JP2019156814A - セロトニン産生促進用組成物 - Google Patents

セロトニン産生促進用組成物 Download PDF

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桃子 宮川
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Abstract

【課題】 セロトニンの産生を促進する物質を提供すること。【解決手段】ラクトフェリンを有効成分として含むセロトニン産生促進用組成物; 好適には前記組成物が医薬組成物又は飲食品組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、セロトニン産生促進用組成物に関する。
セロトニンは、5−ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine:略称「5−HT」)とも呼ばれ、動植物中に広く分布し、様々な生理機能に関与していることから、セロトニンに関連する研究開発が進められている。
例えば、抗不安薬として薬物治療に用いられているパロキセチンは、脳内セロトニン神経でセロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内シナプス間隙に存在するセロトニン濃度を高め神経伝達能力を上げて、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられている。
また、抗不安薬として薬物治療に用いられているアザピロン系のアンドスピロンは、セロトニン5−HT1A自己受容体に作用してセロトニンの合成を抑制すると共にセロトニンの放出を抑制することで、抗不安作用と抗うつ作用を示すと考えられている。
さらに、セロトニンは、体内では脳内及び腸内で産生されていることが知られている。セロトニンは、腸内では主に小腸にある腸クロム親和性細胞及び腸クロム親和性細胞様細胞で産生され、腸の蠕動運動や透過性の調節に機能していることが知られている。一方で、セロトニンは、脳内では神経細胞で産生され、生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節等の様々な生理機能に関与していることが知られている。
セロトニンの具体的な役割として、例えば、セロトニンが体温調節に関係していること、セロトニンの合成抑制が低体温を引き起こすこと、また5−HT2A受容体の活性化が体温上昇に作用することが報告されている(非特許文献1及び2)。
また、ショウジョウバエモデルを使った試験ではセロトニンが睡眠量を高めることが報告されている(非特許文献3)。
また、セロトニンが食欲抑制や偏頭痛緩和に関連しているという報告もある(非特許文献4)。さらに、セロトニンがグリア細胞の増殖、髄鞘形成を促進し、乳児の脳の形態機能発達を促進することが報告されている(非特許文献5)。
また、特許文献1には、安定性、安全性、価格に優れたセロトニンの再吸収阻害及び放出促進剤、それらを含有する組成物を提供することを目的とし、ケール、プロポリス又はそれらの抽出物を含有することを特徴とするセロトニン関与疾患治療薬が提案されている。
特開2003−300892号公報 特開2009−149550号公報
Involvement of serotonin in the ventral tegmental area in thermoregulation of freely moving rats. Neurosci Lett. 2017 Jul 13;653:71-77. Control of cutaneous blood flow by central nervous system. Temperature (Austin).2015 Jul 28;2(3):392-405. A sleep-promoting role for the Drosophila serotonin receptor lA. Curr Biol. 2006 Jun 6;16(11):1051-62. Tryptophan supplementation and serotonin function: genetic variations in behavioural effects. Proc Nutr Soc. 2018 Jan 25:1-15. The effects of serotonin on the morpho-functional development of rat cerebral neocortex in tissue culture, Brain Res., 1986 Mar 26:369(1-2):285-97
上述のようにセロトニンは種々の生理機能に関与しているので、セロトニン自体を産生促進できる物質の研究開発が望まれている。
そこで、本技術は、セロトニンを産生促進する物質を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、全く意外にもラクトフェリンがセロトニン産生を促進することを見出し、本発明を完成させた。
これまで、ラクトフェリンを有効成分として含有する乳幼児用脂質吸収促進剤(例えば特許文献2)等の報告はあるが、しかしラクトフェリンがセロトニンを産生促進するという報告はなかった。
本発明は、以下のとおりである。
本技術は、ラクトフェリンを有効成分として含むセロトニン産生促進用組成物を提供するものである。
前記組成物が医薬組成物又は飲食品組成物であってもよい。
本技術によれば、セロトニンを産生促進する物質を提供することができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
<1.ラクトフェリン>
本技術で使用される「ラクトフェリン」は、乳、涙、唾液、血液等に存在する鉄結合性糖タンパク質である。ラクトフェリンは、特に哺乳動物(例えば、ウシ、ヒト、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ウマ等)の乳(初乳、移行乳、常乳、末期乳等)に含まれる。このうち、含有量、入手容易、安全性の点から、ウシ、ヒト等の乳が好ましい。
これらの分子量は、例えばウシラクトフェリンが86,000ダルトン、ヒトラクトフェリンが88,000ダルトン(以下、「Da」とする。)である。
本技術において、これらの乳又はこれらの処理物(脱脂乳、ホエー等)から常法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー等)により分離したラクトフェリン(以下、「分離ラクトフェリン」ともいう);分離ラクトフェリンを、酸(例えば、塩酸、クエン酸等)により脱鉄したアポラクトフェリン;分離ラクトフェリンを、金属(鉄、銅、亜鉛、マンガン等)でキレートさせた金属飽和ラクトフェリン;各種飽和度で金属を飽和させたラクトフェリン等が挙げられる。
本技術において、ラクトフェリンは哺乳動物由来に限定されず、遺伝子操作微生物や動物等から生産された組み換えラクトフェリン;化学合成ラクトフェリン等が挙げられる。
また、ラクトフェリンは、非グリコシル化又はグリコシル化されたものでもよい。
このうち、単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
また、ラクトフェリンは、市販品を用いてもよく、乳等の原料から調製してもよい。入手容易性から、市販品のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製等)が挙げられ、また、分離ラクトフェリンの調製方法は、公知の調製方法を用いればよい(例えば、特許文献2)。
<2.本技術のラクトフェリンの用途>
本技術のラクトフェリンは、後記実施例に示すように、セロトニン産生促進作用を有する。後記実施例に示すように、ラクトフェリン投与によりセロトニン産生量が速やかに増加し安定的な量で持続するので、本技術のラクトフェリンは即効性及び安定的な持続性を有する。このことから、本技術のラクトフェリンは、即効作用及び持続作用を有するので、一時的なセロトニン量の減少又は不足に起因する症状又は疾患に対して有効である。
さらに本技術のラクトフェリンは副作用が少なく安全性が高い。このことから、本技術のラクトフェリンは、長期間に渡り、セロトニン量の減少又は不足に起因する症状又は疾患を予防又は改善することができる。
また、後記実施例に示すようにヒト小児由来神経芽細胞腫を使用していることから、本技術のラクトフェリンは乳幼児に対して好ましい効能を発揮すると本発明者らは考える。
ここで、セロトニンには、上述のとおり、体温調節作用、睡眠促進作用、食欲抑制作用、偏頭痛緩和作用、乳児脳発達促進作用等の各種作用が認められている(非特許文献1〜5参照)。
また、本技術のラクトフェリン又は当該ラクトフェリン含有組成物は、上述した体内セロトニン量の減少又は不足に起因する症状又は疾患に有効である。本技術は、精神疾患にならない程度にセロトニンの産生能力があるにも関わらず、加齢や疲労等の内的要因によって生体内でのセロトニンの産生能力が低下し、体内のセロトニン産生量が減少するようなとき、又はこのような対象者に用いることが好適である。また、セロトニンは乳幼児の脳の形態機能発達を促すことから、本技術のラクトフェリン又は当該ラクトフェリン含有組成物は中枢神経系の発達時期にある乳幼児に投与されることが好ましい。本技術のラクトフェリン又は当該ラクトフェリン含有組成物は、体内セロトニンの産生促進に用いることができる。
したがって、本技術のラクトフェリンは、有効成分としてセロトニン産生促進用組成物に含有させることができ、また、上述した各種効能を期待する組成物に含有させることができ、これら各種組成物は製剤としても使用できる。
本技術のラクトフェリンは、ラクトフェリン自体を単独としてそのまま用いることが可能であり、又は生理的若しくは薬剤学的に許容される通常の担体若しくは希釈剤と共に混合して用いることもできる。
また、本技術のラクトフェリンは、医薬、飲食及び飼料等の種々の用途及び種々の組成物に使用できる。
また、本技術は、上述したセロトニン産生促進等の目的のために用いる、ラクトフェリン又はその使用を提供することができる。また、本技術のラクトフェリンは、体内でセロトニンを産生促進する方法の有効成分として使用することができる。
また、本技術のラクトフェリンは、上述した効能を有する又は使用目的の各種製剤又は各種組成物等の製造のために使用することができる。
また、本技術のラクトフェリン又は当該ラクトフェリン含有組成物は、体内セロトニン量減少又は不足に起因する各種症状及び疾患に対する予防、改善又は治療に使用することが可能である。
なお、本技術のラクトフェリンは、適用対象であるヒト若しくは非ヒト動物(好適には霊長類)に使用してもよく、ヒト及びペットが好ましく、より好ましくはヒトである。より好適には乳幼児である。
また、本技術は、治療目的使用であっても、非治療目的使用であってもよい。
「非治療目的」とは、医療行為、すなわち、治療による人体への処置行為を含まない概念である。例えば、健康増進、生活習慣病予防(例えば、境界領域の予備軍)等が挙げられる。
「予防」とは、適用対象における疾患若しくは症状の発症の防止や遅延、又は適用対象の疾患若しくは症状の危険性の低下をいう。
「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;悪化の防止又は遅延;進行の逆転、防止又は遅延をいう。
また、本技術に用いられるラクトフェリンは、水に溶けやすいので加工安定性に優れており、苦みが少なく、風味が良好で、またラクトフェリンは経験的に安全性も高いので、安心して継続して長期間摂取することができる。よって、本技術のラクトフェリンによれば、優れたセロトニン産生促進作用を有し、風味が良好で飲みやすい経口摂取用の組成物を提供することができる。
本技術のセロトニン産生促進用組成物に含まれるラクトフェリンの量は、特に制限されないが、好ましくは0.0001〜75質量%、より好ましくは0.001〜50質量%である。
本技術のセロトニン産生促進用組成物におけるラクトフェリンの割合は、摂取者が1回当たりに摂取するセロトニン産生促進用組成物の量と、ラクトフェリンの量に応じて決定すればよい。
なお、1回当たりのラクトフェリンの量は、摂取者の性別、年齢、状態、患者であれば疾患の重篤度などに応じて適宜決定すればよい。
本技術のラクトフェリンの使用量が、例えば、0.1〜10000mg/日とすることが好ましく、1〜2000mg/日とすることがより好ましく、10〜1000mg/日とすることがさらにより好ましい。体重1kg当たりの換算量としては、0.01〜1000mg/kg体重/日とすることが好ましく、0.1〜200mg/kg体重/日とすることがより好ましく、1〜100mg/kg体重/日とすることがよりさらに好ましい。
また、本技術のラクトフェリンの用法(投与又は摂取方法、この回数及び期間)は特に限定されない。本技術が医薬用、飲食品用、飼料用の場合でも、当該本技術のラクトフェリンの用法と同様にして行うことが好ましい。
本技術のラクトフェリンの1日当たりの投与又は摂取回数は特に制限されず、1日当たりのラクトフェリンの投与量又は摂取量に応じて適宜決定することが可能である。
また、本技術のラクトフェリンは、後記実施例に示すように即効性が高く、また持続性があるので、体内セロトニン量減少又は不足に起因する症状を感じたとき又は当該症状が見られたときに投与又は摂取することが、一時的な症状を予防又は改善し易いので好適である。当該投与又は摂取後の効能が発揮する期間として、予防又は改善の観点から、投与又は摂取後1時間以上経過したときが好ましく、2時間以上経過したときがより好ましく、3時間以上経過したとき効能がより良好に発揮しやすいのでさらに好ましい。また、1回投与又は摂取した後の持続時間として、好ましくは5時間まで効能が持続可能であり、より好ましくは4時間まで効能が持続可能であり、さらに好ましくは3時間まで効能がより良好に持続可能である。
本技術のラクトフェリンの用法は、経験的に安全性が高いこともあり、ある程度の期間、恒常的に継続的に摂取することが可能であり、好ましい。当該投与又は摂取期間としては、予防又は改善の観点から、1週間以上が好ましく、2週間以上がより好ましく、3週間以上の間投与又は摂取することがさらに好ましい。
[1]医薬組成物
本技術に用いられるラクトフェリンは、上述したセロトニン産生促進作用等の効能を有するため、体内セロトニン量減少又は不足に起因する症状又は疾患の予防、改善又は治療に有効な医薬組成物等として利用することができる。
かかる医薬組成物に含まれるラクトフェリンの量は、特に制限されないが、他成分を含む場合、好ましくは0.0001〜75質量%、より好ましくは0.001〜50質量%である。
当該医薬組成物の投与量は、特に限定されず年齢、性別、症状の程度等に応じて決定されるが、有効成分としてのラクトフェリンの投与量として、0.1〜10000mg/日とすることが好ましく、1〜2000mg/日とすることがより好ましく、10〜1000mg/日とすることがさらにより好ましい。体重1kg当たりの換算量としては、0.01〜1000mg/kg体重/日とすることが好ましく、0.1〜200mg/kg体重/日とすることがより好ましく、1〜100mg/kg体重/日とすることがよりさらに好ましい。また、1日の投与量を複数回に分けてもよく、1日1回から3回に分けることが好ましいが、2回に分けることがより好ましい。
なお、本技術の医薬組成物の用法は、上述した「本技術のラクトフェリンの用法」を採用することができる。
投与経路は、例えば経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、経粘膜投与、鼻腔内投与、直腸内投与等が挙げられる。このうち、経口投与(経口摂取)が好ましい。
なお、投与対象は、通常、ヒトであることが好ましいが、ヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ、ネコ等のペット動物、ウシ、ヒツジ、ブタ等の家畜も含むものとする。
投与形態(又は製剤)としては、固体製剤及び液体製剤のいずれの形態でもよく、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、注射剤、粉末剤、噴霧製剤等が挙げられる。
本技術の医薬組成物は、製薬上許容可能な担体を含んでいてもよい。かかる担体には、賦形剤又は希釈剤が含まれ、例えば、デキストラン類、サッカロース、ラクトース、マルトース、キシロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、カルボキエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、トラガカント、アクリル酸コポリマー、エタノール、生理食塩水、リンゲル液等が挙げられる。
前記担体に加えて、必要に応じて防腐剤、安定化剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、増粘剤、ゲル化剤、抗酸化剤等の添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、製薬の際に使用されるものが好ましい。
本技術のラクトフェリンを有効成分として含む医薬組成物を製造する際は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。
本技術に係る体内セロトニン量減少又は不足に起因する各種症状又は疾患のための予防、改善又は治療用医薬組成物は、他の医薬品と組み合わせて使用してもよい。 組み合わせて使用する医薬品は、本技術の体内セロトニン量減少又は不足に起因する各種症状又は疾患のための予防又は治療用医薬組成物の投与と同時に、投与前に、あるいは投与後のいずれかの時点で投与することができる。その投与量は特に限定されないが、市販の医薬品である場合、医薬メーカーによって指示される投与量であることが好ましい。
[2]飲食品組成物及び飼料組成物
本技術に用いられるラクトフェリンは、上述したセロトニン産生促進作用等に用いるためのヒト若しくは動物用の飲食品、健康食品、機能性食品、病者用食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品等(以下、「飲食品等」ともいう)の有効成分として、これらに配合して使用可能である。
例えば、本技術に用いられるラクトフェリンは、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販食品や、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等に添加して用いることができる。飲食品の形態は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず用いることができる。
かかる飲食品組成物に含まれるラクトフェリンの量は、特に制限されないが、他成分を含む場合、好ましくは0.0001〜75質量%、より好ましくは0.001〜50質量%である。
本技術の飲食品組成物の摂取量は、特に限定されないが、有効成分としてのラクトフェリンの摂取量として、0.1〜10000mg/日とすることが好ましく、1〜2000mg/日とすることがより好ましく、10〜1000mg/日とすることがさらにより好ましい。体重1kg当たりの換算量としては、0.01〜1000mg/kg体重/日とすることが好ましく、0.1〜200mg/kg体重/日とすることがより好ましく、1〜100mg/kg体重/日とすることがよりさらに好ましい。また、1日の摂取量を複数回に分けてもよく、1日1回から3回に分けることが好ましいが、2回に分けることがより好ましい。
本技術の飲食品組成物の摂取方法は、上述した「本技術のラクトフェリンの用法」を採用することができる。
本技術で定義される飲食品等は、特定の用途(特に保健の用途)や機能が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
本技術の飲食品組成物は、上述したセロトニン産生促進に用いるための、又は体内セロトニン量減少若しくは不足に起因する症状又は疾患(これら予備軍含む)の予防・改善に用いるため、の保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。かかる表示としては、例えば、「睡眠量を高めたい方」、「食欲を抑制したい方」へ等と表示することが挙げられる。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
〔発酵飲食品及びその製造方法〕
本技術は、セロトニン産生促進に用いる発酵食品を提供することができ、セロトニン産生促進用ラクトフェリンを含有する発酵飲食品であってもよい。
本技術の発酵飲食品の製造方法について、以下に説明するが、これに限定されるものではない。
本技術の発酵飲食品の製造方法は、ラクトフェリンを発酵飲食品の原料として使用できる。本技術のラクトフェリンは、発酵飲食品の発酵工程前及び/又は発酵工程後のいずれにおいても使用することができる。例えば、これらを原料として含んで発酵工程を経て、発酵飲食品が製造されてもよい。そのような飲食品としては、乳酸菌飲料及び発酵乳等が挙げられる。
以下、ラクトフェリンを発酵前の原料として使用した場合の一例を挙げて説明するが、本技術の発酵飲食品の製造方法は、これに限定されるものではない。
本技術の製造方法において、ラクトフェリンを発酵乳原料として含む調乳液を殺菌し、殺菌調乳液に発酵菌を添加してpH5.0以下になるまで発酵させることができる。また、発酵乳原料に発酵菌を添加してpH5.0以下になるまで発酵させた後にラクトフェリンを混合することもできる。
前記発酵菌として、乳酸菌スターター及び/又はビフィドバクテリウム属細菌とを添加して発酵させることが好適である。
本技術に使用する発酵乳の原料として、ラクトフェリンを配合する以外は一般的な発酵乳の原料を使用することができる。
一般的な発酵乳原料として、乳由来の原料であって発酵菌を用いて発酵させることにより発酵飲食品を製造することができるものを含むものであれば特に制限されず、乳又はその分画物又は加工品(例えば牛乳、脱脂乳、生クリーム、バター、全粉乳、及び脱脂粉乳、又はこれらを水に混合、溶解または懸濁させたもの等)等が挙げられる。乳は、特に動物の由来は限定されないが、ウシ由来のものが好ましい。
前記発酵乳原料として、必要に応じて蔗糖等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツジュース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着色料、安定剤、還元剤等の任意成分を配合してもよい。
前記発酵乳原料は、発酵前に、常法に従って殺菌、均質化、冷却等を施してもよい。
前記発酵乳原料(好適には調乳液)に、乳酸菌スターター及び/又はビフィドバクテリウム属細菌を含む発酵菌を加えて発酵を行ってもよい。これらの発酵菌のうち任意の細菌を、複数回接種してもよい。
また、前記発酵乳原料に接種する「乳酸菌スターター」は、単一の菌株であってもよく、複数の菌株の組み合わせであってもよい。
本技術における「乳酸菌スターター」としては、飲食品の製造に用いられるものであれば特に制限されない。当該「乳酸菌スターター」としては、例えば発酵飲食品がヨーグルトの場合、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス、ストレプトコッカス・サーモフィルス等が挙げられ、これらの乳酸菌は、単一の菌株であってもよく、複数の菌株の組み合わせであってもよい。
本技術の発酵菌の発酵乳原料への接種量は特に制限されない。
本技術の乳酸菌及びビフィドバクテリウム属細菌については、好ましくは10〜10CFU/mL乳原料、より好ましくは10〜10CFU/mL乳原料である。
前記ビフィドバクテリウム属細菌については、好ましくは10〜10CFU/mL乳原料、より好ましくは10〜10CFU/mL乳原料である。
発酵乳原料に接種するビフィドバクテリウム属細菌及び/又は他の乳酸菌は、予め他の培地で種培養又は前培養しておくことが好ましい。
本培養前に使用する培地としては、ビフィドバクテリウム属細菌及び/又は他の乳酸菌の培養に適した培地であれば特に制限されないが、例えば、還元脱脂粉乳を含む培地が挙げられる。
この還元脱脂粉乳の濃度は、3%(W/W)以上が好ましく、8%(W/W)以上が特に好ましい。また種培養又は前培養に用いられる培地には、酵母エキス等の生育促進物質や、L−システイン等の還元剤等を添加してもよい。
特にビフィドバクテリウム属細菌を使用する場合は、還元脱脂粉乳を含む培地での増殖性が低いため、生育促進物質、例えば、0.1〜1%(W/W)の酵母エキスを含有する培地を用いることが好ましい。なお、培地の殺菌条件は、前記と同様である。
本技術の発酵飲食品の製造方法における、培養温度、培養時間等の発酵条件は、通常の発酵飲食品の製造と同様の条件を採用することができる。例えば、培養温度は30℃〜42℃が好ましく、36℃〜40℃がより好ましい。培養時間は、製造する発酵飲食品の種類によって適宜設定することができるが、通常、4〜18時間が好ましい。
本技術の発酵飲食品の製造方法で得られた発酵飲食品は、通常の発酵飲食品と同様に適宜加工することができる。例えば、発酵後の発酵飲食品をそのまま食品としてもよいし、均質化して液状に加工してもよい。さらに、蔗糖等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツジュース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着色料、安定剤、還元剤等を添加してもよい。また、発酵飲食品は、適宜、容器に充填してもよい。
上述にて得られた発酵飲食品には、ラクトフェリンが含まれており、これにより本技術の効能を良好に発揮することができる。
また、本技術は、上述したセロトニン産生促進作用等に用いるための動物用の飼料の有効成分として、使用可能である。本技術は、公知の飼料に添加して調製することもできるし、飼料の原料中混合して新たな飼料を製造することもできる。
前記飼料の原料としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。また、前記飼料の形態としては、例えば、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
また、飼料に用いるときのラクトフェリンの用法及び用量は、上述した本技術のラクトフェリンの用法を採用することができる。
このように、本技術は、飲食品、飲食品組成物、機能性食品、医薬品、飼料等の幅広い分野に使用することができる。
また、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕
ラクトフェリンを有効成分として含むセロトニン産生促進用の組成物、又は体内セロトニン量減少に起因する症状又は疾患(これら予備軍を含む)の予防・改善・治療に用いる組成物。
〔2〕
セロトニン産生促進のために用いるラクトフェリン、又は体内セロトニン量減少に起因する症状又は疾患(これら予備軍を含む)の予防・改善・治療のために用いるラクトフェリン。
〔3〕
セロトニン産生促進のためのラクトフェリンの使用、又は体内セロトニン量減少に起因する症状又は疾患(これら予備軍を含む)の予防・改善・治療のためのラクトフェリンの使用。
〔4〕
ラクトフェリンを投与又は摂取する段階を含むセロトニン産生促進方法、又は、ラクトフェリンを投与又は摂取する段階を含む体内セロトニン量減少に起因する症状若しくは疾患の予防・改善・治療の方法。
〔5〕
セロトニン産生促進用組成物の製造のための、又は体内セロトニン量減少に起因する症状若しくは疾患の予防・改善・治療用の組成物の製造のための、ラクトフェリンの使用。
〔6〕
前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1つにおいて、好適には医薬用、飲食品用又は飼料用であり、組成物の場合には医薬組成物、飲食品組成物又は飼料組成物である。
〔7〕
前記〔1〕〜〔6〕の何れかにおいて、好適には、対象者が乳幼児であり、当該乳幼児に投与又は摂取する。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験例1]
10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−Glutamin、50IU/ml Penicillin、及び50μg/ml Streptomycinを加えたEMEMと、Ham’s−F12との1:1混合培地に、ヒト小児由来神経芽細胞腫であるLA−N−1細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社)を4.5×10cells/wellとなるよう播種し、37℃・8%COの条件下で5日間培養した。前記細胞を播種してから1日後及び4日後に10μM Retinoic Acidを添加した。そして、播種5日後にラクトフェリンを添加し、3時間後に培養上清を回収した。当該上清中のセロトニン含量を市販のセロトニン測定用ELISAキット(Enzo社製)を用いて測定した。
前記ラクトフェリンは、培地中の濃度が、1μg/mL、10μg/mL、及び100μg/mlとなるように添加した3つのパターンで培養し、ラクトフェリン無添加で培養したものを対照試料とした。t検定により統計学的有意差を検討した。
なお、ラクトフェリンは、ウシ乳汁より抽出した市販品(森永乳業社製)を用いた。
その結果、ラクトフェリンを添加した場合には、ラクトフェリンの濃度の増加に伴って、培養上清中のセロトニン含量が増加することが確認された。
[試験例2]
試験例2では、ラクトフェリン添加後の培養時間を変更してセロトニンの産生量を測定した。
すなわち、試験例1と同様の手順にて細胞培養を実施し、LA−N−1細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社)の播種5日後にラクトフェリン(森永乳業社製)を100μg/mL添加し、添加後1、3及び4時間後の培養上清を回収してセロトニン含量を測定した。また、ラクトフェリンを添加しないサンプル(対照試料)についても、同様に1、3及び4時間培養した後の培養上清を回収してセロトニン含量を測定した。さらに、ラクトフェリン添加前の培養上清(0時間)のセロトニン含量も測定した。
その結果、ラクトフェリンを添加した場合には、添加後1時間の培養でセロトニンの産生が、無添加の場合に比べて有意に増加した。一方、それ以降の培養時間を3時間又は4時間と増やしても、セロトニンの産生に大きな変動はなかった。すなわち、ラクトフェリンの添加による効果は、短時間で発揮されることが確認された。
以上のことから、ラクトフェリンは、低濃度及び短時間で、神経細胞におけるセロトニンの産生を促進させることが確認された。
[製造例1:発酵乳]
牛乳、脱脂乳、クリーム等の乳製品を適宜混合して、(A)乳タンパク質 3.5質量%以上、(B)乳脂肪 3.5質量%以下、(C)炭水化物 5.0質量%以上、及び(D)カルシウム 0.15質量%以上を含む発酵乳原料を調製する。当該発酵乳原料に、ブルガリクス菌およびサーモフィルス菌の混合スターター(クリスチャン・ハンセン社製)を0.02質量%添加し、40℃で発酵させて、乳酸酸度0.80%に達するまで発酵して発酵乳ベースを調製する。
次に、ラクトフェリン(森永乳業社製)3.5質量%を水に溶解し、80℃まで加温し、5分間保持して殺菌処理した後に10℃まで冷却してラクトフェリン溶液を調製する。
前記ラクトフェリン溶液を、前記発酵乳ベースと前記ラクトフェリン溶液の総量に対して3質量%となるように混合して、ラクトフェリン入り発酵乳を製造する。
ラクトフェリンの1日摂取量が、1〜100mg/kg体重/日になるように、本技術のセロトニン産生促進用発酵乳を毎日継続して摂取する。これにより、体内でのセロトニン産生促進効果が期待できる。
[処方例1:セロトニン産生促進用粉末]
ラクトフェリンに賦形剤等の各種任意成分を混合して、セロトニン産生促進用粉末を得る。当該粉末は、サプリメントとして使用することができ、また水と混合することで飲料とすることができる。また、当該粉末は、カプセル容器に充填又はカプセル皮膜することで、セロトニン産生促進用カプセル剤とすることができる。当該粉末は、圧縮成形することで、セロトニン産生促進用錠菓とすることができる。当該粉末により、セロトニン産生促進効果が期待できる。

Claims (2)

  1. ラクトフェリンを有効成分として含むセロトニン産生促進用組成物。
  2. 前記組成物が医薬組成物又は飲食品組成物である、請求項1に記載の組成物。
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