JP2022033527A - Rnaろ過器及びrnaろ過方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022033527000001
【課題】試料に混在する夾雑物であるDNA等を除去し、DNAを含まずRNAを含む成分のみを抽出できるRNAろ過器を提供する。
【解決手段】本RNAろ過器は、DNAとRNAとが混在する試料が適用される抽出液と、抽出液を収納する容器1と、抽出液に接触し、DNAには結合するが、RNAには結合しないシリカ粒子4と、抽出液に接触し、シリカ粒子4の粒径よりも小さい孔径を有するメンブレンフィルター7とを備える。試料に含まれるDNAは、シリカ粒子4と結合してメンブレンフィルター7上に残置され、透過成分8から分離・除去される。
【選択図】図2

Description

本発明は、RT-PCR法による増幅に先立ち、ろ過により試料からDNAを除去した透過成分を提供するRNAろ過器及びその関連技術に関するものである。
感染症診断において、原因となる微生物やウイルスの病原検査は、非常に重要である。一般的には検鏡、培養検査、免疫学的検査、遺伝子検査などの方法を用いて病原体の同定が行われている。その中でも、特に遺伝子検査は、その簡便性と感度において優れており、近年様々な遺伝子検査が普及してきている。
ウイルスは、細菌よりも更に小さく、顕微鏡でも容易に観察することができず、培養検査では宿主細胞を要することもある。このため、ウイルスの検査は、難易度が高いとされ、遺伝子検査が広く行われている。
遺伝子検査に主に用いられるDNA(デオキシリボ核酸)の増幅反応、すなわちPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、DNAウイルスにおいては、比較的容易に実施可能である。これは、DNAウイルスの内部にDNA遺伝子が存在し、そのままPCRに供することが可能なためである。
ところが、ウイルスにはDNA遺伝子ではなくRNA(リボ核酸)を遺伝子として持つもの(RNAウイルス)があり、RNAウイルスは、そのまま遺伝子増幅に供することができない。
よって、RNAウイルスの場合、PCRに先立ち、逆転写反応を行うことで、予めRNAをDNAに変換する。変換されたDNAをPCRに供して遺伝子増幅させ検出が行われる。
RNAウイルスには、二本鎖RNAウイルスであるロタウイルス、一本鎖マイナス鎖RNAウイルスであるインフルエンザウイルス、センダイウイルス、RSウイルス、ムンプスウイルス、エボラウイルスなど、一本鎖プラス鎖RNAウイルスであるノロウイルス、ジカ熱ウイルス、デング熱ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、日本脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、コロナウイルスなど様々なものがあり、それぞれの感染症の診断としてこれらの検査は非常に重要である。
2019年に中国武漢市で発生し2020年に急速に世界的な感染拡大を惹き起こしている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)においても、その遺伝子検査は非常に重要度が高くPCR検査の普及の重要性が提言されている。この新型コロナウイルスもRNAウイルスであり、その検出法については、国立感染症研究所より、非特許文献1:「病原体検出マニュアル2019-nCoV」として紹介されており、特に逆転写反応、遺伝子増幅反応を連続して行うことができるワンステップ法すなわちリアルタイムone-step RT-PCR法は、非常に有効と考えられる。
しかしながら、このリアルタイムone-step RT-PCR法の実施においては、「QIAamp Viral RNA Mini キットによるRNAの抽出」としてRNAを精製するための煩雑な前処理が求められており、尚且つ、このプロセスは2次感染を防ぐためにバイオセーフティーレベル2の安全対策が求められているため、十分な感染症対策の設備が整った施設においてのみしか実施できず、ある程度熟練した技術者が実施しなければならない。更に、煩雑な操作の間に、試料間のコンタミネーション(汚染)が発生する例も報告されており、検査精度も重大な課題となっている。
本発明者らは、この様な煩雑な操作をなくすべく簡便なPCRの実施技術を開発し、市場に提案してきた。
すなわち、特許文献1(特開2016-52267号公報)に示すように、一定範囲の粒径を持つシリカ粒子を遺伝子捕捉の担体として用い、カオトロピック剤の存在下で試料中の遺伝子を吸着させ、精製水にて洗浄後にそのままPCRを行う方法がその一つである。
更に、特許文献2(特開2018-93750号公報)では、この原理をオールインワンの形態として核酸増幅反応用デバイスに組み入れた技術を開示している。
このような技術を用いることにより、検査者は、試料をカオトロピック剤含有の抽出液中に採取して前処理を行い、規定量の前処理後の試料を核酸反応用デバイスに滴下するだけで、専用装置内で核酸の捕捉、洗浄、増幅反応、および検出までを全自動で実施することが可能となる。こうして従来必要とされてきた煩雑な核酸精製の工程(乾燥や抽出操作)をなくすことが可能となり、時間の短縮や簡便さのみならず安全性の改善とコンタミネーション回避にも大きな効果を得ることができている。
しかしながら、標的がRNAウイルスである場合、このような技術の実施が困難となる。試料は、一般的には患部から採取した鼻咽頭拭い、喀痰、唾液、または血液などのヒト体液成分を含む。つまり、試料中に大量に夾雑物、特にヒトゲノムDNAやRNase(RNA分解酵素)などが含まれることにより、感度が大幅に低下するためである。
これら夾雑物の存在により、検出の標的となるRNA以外のDNAなどによってプライマーやプローブとの非特異的な反応が引き起こされ、目的RNAの逆転写や転写後の標的DNAの増幅が阻害される、及び/又は、検出が不能となる事態が招来される。
標的RNAの捕捉においてもDNAの存在が競合的に効率を低下させることが考えられる。加えて、検体中に存在するRNaseによって標的RNA自体の分解が進んでいくことにより重大な感度低下が発生することも考えられる。
特開2016-52267号公報 特開2018-93750号公報 「病原体検出マニュアル2019-nCoV」国立感染症研究所
そこで本発明は、試料に混在する夾雑物であるDNA等を除去し、DNAを含まずRNAを含む成分のみを抽出できるRNAろ過器を提供することを目的とする。
第1の発明に係るRNAろ過器は、DNAとRNAとが混在する試料が適用される抽出液と、抽出液を収納する容器と、抽出液に接触し、DNAには結合するが、RNAには結合しないシリカ粒子と、抽出液に接触し、シリカ粒子の粒径よりも小さい孔径を有するメンブレンフィルターとを備える。
この構成において、試料に混在するDNAは、シリカ粒子に結合すると、その後にシリカ粒子から分離されることはなく、言い換えれば、シリカ粒子に拘束されることになる。メンブレンフィルターの孔径は、シリカ粒子の粒径よりも小さいため、DNAは、メンブレンフィルターを透過することができず、メンブレンフィルター上に残置されることになる。
一方、試料に混在するRNAは、シリカ粒子に結合せず、自由に移動することができ、メンブレンフィルターを透過する他の成分と共に、DNAから分離される。
その結果、試料から増幅を阻害する夾雑物である、DNAが除去されて、後段の増幅を感度良く円滑に実施できる。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、抽出液のうちメンブレンフィルターを透過した透過成分を容器外へ吐出する滴下ノズルを備える。
この構成により、DNAが除去された透過成分のみを滴下ノズルを介して容器の外へ容易に排出することができる。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、抽出液は、カオトロピック剤を含有する。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、シリカ粒子の粒径が、0.5乃至10[μm]である。
これらの構成により、試料からDNAを円滑に除去することができる。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、シリカ粒子は、メンブレンフィルター上に担持される。
この構成により、シリカ粒子を安定した姿勢で保持することができる。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、メンブレンフィルターは、試料に含有されるタンパク質を吸着する能力を有する。
好ましくは、RNAろ過器は、第1の発明に加え、メンブレンフィルターは、ニトロセルロースメンブレン又はナイロンメンブレンである。
これらの構成により、試料に含まれるRNaseをメンブレンフィルターに吸着させ、除去することが出来る。
以上述べたように、本発明によれば、試料に含まれるDNAは、シリカ粒子と結合してメンブレンフィルター上に残置される。一方、試料に含まれるRNAは、シリカ粒子に結合せず、メンブレンフィルターを透過する他の成分と共に、DNAから分離される。その結果、DNAとRNAを分離して、後段の増幅を感度良く円滑に実施できる。
(本発明の概要)
以下本発明の具体的な実施の形態を説明するに先立ち、本発明の概要を述べる。本発明は、遺伝子増幅反応に先立つ前処理に関する。
RNAを持つ病原体を含む検体を前処理するために、検体中に存在する夾雑物(DNA、RNase等)を分離し、夾雑物による反応阻害の影響を低減するRNAろ過器を提供する。
このろ過器を利用すれば、リアルタイムone-step RT-PCR法を実施するための検体の前処理を容易に実施できるのみでなく、2次感染やコンタミネーションのリスクを大きく低減できる。
具体的には、試料を、抽出液(カオトロピック剤の存在下でDNAを選択的に結合しうるシリカ粒子を含む)と混合し、非特異反応の原因となるDNAをシリカ粒子に結合させてシリカ粒子に拘束し、次に、シリカ粒子の粒径より小さい孔径を有するメンブレンフィルターを透過させる。DNAはシリカ粒子に拘束されシリカ粒子はメンブレンフィルターを透過できないので、結果として、DNAが分離される。つまり、メンブレンフィルターを透過した透過成分には、DNAが含有されず、RNA及びそのほかの成分のみが、透過成分として抽出されることになる。
得られた透過成分を用いてRT-PCRに供することにより、検体中の夾雑物の影響を受けずにRNAウイルスを検出することが可能となる。さらに、ろ過除去のために用いるフィルターにニトロセルロースなどの高いタンパク吸着能を有する素材を用いることで、検体中のRNaseを吸着させて標的RNAの分解の進行を防止することもできる。
試料中に含まれる微生物を検出することは感染症の診断、治療などにおいて非常に重要であるが、検体中の様々な夾雑物の影響により核酸検出中に反応阻害などが起こり、正しい測定結果が得られないことがある。そのため、前処理として、試料中の核酸の精製が一般的に行われており、様々な試薬、キットとして販売されている。しかしながら、核酸精製は、操作が非常に複雑、操作時間が長い、熟練した技術者や専用の装置が必要、コストが高い等の課題があった。更に測定作業者自身が感染してしまう2次感染のリスクや、試料間での飛沫物の混入などによる偽陽性の発生などコンタミネーションのリスクも指摘されている。
本発明は、RNA検出のための前処理法として、RNAには結合せずDNAに選択的に結合しうるシリカ粒子を、カオトロピック剤を含む抽出液に含有させておく。
この抽出液に検体を添加して、検体中のDNAをシリカ粒子に結合させたのちに、シリカ粒子をフィルターろ過して除去することで、実質的にDNAを除去し、標的物質であるRNAを含むろ液を得て、これをリアルタイム one-step RT-PCR法に用いる方法を提供する。
ここで「検体」とは血液などの体液成分、もしくはウイルス感染患部からの鼻咽頭拭い液、喀痰、唾液などがあげられるが、後にPCRに供されるものであれば任意である。
(実施の形態1)
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。ここで、図1は、本発明の一実施の形態におけるRNAろ過器の操作説明図、図2は同キャップ内部の拡大断面図、図3は同透過成分を核酸増幅反応用デバイスへ適用する状態を示す斜視図である。
図1に示すように、本形態のRNAろ過器は、容器本体1と、蓋2と、キャップ6とを主要な要素とする。
図1(a)~図1(c)に示すように、容器本体1の底部1dには、抽出液3が収納され、容器本体1の上部にフランジ1aが形成され、フランジ1aよりも上側周面には、ねじ部1cが設けられる。
使用前には、ねじ部1cと螺合するねじ部(図示せず)を内部に有する蓋2が取り付けられて、容器本体1の開口部1bは閉鎖された状態にある。
抽出液3は、シリカ粒子4(図2参照。)を含有する溶液であり、溶液はカオトロピック剤として5.2[M]グアニジンチオシアン酸塩を含む。
シリカ粒子4は、RNAには結合せずにDNAには結合するものであれば十分であり、例えば、非晶質シリカ粒子などが好適に使用できる。
ここでは、シリカ粒子4として二酸化ケイ素(カタログ番号:SI014PB、粒径1[μm]、株式会社高純度化学研究所製)を用いているが、RNAが結合せず、DNAに結合するものであれば任意に選択可能であり、この例に限定されない。
検査時には、図1(b)に示すように、蓋2を回転させて、容器本体1の開口部1bを露呈させる。次に、スワブ5の先端部をウイルス感染患部等に接触させた後、スワブ5を容器本体1の底部1dまで差し込み、軽く左右に回転させる。これにより、底部1d内にある抽出液3とスワブ5の先端部とが接触し、検体が抽出液3内へ適用されることになる。
スワブ5としては、ポリエステル製、スポンジ製など種々のものが使用可能であり、特に限定されない。更に、検体及び抽出液3の両方に接触させて抽出液3に検体を適用できるのであれば、スワブ5ではない器具を使用しても差し支えない。
適用が完了したら、スワブ5を容器本体1内から抜き取り、図1(c)に示すように、キャップ6の滴下ノズル6aが上向きとなるようにして、キャップ6をねじ部1cにねじ込む。
その次に、図1(d)に示すように、キャップ6の滴下ノズル6aが下向きとなるように、容器本体1を天地逆転させる。
図2に拡大して示されるように、キャップ6の滴下ノズル6aの直上には、滴下ノズル6aよりも拡径された座6bが形成されている。座6bには、座6bとほぼ同径のメンブレンフィルター7が装着されている。
メンブレンフィルター7の孔径(ポアサイズ)は、シリカ粒子4の粒径より小さく設定され、メンブレンフィルター7は、シリカ粒子4及びそれに結合するDNAをろ過して、透過成分8から除去する。
上述したように、シリカ粒子4は、抽出液3内に予め含有されていても良い。また、シリカ粒子4は、メンブレンフィルター7上に担持されていても良い。いずれにしても、メンブレンフィルター7によるろ過が行われる前に、DNAがシリカ粒子4と結合し、シリカ粒子4に拘束される状態となれば十分である。
シリカ粒子4の粒径が1[μm]であれば、メンブレンフィルター7の孔径は、0.45[μm]~1[μm]程度に設定するのが望ましい。もちろん、選定するシリカ粒子4の粒子径が異なれば、メンブレンフィルター7の孔径もこれに合わせて選択可能である。
更に、メンブレンフィルター7の材料として、検体中の夾雑物として存在する様々なタンパク質、特に標的RNAを分解する酵素RNaseを吸着して除去できるようタンパク質吸着能が高い材料を使用するのが好適である。具体的な材質としては、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレンなどであり、ニトロセルロースメンブレンは特に好ましい。
本形態においては、孔径0.45[μm]のニトロセルロースフィルター(ワットマン社製)を直径10[mm]に切り抜き、滴下ノズル6aの座6bに溶着して設置してある。
勿論本発明は、このような具体例に制限されるものではなく、同様の効果を得られる、組成、材質、寸法などが使用される場合も、本発明の保護範囲に包含されることが理解されねばならない。
そして、図3に示すように、本形態では、反応チューブ11を備えた核増幅反応用デバイス10が使用される(特許文献2参照。)ものであり、メンブレンフィルター7を透過する透過成分(DNAは除去されている)が、同デバイス10の試料滴下部12に滴下され、後段のRT-PCRに供されることとなる。
(実施例1)
(抽出液中にシリカ粒子を含有させることの効果の検証)
上記の実施の形態において、抽出液3中のシリカ粒子4の濃度を0、10、20、50[mg/mL]というように変化させ、その効果を確認する。
本例では、シリカ粒子4として、(株式会社高純度化学研究所製、カタログ番号:SI014PB、粒径1[μm])を用いる。
また、本例では、メンブレンフィルター7として、通常の湿潤強化タイプ濾紙(LS-100、安積濾紙製、孔径0.5[μm])を用いる。
新型コロナウイルス検出試薬を、図3に示す、特許文献2(特開2018-93750号公報)の核酸増幅反応用デバイス10に適用することを前提として作製する。
(新型コロナウイルス検出用の核酸増幅反応用デバイスの作製)
核酸増幅反応用デバイス10の反応チューブ11内に、0.6[%]アガロース、0.4[mM]dNTP、2.5[mM]Mn(OAc)、0.54[μM]NIID 2019-nCOV N F2(フォワードプライマー)、0.18[μM] NIID 2019-nCOV N R2(リバースプライマー)、0.1[μM]Q Probe(商標)を含む溶液を充填する。
使用したプライマー対は「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」に記載の配列を株式会社日本遺伝子研究所に委託して作製してある。
Figure 2022033527000002
Q Probe(商標)は、(表1)に示す配列を用いて、3'末端の「C」をBODYPY FL蛍光色素で標識する。本プローブは相補的な配列と結合することで、特異的に消光を起こす性質を有する。
フィルター支持部のメンブレンには、RNAを捕捉するための結晶性シリカ(S5631、粒径0.5~10[μm]、シグマアルドリッチジャパン合同社製)を80[μg]塗布する。
また、試薬塗布部には、one-step RT-PCR用のDNA合成酵素を3[U]添加し乾燥させた。洗浄液には精製水を用い、洗浄ポットに1.2[mL」を添加して封止する。
上記それぞれの濃度のシリカ粒子4を添加した容器本体1を予め5回ほど転倒混和して、内部のシリカ粒子4を分散させ、次いで測定試料を添加する。健常者の鼻咽頭をスワブで拭って抽出液3に適用し、これに陽性コントロールとなる合成RNA(株式会社日本遺伝子研究所)を400[コピー/μL]になるよう抽出液に添加して試料とする。
ろ過された透過成分8を4滴(約120[μL])を滴下ノズル6aより核酸増幅反応用デバイス10の試料滴下部12に滴下し、本件出願人に係る全自動測定装置(図示せず)の挿入口に挿入し、開始ボタンを押して測定を開始する。
全自動測定装置内では、設定されたパラメーターに従って、洗浄が行われ、その後にRNAを反応チューブ内に移動させ、サーマルサイクルモジュールの温度制御により、51℃、10分の逆転写反応を行う。その後、100℃、10秒、及び56℃、25秒のサイクルを45回繰り返してPCR反応を行う。これらの操作は全自動測定装置内で自動的に行われ、測定結果は、全自動測定装置のモニター画面(図示せず)に表示される。
(測定結果)
図4は本発明の一実施の形態におけるシリカ粒子の量と相対蛍光値との関係を示すグラフ、図5は同形態におけるシリカ粒子の量と融解曲線との関係を示すグラフである。
図4の実線で示すように、抽出液3中にシリカ粒子4が存在しない場合、殆ど反応が起こらない。これに対し、10(一点鎖線)、20(粗い鎖線)、50(細かい鎖線)[mg]とシリカ粒子の添加量を増やすにつれ、反応性(消光率)が改善されていく。なお、図4において、線の下降が大きいほど、反応性が高いことが示される。
図5に示す熱融解曲線分析では、66[℃]にピークを持つ増幅産物がシリカ粒子4の添加量が増加するにつれ、明確に増えていく様子が確認できる。なお、図5において、該ピークにおける頂部が高いほど、反応性が高いことが示される。
なお、この反応性は拭い検体成分が入っていない状況と同等であり、50[mg/mL]のシリカ粒子を入れると、拭い検体成分中の夾雑物質の影響を、ほぼ排除できると考えられる。
(実施例2)
本例では、実施例1の結果を踏まえ、抽出液3に濃度50[mg/mL]のシリカ粒子4を入れる場合と、対照法(シリカ粒子4がない場合)との比較を行う。
拭い成分を含む抽出液3にシリカ粒子有りと無しのサンプルをそれぞれ準備し、これらに陽性コントロール合成RNAを添加して、0(無添加)、5、40、400[コピー/μL]の濃度に調整する。これらのサンプルを核酸増幅反応用デバイス10に滴下し、実施例1と同様に反応させる。
Figure 2022033527000003
(表2)は、本例の結果を示す。対照法においては、400[コピー/μL]のみが検出できたのに対し、本法では5[コピー/μL]が2回測定のうち1回陽性となり、実質的な感度は、50倍~80倍程度、顕著に向上したものと考えられる。
この事象は、検体中に存在するDNAの影響で、本来の標的物に対する逆転写反応、PCR反応が大きく阻害を掛けられている状況に対して、抽出液中のシリカ粒子4と阻害因子とが結合し、ろ過により除去された効果であると考えられる。
(実施例3)
本例では、実施例2とは異なり、容器本体1のキャップ6に装着するメンブレンフィルターとして、濾紙LS-100、親水性ナイロンメンブレン0.45[μm](メルクミリポア社製)、およびニトロセルロースメンブレン0.45[μm](メルクミリポア社製)をそれぞれ装着する。
シリカ粒子4を濃度50[mg/mL]の抽出液に、400[コピー/μL]の陽性コントロール合成RNAを加え、抽出操作後に準備した3種類のメンブレンフィルター7を溶着したキャップ6を用い、核酸増幅反応用デバイス10にそれぞれ4滴ずつ滴下し、測定を実施する。
(結果)
図6は本発明の一実施の形態におけるメンブレンフィルターの材料と相対蛍光値との関係を示すグラフ、図7は、同形態におけるメンブレンフィルターの材料と融解曲線との関係を示すグラフである。見方は、図4、図5のそれぞれと同様である。
図6に示すように、増幅曲線においてLS-100濾紙(実線)に比べ、ナイロンメンブレン(一点鎖線)、ニトロセルロースメンブレン(鎖線)は、明らかにより大きく下降しており消光率が大きく、図7に示すように増幅産物由来の熱融解曲線分析のピークがより盛り上がっており変化が大きい。この結果は、メンブレンフィルター7の素材としては、LS-100濾紙よりも、ナイロンメンブレン、特に、ニトロセルロースメンブレンがより好適であるという事実を示すものである。
この事象は、検体中の夾雑物(特にタンパク質)が、ナイロンメンブレン又はニトロセルロースメンブレンからなるメンブレンフィルター7によって、濾紙よりもより効果的に吸着除去されるためと考察される。検体中のタンパク質の中では、とりわけRNA分解酵素であるRNaseの存在が重要であり、標的物質であるRNAを徐々に分解していくと考えられ、好ましい材料からなるメンブレンフィルター7を用いて、このRNaseをより有効に取り除くことで標的RNAを分解から保護する効果があると考えられる。
(本法での新型コロナウイルスの検出)
以上の結果を踏まえ、抽出液中のシリカ濃度を50[mg/mL]、また、滴下ノズルのフィルターにニトロセルロースメンブレンを用いて容器本体1及びキャップ6を作製する。また、実施例1と同様に核酸増幅反応用デバイス10を用意する。これらを用いて実際の臨床検体の測定を行う。なお、検体の採取にはニプロ スポンジスワブ Rタイプを用いる。
また、対照法としては、ウイルス輸送用の汎用輸送培地UTMおよび添付のスワブを用い、スワブ採取後にUTM培地中に懸濁された試料の120[μL]を用いてRT-PCRにて測定を行う。RT-PCRは国立感染症研究所より病原体検出マニュアル 2019-nCoVに従って行う。試験は、新型コロナウイルス感染疑い(116例)について実施する。
Figure 2022033527000004
(結果)
(表3)は、実施結果を示す。
感染研の病原体検出マニュアルに従って測定した結果、陽性は30例、陰性は86例であり、本法での測定では、陽性29例、陰性87例であった。不一致検体については、感染研法で8(コピー/テスト)の低濃度検体である。
得られた感度は、96.6%、特異度100%、全体一致率99.1%と極めて良好な結果といえよう。
よって、本発明に係るRNAろ過器を用いて測定を行うと、検体中の夾雑物の影響を回避でき、良好な測定結果を得られる点が示された。
本発明によれば、従来法のような遠心分離などの煩雑な操作、時間を要することなく、誰でも簡便に短時間で検出したい標的RNAのリアルタイムone-step RT-PCR法による検出が可能となる。また特別な装置も必要なく、熟練した技術者も必要せず、医療現場のよりベットサイドに近いところでの迅速な検査に役立つ点が理解されよう。
本発明の一実施の形態におけるRNAろ過器の操作説明図 本発明の一実施の形態におけるキャップ内部の拡大断面図 本発明の一実施の形態における透過成分を核酸増幅反応用デバイスへ適用する状態を示す斜視図 本発明の一実施の形態におけるシリカ粒子の量と相対蛍光値との関係を示すグラフ 本発明の一実施の形態におけるシリカ粒子の量と融解曲線との関係を示すグラフ 本発明の一実施の形態におけるメンブレンフィルターの材料と相対蛍光値との関係を示すグラフ 本発明の一実施の形態におけるメンブレンフィルターの材料と融解曲線との関係を示すグラフ
1 容器本体
1a フランジ
1b 開口部
1c ねじ部
1d 底部
2 蓋
3 抽出液
4 シリカ粒子
5 スワブ
6 キャップ
6a 滴下ノズル
6b 座
7 メンブレンフィルター
8 透過成分
10 核酸増幅反応用デバイス
11 反応チューブ
12 試料滴下部

Claims (8)

  1. DNAとRNAとが混在する試料が適用される抽出液と、
    前記抽出液を収納する容器と、
    前記抽出液に接触し、前記DNAには結合するが、前記RNAには結合しないシリカ粒子と、
    前記抽出液に接触し、前記シリカ粒子の粒径よりも小さい孔径を有するメンブレンフィルターとを備えるRNAろ過器。
  2. 前記抽出液のうち前記メンブレンフィルターを透過した透過成分を前記容器外へ吐出する滴下ノズルを更に備える請求項1記載のRNAろ過器。
  3. 前記抽出液は、カオトロピック剤を含有する請求項1又は2記載のRNAろ過器。
  4. 前記シリカ粒子の粒径が、0.5乃至10[μm]である請求項1から3のいずれかに記載のRNAろ過器。
  5. 前記シリカ粒子は、前記メンブレンフィルター上に担持される請求項1から4のいずれかに記載のRNAろ過器。
  6. 前記メンブレンフィルターは、前記試料に含有されるタンパク質を吸着する能力を有する請求項1から5のいずれかに記載のRNAろ過器。
  7. 前記メンブレンフィルターは、ニトロセルロースメンブレン又はナイロンメンブレンである請求項1から6のいずれかに記載のRNAろ過器。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のRNAろ過器を用いて、前記試料から前記DNAを除去した透過成分を提供するRNAろ過方法。
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