JP2022037656A - 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物 - Google Patents

水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022037656A
JP2022037656A JP2020141896A JP2020141896A JP2022037656A JP 2022037656 A JP2022037656 A JP 2022037656A JP 2020141896 A JP2020141896 A JP 2020141896A JP 2020141896 A JP2020141896 A JP 2020141896A JP 2022037656 A JP2022037656 A JP 2022037656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
admixture
hydraulic composition
mass
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020141896A
Other languages
English (en)
Inventor
勇輝 菅沼
Yuki Suganuma
和寿 岡田
Kazuhisa Okada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takemoto Oil and Fat Co Ltd
Original Assignee
Takemoto Oil and Fat Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takemoto Oil and Fat Co Ltd filed Critical Takemoto Oil and Fat Co Ltd
Priority to JP2020141896A priority Critical patent/JP2022037656A/ja
Publication of JP2022037656A publication Critical patent/JP2022037656A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】長期間保管してもその性能が劣化し難い水硬性組成物用混和剤及びそれを含有した水硬性組成物を提供する。【解決手段】25℃における酸化還元電位が0mV以上の水であるA成分と、所定の構成単位を含むポリカルボン酸系分散剤およびリグニンスルホン酸系分散剤から選ばれる少なくとも1つを含む分散剤であるB成分と、防腐成分であるC成分と、を含有することを特徴とする水硬性組成物用混和剤およびそれを含有する水硬性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物に関する。更に詳しくは、長期間保管しても性能が劣化し難い水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物に関する。
従来、コンクリートに代表される水硬性組成物は、セメント、水、細骨材、粗骨材、水硬性組成物用混和剤等から構成されている。このうち水硬性組成物用混和剤には、リグニンスルホン酸系分散剤、オキシカルボン酸系分散剤、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物系分散剤、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等の減水成分が配合されている。
このような水硬性組成物用混和剤は、コンテナ、ドラム、或いは、生コン工場に設置したタンクなどの荷姿で屋外に長期間保管されることが多く、また、主に水溶液で運用されることから、保管中に腐敗し、その減水性能などが低下することがある。
このような問題に対して、例えば、ポリカルボン酸を含む溶液のpHを8以上に調整することで、保存安定性に優れたポリカルボン酸溶液とすることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000-159973号公報
しかしながら、特許文献1の溶液では、防腐剤が配合されていないこともあり、特許文献1の溶液は、長期間保管した場合に、依然として腐敗が生じるおそれがある。そのため、特許文献1の溶液は、混和剤としての性能の劣化を十分に抑制するものではなく、更なる改良の余地があった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、長期間保管しても腐敗が生じ難く、その結果、性能が劣化し難い水硬性組成物用混和剤及びそれを含有した水硬性組成物の提供を課題とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の分散剤について、防腐成分を配合することに加えて、所定の条件を満たす水を配合することによって上記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物が提供される。
[1] 25℃における酸化還元電位が0mV以上の水であるA成分と、
下記B成分と、
防腐成分であるC成分と、
を含有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤。
B成分:
(a)ポリカルボン酸系分散剤、及び(b)リグニンスルホン酸系分散剤から選ばれる少なくとも1つを含む分散剤であり、
前記(a)ポリカルボン酸系分散剤は、分子中に、下記構成単位1、及び、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位を含む構成単位2、を含み、
分子中に占める前記構成単位1及び前記構成単位2の構成割合の合計を100質量%とする場合、
前記構成単位1を1~99質量%の割合で含み且つ前記構成単位2を99~1質量%の割合で含むものである。
構成単位1:
下記一般式(1)で示される化合物から形成された構成単位を含むものである。
Figure 2022037656000001
(但し、一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及び-(CHCOOMで示される有機基(r:0~2の整数、M:水素原子又は金属原子)である。但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1つである。pは、0~5の整数である。qは、0又は1の整数である。mは、1~300の整数である。)
[2] 前記A成分、前記B成分、及び、前記C成分の含有割合の合計を100質量%とすると、前記B成分を15~65質量%含有する、前記[1]に記載の水硬性組成物用混和剤。
[3] 前記C成分が、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びグルタルアルデヒドから選ばれる少なくとも1つを含有する、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用混和剤。
[4] 前記C成分が、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びグルタルアルデヒドから選ばれる少なくとも2つを含有する、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用混和剤。
[5] 前記A成分、前記B成分、及び、前記C成分の含有割合の合計を100質量%とすると、前記C成分を0.005~0.5質量%含有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤。
[6] 前記A成分の25℃における酸化還元電位が、+250~+800mVである、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤。
[7] 前記A成分の25℃におけるpHが、5~9である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤。
[8] 1質量%水溶液の25℃におけるpHが、3~11である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤。
[9] 水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及び、前記[1]~[8]のいずれかに記載の水硬性組成物用混和剤を含有することを特徴とする、水硬性組成物。
本発明の水硬性組成物用混和剤は、長期間保管してもその性能が劣化し難いという効果を奏するものである。
本発明の水硬性組成物は、長期間保管してもその性能が劣化し難い本発明の水硬性組成物用混和剤を用いるため、長期保管後の水硬性組成物用混和剤を使用した際でも、スランプや空気量といった水硬性組成物のフレッシュ性状に影響を受け難く、品質が安定するという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を意味する。
(1)水硬性組成物用混和剤:
本発明の水硬性組成物用混和剤は、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以上の水であるA成分と、下記B成分と、防腐成分であるC成分と、を含有する。このような水硬性組成物用混和剤は、長期間保管してもその性能が劣化し難いものである。つまり、所定の分散剤であるB成分に対して、防腐成分(C成分)を配合し、更には、所定の条件を満たす水(A成分)を配合することで、上記所定の効果が発揮されるものである。より具体的には、一般的な水を用いた分散剤水溶液に防腐成分を配合するだけであると、長期間保存した際に一定の防腐効果が発揮されるものの、その防腐効果では依然として十分ではないが、所定の水(即ち、25℃における酸化還元電位が0mV以上の水)を配合することで、防腐効果が非常に向上することになる。その結果、長期間保管してもその性能が劣化し難いという優れた効果が得られることになる。
本発明の水硬性組成物用混和剤は、1質量%水溶液の25℃におけるpHが、3~11であることが好ましく、4~11であることが更に好ましく、4~10であることが特に好ましい。上記範囲とすると、防腐効果がより良好に発揮され、長期間保管してもその性能が更に劣化し難くなる。
本発明の水硬性組成物用混和剤のpHは、従来公知の方法により調整することができるが、例えば、水酸化ナトリウムなどを添加する方法を採用することができる。このpHは、ガラス電極を有するpHメーターを用いて測定することができる。
(1-1)A成分:
A成分は、25℃における酸化還元電位(ORP)が0mV以上の水である。そして、この酸化還元電位は、+250~+800mVであることが好ましく、+400~+800mVであることが更に好ましい。このような条件を満たすことで、本発明の水硬性組成物用混和剤は、長期間保管してもその性能が更に劣化し難くなる。
このような酸化還元電位を満たすA成分は、従来公知の方法により調整することができるが、例えば、次亜塩素酸塩などを添加する方法を採用することができる。なお、上記方法で調整することなく、上記所定の酸化還元電位を満たす水をそのまま使用してもよいことは勿論である。酸化還元電位は、白金電極を有する電気伝導率計を使用して測定することができる。
A成分は、25℃におけるpHが、5~9であることが好ましく、6~9であることが更に好ましい。このような条件を満たす水としては、通常の上水道水等を挙げることができる。このような水を使用すると、本発明の水硬性組成物用混和剤の製造が容易となる。
A成分のpHは、従来公知の方法により調整することができる。このpHは、ガラス電極を有するpHメーターを用いて測定することができる。
(1-2)B成分:
B成分は、所定の分散剤である。具体的には、(a)ポリカルボン酸系分散剤、及び(b)リグニンスルホン酸系分散剤から選ばれる少なくとも1つを含む分散剤である。このような分散剤により、本発明の水硬性組成物用混和剤は分散性能を発揮する。
(1-2-1)(a)ポリカルボン酸系分散剤:
(a)ポリカルボン酸系分散剤は、分子中に、下記構成単位1、及び、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位を含む構成単位2、を含むものである。更に、(a)ポリカルボン酸系分散剤は、分子中に占める構成単位1及び構成単位2の構成割合の合計を100質量%とする場合、構成単位1を1~99質量%の割合で含み且つ構成単位2を99~1質量%の割合で含むものである。
構成単位1は、下記一般式(1)で示される化合物から形成された構成単位を含むものである。
Figure 2022037656000002
(但し、一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及び-(CHCOOMで示される有機基(r:0~2の整数、M:水素原子又は金属原子)である。但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1つである。pは、0~5の整数である。qは、0又は1の整数である。mは、1~300の整数である。)
一般式(1)中、pは0~5の整数であり、0~2の整数であることが好ましい。
は、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であり、水素原子又は炭素数1~5の炭化水素基であることが好ましい。
Oは、炭素数2~4のオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1つであり、炭素数2~4のオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などが挙げられる。
Oが2種類以上の場合は、ランダム付加体、ブロック付加体、交互付加体のいずれの形態であっても良い。
mは、1~300の整数であり、1~200の整数であることが好ましく、1~150の整数であることが更に好ましい。
一般式(1)で示される化合物としては、具体的には、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタリル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタリル-ω-アセチル-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-アセチル-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシプロピレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-アクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-アクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン、α-メタクリロイル-ω-ブトキシ-(ポリ)オキシエチレン、α-ビニル-ω-ヒドロキシ(ポリ)オキシブチレン(ポリ)オキシエチレンなどを挙げることができる。
構成単位2は、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位を含むものである。構成単位2を形成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、それらの塩から選ばれるものなどを挙げることができる。
(a)ポリカルボン酸系分散剤は、分子中に占める構成単位1及び構成単位2の構成割合の合計を100質量%とする場合、構成単位1を1~99質量%の割合で含み且つ構成単位2を99~1質量%の割合で含むものである。更に、(a)ポリカルボン酸系分散剤としては、構成単位1を70~99質量%の割合で含み且つ構成単位2を1~30質量%の割合で含むものであることが好ましい。
(a)ポリカルボン酸系分散剤は、その質量平均分子量について特に制限はないが、例えば、1,000~1,000,000であることが好ましく、5,000~200,000であることが更に好ましく、10,000~100,000であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、水硬性組成物用混和剤の分散剤としての効果が向上することになる。
(1-2-2)(b)リグニンスルホン酸系分散剤:
(b)リグニンスルホン酸系分散剤は、具体的には、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、その誘導体などからなるものである。
(b)リグニンスルホン酸系分散剤としては、具体的には、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウムなどを挙げることができる。
そして、この(b)リグニンスルホン酸系分散剤は、例えば木材の成分であるリグニンをスルホン化したものであり、より具体的には、亜硫酸パルプ製造時の蒸解溶出液を脱糖処理することによって得られるものを例示できる。
B成分は、(a)ポリカルボン酸系分散剤及び(b)リグニンスルホン酸系分散剤以外のその他の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤の種類としては、例えば、オキシカルボン酸系分散剤、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物系分散剤、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物系分散剤などが挙げられる。
B成分の配合量は、A成分、B成分、及び、C成分の含有割合の合計を100質量%とするとき、15~65質量%であることが好ましく、17~62質量%であることが更に好ましく、20~60質量%であることが特に好ましい。このような範囲とすることによって、B成分による分散性能が良好に発揮され、水硬性組成物用混和剤としての性能が良好に発揮される。上記下限値未満であると、分散剤が腐敗しやすくなるため、水硬性組成物用混和剤としての性能が十分に発揮されないおそれがある。上記上限値超であると、水硬性組成物用混和剤の溶液粘度が著しく上昇することにより、ポンプ圧送性が著しく低下することや、計量誤差の影響が大きくなるため、工場での品質管理が困難になるなどの不具合が生じるおそれがある。
(1-3)C成分:
C成分は、防腐成分である。このように防腐成分を含有することで、長期保存中における分散剤の腐敗による分解を抑制し、分散剤の性能低下を防止することができる。そして更に、A成分である「25℃における酸化還元電位が0mV以上の水」をC成分と併せて用いることで、長期保存中による性能劣化の防止効果が優れることになる。即ち、A成分とC成分を組み合わせて採用することで、防腐効果が向上することになる。
このC成分である防腐成分としては、特に制限はないが、例えば、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(即ち、C-MIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(即ち、H-MIT)、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(即ち、BIT)、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(即ち、OIT)等のイソチアゾリン系化合物、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム(即ち、ナトリウムピリチオン)、2-ピリジンチオール-1-オキシドジンク(即ち、ジンクピリチオン)等のピリジン系化合物、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(即ち、ブロノポール)、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン(即ち、BBAB)等の臭素系化合物、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-S-トリアジン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリエチル-S-トリアジン等のトリアジン系化合物、p-クロロ-m-クレゾール(即ち、PCMC)、p-クロロ-m-キシレノール(即ち、PCMX)等のフェノール系化合物、などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このC成分としては、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びグルタルアルデヒドから選ばれる少なくとも1つを含有するものであることがよく、これらのうち少なくとも2つを含有するものであることがより好ましい。このような特定の防腐成分を採用すると、A成分との組み合わせによる効果が更に向上する。即ち、更なる防腐効果が発揮されることになる。
なお、少なくとも2つを含有するものとすると、広い抗菌スペクトルを有することになるため、様々な細菌による腐敗を防止することが可能になる。
C成分の配合量は、A成分、B成分、及び、C成分の含有割合の合計を100質量%とするとき、0.005~0.5質量%であることが好ましく、0.03~0.4質量%であることが更に好ましく、0.05~0.3質量%であることが特に好ましい。このような範囲とすることによって、長期間保管してもその性能が更に劣化し難くなる。上記下限値未満であると、長期間保管した際にその性能が劣化してしまうおそれがある。上記上限値超であると、防腐性能としては過剰量となり、コスト面で水硬性組成物用混和剤としては不適となる傾向が有ることや、過剰添加による製剤安定性の低下などの不具合が生じるおそれがある。
(1-4)その他の成分:
本発明の水硬性組成物用混和剤は、A成分、B成分、及び、C成分以外に、その他の成分を更に含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、AE剤、消泡剤、凝結遅延剤、硬化促進剤、収縮低減剤、増粘剤、防錆剤などを挙げることができる。
AE剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤などを挙げることができる。消泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系化合物などを挙げることができる。凝結遅延剤としては、例えば、糖類などを挙げることができる。硬化促進剤としては、例えば、アミン類などを挙げることができる。収縮低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系化合物などを挙げることができる。増粘剤としては、例えば、セルロースエーテル系化合物などを挙げることができる。防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩などを挙げることができる。
本発明の水硬性組成物用混和剤は、土木、建築、二次製品等の水硬性結合材を含有する水硬性組成物に用いる添加剤として使用することができる。この水硬性組成物としては、具体的には、セメントペースト、モルタル、コンクリート等が挙げられる。
(2)水硬性組成物:
本発明の水硬性組成物は、水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及び、本発明の水硬性組成物用混和剤を含有するものである。このような水硬性組成物は、長期間保管してもその性能が劣化し難い本発明の水硬性組成物用混和剤を用いるため、長期保管後の水硬性組成物用混和剤を使用した際でも、スランプや空気量といった水硬性組成物のフレッシュ性状に影響を受け難く、品質が安定するものである。
通常、水硬性組成物に添加される水硬性組成物用混和剤は、コンテナやドラム、或いは、生コン工場に設置したタンクなどの荷姿で屋外に長期保管されることが多く、また、主に水溶液で運用されることから、保管中に腐敗し、その減水性能などが低下するおそれがある。この場合、水硬性組成物用混和剤の減水性能の低下に起因して、これを用いた水硬性組成物のスランプが小さくなる(即ち、流動性が小さくなる)ため、水硬性組成物の圧送性が低下し、充填不足などの不具合が生じるおそれがある。つまり、水硬性組成物の品質が低下するおそれがある。一方、本発明の水硬性組成物は、上述の通り、本発明の水硬性組成物用混和剤を用いるので、品質が安定しているものである。
水硬性結合材としては、セメントを含有するものであり、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなどの各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの各種のセメントを挙げることができる。
水硬性結合材は、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、石粉、シリカフューム、膨張剤などの各種混和材を上述した各種セメントと併用してもよい。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、各種スラグ細骨材などが挙げられる。
粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種スラグ粗骨材、軽量骨材などが挙げられる。
水は、酸化還元電位などの性質について特に制限はなく適宜使用することができる。
水硬性組成物用混和剤としては、上述した本発明の水硬性組成物用混和剤を用いる。
本発明の水硬性組成物は、その水/結合材比(W/C)は、特に制限されない。必要な強度領域に応じた適切な水/結合材比を選択することができる。
本発明の水硬性組成物は、上述した、水硬性結合材、細骨材、粗骨材、及び、本発明の水硬性組成物用混和剤以外に、その他の成分を更に含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、AE剤、消泡剤、凝結遅延剤、硬化促進剤、収縮低減剤、増粘剤、防水剤、防錆剤を挙げることができる。
AE剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤などを挙げることができる。消泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系化合物などを挙げることができる。凝結遅延剤としては、例えば、糖類などを挙げることができる。硬化促進剤としては、例えば、アミン類などを挙げることができる。収縮低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系化合物などを挙げることができる。増粘剤としては、例えば、セルロースエーテル系化合物などを挙げることができる。防水剤としては、例えば、高級脂肪酸誘導体などを挙げることができる。防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用した水(A成分)について、以下の表1に示す。なお、表1中、総菌数は、サンアイバイオチェッカーTTC(総菌数測定用)(三愛石油社製)を使用して測定した。また、真菌数は、サンアイバイオチェッカーM(真菌数測定用)(三愛石油社製)を使用して測定した。水溶液中のカビ、酵母を真菌とした。なお、菌種の把握のために、総菌数だけでなく真菌数を測定している。菌数の判定基準は、製品付属の対照表のものを採用した。
Figure 2022037656000003
次に、B成分の合成について以下に説明する。
なお、特に記載がない場合には、過硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液に用いた水は、該当する合成例で使用している水と同じものである。つまり、例えば、「B-1」の30%水酸化ナトリウム水溶液に用いた水は、上水道水(A-1)である。但し、過酸化水素に関しては、35%過酸化水素水溶液(キシダ化学社製)に対して、製造に使用した水を用いて希釈したものを用いた。
(合成例1)B成分(B-1)の合成:
上水道水(A-1)436.2g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(23モル)オキシエチレン351.3g、メタクリル酸43.4g、3-メルカプトプロピオン酸6.3gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、2.3%過酸化水素水溶液77.9gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、1.3%過酸化水素水溶液33.6gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=5に調整し、上水道水(A-1)にて濃度を41%に調整して、ポリカルボン酸系分散剤(B-1)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-1):上水道水(A-1)=41:59(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18,000であった。
(合成例2)B成分(B-2)の合成:
表2に示すように、(B-1)において使用したα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(23モル)オキシエチレンに代えて、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(45モル)オキシエチレンを使用したこと、上水道水(A-1)に代えて、上水道水(A-2)を使用したこと、更に、各種構成成分の仕込み量を変化させたこと以外は、(B-1)と同様にして製造した。
このようにして、pH=6のポリカルボン酸系分散剤(B-2)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-2):上水道水(A-2)=41:59(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-2)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量25,000であった。
(合成例3)B成分(B-3)の合成:
上水道水(A-1)207.4g、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(53モル)オキシエチレン456.8gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて70℃に保持した。次に、3.5%過酸化水素水溶液24.8gを3時間かけて滴下し、それと同時に上水道水(A-1)198.6gにアクリル酸39.7gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時に上水道水(A-1)21.8gにL-アスコルビン酸2.0gと3-メルカプトプロピオン酸3.5gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=5に調整し、上水道水(A-1)にて濃度を51%に調整して、ポリカルボン酸系分散剤(B-3)の51%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-3):上水道水(A-1)=51:49(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-3)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量35,000であった。
(合成例4)B成分(B-4)の合成:
α-アリル-ω-メトキシ-ポリ(33モル)オキシエチレン292.8g及び無水マレイン酸34.5gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて80℃に保持した。次に、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)2.9gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、更に2,2’-(アゾビスイソブチロニトリル)2.0gを投入し、更に6時間反応を行った後、上水道水(A-2)を濃度が70%になるように加えることで重合反応を終了した。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=4に調整し、上水道水(A-2)にて濃度を61%に調整して、ポリカルボン酸系分散剤(B-4)の61%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-4):上水道水(A-2)=61:39(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-4)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量48,000であった。
(合成例5)B成分(B-5)の合成:
上水道水(A-1)194.4gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し、窒素雰囲気下にて反応系の温度を60℃に保持した。次に、上水道水(A-1)240.2g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(113モル)オキシエチレン365.5g、メタクリル酸19.4g、ヒドロキシエチルアクリレート3.9g、3-メルカプトプロピオン酸3.9gを均一混合し、単量体混合物水溶液を調製した。この単量体混合物水溶液と10%過硫酸ナトリウム水溶液58.3gとを4時間かけて反応容器に同時に滴下してラジカル共重合反応を行った。その後、反応系の温度を60℃に保持して、1時間反応を行い、重合反応を終了した。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=6に調整し、上水道水(A-1)にて濃度を41%に調整して、ポリカルボン酸系分散剤(B-5)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-5):上水道水(A-1)=41:59(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-5)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量40,000であった。
(合成例6)B成分(B-6)の合成:
上水道水(A-2)424.8g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(9モル)オキシエチレン282.9g、メタクリル酸70.7g、アクリル酸メチル19.6g、チオグリコール酸11.8gを温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器に仕込み、攪拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて60℃に保持した。次に、10%過硫酸ナトリウム水溶液39.3gを投入し、2時間かけてラジカル共重合反応を行った。2時間経過後、10%過硫酸ナトリウム水溶液19.7gを投入し、更に2時間反応を行った後、重合反応を終了した。
その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=8に調整し、上水道水(A-2)にて濃度を41%に調整して、ポリカルボン酸系分散剤(B-6)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-6):上水道水(A-2)=41:59(質量比))を得た。
このポリカルボン酸系分散剤(B-6)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量16,000であった。
(B成分(B-7)、(B-8)、(RB-1))について:
(B-7)、(B-8)、(RB-1)は、表2に示すように、上水道水(A-1)に代えて上水道水(A-3)、井戸水(A-4)、または、井戸水(RA-1)を使用したこと以外は、(B-1)と同様にして製造した。
(B-7)として、pH=5のポリカルボン酸系分散剤(B-7)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-7):上水道水(A-3)=41:59(質量比))を得た。このポリカルボン酸系分散剤(B-7)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18,000であった。
(B-8)として、pH=5のポリカルボン酸系分散剤(B-8)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(B-8):井戸水(A-4)=41:59(質量比))を得た。このポリカルボン酸系分散剤(B-8)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18,000であった。
(RB-1)として、pH=5のポリカルボン酸系分散剤(RB-1)の41%水溶液(ポリカルボン酸系分散剤(RB-1):井戸水(RA-1)=41:59(質量比))を得た。このポリカルボン酸系分散剤(RB-1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量18,000であった。
[質量平均分子量の測定条件]
合成した分散剤の質量平均分子量の測定条件を以下に示す。
[GPC法]
装置:昭和電工株式会社製 Shodex GPC-101
検出器:示差屈折計(RI)
カラム:昭和電工株式会社 OHPak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
カラム温度:40℃
標準物質:PEG/PEO(アジレント社製)
Figure 2022037656000004
なお、表2中、「L-1」は、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(23モル)オキシエチレンを示す。「L-2」は、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(45モル)オキシエチレンを示す。「L-3」は、α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(53モル)オキシエチレンを示す。「L-4」は、α-アリル-ω-メトキシ-ポリ(33モル)オキシエチレンを示す。「L-5」は、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(113モル)オキシエチレンを示す。「L-6」は、ヒドロキシエチルアクリレートを示す。「L-7」は、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(9モル)オキシエチレンを示す。
更に、表2中、「M-1」は、メタクリル酸を示す。「M-2」はアクリル酸を示す。「M-3」はマレイン酸を示す。「N-1」はアクリル酸メチルを示す。
次に、使用したC成分について以下の表3に示す。
なお、表3中、「C-MIT」は、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを示し、「H-MIT」は、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを示し、「OIT」は、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オンを示し、「ブロノポール」は、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールを示す。また、「ナトリウムピリチオン」は、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウムを示し、「BIT」は、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンを示す。
Figure 2022037656000005
(実施例1~28、比較例1~4)
表4に示すように、各成分を混合して水硬性組成物用混和剤を作製した。なお、各水硬性組成物用混和剤は、30%水酸化ナトリウム水溶液または希硫酸を用いて、適宜所定のpHに調整したものである。
表4中、「B-9」は、Borresperse NA(リグニンスルホン酸系分散剤 Borregaard AS社製)であり、「B-10」は、グルコン酸ナトリウム試薬(オキシカルボン酸系分散剤 キシダ化学社製)である。
[防腐性能試験]
作製した各水硬性組成物用混和剤について防腐性能試験を行った。具体的には、水硬性組成物用混和剤を、予め滅菌処理した容量500mlのポリ容器に入れ、蓋の代わりにラップをかけた。このラップには複数の穴を開け、水硬性組成物用混和剤が外気に触れる状態とし、ポリ容器ごと、設定温度30℃の恒温槽中に1ヵ月間静置保管した。そして、1ヵ月間の保管後の水硬性組成物用混和剤中における総菌数及び真菌数を測定した。菌数の判定基準は、製品付属の対照表のものを採用した。なお、防腐性能は、試験開始1ヵ月後の総菌数を採用して評価した。
なお、後述するコンクリート試験(コンクリート組成物の評価)において、保管後の水硬性組成物用混和剤を使用する際には、保管時に蒸発した水分を、各実施例及び比較例で使用した各A成分を添加することで補正し、濃度を調整した。
評価は、具体的には、サンアイバイオチェッカーTTC(総菌数測定用)(三愛石油社製)を用い、上記の通り総菌数を採用して行った。評価の判定基準を以下に示す。
S:非常に良好(総菌数10個未満)
A:良好(総菌数10個)
B:やや良好(総菌数10個)
C:悪い(総菌数10個以上)
Figure 2022037656000006
(水硬性組成物(コンクリート組成物)の調製)
表5に示した配合条件で、20℃の試験室内で50Lのパン型強制練りミキサーに、普通ポルトランドセメントからなるセメント(水硬性結合材)と、骨材として細骨材及び粗骨材と、を投入した。更に、表6に示した使用量で水硬性組成物用混和剤(表4参照)を、そして、所定の空気量(表5参照)となるように、AE剤「AE-300(竹本油脂社製)」及び消泡剤「AFK-2(竹本油脂社製)」を、練り混ぜ水(蒲郡市上水道水)とともに上記ミキサーに投入し、その後、90秒間練り混ぜた。なお、水硬性組成物用混和剤、AE剤及び消泡剤は、練り混ぜ水の一部として計量した。このようにして、スランプが18±1cm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるコンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
水硬性組成物の調製に使用した材料は、具体的には以下の通りである。
水:蒲郡市上水道水
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合物、密度=3.16g/cm
細骨材:陸砂(大井川水系産、表乾密度=2.58g/cm
粗骨材:砕石(岡崎産砕石、表乾密度=2.66g/cm
Figure 2022037656000007
表5中、「W/C」は、水/結合材比を示している。
[使用量変化率(%)]
作製した各水硬性組成物用混和剤を、配合直後測定用と1ヵ月保管用との2つの群に分け、それぞれを用いて、配合直後の使用量と配合後1ヵ月の保管後の使用量とを測定した。そして、配合直後と配合1ヵ月後の混和剤の使用量の差について、その変化率を、式:配合後1ヵ月の保管後の使用量(%)/配合直後の使用量(%)×100により算出した。なお、配合後1ヵ月とした水硬性組成物用混和剤は、防腐性能試験に供したものを用いた。
なお、腐敗していない水硬性組成物用混和剤は、配合直後と1ヵ月の保管後でその使用量が変わらないことから、使用量の変化率(即ち、使用量変化率(%))の値が小さいほど(実際には、100%に近いほど)、防腐効果が得られていることになる。
S:使用量変化率が100%または100%未満
A:使用量変化率が100%超で105%以下
B:使用量変化率が105%超で110%以下
C:使用量変化率が110%超
(水硬性組成物の評価)
配合直後と1ヵ月の保管後の水硬性組成物用混和剤それぞれを用いて作製した各水硬性組成物について、以下の方法で、スランプ(cm)及び空気量(容量%)の各評価を行った。
[スランプ(cm)]
JIS A 1101に準拠して測定した。測定結果を表6に示す。
[空気量(容量%)]
スランプの測定と同時に、JIS A 1128に準拠して測定した。測定結果を表6に示す。
Figure 2022037656000008
(結果)
表6に示される結果から明らかなように、本発明の水硬性組成物用混和剤は、長期間保管してもその性能が劣化し難いことが確認された。また、本発明の水硬性組成物は、長期間保管してもその性能が劣化し難い本発明の水硬性組成物用混和剤を用いるため、長期間保管しても混和剤の機能が維持されることが分かる。
本発明の水硬性組成物用混和剤は、水硬性組成物用の混和剤として利用することができる。また、本発明の水硬性組成物は、コンクリート等として利用することができる。

Claims (9)

  1. 25℃における酸化還元電位が0mV以上の水であるA成分と、
    下記B成分と、
    防腐成分であるC成分と、
    を含有することを特徴とする、水硬性組成物用混和剤。
    B成分:
    (a)ポリカルボン酸系分散剤、及び(b)リグニンスルホン酸系分散剤から選ばれる少なくとも1つを含む分散剤であり、
    前記(a)ポリカルボン酸系分散剤は、分子中に、下記構成単位1、及び、ビニル基を有するカルボン酸単量体から形成された構成単位を含む構成単位2、を含み、
    分子中に占める前記構成単位1及び前記構成単位2の構成割合の合計を100質量%とする場合、
    前記構成単位1を1~99質量%の割合で含み且つ前記構成単位2を99~1質量%の割合で含むものである。
    構成単位1:
    下記一般式(1)で示される化合物から形成された構成単位を含むものである。
    Figure 2022037656000009
    (但し、一般式(1)において、R,R,Rは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基及び-(CHCOOMで示される有機基(r:0~2の整数、M:水素原子又は金属原子)である。但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基から選ばれる少なくとも1つである。pは、0~5の整数である。qは、0又は1の整数である。mは、1~300の整数である。)
  2. 前記A成分、前記B成分、及び、前記C成分の含有割合の合計を100質量%とすると、前記B成分を15~65質量%含有する、請求項1に記載の水硬性組成物用混和剤。
  3. 前記C成分が、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びグルタルアルデヒドから選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1または2に記載の水硬性組成物用混和剤。
  4. 前記C成分が、5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、及びグルタルアルデヒドから選ばれる少なくとも2つを含有する、請求項1または2に記載の水硬性組成物用混和剤。
  5. 前記A成分、前記B成分、及び、前記C成分の含有割合の合計を100質量%とすると、前記C成分を0.005~0.5質量%含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤。
  6. 前記A成分の25℃における酸化還元電位が、+250~+800mVである、請求項1~5のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤。
  7. 前記A成分の25℃におけるpHが、5~9である、請求項1~6のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤。
  8. 1質量%水溶液の25℃におけるpHが、3~11である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤。
  9. 水硬性結合材、水、細骨材、粗骨材、及び、請求項1~8のいずれか一項に記載の水硬性組成物用混和剤を含有することを特徴とする、水硬性組成物。
JP2020141896A 2020-08-25 2020-08-25 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物 Pending JP2022037656A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020141896A JP2022037656A (ja) 2020-08-25 2020-08-25 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020141896A JP2022037656A (ja) 2020-08-25 2020-08-25 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022037656A true JP2022037656A (ja) 2022-03-09

Family

ID=80494719

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020141896A Pending JP2022037656A (ja) 2020-08-25 2020-08-25 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022037656A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2625836C (en) Slump retention in cementitious compositions
DE60101109T2 (de) Polymer für zementdispergierende Zusatzmittel
AU640545B2 (en) Additive composition for cement admixture
EP2181079B1 (en) A liquid admixture composition
CA2814342A1 (en) Dispersant containing gypsum slurry
JP6202916B2 (ja) 高炉スラグ含有セメントスラリー組成物及びこれを用いたソイルセメントスラリーの調製方法
JP6053461B2 (ja) 流動化コンクリートの製造方法
AU772474B2 (en) Cement additive, and concrete composition and structure both containing the same
EA020916B1 (ru) Композиция самоукладывающегося бетона и самоукладывающийся бетон, содержащий такую композицию
JP2021529714A (ja) 改善されたコンクリート混和剤
AU704079B2 (en) Air controlling superplasticizers
JP6595770B2 (ja) 水硬性組成物用分散剤
RU2531083C2 (ru) Диспергирующее средство, содержащее смесь сополимеров
RU2524198C2 (ru) Диспергирующее вещество, содержащее сополимерную смесь
JP2022037656A (ja) 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物
JP2013142051A (ja) 高塩分含有セメント組成物用添加剤及び高塩分含有セメント組成物
JPS6011255A (ja) セメント添加剤
JPS5826061A (ja) セメント混練物の作業性低下防止方法
JP2009155173A (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP5091181B2 (ja) 空気混入防止剤組成物
JP7099767B1 (ja) 水硬性組成物用混和剤及び水硬性組成物
JP5707684B2 (ja) 耐硫酸性モルタル組成物及び耐硫酸性コンクリート組成物並びにそれらの硬化体
JP7037224B1 (ja) 水硬性組成物用添加剤及び水硬性組成物
RU2529189C2 (ru) Диспергирующее вещество, содержащее сополимерную смесь
JP3354840B2 (ja) 高流動性コンクリート又はモルタルの型枠充填時における側圧低減方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231130

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240423

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240528