JP2022039007A - 希土類アルミニウムガーネット焼結体及びその製造方法、ファラデー素子、並びに磁気光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長1μm帯のレーザー光に対してヴェルデ定数(VC)及び消光比が高いとともに吸収係数が小さい希土類アルミニウムガーネット焼結体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成(ただし、0<x≦0.35)を有する希土類アルミニウムガーネット焼結体。【選択図】図1
Description
本発明は、希土類アルミニウムガーネット焼結体及びその製造方法、ファラデー素子、並びに磁気光学素子に関する。
近年、レーザーの高出力化が進み、それに伴い、レーザー加工の使用が拡がっている。レーザー加工では、波長1μm帯(0.9~1.1μm)のファイバーレーザー(FL)が用いられている。ファイバーレーザーは、イッテルビウム(Yb)を添加した光ファイバーを媒質に用いた固体レーザーの一種であり、焦点設計が容易、増幅効率が良い、冷却が容易であり出力が高いなどの特徴がある。ファイバーレーザーでは、半導体レーザーから出射したレーザー光を光ファイバーの一端に入射させ、光ファイバーを通過する間に、その強度を数百~数千倍に増幅させる。光ファイバーの他端から出射したレーザー光は加工対象物に到達し、そこでレーザー加工を行う。出射したレーザー光は、高品質でシングルモードに近いという特徴がある。
ファイバーレーザー加工では、加工対象物に到達したレーザー光の一部が、そこで反射して光ファイバーへと戻ること、すなわち戻り光が生じることがある。このような戻り光が生じると、これがファイバー中を通過して戻る間にさらに増幅されて、半導体レーザーに到達する。増幅された戻り光は、レーザー発振を不安定にするばかりでなく、半導体レーザーを破壊する恐れがある。このような問題を防ぐため、ファイバーレーザー加工では、戻り光を遮断する光アイソレータ(OI)を光出力部に設けることが一般的である。
従来、光アイソレータ用ファラデー素子には、チョクラルスキー(CZ)法で育成されたTb3Ga5O12(TGG)系材料が広く用いられてきた。TGG系単結晶は、1μm帯のレーザー光に対する吸収係数が小さいからである。またTGGと同様にTb系ガーネットに属するTb3Al5O12(TAG)系材料を光アイソレータに適用することも提案されている。TAGはヴェルデ定数(VC)が高く、TGGより素子を小型化できる可能性があるからである。
例えば、特許文献1には、Cz法(回転引き上げ法)により、原料融液に種結晶を接触させて成長結晶を引き上げるテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)単結晶育成におけるシーディング方法が開示されている(特許文献1の請求項1)。また特許文献1には、TGG結晶は、低光損失、高熱伝導率、高ダメージ閾値、高ヴェルデ定数の結晶として知られており、主に400nm~1100nm用のローテータや光アイソレータなどに利用される旨が記載されている(特許文献1の[0004])。
特許文献2には、テルビウムの一部がセリウムで置換されているテルビウム・セリウム・アルミニウム・ガーネット型単結晶である光アイソレータ材料が開示され、また粉末原料を加熱溶融し、得られた溶液から種結晶を引き上げてテルビウム・セリウム・アルミニウム・ガーネット型単結晶を育成する旨が記載されている(特許文献2の請求項2及び8)。特許文献2には、テルビウムよりも大きなファラデー回転角を有するCeを含有するため、ファラデー回転角を大きくすることができる旨、ファイバーレーザー光加工機の光アイソレータ用単結晶として好適である旨が記載されている(特許文献2の[0022]、[0023]及び[0077])。
特許文献3には、透光率が10%以上であり、吸光係数が6.4/cm以下であるテルビウム・アルミニウム酸化物からなるセラミックスが開示されている(特許文献3の請求項5)。特許文献3には、当該セラミックスに関して、バルク焼成体として製造できるので、単結晶での育成結晶の場合と比較して、非常に大きな面積のマザー基板が得られ、多数個取りが可能である旨、アイソレータなどの磁気光学デバイス、あるいは、電流センサーなどの光磁気センサーなどに有用である旨が記載されている(特許文献3の[0015]及び[0026])。
しかしながら従来から提案されている技術では、十分な特性をもつ光アイソレータ用ファラデー素子を安価に得る上で改良の余地があった。すなわち従来のファラデー素子は、ヴェルデ定数(VC)、吸収係数及び消光比といった性能の点で劣っており、また製造コストが高かった。この点について説明するに、ファラデー素子(1)によって回転される偏光回転角(45°)をファラデー回転角(F)という。ファラデー回転角(F)は、ファラデー素子のヴェルデ定数(VC)、光路長(素子長さ;L)、及び磁界強度(H)を用いて、下記(1)式にしたがって求められる。
光アイソレータの普及を進める上で、これに用いられるファラデー素子の小型化及び低コスト化が不可欠である。そしてそのためにはファラデー素子のヴェルデ定数(VC)を高める必要がある。ヴェルデ定数が小さいと、ファラデー回転角(F=45°)を得るために必要とされる光路長(L)及び磁界強度(H)を大きくする必要があるからである。すなわち光路長を長くするには大きなファラデー素子を用いる必要があり、また磁界強度を高めるためには大型の磁石を用いる必要がある。これらはいずれも素子の大型化及びコスト増につながる。
またファラデー素子には、吸収係数が小さく、且つ消光比が大きいことが求められる。吸収係数が大きいと、ファラデー素子を通過する間の光損失が大きくなり、高効率なレーザー加工が困難になる。また消光比は、磁界印可時に順方向の光が受ける伝搬損失と逆方向の光が受ける伝搬損失の比であり、これが小さいと、逆方向の光を十分に遮断することができない。
例えば、特許文献1で提案されるTGG単結晶はヴェルデ定数(VC)が35rad/T・mと小さい。そのため素子の小型化及び低コスト化を図る上で限界がある。また特許文献2には、種結晶を用いた融液成長法(チョクラルスキー法)でTAG系単結晶を作製することが提案されているが、TAGは分解熔融型の結晶である。そのため結晶育成中に組成変化が生じやすい。組成変化が生じると結晶成長に伴って歪が生じ、それによって消光比が大幅に低下する問題がある。特にCeは偏析係数(平衡分配係数)が小さく、高濃度のCeを含む単結晶を融液から作製することは困難であった。その上、単結晶は製造コストが高いという問題がある。
特許文献3では、TAG系セラミックスを作製することが提案されているが、このセラミックスは吸収係数が十分に小さいとは言えない。実際、特許文献3で具体的に開示されているセラミックスの吸光係数(吸収係数)は、波長408nmの青色光に対して最小でも2.81cm-1に留まっている(特許文献3の表1)。またTAGはヴェルデ定数がTGGより高いものの、それ単独では素子小型化を図る上で不十分である。
本発明者は、このような従来の問題点に鑑みて鋭意検討を行った。その結果、テルビウム(Tb)、セリウム(Ce)及びアルミニウム(Al)を構成成分とする特定組成の希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長1μm帯のレーザー光に対してヴェルデ定数(VC)及び消光比が高いとともに吸収係数が小さいとの知見を得た。またこの焼結体は安価且つ大型化可能であり、高特性且つファラデー素子を低コストで得ることを可能にするとの知見を得た。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、波長1μm帯のレーザー光に対してヴェルデ定数(VC)及び消光比が高いとともに吸収係数が小さい希土類アルミニウムガーネット焼結体、及びこの焼結体を備えたファラデー素子の提供を課題とする。また本発明は、上記焼結体及びファラデー素子を低コストで製造する方法の提供を課題とする。更に、上記ファラデー素子を備えた磁気光学素子の提供を課題とする。
本発明は、下記(1)~(9)の態様を包含する。なお本明細書において「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成(ただし、0<x≦0.35)を有する希土類アルミニウムガーネット焼結体。
(2)前記xが、0.05≦x≦0.30を満足する、上記(1)の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
(3)前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する消光比が45dB以上である、上記(1)又は(2)の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
(4)前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対するヴェルデ定数(VC)が60rad/T・m以上である、上記(1)~(3)のいずれかの希土類アルミニウムガーネット焼結体。
(5)前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する吸収係数が0.2cm-1未満である、上記(1)~(4)のいずれかの希土類アルミニウムガーネット焼結体。
(6)化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成(ただし、0<x≦0.3)を有する希土類アルミニウムガーネット焼結体の製造方法であって、以下の工程;
原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する工程、
前記原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする工程、及び
前記混合粉末を焼結して焼結体にする工程
を備える方法。
原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する工程、
前記原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする工程、及び
前記混合粉末を焼結して焼結体にする工程
を備える方法。
(7)前記混合粉末の焼結を放電プラズマ焼結(SPS)法で行う、上記(6)の方法。
(8)上記(1)~(5)のいずれかの希土類アルミニウムガーネット焼結体を備えるファラデー素子。
(9)上記(8)のファラデー素子を備えた磁気光学素子。
本発明によれば、波長1μm帯のレーザー光に対してヴェルデ定数(VC)及び消光比が高いとともに吸収係数が小さい希土類アルミニウムガーネット焼結体、及びこの焼結体を備えたファラデー素子が提供される。また本発明によれば、上記焼結体及びファラデー素子を低コストで製造する方法が提供される。更に、上記ファラデー素子を備えた磁気光学素子が提供される。
[希土類アルミニウムガーネット焼結体]
本実施形態の希土類アルミニウムガーネット焼結体(以下、「焼結体」と総称する場合がある)は、化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成を有する。ここで、xは、0<x≦0.35を満足する。
本実施形態の希土類アルミニウムガーネット焼結体(以下、「焼結体」と総称する場合がある)は、化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成を有する。ここで、xは、0<x≦0.35を満足する。
本実施形態は焼結体を対象にする。単結晶や薄膜とは異なり、焼結体はバルク多結晶体である。バルク多結晶体たる焼結体は、単結晶とは異なり、長距離秩序をもっていない。そのため個々の粒の組成がずれたとしても、結晶成長に伴う歪みが生じない。そのため高い消光比を得ることができる。また焼結体は安価な原料から作製することができるとともに大型化が可能である。大型の焼結体は、これから多数の素子を切り出して一括製造できる。そのため、素子1個あたりの製造コストを抑えることができる。さらに焼結体は組成及び形状の自由度が大きい。これに対して単結晶や薄膜は高価な原料及び製造設備を用いる必要があり、低コストで得ることができない。また基板上に単結晶や薄膜を堆積する場合には、基板の格子定数と整合させる必要があり、組成自由度及び形状自由度が小さいという問題がある。さらに単結晶は結晶成長に伴い歪みが生じやすく、消光比が劣化する恐れがある。特にCeは偏析係数(平衡分配係数)が小さく、Ceを高濃度で含む単結晶を融液から作製することは困難である。
本実施形態の焼結体は、化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成を有する。すなわちテルビウム(Tb)の一部をセリウム(Ce)で置換したテルビウムアルミニウムガーネット(TAG)からなる。テルビウムアルミニウムガーネット(TAG)はガーネット型結晶構造を有する。テルビウムアルミニウムガーネットにおいて、テルビウムイオン(Tb3+)は酸素12面体で囲まれている。また5個のアルミニウムイオン(Al3+)のうち3個は酸素四面体で囲まれたサイトに入り、残り2つは八面体で囲まれたサイトに入る。TAGは磁性イオンを含まず、常磁性体である。なお希土類アルミニウムガーネットは、化学量論組成では、(Tb+Ce)とAlとのモル比が3:5になるが、本実施形態の焼結体は、厳密な化学量論組成をとる必要はない。すなわちガーネット型結晶構造を維持する限り、化学量論組成からの組成ずれは許容される。
本実施形態の焼結体は、Ce量(x)が、0<x≦0.35を満足する。テルビウム(Tb)の一部をセリウム(Ce)で置換すると、消光比及び吸収係数を低下させることなく、ヴェルデ定数(VC)が高くなる。xは0.05以上であってよく、0.10以上であってよく、0.20以上であってもよい。一方でセリウム量が過度に多いと、ガーネット結晶構造が不安定になり、酸化セリウム(CeO2)などの異相が生成する。このような異相は、その光屈折率がガーネットとは異なっている。そのためガーネット相に含まれる異相が光散乱を起こし、透明性を損なう恐れがある。xは0.30以下であってよく、0.20以下であってよく、0.10以下であってもよい。
好ましくは、焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対するヴェルデ定数(VC)が60rad/T・m以上である。ファイバーレーザー加工では波長1μm帯(0.9~1.1μm)の高出力レーザーが多用される。したがってこの波長帯でのヴェルデ定数を高くすることでファラデー素子の光路長を短くすることができる。また光路長が短くなることで光損失をより一層抑えることができる。ヴェルデ定数は80rad/T・m以上であってよく、100rad/T・m以上であってよく、120rad/T・m以上であってよく、140rad/T・m以上であってよく、160rad/T・m以上であってよく、180rad/T・m以上であってもよい。ヴェルデ定数は高いほど好ましく、その上限は限定されない。しかしながら典型的には200rad/T・m以下である。
好ましくは、焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する消光比が45dB以上である。消光比は、磁界印可時に順方向の光が受ける伝搬損失と逆方向の光が受ける伝搬損失の比であり、これが大きいと、順方向の光が十分に透過するとともに逆方向の光が十分に遮断される。そのため光アイソレータの遮断性能を向上させる。消光比は、46dB以上であってよく、47dB以上であってよく、48dB以上であってよい。消光比は高いほど好ましく、その上限は限定されない。しかしながら典型的には55dB以下である。
好ましくは、焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する吸収係数が0.2cm-1未満である。吸収係数は、光損失の指標となるものであり、この値が小さいほど光損失が小さくなる。
本実施形態の焼結体は、ガーネット相以外の他の相の含有を排除するものではない。しかしながら異相の存在はガーネット相に基づく有利な効果を損うことがある。例えば酸化セリウム(CeO2)などの異相は、その光屈折率がガーネットとは異なる。そのためこのような異相が含まれていると、これが光散乱を起こし、光損失(吸収係数)を大きくする恐れがある。したがって焼結体が希土類アルミニウムガーネットの単相のみからなることが好ましい。なお異相の存在は、焼結体をX線回折法で分析し、得られる回折パターンを調べることで評価できる。具体的には、異相に基づく回折ピークが観察されない、あるいはピーク強度がバックグラウンドレベル以下である場合には、異相が存在しないと見なすことができる。また波長0.9~1.1μmの光に対する吸収係数が0.2cm-1未満であれば、異相が存在しないと見なすことができる。
本実施形態の焼結体は、ガーネット相を構成するセリウム(Ce)、テルビウム(Tb)、アルミニウム(Al)及び酸素(O)以外の他の元素の含有を排除するものでない。テルビウム(Tb)やアルミニウム(Al)が、他の希土類元素(R)やガリウム(Ga)などで置換されていてもよい。しかしながら他の元素が多量に含まれていると、ガーネット相に基づく有利な効果が損なわれることがある。したがって他の元素の含有量は少ないほど好ましい。焼結体がセリウム(Ce)、テルビウム(Tb)、アルミニウム(Al)及び酸素(O)を含み、残部不可避不純物からなる組成を有してもよい。不可避不純物とは、原料由来の不純物又は製造工程時に不可避的に混入する不純物であり、その含有量は、典型的には1000ppm以下である。
[希土類アルミニウムガーネット焼結体の製造方法]
本実施形態の焼結体の製造方法は、焼結体が上述した要件を満足する限り、限定されない。しかしながら好適な製造方法は、以下の工程;原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する工程(準備工程)、準備した原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする工程(混合工程)、及び得られた混合粉末を焼結して焼結体にする工程(焼結工程)を備える。各工程の詳細について以下に説明する。
本実施形態の焼結体の製造方法は、焼結体が上述した要件を満足する限り、限定されない。しかしながら好適な製造方法は、以下の工程;原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する工程(準備工程)、準備した原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする工程(混合工程)、及び得られた混合粉末を焼結して焼結体にする工程(焼結工程)を備える。各工程の詳細について以下に説明する。
<準備工程>
準備工程では、原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する。原料粉末は、後続する焼結工程でガーネット相が形成されるものである限り、特に限定されない。例えばガーネット構成成分(Ce、Tb、Al)の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、及び/又はアルコキシドなどの化合物を用いることができる。原料は、ガーネット構成成分を単独で含んでもよい。あるいは複合化合物の形態で複数の構成成分を組み合わせて含んでもよい。
準備工程では、原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する。原料粉末は、後続する焼結工程でガーネット相が形成されるものである限り、特に限定されない。例えばガーネット構成成分(Ce、Tb、Al)の酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、及び/又はアルコキシドなどの化合物を用いることができる。原料は、ガーネット構成成分を単独で含んでもよい。あるいは複合化合物の形態で複数の構成成分を組み合わせて含んでもよい。
<混合工程>
混合工程では、準備した原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする。原料の混合割合は、最終的に得られる焼結体が所望の組成を有するように調整すればよい。ただし、焼結体の透明性を向上させるため緻密度を上げる必要がるが、そのためには混合粉体の粒径は小さい程良い。しかし、粒径が小さくなるにつれ凝集も生じやすくなるため100~300nmとするのが好ましい。粒径およびその粒度分布が大きいと焼結体の緻密度を上げ難くい。
混合工程では、準備した原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする。原料の混合割合は、最終的に得られる焼結体が所望の組成を有するように調整すればよい。ただし、焼結体の透明性を向上させるため緻密度を上げる必要がるが、そのためには混合粉体の粒径は小さい程良い。しかし、粒径が小さくなるにつれ凝集も生じやすくなるため100~300nmとするのが好ましい。粒径およびその粒度分布が大きいと焼結体の緻密度を上げ難くい。
混合粉末の粒径調整手法は特に限定されない。微細な原料粉末を用いることで、混合粉末の粒径を調整してもよい。あるいは粗い原料粉末を用いて、これを混合する際に粉砕して粒径を調整してもよい。しかしながら透明焼結体を得るためには不純物の混入を1000ppm以下に抑えることが必須であるため、粉砕の際に粉砕機などからの汚染が無いようにすることが好ましい。
混合手法は特に限定されず、乾式及び湿式の両方または一方で行えばよい。湿式混合した場合には、混合粉を乾燥する工程を設ければよい。混合装置も特に限定されず、乳鉢、ライカイ機、ヘンシェルミキサーなどの混合機、あるいはボールミル、アトライタなどの混合粉砕機を用いることができる。
<焼結工程>
焼結工程では、一般的な焼結では、ガ-ネット単相となる粉体を合成し、それを焼結原料とするため、所望の焼結体が得られる限り、焼結は公知の手法で行えばよい。例えば、常温焼結、ガス圧焼結、ホットプレス(HP)、熱間等方圧プレス(HIP)及び放電プラズマ焼結(SPS)などが挙げられる。しかし、ガ-ネット単相となる粉体の合成工程を省略しCe、Tb、Alの酸化物粉を混合し焼結中に反応させガ-ネット相にする反応焼結ではSPSが極めて好適である。SPSは通常焼結原料に50MPa超の高圧を一軸加圧し、炭素製の焼結型に直流のパルス電流を流し、焼結原料を直接加熱するため、熱的・機械的・電磁エネルギ-が複合的に働き焼結を活性化させ、上記反応焼結を可能とする他、他の焼結方法と比較して20~100倍の速さで焼結を完了させるだけでなく、焼結助剤が不要であるため不純物を嫌う透明体の作製に極めて好適である。
焼結工程では、一般的な焼結では、ガ-ネット単相となる粉体を合成し、それを焼結原料とするため、所望の焼結体が得られる限り、焼結は公知の手法で行えばよい。例えば、常温焼結、ガス圧焼結、ホットプレス(HP)、熱間等方圧プレス(HIP)及び放電プラズマ焼結(SPS)などが挙げられる。しかし、ガ-ネット単相となる粉体の合成工程を省略しCe、Tb、Alの酸化物粉を混合し焼結中に反応させガ-ネット相にする反応焼結ではSPSが極めて好適である。SPSは通常焼結原料に50MPa超の高圧を一軸加圧し、炭素製の焼結型に直流のパルス電流を流し、焼結原料を直接加熱するため、熱的・機械的・電磁エネルギ-が複合的に働き焼結を活性化させ、上記反応焼結を可能とする他、他の焼結方法と比較して20~100倍の速さで焼結を完了させるだけでなく、焼結助剤が不要であるため不純物を嫌う透明体の作製に極めて好適である。
SPSについて詳細に説明する。SPSの焼結型(20)の構成を示す断面図を図1に示す。シリンダー(21)および上下のパンチ(22)は炭素製である。シリンダー(21)に下側パンチ(22)を挿入し焼結原料(23)を充填し上側パンチ(22)で押さえ込む。これをSPSの焼結装置にセットしパンチ(22)に圧力を掛け、パンチからシリンダーを介してパンチへと通電し焼結原料に一軸加圧しながら昇温し焼結を進行させる。SPSの制御すべきパラメ-タは、昇温速度、保持温度(到達温度)、保持時間、加圧力である。昇温速度は50~100℃/分が一般的であり、それよりも遅いとSPSの迅速焼結のメリットが薄れてしまう。保持温度は装置のパンチの変異センサーの表示で収縮(焼結中)から膨張に転じる温度よりも数十度、一般的に50℃程度高い温度とする。収縮から膨張に転じた温度では完全に焼結が完了していないため、それよりも高い温度まで上げるということである。一般的に保持時間は20分程度で焼結は完了する。なお、収縮から膨張に転じる温度が融点に近い場合は、50℃以下で保持温度とし、保持時間を20分よりも長くする。加圧の圧力は高い程粒成長を抑えた緻密な焼結体が得られるが、炭素製焼結型の限界100MPaとするのが一般的である。
特に本実施形態の焼結体を製造する上でSPS法は好適である。すなわちこの焼結体はガーネット相中にセリウム(Ce)を含んでいる。ガーネット中で安定して存在するには、セリウムが3価イオン(Ce3+)になる必要がある。しかしながら大気中ではセリウム(Ce)は、3価イオン(Ce3+)より4価イオン(Ce4+)の方が安定である。そのため。通常の焼結法では酸化セリウム(CeO2)などの異相が生成し易く、ガーネット焼結体を単相の状態で作製することが困難である。これに対してSPS焼結を行うことで、異相の無い焼結体を得ることができる。その理由の詳細は不明であるが、プラズマ放電により粒子表面が高電子状態に活性化される結果、3価イオン(Ce3+)の状態が維持され易くなるためではないかと推測している。
焼結工程後に、必要に応じて、焼結体に洗浄や加工などの処理を施してもよい。加工は、焼結体の両面に研削加工や研磨加工(ポリッシング)を施す処理が挙げられる。これにより表面が平滑で、表面光散乱の少ない焼結体を得ることができる。
このようにして本実施形態のテルビウムアルミニウムガーネット焼結体が作製される。得られた焼結体は、セリウム(Ce)の置換が十分に進んでいるため、ヴェルデ定数(VC)が高いという特徴がある。また異相や空孔が少なく、消光比が高いとともに光損失(吸収係数)が抑制されるという効果がある。その上、製造コストが低く且つ大型化可能であるため、素子を安価に得ることが可能である。
<ファラデー素子>
本実施形態のファラデー素子は、上述した希土類アルミニウムガーネット焼結体を備える。ファラデー素子は、上述した焼結体を備える限り、公知の構成とすればよい。例えば焼結体と、この焼結体の両面に形成した無反射コーティングと、を備える構成としてもよい。
本実施形態のファラデー素子は、上述した希土類アルミニウムガーネット焼結体を備える。ファラデー素子は、上述した焼結体を備える限り、公知の構成とすればよい。例えば焼結体と、この焼結体の両面に形成した無反射コーティングと、を備える構成としてもよい。
本実施形態のファラデー素子は、ヴェルデ定数(VC)が高い焼結体を備えるため、素子長さ(光路長)を小さくすることができる。すなわち素子長さを小さくしても、必要なファラデー回転角(45°)を得ることができる。また光吸収係数が小さいため光損失が小さい。その上、製造コストが高い単結晶や薄膜を用いる必要がないため、安価でもある。
ファラデー素子は、波長0.9~1.1μmの光に対するヴェルデ定数(VC)が60rad/T・m以上であってよく、80rad/T・m以上であってよく、100rad/T・m以上であってよく、120rad/T・m以上であってよく、140rad/T・m以上であってよく、160rad/T・m以上であってよく、180rad/T・m以上であってもよい。またファラデー素子は波長0.9~1.1μmの光に対する消光比が45dB以上であってよく、46dB以上であってよく、47dB以上であってよく、48dB以上であってよい。さらにファラデー素子は、波長0.9~1.1μmの光に対する吸収係数が0.2cm-1未満であってよい。
<磁気光学素子>
本実施形態の磁気光学素子は、上述したファラデー素子を備える。このような磁気光学素子として、ファイバーレーザー用光アイソレータが挙げられる。本実施形態のファラデー素子を備える光アイソレータ―は、小型化が可能であるとともに、優れた性能を有している。その上、低コストで作製できる。
本実施形態の磁気光学素子は、上述したファラデー素子を備える。このような磁気光学素子として、ファイバーレーザー用光アイソレータが挙げられる。本実施形態のファラデー素子を備える光アイソレータ―は、小型化が可能であるとともに、優れた性能を有している。その上、低コストで作製できる。
なお本実施形態の磁気光学素子は、ファイバーレーザー用光アイソレータに限定される訳ではない。光通信用光アイソレータであってもよく、あるいは光サーキュレータ、光アッテネータ、光スイッチ、光変調器などの磁気光学素子、あるいは電流センサーなどの光磁気センサーであってもよい。本実施形態のファラデー素子を用いることで、これらの素子の高特性化及び低コスト化が実現できるのは言うまでもない。
本発明を、以下の実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明する。しかしながら本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)焼結体の作製
[例1~例6]
例1~例6では、Tb3-xCexAl5O12組成の焼結体を、x=0.00~0.40の範囲内で変えて焼結体を作製した。
[例1~例6]
例1~例6では、Tb3-xCexAl5O12組成の焼結体を、x=0.00~0.40の範囲内で変えて焼結体を作製した。
まず原料として、酸化セリウム(CeO2)粉末、酸化テルビウム(Tb4O7)粉末及び酸化アルミニウム(Al2O3)粉末を準備し、これらの粉末を、表1の組成が得られるように秤量し、混合した。その後、得られた混合粉末を、ジルコニアボールを用いたボールミル処理に供して、粒径100~300nmの焼結原料粉末にした。なお、焼結原料粉末の粒径(粒度分布)は、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering:DLS)で測定した。
得られた焼結原料粉末を用いて放電プラズマ焼結(SPS)を行い、焼結体を作製した。焼結の際には、図1に示す焼結型(20)を用いた。まず焼結型の炭素製シリンダー(内径75mm;21)の中に500gの焼結原料粉(23)を充填し、その上下を炭素製パンチ(22)で押さえた。焼結原料粉を充填した焼結型(20)を放電プラズマ焼結装置(図示せず)にセットした後、100MPaの圧力で炭素製パンチ(22)を加圧して焼結を行った。焼結の条件は以下のとおりにした。
‐昇温速度:100℃/分
‐到達温度:1600℃
‐保持時間:20分
‐真空度:5×10-2Pa
‐到達温度:1600℃
‐保持時間:20分
‐真空度:5×10-2Pa
得られた焼結体の光学面(パンチ2に接した面)を研磨して、測定サンプルとした。研磨した焼結体は、そのサイズがφ75×10mmtであった。
[例7]
例7では、Tb3Ga5O12(TGG)単結晶をチョクラルスキー(cz)法で作製し、これを測定サンプルとした。
例7では、Tb3Ga5O12(TGG)単結晶をチョクラルスキー(cz)法で作製し、これを測定サンプルとした。
(2)評価
例1~例7で得られたサンプルについて、各種特性の評価を以下のとおりに行った。
例1~例7で得られたサンプルについて、各種特性の評価を以下のとおりに行った。
<XRD>
各サンプルの結晶相を、X線回折法(XRD)により調べた。分析条件は以下のとおりにした。
各サンプルの結晶相を、X線回折法(XRD)により調べた。分析条件は以下のとおりにした。
‐装置:X’Part-PRO(PANanalytical)
‐ターゲット:Cu
‐X線出力設定:40mA、45kV
‐入射ビームモジュール:θ-2θスキャン
‐マスク[mm]:固定,15
‐発散スリット[DS°2Th.]:PDS,固定,1/2
‐散乱スリット[DS°2Th.]:PASS,固定,1/2
‐スタートアングル[°2Th.]:10
‐エンドアングル[°2Th.]:120
‐スキャンステップ時間[s]:22
‐フィルター:Nickel
‐検出器:X’Celerator(半導体アレイ検出器)
‐ソラースリット:0.02
‐サンプルスピナー:休止
‐ターゲット:Cu
‐X線出力設定:40mA、45kV
‐入射ビームモジュール:θ-2θスキャン
‐マスク[mm]:固定,15
‐発散スリット[DS°2Th.]:PDS,固定,1/2
‐散乱スリット[DS°2Th.]:PASS,固定,1/2
‐スタートアングル[°2Th.]:10
‐エンドアングル[°2Th.]:120
‐スキャンステップ時間[s]:22
‐フィルター:Nickel
‐検出器:X’Celerator(半導体アレイ検出器)
‐ソラースリット:0.02
‐サンプルスピナー:休止
<組織観察>
焼結体の微細組織を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。観察は、加速電圧5.0kV、倍率20.0kの条件で行った。
焼結体の微細組織を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。観察は、加速電圧5.0kV、倍率20.0kの条件で行った。
<吸収係数>
各サンプルの吸収係数を、分光光度計を用いて求めた。具体的には、分光光度計を用いて、サンプル光透過率の波長分散を測定し、得られた測定データを用いて、下記(2)式及び(3)式にしたがって、波長1μm帯における光透過率(T)と吸収係数(α)とを算出した。なお下記(2)式及び(3)式において、Lは媒体の厚さ、Pinは入射光パワー、Poutは透過光パワーを示す。
各サンプルの吸収係数を、分光光度計を用いて求めた。具体的には、分光光度計を用いて、サンプル光透過率の波長分散を測定し、得られた測定データを用いて、下記(2)式及び(3)式にしたがって、波長1μm帯における光透過率(T)と吸収係数(α)とを算出した。なお下記(2)式及び(3)式において、Lは媒体の厚さ、Pinは入射光パワー、Poutは透過光パワーを示す。
<ヴェルデ定数及び消光比>
各サンプルのヴェルデ定数(VC)と消光比を、磁気光学測定装置を用いて測定した。磁気光学測定装置は、光源と、光源からのレーザー光を検出する光検出器とを備え、さらに光源と光検出器との間に、偏光子と測定片とを備えていた。光源として、波長1064nmのレーザー光を出射するNd:YVO4レーザーを用いた。偏光子として、消光比が60dB超のグラントムソンプリズムを用いた。2つの偏光子は直交ニコルの態様となるように配置された。レーザー光のビーム径は、一般的な光アイソレータで用いられる0.6mmにした。
各サンプルのヴェルデ定数(VC)と消光比を、磁気光学測定装置を用いて測定した。磁気光学測定装置は、光源と、光源からのレーザー光を検出する光検出器とを備え、さらに光源と光検出器との間に、偏光子と測定片とを備えていた。光源として、波長1064nmのレーザー光を出射するNd:YVO4レーザーを用いた。偏光子として、消光比が60dB超のグラントムソンプリズムを用いた。2つの偏光子は直交ニコルの態様となるように配置された。レーザー光のビーム径は、一般的な光アイソレータで用いられる0.6mmにした。
まずサンプルから、サイズがφ3×L10mmのロッドを切り出して、測定片とした。次に測定片を光学測定装置に挿入して、光源からレーザー光を照射して、偏光子と試料片を透過したレーザー光の強度を光検出器で測定した。レーザー光Lを照射しながら偏光子の一方を回転させて、光強度変化を求めた。そして光強度の最小値(Imax)と最大値(Imax)とを用いて、下記(4)式にしたがって消光比を算出した。
また電磁石を用いて、レーザー光の進行方向と平行に磁界を印加して、ファラデー回転角θを測定した。そして下記(5)式にしたがってヴェルデ定数(VC)を算出した。なお下記(5)式において、Lは測定片の長さ(10mm)、Hは磁界強度である。
(3)結果
例1~例7について、得られた評価結果を表1に示す。ここで例2~例6が実施例サンプルであり、また例1及び例7は比較例サンプルである。また例1で作製した焼結体のX線回折(XRD)プロファイルを、JSPDSカードの標準回折ピーク(01-088-2047)とともに図2に示す。
例1~例7について、得られた評価結果を表1に示す。ここで例2~例6が実施例サンプルであり、また例1及び例7は比較例サンプルである。また例1で作製した焼結体のX線回折(XRD)プロファイルを、JSPDSカードの標準回折ピーク(01-088-2047)とともに図2に示す。
<XRD>
表1に示されるように、Ce量xが0.00~0.30である例1~例5の焼結体は、ガーネット相の単相のみから構成されていた。実際、図2に示されるように、焼結体には、ガーネット相(TAG)に基づくピークが観察されるものの、他の相に基づくピークは見られなかった。一方でxが0.40である例6の焼結体には、酸化セリウム(CeO2)からなる異相が観察された。
表1に示されるように、Ce量xが0.00~0.30である例1~例5の焼結体は、ガーネット相の単相のみから構成されていた。実際、図2に示されるように、焼結体には、ガーネット相(TAG)に基づくピークが観察されるものの、他の相に基づくピークは見られなかった。一方でxが0.40である例6の焼結体には、酸化セリウム(CeO2)からなる異相が観察された。
<吸収係数>
表1に示されるように、例1~例5の焼結体は、その吸収係数が0.2cm-1未満であり、透明性に優れていた。一方で例6の焼結体は、透光性を示すものの、透明ではなかった。Ceを多量に加えても、Tbサイトには入りきらず、ガーネット相(TAG)とは屈折率の異なるCeO2の形態で焼結体中に析出し、これが光反射の拠点になり、透明性を損なったと考えられる。
表1に示されるように、例1~例5の焼結体は、その吸収係数が0.2cm-1未満であり、透明性に優れていた。一方で例6の焼結体は、透光性を示すものの、透明ではなかった。Ceを多量に加えても、Tbサイトには入りきらず、ガーネット相(TAG)とは屈折率の異なるCeO2の形態で焼結体中に析出し、これが光反射の拠点になり、透明性を損なったと考えられる。
<組織観察>
組織観察を行ったところ、結晶粒の大きさは比較的均一に揃っており、粒径は200~800nmであった。また焼結体は緻密であり、空孔はほとんど観察されなかった。
組織観察を行ったところ、結晶粒の大きさは比較的均一に揃っており、粒径は200~800nmであった。また焼結体は緻密であり、空孔はほとんど観察されなかった。
<ヴェルデ定数及び消光比>
表1に示されるように、Ce量xが多くなるほど、ヴェルデ定数(VC)は高くなり、x=0.30でVC=183rad/T・mと非常に高い値となった。また消光比はほぼ一定であった。その結果、0.05≦xの領域で、ヴェルデ定数がTGG単結晶の2倍以上と高くなり、また消光比もTGG単結晶では実現困難なほど高い値であった。
表1に示されるように、Ce量xが多くなるほど、ヴェルデ定数(VC)は高くなり、x=0.30でVC=183rad/T・mと非常に高い値となった。また消光比はほぼ一定であった。その結果、0.05≦xの領域で、ヴェルデ定数がTGG単結晶の2倍以上と高くなり、また消光比もTGG単結晶では実現困難なほど高い値であった。
一般に、消光比は結晶の歪みに左右される。従来の単結晶では、若干の組成変動が単結晶の歪みを生じさせ、消光比を悪化させる。これに対して、放電プラズマ焼結法を用いて作製した多結晶体(焼結体)は、粒子単位が均一に揃っており、歪みズレが発生にくい状態であると推察される。このため、単結晶より消光比を大幅に改善することができたと考えられる。
20 焼結型
21 シリンダー
22 パンチ
23 焼結原料
21 シリンダー
22 パンチ
23 焼結原料
Claims (9)
- 化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成(ただし、0<x≦0.35)を有する希土類アルミニウムガーネット焼結体。
- 前記xが、0.05≦x≦0.30を満足する、請求項1に記載の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
- 前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する消光比が45dB以上である、請求項1又は2に記載の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
- 前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対するヴェルデ定数(VC)が60rad/T・m以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
- 前記希土類アルミニウムガーネット焼結体は、波長0.9~1.1μmの光に対する吸収係数が0.2cm-1未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の希土類アルミニウムガーネット焼結体。
- 化学式:Tb3-xCexAl5O12で表される組成(ただし、0<x≦0.3)を有する希土類アルミニウムガーネット焼結体の製造方法であって、以下の工程;
原料粉末として、セリウム(Ce)源、テルビウム(Tb)源及びアルミニウム(Al)源を準備する工程、
前記原料粉末を混合して、粒径が100~300nmの混合粉末にする工程、及び
前記混合粉末を焼結して焼結体にする工程
を備える方法。 - 前記混合粉末の焼結を放電プラズマ焼結(SPS)法で行う、請求項6に記載の方法。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の希土類アルミニウムガーネット焼結体を備えるファラデー素子。
- 請求項8に記載のファラデー素子を備えた磁気光学素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020143778A JP2022039007A (ja) | 2020-08-27 | 2020-08-27 | 希土類アルミニウムガーネット焼結体及びその製造方法、ファラデー素子、並びに磁気光学素子 |
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