JP2022042348A - 金型、中間金型、及び金型の製作方法 - Google Patents

金型、中間金型、及び金型の製作方法 Download PDF

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崇 上山
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浩文 鈴木
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Abstract

【課題】テクスチャを有する製品に対応しており、製作コストがより低廉であり、極めて微細なテクスチャであっても正確に製品に反映可能な金型、並びにその製作のための中間金型及び製作方法を提供する。【解決手段】金型1は、球面状凹部用圧子12の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体2と、金型本体2の表面に配置された、金型本体2の硬度より大きい硬度を有する被膜4と、を備えている。被膜4及び金型本体2の表面部分は、テクスチャ用形状T1を有している。【選択図】図6

Description

本発明は、微細形状に対応する金型、及びその金型を形成可能な中間体である中間金型、並びに当該金型の製作方法に関する。
特開2013-202750号公報(特許文献1)の背景技術の欄に記載される通り、近時、製品の機能性の向上を目的として、微細で複雑な形状の製品への付与(リフレックスリフレクタ等)が要求されている。
当該文献に係る金型の製造方法では、切削工具に切削方向の運動成分を持つように楕円振動を加えながら金型に対して相対的に切削運動させることにより、金型の表面に、微細で複雑な製品形状に対応する形状が形成される。以下、微細な凹凸形状は、テクスチャと呼称され、微細な凹凸形状の形成は、テクスチャリングと呼称される。
特開2013-202750号公報
上述の製造方法では、テクスチャを有する製品に対応する金型(テクスチャ対応金型)を製造可能であるものの、加工時間が比較的に長く、金型の製造コストが嵩む。
又、テクスチャ対応金型の内面等の加工は、精度の確保のため、ダイヤモンド工具による超精密切削、及びバリ除去等の仕上げ処理により行われることとなり、長時間を要する。よって、テクスチャ対応金型の製作コストは、膨大になる。
更に、テクスチャ対応金型を、電気鋳造法により製作することが考えられる。しかし、この場合、事前に反転型を製作する必要がある。又、電気メッキ時、微細な凸部へ電流が集中することが予測される。凸部への電流の集中が起きると、樹枝状析出(デントライト)及び瘤状析出が発生し、それら析出部に対する微細形状の修正作業が必要となる。従って、電気鋳造法によっても、テクスチャ対応金型の製作コストの抑制は、困難であるものと考えられる。
本発明の主な目的は、テクスチャを有する製品に対応しており、製作コストがより低廉である金型,中間金型,金型の製作方法を提供することである。
又、本発明の別の主な目的は、極めて微細なテクスチャであっても正確に製品に反映可能な金型,中間金型,金型の製作方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金型において、圧子の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体と、前記金型本体の表面に配置された、前記金型本体の硬度より大きい硬度を有する被膜と、を備えており、前記被膜及び前記金型本体の表面部分は、テクスチャ用形状を有していることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記金型本体は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、チタン製、チタン合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製、ニッケル合金製、あるいはタンタル製であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記被膜は、前記金型本体の素材の窒化物であることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、中間金型において、圧子の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体と、前記金型本体の表面に配置された、前記金型本体の硬度より大きい硬度を有する被膜と、を備えていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記金型本体は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、チタン製、チタン合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製、ニッケル合金製、あるいはタンタル製であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記被膜は、前記金型本体の素材の窒化物であることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、金型の製作方法において、上記の中間金型に、圧子を押し付けて、塑性変形によりテクスチャ用形状を形成することで、テクスチャ用形状を有する金型を製作することを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記圧子は、超音波振動装置により超音波振動されることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、金型の製作方法において、耐熱合金製の中間金型に対し、超音波振動装置により超音波振動される圧子を押し付けて、テクスチャ用形状を形成することで、テクスチャ用形状を有する金型を製作することを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、上記発明において、前記中間金型は、耐熱鋼製、合金鋼製、炭素鋼製、あるいはニッケル合金製であることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、上記発明において、前記圧子は、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド製、又はバインダレスナノ多結晶cBN製であることを特徴とするものである。
本発明の主な効果は、テクスチャを有する製品に対応しており、製作コストがより低廉である金型,中間金型,金型の製作方法が提供されることである。
又、本発明の別の主な効果は、極めて微細なテクスチャであっても正確に製品に反映可能な金型,中間金型,金型の製作方法を提供することである。
本発明の第1形態に係る金型の模式的な断面図である。 図1の金型を製作するための中間金型の模式的な断面図である。 図1の金型におけるテクスチャ用形状の模式的な斜視図である。 図1の金型の製作のための図2の中間金型の加工に用いられる、球面状凹部用圧子を装着したシャンクの模式的な斜視図である。 図4における球面状凹部用圧子及びその周辺部の拡大図である。 図1の金型の製作のための図2の中間金型の加工例の模式図である。 図1の金型の製作のための図2の中間金型の加工例のフローチャートである。 本発明の第2形態に係る金型におけるテクスチャ用形状の模式的な斜視図である。 図8の金型の製作のための図2の中間金型の加工に用いられる、立方体状凹部用圧子を装着したシャンクの、先端側部分の模式的な斜視拡大図である。 図8の金型の製作のための図2の中間金型の加工例の模式図である。 本発明の第3形態に係る金型の製作のための中間金型の加工例のフローチャートである。 本発明の第4形態に係る超音波振動装置の模式的な斜視図である。 図12の超音波振動装置の模式的な側面図である。 図13のK-K線断面図である。
以下、本発明に係る実施の形態が、適宜図面に基づいて説明される。尚、本発明は、下記の実施の形態に限定されない。
[第1形態]
図1は、本発明の第1形態に係る金型1の模式的な一部断面図である。
金型1は、金型本体2と、被膜4と、を備えている。
金型本体2は、圧子による押圧で塑性変形する程度の硬度を有しており、好ましくは金属製である。圧子は、金属と同様の硬度を有していて、好ましくは金属製であり、より好ましくは硬度が金型本体2より大きい金属製である。
金型本体2は、ここでは銅製である。尚、金型本体2は、銅合金製、アルミニウム製、あるいはアルミニウム合金製等であっても良い。
被膜4は、箔状であり、金型本体2の表面を覆っている。尚、被膜4は、金型本体2の表面の一部(例えば内面)のみを覆っていても良い。
被膜4の材質は、金型本体2の硬度よりも大きい硬度を有したものであり、ここではニッケルリンである。尚、被膜4の材質は、他のものであっても良い。
金型1は、内面の一部又は全部において、製品に付与する微細な凹凸形状(テクスチャ)に対応する微細な凹凸形状であるテクスチャ用形状T1を有している。第1形態の金型1に係る製品は、マイクロレンズアレイである。マイクロレンズアレイは、複数の微小なレンズ部が縦横に並べられたものであり、例えばデジタルカメラのイメージセンサ、液晶プロジェクタ、光通信用レーザー等に用いられ、形状によっては3次元ディスプレイ等用のレンチキュラーレンズとして用いられる。第1形態の金型1のテクスチャ用形状T1は、図3に示されるように、微小な球面状(球面又は略球面)の凹部が縦横に並んだものであって、マイクロレンズアレイに対応するものである。
テクスチャ用形状T1は、中間金型1a(図2)の内面を加工することで形成される。中間金型1aは、金型1を製作するための中間体(前駆体)である。テクスチャ用形状T1を有さない金型本体2aに対し、被膜4aが形成されることで、中間金型1aが製作される。
ニッケルリン製の被膜4aは、金型本体2aに対する無電解ニッケルリンメッキにより形成される。この場合、高硬度で耐摩耗性に優れた被膜4aが、金型本体2aに対し付与される。尚、被膜4aは、どのように形成されても良い。
第1形態における中間金型1aの内面の加工、即ち金型1の製作は、例えば次のように行われる。
図4は、当該加工に用いられるシャンク10及び球面状凹部用圧子12の模式的な斜視図である。図5は、図4における球面状凹部用圧子12及びその周辺部の拡大図である。
シャンク10は、金属製であり、シャンク本体10Aと、圧子取付部10Bと、を有している。
シャンク本体10Aは、棒状であり、先端側に円錐台状部分が付いた円柱状である。
圧子取付部10Bは、シャンク本体10Aの先端部において形成された円柱状の凹部である。
球面状凹部用圧子12は、単結晶ダイヤモンド製であり、圧子本体部12Aと、圧子先端部12Bと、を有している。
圧子本体部12Aは、棒状であり、円柱状である。
圧子先端部12Bは、圧子本体部12Aと一体であり、圧子本体部12Aの先端側に配置されている。圧子先端部12Bは、円錐状である。圧子先端部12Bの先端は、微小な球面状を呈しており、その球面状形態の一部又は全部は、テクスチャ用形状T1の各凹部の形状に対応している。
球面状凹部用圧子12の表面には、鏡面加工が施されている。
球面状凹部用圧子12は、圧子本体部12Aの基端側が圧子取付部10Bに入れられた状態でロー付けされることで、シャンク10に固定されている。
尚、シャンク10及び球面状凹部用圧子12の形状、材質は、上述のものに限られない。又、球面状凹部用圧子12において、鏡面加工は、少なくとも先端に施されていれば良く、表面の一部のみに施されていても良い。当該鏡面加工は、省略されても良い。更に、シャンク10に対する球面状凹部用圧子12の固定は、ロー付け以外においてなされても良い。シャンク10及び球面状凹部用圧子12が、破壊以外では取り外せない程度に一体化されていても良い。
図6は、第1形態に係る中間金型1aの内面の加工例の模式図である。図7は、当該加工例のフローチャートである。
当該加工例において、シャンク10は、工作機械(図示略)の主軸に取り付けられ、中間金型1aは、当該工作機械における主軸の下側のテーブルに置かれる(ステップS1)。シャンク10は、主軸により移動される。主軸の移動は、工作機械の制御手段により制御される。尚、シャンク10は、ロボットハンド等の他の移動手段により移動されても良い。又、シャンク10と中間金型1aとの位置関係は、上述のもの以外とされても良い。
そして、まず、シャンク10が、中間金型1aの内面の初期加工位置(ステップS2)の上方に向けて移動される(ステップS3)。
次いで、中間金型1aの内面における最初の加工位置に、シャンク10の球面状凹部用圧子12の先端が押し付けられる(ステップS4)。
単結晶ダイヤモンド製の球面状凹部用圧子12による、ニッケルリン製の被膜4a付きの銅製の中間金型1aへの押し付けにより、中間金型1aの内面が塑性変形し、テクスチャ用形状T1における1つの球面状の凹部が形成される。ニッケルリン製の被膜4aは、膜として硬度及び耐摩耗性に優れる一方、膜であるために球面状凹部用圧子12の押し付け力による塑性変形を妨げない。又、当該押し付けにおいて、球面状凹部用圧子12が中間金型1aから受けるスプリングバックは、高硬度材製の金型に比べて十分に小さく、球面状凹部用圧子12が破壊する可能性は、十分に小さい。
当該押し付け力の大きさは、球面状凹部用圧子12の材質及び中間金型1aの材質に応じて設定される。又、球面状凹部用圧子12の上下方向の移動は、凹部の深さに応じて設定される。
続いて、加工位置が、今回最終のものでなければ(ステップS5でNo)、次のものに設定され(ステップS6)、ステップS3に戻ってその加工位置における凹部の形成が適宜繰り返される(ステップS3~S6)。
他方、加工位置が最終であった場合(ステップS5でYes)、シャンク10、及びテクスチャ用形状T1の付与された中間金型1a即ち金型1が、取り出される(ステップS7)。
尚、同様の金型1を連続的にあるいは断続的に製作する場合、ステップS7において、シャンク10の取り出しが省略され、製作された金型1の取り出しのみが行われても良い。又、この場合、適宜ステップS1からの処理が繰り返される。
かように製作された金型1は、被膜4を有しながら、球面状凹部に係る正確なテクスチャ用形状T1を備えている。
本発明と異なり、焼入れ鋼等の高硬度材に無電解ニッケルリンメッキ処理を施した中間金型に対して、エンドミルでテクスチャ用形状T1の凹部を切削する場合、微小な凹部に応じてエンドミルの刃先径が小さくなるところ、エンドミルの切削速度の確保に限界があるため、切削可能な凹部の大きさに限界がある。例えば、エンドミルの切削では、100μm(マイクロメートル)程度の大きさの凹部の加工がせいぜいである。又、切削速度の影響により、凹部の加工に長い時間が必要となり、金型の製作に長い時間を要するし、エンドミルの寿命が短くなる。更に、切削によりバリが発生し、その除去が必要となる。従って、金型の製作コストが嵩むこととなる。
これに対し、本発明の金型1の製作では、塑性変形により球面状凹部用圧子12の形状が中間金型1aに転写されるものであるため、極めて微小な凹部であっても、正確に且つ短時間で形成可能である。例えば、本発明では、1~100μm程度の大きさの凹部も加工可能である。更に、エンドミルによる切削と異なり、球面状凹部用圧子12への回転力の付与は必須ではなく、球面状凹部用圧子12の寿命は比較的に長い。又、バリの発生が抑制される。よって、金型1の製作コストは低廉である。
しかも、本発明の金型1は、高硬度で耐摩耗性に優れた被膜4を有している。よって、金型1は、塑性変形による加工が可能でありながら、製品の射出成形時に発生し得る応力に対して十分に耐えるものとなっている。換言すれば、本発明の金型1は、本発明に属さない、塑性変形可能な銅製の金型本体2のみを有して被膜4を有さない金型に対して、より一層優れた耐久性を備えたものとなっている。
以上の金型1は、球面状凹部用圧子12の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体2と、金型本体2の表面に配置された、金型本体2の硬度より大きい硬度を有する被膜4と、を備えており、被膜4及び金型本体2の表面部分は、テクスチャ用形状T1を有している。
又更に、中間金型1aは、球面状凹部用圧子12の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体2aと、金型本体2aの表面に配置された、金型本体2aの硬度より大きい硬度を有する被膜4aと、を備えている。
よって、テクスチャを有する製品に対応しており、塑性変形の特性を用いた加工により製作コストがより低廉である金型1、及びその金型を製作するための中間金型1aが提供される。
又、金型1において正確なテクスチャ用形状T1が形成されるため、極めて微細なテクスチャであっても正確に製品に反映可能な金型1,中間金型1aが提供される。
更に、金型1において金型本体2は銅製であり、中間金型1aにおいて金型本体2aは銅製である。
よって、加工が容易であり且つ射出成型に十分に耐え得るという適度な硬度を有する金型本体2,2aが、低コストで容易に実現される。
加えて、以上の金型1の製作方法では、球面状凹部用圧子12の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体2aと、金型本体2aの表面に配置された、金型本体2aの硬度より大きい硬度を有する被膜4aと、を備えた中間金型1aに、球面状凹部用圧子12を押し付けて、塑性変形によりテクスチャ用形状T1を形成することで、テクスチャ用形状T1を有する金型1が製作される。
よって、テクスチャを有する製品に対応しており、塑性変形の特性を用いた加工により製作コストがより低廉である金型1の製作方法が提供される。
又、金型1において正確なテクスチャ用形状T1が形成されるため、極めて微細なテクスチャであっても正確に製品に反映可能な金型1の製作方法が提供される。
[第2形態]
図8は、本発明の第2形態に係る金型101のテクスチャ用形状T2の模式的な斜視図である。
第2形態において、第1形態と同様に成る部材及び部分には、第1形態と同じ符号が付されて適宜説明が省略される。
第2形態の金型101に係る製品は、再起反射鏡(R-R;Reflex Reflector)である。再起反射鏡は、入射した光が再び入射方向へ帰る反射現象を呈する鏡である。再起反射鏡は、受けた光をそのまま光源に跳ね返す特徴があり、次世代の車載用反射板、高反射率の交通標識、ガードレールの反射板、反射帯等のセキュリティ反射体といった多様な用途が見込まれて、大きな需要が見込まれる。再起反射鏡は、複数の微小な直角三角錐状の凸部が縦横に並べられたものである。直角三角錐状の凸部は、立方体の1つの頂点を中心に突出しており、互いに隣接する3面を有した、半立方体状である。再起反射鏡の反射性能及び意匠性を十分に確保する観点から、各凸部の大きさを、0.1mm(ミリメートル)以上3mm以下程度とする要求がある。尚、各凸部の大きさは、当該程度に限定されない。又、再起反射鏡あるいは直角三角錐状の微小な凸部を有する製品は、上述のものに限定されず、例えば反射防止パネル、超親水性パネル、超撥水性パネル等であっても良い。
テクスチャ用形状T2は、微小な直角三角錐状の凹部が縦横に並んだものである。より詳しくは、テクスチャ用形状T2の凹部は、微小な立方体における一つの頂点を中心に隣接する3面を有する状態で凹んでいる。テクスチャ用形状T2は、再起反射鏡に対応するものである。
テクスチャ用形状T1は、第1形態と同じ中間金型1aの内面を加工することで形成される。
第2形態における中間金型1aの内面の加工、即ち金型101の製作は、例えば次のように行われる。
図9は、当該加工に用いられるシャンク10及び三角錐状凹部用圧子112の、先端側部分の模式的な斜視拡大図である。
三角錐状凹部用圧子112は、単結晶ダイヤモンド製であり、圧子本体部112Aと、圧子先端部112Bと、を有している。
圧子本体部112Aは、棒状であり、円柱状である。
圧子先端部112Bは、圧子本体部112Aと一体であり、圧子本体部112Aの先端側に配置されている。圧子先端部112Bは、直角三角錐状である。より詳しくは、圧子先端部12Bは、立方体における1つの頂点を中心とし、互いに隣接する3面を備えた半立方体状である。圧子先端部12Bの直角三角錐形態の一部又は全部は、テクスチャ用形状T2の各凹部の形状に対応している。
三角錐状凹部用圧子112の表面には、鏡面加工が施されている。
三角錐状凹部用圧子112は、圧子本体部112Aの基端側が圧子取付部10Bに入れられた状態でロー付けされることで、シャンク10に固定されている。
図10は、第2形態に係る中間金型1aの内面の加工例の模式図である。
当該加工例は、第1形態の加工例(図7)とほぼ同様である。
即ち、三角錐状凹部用圧子112付きのシャンク10及び中間金型1aがセットされ(ステップS1)、シャンク10が、中間金型1aの内面の初期加工位置(ステップS2)の上方に向けて移動される(ステップS3)。
次いで、中間金型1aの内面における最初の加工位置に、シャンク10の三角錐状凹部用圧子112の先端が押し付けられる(ステップS4)。
三角錐状凹部用圧子112が、被膜4a付きの中間金型1aへ押し付けられることにより、中間金型1aの内面が塑性変形し、テクスチャ用形状T2における1つの直角三角錐状の凹部が形成される。
続いて、加工位置が、今回最終のものでなければ(ステップS5でNo)、次のものに設定され(ステップS6)、ステップS3に戻ってその加工位置における凹部の形成が適宜繰り返される(ステップS3~S6)。
他方、加工位置が最終であった場合(ステップS5でYes)、シャンク10、及びテクスチャ用形状T2の付与された中間金型1a即ち金型101が、取り出される(ステップS7)。
かように製作された金型101は、第1形態とテクスチャ用形状以外同様である金型本体102及び被膜104を有しながら、直角三角錐状凹部に係る正確なテクスチャ用形状T2を備えている。
本発明と異なり、焼入れ鋼等の高硬度材に無電解ニッケルリンメッキ処理を施した中間金型に対して、エンドミルでテクスチャ用形状T2の凹部を切削する場合、切削のためにエンドミルの刃先径の小型化に限界があり、そのエンドミルの刃先径により、直角三角錐状凹部の角隅部に丸み(R)が生じてしまう。特に、1辺が1mm以下となる凹部のサイズでは、エンドミルでは丸みは解消不能である。テクスチャ用形状T2の直角三角錐状凹部に丸みがある場合、再起反射鏡の直角三角錐状の凸部も丸みを帯び、再起反射鏡の反射効率が低下することとなる。
これに対し、本発明の金型101の製作では、塑性変形により三角錐状凹部用圧子112の形状が中間金型1aに転写されるものであるため、丸みのない微小な直角三角錐状凹部が正確に形成される。しかも、直角三角錐状凹部を含むテクスチャ用形状T2は、短時間で形成可能である。更に、エンドミルによる切削と異なり、三角錐状凹部用圧子112への回転力の付与は必須ではなく、三角錐状凹部用圧子112の寿命は比較的に長い。又、バリの発生が抑制される。よって、金型1の製作コストは低廉である。
しかも、本発明の金型101は、高硬度で耐摩耗性に優れた被膜104を有している。よって、金型101は、塑性変形による加工が可能でありながら、製品の射出成形時に発生し得る応力に対して十分に耐えるものとなっている。換言すれば、本発明の金型101は、本発明に属さない、塑性変形可能な銅製の金型本体102のみを有して被膜104を有さない金型に対して、より一層優れた耐久性を備えたものとなっている。
本発明の第2形態は、第1形態と同様の変更例を適宜有する。
又、本発明の金型は、テクスチャ用形状T1,T2以外のテクスチャ用形状を有しても良い。
[第3形態]
本発明の第3形態に係る金型は、金型本体及び被膜を除き、第1形態(球面状凹部に係るテクスチャ用形状T1)と同様に成る。
尚、本発明の第3形態に係る金型は、金型本体及び被膜を除き、第2形態(直角三角錐状凹部に係るテクスチャ用形状T2)と同様に成っても良い。
第3形態に係る中間金型は、金型本体のみを有しており、チタン製である。テクスチャ用形状T1の加工前において、中間金型に被膜は存在しない。
かような中間金型は、球面状凹部用圧子12の押し付けにより、塑性変形される。
図11は、第3形態の金型の製作のための中間金型の加工例のフローチャートである。
第3形態の金型の製作では、まず、上述の中間金型に対し、窒化処理が施される(ステップS11)。
窒化処理により、チタン製の中間金型の表層に、より高い硬度及び耐摩耗性を呈する高硬度耐摩耗層としてのチタン窒化物層が形成される。窒化処理の強度及び時間の少なくとも一方に応じ、高硬度耐摩耗層に係る表面からの深さ(厚み)が制御される。高硬度耐摩耗層は、第3形態の金型本体の素材であるチタンの窒化により形成される。尚、チタンの窒化は、窒素イオンの注入によりなされても良いし、他の方法によりなされても良い。
より詳しくは、窒化処理は、例えば低温プラズマ窒化処理により行われる。低温プラズマ窒化処理は、真空室内に設置された一対の電極(アノード及び正に帯電するアークカソード)間に、中間金型を置いた状態で、アルゴンガス等の不活性ガスと窒素ガスとを導入して電圧を印加し、プラズマ化された窒素ガスにより、中間金型の表面に窒化物の硬質膜を形成するものである。真空室内は、不活性ガスの混合、中間金型に対するパルス電圧の印加、真空室を冷却する冷却手段の少なくとも何れかにより、400℃以下程度の低温となるように制御される。低温でのプラズマ窒化処理により、中間金型の表面の形状精度及び粗さは、何れも窒化処理前のものと略同等に維持される。尚、不活性ガスと窒素ガスとの混合ガスにおける窒素ガスの割合を10重量%程度以上としたり、少なくとも一方の電極の形状を工夫したりすることにより、高密度の窒素ガス(窒素プラズマ)において窒化処理されるようにしても良い(高密度プラズマ窒化処理)。
あるいは、窒化処理は、アトム窒化法、エジソンハード窒化法等により行われても良い。
次いで、第1形態と同様に(図7のステップS1~S6参照)、球面状凹部用圧子12の押し付けにより、テクスチャ用形状T1が形成される(ステップS12)。
窒化処理により硬質皮膜が中間金型に形成されていても、中間金型は、球面状凹部用圧子12の押し付けにより、塑性変形する。
その形成が完了すると、シャンク10、及び窒化被膜が形成されたチタン製の中間金型即ち第3形態の金型が、取り出される(ステップS13)。
尚、中間金型は、窒化等による硬質皮膜の作成が可能であり、且つ球面状凹部用圧子12による塑性変形が可能であれば、チタン製以外であっても良く、例えば、チタン合金製、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製、ニッケル合金(鉄が10重量%程度のニッケル鉄合金等)製、あるいはタンタル製であっても良い。但し、アルミニウム製中間金型において窒化被膜を構成する窒化アルミニウムは、高硬度被膜の形成に寄与するものの、水に対する反応性が比較的に高いため、当該中間金型から製作された金型は、水分に対する配慮を要する。
かように製作された第3形態の金型では、第1形態と同様に、塑性変形を用いて正確なテクスチャ用形状T1が容易に形成される。
又、第3形態の金型は、第1形態と同様に、硬質で耐摩耗性の被膜を有しており、塑性変形による加工が可能でありながら、製品の射出成形時に発生し得る応力に対して十分に耐えるものとなっている。換言すれば、本発明の第3形態の金型は、本発明に属さない、塑性変形可能なチタン製の金型本体2のみを有して被膜を有さない金型に対して、より一層優れた耐久性を備えたものとなっている。
しかも、第1形態における無電解ニッケルリンメッキによる被膜4では、ショット数(射出成形数)が大きくなると剥離の可能性が増すのに対し、窒化処理による被膜の形成では被膜の剥離は起きず、第3形態の金型は、より長寿命となる。
即ち、第3形態では、金型本体2,2aの被膜は、前記金型本体の素材の窒化物である。
よって、微細で正確なテクスチャを有する製品のための、テクスチャ用形状T1を有する、製作コストの低廉な金型が、より長寿命となる。又、その金型のための中間金型,製作方法が提供される。
本発明の第3形態は、第1,第2形態と同様の変更例を適宜有する。
[第4形態]
本発明の第4形態は、中間金型の構成及び加工を除き、第1形態(球面状凹部に係るテクスチャ用形状T1)と同様に成る。
尚、本発明の第4形態に係る金型は、中間金型の構成及び加工を除き、第2形態(直角三角錐状凹部に係るテクスチャ用形状T2)、あるいは第3形態(窒化被膜)と同様に成っても良い。
第4形態における中間金型は、材質を除き、第1形態の中間金型1aと同様に成る。第4形態における中間金型は、焼入れ鋼製の金型本体に、無電解ニッケルリンメッキ層を形成したものである。
第4形態における中間金型の加工は、球面状凹部用圧子12を超音波振動させて行われる他、第1形態と同様である。尚、球面状凹部用圧子12は、超音波領域より低い(あるいは高い)周波数で振動されても良い。
図12は、球面状凹部用圧子12を超音波振動させるためにシャンク10に内蔵される超音波振動装置21の模式的な斜視図である。図13は、超音波振動装置21の模式的な側面図である。図14は、図13のK-K線断面図である。
超音波振動装置21は、振動子22を備えている。
シャンク10は、振動子22を保持するホルダーとなっている。
振動子22は、ボルト締めランジュバン型振動子(Bolt-Clamped Langevin Type Transducer,BLT)である。振動子22は、所望する振動(目的とする振動)を発生するための第1圧電素子ユニットとしての振動発生用圧電素子ユニット30と、電極板34と、薄円筒状の絶縁筒38と、振動振幅拡大用の先細の金属材40と、厚円筒状の金属ブロック42と、締結具としてのボルト44を備えている。
尚、振動子22において、金属材40側を下側として金属ブロック42側が上側とされ、又後述の電極板34の接続部52が配置される側が左側とされているところ、作業状態等に応じ、前後上下左右は様々に変更可能である。
振動子22において、振動発生用圧電素子ユニット30、電極板34~16、絶縁筒38、金属材40、金属ブロック42、ボルト44は、中心軸が前後方向を向いて同軸となる状態で配置されている。尚、図12において、電極板34及び回路は省略されている。又、各図において、配線は省略されている。
振動発生用圧電素子ユニット30は、軸方向(振動子長手方向,上下方向)の超音波振動を発生可能であり、軸振動の発生に係る公知の構成を有している。
超音波振動(超音波領域の周波数における振動)は、概ね、16kHz(キロヘルツ)以上とされても良いし、20kHz以上とされても良い。尚、16kHzを下回る振動で駆動される振動子を含む振動装置について、振動子22が適用されても良い。
振動発生用圧電素子ユニット30は、それぞれ円盤状である2個の駆動用圧電素子50を含んでいる。第1圧電素子としての各駆動用圧電素子50の残留分極の分極方向は、振動子22の中心軸と平行な方向(肉厚方向)となっている。尚、振動発生用圧電素子ユニット30に含まれる駆動用圧電素子50の数は、1個でも良いし、3個以上でも良いところ、構成のし易さの観点から、好ましくは偶数個とされる。
駆動用圧電素子50は、肉厚方向である中心軸を同軸として肉厚方向に並べられており、それらの間には、環状の電極板34が挟まれている。電極板34は、径方向外方に突出する接続部52を備えている。
又、絶縁体で形成された絶縁筒38が、一対の駆動用圧電素子50の内孔に通されている。絶縁筒38の内孔には、ボルト44が進入可能である。
導体ブロックとしての金属材40は、前端部に近づくにつれて細くなる(中心軸に直交する断面の面積が次第に小さくなる)テーパ形状を有するように形成される。テーパ形状の種類としては、コニカルホーン形状、エクスポネンシャルホーン形状、及びステップホーン形状が例示される。金属材40の前端部には、球面状凹部用圧子12を取り付けるための圧子取付部10Bが形成されている。圧子取付部10Bは、金属材40の前面から後方へ空けられている。他方、金属材40の後端部には、ボルト44が入るボルト穴62が形成されている。ボルト穴62は、金属材40の後面から前方へ空けられている。
もう一つの導体ブロックとしての金属ブロック42の内孔には、ボルト44が進入可能である。
そして、一対の駆動用圧電素子50は、電極板34を介在させ、更に共通の絶縁筒38を含んだ状態で、金属材40と金属ブロック42とに挟み込まれている。これらは、金属ブロック42の後方から、その内孔及び絶縁筒38の内孔、更にはボルト穴62に入るボルト44により、締結されている。
かような締結により、一対の駆動用圧電素子50は、十分な強度で拘束され、超音波振動によっても拘束状態を維持する。
下の駆動用圧電素子50の下面は、金属材40の上面に接触してアースされ、上の駆動用圧電素子50の後面は、金属ブロック42の下面に接触してアースされる。
又、電極板34には、軸振動発生用の公知の駆動電圧印加回路(駆動電圧印加手段,図示略)が接続されている。
ここでは、電極板34の接続部52に所定の交流電圧が印加される。アースは、例えば金属材40又は金属ブロック42に接続することでなされる。電極板34に交流電圧が印加されると、一対の駆動用圧電素子50は軸振動(振動子22の中心軸と平行な方向の振動)を発生する。振動子22は、その形状、即ち長さ、径の大きさ及びその分布等)、並びに重量配分等の構造により、軸振動及びたわみ振動についてそれぞれ所定の共振周波数を有しており、一対の駆動用圧電素子50に対する所定の交流電圧の印加により、振動子22に1次の共振モードにおける軸振動が発生する。1次の共振モードにおける軸振動は、両端開放で振幅最大となり、振幅最小(ゼロ)となる節(ノード)が1箇所、振動子22上に存在する。又、一対の駆動用圧電素子50によって積極的にたわみ振動を発生させることはしないところ、振動子22は、1次の共振モードにおける軸振動の節の部分に設けられたフランジ部46において、シャンク10に支持されている。
尚、共振モードは、2次以上とされても良い。
駆動電圧印加回路は、図示されない超音波発振装置に内蔵されており、コード60を介して、振動発生用圧電素子ユニット30と電気的に接続されている。
尚、駆動電圧印加回路は、振動子22及びシャンク10の少なくとも一方に内蔵されるようにしても良い。
第4形態における中間金型の加工例は、次の通りである。
即ち、超音波振動装置21の振動発生用圧電素子ユニット30に所定の交流電圧を与えると、振動子22が軸振動して、金属材40の圧子取付部10Bに連結された球面状凹部用圧子12が軸方向に超音波振動する。超音波軸振動された球面状凹部用圧子12が、中間金型に押し付けられることで、高周波微振動の衝撃力が中間金型に作用し、無電解ニッケルリンメッキ層付きで焼入れ鋼製の金型本体であっても、塑性変形によるテクスチャ用形状T1の形成が可能となる。振動は微小であるため、加工の精度は十分確保される。又、振動を付加した球面状凹部用圧子12での加工により、加工抵抗の低減効果が得られ、加工効率が向上するし、球面状凹部用圧子12の寿命が延びる。又、更に高い硬度の素材に対しても加工可能となり、無電解ニッケルリンメッキ層のない焼入れ鋼製の金型本体に直接加工を施すことが可能である。
即ち、第4形態では、球面状凹部用圧子12は、超音波振動装置21により超音波振動される。
よって、加工精度の確保により正確なテクスチャ用形状T1を有し、加工効率向上により製作コストの低減された金型が提供される。又、無振動の場合に比べ、より硬い中間金型に対して、球面状凹部用圧子12による加工が可能となり、金型本体の硬度の向上による取扱容易性の向上及び更なる長寿命化が図られる。
本発明の第4形態は、第1~第3形態と同様の変更例を適宜有する。
[第5形態]
本発明の第5形態では、上記第1~第4形態に係る中間金型の加工で用いた単結晶ダイヤモンド製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112に代えて、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112が用いられる。
バインダレスナノ多結晶ダイヤモンドは、ナノメーターオーダーのダイヤモンド粒子が直接強固に結合した、バインダーを全く含まないダイヤモンド多結晶体であり、単結晶ダイヤモンドより高硬度で、劈開性を有しないものである。
よって、第5形態では、球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112の寿命が延び、中間金型の加工の精度及び省コスト性が、より一層優れたものとなる。
本発明の第5形態は、第1~第4形態と同様の変更例を適宜有する。
又、第5形態において、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112に代えて、バインダレスナノ多結晶cBN製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112が用いられても良い。
バインダレスナノ多結晶cBNは、立方晶窒化ホウ素(cBN;Cubic Boron Nitride)をナノ粒子化したもので、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンドと同様の優れた特徴を有している。又、一般に、ダイヤモンド製の工具の場合、炭化化合物を生成し易い材質(例えば鉄,チタン,タングステン等)を加工すると、工具とワークとの化学反応が促進され、工具の摩耗が促進される現象が見受けられるところ、バインダレスナノ多結晶cBN製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112では、極めて優れた化学的安定性により、上記材質であっても摩耗が促進されることなく加工可能である。更に、バインダレスナノ多結晶cBNの耐熱温度は、ダイヤモンドの耐熱温度より高く、バインダレスナノ多結晶cBN製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112の適用範囲は、より一層広くなっている。
尚、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド製の球面状凹部用圧子12,三角錐状凹部用圧子112は、超音波振動されれば、加工抵抗の低減作用により、摩耗の度合が軽減される。又、炭化化合物を生成し易い材質の中間金型に対し、反応性の少ない材質の被膜(例えばニッケル被膜,窒化被膜等)が形成された場合、反応性の低減作用により、摩耗の度合が軽減される。
[第6形態]
本発明の第6形態では、上記第4形態に係る超音波振動を用いた中間金型の加工が、耐熱性を向上した中間金型に対して行われる。
第6形態では、中間金型は、耐熱鋼製で、より詳しくはステンレス耐熱合金鋼であるSUS316製であり、更に第3形態の窒化処理が施されている。かような中間金型に対し、超音波振動加工が施される。超音波振動加工により、耐熱性及び耐食性並びに靱性(機械的強度)に優れながらも加工が困難(難削材)である第6形態の中間金型にも、テクスチャ用形状T1,T2等の微細形状は形成可能である。例えば、超音波振動装置21により球面状凹部用圧子12に周波数39kHz,振幅6μm程度の振動を与えれば、第6形態の中間金型は加工可能である。更に、振動子22の調整等により、振幅が20μm程度とされれば、球面状凹部用圧子12の運動エネルギーが振幅の二乗に比例するため、より円滑に中間金型の加工がなされる。
第6形態に係る球面状凹部用圧子12の素材は、単結晶ダイヤモンドに代えて、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド、超硬材、立方晶ホウ素(cBN)材の何れかとされても良い。
窒化処理されたSUS316製の中間金型に振動加工が施されて形成された金型は、第1,第2形態の無電解ニッケルリンメッキ層付きの銅製の金型、及び第3形態の窒化処理されたチタン製の金型より耐熱性及び耐食性に優れ、より取り扱い易く、長寿命である。特に、耐熱温度が800℃以上と高く(耐熱合金)、ボロシリケートクラウンガラス等の高融点ガラスの成型(600~700℃程度以上)にも利用可能である。ボロシリケートクラウンガラス等の高融点ガラスは、光学特性に優れており、例えばボロシリケートクラウンガラスでは、350nm(ナノメートル)以上2000nm以下の波長域に係る光の透過率が良好である。更に、現状用いられている高融点ガラス成型の多くは、耐熱温度を確保する観点から超硬材製であるところ、超硬材の加工効率は超硬材の硬度の高さ故に非常に悪い。これに対し、第6形態の金型は、高融点ガラスの成型が可能でありながら、中間金型の加工効率が良好であり、金型の製作がより容易で、製作コストが低廉である。
尚、中間金型の素材は、ステンレス耐熱合金鋼であるSUS309S,SUS310Sであっても良いし、耐熱合金鋼である各種のSUH鋼(例えばSUH309,SUH310,SUH330)であっても良いし、Ni-Cr-Fe系の耐熱耐食高硬度ニッケル合金であっても良いし、炭素鋼(例えばS45C)であっても良い。窒化処理は、省略されても良い。
即ち、第6形態では、耐熱合金製の中間金型に対し、超音波振動装置21により超音波振動される球面状凹部用圧子12を押し付けて、テクスチャ用形状T1,T2等を形成することで、テクスチャ用形状T1,T2等を有する金型を製作する。
よって、難削材である耐熱合金製の中間金型においても、振動する球面状凹部用圧子12により、正確なテクスチャ用形状T1,T2等が形成される。しかも、切削の場合に比べ、製作コストが抑制される。更に、窒化被膜を有する耐熱合金製となることで、金型の取扱容易性が向上し、寿命が延びるし、高融点ガラス成型にも用いることが可能となる。
第6形態においては、第1~第5形態と同様の変更例が適宜存在する。
[第7形態]
本発明の第7形態では、上記第4形態に係る超音波振動を用いた中間金型の加工が、焼入れ鋼に係る中間金型に対して行われる。
第7形態では、中間金型は、焼入れ鋼製で、より詳しくは焼入れしたステンレスであるSUS420製であり、更に第3形態の窒化処理が施されている。かような中間金型に対し、超音波振動加工が施される。超音波振動加工により、加工が困難である第7形態の中間金型にも、テクスチャ用形状T1,T2等の微細形状は、第6形態と同様に形成可能である。
窒化処理されたSUS420製の中間金型に振動加工が施されて形成された金型は、第1,第2形態の無電解ニッケルリンメッキ層付きの銅製の金型、及び第3形態の窒化処理されたチタン製の金型、並びに第6形態の耐熱鋼より硬度に優れ、長寿命である。更に、第7形態の中間金型は、焼入れ鋼製あっても、超音波振動を用いることにより、テクスチャ用形状T1,T2等の微細形状を形成可能である。又、第7形態の金型は、例えば低融点ガラス(融点600℃程度以下のガラス)製の製品の成形に用いることができる。低融点ガラスの製品としては、例えば各種のライト用、センサ用、太陽光発電パネル用の偏光板、レンズが挙げられる。
尚、中間金型の素材は、焼入れしたステンレスであるSUS440等であっても良いし、焼入れした合金鋼であるSKD61,SKH51等であっても良い。
即ち、第7形態では、焼入れ鋼製の中間金型に対し、超音波振動装置21により超音波振動される球面状凹部用圧子12を押し付けて、テクスチャ用形状T1,T2等を形成することで、テクスチャ用形状T1,T2等を有する金型を製作する。
よって、高硬度で加工が困難な高硬度合金製の中間金型においても、振動する球面状凹部用圧子12により、正確なテクスチャ用形状T1,T2等が形成される。しかも、切削の場合に比べ、製作コストが抑制される。更に、窒化被膜を有する焼入れ鋼製となることで、金型の取扱容易性が向上し、寿命が延びるし、低融点ガラス成型にも用いることが可能となる。
第7形態においては、第1~第6形態と同様の変更例が適宜存在する。
1・・金型、1a・・中間金型、2,2a・・金型本体、4,4a・・被膜、12・・球面状凹部用圧子(圧子)、21・・超音波振動装置、112・・三角錐状凹部用圧子(圧子)、T1,T2・・テクスチャ用形状。

Claims (11)

  1. 圧子の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体と、
    前記金型本体の表面に配置された、前記金型本体の硬度より大きい硬度を有する被膜と、
    を備えており、
    前記被膜及び前記金型本体の表面部分は、テクスチャ用形状を有している
    ことを特徴とする金型。
  2. 前記金型本体は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、チタン製、、チタン合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製、ニッケル合金製、あるいはタンタル製である
    ことを特徴とする請求項1に記載の金型。
  3. 前記被膜は、前記金型本体の素材の窒化物である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金型。
  4. 圧子の押し付けにより塑性変形する程度の硬度を有する金型本体と、
    前記金型本体の表面に配置された、前記金型本体の硬度より大きい硬度を有する被膜と、
    を備えている
    ことを特徴とする中間金型。
  5. 前記金型本体は、銅製、銅合金製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、チタン製、、チタン合金製、マグネシウム製、マグネシウム合金製、ニッケル合金製、あるいはタンタル製である
    ことを特徴とする請求項4に記載の中間金型。
  6. 前記被膜は、前記金型本体の素材の窒化物である
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の中間金型。
  7. 請求項4ないし請求項6の何れかに記載の中間金型に、圧子を押し付けて、塑性変形によりテクスチャ用形状を形成することで、テクスチャ用形状を有する金型を製作する
    ことを特徴とする金型の製作方法。
  8. 前記圧子は、超音波振動装置により超音波振動される
    ことを特徴とする請求項7に記載の金型の製作方法。
  9. 耐熱合金製の中間金型に対し、超音波振動装置により超音波振動される圧子を押し付けて、テクスチャ用形状を形成することで、テクスチャ用形状を有する金型を製作する
    ことを特徴とする金型の製作方法。
  10. 前記中間金型は、耐熱鋼製、合金鋼製、炭素鋼製、あるいはニッケル合金製である
    ことを特徴とする請求項9に記載の金型の製作方法。
  11. 前記圧子は、バインダレスナノ多結晶ダイヤモンド製、又はバインダレスナノ多結晶cBN製である
    ことを特徴とする請求項7ないし請求項10の何れかに記載の金型の製作方法。
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