生産物の品質は、上流の生産工程における生産物の品質にも影響され得る。すなわち、製品メーカー10dの生産物である完成品の品質は、部品メーカー10cの生産物である部品の品質にも影響され得る。同様に、部品メーカー10cの生産物である部品の品質は、素材メーカー10bの生産物である素材の品質にも影響され得る。同様に、素材メーカー10bの生産物である素材の品質は、原料メーカー10aの生産物である原料の品質にも影響され得る。本実施形態においては、このような品質の連鎖が生じ得るサプライチェーンにおける生産を管理の対象としてよい。
図2は、本実施形態に係る生産管理システム100および統合管理システム200を用いてサプライチェーンを管理するブロック図の一例を示す。本図においては、生産管理システム100a、100b、100c、および、100d(「生産管理システム100」と総称する。)および統合管理システム200を用いてサプライチェーンを管理する場合を一例として示している。
生産管理システム100aは、例えば、原料メーカー10aの施設内に設けられ、原料メーカー10aにおける生産工程を管理してよい。また、生産管理システム100bは、例えば、素材メーカー10bの施設内に設けられ、素材メーカー10bにおける生産工程を管理してよい。また、生産管理システム100cは、例えば、部品メーカー10cの施設内に設けられ、部品メーカー10cにおける生産工程を管理してよい。また、生産管理システム100dは、例えば、製品メーカー10dの施設内に設けられ、製品メーカー10dにおける生産工程を管理してよい。
そして、統合管理システム200は、例えば、クラウド上に設けられ、生産管理システム100a、100b、100c、および、100dと協同して、サプライチェーン全体の生産を管理してよい。
なお、上述の説明では、各生産管理システム100が各メーカー10の施設内にそれぞれローカルに設けられる場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。生産管理システム100の一部または全部は、ネットワーク上に設けられてもよく、統合管理システム200と一体のシステムとして設けられてもよい。また、上述の説明では、統合管理システム200がネットワーク上に設けられる場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。統合管理システム200は、いずれかのメーカー10の施設内にローカルに設けられてもよく、いずれかの生産管理システム100と一体のシステムとして設けられてもよい。
これより先、本実施形態に係る品質のフィードバックを、素材メーカー10bと部品メーカー10cとの間における生産管理に適用する場合を一例として説明する。すなわち、下流側である部品メーカー10cにおける生産工程から、上流側である素材メーカー10bにおける生産工程へと品質をフィードバックする場合を一例として説明する。しかしながら、これに限定されるものではない。本実施形態に係る品質のフィードバックは、素材メーカー10bと部品メーカー10cとの間における生産管理に代えて、または、加えて、原料メーカー10aと素材メーカー10bとの間、および、部品メーカー10cと製品メーカー10dとの間等、サプライチェーンにおける如何なる工程間における生産管理に適用されてもよい。
図3は、本実施形態に係る生産管理システム100cのブロック図の一例を示す。本実施形態に係る生産管理システム100cは、対象生産工程における運転実績を取得して解析する。そして、本実施形態に係る生産管理システム100cは、解析結果に基づいて上流生産物に起因する対象生産物の品質への影響を推定して、上流生産工程に対するフィードバックデータを出力する。なお、生産管理システム100cは、本実施形態に係る品質のフィードバックを素材メーカー10bと部品メーカー10cとの間における生産管理に適用した場合における、下流側、すなわち、品質をフィードバックする側の生産管理システム100の一例である。したがって、本実施形態に係る品質のフィードバックを他の工程間における生産管理に適用する場合、他の生産管理システム100についても生産管理システム100cと同様に構成されてよい。
ここで、対象生産工程とは、生産管理システム100が管理対象とする生産工程をいう。すなわち、生産管理システム100aにとっては、原料メーカー10aにおける生産工程が対象生産工程であり、生産管理システム100bにとっては、素材メーカー10bにおける生産工程が対象生産工程であり、生産管理システム100cにとっては、部品メーカー10cにおける生産工程が対象生産工程であり、生産管理システム100dにとっては、製品メーカー10dにおける生産工程が対象生産工程である。本図においては、生産管理システム100cを示しているので、部品メーカー10cにおける生産工程が対象生産工程となる。ここで、対象生産工程において生産される生産物を対象生産物と呼ぶこととする。
また、上流生産工程とは、サプライチェーンにおいて対象生産工程の1つ上流にあたる工程をいう。すなわち、対象生産工程が製品メーカー10dにおける生産工程である場合、部品メーカー10cにおける生産工程が上流生産工程であり、対象生産工程が部品メーカー10cにおける生産工程である場合、素材メーカー10bにおける生産工程が上流生産工程であり、対象生産工程が素材メーカー10bにおける生産工程である場合、原料メーカー10aにおける生産工程が上流生産工程である。本図においては、部品メーカー10cにおける生産工程が対象生産工程であるので、素材メーカー10bにおける生産工程が上流生産工程となる。ここで、上流生産工程において生産される生産物を上流生産物と呼ぶこととする。
また、下流生産工程とは、サプライチェーンにおいて対象生産工程の1つ下流にあたる工程をいう。すなわち、対象生産工程が原料メーカー10aにおける生産工程である場合、素材メーカー10bにおける生産工程が下流生産工程であり、対象生産工程が素材メーカー10bにおける生産工程である場合、部品メーカー10cにおける生産工程が下流生産工程であり、対象生産工程が部品メーカー10cにおける生産工程である場合、製品メーカー10dにおける生産工程が下流生産工程である。本図においては、部品メーカー10cにおける生産工程が対象生産工程であるので、製品メーカー10dにおける生産工程が下流生産工程となる。ここで、下流生産工程において生産される生産物を下流生産物と呼ぶこととする。
本実施形態においては、生産管理システム100cが、例えば、素材メーカー10bから供給された「表面塗工剤」、「溶剤」、および、「PETフィルム」を主材料として、「機能性フィルム」を生産し、これを「フラットパネルディスプレイ」を生産する製品メーカー10dに供給する部品メーカー10cにおける生産工程を管理対象とするものとする。この場合、「表面塗工剤」、「溶剤」、および、「PETフィルム」が上流生産物にあたり、「機能性フィルム」が対象生産物にあたり、「フラットパネルディスプレイ」が下流生産物にあたる。
生産管理システム100cは、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、生産管理システム100cは、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、生産管理システム100cは、生産工程の管理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、生産管理システム100cがインターネットに接続可能な場合、生産管理システム100cは、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
生産管理システム100cは、ロット管理部110と、操業データ取得部120と、品質データ取得部130と、データ記録部140と、解析部150と、フィードバック部160と、制御情報決定部170と、制御部180とを備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。
ロット管理部110は、上流生産物のロットを識別する情報と対象生産物のロットを識別する情報とを対応付けて管理する。すなわち、ロット管理部110は、対象生産物における特定のロットが、上流生産物におけるいずれのロットを原材料として生産されたものであるかを、上流生産物毎に対応付けて管理する。
操業データ取得部120は、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程における生産要素に関する操業データを取得する。ここで、生産要素とは、生産物の生産を行うための要素である。この生産要素のうち、"原材料(Material)"、"設備(Machine)"、"メソッド(Method)"、および、"人(Man)"を「生産の4要素」といい、これらは"4M"とも呼ばれている。操業データ取得部120は、例えば、対象生産工程における"4M"に関する実績を示す操業データを時系列に取得してよい。
操業データ取得部120は、例えば、通信部であってよく、通信ネットワークを介して、対象生産工程における生産要素に関する操業データを時系列に取得する。このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。なお、上述の説明では、操業データ取得部120が通信ネットワークを介して操業データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。操業データ取得部120は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して、対象生産工程における生産要素に関する操業データを取得してもよい。操業データ取得部120は、取得した操業データをデータ記録部140へ供給する。
品質データ取得部130は、対象生産工程の生産物である対象生産物の品質を示す品質データを取得する。品質データ取得部130は、対象生産物のロット毎に品質データを取得してよい。この際、品質データ取得部130は、例えば、対象生産工程において評価された対象生産物の品質の評価結果を、品質データとして取得してよい。これに代えて、または、加えて、品質データ取得部130は、対象生産物を原材料として下流生産物を生産する下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力された、対象生産工程において下流生産物の品質に基づき対象生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを、品質データとして取得してもよい。これについて、詳細は後述する。
品質データ取得部130は、操業データ取得部120と同様、通信部であってよく、例えば、通信ネットワークを介して、対象生産物の品質を示す品質データを対象生産物のロット毎に取得する。なお、品質データ取得部130についても、操業データ取得部120と同様、ユーザ入力や各種メモリデバイスなど、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して、対象生産物の品質を示す品質データを取得してもよい。品質データ取得部130は、取得した品質データをデータ記録部140へ供給する。
データ記録部140は、操業データ取得部120から供給された操業データを取得する。また、データ記録部140は、品質データ取得部130から供給された品質データを取得する。そして、データ記録部140は、取得した操業データおよび品質データを、対象生産物のロット毎に対応付けて記録する。
解析部150は、データ記録部140にアクセスして、対象生産物のロット毎に対応付けられた操業データおよび品質データを参照する。そして、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、それぞれの生産要素に起因する対象生産物の品質への影響を推定する。ここで、データ記録部140には、操業データおよび品質データの一部または全部がそれぞれ異なる複数のデータが記録されている。そこで、解析部150は、このような少なくとも一部が異なる複数のデータをそれぞれ比較して解析することによって、対象生産物の品質への影響を、生産要素毎に切り分けることができる。すなわち、解析部150は、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が、"4M"のうちの"原材料"にあったのか、"設備"にあったのか、"メソッド"にあったのか、"人"にあったのかを切り分けることができる。
そして、解析部150は、例えば、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が、"4M"のうちの"設備"、"メソッド"、および、"人"のいずれかにあったと推定することによって、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定する。このように、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定することができる。
同様に、解析部150は、例えば、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が、"4M"のうちの"原材料"にあったと推定することによって、原材料、すなわち、上流生産物に起因する対象生産物の品質への影響を推定する。このように、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程の上流工程である上流生産工程の生産物であって対象生産工程における原材料となる上流生産物に起因する、対象生産物の品質への影響を推定することができる。
また、解析部150は、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が、"4M"のうちの何れにあったのかを切り分けた後、操業データおよび品質データを更に解析することによって、対象生産物の品質を低下させる要因が具体的にどの生産要素にあったのかを絞り込むことができる。例えば、解析部150は、異なる品質データが対応付けられた複数の操業データを解析して、対象生産物の品質を低下させる要因となった上流生産物を特定することができる。解析部150は、このようにして解析した結果をフィードバック部160および制御情報決定部170へ供給する。
フィードバック部160は、解析部150による解析結果に基づいて、上流生産工程において対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを出力する。この際、フィードバック部160は、解析部150によって対象生産物の品質を低下させる要因となったと特定された上流生産物を識別する情報を出力してもよい。また、フィードバック部160は、当該特定された上流生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される対象生産物のロットを識別する情報を出力してもよい。また、フィードバック部160は、当該特定された上流生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される対象生産物のロットに対応する上流生産物のロットを識別する情報を出力してもよい。また、フィードバック部160は、当該特定された上流生産物に起因した対象生産物の歩留まりを示す情報を出力してもよい。これについても、詳細は後述する。
制御情報決定部170は、解析部150による解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。上述のように、解析部150は、対象生産物の品質への影響を、生産要素毎に切り分けることができる。制御情報決定部170は、このような解析部150による解析結果に基づいて、対象生産工程における操業を最適化するように、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。一例として、制御情報決定部170は、"原材料"に起因する対象生産物の品質への影響に基づいて、"原材料"を制御するための制御情報、例えば、原材料の混合や前処理に係る制御情報を決定してよい。また、制御情報決定部170は、"設備"に起因する対象生産物の品質への影響に基づいて、"設備"を制御するための制御情報、例えば、設備のメンテナンスに係る制御情報を決定してよい。また、制御情報決定部170は、"メソッド"に起因する対象生産物の品質への影響に基づいて、"メソッド"を制御するための制御情報、例えば、設備に設けられたアクチュエータ等の制御に係る制御情報を決定してよい。また、制御情報決定部170は、"人"に起因する対象生産物の品質への影響に基づいて、"人"を制御するための制御情報、例えば、人員のスケジュールに係る制御情報を決定してよい。制御情報決定部170は、決定した制御情報を出力する。この際、制御情報決定部170は、決定した制御情報を表示して出力してもよいし、他のシステムへ送信して出力してもよい。また、制御情報決定部170は、決定した制御情報を制御部180へ供給する。
制御部180は、制御情報決定部170によって決定された制御情報に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する。この際、制御部180は、制御情報決定部170から制御情報が供給されると、当該制御情報に従って、能動的に対象生産工程における生産要素を制御してもよい。これに代えて、または、加えて、制御部180は、制御情報決定部170が出力した制御情報を閲覧した作業員からの指示に従って、受動的に対象生産工程における生産要素を制御してもよい。
図4は、本実施形態に係る生産管理システム100cが記録するデータの一例を示す。本図に示されるように、生産管理システム100cは、データ記録部140において操業データおよび品質データを対象生産物のロット毎に対応付けて記録する。
生産管理システム100cは、操業データとして、例えば、対象生産工程における"4M"、すなわち、"原材料"、"設備"、"メソッド"、および、"人"に関する実績を示す操業データをそれぞれ記録してよい。一例として、生産管理システム100cは、"原材料"に関する操業データとして、「表面塗工剤X」、「溶剤Y」、および、「PETフィルムZ」の性状を対象生産工程においてそれぞれ検査したデータを記録してよい。
また、生産管理システム100cは、品質データとして、例えば、複数の項目(項目1、項目2、および、項目3等)における評価結果、および、フィードバック(FB:FeedBack)データを記録してよい。ここで、複数の項目における評価結果は、対象生産工程において対象生産物の品質を複数の項目について評価した結果であってよい。すなわち、生産管理システム100cは、対象生産工程において評価された対象生産物、ここでは、「機能性フィルム」の品質の評価結果を、品質データとして記録してよい。
一例として、生産管理システム100cは、評価結果として、対象生産物に対して対象生産工程においてテストを実施した結果、テストがパス(P:Pass)したかフェイル(F:Fail)したかを示すデータを記録してよい。また、生産管理システム100cは、評価結果として、対象生産物の特性を対象生産工程において測定した実測値を記録してよい。
また、生産管理システム100cは、フィードバックデータとして、例えば、下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力されたフィードバックデータを記録してよい。一例として、生産管理システム100cは、対象生産物である「機能性フィルム」等の部品を組み立てて下流生産物である「フラットパネルディスプレイ」を生産する製品メーカー10dにおける生産工程を管理する生産管理システム100dから出力されたフィードバックデータを、品質データとして記録してよい。なお、本図においては、生産管理システム100cが、フィードバックデータとして、対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりを示すデータを記録している場合を一例として示している。
すなわち、本図においては、例えば、ロット#1~#3について、対象生産工程において対象生産物を評価した結果、項目1および項目2がパス(P)、かつ、項目3が目標値の範囲(例えば、100±3%)内であったため、対象生産工程から下流生産工程へ対象生産物が供給された結果、当該対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりが下流生産工程からフィードバックされた場合を示している。一方、他のロット#4~#6については、対象生産工程において対象生産物を評価した結果、項目1または項目2がフェイル(F)、または、項目3が目標値の範囲外であったため、対象生産工程から下流生産工程へ対象生産物が供給されなかった場合を示している。なお、この場合、これらのロットについては、下流生産工程からのフィードバックデータは存在しない。
本実施形態に係る生産管理システム100cは、例えば、本図に示すような異なる品質データが対応付けられた複数の操業データを記録する。そして、本実施形態に係る生産管理システム100cは、これらのデータを解析して、上流生産物に起因する対象生産物の品質への影響を推定し、上流生産工程に対するフィードバックデータを出力する。これについて、フローを用いて詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る生産管理システム100cがフィードバックデータを出力するフローの一例を示す。
ステップ510において、生産管理システム100cは、操業データを取得する。例えば、操業データ取得部120は、通信ネットワークを介して、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程における生産要素に関する操業データを取得する。一例として、操業データ取得部120は、対象生産工程における"4M"、すなわち、"原材料"、"設備"、"メソッド"、および、"人"に関する実績を示す操業データを時系列に取得してよい。
操業データ取得部120は、例えば、"原材料"に関する操業データとして、対象生産工程において原材料、すなわち、上流生産物を検査した検査データを取得してよい。一例として、操業データ取得部120は、"原材料"に関する操業データとして、「表面塗工剤X」、「溶剤Y」、および、「PETフィルムZ」の性状を対象生産工程においてそれぞれ検査したデータを取得してよい。
また、操業データ取得部120は、例えば、"設備"に関する操業データとして、対象生産工程における設備の健全度に関するデータを取得してよい。一例として、操業データ取得部120は、"設備"に関する操業データとして、対象生産工程における設備の使用経過時間(年数)、劣化度合い、および、メンテナンス状況等を示すデータを取得してよい。
また、操業データ取得部120は、例えば、"メソッド"に関する操業データとして、対象生産工程における運転データを取得してよい。一例として、操業データ取得部120は、"メソッド"に関する操業データとして、対象生産工程における設備に設けられたセンサからの測定データ、および、アクチュエータへの制御データ等を取得してよい。
また、操業データ取得部120は、例えば、"人"に関する操業データとして、対象生産工程におけるスケジュールデータを取得してよい。一例として、操業データ取得部120は、"人"に関する操業データとして、対象生産工程に携わる作業員の経験、および、人員配置等を示すデータを取得してよい。操業データ取得部120は、取得した操業データをデータ記録部140へ供給する。
ステップ520において、生産管理システム100cは、品質データを取得する。例えば、品質データ取得部130は、通信ネットワークを介して、対象生産工程の生産物である対象生産物の品質を示す品質データを対象生産物のロット毎に取得する。
ここで、品質データ取得部130は、対象生産工程において評価された対象生産物の品質の評価結果を、品質データとして取得してよい。一例として、品質データ取得部130は、評価結果の1つ目の項目(項目1)として、対象生産物である「機能性フィルム」に対して対象生産工程において外観テストを実施した結果、テストがパス(P)したかフェイル(F)したかを示すデータを取得してよい。また、品質データ取得部130は、評価結果の2つ目の項目(項目2)として、対象生産物である「機能性フィルム」に対して対象生産工程において反射率テストを実施した結果、テストがパス(P)したかフェイル(F)したかを示すデータを取得してよい。また、品質データ取得部130は、評価結果の3つ目の項目(項目3)として、対象生産物である「機能性フィルム」の厚みを対象生産工程において測定した実測値(例えば、目標:100μm±3%)を取得してよい。
また、品質データ取得部130は、対象生産物を原材料として下流生産物を生産する下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力された、対象生産工程において下流生産物の品質に基づき対象生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを、品質データとして取得してよい。一例として、生産管理システム100cにおける品質データ取得部130は、フィードバックデータとして、下流生産工程である製品メーカー10dにおける生産工程を管理する生産管理システム100dのフィードバック部160から出力されたフィードバックデータを取得してよい。なお、このようなフィードバックデータは、自身が出力するフィードバックデータと同様、下流生産物の品質を低下させる要因となったと特定された対象生産物を識別する情報、当該対象生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される下流生産物のロットを識別する情報、当該下流生産物のロットに対応する対象生産物のロットを識別する情報、および、下流生産物の品質を低下させる要因となったと特定された対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりを示す情報等を含んでいてよい。品質データ取得部130は、取得した品質データをデータ記録部140へ供給する。
ステップ530において、生産管理システム100cは、データを記録する。例えば、データ記録部140は、ステップ510において取得された操業データ、および、ステップ520において取得された品質データを、対象生産物のロット毎に対応付けて記録する。
一例として、データ記録部140は、ステップ510において取得された操業データを同一時間帯のデータとなるように紐付けする。このような紐付けを行うのは、取得された操業データが、生産要素毎に出力タイミングが異なる場合があるためである。次に、データ記録部140は、取得された操業データから工程の開始時点および終了時点を把握し、操業データをロット毎に区分する。そして、データ記録部140は、ロット毎に区分された操業データを、ステップ520においてロット毎に取得された品質データと対応付けて記録する。
ステップ540において、生産管理システム100cは、データを解析する。例えば、解析部150は、データ記録部140にアクセスして、ステップ530において対象生産物のロット毎に対応付けて記録された操業データおよび品質データを参照する。そして、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、生産要素に起因する対象生産物の品質への影響を推定する。
例えば、解析部150は、異なる品質データが対応付けられた複数の操業データをそれぞれ比較して解析する。一例として、ロット#2に着目すると、フィードバックデータの値、すなわち、対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりが低下していることが分かる。この場合、解析部150は、ロット#2に対応付けられた操業データを、他の1または複数のロット(例えば、ロット#1等)に対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット間において、"設備"、"メソッド"、および、"人"に関するデータが類似する一方、"原材料"に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#2におけるフィードバックデータの値が低下した要因が、"原材料"にあったものと推定する。さらに、比較の結果、ロット間において、「溶剤Y」および「PETフィルムZ」の性状データが類似する一方、「表面塗工剤X」の性状データが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#2におけるフィードバックデータが低下した要因が、"原材料"のうちの「表面塗工剤X」にあったものと特定する。
なお、解析部150は、ロット間における操業データの類似度を判断するにあたって、例えば、マハラノビス距離(MD:Mahalanobis Distance)を用いてもよい。すなわち、解析部150は、ロット間における操業データのMDが予め定められた閾値以下の場合に、ロット間における操業データが類似していると判断してよい。また、解析部150は、ロット間における操業データのMDが予め定められた閾値を超えた場合に、ロット間における操業データが相違していると判断してよい。
同様に、ロット#3に着目すると、フィードバックデータの値が低下していることが分かる。この場合、解析部150は、ロット#3に対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット間において、"原材料"、"メソッド"、および、"人"に関するデータが類似し、"設備"に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#3におけるフィードバックデータが低下した要因が、"設備"にあったものと推定する。さらに、比較の結果、ロット間において、"設備"のうちの特定の装置に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#3におけるフィードバックデータが低下した要因が、具体的に"設備"のうちのどの装置にあったのかを絞り込んで特定することができる。
同様に、ロット#4に着目すると、項目1の評価結果がフェイルしていることが分かる。この場合、解析部150は、ロット#4に対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット間において、"設備"、"メソッド"、および、"人"に関するデータが類似し、"原材料"に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#4における項目1がフェイルした要因が、"原材料"にあったものと推定する。そして、解析部150は、ロット#4における項目1がフェイルした要因が、具体的に"原材料"のうちのどの原材料にあったのかを絞り込むべく、データを更に比較して解析する。しかしながら、比較の結果、ロット間において、「表面塗工剤X」、「溶剤Y」、および、「PETフィルムZ」の性状がいずれも同程度に類似しており、顕著に性状が異なっている原材料が特定できない場合がある。このような場合に、解析部150は、ロット間において、品質データのうちのいずれの項目で差異が生じたかに基づいて、対象生産物の品質を低下させる要因となった原材料を推定してもよい。すなわち、ロット#4では品質データのうちの項目1がフェイルしている。ここで、項目1は、対象生産物に対して外観テストを実施した結果を示している。したがって、解析部150は、外観テストにおいて異なる結果を生じさせた"原材料"が、外観テストに最も影響を及ぼし得る「PETフィルムZ」であったものと推定してもよい。
同様に、ロット#5に着目すると、項目2の評価結果がフェイルしていることが分かる。この場合、解析部150は、ロット#5に対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット間において、"原材料"、"設備"、および、"人"に関するデータが類似し、"メソッド"に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#5における項目2がフェイル(F)した要因が、"メソッド"にあったものと推定する。また、解析部150は、更にデータを解析して、ロット#5における項目2がフェイル(F)した要因が、具体的に"メソッド"のうちのどのステップにあったのかを特定してよい。この場合においても、解析部150は、品質データのうちのいずれの項目で差異が生じたかに基づいて、対象生産物の品質を低下させる要因を推定してもよい。一例として、ロット#5では項目2がフェイル(F)している。ここで、項目2は、対象生産物に対して反射率テストを実施した結果を示している。したがって、解析部150は、反射率テストにおいて異なる結果を生じさせた"メソッド"が、反射率テストに最も影響を及ぼし得る表面塗工層に関するステップ(例えば、表面塗工剤Xの塗工ステップや乾燥ステップ等)であったものと推定してもよい。
同様に、ロット#6に着目すると、項目3が目的値の範囲外であることが分かる。この場合、解析部150は、ロット#6に対応付けられた操業データを他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット間において、"原材料"、"設備"、および、"メソッド"に関するデータが類似し、"人"に関するデータが相違していると判断した場合に、解析部150は、ロット#6における項目3が目標値の範囲外となった要因が、"人"にあったものと推定する。また、解析部150は、更にデータを解析して、ロット#6における項目3が目標値外となった要因が、具体的に"人"のうちのどこにあったのかを特定してよい。この場合においても、解析部150は、品質データのうちのいずれの項目で差異が生じたかに基づいて、対象生産物の品質を低下させる要因を推定してもよい。一例として、ロット#6では項目3が目標値の範囲外となっている。ここで、項目3は、対象生産物の厚みを測定した実測値を示している。したがって、解析部150は、厚みにおいて異なる結果を生じさせた"人"が、厚みに最も影響を及ぼし得る表面塗工処理に関連するスケジュール(例えば、表面塗工剤Xと溶剤Yを攪拌したものの塗布工程における人員の配置等)であったものと推定してもよい。
解析部150は、このようにして、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が"設備"、"メソッド"、および、"人"のいずれかにあったと推定することによって、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定することができる。すなわち、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定することができる。
また、解析部150は、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が"原材料"にあったと推定することによって、対象生産物の原材料、すなわち、上流生産物に起因する対象生産物の品質への影響を推定することができる。すなわち、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程の上流工程である上流生産工程の生産物であって対象生産工程における原材料となる上流生産物に起因する、対象生産物の品質への影響を推定することができる。
また、解析部150は、対象生産物の品質が異なる結果となった要因が"原材料"にあった推定した場合に、操業データおよび品質データを更に解析することによって、複数の上流生産物のうちのいずれが対象生産物の品質が異なる結果となった要因であったのかも特定することができる。すなわち、解析部150は、異なる品質データが対応付けられた複数の操業データを解析して、対象生産物の品質を低下させる要因となった上流生産物を特定することができる。解析部150は、ステップ540において解析した解析結果をフィードバック部160および制御情報決定部170へ供給する。
ステップ550において、生産管理システム100cは、フィードバックデータを出力する。例えば、フィードバック部160は、ステップ540において解析部150が解析した解析結果に基づいて、上流生産工程において対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを出力する。
一例として、ステップ540において解析部150がロット#2におけるフィードバックデータが低下した要因が、"原材料"のうちの「表面塗工剤X」にあったものと特定した場合に、フィードバック部160は、当該「表面塗工剤X」を識別する識別子「X」をフィードバックデータとして出力してよい。すなわち、フィードバック部160は、解析部150によって特定された上流生産物を識別する情報を出力してよい。
また、フィードバック部160は、「表面塗工剤X」が要因でフィードバックデータが低下したと推定される対象生産物のロット、すなわち、ロット#2を識別する識別子「#2」をフィードバックデータとして出力してよい。すなわち、フィードバック部160は、解析部150によって特定された上流生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される対象生産物のロットを識別する情報を出力してよい。
また、フィードバック部160は、ロット管理部110にアクセスして、対象生産物のロット#2が、「表面塗工剤X」における何れのロットを原材料として生産されたものであるかを特定してよい。そして、例えば、対象生産物のロット#1~#4が「表面塗工剤X」のロット#Aを原材料として生産されたものであることが特定された場合、フィードバック部160は、当該ロット#Aを識別する識別子「#A」をフィードバックデータとして出力してよい。すなわち、フィードバック部160は、解析部150によって特定された上流生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される対象生産物のロットに対応する上流生産物のロットを識別する情報を出力してよい。
同様に、ステップ540において解析部150がロット#4における項目1がフェイルした要因が、"原材料"のうちの「PETフィルムZ」にあったものと特定した場合に、フィードバック部160は、当該「PETフィルムZ」を識別する識別子「Z」、および、当該「PETフィルムZ」が要因で項目1がフェイルしたと推定される対象生産物のロット、すなわち、ロット#4を識別する識別子「#4」をフィードバックデータとして出力してよい。また、例えば、対象生産物のロット#1~#5が「PETフィルムZ」のロット#Bを原材料として生産されたものであることが特定された場合、フィードバック部160は、当該ロット#Bを識別する識別子「#B」をフィードバックデータとして出力してよい。
また、「PETフィルムZ」のロット#Bを原材料として対象生産物の5つのロット(ロット#1~#5)を生産したところ、「PETフィルムZ」が要因となって対象生産物の1つのロット(ロット#4)において項目1がフェイルし、下流生産工程へ供給できなかったため、フィードバック部160は、「PETフィルムZ」に起因した対象生産物の歩留まり「80%」を示す情報をフィードバックデータとして出力してよい。このように、フィードバック部160は、解析部150によって特定された上流生産物に起因した対象生産物の歩留まりを示す情報を出力してよい。
フィードバック部160は、例えば、フィードバックデータを統合管理システム200へ出力する。統合管理システム200は、フィードバックデータを取得すると、上流生産工程を管理する生産管理システム100における品質データ取得部130へ当該フィードバックデータを提供する。すなわち、統合管理システム200は、生産管理システム100cのフィードバック部160からフィードバックデータを取得した場合に、当該フィードバックデータを生産管理システム100bにおける品質データ取得部130へ提供する。これにより、フィードバック部160は、統合管理システム200を介して、フィードバックデータを上流へ提供することができる。フィードバック部160は、操業データ取得部120と同様、通信部であってよく、例えば、通信ネットワークを介して、統合管理システム200や他の生産管理システム100へフィードバックデータを供給してもよい。また、フィードバック部160は、表示(出力)部であってもよく、フィードバックデータを表示装置に表示してもよく、レポートとして紙に印字してもよい。
なお、上述の説明では、フィードバック部160が統合管理システム200を介してフィードバックデータを上流へ供給する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。フィードバック部160は、統合管理システム200を介さずに直接的にまたは間接的に、フィードバックデータを上流へ提供してもよい。
このように、例えば、部品メーカー10cにおける生産工程を管理する生産管理システム100cが、対象とする生産工程におけるデータを解析して、上流生産工程である素材メーカー10bにおける生産工程を管理する生産管理システム100cへフィードバックデータを提供する。そして、生産管理システム100cからのフィードバックデータを取得した生産管理システム100bが、対象とする生産工程におけるデータを解析して、さらに上流生産工程である原料メーカー10aにおける生産工程を管理する生産管理システム100aへフィードバックデータを提供する。このように、本実施形態に係る生産管理システム100および統合管理システム200を用いることによって、サプライチェーンの全体にわたって品質のフィードバックの連鎖を実現することができる。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100および統合管理システム200によれば、サプライチェーンの全体にわたって品質を共有することができ、もってサプライチェーン全体における生産を最適化することが可能となる。
従来、対象とする生産工程における製品性能のばらつきを生じさせる要因を解析により特定する技術が知られている。しかしながら、従来の技術では、対象とする生産工程の改善を目的としてこのような解析が行われるのみであって、このように解析した結果に基づく情報を他の生産工程へ提供することについては何ら考慮されていない。また、一般に、サプライチェーンにおいては、サプライヤーとバイヤーとの間で予め取り決められた要求仕様を満たすように生産物が上流から下流へと供給される。つまり、当該要求仕様を満たしさえすれば、生産物が上流から下流へと供給できてしまい、上流側の生産工程においては、生産物を供給した後に、自身が供給した生産物に起因して下流側で何が起こっているのかを把握することができていないというのが現状であった。
これに対して、本実施形態に係る生産管理システム100は、操業データおよび品質データを解析して、上流生産物に起因する対象生産物の品質への影響を推定する。そして、生産管理システム100は、このように解析した結果に基づいて、上流生産工程において対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを出力する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、上流生産物が対象生産物の品質にどのような影響を与えているのかを、サプライチェーンにおける上流側へフィードバックして知らしめることができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、異なる品質データが対応付けられた複数の操業データを解析して、対象生産物の品質を低下させる要因となった上流生産物を特定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、対象生産物の品質を低下させる要因が"原材料"にあったと推定するのみならず、具体的にいずれの原材料が要因となったのかを絞り込んで特定することができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、このように特定された上流生産物を識別する情報、当該上流生産物が要因で品質が低下した対象生産物のロットを識別する情報、当該対象生産物のロットに対応する上流生産物のロットを識別する情報、および、当該対象生産物の歩留まりを示す情報をフィードバックデータとして出力する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、より詳細な情報を上流側へフィードバックすることができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、対象生産工程において評価された対象生産物の品質の評価結果を、品質データとして取得する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、自身が管理対象とする工程内において評価された結果に基づいて、データを解析することができる。また、本実施形態に係る生産管理システム100は、下流生産工程において出力されたフィードバックデータを、品質データとして取得する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、下流側からのフィードバックをも考慮して上流生産工程に対するフィードバックデータを出力することができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、対象生産工程における操業に起因する対象生産物の品質への影響をも推定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、対象生産物の品質の低下が、上流生産物に要因があったのか、自身の生産工程における操業に要因があったのかを切り分けることができる。そして、本実施形態に係る生産管理システム100は、このような解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する情報を決定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、自身の生産工程における操業を改善するように制御情報を決定することができる。また、本実施形態に係る生産管理システム100は、このように決定された制御情報に基づいて対象生産工程における生産要素を制御する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、このように決定された情報を、自身の生産工程における実際の制御に落とし込むことができる。
図6は、本実施形態に係る生産管理システム100bのブロック図の一例を示す。本実施形態に係る生産管理システム100bは、対象生産工程における運転実績および下流生産工程からのフィードバックデータを取得して解析する。そして、本実施形態に係る生産管理システム100bは、解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。なお、生産管理システム100bは、本実施形態に係る品質のフィードバックを素材メーカー10bと部品メーカー10cとの間における生産管理に適用した場合における、上流側、すなわち、品質をフィードバックされる側の生産管理システム100の一例である。したがって、本実施形態に係る品質のフィードバックを他の工程間における生産管理に適用する場合、他の生産管理システム100についても生産管理システム100bと同様に構成されてよい。また、品質をフィードバックする側、および、品質をフィードバックされる側の両者にもなり得る場合、生産管理システム100は、上述の生産管理システム100cの機能と本図に示す生産管理システム100bの機能の両方を含むように構成されてよい。
本図においては、生産管理システム100bを示しているので、素材メーカー10bにおける生産工程が対象生産工程となる。また、本図においては、素材メーカー10bにおける生産工程が対象生産工程であるので、原料メーカー10aにおける生産工程が上流生産工程となる。また、本図においては、素材メーカー10bにおける生産工程が対象生産工程であるので、部品メーカー10cにおける生産工程が下流生産工程となる。
本実施形態においては、生産管理システム100bが、例えば、原料メーカー10aから供給された「NMP(N-メチル-2-ピロリドン)」および「添加剤」を主原料として、「溶剤」を生産し、これを「機能性フィルム」を生産する部品メーカー10cに供給する素材メーカー10bにおける生産工程を管理対象とするものとする。この場合、「NMP」および「添加剤」が上流生産物にあたり、「溶剤」が対象生産物にあたり、「機能性フィルム」が下流生産物にあたる。
生産管理システム100bは、上述の生産管理システム100cと同様、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、生産管理システム100bは、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、生産管理システム100bは、生産工程の管理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、生産管理システム100bがインターネットに接続可能な場合、生産管理システム100bは、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
生産管理システム100bにおけるブロック図は、上述の生産管理システム100cにおけるブロック図と同様であってよい。すなわち、生産管理システム100bは、ロット管理部110と、操業データ取得部120と、品質データ取得部130と、データ記録部140と、解析部150と、フィードバック部160と、制御情報決定部170と、制御部180とを備える。図6においては、図3と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。
ロット管理部110は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、ロット管理部110は、上流生産物のロットを識別する識別情報と対象生産物のロットを識別する情報とを対応付けて管理してよい。
操業データ取得部120は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、操業データ取得部120は、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程における生産要素に関する操業データを取得してよい。
品質データ取得部130は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、品質データ取得部130は、対象生産工程の生産物である対象生産物を原材料として下流生産物を生産する下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力された、対象生産工程において下流生産物の品質に基づき対象生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを、対象生産物の品質を示す品質データとして取得してよい。また、品質データ取得部130は、対象生産工程において評価された対象生産物の品質の評価結果を、品質データとして取得してよい。
データ記録部140は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、データ記録部140は、操業データおよび品質データを、対象生産物のロット毎に対応付けて記録してよい。
解析部150は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程の上流工程である上流生産工程の生産物であって対象生産工程における原材料となる上流生産物に起因する、対象生産物の品質への影響を推定してよい。また、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定してよい。また、解析部150は、上述の機能に加えて、更に、操業データおよびフィードバックデータを解析してよい。そして、解析部150は、操業データの変化とフィードバックデータの変化との間の関係を推定してよい。これについて、詳細は後述する。
フィードバック部160は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、フィードバック部160は、解析部150による解析結果に基づいて、上流生産工程において対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを出力してよい。
制御情報決定部170は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、制御情報決定部170は、解析部150による解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定してよい。また、制御情報決定部170は、上述の機能に加えて、更に、解析部150によって推定された、操業データの変化とフィードバックデータの変化との間の関係に基づいて制御情報を決定してよい。一例として、制御情報決定部170は、推定された関係に基づいて制御情報を変更させた場合におけるフィードバックデータを予測し、予測結果に基づいて記制御情報を決定してよい。この際、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、対象生産工程の操業に係るコストを低減させるように制御情報を決定してもよい。また、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、対象生産工程の操業に係るエネルギー消費量を低減させるように制御情報を決定してもよい。これについても、詳細は後述する。
制御部180は、上述の機能と同様の機能を有していてよい。すなわち、制御部180は、制御情報決定部170によって決定された制御情報に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御してよい。
図7は、本実施形態に係る生産管理システム100bが記録するデータの一例を示す。本図に示されるように、生産管理システム100bは、データ記録部140において操業データおよび品質データを対象生産物のロット毎に対応付けて記録する。
生産管理システム100bは、操業データとして、例えば、対象生産工程における"4M"、すなわち、"原材料"、"設備"、"メソッド"、および、"人"に関する実績を示す操業データをそれぞれ記録してよい。一例として、生産管理システム100bは、"原材料"に関する操業データとして、「NMPI」および「添加剤B」の性状を対象生産工程においてそれぞれ検査したデータを記録してよい。
また、生産管理システム100bは、品質データとして、複数の項目(項目1および項目2等)における評価結果、および、フィードバック(FB)データを記録してよい。ここで、複数の項目における評価結果は、対象生産工程において対象生産物の品質を複数の項目について評価した結果であってよい。すなわち、生産管理システム100bは、対象生産工程において評価された対象生産物、ここでは、「溶剤」の品質の評価結果を、品質データとして記録してよい。
一例として、生産管理システム100bは、評価結果として、対象生産物に対して対象生産工程においてテストを実施した結果、テストがパス(P)したかフェイル(F)したかを示すデータを記録してよい。また、生産管理システム100bは、評価結果として、対象生産物の特性を対象生産工程において測定した実測値を記録してよい。
また、生産管理システム100bは、フィードバックデータとして、例えば、下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力されたフィードバックデータを記録してよい。一例として、生産管理システム100bは、対象生産物である「溶剤」等の素材を材料として下流生産物である「機能性フィルム」を生産する部品メーカー10cにおける生産工程を管理する生産管理システム100cから出力されたフィードバックデータを、品質データとして記録してよい。なお、本図においては、生産管理システム100bが、フィードバックデータとして、対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりを示すデータを記録している場合を一例として示している。
すなわち、本図においては、例えば、ロット#A~#Eについて、対象生産工程において対象生産物を評価した結果、項目1がパス(P)、かつ、項目2が目標値の範囲(例えば、200±10%)内であったため、対象生産工程から下流生産工程へ対象生産物が供給された結果、当該対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりが下流生産工程からフィードバックされた場合を示している。一方、他のロット#F~#Gについては、対象生産工程において対象生産物を評価した結果、項目1がフェイル(F)、または、項目2が目標値の範囲外であったため、対象生産工程から下流生産工程へ対象生産物が供給されなかった場合を示している。なお、この場合、これらのロットについては、下流生産工程からのフィードバックデータは存在しない。
本実施形態に係る生産管理システム100bは、例えば、本図に示すような異なる品質データが対応付けられた複数の操業データを記録する。そして、本実施形態に係る生産管理システム100bは、これらのデータを解析して、解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。これについて、フローを用いて詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る生産管理システム100bがフィードバックデータに基づいて生産要素を制御するフローの一例を示す。
ステップ810において、生産管理システム100bは、操業データを取得する。ステップ810の処理についてはステップ510と同様であるので、説明を省略する。
ステップ820において、生産管理システム100bは、品質データを取得する。例えば、品質データ取得部130は、通信ネットワークを介して、対象生産工程の生産物である対象生産物の品質を示す品質データを、対象生産物のロット毎に取得する。
ここで、品質データ取得部130は、対象生産工程において評価された対象生産物の品質の評価結果を、品質データとして取得してよい。一例として、品質データ取得部130は、評価結果の1つ目の項目(項目1)として、対象生産物である「溶剤」に対して対象生産工程において密度検査を実施した結果、テストがパス(P)したかフェイル(F)したかを示すデータを取得してよい。また、品質データ取得部130は、評価結果の2つ目の項目(項目2)として、対象生産物である「溶剤」の粘度を対象生産工程において測定した実測値(例えば、目標:200cp±5%)を取得してよい。
また、品質データ取得部130は、対象生産工程の生産物である対象生産物を原材料として下流生産物を生産する下流生産工程を管理する生産管理システム100から出力された、対象生産工程において下流生産物の品質に基づき対象生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを、対象生産物の品質を示す品質データとして取得してよい。一例として、生産管理システム100bにおける品質データ取得部130は、フィードバックデータとして、下流生産工程である部品メーカー10cにおける生産工程を管理する生産管理システム100cのフィードバック部160から出力されたフィードバックデータを取得してよい。なお、このようなフィードバックデータは、上述のとおり、下流生産物の品質を低下させる要因となったと特定された対象生産物を識別する情報、当該対象生産物が要因で品質が予め定められた基準を満たさなくなったと推定される下流生産物のロットを識別する情報、当該下流生産物のロットに対応する対象生産物のロットを識別する情報、および、下流生産物の品質を低下させる要因となったと特定された対象生産物に起因した下流生産物の歩留まりを示す情報を含んでいてよい。
ステップ830において、生産管理システム100bは、データを記録する。ステップ830の処理についてはステップ530と同様であるので、説明を省略する。
ステップ840において、生産管理システム100bは、データを解析する。例えば、解析部150は、異なる品質データが対応付けられた複数の操業データをそれぞれ比較して解析する。ステップ840において、解析部150は、ステップ540と同様に、対象生産工程における操業に起因する、対象生産物の品質への影響を推定してよい。また、解析部150は、操業データおよび品質データを解析して、対象生産工程の上流工程である上流生産工程の生産物であって対象生産工程における原材料となる上流生産物に起因する、対象生産物の品質への影響を推定してよい。解析部150は、さらに、異なるフィードバックデータが対応付けられた複数の操業データをそれぞれ比較して解析することで、操業データの変化とフィードバックデータの変化との間の関係を推定してよい。
一例として、解析部150は、例えば、ロット#Bに対応付けられた操業データを、他の1または複数のロット(例えば、ロット#A等)に対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット#Bの"原材料"に関して、添加剤Bの不純物濃度が他のロットよりも高く、フィードバックデータが低下していると判断した場合に、添加剤Bの不純物濃度の上昇がフィードバックデータの低下に寄与していると推定してよい。
また、解析部150は、例えば、ロット#Cに対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット#Cの"設備"に関して、他のロットでは実施されている微粉砕装置に対する洗浄が未実施であったにも関わらず、フィードバックデータが低下していないと判断した場合に、微粉砕装置に対する洗浄の未実施はフィードバックデータの低下に寄与していないと推定してよい。
また、解析部150は、例えば、ロット#Dに対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット#Dの"メソッド"に関して、か焼(熱処理)温度が、他のロットよりも低く、フィードバックデータが低下していると判断した場合に、か焼温度の低下がフィードバックデータの低下に寄与していると推定してよい。
また、解析部150は、例えば、ロット#Eに対応付けられた操業データを、他の1または複数のロットに対応付けられた操業データと比較する。そして、比較の結果、ロット#Eの"人"に関して、原料の混合プロセスに携わる作業員が、他のロットではベテランであったのに対して新人であったにも関わらず、フィードバックデータが低下していないと判断した場合に、混合プロセスへの新人の配置はフィードバックデータの低下に寄与していないと推定してよい。解析部150は、ステップ840において解析した解析結果をフィードバック部160および制御情報決定部170へ供給する。
これに応じて、フィードバック部160は、ステップ840において解析部150が解析した解析結果に基づいて、上流生産工程において対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを出力する。これについては、ステップ550における処理と同様であるので、説明を省略する。
ステップ850において、生産管理システム100bは、制御情報を決定する。例えば、制御情報決定部170は、ステップ840において解析部150が解析した解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。この際、制御情報決定部170は、ステップ840において解析部150によって推定された、操業データの変化とフィードバックデータの変化との間の関係に基づいて制御情報を決定してよい。
一例として、添加剤Bの不純物濃度の上昇がフィードバックデータの低下に寄与していると推定された場合、制御情報決定部170は、"原材料"の前処理として、添加剤Bを洗浄する工程を追加するよう制御情報を決定してよい。
また、微粉砕装置に対する洗浄の未実施がフィードバックデータの低下に寄与していないと推定された場合、制御情報決定部170は、微粉砕装置に対する洗浄周期を低減させた場合におけるフィードバックデータを予測してよい。そして、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす場合に、微粉砕装置に対する洗浄周期を低減させるように制御情報を決定してよい。
また、か焼温度の低下がフィードバックデータの低下に寄与していると推定された場合、制御情報決定部170は、か焼温度が対象生産物の品質に影響し得るキーファクターであると推測して、当該か焼温度を変更しないよう、制御情報を決定してよい。
また、混合プロセスへの新人の配置がフィードバックデータの低下に寄与していないと推定された場合、制御情報決定部170は、混合プロセスに配置する作業員をベテランから新人に変更させた場合におけるフィードバックデータを予測してよい。そして、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす場合に、混合プロセスに配置する作業員をベテランから新人に変更するように制御情報を決定してよい。
また、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、対象生産工程の操業に係るコストを低減させるように制御情報を決定してもよい。すなわち、制御情報決定部170は、対象生産工程の操業に係るコストを目的関数として、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、当該目的関数を最小化するように、制御情報を決定してもよい。
また、制御情報決定部170は、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、対象生産工程の操業に係るエネルギー消費量を低減させるように制御情報を決定してもよい。すなわち、制御情報決定部170は、対象生産工程の操業に係るエネルギー消費量を目的関数として、予測したフィードバックデータが予め定められた基準を満たす範囲内において、当該目的関数を最小化するように、制御情報を決定してもよい。制御情報決定部170は、決定した制御情報を制御部180へ供給する。
これに応じて、制御部180は、ステップ850において制御情報決定部170によって決定された制御情報に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する。この際、制御部180は、制御情報決定部170から制御情報が供給されると、当該制御情報に従って、能動的に対象生産工程における生産要素を制御してもよい。これに代えて、または、加えて、制御部180は、制御情報決定部170が出力した制御情報を閲覧した作業員からの指示に従って、受動的に対象生産工程における生産要素を制御してもよい。
このように、本実施形態に係る生産管理システム100は、対象生産工程における運転実績および下流生産工程からのフィードバックデータを取得して解析する。そして、本実施形態に係る生産管理システム100は、解析結果に基づいて、対象生産工程における生産要素を制御する制御情報を決定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、対象生産物を原材料として下流生産物を生産する下流生産工程からのフィードバックをも考慮して、対象生産工程の操業に係る制御情報を決定することができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、操業データの変化とフィードバックデータの変化との間の関係を推定し、当該推定された関係に基づいて制御情報を決定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、操業データが変化した場合にフィードバックデータが具体的にどのように変化するかの実績に基づいて、対象生産工程の操業に係る制御情報を決定することができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、制御情報を変更させた場合におけるフィードバックデータを予測し、予測結果に基づいて、対象生産工程の操業に係るコストやエネルギー消費量を低減させるように制御情報を決定する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、実績に基づく予測結果を考慮して対象生産工程における操業を最適化することができる。
また、本実施形態に係る生産管理システム100は、決定された制御情報に基づいて対象生産工程における生産要素を制御する。これにより、本実施形態に係る生産管理システム100によれば、このように決定された情報を、自身の生産工程における実際の制御に落とし込むことができる。
図9は、本実施形態に係る統合管理システム200のブロック図の一例を示す。本実施形態に係る統合管理システム200は、複数の生産管理システム100を複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。そして、本実施形態に係る統合管理システム200は、シーケンスに基づいて、下流側の生産管理システム100から取得したフィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供する。
統合管理システム200は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、統合管理システム200は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、統合管理システム200は、フィードバックデータの提供用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、統合管理システム200がインターネットに接続可能な場合、統合管理システム200は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
統合管理システム200は、登録部210と、フィードバックデータ取得部220と、提供可否判定部230と、フィードバックデータ提供部240と、通知部250とを備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。
登録部210は、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程をそれぞれ管理する複数の生産管理システム100を、複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。
フィードバックデータ取得部220は、複数の生産管理システム100の少なくともいずれかから、対象生産工程の上流工程である上流生産工程において対象生産工程の生産物である対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを取得する。
フィードバックデータ取得部220は、例えば、通信部であってよく、通信ネットワークを介して、フィードバックデータを取得する。このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。なお、上述の説明では、フィードバックデータ取得部220が通信ネットワークを介してフィードバックデータを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。フィードバックデータ取得部220は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して、フィードバックデータを取得してもよい。フィードバックデータ取得部220は、取得したフィードバックデータを提供可否判定部230へ供給する。
提供可否判定部230は、登録部210にアクセスして、登録部210に登録されている情報を参照する。そして、提供可否判定部230は、フィードバックデータを上流側の生産管理システムへ提供するか否かを判定する。この際、提供可否判定部230は、フィードバックデータの提供元の生産管理システム100が、フィードバックデータの提供を許可している場合に、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供すると判定してよい。また、提供可否判定部230は、上流側の生産管理システム100が登録部210に登録されている場合に、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供すると判定してよい。これについて、詳細は後述する。提供可否判定部230は、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供すると判定した場合、フィードバックデータをフィードバックデータ提供部240へ供給する。
フィードバックデータ提供部240は、提供可否判定部230から供給されたフィードバックデータを取得する。そして、フィードバックデータ提供部240は、フィードバックデータを、シーケンスに基づいて特定された上流側の生産管理システム100へ提供する。すなわち、フィードバックデータ提供部240は、シーケンスに基づいて、上流生産工程を管理する上流側の生産管理システムへフィードバックデータを提供する。
通知部250は、登録部210に登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されているかどうかを通知する。一例として、通知部250は、登録部210にアクセスして、登録部210に登録されている情報を参照する。そして、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可している場合に、登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されている旨を通知してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していない場合に、下流側の生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供の許可を要求してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していない場合に、登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されていない旨を通知してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されていない場合に、登録された生産管理システム100に対して下流側の生産管理システム100が未登録である旨を通知してよい。これについても、詳細は後述する。
図10は、本実施形態に係る統合管理システム200が登録するデータの一例を示す。統合管理システム200は、登録部210において、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程をそれぞれ管理する複数の生産管理システム100を、複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。登録部210は、例えば、複数の生産工程のシーケンスを、サプライチェーンにおける上流から下流に向けて、連続する番号となるように昇順に管理する。すなわち、例えば、サプライチェーンにおいて4つの生産工程が存在する場合、上流から下流に向けてシーケンス番号が"1→2→3→4"となるように管理する。そして、登録部210は、サプライチェーンにおけるそれぞれの生産工程を管理する生産管理システム100を、当該複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。
すなわち、登録部210は、原料メーカー10aにおける生産工程を管理する生産管理システム100aをシーケンス番号"1"と対応付けて登録する。また、登録部210は、素材メーカー10bにおける生産工程を管理する生産管理システム100bをシーケンス番号"2"と対応付けて登録する。また、登録部210は、部品メーカー10cにおける生産工程を管理する生産管理システム100cをシーケンス番号"3"と対応付けて登録する。また、登録部210は、製品メーカー10dにおける生産工程を管理する生産管理システム100dをシーケンス番号"4"と対応付けて登録する。
なお、本図においては、生産管理システム100のうち、生産管理システム100a、100c、および、100dが統合管理システム200に登録済みであるのに対して、生産管理システム100bが統合管理システム200に未登録である場合を一例として示している。
また、登録部210は、生産管理システム100を登録するにあたって、各生産管理システム100が、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供することを許可しているかどうかを示す提供許可情報を併せて登録している。例えば、登録部210は、生産管理システム100cから、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供することを許可する旨の情報を取得した場合に、生産管理システム100cの提供許可情報を"〇(提供許可)"として登録してよい。また、登録部210は、生産管理システム100dから、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供することを許可しない旨の情報を取得した場合に、生産管理システム100dの提供許可情報を"×(提供不許可)"として登録してよい。このように、統合管理システム200は、生産管理システム100を登録するにあたって、フードバックデータの提供の許可を示す提供許可情報を、生産管理システム100毎に登録している。
図11は、本実施形態に係る統合管理システム200が生産管理システム100を登録するフローの一例を示す。
ステップ1110において、統合管理システム200は、生産管理システム100を登録する。例えば、統合管理システム200は、通信ネットワークを介して、未登録の生産管理システム100から、登録要求を受信する。このような登録要求には、生産管理システム100を識別する情報、および、フィードバックデータの提供可否情報が含まれていてよい。未登録の生産管理システム100から登録要求を受信すると、登録部210は、当該生産管理システム100の識別情報および提供許可情報をシーケンスと対応付けて登録する。すなわち、登録部210は、原材料から生産物を生産する複数の生産工程のうちの対象とする対象生産工程をそれぞれ管理する複数の生産管理システム100を、複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。一例として、登録部210は、生産管理システム100bから登録要求を受信すると、生産管理システム100bの識別情報である"100b"および提供許可情報"〇(提供許可)"を、シーケンス番号"2"と対応付けて登録する。
ステップ1120において、生産管理システム100は、下流側の生産管理システム100が登録済みであるか否か判定する。例えば、通知部250は、登録部210にアクセスして、登録部210に登録されている情報を参照する。そして、通知部250は、登録された生産管理システム100へのフィードバックデータの提供元となる下流側の生産管理システム100が登録済であるか否か判定する。一例として、生産管理システム100bがシーケンス番号"2"と対応付けて登録された場合に、通知部250は、次のシーケンス番号、すなわち、シーケンス番号"3"に生産管理システム100が対応付けて登録されているか否か判定する。
ステップ1120において下流側の生産管理システム100が登録済みでないと判定された場合、ステップ1130において、統合管理システム200は、登録された生産管理システム100に対して、下流側の生産管理システムが未登録である旨を通知する。例えば、通知部250は、シーケンス番号"3"に生産管理システム100が対応付けて登録されていない場合に、生産管理システム100bに対して、下流側の生産管理システムが未登録である旨を通知する。
一方、ステップ1120において下流側の生産管理システム100が登録済みであると判定された場合、ステップ1140において、統合管理システム200は、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可しているか否か判定する。例えば、通知部250は、シーケンス番号"3"に生産管理システム100cが登録済みであった場合、生産管理システム100cの提供許可情報を参照することで、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可しているか否か判定する。
ステップ1140において下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していると判定された場合、ステップ1150において、統合管理システム200は、登録された生産管理システム100に対して、フィードバックデータの提供が許可されている旨を通知する。例えば、通知部250は、生産管理システム100cの提供許可情報が"〇(提供許可)"であった場合に、生産管理システム100bに対して、フィードバックデータの提供が許可されている旨を通知する。
一方、ステップ1140において下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していないと判定された場合、ステップ1160において、統合管理システム200は、下流側の生産管理システム100に対して、フィードバックデータの提供許可を要求する。例えば、通知部250は、生産管理システム100cの提供許可情報が"×(提供不許可)"または"未登録"であった場合に、生産管理システム100cに対して、フィードバックデータの提供許可を要求する。
ステップ1170において、統合管理システム200は、下流側の生産管理システム100によってフィードバックデータの提供が許可されたか否か判定する。例えば、通知部250は、要求に応じて、生産管理システム100cから肯定応答(ACK)を受信したか否かにより、フィードバックデータの提供が許可されたか否か判定する。
ステップ1170においてフィードバックデータの提供が許可されたと判定された場合に、ステップ1150において、統合管理システム200は登録された生産管理システム100に対して、フィードバックデータの提供が許可されている旨を通知する。例えば、通知部250は、要求に応じて、生産管理システム100cからACKを受信した場合に、生産管理システム100bに対して、フィードバックデータの提供が許可されている旨を通知する。
一方、ステップ1170においてフィードバックデータの提供が許可されなかったと判定された場合に、ステップ1180において、統合管理システム200は登録された生産管理システム100に対して、フィードバックデータの提供が許可されていない旨を通知する。例えば、通知部250は、要求に応じて、生産管理システム100cから否定応答(NACK)を受信した場合、または、予め定められた期間ACKを受信しなかった場合に、生産管理システム100bに対して、フィードバックデータの提供が許可されていない旨を通知する。
このように、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており(ステップ1120:Yes)、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可している(ステップ1140:Yes)場合に、登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されている旨を通知してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており(ステップ1120:Yes)、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していない(ステップ1140:No)場合に、下流側の生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供の許可を要求してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されており(ステップ1120:Yes)、かつ、下流側の生産管理システム100がフィードバックデータの提供を許可していない(ステップ1140:No、ステップ1170:No)場合に、登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されていない旨を通知してよい。また、通知部250は、登録された生産管理システム100の下流工程である下流生産工程を管理する下流側の生産管理システム100が登録部210に登録されていない(ステップ1120:No)場合に、登録された生産管理システム100に対して下流側の生産管理システム100が未登録である旨を通知してよい。このようにして、通知部250は、登録部210に登録された生産管理システム100に対してフィードバックデータの提供が許可されるかどうかを通知する。
図12は、本実施形態に係る統合管理システム200がフィードバックデータを提供するフローの一例を示す。
ステップ1210において、統合管理システム200は、フィードバックデータを取得する。例えば、フィードバックデータ取得部220は、複数の生産管理システム100の少なくともいずれかから、対象生産工程の上流工程である上流生産工程において対象生産工程の生産物である対象生産物の品質に基づき上流生産工程における生産要素を評価するためのフィードバックデータを取得する。一例として、フィードバックデータ取得部220は、部品メーカー10cにおける生産工程を管理する生産管理システム100cから、素材メーカー10bにおける生産工程において、「機能性フィルム」の品質に基づき素材メーカー10bにおける生産要素を評価するためのフィードバックデータを取得する。フィードバックデータ取得部220は、取得したフィードバックデータを提供可否判定部230へ供給する。
ステップ1220において、統合管理システム200は、フィードバックデータの提供が許可されているか否か判定する。例えば、提供可否判定部230は、ステップ1210において供給されたフィードバックデータの提供元の生産管理システム100が、フィードバックデータの提供を許可しているか否か判定する。一例として、提供可否判定部230は、フィードバックデータの提供元の生産管理システム100cにおける提供許可情報を参照することで、フィードバックデータの提供が許可されているか否か判定する。
ステップ1220においてフィードバックデータの提供が許可されていないと判定された場合、統合管理システム200は、フローを終了する。一例として、提供可否判定部230は、フィードバックデータの提供元である生産管理システム100cの提供許可情報が"×(提供不許可)"であった場合に、提供可否判定部230は、フィードバックデータの提供が許可されていないと判定して、フローを終了する。
一方、ステップ1220においてフィードバックデータの提供が許可されていると判定された場合、ステップ1230において、統合管理システム200は、フィードバックデータの提供先となる上流側の生産管理システム100が登録済みであるか否か判定する。例えば、シーケンス番号"3"と対応付けて登録された生産管理システム100cの提供許可情報が"〇(提供許可)"であった場合に、1つ前のシーケンス番号、すなわち、シーケンス番号"2"に生産管理システム100が対応付けて登録されているか否か判定する。
ステップ1230において上流側の生産管理システム100が登録済みでないと判定された場合、統合管理システム200は、フローを終了する。例えば、シーケンス番号"2"に生産管理システム100が対応付けて登録されていない場合に、提供可否判定部230は、フローを終了する。
一方、ステップ1230において上流側の生産管理システム100が登録されていると判定された場合、ステップ1240において統合管理システム200は、フィードバックデータを提供する。例えば、シーケンス番号"2"に生産管理システム100bが対応付けて登録されている場合に、提供可否判定部230は、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100bへ提供すると判定して、フィードバックデータをフィードバックデータ提供部240へ供給する。そして、フィードバックデータ提供部240は、フィードバックデータをこのようにシーケンスに基づいて特定された上流側の生産管理システム100bへ提供する。すなわち、フィードバックデータ提供部240は、シーケンスに基づいて、上流生産工程を管理する上流側の生産管理システム100へフィードバックデータを提供する。
このように、提供可否判定部230は、フィードバックデータの提供元の生産管理システム100が、フィードバックデータの提供を許可している(ステップ1220:Yes)場合に、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供すると判定してよい。また、提供可否判定部230は、上流側の生産管理システム100が登録部210に登録されている(ステップ1230:Yes)場合に、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供すると判定してよい。このようにして、提供可否判定部230は、フィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供するか否かを判定する。
このように、本実施形態に係る統合管理システム200は、複数の生産管理システム100を複数の生産工程のシーケンスと対応付けて登録する。そして、本実施形態に係る統合管理システム200は、シーケンスに基づいて、下流側の生産管理システム100から取得したフィードバックデータを上流側の生産管理システム100へ提供する。これにより、本実施形態に係る統合管理システム200によれば、複数のプレイヤーが存在するサプライチェーンにおいて、フィードバックデータを、対象とする生産管理システム100へ提供することができる。
また、本実施形態に係る統合管理システム200は、フィードバックデータを上流側の生産管理システムへ提供するか否かを判定する。これにより、本実施形態に係る統合管理システム200によれば、フィードバックデータの提供を、例えば、フィードバックデータの提供元である下流側の提供の意思、および、フィードバックデータの提供先である上流側の登録状況に応じて、判定することができる。
また、本実施形態に係る統合管理システム200は、登録された生産管理システム100へのフィードバックデータの提供が許可されるかどうかを通知する。これにより、本実施形態に係る統合管理システム200によれば、登録された生産管理システム100に対して、例えば、フィードバックデータの提供が許可されている旨、フィードバックデータの提供が許可されていない旨、および、フィードバックデータの提供元となる下流側の生産管理システム100が未登録である旨を通知により知らしめることができる。
図13は、本実施形態の変形例に係るクラウド管理システム300を用いてサプライチェーンを管理するブロック図の一例を示す。上述の説明では、生産管理システム100が各メーカー10の施設内に、統合管理システム200がクラウド上に、それぞれ別体のシステムとして構成される場合を一例として示した。しかしながら、生産管理システム100および統合管理システム200は、クラウド管理システム300として一体に構成され、当該クラウド管理システム300が、上述の生産管理システム100a~100dの機能、および、上述の統合管理システム200の機能を提供し、サプライチェーン全体における生産を一括して管理してもよい。
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
図14は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。