JP2022037230A - ローリングサークル増幅産物を使用した無細胞タンパク質発現 - Google Patents

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Abstract

【課題】RCA産物からインビトロにおける転写および翻訳のための方法が提供される。【解決手段】本方法は、二本鎖RCA産物を準備するステップであって、二本鎖RCA産物は基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなる、ステップを含む。本方法は、無細胞発現系において二本鎖RCA産物からタンパク質を発現させるステップをさらに含む。【選択図】なし

Description

本発明は、一般に最小限の発現配列を有するデオキシリボ核酸(DNA)ミニサークルのローリングサークル増幅によるローリングサークル増幅産物の形成に関する。本発明はさらに、ローリングサークル増幅産物のインビトロにおける転写および翻訳を含む、改善された無細胞タンパク質発現系に関する。
無細胞タンパク質発現は、細胞培養の複雑化、細胞操作、または細胞トランスフェクションなしにタンパク質を形成するための単純で効率的な方法を提供する。組み換えタンパク質を発現させるための無細胞系は、タンパク質毒性、タンパク質分解、タンパク質凝集およびミスフォールディング、無制御の翻訳後修飾、または細胞装置の隔離による細胞増殖に対するタンパク質発現の悪影響などの細胞ベースの発現系のさまざまな制限に対処する。無細胞タンパク質発現系を使用して、著しく多い量のタンパク質をより短い期間に発現させることができ、これは、後のハイスループットな構造的および機能的解析のために利用することができる。そのようなインビトロにおけるタンパク質発現はまた、コスト節減、能率化された生成、より容易なスケールアップ、および簡略化された精製に関して著しい利点を有する。無細胞タンパク質発現系において、目的とするタンパク質の遺伝子をコードするDNAもしくはRNAを、転写・翻訳能力がある細胞抽出物に添加し、目的とする遺伝子の転写および/または翻訳を実施することによって目的とする所望のタンパク質を発現させる。転写および翻訳は、新しく合成されたmRNAのタンパク質への速やかな翻訳を可能にするために単一の反応と共役させてもよい(インビトロにおける転写・翻訳系と共役させるか、または無細胞系における転写・翻訳と共役させる)。共役させたインビトロにおける転写および翻訳は、一般により短時間およびより少ないインビトロ操作で、発現させるタンパク質の産生量を高める。mRNAの速やかな翻訳は、mRNA分解またはミスフォールディングに関連する起こりうる有害な影響を回避する。
インビトロにおける転写・翻訳系の制約の1つは、大量の(一般にマイクログラム量で)DNA鋳型を必要とすることである。一般に、十分な量のDNAは、例えば、DNAをプラスミドベクターにクローニングし、宿主細胞(例えば、E.coli)においてプラスミドを増殖させることにより、または複数のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)からDNAを合成することにより複数のワークフローステップおよび大幅な労働努力により得ることができる。しかしながら、PCRは、部分的にPCRの高い変異率のために、高品質なDNAの大規模形成には適用できないことが多い。さらに、PCR反応の熱サイクルは、大きな体積でどれだけ急速に温度を増減させることができるかに対する制約により、大きな反応にスケールアップすることが難しい。さらに、直鎖のDNA配列であるPCR産物は、無細胞転写・翻訳抽出物に存在するヌクレアーゼの作用によって急速に分解される可能性もある。さらに、目的とする遺伝子のプラスミドベクターへのサブクローニングに続く遺伝子選択によるE.coliにおける大規模増殖は、時間がかかり、労力集約的である。
ローリングサークル増幅(RCA)などの等温DNA増幅技術は、より少ない労力、時間、および費用で大量の高品質なDNAを形成するために利用することができ、これは、環状核酸鋳型から開始する。ローリングサークル増幅反応は等温で起こり、急速な加熱および冷却を必要としないため、スケールアップを直接より大きな反応サイズにする。ローリングサークル増幅は、鋳型核酸配列のタンデムリピート単位(コンカテマー)であるRCA産物を形成する。プラスミドDNAのRCAに続く、共役させたインビトロにおける転写および翻訳は、目的とするタンパク質を形成することができる。ただし、これらのプラスミドは、E.coliなどの宿主細胞内における遺伝子選択を含む標準的なクローニング法により作製される。したがって、そのようなプラスミドは、複製開始点(例えば、oriC)、抗生物質選択(例えば、ベータ-ラクタマーゼのためのamp)のための配列、およびlacZ、ベータ-ガラクトシダーゼなどの宿主細胞において選択および/またはプラスミドのスクリーニングに使用される補助的な配列を含む多くの付加的なコード配列および非コード配列を含む。これらの補助的な配列の転写および/または発現は、細心の注意を払ってプラスミドにサブクローニングされる目的とする遺伝子に対して望ましくないか、または非効率だと考えられる可能性もある。したがって、プラスミド内における目的とする遺伝子のPCR増幅が、無細胞タンパク質発現に利用される場合が多い。
いかなる外来性配列および宿主細胞夾雑物が、最適に排除されており、PCR合成を必要としないDNAから転写および翻訳される所望のタンパク質の容易な形成のための改善されたインビトロにおける転写および翻訳系が必要とされている。また、簡素化され、時間のかからない方法を使用して、無細胞タンパク質系の産生量を高めることが望ましい。
YOSHIHIRO SAKATANI ET AL:"A transcription and translation-coupled DNA replication system using rolling-circle replication",SCIENTIFIC REPORTS,vol.5,no.1,27 May 2015(2015-05-27),XP055381130,DOI:10.1038/srep10404 the whole document
いくつかの実施形態において、RCA産物を使用したインビトロにおける転写および翻訳のための方法が提供される。本方法は、(a)二本鎖ローリングサークル増幅(RCA)産物を準備するステップであって、二本鎖RCA産物は基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなる、ステップと、(b)無細胞発現系において、二本鎖RCA産物からタンパク質を発現させるステップとを含む。最小限の発現配列は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる。
いくつかの実施形態において、DNAミニサークルを使用したインビトロにおける転写および翻訳のための方法が提供される。本方法は、(a)デオキシリボ核酸(DNA)ミニサークルを準備するステップであって、DNAミニサークルは、基本的に最小限の発現配列からなる、ステップと、(b)DNAミニサークルのローリングサークル増幅により二本鎖ローリングサークル増幅(RCA)産物を形成するステップと、(c)無細胞発現系において、二本鎖RCA産物からタンパク質を発現させるステップとを含む。最小限の発現配列は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる。
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明を添付の図を参照して読むとさらによく理解されるであろう。
ミニサークル由来のRCA産物を使用した、インビトロにおける転写および翻訳の方法の実施形態の略図である。 さまざまなプライマーおよび反応条件を使用した、DNAミニサークル由来のRCA産物の産生量を示すグラフである。 PCR増幅DNA鋳型と比較した、DNAミニサークル由来のRCA産物をインビトロにおける転写および翻訳に使用した場合の増大した緑蛍光タンパク質(EGFP)の増加した発現を示すグラフであり、ここでは、EGFPコード領域は前後関係のコドン選択を使用して設計された。 PCR増幅DNA鋳型と比較した、DNAミニサークル由来のRCA産物をインビトロにおける転写および翻訳に使用した場合のEGFPの増大した発現を示すグラフであり、ここでは、EGFPコード領域は、個々のコドン選択を使用して設計された。 チオ化(thioated)ヌクレオチドを含むか、または含まない、DNAミニサークル由来のRCA産物、ならびにチオ化ヌクレオチドを全く含まないPCR増幅DNAを使用した、インビトロにおける転写および翻訳によるEGFP発現の量を示すグラフである。 チオ化ヌクレオチドを含むか、または含まない、DNAミニサークル由来のRCA産物、ならびにチオ化ヌクレオチドを全く含まないPCR増幅DNAを使用した、インビトロにおける転写および翻訳によるEGFP発現の量を示すグラフである。 PCR増幅DNA鋳型および鋳型なし対照(NTC)発現反応と比較した、DNAミニサークル由来のRCA産物を使用した、共役させたインビトロにおける転写および翻訳によるBODIPY標識ヒトインターロイキン2(IL-2、約16kD)の発現を示すSDS-PAGEゲルを示す画像である。 図7の画像濃度測定によるIL-2の無細胞発現量を示すグラフである。 プラスミドDNA由来のRCA産物と比較した、最小限の発現配列を有するDNAミニサークルから形成されたRCA産物のインビトロにおける転写および翻訳によるEGFPの増大した発現を示すグラフである。
以下の詳細な説明は、例となるものであり、本発明または本発明の使用を限定することは意図しない。明細書全体をとおして、特定の用語の例示は、非限定例と見なされるべきである。単数形「ある(a、an)」および「前記(the)」は、文脈が明らかに別のことを規定していない限り複数の指示対象を含む。近似を表す言い回しは、本明細書中で使用される場合、明細書および特許請求の範囲全体をとおして、それが関連する基本的な機能を変化させることなく許容される範囲で変化し得るあらゆる量的な表記を修飾するために利用されることもある。したがって、「約」などの用語によって修飾される値は、明記されている厳密な値に限定されない。別に指示がある場合を除いて、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数は、すべての例において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値的パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。必要な場合、範囲が提供され、それらの範囲はそれらの間のすべての部分範囲を含む。特許請求される発明の主題をさらに明らかに簡潔に記載し、指し示すために、特定の用語に関する以下の定義を提供し、これらは、以下の説明および添付の特許請求の範囲において使用される。
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオシド」という用語はグリコシルアミン化合物を指し、核酸塩基(ヌクレオベース)が糖部分に連結されている。「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドリン酸を指す。ヌクレオチドは、表1に記載されているそのヌクレオシドと対応するアルファベット文字(文字指定)を使用して表すことができる。例えば、Aはアデノシン(ヌクレオベース、アデニンを含むヌクレオシド)を指し、Cはシチジンを指し、Gはグアノシンを指し、Uはウリジンを指し、Tはチミジン(5-メチルウリジン)を指す。WはAまたはT/Uのいずれかを指し、SはGまたはCのいずれかを指す。Nはランダムなヌクレオシドを表し、dNTPはデオキシリボヌクレオシド三リン酸を指す。Nは、A、C、G、またはT/Uのいずれでもよい。
Figure 2022037230000001
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチドアナログ」という用語は、構造的に天然に存在するヌクレオチドと類似した化合物を指す。ヌクレオチドアナログは、改変されたリン酸骨格、糖部分、ヌクレオベース、またはそれらの組み合わせを有してもよい。ヌクレオチドアナログは、天然のヌクレオチド、合成のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、イノシン)であってもよい。一般に、改変されたヌクレオベースを有するヌクレオチドアナログは、特に、異なる塩基対合および塩基のスタッキング特性を与える。本明細書中で使用される場合、「LNA(ロックド核酸)ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドアナログを指し、ヌクレオチドの糖部分が、リボ核酸(RNA)模倣糖立体構造に固定された二環式フラノース単位を含む。デオキシリボヌクレオチド(またはリボヌクレオチド)からLNAヌクレオチドへの構造変化は、化学的観点から限定され、すなわち、2位と4位にある炭素原子の間の付加的な連結の導入に限定される(例えば、2’-C,4’-C-オキシメチレン結合;例えば、Singh, S. K., et. al., Chem. Comm., 4, 455-456, 1998、またはKoshkin, A. A., et. al., Tetrahedron, 54, 3607-3630, 1998.参照)。LNAヌクレオチド中の2位および4位のフラノース単位は、O-メチレン(例えば、オキシ-LNA:2’-O、4’-C-メチレン-β-D-リボフラノシルヌクレオチド)、S-メチレン(チオ-LNA)、またはNH-メチレン部分(アミノ-LNA)などによって連結されてもよい。そのような連結は、フラノース環の立体構造の自由を制限する。LNAオリゴヌクレオチドは、相補的な一本鎖RNA、および相補的な一本鎖または二本鎖DNAに対する増大したハイブリダイゼーション親和性を示す。LNAオリゴヌクレオチドは、A型(RNA様)二本鎖立体構造を誘導することができる。改変されたリン酸糖骨格を有するヌクレオチドアナログ(例えば、PNA、LNA)は、特に、二次構造形成などの鎖の特性を改変する場合が多い。文字指定に先行するアスタリスク()記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがホスホロチオエート修飾ヌクレオチドであることを指す。例えば、Nは、ホスホロチオエート修飾されたランダムなヌクレオチドを表す。文字指定に先行するプラス(+)記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがLNAヌクレオチドであることを指す。例えば、+AはアデノシンLNAヌクレオチドを表し、+Nはランダムなロックドヌクレオチド(すなわち、ランダムなLNAヌクレオチド)を表す。
本明細書中で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのオリゴマーを指す。「核酸」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヌクレオチドのポリマーを指す。「配列」という用語は、本明細書中で使用される場合、オリゴヌクレオチドまたは核酸のヌクレオチド配列を指す。明細書全体をとおして、オリゴヌクレオチドまたは核酸が文字の配列によって表される場合は必ず、ヌクレオチドは左から右に5’→3’の順序である。例えば、x=2、y=3およびz=1である文字配列(W)(N)(S)によって表されるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド配列WWNNNSを表し、Wは5’末端ヌクレオチドであり、Sは3’末端ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドまたは核酸は、DNA、RNA、またはそれらのアナログ(例えば、ホスホロチオエートアナログ)であってもよい。オリゴヌクレオチドまたは核酸はまた、修飾塩基および/または骨格(例えば、修飾リン酸結合または修飾糖部分)を含んでもよい。核酸に安定性および/またはその他の利点を付与する合成骨格の非限定例としては、ホスホロチオエート結合、ペプチド核酸、ロックド核酸、キシロース核酸、またはそれらのアナログを挙げることができる。
本明細書中で使用される場合、「プライマー」という用語は、核酸合成反応を刺激する標的核酸配列(例えば、増幅対象のDNA鋳型)とハイブリダイズする短い直鎖オリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、RNAオリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、またはキメラ配列であってもよい。プライマーは、天然のヌクレオチド、合成のヌクレオチド、または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。プライマーの長さの上限および下限の両方は経験的に決定される。プライマーの長さに対する下限は、ハイブリダイゼーション時に核酸増幅反応条件において標的核酸と安定した二本鎖を形成するために必要とされる最低限の長さである。非常に短いプライマー(一般には、3未満のヌクレオチド長)は、そのようなハイブリダイゼーション条件下において標的核酸と熱力学的に安定した二本鎖を形成しない。上限は、標的核酸中の予め決められた核酸配列以外の領域において二本鎖形成をする可能性によって決定される場合が多い。一般に、適したプライマーの長さは、約3ヌクレオチド長から約40ヌクレオチド長の範囲である。
本明細書中で使用される場合、「ランダムプライマー」という用語は、所与の位置が任意の可能なヌクレオチドまたはそのアナログからなることが可能であるように、オリゴヌクレオチド配列中の任意の所与の位置のヌクレオチドをランダム化すること(完全なランダム化)によって形成されるプライマー配列の混合物を指す。よって、ランダムプライマーは、配列内のすべての可能なヌクレオチドの組み合わせからなるオリゴヌクレオチド配列のランダムな混合物である。例えば、ヘキサマーランダムプライマーは、配列NNNNNNまたは(N)によって表されてもよい。ヘキサマーランダムDNAプライマーは、4つのDNAヌクレオチド、A、C、GおよびTのすべての可能なヘキサマーの組み合わせからなり、結果として4(4,096)の固有のヘキサマーDNAオリゴヌクレオチド配列を含むランダムな混合物を生じる。ランダムプライマーは、標的核酸の配列がわからない場合または全ゲノム増幅反応を実施するために核酸合成反応を刺激するために効果的に使用することができる。ランダムプライマーはまた、プライマーの濃度に応じて、一本鎖RCA産物ではなく、二本鎖ローリングサークル増幅(RCA)産物を刺激し、作製する際に効果的である場合もある。
本明細書中で使用される場合、「ローリングサークル増幅(RCA)」という用語は、ローリングサークルメカニズムにより環状核酸鋳型(例えば、一本鎖/二本鎖DNAサークル)を増幅する核酸増幅反応を指す。ローリングサークル増幅反応は、環状の一本鎖であることが多い核酸鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションによって開始される。その後、核酸ポリメラーゼが、環状核酸鋳型の周りを囲んで連続的に進行して、何度も繰り返して核酸鋳型の配列を複製すること(ローリングサークルメカニズム)によって環状核酸鋳型とハイブリダイズするプライマーを伸長する。ローリングサークル増幅は、一般に環状核酸鋳型配列のタンデムリピート単位を含むコンカテマーを生成する。ローリングサークル増幅は、直線的な増幅動態(例えば、単一の特異的なプライマーを使用するRCA)を示す直線的RCA(LRCA)であってもよく、または指数関数的な増幅動態を示す指数関数的RCA(ERCA)であってもよい。ローリングサークル増幅はまた、複数のプライマーを使用して実施されてもよく(複合的に刺激されるローリングサークル増幅またはMPRCA)、これは、超分岐コンカテマーをもたらす。例えば、二重に刺激されるRCAにおいて、一方のプライマーは直線的RCAにおいてのように、環状核酸鋳型と相補的であってもよいのに対して、他方はRCA産物のタンデムリピート単位核酸配列と相補的であってもよい。したがって、二重に刺激されるRCAは、一連の複数のハイブリダイゼーション、プライマー伸長、およびプライマーおよび両鎖の両方が関係する鎖置換事象のカスケードを特徴とする指数関数的な増幅動態を伴う連鎖反応として進行することができる。これは、コンカテマーの二本鎖核酸増幅産物の分離したセットを形成する場合が多い。RCAは、Phi29DNAポリメラーゼなどの適した核酸ポリメラーゼを使用して等温条件下でインビトロにおいて実施することができる。適したポリメラーゼは、鎖置換型DNA合成能力を持つ。
1つ以上の実施形態は、無細胞発現系(例えば、インビトロにおける転写および翻訳系)においてタンパク質を発現させるための方法を対象とする。一実施形態において、タンパク質は、ローリングサークル増幅によって形成されたRCA産物のインビトロにおける転写および翻訳によって発現させる。これらのインビトロにおける転写および翻訳反応は、無傷細胞が全くないタンパク質をもたらす。そのようなタンパク質の形成は、構造的および機能的プロテオミクスを含む無数の用途において望ましい場合もある。そのようなタンパク質の無細胞発現は、特に治療用途に望ましい可能性がある。
無細胞発現は、一般に(1)単一の反応においてmRNAおよびタンパク質が生成されるか、または(2)第1の反応においてmRNAが生成され、得られたmRNA産物が第2の別個の翻訳反応に加えられる2つの様式を包含する。DNAミニサークル由来のRCA産物は、様式(1)または(2)のいずれにも利用することができる。例えば、一実施形態において、RCA産物は、「共役させたインビトロ転写・翻訳反応」に提供されてもよく、ここで、RCA産物DNAはmRNAに変換され、1つの反応混合物においてmRNAが同時にタンパク質へと発現される。この1つの反応混合物は、RNAおよびタンパク質の両方を生成する能力を包含する。別の実施形態において、RCA産物は、「連結された転写・翻訳反応」に提供されてもよく、ここで、RCA産物DNAはまずmRNAに変換され、mRNAが別に翻訳反応混合物に添加されて、タンパク質を発現する。
二本鎖RCA産物からのインビトロにおける転写および翻訳のための方法の1つ以上の実施形態が提供される。例となる一実施形態において、本方法は、二本鎖RCA産物を準備するステップと、無細胞発現系において二本鎖RCA産物からタンパク質を発現させるステップとを含む。二本鎖RCA産物は基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなり、ここで、最小限の発現配列は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる。
述べたとおり、二本鎖RCA産物は基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなる。最小限の発現配列は、最小限に、プロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位、および翻訳停止配列を含む。これは、RCA産物のインビトロにおける転写および/または翻訳に実質的に影響を与えない配列をさらに含んでもよい。例えば、これは、翻訳エンハンサー配列、インスレーター配列、または転写終結配列などの配列をさらに含んでもよい。ただし、最小限の発現配列および得られる二本鎖のRCA産物は、RCA産物のインビトロにおける転写および翻訳におもわしくない影響を与える可能性があるいかなる付加的な配列も含まない。例えば、RCA産物は、複製開始点、抗生物質選択遺伝子、あるいはクローニング、選択、スクリーニングおよび/または宿主細胞における複製に必要とされる任意のその他の補助的な配列などのあらゆる外来性配列も排除する。RCA産物中のそのような外来性配列の存在は、無細胞タンパク質発現における転写および/または翻訳に実質的に影響を及ぼすであろう。
最小限の発現配列とは、特定の目的とする遺伝子を含む核酸配列である。最小限の発現配列はまた、特に目的とする遺伝子の発現に必要とされる最小限の遺伝要素または配列(例えば、プロモーター配列またはエンハンサー配列)を含むことが可能である。1つ以上の実施形態において、最小限の発現配列は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる。適したプロモーターの多数の例が当該技術分野において知られており、例えば、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列が挙げられる。同様に、適したリボソーム結合部位の多数の例が当該技術分野において知られており、例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)、ポリAトラクト、種に依存しない翻訳リーダー(SITS)、Kozak共通配列、およびShine-Dalgarno配列が挙げられる。上述のとおり、最小限の発現配列は、RCA産物のインビトロにおける転写および翻訳に実質的に影響を与えない要素をさらに含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、最小限の発現配列は、翻訳エンハンサー配列、インスレーター配列、転写終結配列、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。本方法の一実施形態において、最小限の発現配列は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位、翻訳停止配列、およびインスレーター配列からなる。インスレーター配列は、一般にリボソームの結合または翻訳開始の効率を向上させる。適したインスレーター配列の多数の例が当該技術分野に存在し、例えば、ポリヒスチジントラクトをコードする配列が挙げられる。いくつかの実施形態において、インスレーター配列は、リボソーム結合部位の周囲にスペーサー配列を挿入することによって、または発現タンパク質のN末端内においてコドンの最適化もしくは挿入を行うことによって経験的に決定することができる。最小限の発現配列は、プレプロモーター配列、プロテアーゼ切断もしくはヌクレオチド切断のための配列、タンパク質精製のための配列、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。最小限の発現配列は、所望のタンパク質産物の転写および/または翻訳のいずれかを妨害または阻害するか、あるいは別の方法でタンパク質生成をさらに厄介にする配列を全く含まないよう選択される。
1つ以上の実施形態において、RCA産物は、鋳型としてのDNAミニサークルから形成され、ここで、DNAミニサークルは、基本的に最小限の発現配列からなる。RCA産物は、直鎖または分岐鎖コンカテマーであってもよく、このコンカテマーは、DNAミニサークル由来の最小限の発現配列のタンデムリピートを含む。好適な実施形態において、RCA直鎖コンカテマーは二本鎖である。述べたとおり、DNAミニサークルは、基本的に最小限の発現配列からなり、これは、DNAミニサークルが最小限の発現配列のみを含み、あらゆる外来性配列などの最小限の発現配列以外のいかなる配列も排除することを意味する。したがって、最小限の発現配列を含むDNAミニサークルの増幅は、細胞外でのみ達成することができる。
「外来性配列」は、所望のタンパク質のコードまたは発現に必要な配列を含む。外来性配列は、lacZ、ベータ-ガラクトシダーゼなどの選択、スクリーニング、および/または宿主細胞におけるプラスミドの増殖に使用される補助的な配列を含む場合もある。外来性配列は、複製開始点、抗生物質選択遺伝子、複数のクローニングサイトなどの遺伝子の挿入のための適した制限部位、またはそれらの組み合わせのための配列を含む場合もある。外来性配列は、宿主細胞へのクローニングまたは宿主細胞における検出のために必要とされる任意のその他の配列をさらに含む場合もある。
1つ以上の実施形態において、最小限の発現配列のオープンリーディングフレームは、コドン最適化配列、精製タグ配列、プロテアーゼ切断部位またはそれらの組み合わせを含む。コドン最適化配列をもたらすために、コドンバイアス、前後関係のコドン選択、および/または個々のコドン選択が、一般に考慮される要素である。
オープンリーディングフレームのコドン最適化配列は、RCA産物の翻訳率または品質を向上させる場合もある。コドン最適化は、一般に目的とする遺伝子の翻訳効率を高めることによってタンパク質発現を向上させる。遺伝子の機能性も、特別設計の遺伝子内のコドン使用頻度を最適化することによって高めることができる。コドン最適化実施形態において、種における低頻度のコドンは、高頻度のコドンによって置換されてもよく、例えば、ロイシンに対する低頻度のコドンUUAは、高頻度のコドンCUGで置換されてもよい。コドン最適化はmRNAの安定性を高め、ひいては、タンパク質翻訳率またはタンパク質フォールディングを変えることもある。さらに、コドン最適化は、転写および翻訳制御をカスタマイズする、リボソーム結合部位を改変する、またはmRNA分解部位を安定させることができる。
一例において、(転写終結配列および個々のコドンのそれぞれに関して最適化されたコドンを有するヒトIL-2をコードする配列番号8のDNAミニサークル由来の)RCA産物54のコドン最適化後に予想外に高分子量のタンパク質の発現(26kD~72kD)が観察された(図7)。図7に示される例において、RCA産物またはPCR増幅対照DNA(配列番号7および配列番号8由来)の最小限のIL2発現配列は、IL-2オープンリーディングフレーム内のコドン使用頻度を除いて実質的に同一であった。配列番号8は、JCatツールに従ってコドンが最適化され[Grote et al., Nucleic Acids Res. Jul 1, 2005; 33(Web Server issue: W526-531). JCat: a novel tool to adapt codon usage of a target gene to its potential expression host.]、これは、発現宿主のコドン選択に対して標的遺伝子の個々のコドン使用頻度を最大にする。対照的に、配列番号7は、ヒトIL-2の天然のコード配列から開始するコドン最適化プロセスに基づいて前後関係によって適合され、ここで、特定の部位のみが再コード化された。IL-2のコード配列は、2つのジ-リジンリピートを含み、これは、E.coliにおいてAAAコドンがAAGよりも著しく好ましいため、JCatツールによってポリAトラクトに再コード化された。これらのジ-リジンリピートは、前後関係のコドン最適化プロセスにより配列番号7では実質的に再コード化されなかった。AAAAAAトラクトは、リボソーム滑り配列として知られている場合が多く、これは、翻訳産物のフレームシフトを起こさせ(Yan et al., Cell.160:870-81, 2015)、リボソームの停止により付加的な翻訳制御を加えることがある(Arthur et al., Sci Adv.1: e1500154, 2015)。IL2をコードする直鎖DNA鋳型に関して、そのようなフレームシフトは、下流の翻訳停止コドンがリードスルーされるよう翻訳産物を変える場合もある。しかしながら、直鎖DNA鋳型は有限であるため、対応するmRNA転写物も有限であり、リボソームは最終的に(フレームシフト後
の)メッセージの末端に達し、翻訳産物を放出することなく停止する。この例において、AAAAAAリボソーム滑り配列を含むIL2タンデムリピート配列のコンカテマーであるRCA産物である、配列番号8から形成されるDNAミニサークル由来のRCA産物。転写終結配列のリードスルーによってRCA産物から多シストロン性ランオフ産物が転写される場合、その結果、対応する多シストロン性メッセージにおけるリボソーム滑り配列が翻訳停止コドンのさらなるリードスルーに寄与する。したがって、多シストロン性メッセージは、IL-2ではなく、むしろオフターゲットの、高分子量で望ましくない高分子量の翻訳産物を形成する。実際、RNAポリメラーゼによる転写終結は、RNAフォールディングに影響を与える配列固有の要素および環境要素を含むさまざまな要因のために極めて非効率である。一般に、T7 RNAポリメラーゼは、E.coli rrnBオペロン由来のクラスI/II転写終結配列でわずか52%の効率で終了し、dNTPの濃度の増加に応じて転写終結の効率が低下する。したがって、図8および9に示されるデータは、シストロン性または多シストロン性mRNAのタンデムリピートが、(転写終結配列の存在にもかかわらず)共役させた転写・翻訳反応においてRCA産物鋳型から広範囲にわたって形成され、対応するmRNAが、部分的にコドン使用頻度に応じてリボソームによって効果的にまたは効果的でなくプロセシングされる場合もあり、これは、メッセージの下流のシストロンが適切に設計されているかどうかに応じて、最終的に無細胞タンパク質産生量を増大または低下させることを示している。
コドン最適化の別の例において、配列番号2および配列番号4は、発現宿主のコドン選択に対して標的遺伝子の個々のコドン使用頻度を最大にするJCatツールに従ってコドンが最適化されたEGFPオープンリーディングフレームを含む。さらに、配列番号1および配列番号3は、以下のプロセスに基づいて前後関係で適合されたEGFPに対するオープンリーディングフレームを含む;EGFPの天然のコード配列から開始し、内部ATGメチオニンの上流の隠れた開始部位(ATG)、隠れたリボソーム結合部位(例えば、AGGA、GAGG、GGAG)、クラスII終結配列[(A、C、またはT)ATCTGTT]、リボソーム滑り配列[NNNYYY、ここで、Y=(A、T)]、およびリボソーム休止部位(例えば、AGG、GGA、GAG、GGG、GGT、GTG)を避けるために特定の部位のみ再コード化した。図3および4に示されるデータは、EGFPの無細胞発現量がコドン使用頻度に部分的に影響されることを示す。
いくつかの実施形態において、最小限の発現配列のオープンリーディングフレームは、発現タンパク質の精製のためのタグ配列を含む。タグ配列は、アフィニティタグ、プロテアーゼ切断に対するタグまたはそれらの組み合わせであってもよい。アフィニティタグは、組み換えタンパク質の迅速な精製および検出のために使用することができる。アフィニティタグとしては、ポリヒスチジンタグ(his6(配列番号9))、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ(GST)、ヘマグルチニン(HA)、myc(c-myc遺伝子産物由来)、FLAG(エンテロキナーゼ切断部位を含む8つのアミノ酸Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号10)からなる)またはそれらの組み合わせを挙げることができる。融合タグは所望のタンパク質の迅速な精製または検出に役立つが、このタグは、組み換えタンパク質の永続的に取り付けられたものまたはドメインであると見なされない場合がある。したがって、組み換えタンパク質の構造および機能の極めて解析的な研究には融合タグの除去が必要とされる場合が多い。精製のためのタグは、プロテアーゼ切断タグなどの別の種類のタグを使用することによってタンパク質から除去することができる。プロテアーゼ切断タグは、特定のタンパク質またはペプチド配列内の特異なペプチド結合を切断するために使用することができる。プロテアーゼ切断タグとしては、例えば、PreScission Proteaseタグ(GE Healthcare)またはトロンビンプロテアーゼタグ(GE Healthcare)を挙げることができる。
述べたとおり、いくつかの実施形態において、最小限の発現配列はさらに、基本的に転写終結配列からなる。転写終結配列は、一般にDNA鋳型中の遺伝子の3’末端に位置している。転写終結配列は、新しく合成されるmRNAにおいて転写複合体からmRNAを放出するプロセスを開始するシグナルをもたらし、これも、所望のタンパク質産物の効果的な翻訳の一助となり得る。
ミニサークル由来のRCA産物における非効率な転写終結の影響は、プラスミドDNA由来のRCA産物と比較してほとんど取るに足りないものである。ある場合には、RCA産物がプラスミドから誘導される場合、目的とする遺伝子を含むプラスミドDNAは、転写がその点を超えて進行するのを防ぐために遺伝子の直後に二本鎖DNA切断を作り出すための制限酵素を使用して消化されなければならない。もしランオフ転写が起きれば、多くのコード配列および非コード配列を含むプラスミドの他の区画(複製開始点、抗生物質選択のための配列、ならびに選択、スクリーニングおよび/または宿主細胞におけるプラスミドの増殖のために使用される補助的な配列を含む)が転写されるであろう。プラスミドDNA由来のRCA産物は、未消化の状態で使用される場合、転写のリードスルーにより望ましくないmRNA種をもたらす可能性もあり、それは、目的とするタンパク質とともに(またはそれより大量に)タンパク質夾雑物を生成するおそれがある。しかしながら、ミニサークル由来のRCA産物における転写終結が不十分でも依然として的確なmRNAを形成することができる。したがって、DNAミニサークル由来のRCA産物からの無細胞タンパク質の産生量は、プラスミド由来のRCA産物またはPCR増幅プラスミドDNAのいずれと比較しても良好である。DNAミニサークル由来のRCA産物に転写終結配列が完全にない場合でも、同様の発現の利益が観察され、これは予想外の結果である。これは、実施例2および3などの異なる例において示されており、その結果が図3、4および6に示されている。図3および4に示される例に関して、配列番号1および配列番号2は、EGFPをコードし、転写終結配列を有するのに対して、配列番号3および配列番号4はEGFPをコードし、転写終結配列を有さない。(配列番号3由来の)PCR増幅DNA産物26と比較して、(配列番号3のDNAミニサークル由来の)RCA産物22はEGFPの高い発現をもたらし、(配列番号3のDNAミニサークル由来の)RCA産物22からの全EGFP産生量は(配列番号1由来の)PCR増幅DNA産物24と同等であった(図3)。EGFPに対するさまざまなコドンの最適化法を使用して、(配列番号4のDNAミニサークル由来の)RCA産物30は、(配列番号2のDNA由来の)PCR増幅DNA産物32または(配列番号4のDNA由来の)PCR増幅DNA産物34のいずれよりも多い量のEGFPを形成した(図4)。しかしながら、RCA産物20(配列番号1のDNAミニサークル由来)および28(配列番号2のDNAミニサークル由来)を使用したEGFP発現量が最高であった。これらの例は、転写終結配列が、PCR増幅DNAからのタンパク質発現に必須であると同時に、DNAミニサークル由来のRCA産物からの確固としたタンパク質発現に必須でないことを示している。こうしたRCA産物は、シストロン性mRNA種のタンデムリピートを形成することによって無細胞タンパク質発現を向上させ、ここで、mRNAのすべてのシストロンが所望の標的遺伝子を含む。シストロンのタンデムリピートは、特に、転写終結シグナルがない場合に、結果としてmRNAの安定性を向上させ、所望のタンパク質産物のより高い翻訳速度に寄与する可能性もある。
1つ以上の実施形態において、インビトロにおける転写および翻訳のための方法は、DNA鋳型として二本鎖RCA産物を用いる。これらの実施形態において、二本鎖DNA鋳型の分子内ライゲーションは、二本鎖DNAミニサークルを形成し、これは、RCA反応に対する鋳型として利用される。無細胞転写反応に使用されるRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)は、一般にDNAコード配列との効果的な結合のために二本鎖DNAプロモーター配列を必要とする。RNAポリメラーゼの二本鎖DNAプロモーター配列との効果的な結合は、効率的な転写を開始する。したがって、二本鎖RCA産物の形成を促進するRCA反応条件は、効果的なインビトロにおける転写および翻訳に望ましいものである。
いくつかの実施形態において、二本鎖RCA産物は、さらなる処理を全く行わずに無細胞発現系に提供される。一実施形態において、RCA産物は、増幅の直後に無細胞系に添加される。「さらなる処理」という用語は、RCA産物の制限消化、ライゲーション、またはそれらの組み合わせの行為を含むことを意味する。ただし、いくつかの実施形態において、RCA産物は、真核細胞抽出物を使用した無細胞発現のための手順の前に、塩またはプライマーもしくは小断片化DNAなどのあらゆるその他の夾雑物を反応媒体から除去するために(例えば、沈殿によって)分離されてもよい。
例となる一実施形態において、二本鎖RCA産物は、最小限の発現配列のタンデムリピートを有する。この実施形態において、最小限の発現配列には、宿主細胞におけるDNAの増殖に必要とされる外来性配列が全くない。さらに、この実施形態の二本鎖RCA産物は、制限消化および/またはライゲーションを全く行うことなく無細胞発現系に提供される。
DNAミニサークルから形成されたRCA産物を使用した無細胞発現反応からのタンパク質産生量は、プラスミドDNAから形成されたRCA産物のタンパク質産生量よりもはるかに高く、このことは、実施例5において詳細に記載され、図9に示されている。この実施例において、EGFPの無細胞産生量は、(配列番号1を含むプラスミド由来の)RCA産物72と比較して、(EGFPをコードし、転写終結配列を有する配列番号1のDNAミニサークル由来の)RCA産物70を発現させた場合に増大した。さらに、転写終結配列の非存在下において、(配列番号3を含むプラスミドDNA由来の)RCA産物76と比較して、(配列番号3のDNAミニサークル由来の)RCA産物74を使用したEGFPの発現も増大した。これらの例は、プラスミドDNAのRCA産物内のコンカテマーとして反復される外来性配列(複製開始点、抗生物質選択配列およびlacZ選択配列など)の存在が所望のタンパク質標的の無細胞発現を妨げることを示している。
DNAミニサークル由来のRCA産物の無細胞発現はまた、PCRによって増幅された核酸と比較して高いタンパク質産生量をもたらす。例えば、共役させたインビトロにおける転写および翻訳によるEGFPタンパク質の合成が、PCR増幅DNAとDNAミニサークル由来のRCA産物の間で比較された。RCA産物20、22および28、30を発現させた場合、それぞれPCR増幅DNA24、26および32、34の使用と比較してEGFPの増大した産生量が図3および4に示されている。
いくつかの実施形態において、インビトロ転写・翻訳反応に使用される二本鎖RCA産物は、チオ化ヌクレオチドを含む。これらの実施形態において、RCA反応には、増幅の間にチオ化塩基のRCA DNA産物へのランダムな組み込みのためにα-S-dATPまたはα-S-dTTPなどのチオ化dNTPをdNTP混合物に加える。無細胞タンパク質発現は、インビトロにおける転写および翻訳のために、非チオ化RCA産物と比較して、チオ化ヌクレオチドを含むRCA産物が使用される場合に向上する。例えば、(配列番号5のDNAミニサークル由来の)チオ化RCA産物36を発現させた場合のEGFPタンパク質産生量は、図5に示されるとおり、(配列番号5のDNA由来の)PCR増幅DNA産物42または(ATヘキサマーを用いた配列番号5のDNAミニサークル由来の)非チオ化RCA産物38または(ランダムヘキサマーを用いた配列番号5のDNAミニサークル由来の)非チオ化RCA産物40のいずれと比較しても高かった。さらに、EGFPコード配列の下流の転写終結配列が除去された別の例において、(配列番号6のDNAミニサークル由来の)チオ化RCA産物44を発現させた場合の無細胞EGFPタンパク質産生量は、図6に示されるとおり、(配列番号6のDNA由来の)非チオ化PCR増幅DNA産物48または(ATヘキサマーを用いた配列番号6のDNAミニサークル由来の)非チオ化RCA産物46のいずれと比較してもはるかに高かった。
無細胞タンパク質発現のための本方法は、インビトロにおける転写およびインビトロにおける翻訳を含む。インビトロにおける転写反応は、二本鎖RCA産物を用い、ここで、二本鎖RCA産物は基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなる。最小限の発現配列は、プロモーター配列を含む。プロモーター配列は、転写される目的とする遺伝子の上流(5’)に存在する。DNA依存性RNAポリメラーゼは、二本鎖DNAプロモーター領域に結合して、遺伝子の転写を開始する。適したさまざまなRNAポリメラーゼが当該技術分野において知られており、1つのサブユニットのみを有するもの(例えば、T3およびT7のようなバクテリオファージ、ならびにミトコンドリアからのもの)ならびに細菌および真核生物由来の多ドメインRNAポリメラーゼが挙げられる。RNAポリメラーゼは、効率的な転写のために付加的なタンパク質補因子をさらに必要とする場合もある。
無細胞翻訳反応のいくつかの実施形態において、生体分子翻訳装置が細胞から抽出され、インビトロにおける翻訳に利用される。1つ以上の実施形態において、オープンリーディングフレームのコドン最適化配列は、翻訳率を向上させる。翻訳に必要とされる組成物、酵素の割合、および構成要素は無細胞抽出物によって提供されるか、または合成の構成成分が加えられてもよい。転写によって合成されるmRNAは、翻訳反応において発現し、これは、無細胞抽出物において標的タンパク質を生成する。インビトロにおける発現反応のいくつかの実施形態において、タンパク質合成は、培養細胞内ではなく無細胞抽出物中で起こる(細胞から抽出された材料は、本明細書において「無細胞抽出物」または「細胞抽出物」と呼ばれる場合もある)。細胞抽出物は、一般に細胞の細胞質および細胞小器官の構成成分を含む。無細胞抽出物は、無細胞転写および翻訳に必要とされる分子、例えば、翻訳のためのリボソーム、tRNAおよびアミノ酸、酵素の補酵素ならびにエネルギー供給源、ならびにタンパク質フォールディングに必須の細胞の構成成分のすべてまたは大半のものを供給することができる。
いくつかの実施形態において、無細胞発現系は、原核細胞抽出物、真核細胞抽出物、またはそれらの組み合わせを含む。さらに別の実施形態において、無細胞発現系は、個々に精製した構成成分から構築される。一実施形態において、無細胞タンパク質発現のために開発された細胞抽出物は原核生物由来のものである。この実施形態において、タンパク質を発現させるために、RCA産物DNA由来のmRNAが原核生物抽出物に添加されてもよく、またはその中で生成されてもよい。翻訳を助けることができる原核生物抽出物は、E.coli由来であってもよい。一部の他の実施形態において、細胞抽出物は、真核細胞、例えば、原生動物、酵母菌細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、またはヒト細胞由来であってもよい。これらの実施形態において、RCA産物DNA由来のmRNAは、真核細胞抽出物、例えば、ウサギの網状赤血球ライセート(RRL)、小麦胚芽抽出物、昆虫細胞のライセート(SF9またはSF21など)、哺乳動物のライセート(CHOなど)、ヒトのライセート(HeLaなど)、または原生動物のライセート(Leishmaniaなど)に添加されてもよく、またはその中で生成されてもよい。真核生物系由来の無細胞抽出物は、効率的なタンパク質合成に必要とされる必須の細胞巨大分子、例えば、リボソーム、翻訳因子およびtRNAを含み、ここで、エネルギー供給源およびアミノ酸が加えられる必要がある場合もある。
例となる一実施形態において、RCA反応のための核酸鋳型は、デオキシリボ核酸(DNA)鋳型である。DNA鋳型は、合成のDNAであっても、または天然のDNAであってもよい。DNA鋳型は、環状DNA鋳型、直鎖DNA鋳型、またはニックの入ったDNA鋳型であってもよい。いくつかの実施形態において、核酸鋳型はDNAミニサークル鋳型であり、RCAは無細胞系においてDNAミニサークル鋳型を増幅するために使用される。一例の実施形態において、直鎖核酸鋳型の環状化は、酵素反応によって、例えば、DNAリガーゼなどのライゲーション酵素を伴うインキュベーションによって達成される。いくつかの実施形態において、DNAミニサークル鋳型は、最小限の発現配列を含む。いくつかの実施形態において、RCAのDNAミニサークル鋳型は、タンデムリピートDNA配列を生成するための最小限の発現配列を含む。生成されたタンデムリピート配列は、基本的に最小限の発現配列の複数の単位からなる。インビトロにおける転写・翻訳のために使用されるRCA産物は、インタクトな分解されていない状態であってもよい。
ローリングサークル増幅反応は、プライマー、ポリメラーゼ、および遊離ヌクレオチド(dNTP)などの試薬を用いる場合が多い。いくつかの実施形態において、RCAは、二本鎖DNAミニサークルを、ランダムプライマー混合物を含むプライマー溶液と接触させて、核酸鋳型・プライマー複合体を形成し、核酸鋳型・プライマー複合体をDNAポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオシド三リン酸と接触させ、核酸鋳型を増幅することによって実施されてもよい。増幅反応に利用される核酸ポリメラーゼは、プルーフリーディング核酸ポリメラーゼであってもよい。RCAは、Phi29 DNAポリメラーゼを含むが、それに限定されない当該技術分野において知られている任意のDNAポリメラーゼを使用することによって実施されてもよい。増幅反応混合物は、適切な増幅反応バッファーなどの付加的な試薬をさらに含んでもよい。
いくつかの実施形態において、核酸増幅反応に使用される試薬のそれぞれは、あらゆる夾雑核酸を除去するために前処理されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬の前処理としては、紫外線の存在下において試薬をインキュベートすることが挙げられる。一部の他の実施形態において、試薬は、ヌクレアーゼおよびその補因子(例えば、金属イオン)の存在下において試薬をインキュベートすることによって汚染が除去される。適したヌクレアーゼとしては、エキソヌクレアーゼIまたはエキソヌクレアーゼIIIなどのエキソヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、DNA増幅反応に使用されるプルーフリーディングDNAポリメラーゼは、dNTPの非存在下において二価金属イオン(例えば、マグネシウムまたはマンガンイオン)とともにインキュベートすることによって汚染が除去されてもよい。
RCA反応は、ランダムプライマー混合物を使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態において、特異的なプライマーがRCA反応に使用される。1つ以上のヌクレオチドアナログを含むプライマー配列も使用されてもよい。1つ以上の実施形態において、RCAは、ヌクレオチドアナログを含むランダムプライマー混合物を使用して実施される。ヌクレオチドアナログは、イノシン、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、チオ化ヌクレオチド、2-アミノ-デオキシアデノシン、2-チオ-デオキシチミジン、ポリカチオンヌクレオチド、Zip核酸(ZNA)ポリカチオン修飾ヌクレオチド、またはそれらの組み合わせであってもよい。1つ以上の実施形態において、ランダムプライマー混合物は、配列+N+N(atN)(atN)(atN)N(ATヘキサマープライマー)を有する。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼ耐性プライマー(例えば、適切な位置にホスホロチオエート基を含むプライマー配列)が増幅反応に利用される(例えば、NNNNN)。いくつかの実施形態において、DNAミニサークルの増幅は、ランダムヘキサマーまたはヘキサマープライマー、+N+N(atN)(atN)(atN)N(ATヘキサマープライマー)を利用し、ここで、「N」は、ランダムなヌクレオチド(すなわち、Nは、A、C、G、またはT/Uのいずれでもよい)を表し、「atN」は、2-アミノdA、2-チオ-dT、通常のGおよび通常のCを含むランダムな混合物を表し、文字指定に先行するプラス(+)記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがロックド核酸(LNA)ヌクレオチドであることを指し、文字に先行するアスタリスク()記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがホスホロチオエート修飾ヌクレオチドであることを指す。
増幅反応の間、DNAミニサークル鋳型は、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)またはそれらの修飾された同等物の存在下においてポリメラーゼによって複製される。核酸鋳型増幅に利用される遊離ヌクレオチドとしては、天然のヌクレオチド(例えば、dATP、dGTP、dCTPもしくはdTTP)またはそれらの修飾アナログを挙げることができる。いくつかの実施形態において、反応混合物は、チオ化dNTPが加えられる。チオ化dNTPとしては、α-S-dGTP、α-S-dCTP、α-S-dATP、およびα-S-dTTPを挙げることができるが、これらに限定されない。α-S-dATPまたはα-S-dTTPなどのチオ化dNTPは、チオ化塩基のRCA産物へのランダムな組み込みのためにdNTP混合物に添加されてもよい。
いくつかの実施形態において、RCAは、約10μMから約10mMの範囲のdNTPの最終濃度を使用して実施される。RCA反応の1つ以上の実施形態において、dNTP濃度は、10mM未満である。これらの実施形態において、dNTPの濃度は、RCA産物からのハイドロゲル形成を避けるため、および反応バッファー中に存在する二価カチオン(例えば、マグネシウム)の量以下の濃度にとどまるよう10mMより低く維持される。ハイドロゲル形成は、高濃度のdNTPの存在下における増幅の後に生じることがあり、これは、RCA産物のピペット操作および処理などの後の操作をさらに複雑にする可能性もある。50mM以上のdNTP濃度がRCA反応に使用される場合にハイドロゲル形成が観察されることがある。
RCAは、illustra(商標)TempliPhi(商標)Amplification Kit(GE Healthcare)などの市販のRCA増幅キットを使用して実施されてもよい。TempliPhiローリングサークル増幅は、修飾されたランダムプライマーを用い、これは、さらに高い感度および増幅バランスを提供する。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼ耐性プライマーがRCA反応に使用される。インビトロにおける転写および翻訳のための本方法には高濃度の鋳型DNAが必要とされるため、より速い反応速度およびより高い産生量のよりバランスがとれたDNA増幅がRCAを使用して達成され得る。
本発明の方法とともに使用するためのDNAミニサークル鋳型を調製するために、さまざまな方法を使用することができる。いくつかの実施形態において、直鎖DNA鋳型を、環状化して、DNAミニサークル鋳型を形成することができる。一例の実施形態において、直鎖DNA鋳型の環状化は、酵素反応によって、例えば、DNAリガーゼなどのライゲーション酵素を伴うインキュベーションによってもたらされてもよい。いくつかの実施形態において、直鎖DNA鋳型の両末端の先端は、両末端の先端が近接近するようになるよう核酸配列とハイブリダイズさせられる。ライゲーション酵素とともにインキュベートすることは、その後、ハイブリダイズした直鎖DNA鋳型の環状化を引き起こして、DNAミニサークルを形成することができる。適したDNAミニサークル鋳型はまた、適切なPCRプライマーを使用したより大きなDNA(例えば、ゲノムDNA、またはDNAライブラリーからのDNA)の一部のPCR増幅に続く、PCR産物の環状化によって形成することができる。DNAミニサークルはまた、適した直鎖オリゴヌクレオチドの化学合成に続く、合成されたオリゴヌクレオチドの環状化によって形成することができる。いくつかの実施形態において、合成された直鎖オリゴヌクレオチドは、基本的に最小限の発現配列からなり、DNAリガーゼによる環状化を実現して、DNAミニサークルを形成することができる。
1つ以上の方法は、DNAミニサークルを精製するステップ、分析するステップおよび/または定量するステップをさらに含んでもよい。dsDNAミニサークルの単離もしくは精製および/または酵素もしくは非連結形態のDNAなどの夾雑物の除去が、増幅反応に先立って実施されてもよい。核酸の精製、分析または定量に使用される任意の適した技術が利用されてもよい。非限定例としては、沈殿、ろ過、アフィニティーキャプチャー、ゲル電気泳動、シークエンシングまたはHPLC分析が挙げられる。例えば、環状核酸の精製は、アフィニティーキャプチャーによって達成されてもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、形成されたDNAミニサークルの処理をさらに含んでもよい。形成されたDNAミニサークルの後処理は、意図される使用により変わる場合もある。
他に指定がない限り、実施例に記載されている成分は、一般的な化学物質供給業者から商業的に入手可能である。この実施例のセクションにおいて使用されるいくつかの略語を以下のとおり詳述する:「mg」:ミリグラム;「ng」:ナノグラム;「pg」:ピコグラム;「fg」:フェムトグラム;「mL」:ミリリットル;「mg/mL」:ミリグラム・パー・ミリリットル;「mM」:ミリモル濃度;「mmol」:ミリモル;「pM」:ピコモル濃度;「pmol」:ピコモル;「μL」:マイクロリットル;「min」:分および「h」:時間。
図1は、DNAミニサークル由来のRCA産物を使用したインビトロにおける転写および翻訳の方法の一般的な実施形態の1つの略図である。基本的に最小限の発現配列12からなるDNA発現コンストラクト10をライゲーション反応によって環状化して、DNAミニサークル14を形成する。DNAミニサークル14を、RCAによって増幅する。この増幅反応は、外来性配列が全くない最小限の発現配列12を含む発現コンストラクト10のタンデムリピート単位を有するコンカテマーRCA産物16を形成する。したがって、このDNAミニサークルは、細胞内における増殖には適用できない。RCA産物16が、その後、インビトロにおける転写・翻訳反応において発現する。一部の例において、DNAミニサークル14の最小限の発現配列は、転写終結配列を含む。そのようなDNAミニサークルから形成されたRCA産物は、それぞれのタンデムリピートに転写終結配列を有することになる。その後、この実施例のRCA産物16から生成されたmRNA17は、それぞれのタンデムリピート単位にある転写終結配列で終了することが可能である。ただし、任意の1つの転写終結配列のリードスルーが生じる場合(mRNA18など)、下流のmRNA配列は、依然として期待されるタンパク質標的をコードする。いくつかの他の例において、DNA発現コンストラクト10の最小限の発現配列は、転写終結配列を含まない。そのような例のRCA産物から生成されたmRNA18は、それぞれのタンデムリピート単位で終了しないため、RCA産物の複数のタンデムリピート配列により連続的に転写される。しかしながら、いずれの場合も、DNA発現コンストラクト10に翻訳停止配列が存在するため、mRNAが所望の配列を有するタンパク質19に翻訳される。
DNAミニサークルのローリングサークル増幅
DNAミニサークルの形成:
EGFPおよびヒトインターロイキン-2(IL-2)に対する最小限の発現配列をコンピュータで設計し、インビトロにおいて合成した。これらの発現配列のすべてが、T7プロモーターおよび+1配列(得られるmRNAの5’非翻訳領域の最初のリボ塩基位置)に続くT7 phi10プロモーターステムループ配列を含んでいた。さまざまな付加的な非コードおよびコード要素を、T7プレプロモーター配列、リボソーム結合配列、リボソームの結合を向上させるためのインスレーター配列、リボソームの開始を向上させるためのインスレーター配列、転写終結配列、翻訳開始および終止配列、リーダー配列プロテアーゼ切断部位を含む最小限の発現配列の設計ならびにコドン最適化時に含めた。これらの要素を有する典型的な最小限の発現配列を配列番号1~8として列挙する(表2)。これらの配列は、655~970塩基対のサイズに及ぶ。
Figure 2022037230000002
Figure 2022037230000003
Figure 2022037230000004
Figure 2022037230000005
Figure 2022037230000006
Figure 2022037230000007
Figure 2022037230000008
5’末端および3’末端の両方に固有の制限部位(それぞれBamHIおよびBglI
I)を有する直線の二本鎖DNAを合成した(GenScript, Inc.)。DNAミニサークルを作製するために、両方のエンドヌクレアーゼでdsDNAを消化して、相補的な粘着オーバーハングを作り出した。この消化したDNAを、T4DNAリガーゼを使用して連結した。制限消化およびライゲーションステップを、20U BamH1、10U BglII、400U T4リガーゼ、1mM ATP、100μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、100mM NaCl、10mM MgCl、50mM Tris-HCl、pH7.5、および10mMジチオスレイトール(DTT)を含む反応混合物を使用して、連続的(例えば、異なるチューブにおいて)または同時(例えば、同じチューブにおいて)のいずれかで行った。すべてのライゲーション産物(DNAミニサークル)を、その後、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼIIIにより処理して、残りのあらゆる直鎖DNA断片を消化した。ライゲーション産物を80℃で20分間インキュベートすることによって、エキソヌクレアーゼを熱失活した。エキソヌクレアーゼの熱失活後に、5μL(25ngのDNA)の完了したライゲーション反応を、Phi29 DNAポリメラーゼを使用した等温RCA反応に直接利用した。
DNAミニサークルの増幅
DNAミニサークル鋳型のRCAは、基本的に最小限の発現配列のタンデムリピートからなる高分子量の超分岐コンカテマーをもたらす。水、反応バッファー、プライマー、およびPhi29酵素を含むRCA試薬は、オフターゲットの増幅を最小限にするために、連結される鋳型およびdNTPの添加に先立って予め浄化した。いくつかの実施形態において、エキソヌクレアーゼ耐性プライマーおよびヌクレオチド(dNTP)を含むプライマー・ヌクレオチド溶液(プライマー・ヌクレオチドミックス)は、プライマー・ヌクレオチドミックスを、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、および一本鎖DNA結合タンパク質(SSBタンパク質)の組み合わせとともにインキュベートすることによって汚染を除去した。(使用するDNAポリメラーゼが非プルーフリーディングDNAポリメラーゼを含む場合)任意にエキソヌクレアーゼの存在下において、二価カチオン(例えば、Mg2+)とともにインキュベートすることによって、DNAポリメラーゼを含む酵素ミックスの汚染を除去した。そのような汚染除去済み酵素ミックスおよびプライマー・ヌクレオチドミックスを使用して、DNAミニサークルの増幅を実施した。例えば、200ngのPhi29 DNAポリメラーゼを含むポリメラーゼ溶液を、15mM KCl、20mM MgCl、0.01% Tween-20および1mM TCEPを含む5μLの50mM HEPESバッファー(pH=8.0)中の0.1単位のエキソヌクレアーゼIIIとともにインキュベートした。インキュベーションは、30℃で約60minまたは4℃で12hのいずれかで実施した。汚染除去済みPhi29 DNAポリメラーゼ溶液を氷浴に移し、その後、エキソヌクレアーゼIIIを事前に失活させずに標的RCAアッセイに使用した。
配列+N+N(atN)(atN)(atN)N(ATヘキサマー)を有するランダムヘキサマーまたはヘキサマープライマーを使用してDNAミニサークルの増幅を実施した。ここで、「N」は、ランダムなヌクレオチド(すなわち、Nは、A、C、G、またはT/Uのいずれでもよい)を表し、「atN」は、2-アミノdA、2-チオdT、通常のGおよび通常のCを含むランダムな混合物を表し、文字指定に先行するプラス(+)記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがロックド核酸(LNA)ヌクレオチドであることを指し、文字に先行するアスタリスク()記号は、文字によって指定されたヌクレオチドがホスホロチオエート修飾ヌクレオチドであることを指す。場合によっては、RCA産物からの転写および翻訳の後のプロセスを複雑にする可能性がある増幅されたRCA産物DNAのハイドロゲル形成を避けるために、すべてのRCA反応に対してdNTP濃度を1mM未満(一般に400~800μM)に維持した。
汚染除去済みプライマー・ヌクレオチドミックスおよび汚染除去済み酵素ミックスを、DNAミニサークル鋳型とともに、30℃で約400minインキュベートすることによってDNA増幅反応を実施した。増幅反応混合物は、40μMのプライマー、400μMのdNTP(400μMのそれぞれのdATP、dCTP、dGTP、dTTP);1pgのDNAミニサークル、および200ng Phi29 DNAポリメラーゼから構成された。その反応混合物を、15mM KCl、20mM MgCl、0.01%(v/v)Tween-20、1mM TCEPを含む50mM HEPESバッファー(pH=8.0)中でインキュベートした。インキュベーションの終わりに、その反応混合物を65℃で10分加熱することによって、反応混合物中のPhi29 DNAポリメラーゼを失活させた。
表3および図2は、BamHIおよびBglIIで消化し、ライゲーションによって環状化した配列番号6を使用して調製した、DNAミニサークルからのRCA産物の代表的な産生量の概要を示す。(i)ランダムヘキサマーおよびdNTPの使用、(ii)ATヘキサマープライマーおよびdNTPの使用;ならびに(iii)ATヘキサマーおよびチオ化dATPと混合したdNTPの使用の3つの異なる試験条件下においてRCA反応を実施した。およそ28ngのエキソヌクレアーゼで処理したライゲーション産物(DNAミニサークル)を使用して、RCA反応を(可能な場合)2回実施した。1回の反応に非チオ化dATPに対して1:40の比でチオ化dATPを添加したことを除いて(0.01mM アルファ-S-dATP)、すべてのRCA反応は、0.4mMのdNTPおよび40μMのプライマー(ランダムヘキサマーまたはATヘキサマーのいずれか)を含んでいた。
Quant-It(商標)Picogreen(登録商標)dsDNA Assay Kit(ThermoFisher Inc.)を使用して100μLの合計RCA反応体積からのRCA産物を定量した。制限されたDNA産物のアガロースゲル電気泳動も実施し、電気泳動バンドの強度を、DNAの濃度がわかっている標準物質の強度と比較した。Quant-It PicoGreen dsDNA Assay Kitを使用して、ATヘキサマー、ランダムヘキサマー、ならびにATヘキサマーおよびチオ化dATP(ATヘキサマー+α-S-dATP)と混合したdNTPを使用することによるRCA産物DNAの産生量を表3に示す。ATヘキサマーおよびα-S-dATPを含むRCA試験条件に対しては、2回の反応の代わりに1回の反応のみ実施した。
Figure 2022037230000009
表3および図2に提示するとおり、RCA産物DNAの産生量は、ランダムヘキサマーと比較してATヘキサマーを使用した場合に高まる。図2に示したとおり、RCA反応にATヘキサマーを使用した場合のRCA産物の産生量はおよそ55μgであったが、RCA反応にランダムヘキサマーを使用した場合のRCA産物の産生量はおよそ28μgであった。ATヘキサマーを用いて増幅反応を刺激した後に、チオ化塩基をRCA産物にランダムに組み込んだ場合に同様の高い産生量が観察された。共役させたインビトロにおける転写および翻訳は、一般に少なくとも1マイクログラムの鋳型DNAを必要とするため、RCA反応にATヘキサマープライマーを使用したより高いDNA産生量は、続く転写および翻訳のより大きなスケールアップを可能にした。
表4に列挙されている次の実施例における無細胞発現の比較のために、さまざまなDNA増幅産物(サンプル)を形成した。表4はまた、各鋳型および対応する増幅された核酸に存在するさまざまな配列要素(例えば、転写終結配列の有無)および/または修飾(例えば、チオ化DNAの有無、またはコドン使用頻度)を示す。ここで、「cc」は、前後関係のコドン選択を指し、「ic」は、個々のコドン選択を指す。
Figure 2022037230000010
Figure 2022037230000011
RCA産物からの、共役させたインビトロにおける転写および翻訳による向上したタンパク質合成
Expressway(商標)Mini Cell-Free Expression System(ThermoFisher Inc.)、直鎖およびプラスミドDNA鋳型に適したE.coliベースの共役させたインビトロにおける転写および翻訳反応を使用して、共役させたインビトロにおける転写および翻訳によるタンパク質発現を評価した。製造業者の仕様書によれば、Expresswayシステムは、1マイクログラムの鋳型DNAを50μLの反応に添加するために、148ng/μLの最小濃度のDNA鋳型を必要とする。共役させたインビトロにおける転写および翻訳によるEGFPタンパク質の合成を、PCR増幅DNAおよび配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4由来のDNAミニサークルから調製したRCA産物の間で比較した。これらの配列のすべてはEGFPをコードする遺伝子を含むが、いくつかの点で異なる。例えば、配列番号1および配列番号2は、E.coli rrnBオペロンのターミネーターT1由来のクラスI/II転写終結配列を含む一方で、配列番号3および配列番号4は転写終結配列がない。さらに、配列番号2および配列番号4は、発現宿主のコドン選択に対して標的遺伝子の個々のコドン使用頻度を最大にするJCatツールに従ってコドンが最適化されたEGFPオープンリーディングフレームを含む[Grote et al., Nucleic Acids Res. 2005 Jul 1; 33(Web Server issue:W526-531). JCat: a novel tool to adapt codon usage of a target gene to its potential expression host]。配列番号1および配列番号3は、以下のプロセスに基づいて前後関係で適合されたEGFPに対するオープンリーディングフレームを含む;EGFPの天然のコード配列から開始し、内部ATGメチオニンの上流の隠れた開始部位(ATG)、隠れたリボソーム結合部位(AGGA、GAGG、GGAG)、クラスII終結配列[(A、C、またはT)ATCTGTT]、リボソーム滑り配列[NNNYYY、ここで、Y=(A、T)]、およびリボソーム休止部位(AGG、GGA、GAG、GGG、GGT、GTG)を避けるために特定の部位のみ再コード化した。
配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、および配列番号4を含むDNAミニサークルを、ライゲーションによって調製した後、実施例1に記載されているATヘキサマーを用いたRCAによって増幅した。Quant-It PicoGreen dsDNA Assay Kit(ThermoFisher Inc.)を使用して、RCA産物の産生量を定量した。DNAミニサークル鋳型由来のおよそ1マイクログラムのRCA産物は、中間の除去または精製段階を全く行わずにExpressway Mini Cell-Free Expression反応に直接利用した。さらに、RCA産物のExpressway Mini Cell-Free Expression反応への添加の前に制限消化および/またはライゲーションに関するRCA産物の付加的な処理は行わなかった。個々の無細胞発現反応において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4を有する1マイクログラムのPCR増幅DNA(オーバーラップエクステンションPCRによりGenScriptによって合成された)も鋳型なし対照(NTC)とともに試験した。すべての無細胞発現反応は、EGFPタンパク質を合成するために、30℃で6時間、振盪(1200rpm)しながらEppendorf ThermoMixerにおいてインキュベートした。合成されたEGFPタンパク質は、蛍光ベースのアッセイによる定量に先立って、それを一晩4℃でインキュベートすることによって活性型にフォールドさせた。(PBS中の)発現抽出物サンプルの10倍希釈物からフォールディングEGFPの蛍光を、SpectraMax(登録商標)M5 Microplate Reader(Molecular Devices, LLC)を使用して、精製EGFP基準曲線(BioVision, Inc.)に対して評価した。インビトロにおける転写および翻訳からの合計EGFP産生量を、μg/mLの単位で算出した。
配列番号1から調製したRCA産物DNAまたは配列番号3から調製したPCR増幅DNAからのEGFPタンパク質産生量を図3に示す。図3は、RCA産物20および22をインビトロにおける転写・翻訳に利用した場合に、PCR増幅DNA24および26を使用したインビトロにおける転写・翻訳反応と比較してEGFP発現が増大したことを示す。図3はまた、最小限の発現配列に転写終結配列が全くなくてもPCR増幅DNA26と比較した場合にRCA産物22がより高いEGFP発現をもたらしたことも示す。
配列番号2から調製したRCA産物または配列番号4から調製したPCR増幅DNAのインビトロにおける転写・翻訳からのEGFPタンパク質産生量を図4に示す。図4に示されるとおり、PCR増幅DNA32、34と比較した場合、RCA産物28、30を無細胞発現に使用したときEGFP産生量がはるかに高かった。図4はまた、最小限の発現配列に転写終結配列がない場合でも、RCA産物30がPCR増幅DNA34と比較して高いEGFPの産生量をもたらしたことを示す。PCR増幅DNAと比較して、RCA産物を使用した無細胞タンパク質のより高い産生量は、予想外であった。一般に、mRNAの安定性および/または放出ならびにmRNAの効果的な翻訳に転写終結シグナルが必要とされる。例えば、PCR増幅DNA26(図3)および34(図4)からのタンパク質発現は、それぞれPCR増幅DNA24(図3)および32(図4)と比較して実質的に低い。PCR増幅DNA24および32の最小限の発現配列は、クラスI/II転写ターミネーター(図3および4に示されるとおり)を有し、PCR増幅DNA26および34の最小限の発現配列は、転写ターミネーターがない。したがって、このデータは、最小限のDNAミニサークル由来のRCA産物がシストロン性mRNA種のタンデムリピートを形成することによってタンパク質発現を向上させることを示し、ここで、それぞれのシストロンは所望の標的遺伝子に対するmRNAを含む。シストロンのタンデムリピートは、特に、転写終結シグナルがない場合に全体的なmRNAの安定性を向上させることができ、したがって、所望のタンパク質産物のより高い翻訳速度に寄与する。
RCA産物のチオ化は、共役させたインビトロにおける転写・翻訳系におけるタンパク質生成を向上させる
共役させたインビトロにおける転写および翻訳によるタンパク質(EGFP)発現を、Expressway Mini Cell-Free Expression System(ThermoFisher Inc)およびPCR増幅DNAまたはRCA産物を使用して評価した。これらの実験に対して、翻訳効率を高める強力なT7 gene10翻訳エンハンサー配列およびT7 gene10リボソーム結合配列を含む配列番号5および配列番号6を構成した。さらに、配列番号5は、反応条件および上流のDNA配列要素に応じて終結効率を高めるクラスI転写ターミネーター(T7 T-phi終結配列由来)を含む。EGFPコード領域を、前後関係により最適化し、この領域は、配列番号5と配列番号6の間で同一であった。DNAミニサークルを、配列、配列番号5または配列番号6のそれぞれの分子内ライゲーションによって調製した。連結したDNAミニサークルを、その後、実施例1に記載されているとおり、ランダムヘキサマー、ATヘキサマー、またはチオ化dATPの存在下または非存在下におけるATヘキサマーを用いたRCAによって増幅した。RCA産生量をQuant-It PicoGreen dsDNA Assay Kit(ThermoFisher)を使用して定量した。0.5マイクログラムのRCA産物DNAを、中間の除去ステップを全く行わずにExpressway Mini Cell-Free Expression反応に直接利用した。個々の無細胞発現反応において、配列番号5または配列番号6の0.5マイクログラムのPCR増幅DNA(オーバーラップエクステンションPCRによりGenScriptによって合成された)も鋳型なし対照(NTC)とともに試験した。すべての無細胞発現反応は、30℃で6時間、Eppendorf ThermoMixer(1200rpm)においてインキュベートし、合成されたEGFPタンパク質を蛍光定量に先立って4℃で一晩フォールドさせた。(PBS中の)抽出物サンプルの100倍希釈物からフォールディングEGFPの蛍光を、SpectraMax M5 Microplate Reader(Molecular Devices, LLC)を使用して、精製EGFP基準曲線(BioVision, Inc.)に対して評価した。合計EGFP産生量を、μg/mLの単位で算出した。
(配列番号5から調製したミニサークル由来の通常DNAまたはチオ化DNAを含む)RCA産物からのEGFPタンパク質産生量を、(チオ化されていない配列番号5から調製した)PCR増幅DNAからの産生量と比較した。図5に示されるとおり、部分的にチオ化ヌクレオチドで置換したRCA産物36からのEGFPタンパク質発現は、PCR増幅DNA42、またはチオ化ヌクレオチドを全く含まないRCA産物38および40と比較してはるかに高かった。
同様に、配列番号6からのEGFPタンパク質の発現量を、非チオ化PCR増幅DNAと比較してRCA産物(チオ化を含むか、または含まない)から求めた。図6は、部分的にチオ化ヌクレオチドで置換したRCA産物44に関するEGFPの産生量が、非チオ化RCA産物46または非チオ化PCR増幅鋳型48と比較して相対的に高かったことを示す。PCR増幅DNA48に関しては、無細胞反応において実質的にEGFP発現がなかった(図6)。前の実施例と同様に、このデータは、最小限の発現カセットがRCA産物に変換される場合を除いて、mRNAの効果的な翻訳には転写終結シグナルが必要とされることを裏付ける。
RNAポリメラーゼランオフは、前後関係に依存的な様式でRCA産物を使用したインビトロにおける転写および翻訳系においてタンパク質生成に影響を与える
ヒトIL-2に関するインビトロにおける転写および翻訳アッセイにおいてPCR増幅DNAまたはRCA産物の発現を、Expressway Mini Cell-Free Expression System(ThermoFisher Inc.)を使用して評価した。これらの実験に対して、E.coli rrnBオペロンのターミネーターT1由来のクラスI/II転写終結配列を含む配列番号7および配列番号8(IL-2をコードし、シグナルペプチドを含まない)を作製した。配列番号7および配列番号8の最小限の発現配列は、IL-2オープンリーディングフレーム内のコドン使用頻度を除いて実質的に同一であった。発現宿主のコドン選択に対して標的遺伝子の個々のコドン使用頻度を最大にするJCatツールに従い、配列番号8のコドンを最適化した。配列番号7は、以下のプロセスに基づいて前後関係で適合された;ヒトIL-2の天然のコード配列から開始し、内部ATGメチオニンの上流の隠れた開始部位(ATG)、隠れたリボソーム結合部位(AGGA、GAGG、GGAG)、クラスII終結配列[(A、C、T)ATCTGTT]、リボソーム滑り配列[NNNYYY、ここで、Y=(A、T)]、およびリボソーム休止部位(AGG、GGA、GAG、GGG、GGT、GTG)を避けるために特定の部位のみ再コード化した。DNA配列、配列番号7および配列番号8のそれぞれの分子内ライゲーションによってDNAミニサークルを調製した。そのミニサークルを、その後、実施例1に記載されているとおり、ATヘキサマーを用いたRCAによって増幅した。Quant-It PicoGreen dsDNA Assay Kit(ThermoFisher)を使用してRCA産物の産生量を定量した。1マイクログラムのRCA DNAを、中間の除去ステップを全く行わずにExpressway Mini Cell-Free Expression反応に直接利用した。個々の無細胞発現反応において、配列番号7および配列番号8の1マイクログラムのPCR増幅DNA(オーバーラップエクステンションPCRによりGenScriptによって合成された)も鋳型なし対照(NTC)とともに試験した。それぞれ無細胞発現反応には、蛍光BODIPY-FL標識により新生のリジン残基(アンチコドンUUU tRNAによる)をランダムに標識するために2μLのFluoroTect(商標)GreenLYS in vitro Translation Label(Promega)がさらに含まれた。すべての無細胞発現反応は、30℃で6時間、Eppendorf ThermoMixer(1200rpm)においてインキュベートした後、分析に先立って4℃で一晩維持した。およそ2μLの無細胞発現反応混合物をSDS-PAGEによって分離し、Typhoon Variable Mode Imager(GE Healthcare)を使用して、ゲル中の蛍光によってBODIPY-FLを含むすべての翻訳産物を検出した。蛍光IL-2バンド(約16kD)を、ImageJソフトウェアを使用してデジタル方式で定量した。
図7は、共役させたインビトロにおける転写および翻訳を使用して発現させたIL-2タンパク質に関するSDS-PAGEゲルを示す。発現タンパク質を無細胞発現反応から回収し、分析のためにSDS-PAGEにロードした。タンパク質は、配列番号7から調製したRCA産物50、配列番号8から調製したRCA産物54、配列番号7から調製したPCR増幅DNA52、および配列番号8から調製したPCR増幅DNA56から別々に発現させた。図7に示されるとおり、NTC反応(レーン2)においても存在したバックグラウンドBODIPY-FL tRNAシグナルとは別に、配列番号7から蛍光シグナルが約16kDの翻訳されたIL-2タンパク質(レーン3~4)として主に観察された。対照的に、PCR増幅DNA56に関してはIL-2タンパク質が観察されなかった(図7、レーン5)。図7のレーン6に示されるとおり、RCA産物54(配列番号8)を使用して、高分子量タンパク質(26kD~72kD)が予想外にも発現した。図7のレーン1は、標準タンパク質分子量マーカー(M)を表す。この理由は、IL-2配列中の2つのジ-リジンリピートの存在のためであろう。これらのジ-リジンリピートは、E.coliにおいてAAAコドンがAAGよりも著しく好ましいため、JCatツールによってポリAトラクトに再コード化された。これらのジ-リジンリピートは、配列番号7では前後関係のコドン最適化プロセスによって実質的に再コード化されなかった。AAAAAAトラクトは、リボソーム滑り配列として知られている場合が多く、これは、場合によっては翻訳産物のフレームシフトを起こさせることがあり(Yan S et al.; 2015, Ribosome excursions during mRNA translocation mediate broad branching of frameshift pathways; Cell. 160: 870-81)、リボソームの停止により付加的な翻訳制御を発揮する(Arthur et al., 2015, Translational control by lysine-encoding A-rich sequences; Science Advances. Vol.1; No.6: pg 1-11; e1500154)。
図8は、(配列番号7から調製した)RCA産物50、(配列番号8から調製した)RCA産物54、(配列番号7から調製した)PCR増幅DNA52、および(配列番号8から調製した)PCR増幅DNA56からの16kDのIL-2タンパク質の相対的な産生量を示す。図8は、無細胞発現にRCA産物50を使用した場合、PCR増幅DNA52と比較してIL-2の産生量が高まったことを示す。図7および8において提示したデータはまた、シストロン性mRNAのタンデムリピートが、転写終結配列の存在にもかかわらずRCA産物から形成されたことを示す。メッセージの下流のシストロンが適切に設計される限り、対応するメッセージはリボソームによって効果的にまたは効果的でなくプロセシングされて、無細胞タンパク質産生量に影響を与えた。
プラスミドDNAから形成されたRCA産物と比較した、DNAミニサークルから形成されたRCA産物を使用した無細胞発現系におけるタンパク質生成
無細胞系におけるEGFPの発現を、(E.coli rrnBオペロンのクラスI/II転写終結配列を有する)配列番号1または(転写終結配列がない)配列番号3のいずれかを使用した本質的に最小限の発現配列からなるDNAミニサークルから形成されたRCA産物間で比較した。これらの実験に対して、実施例1に記載されているとおり、配列番号1または配列番号3の分子内ライゲーションによってDNAミニサークルを調製した。プラスミド形成のために、配列番号1または配列番号3をpUC19のEcoRIおよびKpnI部位に連結し、One Shot(登録商標)TOP10 Chemically Competent E.coli(Invitrogen #C4040)にトランスフェクションし、アンピシリン耐性に関して選択した。PureLink(登録商標)HQ Mini Plasmid Purification Kit(Invitrogen #K2100-01)を使用してE.coliから個々のプラスミドクローンを精製し、BamHI制限消化産物によって検証した。すべてのDNAミニサークルおよびプラスミドDNA鋳型を、実施例1に記載されているとおり、ATヘキサマーを用いたRCAによって増幅した。Quant-It PicoGreen dsDNA Assay Kit(ThermoFisher)を使用してRCA産物を定量した。0.5マイクログラムのRCA産物DNAを、中間の除去を全く行わずにExpressway Mini Cell-Free Expression反応に直接利用した。無細胞発現反応(鋳型なし対照を含む)は、30℃で5時間、Eppendorf ThermoMixer(1200rpm)においてインキュベートし、合成されたEGFPタンパク質を、蛍光定量に先立って4℃で一晩維持してフォールドさせた。(PBS中の)ライセートサンプルの10倍希釈物からフォールディングEGFPの蛍光を、SpectraMax M5 Microplate Reader(Molecular Devices, LC)を使用して、精製EGFP基準曲線(BioVision, nc.)に対して評価した。合計EGFP産生量を、μg/mLの単位で算出した。
DNAミニサークルから増幅したRCA産物(70、74)およびプラスミドDNAのRCA産物(72、76)を利用した無細胞発現反応からのEGFPタンパク質の産生量を図9に示す。その結果は、プラスミドDNAではなくDNAミニサークルからRCA産物を形成した場合に、EGFPの無細胞産生量が増大することを示す。さらに、EGFPは、転写終結配列がなくても、プラスミド由来のRCA産物(76)と比較して、DNAミニサークル由来のRCA産物(74)を使用して発現させることができる。このデータは、プラスミドDNAから形成されたRCA産物に存在する、複製開始点、抗生物質選択配列およびクローンスクリーニングに関与する外来性配列などのさまざまな介在配列が所望のタンパク質標的の無細胞発現を損なう可能性があることを示している。対照的に、RCAコンカテマーが基本的に最小限の発現配列からなるDNAミニサークルから形成される場合、転写終結がなくても(一般にmRNA転写物を不安定にする)、有益で生産的なランオフが生じる可能性がある。
前述の実施例は、本発明のいくつかの特徴の例となるものであり、多種多様のすべての可能な実施形態から選択された実施形態である。本発明は、その趣旨または必須の特徴から逸脱することなくその他の特定の形態で具現化されてもよい。本発明の特定の特徴のみが本明細書において例示され、記載されているが、当業者は、本開示の利益を考慮すれば、要素を最適化するために改変/変更を行うことができるであろう。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載されている本発明に対する限定ではなく、あらゆる点で例となるものとして見なされるべきである。必要な場合、範囲が提供され、それらの範囲はそれらの間のすべての部分範囲を含む。
10 DNA発現コンストラクト
12 最小限の発現配列
14 DNAミニサークル
16 RCA産物
17、18 mRNA
19 所望の配列を有するタンパク質

Claims (20)

  1. 二本鎖ローリングサークル増幅(RCA)産物(16)を準備するステップであって、前記二本鎖RCA産物(16)は基本的に最小限の発現配列(12)のタンデムリピートからなる、ステップと、
    無細胞発現系において前記二本鎖RCA産物(16)からタンパク質を発現させるステップと
    を含む、インビトロにおける転写および翻訳のための方法であって、前記最小限の発現配列(12)は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる、方法。
  2. 前記最小限の発現配列(12)には、宿主細胞においてプラスミドの増殖に必要とされる外来性配列が全くない、請求項1記載の方法。
  3. 前記二本鎖RCA産物(16)は、さらなる処理を全く行わずに無細胞発現系に提供される、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記二本鎖RCA産物(16)は、チオ化ヌクレオチドを含む、請求項1、2または3記載の方法。
  5. 前記最小限の発現配列(12)は、基本的に転写終結配列、インスレーター配列、またはそれらの組み合わせからさらになる、上記請求項の1つ以上記載の方法。
  6. 前記オープンリーディングフレームは、翻訳速度を向上させるためにコドン最適化配列を含む、上記請求項の1つ以上記載の方法。
  7. 前記オープンリーディングフレームは、タンパク質の精製のためのタグ配列を含む、上記請求項の1つ以上記載の方法。
  8. 前記無細胞発現系は、原核細胞抽出物、真核細胞抽出物、またはそれらの組み合わせを含む、上記請求項の1つ以上記載の方法。
  9. デオキシリボ核酸(DNA)ミニサークル(14)を準備するステップであって、前記DNAミニサークル(14)は、基本的に最小限の発現配列(12)からなる、ステップと、
    前記DNAミニサークル(14)のローリングサークル増幅により二本鎖ローリングサークル増幅(RCA)産物(16)を形成するステップと、
    無細胞発現系において前記二本鎖RCA産物(16)からタンパク質を発現させるステップと
    を含む、インビトロにおける転写および翻訳のための方法であって、前記最小限の発現配列(12)は、基本的にプロモーター、オープンリーディングフレーム、リボソーム結合部位および翻訳停止配列からなる、方法。
  10. 前記最小限の発現配列(12)には、宿主細胞においてプラスミドの増殖に必要とされる外来性配列が全くない、請求項9記載の方法。
  11. 前記二本鎖RCA産物(16)は、さらなる処理を全く行わずに無細胞発現系に提供される、請求項9または10記載の方法。
  12. 前記二本鎖RCA産物(16)は、チオ化ヌクレオチドを含む、請求項9、10または11記載の方法。
  13. 前記最小限の発現配列(12)は、基本的にインスレーター配列、転写終結配列、またはそれらの組み合わせからさらになる、請求項9乃至12の1つ以上記載の方法。
  14. 前記オープンリーディングフレームは、発現タンパク質の精製のためのタグ配列を含む、請求項9乃至13の1つ以上記載の方法。
  15. 前記ローリングサークル増幅は、約10μMから約10mMの範囲の最終濃度のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)を使用して実施される、請求項9乃至14の1つ以上記載の方法。
  16. 前記ローリングサークル増幅は、ヌクレオチドアナログを含むランダムプライマー混合物を使用して実施される、請求項9乃至15の1つ以上記載の方法。
  17. 前記ヌクレオチドアナログは、イノシン、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、チオ化ヌクレオチド、2-アミノ-デオキシアデノシン、2-チオ-デオキシチミジン、ポリカチオンヌクレオチド、またはZip核酸(ZNA)ポリカチオン修飾ヌクレオチドである、請求項16記載の方法。
  18. 前記ランダムプライマー混合物は、配列+N+N(atN)(atN)(atN)Nを有する、請求項16または17記載の方法。
  19. 前記無細胞発現系は、原核細胞抽出物、真核細胞抽出物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項9乃至18の1つ以上記載の方法。
  20. 前記オープンリーディングフレームは、翻訳速度を向上させるためにコドン最適化配列を含む、請求項9乃至19の1つ以上記載の方法。
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