JP2022036343A - 含フッ素エーテル化合物および物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚れが目立ち難く、かつ、汚れの拭き取り性に優れた物品、および、含フッ素エーテル化合物の提供。【解決手段】本発明の物品は、基材と、上記基材の主表面に形成され、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エーテル化合物および物品に関する。
含フッ素化合物は、高い潤滑性、撥水撥油性等を示すため、表面処理剤に好適に用いられる。表面処理剤によって基材の表面に撥水撥油性を付与すると、基材の表面の汚れを拭き取りやすくなり、汚れの除去性が向上する。上記含フッ素化合物の中でも、フルオロアルキレン鎖の途中にエーテル結合(-O-)が存在するポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素エーテル化合物は、柔軟性に優れる化合物であり、特に油脂等の汚れの除去性に優れる。
上記含フッ素エーテル化合物としては、ポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有し、一方の末端に加水分解性シリル基を有し、他方の末端に加水分解性シリル基またはフッ素原子を有していてもよいアルキル基を有する化合物が広く用いられている(特許文献1)。
国際公開第2014/069592号
上記含フッ素エーテル化合物を含む表面処理剤は、たとえば、スマートフォン等の指や掌で触れる面(たとえば、表示画面や表示画面とは反対側の面(裏面))を構成する部材の表面処理剤として用いられる。
本発明者らは、基材の主表面に特許文献1に記載されているような含フッ素エーテル化合物を用いて形成された表面層を有する物品を評価したところ、皮脂等が付着した場合に、これに起因する汚れの拭き取り性は良好であるものの、これを拭き取る前の汚れが目立ってしまうことを見出した。
本発明は、上記問題に鑑みて、汚れが目立ち難く、かつ、汚れの拭き取り性に優れた物品、および、含フッ素エーテル化合物の提供を課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層を有する物品を用いれば、所望の効果が得られるのを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できるのを見出した。
[1] 基材と、上記基材の主表面に形成され、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層と、を有することを特徴とする、物品。
[2] 試料面と検出器の成す角度を75度としたX線光電子分光法による上記主表面の分析において、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のC濃度(CPFPE)に対する、カルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のC濃度(CCOO)の比(CCOO/CPFPE)が、0.025以上である、[1]に記載の物品。
[3] Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法による上記主表面の分析において、上記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、CHOの二次イオン強度の比(CHO/F )が、0.040以上である、[1]に記載の物品。
[4] Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法による上記主表面の分析において、上記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、Cの二次イオン強度の比(C/F )が、0.006以上である、[1]に記載の物品。
[5] 上記親水性官能基が、カルボキシ基、水酸基および式-C(=O)Rで表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基である、[1]~[4]のいずれかに記載の物品。
ただし、式中、Rは、水素原子、アミノ基または-ORで表される基である。Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、1価の炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基である。
[6] 式1で表されることを特徴とする含フッ素エーテル化合物。
[T-A-(OX)m1-]Z[-Si(R)3-n 式1
ただし、式中、Tは、親水性官能基である。Aは、単結合または2価の連結基である。Xは、フルオロアルキレン基である。Zは、(j+g)価の連結基である。Rは、1価の炭化水素基である。Lは、加水分解性基または水酸基である。m1は、2以上の整数である。nは、0~2の整数である。jは、1以上の整数である。gは、1以上の整数である。
[7] 上記親水性官能基が、カルボキシ基、水酸基および式-C(=O)Rで表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基である、[6]に記載の含フッ素エーテル化合物。ただし、式中、Rは、水素原子、アミノ基または-ORで表される基である。Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、1価の炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基である。
本発明によれば、汚れが目立ち難く、かつ、汚れの拭き取り性に優れた物品、および、含フッ素エーテル化合物を提供できる。
図1は、実施例15の表面層のXPSスペクトル図である。
本明細書において、式1で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。式1Aで表される繰り返し単位を単位1Aと記す。他の式で表される繰り返し単位も同様に記す。式1-1Aで表される基を基1-1Aと記す。他の式で表される基も同様に記す。
本明細書において、「アルキレン基がA基を有していてもよい」、「A基を有していてもよいアルキレン基」とは、アルキレン基中の炭素-炭素原子間にA基を有していてもよいし、アルキレン基-A基-のように末端にA基を有していてもよいことを意味する。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「2価のオルガノポリシロキサン残基」とは、下式で表される基である。下式におけるRは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、または、フェニル基である。また、g1は、1以上の整数であり、1~9の整数が好ましく、1~4の整数が特に好ましい。
Figure 2022036343000001
「シルフェニレン骨格基」とは、-Si(RPhSi(R-(ただし、Phはフェニレン基であり、Rは1価の有機基である。)で表される基である。Rとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)が好ましい。
「ジアルキルシリレン基」は、-Si(R-(ただし、Rはアルキル基(好ましくは炭素数1~10)である。)で表される基である。
化合物の「数平均分子量」は、H-NMRおよび19F-NMRによって、末端基を基準にしてオキシフルオロアルキレン基の数(平均値)を求めることによって算出される。
〔物品〕
本発明の物品(以下、「本物品」ともいう。)は、基材と、上記基材の主表面に形成され、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層と、を有する。
また、以下の説明において、基材のうち他の物品や人の手指を接触させて使用することがある、および/または、操作時に人の手指で持つことがある、主たる表面であって表面層が形成された表面を「主表面」という。
ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を有し、親水性官能基を有さない表面層に皮脂等の汚れが付着した場合、汚れが拡がりにくいので、汚れがまとまり、ある大きさを有する塊のような汚れ部分を形成しやすい。このとき汚れ部分が離散的に点在する。このため当該汚れ部分に照射された光の散乱によって、汚れが白く目立つという問題がある。
この問題に対して、親水性官能基を有する表面層が形成された本物品によれば、表面層に汚れが付着した場合であっても、親水性官能基の作用によって皮脂等の汚れが表面層でまとまらずに表面層になじみ、拡がるので、汚れ部分が点在しにくく照射された光の散乱を抑制できると考えられる。その結果、表面層に付着した汚れが目立ちにくくなると推測される。
また、本物品における表面層は、親水性官能基とともにポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖を有するので、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖の作用によって、撥水撥油性や汚れ除去性にも優れると推測される。
(基材)
基材は、他の物品(たとえば、スタイラス)や人の手指を接触させて使用することがある基材、操作時に人の手指で持つことがある基材、および/または、他の物品(たとえば、載置台)の上に置くことがある基材であって、撥水撥油性の付与が求められている基材であれば特に限定されない。基材の材料の具体例としては、金属、樹脂、ガラス、サファイア、セラミック、石、および、これらの複合材料が挙げられる。ガラスは化学強化されていてもよい。
基材としては、タッチパネル用基材およびディスプレイ基材が好ましく、タッチパネル用基材が特に好ましい。タッチパネル用基材は、透光性を有するのが好ましい。「透光性を有する」とは、JIS R3106:1998(ISO 9050:1990)に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上であるのを意味する。タッチパネル用基材の材料としては、ガラスまたは透明樹脂が好ましい。
また、基材としては、携帯電話(たとえば、スマートフォン)、携帯情報端末、ゲーム機、リモコン等の機器における外装部分(表示部を除く)に使用する、ガラスまたは樹脂フィルムも好ましい。
(表面層)
表面層は、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する層であり、基材の主表面に形成される。表面層は、主表面の全体に形成されていてもよく、主表面の一部に形成されていてもよい。また、表面層は、基材の主表面以外の面にも形成されていてもよい。
表面層は、基材主表面上に直接形成されてもよいし、基材の主表面に形成された他の層を介して基材上に形成されてもよい。上記他の層の具体例としては、国際公開第2011/016458号の段落0089~0095に記載の化合物やSiO等で基材を下地処理して、基材の主表面に形成される下地層が挙げられる。
親水性官能基は、より汚れ難い物品が得られる点から、カルボキシ基、水酸基および式-C(=O)Rで表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基が好ましい。
式中、Rは、水素原子、アミノ基または-ORで表される基である。アミノ基としては、-NH、-NHRおよび-N(Rが挙げられる。
は、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭化水素基または芳香族炭化水素基である。なお、-N(Rにおける2つのRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
における1価の炭化水素基としては、1価の飽和炭化水素基および1価の不飽和炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。Rの炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が特に好ましい。
における1価の芳香族炭化水素基は、炭素数5~20が好ましく、たとえば、フェニル基が挙げられる。
また、Rにおける1価の炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。この場合、ヘテロ原子はエーテル性酸素原子が好ましい。
なかでも、親水性官能基は、より汚れ難い物品が得られる点から、カルボキシ基、エステル基(-C(=O)OR)および水酸基が好ましく、カルボキシ基およびエステル基がより好ましい。
ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖は、式1Aで表される単位を複数含む。
(OX) 式1A
Xは、1個以上のフッ素原子を有するフルオロアルキレン基である。
フルオロアルキレン基の炭素数は、表面層の耐候性および耐食性がより優れる点から、2~6が好ましく、2~3が特に好ましい。
フルオロアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から、直鎖状が好ましい。
フルオロアルキレン基は、フッ素原子を1個以上有し、表面層の耐食性がより優れる点から、2~10個が好ましく、2~4個が特に好ましい。
フルオロアルキレン基は、フルオロアルキレン基中のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基(ペルフルオロアルキレン基)であってもよい。
単位1Aの具体例としては、-OCHF-、-OCFCHF-、-OCHFCF-、-OCFCH-、-OCHCF-、-OCFCFCHF-、-OCHFCFCF-、-OCFCFCH-、-OCHCFCF-、-OCFCFCFCH-、-OCHCFCFCF-、-OCFCFCFCFCH-、-OCHCFCFCFCF-、-OCFCFCFCFCFCH-、-OCHCFCFCFCFCF-、-OCF-、-OCFCF-、-OCFCFCF-、-OCF(CF)CF-、-OCFCFCFCF-、-OCF(CF)CFCF-、-OCFCFCFCFCF-、-OCFCFCFCFCFCF-が挙げられる。
ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖中に含まれる単位1Aの繰り返し数m1は2以上であり、2~200の整数がより好ましく、5~150の整数がさらに好ましく、5~100の整数が特に好ましく、10~50の整数が最も好ましい。
ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖は、1種のみの単位1Aを含んでいてもよく、2種以上の単位1Aを含んでいてもよい。2種以上の単位1Aとしては、たとえば、炭素数の異なる2種以上の単位1A、炭素数が同じであっても側鎖の有無や側鎖の種類が異なる2種以上の単位1A、炭素数が同じであってもフッ素原子の数が異なる2種以上の単位1Aが挙げられる。
2種以上の(OX)の結合順序は限定されず、ランダム、交互、ブロックに配置されてもよい。
ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖が有する(OX)m1としては、(OCma(4-ma)m11(OCmb(6-mb)m12(OCmc(8-mc)m13(OCmd(10-md)m14(OCme(12-me)m15が好ましい。
maは0~3の整数であり、mbは0~5の整数であり、mcは0~7の整数であり、mdは0~9の整数であり、meは0~11の整数である。
m11、m12、m13、m14およびm15は、それぞれ独立に、0以上の整数であり、100以下が好ましい。
m11+m12+m13+m14+m15は2以上の整数であり、2~200の整数がより好ましく、5~150の整数がより好ましく、5~100の整数がさらに好ましく、10~50の整数が特に好ましい。
なかでも、m11は2以上の整数が好ましく、2~200の整数が特に好ましい。
また、Cmb(6-mb)、Cmc(8-mc)、Cmd(10-md)およびCme(12-me)は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、表面層の耐摩擦性がより優れる点から直鎖状が好ましい。
なお、m11個の(OCma(4-ma))、m12個の(OCmb(6-mb))、m13個の(OCmc(8-mc))、m14個の(OCmd(10-md))、m15個の(OCme(12-me))の結合順序は限定されない。
m11が2以上の場合、複数の(OCma(4-ma))は同一であっても異なっていてもよい。
m12が2以上の場合、複数の(OCmb(6-mb))は同一であっても異なっていてもよい。
m13が2以上の場合、複数の(OCmc(8-mc))は同一であっても異なっていてもよい。
m14が2以上の場合、複数の(OCmd(10-md))は同一であっても異なっていてもよい。
m15が2以上の場合、複数の(OCme(12-me))は同一であっても異なっていてもよい。
試料面と検出器の成す角度を75度としたX線光電子分光法(XPS)により、主表面を分析し、得られたポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のC(炭素原子)濃度(CPFPE)に対する、カルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のC(炭素原子)濃度(CCOO)の比(CCOO/CPFPE)が、0.025以上であることが好ましく、0.025以上0.600以下であることがより好ましく、0.025以上0.450以下であることがより一層好ましく、0.025以上0.300以下であることがさらに好ましく、0.025以上0.250以下であることが特に好ましく、0.025以上0.150以下であることが最も好ましい。これにより、主表面にカルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基、すなわちカルボキシ基またはエステル基が適度に存在するといえるので、汚れの拭き取り性に優れつつ、より汚れが目立ち難い物品が得られる。以下、具体的なXPSの分析手順を記す。
初めに、主表面の有機汚れを除去するために、エタノールを染み込ませたベンコット(商品名:旭化成社製)を用いて、主表面を拭く。その後、エタノールを染み込ませていないベンコットを用いて、主表面に残留したエタノールを拭き取る。次に、基材を適切な大きさに切り出し、XPS装置へ搬送する。主表面と検出器の成す角度を75度として、F1sとC1sのXPSスペクトルを取得する。F1sのピークトップを689.08eVとして、F1sとC1sのXPSスペクトルの横軸をキャリブレーションする。C1sのXPSスペクトルをピークフィッティングし、291~295eV付近に現れるポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のCの積分強度(IPFPE)、289eV付近に現れるカルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のCの積分強度(ICOO)、284~288eV付近に現れるその他のCの積分強度(Iothers)を求め、IPFPEに対するICOOの比(ICOO/IPFPE)を算出する。このICOO/IPFPEは、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のC濃度(CPFPE)に対する、カルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のC濃度(CCOO)の比(CCOO/CPFPE)に等しいため、ICOO/IPFPEがCCOO/CPFPEとなる。
Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により、主表面を分析し、得られたポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、CHOの二次イオン強度の比(CHO/F )が、0.040以上が好ましく、0.040以上0.500以下がより好ましく、0.040以上0.400以下であることがさらに好ましく、0.040以上0.350以下であることが特に好ましく、0.040以上0.300以下であることが最も好ましい。CHOのピークは親水性官能基由来と考えられる。これにより、主表面に親水性官能基(特に、カルボキシ基および上述の-C(=O)OR)が適度に存在するといえるので、汚れの拭き取り性に優れつつ、より汚れが目立ち難い物品が得られる。なお、TOF-SIMS分析前に、主表面の有機汚れを除去するために、エタノールを染み込ませたベンコットを用いて、主表面を拭く。その後、エタノールを染み込ませていないベンコットを用いて、主表面に残留したエタノールを拭き取る。次に、基材を適切な大きさに切り出し、TOF-SIMS装置へ搬送し、分析を行う。
Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により、主表面を分析し、得られたポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、Cの二次イオン強度の比(C/F )が、0.006以上であることが好ましく、0.006以上0.080以下であることがより好ましく、0.006以上0.070以下であることがさらに好ましく、0.006以上0.055以下であることが特に好ましく、0.006以上0.045以下であることが最も好ましい。Cのピークは親水性官能基由来と考えられる。これにより、主表面に親水性官能基(特に、カルボキシ基および上述の-C(=O)OR)が適度に存在するといえるので、汚れの拭き取り性に優れつつ、より汚れが目立ち難い物品が得られる。なお、TOF-SIMS分析前に、主表面の有機汚れを除去するために、エタノールを染み込ませたベンコットを用いて、主表面を拭く。その後、エタノールを染み込ませていないベンコットを用いて、主表面に残留したエタノールを拭き取る。次に、基材を適切な大きさに切り出し、TOF-SIMS装置へ搬送し、分析を行う。
表面層の厚みは、1~100nmが好ましく、1~50nmが特に好ましい。表面層の厚みは、薄膜解析用X線回折計(RIGAKU社製、ATX-G)を用いて、X線反射率法によって反射X線の干渉パターンを得て、この干渉パターンの振動周期から算出できる。
(物品の製造方法)
本物品は、後述する式1で表される含フッ素エーテル化合物(以下、「化合物1」ともいう。)を用いて形成してもよいし、化合物1と液状媒体とを含む組成物を用いて形成してもよいし、化合物1と後述する式2で表される含フッ素エーテル化合物(以下、「化合物2」ともいう。)とを含む組成物を用いて形成してもよい。また、化合物2を用いて基材の主表面に形成された層に対して、酸化処理等の後処理を施して形成してもよい。
以下においては、本物品の製造方法の一例として、化合物1または化合物1と液状媒体とを含む組成物を用いて、基材の主表面に表面層を形成する方法を説明する。表面層は、化合物1または化合物1と液状媒体とを含む組成物を用いて、ドライコーティングおよびウェットコーティングのいずれの製造条件でも形成できる。
組成物に含まれる液状媒体の具体例としては、水、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、フッ素系有機溶媒および非フッ素系有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
フッ素系有機溶媒の具体例としては、フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコールが挙げられる。
フッ素化アルカンは、炭素数4~8の化合物が好ましく、たとえば、C13H(AC-2000:製品名、AGC社製)、C13(AC-6000:製品名、AGC社製)、CCHFCHFCF(バートレル:製品名、デュポン社製)が挙げられる。
フッ素化芳香族化合物の具体例としては、ヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンが挙げられる。
フルオロアルキルエーテルは、炭素数4~12の化合物が好ましく、たとえば、CFCHOCFCFH(AE-3000:製品名、AGC社製)、COCH(ノベック-7100:製品名、3M社製)、COC(ノベック-7200:製品名、3M社製)、CCF(OCH)C(ノベック-7300:製品名、3M社製)が挙げられる。
フッ素化アルキルアミンの具体例としては、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミンが挙げられる。
フルオロアルコールの具体例としては、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物、および、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、具体的には、炭化水素系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、アルコール系有機溶媒が挙げられる。
炭化水素系有機溶媒の具体例としては、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサンが挙げられる。
ケトン系有機溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
エーテル系有機溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
エステル系有機溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
アルコール系有機溶媒の具体例としては、イソプロピルアルコールが挙げられる。
組成物中の化合物1の含有量は、組成物の全質量に対して、0.01~50.00質量%が好ましく、1.0~30.00質量%が特に好ましい。
組成物中の液状媒体の含有量は、組成物の全質量に対して、50.00~99.99質量%が好ましく、70.00~99.00質量%が特に好ましい。
本物品は、たとえば、下記の方法で製造できる。
・化合物1または組成物を用いたドライコーティング法によって基材の主表面を処理して、基材の主表面に表面層が形成された本物品を得る方法。
・ウェットコーティング法によって組成物を基材の主表面に塗布し、乾燥させて、基材の主表面に表面層が形成された本物品を得る方法。
ドライコーティング法の具体例としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法が挙げられる。これらの中でも、含フッ素エーテル化合物の分解を抑える点、および、装置の簡便さの点から、真空蒸着法が好適である。真空蒸着時には、鉄や鋼等の金属多孔体に含フッ素エーテル化合物または組成物を含浸させたペレット状物質を使用してもよい。
ウェットコーティング法の具体例としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法が挙げられる。
上記手順によって形成される表面層には、化合物1の加水分解反応および縮合反応を介して得られる化合物が含まれている。
〔含フッ素エーテル化合物〕
本発明の含フッ素エーテル化合物は、式1で表される化合物(化合物1)である。化合物1は、本物品における表面層の形成に使用できる。
[T-A-(OX)m1-]Z[-Si(R)3-n 式1
Tは、親水性官能基である。親水性官能基の好適態様は、上述した表面層の親水性官能基と同様である。
Tは、より汚れ難い物品が得られる点から、カルボキシ基、エステル基(-C(=O)OR)および水酸基が好ましく、カルボキシ基およびエステル基がより好ましい。
Aは、単結合または2価の連結基である。
2価の連結基としては、たとえば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよく、たとえば、アルキレン基が挙げられる。炭素数は1~20が好ましい。また、2価の芳香族炭化水素基は、炭素数5~20が好ましく、たとえば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数2~20のアルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-、-C(O)-、-Si(R-および、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。ここで、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、または、フェニル基である。Rは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10)である。
なお、上記これらを2種以上組み合わせた基としては、たとえば、-OC(O)-、-C(O)N(R)-、エーテル性酸素原子を有するアルキレン基、-OC(O)-を有するアルキレン基、アルキレン基-Si(R-フェニレン基-Si(Rが挙げられる。
また、2価の炭化水素基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
Aは、本発明の効果がより発揮される点から、フッ素原子を有していてもよいアルキレン基が好ましく、フッ素原子を有するアルキレン基がより好ましい。
フッ素原子を有していてもよいアルキレン基中の炭素数は、表面層の耐摩擦性がより優れる点から、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
フッ素原子を有していてもよいアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、表面層の耐摩擦性がより優れる点から直鎖状が好ましい。
フッ素原子を有していてもよいアルキレン基は、アルキレン基中のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基(ペルフルオロアルキレン基)であってもよい。
フッ素原子を有していてもよいアルキレン基の具体例としては、-CH-、-CF-、-CFCH-、-CFCF-、-CFCFCF-、-C(CF-、-CFCFCFCFCHCH-、-CFCFCFCFCFCFCHCH-が挙げられる。
Qは、(k+1)価の連結基である。後述するように、kは1~10の整数である。よって、Qとしては、2~11価の連結基が挙げられる。
Qとしては、本発明の効果を損なわない基であればよく、たとえば、エーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有していてもよいアルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、2~8価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する式1-1A、式1-1B、式1-1A-1~1-1A-6からSi(R)3-nを除いた基が挙げられる。
Xおよびm1の定義は、上述の通りである。
Rは、1価の炭化水素基であり、1価の飽和炭化水素基が好ましい。Rの炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が特に好ましい。
Lは、加水分解性基または水酸基である。
Lの加水分解性基は、加水分解反応により水酸基となる基である。すなわち、Si-Lで表される加水分解性を有するシリル基は、加水分解反応によりSi-OHで表されるシラノール基となる。シラノール基は、さらにシラノール基間で反応してSi-O-Si結合を形成する。また、シラノール基は、基材の表面の水酸基(基材-OH)と脱水縮合反応して、化学結合(基材-O-Si)を形成できる。
Lの具体例としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアナート基(-NCO)が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
Lとしては、含フッ素エーテル化合物の製造がより容易である点から、炭素数1~4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましい。Lとしては、塗布時のアウトガスが少なく、含フッ素エーテル化合物の保存安定性がより優れる点から、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、含フッ素エーテル化合物の長期の保存安定性が必要な場合にはエトキシ基が特に好ましく、塗布後の反応時間を短時間とする場合にはメトキシ基が特に好ましい。
nは、0~2の整数である。
nは、0または1が好ましく、0が特に好ましい。Lが複数存在することによって、表面層の基材への密着性がより強固になる。
nが1以下である場合、1分子中に存在する複数のLは同じであっても異なっていてもよい。原料の入手容易性や含フッ素エーテル化合物の製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。nが2である場合、1分子中に存在する複数のRは同じであっても異なっていてもよい。原料の入手容易性や含フッ素エーテル化合物の製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。
Zは、(j+g)価の連結基である。
Zは、本発明の効果を損なわない基であればよく、たとえば、エーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有していてもよいアルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、2~8価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する式1-1A、式1-1B、式1-1A-1~1-1A-6からSi(R)3-nを除いた基が挙げられる。
jは、1以上の整数であり、表面層の汚れの拭き取り性および汚れ難さのバランスにより優れる点から、1~5の整数が好ましく、化合物1を製造しやすい点から、1が特に好ましい。
jが2以上の場合、複数あるT-A-(OX)m1-は、同じであっても異なっていてもよい。原料の入手容易性や含フッ素エーテル化合物の製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。
gは、1以上の整数であり、表面層の耐摩擦性がより優れる点から、2~4の整数が好ましく、2または3がより好ましく、3が特に好ましい。
gが2以上の場合、複数ある-Si(R)3-nは、同じであっても異なっていてもよい。原料の入手容易性や含フッ素エーテル化合物の製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。
化合物1は、表面層の汚れの拭き取り性および汚れ難さのバランスにより優れる点から、式11で表される化合物が好ましい。
T-A-(OX)m1-Z31 式11
式11中、T、A、Xおよびm1の定義は、式1中の各基の定義と同義である。
31は、基1-1Aまたは基1-1Bである。
-Q-X31(-Q-Si(R)3-n(-R31 式1-1A
-Q-[CHC(R32)(-Q-Si(R)3-n)]-R33 式1-1B
は、単結合または2価の連結基である。
2価の連結基としては、たとえば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよく、たとえば、アルキレン基が挙げられる。炭素数は1~20が好ましい。また、2価の芳香族炭化水素基は、炭素数5~20が好ましく、たとえば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数2~20のアルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-、-C(O)-、-Si(R-および、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。ここで、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、または、フェニル基である。Rは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1~10)である。
なお、上記これらを2種以上組み合わせた基としては、たとえば、-OC(O)-、-C(O)N(R)-、エーテル性酸素原子を有するアルキレン基、-OC(O)-を有するアルキレン基、アルキレン基-Si(R-フェニレン基-Si(Rが挙げられる。
31は、単結合、アルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子または2~8価のオルガノポリシロキサン残基である。
なお、上記アルキレン基は、-O-、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。アルキレン基は、-O-、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基およびジアルキルシリレン基からなる群から選択される基を複数有していてもよい。
31で表されるアルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10が特に好ましい。
2~8価のオルガノポリシロキサン残基としては、2価のオルガノポリシロキサン残基、および、後述する(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基が挙げられる。
は、単結合または2価の連結基である。
2価の連結基の定義は、上述したQで説明した定義と同義である。
31は、水酸基またはアルキル基である。
アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1~3がより好ましく、1が特に好ましい。
31が単結合またはアルキレン基の場合、hは1、iは0であり、
31が窒素原子の場合、hは1~2の整数であり、iは0~1の整数であり、h+i=2を満たし、
31が炭素原子またはケイ素原子の場合、hは1~3の整数であり、iは0~2の整数であり、h+i=3を満たし、
31が2~8価のオルガノポリシロキサン残基の場合、hは1~7の整数であり、iは0~6の整数であり、h+i=1~7を満たす。
(-Q-Si(R)3-n)が2個以上ある場合は、2個以上の(-Q-Si(R)3-n)は、同一であっても異なっていてもよい。R31が2個以上ある場合は、2個以上の(-R31)は、同一であっても異なっていてもよい。
は、単結合、または、エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基であり、化合物を製造しやすい点から、単結合が好ましい。
エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
32は、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
アルキル基としては、メチル基が好ましい。
は、単結合またはアルキレン基である。アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6が特に好ましい。化合物を製造しやすい点から、Qは、単結合または-CH-が好ましい。
33は、水素原子またはハロゲン原子であり、化合物を製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
yは、1~10の整数であり、1~6の整数が好ましい。
2個以上の[CHC(R32)(-Q-Si(R)3-n)]は、同一であっても異なっていてもよい。
基1-1Aとしては、基1-1A-1~1-1A-6が好ましい。
-(X32s1-Qb1-SiR3-n 式1-1A-1
-(X33s2-Qa2-N[-Qb2-Si(R)n33-n 式1-1A-2
-Qa3-G(R)[-Qb3-Si(R)3-n 式1-1A-3
-[C(O)N(R)]s4-Qa4-(O)t4-C[-(O)u4-Qb4-Si(R)3-n 式1-1A-4
-Qa5-Si[-Qb5-Si(R)3-n 式1-1A-5
-[C(O)N(R)]-Qa6-Z[-Qb6-Si(R)3-n 式1-1A-6
なお、式1-1A-1~1-1A-6中、R、L、および、nの定義は、上述した通りである。
32は、-O-、または、-C(O)N(R)-である(ただし、式中のNはQb1に結合する)。
の定義は、上述した通りである。
s1は、0または1である。
b1は、アルキレン基である。なお、アルキレン基は、-O-、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。アルキレン基は、-O-、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基およびジアルキルシリレン基からなる群から選択される基を複数有していてもよい。
なお、アルキレン基が-O-、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有する場合、炭素原子-炭素原子間にこれらの基を有することが好ましい。
b1で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b1としては、s1が0の場合は、-CHOCHCHCH-、-CHOCHCHOCHCHCH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHOCHCHCHSi(CHOSi(CHCHCH-が好ましい。(X32s1が-O-の場合は、-CHCHCH-、-CHCHOCHCHCH-が好ましい。(X32s1が-C(O)N(R)-の場合は、炭素数2~6のアルキレン基が好ましい(ただし、式中のNはQb1に結合する)。Qb1がこれらの基であると化合物が製造しやすい。
基1-1A-1の具体例としては、以下の基が挙げられる。下記式中、*は、(OX)m1との結合位置を表す。
Figure 2022036343000002
33は、-O-、-NH-、または、-C(O)N(R)-である。
の定義は、上述した通りである。
a2は、単結合、アルキレン基、-C(O)-、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-もしくは-NH-を有する基である。
a2で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6が特に好ましい。
a2で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-または-NH-を有する基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
a2としては、化合物を製造しやすい点から、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHOCHCH-、-CHNHCHCH-、-CHCHOC(O)CHCH-、-C(O)-が好ましい(ただし、右側がNに結合する。)。
s2は、0または1(ただし、Qa2が単結合の場合は0である。)である。化合物を製造しやすい点から、0が好ましい。
b2は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間に、2価のオルガノポリシロキサン残基、エーテル性酸素原子もしくは-NH-を有する基である。
b2で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b2で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間に、2価のオルガノポリシロキサン残基、エーテル性酸素原子または-NH-を有する基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b2としては、化合物を製造しやすい点から、-CHCHCH-、-CHCHOCHCHCH-が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
2個の[-Qb2-Si(R)3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
基1-1A-2の具体例としては、以下の基が挙げられる。下記式中、*は、(OX)m1との結合位置を表す。
Figure 2022036343000003
a3は、単結合、または、エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基であり、化合物を製造しやすい点から、単結合が好ましい。
エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
Gは、炭素原子またはケイ素原子である。
は、水酸基またはアルキル基である。Rで表されるアルキル基の炭素数は、1~4が好ましい。
G(R)としては、化合物を製造しやすい点から、C(OH)またはSi(Rga)(ただし、Rgaはアルキル基である。アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、メチル基が特に好ましい。)が好ましい。
b3は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
b3で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b3で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b3としては、化合物を製造しやすい点から、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-が好ましい。
2個の[-Qb3-Si(R)3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
基1-1A-3の具体例としては、以下の基が挙げられる。下記式中、*は、(OX)m1との結合位置を表す。
Figure 2022036343000004
式1-1A-4中のRの定義は、上述した通りである。
s4は、0または1である。
a4は、単結合、または、エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基である。
エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
t4は、0または1(ただし、Qa4が単結合の場合は0である。)である。
-Qa4-(O)t4-としては、化合物を製造しやすい点から、s4が0の場合は、単結合、-CHO-、-CHOCH-、-CHOCHCHO-、-CHOCHCHOCH-、-CHOCHCHCHCHOCH-が好ましく(ただし、左側が(RO)に結合する。)、s4が1の場合は、単結合、-CH-、-CHCH-が好ましい。
b4は、アルキレン基であり、上記アルキレン基は-O-、-C(O)N(R)-(Rの定義は、上述した通りである。)、シルフェニレン骨格基、2価のオルガノポリシロキサン残基またはジアルキルシリレン基を有していてもよい。
なお、アルキレン基が-O-またはシルフェニレン骨格基を有する場合、炭素原子-炭素原子間に-O-またはシルフェニレン骨格基を有することが好ましい。また、アルキレン基が-C(O)N(R)-、ジアルキルシリレン基または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する場合、炭素原子-炭素原子間または(O)u4と結合する側の末端にこれらの基を有することが好ましい。
b4で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
u4は、0または1である。
-(O)u4-Qb4-としては、化合物を製造しやすい点から、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHOCHCHCH-、-CHOCHCHCHCHCH-、-OCHCHCH-、-OSi(CHCHCHCH-、-OSi(CHOSi(CHCHCHCH-、-CHCHCHSi(CHPhSi(CHCHCH-が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
3個の[-(O)u4-Qb4-Si(R)3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
基1-1A-4の具体例としては、以下の基が挙げられる。下記式中、*は、(OX)m1との結合位置を表す。
Figure 2022036343000005
a5は、エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基である。
エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
a5としては、化合物を製造しやすい点から、-CHOCHCHCH-、-CHOCHCHOCHCHCH-、-CHCH-、-CHCHCH-が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
b5は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
b5で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b5で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b5としては、化合物を製造しやすい点から、-CHCHCH-、-CHCHOCHCHCH-が好ましい(ただし、右側がSi(R)3-nに結合する。)。
3個の[-Qb5-Si(R)3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
基1-1A-5の具体例としては、以下の基が挙げられる。下記式中、*は、(OX)m1との結合位置を表す。
Figure 2022036343000006
式1-1A-6中のRの定義は、上述の通りである。
vは、0または1である。
a6は、エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基である。
エーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
a6としては、化合物を製造しやすい点から、-CHOCHCHCH-、-CHOCHCHOCHCHCH-、-CHCH-、-CHCHCH-が好ましい(ただし、右側がZに結合する。)。
は、(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基である。
wは、2~7の整数である。
(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基としては、下記の基が挙げられる。ただし、下式におけるRは、上述の通りである。
Figure 2022036343000007
b6は、アルキレン基、または、炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基である。
b6で表されるアルキレン基の炭素数は、1~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b6で表される炭素数2以上のアルキレン基の炭素原子-炭素原子間にエーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。
b6としては、化合物を製造しやすい点から、-CHCH-、-CHCHCH-が好ましい。
w個の[-Qb6-Si(R)n33-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
化合物1は、表面層の汚れの拭き取り性がより優れる点から、式12で表される化合物が好ましい。
[T-A-(OX)m1-Q-]j3232[-Q-Si(R)3-nh32 式12
式12中、T、A、X、m1、Q、Q、R、およびLの定義は、式11中および式1-1A中の各基の定義と同義である。
32は、(j32+h32)価の炭化水素基、または、炭化水素基の炭素原子間にエーテル性酸素原子を1つ以上有する炭素数2以上で(j32+h32)価の炭化水素基である。
32としては、1級の水酸基を有する多価アルコールから水酸基を除いた残基が好ましい。
32としては、原料の入手容易性の点から、式Z-1~式Z-5で表される基が好ましい。ただし、R34は、アルキル基であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
Figure 2022036343000008
j32は2以上の整数であり、表面層の汚れの拭き取り性がより優れる点から、2~5の整数が好ましい
h32は1以上の整数であり、表面層の耐摩擦性がより優れる点から、2~4の整数が好ましく、2または3がより好ましい。
〔組成物〕
上述したように、本物品は、上記化合物1と、式2で表される含フッ素エーテル化合物(化合物2)とを含む組成物を用いて形成してもよい。これにより、基材の主表面の一部の領域において、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層が形成された物品が得られやすい。
[A-(OXms-]js[-Si(Rns 3-nsgs 式2
は、ペルフルオロアルキル基または-Q[-Si(Rns 3-nsksである。
ペルフルオロアルキル基中の炭素数は、膜の耐摩擦性がより優れる点から、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
ペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
ただし、Aが-Q[-Si(Rns 3-nsksである場合、jsは1である。
ペルフルオロアルキル基としては、CF-、CFCF-、CFCFCF-、CFCFCFCF-、CFCFCFCFCF-、CFCFCFCFCFCF-、CFCF(CF)-等が挙げられる。
ペルフルオロアルキル基としては、膜の汚れの拭き取り性がより優れる点から、CF-、CFCF-、CFCFCF-が好ましい。
は、(ks+1)価の連結基である。ksは1~10の整数である。よって、Qとしては、2~11価の連結基が挙げられる。
としては、本発明の効果を損なわない基であればよく、たとえば、エーテル性酸素原子または2価のオルガノポリシロキサン残基を有していてもよいアルキレン基、炭素原子、窒素原子、ケイ素原子、2~8価のオルガノポリシロキサン残基、および、上述の式1-1A、式1-1B、式1-1A-1~1-1A-6からSi(R)3-nを除いた基が挙げられる。
、ms、js、Z、R、ns、Lおよびgsの定義はそれぞれ、式1の上述のX、m1、j、Z、R、n、Lおよびgと同義である。
化合物2の具体例としては、たとえば、下記の文献に記載のものが挙げられる。
特開平11-029585号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
特許第2874715号公報に記載のケイ素含有有機含フッ素ポリマー、
特開2000-144097号公報に記載の有機ケイ素化合物、
特開2000-327772号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
特表2002-506887号公報に記載のフッ素化シロキサン、
特表2008-534696号公報に記載の有機シリコーン化合物、
特許第4138936号公報に記載のフッ素化変性水素含有重合体、
米国特許出願公開第2010/0129672号明細書に記載の化合物、
国際公開第2011/060047号に記載のオルガノシリコン化合物、
国際公開第2011/059430号に記載のオルガノシリコン化合物、
国際公開第2012/064649号に記載の含フッ素オルガノシラン化合物、
特開2012-72272号公報に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、
国際公開第2013/042732号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2013/121984号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2013/121985号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2013/121986号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2014/126064号に記載の化合物、
国際公開第2014/163004号に記載の含フッ素エーテル化合物、
特開2014-070163号公報に記載の化合物、
特開2014-080473号公報に記載の含フッ素エーテル化合物、
特開2014-218639号公報に記載のパーフルオロ(ポリ)エーテル含有シラン化合物、
国際公開第2015/087902号に記載の含フッ素エーテル化合物、
特開2015-199906号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン
特開2016-204656号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、
特開2016-210854号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、
特開2016-222859号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン、
国際公開第2017/038830号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2017/038832号に記載の含フッ素エーテル化合物、
国際公開第2017/187775号に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-104731に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-159696に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-159697に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-159698に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-167973に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-167999に記載の含フッ素エーテル化合物、
特願2017-251611に記載の含フッ素エーテル化合物。
化合物2の市販品としては、信越化学工業社製のKY-100シリーズ(KY-178、KY-185、KY-195等)、AGC社製のAfluid(登録商標)S550、ダイキン工業社製のオプツール(登録商標)DSX、オプツール(登録商標)AES、オプツール(登録商標)UF503、オプツール(登録商標)UD509等が挙げられる。
化合物1と化合物2とを含む組成物において、化合物2に対する化合物1の含有割合は、特に限定されない。
化合物1と化合物2とを含む組成物には、上述した液状媒体が含まれていてもよい。
組成物が液状媒体を含む場合、組成物中の化合物1および化合物2の含有量の合計は、組成物の全質量に対して、0.01~50.00質量%が好ましく、1.0~30.00質量%が特に好ましい。
組成物中の液状媒体の含有量は、組成物の全質量に対して、50.00~99.99質量%が好ましく、70.00~99.00質量%が特に好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、各成分の配合量は、質量基準を示す。例11~19のうち、例11~17が実施例、例18および19が比較例である。
〔評価方法〕
(撥水撥油性)
<接触角の測定方法>
表面層の表面に置いた約2μLの蒸留水またはn-ヘキサデカンの接触角を、接触角測定装置(協和界面科学社製、製品名「DM-500」)を用いて測定した。表面層の表面における異なる5箇所で測定し、その平均値を算出した。接触角の算出には2θ法を用いた。
<初期接触角>
表面層について、水およびn-ヘキサデカンの初期接触角を上記測定方法で測定した。評価基準は以下の通りである。
<<水の初期接触角>>
◎(優) :110度以上
○(良) :100度以上110度未満
△(可) :90度以上100度未満
×(不可):90度未満
<<n-ヘキサデカンの初期接触角>>
◎(優) :66度以上
○(良) :63度以上66度未満
△(可) :60度以上63度未満
×(不可):60度未満
(汚れの目立ち難さ)
指に付着させた額の皮脂を表面層上に指で円弧を描くようにして付着させた後、汚れの目立ち度合いを目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
○:汚れが目立たない。
△:汚れが目立つが気にならない。
×:汚れが目立つ。
(皮脂汚れ拭き取り性)
汚れの目立ち難さの評価で使用したサンプルについて、ティッシュペーパーで皮脂汚れを拭き取った後、表面層の汚れ度合いを目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
○:汚れが完全に拭き取れた。
△:汚れが目立たないが、光を斜め方向から入射させた場合に、汚れが視認できる。
×:汚れが目立つ、又は、汚れが目立たないが汚れが明らかに付着したままである。
(耐摩擦性)
表面層について、JIS L0849:2013(ISO 105-X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、スチールウールボンスター(#0000)を圧力:98.07kPa、速度:320cm/分で1万回往復させた後、水の接触角を測定した。摩擦後における水の接触角の低下が小さいほど、摩擦による性能の低下が小さく、耐摩擦性に優れる。
◎(優) :1万回往復後の水接触角度の変化が5度以下
○(良) :1万回往復後の水接触角度の変化が5度超10度以下
△(可) :1万回往復後の水接触角度の変化が10度超20度以下
×(不可):1万回往復後の水接触角度の変化が20度超
(表面分析)
表面層について、以下の分析条件にしたがって表面分析を実施して、CCOO/CPFPE、CHO/F およびC/F を算出した。
<XPSによるCCOO/CPFPEの分析条件>
装置:アルバックファイ社製PHI5500
X線:単色化されたAlKα
検出角度(試料面と検出器の成す角度);75度
F1sのXPSスペクトルの半値幅:1.8eV程度
解析ソフト:MultiPak Version 9.3.0.3
<TOF-SIMSによるCHO/F およびC/F の分析条件>
装置:ION-TOF社製TOF.SIMS5
一次イオンの種類:Bi ++
一次イオンのバンチング:あり
一次イオンの加速電圧:25kV
一次イオンの電流値:0.05pA@10kHz
サイクルタイム:100μs
測定視野:300×300μm
解像度:256×256pixels
スキャン数:32scans
解析ソフト:Surface Lab 6.7
〔例1:合成例〕
(例1-1)
後述の例5-2に記載の方法によって得られた化合物X13の212gに、硫酸水素テトラブチルアンモニウムの4.2g、BrCHCH=CHの6.1g、30%水酸化ナトリウム水溶液の6.7g、AC-2000(製品名、AGC社製)の200gを用いて、化合物XX1の154.1g(収率72%)を得た。
(例1-2)
国際公開第2017/038832号の例1-8に参考にして、化合物1-1を得た。
具体的には、500mLのガラス製サンプル瓶に、化合物XX1の100g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2質量%)の0.5g、ジメチルスルホキシドの0.2g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの10g、HSi(OCHの5.7gを入れ、40℃で8時間攪拌した。
反応終了後、溶媒等を減圧留去し、1.0μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物1-1の61.7g(収率60%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であり、化合物XX1は残存していなかった。ヒドロシリル化の選択率は91%であった。また、化合物1-1の生成後、末端ヒドロキシ基と逆側の末端シリル基が分子内および分子間の加水分解により一部縮合したような化合物も得られた。
繰り返し単位数nの平均値:14、化合物1-1の数平均分子量:4,400。
Figure 2022036343000009
〔例2:合成例〕
(例2-1)
特開2014-218639号公報の合成例12の方法を参考にして、化合物X2の30g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの30g、トリアセトキシメチルシランの0.06g、トリクロロシランの2.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2質量%)の0.9gを用いて、化合物X3の11.5g(収率37%)を得た。
(例2-2)
特開2014-218639号公報の合成例13の方法を参考にして、化合物X3の10g、AC-2000(上記文献における1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの代わり)の10gを仕込み、窒素気流下、5℃で30分間撹拌した。
続いて、アリルマグネシウムブロマイドを1mol/L含むジエチルエーテル溶液を7.8mL加えた後、室温まで昇温させ、この温度にて10時間撹拌した。その後、5℃まで冷却し、メタノールを5mL加えた後、室温まで昇温させて不溶物をろ過した。
続いて、減圧下で揮発分を留去した後、不揮発分をAC-2000で希釈し、分液ロートでメタノールによる洗浄操作(より詳細には、パーフルオロヘキサン相(フルオラス相)にフルオロ系化合物を維持し、メタノール相(有機相)に非フルオロ系化合物を分離除去する操作)を3回行った。
続いて、減圧下で揮発分を留去することにより、末端にアリル基を有する化合物X4の6.8g(収率66%)を得た。
(例2-3)
50mLのPFA製ナスフラスコに、化合物X4の5.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.15g、HSi(OCHの1.3g、ジメチルスルホキシドの0.01gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の2.5gを入れ、40℃で10時間攪拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物X4の3つアリル基がヒドロシリル化された化合物1-2の2.8g(収率54%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であったが、化合物1-2の生成後、末端ヒドロキシ基と逆側の末端シリル基が分子内および分子間の加水分解により一部縮合したような化合物も得られた。
繰り返し単位数mの平均値:21、繰り返し単位数nの平均値:20、化合物1-2の数平均分子量:4,650。
Figure 2022036343000010
なお、上記式中、Meはメチル基を意味し、以下の示す式についても同様である。
〔例3:合成例〕
(例3-1)
国際公開第2017/038832号の例1-6の方法を参考にして、500mLの2つ口ナスフラスコに、化合物X1の202.6g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の200.5g、CFSOCl(和光純薬工業社製)の21.1gおよびトリエチルアミンの140gを入れ、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応終了後、AK-225(製品名、AGC社製)の150gを加え、水および飽和食塩水で各1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X5の181.9g(収率83%)を得た。
(例3-2)
国際公開第2017/038832号の例1-7の方法を参考にして、500mLのナスフラスコ内に、化合物X5の150.6g、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の150.3g、HN(CHCH=CH(東京化成工業社製)の41.8g、およびトリエチルアミンの9.6gを入れ、窒素雰囲気下、90℃で24時間攪拌した。反応終了後、AK-225の150gを加え、水および飽和食塩水で各1回洗浄し、有機相を回収した後、シリカゲル20.5gと混合し、フィルタろ過で有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X6の118.36g(収率81%)を得た。
(例3-3)
化合物X6を用いて、米国特許第8809580号に記載の方法を参考にして、化合物X7を合成した。
具体的には、1000mLのPFA製ナスフラスコに、99.8gの化合物X6、11.2gの20%KBr水溶液、2.0gのTEMPO、および100gのアセトニトリルを加えて、混合物を得た。得られた混合物を攪拌し、374.4gの25質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液、および、23.9gの炭酸水素ナトリウムの混合物をゆっくり添加し、40℃に約48時間加熱して、反応混合物を得た。得られた反応混合物を冷却した後、100gの5%硫酸水溶液、300gのAC-2000を加え、反応混合物を酸性化した。水および飽和食塩水で各3回洗浄し、有機相を回収した後、シリカゲル20.0gと混合し、フィルタろ過で有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X7の91.6g(収率91%)を得た。
(例3-4)
50mLのPFA製ナスフラスコに、化合物X7の10.1g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.3g、HSi(OCHの3.8g、ジメチルスルホキシドの0.05gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の10.0gを入れ、40℃で8時間攪拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物X7の2つアリル基がヒドロシリル化された化合物1-3の2.5g(収率22%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であったが、化合物1-3の生成後、末端カルボキシ基と逆側の末端シリル基が分子内および分子間の加水分解により一部縮合したような化合物も得られた。
繰り返し単位数mの平均値:9、繰り返し単位数nの平均値:8、化合物1-3の数平均分子量:1,950。
Figure 2022036343000011
〔例4:合成例〕
(例4-1)
化合物X6を用いて、米国特許第8809580号に記載の方法を参考にして、化合物X8を合成した。
具体的には、1000mLのPFA製ナスフラスコに250.5gの化合物X6に、20%KBr水溶液9.3g、TEMPOを2.0g、および250gのアセトニトリルを加えて、混合物を得た。得られた混合物を攪拌し、186gの25質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液、および、23.7gの炭酸水素ナトリウムの混合物をゆっくり添加し、40℃で約48時間加熱して、反応混合物を得た。得られた反応混合物を冷却した後、10%硫酸水溶液を300g、AC-2000を300g加え、反応混合物を酸性化した。水および飽和食塩水で各3回洗浄し、有機相を回収した後、シリカゲル20.0gと混合し、フィルタろ過で有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X8の238.8g(収率95%)を得た。
(例4-2)
化合物X8を用いて、国際公開第2017/038830号の例1-4の方法を参考にして、化合物X9を得た。
具体的には、PFA製丸底フラスコに、化合物X8の200.8gおよびAC-2000の401.3gを入れた。氷浴で冷却しながら攪拌し、窒素雰囲気下、メタノールの1.9gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。40℃に昇温し、窒素でバブリングしながら24時間攪拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、化合物X9の145.1g(収率72%)を得た。
(例4-3)
化合物X9を用いて、国際公開第2017/038830号の例11-2の方法を参考にして、化合物X10を得た。
具体的には、300mLのナスフラスコに、化合物X9の110gおよびHN-CH-C(CHCH=CHの4.9gを入れ、24時間攪拌した。得られた溶液をAE-3000の100gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AE-3000)で精製し、化合物X10の77.3g(収率70%)を得た。
(例4-4)
50mLのPFA製ナスフラスコに、化合物X10の20.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.5g、HSi(OCHの2.9g、ジメチルスルホキシドの0.04gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の20.0gを入れ、40℃で8時間攪拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物X10の3つアリル基がヒドロシリル化された化合物1-4の5.9g(収率27%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であったが、化合物1-4の生成後、末端カルボキシ基と逆側の末端シリル基が分子内および分子間の加水分解により一部縮合したような化合物も得られた。
繰り返し単位数mの平均値:21、繰り返し単位数nの平均値:20、化合物1-4の数平均分子量:4,550。
Figure 2022036343000012
〔例5:合成例〕
(例5-1)
300mLのPFA製ナスフラスコに20%NaOH水溶液21.6g、エチレングリコールを134.4g、及び60gのAE-3000を加えた。40℃にて混合物を攪拌しながら、30.1gの化合物X11をゆっくり添加し、約2時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却した後、AK-225を100g、2N塩酸水溶液を45g加え、反応を停止させた。水および飽和食塩水で各3回洗浄し、有機相を回収した後、回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X12の28.7g(収率78%)を得た。
(例5-2)
国際公開第2013/121984号の例6-1を参考にして、化合物X13を合成した。
具体的には、還流冷却器を接続した200mLナスフラスコに化合物X12の5.0g、水酸化カリウムのペレットの3.2gを加え、140℃に加熱しながら、化合物X11の57.2gを滴下した。140℃を保ったまま更に12時間攪拌した後、塩酸水溶液を加えて、過剰の水酸化カリウムを処理し、水とAK-225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーの59.1gを得た。
再び、AK-225で2倍に希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK-225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数nの平均値を19F-NMRの積分値から求めた。式X13中、nの平均値が10~15のフラクションを合わせた化合物X13の26.0gを得た。
(例5-3)
国際公開第2013/121984号の例6-2を参考にして、化合物X15を合成した。
具体的には、還流冷却器を接続した200mLのナスフラスコに、化合物X13の25.0g、フッ化ナトリウム粉末の7.0g、AK-225の50gを取り入れ、化合物X14の39.2gを加えた。窒素雰囲気下、40℃で24時間攪拌した後、室温で終夜攪拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウム粉末を除去した後、過剰の化合物X14とAK-225を減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:AK-225)で高極性の不純物を除去し、化合物X15の24.7g(収率92%)を得た。
(例5-4)
化合物X15を用いて、国際公開第2013/121984号の例6-3を参考にして、化合物X16を合成した。
(例5-5)
PFA製丸底フラスコに、化合物X16の30.0gおよびAE-3000の100.1gを入れた。氷浴で冷却しながら攪拌し、窒素雰囲気下、20%KOH水溶液の28.7gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。40℃に昇温し、窒素でバブリングしながら24時間攪拌した。反応混合物を冷却した後、2N塩酸水溶液50g加え、反応を停止させた。水および飽和食塩水で各3回洗浄し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、有機相を回収した後、回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物X17の26.3g(収率99%)を得た。
(例5-6)
化合物X17を用いて、国際公開第2017/038830号の例1-4の方法を参考にして、化合物X18を得た。
具体的には、PFA製丸底フラスコに、化合物X17の25.8gおよびAC-2000の30.0gを入れた。氷浴で冷却しながら攪拌し、窒素雰囲気下、メタノールの0.18gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。40℃に昇温し、窒素でバブリングしながら24時間攪拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、化合物X18の7.8g(収率30%)を得た。
(例5-7)
化合物X18を用いて、国際公開第2017/038830号の例11-2の方法を参考にして、化合物X19を得た。
具体的には、100mLのナスフラスコに、化合物X18の7.0gおよびHN-CH-C(CHCH=CHの0.26gを入れ、72時間攪拌した。得られた溶液をAE-3000の50gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AE-3000)で精製し、化合物X19の4.2g(収率58%)を得た。
(例5-8)
化合物X19を用いて、国際公開第2017/038830号の例1-8の方法を参考にして、化合物1-5を得た。
50mLのPFA製ナスフラスコに、化合物X19の4.0g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.1g、HSi(OCHの0.5g、ジメチルスルホキシドの0.01gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の4.1gを入れ、40℃で8時間攪拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.1μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物X19の3つアリル基がヒドロシリル化された化合物(1-5の0.8g(収率19%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であったが、化合物1-5の生成後、末端カルボキシ基と逆側の末端シリル基が分子内および分子間の加水分解により一部縮合したような化合物も得られた。
繰り返し単位数nの平均値:14、化合物1-5の数平均分子量:5,720。
Figure 2022036343000013
〔例6:合成例〕
(例6-1)
PFA製丸底フラスコに、化合物X16の25.0gおよびAC-2000の25.0gを入れた。氷浴で冷却しながら攪拌し、窒素雰囲気下、メタノールの1.5gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。40℃に昇温し、窒素でバブリングしながら24時間攪拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、化合物X20の22.1g(収率99%)を得た。
(例6-2)
化合物X20を用いて、国際公開第2017/038830号の例11-2の方法を参考にして、化合物X21を得た。
具体的には、100mLのナスフラスコに、化合物X20の20.2gおよびHN-CH-C(CHCH=CHの0.7gを入れ、48時間攪拌した。得られた溶液をAC-2000の50gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AC-2000)で精製し、化合物X21の12.6g(収率61%)を得た。
(例6-3)
化合物X21を用いて、国際公開第2017/038830号の例1-8の方法を参考にして、化合物1-6を得た。
具体的には、50mLのPFA製ナスフラスコに、化合物X21の9.8g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.25g、HSi(OCHの0.9g、ジメチルスルホキシドの0.01gおよび1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(東京化成工業社製)の10.0gを入れ、40℃で8時間攪拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過し、化合物X21の3つアリル基がヒドロシリル化された化合物1-6の9.6g(収率92%)を得た。ヒドロシリル化の転化率は100%であった。
繰り返し単位数nの平均値:14、化合物1-6の数平均分子量:5,730。
Figure 2022036343000014
〔例7:合成例〕
国際公開第2014/126064号に記載の化合物(ii-2)の製造方法を参考にして、化合物1-7を得た。
化合物1-7:CFCF-OCFCF-(OCFCFCFCFOCFCF-OCFCFCF-C(O)NH-CHCHCH-Si(OCH
繰り返し単位数nの平均値:11、化合物1-7の数平均分子量:4,250。
〔例8:合成例〕
国際公開第2017/038832号の例3に記載の方法にしたがい、化合物1-8を得た。
化合物1-8:CF-(OCFCF-OCFCFCFCF-OCFCF-OCFCFCF-CH-N[CHCHCH-Si(OCH
繰り返し単位nの平均値:11、化合物1-8の数平均分子量:4,350
〔例11〕
化合物1-1と、ハイドロフルオロエーテル(ノベックHFE7200:製品名、スリーエム社製)とを混合して、化合物1-1の濃度が20質量%である組成物を得た。
得られた組成物を用いて、以下の真空蒸着法にて基材の表面処理を行い、基材である化学強化ガラス(ドラゴントレイルガラス;製品名、AGC社製)の主表面の全体に表面層が形成されてなる評価サンプル(物品)を得た。
具体的には、真空蒸着の処理条件を圧力3.0×10-3Paとして、基材の主表面に二酸化ケイ素膜(膜厚7nm)を形成し、続いて、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、組成物2mg(すなわち、0.4mgの化合物1-1)を蒸着させた。次に、温度20℃および湿度65%の雰囲気下で、蒸着層が表面に形成された基材を24時間静置した後、AK-225で洗浄して、基材の主表面の全体に表面層が形成された評価サンプル(物品)を得た。
得られた評価サンプルを用いて、上述の評価試験を実施し、結果を表1に示す。
〔例12~18〕
含フッ素エーテル化合物の種類を表1の通りに変更以外は、例11と同様にして、評価サンプル(物品)を得た。2種類の含フッ素エーテル化合物を用いた例については、水の初期接触角が表1に示した結果になるように、2種類の含フッ素エーテル化合物を任意の割合で混合した。
得られた評価サンプルを用いて、上述の評価試験を実施し、結果を表1に示す。
Figure 2022036343000015
表1の通り、基材の主表面に、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層を形成すれば、汚れが目立ち難く、かつ、汚れの拭き取り性に優れた物品が得られることを確認した(例11~16)。
これに対して、基材の主表面に、親水性官能基を有しない表面層を形成した場合、汚れの拭き取り性は優れるものの、汚れの目立ち難さが劣る物品が得られることを確認した(例17および18)。
XPSによる表面分析の具体例を図1に示す。図1は、例15の表面層のXPSスペクトル図である。
図1に示すように、291~295eV付近に現れる2つのピークが、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のピークであり、この2つのピークの合計積分強度がIPFPEとなる。また、289eV付近に現れるピークがカルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のピークであり、このピークの積分強度がICOOとなる。そして、284~288eV付近に現れる2つのピークがその他のC由来のピークであり、この2つのピークの合計積分強度がIothersとなる。
このようにして得られた値に基づいて、CCOO/CPFPEを算出した。
なお、本発明者らは、XPS解析に基づいて算出したCCOO/CPFPEの値が、分子構造から形成が予想される膜表面のCCOO/CPFPEの値よりも大きくなっていることを知見した。これは末端のカルボキシ基が最表面に凝集したために、CCOO強度が増大したためと考えられる。
本発明の物品は、撥水撥油性の付与が求められている各種の用途に用いることができる。たとえば、タッチパネル等の表示入力装置;透明なガラス製または透明なプラスチック製部材、キッチン用防汚部材;電子機器、熱交換器、電池等の撥水防湿部材や防汚部材;トイレタリー用防汚部材;導通しながら撥液が必要な部材;熱交換機の撥水・防水・滑水用部材;振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦用部材等に用いることができる。より具体的な使用例としては、ディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板、あるいはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの、携帯電話(たとえば、スマートフォン)、携帯情報端末、ゲーム機、リモコン等の機器のタッチパネルシートやタッチパネルディスプレイ等の人の指または手のひらで画面上の操作を行う表示入力装置を有する各種機器(たとえば、表示部等に使用するガラスまたはフィルム、ならびに、表示部以外の外装部分に使用するガラスまたはフィルム)、トイレ、風呂、洗面所、キッチン等の水周りの装飾建材、配線板用防水部材、熱交換機の撥水・防水・滑水用部材、太陽電池の撥水部材、プリント配線板の防水・撥水用部材、電子機器筐体や電子部品用の防水・撥水用部材、送電線の絶縁性向上用部材、各種フィルタの防水・撥水用部材、電波吸収材や吸音材の防水用部材、風呂、厨房機器、トイレタリー用防汚部材、振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦用部材、機械部品、真空機器部品、ベアリング部品、自動車等の輸送機器用部品、工具等の表面保護用部材等が挙げられる。

Claims (7)

  1. 基材と、
    前記基材の主表面に形成され、親水性官能基と、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖とを有する表面層と、
    を有することを特徴とする、物品。
  2. 試料面と検出器の成す角度を75度としたX線光電子分光法による前記主表面の分析において、ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のC濃度(CPFPE)に対する、カルボニルオキシ基またはオキシカルボニル基由来のC濃度(CCOO)の比(CCOO/CPFPE)が、0.025以上である、請求項1に記載の物品。
  3. Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法による前記主表面の分析において、前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、CHOの二次イオン強度の比(CHO/F )が、0.040以上である、請求項1に記載の物品。
  4. Bi ++を一次イオンに用いた飛行時間型二次イオン質量分析法による前記主表面の分析において、前記ポリ(オキシフルオロアルキレン)鎖由来のF の二次イオン強度に対する、Cの二次イオン強度の比(C/F )が、0.006以上である、請求項1に記載の物品。
  5. 前記親水性官能基が、カルボキシ基、水酸基および式-C(=O)Rで表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の物品。
    ただし、式中、Rは、水素原子、アミノ基または-ORで表される基である。Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、1価の炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基である。
  6. 式1で表されることを特徴とする含フッ素エーテル化合物。
    [T-A-(OX)m1-]Z[-Si(R)3-n 式1
    ただし、式中、
    Tは、親水性官能基である。
    Aは、単結合または2価の連結基である。
    Xは、フルオロアルキレン基である。
    Zは、(j+g)価の連結基である。
    Rは、1価の炭化水素基である。
    Lは、加水分解性基または水酸基である。
    m1は、2以上の整数である。
    nは、0~2の整数である。
    jは、1以上の整数である。
    gは、1以上の整数である。
  7. 前記親水性官能基が、カルボキシ基、水酸基および式-C(=O)Rで表される基からなる群より選択される少なくとも1種の基である、請求項6に記載の含フッ素エーテル化合物。
    ただし、式中、Rは、水素原子、アミノ基または-ORで表される基である。Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、1価の炭化水素基または1価の芳香族炭化水素基である。
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