以下、各実施形態に係る給電装置2及び給電装置2から送電される電力を受電する受電装置23を搭載したショッピングカート1の例について図面を参照して説明する。ここで、給電装置2及び受電装置23は、所定の位置関係にあることで、非接触給電を行う送受電システムを構成する。なお、以下の説明において、ショッピングカート1の前進方向に沿った方向を前後方向として規定し、前後方向に交差する方向でショッピングカート1の左右の側面を結ぶ方向を幅方向と規定する。
図1は、実施形態に係る給電装置2から送電される電力を受電する受電装置23を搭載するショッピングカート1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る給電装置2の構成を示す平面図であり、図3は、実施形態に係る送電装置の構成を、図2中III-III線断面で示す断面図である。図4及び図5は、実施形態に係る給電装置2及び受電装置23を用いた送受電システムの構成の一例を示すブロック図である。図6は、給電装置2の要部構成を模式的に示す平面図であり、図7は、給電装置2の要部構成を模式的に示す断面図であり、図8は、給電装置2の要部構成を図7とは異なる断面で模式的に示す断面図である。
先ず、受電装置23を搭載するショッピングカート1について、図1を用いて説明する。
ショッピングカート1は、給電装置2から送電される電力を受電する受電装置23を搭載した移動体の例である。以下、ショッピングカート1を単に、カート1とも称する。
受電装置23は、カート1に搭載され、非接触で伝送される電力を受電する。例えば、受電装置23は、非接触で受電する電力をカート1に搭載した電子機器又はバッテリへ電力を供給する。給電装置2は、カート1に搭載した受電システムが受電可能な電力を伝送する。例えば、給電装置2は、カート1を収納するカート置場を構成し、収納したカート1に搭載される受電装置に対して非接触で電力を伝送する。
また、カート1に搭載される受電装置23によって充電されるバッテリは、例えば、カート1に搭載される電子機器に電力を供給する電源装置である。受電装置23によって充電されるバッテリは、カート1に搭載される電子機器が具備するものであっても良い。また、受電装置23によって充電されるバッテリは、電子機器とは別の装置としてカート1に搭載され、電子機器へ電力を供給するものであっても良い。
図1及び図4に示す構成例において、カート1は、商品を収容して移動可能なカート本体11と、電子機器21と、バッテリ22と、受電装置23と、を備える。カート1は、例えば、カート本体11に電子機器21、バッテリ22及び受電装置23を取付けることで構成される。カート1は、複数をスタックすることができる。
カート本体11は、利用者の操作によって移動する。また、カート本体11は、商品を収容するか、又は、商品を収容する買い物カゴを保持する。図1に示すように、カート本体11は、フレーム12と、複数のキャスタ13と、収容カゴ14と、を備える。
フレーム12は、例えば、縦フレーム121と、横フレーム122と、ハンドル123と、を含む。縦フレーム121は、下端に後輪を構成する2つのキャスタ13が設けられ、上端にハンドル123が設けられる。縦フレーム121は上下方向に延設される。縦フレーム121は、部分的に傾斜又は湾曲する構成であってもよく、直線状に延びる形状であってもよい。また、縦フレーム121の延設方向は、上下方向に沿っていてもよく、上下方向に対して傾斜していてもよく、適宜設定できる。
縦フレーム121は、例えば、カート1の幅方向に配置され、上下方向に延設される一対のメインフレーム1211を含む。一対のメインフレーム1211は、一部が曲折して形成される。また、縦フレーム121は、一対のメインフレーム1211に加え、サブフレーム等を含んでいてもよい。
横フレーム122は、縦フレーム121の下端側に一体に接続される。横フレーム122は前後方向に延設される。横フレーム122は、部分的に傾斜又は湾曲する構成であってもよく、直線状に延びる形状であってもよい。また、横フレーム122の延設方向は、前後方向に沿っていてもよく、前後方向に対して傾斜していてもよく、適宜設定できる。横フレーム122の先端側の下面に、前輪を構成する2つのキャスタ13が設けられる。横フレーム122は、例えば、キャスタ13が設けられるベースフレーム1221と、ベースフレーム1221よりも内側に設けられたサブフレーム1222と、を含む。
ベースフレーム1221は、例えば、後方から前方に向かって、幅が狭く設定される。また、ベースフレーム1221は、例えば、買い物かごを内側に配置可能な幅に設定される。ベースフレーム1221は、前進方向において前方が狭く、後方が広く形成される。また、ベースフレーム1221は、例えば、一対のメインフレーム1211の幅と同じ又は同程度の幅に設定される。ベースフレーム1221の前方の下面の二箇所には、例えば、キャスタ13を連結する固定フレーム1223が設けられる。2つの固定フレーム1223は、カート本体11の幅方向で所定の距離だけ離間して配置される。固定フレーム1223は、ベースフレーム1221の前方の下面から下方に延設される。
サブフレーム1222は、前後方向に延設される。サブフレーム1222は、ベースフレーム1221の内側に配置される。サブフレーム1222は、ベースフレーム1221内に買い物かごが配置されたときに、該買い物かごを支持する。また、サブフレーム1222は、カート1同士をスタックしたときに、先端が、他のカート1のサブフレーム1222と当接することで、隣り合うスタックされたカート1同士を所定の位置関係に規定する。
ハンドル123は、縦フレーム121の上端に設けられる。ハンドル123は、例えば、一対のメインフレーム1211の上端に、一対のメインフレーム1211を渡して設けられる。ハンドル123は、利用者が把持し、利用者により進行方向に押圧されることで、カート本体11を移動及び旋回させる。なお、ハンドル123は、一対のメインフレーム1211の上端にそれぞれ設けられる構成であってもよい。
複数のキャスタ13は、例えば、4つである。4つのキャスタ13は、例えば、フレーム12の下端の4箇所に配置される。具体例として、4つのキャスタ13のうち、後輪を構成する2つのキャスタ13は、縦フレーム121の一対のメインフレーム1211の下端に設けられる。
また、4つのキャスタ13のうち、前輪を構成する2つのキャスタ13は、横フレーム122のベースフレーム1221の前端側の下面に設けられる。また、後輪を構成する2つのキャスタ13の間隔は、前輪を構成する2つのキャスタ13の間隔よりも広い間隔に設定される。
キャスタ13は、給電装置2に案内される被案内輪である。キャスタ13は、車輪131と、車輪131を覆う本体132と、車輪131を本体に回転可能に支持するシャフト133と、を含む。例えば、キャスタ13は、本体132がフレーム12に連結される。具体例としては、前輪を構成する2つのキャスタ13の本体132は、横フレーム122のベースフレーム1221の前方下面に設けられた固定フレーム1223の下端に固定される。また、後輪を構成する2つのキャスタ13の本体132は、縦フレーム121の一対のメインフレーム1211の下端に固定される。
収容カゴ14は、商品を収容するか、又は、商品を収容する買い物カゴを収容する。収容カゴ14は、有孔のパネル部材やメッシュ状のワイヤ部材により、上方に開口する箱状である。収容カゴ14は、例えば、縦フレーム121に一体に連結される。例えば、収容カゴ14は、縦フレーム121の一対のメインフレーム1211に固定され、そして、支持される。収容カゴ14は、前進方向において前側が狭く、後方が広く形成される。収容カゴ14は、後端側に、下端を自由端とし、上端を回転中心として、開閉可能な開閉部141を有する。また、収容カゴ14は、開閉部141とする後端側が前端側よりも、幅方向の大きさ及び高さ方向の大きさが大きく設定される。
このようなカート本体11は、複数のカート本体11(カート1)を連ねて収納する場合、後ろのカート本体11は、前のカート本体11の開閉部141を押し上げて前後のカート本体11の収容カゴ14が重なる。また、後ろのカート本体11は、前のカート本体11の一対のメインフレーム1211の間から横フレーム122が挿入され、そして、前のカート本体11の横フレーム122のベースフレーム1221内に収容される。また、後ろのカート本体11は、サブフレーム1222が前のカート本体11のサブフレーム1222と当接し、隣り合う前後のカート本体11の位置関係が一定の位置関係となる。これらにより、複数のカート1は、前後にスタックして収容できる。
電子機器21は、利用者に対する情報の提供、及び、利用者に対するサービスの提供のように供される機器である。
電子機器21は、カート本体11に取り付けられる。図1に示す構成例において、電子機器21は、一方のメインフレーム1211にシャフト等を介して固定される。電子機器21は、バッテリ22からの電力によって駆動される。電子機器21は、単数であっても複数であってもよい。例えば、電子機器21は、利用者に情報を提供するためのタブレット端末等の情報端末、利用者が選択した商品の情報を取得する商品リーダ、あるいはクレジットカードや会員カード等を読み取るためのカードリーダである。また、電子機器21は、バッテリ22からの電力によって利用者が所持する携帯端末の電子機器を充電するための充電装置等であっても良い。例えば、利用者が所持する携帯端末としては、携帯電話機、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット端末等が挙げられるが、これらに限定されない。
図1及び図4に示す例において、電子機器21としては、タブレット端末211、商品リーダ212、及びカードリーダ213を含む。タブレット端末211は、例えば、タッチパネルを設けた表示部を有する処理端末である。タブレット端末211は、ハンドル123側に位置する利用者に表示部を向けて設置される。例えば、タブレット端末211は、商品リーダ212によって読み取った商品の情報を表示する。また、タブレット端末211は、商品リーダ212により読取った商品に対する精算処理を行うものであっても良い。
商品リーダ212は、商品の情報を読取る装置である。商品リーダ212は、読取った商品の情報を表示する表示部を有するものであっても良い。例えば、商品リーダ212は、収容カゴ14に出し入れする商品に添付されたバーコード等の商品識別情報を読み取るスキャナである。また、商品リーダ212は、商品に添付されたRFIDタグ等を読み取るRFIDタグリーダであっても良い。また、商品リーダ212は、タブレット端末211や利用者が所持する携帯端末であってもよい。タブレット端末211及び携帯端末を商品リーダ212とする場合には、例えば、タブレット端末211に設けられたカメラや、利用者が所持する携帯端末に設けられたカメラにより、バーコード等の商品識別情報を読み取る処理を行う。カードリーダ213は、利用者が所有するクレジットカードや会員カード等を読み取る。
なお、電子機器21は、タブレット端末211に代えて利用者が所持する携帯端末を接続するためのインターフェース機器であってもよい。電子機器21としてのインターフェース機器に接続する携帯端末は、上述したタブレット端末211と同様な処理を行うようにしても良い。また、電子機器21としてのインターフェース機器は、携帯端末が具備するバッテリを充電するものであっても良い。なお、電子機器21としてのインターフェース機器は、バッテリ22を内蔵するものであっても良いし、別途設けたバッテリ22に接続するものであっても良い。
バッテリ22は、電子機器21を動作させるための電源装置である。図1、図4及び図5に示すように、バッテリ22は、電力を蓄電する二次電池221と、受電装置23からの電力によって二次電池を充電する充電回路222と、二次電池221及び充電回路222を収容するバッテリケース223を含む。バッテリ22は、電子機器21の内部に設けた電源装置とした構成であっても良い。バッテリ22は、二次電池に蓄電した電力を電子機器21へ供給するように構成すれば良い。
二次電池221は、充電回路222から供給される充電電力により充電される。また、二次電池221は、電子機器21に接続され、電子機器21へ電力を供給する。
充電回路222は、受電装置23から供給される電力を充電用の電力(充電電力)として二次電池221へ供給する。例えば、充電回路222は、受電装置23の後述する受電回路232から供給された電力を二次電池221の充電に用いる直流電流(充電電力)に変換する。即ち、充電回路222は、受電回路232からの電力を、二次電池221を充電するための所定の電流値及び電圧値の充電電力に変換して二次電池221に供給する。
バッテリケース223は、例えば、二次電池221及び充電回路222を収容した状態で、フレーム12に装着される。バッテリケース223は、例えば、収容カゴ14の下方に配置される。本実施形態の例においては、バッテリケース223は、一対のメインフレーム1211の間であって、且つ、収容カゴ14の下方に配置される。また、バッテリケース223は、例えば、一対のメインフレーム1211に固定された一対のサブフレーム1212に取り付けられる。
受電装置23は、外部装置としての送電装置から伝送される電力を受電する。受電装置23は、受電した電力によってバッテリ22を充電する。受電装置23は、受電した電力を電子機器21またはバッテリ22へ供給する。
受電装置23は、カート本体11の横フレーム122に取り付けられる。例えば、図1に示すように、受電装置23は、横フレーム122のサブフレーム1222の例えば、前端側に取り付けられる。受電装置23は、カート本体11の下方から送電される電力を非接触で受電する。受電装置23は、後述する受電コイル231が電力を受電する受電面(電力を送電する側の送電コイルに対向する面)が送電面(床面3)に対して平行になるように、横フレーム122に設けられる。
受電装置23は、カート本体11の下方から伝送される電力を受電する。受電装置23は、給電装置2に設置した送電装置42から出力される電力を受電する。受電装置23は、受電装置23の受電面となる受電コイル231が給電装置2に設置される送電装置42の送電面となる送電コイル423に対向するように配置される。
図5に示すように、受電装置23は、受電コイル231、受電回路232、制御回路233、表示部234及び共振用コンデンサ235を有する。
受電コイル231は、送電装置42からの送電電力を受電し、受電した電力を受電回路232へ供給する。受電コイル231は、電力を受電する受電面が平面状に形成される。受電コイル231の受電面は、例えば、送電コイル423の送電面(床面3)に対して平行になる状態でカート本体11の底面に設置される。例えば、受電コイル231は、受電用の共振用コンデンサ235と直列あるいは並列接続されることにより、共振回路(受電共振回路)を構成する。
受電共振回路としての受電コイル231は、送電装置42の後述する送電コイル423に近接すると、受電コイル231が送電コイル423と電磁結合する。受電コイル231では、送電装置42の送電コイル423から出力された磁界によって誘導電流が発生する。受電コイル231は、絶縁された電線が巻かれた巻線構造として構成されていても良いし、プリント基板上にコイルパターンが形成されて構成されていても良い。
受電コイル231は、受電した交流電力を受電回路52に供給する。換言すると、受電コイル231は、送電装置42からの交流電力を受電している間、交流電源として機能する。また、例えば、電力伝送に磁界共振方式を利用する場合、受電コイル231としての受電共振回路の自己共振周波数は、送電装置42が送電する周波数と略同一に設定される。これにより、受電コイル231と送電コイル423とが電磁結合した場合の電力の伝送効率が向上する。
受電回路232は、受電コイル231から供給される受電電力をバッテリ22又は電子機器21へ供給可能な電力に変換する。例えば、受電回路232は、受電コイル231から供給される受電電力を整流し、直流に変換する。このような受電回路232は、例えば、複数のダイオードにより構成する整流ブリッジを含む回路により実現される。この場合、整流ブリッジの一対の入力端子は、受電コイル231と共振用コンデンサ235から成る受電共振回路に接続される。受電回路232は、受電コイル231から供給された受電電力を全波整流することにより、直流電力を一対の出力端子から出力する。
制御回路233は、受電回路232及び表示部234の動作を制御する。制御回路233は、プロセッサ2331とメモリ2332とを備える。プロセッサ2331は、演算処理を実行する。プロセッサ2331は、例えば、メモリ2332に記憶されているプログラム及びプログラムで用いられるデータに基づいて種々の処理を行う。メモリ2332は、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する。制御回路233は、マイコン、及び/または発振回路等により構成されていてもよい。例えば、制御回路233は、受電装置23の状態に応じて表示部234の表示を切り替える。
表示部234は、種々の情報を表示する表示装置である。例えば、表示部234は、受電装置23の状態を示すインジケータである。表示部234は、制御回路233の制御に応じて表示を切り替える。例えば、表示部234はLEDであり、受電装置23の動作状態に応じて点灯、消灯、あるいは表示色を切り替える。また、表示部54は液晶画面で、動作状態をメッセージで表示するようにしてもよい。
なお、受電装置23は、対応する送電装置42と無線通信を行うための無線通信回路を設けても良い。例えば、無線通信回路は、電力伝送の周波数とは異なる周波数で無線通信を行う回路である。受電装置23に無線通信回路を設ける場合において、制御回路233は、無線通信回路によって送電装置42と無線通信することにより各部の制御を行うようにしても良い。また、無線通信回路は、負荷変調を利用して、電力伝送の周波数と同一の周波数で無線通信するようにしてもよい。
次に、図2乃至図8を用いて給電装置2について説明する。
図2に示すように、給電装置2は、カートベース41と、複数の送電装置42と、を備える。
カートベース41は、カート1をスタックして収納するカート置場を構成する。例えば、カートベース41は、カートベース41の上面がカート置場となる床面3の上面と面一となるように、床面3に埋設される。なお、カートベース41の周囲には、カートゲートが設けられていても良い。カートベース41は、カート1のキャスタ13と同数のスロープ部411と、各スロープ部411にそれぞれ連続するスロープ部411と同数のレール部412と、支持部413と、を備える。
スロープ部411は、カートベース41の上面から下方に傾斜する。スロープ部411は、カート本体11を下降させる下降部分である。ここで、スロープ部411の傾斜角度は、カート本体11の下降移動を考慮して、適宜設定される。即ち、スロープ部411は、使用者がスロープ部411からレール部412にカート1を移動するとき、及び、レール部412からスロープ部411を介して床面3にカート1を移動するときに、使用者の操作が容易な傾斜角度に設定される。
スロープ部411は、カートベース41の上面側からレール部412に向かって、漸次幅が小さく設定される。スロープ部411の幅は、キャスタ13の幅よりも大きく設定される。即ち、カートベース41の上面側からレール部412側のいずれにおいても、スロープ部411の幅は、キャスタ13の幅よりも大きく設定される。例えば、図6に示すように、スロープ部411の入口側(スロープ部411のカートベース41の上面側)の幅をW1、スロープ部411の出口側(レール部412側)の幅をW2、カート本体11のキャスタ13の最大幅をW5としたときに、W1>W2>W5の関係となる。
スロープ部411は、カート本体11の4つのキャスタ13がそれぞれ走行可能に、カート本体11の幅方向において、カート本体11の4つのキャスタ13と同じ間隔で4つ設けられる。4つのスロープ部411のうち2つのスロープ部411は、カート本体11の前輪が走行し、そして、残り2つのスロープ部411は、カート本体11の後輪が走行する。カート本体11の前輪が走行する2つのスロープ部411と、カート本体11の後輪が走行する2つのスロープ部411とは、例えば、カート本体11の走行方向で、前輪及び後輪の幅と同じ距離だけ離間して配置される。なお、例えば、カート本体11を前進させて、カートベース41にカート本体11を収容する構成においては、カート本体11の移動方向で前方側にカート本体11の前輪が走行する2つのスロープ部411が配置され、そして、カート本体11の移動方向で後方側にカート本体11の後輪が走行する2つのスロープ部411が配置される。
レール部412は、複数のカート本体11のキャスタ13を収容可能に形成される。レール部412は、一方向に延び、カート1の走行方向で一方の端部がスロープ部411と連続する。レール部412は、キャスタ13を収容する収容室4121と、キャスタ13を取り付けるフレーム12の一部が配置される空隙4122と、キャスタ13の位置を規定する段差部4123と、を備える。換言すると、レール部412は、カートベース41の一部に設けられた溝部4125と、溝部4125を覆う天井部4126と、を備える。そして、溝部4125及び天井部4126によって収容室4121が構成され、そして、天井部4126にフレーム12の一部が配置される空隙4122が形成される。例えば、レール部412(溝部4125)の底面は、床面3と同方向である水平方向に延びる。
収容室4121は、キャスタ13の幅よりも大きく形成される。ここで、収容室4121の幅は、キャスタ13が走行可能、且つ、キャスタ13の走行方向を変更可能な幅に設定される。例えば、レール部412の収容室4121幅をW3としたときに、W2=W3、W3>W5の関係となる。また、例えば、キャスタ13が前方向へ走行し、そして、後方向へ走行するときに、キャスタ13がフレーム12周りで回転する構成である場合には、キャスタ13が回転可能な幅に設定される。
空隙4122は、キャスタ13をカート本体11に連結する連結部材としての、フレーム12の一部が配置可能、且つ、カート本体11の幅方向の位置を規定可能な幅に設定される。空隙4122の幅は、収容室4121の幅よりも小さい幅に設定される。例えば、空隙4122の幅をW4とし、キャスタ13が取り付けられるフレーム12(メインフレーム1211及び固定フレーム1223)の幅をW6とすると、W3>W4>W6の関係となる。
また、空隙4122の内面と空隙4122に配置されたフレーム12の一部との隙間は、収容室4121の内面と収容室4121に配置されたキャスタ13の走行時の側面部との隙間よりも小さく設定される。即ち、幅方向における、収容室4121及びキャスタ13の隙間(W3-W5)と、空隙4122及びフレーム12の隙間(W4-W6)との関係は、W3-W5>W4-W6となる。
段差部4123は、キャスタ13の位置を規定する。例えば、段差部4123は、収容室4121(溝部4125)の底面に設けられた突起である。段差部4123は、レール部412に、カートベース41に収容するカート1の数と同数設けられる。換言すると、段差部4123は、支持部413(送電装置42)と同数設けられる。段差部4123は、収容したカート1の受電装置23がカートベース41の支持部413に支持された送電装置42と対向する位置に、カート1の位置を規定する。
なお、複数の段差部4123は、4つのレール部412にそれぞれ設けられていてもよく、また、4つのレール部412のいずれかに設けられる構成でもよい。即ち、複数の段差部4123は、複数のカート1の位置を所定の位置に案内するものであり、カート1の位置を規定できれば、複数のレール部412であってもよく、いずれかのレール部412に設けられる構成であってもよい。
段差部4123は、例えば、キャスタ13が所定の位置にあるときにおいて、カート本体11の進行方向で該位置の前後にそれぞれ設けられた一対の突起41231により構成される。なお、段差部4123は、一対の突起41231でなく、キャスタ13の車輪131の下部が嵌まる溝等であってもよい。
天井部4126のスロープ部411側の端部は、スロープ部411側から空隙4122に向かって傾斜する。換言すると、天井部4126の端面は、スロープ部を移動したキャスタ13に接続されるフレーム12の一部が当接することで、該フレーム12の一部を空隙4122に案内する案内面を構成する。
支持部413は、少なくとも送電装置42の後述する送電コイル423を固定し、保持する。支持部413は、カートベース41の上面に設けられる。支持部413は、例えば、前輪であるキャスタ13が収容される一対のレール部412の間に配置される。支持部413は、カートベース41に収容するカート1と同数の送電装置42を配置する。図2に示す例では、支持部413は、カート1の走行方向に沿って、送電装置42を支持する4つの取付部4131を含む。例えば、支持部413は、送電装置42をカートベース41の上面と面一となるように保持する。
送電装置42は、電源回路421、送電回路422、送電コイル423、制御回路424、表示部425、及び、共振用コンデンサ426を備える。例えば、電源回路421、送電回路422、送電コイル423、制御回路424、表示部425、及び、共振用コンデンサ426が一体に構成される場合には、支持部413に送電装置42が配置される。例えば、送電装置42の複数の構成が別体に構成される場合には、少なくとも送電コイル423を含む構成が支持部413に配置される。
電源回路421は、外部からの直流電源の電圧を各回路の動作に適した電圧に変換する。電源回路421は、送電回路422に送電を行わせる為の電力を生成し、送電回路422に供給する。また、電源回路421は、制御回路44を動作させる為の電力を生成し、制御回路424に供給する。
送電回路422は、送電コイル423から送電するための送電電力を生成する。送電回路422は、生成した送電電力を送電コイル423に供給する。例えば、送電回路422は、制御回路424の制御に基づき、電源回路421から供給される直流電力をスイッチングすることで、送電電力としての交流電力を生成する。
送電コイル423は、送電回路422から供給される送電電力に応じて受電装置23が受電可能な電力を出力する。送電コイル423は、電力を送電する送電面が平面状に形成される。送電コイル423の送電面は、床面3に対して平行になる状態で、受電装置23の受電コイル231の受電面に対向するように、カートベース41の取付部4131に配置される。
例えば、送電コイル423は、共振用コンデンサ426と直列あるいは並列接続されることにより共振回路(送電共振回路)を構成する。送電共振回路としての送電コイル423は、送電回路422から交流電力が供給されると、供給された交流電力に応じた磁界を発生させる。送電コイル423は、絶縁された電線が巻かれた巻線構造として構成されていても良いし、プリント基板上にコイルパターンが形成されて構成されていても良い。
制御回路424は、送電回路422及び表示部425の動作を制御する。制御回路424は、プロセッサとメモリとを備える。プロセッサは、演算処理を実行する。プロセッサは、例えば、メモリに記憶されているプログラム及びプログラムで用いられるデータに基づいて種々の処理を行う。メモリは、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する。制御回路424は、マイコン、及び/または発振回路等により構成されていてもよい。
例えば、制御回路424は、送電装置42の状態に応じて表示部425の表示を切り替える。また、制御回路424は、送電回路422から出力する交流電力の周波数の制御、及び送電回路422の動作のオンオフを制御する。例えば、制御回路424は、送電回路422を制御することにより、送電コイル423に磁界を発生させる状態(送電状態)と送電コイル423に磁界を発生させない状態(待機状態)とを切り替える。また、制御回路424は、送電コイル423に間欠的に磁界を発生させて、送電するタイミングを変更する制御を行うようにしても良い。
表示部425は、送電装置42の状態を示すインジケータである。表示部425は、制御回路424の制御に応じて表示を切り替える。例えば、表示部425はLEDであり、送電装置42の動作状態に応じて点灯、消灯、あるいは表示色を切り替える。また、表示部425は液晶画面で、動作状態をメッセージで表示するようにしてもよい。
このような給電装置2は、レール部412の収容室4121の底面から支持部413の各取付部4131に取り付けられた送電コイル423の上面までの高さがキャスタ13の車輪311の下端から横フレーム122に設けられた受電装置23の受電コイル231の下面までの高さよりも小さく設定される。また、レール部412の収容室4121の底面から送電コイル423の上面までの高さは、カートベース41に設けられた送電コイル423の上面と横フレーム122に設けられた受電コイル231の下面との間に所定の隙間が生じる高さに設定される。換言すると、収容室4121の底面から送電コイル423の上面までの高さは、送電コイル423に受電コイル231が対向する位置にカート1が存するときに、該受電コイル231が送電コイル423に近接して対向できる高さに設定される。
このように構成された給電装置2は、カートベース41が床面3と面一となるように、カート置場の床面3にカートベース41が埋設される。給電装置2は、カート1のキャスタ13が収容される収容室4121は、カートベース41の上面よりも低い位置に配置される。これにより、カート1をカートベース41に収容するときに、カート1は、カートベース41の上面(床面3)よりも低い位置を走行する。
よって、カート1をカートベース41に収容すると、レール部412によってカート1の高さ位置が下がり、カート1に設けられる受電コイル231とカートベース41に設けられる送電コイル423が近接して対向する。具体例として、図6及び図7に示すように、キャスタ13がスロープ部411に進入し、さらにカート1が移動すると、空隙4122をフレーム12が通過し、キャスタ13が収容室4121に収容される。
また、受電コイル231は、キャスタ13及び横フレーム122によって所定の高さ位置に規定され、同様に、送電コイル423は、レール部412及び取付部4131によって所定の高さ位置に規定される。
このため、カート1がカートベース41に収容されると、図8に示すように、カート1の受電コイル231及びカートベース41に設けられた送電コイル423は、非接触給電において効率的な電力伝送ができる予め設定された距離だけ離間して対向する。このため、受電装置23及び給電装置2は、効率的な電力伝送が可能となる。
また、本実施形態のカート1及び給電装置2は、カート1をカートベース41に収容することで、受電コイル231及び送電コイル423が所定の位置関係となる。よって、カート1や給電装置2は、受電コイルや送電コイルの高さ位置を可変させる昇降装置等を設ける必要がない。よって、カート1及び給電装置2は、簡単な構成とすることができる。
また、レール部412には、スロープ部411が連続して設けられる。よって、カート1は、スロープ部411に進入後、スロープ部411からレール部412に案内される。
また、スロープ部411の幅は、レール部412に向かって漸次小さくなる幅に設定される。即ち、スロープ部411の入口側の幅W1からレール部412側の幅W2まで、幅が漸次小さくなる。また、スロープ部411のレール部412側の幅W2は、レール部412の幅W3と同じ幅としている。よって、カート1のキャスタ13は、スロープ部411への進入が容易となる。また、スロープ部411に進入したキャスタ13は、スロープ部411の幅の変化によって、レール部412に案内される。
また、レール部412は、天井部4126にフレーム12の一部、本実施形態においては、固定フレーム1223及びメインフレーム1211が配置される空隙4122が設けられる。このため、レール部412において、キャスタ13は、空隙4122によって、幅方向における位置合わせができる。また、天井部4126のレール部412側の端面は、空隙4122に向かって傾斜することから、スロープ部411を通過したフレーム12の一部を空隙4122に案内することができる。また、空隙4122が設けられたレール部412は、支持部43に設けられた送電コイル423と所定の配置関係である。このため、給電装置2のカートベース41は、送電コイル423に受電コイル231が正対するべく、容易にカート1の幅方向の位置を所定の位置に案内できる。
また、レール部412は、カート1の位置を規定する段差部4123を有する。段差部4123は、カート1の進行方向におけるカート1の位置を、所定の位置に案内できる。また、段差部4123は、カート1が乗り上げできる高さに設定される。また、段差部4123は、レール部412の長手方向で複数設けられることから、図3に示すように、カート1を複数スタックして収容したときに、各カート1の位置を所定の位置に案内できる。
このように、カートベース41は、カート1を幅方向及び進行方向で位置合わせが可能となることから、カート1に搭載された受電装置23の受電コイル231と給電装置2の送電装置42の送電コイル423との位置合わせが容易にできる。
このように、送電装置42は、カート1の進行方向(前後方向)、幅方向及び高さ方向において、容易にカート1の送電装置42に対する位置を案内することができる。よって、カートベース41にカート1を収容するだけで、効率的な電力伝送ができる位置に、即ち、送電コイル423に所定の隙間を空けて正対する位置に、受電コイル231の位置を合わせることができる。
また、給電装置2は、上面が床面3と面一とすることができるため、カート置場の領域内に床面3よりも突出する部位が生じることを極力抑制することができる。また、カート1の受電装置23は、床面3から所定の高さ位置に位置することから、受電装置23が床面3上の障害物に干渉することを抑制できる。
上述の実施形態の給電装置2によれば、簡素な構成で、効率的な電力伝送ができる。
なお、給電装置2やカート1等の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、送電装置40は、無線通信を行うための無線通信回路を含む構成であってもよい。例えば、無線通信回路は、電力伝送の周波数とは異なる周波数で無線通信を行う回路である。また、制御回路44は、無線通信回路によって受電装置23と無線通信することにより各部の制御を行うようにしても良い。また、無線通信回路は、負荷変調を利用して、電力伝送の周波数と同一の周波数で無線通信するようにしてもよい。
また、上述した例では、給電装置2は、床面3に埋設され、カートベース41の上面が床面3と面一とする例を説明したがこれに限定されない。例えば、給電装置2は、床面3上に配置され、そして固定される構成としてもよい。このような構成とする場合には、カートベース41に隣接して、床面3上に、カート1をカートベース41上に案内するスロープ部をさらに設ける構成とすればよい。
また、上述した例では、給電装置2は、4台のカート1を収容し、そして、各カート1の受電装置23に非接触給電できる例を説明したが、カート1の数は限定されず、適宜設定可能である。
また、上述した例では、給電装置2のレール部412(溝部4125)の底面は、床面3と同方向である水平方向に延びる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、レール部412の底面はスロープ部411よりも傾斜角度が緩やかに傾斜する構成であってもよく、また、スロープ部411を有さずに、レール部412が傾斜する構成であってもよい。但し、床面3に対して傾斜するレール部412とする場合には、送電コイル423の送電面がレール部412の底面と平行となるように、送電コイル423を支持部43に支持させる。これは、送電装置42の送電コイル423の送電面と、給電装置2に収納されたカート1の受電装置23の受電コイル231の受電面とを平行とするためである。
また、上述した例では、カート1は、縦フレーム121に後輪を構成する2つのキャスタ13が設けられ、横フレーム122に前輪を構成する2つのキャスタ13が設けられる構成を説明したが、これに限定されない。例えば、キャスタ13は、横フレーム122に4つ設けられる構成であってもよい。また、カート本体11の構成も適宜設定できる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、簡素な構成で、効率的な電力伝送ができる送電装置を提供できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。