JP2022044425A - 切断ブレード - Google Patents

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Abstract

【課題】加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を維持するとともに強度を向上することが可能な切断ブレードを提供すること。【解決手段】切断ブレード100であって、超砥粒と、前記超砥粒を結合するボンド材と、を有するビトリファイドボンド相10A、10Bが円板状に形成された切断ブレード本体10と、前記切断ブレード本体10の外周部に形成された切れ刃と、前記切断ブレード本体10の側面12に配置され前記ビトリファイドボンド相10Aの気孔を埋めて被覆する金属被覆層60と、を備えていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ビトリファイドボンド相を有する切断ブレードに関する。
従来、ビトリファイドボンド相を有する切断ブレード(例えば、切断又は切削用ブレード)が知られている。
ビトリファイドボンド相を有する切断ブレードは、例えばメタルボンド相を備えたメタルブレードやレジンボンド相を備えたレジンブレードに比べて硬度が高く、摩耗が進行しにくい。
また、ビトリファイドボンド相は多孔質体であり、多数の気孔が存在することにより、切屑排出性が良好に維持され、冷却効果が高められ、自生発刃作用が促されることから、被加工材を高精度で安定して加工(例えば、切断)を行うことが可能である。
そのため、これら切断ブレードは、例えば、BGAなどのパッケージ切断等、個片化が必要とされる電子材料の製造に用いられている。
ところで、切断ブレードは、例えば、切断加工装置(ダイサー)の主軸を取付け孔に挿入して、取付け孔の外周縁部を固定フランジで押圧、固定したうえで、主軸によって回転させられ、被切断材に対して軸線と直交する方向に移動しながら被切断材を加工する。
被切断材の加工に際しては、切断ブレードの軸線と直交する方向における切れ刃の位置(Z方向位置)を正確に管理する場合がある。
この場合、光学的手段により切れ刃の位置を測定する場合があるが、測定精度が高いことから、切断ブレードに通電機能を付与し、該切断ブレードを介して、切断加工装置(ダイサー)の主軸と、切断ブレードにより切断加工される被切断物(又は被切断物と同じ厚さの導電体)との間の通電を検出することにより、切れ刃位置(Z方向位置)を測定、管理することが一般的である。
しかしながら、切断ブレードを形成するビトリファイドボンド相は、一般的に不導体で形成されていて通電機能を有していないことから、そのままでは上記電気式手段により切れ刃位置を管理することは不可能である。
そこで、例えば、切断ブレードを構成するビトリファイドボンド相に無電解めっきにより金属被覆膜を形成して、通電機能を付与するとともに切断ブレードの強度を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
これにより、ビトリファイドボンド相で形成された切断ブレードであっても、電気式手段によって切れ刃位置を管理することが可能となった。
特開昭61-178181号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術より電気的手段による切れ刃位置の管理は可能となったものの、切断ブレードに充分な強度を確保することは困難であり、例えば、切断ブレードの厚さを薄肉化した場合には、切断加工時やハンドリング時の外力によって切断ブレードが破損しやすいという問題がある。
一方、ビトリファイドボンド相を有する切断ブレードの厚さを薄くして加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を維持するとともに被加工材の加工精度を向上させたいという要望がある。
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を維持するとともに強度を向上することが可能な切断ブレードを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の一態様は、軸線の廻りに回転されて切れ刃により被加工材を加工する切断ブレードであって、結合材が三次元架橋構造に形成された多孔質体のボンド相と、砥粒と、を有し、前記砥粒が前記ボンド相に配置されたビトリファイドボンド相が円板状に形成された切断ブレード本体と、前記切断ブレード本体の外周部に形成された切れ刃と、前記切断ブレード本体の前記軸線方向における少なくともいずれか一方の側面に配置された金属被覆層と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る切断ブレードによれば、砥粒がボンド相に配置されたビトリファイドボンド相が円板状に形成された切断ブレード本体と、切断ブレード本体の外周部に形成された切れ刃と、切断ブレード本体の軸線方向における少なくともいずれか一方の側面に配置された金属被覆層と、を備えているので、切断ブレードの強度を充分に向上することができる。
また、外周部の切れ刃の側面に金属被覆層(例えば、めっき層)が形成されている場合には、切れ刃の側面が摩耗することに起因する刃痩せを抑制することができる。
その結果、切断ブレードにより切断等の加工をする場合に、ビトリファイドボンド相の優位性(例えば、切屑排出性、自生発刃作用等)を維持するとともに加工時やハンドリング時の外力によって切断ブレードが破損するのを抑制することができる。
ここで、ビトリファイドボンド相の具体的な優位性としては、ボンド相に形成された多数の気孔によって、切屑を一時的に保持して排出させることで切屑排出性を良好に維持する機能や、冷却水を取り込んで冷却効果を高める機能や、適度に自生発刃作用を促す機能等が充分に発揮されて、高精度で安定した切断加工を行うことである。
その結果、ビトリファイドボンド相の(気孔率が相対的に高い)外周面が切断に大きく寄与するので、セラミックスで形成された被切断材や被切断材のセラミックスで形成された部分等を、高精度かつ安定的に切断加工することができる。
また、金属被覆層が切れ刃からフランジ取付け部まで形成されている場合には、回転軸と、切断ブレードにより加工される被切断物(又は被切断物と同じ厚さの導電体)との間の通電を検出することにより、切断ブレードの切れ刃の位置を測定、管理することができる。
ここで、ビトリファイドボンド相とは、分散配置される複数の砥粒を非金属無機材料(例えば、ケイ酸ガラス等のガラス質(非晶質(ただし、結晶質である部分を含んでいてもよい)の材料からなる結合材(ボンド材)が砥粒と砥粒とを結合することで、砥粒が分散、配置されるとともに、三次元架橋構造に形成されて多孔質体とされたボンド相であり、全体として、導電性、非導電性のいずれであってもよい。
また、ビトリファイドボンド相のうち、砥粒やボンド材(結合材)の表面に金属被覆膜が形成された部分は、金属被覆ビトリファイドボンド相という。
また、金属被覆されていないビトリファイドボンド相、金属被覆ビトリファイドボンド相、これらを合わせたものを、それぞれ単にビトリファイドボンド相という場合があるものとする。
また、ビトリファイドボンド相には、種々のフィラーが含まれていてもよく、例えば、フィラーとして、セラミック(例えば、Al)が含まれていてもよい。
また、金属被覆層(金属めっき層)とは、金属めっきで形成された金属材料からなる分(砥粒やフィラーを含んでいてもよい)、及びビトリファイドボンド相の三次元架橋構造の気孔内に金属被覆層を構成する金属が進入(入り込む)して金属材料が気孔内に充填された(埋め込まれた)部分をいう。
すなわち、ビトリファイドボンド相の三次元架橋構造の気孔内に金属めっき液が進入して(入り込んで)、気孔内に金属材料が充填された部分は、金属被覆ビトリファイドボンド相ではなく、金属被覆層に属するものとする。
ここで、気孔に金属材料が充填された部分とは、例えば、三次元架橋構造内にめっき液が浸透して金属材料が析出することで、気孔内が金属材料で完全に埋め込まれた部分に加えて、気孔(空間)が残留している場合において、気孔率が5%未満の部分は金属被覆層に含まれるものとする。
(2)また、上記(1)に記載の切断ブレードは、前記金属被覆層が、前記切断ブレード本体の前記軸線方向における両方の側面に配置されていてもよい。
本発明の切断ブレードによれば、金属被覆層が、切断ブレード本体の両方の側面に形成されているので、切断ブレード全体としての靱性、強度が高められ、工具寿命を延ばすことができ、切断効率が向上する。また、切れ刃の両側面の刃痩せが抑制されて、被加工材の深さ方向における切断幅の寸法差を小さくすることができる。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載の切断ブレードは、前記金属被覆層は、前記軸線方向における前記切断ブレード本体の表面からの厚さL1が、10μm≦L1≦30μmに形成されていてもよい。
本発明の切断ブレードによれば、金属被覆層が、軸線方向における切断ブレード本体の表面(側面)からの厚さL1が、10μm≦L1≦30μmに形成されているので、充分な強度、靱性が確保される。
その結果、切断ブレードの厚さを容易に薄くすることができる。
ここで、表面(側面)からの厚さL1にばらつきがある場合は、最も薄い寸法で特定するものとする。
(4)また、上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の切断ブレードは、前記金属被覆層には、前記金属被覆層を前記軸線方向に貫通して、前記金属被覆層の表面から前記ビトリファイドボンド相の気孔に連通する連通穴が形成されていてもよい。
本発明の切断ブレードによれば、金属被覆層に、金属被覆層を軸線方向に貫通して金属被覆層の表面からビトリファイドボンド相に連通する連通穴が形成されているので、連通穴を介して、ビトリファイドボンド相内に切削水等を容易かつ効率的に供給(中心給水)することができる。
その結果、加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を確実に維持することができる。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の切断ブレードは、前記金属被覆層に、砥粒が分散されていてもよい。
本発明の切断ブレードによれば、金属被覆層に、砥粒が分散されているので、切断ブレード側面において被加工材を効率的かつ高い精度で加工することができる。
本発明に係る切断ブレードによれば、加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を維持するとともに強度を向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る切断ブレードの概略構成を説明する斜視図である。 第1実施形態に係る切断ブレードの概略構成を説明する軸線方向に沿って見た平面図及び軸線を含む断面図を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る切断ブレードの概略構成を説明する切断ブレードの厚さ方向の断面を示す概念図である。 第1実施形態に係るビトリファイドボンド相の概略構成を説明する概念図であり、(A)は金属被覆膜が形成されていないビトリファイドボンド相を、(B)は金属被覆ビトリファイドボンド相を、(C)は金属被覆層を示す概念図である。 第1実施形態に係る切断ブレードの製造方法の概略を説明するフローチャートである。
以下、図1~図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る切断ブレードについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る切断ブレードの概略構成を説明する斜視図である。図2は、第1実施形態に係る切断ブレードの概略構成を説明する軸線方向に沿って見た平面図及び軸線を含む断面図を模式的に示す図である。図3は、切断ブレードの概略構成を説明する切断ブレードの厚さ方向の断面を示す概念図である。また、図4はビトリファイドボンド相の概略構成を説明する概念図であり、図4(A)は金属被覆層が形成されていないビトリファイドボンド相を、図4(B)は金属被覆ビトリファイドボンド相を、図4(C)は金属被覆層(金属めっき層)の概略構成を示す模式図である。
図1~図4において、符号100は切断ブレードを、符号10は切断ブレード本体を、符号10Aは金属被覆されていないビトリファイドボンド相を、符号10Bは金属被覆ビトリファイドボンド相を、符号11は外周面を、符号12、12A、12Bは側面を、符号20は超砥粒(砥粒)を、符号30はボンド材(結合材)を、符号40は金属被覆膜を、符号41は金(Au)蒸着膜((Au)被覆膜)を、符号50は気孔を、符号60は金属被覆層を、符号60Aは金属被覆層に分散、配置された超砥粒(砥粒)を示している。
また、本発明の実施形態の説明に用いる図面は、発明の特徴をわかりやすくするために、要部となる部分、各構成要素の寸法比率を拡大、強調、抜粋して示している場合があるものとする。
切断ブレード100は、例えば、化合物半導体素子や電子部品基板(例えば、BGAなどのパッケージ切断等、個片化が必要とされる電子材料)等の被切断材の精密切断加工に用いられる。
具体的には、この切断ブレード100は、被切断材(被加工材)として、例えば、パワーデバイスに用いられる炭化ケイ素(SiC)や車載用LEDのベース材となる高純度アルミナ(Al)や窒化アルミ(AlN)、LEDチップのベース材となるサファイア等、非常に硬度が高く、所謂難削材と称される材料の精密切断加工や特性の異なる複合材料の切断加工等に特に適している。
また、切断ブレード100は、図1、図2に示すように、例えば、ビトリファイドボンド相10A、10Bが円板状に形成された切断ブレード本体10と、切断ブレード本体10の外周部11に形成された切れ刃11Aと、軸線Oに沿って見たときに、切断ブレード本体10の中央部に形成された円形孔(取付孔)10Hと、切断ブレード本体10の軸線O方向における両方の側面12A、12B(12)に配置された金属被覆層60と、を備えている。
なお、切断ブレード100が寿命を迎えるまでに切れ刃11Aとして機能して、加工によって摩耗耗する部分を、切れ刃11Aが予定されている部分として切れ刃予定部という場合がある。
また、この実施形態において、図2~図3に示すように、切断ブレード本体10を構成するビトリファイドボンド相は、例えば、金属被覆されていないビトリファイドボンド相10Aと、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bと、を備えている。
ここで、金属被覆されていないビトリファイドボンド相10Aからなる部分、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bからなる部分、又は、金属被覆されていないビトリファイドボンド相10Aと金属被覆ビトリファイドボンド相10Bとを合わせたものを、それぞれ単に、ビトリファイドボンド相という場合があるものとする。
また、切断ブレード100は、図3に示すように、例えば、軸線O方向における内方に、金属被覆されていないビトリファイドボンド相10Aが配置され、ビトリファイドボンド相10Aの外方(表面側)の側面に金属被覆ビトリファイドボンド相10Bが配置されている。また、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの外方(表面側)の側面に金属被覆層60が配置された構成とされている。
切断ブレード100は、この実施形態において、例えば、外径が約54mm、円形孔10Hの内径が約40mmに形成されている。
この実施形態において、切断ブレード100の軸線O方向に沿った厚さは、例えば85μm、切断ブレード本体10は厚さ65μm)に形成されている。
なお、切断ブレード100の厚さは、任意に設定することが可能であり、例えば100μm以下であることが好適であり、例えば、85μm以下であることがより好適である。
円形孔10Hは、図1、図2に示すように、軸線Oに沿って見たときに、切断ブレード100の中央部に、軸線O方向に貫通して形成され、円形孔10Hの内周には円形孔表面13が形成されている。そして、円形孔10Hには、切断加工装置の主軸が挿通可能とされている。
外周面11は、切断ブレード100を軸線O回りに周回する軸線Oに沿った円形の面とされている。
切断ブレード100の円形孔10Hの外周縁には、切断加工装置の主軸に切断ブレード100を固定するための固定フランジが装着され、切断ブレード100は軸線O方向の両側の側面12A、12B(12)から固定フランジによって押圧、固定される。そして、切断ブレード100は、軸線Oの廻りに回転されて、切れ刃11Aにより被切断材(被加工材、不図示)を加工(切断加工)する。
金属被覆膜が形成されていないビトリファイドボンド相10Aは、図4(A)に示すように、例えば、超砥粒20と、超砥粒20と超砥粒20とを結合するボンド材(結合材)30とを備え、超砥粒20が分散、配置されている。
金属被覆幕が形成されていないビトリファイドボンド相10Aは、図2に示すように、切断ブレード本体10の軸線O方向における中央側(厚さ方向における中央部)に位置されている。
ビトリファイドボンド相10Aに分散される超砥粒20は、例えば、絶縁性のダイヤモンド砥粒である。
超砥粒20の平均粒径は、切断対象である被切断材の材質や切断ブレード本体10の軸線O方向の厚さに応じて適宜設定することが好適である。
具体的には、例えば、切断ブレード本体10の厚さに対し、1/4~1/5程度の平均粒径を有する超砥粒20を使用するのが砥粒限界粒径(上限)であり、所期する加工品位に応じて、これより細かな(小さな)平均粒径を有する超砥粒20を使用する。
つまり、切断ブレード本体10が厚さ65μmの場合、超砥粒20の平均粒径は約13~16μmが最大であり、加工品位に応じて、例えば、平均粒径10μmとする等、任意に設定してもよい。
また、ビトリファイドボンド相10Aには、超砥粒20の他に、超砥粒20よりも平均粒径の小さいフィラー(例えば、SiC等)が分散されていてもよい。
また、ビトリファイドボンド相10Aに分散される超砥粒20の含有率は、任意に設定することが可能であるが、この実施形態においては、例えば、12.5~25vol%(集中度50~100)である。
ここで、上記「平均粒径」とは、多数の超砥粒16の粒径の平均値を表しており、例えば、ある粒径範囲をもった超砥粒16をMicrotrac社(登録商標)製の型式MT3300EXII-SDC等により測定し、平均粒径をメッシュサイズに基づく粒度表示(JIS B 4130:1998を参照)により算出する等の方法が取られる。
また、「集中度」とは、工具中の砥粒量を表す指標である。切断用ブレードの場合、ブレード本体全体の体積に対して、砥粒の体積が25vol%を占有するとき、集中度100と規定する。(よって、ブレード本体のすべてが砥粒で構成されている場合は、集中度400となる。)
ボンド材(結合材)30は、例えば、SiOを含む(例えば、主成分とする)非導電性(絶縁性)のガラス質の材料により構成されている。そして、三次元架橋構造(三次元網目構造)に形成されることにより、内部に連続的な気孔50が形成された多孔質体とされている。
また、例えば、ボンド材(結合材)30がフィラー(例えば、Al等)を含んでいてもよい。また、ボンド材(結合材)30が、カーボン(C)等のフィラーを含むことにより導電性を有していてもよい。
金属被覆幕が形成されていないビトリファイドボンド相10Aにおいて、分散された超砥粒20やボンド材(結合材)30の間には、気孔50が形成されている。
また、気孔50は、例えば、切れ刃11Aの外周面11の表面に、多数(複数)の気孔として露出するように構成されている。
また、気孔50は、ビトリファイドボンド相10Aの内部において互いに連通した連続気孔とされている。
また、ビトリファイドボンド相10Aに占める気孔50の体積率(気孔率)P0は任意に設定することが可能であるが、この実施形態では、例えば、5%≦Po≦20%とされている。
このように、金属被覆幕が形成されていないビトリファイドボンド相10Aの気孔率Poが5%≦Po≦20%に設定されていることで、切断ブレード100で電子材料を切断加工する際に、発生した金属材料等と比べて細かい切屑を、ビトリファイドボンド相の気孔50から排出させて電子材料の細かい切屑がビトリファイドボンド相の気孔50に詰まりを起こすことを抑制することができる。
金属被覆膜が形成されていないビトリファイドボンド相10Aは、硬度、強度が大きいことから、切断ブレード100が被切断材を切断加工する際に、ビトリファイドボンド相10Aの摩耗量を減少させることができるようになっている。
また、切断ブレード100は、図2に示すように、軸線O方向におけるビトリファイドボンド相10Aの両方の側面に金属被覆ビトリファイドボンド相10Bが形成されている。
また、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの軸線O方向における外方(表面側)の側面には、金属被覆層(金属めっき)60が形成されている。
なお、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bを、切断ブレード本体10の外周面11、円形孔10Hの円形孔表面13に露出させるかどうかは任意に設定することが可能であり、この実施形態においては、例えば、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、切断ブレード本体10の外周面11、円形孔10Hの円形孔表面13にも露出するように形成されている。
なお、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bが切断ブレード本体10の外周面11、円形孔10Hの円形孔表面13に露出しない構成とされていてもよい。
なお、切断ブレード本体10を形成するビトリファイドボンド相の構成は任意に設定してもよく、例えば、ビトリファイドボンド相が、金属被覆されていないビトリファイドボンド相10A、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bのいずれか一方のみで形成されていてもよい。
また、例えば、金属被覆層60、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、切断ブレード本体10の軸線O方向におけるいずれか一方の側面12A、12Bのみに形成されていてもよい。
以下、図3、図4(B)、図4(C)を参照して、金属被覆ビトリファイドボンド相10B、及び金属被覆層60について説明する。
金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、図4(B)に示すように、例えば、超砥粒20と、ボンド材(結合材)30と、金属被覆膜40とを備え、三次元架橋構造からなり内部に気孔50が形成された多孔質体とされている。
具体的には、例えば、ビトリファイドボンド相10A(図4(A)参照)を構成する超砥粒20及びボンド材(結合材)30の表面に金属被覆膜40が形成された構成とされている。
この実施形態において、金属被覆膜40は、金属被覆層60と同じ金属材料により構成されている。
また、金属被覆膜40は、例えば、ビトリファイドボンド相10Aを構成する超砥粒20及び結合材30をニッケル(Ni)めっき(金属めっき)により被覆することにより被覆することで形成されている。
また、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、図3に示すように、ビトリファイドボンド相を構成するボンド材30の表面にニッケル(Ni)被覆膜40が被覆された部分をいう。
なお、ビトリファイドボンド相に形成された気孔50が金属被覆層60を構成するニッケル(Ni)で完全に充填された(埋められた)部分、及び金属被覆膜40が形成(被覆)されることで、気孔率Po<5%未満となった部分については、金属被覆層60に含まれる。
したがって、気孔率Poはビトリファイドボンド相10Aよりも低くなるが、気孔50は残存している。
この実施形態において、金属被覆膜40、金属被覆層60は、例えば、切断ブレード本体10をニッケル(Ni)めっきすることにより形成されている。
なお、金属被覆膜40、金属被覆層60を形成する材料については任意に設定することが可能であり、ニッケル(Ni)に代えて、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)を用いてもよい。
また、金属被覆膜40、金属被覆層60を形成する手段として、例えば、めっき(無電解めっき、電解めっき)に限定されることなく、蒸着等を適用してもよい。
金属被覆層60、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの厚さ(軸線O方向の寸法)は、例えば、図3に示すとおりである。
図3において、符号L1は金属被覆層60の厚さを、符号L2は金属被覆層60のうち軸線O方向においてビトリファイドボンド相より外方に完全に露出している部分の厚さを、符号L3は金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの厚さを示している。
この実施形態において、金属被覆層60の厚さL1は、例えば、10μm(10μm≦L1≦30μm)に形成されている。
また、金属被覆層60のうちビトリファイドボンド相から軸線O方向における外方(表面側)に完全に露出している厚さL2は10μm(例えば、5μm≦L2≦20μm)に形成されている。
また、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、例えば、厚さL3=5μm(例えば、5μm≦L3≦20μm)に形成されている。
なお、上記厚さL1、L2、L3については任意に設定してもよく、上記数値範囲未満でもよいし、上記寸法範囲を超えてもよい。
また、金属被覆膜40は、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bにおいて、金(Au)被覆膜41を介して形成されている。
詳述すると、ビトリファイドボンド相を構成する超砥粒20やボンド材(結合材)30の表面に金(Au)被覆膜41を形成して、そのうえにパラジウム化合物が付着される。パラジウム化合物は、金(Au)被覆膜41を介することで超砥粒20やボンド材(結合材)30の表面にほぼ均一かつ充分に付着し、触媒として作用する。その結果、ニッケル(Ni)被覆膜40がほぼ均一に形成されるとともに、ニッケル(Ni)めっき液がビトリファイドボンド相の内部に過剰に浸透することが抑制される。
この実施形態において、金属被覆膜40の厚さt1は、例えば、0.1μm以上10μm以下に形成されている。金属被覆膜40の厚さt1を0.1μm以上10μm以下に設定することは、気孔50が埋まる(詰まる)のを抑制して安定した導電性を確保するうえで好適である。また、金属被覆膜40の厚さt1を0.1μm以上5μm以下に設定することがより好適である。
なお、金属被覆膜40の厚さt1は任意に設定することが可能であり、例えば、金属被覆膜40の厚さt1を0.1μm未満に形成してもよいし、10μm超に形成してもよい。
また、金(Au)被覆膜41は、例えば、厚さt2が1nm以上10nm以下に形成されている。金(Au)被覆膜41の厚さt2を1nm以上10nm以下に設定することは、ビトリファイドボンド相10Aの内部に金属被覆膜40が過剰に入り込まずに、気孔50が適切に確保される点で好適であり、その結果、ビトリファイドボンド相10Aの優位性(例えば、切屑排出性、自生発刃作用)を維持することができる。また、金(Au)被覆膜41の厚さt2を1nm以上5nm以下に設定することがより好適である。
なお、金(Au)被覆膜41の厚さt2は任意に設定することが可能であり、例えば、金被覆膜41の厚さt2を1nm未満に形成してもよいし、厚さt2を10nm超に形成してもよい。
金属被覆層(金属めっき)60は、この実施形態において、例えば、上述の金属被覆膜40と同様のニッケル(Ni)からなる母材と、超砥粒(砥粒)60Aと、を備えており、ニッケル(Ni)からなる母材に超砥粒60Aが分散、配置された構成とされている。
金属被覆層60は、例えば、切断ブレード本体10の軸線O方向における両方の側面に形成されている。
また、金属被覆層60は、図2に示すように、例えば、切断ブレード本体10の円形孔10Hの外周縁部(円形孔表面13)から、開口部60Hの部分を除いて径方向において外周面11に向かって切断ブレード本体10の径方向幅R(図2に示す円形孔表面13から外周面11までの範囲)の全長にわたって形成されている。
なお、金属被覆層60を配置する範囲(金属被覆層形成範囲)は任意に設定してもよく、左右の側面12で異なる形状、厚さに形成とされてもよい。
超砥粒60Aは、例えば、絶縁性のダイヤモンド砥粒である。
超砥粒60Aの平均粒径は、例えば、切断対象である被切断材の材質や金属被覆層60の厚さ等に応じて任意に設定することが好適である。
この実施形態では、超砥粒60Aの平均粒径は、例えば、0.1μm以上5μm以下であることが好適ある。なお、超砥粒60Aの平均粒径を、0.1μm未満、5μmより大きく設定してもよい。
この実施形態において、金属被覆層60には、両側面12A、12B(12)の金属被覆層60には連通穴60Hが形成されている。
連通穴60Hは、例えば、周方向に延在する4つの円弧形状に形成されている。
そして、連通穴60Hは、金属被覆層60の表面からビトリファイドボンド相10Aまで連通している。
そして、連通穴60Hを介して、ビトリファイドボンド相10A、及び金属被覆ビトリファイドボンド相10Bに切削水等を供給することが可能とされている。
その結果、切断ブレード10のビトリファイドボンド相10A、10Bに中心給水することが可能とされている。
また、金属被覆層60は、図3に示すように、軸線O方向(厚さ方向)における側面12A、12B(12)の表面からの厚さL1は任意に設定することが可能であり、この実施形態では、例えば、L1=10μm(10μm≦L1≦30μm)に設定されている。
金属被覆層60の厚さL1を10μm以上30μm以下に設定することは、切断ブレード100に充分な強度を確保するとともに、充分な強度を付与するうえで好適である。
なお、金属被覆層60の厚さL1を10μm未満に設定してもよいし、30μm超に設定してもよい。
金属被覆層(金属めっき層)60の構成は、必要に応じて任意に設定することが可能であり、この実施形態において、例えば、図3に示すように、ビトリファイドボンド相の気孔50にニッケル(Ni)で充填された部分と、ニッケル(Ni)めっき層が軸線O方向においてビトリファイドボンド相から外方に完全に露出された部分と、を備えている。
ここで、気孔50にニッケル(Ni)で充填された部分とは、例えば、三次元架橋構造内にめっき液が浸透してニッケル(Ni)が析出することで、気孔50内がニッケル(Ni)で完全に埋め込まれた部分に加えて、気孔50の空間が残留している場合において、気孔率Poが5%未満の部分を含むものとする。
また、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bは、図3に示すように、切断ブレード100の軸線O方向(厚さ方向)において厚さ(深さ)L3に形成されている。
金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの厚さL3は任意に設定することが可能であるが、例えば、5μm≦L3≦20μmに形成されている。
なお、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの厚さL3を5μm未満、又は20μm超に設定してもよい。
なお、この実施形態において、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの外周面11、及び円形孔表面13からの厚さは、例えば、側面12A、12B(12)と同様に設定されている。
また、金属被覆層60の側面12A、12B(12)の表面は、例えば、ラップ加工されることにより凹凸のない平坦面とされている。具体的には、超砥粒60Aがニッケル(Ni)めっきにより被覆され、又は超砥粒60Aが金属被覆層60の表面と面一になるまで削られて凹凸のない平坦面とされている。
その結果、切断加工する際の切断ブレード100の側面12A、12B(12)の加工抵抗が低減されて、スムースに切断することができるとともに、深さ方向に同じ幅の切断面を形成することができる。
切れ刃11Aは、切断ブレード100の軸線O方向における両方の側面12A、12B(12)の少なくとも外周縁部と、切断ブレード100の外周面11と、側面12A、12B(12)の外周縁部と外周面11との交差稜線をなすエッジに形成されている。
また、切れ刃11Aの刃幅は、切断ブレード100の厚さに対応している。
本実施形態の切断ブレード100は、例えば、図示しない切断加工装置(ダイサー)の主軸に固定フランジを用いて取り付けられる、ワッシャタイプ(平円板形)の薄刃ブレードであり、固定フランジ等で円形穴10Hの周縁部を押圧、固定したうえで、切断加工装置の主軸によって軸線O回りに回転させられつつ、被切断材に対して軸線Oに垂直な方向(具体的には、高さ方向であるZ方向)に移動させられる。これにより、切断ブレード100のうち固定フランジよりも径方向外側に突出させられた外周縁部(切れ刃11A)で、被切断材を切断加工する。
このとき、切断加工装置は、電気式手法により、切断ブレード100の切れ刃11AのZ方向位置を検出する。つまり、切断ブレード100を介して、切断加工装置の主軸と、被切断物(又は被切断物と同じ厚さの導電体)との間の通電を検出することで、切断ブレード100の切れ刃位置(Z方向位置)を測定し、切断加工装置は、切断ブレード100による被切断材の切断加工時において、切断ブレード100の切れ刃位置(Z方向位置)を測定し、ゼロ点(切断基準位置)を補正することが可能である。
その結果、切断加工時(ダイシング時)のカーフ幅(切断加工により被切断材に形成される切断ラインの幅)を小さく抑えることができる。これにより、分被切断材の材料歩留まりを向上でき、かつ、例えば化合物半導体素子や電子部品基板等のさらなる小型化への要求に容易に対応可能である。
ここで、切断ブレード100は、被切断材として、例えば、パワーデバイスに用いられる炭化ケイ素(SiC)や車載用LEDのベース材となる高純度アルミナ(Al)や窒化アルミ(AlN)、LEDチップのベース材となるサファイア等、非常に硬度が高く、所謂難削材と称される電子材料の精密切断加工に特に適している。
本実施形態においては、切断ブレード本体10の両方の側面12A、12B、外周面11、及び円形孔表面13に金属被覆層60が形成された例について説明したが、これに限らない。例えば、切断ブレード本体10のいずれか一方の側面12のみに金属被覆層60が形成されていてもよい。
次に、図3、図4(A)、図4(B)、図4(C)、図5を参照して、切断ブレード100の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態に係る切断ブレードの製造方法の概略を説明するフローチャートである。
第1実施形態に係る切断ブレードの製造方法は、図5に示されるように、ビトリファイドボンド相からなる切断ブレード素材形成工程(S1)と、金(Au)蒸着工程(金(Au)被覆形成工程)(S2)と、ニッケル(Ni)被腹層形成工程(金属被腹層形成工程)(S3)と、を備えている。
具体的には、まず、超砥粒20と、ビトリファイドボンド相10A、10Bを形成するボンド材(結合材)30を混合し、混合した粉末材料を成形してビトリファイドボンド成形品を形成する。次に、ビトリファイドボンド成形品を焼結して切断ブレード素材を形成する(S1)。
次いで、切断ブレード素材の金属被覆層形成領域に金(Au)を蒸着して金(Au)被覆膜が形成された金被覆切断ブレード素材を形成する(S2)。
次に、金被覆切断ブレード素材の側面に、超砥粒60Aが混合された金属めっきをして、金属被覆膜40及び金属被覆層60を形成することにより切断ブレードを形成する(S3)。
〔切断ブレード素材形成工程〕
まず、切断ブレード素材形成工程(S1)で、砥粒と、ボンド材(結合材)30を混合した粉末材料を成形してビトリファイドボンド成形品を形成し、ビトリファイドボンド成形品を焼結して切断ブレード素材を形成する。
切断ブレード素材形成工程(S1)では、ビトリファイドボンド相10の材料であるビトリファイド粉末(結合材)と超砥粒20を混合した材料粉末を金型にセットする。
そして、圧力を加えて成型して円板状のビトリファイドボンド成形品を形成し、このビトリファイドボンド成形品を焼結する。
これにより、図4(A)に示すような金属被覆層が形成されていない多数(複数)の気孔50を有し三次元架橋構造とされた多孔質体のビトリファイドボンド相10Aからなり、円板状に形成された切断ブレード素材を形成する。
なお、ビトリファイドボンド相10Aに超砥粒20及びフィラーを分散させる場合には、上述の混合時において、結合材、超砥粒20及びフィラーを混合する。
上記円板成形体の外形寸法は、焼結後の収縮量及び研削・ラップ処理代等を考慮して設定する。具体的には、上記円板成形体の外径は、製造する切断ブレード100の外径よりも大きく設定する。また、上記円板成形体の内径は、製造する切断ブレード100の内径よりも小さく設定する。また、上記円板成形体の厚さは、製造する切断ブレード100のうち少なくともビトリファイドボンド相がなす厚さよりも大きく設定する。
焼結は、上記ビトリファイドボンド成形品を焼結炉において加熱することにより行う。
〔金(Au)蒸着工程(金(Au)被覆膜形成工程)〕
次に、金(Au)蒸着工程(金(Au)被覆膜形成工程)(S2)において、切断ブレード素材の金属被覆層形成領域に金(Au)を蒸着して金(Au)被覆膜が形成された金被覆切断ブレード素材を形成する。
金(Au)蒸着工程(金(Au)被覆膜形成工程)は、例えば、周知の蒸着装置を適用することが可能である。
具体的には、真空にした容器中に、切断ブレード素材(不図示)と、蒸着材料として金(Au)箔等を、設定された距離だけ離して配置する。
そして、例えば、蒸着材料を加熱して金(Au)を気化して、切断ブレード素材の表面に付着させて、金(Au)の薄膜(金(Au)被覆膜)を形成する。
蒸着材料の加熱には、例えば、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法を適用してもよい。また、必要に応じて、切断ブレード素材に蒸着前処理を施して密着性を向上してもよい。
なお、金蒸着に必要な時間は、超砥粒20の平均粒径、形成する金(Au)蒸着の厚さ等に基づいて適宜設定する。
すなわち、粒径が小さくなるほど表面積は大きくなるため、金蒸着に要する時間は長くなり、粒径が大きくなると表面積が小さくなるため、金蒸着に要する時間は短くなる。
例えば、電流値7.5(mA)の場合は、粒度#400~#700では、蒸着時間1(min)に設定し、粒度#800~#1000では、蒸着時間3(min)であり、粒度#1000~#1500では、蒸着時間7(min)に設定する。
その結果、切断ブレード素材の表面(金属被覆層形成領域)に金(Au)蒸着膜(金(Au)被覆膜)が形成された金被覆切断ブレード素材が形成される。
〔ニッケル(Ni)被覆層形成工程(金属被覆層形成工程)〕
次に、ニッケル(Ni)被覆層形成工程(金属被覆層形成工程)(S3)において、例えば、金被覆切断ブレード素材(不図示)の側面12A、12B(12)に金属被覆層60として、ニッケル(Ni)被覆層(ニッケルめっき層)を形成する。このとき、ビトリファイドボンド相の金蒸着された超砥粒20及びボンド材(結合材)30の表面に金属被覆膜40が形成されて、図4(B)に示す金属被覆ビトリファイドボンド相10Bが形成される。
ニッケル(Ni)被覆層形成工程では、超砥粒60Aが分散されたニッケル(Ni)めっき液を用いる。
また、ニッケル(Ni)めっきを実施しない箇所(例えば、連通穴60Hの部分)にマスキングを施す。マスキングは、金(Au)被腹膜形成工程の前に実施してもよい。
めっき液の濃度やめっき時間等については、例えば、金属被覆層60の厚さL1を考慮して設定する。
ニッケル(Ni)めっきをする前に、例えば、無電解めっき用のプライマーとしてパラジウム(Pd)化合物(例えば、レッドシューマー(登録商標)日本カニゼン株式会社製)の3%水溶液に、金被覆切断ブレード素材を浸漬する。
そして、金被覆切断ブレード素材の金蒸着されたビトリファイドボンド相10Aの金属被覆形成予定部の外表面から設定した領域(厚さ)にパラジウム化合物を付着させる。
その後、例えば、20%のニッケル(Ni)めっき溶液(例えば、SE-680 日本カニゼン株式会社製)に、70℃~90℃で30秒~5分間浸漬して、金蒸着されたビトリファイドボンド相10Aの超砥粒20及び結合材30の表面にNiめっきからなる金属被覆膜40を形成する。このとき、ニッケル(Ni)めっきは、パラジウム化合物が付着した領域に形成される。
その結果、図3に示すように、切断ブレード本体10の軸線O方向における内方にビトリファイドボンド相10Aが維持されたままで、ビトリファイドボンド相10Aの両方の側面に金属被覆ビトリファイドボンド相10Bが形成される。その後、金属被覆ビトリファイドボンド相10Bの両方の側面に、さらに金属被覆層60が形成される。
なお、ビトリファイドボンド相の三次元架橋構造を構成する超砥粒20やボンド相10に金(Au)被覆膜41が形成されていることは、金(Au)被覆膜41に充分にパラジウム化合物が付着して触媒をして作用し、金(Au)被覆膜が形成された部分に金属被覆膜40が優先的に形成される。そして、ビトリファイドボンド相内に浸透しためっき液が(過度に)析出するのが抑制されて気孔が確保され、一方でめっき液が内部に過剰に浸透することなく側面12にビトリファイドボンド相の外方に露出するニッケル(Ni)めっき層を形成する。
このようにして、切断ブレード100が完成する。なお、切断ブレード100の完成に際しては、必要に応じてラップ加工等を施す。
第1実施形態に係る切断ブレード100によれば、切断ブレード本体10の両方の側面12A、12B(12)に金属被覆層60を備えているので、切断ブレード100の強度を充分に向上することができる。
また、外周部の切れ刃11Aの側面12A、12B(12)に金属被覆層60が形成されているので、切れ刃11Aの側面12A、12B(12)が摩耗して切れ刃11Aの刃痩せを抑制することができる。
その結果、切断ブレード100により切断等の加工をする場合に、ビトリファイドボンド相10A、10Bの優位性(例えば、切屑排出性、自生発刃作用等)を維持するとともに加工時やハンドリング時の外力によって切断ブレード100が破損するのを抑制することができる。また、工具寿命を延ばすことができ、切断効率が向上する。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60が、軸線O方向における切断ブレード100の側面12A、12B(12)の表面からの厚さL1が10μm(10μm≦L1≦30μm)に形成されているので、充分な強度、靱性が確保される。
その結果、切断ブレード本体10の厚さを、例えば、65μm以下、切断ブレード100の厚さを85μm以下に薄くすることができる。
また、切断加工時において、側面と被切断材(ワーク)との摩擦を小さく抑えて、工具寿命を延ばすことができ、切断効率を向上することができる。
また、切断ブレード100によれば、厚さが85μmに形成されているので、切断加工時(ダイシング時)のカーフ幅(切断加工により被切断材に形成される切断ラインの幅)を小さく抑えて被切断材の材料歩留まりを向上するとともに、例えば化合物半導体素子や電子部品基板等のさらなる小型化への要求に容易に対応可能となる。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60の表面が平坦面に形成されているので、切断加工する際に、切断ブレード100の側面12A、12B(12)における加工抵抗が低減されて、スムースに切断することができる。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60に連通穴60Hが形成されているので、ビトリファイドボンド相10A、10Bに切削水等を供給することができ、効率的に中心給水することができる。
その結果、加工におけるビトリファイドボンド相10A、10Bの優位性を確実に維持することができる。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60に、超砥粒60Aが分散、配置されているので、切断ブレード100の側面12A、12B(12)において被加工材を効率的かつ高い精度で加工することができる。
また、第1実施形態に係る切断ブレード100によれば、金属被覆層60が切れ刃11Aから円形穴10Hまで形成され、連通穴60Hが円弧状に形成されることで、導電性を備えているので、切断ブレード100の切れ刃11Aの位置を測定、管理することができる。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60が、切断ブレード100の両方の側面12A、12B(12)の全面に形成されているので、切断ブレード100全体としての靱性、強度が向上し、工具寿命を延ばすことができ、切断効率が向上する。
また、上記金属被覆層60によって、切れ刃11Aの刃痩せを抑制することができる。
また、切断ブレード100によれば、金属被覆層60に超砥粒(砥粒)60Aが分散、配置されているので、例えばセラミックする等の電子材料の切断加工時において、被切断材の細かい切屑を気孔50から排出させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、金属被覆層60が切断ブレード100の軸線O方向における両方の側面12A、12B(12)に形成されている場合について説明したが、金属被覆層60が、いずれか一方の側面12A、12B(12)のみに配置された構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層60がニッケル(Ni)めっきにより形成されている場合について説明したが、金属被覆層60を形成する材料については任意に設定してもよい。例えば、ニッケル(Ni)めっきに代えて、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)を用いて形成してもよい。
また、金属被覆層60を形成する手段として、例えば、めっき(無電解めっき、電解めっき)に限定されることなく、蒸着等を適用してもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層60が切断ブレード本体10の径方向の全長にわたって形成されている場合について説明したが、金属被覆層60を形成する範囲については任意に設定することができる。例えば、金属被覆層60を円形孔10Hの外周縁部(円形孔表面13)から切れ刃予定部(加工によって摩耗耗する部分)よりも内周側に位置される範囲で任意に設定してもよい。
また、上記実施形態においては、切断ブレード100の軸線O方向における両方の側面12A、12B(12)に、金属被覆層60の表面からビトリファイドボンド相10Aに連通する連通穴60Hが形成されている場合について説明したが、連通穴60Hをいずれか一方の側面12に金属被覆層60に形成してもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層60に円形穴10Hの外周縁に沿って周方向に延在する4つの円弧状の連通穴60Hが形成されている場合について説明したが、連通穴60Hの位置、形状、数については任意に設定することが可能である。例えば、連通穴を、円形状、四角形をはじめとする多角形や径方向に延在する長円形、矩形に形成してもよいし、これらが軸線Oに対して、放射状に配置され、又は切断ブレード本体10の内周側が外周側に対して回転方向前方側もしくは回転方向後方側に形成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層60が、切断ブレード100の表面から深さ(厚さ)L1が10μm(10μm≦L1≦30μm)に形成されている場合について説明したが、金属被覆層60の厚さL1については、切断ブレード100に確保させたい強度等に基づいて任意に設定してもよい。
また、切断ブレード100のそれぞれの側面12A、12Bで、金属被覆層60の厚さL1が異なる構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層(金属めっき層)60が超砥粒60Aを備えている場合について説明したが、金属被覆層60が超砥粒60Aを備えるかどうかは任意に設定することが可能であり、例えば、金属被覆層60が超砥粒60Aを備えない構成としてもよいし、金属被覆層60が超砥粒60Aとともに、又は超砥粒60Aに代えてフィラーを備える構成とされていてもよい。
また、上記実施形態においては、金属被覆層60に砥粒としてダイヤモンド超砥粒60Aが分散、配置されている場合について説明したが、砥粒については任意に設定することが可能であり、ダイヤモンド超砥粒60Aに代えて、例えば、CBN(立方晶窒化ホウ素)を用いてもよい。また、砥粒60Aの粒度、含有率については任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、金(Au)被覆膜形成工程において、蒸着により金(Au)被覆膜41を形成した後に金属めっきをして金属被覆膜40、金属被覆層60を形成する場合について説明したが、金(Au)被覆膜41を形成するかどうかは任意に設定することが可能であり、金(Au)被覆膜41を形成することなく金属被覆膜40、金属被覆層60を形成してもよい。
また、金(Au)被腹膜を形成する場合に、金蒸着を用いるかどうかは任意に設定することが可能であり、例えば、金(Au)被覆膜41をめっきにより形成してもよい。
また、上記実施形態においては、ビトリファイドボンド相10A、10Bを構成するボンド材(結合材)30としてSiOを例示したが、砥粒、結合材は任意に設定することが可能であり、例えば、導電性を有するTiC、WCを用いてもよい。また、結合材に導電性を付与するためのフィラー(例えば、TiC、WC)や、切屑排出性、自生発刃作用等を向上するためのフィラーを含有させてもよい。
また、上記実施形態においては、ビトリファイドボンド相10A、10Bに砥粒としてダイヤモンド超砥粒20が分散、配置されている場合について説明したが、砥粒については任意に設定することが可能であり、ダイヤモンド超砥粒20に代えて、例えば、CBN(立方晶窒化ホウ素)を用いてもよい。また、砥粒20の粒度、含有率については任意に設定することができる。
本発明に係る切断ブレードによれば、加工におけるビトリファイドボンド相の優位性を維持して容易にハンドリングすることができるので、産業上利用可能である。
O 軸線
10 切断ブレード本体
10A 金属被覆されていないビトリファイドボンド相(ビトリファイドボンド相)
10B 金属被覆ビトリファイドボンド相(ビトリファイドボンド相)
11 外周面
11A 切れ刃
12、12A、12B 側面
20 超砥粒(砥粒)
30 ボンド材(結合材)
40 金属被覆膜
41 金(Au)被覆膜
50 気孔
60 ニッケル(Ni)めっき層(金属被覆層)
60A 超砥粒(砥粒)
60H 連通穴
100 切断ブレード

Claims (5)

  1. 軸線の廻りに回転されて切れ刃により被加工材を加工する切断ブレードであって、
    結合材が三次元架橋構造に形成された多孔質体のボンド相と、砥粒と、を有し、前記砥粒が前記ボンド相に配置されたビトリファイドボンド相が円板状に形成された切断ブレード本体と、
    前記切断ブレード本体の外周部に形成された切れ刃と、
    前記切断ブレード本体の前記軸線方向における少なくともいずれか一方の側面に配置された金属被覆層と、
    を備えている
    ことを特徴とする切断ブレード。
  2. 請求項1に記載の切断ブレードであって、
    前記金属被覆層は、
    前記切断ブレード本体の前記軸線方向における両方の側面に配置されている
    ことを特徴とする切断ブレード。
  3. 請求項1又は2に記載の切断ブレードであって、
    前記金属被覆層は、
    前記軸線方向における前記切断ブレード本体の表面からの厚さL1が
    10μm ≦ L1 ≦ 30μm
    に形成されている
    ことを特徴とする切断ブレード。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の切断ブレードであって、
    前記金属被覆層には、
    前記金属被覆層を前記軸線方向に貫通して、前記金属被覆層の表面から前記ビトリファイドボンド相の気孔に連通する連通穴が形成されている
    ことを特徴とする切断ブレード。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の切断ブレードであって、
    前記金属被覆層には、
    砥粒が分散されている
    ことを特徴とする切断ブレード。
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