JP2022043543A - 繊維機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的な構成を複雑にすることなく屑糸量を取得できる繊維機械を提供する。【解決手段】自動ワインダ100は、給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る。自動ワインダ100は、給糸ボビンから糸を引き出す際に廃棄される糸の量の目安値を算出する演算部95b,99bを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、繊維機械から発生する屑糸量を取得する構成に関する。
自動ワインダ等の繊維機械では、糸等の処理に伴って、不要な屑糸が発生する。繊維機械が稼動する工場において、屑糸量がどの程度発生しているかの情報が、資源の無駄を防止する観点等から重要になっている。
屑糸の管理に関して、特許文献1には、紡糸ラインで発生する屑糸を算出して表示部に表示する構成が開示されている。
中国特許出願公開第106048758号明細書
しかし、特許文献1には、屑糸をどのように取得するのか、具体的な構成が全く開示されていない。
従来の繊維機械では、それぞれの装置から屑糸を回収して重量計で測定しないと、屑糸の量を把握することができなかった。従って、従来の構成では、屑糸の量の情報を取得するのに時間と手間が掛かっており、改善の余地があった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、機械的な構成を複雑にすることなく屑糸量を取得できる繊維機械を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成の繊維機械が提供される。即ち、この繊維機械は、給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る。前記繊維機械は、給糸ボビンから糸を引き出す際に廃棄される糸の量の目安値を算出する演算部を備える。
これにより、機械的な構成を複雑にすることなく、屑糸発生量の目安値を、ソフトウェアによる計算で適切に得ることができる。
前記の繊維機械においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この繊維機械は、給糸ボビンから糸を引き出す際に廃棄される糸の量の基準値を入力可能な入力部を備える。前記演算部は、入力された前記基準値に基づいて前記目安値を算出する。
これにより、オペレータが屑糸量の基準値として適切な値を入力することで、屑糸量として信頼性の高い目安値を得ることができる。
前記の繊維機械においては、前記基準値を得るための測定を支援する測定支援モードに切換可能であることが好ましい。
これにより、屑糸量を測定し易くする特別な動作を繊維機械が行うことで、オペレータが屑糸量の基準値を容易に取得することができる。
前記の繊維機械においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この繊維機械は、前記給糸ボビンから糸を引き出すために、設定又は状況に応じて異なる引出動作を行う。前記基準値は、前記引出動作毎に入力可能である。
これにより、屑糸量として、引出動作のバリエーションに応じた妥当な目安値を得ることができる。
前記の繊維機械においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この繊維機械は、準備用引出装置を備える。前記準備用引出装置は、給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る巻取ユニットに給糸ボビンが供給される前に、当該給糸ボビンの糸端を吸引して引き出す引出動作を行う。前記演算部は、前記準備用引出装置の引出動作の際に廃棄される糸の量の目安値を算出する。
これにより、準備用引出装置において発生する屑糸量の目安値を、機械的な構成を複雑にすることなく得ることができる。
前記の繊維機械においては、前記準備用引出装置が糸を吸引する吸引空気流の圧力を制御する制御装置を備えることが好ましい。
これにより、準備用引出装置が発生させた屑糸量に応じて、準備用引出装置が糸を吸引する吸引空気流の強さ等を適宜変更することが可能になる。
前記の繊維機械においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この繊維機械は、給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る巻取ユニットを備える。前記巻取ユニットは、ユニット引出装置を備える。前記ユニット引出装置は、パッケージ側の糸と給糸ボビン側の糸を糸継ぎする前に、前記給糸ボビンから糸を吸引して引き出す引出動作を行う。前記演算部は、前記ユニット引出装置の引出動作の際に廃棄される糸の量の目安値を算出する。
これにより、ユニット引出装置において発生する屑糸量の目安値を、機械的な構成を複雑にすることなく得ることができる。
前記の繊維機械においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この繊維機械は、集計部と、表示部と、を備える。前記集計部は、前記演算部が算出した目安値を集計する。前記表示部は、前記集計部が集計した合計値を表示する。
これにより、屑糸量に関し、大まかな観点での状況の把握が可能になる。
前記の繊維機械においては、前記表示部は、前記合計値を、繊維機械全体で廃棄される糸の量として表示することが好ましい。
これにより、繊維機械全体で発生する屑糸量を、例えばオペレータが容易に把握することができる。
前記の繊維機械においては、前記演算部は、単位時間あたりの前記目安値を、過去の単位時間当たりの前記目安値に基づく値と比較し、比較結果に基づいて警告を発生させることが好ましい。
これにより、繊維機械において発生する異常に周囲が早期に気付いて対応することができる。
本発明の一実施形態に係る自動ワインダの概略的な平面図。 自動ワインダの全体的な構成を示す正面図。 ワインダユニットの側面図。 糸端準備装置により糸端を準備する様子を示す側面図。 自動ワインダのブロック図。 ディスプレイの表示内容を示す図。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る自動ワインダ100の概略的な平面図である。図2は、自動ワインダ本体1の全体的な構成を示す正面図である。図3は、ワインダユニット1aの側面図である。図4は、糸端準備装置9により糸端を準備する様子を示す側面図である。図5は、自動ワインダ100のブロック図である。図6は、ディスプレイ92の表示内容を示す図である。
図1に示す自動ワインダ(繊維機械)100は、自動ワインダ本体(繊維機械本体)1と、ボビン準備システム2と、ボビン供給装置3と、を備えている。ボビン準備システム2と、ボビン供給装置3とで、ボビン自動供給装置18が構成されている。
自動ワインダ100が稼動する工場には、圧縮空気供給源50が設置されている。圧縮空気供給源50は、例えばコンプレッサ等として構成される。この圧縮空気供給源50により、自動ワインダ100の各装置に圧縮空気が供給され、様々な用途で用いられる。
給糸ボビン12は、前工程の精紡機40において生成された紡績糸(糸)10を、ボビン管120の周囲に巻き付けたものである。
図2に示すように、自動ワインダ本体1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)1aと、集綿ボックス19と、ブロアボックス80と、制御ボックス85と、玉揚台車17と、を主に備える。図1に示すように、自動ワインダ本体1には、それぞれのワインダユニット1aへ給糸ボビン12を自動的に搬送するための供給通路4が形成されている。また、自動ワインダ本体1には、それぞれのワインダユニット1aから排出される返却ボビン13を搬送するための回収通路5が形成されている。
供給通路4及び回収通路5は、ベルトコンベア等から構成されており、搬送トレイ16を搬送することができる。なお、図1では給糸ボビン12及び返却ボビン13が少数しか示されていないが、実際には供給通路4において多数の給糸ボビン12が搬送され、回収通路5において多数の返却ボビン13が搬送される。
それぞれのワインダユニット1aは、給糸ボビン12から紡績糸10を解舒し、解舒された紡績糸10を綾振りしながら糸巻取管14に巻き取ってパッケージ15を形成する。なお、以下では、紡績糸10が巻き取られた状態の糸巻取管14をパッケージ15と称する場合がある。
ブロアボックス80の内部には、ブロア81が配置されている。このブロア81は、糸屑等を吸引するための負圧を供給する負圧源として機能する。複数のワインダユニット1aは、図示しない共通のブロアダクトに接続されている。ブロアボックス80の側方には、集綿ボックス19が配置されている。ブロア81は、集綿ボックス19を介して、前記ブロアダクトと接続される。集綿ボックス19の内部には、繊維屑及び糸屑を捕集するための公知のフィルタ部材が配置されている。これにより、ワインダユニット1aで発生した繊維屑及び糸屑を、ダクトを介して吸い込み、集綿ボックス19の内部に貯留することができる。
制御ボックス85には、集中管理装置91が配置されている。図5に示すように、この集中管理装置91は、それぞれのワインダユニット1a,1a,・・・のユニット制御部95,95,・・・と通信可能に構成されている。また、集中管理装置91は、後述するボビン自動供給装置18の自動供給装置制御部99とも通信可能に構成されている。集中管理装置91は、ブロアボックス80のブロア81に信号を送信して、ブロア81が発生させる負圧の大きさを制御することができる。
本実施形態では、集中管理装置91、ユニット制御部95,95,・・・、及び自動供給装置制御部99の組合せにより、屑糸発生量出力装置150が構成されている。
集中管理装置91は、各ワインダユニット1a等の情報を集中管理することができる。集中管理装置91は、図2及び図4に示すように、ディスプレイ(表示部)92と、入力部93と、主制御部94と、を備える。
ディスプレイ92は、オペレータの適宜の操作により、それぞれのワインダユニット1aの稼動状況及び/又は糸品質に関する情報を表示する。
入力部93は、複数の入力キーを備えている。入力部93は、オペレータがディスプレイ92に表示させる情報を選択するために用いられる。入力部93は、各ワインダユニット1aの各種の稼動状況及び/又は糸品質に関する情報の設定、及び、自動ワインダ100の各種の装置の動作の設定を受け付ける。
図2に示す玉揚台車17は、複数のワインダユニット1aのうちの1つにおいてパッケージ15が満巻(規定量の紡績糸10が巻き取られた状態)となった際に、当該ワインダユニット1aに対応する位置まで移動する。ワインダユニット1aに到着した玉揚台車17は、満巻のパッケージ15を自動的に取り外すとともに、新しい糸巻取管14をセットすることができる。
ここで、図2及び図3を用いて、ワインダユニット1aについて詳細に説明する。図2及び図3に示すように、ワインダユニット1aは、給糸ボビン12の紡績糸10を解舒し、解舒された紡績糸10を綾振りしながら糸巻取部22の糸巻取管14に巻き取るように構成されている。糸巻取部22は、クレードル31と、巻取ドラム30と、を備えている。
クレードル31は、糸巻取管14(又はパッケージ15)を回転可能に支持することができる。また、クレードル31は、支持しているパッケージ15の外周を巻取ドラム30の外周に接触させることができる。
糸巻取管14に紡績糸10を巻き取っていくにつれて、パッケージ15の径が増大する。クレードル31は、支持した糸巻取管14を巻取ドラム30から離れる向きに移動させることができる。これにより、パッケージ15の径が増大しても巻取りを継続することができる。
巻取ドラム30は、パッケージ15の表面で紡績糸10をトラバース(綾振り)させながら、パッケージ15を回転させる。巻取ドラム30は、電動モータ63によって回転駆動される。パッケージ15の外周を巻取ドラム30に接触させた状態で、巻取ドラム30を回転駆動することにより、パッケージ15を従動回転させることができる。また、この巻取ドラム30の外周面には螺旋状の綾振溝が形成されており、給糸ボビン12から解舒された紡績糸10は、前記綾振溝によって一定の幅でトラバースされながらパッケージ15表面に巻き取られる。これにより、一定の巻幅を有するパッケージ15を形成することができる。
本実施形態においては、電動モータ63の駆動力が巻取ドラム30に伝達されて、巻取ドラム30が糸巻取管14及びパッケージ15を従動回転させる。ただし、電動モータ63の駆動力を糸巻取管14に直接的に伝達して、糸巻取管14及びパッケージ15を回転させてもよい。
ワインダユニット1aは、給糸ボビン12を支持するボビンセット部(給糸部)20と、紡績糸10を巻き取る糸巻取部(巻取部)22と、を備える。ボビンセット部20と糸巻取部22との間には、紡績糸10の走行経路が形成されている。ワインダユニット1aは、この走行経路の中途部に、ボビンセット部20側から糸巻取部22側へ向かって順に、解舒補助装置23と、下糸吹上げ部24と、テンション付与装置25と、糸継装置26と、糸品質測定装置27と、を備える。
解舒補助装置23は、給糸ボビン12からの紡績糸10の解舒を補助する。解舒補助装置23は、可動部材を備える。可動部材は、給糸ボビン12から解舒される紡績糸10が振り回されて給糸ボビン12上部に形成されるバルーンに対して接触可能である。解舒補助装置23は、可動部材の位置を変更することにより、バルーンの大きさを適切に制御する。
下糸吹上げ部24は、圧縮空気を上向きに噴射する。これにより、給糸ボビン12からの下糸を糸継装置26側に向かって吹き上げることができる。
テンション付与装置25は、走行する紡績糸10に所定のテンションを付与する。本実施形態のテンション付与装置25は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式に構成されている。可動側の櫛歯は、櫛歯状態が噛合せ状態又は解放状態となるように、ロータリ式のソレノイドにより回転可能に構成されている。
糸品質測定装置27は、紡績糸10の太さ等を監視することにより、スラブ等の糸欠陥を検出する。また、糸品質測定装置27の近傍には、当該糸品質測定装置27が糸欠陥を検出したときに直ちに紡績糸10を切断するためのカッタ39が配置されている。
糸継装置26は、紡績糸10が分断した状態となったときに、給糸ボビン12側の下糸と、パッケージ15側の上糸と、を糸継ぎする。紡績糸10が分断される場合は、例えば、糸品質測定装置27が糸欠陥を検出してカッタ39で紡績糸10を切断した場合、給糸ボビン12から解舒中の紡績糸10が切れた場合、又は給糸ボビン12を交換する場合等である。本実施形態の糸継装置26は、圧縮空気を用いて上糸と下糸の撚り合わせ等を行い、糸を接合する。
糸継装置26の下側及び上側には、給糸ボビン12側の下糸を捕捉して案内する下糸案内パイプ(ユニット引出装置)28と、パッケージ15側の上糸を捕捉して案内する上糸案内パイプ29と、が設けられている。下糸案内パイプ28の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ29の先端にはサクションマウス(吸引口)34が備えられている。下糸案内パイプ28及び上糸案内パイプ29は、前述のブロアダクトに接続されている。従って、吸引口32及びサクションマウス34に、糸端を捕捉するための吸引空気流を発生させることができる。
この構成で、給糸ボビン12の交換時等においては、新しく供給された給糸ボビン12の下糸が下糸吹上げ部24により吹き上げられる。この下糸が、紡績糸10の走行経路の脇に待機している下糸案内パイプ28の吸引口32により捕捉される。その後、下糸案内パイプ28は、軸33を中心にして上方へ回転する。これにより、下糸が糸継装置26まで案内される。また、これと略同時に、パッケージ15が逆転駆動されることにより上糸が解舒される。この上糸が、上糸案内パイプ29のサクションマウス34により捕捉される。その後、上糸案内パイプ29は、軸35を中心として下方へ回転する。これにより、上糸が糸継装置26まで案内される。そして、糸継装置26において下糸と上糸の糸継ぎが行われる。
糸継装置26は、図略のカッタを備える。糸継装置26において上糸と下糸とを接合する際に、余分な上糸及び下糸はカッタにより切断され、除去される。従って、パッケージ15の逆転駆動によって解舒される上糸が長ければ、屑糸が多くなる。同様に、給糸ボビン12から解舒される下糸が長ければ、屑糸が多くなる。
糸品質測定装置27によって検出される糸欠陥は、紡績糸10の長手方向で短い区間だけに現れるものもあれば、長い区間にわたって現れるものもある。糸品質測定装置27が糸欠陥を検出してカッタ39で紡績糸10を切断した場合、当該糸欠陥を含む紡績糸10は、慣性回転するパッケージ15にいったん巻き取られる。パッケージ15が逆転駆動される場合、糸欠陥を上糸案内パイプ29によって全て引き出して除去できるように、パッケージ15を逆転駆動する回転角度が糸欠陥の長さに応じて制御される。
糸品質測定装置27が糸欠陥を検出してカッタ39で紡績糸10を切断した場合、この糸欠陥は下糸には現れない。従って、下糸は、その糸端を糸継装置26に導くのに必要なだけ引き出されれば十分である。このことから、下糸が下糸案内パイプ28によって吸引される長さは、原則として一定である。
ただし、給糸ボビン12に巻かれている紡績糸10の一部の区間に低品質の部分が集中している場合は、この部分で紡績糸10がカッタ39により頻繁に切断される。このような紡績糸10に対して、仮に通常どおりの制御を行うと、糸の切断、巻取停止、糸継ぎ、及び巻取再開を繰り返すこととなり、糸巻取り効率が大きく低下する。従って、本実施形態では、糸品質測定装置27によって糸欠陥がある程度頻繁に検出されて紡績糸10が切断された場合、ワインダユニット1aは、ボビンセット部20に支持された給糸ボビン12から、通常よりも長く、紡績糸10を下糸案内パイプ28によって連続的に吸引する。これにより、不良部分の多い可能性がある紡績糸10の部分を給糸ボビン12から供給せずに除去することで、巻取り効率を向上させることができる。このように、ワインダユニット1aの下糸案内パイプ28が通常とは異なる動作をすることで、下糸案内パイプ28に吸引される屑糸の量は通常よりも多くなる。
下糸は、糸欠陥が検出された場合だけでなく、ボビンセット部20における給糸ボビン12の交換時においても、下糸案内パイプ28によって吸引される。給糸ボビン12の交換時におけるワインダユニット1aの動作は、下糸吹上げ部24によって吹き上げられた糸を下糸案内パイプ28で確実に捕捉できるように、下糸案内パイプ28の吸引口32を給糸ボビン12の真上で、ある程度のマージンを含んだ時間をもって静止させる点で、糸欠陥が検出された場合と異なる。従って、給糸ボビン12の交換時と、糸欠陥の検出時とで、糸継ぎのために下糸が下糸案内パイプ28によって吸引される長さは異なる。
以上の構成で、自動ワインダ本体1の各ワインダユニット1aは、ボビンセット部20に支持された給糸ボビン12から紡績糸10を解舒して糸巻取管14に巻き取って、所定長のパッケージ15を形成することができる。
図1に示す精紡機40は、粗糸を牽伸して撚りを掛けることにより生成された紡績糸10をボビン管120に巻き取るリング精紡機として構成される。なお、リング精紡機の構成は良く知られているので、詳細な説明は省略する。
ボビン供給装置3は、精紡機40から供給された給糸ボビン12を搬送トレイ16の上に1本ずつセットするように構成されている。この結果、搬送トレイ16は、給糸ボビン12を略直立状態で支持する。
図示しないが、ボビン供給装置3は、給糸ボビン12を一定の姿勢で整列させるために、図示しないパーツフィーダと呼ばれるボビン個別供給装置を備える。
詳細は後述するが、パーツフィーダにおいて搬送される給糸ボビン12にはバンチ巻きが形成されており、紡績糸10が搬送途中に解舒されないようになっている。しかし、バンチ巻きの部分の紡績糸10が切れる等の何らかの理由で、紡績糸10が給糸ボビン12から解舒されることがある。これを考慮して、パーツフィーダには、給糸ボビン12から解舒された紡績糸10を切断するカッタが設けられている。これにより、紡績糸10が周囲の部材に絡み付くのを防止することができる。カッタの切断により発生した屑糸は、図略の吸引機構によって吸引される。
上述のように、給糸ボビン12は、搬送トレイ16に載置された状態で、供給通路4を介してワインダユニット1aに搬送され、ワインダユニット1aにより紡績糸10が解舒される。そして、紡績糸10が解舒された後の返却ボビン13は、搬送トレイ16に載置されたまま、ワインダユニット1aから回収通路5を介して排出される。
ボビン準備システム2には、搬送トレイ16を搬送する搬送通路6が形成されている。搬送通路6は、自動ワインダ本体1の供給通路4と回収通路5とを接続する。
具体的に説明すると、この搬送通路6は、供給搬送通路6aと、返却搬送通路6bと、スキップ通路6cと、戻し通路6dと、を備える。供給搬送通路6aは、給糸ボビン12を自動ワインダ本体1へ供給する。返却搬送通路6bは、自動ワインダ本体1から排出された返却ボビン13を精紡機40へ返却する。スキップ通路6cは、供給搬送通路6aから返却搬送通路6bへ(ワインダユニット1aを経由せずに)搬送トレイ16を搬送することができる。戻し通路6dは、返却搬送通路6bから供給搬送通路6aへ搬送トレイ16を戻すことができる。
ボビン準備システム2は、自動ワインダ本体1とボビン供給装置3との間に配置されている。ボビン準備システム2は、バンチ解舒装置7と、吸引式糸端引出装置8と、引掛け式糸端引出装置8aと、糸端準備装置(準備用引出装置)9と、を備える。ボビン準備システム2は、自動ワインダ本体1でスムーズに紡績糸10を解舒できる状態となるように給糸ボビン12に対して適宜の作業を行い、自動ワインダ本体1に供給する。
バンチ解舒装置7は、給糸ボビン12のバンチ巻きを解舒する。即ち、精紡機40は、給糸ボビン12を形成する際に、ボビン管120の根元部に紡績糸10のボトムバンチを形成する。これにより、給糸ボビン12の運搬途中で糸端が大きく解舒されて周囲の部材に絡み付くことを防止している。バンチ解舒装置7は、このバンチを解舒(除去)し、糸端をフリーにするものである。バンチ解舒装置7は、満巻ボビン11aを回転させるボビン回転機構と、紡績糸10を吸引する吸引機構と、紡績糸10を切断する切断機構と、を備えている。
図1に示す吸引式糸端引出装置8は、給糸ボビン12の糸層の表面を表面刺激装置によって刺激した後、吸引することで糸端を捕捉し、捕捉した糸端を給糸ボビン12から引き出す。吸引式糸端引出装置8にも、吸引機構が設けられている。表面刺激装置は、例えば、糸層の表面に接触して摩擦する摩擦部材を備える構成とすることができる。吸引式糸端引出装置8には、給糸ボビン12を摩擦部材に接触させるエアシリンダ、及び、捕捉した糸端を切断するカッタが設けられている。
引掛け式糸端引出装置8aは、バンチ解舒装置7により解舒された給糸ボビン12の表層の糸端を引っ掛けることで糸端を捕捉し、捕捉した糸端を給糸ボビン12から引き出す。引掛け式糸端引出装置8aは、引っ掛けることで給糸ボビン12から引き出した糸端を、圧縮空気噴出ノズルによって給糸ボビン12の先端部の近傍に吹き寄せる。そして、給糸ボビン12を回転させることで、吸引式糸端引出装置8で形成するのと同様の先端側巻付部を形成することができる。
吸引式糸端引出装置8及び引掛け式糸端引出装置8aの何れか一方だけで給糸ボビン12の糸端を捕捉したり、両方を用いて給糸ボビン12の糸端を捕捉したりすることが可能であり、少なくとも何れか一方が設けられていれば良い。
糸端準備装置9は、吸引式糸端引出装置8又は引掛け式糸端引出装置8aにより引き出した糸端を処理し、自動ワインダ本体1で当該糸端を給糸ボビン12からスムーズに引き出すことが可能な状態となるように準備する。
糸端準備装置9は、図4に示すように、糸吸引管71と、カッタ72と、糸押えレバー73と、糸検知センサ74と、糸吸込部75と、を備える。
糸吸引管71は、上下方向に配置された筒状の部材である。糸吸引管71の端部には、下向きの開口71aが形成されている。糸吸引管71の中途には蛇腹部が形成されている。蛇腹部の変形により、糸吸引管71は上下方向に伸縮することができる。
糸吸引管71の下端部は、図示しない適宜のアクチュエータによって上下方向に移動可能である。糸吸引管71は、その下端部の移動に連動して伸縮する。給糸ボビン12を糸端準備装置9の所定位置にセットした状態で、糸吸引管71の下端部が下降することで、開口71aを給糸ボビン12の先端部121に上側から被せることができる。糸吸引管71は配管76を介してブロアボックス80に接続されており、上記の先端側巻付部を吸引することができる。
カッタ72は、糸吸引管71と配管76との接続部分に配置される。カッタ72は、紡績糸10を切断することができる。本実施形態において、カッタ72は、吸引空気流の流路を開閉するシャッター部材を兼ねている。ただし、シャッター部材がカッタ72と別に設けられても良い。
糸押えレバー73は、給糸ボビン12に接触することができるように配置されている。糸押えレバー73は、適宜のアクチュエータ(例えば、ソレノイド)に取り付けられている。このアクチュエータの駆動により、糸押えレバー73を、給糸ボビン12の表面に接触して押圧する位置と、給糸ボビン12の表面から離れた位置と、の間で切り換えることができる。糸押えレバー73は、適宜のタイミングで給糸ボビン12に接触することで、紡績糸10が給糸ボビン12から過度に解舒されることを防止する。これにより、屑糸量の増大を防止することができる。
糸検知センサ74は、配管76に取り付けられている。糸検知センサ74は、配管76の内部の紡績糸10を検知することにより、紡績糸10の捕捉に成功したか否かを検出することができる。
糸吸込部75は、給糸ボビン12の搬送経路の下方に配置されている。糸吸込部75は、前述のブロアダクトに接続されたパイプ状の部材として構成されており、その一端には、上向きに開口した吸引口77が形成されている。吸引口77は、給糸ボビン12を支持する搬送トレイ16の下面に対向することができる。搬送トレイ16には上下方向の貫通孔が形成されている。従って、糸吸込部75から空気を吸引することで、ボビン管120の上端の開口部分に吸引空気流を生じさせることができる。糸吸込部75には、吸引空気流の流路を開閉する弁部材78が設けられている。
糸端準備装置9が給糸ボビン12を待機するとき、糸吸引管71は縮められた状態である。また、弁として機能するカッタ72及び弁部材78は、閉じられた状態である。糸端準備装置9は、給糸ボビン12が搬送されてくると、カッタ72を開くことで糸吸引管71の内部に吸引空気流を発生させ、当該給糸ボビン12に形成されている上述の先端側巻付部を上方へ吸引する。これにより、糸端を糸吸引管71に吸い込んで捕捉することができる。このとき、糸押えレバー73は、適宜のタイミングで給糸ボビン12の表面を押さえ付けるように動作する。
糸端の捕捉に成功したことが糸検知センサ74により検出されると、糸端準備装置9は、カッタ72を動作させて紡績糸10を切断する。カッタ72の切断により発生した屑糸は、ブロア81等からなる吸引機構によって吸引される。
糸吸引管71に吸引空気流を発生させてからある程度の時間が経過しても、糸検知センサ74が紡績糸10を検知しない場合も考えられる。この場合、糸端準備装置9は、糸吸引管71の下端を下降させて、給糸ボビン12の上部が糸吸引管71の下部に差し込まれた状態にする。このとき、糸押えレバー73は、糸吸引管71と干渉しないように、給糸ボビン12から離れた位置で保持される。糸吸引管71は、伸ばした後、直ちに元の縮んだ状態に戻される。
糸吸引管71の下端の上下往復移動により、給糸ボビン12の表面に作用する吸引空気流の強弱に変化が付けられるので、糸端が給糸ボビン12から解舒され易くなる。本実施形態では、糸吸引管71の伸縮は、予め設定された回数行われる。糸吸引管71の伸縮動作が終わった後、糸押えレバー73は、適宜のタイミングで給糸ボビン12の表面を押さえ付ける。
糸検知センサ74により検出された紡績糸10がカッタ72により切断されるのとほぼ同時に、糸端準備装置9は、弁部材78を開く。これにより、糸吸込部75が、搬送トレイ16及びボビン管120の軸孔に吸引空気流を発生させて、糸端をボビン管120の上端の開口から吸い込むようにして捕捉する。このようにして、糸端がボビン管120の内部に上側から挿入された状態となるように準備することができる。その後、糸押えレバー73は給糸ボビン12から離れ、弁部材78は閉じられる。
以上の構成で、ボビン準備システム2は、ボビン供給装置3から供給された給糸ボビン12のバンチ巻きを除去する。そして、ボビン準備システム2は、給糸ボビン12から糸端を引き出せるように給糸ボビン12の糸端を準備した後、自動ワインダ本体1へ搬送する。
自動ワインダ本体1が備えるそれぞれのワインダユニット1a(図2)は、ボビン準備システム2で準備された糸端を、上述のようにして引き出す。そして、糸端を解撚して繋ぐ糸継装置26によりパッケージ15側の紡績糸10と糸継ぎを行った後、糸巻取管14に紡績糸10を巻き取ってパッケージ15を形成する。
それぞれのワインダユニット1aで紡績糸10が解舒された給糸ボビン12である返却ボビン13が、回収通路5及び返却搬送通路6bを介して精紡機40へ返却される。
ところで、それぞれのワインダユニット1aから排出される返却ボビン13は、紡績糸10が全て解舒された空ボビン11d(図1)であるとは限らない。即ち、ワインダユニット1aから排出される返却ボビン13には、何らかの原因で、ワインダユニット1aによって巻き取ることが可能な量の糸が巻かれている半玉ボビン11bや、巻取りが不可能な少量の糸が巻かれている極少残糸ボビン11cも含まれている。
続いて、自動ワインダ本体1から排出された返却ボビン13に関する処理を簡単に説明する。
返却ボビン13を精紡機40へ返却する返却搬送通路6bには、返却ボビン13の搬送方向に沿って、残糸検知装置45と、切換装置46と、が設けられている。残糸検知装置45は、返却ボビン13の外周面に沿うように回転する残糸ブラシ(図略)の位置を検出し、検出された当該残糸ブラシの位置に基づいて、紡績糸10がボビン管120に巻かれているか否かを判断する。即ち、残糸検知装置45は、返却ボビン13の外周面に沿って先端部から根元部まで残糸ブラシを回動させることを試み、当該残糸ブラシが返却ボビン13の外周面に引っ掛からなかった場合、返却ボビン13には紡績糸10が巻かれていないと判断する。一方、当該残糸ブラシが返却ボビン13の外周面に引っ掛かった場合は、残糸検知装置45は、当該返却ボビン13に紡績糸10が巻かれていると判断する。
切換装置46は、残糸検知装置45の判断に基づいて、返却ボビン13を供給搬送通路6aへ送り出すか、又は精紡機40へ返却するかの切換を行う。この結果、空ボビン11dが精紡機40へ返却され、残糸がある返却ボビン(半玉ボビン11b及び極少残糸ボビン11c)が戻し通路6dを介して供給搬送通路6aへ戻される。
従って、自動ワインダ本体1から回収された返却ボビン13に所定量以上の糸が巻かれている場合、自動ワインダ本体1により再度巻き取るように、当該返却ボビン13がボビン準備システム2へ搬送される。
戻し通路6dには、返却ボビン13の搬送方向に沿って、糸量検出装置47と、第2残糸検出装置48と、残糸処理装置49と、が並べて配置されている。糸量検出装置47は、搬送される返却ボビン13に対して図略のアームを接触させて、当該アームの位置を検出することにより、返却ボビン13に巻かれた糸量を検出する。第2残糸検出装置48は、残糸検知装置45と同じように構成されており、返却ボビン13に紡績糸10が残っているか否かを検出する。
そして、残糸処理装置49は、糸量検出装置47により残糸が所定量以下であると判定された返却ボビン13(極少残糸ボビン11c)を検出したとき、図略のクランパーで当該ボビン管120の根元部をクランプし、エアシリンダで返却ボビン13の上部を押さえ付ける。この状態でクランパーをボビン管120の長手方向に沿って先端部へ移動させることにより、極少残糸ボビン11cに巻かれている糸をボビン管120の先端部から上方へ抜き取る。抜き取られた残糸は、図略の吸引装置により集綿ボックス19に回収される。極少残糸ボビン11cは残糸が取り除かれることで空ボビン11dになり、その後、空ボビン11dは、戻し通路6d及びスキップ通路6cを介して精紡機40へ返却される。
そして、このように構成される自動ワインダ100においては、各装置で、屑糸が発生することになる。具体例を挙げると、以下のとおりである。
自動ワインダ本体1の糸継装置26においては、紡績糸10を撚り合わせるとき、余分な上糸及び下糸を図略のカッタで切断する。これにより、屑糸が発生する。不要になった上糸及び下糸は、上糸案内パイプ29及び下糸案内パイプ28によって吸引される。
バンチ解舒装置7においては、給糸ボビン12のバンチ巻きを解舒し、適宜の場所で紡績糸10を切断する。従って、当該バンチ巻きの部分の紡績糸10が屑糸となる。屑糸は、吸引機構によって吸引される。
吸引式糸端引出装置8及び引掛け式糸端引出装置8aにおいて、給糸ボビン12から余分に引き出された紡績糸10は、適当な長さで図略のカッタで切断される。糸端準備装置9においても、紡績糸10はカッタ72で切断される。これにより、屑糸が発生する。屑糸は、吸引機構によって吸引される。
残糸処理装置49は、極少残糸ボビン11cの紡績糸10を抜き取る。抜き取られた紡績糸10が屑糸となる。屑糸は、吸引装置によって吸引される。
以上のように、本実施形態では、自動ワインダ本体1の糸継装置26が、本発明の屑糸を発生させる装置に該当する。また、バンチ解舒装置7、吸引式糸端引出装置8、引掛け式糸端引出装置8a、糸端準備装置9、残糸処理装置49が、本発明の屑糸を発生させる装置に該当する。様々な装置で発生した屑糸は、吸引空気流に乗って流れ、何れも集綿ボックス19に集められる。
以下の説明では、上記のように屑糸を発生させる装置を、まとめて屑糸発生部90,90,・・・と呼ぶことがある。図5には少数の屑糸発生部90しか示されていないが、実際には、上述のように多数の屑糸発生部90が存在する。それぞれの屑糸発生部90は、必要に応じたタイミングで動作し、様々な長さの屑糸を発生させる。
ユニット制御部95は、記憶部95aと、演算部95bと、を備える。
具体的に説明すると、ユニット制御部95は、公知のコンピュータとして構成されている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには、ワインダユニット1aの各部を制御したり、各種の情報を取得したりするためのプログラムが記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、ユニット制御部95を、記憶部95a及び演算部95b等として機能させることができる。
ユニット制御部95は、糸継動作(給糸ボビン12の交換動作を含む。)があった場合、屑糸発生量を計算により取得し、集中管理装置91に送信する。
ボビン自動供給装置18は、自動供給装置制御部99を備える。自動供給装置制御部99も、ユニット制御部95と同様に、公知のコンピュータとして構成されている。自動供給装置制御部99は、記憶部99aと、演算部99bと、を備える。
自動供給装置制御部99は、糸端準備装置9等の動作があった場合、屑糸発生量を計算により取得し、集中管理装置91に送信する。
集中管理装置91では、ユニット制御部95及び自動供給装置制御部99から各装置の屑糸発生量のデータを受信して、主制御部94でデータの集計等を行う。
主制御部94は、集計部94aを備える。
具体的には、集中管理装置91は、公知のコンピュータとして構成されている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには、集中管理装置91において各種の情報を表示したり、オペレータによる設定の入力を受け付けたりするためのプログラムが記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、主制御部94を、集計部94aとして機能させることができる。
ユニット制御部95の記憶部95a、及び、自動供給装置制御部99の記憶部99aは、それぞれの装置毎に、屑糸発生長さを求めるための計算に必要な情報、又は、1回の動作当たりの屑糸発生長さを予め記憶する。以下、1回の動作当たりの屑糸発生長さを基準値と呼ぶことがある。
ワインダユニット1aの糸継動作の場合は、上糸と下糸の双方に屑糸が発生する。上糸の屑糸(第1屑糸)は、紡績糸10の分断箇所よりも糸走行方向下流側において生じる。上糸の屑糸は、上糸案内パイプ29によって吸引され、集綿ボックス19に回収される。下糸の屑糸(第2屑糸)は、紡績糸10の分断箇所よりも糸走行方向上流側において生じる。下糸の屑糸は、下糸案内パイプ28によって吸引され、集綿ボックス19に回収される。
記憶部95aは、上糸の屑糸に関して、パッケージ15からの上糸の解舒のために巻取ドラム30を逆回転する角度と、屑糸発生長さと、の間の関係を記憶する。具体的に説明すると、ワインダユニット1aの適宜の位置(例えば、上糸案内パイプ29)には、上糸がパッケージ15から解舒されて引き出されたことを検知するための糸検出センサが設けられている。糸継動作のために上糸をパッケージ15から解舒する場合、巻取ドラム30を逆回転し、パッケージ15を巻取時とは逆に回転させる。パッケージ15を逆回転させながらサクションマウス34によってパッケージ15の表面を吸引することで、上糸が引き出され、上糸案内パイプ29に吸い込まれる。これにより、上糸を上糸案内パイプ29により捕捉し、当該上糸がパッケージ15から解舒可能な状態になる。前記糸検出センサは、この上糸を検知することができる。糸検出センサによって上糸が検知された後、必要な量の上糸がパッケージ15から引き出されると、上糸案内パイプ29が上糸を糸継装置26に案内するために下側に回転する。その後、巻取ドラム30の逆回転が停止する。糸検出センサによって上糸が検出されてから巻取ドラム30の逆回転が停止するまでに巻取ドラム30が逆回転する角度は、上述のとおり、糸品質測定装置27で検出された糸欠陥の長さ等に応じて制御される。上糸の屑糸発生長さは、巻取ドラム30が逆回転する累積角度が大きくなる程、長くなる。記憶部95aには、この関係が、例えばテーブル又は計算式等の形で記憶される。
記憶部95aは、下糸の屑糸に関して、下糸案内パイプ28が下糸を吸い込む場合の動作類型と、1回の動作当たりの屑糸発生長さと、の間の関係を記憶する。
具体的に説明すると、糸継動作のために下糸を給糸ボビン12から解舒する場合、下糸案内パイプ28は、図3の鎖線で示すように、その吸引口32を、給糸ボビン12の少し下流の位置で糸走行経路に近接させる。以下では、このときの下糸案内パイプ28の位置を吸引位置と呼ぶことがある。この状態で下糸案内パイプ28を静止させると、給糸ボビン12から解舒された下糸が、吸引空気流により下糸案内パイプ28に吸い込まれる。このようにして、下糸案内パイプ28は下糸を捕捉する。この状態で、下糸案内パイプ28が下糸を糸継装置26に案内するために上側に回転する。
下糸案内パイプ28が吸引位置で給糸ボビン12の糸を吸い込む場合のワインダユニット1aの動作類型は、大きく(a)~(c)の3つに分けることができる。
動作類型(a)は、最も典型的なものであり、糸品質測定装置27による糸欠陥の検出に伴って糸継を行う場合である。
動作類型(b)は、上述したとおり、不良部分の多い可能性がある給糸ボビン12の糸を意図的に長く除去する場合である。
動作類型(c)は、ボビンセット部20において給糸ボビン12を新しい給糸ボビン12に交換する場合である。
それぞれの動作類型で、例えば、下糸案内パイプ28が吸引位置で静止している時間が異なる。従って、下糸案内パイプ28の1回の動作によって給糸ボビン12から解舒されて廃棄される屑糸の長さも、動作が異なるのに応じて異なる。記憶部95aには、この関係が、例えばテーブルの形で記憶される。
糸端準備装置9における準備動作の場合も、屑糸が発生する。この屑糸は、糸吸引管71によって吸引され、集綿ボックス19に回収される。
記憶部99aは、糸端準備装置9の集中管理装置91が給糸ボビン12の糸を吸い込む場合の動作類型と、1回の動作当たりの屑糸発生長さと、の間の関係を記憶する。
以下、具体的に説明する。給糸ボビン12の紡績糸10を捕捉する場合の糸端準備装置9の動作類型は、大きく(1)~(3)の3つに分けることができる。
動作類型(1)は、糸吸引管71の伸縮動作を行わずに給糸ボビン12に吸引流を作用させるとともに、糸検知センサ74によって紡績糸10が検知されたか否かにかかわらず、吸引流の作用開始タイミングから所定時間後に糸押えレバー73で給糸ボビン12を押さえる動作である。その後、糸検知センサ74によって、紡績糸10が検知される。
動作類型(2)は、糸吸引管71の伸縮動作を行わずに給糸ボビン12に吸引流を作用させるとともに、糸検知センサ74によって紡績糸10が検知されたタイミングで、糸押えレバー73で給糸ボビン12を押さえる動作である。
動作類型(3)は、(1)又は(2)の動作類型で紡績糸10の捕捉が失敗した場合に追加的に行われる動作である。この動作類型では、いったん糸押えレバー73を給糸ボビン12から離した後、糸吸引管71の伸縮動作を所定回数行って給糸ボビン12に吸引流を作用させる。この伸縮動作の完了タイミングから所定時間後に、糸押えレバー73が動作し、給糸ボビン12を再び押さえる。その後、糸検知センサ74によって、紡績糸10が検知される。
糸端準備装置9が当初、(1)及び(2)の動作類型の何れによって紡績糸10の捕捉を試みるかは、予めオペレータが選択し、入力部93を用いて設定することができる。
3つの動作類型では、糸吸引管71の吸引空気流が給糸ボビン12に作用している時間の長さ、及び、糸押えレバー73が給糸ボビン12を押さえるタイミング等が異なる。従って、糸端準備装置9の1回の動作によって給糸ボビン12から解舒されて廃棄される屑糸の長さも、動作に応じて異なる。記憶部99aには、動作類型と屑糸量の関係が、例えばテーブルの形で記憶される。
次に、ブロア81の負圧及び糸種による屑糸量への影響について説明する。
本実施形態の自動ワインダ100では、ブロアボックス80のブロア81が発生させる負圧の強さ(静圧)を、集中管理装置91への設定によって、例えば段階的に変更することができる。また、工場へのオーダーに応じて、自動ワインダ本体1で巻き取る紡績糸10の糸種を変更することもできる。ここでいう糸種には、紡績糸10の番手(太さ)が含まれる。どの糸種の紡績糸10を巻き取るかの情報は、集中管理装置91を操作することで、自動ワインダ100に予め設定される。
下糸案内パイプ28が吸引位置で給糸ボビン12の下糸を吸い込む場合、同一の類型で動作を行わせたとしても、ブロア81の負圧、及び、給糸ボビン12の糸種に応じて、紡績糸10が吸引される長さが異なる。これを考慮して、本実施形態のユニット制御部95の記憶部95aは、屑糸量を、動作類型だけでなく、ブロア81の負圧毎に、かつ糸種毎に記憶することができる。
同様に、自動供給装置制御部99の記憶部99aは、糸端準備装置9の糸吸引管71が給糸ボビン12の紡績糸10を吸い込む場合の屑糸量を、動作類型だけでなく、ブロア81の負圧毎に、かつ糸種毎に記憶することができる。
詳細は後述するが、下糸案内パイプ28が下糸を吸い込むことで発生する屑糸量の長さ、及び、糸端準備装置9の糸吸引管71が紡績糸10を吸い込むことで発生する屑糸量の長さは、論理的に計算することが難しい。そこで、本実施形態の自動ワインダ本体1では、記憶部95aに記憶される屑糸量、及び、記憶部99aに記憶される屑糸量として、オペレータによる基準値の入力を受付可能に構成されている。演算部95b,99bは、この基準値を用いて、屑糸量を計算する。上記の事情のため、基準値に基づいて計算された屑糸量は、厳密な値ではなく、大雑把な目安値となる。
屑糸量の基準値の入力は、集中管理装置91の入力部93をオペレータが操作して、屑糸の長さの数値を入力することで実現される。基準値は、動作類型毎に、ブロア81の負圧毎に、かつ糸種毎に入力することができる。入力された数値は、集中管理装置91からユニット制御部95又は自動供給装置制御部99に送信され、記憶部95a,99aに記憶される。
次に、屑糸量の計測を容易にするために集中管理装置91が有している特別なモードについて説明する。
ワインダユニット1aにおいて、上糸案内パイプ29が給糸ボビン12の糸を吸引する場合、パッケージ15から解舒される糸の長さは、巻取ドラム30の逆回転の累積角度に基づいて、ある程度理論的に計算することができる。しかし、下糸案内パイプ28が給糸ボビン12の下糸を吸引する場合、給糸ボビン12から解舒される紡績糸10の長さを積極的にコントロールしていないため、屑糸の長さを理論的に計算することは極めて難しい。糸端準備装置9の糸吸引管71が給糸ボビン12の紡績糸10を吸引する場合も同様に、屑糸の長さを理論的に計算することが困難である。
これを考慮して、自動ワインダ100は、屑糸量測定支援モード(測定支援モード)を有している。この屑糸量測定支援モードでは、下糸案内パイプ28又は糸吸引管71が給糸ボビン12の紡績糸10を吸引する場合に屑糸となる長さをオペレータが測定するのを支援することができる。
例えば、下糸案内パイプ28が給糸ボビン12の下糸を吸引した場合の屑糸量を知りたいとオペレータが考えた場合、オペレータは、下糸案内パイプ28に試験動作を行わせる旨を、入力部93の操作によって集中管理装置91に指示する。なお、このとき、自動ワインダ100は通常の動作を停止している。
この指示に応じて、集中管理装置91はディスプレイ92に、動作類型の選択画面を表示する。オペレータは、下糸案内パイプ28に、上述の(a)~(c)のうちどの類型で紡績糸10の吸引動作をさせるかを、入力部93の操作によって指示する。このとき、オペレータは、ブロア81の負圧及び糸種を併せて指示する。また、オペレータは事前に、特定の1つのワインダユニット1aのボビンセット部20に、当該糸種の給糸ボビン12をセットしておく。
集中管理装置91は、この操作によって、通常のモードから屑糸量測定支援モードへ切り換わる。屑糸量測定支援モードにおいて、集中管理装置91は、当該ワインダユニット1aのユニット制御部95に試験動作信号を送信する。また、集中管理装置91は、ブロア81を、指示された大きさの負圧を発生させるように制御する。
試験動作信号に応じて、ユニット制御部95は、選択された動作類型で当該ワインダユニット1aの下糸案内パイプ28等を試験的に動作させる。この結果、給糸ボビン12側の下糸が解舒され、下糸案内パイプ28に吸い込まれる。下糸案内パイプ28で捕捉された下糸は糸継装置26に案内されるが、通常とは異なり、糸継装置26において下糸が切断されず、また、上糸との糸継動作も行われずに、試験動作は終了する。従って、試験動作が行われても、廃棄されるべき余分な下糸は集綿ボックス19へ送られず、下糸案内パイプ28の内部に残ったままとなる。
試験動作が終了した後、オペレータは、下糸案内パイプ28の内部から下糸を手作業で全て引き出して、下糸案内パイプ28に吸引されていた紡績糸10の長さを計測する。この長さに、糸切断タイミングでの下糸案内パイプ28の吸引口32から糸継装置26までの距離を加算することで、廃棄される屑糸量の長さを容易に得ることができる。計測には、巻尺等の一般的な道具を用いることができる。
糸端準備装置9の糸吸引管71が給糸ボビン12の紡績糸10を吸引した場合の屑糸量を知りたいとオペレータが考えた場合、オペレータは、糸端準備装置9に試験動作を行わせる旨を、入力部93の操作によって指示する。更に、糸端準備装置9の動作類型を(1)~(3)から選択する。このとき、オペレータは、ブロア81の負圧及び糸種を併せて指示するとともに、糸端準備装置9に当該糸種の給糸ボビン12をセットしておく。
集中管理装置91は、この操作によって、通常のモードから屑糸量測定支援モードへ切り換わる。屑糸量測定支援モードにおいて、集中管理装置91は、ブロア81の負圧を指示どおり制御するとともに、自動供給装置制御部99に試験動作信号を送信する。この試験動作信号に応じて、自動供給装置制御部99は、選択された動作類型で糸端準備装置9を試験的に動作させる。この結果、給糸ボビン12の紡績糸10が解舒され、糸吸引管71及び配管76に吸い込まれる。ただし、通常とは異なり、糸吸引管71のカッタ72によって紡績糸10が切断されることなく試験動作は終了する。従って、試験動作が行われても、廃棄されるべき紡績糸10は糸吸引管71及び配管76の内部に残る。
試験動作が終了した後、オペレータは、糸吸引管71及び配管76に吸引されていた紡績糸10の長さを巻尺等により計測する。この長さから、糸吸引管71の開口71aからカッタ72までの距離を減算することで、廃棄される屑糸量の長さを容易に得ることができる。
オペレータは、自動ワインダ100に上述の基準値を設定する際に、当該基準値として、上記の屑糸量測定支援モードで自動ワインダ100を動作させて得られた屑糸量の長さを利用することができる。この結果、自動ワインダ100が出力する屑糸量の精度を高めることができる。
次に、屑糸の長さから重さへの換算について説明する。
ユニット制御部95の記憶部95a、及び、自動供給装置制御部99の記憶部99aは、紡績糸10の番手(太さ)と、紡績糸10の単位重量当たりの長さと、の関係を予め記憶している。
ユニット制御部95の演算部95bは、屑糸発生量を計算する。具体的には、演算部95bは、ワインダユニット1aの屑糸発生部90の動作を検知すると、記憶部95aに記憶されたそれぞれの装置の屑糸発生長さを、紡績糸10の単位重量当たりの長さで除算することにより、重量ベースでの屑糸発生量を算出する。ユニット制御部95は、得られた屑糸発生量を、集中管理装置91に送信する。
ワインダユニット1aの糸継動作の場合は、演算部95bは、上糸の屑糸発生長さを、巻取ドラム30を逆回転した角度等を用いて計算により求める。また、演算部95bは、下糸の屑糸発生長さ(目安値)を、ワインダユニット1aがどの動作類型で下糸を吸引したかに応じて求める。
自動供給装置制御部99の演算部99bは、屑糸発生量を計算する。具体的には、演算部99bは、ボビン自動供給装置18の屑糸発生部90の動作を検知すると、記憶部99aに記憶されたそれぞれの装置の屑糸発生長さを、紡績糸10の単位重量当たりの長さで除算することにより、重量ベースでの屑糸発生量を算出する。自動供給装置制御部99は、得られた屑糸発生量を、集中管理装置91に送信する。
糸端準備装置9の動作の場合は、演算部99bは、屑糸発生長さ(目安値)を、糸端準備装置9がどの動作類型で糸を吸引したかに応じて求める。
集中管理装置91は、ユニット制御部95及び自動供給装置制御部99から受信した屑糸発生量を、自動ワインダ本体1の分と、ボビン自動供給装置18の分と、に分けて累積し、それぞれの累積値を記憶する。なお、自動ワインダ本体1については、屑糸発生量の累積値はワインダユニット1a毎に計算される。
主制御部94は、図6に示すように、ディスプレイ92の屑糸量表示エリア57に、その算出された結果を出力する。詳細は後述するが、ディスプレイ92には、自動ワインダ100全体の屑糸発生量を表示することもできるし、また、ワインダユニット1aごとの屑糸発生量を表示することもできる。
次に、ディスプレイ92での表示例について、図6を用いて説明する。
図6に示すディスプレイ92の表示画面には、ロット情報表示欄51が配置されている。ロット情報表示欄51では、入力された糸の番手や糸の速度が表示される。
表示画面には、数値表示エリア58と、グラフ表示エリア62と、が配置されている。数値表示エリア58には、屑糸量表示エリア57が含まれている。屑糸量表示エリア57には、現在までの屑糸の発生量が表示される。
グラフ表示エリア62には、推移グラフエリア61が含まれている。推移グラフエリア61では、時間の経過による屑糸量の変化をグラフで表示することができる。
数値表示エリア58に表示されるそれぞれの数値、及び、グラフ表示エリア62に表示されるグラフは、時間の経過に応じて変化する。表示内容は、例えば、自動ワインダ100の稼動中に、適宜の時間間隔で(例えば、1分毎に)更新することができる。これにより、ほぼリアルタイムでの情報の表示が可能になっている。従って、オペレータは、状況の変化に早期に気付いて対応を行うことができる。
数値表示エリア58において、屑糸量表示エリア57には、少なくともそれぞれの合計量が表示される。屑糸量表示エリア57においては、自動ワインダ100全体での屑糸発生量の合計が、合計量表示エリア57aに表示される。合計量表示エリア57aの下方には、細目表示エリア57b,57cが配置されている。
上段の細目表示エリア57bには、自動ワインダ本体1(即ち、複数のワインダユニット1aの全体)における屑糸発生量が表示される。図6には示していないが、屑糸発生量の合計は、自動ワインダ本体1における上糸屑糸発生量の合計と、下糸屑糸発生量の合計と、に分けて表示することもできる。下糸屑糸発生量の合計は、前述の目安値の合計になる。この内訳表示は、ユニット制御部95の演算部95bが、屑糸発生量を上糸と下糸とに分けて別々に計算して求め、得られたそれぞれの屑糸発生量をユニット制御部95が集中管理装置91に送信することで、実現することができる。
下段の細目表示エリア57cには、ボビン準備システム2やボビン供給装置3における屑糸発生量が表示される。図6には示していないが、この屑糸発生量も、吸引式糸端引出装置8又は引掛け式糸端引出装置8aにおける屑糸発生量と、糸端準備装置9における屑糸発生量と、ボビン供給装置3における屑糸発生量と、に分けて表示することができる。糸端準備装置9における屑糸発生量は、前述の目安値である。この内訳表示は、自動供給装置制御部99の演算部99bが、各装置の屑糸発生量を求め、それぞれの屑糸発生量を自動供給装置制御部99が集中管理装置91に送信することで、実現することができる。
上述のように、細目表示エリア57b,57cの値は、目安値を他の値に加算した合計である。従って、合計量表示エリア57aに表示される合計量も、自動ワインダ100全体での屑糸発生量の目安値ということができる。
本実施形態の屑糸発生量出力装置150は、記憶した情報に基づく計算によって屑糸発生量を取得して、ディスプレイ92に表示することができる。これにより、資源の有効活用及び環境負荷の観点で有用な情報を容易に得ることができる。
糸端準備装置9だけから発生した屑糸量を知りたい場合、例えば配管76の途中部に公知のフィルタ部材を配置し、このフィルタ部材によって捕集される屑糸の重量を実際に計測すれば、目的を達成することができる。しかし、この場合、構成が複雑になり、新しく設置されたフィルタ部材のメンテナンスも必要になる。この点、本実施形態では、屑糸発生量の情報をソフトウェア処理によって得ることができるので、構成の複雑化を防止できる。
集中管理装置91は、屑糸量の目安値を監視する機能を有している。例えば、シフト制が定められている工場において、集中管理装置91は、糸端準備装置9が直近のシフトにおいて発生させた屑糸量の目安値と、その1つ前のシフトで発生させた屑糸量の目安値と、を計算する。1シフトとは、例えば8時間とすることが考えられる。直近のシフトでの屑糸量の目安値が、1つ前のシフトでの屑糸量の目安値に所定のマージンを加えた値を上回る場合、集中管理装置91はディスプレイ92に警告を表示する。これにより、オペレータは、糸端準備装置9の異常に早期に気付いて対応することができる。下糸案内パイプ28に関しても、同様に屑糸量の目安値を監視することができる。屑糸量の目安値を計算する単位時間は、1シフトとすることに限定されず、例えば1時間、1日、1週間等とすることができる。警告は、例えばブザー等により行うこともできる。
以上に説明したように、本実施形態の自動ワインダ100は、給糸ボビン12から紡績糸10を解舒してパッケージ15に巻き取る。自動ワインダ100は、給糸ボビン12から紡績糸10を引き出す際に廃棄される紡績糸10の量の目安値を算出する演算部95b,99bを備える。
これにより、機械的な構成を複雑にすることなく、屑糸発生量の目安値を、ソフトウェアによる計算で適切に得ることができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、給糸ボビン12から紡績糸10を引き出す際に廃棄される紡績糸10の量の基準値を入力可能な入力部93を備える。演算部95b,99bは、入力された基準値に基づいて目安値を算出する。
これにより、オペレータが屑糸量の基準値として適切な値を入力することで、屑糸量として信頼性の高い目安値を得ることができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、前記基準値を得るための測定を支援する屑糸量測定支援モードに切換可能である。
これにより、屑糸量を測定し易くする特別な動作を自動ワインダ100が行うことで、オペレータが屑糸量の基準値を容易に取得することができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、給糸ボビン12から紡績糸10を引き出すために、設定又は状況に応じて異なる引出動作を行う。基準値は、引出動作毎に入力可能である。
これにより、屑糸量として、引出動作のバリエーションに応じた妥当な目安値を得ることができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、糸端準備装置9を備える。糸端準備装置9は、給糸ボビン12から紡績糸10を解舒してパッケージ15に巻き取るワインダユニット1aに給糸ボビン12が供給される前に、給糸ボビン12の糸端を吸引して引き出す引出動作を行う。演算部99bは、糸端準備装置9の引出動作の際に廃棄される紡績糸10の量の目安値を算出する。
これにより、糸端準備装置9において発生する屑糸量の目安値を、機械的な構成を複雑にすることなく得ることができる。
自動ワインダ100において、糸端準備装置9に接続される負圧源として、前述のブロア81とは異なる単独のブロアを設けても良い。この場合、例えば自動供給装置制御部99は、糸端準備装置9の吸引空気流の圧力を、糸端準備装置9のブロアの負圧を介して制御する制御装置として機能させることができる。
この構成では、糸端準備装置9が発生させた屑糸量に応じて、糸端準備装置9で発生する吸引空気流の強さ等を適宜制御することが可能になる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、給糸ボビン12から紡績糸10を解舒してパッケージ15に巻き取るワインダユニット1aを備える。ワインダユニット1aは、下糸案内パイプ28を備える。下糸案内パイプ28は、パッケージ15側の紡績糸10と給糸ボビン12側の紡績糸10を糸継ぎする前に、給糸ボビン12から紡績糸10を吸引して引き出す引出動作を行う。演算部95bは、下糸案内パイプ28の引出動作の際に廃棄される紡績糸10の量の目安値を算出する。
これにより、下糸案内パイプ28において発生する屑糸量の目安値を、機械的な構成を複雑にすることなく得ることができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100は、集計部94aと、ディスプレイ92と、を備える。集計部94aは、演算部95b,99bが算出した目安値を集計する。ディスプレイ92は、集計部94aが集計した合計値を表示する。
これにより、屑糸量に関して、大まかな視点での状況の把握が可能になる。
また、本実施形態の自動ワインダ100において、前記合計値が、自動ワインダ100全体で廃棄される紡績糸10の量として表示される。
これにより、自動ワインダ100全体で発生する屑糸量を、例えばオペレータが容易に把握することができる。
また、本実施形態の自動ワインダ100において、演算部95b,99bは、単位時間あたりの目安値を、過去の単位時間当たりの目安値に基づく値と比較し、比較結果に基づいて警告を発生させる。
これにより、自動ワインダ100において発生する異常に周囲が早期に気付いて対応することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
下糸案内パイプ28は、上記の動作類型で説明した以外にも、様々な動作を行わせることができる。糸端準備装置9についても同様である。
下糸案内パイプ28が1種類の動作しか行わないように構成しても良い。この場合、1回の動作当たりの屑糸量(基準値)は、動作毎に記憶部95aに記憶されない。糸端準備装置9についても同様である。
自動ワインダ100において、ブロア81の負圧が変更不能であっても良い。この場合、1回の動作当たりの基準値は、ブロア81の負圧毎に95a,99aに記憶されない。糸種が変更不能であっても良い。
屑糸量の長さを測定する方法は任意である。自動ワインダ100において、屑糸量測定支援モードを省略することもできる。
自動ワインダ100として、上述のように給糸ボビン12を自動でセットする方式に限定されず、オペレータが手作業で給糸ボビン12をワインダユニット1aにセットする方式に変更することもできる。この場合、ボビン自動供給装置18を省略して、自動ワインダ100を単独で運用することもできる。この構成では、屑糸発生量出力装置は、集中管理装置91と、ユニット制御部95と、の組合せにより構成される。
集中管理装置91は、得られた屑糸発生量に関する情報を、集中管理装置91にネットワーク接続された他のコンピュータに出力することもできるし、プリンタに印刷することで出力することもできる。
屑糸発生量出力装置150は、上記の実施形態で説明した以外にも、様々な目的及び方法で発生する屑糸の量を取得して表示するように構成することができる。
上記の実施形態では、ユニット制御部95の演算部95bが、ワインダユニット1a毎の屑糸発生量を計算している。同様に、自動供給装置制御部99の演算部99bが、ボビン自動供給装置18における屑糸発生量を計算している。しかしながら、これらの計算を、集中管理装置91(主制御部94)が備える演算部によって実現しても良い。
上記の実施形態では、屑糸発生量の計算結果は、集中管理装置91が備えるディスプレイに表示される。しかしながら、ワインダユニット1a及びボビン自動供給装置18に表示部を備え、この表示部に、屑糸発生量の計算結果を表示しても良い。この場合、屑糸発生量出力装置は、それぞれのワインダユニット1a及びボビン自動供給装置18に備えられることになる。
ディスプレイ92における表示は、図6に示す例に限定されず、表示内容及びレイアウト等を適宜変更することができる。
1a ワインダユニット(巻取ユニット)
9 糸端準備装置(準備用引出装置)
10 紡績糸(糸)
12 給糸ボビン
15 パッケージ
28 下糸案内パイプ(ユニット引出装置)
93 入力部
95b 演算部
99b 演算部
100 自動ワインダ(繊維機械)

Claims (10)

  1. 給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る繊維機械であって、
    給糸ボビンから糸を引き出す際に廃棄される糸の量の目安値を算出する演算部を備えることを特徴とする繊維機械。
  2. 請求項1に記載の繊維機械であって、
    給糸ボビンから糸を引き出す際に廃棄される糸の量の基準値を入力可能な入力部を備え、
    前記演算部は、入力された前記基準値に基づいて前記目安値を算出することを特徴とする繊維機械。
  3. 請求項2に記載の繊維機械であって、
    前記基準値を得るための測定を支援する測定支援モードに切換可能であることを特徴とする繊維機械。
  4. 請求項2又は3に記載の繊維機械であって、
    前記給糸ボビンから糸を引き出すために、設定又は状況に応じて異なる引出動作を行い、
    前記基準値は、前記引出動作毎に入力可能であることを特徴とする繊維機械。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
    給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る巻取ユニットに給糸ボビンが供給される前に、当該給糸ボビンの糸端を吸引して引き出す動作を行う準備用引出装置を備え、
    前記演算部は、前記準備用引出装置の動作の際に廃棄される糸の量の目安値を算出することを特徴とする繊維機械。
  6. 請求項5に記載の繊維機械であって、
    前記準備用引出装置が糸を吸引する吸引空気流の圧力を制御する制御装置を備えることを特徴とする繊維機械。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
    給糸ボビンから糸を解舒してパッケージに巻き取る巻取ユニットを備え、
    前記巻取ユニットは、パッケージ側の糸と給糸ボビン側の糸を糸継ぎする前に、前記給糸ボビンから糸を吸引して引き出す動作を行うユニット引出装置を備え、
    前記演算部は、前記ユニット引出装置の動作の際に廃棄される糸の量の目安値を算出することを特徴とする繊維機械。
  8. 請求項1から7までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
    前記演算部が算出した前記目安値を集計する集計部と、
    前記集計部が集計した合計値を表示する表示部と、
    を備えることを特徴とする繊維機械。
  9. 請求項8に記載の繊維機械であって、
    前記表示部は、前記合計値を、繊維機械全体で廃棄される糸の量として表示することを特徴とする繊維機械。
  10. 請求項1から9までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
    前記演算部は、単位時間あたりの前記目安値を、過去の単位時間当たりの前記目安値に基づく値と比較し、比較結果に基づいて警告を発生させることを特徴とする繊維機械。
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