JP2022035343A - がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤 - Google Patents

がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2022035343A
JP2022035343A JP2020139586A JP2020139586A JP2022035343A JP 2022035343 A JP2022035343 A JP 2022035343A JP 2020139586 A JP2020139586 A JP 2020139586A JP 2020139586 A JP2020139586 A JP 2020139586A JP 2022035343 A JP2022035343 A JP 2022035343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
cancer
scallions
cancer cells
extraction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020139586A
Other languages
English (en)
Inventor
英介 藏屋
Eisuke Kuraya
瑛子 當山
Eiko Toyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Doors Co Ltd
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Original Assignee
Doors Co Ltd
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Doors Co Ltd, Institute of National Colleges of Technologies Japan filed Critical Doors Co Ltd
Priority to JP2020139586A priority Critical patent/JP2022035343A/ja
Publication of JP2022035343A publication Critical patent/JP2022035343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

【課題】がん細胞に対する優れたアポトーシス促進作用と、増殖抑制作用を有する製剤を提供する。【解決手段】ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤を調製する。該抽出物におけるフルクタンの含有量は、0.2~10質量%であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤に関する。
アポトーシスは、遺伝的にプログラムされた細胞死(PCD:programmed cell death)の一形態であり、恒常性の維持を行う他、損傷細胞やがん細胞などの体に不要な細胞を除去するための生体防御機構の一種である。
アポトーシスの伝達経路の一つにおいては、アポトーシスシグナルを受容したミトコンドリアからシトクロムcが放出され、不活性型カスパーゼを活性化することにより進行する。このシトクロムcの放出は、Bcl-2タンパク質ファミリーのうち、アポトーシスの促進作用を有するタンパク質と、抑制作用を有するタンパク質によって制御されている。
細胞に生じたアポトーシスの形態的特徴としては、クロマチン凝集や細胞質の縮小があり、進行することによりアポトーシス小体へ細胞が断片化される。
がん細胞においては、アポトーシスを誘導し促進することによって、がん細胞の増殖を抑制するだけでなく、がん細胞数を減少させることが可能となる。そのため、特にがん治療においてアポトーシスを誘導・促進できる成分の開発が進められている。一例として、特許文献1では、選択的にアポトーシスを誘導し得るペプチドが報告されている。
特開2019-038772号公報
しかしながら、がん細胞におけるアポトーシスの促進が可能な天然由来成分の開発は未だに十分に報告されていない状況である。そのため、より優れたアポトーシス促進活性を有し、がん細胞の増殖を抑制できる成分の開発が望まれている。
そこで本発明の目的は、天然物に由来し、安全性が高く、医薬品や飲食料品への適用が可能であり、がん細胞に対する優れたアポトーシス促進作用と、増殖抑制作用を有する製剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物において、当該抽出物におけるフルクタン含量を指標にして濃縮することにより、優れたアポトーシス促進作用と、がん細胞の増殖抑制作用とを発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる組成物を提供する。
項1.
ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤。
項2.
前記抽出物におけるフルクタンの含有量が、0.2~15質量%である、項1に記載の剤。
項3.
前記抽出物におけるS-アリルシステインの含有量が、3~500μg/gである、項1又は2に記載の剤。
項4.
抗がん剤である、項1~3のいずれかに記載の剤。
項5.
大腸がん、乳がん、子宮頸がん、及び、白血病からなる群より選択される少なくとも1種の予防又は治療用である、項1~4のいずれかに記載の剤。
項6.
ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん治療生存率向上用製剤。
項7.
ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん転移抑制剤。
本発明の製剤は、天然由来のネギ属ラッキョウ(Allium chinense)から得られる有効成分を含有しており、がん細胞のアポトーシス促進作用と、増殖抑制作用を有する。このような製剤は、医薬品、医薬部外品、又は、飲食料品として適用することで、安全性が高く、反復服用が可能な医薬組成物又は飲食品組成物を提供することが可能となる。
図1は、試験例1における、ラッキョウ濃縮エキスに含有されるフルクタンの分子量分布を示すグラフである。 図2は、試験例3における、ラッキョウ濃縮エキスによる結腸腺癌HCT116細胞への細胞増殖/細胞毒性の評価結果を示すグラフである。 図3は、試験例3における、ラッキョウ濃縮エキスによる結腸腺癌HCT116細胞への細胞活性の評価結果を示すグラフである。 図4は、参考例における、SAC単独による結腸腺癌HCT116細胞への細胞増殖/細胞毒性の評価結果を示すグラフである。 図5は、試験例4における、酸処理を行ったラッキョウ濃縮エキスによる結腸腺癌HCT116細胞への細胞増殖/細胞毒性の評価結果を示すグラフである。 図6は、試験例5における、ラッキョウ濃縮エキスによる結腸腺癌HCT116細胞へのアポトーシス促進の評価結果を示すグラフである。
本発明の製剤は、ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を含有するものである。
[ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物]
ネギ属ラッキョウは多年草の植物である。ラッキョウは公知の株を利用することができ、特に限定されない。ラッキョウは、中国、ヒマラヤ地方が原産であり、日本を含むアジア各地等で栽培されている。また、ラッキョウは、自生しているものを利用してもよく、市販品を利用してもよい。
ラッキョウとしては、例えば、ラッキョウ(Allium chinense G.Don)、シマラッキョウ、イトラッキョウ、キイイトラッキョウ、ミヤマラッキョウ、ヤマラッキョウと呼ばれるラッキョウであっても利用することが可能である。
ラッキョウ抽出物における抽出部位は、特に限定されず、原料植物であるラッキョウの全草又はその一部、特に葉部、茎部、鱗茎部、根部、種子、花部等を用いることができる。抽出部位は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、葉部、茎部、及び、鱗茎部からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、茎部、及び、鱗茎部からなる群より選択される少なくとも1種を用いることがより好ましく、鱗茎部であることが更に好ましい。
原料植物は、収穫した採れたての生の状態で用いてもよく、ラッキョウの全草又はその一部の乾燥物を用いてもよい。また、当該乾燥物を破砕又は粉砕した粉末を用いることも可能である。
ラッキョウの全草又は一部を乾燥させる場合は、限定はされないが、天日干し、風乾又は乾燥機を使用して行うことができる。天日干しを行う場合は、乾燥にかかる時間は天候等により左右されるが、例えば6時間以上、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上とすることができる。乾燥機を使用する場合は、一般的に100℃以下、好ましくは40℃以下の乾燥条件下で、例えば、回転乾燥機、熱風乾燥機、伝熱乾燥機、真空乾燥機、真空凍結乾燥機、冷風乾燥機、振動乾燥機、ろ過乾燥機、真空撹拌乾燥機等を用いることが可能である。
ラッキョウ抽出物における抽出溶媒は、特に限定されず、水、有機溶媒又は含水有機溶媒等を用いることができる。これらの抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール、又はこれらの混合物が挙げられ、水、メタノール、エタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン又はこれらの混合物が好ましく、本発明の効果を顕著に奏する観点から、水、エタノール又は含水エタノールがさらに好ましい。
含水エタノールを用いる場合のエタノール濃度は、限定はされないが、より高い抽出効率を得ることの観点から、例えば、99%~40%、好ましくは90%~50%、より好ましくは80%~60%の濃度とすることができる。
抽出方法は特に限定はされないが、例えば、ラッキョウの全草または一部を裁断し、ミキサー等の公知の方法により破砕し、抽出溶媒を加えて撹拌し、室温ないし加熱を一定の抽出時間で処置後、抽出上清からラッキョウのエキスを分離抽出する方法が挙げられる。
破砕条件としては、限定はされないが、ラッキョウの全草または一部の裁断物が1kg~10kg等の大スケールである場合は、大型バーチカルカッターミキサー等を用いることができ、数10g~数100gの小スケールの場合は、家庭用ミキサー等を用いることができる。例えば、大スケールでの破砕条件を適用する場合は、原料植物の硬さ、含水率等によって適宜変更されるが、例えば、破砕時間は数十秒~数分間、ミキサーの回転数は10~3000rpmで行うことが可能である。
抽出条件は通常の条件を適用することができ、限定はされないが、ラッキョウの全草または一部を、例えば、3~100℃で溶媒に浸漬、加熱還流又はマイクロウェーブ加熱をする方法等を採用することができる。抽出時間は、適切な抽出量が得られる限り限定はされないが、例えば、5分以上14日以内、好ましくは10分以上7日以内、より好ましくは15分以上5日以内とすることができる。前記抽出は通常常圧下で行われるが、加圧下で行うことも可能である。
ラッキョウの裁断物又は粉砕物と溶媒とを混合する比率としては、より高い抽出効率を得ることの観点から、水抽出物を得る場合は、例えば、水1Lに対して、ラッキョウの裁断物又は粉砕物を5g~300g、好ましくは10g~200g、より好ましくは20g~100gとすることができる。また、含水有機溶媒抽出物を得る場合は例えば、溶媒1Lに対して、ラッキョウの裁断物又は粉砕物を10g~1kg、好ましくは20g~500g、より好ましくは30g~200gとすることができる。
抽出溶媒を加える前に、ラッキョウの全草または一部に、酸、アルカリ、または酵素を加えることで、抽出効率を高めることも可能である。
抽出溶媒を加えて撹拌する操作は、当業者に公知の方法を用いることができるが、例えば、ラッキョウの裁断物又は粉砕物と抽出溶媒とを含む抽出用容器を回転させる方法、前記抽出用容器を磁気式又は機械式の撹拌装置に設置して混合する方法、前記抽出用容器を振とうさせる方法等が挙げられる。
撹拌操作は、超音波処理により振動を起こし、抽出効率を高めることも可能である。超音波処理を行う場合は、限定はされないが、例えばラッキョウの全草または一部の裁断物が1kg~10kg等の大スケールである場合は、市販の超音波発生器にラッキョウの裁断物又は粉砕物と抽出溶媒とを含む抽出用容器を設置し、26kHz超音波で60分間処理することにより、超音波処理物を得ることができ、数10g~数100gの小スケールの場合は、40kHzの超音波で60分間処理することにより、超音波処理物を得ることができる。超音波処理の温度条件は、適切な抽出量が得られる限り限定はされないが、2℃~100℃、好ましくは10℃~70℃とすることができる。大スケール用の超音波発生器としては、例えば神明台工業(株)製UT-12を使用することができ、小スケール用の超音波発生器としては、例えばAS ONE(株)製US-3Rを使用することができる。
抽出効率を高めるためには、同種又は複数種の抽出溶媒を用いた多段階抽出を行うことも可能である。多段階抽出を行う場合は、第1段階の抽出において得られた残渣に、さらに同種又は複数種の抽出溶媒を加え、室温ないし加熱を行った後、抽出上清からラッキョウのエキスを分離抽出することができる。
本発明に用いるラッキョウ抽出物は、抽出工程中、又は、抽出工程後において、加熱濃縮の工程に供されていることが好ましい。加熱濃縮の工程は、公知の方法が利用でき、特に限定されないが、抽出工程中に行う場合には、例えば、ラッキョウの全草または一部を、水等の所定の抽出溶媒に浸し、所定の温度条件、時間条件にて抽出と共に、加熱濃縮を行うことができる。また、抽出工程後に加熱濃縮工程を行う場合には、当該抽出物を水等の所定の溶媒に浸し、所定の温度条件、時間条件にて抽出と共に、加熱濃縮を行うことができる。
加熱濃縮工程における温度条件は、原料植物の状態や、溶媒の種類等により適宜調整され限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、30~105℃とすることができ、35~105℃が好ましく、40~105℃がより好ましく、45~105℃が更に好ましく、80~105℃が特に好ましい。
加熱濃縮工程における時間条件は、原料植物の状態や、溶媒の種類等により適宜調整され限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、5分以上14日以内とすることができ、1時間以上10日以内が好ましく、2時間以上8日以内がより好ましく、3時間以上6日以内が更に好ましく、4時間以上3日以内が特に好ましい。
加熱濃縮の条件は、原料植物の状態や、溶媒の種類等により適宜調整され限定はされないが、ラッキョウ抽出物に含まれるフルクタンの濃度を指標として調整することが可能である。本明細書において、フルクタンは、フルクトースが結合してできる高分子多糖をいう。ラッキョウに含まれるフルクタン(以下、ラッキョウフルクタンともいう)は、約90%が水溶性で溶けやすい特性を有しているため、温度条件や時間条件等の加熱濃縮条件を定めずとも、加熱濃縮の程度を判断する指標として好適であることを、本願発明者らが見出した。ラッキョウ抽出物におけるフルクタンの含有量は、0.2~15質量%であることが好ましく、0.4~14質量%であることがより好ましく、0.6~12質量%であることが更に好ましく、0.8~10質量%であることが更により好ましく、0.8~8質量%であることが更により好ましく、1~6質量%であることが最も好ましい。
ラッキョウ抽出物に含まれるフルクタンの濃度は、AOAC Method 999.3ならびにAACC Method 32-32.01に準拠するもので、フルクタン以外の糖質をあらかじめスクラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、マルターゼで単糖に分解し水素化ホウ素でこれらを還元除去し、残ったフラクタンをフラクタナーゼで分解した後、フラクトースとしてPAHBAH法により定量することができる。ラッキョウ抽出物に含まれるフルクタンの濃度は、市販品であるMegazyme社のFructan Assay Kitを用いて、当該キットのマニュアルに沿って測定することが可能である。
抽出工程や加熱濃縮工程後にラッキョウ抽出物を分離抽出する段階においては、公知の方法を採用することができ、例えば、ろ過、遠心分離、吸引、圧搾等を行うことが可能である。
ろ過により分離抽出する場合は、限定はされないが、例えば、膜ろ過を行うことができる。膜ろ過を行う場合は、例えば、温度条件を2℃~70℃、好ましくは10℃~40℃とすることができ、膜孔径を0.1μm~10μm、好ましくは0.1μm~5μmとすることが可能である。
遠心分離により分離抽出する場合は、公知の機器を用いることができ、遠心分離器としては、例えば、分離板型、円筒型、デカンター型等を挙げることができる。遠心分離を行う場合は、例えば、温度条件を2℃~70℃、好ましくは10℃~40℃とすることができ、回転数を1000rpm~10000rpm、好ましくは1500rpm~8000rpm、さらに好ましくは2000rpm~6000rpmとすることができ、遠心時間を10秒~30分、好ましくは20秒~20分、さらに好ましくは30秒~15分とすることができる。
圧搾による分離抽出は、圧搾機を用いることも可能であり、圧搾機としては公知の機器を用いることができ、例えば、空気圧式圧搾機、スクリュー式圧搾機等を挙げることができる。
限定はされないが、抽出工程や加熱濃縮工程後のラッキョウ抽出物に対して、酸処理を行うことが好ましい。
酸処理の方法としては、植物抽出物に対して用いられ得る公知の方法であれば特に制限なく利用できる。
用いる酸の種類は特に限定されないが、例えば、塩酸、希硫酸等が挙げられ、これらの中でも、塩酸が好ましい。
酸処理におけるpH条件は、特に限定されないが、例えば、pH2~5とすることができ、pH2~4が好ましく、pH3~4がより好ましい。
酸処理における温度条件は、特に限定されないが、例えば、20~100℃とすることができ、30~90℃が好ましく、40~90℃がより好ましく、50~85℃が更に好ましく、60~80℃が特に好ましい。
酸処理における時間条件は、特に限定されないが、例えば、10分以上とすることができ、30分以上が好ましく、60分以上がより好ましく、90分以上が更に好ましく、120以上が特に好ましい。
本発明において、ラッキョウ抽出物の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、組成物の総量を基準として、固形分換算で0.000001~100重量%、好ましくは0.00001~90重量%、さらに好ましくは0.0001~80重量%とすることができる。
本発明において、ラッキョウの精製物の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、組成物の総量を基準として、固形分換算で0.000000001~1重量%、好ましくは0.00000001~0.9重量%、さらに好ましくは0.0000001~0.8重量%とすることができる。
ラッキョウ抽出物は、希釈や濃縮の前後等に、さらに精製処理に付することより、精製物とすることができる。精製処理には、上記の溶媒による抽出以外に、当業者に公知な方法であるクロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法等を単独で、または組み合わせて用いることができる。
クロマトグラフ法を用いる場合であっては、例えば、順相若しくは逆相の担体又はイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー又は遠心液体クロマトグラフィー等のいずれか、又はそれらを組み合わせて用いる方法が挙げられる。クロマトグラフ法を用いる場合の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種のクロマトグラフ法に対応して適宜選択することができる。
ラッキョウ抽出物に含まれるS-アリルシステインの含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、1~500μg/gであることが好ましく、3~400μg/gであることがより好ましく、5~350μg/gであることが更に好ましく、10~300μg/gであることが更により好ましく、20~250μg/gであることが更により好ましく、40~200μg/gであることが更により好ましく、50~150μg/gであることが特に好ましい。
[用途]
本発明の製剤は、濃縮されたラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有していることにより、がん細胞に対して、優れたアポトーシス促進活性と、増殖抑制(成長阻害)作用を示すことが可能となる。限定はされないが、本発明の製剤は、抗がん剤としての医薬製剤に適用され得る。
適用対象となるがん細胞の由来(がん種)は、本発明の効果が奏される限り、限定はされないが、例えば、大腸がん、結腸がん、直腸がん、小腸がん、盲腸がん、乳がん、子宮がん、子宮頸がん、骨盤腔がん、卵巣がん、腹壁腫瘍、大網腫瘍、食道がん、胃がん、胆嚢がん、膵臓がん、肝臓がん、脾臓がん、腎臓がん、舌がん、咽頭がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、耳下腺がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、骨腫瘍、皮膚がん、肺がん、縦隔腫瘍、精巣がん、前立腺がん、膀胱がん、脳腫瘍、白血病等が挙げられる。
本発明の製剤は、これらのがん種の中でも、大腸がん、乳がん、子宮頸がん、及び、白血病からなる群より選択される少なくとも1種に対して、好適に用いられ、これらのがん種の予防又は治療用に用いられ得る。
別の実施態様において、本発明の製剤は、濃縮されたラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有していることにより、がん治療による生存率を向上させることが可能となる。よって、限定はされないが、本発明の製剤は、他の抗がん剤と併用しても好適に用いられ得る。
他の抗がん剤としては、本発明の効果を奏する限り、特に制限されず、各種の抗がん剤を用いることができる。
抗がん剤としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬、ホルモン剤、生物製剤等が挙げられる。
アルキル化剤としては、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファラン、プロカルバジン、ラニムスチン等が挙げられる。
代謝拮抗剤としては、例えば、エノシタビン、カルモフール、カペシタビン、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサート、クラドリビン、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、メルカプトプリン等が挙げられる。
微小管阻害剤としては、例えば、ビンクリスチン等のアルカロイド系抗がん剤、ドセタキセル、パクリタキセル等のタキサン系抗がん剤が挙げられる。
抗生物質抗がん剤としては、例えば、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ペプロマイシン、ミトキサントロン、アムルビシン、ジノスタチンスチマラマー等が挙げられる。
トポイソメラーゼ阻害剤としては、例えば、トポイソメラーゼI阻害作用を有するCPT-11、イリノテカン、ノギテカン、トポイソメラーゼII阻害作用をもつエトポシド、ソブゾキサン等が挙げられる。
白金製剤としては、例えば、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン等が挙げられる。
ホルモン剤としては、例えば、デキサメタゾン、フィナステリド、タモキシフェン、アストロゾール、エキセメスタン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、ビカルタミド、フルタミド、ブレドニゾロン、リュープロレリン、レトロゾール、エストラムスチン、トレミフェン、ホスフェストロール、ミトタン、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン等が挙げられる。
生物学的製剤としては、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、インターロイキン2、ウベニメクス、乾燥BCGなどが挙げられる。
分子標的薬としては、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、テムシロリムス、ベバシズマブ、VEGF trap、スニチニブ、ソラフェニブ、トシツズマブ、ボルテゾミブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、タミバロテン、トレチノイン等が挙げられる。
上記の分子標的薬以外にも、ヒト上皮性増殖因子受容体2阻害剤、上皮性増殖因子受容体阻害剤、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、血管内皮増殖因子受容体2阻害剤(α-VEGFR-2抗体)等の血管新生を標的にした阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤等の各種チロシンキナーゼ阻害剤、サイトカインを標的とした阻害剤、プロテアソーム阻害剤、抗体-抗がん剤配合体等の分子標的薬等も含めることができる。これら阻害剤には抗体も含む。
本発明の製剤の適用対象は特に限定されないが、哺乳動物では、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ等が挙げられる。
本発明の製剤は、医薬品、医薬部外品、機能性表示食品、特定保健用食品、飲食品等に使用可能な有効成分や添加剤を適宜配合することができ、また、当該品目で使用される公知の製剤化方法により、適宜製剤化することができる。
本発明の製剤は、任意の剤形を採ることができ、特に制限されないが、例えば、錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口製剤形態や、注射用製剤(例えば、点滴注射剤(例えば点滴静注用製剤等)、静脈注射剤、筋肉注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤)、外用剤(例えば、軟膏剤、パップ剤、ローション剤)、坐剤吸入剤、眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤、リポソーム剤等の非経口製剤形態が挙げられる。
本発明の製剤は、任意の投与経路を採ることができ、特に制限されないが、例えば、経口投与、経管栄養、注腸投与等の経腸投与や、経静脈投与、経動脈投与、筋肉内投与、心臓内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与等の非経口投与等が挙げられる。
本発明の製剤は、製剤上の必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶剤、滑沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、流動化剤、安定化剤、矯味矯臭剤、着色剤等を配合して製剤化される。
矯味矯臭剤としては、医薬品及び食品分野において通常に使用される甘味料、香料などが挙げられる。
着色剤としては、医薬品及び食品分野において通常に使用される着色料が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、D-ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、β-シクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリン、オリーブ油などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアガム、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ、サラシミツロウなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤・乳化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;例えばシェラックロウ、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、環状ラノリン、ラノリンワックス、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックスなどワックス類などが挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
安定化剤としては、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の製剤を固形製剤とする場合、当該分野で公知の製造方法を用いることができる。例えば、製剤を練合し、スクリーンを通過させることで成型する押出造粒物を、粉砕し、整粒する方法、前記製剤に練合水を加え、バーチカルグラニュレーターによって成型する攪拌造粒の後に、コーミルを用いて粉砕・篩過する方法が挙げられる。また、前記製剤をローラーコンパクターで圧縮した後、ロールグラニュレーターで粉砕し篩過する方法が挙げられる。また、撹拌造粒の後に、流動層乾燥する方法が挙げられる。また、例えば、直打により製造する場合には、製剤を混合した後、直接、打錠機に投入して打錠すればよい。
(飲食品)
本発明の組成物は、飲食品組成物としても使用することができ、食品または機能性食品に含有させて提供され得る。このような食品または機能性食品としては、米飯;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺、カップ麺を含む各種の麺類;清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等の飲料;カレールー、シチュー、各種スープ類;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;飴、クッキー、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、その他の焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、ドレッシング、味噌、醤油、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、ふりかけ、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品・機能性表示食品・特定保健用食品などが例示される。
更に、本発明の製剤を含有するサプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、ゼリー剤、液剤等)を調製してもよい。
また、ペットなどの動物用の餌に対して本発明の製剤を含有させることもできる。
飲食品には、必要に応じて、添加物が加えられる。このような添加物としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、マンニット、デキストリン、クエン酸、クエン酸ソーダ、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンC、ビタミンB類、ビタミンE、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、界面活性剤、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
本発明の製剤は、各種症状や状態の改善・予防の表示が許可されている飲食品ために用いることができる。ここで、本発明において、症状や状態の改善・予防の表示が許可されている飲食品とは、国や公共団体が許可・指定している医薬品的な効能を有する飲食品であり、例えば、機能性表示食品、特定保健食品等の保健機能食品、特別用途食品等である。なお、状況や時代、各国の制度により名称や規程が変化するが、本質的に同じであるものは本発明に含まれる。
本発明の製剤の配合量は、特に制限されず、適用の目的(対象疾患や症状の種類等)、適用対象部位、適用者の性別や年齢、飲食品、機能性表示食品、特定保健用食品、医薬部外品、又は医薬品の形態、これらの投与又は摂取方法や回数、嗜好等に応じて適宜設定される。
ラッキョウ抽出物の1日当たりの摂取量は、乾燥固形分換算にて、例えば、0.005~4,000mg、好ましくは0.1~3,000mg、より好ましくは0.5~2,000mg、更に好ましくは1~1,000mg、特に好ましくは2~500mg、最も好ましくは3~300mgで使用することができる。
本発明の組成物の摂取期間は、特に制限されず、適用の目的(対象疾患や症状の種類等)、適用対象部位、適用者の性別や年齢、飲食品、機能性表示食品、特定保健用食品、医薬部外品、又は医薬品の形態等に応じて適宜設定される。本発明の組成物の摂取期間は、例えば、1日以上とすることができ、7日以上が好ましく、12日以上がより好ましく、1ヶ月以上が更に好ましい。
本発明の組成物は、製剤上、剤形については特に制限されない。例えば、サプリメント、栄養ドリンク等の機能性食品、グミ、飴、ガム、クラッカー、ビスケット等の菓子類、アイスクリーム、ゼリー、ようかん、パン、茶わん蒸し、カレー等の食品、乳飲料、清涼飲料水、スープ等の飲料、ドレッシング、ポン酢等の調味料は、飲食できる飲食品組成物として例示される。
限定はされないが、本発明の組成物は、本発明の効果の観点から、機能性食品として摂取することが好ましく、機能性食品のなかでも機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、特定保健用食品が挙げられるが、用途を明確に表示できる点で機能性表示食品が好ましい。
[適用対象者]
本発明の組成物が適用される対象者は、特に制限されないが、仕事等の生活環境からストレスを受けやすい年代である30歳頃以上であってもよく、血圧値や血糖値の変化等により身体の変化を感じやすい年代である中年齢者(45歳頃以上55歳未満)であってもよく、高年齢者(55歳以上)であってもよい。
[pH]
本発明の組成物のpHは、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され、生理学的又は薬学的に許容できる範囲であれば制限されないが、例えば、pH2~9とすることができる。本発明の効果を安定的に発揮する観点から、本発明の組成物のpHは、好ましくは2~9.5、より好ましくは2.5~9、更により好ましくは3~8.5、特に好ましくは3.5~8とすることができる。
次に、実施例や試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例や試験例に限定されるものではない。
[ラッキョウ抽出物の調製]
沖縄伊江島産の島ラッキョウ(Allium chinense)を原料とした加熱濃縮エキス(株式会社ドアーズ製、以下「濃縮エキス」という)を用い、遠心式限外ろ過フィルターユニット(メルク社製 Amicon Ultra,3kDaならびに10kDa)にて分子量分画を行い、ラッキョウフルクタンの定量に供した。上記加熱濃縮エキスとして、2サンプル入手し(以下、サンプル「RUN1」及び「RUN2」という)、ロット間差を確認した。
[試験例1.ラッキョウフルクタンの分析]
濃縮エキス100mgを秤量し、80℃の熱蒸留水40mLを加えサンプルが完全に分散するまで15分間加熱、攪拌したのち、50mLメスフラスコで定容した溶液を分析サンプルとした。濃縮エキス中のラッキョウフルクタンの定量は、Megazyme社のFructan Assay Kitにより行った。本方法は、AOAC Method 999.3ならびにAACC Method 32-32.01に準拠するもので、フルクタン以外の糖質をあらかじめスクラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、マルターゼで単糖に分解し水素化ホウ素でこれらを還元除去し、残ったフラクタンをフラクタナーゼで分解した後、フラクトースとしてPAHBAH法により定量した。その結果を表1に示す。
Figure 2022035343000002
表1に示した通り、濃縮エキスに含まれるフルクタンの濃度を測定したところ、サンプル「RUN1」及び「RUN2」では、15.23~17.85mg/gと高い含有率を示した。これは、濃縮がなされていない市販品ラッキョウエキス(ラッキョウエキス;1.60mg/g)に比べ約10倍のフルクタンが含有されていることを示し、更に、水溶性食物繊維が失われることなく濃縮されていることが示された。また、サンプル「RUN1」及び「RUN2」におけるロット間差は特に無いことが認められた。
サンプル「RUN2」について、詳細にフルクタンの分子量分布を測定したところ、3000以上の分子量(M.W.)を持つフルクタンが約37%含まれていた(図1)。結果は示さないが、3000以上の分子量(M.W.)を持つフルクタン含有量は、サンプル「RUN1」においても同傾向であった。
[試験例2.S-アリルシステイン(SAC)の分析]
濃縮エキス中のSACの分析は、Waters社製ACQUITY UPLCならびに質量分析計Quattro micro APIを使用し、表2に記載の分析条件により定量を行った。
濃縮エキスをあらかじめ4℃、10000rpmにて遠心分離を行い、0.2 μmのフィルターで濾過した後、メタノール0.6%酢酸で希釈し分析に使用した。結果を表3に示す。
Figure 2022035343000003
Figure 2022035343000004
[試験例3.結腸腺癌HCT116細胞への細胞増殖/細胞毒性の評価]
濃縮エキスをPBS(-)で10倍、又は20倍に希釈したサンプルのヒト結腸腺癌HCT116細胞(RCB2979 理化学研究所 バイオリソース研究センターより提供)に対する細胞増殖抑制効果を評価した。
具体的な実験手法は以下の通りである。
(HCT116細胞の細胞増殖/細胞毒性の評価)
細胞株は、DMEM培地(ナカライテスク株式会社)に10%(v/v)の非働化牛胎児血清(FBS; Biological Industies, Brazil)と100U/mLのペニシリン(ナカライテスク株式会社)、100μg/mLのストレプトマイシン(ナカライテスク株式会社)を添加した通常培地を用い、100%湿度、5%二酸化炭素、37℃環境で培養した。ラッキョウエキスが細胞増殖へ与える影響は、テトラゾリウム塩WST-8を発色基質とした生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク株式会社)で評価した。HCT116を3×10cell/wellで96wellプレートに播種し、一晩COインキュベータ内で培養し、0、0.01、0.02、0.05もしくは0.1g/mLになるようにラッキョウエキスを添加した。2日間培養したのち、培地を100μL除去後、生細胞数測定試薬SFを10μL添加し、1時間後にテトラゾリウム塩WST-8の吸収波長であるAbs.450nm を測定した。
結果を図2に示す。
図2に示す通り、濃縮エキスをHCT116細胞に添加しない場合(Control)は、培養時間とともに指数対数的に細胞数は増加するが、濃縮エキスの10倍希釈サンプル、及び、20倍希釈サンプルをHCT116細胞に添加することで、細胞の増殖は抑制され、更に、細胞数が顕著に減少することが確認された。よって、ラッキョウの濃縮エキスは、がん細胞に対する強い細胞毒性を有することが示された。
(HCT116細胞の細胞活性の評価)
HCT116細胞に濃縮エキスを添加しない場合(Control)に対し、濃縮エキスの10倍希釈サンプル、及び、20倍希釈サンプルをHCT116細胞に添加したときの細胞の活性を測定した。HCT116を3×10cell/wellで96wellプレートに播種し、一晩COインキュベータ内で培養し、0、0.05もしくは0.1g/mLになるように濃縮エキスを添加した。24~72時間培養したのち、生細胞数測定試薬SFによりテトラゾリウム塩WST-8の吸収波長であるAbs.450nm を測定し、HCT116細胞の細胞活性を算出した。
結果を図3に示す。
また、図3に示す通り、HCT116細胞の細胞活性は、濃縮エキスの10倍希釈サンプルにおいて、72時間後には3%まで低下することが確認された。
[参考例.SACによるHCT116細胞への細胞増殖/細胞毒性の評価]
上記濃縮エキス中に含まれるSAC相当量がHCT116細胞へ与える影響を評価した。10μMのSAC(1.6μg/mL)溶液を調製し、試験例3と同様の方法により、HCT116細胞の経時的な細胞活性を評価した。
結果を図4に示す。
図4に示す通り、濃縮エキス中に含まれるSAC相当量では、HCT116細胞の細胞活性は僅かにしか低下しないことが確認された。
[試験例4.濃縮エキスの酸処理によるHCT116細胞の成長阻害への影響]
島ラッキョウの加熱濃縮エキスに対して、以下の方法により、酸処理を行った。
ラッキョウ濃縮エキスに6N塩酸を加えてpH3に調整し、75~80℃で2時間加熱して加水分解処理を行った。室温に冷却後、水酸化ナトリウムを加えてpH6に調製した後、加水分解処理を行った濃縮エキスを用いて、試験例3と同様の方法により、HCT116細胞の経時的な細胞活性を評価した。酸処理を行った濃縮エキスをHCT116細胞へ添加後、24時間培養した時点での結果を図5に示す。
図5に示す通り、HCT116細胞の細胞活性は、酸処理を行った濃縮エキスの10倍希釈サンプルにおいて、24時間で7.7%まで低下することが確認された。サンプル「RUN1」及び「RUN2」の10倍希釈サンプルならびに20倍希釈サンプルと比べて、有意に細胞増殖活性は低下し20倍希釈してもなお、24時間で13.4%まで低下することが確認された。このような結果が得られた詳細な原因は不明であるが、ラッキョウに含まれる成分が酸処理の過程において低分子化し、HCT116細胞の細胞活性を低下させていることが推測される。
[試験例5.濃縮エキスのHCT116細胞に対するアポトーシス促進活性]
濃縮エキスのHCT116細胞に対するアポトーシス促進活性を確認した。HCT116を7.5×10cell/wellで24wellプレートに播種し、一晩COインキュベータ内で培養し、0もしくは0.1g/mLになるように濃縮エキスを添加し、HCT116細胞に濃縮エキスを添加しない場合(Control)に対する濃縮エキスの10倍希釈サンプル添加、48時間経過時の形態学的特徴を観察した。
結果を図6に示す。
図6に示す通り、濃縮エキス未添加の場合、HCT116細胞に形態的な変化は認められなかった。一方、濃縮エキスの10倍希釈サンプルを添加した場合、HCT116細胞の細胞質に多数の空胞を生じ、断片化されている状態が認められた(一例として、矢印で示す)。このような形態学的特徴により、ラッキョウの濃縮エキスは、がん細胞に対して、アポトーシスを促進する活性を有しているものと推測される。

Claims (7)

  1. ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤。
  2. 前記抽出物におけるフルクタンの含有量が、0.2~15質量%である、請求項1に記載の剤。
  3. 前記抽出物におけるS-アリルシステインの含有量が、1~500μg/gである、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 抗がん剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の剤。
  5. 大腸がん、乳がん、子宮頸がん、及び、白血病からなる群より選択される少なくとも1種の予防又は治療用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。
  6. ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん治療生存率向上用製剤。
  7. ネギ属ラッキョウ(Allium chinense)抽出物を有効成分として含有する、がん転移抑制剤。
JP2020139586A 2020-08-20 2020-08-20 がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤 Pending JP2022035343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020139586A JP2022035343A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020139586A JP2022035343A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022035343A true JP2022035343A (ja) 2022-03-04

Family

ID=80443419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020139586A Pending JP2022035343A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022035343A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6684966B2 (ja) 新規なラクトバチルス・サケイ及びそれを含む組成物
JP2005531533A (ja) 加工処理された人参抽出物及びそれから分離されたサポニンの新規の使用
CN105338993A (zh) 含复合提取物的用于预防、改善或治疗大肠炎的组合物
KR20190066637A (ko) 왕불류행 추출물을 포함하는 암의 예방 및 치료용 조성물
JPWO2004112817A1 (ja) セリ科植物由来抽出物およびその製造方法
KR20160016280A (ko) 타히보 추출물 또는 인삼잎 추출물을 포함하는 면역 증강용 조성물
JP6882730B2 (ja) ハマアザミ抽出物を含有する免疫調節用組成物
KR102348782B1 (ko) 대추나무 뿌리 추출물을 포함하는 신장 질환의 예방 또는 치료용 조성물
JP2022035343A (ja) がん細胞のアポトーシス促進、及び/又は、増殖抑制剤
KR101200716B1 (ko) 유자씨 유래 플라보노이드 포접체, 이의 제조방법 및 이의 용도
JP4371431B2 (ja) 抗アレルギー性組成物
KR20230095471A (ko) 오미자박 발효물을 유효성분으로 포함하는 근력개선용 조성물 및 그의 제조방법
KR101579820B1 (ko) 퀘시아 운둘라타의 추출물 또는 이의 분획물을 유효성분으로 함유하는 암 또는 암 전이 억제용 약학적 조성물
KR20190044171A (ko) 고미신 유도체를 유효성분으로 포함하는 간질환 예방 또는 치료용 약학적 조성물
JP7212329B2 (ja) 免疫賦活剤及び免疫賦活用食品組成物
KR101026523B1 (ko) 흑양파 추출물을 유효성분으로 포함하는 체중조절 및 비만 예방 및 치료용 약학 조성물 및 식품 첨가물
JP2020186215A (ja) 更年期症状改善用組成物
KR20160008459A (ko) 오풍칠 추출물을 유효성분으로 함유하는 염증 또는 알러지 질환의 예방 및 치료용 조성물
KR101963439B1 (ko) 아라자임을 유효성분으로 함유하는 대사성 질환의 예방 또는 치료용 약학적 조성물
CN113116940A (zh) 一种副干酪乳杆菌gmnl-346用于抗口腔癌之用途
US9061022B2 (en) Pharmaceutical composition for treating wounds or revitalizing skin comprising Euphorbia kansui extracts, fractions thereof or diterpene compounds separated from the fractions as active ingredient
KR20200000956A (ko) 프로피오니바크테리움 후레우덴레이키, 이의 배양액 또는 이의 사균체를 유효성분으로 함유하는 장질환의 예방 또는 치료용 조성물
US20220362322A1 (en) Composition for inhibiting tumor proliferation comprising salvia plebeia extract as effective component
JP2012158528A (ja) IgEおよびIL−4産生抑制組成物
KR102586723B1 (ko) 꽃새우 추출물을 함유하는 염증성 장질환의 예방, 개선 또는 치료용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20200827

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200827

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20201002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20201002

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231012

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231211

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240404