JP2022040051A - 筋損傷回復促進用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品素材であり、予防の観点から日常的に継続して用いることができる筋損傷回復促進用組成物を提供する。【解決手段】コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を筋損傷回復促進用組成物の有効成分として用いる。この組成物は、有効成分たるコラーゲンペプチドとホエイタンパク質とが共同して筋肉マイクロダメージの回復に寄与するので、これにより筋損傷の回復を促進することができる。この組成物は、飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、動物飼料等の形態で好適に用いられる。【選択図】 なし

Description

本発明は、運動等により損傷した筋肉の回復を促進するための組成物に関する。
一般的に骨格筋は、外傷や高強度の運動によって損傷される。筋損傷(骨格筋損傷)は運動能力の低下だけでなく、日常生活の動作にも影響がある。この筋損傷には、衝突などの外部的原因によって生じる外的損傷と、外部的原因によらずに筋肉内部で生じる内的損傷があり、後者が筋断裂や肉離れと呼ばれる現象であり、様々な年齢層およびスポーツで幅広く起こるといわれている。特にスポーツ選手の場合は競技からの長期離脱を強いられていることも多いため、この筋損傷からの回復を促進させ早期復帰させることは重要な課題である。この筋肉の内的傷害の原因の一つとして近年考えられているのが、筋肉の微視的損傷(マイクロダメージ)である。これは、主に、筋肉を構成している線維(筋線維)や周りの結合組織に微細な傷がつく現象を指し、筋肉のマイクロダメージが蓄積することによって肉離れが発生しやすくなると考えられている。
また、高強度や高頻度の運動を行うと時間をおいて筋肉痛(遅発性筋痛)が発生することはよく知られているが、この現象も筋肉のマイクロダメージが関係していると考えられている。すなわち、傷ついた筋線維を修復する過程で炎症が起き、生成された刺激物質が筋膜を刺激して起こるものと考えられている。
損傷した筋肉の回復を促進するための技術に関しては、例えば、神経毒であるボツリヌス毒素を使用するもの(特許文献1:特表2004-518632)がある。これはボツリヌス菌の毒素を筋肉へ注射することで一時的に麻痺を起こし筋肉を不動化することによって回復を早めるものである。また、アンドロゲン受容体に結合性を有する新規アミノ置換ベンゾニトリル誘導体を使用するもの(特許文献2:特表2007-537236)があるが、骨折又は骨粗鬆症骨折治療を主な効果とする医薬品であり、筋損傷は付随的な効果として示されている。さらに気管支喘息等に適応がある医薬品として知られるN-(3,4-ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸(一般名:トラニスト)を使用するもの(特許文献3:特許4448447)が報告されているが、損傷部の筋線維化を抑制することで筋細胞増殖と筋線維芽細胞増殖のバランスを調整し、元の筋肉組織へ回復させる効果が示されている医薬品である。一方、食品素材においては、BCAA(分岐アミノ酸)を含むアミノ酸混合組成物を使用するもの(特許文献4:特許6431670)が報告されている。
特表2004-518632号公報 特表2007-537236号公報 特許4448447号公報 特許6431670号公報
しかしながら、特許文献1に記載のボツリヌス毒素や、特許文献2、3に記載の医薬的化合物の使用は、日々日常的に使用することは現実的ではない。また、特許文献4のアミノ酸は摂取にあたり苦みが課題であり、特にBCAA(分岐アミノ酸)には独特の苦味や収斂味があり、需要者の嗜好性の観点から問題があった。
そこで本発明の目的は、食品素材であり、予防の観点から日常的に継続して用いることができる筋損傷回復促進用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質とが共同して筋肉マイクロダメージの回復に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の観点から、コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を有効成分とする筋損傷回復促進用組成物を提供するものである。
本発明にかかる上記筋損傷回復促進用組成物においては、該組成物は、飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、又は動物飼料の形態であることが好ましい。
一方、本発明は、その第2の観点から、コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質の、筋損傷回復促進用組成物の製造のための使用を提供するものである。
本発明にかかる上記使用においては、前記筋損傷回復促進用組成物は、飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、又は動物飼料の形態であることが好ましい。
本発明によれば、コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を利用することにより、筋損傷回復促進に優れ、飲食品等の形態としても利用可能な、新規な機能性組成物を提供することができる。
図1は、試験例1において、試験期間中のマウス体重の変化を調べた結果を示す図表である。 図2(a)は、試験例1において、摘出した腓腹筋の湿重量を調べた結果を示す図表であり、図2(b)は、試験例1において、摘出した腓腹筋のホモジナイズ上清中のタンパク質濃度を、湿重量当たりに規格化した量(比重量)で表した結果を示す図表である。 図3は、試験例1におけるDNAマイクロアレイの結果を示す図表であり、CTX誘導性筋損傷関連遺伝子の発現亢進が被験物質の投与により緩和された23個の遺伝子についてのDNAマイクロアレイの結果を示す図表である。 図4は、試験例1におけるDNAマイクロアレイの結果を示す図表であり、CTX誘導性筋損傷関連遺伝子の発現亢進がホエイタンパク質の投与により更に亢進された17個の遺伝子についてのDNAマイクロアレイの結果を示す図表である。 図5は、試験例2において、摘出した腓腹筋の湿重量を調べた結果を示す図表である。 図6は、試験例2において、摘出した腓腹筋のホモジナイズ上清中のタンパク質濃度を、湿重量当たりに規格化した量(比重量)で表した結果を示す図表である。 図7は、試験例2において、血漿中の炎症マーカーであるLDH活性を調べた結果を示す図表である。 図8は、試験例2におけるDNAマイクロアレイの結果を示す図表であり、CTX投与1日後の遺伝子の発現亢進について、炎症応答・マクロファージ、ECM(細胞外マトリックス)、及び血管新生阻害に関わる遺伝子について、被験物質の投与による影響を調べた結果を示す図表である。
本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物においては、その有効成分の1つとしてコラーゲンペプチドを用いる。
本発明に用いるコラーゲンペプチドとしては、豚、鶏、牛等の動物や魚類の真皮、皮、骨等に含まれるコラーゲンの加水分解物を用いることができる。例えば、豚皮等のコラーゲン含有原料に水又は水性溶媒を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出することにより、原料由来のコラーゲンを抽出することができる。そのコラーゲンを含む抽出物を、タンパク質加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化することができる。タンパク質加水分解酵素は、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、あるいはそれらを含有する酵素製剤などを用いることができる。コラーゲンの加水分解は、酵素による方法以外にも、酸、アルカリ、加熱、加圧等の処理による方法あるいはそれを伴う方法で行ってもよい。
上記のようにしてコラーゲン原料から調製された加水分解物は、本発明にそのまま用いてもよいが、珪藻土濾過処理、逆浸透膜処理、イオン交換樹脂処理、HPLC処理等の公知の方法により、更にコラーゲンペプチドを濃縮、分画、精製等してから用いてもよい。得られた調製物は、溶液状のまま用いてもよく、適宜乾燥して粉末化してから用いてもよい。
本発明に用いるコラーゲンペプチドは、その分子量構成に特に制限ないが、典型的に、例えば、平均分子量100~20000の範囲内であってよく、より典型的には平均分子量200~10000の範囲内であってよく、更により典型的には平均分子量1000~8000の範囲内であってよい。なお、コラーゲンペプチドの平均分子量とは、食用コラーゲンペプチド規格として通常知られているとおり、「重量平均分子量値」で示すことができ、具体的には、例えば、「写真用ゼラチン試験法(PAGI法)第10版」(写真用ゼラチン試験法合同審議会、2006年版)に依拠した方法などで測定することができる。
コラーゲンペプチドの由来となるコラーゲンの種類としては、従来29種類程度報告されているが、いずれのものを用いてもよい。例えば、I型コラーゲンは、すべての臓器に存在し、多細胞動物の細胞外マトリックスの主成分となっている線維性コラーゲンであることが知られている。また、例えば、関節軟骨に多いII型コラーゲンは、筋肉は腱や骨だけではなく関節との関係性も深いことが知られている。
ただし、本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物の有効成分として、その有効量を確保するには、コラーゲンペプチドとして使用する素材中の乾燥分あたりのコラーゲンペプチドの含有量(純度)としては、典型的に、例えば、50~100質量%の範囲であることが好ましく、より典型的には80~100質量%の範囲であることが好ましく、更により典型的には90~100質量%の範囲であることが好ましい。コラーゲンペプチド素材としては、例えば、市販品として、「PeptanP5000HD」(商品名、Rousselot社製)、「PeptanP2000HD」(商品名、Rousselot社製)、「ニッピペプタイド(商品名、新田ゼラチン社製)、「Wellnex」(商品名、新田ゼラチン社製)、「HACP」(商品名、ゼライス社製)、Naticol(商品名、ヴァイスハルト)、「バイオアクティブコラーゲンペプチド」(商品名、ジェリータ社製)、「SOLUGEL」(商品名、PBゼラチン社製)、「Italy PF」(商品名、PBゼラチン社製)、「LAPI PF」(商品名、PBゼラチン社製)、「マリンコラーゲンオリゴ」(商品名、日祥社製)、「マトリックスネオ」(商品名、焼津水産化学工業社製)、「UC-II」(商品名、アリスコーポレーション社製)、「Italgel」(商品名、イタルゼラチン社製)等があるので、そのような市販品を用いてもよい。
なお、コラーゲンペプチドは、単独で1種類のものを用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物においては、その有効成分のもう1つとしてホエイタンパク質を用いる。
ホエイは、牛乳等の乳から脂肪を除去した脱脂乳に酸またはレンネットを添加して、乳の主蛋白質であるカゼインを除いて得られる透明な淡黄色の水溶液で、乳清ともいう。また、牛乳に酸またはレンネットを直接作用させて、脂肪とカゼインとからなるカードを除去して得られる水溶液もホエイという。ホエイには、例えば、牛乳等の乳からチーズを調製する際に生じるチーズホエイや、牛乳等の乳からカゼインを調製する際に生じるカゼインホエイや、牛乳等の乳からヨーグルト等の乳酸発酵物を調製する際に生じる乳酸発酵ホエイ等、乳原料から目的物を調製する工程で生じる廃液としても得られる場合がある。また、これらから加熱処理や限外濾過等により、乳清蛋白質を回収した廃液もホエイという。
本発明に用いるホエイタンパク質としては、上記ホエイに含まれるタンパク質であればよく、ホエイ原料に特に制限はない。例えば、特開昭48-35061号公報には、チーズやカゼインの製造する際に副生してくるホエイを、珪藻土炉過器に通し、限外炉過にかけた後、強酸性陽イオン交換樹脂と接触させ、2.7~3.6の範囲のpHを有するホエイタンパク質を回収する方法が開示されているので、そのような公知の方法で、任意のホエイ原料から調製することが可能である。
ただし、本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物の有効成分として、その有効量を確保するには、ホエイタンパク質として使用する素材中の乾燥分あたりのホエイタンパク質の含有量(純度)としては、典型的に、例えば、60~100質量%の範囲であることが好ましく、より典型的には70~100質量%の範囲であることが好ましく、更により典型的には90~100質量%の範囲であることが好ましい。一般に、ホエイタンパク質素材としては、例えば、ホエイプロテインコンセートレート(WPC)とホエイプロテインアイソレート(WPI)がある。WPCはタンパク質含有量が70~80%程度であり、乳糖やビタミン、ミネラル等の栄養素が豊富で、安価なことが特徴である。一方、WPIは80~95%程度であり、価格も高くなる。本発明に用いるホエイタンパク質としては、WPCとWPIのどちらでもよい。また、市販品として、「SureProtein」(商品名、フォンテラ社製)、「ラクトクリスタルplus」(商品名、日本新薬社製)、「Wheyco W80」(商品名、日本新薬社製)、「PROGEL800」(商品名、日本新薬社製)、「WWP9010」(商品名、日本新社製薬)等があるので、そのような市販品を用いてもよい。
なお、ホエイタンパク質は、単独で1種類のものを用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
本発明にかかる組成物は、筋損傷の回復促進用の用途に用いられる。
ここで、本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物において「筋損傷」とは、具体的には、衝突などの外部的要因によって生じる外的傷害であってもよく、肉離れなどに代表されるように外部的要因なく起こる、筋肉内部で生じる内的傷害でであってもよい。また、「回復促進用」とは、現状をより良好にすることを含み、現状を維持したり、より悪くならないようにしたりする目的を含む意味である。より具体的には、筋肉の微視的損傷(マイクロダメージ)であってもよい。また、高強度や高頻度の運動を行うと時間をおいて筋肉痛(遅発性筋痛)が発生することはよく知られているが、この現象も筋肉のマイクロダメージが関係しており、すなわち、傷ついた筋線維を修復する過程で炎症が起き、生成された刺激物質が筋膜を刺激して起こるものと考えられている。よって、そのような筋肉痛(遅発性筋痛)などの症状を回復する用途にも、本発明にかかる組成物が用いられ得る。
より詳細には、本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物は、例えば、スポーツ選手、部活動などで定期的な運動をする者、スポーツをする健常者、日ごろ運動量の少ない者やスポーツ等を始めた者、生活習慣病の改善のために運動を必要とする者、高齢者などの健康増進のために運動を必要とする者、リハビリとして体を動かす訓練をしている者等に好適に用いられ得る。特に、運動量の少ない者にとって、スポーツや筋力トレーニング等といった運動は日常生活での身体運動(軽い運動)よりも強度の運動となり、筋肉の障害を引き起こし易いため、より好適に用いられ得る。より具体的には積極的にスポーツをするヒトに、より好適に用いられ得る。本発明にかかる組成物を摂取することに得られる効果として考えられることには、肉離れや筋肉痛を防いだり、それらを早期に回復させたりすることである。これにより、アスリートはトレーニングに充てる時間を十分に確保、高齢者は寝たきりや筋量低下を防ぎ日常生活を継続することができるようになる。最終的には筋量増加、筋量減少防止、運動パフォーマンス上昇、高負荷に耐えうる筋力増加、運動量の増加などの効果が期待される。また、ヒトに限らず、イヌ、ネコ等の動物にも適用され得る。
本発明においては、上記したような筋損傷の回復促進用の用途のため、第1の有効成分であるコラーゲンペプチドと、第2の有効成分であるホエイタンパク質とを、併用してヒト又は動物に投与するようにすればよい。その際、第1の有効成分としてコラーゲンペプチドと、第2の有効成分としてホエイタンパク質とを、それぞれが別体の組成物中に含まれるように構成して、使用時に併用して投与するようにしてもよく、第1の有効成分としてコラーゲンペプチドと、第2の有効成分としてホエイタンパク質とを、それぞれが混合された単一の組成物中に含まれるように構成してもよい。投与方法に特に制限はないが、経口投与が使用者に負担が少ないので好ましい。ヒト又は動物への投与用の組成物中のコラーゲンペプチドの含有量としては、所望する投与量の確保の観点から適宜に調整すればよく、特に制限はない。例えば、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質とを、それぞれが別体の組成物中に含まれるように構成する場合に、その組成物中のコラーゲンペプチド及びホエイタンパク質のそれぞれの含有量は、1~99.99質量%の範囲内の含有量であってよく、20~99.9質量%の範囲内の含有量であってよく、40~99.99質量%の範囲内の含有量であってよく、60~99.99質量%の範囲内の含有量であってよく、80~99.99質量%の範囲内の含有量であってよい。一方、例えば、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質とを、それぞれが混合された単一の組成物中に含まれるように構成する場合のコラーゲンペプチドの含有量は、1~95質量%の範囲内の含有量であってよく、1~70質量%の範囲内の含有量であってよく、10~60質量%の範囲内の含有量であってよく、15~55質量%の範囲内の含有量であってよく、20~50質量%の範囲内の含有量であってよい。また、その場合のホエイタンパク質の含有量は、例えば、1~95質量%の範囲内の含有量であってよく、10~90質量%の範囲内の含有量であってよく、20~85質量%の範囲内の含有量であってよく、30~80質量%の範囲内の含有量であってよく、45~80質量%の範囲内の含有量であってよい。また、その場合のコラーゲンペプチドとホエイタンパク質の含有量の質量比としては、実際に投与する際の投与量比に揃えることが好ましく、例えば、10:90~90:10の範囲内であってよく、20:80~70:30の範囲内であってよく、20:80~50:50の範囲内であってよい。
本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物(コラーゲンペプチドを含有する組成物とホエイタンパク質を含有する組成物とが別体の場合も同様)においては、運動能力に対してプラス効果を有する1つ以上の追加の成分と組み合わせることができる。この種の成分は、例えばビタミンC、B、D、E、Kのビタミン類、クレアチン、L-カルニチン、L-シトルリン、L-アルギニン、例えばアントシアニン、カロチノイド、フラボノイド、レスベラトロール、グルタチオン、スーパーオキシドジスムターゼの抗酸化剤、例えば鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレン、リンのミネラル類、クレアチン、食物繊維、乳酸菌、例えば大豆、小麦、エンドウ豆タンパク質等のコラーゲン及び/又はホエイタンパク質以外のタンパク質又はその加水分解物ないしペプチド等が挙げられる。
本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物(コラーゲンペプチドを含有する組成物とホエイタンパク質を含有する組成物とが別体の場合も同様)は、適当な添加物や製剤的素材等ととともに、例えば、飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、動物飼料の等の形態に調製してもよい。
典型的に、飲食品の形態としては、例えば、ゼリー、プリン、グミ、ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー、バー菓子等の菓子類、パン類、食用油類、マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、マーガリン等の油脂食品類、ケチャップ、ソース等の調味料類、牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳製品類、うどん、そば、ラーメン、パスタ、やきそば、きしめん、そーめん、ひやむぎ、ビーフン等の麺類、味噌汁、コーンスープ、コンソメスープ等のスープ類、お茶、炭酸飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等の飲料類、流動食、ふりかけ等の形態が挙げられる。
また、典型的に、サプリメントや医薬品の形態としては、例えば、散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等の形態が挙げられる。
本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物の好ましい投与量としては、被投与者又は被投与動物の年齢や健康状態、投与継続期間、投与頻度などによって、適宜決定することができる。一般的な投与量を例示すれば、例えば、コラーゲンペプチドにして30~400mg/kg(体重)/1日の量、より好ましくは50~300mg/kg(体重)/1日の量、更に好ましくは80~200mg/kg(体重)/1日の量で投与することができる。また、ホエイタンパク質にして50~1000mg/kg(体重)/1日の量、より好ましくは150~650mg/kg(体重)/1日の量、更に好ましくは250~500mg/kg(体重)/1日の量で投与することができる。その際、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質との投与量比としては、質量比にして10:90~90:10の範囲内であってよく、20:80~70:30の範囲内であってよく、20:80~50:50の範囲内であってよい。
一般に、コラーゲンペプチドやホエイタンパク質は、従来から汎用されている食品素材であり、安全性は高いものである。このため、本発明にかかる筋損傷回復促進用組成物は、所定期間にわたって継続的に摂取するように用いられてもよく、例えば1ヶ月以上にわたって継続的に摂取するように用いられることも可能である。一方、一般的に運動習慣があるヒトにおいて、タンパク質の摂取量は1.0~2.0g/kg/1日とされている。すなわち、体重60kgのヒトであれば60~120g/1日の摂取が必要である。その場合、例えば、通常の食事から60g程度摂取可能であるとすると、本発明にかかる組成物は、更に不足したタンパク質を摂取する場合にも好適に用いられる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。また、本発明は、筋損傷の回復を促進するための組成物を提供するものであるが、別の観点からは、コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を筋損傷の回復を促進するための有効量でヒト等に投与する処置方法、治療方法、患部状態の改善方法等を提供するものであるということもできる。
以下実施例を挙げて更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[試験例1]
〔1.試験材料〕
(1-1.被験物質)
・コラーゲンペプチド:「PeptanP5000HD」(商品名、Rousselot社製)、豚皮由来、平均分子量5000、高比重タイプ(比重:0.40-0.55/cm)(コラーゲンペプチドの純度:100%)
・ホエイタンパク質:「LACTOMIN80-S」(商品名、Lactoprot Deutschland GmbH社製)、80%乳清タンパク濃縮物
(1-2.筋損傷誘導剤)
・カルディオトキシン(Cardiotoxin): 15μM Latoxan社製
(1-3.動物)
・マウス(C57BL/6J Jms Slc、SPF、雄):7週齢マウスを入荷して下記飼育環境下に1週間訓化飼育し、体重が均等となるように5匹ずつ5群に群分けして試験に供した。試験期間中の飼育環境は訓化期間中と同様とした。
<飼育環境>
・温度:18~28℃
・相対湿度:30~80%
・照明時間:12時間(7:00~19:00)
・餌:固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)、自由摂取
・飲料水:自由摂取
〔2.試験方法〕
(2-1.動物試験)
マウスの腓腹筋中腹に、カルディオトキシン(Cardiotoxin)(以下、「CTX」という場合がある。)を筋肉内投与して、CTX誘導筋肉損傷モデルを作製した。その際、CTX処置の7日前から処置14日後まで、被験物質としてコラーゲンペプチド、ホエイタンパク質、又はコラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を、ゾンデを用いて21日間経口投与した。
表1には、各試験群について、被験物質、投与用量、投与容量、CTX処置の有無、CTX処置容量、及び例数をまとめて示す。
Figure 2022040051000001
(2-2.剖検)
投与最終日の翌日に、マウスを麻酔し、腹部大動脈より採血を行って、放血致死させた後、腓腹筋を摘出した。タンパク質量測定用に一部分を取り分けて湿重量を測定し、残りをDNAマイクロアレイ用にRNA安定化剤(商品名「RNAlater」、QIAGEN製)の溶液に浸漬して、冷蔵室で一晩置いた後、溶液から取り出して-80℃以下で凍結保存した。
(2-3.タンパク質量測定)
湿重量を測定した腓腹筋をビーズ式試料破砕機用チューブに入れ、更にジルコニウムビーズと所定量(1mL)のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えて、ドライアイスによる冷却下、ビーズ式試料破砕機で3分間ホモジナイズした。12,000×g、40℃で15分間遠心し、上清を分取して、測定キット「DC Protein Assay Kit」(商品名、BIO-RAD社製)を用いてタンパク質濃度を測定した。測定キットのマイクロプレートプロトコールに従い、その際のスタンダードはBSA(Bovine Serum Albumin)のPBS溶解希釈系列0.078mg~5mg/mLとした。マイクロプレートリーダー「iMark」(商品名、BIO-RAD社製)を用いて630nmにおける吸光度を測定した。
BSAスタンダード曲線より、サンプルのBSA相当タンパク質濃度を算出した。結果は、湿重量当たりに規格化し、各測定値は平均値±標準誤差で表した。また、下記統計学的方法により有意差を検定した。
<統計学的方法>
A1群及びA2群について2群の検定を行い、F検定により分散に一様性が認められる場合にはStudentのt検定を、分散に一様性が認められない場合にはAspin welchのt検定を行った。また、A2群~A5群については、それぞれ多重比較検定を行った。多重比較検定は、Bartlett検定により分散に一様性が認められる場合にはパラメトリックのDunnett testを、分散に一様性が認められない場合にはノンパラメトリックのSteel testを行った。有意水準は5%未満とした。
(2-4.DNAマイクロアレイ)
凍結保存していた腓腹筋サンプルを素早く解凍し、各個体に「RNAiso plus」(商品名、タカラバイオ株式会社製)を用いて核酸抽出を行い、さらに液相でDNase処理して、精製キット(商品名「RNeasy MinElute Cleanup Kit」、QIAGEN製)によりtotalRNAを精製した。
得られたtotalRNAの品質管理は、RNA純度として、A260/230比が1.5以上ならびにA260/280比が1.8以上を基準とした。更に、RNAの電気泳動像から分解度RIN(RNA Integrity Number)(商品名、Agilent Technologies社製)を導出し、RIN値として、10点満点中7.0以上のRNAのみ使用した。基準適合RNAは次のステップまで冷凍(-70℃以下)保管した。
各試験群にRNAサンプルをプールして、Cy3ラベル化cRNA合成用キット「Low Input Quick Amp Labeling Kit」(商品名、Agilent Technologies社製)を用いて、Cy3ラベル化cRNAの合成と精製を行った。得られたラベル化cDNAの濃度、Cy3-CTP導入率を、260nm、280nm、550nm、及び320nmでの吸光度より算出し、基準値(Cy3-CTP導入率>6pmol/μg)を満たしていることを確認した。
各試験群のラベル化cRNAを、マイクロアレイハイブリダイゼーション用キット「Gene Expression Hybridization Kit」(商品名、Agilent Technologies社製)を用いてフラグメンテーションし、マウス遺伝子発現解析用アレイ「Whole Mouse Genome Microarray Ver2.0」(商品名、Agilent Technologies社製)に供して、65℃で17時間ハイブリダイゼーションした。その後、アレイ洗浄液「Gene Expression Wash Buffer」(商品名、Agilent Technologies社製)を用いてアレイスライドを洗浄し、マイクロアレイスキャナーでスキャンしたアレイ画像を、アレイ解析ソフトウェア「GenePix Pro」(商品名、Molecular Devices社製)で数値化した。蛍光強度値を規格化し、A1群(媒体群;CTX投与なし)に対するA2群(媒体群;CTX投与有り)、A3群(コラーゲンペプチドの単独投与群)、A4群(ホエイタンパク質の単独投与群)、又はA5群(コラーゲンペプチドとホエイタンパク質との併用投与群)の蛍光強度の比を算出した。
〔3.試験結果〕
(3-1.体重)
図1には、試験期間中のマウス体重の変化を示す。
図1に示されるように、いずれの試験群も投与期間を通じて順調な体重の増加を示し、各試験群間で有意な差異は認められなかった。このことから投与物質はいずれもマウスに対して大きな身体的影響を与えるものではなく、量、質ともに安全であることが示された。
(3-2.腓腹筋重量及びタンパク質量)
図2には、摘出した腓腹筋の湿重量と、摘出した腓腹筋のホモジナイズ上清中のタンパク質濃度を、湿重量当たりに規格化した量(比重量)で示す。
図2(a)に示されるように、摘出した腓腹筋の湿重量は、A1群(媒体群;CTX投与なし)で161.5mgであり、A2群(媒体群;CTX投与有り)で165.5mgであり、A3群(コラーゲンペプチドの単独投与群)で165.0mgであり、A4群(ホエイタンパク質の単独投与群)で148.9mgであり、A5群(コラーゲンペプチドとホエイタンパク質との併用投与群)で153.2mgであり、有意水準は5%未満とする有意差検定では、各試験群間で有意な差異は認められなかった。
図2(b)に示されるように、摘出した腓腹筋のタンパク質量(比重量)は、A1群(媒体群;CTX投与なし)で12.56mg/mLであり、A2群(媒体群;CTX投与有り)で12.38mg/mLであり、A3群(コラーゲンペプチドの単独投与群)で12.50mg/mLであり、A4群(ホエイタンパク質の単独投与群)で11.99mg/mLであり、A5群(コラーゲンペプチドとホエイタンパク質との併用投与群)で13.07gmg/mLであり、有意水準5%未満とする有意差検定では、各試験群間で差異は認められなかった。以上の結果から、本筋肉損傷モデルは筋肉全体に対して大きな損傷を与えておらず、マイクロダメージという観点でふさわしい試験系であることが示された。
(3-3.DNAマイクロアレイ)
(3-3-1.CTX誘導性筋損傷関連遺伝子の発現亢進の緩和 その1)
筋損傷誘導剤であるCTXを投与した媒体投与群では、CTXを投与しなかった媒体投与群と比較して、414個の遺伝子が発現亢進を示した。それらの発現亢進遺伝子のうち、被験物質の投与により、2倍の発現亢進率が1.14倍未満に緩和される遺伝子を抽出したところ、以下の23個の遺伝子が抽出された。
・Spp1:secreted phosphoprotein 1
・Igtax:integrin alpha X
・Gpnmb:glycoprotein(transmembrane)nmb
・Clec7a:C-type lectin domain family 7、member a
・Trem2:triggering receptor expressed on myeloid cells 2
・Lgals3:galectin-3
・C1qb:complement compoaxnent 1、q subcomponent、beta polypeptide
・Ctss:cathepsin S
・H2-Aa:histocompatibility 2、classII antigen A、alpha
・Cd83:CD83 antigen
・Isg15:ISG15 ubiquitin-like modifier
・Oasl1:2’-5’ Oligoadenylate synthetase-like 1
・Laptm5:lysosomal-associated protein transmembrane 5
・Gm7325:predicted gene 7325
・Krt18:keratin 18
・Igf2:insulin-like growth factor 2
・Myog:myogenin
・Tpm3:tropomyosin 3、gama
・Ablim1:actin-binding LIM protein 1
・Clec3b:C-type lectin domain family 3、member b
・Mest:mesoderm specific transcript
・Kcne1L:potassiumvoltage-gated channel、Isk-related family、member L-like
・BC028528:cDNA sequence BC028528
結果を、表2及び図3に示す。
Figure 2022040051000002
表2及び図3に示されるとおり、筋損傷誘導剤であるCTX投与による発現亢進を緩和した遺伝子数は、コラーゲンペプチドの単独投与群(A3群)では4個であり、ホエイタンパク質の単独投与群(A4群)では0個であったが、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質とを併用投与した試験群(A5群)では23個であった。
(3-3-2.CTX誘導性筋損傷関連遺伝子の発現亢進の緩和 その2)
筋損傷誘導剤であるCTXを投与した媒体投与群で発現亢進がみられた414個の遺伝子のうち、ホエイタンパク質の単独投与群(A4群)では、以下の17個の遺伝子について、発現が更に亢進していた。一方、コラーゲンペプチドの単独投与群(A3群)やコラーゲンペプチドとホエイタンパク質とを併用投与した試験群(A5群)では、そのような発現の更なる亢進はみられなかった。
・Lst1:leukocyte specific transcript 1
・Emr1:EGF-like module containing、mucin-like、homone receptor-like sequence 1
・Aif1:allograft inflammatory factor 1
・Clec4a1:C-type lectin domain family 4、member a1
・Slamf9:SLAM family member 9
・Fcer1g:Fc receptor、IgE、high affinity 1、gamma polypeptide
・Lcp1:lymphocyte cytosolic protein 1
・Unc93b1:unc-93 homolog B1
・Cd14:CD14 antigen
・Ly86:lymphocyte antigen 86
・Lilrb3:leukocyte immunoglobulin-like receptor、subfamily B(with TM and ITIM domains)、member 3
・Sirpa:signal-regulatory protein alpha
・Mpeg1:macrophage expressed gene 1
・Spp1:secreted phosphoprotein 1
・Tyrobp:TYRO protein tyrosine kinase binding protein
・Cyth4:cytohesin 4
・Slc11a1:solute carrier family 11(proton-coupled divalent metal ion transporters)、member 1
結果を、表3及び図4に示す。
Figure 2022040051000003
表3及び図4に示されるとおり、ホエイタンパク質の投与によるCTX誘導性遺伝子の更なる発現亢進は、コラーゲンペプチドとの併用により、媒体投与のレベルかそれ以下にまで、発現亢進が緩和した。
[試験例2]
表4に示す各試験群について、CTX投与から1日後又は7日後にマウスを剖検に処した以外は試験例1と同様にして試験を行って、マウスの体重変化、腓腹筋の湿重量・タンパク質量、及びDNAマイクロアレイの各測定項目について結果を得た。また、血漿中の炎症マーカーであるLDH活性(乳酸脱水素酵素活性)を、日立自動分析装置(3500,株式会社日立ハイテク)を使用して測定した。
Figure 2022040051000004
その結果、試験期間中のマウス体重の変化を測定したところ、いずれの試験群も投与期間を通じて順調な体重の増加を示し、各試験群間で有意な差異は認められなかった。
また、図5に示されるように、摘出した腓腹筋の湿重量は、CTX投与1日後で増加傾向、CTX投与7日後で減少傾向を示した。CTX投与1日後でB2群(媒体群;CTX投与有り)では増加が緩やかであり、反対にB3群(ホエイタンパク質群;CTX投与有り)はB2群(媒体群;CTX投与有り)と比較して有意な増加を示した。ただし、いずれも体重当たりの重量で比較すると有意な変化とは言えなかった。
また、図6に示されるように、摘出した腓腹筋のタンパク質量(比重量)は、いずれの群においてもCTX投与1日後で減少、CTX投与7日後で回復傾向を示した。なお、B1群(媒体群;CTX投与なし)に比べてB2群(媒体群;CTX投与有り)では有意な減少が認められた。
図5、図6の結果より、CTX投与1日後ではいずれの群においても腓腹筋の湿重量が増加するものの、タンパク質量(比重量)は減少しており、炎症の初期症状である浮腫の状態であることが予想される。また、CTX投与7日後ではタンパク質量(比重量)はB1群(媒体群;CTX投与なし)と同程度まで回復するものの、腓腹筋の湿重量が減少したままであることから、回復の途中段階であると考えられる。B3~B6の被験物質投与群での大きな違いはなかったものの、本試験では筋肉が損傷を受けてから炎症、再生を行うという事象を観察するのに適したモデルとタイムポイントであると考えられる。
また、図7に示されるように、血漿中の炎症マーカーである乳酸脱水素酵素(LDH)活性は、CTX投与1日後において、B1群(媒体群;CTX投与なし)と比べて媒体群では約4倍の有意な増加が認められた。B2群(媒体群;CTX投与有り)で認められたLDH活性の上昇に対して、B3~B6の被験物質投与群はいずれも減少傾向を示した。B3群(ホエイタンパク質群;CTX投与有り)についてはB2群(媒体群;CTX投与有り)に比べて統計学的に有意な減少が認められたが、他の被験物質投与群のLDH活性の平均値と比べて大きな違いは見られなかったことから、考慮する必要はないと考える。また、CTX投与7日後ではいずれも有意な変化は見られなかった。
CTXによる筋損傷モデルマウスは一般的に用いられており、筋組織の約75~90%が破壊される。CTXはヘビの毒液から分離され、筋線維膜の脂質を透過または加水分解することにより、Ca2+流入の増加を引き起こし、線維脱分極により筋線維の過収縮と壊死を起こす。筋肉内で容易に拡散し、全体にわたって均一な筋線維の損傷を引き起こすことが特徴である。以上の機序および図7から考察するに、今回のモデルにおいて、薬品でなく食品の摂取では損傷の程度を緩和するような予防効果は期待できないと考えられる。つまり、図7でB3~B6の被験物質投与群がB2群(媒体群;CTX投与有り)と比較してLDH活性が低下した理由として、炎症の早期収束によるものであると推察できる。
また、図8に示されるように、CTX投与1日後のコラーゲンペプチド及びホエイタンパク質の併用投与群において、下記に示す炎症応答・マクロファージ、ECM(細胞外マトリックス)、血管新生阻害に関わる遺伝子の発現亢進の緩和が認められた。
・Irg1:immunoresponsive gene 1
・Oasl1:2’-5’-oligoadenylate synthase-like protein 1
・Ccl2:C-C motif chemokine 2
・Il1rn:Interleukin-1 receptor antagonist protein
・Il10rb:interleukin 10 receptor subunit beta
・Litaf:lipopolysaccharide induced tnf factor
・Tnfrsf1b:tnf receptor superfamily member 1b
・Mmp9:matrix metalloproteinase 9
・Thbs1:thrombospondin 1
たとえば、Irg1はM1マクロファージ(炎症誘発性マクロファージ)で高度に発現しており、イタコン酸を生成する。イタコン酸はM1マクロファージ自身に作用し、M2マクロファージ(炎症抑制性マクロファージ)への変化を誘導する。M2マクロファージへの誘導は骨格筋再生などの修復反応に不可欠のステップと考えられている。よって、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質の併用により筋肉の炎症が早期に収束し、すみやかに修復過程へ移行したと考えられた。
また、Mmp9は分泌型メタロプロテアーゼの一つであり、細胞外マトリックス(ECM)の再構成を伴うため、ECMを分解するプロテアーゼが必須となる。筋損傷ではないが、褥瘡の炎症期ではコラーゲンペプチドの摂取によりMmp9の発現量が増加するという報告がある。また、本試験と同様のCTXによる筋損傷モデルマウスにおいて、CTX投与1日後にMmp9遺伝子発現のピークを示すという報告がされている。よって、本試験のB4~B6群ではコラーゲンペプチドを摂取しているため、Mmp9の遺伝子発現が最初から低いとは考えにくく、CTX投与1日後より前に一度高発現してから低下したと考えるのが妥当である。このことからも、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質の併用により、炎症が早期に収束したといえる。
試験例1や試験例2のDNAマイクロアレイの結果、コラーゲンペプチドやホエイタンパク質のいずれかの単独投与では起こらない効果が、併用投与群において起こっていると考えられた。
CTX誘導性遺伝子の発現亢進の緩和という現象は、筋肉損傷の修復が早まった結果ととらえることができる。
一般に、筋損傷からの回復は以下のような段階を踏む。
・第1段階:損傷直後から好中球やマクロファージなどの炎症性細胞の浸潤が生じる。同時期にこれらの細胞から放出されるサイトカインや増殖因子によって筋衛星細胞は活性化される。
・第2段階:損傷数時間後から数日の間で、活性化した筋衛星細胞は増殖し筋芽細胞へと分化する。
・第3段階:それと並行して1週間程度の間に筋芽細胞は互いに融合し、多核の筋管細胞となる。
・第4段階:筋管細胞は肥大して成熟した筋線維へと変化する。
具体的には、試験例1のコラーゲンペプチドの単独投与群では、炎症応答に関わる遺伝子において、CTX誘導性遺伝子の発現亢進が緩和されていたが、コラーゲンペプチドにおいては変形性膝関節症に伴う炎症反応の抑制に効果があることが報告されていることから、コラーゲンペプチドの単独投与群の結果としては妥当な結果であると考えられた。
一方、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質との併用投与群においては、試験例1でコラーゲンペプチドの単独投与群で観察された炎症応答に関わる遺伝子において亢進緩和効果が同じく認められていることに加えて、試験例1および2でコラーゲンペプチドやホエイタンパク質の単独投与群では変化が認められなかった筋損傷・修復・再生・分化に関する報告がある遺伝子群において、CTX誘導性遺伝子の発現亢進緩和が認められた。試験例1のCTX投与14日後は上記の筋損傷回復の第4段階、試験例2のCTX投与1日後は第1~2段階、試験例2のCTX投与7日後は第2~3段階であると考えられる。よって、本試験は第1~2段階の時点から筋損傷早期回復に効果があると考えられ、その結果第4段階においても回復効果をもたらしているといえる。しかも、その併用投与群における効果は、単独投与群における被験物質の投与量の半量ずつを組み合わせた投与量で顕著に認められただけでなく、総量併用でも同様の効果が得られた。
本試験の結果、コラーゲンペプチドとホエイタンパク質とを併用して摂取することにより、筋損傷時における炎症反応の早期収束と筋修復・再生・分化を促進させることができたことから、特に上記第1段階から第2段階への移行を早めて筋損傷回復に効果をもたらしたと考えられる。
ヒト等価用量(HED)は、以下の式を使用して推定することができる:
HED=動物用量(mg/kg)×(動物のKm/ヒトのKm)
(マウスのKmは3であり、ヒトのKmは37である。)
したがって、マウスにおける1g/Kg、2g/Kg、4g/Kgの用量はおよそ60Kgのヒトに対して、それぞれ約5g、約10g、約20gとなる。
よって、試験例1および2のコラーゲンペプチドとホエイタンパク質の併用群における投与量は、ヒトに換算するとコラーゲンペプチド+ホエイタンパク質=5g+10g~10g+20gであるといえる。
以下に、本発明の筋損傷回復促進用組成物を構成する処方例を挙げる。
(処方例1)粉末飲料組成物
ホエイタンパク質 WWP8010(商品名、日本新薬) 65質量%
コラーゲンペプチド PeptanP5000HD(商品名、Rousselot) 20質量%
グラニュー糖 7質量%
ココアパウダー 7質量%
スクラロース 0.4質量%
チョコレート香料 0.3質量%
乳化剤 0.3質量%
この粉末飲料組成物を20g程度量りとり、水、豆乳、牛乳等200~300mLで溶解して飲料を調製することができた。得られた飲料は、運動前後の摂取用飲料、おやつ、就寝前の摂取用飲料などとして、摂取量は50~600mL/1日で、日常的に摂取可能な飲料であった。
(処方例2)バー菓子
大豆パフ 43.3質量%
グラニュー糖 14.4質量%
ショートニング 13.1質量%
コラーゲンペプチド PeptanP5000HD(商品名、Rousselot) 13.1質量%
ホエイタンパク質 WWP9010(商品名、日本新薬) 8質量%
ココアパウダー 3質量%
アーモンド 3質量%
カカオマス 1質量%
チョコレート香料 0.7質量%
乳化剤 0.3質量%
スクラロース 0.1質量%
このバー菓子は、朝ごはんの代用食品、運動前後の摂取用食品、おやつなどとして、1本あたり25~60g/1日で、日常的に摂取可能なバー菓子であった。
(処方例3)ドリンク
グラニュー糖 15質量%
コラーゲンペプチド PeptanP5000HD(商品名、Rousselot) 3.2質量%
ホエイタンパク質 ラクトクリスタルplus(商品名、日本新薬) 3.2質量%
クエン酸 0.7質量%
寒天 0.2質量%
香料 0.2質量%
水 77.5質量%
このドリンクは、運動前後の摂取用ドリンク、おやつなどとして、摂取量は50~200mL/1日で、日常的に摂取可能なドリンクであった。

Claims (4)

  1. コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質を有効成分とする筋損傷回復促進用組成物。
  2. 飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、又は動物飼料の形態である、請求項1記載の筋損傷回復促進用組成物。
  3. コラーゲンペプチド及びホエイタンパク質の、筋損傷回復促進用組成物の製造のための使用。
  4. 前記筋損傷回復促進用組成物は、飲食品、食品添加物、医薬品、サプリメント、又は動物飼料の形態である、請求項3記載の使用。
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