JP2022045829A - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む処理水から下水排除基準を満足する水質の処理水をより小型な装置で効率良く得ることが可能な水処理方法及び水処理装置を提供する。【解決手段】浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液を、生物担体を収容した曝気処理槽2内に供給し、処理槽2において、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とが行われるように、処理槽2内の曝気条件を、少なくとも硝化促進処理の曝気条件と、該硝化促進処理の曝気条件よりも曝気量の少ない脱窒促進処理の曝気条件の2条件以上設定し、硝化促進処理及び脱窒促進処理が処理槽内で交互に切り替わるように、曝気条件を切り替えて生物処理を行い、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈する水処理方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、水処理方法及び水処理装置に関し、特に、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を処理し、処理水を下水道放流する水処理への適用に好適な水処理方法及び水処理装置に関する。
浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を含む原水を処理して得られる処理水を下水道放流するためには、下水排除基準を満足すればよく、この下水排除基準は、一般的に、公共用水域への放流基準よりも基準が緩い。例えば、公共用水域への放流基準としては、BOD(生物化学的酸素要求量)10mg/L、T-N(全窒素)が10mg/L、SS(浮遊物質)が10mg/Lとされているのに対し、下水排除基準としては、BODが600mg/L、T-Nが240mg/L、SSが600mg/Lである。
従来の処理方法としては、例えば、し尿等に含まれるごみ(し渣)を取り除き、排除基準まで希釈して放流する方法が知られている。この場合、一般的に希釈倍率は10~20倍程度となり、希釈水量及び下水道放流量が過剰となる。
別の処理方法として、し尿等を脱水機で固液分離し、脱水分離液を希釈して下水道放流する方式がある。この場合、脱水分離液は除渣し尿と比較してBOD、SS、窒素等の成分が大幅に低減されるため、希釈倍率は一般に4~8倍程度とすることができる。しかしながら、脱水分離液の水質には変動が見られるため、希釈水量も水によって大きく変動するという問題がある。
また、し尿等を脱水機で固液分離する方法も、結局は、搬入量に対して6~9倍量を放流することとなるため、下水道放流量の低減効果は限定的である。さらに、固液分離では溶解性成分が除去されにくいため、し尿等に溶解性成分が多く含まれる場合には、脱水分離液の水質が悪化し、希釈水量を増加する必要性が生じる場合もある。放流水量の規制により放流基準を満足できない場合もある。
希釈水量及び放流水量をより確実に削減する別の方法として、固液分離と生物処理とを組み合わせる方法が考えられる。例えば、特開昭61-50691号公報(特許文献1)には、浄化槽汚泥を固液分離した固液分をし尿系汚水と混合し、混合液を凝集処理したのち、その分離液を生物処理する方法が記載されている。
特開昭61-50691号公報
特許文献1に記載される方法には、生物処理した水の放流先についての記載はないが、実施例1の処理液のBODが10mg/L以下まで処理可能であると記載されていることから公共用水域への放流を前提とした処理方式であるといえる。
しかしながら、下水道放流する処理水に対しては、特許文献1で言及されるような公共用水域への放流用途の水質までは必要とされていない。一方、引用文献1に記載されるような固液分離と生物処理とを組み合わせる水処理においては、下水排除基準を満たす程度に中途半端な処理を行うことが難しいという問題がある。例えば、生物処理として硝化脱窒処理を行う場合、窒素を全量ではなく例えば6割程度処理する方法、或いは、脱水分離液中に含まれるアンモニア性窒素を全量硝化した後にその6割だけ脱窒処理する方法等が考えられる。
しかしながら、窒素を6割程度処理する場合は、4割程度の硝酸性窒素が残留することになるため、後段の沈殿槽において嫌気状態となったところで再度脱窒が起こり、発生した窒素ガスによって汚泥が浮上し、沈殿槽で固液分離が十分に行えない場合がある。沈殿槽で固液分離ができない場合は、硝化脱窒槽のMLSS(活性汚泥濃度)が維持できず、処理そのものが悪化する。
脱水分離液中に含まれるアンモニア性窒素を全量硝化する場合は、水槽容量が過大となること、硝化に必要な曝気風量が過大となること、脱窒に必要なメタノールやエタノール等の水素供与体の添加が必要となること等があり、求められる処理水質に対して設備及び運用コストが過大となる。
浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を効率良く処理する別の手法として、活性汚泥法を用いた生物処理によって、処理水の水質が下水排除基準未満となるまで粗処理を行い、希釈して下水道放流する方法も考えられる。しかしながら、活性汚泥法を用いた生物処理のために大型の水槽容量が必要となり、更に高BOD負荷に対応するための曝気風量も過大となるため、処理効率的に良好な手段であるとはいえない。
上記課題を鑑み、本発明は、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む処理水から下水排除基準を満足する水質の処理水をより小型な装置で効率良く得ることが可能な水処理方法及び水処理装置を提供する。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む汚泥の固液分離して得られる分離液を、生物膜を備える処理槽内へ供給し、処理槽内の曝気条件を2条件以上設定して処理することが有効であるとの知見を得た。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態に係る水処理方法は一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液を、生物担体を収容した曝気処理槽内に供給し、処理槽において、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とが行われるように、処理槽内の曝気条件を、少なくとも硝化促進処理の曝気条件と、硝化促進処理の曝気条件よりも曝気量の少ない脱窒促進処理の曝気条件の2条件以上設定し、硝化促進処理及び脱窒促進処理が処理槽内で交互に切り替わるように、曝気条件を切り替えて生物処理を行い、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを有する水処理方法である。
本発明の実施の形態に係る水処理方法は一実施態様において、分離液の処理槽への供給を間欠的に行う。
本発明の実施の形態に係る水処理方法は別の一実施態様において、脱窒促進処理において、分離液を処理槽の下部から流入させるか、撹拌機による撹拌を行うか、又は曝気を行うか、の少なくともいずれかを実施することにより、処理槽内に収容された分離液を流動させる。
本発明の実施の形態に係る水処理装置は一側面において、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して分離汚泥と分離液とに分離する固液分離装置と、分離液を生物処理する生物膜を内部に収容し、分離液に対して、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とを行う処理槽と、硝化促進処理と脱窒促進処理が、処理槽内で交互に行われるように、処理槽の曝気条件を、硝化促進処理の曝気条件と脱窒促進処理の曝気条件の少なくとも2条件以上に設定して制御する制御手段と、処理槽で処理された生物処理水を下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽とを備える水処理装置である。
本発明の実施の形態に係る水処理装置は別の一実施態様において、処理槽の下部に接続され、処理槽内で液流を生じさせるように、分離液を処理槽内へ供給可能な分離液供給管を備える。
本発明によれば、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む処理水から下水排除基準を満足する水質の処理水を、より小型な装置で、効率良く得ることが可能な水処理方法及び水処理装置が提供できる。
本発明の実施の形態に係る水処理装置を表す概略図である。 ラボ試験における処理フローを表す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
<水処理方法>
本発明の実施の形態に係る水処理方法は、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液に対して生物膜(生物担体)を用いた生物処理を行い、生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈することを含む。
原水としては、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液が利用できる。典型的には、浄化槽汚泥、し尿系汚泥、又はこれら混合物の脱水分離液が好適に利用できる。浄化槽汚泥とし尿系汚泥とを混合する場合には、浄化槽汚泥とし尿系汚泥とを混合した混合液を固液分離してもよいが、浄化槽汚泥とし尿系汚泥とに対して、それぞれ別々に固液分離を行い、固液分離で得られる各分離液を混合することが好ましい。
固液分離処理には、種々の固液分離装置を用いることができる。中でも、脱水機を用いて原水を分離汚泥と分離液とに固液分離することが設備及び運用コスト面から好ましい。固液分離処理前の原水に対して濃縮処理を行うことも好ましい。濃縮方式としては、重力濃縮、機械濃縮の何れも有効な濃縮方式である。
固液分離処理前に高分子凝集剤を添加した濃縮処理を行うことにより、濃縮汚泥の汚泥濃度(TS)を最大10~12質量%程度にまで濃縮することができ、これにより処理装置のコンパクト化を図ることができる。高濃度に濃縮された濃縮汚泥に対し、更に脱水機を用いて脱水処理を行えば、含水率70%以下の低含水率の脱水汚泥(分離汚泥)が得られるため、より顕著な汚泥減容効果が得られる。この低含水率の脱水汚泥のカロリーは高いため、焼却処理において補助燃料無しでの自燃が可能であり、省エネ、低コストとなる。
代表的な原水の水質としては、以下に限定されるものではないが、例えばBODが600~2000mg/L、T-Nが240~1000mg/L、より典型的にはT-Nが240~700mg/Lである。後述する生物処理により得られる希釈前の生物処理水の処理水質としては、BODが200~1500mg/L、T-Nが240~600mg/Lである。
分離液は、担体の表面に微生物を付着させた生物膜を備える処理槽内へ供給され、処理槽内において生物膜法を用いた生物処理が行われる。本実施形態に係る生物膜法としては、大きく分けて担体の定期的な洗浄工程を必要とするものと、生物膜量が処理の中で自律的にコントロールされるものとに分けることができる。前者には、生物膜ろ過法等が該当する。後者には、散水ろ床法、流動担体法、回転円盤法、固定床法(接触酸化法)が該当する。中でも、本発明の実施の形態に係る生物処理としては、生物膜量が処理の中で自律的にコントロールされるタイプの生物膜法を利用することが好ましく、これを本明細書において「無閉塞型の生物膜法」と定義する。
中でも、本実施形態では、生物担体を収容した曝気処理槽(以下「処理槽」ともいう)内で、固定床担体を用いた接触酸化法(固定床法)、又は流動担体を用いた流動担体法を含む生物処理を行う曝気式生物膜法が好適に用いられる。「曝気式生物膜法」とは、曝気手段を用いて処理槽内を散気しながら処理槽内に収容された生物担体を流動させて処理する生物処理を意味する。本実施形態に好適な曝気式生物膜法の例を以下に示す。
-接触酸化法(固定床法)-
接触酸化法は、固定床担体を処理槽内に収容された液中に浸漬させ、分離液を通水させながら曝気を行うことによって、担体表面に生物膜を形成させながら分離液中の有機物を分解させて生物処理水を得る方法である。担体に付着した生物膜によって処理を行うため、活性汚泥法等と比べて返送による汚泥量のコントロールが不要であり、維持管理が容易となる。BOD容積負荷としては、0.1~1.0kg-BOD/m3/dが好ましく、高負荷で運転すると生物膜が肥大して接触材が目詰まりすることがある。また、T-N負荷としては、0.06~0.3kg-N/m3/dが好ましい。
接触酸化法の担体の材質及び具体的形状に特に制限は無く、任意の装置を用いることができる。担体の材質としては、ポリエチレン、プラスチック等が利用でき、形状としてはチューブ型、ひも状、網状、平板状、ボール状等の任意の形状とすることができる。
接触酸化法の担体の比表面積は、微生物の付着の面で50~200m2/m3、望ましくは70~150m2/m3が好ましい。担体の空隙率は、閉塞防止と前記の比表面積の両立の観点から97~99.5%、望ましくは97.5~99%が好ましい。
一般的に、接触酸化法にて処理を行う場合は、連続曝気が基本であり、低曝気風量への切り替え運転は行わない。これは、低曝気風量の際には槽内の攪拌が弱まり、原水がショートパスして未処理の排水が流出する可能性があるためである。これに対し、本発明の実施の形態に係る水処理方法では、汚泥を固液分離して生物処理の負荷を下げた分離液を下水道放流向けに粗処理する方法として接触酸化法を利用する。そのため、低曝気風量や無曝気の時間帯に槽内の水の混合が不十分となっても目的とする処理は十分に達成できる。さらに、槽内の混合をより向上するために、原水を処理槽の下部から流入させるか、撹拌機による撹拌を行うか、又は曝気を行うか、の少なくともいずれかを実施することにより、処理槽内に収容された分離液の槽内流動を促すこともできるため、さらに安定した処理も実現可能となる。
-流動担体法-
流動担体法は、処理槽内に担体を収容し、処理槽内の液中で担体が流動することにより、微生物を被処理水中の有機物や酸素などと接触させて生物処理水を得る方法である。流動担体法を利用する処理槽は新設してもよいし、既存の貯留槽に、担体及び散気装置等を導入してもよい。流動担体に使用される担体には特に制限はないが、代表的なものとして以下のものが挙げられる。
使用する担体は、微生物が付着し、かつ曝気により流動する担体であればどのような担体でも良い。担体の素材としては、曝気により流動すればどのような担体でも良く、例えば、プラスチック(ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA))、木製チップ、砂等が利用される。担体の性状は、スポンジ状、ゲル状、固形状等であり得る。
担体の形状は、球状、立方体状、円筒状、ハニカム状等の任意の形状とすることができる。中でも担体の外表面に微生物を付着させる結合固定化担体を利用することにより、処理槽内の環境に適した微生物を担体に付着させることができ、流入水の性状変動の影響を受けにくくより安定した生物処理を行うことができる。
担体の構造は、処理槽において、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理との双方における担体と原水との接触効率を考慮した構造を有することが好ましい。例えば、硝化促進処理を効率良く進めるためには、硝化菌と酸素との接触効率を高めるために、比表面積が大きい担体を利用することが好ましい。一方、脱窒処理は酸素との接触の必要がないため、脱窒促進処理を進めるためには、担体内部の空隙に微生物が充填される担体構造を有することが好ましい。
そのため、硝化促進処理と脱窒促進処理とに適した担体の比表面積としては、50~5000m2/m3、望ましくは100~3000m2/m3とすることが好ましく、担体の空隙部に汚泥が充填された後でも50m2/m3以上の比表面積を維持できる構造とすることが好ましい。担体の空隙率(即ち、担体の空隙部の体積÷担体の外寸から計算された体積)は、50~99%、望ましくは70~99%とすることが好ましい。担体の有効径は、担体を分離するためのスクリーンによって安定的に分離できる3~10mmとすることが好ましい。
担体の比重は、処理槽内で間欠曝気又は微曝気等を行った場合においても、処理槽内で担体を素早く均一に流動させることが可能となる1.00~1.10g/cm3とすることが好ましく、更には1.01~1.05g/cm3とすることが好ましい。
担体の充填率は、担体が均一に混合流動可能となる10~50容量%(V%)とすることが好ましく、更には、20~40容量%(V%)とすることが好ましい。充填率を20容量%以上とすることで槽内に多量の微生物を保持することができ、40容量%以下として適切な空隙をつくることで流動性を良好に保つことができる。
処理槽内に、硝化促進処理用と脱窒促進処理用のために2種類の担体を充填することも可能である。その場合、硝化促進処理用の担体としては、比表面積が比較的大きい担体を充填し、脱窒促進処理用の担体としては空隙率と充填率が比較的高い担体を充填することが好ましい。以下に限定されるものではないが、硝化促進処理用の担体として例えば比表面積100m2/m3以上、望ましくは300m2/m3以上の担体を槽容量に対し20~35容量%充填し、脱窒促進処理用の担体として例えば空隙率70%以上、望ましくは85%以上の担体を槽容量に対し5~20容量%充填することが好ましい。このような担体を用いることで、微曝気、間欠曝気又は分離液の処理槽内への供給によっても担体を処理槽内で流動させて脱窒処理を好適に進めることができる。
BOD容積負荷としては、0.1~2.0kg-BOD/m3/d、望ましくは0.2~1.0kg-BOD/m3/dが好ましい。また、T-N負荷としては、0.03~0.7kg-N/m3/d、望ましくは0.06~0.3kg-N/m3/dが好ましい。流動担体法は、接触酸化法に比べて高負荷で閉塞の恐れは少ない。処理槽内には、流動担体の他に活性汚泥を更に加えてもよい。処理槽内に活性汚泥を加えることにより、原水の性状変動に起因する生物処理水の性状変動を抑制でき、より安定的な処理を行うことができる。
上述の接触酸化法と同様に、一般的に、流動担体法にて処理を行う場合も、連続曝気が基本であり、低曝気風量への切り替え運転は行わないのが原則である。これは、低曝気風量の際には槽内の攪拌が弱まり、原水がショートパスして未処理の排水が流出する可能性があるためである。一方、本発明の実施の形態に係る水処理方法は、汚泥を固液分離して生物処理の負荷を下げた分離液を下水道放流向けに粗処理する方法として流動担体法を利用する。そのため、低曝気風量や無曝気の時間帯に槽内の水の混合が不十分となり、担体の沈降が生じても本法で目的とする処理は十分に達成できる。さらに、槽内の混合をより向上するために、原水を処理槽の下部から流入させるか、撹拌機による撹拌を行うか、又は曝気を行うか、の少なくともいずれかを実施することにより、処理槽内に収容された分離液の槽内流動を促すこともできるため、さらに安定した処理も実現可能となる。
さらに、一般的に、流動担体を用いる処理においては、硝化槽、脱窒槽を分割し、硝化槽担体には硝化菌を、脱窒槽担体には脱窒菌を優占させた方が、一つの担体に硝化菌と脱窒菌の両方が付着した場合よりも処理速度を上げることができるため、一槽式はほとんど採用されていない。これに対し、本発明の実施の形態に係る水処理では、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む処理水から下水排除基準を満足する水質となるように粗処理することを目的としているため、一槽式で硝化工程、脱窒工程を切り替える方式を採用することにより、より小型な装置で、処理水を効率良く得ることが可能な水処理方法及び水処理装置が提供できる。
本発明の実施の形態に係る水処理方法によれば、処理槽内に固定床担体又は流動担体を収容した曝気式生物膜法を用いることにより、生物処理の後段に設定される沈殿槽を省略或いは小型化できるため、処理装置全体の小型化を図ることができる。沈殿槽を省略する場合には、生物処理水のBOD成分、或いはT-N成分の一部が沈殿槽内に残留することによる汚泥の沈降不良の問題を考慮しなくても済むため、処理を効率化することができる。処理槽の後段に沈殿槽を設ける場合も、沈殿槽は補助的なものを設置すれば済むため、コンパクトな沈殿槽で良い。沈降不良によって活性汚泥の一部が流出したとしても、処理槽内には担体が十分に保持されているため、常時安定的な処理が可能となる。さらに、一般的な回分活性汚泥法では、MLSSを沈降させて微生物を維持し清澄な処理水を得るための静置時間が一定時間必要となるが、本法では生物担体を用いるため静置時間が不要、もしくは短時間で済むため、活性汚泥を用いて処理する場合よりも処理可能な負荷量を上げることができる。
処理槽内に固定床担体又は流動担体を収容して生物処理を行う生物膜法では、担体の流動性または原水と担体との接触効率等を確保する観点から、槽内撹拌機能を併せ持つ曝気による酸素供給が行われる。しかしながら、硝化脱窒を同一槽で行う場合、一般的には、脱窒処理における曝気量を脱窒処理に適した低量に抑えることが困難である。本実施形態では、生物処理において、BOD成分やT-N成分の一部が残留するような処理水が得られればよいため、処理槽内の曝気量の簡単な操作を行うだけで、原水のBOD除去と窒素除去とを単一槽で簡易的且つ効率的に行うことができる。これにより、目標とする処理水質(下水道放流用途)の処理水を小型な設備で効率良く得ることができる。
本実施形態における生物処理では、処理槽において、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とが交互に繰り返して行われるように、処理槽内の曝気条件を2条件以上設定して生物処理を行う。処理槽内の曝気条件を2条件以上設定して硝化促進処理と脱窒促進処理とを一の処理槽内で行うことにより、既存の設備の改造等で処理槽が一槽しか利用できない場合でも、本実施形態に係る水処理方法を適用できるため、改造のための経済的負担が少なくて済み、下水道放流に適した処理水をより効率良く安定的に得ることができる。
なお、処理槽内の曝気条件は、硝化促進処理及び脱窒促進処理に対してそれぞれ1条件ずつ、硝化促進処理の曝気条件と、硝化促進処理の曝気条件よりも曝気量の少ない脱窒促進処理の曝気条件の少なくとも2条件を設定すればよいが、必要に応じて、3条件以上又は4条件以上設定してもよいことは勿論である。
-硝化促進処理-
硝化促進処理では、槽内の溶存酸素(DO)が1.0~5.0mg/L、望ましくは2.5~4.0mg/Lとなるように曝気条件を設定することが好ましい。これにより、原水に含まれるアンモニア性窒素(NH4-N)を硝酸性窒素(NOx-N)に酸化させる硝化反応を促進させることができる。
曝気風量としては、担体が槽全体を流動するためには0.2~0.6m3/m2/分、望ましくは0.3~0.5m3/m2/分が好ましい。これにより、担体が槽全体を流動し、反応効率が高くなる。好ましくは、上述の曝気風量で担体が槽全体を流動することを確認しながら、設定DOが上記範囲に達成できるように、曝気風量へ微調整を行うことで、本発明に係る硝化促進処理をより効率的に行うことができる。
生物膜法として流動担体法を採用した場合、硝化促進処理では、曝気により担体が槽全体で流動することで、原水との接触効率が上がり、硝化能力を上げることができる。なお、本実施形態における硝化促進処理の目的は、BOD、T-Nの粗取りであるため、全量を硝化させる必要はなく、目的濃度まで硝化が完了すればよい。
本発明者らの検討によれば、槽内のアンモニア性窒素含有排水の遊離アンモニア濃度を1.0~10mg/L、より好ましくは2.0~10mg/Lに維持するようにpHを調整することが好ましい。これにより、亜硝酸化菌の増殖を抑制しながら、アンモニア酸化菌を担体に優先的に付着させることができ、これにより安定した亜硝酸化処理が得られる。
亜硝酸化処理では、通常NH4-NをNO3-Nまで硝化させるところを、NO2-Nで反応を止めることができるため、酸素の利用効率を上げ、酸素供給量を抑制することができる。さらに、後段の脱窒条件では、原水中のBOD等を電子供与体とした従属脱窒に加え、NO2-NとNH4-Nによる嫌気性アンモニア酸化反応による脱窒も一部進行し、窒素除去効率を上げることができる。遊離アンモニア濃度は、(1)式に従って計算することができる。
Figure 2022045829000002
(1)式からわかるように、遊離アンモニア濃度は、pH、NH4-N濃度、水温の変化の影響を受ける。処理槽内の分離液のpH、NH4-N濃度、水温の変化を測定し、測定結果に基づいて遊離アンモニア濃度が1.0~10mg/LとなるようにpHを調整することにより、安定した亜硝酸化処理を行うことができる。
-脱窒促進処理-
脱窒促進処理では、処理槽内のDOが1.0mg/L未満、望ましくは0.5mg/L以下となるように曝気条件を設定し、脱窒反応を促進させることが好ましい。脱窒条件では、曝気を完全に停止して機械撹拌による流動を行っても良いし、DOが1.0mg/L未満となる範囲で微曝気を行ってもよいし、機械撹拌と微曝気の組み合わせでも良い。このような曝気条件とすることで、硝化条件と比べて硝化速度は落ちるものの、硝化と脱窒が同時に進行することが期待される。
本発明の実施の形態における生物処理において流動担体を採用する場合、脱窒条件の攪拌は、担体を槽全体で流動させるというよりもむしろ槽内の水の流れを作り担体と被処理水の接触効率を上げる程度でも問題がなく、一部流動担体が沈んだままであっても良い。なお、従来の一般的な流動担体法の場合は、処理を適切に進めるために、流動担体を槽全体に均一に流動させることが理想となる。一方、本実施形態に係る水処理方法では、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥の粗処理を目的とするため、流動担体法で一般的に求められる流動担体の槽内流動の程度よりも、目標とする反応が進めばよい。反応が進行していることの確認は、後述のORP計やNOx-N計等のセンサで確認できる。運転管理の容易化やランニングコストの低減から、メタノール等の電子供与体は外部から添加しないことが望ましいが、目標の処理水質によってはメタノール等の添加を行ってもよい。
曝気による攪拌を行う際の曝気風量は、上述の理由で生物担体を流動をさせる必要がないため、例えば、0.2m3/m2/分以下であってもよい。
微曝気条件のため曝気風量制御を行う場合、インバータを用いた制御では、吐出圧の関係から制御下限値に限界があり、精密な制御が行えない場合がある。よって、曝気ブロワのタイマにより間欠曝気を行うことが好ましく、これにより風量のより細かい調整が可能となる。
タイマを用いて運転時間比率を調整する場合、オン(曝気運転)時間、オフ(曝気停止)時間ともに1分未満での設定では、ブロワに負担がかかり、長期間の安定した運転を行うことが難しい場合がある。ブロワの負担を小さくし、且つ、脱窒に好適な状態となるように安定して処理を行うためには、オフ時間を5分以上とすることが好ましい。
オフ時間は、槽内のDOを0.5mg/L以下となるように調整することで、硝化の進行をより確実に停止できるような条件とすることが好ましい。例えば、ブロワの能力や槽の大きさにもよるが、オフ時間をより好ましくは5分以上、更に好ましくは10分以上とすることで、槽内のDOを0.5mg/L以下とし、脱窒に好適な期間を設けることが可能になる。
一方、オフ時間を長く設定しすぎると、機械撹拌を行わない場合、曝気停止期間中に槽内の散気装置、担体等にスケールが付着したりしやすくなる。亜硝酸化処理における曝気停止時間は、60分以下、より好ましくは45分以下、更に好ましくは30分以下である。
オン時間は1分以上であれば特に制限はない。オン時間においては、DOを1mg/L以上とすることが好ましく、流動担体を使用する場合にはDOを2.5mg/L以上とすることが更に好ましい。また、休日に脱水機を運転せず、原水の流入がない場合は、微曝気条件で曝気停止時間の比率を長めにとることで、内生脱窒を促進させることが可能となる。
脱窒促進処理においては、原水を処理槽の下部から流入させるか、撹拌機による撹拌を行うか、又は曝気を行うか、の少なくともいずれかを実施することにより、処理槽内に収容された原水に液流を生じさせて処理槽内の担体を流動させることが好ましい。これにより、流動担体と原水との接触効率を高めて窒素除去処理を促進することができる。
原水の処理槽への供給は、所定の供給休止期間を設けて間欠的に行うことが好ましい。「間欠的に」とは、例えば、数時間(例えば1~20時間)もの供給休止期間を設ける場合もあれば、数日間(例えば1~7日間)もの供給休止期間を設ける場合もある。例えば、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥を処理対象とする場合、処理施設の運転事情等により、平日の9時~17時には原水流入があり、平日夜間早朝、休日及び祝祭日には、原水が流入してこない期間がある。このような処理施設の原水流入時間等の運転事情に合わせて、原水を処理槽へ間欠的に供給することで、原水を貯留するための貯留槽を省略することができ、装置全体の小型化に寄与できる。また、この原水流入のタイミングに合わせて処理槽内の曝気条件を、硝化促進処理のための曝気条件と脱窒促進処理のための曝気条件に切り替えるように制御することで、一の処理槽で、原水の硝化脱窒をより効率的に行うことができる。例えば、脱窒促進条件の際に原水を投入させ、後述する設定時間、ORP等のセンサ等を用いて脱窒が完了したことを確認したのちに原水の投入を停止し、硝化促進条件に切り替えることで、原水中のBOD成分を有効に脱窒に供することができ、BOD酸化に使用される酸素量も削減することができる。
生物処理では、一の処理槽内で行われる硝化促進処理及び脱窒促進処理が交互に切り替わるように、曝気条件を切り替えることが好ましい。曝気条件を切り替えて硝化促進処理及び脱窒促進処理を交互に繰り返し行うことにより、原水のBOD及びT-Nの粗取りを一の処理槽で効率良く行うことができる。
曝気条件の切り替えは、操作者が手動で行ってもよいし、タイマやセンサ等を用いて自動制御してもよい。切替方法としては、例えば以下の方法が採用できる。
-時間による切り替え-
硝化速度と脱窒速度の比は、1:1~1:5程度であるため、硝化促進処理-脱窒促進処理の時間の比率についても、1:1~5:1、好ましくは2:1~4:1とすることで、適切な硝化時間と脱窒時間を維持することが可能になる。生物処理において流動担体を使用する場合は、馴致した担体を採取し、例えば以下のような回分試験により硝化速度、脱窒速度を求めることで、微生物の付着状況に応じた最適な硝化時間、脱窒時間の比を手動又は自動で設定することが可能になる。
(硝化回分試験)
例えば、1Lのメスシリンダーに処理槽から採取した担体を20vol%投入し、原水を全容1Lとなるようにメスアップする。そして、アルカリ度(mg-CaCO3/L)が原水のアンモニア濃度(mg-N/L)の7倍となるように炭酸ナトリウムを添加する。その後、曝気を開始し、一定時間(例えば0、30、60、90、120分)ごとにサンプリングを行い、水質分析を行う。NOx-N濃度の変化量から、担体容積あたりの硝化速度(mg-N/L-担体/h)を計算する。
(脱窒回分試験)
例えば、1Lの密閉可能な容器に処理槽から採取した担体を20vol%投入し、原水を全容1Lとなるようにメスアップする。そしてNO3-Nが50~100mg/LとなるようにNaNO3を添加する。容器内のガスを窒素ガスで置換した後、撹拌を開始し、一定時間(例えば0、30、60、90、120分)ごとにサンプリングを行い、水質分析を行う。NOx-N濃度の変化量から、担体容積あたりの脱窒速度(mg-N/L-担体/h)を計算する。
-センサによる制御1(フィードバック制御)-
センサによる制御方法としては、pH制御、アルカリ度制御、ORP制御、DO制御、NH4-N制御、NOx-N制御等、及びその組み合わせが挙げられる。以下に述べる理由により、中でも特にORP制御、NOx-N制御が好適である。
(pH、アルカリ度制御)
硝化促進処理では、硝化反応に伴ってアルカリ度が減少し、pHが低下する。アルカリの添加を行わず原水中のアルカリ度のみで硝化を行う場合、アルカリ度が一定値以下になると硝化の進行が停止し、pHの低下も停止する。このため、pH、もしくはアルカリ度の経時変化を確認し、時間あたりの変化量が一定値以下となった時点を硝化が完了した時点とみなし、脱窒促進処理に切り替えることができる。
脱窒促進処理では、脱窒反応に伴ってアルカリ度が増加し、pHが上昇する。このため、pH、もしくはアルカリ度の経時変化を確認し、時間あたりの変化量が一定値以下となった時点を脱窒が完了した時点とみなし、硝化促進処理に切り替えることができる。
(ORP制御)
硝化促進処理では、有機物の酸化、アンモニアの硝化に伴いORPが増加する。有機物の酸化と硝化が同時に進行している期間、有機物の酸化が完了し硝化のみが進行している期間、硝化が完了した後、でそれぞれORPの経時変化の傾きが異なるため、その変化量を確認し、時間あたりの変化量が一定値以下となった時点を硝化が完了した時点とみなし、脱窒促進処理に切り替えることができる。
脱窒促進処理では、原水の流入、及びNOx-Nの脱窒に伴いORPが低下し、脱窒が完了するとその変化量は小さくなる。このため、時間あたりの変化量が一定値以下となった時点を硝化が完了した時点とみなし、硝化促進処理に切り替えることができる。ORP制御は、pHやDOに比べ、取りうる数値の幅が大きく、解像度が高い(一般に-400mV~+400mV)ため、より正確な制御が可能である。また、NH4-NやNOx-Nのように単一物質の濃度ではなく、系内の有機物、窒素化合物等の状態を総合的に評価できる指標であるため、今回のようにBOD、窒素を粗取りが目的であり、槽内にBOD、窒素が残留する場合には、槽内の状態を評価する上で好適な指標である。
(DO制御)
硝化促進処理において、同一空気量で吹込みを行った場合、槽内の有機物の酸化や硝化が完了した後は、反応の進行中に比べてDOが高くなる。DOの経時変化を確認し、DOが増加した時点で硝化が完了したとみなし、脱窒促進処理に移行することができる。
(NH4-N制御)
硝化促進処理において、NH4-N濃度の時間変化は、硝化が完了している期間、有機物の酸化と硝化が同時に進行している期間、有機物の酸化が完了し硝化が進行している期間、の順に大きくなる。この経時変化を確認し、NH4-Nの変化量が小さくなった時点で硝化が完了したとみなし、脱窒促進処理に移行することができる。
(NOx-N)
硝化促進処理において、NOx-N濃度の時間変化は、硝化が完了している期間、有機物の酸化と硝化が同時に進行している期間、有機物の酸化が完了し硝化が進行している期間、の順に大きくなる。この経時変化を確認し、NOx-Nの変化量が小さくなった時点で硝化が完了したとみなし、脱窒促進処理に移行することができる。
脱窒促進処理においては、脱窒が進行している期間は変化量が大きく、脱窒が完了すると変化量が小さくなる。この経時変化を確認し、NOx-Nの変化量が小さくなった時点で脱窒が完了したとみなし、硝化促進処理に移行することができる。NOx-N濃度に基づく制御は、DO制御やNH4-N制御に比べ、脱窒促進処理の完了時点を一つのセンサで確認できる点で、本実施形態に好適である。
-センサによる制御2(フィードフォワードとの組み合わせ)-
原水中の窒素成分のほとんどはNH4-Nであることから、原水の窒素濃度はNH4-N計で測定することが可能である。従って、処理水の窒素濃度の目標値を定めれば、原水NH4-N濃度と処理水T-N目標濃度との関係により、必要な硝化-脱窒量を計算することが可能である。時間当たりの硝化速度及び脱窒速度は処理槽のNH4-N濃度、もしくはNOx-N濃度より計算可能なため、目標濃度に達するために必要な硝化条件、脱窒条件の時間を演算装置で計算し、ブロワを制御することができる。これにより、硝化時間を必要最低限に抑えることができ、曝気風量を削減することが可能となる。
-栄養塩(リン)の添加-
本発明の実施の形態に係る水処理方法では、原水である分離液の処理に生物処理を採用しているため、生物の生育に必要なだけのリンを供給する必要がある場合がある。一般的に、生物処理においては、BOD100mg/Lに対し、1mg/L程度のリンが必要とされており、原水BODに対し、この比を満足するようにリンを供給することが望ましい。処理が良好であれば、リンの濃度は1mg/L以下、好ましくは0.7mg/L以下、より好ましくは0.5mg/L以下に減らして供給しても良い。
特に、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の固液分離処理として脱水処理を行う場合に、鉄系、アルミ系の凝集剤を使用すると、リンが汚泥に取り込まれるため、分離液に含まれるリン濃度が低下し、リンの添加が必要となる場合がある。BOD及びT-N除去の粗処理では、リンのような栄養塩類の供給が軽視されがちであるが、リンが欠乏するとBODがほとんど除去できなくなることもあるため、粗処理であっても、リンを供給することが好ましい。添加するリンの形態としては特に制限はないが、リン酸、リン酸二水素カリウム、等の薬品、し尿系汚泥の一部を投入する等の方法がある。
(希釈倍率)
上記の生物処理によって得られた生物処理水は希釈槽に送られ、希釈水と混合して下水排除基準を満たすように希釈される。生物処理水の希釈倍率を典型的には1~4倍、より典型的には1~3倍、更には1~2倍、更には1~1.5倍とすることにより、下水排除基準を満たす量とすることができる。希釈は常時行っても良いし、下水排除基準を満たすために必要な場合にのみ行っても良い。これにより、従来の手法に比べてより少ない希釈水量で、下水道放流のための水質基準に応じたより効率的且つ適切な処理が行える。
本実施形態によれば、上述の生物処理を行うことにより、生物処理水の希釈を行わなくてもよい程度にまで生物処理水が処理される場合もある。その場合は、生物膜法を用いた生物処理を行った後の生物処理水に対し、希釈を行うことなくそのまま下水道放流を行ってもよいことは勿論である。
本発明の実施の形態に係る水処理方法によれば、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液に対して、硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とが行われるように、処理槽内の曝気条件を2条件以上設定してBOD及び窒素の粗取りを行った後に希釈することで、下水道放流可能な処理水を、少ない希釈水量で、小型且つ簡易な装置で、より効率良く安定して得ることが可能となる。
<水処理装置>
本発明の実施の形態に係る水処理装置は、図1に示すように、浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して分離汚泥と分離液とに分離する固液分離装置1と、分離液を生物処理する生物膜を内部に収容し、分離液に対して、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とを行う処理槽(曝気処理槽)2と、硝化促進処理と脱窒促進処理が、処理槽2内で交互に行われるように、処理槽2の曝気条件を少なくとも2条件以上に設定して制御する制御手段4と、処理槽2で処理された生物処理水を下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽3とを備える。
固液分離装置1には、種々の装置を用いることができ、中でも、固液分離装置1として脱水機を用いることが設備及び運用コスト面から好ましい。固液分離装置1の前段に濃縮機械(図示省略)固液分離前の原水に対して濃縮処理を行うことも好ましい。
処理槽2としては、担体の表面に微生物を付着させた生物膜が収容される。典型的には、内部に固定床担体を収容した接触酸化槽又は内部に流動担体を収容した流動担体槽が、本実施形態に係る処理槽2として好適に利用できる。処理槽2には、処理槽2内に供給された分離液を撹拌するための撹拌機21が設けられていてもよい。撹拌機21は省略してもよい。処理槽2下部には、処理槽2内を曝気する曝気手段22が接続されている。曝気手段22は、処理槽2内に気体を送り込むためのポンプと散気管(図示省略)等で構成することができる。曝気手段22による曝気により処理槽2内の分離液に液流を生じさせ、これにより処理槽内の生物膜(流動担体又は固定床担体)を流動させることができる。
処理槽2内には、処理槽2内の分離液の水質を測定するための計測手段23が配置されていてもよい。計測手段23としては、例えば、pH計、ORP計、DO計制御、NH4-N濃度計制御、NOx-N濃度計及びこれらの組み合わせが利用できる。処理槽2内へ流入する分離液の水質を測定するための計測手段24が配置されていてもよい。計測手段24としては、例えば、pH計、ORP計、DO計制御、NH4-N濃度計制御、NOx-N濃度計及びこれらの組み合わせが利用できる。
例えば、計測手段24により分離液のNH4-N濃度を測定し、計測手段23によりNH4-N濃度又はNOx-N濃度計を測定し、生物処理水の窒素濃度の目標値を定めれば、分離液と生物処理水のNH4-N濃度の関係から、必要な硝化脱窒量を計算できる。この計算結果に基づいて、硝化促進処理時間及び脱窒促進処理時間を定め、各処理の曝気条件を定めることにより、分離液からのBOD除去及びT-N除去を効率良く粗取りすることができる。
処理槽2には、処理槽2の下部に接続され、処理槽2内で液流を生じさせるように、分離液を処理槽2内へ供給可能な分離液供給管11を備えることが好ましい。分離液供給管11が処理槽2の下部へ接続されて、分離液が処理槽2の下方から上方へと供給されるように構成されることで、処理槽2内に収容される流動担体又は固定床担体の処理槽2底部への沈降を抑制して、担体の流動性を高めて、担体と分離液との接触効率を高めることができる。分離液供給管11は、処理槽2の高さを1とした場合に、相対的に0(槽底部)~0.5、より好ましくは0~0.3となる高さに接続されることで、分離液の供給による槽内の液流の発生効率を向上させることができる。
制御手段4は、汎用の計算機等で構成され、曝気手段22に接続されている。制御手段4は、処理槽2内で硝化促進処理と脱窒促進処理が交互に行われるように、曝気条件を制御する。制御手段4は、撹拌機21に接続されていてもよく、撹拌機21の撹拌条件を制御することもできる。さらに制御手段4は、計測手段23、24に接続されていてもよく、計測手段23、24の水質(pH、ORP、DO、NH4-N濃度、NOx-N濃度等)の測定結果に基づいて、曝気手段22による曝気を制御してもよい。制御手段4が、計測手段23、24の水質の測定結果に基づいて、曝気手段22による処理槽2内の曝気を制御することにより、原水の水質変動の発生に追従可能なより安定的な生物処理を行える。処理槽2で処理された生物処理水は、希釈槽3に収容され、希釈槽3において希釈水で希釈されて、処理水が得られる。
本発明の実施の形態に係る水処理装置によれば、硝化促進処理と脱窒促進処理が、処理槽2内で交互に行われるように、処理槽2の曝気条件を少なくとも2条件以上に設定して制御する制御手段4を備えることにより、一の処理槽2内で浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む汚泥の固液分離液中のBOD及びT-Nの粗取りを行うことができるため、浄化槽汚泥又はし尿系汚泥を含む汚泥から下水排除基準を満足する水質の処理水を、小型な装置で効率良く得ることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
図2に示すフローに従って、実施例に係る水処理(実験系)と、実施例に係る水処理と、実施例に係る水処理の効果を対照するための参考例(対照系)に係る水処理を行った。原水は、実機し尿等処理施設の脱水分離液を使用した。原水には、適宜栄養塩(リン酸一カリウム(KH2PO4))を添加した。実験期間中の原水性状の代表例を表1に示す。
Figure 2022045829000003
原水を、BOD容積負荷0.6kg-BOD/m3/d、T-N負荷0.23kg-N/m3/dとなるよう各試験系に通水させた。図2にラボ試験の処理フローを示す。また、対照系として、常時曝気を行う系との比較を行った。担体はポリエチレン製のハニカム状担体(φ25mm、厚さ4mm、比表面積800m2/m3)を各槽容量に対し30容量%充填した。
原水の流入条件と曝気条件を平日(月~金)、休日(土・日)のそれぞれに対して表2に示すように設定した。なお、表2中「硝化条件」は、処理槽内の設定DOが4.0mg/Lとなるように曝気量を設定し、機械撹拌を行わず、「脱窒(微曝気)条件」は、処理槽内の設定DOが0.2mg/Lとなるように曝気量を設定し、機械撹拌を行った。
Figure 2022045829000004
表3に実験結果を示す。処理水は1日分の処理水を混合した試料を分析した。必要希釈倍率は、放流基準をBOD:600mg/L、T-N:240mg/Lとして計算した。曝気条件の切り替えを行った実験系では、対照系に比べて若干BOD濃度は高くなるものの、T-N濃度は平均320mg-N/Lとなり、窒素除去率は52.2%となった。曝気条件の切り替えを行わない対照系では、処理水のT-N濃度は平均648mg/Lと窒素はほとんど除去されなかった。下水道放流のために用いられた希釈水の希釈倍率も実験系は1.3倍と少なくなった。
Figure 2022045829000005
以上の結果より、硝化と脱窒を交互に繰り返すように曝気条件を少なくとも2条件以上設定して切り替えを行うことにより、安定した窒素除去、及び希釈倍率の低減効果が確認された。
1…固液分離装置
2…処理槽(曝気処理槽)
3…希釈槽
4…制御手段
11…分離液供給管
21…撹拌機
22…曝気手段
23…計測手段
24…計測手段

Claims (5)

  1. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して得られる分離液を、生物担体を収容した曝気処理槽内に供給し、
    前記処理槽において、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とが行われるように、前記処理槽内の曝気条件を、少なくとも前記硝化促進処理の曝気条件と、該硝化促進処理の曝気条件よりも曝気量の少ない前記脱窒促進処理の曝気条件の2条件以上設定し、
    前記硝化促進処理及び前記脱窒促進処理が前記処理槽内で交互に切り替わるように、前記曝気条件を切り替えて生物処理を行い、
    前記生物処理で得られる生物処理水を、下水排除基準を満たすように希釈すること
    を有することを特徴とする水処理方法。
  2. 前記分離液の前記処理槽への供給を間欠的に行うことを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記脱窒促進処理において、前記分離液を前記処理槽の下部から流入させるか、撹拌機による撹拌を行うか、又は曝気を行うか、の少なくともいずれかを実施することにより、前記処理槽内に収容された前記分離液を流動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理方法。
  4. 浄化槽汚泥及びし尿系汚泥の少なくともいずれかを含む汚泥を固液分離して分離汚泥と分離液とに分離する固液分離装置と、
    前記分離液を生物処理する生物膜を内部に収容し、前記分離液に対して、硝化を促進する硝化促進処理と、脱窒を促進する脱窒促進処理とを行う処理槽と、
    前記硝化促進処理と前記脱窒促進処理が、前記処理槽内で交互に行われるように、前記処理槽の曝気条件を、前記硝化促進処理の曝気条件と前記脱窒促進処理の曝気条件の少なくとも2条件以上設定して制御する制御手段と、
    前記処理槽で処理された生物処理水を下水排除基準を満たすように希釈する希釈槽と
    を備えることを特徴とする水処理装置。
  5. 前記処理槽の下部に接続され、前記処理槽内で液流を生じさせるように、前記分離液を前記処理槽内へ供給可能な分離液供給管を備えることを特徴とする請求項4に記載の水処理装置。
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