JP2022035894A - 一酸化炭素および有害ガスを分解する触媒およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一酸化炭素および窒素酸化物、アンモニア、アルデヒド類、カルボン酸などを常温で分解し除去するための触媒およびその担持方法を提供することである。【解決手段】 塩化パラジウム、硝酸銀および硫酸銅を硝酸で溶解した溶液に、多孔質素材を浸漬し、焼成して担持することで製造することを特徴とする触媒。【選択図】図1

Description

本発明は、室温で一酸化炭素および窒素酸化物、アンモニア、アルデヒド類、カルボン酸などを分解し除去するための触媒およびその製造方法に関する。
有機化合物が大気中で燃焼すると、炭素(C)は酸素(O)と結合して二酸化炭素(CO)となり、排出されるが、酸素が不足している時には、不完全燃焼して、一酸化炭素(CO)も発生する。この現象は、物が燃焼する際には部分的に酸素が不足する場合があるので、COは経常的に発生するのが普通である。
例えば、喫煙時に煙草が燃焼する場合には、煙草の燃焼むらが生じるために、COが常に発生している。高等生物にとっては、COが一定の濃度以上に存在すると、通常の酸素分圧下では酸素を結合できず窒息する危険がある。これは血液中の赤血球に34%も含まれるヘモグロビン(Hb)の働きによる。
代謝によって有機物が分解され、COはその産物として生成される。ヘモグロビンは、酸素分圧が低い組織中で酸素を解離し、一方COはヘモグロビンの他の部位に結合し、今度は肺において排出される。
しかし、大気中にCOがあると、十分な酸素があるにも拘わらず、ヘモグロビンが優先的にCOと結合するため、酸素を利用することが出来なくなる。一定濃度以上のCOがあると酸欠状態となるのはヘモグロビンのこのような働きのためである。平衡定数は酸素の325倍であることが知られている。このCOが大気中に0.01%以上あると極めて危険な状態となり、重篤なCO中毒症状を示すか、死に至る。
COの有害性はこのような呼吸の阻害から虚血性心疾患、末梢動脈疾患、慢性呼吸器疾患、さらに妊娠時の胎児への影響が考えられる。また、突然死、老化、痴呆などの症状にも大きく関係していると言われている。
一酸化窒素(NO)は窒素酸化物のひとつで、高温下で窒素が酸化されて生成される。発生源はエンジン、焼却炉、ストーブなど高温になる装置からである。
オキシダント(酸化物)生成の引き金になるため、一連の化学反応の結果、光化学スモッグの原因となる。一方、生体内ではガス状の神経伝達物質として機能することが知られている。狭心症の発作を抑えるニトログリセリンは体内でNOを発生して血管を拡張させ、発作を抑える。男性精力維持に使われるバイアグラも同様な機作で作用する。これを生産するiNOS細胞が腸内で異常に活性化され、過剰なNOを生産されると、潰瘍性大腸炎やクローン病を引き起こすことが知られている。潰瘍性大腸炎の患者の場合、正常な人と比べ、腸内のNOの量が100倍にもなっていることが報告されている。
二酸化窒素(NO)は燃焼過程で発生する窒素の酸化物である。NOがさらに酸化されたものである。生物由来のもの(タンパク質など窒素を含むもの)が燃焼することで発生する。呼吸器系への影響がある。0.04~0.06ppmが基準値である。
一酸化炭素や窒素酸化物を分解する触媒として、排気ガス処理に用いられる三元触媒がある。プラチナ、パラジウム、およびロジウムからなる触媒であるが、常温ではほとんど効果がない。通常、触媒反応は適正温度帯があり、本法の対象とする有害ガスのひとつ(一酸化炭素)には数百℃程度の加温が必要である。常温での触媒作用が実現出来ればさらに汎用性が広まる。
多孔質素材などに担持した触媒は、カラム(一定の通過装置内に触媒を充填するもの)の形式を採らざるを得ず、この場合にはガスの通過速度、濃度、圧損などが触媒能力の大きな要素となる。効果的なガス分解には、通過速度を下げ、ゆっくり反応させる必要がある。しかし、実用上は処理時間を短縮する必要があり、ガスの通過速度を上げると、多孔質細孔まで拡散されにくく、担持した多孔質素材の表面に局在する触媒のみが優先的に働く傾向があるため、触媒効率は著しく低くなってしまう。これを解決するため、従来は触媒を金属表面に添着し、ハニカム構造となし、通過速度を上げて処理効率の良くする工夫がなされて来た。しかしこの構造では装置が大きくならざるを得ず、汎用性が小さいという欠点があった。
これらの問題点を解決するため、近年はナノテクノロジーの進展が著しく、担持が容易な溶液として、貴金属触媒ナノコロイド溶液が開発されている。常温で反応性が良く、かつ何にでも担持できるナノコロイド溶液はこれまでの担持方法と比べ、利点が大きい。しかし、製造も含め、工程が多く、かつ高価である。特別な用途には最適であっても、一般的なフィルターとして用いるには価格の点で汎用性が薄い。光触媒も同様の傾向があり、一般に高価である。
本発明の目的は、低コストで入手でき、常温で有害ガスを除去する、汎用性の高い触媒を提供することである。有害ガスの対象は、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NOおよびNO)、アルデヒド類、カルボン酸(酢酸など)、アンモニアなどである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、もしくは活性炭素繊維にパラジウム、銀、および銅を担持することにより、上記の問題を解決できるとの知見を得た。
これは、歯科で用いられている歯冠を、硝酸で溶解させた液に活性炭を浸漬して製造した触媒が、有毒ガスに常温で効果的に分解することを見出したことに起因する。歯冠の成分は金、パラジウム、銀、および銅から成り、それぞれ12~15%、20~15%、51~35%、14.5~18%の重量比である。このうち金は硝酸で溶解しないため、パラジウム、銀、および銅が硝酸で溶解した液中に存在し、これらが触媒成分であった。
本発明は、この知見に基づいて、
1.多孔質素材に、パラジウム、銀および銅を担持させた素材であって、一酸化炭素、窒素酸化物、アンモニア、アルデヒド類、およびカルボン酸の除去を、常温で行なうことを特徴とする触媒、
2.パラジウム、銀および銅が重量比で1:1.8~2.5:0.6~1.2、好ましくは1:2:1.6であることを特徴とする、1に記載の触媒、
3.多孔質素材が活性炭あるいは活性炭素繊維、あるいはゼオライト、シリカゲルなどであり、これらにパラジウム塩、銀塩および銅塩の水溶液を3~12時間含浸させ、脱水し、無酸素雰囲気中、400~600℃で加熱する手順で製造することを特徴とする、1および2のそれぞれに記載の触媒の製造方法、
を提供するものである。
本発明は、次の点で従来技法とは異なる特徴を持つ。
1.繰り返し使用が可能である(触媒の被毒が無い事が前提である。つまり、ガス中に沈着する粒子が混入していないこと。)。吸着剤とは異なり、触媒を用いていることである。
2.貴金属系触媒の場合、高温で高能力が普通であるが(排気ガスの三元触媒など)、本法では常温で同程度の活性があることである。
3.金属ナノコロイド(金、白金、パラジウム、銀など)と比べても遜色ない活性があること。
4.貴金属触媒、すなわちパラジウムの使用量が少なく、経済的であること。
5.加工が簡単である(触媒担持の工程が簡単である)こと。
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく、他の例又は変形は、当然本発明に包含されるものである。
歯冠を溶解した液を用いた触媒の製造
パラジウムは単独でも、他の貴金属あるいは卑金属との組み合せでも、様々なガスを分解する機能を持つ触媒として知られており、幅広く利用されて来た。本発明者は歯科医から入手した歯冠中に含まれるパラジウムを利用して、有毒ガスを分解可能な触媒を形成出来るかを検討した。歯冠にはパラジウム15%、銀35%、銅18%、金15%が含まれている。
歯冠1.84gをビーカーに入れ、1NのNaOHで約30分処理し、除タンパク質を行なった。洗浄後、濃硝酸を50mL入れ、歯冠が溶解するまで攪拌した(約一夜)。
溶液は赤色になり、パラジウムが溶解していることが推測された。パラジウムはヨウ化カリウムで検出できるので、10%ヨウ化カリウム溶液200μLに歯冠を溶解した硝酸溶液10μLを添加すると赤く発色し、パラジウムが存在することが確認できた。さらに、25%アンモニア溶液100μLに歯冠を溶解した硝酸溶液10μL添加すると、青く発色し、銅が存在することが判った。
歯冠を溶解した硝酸溶液100μLに濃塩酸100μLを添加し、遠心後、沈殿に25%アンモニア溶液100μLを添加したところ、沈殿は溶解し、銀であることが判った。歯冠を溶解した硝酸溶液中の銀は、塩酸で沈殿しAgClとなり、これはアンモニアで溶解するからである。以上から、硝酸で溶解した画分には、パラジウム、銀、および銅が含まれていることが判明した。
一方、硝酸で溶けずに残留しているものがあったが、これは金であると思われた。
活性炭30gを硝酸溶解画分(パラジウム、銀、銅)50mLに浸漬し、それぞれ一夜放置した。これをろ過し、活性炭を回収し、石英容器に移した。容器に蓋をし、マッフル炉で、嫌気的条件下450℃で6時間焼成することで触媒を製造した。
硝酸および塩酸による歯冠溶解液のCO分解活性
歯冠を硝酸で溶解した液で製造した触媒(実施例1)について、タバコ煙に含まれるCOを測定し、触媒活性があるかどうかを検討した。
COは煙草煙に含まれるものを測定したが、煙草煙中には高濃度のCOが含まれるからである。煙草煙は、紙巻き煙草に火を点け、使い捨て注射器(50mL)で吸いとり、別な密閉袋に数度に分けて回収した。注射器内部には脱脂綿が詰めてあり、煙草の個体成分であるタール分はこの脱脂綿に吸着され、密閉袋に移す際にガス成分だけが袋に回収される。タール分を含む煙草煙をそのまま用いると触媒表面を被ってしまい、触媒活性が阻害される恐れがあるため、除去する必要があったからである。
活性測定方法として、密閉されたガラス製のデシケーター(1.67L)に実施例1で製造した触媒20gを不織布に入れフィルターとしたもの、および煙草煙ガスを封入し、デシケーター内部に設置した小型ファンを回転して、ガスを継続的に撹拌し、一定時間毎にガス検知管によって、CO濃度を測定することで行なった。デシケーターには本体と蓋に穴が開いているが、本体の穴は小型ファンの電源コードを通したシリコン栓で閉じ、微細な隙間はシリコン製の接着剤で埋めた。蓋の穴もコックの付いたガラス管を通したシリコン栓で閉じた。ガス封入、および採取は蓋のコックの開閉で行なった。密閉度は、蓋から出ているシリコンチューブを真空ポンプに接続し、吸引した時の内部の圧力が50ミリトル(mTorr)以下になることで漏れのないことを確認した。結果は図1に示した。
触媒のいずれも、COの初期濃度が820mg/Lであったものが、急激に低下し、4分後には200mg/Lとなり、約60分後には0mg/Lとなった。従って、製造した触媒はCOを分解除去出来ることが確認された。
[図1]
試薬による触媒の製造と活性
実施例2で明らかなようにCO分解触媒の構成成分はパラジウム、銀および銅であることが判明したので、それぞれの試薬を溶解して触媒液を製造した。
塩化パラジウム(II)0.5g、硝酸銀1.0gおよび硫酸銅0.8gに濃硝酸100mLを加え、攪拌して完全に溶解した。
この溶液に活性炭を浸漬し、実施例2と同様にして触媒を製造した。
活性は実施例2と同様にして行なった。結果は図2に示した。初期濃度は820mg/Lであったものが、1分で400mg/L、2分で200mg/L、8分で100mg/Lとなり、実施例2と比べ活性はより高かった。実施例2の歯冠溶解液には微量の未知の金属成分が含まれているため、それらが触媒の活性を引き下げていた可能性がある。
[図2]
なお、活性炭素繊維で作られたフェルトを用いて、活性炭と同様に担持した結果、この触媒にも活性炭とほぼ同等の結果が得られた。
[各種ガスの除去効果]
パラジウム、銀および銅の触媒が様々なガス除去にも有効であるかを次に検討した。触媒の構成は実施例3で示した(塩化パラジウム):(硝酸銀):(硫酸銅7水和物)の重量比が1:2:1.6を用い、実施例1に記載の方法で活性炭に担持し、実施例2の方法によって測定を行なった。
一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO
これら二種のガスは内燃機関の排気ガス中に多く含まれるため、ガソリン乗用車の排気ガスを密閉袋に集め、これを用いた。デシケーター(1.47L)を真空ポンプで脱気し、これに排気ガスを密閉袋から使い捨て注射器(50mL)で100mL採り封入し、残りは空気を導入して大気圧に戻した。経時的にNOとNOの濃度を検知管で測定した。結果は図3に示してある。
いずれも1時間で0mg/Lになっており、窒素酸化物は触媒によって完全分解出来ることが示された。すなわち、燃焼酸化物のうち、CO、NO、NOが除去できることから、ほとんどの燃焼ガスの浄化に用いることが可能であることが示された。
[図3]
アンモニア
アンモニア(NH)はタンパク質に含まれる窒素分が、微生物の働きなどにより還元され生じる。強い刺激臭があり、粘膜に作用し、0.1%以上の濃度で危険状態となる。特定悪臭物質のひとつに指定されている。発生源は主に生物の糞尿が集積されているような場所である。汲み取り式便所や、放置されたおむつなど、介護の領域での発生が近年指摘されている。
アンモニアは、25%アンモニア水を100μL密閉袋(4L)に入れ、エアポンプで空気を3L入れ、常温で気化させたものを用いた。袋を実施例4と同様に陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追ってアンモニア濃度の測定を検知管で行なった。結果は図4に示した。
アンモニアの初期濃度は約35mg/Lであったが、2分後には3.5mg/Lまで低下し、4分後以降にはほぼ0まで低下した。アンモニアに対しても効果的に触媒が機能したことが判明した。
[図4]
アルデヒド類
-CHO(アルデヒド基)を持つ有機化合物の総称であるが、多くの生物に有害である。生物の構成成分であるアミノ酸のアミノ基と結合し、架橋反応するためタンパク質を凝固させてしまう。従って多くの反応を引き起こし、有害さが多様である。アセトアルデヒドは悪臭成分のひとつであり、人体内ではアルコール摂取で生じ、肝臓にあるアセトアルデヒド脱水酵素の活性が弱い場合には、強い中毒症状を引き起こす場合がある。また低級アルデヒドには強い刺激臭がある。
除去実験にはアセトアルデヒドを用いて行なった。アセトアルデヒドを密閉袋(4L)に100μL採り、室温で完全に気化させた。このガスを使い捨て注射器で100mL採り、実施例4と同様、脱気したデシケーターに入れ、さらに空気を導入して大気圧とした。デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的にアセトアルデヒドの濃度を検知管で測定した。結果は図5に示してある。
ガスのデシケーターからの漏れは無く、この条件下でアセトアルデヒドは初期濃度約16mg/Lから1時間で1.3mg/Lまで低下した。その後放置しておくと、12時間後には全く検出されなくなった。触媒フィルターのアセトアルデヒドへの効果が確認された。
[図5]
(実施例同7)ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドもアンモニアと同様、100μLのホルムアルデヒド溶液(37%)を密閉袋に入れ、エアポンプで空気を4L入れ、常温で気化させたものを用いた。袋の気化したアンモニアを実施例4と同様に陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追って濃度の測定を行なった。結果は図6に示した。
アンモニアとは異なり、濃度の低下速度はやや遅かったが、1時間後には最初の1.7%まで低下した。ホルムアルデヒドに対しても、効果的に触媒が機能したことが判明した。ホルムアルデヒドは建材の接着剤として用いられて来たため、シックハウス症候群の原因であると言われている。健康被害が出る濃度はこの実験で用いた量と比べ、遥かに薄いので、実用的にフィルターをこの除去に用いることが可能であると示された。
また、有害な他の多くのアルデヒドについても、構造的な作用機作を考えると有効であると思われる。
[図6]
メチルメルカプタン
メチルメルカプタンすなわちメタンチオールは化学式CHSHで表わせるチオールの一種であり、腐ったキャベツの臭いがする無色の気体である。天然には、ある種の種子やチーズなどにも検出され、ヒトや動物の血液、脳およびその他の組織に含まれ、糞に放出される。このため、口臭や屁の悪臭成分となっている。
メチルメルカプタンは、100μLのメチルメルカプタンナトリウム溶液(15%)を密閉袋に入れ、エアポンプで空気を4L入れ、常温で気化させたものを実施例4と同様に、陰圧にしたデシケーターに封入し、時間を追って濃度の測定を行なった。結果は図7に示した。
除去パターンはCO、アンモニアとは異なり、直線に近い低下を示した。初期濃度62mg/Lが一時間で6mg/Lとなり、90%が除去された。従って、メチルメルカプタンにも効果的に触媒が機能したことが示された。
[図7]
イソ吉草酸
CH(CHCOOHで示されるカルボン酸である。足の裏の臭い、蒸れた靴下からの刺激臭である。また、口臭の原因となる。バクテリアによる腐敗の過程で発生する。人体へは腐食性がある。
イソ吉草酸を密閉袋(4L)に100μL採り、空気4L中で完全に気化させた。このガスを使い捨て注射器(50mL)で100mL採り、脱気したデシケーターに入れ、残りに空気を導入して大気圧とした。実施例4と同様、デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的にイソ吉草酸の濃度を検知管で測定した。結果は図8に示してある。
イソ吉草酸の低下パターンはメチルメルカプタンと同様であったが、低下速度はやや遅く、初期濃度38mg/Lが2mg/Lになるのに約2時間掛かった。しかし、触媒は効果的に機能することが示された。
[図8]
酢酸
アルコールが発酵すると酢酸(CHCOOH)が生じる。食酢として利用されているが刺激性が強い。発生源は有機物の発酵するようなところ、生ゴミの他、煙草煙にも含まれる。
酢酸を密閉袋(4L)に100μL採り、完全に蒸発させた。このガスをシリンジで100mL採り、脱気したデシケーターに入れ、残りに空気を導入して大気圧とした。実施例4と同様、デシケーターには触媒フィルターを設置し、ファンでガスを循環させ、経時的に酢酸の濃度を検知管で測定した。結果は図9に示してある。
2時間で始めの150mg/Lが20mg/Lとなり、4時間で10mg/Lまで低下した。24時間放置すると測定不能、すなわち0mg/Lとなった。触媒フィルターはケト酸にも効果的であることが判明した。
[図9]
発明の効果
本発明の触媒は、室温で様々な有害ガスあるいは悪臭ガスを分解除去することが出来る。また活性炭素繊維は可塑性に富み、あらゆる形状のフィルターとして加工が容易であり、広い用途に適用が可能である。例えば、活性炭素繊維を用いてマスク状に製造すると、防災マスクとしての利用が期待出来る。また、少ない量の貴金属を利用するため、安価であり、さらに汎用性を高める。
歯冠から製造した触媒の一酸化炭素に対する効果 歯冠を硝酸に溶解させ、製造した触媒の一酸化炭素への効果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸は一酸化炭素濃度(mg/L)を表わす。 試薬で調製した触媒の一酸化炭素に対する効果 塩化パラジウムおよび硫酸銅で製造した触媒の一酸化炭素に対する効果を示した図である。横軸は時間(分)を、縦軸は一酸化炭素濃度(mg/L)を表わす。 酸化窒素への効果 触媒の酸化窒素(NO、NO)に対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸は酸化窒素濃度(mg/L)を示す。 アンモニアへの効果 触媒のアンモニア(NH)に対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸はアンモニア濃度(mg/L)を示す。 アセトアルデヒドへの効果 触媒のアセトアルデヒドに対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸はアセトアルデヒド濃度(mg/L)を示す。 ホルムアルデヒドへの効果 触媒のホルムアルデヒドに対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸はホルムアルデヒド濃度(mg/L)を示す。 メチルメルカプタンへの効果 触媒のメチルメルカプタンに対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(分)を、縦軸はメチルメルカプタン濃度(mg/L)を示す。 イソ吉草酸への効果 触媒のイソ吉草酸に対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(時)を、縦軸はイソ吉草酸濃度(mg/L)を示す。 酢酸への効果 触媒の酢酸に対する効果を測定した結果を示す図である。横軸は時間(時)を、縦軸は酢酸濃度(mg/L)を示す。
符合の説明
(図3)●(実線):一酸化窒素(NO)、□(破線):二酸化窒素(NO)をそれぞれ表わす。

Claims (3)

  1. 多孔質素材に、パラジウム、銀および銅を担持させた素材であって、一酸化炭素、窒素酸化物、アンモニア、アルデヒド類、およびカルボン酸の除去を、常温で行なうことを特徴とする触媒、
  2. パラジウム、銀および銅が重量比で1:1.8~2.5:0.6~1.2、好ましくは1:2:1.6であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒、
  3. 多孔質素材が活性炭あるいは活性炭素繊維、あるいはゼオライト、シリカゲルなどであり、これらにパラジウム塩および銅塩の水溶液を3~12時間含浸させ、脱水し、無酸素雰囲気中、400~600℃で加熱する手順で製造することを特徴とする、請求項1および2のそれぞれに記載の触媒の製造方法、
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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