以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[洗濯機1の概略構成]
洗濯機1の概略構成を説明する。図1は、洗濯機1の斜視図である。図2は、洗濯槽12及び駆動機構50の斜視断面図である。以下の説明では、図1の上下方向が、洗濯機1の上下方向である。洗濯機1は、被洗濯物である靴9を洗濯するのに適した洗濯機である。靴9は、人間の足に装着可能な履物であれば良く、例えばスニーカー、スリッパ、ブーツ、サンダル等である。洗濯機1は、靴9の洗濯及び脱水が可能な洗濯脱水機であるが、洗濯のみを実行可能でもよい。
図1及び図2に示すように、洗濯機1は、外箱10、上面部材20、上蓋30、ベース部材40、駆動機構50等を含む。外箱10の外形は、上下に開口する角筒状である。外箱10の上側に上面部材20が設けられ、外箱10の下側にベース部材40が設けられる。上蓋30は、上面部材20を上下方向に貫通する開口部21を開閉可能である。水槽11は、外箱10内に配置され、上方に開口した略有底円筒状である。水槽11の上端開口は、開口部21に接続されている。水槽11の底部には、水槽11内の水を排水するための排水部が設けられている。
水槽11内には、被洗濯物である靴9が入れられる洗濯槽12が設けられる。洗濯槽12も、水槽11と同様に上方に開口した略有底円筒状である。洗濯槽12は、水槽11に対して回転可能である。洗濯槽12の回転中心を通る軸線Oは、上下方向に延びる。洗濯槽12と水槽11とは、互いの軸線が略一致するように配置されている。洗濯槽12の底部には水抜部が形成され、且つ洗濯槽12の周壁には複数の排水孔が形成されている。
洗濯槽12の上端縁には、バランスリング14が設けられる。本実施形態では、平面視で略円形のバランスリング14が、洗濯槽12の上端縁の全周に沿って設けられる。バランスリング14を上下方向に貫通する開口は、洗濯槽12内に上方から靴9を出し入れするための内側開口22である。内側開口22は、平面視で開口部21の内側にある。
洗濯槽12の底部には、洗濯槽12内の水を撹拌するための撹拌体13が設けられている。撹拌体13は、洗濯槽12に対して回転可能である。撹拌体13の回転中心を通る軸線は、洗濯槽12の軸線Oと略一致している。洗濯槽12の下方には、洗濯槽12と撹拌体13とを回転駆動する駆動機構50が設けられる。駆動機構50と、洗濯槽12及び撹拌体13との間には、クラッチ51が設けられている。駆動機構50の動力が洗濯槽12及び撹拌体13に伝達される状態と、駆動機構50の動力が撹拌体13のみに伝達される状態とが、クラッチ51によって切り替えられる。
洗濯槽12内には、少なくとも一つの支持部材300(図3参照)が設けられる。支持部材300は、洗濯槽12の底部から上方に延び、靴9の内側に挿入されて、洗濯槽12の内側で靴9を支持する。支持部材300は、洗濯槽12に対して回転可能に設けられている。本実施形態では、複数の支持部材300が、撹拌体13に設けられており、撹拌体13と共に回転可能である。従って駆動機構50は、洗濯槽12の軸線Oを中心に、複数の支持部材300を回転させる。
ブラシ機構200は、洗濯槽12の内側に設けられ、回転される支持部材300に支持された靴9と接触する。本実施形態では、一つのブラシ機構200が洗濯槽12の内周面12Aに設けられるが、複数のブラシ機構200が設けられてもよいし、内周面12Aとは異なる位置に設けられてもよい。
洗濯機1の動作概要を説明する。洗濯機1は、洗濯機1の動作を制御するための制御部90を備える。制御部90は、CPU、RAM、ROM等を含むコントローラであるが、MCU、MPU等でもよい。以下の洗濯動作及び脱水動作は、制御部90が駆動機構50を制御して実行される。
靴9の洗濯動作は、靴9が支持部材300に支持され、洗濯槽12内に洗剤及び水が溜められた状態で行われる。駆動機構50は、クラッチ51によって、洗濯槽12及び撹拌体13のうちで撹拌体13のみと接続される。洗濯槽12及び撹拌体13のうち、撹拌体13のみに駆動機構50の動力が伝達されて、撹拌体13が回転駆動される。
これにより、支持部材300に支持された靴9は、支持部材300の回転に伴って軸線Oを中心に回転する。ブラシ機構200は靴9の回転軌跡上にあるため、回転する靴9はブラシ機構200に接触する。このように、支持部材300に支持された靴9に対してブラシ機構200が相対的に回転することで、靴9がブラシ機構200と接触して洗濯される。
上記の洗濯動作後、靴9の脱水動作が任意で行われる。具体的には、洗濯動作が終了すると、洗剤及び水が洗濯槽12の水抜部及び排水孔から排出される。駆動機構50は、クラッチ51によって、洗濯槽12及び撹拌体13の両方と接続される。洗濯槽12及び撹拌体13の両方に駆動機構50の動力が伝達され、洗濯槽12及び撹拌体13が共に回転駆動される。支持部材300に支持された靴9に遠心力が作用して、靴9が脱水される。
[支持部材300]
支持部材300の数量及び配置を説明する。図3は、靴9を取り除いた、洗濯槽12及び駆動機構50の斜視断面図である。図4は、水槽11の内側構造を示す平面図である。図5は、複数の支持部材300が設けられた撹拌体13の側面図である。
図3~図5に示すように、少なくとも一つの支持部材300は、撹拌体13の軸線Oから径方向に離れて設けられる。各支持部材300は撹拌体13から上方に延びる。各支持部材300の上端部は、バランスリング14の内側開口22よりも下方にある。本実施形態では、6個の支持部材300が設けられるが、支持部材300の個数は特に限定されない。支持部材300の個数を増加させれば、同時に洗濯できる靴9の個数を増加できるが、よりスペースが大きい洗濯槽12が必要となる。靴は左右で一組のため、組単位で靴9を洗濯する場合は偶数個の支持部材300が必要となる。
本実施形態では、6個の支持部材300が、撹拌体13の軸線(即ち、洗濯槽12の軸線O)を中心として、回転方向R(図4参照)に沿って等間隔に配置される。回転方向Rは、軸線Oを中心とした撹拌体13及び支持部材300の回転方向である。このように複数の支持部材300を等間隔に配置することで、複数の靴9を略均等に洗濯及び脱水できる。なお、複数の支持部材300が互いに異なる間隔で配置されてもよいし、形状や大きさが異なる複数の支持部材300が設けられてもよい。
支持部材300の詳細構造を説明する。図6は、支持部材300の斜視図である。図7は、支持部材300の背面図である。以下では、支持部材300が洗濯槽12の内周面12Aを向く径方向外側(図6では左下方)を、支持部材300の前方とする。支持部材300が洗濯槽12の軸線Oを向く径方向内側(図6では右上方)を、支持部材300の後方とする。支持部材300の上下方向(図6では上下方向)は、洗濯機1の上下方向と一致し、軸線Oと平行である。
図6及び図7に示すように、支持部材300は、支持体310、基部320、及び第一回転防止体330を含む。基部320は、撹拌体13の上面に固定された、支持体310を支持する部材(例えば金具)である。支持体310は、基部320から上方に延びる部材(例えば金属板)である。支持体310の下端部は、基部320上に固定される。
本実施形態では、支持体310は、正面視で左右対称であり、且つ全体として上方に向かって先細る台形状である。支持体310は、左右方向における両端から中心に向けて、若干前方に突出するように屈曲している。支持体310の正面が若干上向きとなるように、支持体310は上下方向に対して若干傾斜している。支持体310は、右部311と左部312とからなる。右部311の長手方向は右下方に延び、且つ右部311の短手方向は右後方に延びる。左部312の長手方向は左下方に延び、且つ左部312の短手方向は左後方に延びる。
右部311の下端部と左部312の下端部とは、左右方向に繋がる。右部311の上端部と左部312の上端部とは、左右方向に繋がる。支持体310は、右部311と左部312とに囲まれた開口313を含む。開口313は、支持体310を前後方向に貫通し、支持体310の下端近傍から上端近傍まで延びる。開口313は、正面視で上方に向かって先細る、左右対称の三角形状の開口である。
第一回転防止体330は、支持部材300の上端部に設けられた板状部材(例えば樹脂板)である。第一回転防止体330は、支持体310の上端部の後面に固定され、背面視で支持体310の上端部全体を覆う。第一回転防止体330は、正面視で上方に向かって先細る五角形状であり、且つ側面視で後方に突出する三角形状である。このように第一回転防止体330は、足のつま先の外形に対応した立体形状を有し、後述するように靴9を支持する。
支持部材300は、洗濯槽12の上方に向けて先細るテーパ部350を含む。本実施形態のテーパ部350は、支持部材300の上端部に設けられた第一テーパ部351と、支持部材300の上端部及び下端部の間に設けられた第二テーパ部352とを含む。第一テーパ部351は、靴9の履き口から靴9の内側に挿入可能な部位である。第二テーパ部352は、支持部材300によって支持された靴9の履き口に接触可能な部位である。なおテーパ部350は、第一テーパ部351及び第二テーパ部352の何れか一つを含んでもよい。
本実施形態では、第一テーパ部351は、第一回転防止体330の上端近傍から右下方及び左下方に夫々傾斜する側辺である。第一テーパ部351の延びる方向と、上下方向(即ち軸線O)とのなす勾配角度を、傾斜角度θ1という。第一テーパ部351は、正面視で、右下方に延びるテーパ部3511と、左下方に延びるテーパ部3512とを含む。各テーパ部3511、3512は何れも、互いに同じ傾斜角度θ1で延びる。
右部311及び左部312の各々は、支持体310の所定高さHから支持体310の上端まで延びる第一部310Aと、支持体310の所定高さHから支持体310の下端まで延びる第二部310Bとからなる。所定高さHは、開口313の上端及び下端の間にある。第二テーパ部352は、第一部310Aのうちで第一回転防止体330と所定高さHとの間にある、支持体310の正面側を向く側辺である。第二テーパ部352は、若干上向きとなるように上下方向に対して傾斜している。第二テーパ部352の延びる方向と、上下方向(即ち軸線O)とのなす勾配角度を、傾斜角度θ2という。
第二テーパ部352は、正面視で、右下方に延びるテーパ部3521と、左下方に延びるテーパ部3522とを含む。右部311の第一部310Aは、正面視で所定高さHまで右下方に延び、テーパ部3521を含む。左部312の第一部310Aは、正面視で所定高さHまで左下方に延び、テーパ部3522を含む。各テーパ部3521、3522は何れも、互いに同じ傾斜角度θ2で延びる。
なお、右部311の第二部310Bは、正面視で第一部310Aよりも大きな勾配角度で右方に突出して、第一部310Aを所定高さHの下側で支持する。左部312の第二部310Bは、正面視で第一部310Aよりも大きな勾配角度で左方に突出して、第一部310Aを所定高さHの下側で支持する。
支持部材300の上端から所定高さHまでの上下方向長さは、所定長さLである。所定高さH、所定長さL、及び傾斜角度θ1、θ2は、支持部材300に支持させる靴9のサイズや形状等に応じて、任意に設計可能である。本実施形態では、傾斜角度θ1は30°であり、所定長さLは200mmであり、傾斜角度θ2は4.5°である。このように、第二テーパ部352の傾斜角度θ2は、第一テーパ部351の傾斜角度θ1よりも小さくてもよい。
詳細は後述するが、支持部材300は靴9の履き口に下方から挿入される。支持部材300の上端部に設けられた第一テーパ部351は上方に向かって先細っているため、支持部材300は靴9の履き口に挿入し易い。この観点から傾斜角度θ1は、例えば0°より大きく且つ90°よりも小さい範囲で設計してもよい。
支持部材300は、靴9の履き口がつま先よりも下方に配置され、且つ靴9の長手方向が上下方向に延びる姿勢で、靴9を内側から支持する。第二テーパ部352は、支持部材300が挿入された靴9の履き口に接触して、靴9の履き口を支持する。ここで、所定長さLの大きさに応じて、第二テーパ部352の上下方向長さが変化するため、第二テーパ部352が支持可能な靴9のサイズ範囲も変化する。この観点から所定長さLは、例えば50mm~300mmの範囲で設計してもよい。
第二テーパ部352は上方に向かって先細っており、換言すると、第二テーパ部352の幅長(左右方向の長さ)は下方に向かって大きくなる。本実施形態では、第二テーパ部352の幅長は、正面視で、テーパ部3521の右端からテーパ部3522の左端までの、左右方向の距離である。
支持部材300が支持する靴9のつま先の高さ位置は、靴9のサイズに関係なくほぼ一定である。一方、支持部材300が支持する靴9の履き口は、靴9のサイズが大きいほど、靴9のつま先から下方に大きく離れる。更に靴9のサイズが大きいほど、靴9の履き口の開口幅が大きくなる。これに対応して、支持部材300の上端から下方に離れるほど、第二テーパ部352の幅長が大きくなる。これにより第二テーパ部352は、靴9のサイズに応じた幅長で靴9の履き口に接触できる。この観点から傾斜角度θ2は、例えば0°より大きく、且つ30°以下の範囲で設計してもよい。
第二回転防止体360を説明する。図3~図5に示すように、第二回転防止体360が、洗濯槽12内に設けられる。第二回転防止体360は、支持部材300に対して、上下方向と直交する方向に離れて設けられる。本実施形態では、第二回転防止体360は撹拌体13から上方に延びる柱状である。第二回転防止体360は、互いに異なる位置関係で設けられた第一柱361と第二柱362とを含む。
第一柱361は、支持部材300に対して、回転方向Rに離れて設けられる。本実施形態では、一つの支持部材300から視て回転方向Rの両側に、一組の第一柱361が設けられる。即ち、一組の第一柱361は、軸線O側から見て、支持部材300の左右両側に配置される。本例では、6個の支持部材300が設けられているため、計六組(即ち12個)の第一柱361が設けられる。
第二柱362は、支持部材300に対して、回転方向R且つ前後方向に離れて設けられる。本実施形態では、一つの支持部材300から視て、回転方向Rの両側且つ斜め前方に、一組の第二柱362が設けられる。即ち、一組の第一柱361は、軸線O側から見て支持部材300の左右両側に配置され、且つ回転方向Rから視て支持部材300と軸線Oとの間に配置される。本例では、6個の支持部材300が設けられているが、一つの第二柱362が回転方向Rに隣り合う2個の支持部材300によって共用されるため、計六組(即ち6個)の第二柱362が設けられる。
第二柱362は、第一柱361よりも、支持部材300から離れている。第二柱362は、第一柱361よりも径が大きく、且つ第一柱361よりも長い。一組の第一柱361の間隔、及び一組の第二柱362の間隔は、大人用の靴9の標準的な短手方向の長さ(即ち靴幅)よりも大きく、例えば80mm~120mmである。一組の第一柱361の間隔と、一組の第二柱362の間隔とは、互いに略同じ大きさであるが、互いに異なる大きさでも良い。
第二回転防止体360は、支持部材300で支持された靴9を、後述するように、靴9の長手方向が上下方向と平行になる姿勢で支持する。第一柱361及び第二柱362は、互いに異なる位置で靴9を支持可能である。例えば、第一柱361は支持部材300に近い位置で靴9を支持でき、第二柱362は支持部材300から遠い位置で靴9を支持できる。また、第一柱361は相対的に低い位置で靴9を支持でき、第二柱362は相対的に高い位置で靴9を支持できる。
支持部材300の傾斜態様を説明する。図8は、軸線Oにおける洗濯槽12の縦断面を模式的に示す図である。図8に示すように、支持部材300は、洗濯槽12の上方に向けて洗濯槽12の軸線Oに近づくように、軸線Oに対して傾斜する。本実施形態では、複数の支持部材300が、平面視でバランスリング14の内側開口22内に配置される。各支持部材300では、支持体310が基部320から軸線Oに向かって、斜め上方に延びる。支持部材300に沿って延びる仮想直線Vは、少なくともバランスリング14の内側開口22を通る。
洗濯槽12の軸線0に対する支持部材300の傾斜角度θ10は、以下のように定義してもよい。上記の傾斜角度θ10は、所定角度θ11以下である。所定角度θ11は、仮想直線Vがバランスリング14の内側開口22の中心点Cを通ると仮定した場合における、仮想直線Vと洗濯槽12の軸線0とのなす角である。つまり傾斜角度θ10は、仮想直線Vが洗濯槽12の軸線Oに向けて傾斜し、且つ仮想直線Vと軸線Oとの交点が中心点C以上の高さとなる角度であればよい。本実施形態では、傾斜角度θ10が15°である。
ただし、傾斜角度θ10が0°である場合、支持部材300は軸線Oと平行に上方へ延びる。支持部材300が上方に向けて軸線Oに近づくという条件を満たすためには、傾斜角度θ10は0°より大きいことを要する。
[ブラシ機構200]
ブラシ機構200を説明する。図2~図4に示すように、ブラシ機構200は、固定部材201と、少なくとも一つのブラシ202とを有する。固定部材201は、洗濯槽12の内周面12Aに取り付けられる。固定部材201は、少なくとも一つのブラシ202を洗濯槽12の内側で固定する部材である。ブラシ202は、複数の毛束203で構成され、上下方向に長い直方体状の外形を有する。
固定部材201に固定されたブラシ202では、複数の毛束203が洗濯槽12の内側に向かって略水平に突出し、且つ複数の毛束203が複数列で上下方向に並ぶ。ブラシ202の毛先は、ブラシ機構200と対向する支持部材300に接触する位置まで延びる。ブラシ202の下端は、撹拌体13の回転を妨げないように、撹拌体13の若干上側にある。ブラシ202の上端は、バランスリング14の内側開口22よりも下方、且つ支持部材300の上端よりも上方にある。
本実施形態のブラシ機構200は、3つのブラシ202A~202Cを含む。ブラシ202Aは軸線Oに向けて、洗濯槽12の径方向と平行に延びる。ブラシ202B、202Cは、ブラシ202Aに対して回転方向Rの両側に設けられる。ブラシ202Bは、ブラシ202Aに対して回転方向Rの一方側(図4では左側)に設けられ、且つ洗濯槽12の径方向に対して回転方向Rの一方側に傾斜する。ブラシ202Cは、ブラシ202Aに対して回転方向Rの他方側(図4では右側)に設けられ、且つ洗濯槽12の径方向に対して回転方向Rの他方側に傾斜する。
これにより、ブラシ202B、202Cは、ブラシ202Aを挟んで洗濯槽12の内側に延び、且つ洗濯槽12の内側に向かうほど互いの距離が大きくなる。ブラシ202Aと対向する位置にある支持部材300は、平面視で、ブラシ202B,202Cの間に配置される。このようなブラシ202A~202Cの配置によって、靴9を支持する支持部材300の回転に伴って、ブラシ202Aは主に靴9の上面に接触し、ブラシ202B、202Cは主に靴9の側面に接触する。従って、ブラシ機構200は靴9の全体をムラなく洗濯できる。
[洗濯機1の使用態様]
洗濯機1の使用態様を説明する。図9A、図9B、図9Cは、支持部材300に靴9が装着される過程を示す、洗濯槽12の側面図である。図10Aは、大人用の靴9が装着された支持部材300の正面図である。図10Bは、子供用の靴9が装着された支持部材300の正面図である。図11は、各支持部材300に靴9が装着された撹拌体13の平面図である。なお、図9A~図9Cは説明の便宜のため、靴9を仮想線で示し、且つ洗濯槽12の一部のみを模式的に示す。
ユーザは洗濯機1を使用して靴9を洗濯する場合、以下のように靴9を洗濯機1に装着する。図9Aに示すように、ユーザは上蓋30を開き、上方に露出する開口部21(図4参照)から、靴9を洗濯槽12内に入れる。具体的には、つま先9Bが上方を向き、履き口9Aが内周面12A側を向き、且つ靴底9Cが軸線O側を向く姿勢で、ユーザが靴9を踵9D側から洗濯槽12内に入れる。このとき、履き口9Aは若干下向きであることが好適である。これにより、靴9の長手方向が上下方向に延びる姿勢で、靴9がバランスリング14の内側開口22を通って洗濯槽12内に進入する。
先述したように、複数の支持部材300は平面視で内側開口22内に配置される。つまり各支持部材300は、側面視で、バランスリング14の内周面を通って上下方向に延びる仮想面Pよりも軸線0側に設けられる。従ってユーザは、靴9を取り付ける目標の支持部材300を上方から目視しやすく、且つ靴9を下方に移動させるだけで、靴9を目標の支持部材300に位置決めできる。
図9Bに示すように、ユーザは洗濯槽12内で、支持部材300が履き口9Aから靴9の内部に挿入されるように、靴9を下方に移動させる。先述したように、支持部材300は洗濯槽12の上方に向けて軸線Oに近づくように傾斜している。そのため、履き口9Aが真下を向いていなくても、下方に移動する靴9の履き口9Aに支持部材300を挿入し易い。また、支持部材300の上端部(即ち第一回転防止体330)では、第一テーパ部351(詳細には、図10Aに示すテーパ部3511、3512)が上方に向けて先細っている。そのため、履き口9Aの開口幅が狭くても、下方に移動する靴9の履き口9Aに支持部材300を挿入し易い。
図9C及び図10Aに示すように、支持部材300の上端部が靴9内でつま先9Bと接触する位置まで、ユーザは靴9を下方に移動させる。これにより、支持部材300は靴9の内側でつま先9Bを下方から支持するため、ユーザが靴9から手を離すと、靴9は支持部材300の上端部から自重により垂下する。このとき靴9は、その下端にある踵9Dが撹拌体13から上方に浮いた状態で支持される。履き口9Aは、つま先9Bの下方に配置されると共に、以下のように支持される。
上記のように靴9が下方に移動する過程で、支持部材300が挿入された履き口9Aが、下方に向かって幅長が大きくなる第二テーパ部352と接触して、第二テーパ部352(詳細には、テーパ部3521、3522)によって押し広げられる。このように履き口9Aは、履き口9Aと接触する第二テーパ部352によって支持される。また、支持部材300の上端部から垂下する靴9の履き口後縁9Eが、支持部材300の開口313に嵌って、右部311と左部312とに挟まれる。このように履き口9Aは、履き口後縁9Eが嵌る開口313によって支持される。
図10A及び図10Bに示すように、支持部材300は様々な形状及びサイズの靴9を支持できる。例えば、図10Aのように大人用の靴9を支持する場合も、図10Bのように子供用の靴9を支持する場合も、支持部材300がつま先9Bを支持する高さ位置は略同じである。しかしながら、大人用の靴9のサイズは、子供用の靴9のサイズよりも大きい。
従って、支持部材300が大人用の靴9を支持する場合は、支持部材300が子供用の靴9を支持する場合よりも、支持長D1及び支持幅D2が大きい。支持長D1は、支持部材300に支持された靴9の上端P1から、第二テーパ部352が履き口9Aを支持する高さ位置P2までの距離である。支持幅D2は、高さ位置P2における、第二テーパ部352の両端間の距離である。
靴9が支持部材300によって支持された状態では、靴9の内部に挿入された第一回転防止体330がつま先9Bに配置され、靴9を支持する。第一回転防止体330は、つま先9Bの内底に沿って平面状に延び、且つつま先9Bに対応する立体形状を有する。これにより、第一回転防止体330は、支持部材300によって支持された靴9のつま先9Bに確実に接触する。洗濯動作時には、靴9の回転、ブラシ202の接触、洗濯時に撹拌する水流や上下する水面等の影響により、靴9に外力が加わる。第一回転防止体330は、外力によって靴9が長手方向を中心に回転又は揺動することを防止できる。
図2及び図11に示すように、本実施形態では6個の支持部材300が設けられているため、最大で6個の靴9を装着できる。洗濯機1に装着された複数の靴9は、各々の靴底9Cが軸線0を向く姿勢で、軸線0を中心として回転方向Rに沿って並ぶ。第二回転防止体360は、支持部材300に支持された靴9の外面に、回転方向Rに接触可能である。
図2及び図11に例示する靴9は、厚みの大きい大人用のスニーカーである。この場合、支持部材300に支持された靴9の靴底9Cは、靴9に対して回転方向Rの両側にある二つの第二柱362の間に配置される。二つの第二柱362は、支持部材300に支持された靴9の側面に接触することで、外力によって靴9が長手方向を中心に回転又は揺動することを防止できる。
なお、例えば子供用又は女性用の靴9のように厚みが小さい場合、支持部材300に支持された靴9の靴底9Cは、靴9に対して回転方向Rの両側にある二つの第一柱361の間に配置される。この場合も、上記と同様に、靴9が長手方向を中心に回転又は揺動することを防止できる。
上記のように靴9を装着した後、ユーザは洗濯機1に洗濯実行を指示する。洗濯機1は靴9の洗濯動作を開始すると、駆動機構50によって撹拌体13を回転駆動することで、複数の支持部材300を回転方向Rに回転させる。これにより、各支持部材300に支持された靴9がブラシ202に接触して、靴9の汚れが払拭される。本実施形態では、所定の運転時間毎又は回転数毎に、撹拌体13の正転と反転とが切り替えられる。これにより、複数の支持部材300が平面視で時計回り方向と反時計回り方向とに交互に回転されて、ブラシ202によって靴9が両側面から洗濯される。
支持部材300に支持された靴9の詳細な洗濯態様を説明する。図12Aは、本実施形態における、ブラシ202及び靴9の模式的な側面図である。図12Bは、本実施形態における、ブラシ202及び靴9の模式的な平面図である。図13Aは、比較例における、ブラシ202及び靴9の模式的な側面図である。図13Bは、比較例における、ブラシ202及び靴9の模式的な側面図である。なお、図12A及び図13Aでは、靴9を支持する支持部材300が、紙面手前側から紙面奥側に向けて移動する様子を示す。図12B及び図13Bでは、靴9を支持する支持部材300が、紙面左側から紙面右側に向けて移動する様子を示す(図中の矢印参照)。
図12A及び図12Bに示すように、本実施形態では、靴9を支持する支持部材300がブラシ202に接近すると、靴9の回転方向下流側の側面全体に複数の毛束203が接触する。詳細には、靴9がブラシ202に接近すると、複数の毛束203が靴底9C側から履き口9A側に向けて、靴9の側面から汚れを払拭する。更に、靴9がブラシ202を横切る際に、複数の毛束203が靴9の上面から汚れを払拭する。靴9の回転方向が切り替えられることで、靴9がブラシ202に対して往復移動して、靴9の両側面から汚れが払拭される。
先述したように、靴9が支持部材300によって支持された状態では、履き口9Aが第二テーパ部352及び開口313によって支持され、且つ靴9の回転及び揺動が第一回転防止体330及び第二回転防止体360によって防止される。従って、洗濯動作中であっても、靴9は支持部材300から外れることなく、安定した姿勢で保持される。
なお、洗剤及び水が、支持部材300の開口313を介して、履き口9Aから靴9の内部に入る。洗濯動作時には、靴9に付与される外力によって靴9の内部にある洗剤及び水が撹拌して、靴9の内部も洗浄される。
本実施形態では、上記のように靴9が支持部材300に支持されることで、靴底9Cは略上下方向に延びるように支持される。一般的に靴9の立体形状は、つま先9Bの厚みが小さく、つま先9Bから履き口9Aに向けて厚みが大きくなる。従って、履き口9Aからつま先9Bまで延びる傾斜部9Fは、上方に向けて洗濯槽12の軸線Oに近づくように、上下方向に対して大きく傾斜する。
そのため、図12Aに示すように、距離K1が距離K2よりも大きく、且つ距離K1と距離K2との差が相対的に大きい。距離K1は、ブラシ202に接近した靴9のつま先9Bから、ブラシ202の根元(即ち、複数の毛束203の基部)までの距離である。距離K2は、ブラシ202に接近した靴9の履き口9Aから、ブラシ202の根元までの距離である。このような靴9の配置によれば、以下の作用を奏する。
ブラシ202が靴9に対して側方から接触して洗濯する場合、ブラシ202の毛先(即ち、複数の毛束203の先端)のほうが、ブラシ202の根元よりも、靴9から汚れを払拭する洗浄力が高く、且つブラシ202の側面から受ける反力が小さい。従って、ブラシ202の毛先が靴9に接触するように、ブラシ202に対して靴9が配置されることが好ましい。
本実施形態では、支持部材300に支持された靴9がブラシ202に接近すると、靴底9Cがブラシ202の毛先の並びに沿って略上下方向に延び、且つ靴9の全体がブラシ202の毛先側に片寄った状態で、ブラシ202が靴9に側方から接触する。従って、ブラシ202の毛先の大部分が靴9の接触できるため(図12B参照)、より高い洗浄力で靴9を洗濯できる。また、靴9がブラシ202の根元近傍に接触することが抑制されるため、ブラシ202の反力によって靴9の位置がずれたり、靴9が支持部材300から外れたりすることを防止できる。
靴9がブラシ202を横切る際に、複数の毛束203が傾斜部9Fの表面形状に沿って接触し、傾斜部9Fから汚れを払拭する。このとき、上述した傾斜部9Fの表面形状に起因して、複数の毛束203が傾斜部9Fを斜め上方から押圧するように作用する。この作用により、支持部材300に支持された靴9が上方に変位することが規制され、洗濯動作中に靴9が支持部材300から外れにくい。
上述した本実施形態の洗濯態様を踏まえて、図13A及び図13Bに示す比較例の洗濯態様を説明する。比較例では、支持部材300が撹拌体13から軸線Oと平行に上方へ延びる。そのため、靴9が支持部材300に支持されると、靴底9Cは上方に向けて軸線Oから遠ざかるように上下方向に対して大きく傾斜する一方、傾斜部9Fは略上下方向に延びる。そのため、図13Aに示すように、距離K1が距離K2と同程度であり、距離K1と距離K2との差が相対的に小さい。
支持部材300に支持された靴9がブラシ202に接近すると、靴底9Cがブラシ202の毛先の並びに対して傾くように延び、且つつま先9Bがブラシ202の根元側に傾いた状態で、ブラシ202が靴9に側方から接触する。この場合、上記実施形態と比べて、靴9がブラシ202の基部近傍に接触する割合が増える(図13B参照)。即ち、比較例は上記実施形態と比べて、ブラシ202の毛先が靴9の側面に接触する割合が減り、靴9の洗浄力が低下する可能性がある。また、ブラシ202の反力が大きくなり、靴9の位置がずれたり、靴9が支持部材300から外れたりする可能性がある。
また比較例では、上述した傾斜部9Fの表面形状に起因して、靴9がブラシ202を横切る際に、複数の毛束203が傾斜部9Fを略水平に押圧するように作用する。そのため、本比較例は上記実施形態と比べて、支持部材300に支持された靴9が上方に変位することを規制する作用が小さい。
[備考]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成できる構成で置き換えてもよい。以下の第一~第三変形例に示すように、支持部材300は、支持部材300に設けられた弾性体の弾性変形に応じて、洗濯槽12の軸線0に対する傾斜角度θ10が変化するように揺動してもよい。以下の第四、第五変形例に示すように、支持部材300の回転方向Rの位置を制御してもよい。
(第一変形例)
第一変形例を説明する。図14Aは、第一変形例に係る支持部材301の斜視図である。図14Bは、第一変形例に係る支持部材301の正面図である。図14Cは、第一変形例に係る支持部材301の正面図である。図14A~図14Cに示すように、第一変形例の洗濯機1は、支持部材300(図6参照)に代えて支持部材301を備える。
支持部材301は、支持部材300と同様に、支持体310及び基部320を備えるが、第一回転防止体330は備えていない。支持体310は、正面視で下方に開く略Uの字状に形成された円形断面の棒状部材である。支持体310は、支持体310の上端から右下前方に延びる右部311と、支持体310の上端から左下前方に延びる左部312とからなる。
右部311と左部312とが接続する支持体310の上端部は、上後方に向けて湾曲している。右部311と左部312との間には、開口313が形成される。開口313は、下方に向かって左右方向の開口幅が大きくなる。右部311の下端部と基部320とは、弾性体400によって連結されている。左部312の下端部と基部320とは、弾性体400によって連結されている。弾性体400は、例えば可撓性のチューブである。
支持部材301は、支持部材300と同様に、第一テーパ部351及び第二テーパ部352を含むテーパ部350を備える。第一テーパ部351は、右部311の上端部に設けられたテーパ部3511と、左部312の上端部に設けられたテーパ部3512とを含む。第二テーパ部352は、右部311の上端部と下端部との間に設けられたテーパ部3521と、左部312の上端部と下端部との間に設けられたテーパ部3522とを含む。テーパ部350は、上記実施形態と同様の機能を有する。
支持部材301に外力が加えられていない自然状態では、支持体310が軸線Oと平行に延びる姿勢で、弾性体400が支持部材301を支持する(図14A参照)。例えば、支持部材301を左右方向に付勢する外力が加えられると、その外力に応じて弾性体400が弾性変形して、支持体310が自然状態の傾斜方向に対して左右方向に傾く(図14B参照)。支持部材301を前後方向に付勢する外力が加えられると、その外力に応じて弾性体400が弾性変形して、支持体310が自然状態の傾斜方向に対して前後方向に傾く(図14C参照)。
第一変形例によれば、例えばユーザが靴9を支持部材301に装着する際に、支持体310を洗濯槽12の軸線Oに向けて傾ける(図14B参照)。これにより上記実施形態と同様に、ユーザは靴9を取り付ける目標の支持部材301を上方から目視しやすく、且つ靴9を下方に移動させるだけで、靴9を目標の支持部材301に位置決めできる。また洗濯動作時において、例えばブラシ202が靴9に過剰な勢いで接触しても、弾性体400の弾性変形によって支持体310が傾斜する(図14B参照)。これにより、支持体310が支持する靴9に対し、ブラシ202によって付与される衝撃を和らげることができる。
(第二変形例)
第二変形例を説明する。図15A及び図15Bは、第二変形例に係る支持部材302の側面図である。図15A及び図15Bに示すように、第二変形例の洗濯機1は、支持部材300(図6参照)に代えて支持部材302を備える。
支持部材302は、支持部材300と同様に、支持体310及び基部320を備えるが、第一回転防止体330は備えていない。支持部材302が自然状態にあるとき、支持体310は基部320から軸線Oと平行に上方へ延びる。支持部材302では、撹拌体13上に設けられた複数の弾性体400の上に、基部320が固定される。各弾性体400は、例えば弾性を有する柱状の樹脂部品である。
上述したように自然状態では、弾性体400が支持部材302を軸線Oと平行に延びる姿勢で支持する(図15A参照)。支持部材302に外力が加えられると、その外力に応じて弾性体400が弾性変形して、支持部材302が外力の作用する方向に傾く(図15B参照)。従って支持部材302は、第一変形例の支持部材301と同様の作用を奏する。
(第三変形例)
第三変形例を説明する。図16A及び図16Bは、第三変形例に係る支持部材303の側面図である。図16Cは、第三変形例における洗濯槽12の縦断面を模式的に示す部分拡大図である。図16A及び図16Bに示すように、第三変形例の洗濯機1は、支持部材300(図6参照)に代えて支持部材303を備える。
支持部材302は、支持部材300と同様の構造であるが、以下の点で支持部材300と異なる。基部320は、撹拌体13上において、基部320を水平に貫通する軸401によって軸支される。軸401は、軸線Oと直交する方向に延びる。支持部材302は、軸401を中心として、前後方向に揺動可能である。
基部320の後方(即ち、軸線O側)には、撹拌体13上に固定された固定部402が設けられる。固定部402と基部320との間に、弾性体400が設けられる。弾性体400は、例えば伸縮可能なバネ又は樹脂部品(本例では、コイルバネ)である。弾性体400の両端は、基部320及び固定部402に固定される。弾性体400の弾性力によって、支持部材303は軸線O側に付勢される。
支持部材303は、弾性体400の弾性変形に応じた揺動によって、第一状態S1と第二状態S2とに変化可能である(図16C参照)。第一状態S1は、上記実施形態と同様に、洗濯槽12の上方に向けて軸線Oに近づくように支持部材303が傾斜する状態である。第二状態S2は、第一状態S1よりも、洗濯槽12の上方に向けて内周面12Aに近づくように支持部材303が傾斜する状態である。
支持部材303が自然状態にあるとき、弾性体400がその弾性力によって収縮して、支持部材303は第一状態S1に保持される(図16A参照)。一方、支持部材301を前方(即ち、内周面12A側)に付勢する外力が加えられ、且つその外力が弾性体400の弾性力よりも大きい場合がある。この場合、外力に応じて弾性体400が伸長することで、支持部材301が軸401を中心として前方に傾き、支持部材301は第二状態S2に変移する(図16B参照)。
図16Cに示すように、洗濯機1が停止している場合、支持部材303は自然状態にあるため、第一状態S1に保持される。そのため、上記実施形態と同様に、ユーザは靴9を支持部材303に装着し易い。更に洗濯機1は、洗濯動作中に支持部材303が第一状態S1となり、且つ脱水動作中に支持部材303が第二状態S2となるように、例えば以下の制御を行ってもよい。
駆動機構50は、支持部材303を回転させた場合、洗濯槽12の軸線Oから径方向外側に作用する遠心力を支持部材303に付与する。支持部材303は、遠心力が所定値未満である場合、弾性体400の弾性力によって第一状態S1に変化する一方、遠心力が所定値以上である場合、遠心力によって第二状態S2に変化する。そこで制御部90は、駆動機構50によって支持部材303の回転速度を制御して、支持部材303に付与される遠心力の大きさを以下のように調整する。
駆動機構50は、洗濯動作中は、支持部材303を所定速度未満で回転させることで、所定値未満の遠心力を支持部材303に付与する。この場合、遠心力が弾性体400の弾性力よりも小さいため、支持部材303は弾性力によって第一状態S1に保持される。従って、上記実施形態と同様に、支持部材303に支持された靴9を、ブラシ202の反力を抑制しつつ、高い洗浄力で洗濯できる。
駆動機構50は、脱水動作中は、支持部材303を所定速度以上で回転させることで、所定値以上の遠心力を支持部材303に付与する。この場合、遠心力が弾性体400の弾性力よりも大きいため、支持部材303は遠心力に従って洗濯槽12の内周面12Aに向けて倒れる。このとき、支持部材303に支持された靴9が内周面12Aに接触して付勢されることで、支持部材303は第二状態S2に保持される。
このように脱水動作では、洗濯動作よりも支持部材303を高速回転させることで、靴9を短時間で効果的に脱水できる。更に、高速回転時に倒れる支持部材303及び靴9を洗濯槽12の内周面12Aで受ける構造を採用することで、支持部材303を高速回転に耐えるように補強する必要なく、上記のような高速脱水を実現できる。
なお、脱水動作の終了後は、支持部材303は弾性力によって第一状態S1に復帰する。従ってユーザは、洗濯及び脱水が完了した靴9を、支持部材303から上方に引き上げるだけで、洗濯槽12から容易に取り出しできる。
(第四変形例)
第四変形例を説明する。第四変形例の洗濯機1では、駆動機構50は、所定の入力指示を受け付けた場合、360度未満の所定角度、支持部材300を回転させる。所定の入力指示は、例えばユーザによるボタンやスイッチの操作であり、制御部90によって検出される。制御部90は、所定の入力指示を検出した場合、駆動機構50を制御して撹拌体13を回転させることで、支持部材300を所定角度回転させる。
例えば洗濯動作又は脱水動作の終了時に、靴9とブラシ機構200とが互いに干渉した状態で、支持部材300の回転が停止される場合がある。靴9とブラシ機構200とが互いに干渉した状態は、例えば、ブラシ202が靴9を支持部材300に強く押し当てている状態、ブラシ202が靴9に絡まった状態、ブラシ202が靴9の履き口9A内に進入した状態等がある。
この場合、ユーザが靴9を支持部材300から取り外すことが困難となるため、靴9がブラシ202から離れるように支持部材300の位置を移動させることが望ましい。本変形例の洗濯機1は、例えば洗濯動作又は脱水動作の終了後に、ユーザの入力指示に応じて支持部材300を所定角度回転させる。これにより、支持部材303の停止位置が変更されるため、ユーザが支持部材300から靴9を容易に取り外しできる。
(第五変形例)
第五変形例を説明する。第五変形例の洗濯機1は、洗濯槽12の内側にある靴9の位置を検出する検出部(例えばカメラやセンサ)を備える。駆動機構50は、所定のタイミングで検出部の検出結果に基づいて、靴9とブラシ機構200とが互いに干渉しない位置まで支持部材300を回転させる。
例えば制御部90は、所定のタイミングで、検出部の検出結果に基づいて、洗濯槽12の内側にある靴9の位置を特定する。所定のタイミングは、例えば洗濯動作又は脱水動作の終了時である。制御部90は、特定した靴9の位置が、ブラシ機構200と干渉する可能性の高い位置(例えば、ブラシ機構200と対向する位置)であると判断した場合、駆動機構50を制御して撹拌体13を回転させることで、支持部材300を所定角度回転させる。これにより、第四変形例と同様に、ユーザが支持部材300から靴9を容易に取り外しできる。
(その他)
支持部材300~303は、洗濯槽12の上方に向けて先細るテーパ部350を備えなくてもよい。テーパ部350が上方に向けて先細る態様は、直線状に連続して先細る態様に限定されず、曲線状に連続して先細る態様や、階段状に段階的に先細る態様でもよい。テーパ部350は、第二テーパ部352のように支持体310に設けられてもよいし、第一テーパ部351のように支持体310とは別の部材(例えば第一回転防止体330)に設けられてもよい。
支持部材300は、洗濯槽12の軸線Oに対して傾斜せずに、軸線Oと平行に延びてもよい。支持部材300の傾斜角度θ10は、任意の角度を適用してもよい。仮想直線Vは、バランスリング14の内側開口22を通らなくてもよい。第一回転防止体330及び第二回転防止体360は、任意の位置、形状、及び数量で設けてもよい。洗濯機1は、第一回転防止体330及び第二回転防止体360の一方のみを備えてもよいし、これらの回転防止体を備えなくてもよい。
本開示は上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。