JP2022032203A - 防水コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】環状パッキンがパッキン装着面から浮き上がったり、めくれたりする状態で、相手コネクタと嵌合完了状態になることを抑制して、防水性能の低下を抑制できる防水コネクタを提供する。【解決手段】防水コネクタ11は、本体部21とフード部29とが奥壁部により一体的に接続されたハウジング15と、対向する一対の長辺部分77を有する環状本体部73が本体部21の外周面63に緊締状態で装着される環状パッキン17と、長辺部分77の両端部から中央部に向けて徐々に肉厚量が増大するように形成された肉厚部19と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、防水コネクタに関する。
コネクタの大型化を招くことなく、パッキン装着面とパッキンとの間の封止性能を高めて防水性を向上させる防水コネクタが知られている(例えば特許文献1参照)。
図16に示すように、この防水コネクタ501は、端子収容筒部503を備えた第1コネクタハウジング505と、端子収容筒部503の外周に嵌合する嵌合用筒部507を有した第2コネクタハウジング509と、端子収容筒部503の外周に嵌合装備される環状のパッキン511と、端子収容筒部503の先端に嵌合装着されるフロントホルダ513と、を備える。第1コネクタハウジング505の端子収容筒部503におけるパッキン装着面515には、端子収容筒部503の外周に嵌合する嵌合用筒部507からの圧縮作用で弾性変形するパッキン511の一部が嵌入する逃げ溝517が設けられている。この逃げ溝517は、端子収容筒部503の外周を一周する環状に形成されている。そこで、防水コネクタ501によれば、パッキン装着面515とパッキン511との間の封止性能を高めることができ、また、パッキン装着面515とパッキン511との間の封止性能の長期維持を可能にすることができる。
特開2011-60584号公報
しかしながら、従来の防水コネクタ501は、第2コネクタハウジング509が嵌合開始から、嵌合途中状態を経て、嵌合完了状態に至るまでの過程で、嵌合用筒部507の先端がパッキン511の先端に引っ掛かったり、嵌合用筒部507の内周面519がパッキン511のリップ521を圧縮しつつリップ521と摺動したりする。このことにより、パッキン511がめくれた状態で第2コネクタハウジング509と嵌合完了状態になることがある。そして、防水コネクタ501は、このような引っ掛かりによるパッキン511の浮き上がりや、めくれが生じて嵌合完了状態となると、防水性能の低下が懸念される。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、環状パッキンがパッキン装着面から浮き上がったり、めくれたりする状態で、相手コネクタと嵌合完了状態になることを抑制して、防水性能の低下を抑制できる防水コネクタを提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 本体部とフード部とが奥壁部により一体的に接続されたハウジングと、対向する一対の長辺部分を有する環状本体部が前記本体部の外周面に緊締状態で装着される環状パッキンと、前記長辺部分の両端部から中央部に向けて徐々に肉厚量が増大するように形成された肉厚部と、を備えることを特徴とする防水コネクタ。
上記(1)の構成の防水コネクタによれば、環状パッキンの環状本体部における対向する一対の長辺部分の中央部には、両端部から徐々に肉厚量が増大する肉厚部が設けられる。この肉厚部は、急激な厚み変化が生じないように、なだらかに肉盛りされて形成される。環状パッキンは、長辺部分の中央部に肉厚部が設けられることにより、長辺部分に引っ張り変形が生じた際、肉厚部を設けない従来パッキンに比べ、中央部における断面積の減少が抑制される。そこで、断面積の減少が抑制された中央部は、ハウジングの本体部の外周面から浮き上がりにくくなる。同時に、肉厚部を設けた環状パッキンは、中央部において、本体部の外周面に密着する締め付け力Fの減少も抑制される。これにより、本構成の防水コネクタでは、長辺部分の中央部に厚肉部を設けて肉盛りすることにより、内側への圧力を回復させることが可能となる。その結果、防水コネクタと相手コネクタは、嵌合開始から、嵌合途中状態を経て、嵌合完了状態に至るまでの過程で、相手コネクタの先端が環状パッキンの先端に引っ掛かることを抑制できる。また、相手コネクタの内周面が環状パッキンのリップを圧縮しつつリップと摺動する際に、環状パッキンがめくれた状態で、防水コネクタと相手コネクタが嵌合完了状態となることを抑制できる。
(2) 前記環状本体部の内周面における前記肉厚部と対応する部分には、周方向に延びる溝部が設けられることを特徴とする上記(1)に記載の防水コネクタ。
上記(2)の構成の防水コネクタによれば、環状本体部の内周面において肉厚部と対応する部分には、周方向に延びる溝部が設けられる。環状本体部は、この溝部が設けられることで、肉厚部が押圧されたときの潰れにより変形する肉を溝部内に逃がすことができる。これにより、相手コネクタは、環状パッキンから受ける反発力が小さくなる。その結果、防水コネクタと相手コネクタを嵌合する際の嵌合操作力を小さくできる。また、溝部が設けられることにより、環状パッキンを伸ばして(拡径して)、ハウジングの本体部の外周面に取り付ける際の力も小さくでき、環状パッキンの装着作業を良好にすることができる。
(3) 前記環状本体部から前記奥壁部に向かって突出して前記ハウジングの位置決め凹部に嵌合される位置決め凸部が、前記長辺部分における前記肉厚部の両側に設けられることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の防水コネクタ。
上記(3)の構成の防水コネクタによれば、環状パッキンは、ハウジングの本体部の外周面に装着される際、位置決め凸部がハウジングの位置決め凹部に嵌め入れられることにより、長辺部分に沿う周方向の移動が規制され、本体部の中央に対して環状パッキンの肉厚部が確実に位置決めされるようになる。これにより、環状パッキンが周方向に位置決めされ、肉厚部が位置ずれすることによる防水性能の低下が抑制される。
(4) 前記奥壁部に穿設された貫通孔に挿通して係止される固定突起が、前記位置決め凸部の先端に設けられることを特徴とする上記(3)に記載の防水コネクタ。
上記(4)の構成の防水コネクタによれば、環状パッキンがハウジングの本体部に装着されると、環状パッキンの位置決め凸部がハウジングの位置決め凹部に嵌め入れられる。これにより、環状パッキンは、本体部の周方向に対して位置決めされる。この位置決め完了状態で、環状パッキンは、位置決め凸部に設けられて奥壁部に向かって突出する固定突起が、奥壁部に穿設された貫通孔に挿通されて係止される。その結果、環状パッキンは、位置決めと同時に、ハウジングに固定状態となる。そこで、本構成の環状パッキンは、材質が弾性体であっても、位置決め後における位置ずれが生じにくくなり、設計位置へ高精度に装着可能となる。
本発明に係る防水コネクタによれば、環状パッキンがパッキン装着面から浮き上がったり、めくれたりする状態で、相手コネクタと嵌合完了状態になることを抑制して、防水性能の低下を抑制できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の一実施形態に係る防水コネクタを相手コネクタと共に示した分解斜視図である。 図1に示したハウジングの斜視図である。 図2に示したハウジングの正面を右上側から見た斜視図である。 (a)は環状パッキンが未装着のハウジングの正面図、(b)は(a)におけるC-C断面図、(c)は(a)におけるD-D断面図である。 環状パッキンが装着されたハウジングの正面を右上側から見た斜視図である。 図1に示した環状パッキンの斜視図である。 (a)は肉厚部を設けていない比較例の環状パッキンの正面図、(b)は肉厚部を設けた本実施形態に係る環状パッキンの正面図である。 (a)は外周側に肉厚部を肉盛りした環状パッキンの正面図、(b)は内周側に肉厚部を肉盛りした環状パッキンの正面図である。 (a)は環状パッキンが本体部に装着されたハウジングの正面図、(b)は(a)におけるE-E断面図、(c)は(a)におけるF-F断面図である。 長辺部分の内周面に溝部が設けられた変形例に係る環状パッキンの斜視図である。 変形例に係る環状パッキンの溝部のバリエーションを(a)~(c)に示した要部断面斜視図である。 本実施形態に係る防水コネクタの環状パッキン装着時の動作説明図である。 本実施形態に係る防水コネクタの相手コネクタ嵌合時の動作説明図である。 (a)と(b)は、肉厚部が設けられていない比較例の環状パッキンと、肉厚部が設けられた本実施形態に係る環状パッキンとを比較した作用図である。 環状パッキンに肉厚部が設けられることによる本実施形態の防水コネクタの作用図である。 従来の防水コネクタにおける第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングの嵌合途中の状態を示す縦断面図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防水コネクタ11を相手防水コネクタ12と共に示した分解斜視図である。なお、方向を示す矢印が記された図において、X軸は右左方向、Y軸は前後方向、Z軸は上下方向を示す。また、いずれか2つの軸の直交点に記される中黒点円は矢線先端の正面、中バツ円は矢線後端の背面を示す。
本実施形態に係る防水コネクタ11は、ハウジング15と、環状パッキン17と、肉厚部19(図6参照)と、を主要な構成として有する。
防水コネクタ11は、前方から環状パッキン17が、ハウジング15における本体部21の外周に装着される。この他、防水コネクタ11には、電線23の端末に端子25が取り付けられた端子付き電線27が組み付けられる。端子付き電線27が組み付けられた防水コネクタ11は、相手コネクタである相手防水コネクタ12と嵌合する。
図2は、図1に示したハウジング15の斜視図である。
ハウジング15は、電気絶縁性の合成樹脂からなり、本体部21と、フード部29と、片持ち梁状のロックアーム31とが一体に成形されている。ロックアーム31は、ハウジング15に嵌合する相手防水コネクタ12のハウジング13に形成されたロック部14に係合し、ハウジング15と相手防水コネクタ12のハウジング13との嵌合完了後の離脱をロックする。
ハウジング15は、後部に端子収容室33に通じる端子挿入口35が開口する。端子挿入口35は、ハウジング15の後面37(図4参照)からそれぞれが円筒状に突出した外殻部39の内穴として形成される。ハウジング15は、この端子挿入口35から端子付き電線27の端子25が端子収容室33に装着される。本実施形態において、端子25は、電気接触ばね部(図示略)を箱状部41の内側に収容した雌端子となる。なお、端子25の雌雄はこれに限定されない。それぞれの電線23には、リング状のゴム栓43が装着される。ゴム栓43は、電線23と端子挿入口35との間を水密にシールする。
図3は、図2に示したハウジング15の正面を右上側から見た斜視図である。
本体部21は、左右方向に長く、上下方向に短い扁平の筒状に形成される。本体部21の後端は、ハウジング15の奥壁部45に接続される。本体部21には、複数の端子収容室33が平行に、左右方向に並んで形成される。本体部21の前面47には、相手防水コネクタ12の電気接触部(図示略)が進入する複数の挿入開口部49が、それぞれの端子収容室33に通じて形成される。挿入開口部49から進入した電気接触部は、端子収容室33に装着された端子25に、電気的に接続される。
本体部21とフード部29との間には、奥壁部45で閉塞される環状の嵌合空間51が形成される。つまり、フード部29は、この嵌合空間51を隔てて、本体部21を囲む筒状に形成される。フード部29のフード内周面53には、Y軸に沿う方向に延在する一対の平行なガイド溝55が左右に形成される。ガイド溝55には、相手防水コネクタ12におけるハウジング13の左右の側部に形成されたガイドリブ57(図1参照)が進入する。ガイド溝55は、相手防水コネクタ12のガイドリブ57を受け入れることにより、相手防水コネクタ12との嵌合を円滑に案内する。
図4の(a)は、環状パッキン17が未装着のハウジング15の正面図、図4の(b)は、図4の(a)におけるC-C断面図、図4の(c)は、図4の(a)におけるD-D断面図である。
ハウジング15の本体部21は、本体部21の高さ方向が短軸(Z軸に沿う軸)、横(幅)方向が長軸(X軸に沿う軸)となる扁平な略角筒状に形成されている。正面から見た本体部21は、短軸に沿う一対の平行な辺部(上下面)が短軸辺部59となり、長軸に沿う一対の平行な辺部(左右面)が長軸辺部61となる。本体部21は、4つの角部がR状に形成される。また、長軸辺部61は、外側に僅かに凸となるように湾曲して形成される。湾曲は、長軸辺部61の長手方向中央で、張り出し量が最大となる。本実施形態では、この本体部21の正面視形状を略角筒状と称す。
図4の(a)に示すように、本体部21の外周面63には、奥壁部45に接する周方向のリブ65が断続的に形成される。リブ65は、断続的に形成されることにより、周方向で6つに分断されている。図4の(b)に示すように、それぞれのリブ65は、本体部21の奥壁部45から、本体部21の突出長における1/4程度以下の突出長で奥壁部45から手前に突出する。また、このリブ65は、図4の(c)に示すように、嵌合空間51の略半分の高さで本体部21の外周面63からフード部29に向かって突出して形成される。
本体部21の長軸辺部61には、リブ65が周方向で途切れることにより、2つの位置決め凹部67が形成される。位置決め凹部67は、それぞれの長軸辺部61において、中央部分を境に左右対称に配置される。この位置決め凹部67の奥側は、奥壁部45となる。それぞれの位置決め凹部67に対応した奥壁部45には、奥壁部45を貫通する貫通孔69が形成される。貫通孔69は、ハウジング15の後面37から突出する保護壁71により開口周縁が囲まれる。
図5は、環状パッキン17が装着されたハウジング15の正面を右上側から見た斜視図である。
本体部21の外周面63には、環状パッキン17が装着される。環状パッキン17は、天然ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム等の弾性材料により一体に成形される。環状パッキン17は、本体部21の奥壁部45に近い位置に装着される。すなわち、環状パッキン17は、本体部21の突出長の略半分の長さで奥壁部45から配置される。また、装着された環状パッキン17は、外周がフード部29の内周に近接する。このフード部29の内周と環状パッキン17の外周との間隙には、相手防水コネクタ12におけるハウジング13の筒状部の先端が進入する。
図6は、図1に示した環状パッキン17の斜視図である。
環状パッキン17は、本体部21に装着される部分が、環状本体部73となる。環状本体部73の外周には、周方向に連続して外周から突出する複数の環状のリップ75が、環状本体部73の軸線に沿う方向に離間して形成される。本実施形態では、2つのリップ75が設けられるが、数はこれに限定されない。環状パッキン17は、対向する一対の長辺部分77を有して、環状本体部73が本体部21の外周面63に緊締状態で装着される。これにより、環状パッキン17は、リップ75が本体部21から嵌合空間51に向かって突出する。リップ75は、嵌合空間51に挿入される相手防水コネクタ12におけるハウジング13の筒状部内周面79(図1参照)と、本体部21の外周面63との間を水密にシールする。これにより、ハウジング15は、本体部21の前面47で開口する挿入開口部49からの水の浸入が防止される。
ところで、環状パッキン17には、長辺部分77の両端部から中央部81に向けて徐々に肉厚量が増大するようにした肉厚部19が形成される。肉厚部19は、それぞれの長辺部分77の中央部81に設けられる。肉厚部19は、長辺部分77のみに設けられ、短辺部分83には設けられていない。
図7の(a)は、肉厚部19を設けていない比較例の環状パッキン17Aの正面図、図7の(b)は、肉厚部19を設けた本実施形態に係る環状パッキン17の正面図である。
図7の(a)に示した肉厚部19が設けられていない環状パッキン17Aは、短辺部分83および長辺部分77における環状本体部73の肉厚がいずれも同一のA寸法で形成される。これに対し、本実施形態の環状パッキン17は、短辺部分83の肉厚A寸法よりも大きい肉厚B寸法で、それぞれの長辺部分77の中央部81が形成されている。環状パッキン17は、環状本体部73の厚みのみが増大され、リップ75の高さには変化がない。すなわち、環状本体部73からリップ75の高さは、全周囲で同一となっている。
図8の(a)は、外周側に肉厚部19を肉盛りした環状パッキン17の正面図、図8の(b)は、内周側に肉厚部19を肉盛りした環状パッキン17の正面図である。
肉厚部19は、図8の(a)に示すように、肉厚部19が設けられていない環状パッキン17Aに対し、環状本体部73の内形状を同一として、中央部81を外方向のみに膨出させて肉厚部19を形成することができる。また、肉厚部19は、図8の(b)に示すように、肉厚部19が設けられていない環状パッキン17Aに対し、環状本体部73の外形状を同一として、中央部81を内方向のみに膨出させて肉厚部19を形成することができる。このように、肉厚部19は、環状本体部73の外周側または内周側のいずれに膨出させて形成してもよい。更に、肉厚部19は、膨出量の半分を内周側と外周側とに割り振って外周側および内周側の双方から膨出させて形成してもよい。
環状パッキン17は、図6に示すように、長辺部分77に、一対の位置決め凸部85を有する。位置決め凸部85は、左右方向に長い直方体形状で形成される。位置決め凸部85は、上下の長辺部分77において合計4つが設けられる。位置決め凸部85は、それぞれの長辺部分77において、環状本体部73から奥壁部45に向かって突出して、ハウジング15の位置決め凹部67に嵌合される。一対の位置決め凸部85は、長辺部分77において、肉厚部19の両側に、中央部81を境に対称に設けられる。
また、位置決め凸部85の先端には、奥壁部45に穿設された上述の貫通孔69に挿通して係止される固定突起87が設けられる。固定突起87は、略円錐形状で形成され、頂部側が貫通孔69を貫通することにより、底面側が貫通孔69を貫通した奥壁部45の後面37に係止されて、位置決め凹部67からの位置決め凸部85の離脱を規制する。
図9の(a)は、環状パッキン17が本体部21に装着されたハウジング15の正面図、図9の(b)は、図9の(a)におけるE-E断面図、図9の(c)は、図9の(a)におけるF-F断面図である。
環状パッキン17は、位置決め凸部85が位置決め凹部67に嵌合することにより、本体部21に対する外周方向が位置決めされる。そして、環状パッキン17は、位置決め凸部85に設けられた固定突起87が、貫通孔69を貫通して奥壁部45に係止することにより、位置決め凸部85を介して本体部21から前方向への離脱が規制される。
図10は、長辺部分77の内周面93に溝部89が設けられた変形例に係る環状パッキン91の斜視図である。
環状パッキン91は、環状本体部73の内周面93における肉厚部19と対応する部分に、周方向に延びる溝部89が設けられている。環状パッキン91は、肉厚部19を有する幅方向の中央部81が、リップ75と共に相手防水コネクタ12におけるハウジング13の筒状部内周面79から圧縮力(白矢印)を受ける。また、ハウジング15の本体部21における外周面63から圧縮力(黒矢印)を受ける。これにより、高さ方向において潰れ、反発力を生じる。よって、設計上の寸法設定にもよるが、中央部81の内周面側に溝部89が設けられていることにより、中央部81がリップ75と共に高さ方向において潰れた際に、潰れにより変形する肉を溝内に逃がすことができる。これにより、環状パッキン17は、肉厚部19を設けた場合であっても、反力を小さくすることができ、相手防水コネクタ12の嵌合抵抗が増大するのを抑制することができる。
図11は、変形例に係る環状パッキン91の溝部89A~89Cのバリエーションを(a)~(c)に示した要部断面斜視図である。
環状パッキン91の内周面93に設けられる溝部89は、種々の溝形状とすることができる。例えば溝部89Aは、図11の(a)に示すように、凹溝95の内側に、平行に延在する複数の凸条97を形成することにより、平行な複数の溝を有する溝部89Aとすることができる。この場合、凹溝95を挟む前後の内周面93と、凸条97の先端とが本体部21の外周面63に密着する。
また、溝部89Bは、図11(b)に示すように、凹溝95の内側に、上述の凸条97よりも低い凸条99を形成してもよい。この場合、凹溝95を挟む前後の内周面93が本体部21の外周面63に密着し、凸条99の先端は本体部21の外周面63に接触する程度となる。
更に、溝部89Cは、図11(c)に示すように、凹溝95の内側に、凸条97や凸条99を設けなくてもよい。この場合、凹溝95を挟む前後の内周面93のみが本体部21の外周面63に密着する。
このように、溝部89、89A~89Cは、種々のバリエーションの中から選択して形成することにより、肉厚部19の圧縮力と相手防水コネクタ12の挿入力とのバランスをきめ細かに調整可能とすることができる。
次に、防水コネクタ11における環状パッキン17の組み付けから相手防水コネクタ12との嵌合までの動作を説明する。
図12は、本実施形態に係る防水コネクタ11の環状パッキン装着時の動作説明図である。
ハウジング15には、端子付き電線27が挿入される前に、環状パッキン17が本体部21に装着される。環状パッキン17は、拡径されつつ、本体部21の外周に装着され、弾性力により縮径することにより本体部21の外周面63に密着する。
この状態で、位置決め凸部85が、位置決め凹部67に嵌入するようにして、環状パッキン17をさらに奥側へ押し込む。環状パッキン17は、位置決め凸部85を位置決め凹部67へ押し込むことにより、固定突起87が、奥壁部45の貫通孔69に挿入され、奥壁部45の後面側に係止されて、奥壁部45からの離脱が規制されて装着が完了する。
環状パッキン17が装着されたハウジング15には、端子付き電線27が組み付けられる。端子付き電線27は、端子25が端子挿入口35から挿入され、端子収容室33の所定位置まで押し込まれる。端子25は、端子収容室33の所定位置まで挿入されると、端子25の挿入により弾性変形していた係止ランス(図示せず)が弾性復帰して端子25の被係止部を係止する。これにより、端子25は、後抜けが規制され、端子挿入口35から電線23を導出させた状態で、ハウジング15への組付けが完了する。
図13は、本実施形態に係る防水コネクタ11の相手コネクタ嵌合時の動作説明図である。
環状パッキン17が装着され、端子付き電線27が組み付けられた防水コネクタ11は、相手防水コネクタ12と嵌合される。相手防水コネクタ12は、例えば車両に搭載される電装機器の一部を構成している。
防水コネクタ11は、相手防水コネクタ12と嵌合されると、本体部21の外周面63に相手防水コネクタ12におけるハウジング13の筒状部の先端が外挿され、最終的に、奥側に装着されている環状パッキン17が、相手防水コネクタ12におけるハウジング13の筒状部内周面79に入り込む。この際、環状パッキン17は、筒状部内周面79からの押圧力によりリップ75が潰され、リップ75が、筒状部内周面79の全周囲に渡って連続的に密着する。これにより、防水コネクタ11と相手防水コネクタ12とは、本体部21の外周面63と相手防水コネクタ12の筒状部内周面79との間が環状パッキン17により水密にシールされ、双方のハウジング13,15内部への水の浸入が防止される。
次に、上記した構成の作用を説明する。
図14の(a)と(b)は、肉厚部19が設けられていない比較例の環状パッキン17Aと、肉厚部19が設けられた本実施形態に係る環状パッキン17とを比較した作用図である。
本実施形態に係る防水コネクタ11では、環状パッキン17が、肉厚部19を有している。肉厚部19は、環状本体部73における対向する一対の長辺部分77において、両端部から中央部81に向けて徐々に肉厚量が増大するように形成される。つまり、肉厚部19は、一対の長辺部分77のそれぞれの中央部81に、合計2つが設けられている。環状本体部73の肉厚は、この肉厚部19で肉厚量が最大となる。
環状パッキン17は、環状本体部73の外周面63に装着されるに際し、周方向に伸ば(拡径)されて、本体部21に取り付けられる。装着後の環状パッキン17は、弾性復元力により本体部21の外周面63を締め付け力F(図14の(b)参照)により締め付けて密着する。
ここで、ハウジングの本体部が仮に真円の円筒で形成され、環状パッキンが厚みの均一な真円の環状に形成されている場合、本体部の外周面63が均一な締め付け力Fにより締め付けられることになる。
これに対し、比較例に係る防水コネクタ11Aの本体部21は、本体部21の高さ方向が短軸、横(幅)方向が長軸となる扁平な略角筒状に形成されている。また、環状パッキン17Aも、この本体部21の外周面63に倣って、長軸に沿う一対の長辺部分77と、短軸に沿う一対の短辺部分83とにより扁平な環状に形成される。このような正面視で略矩形状の環状パッキン17Aは、周方向に拡径されて本体部21に取り付けられると、縦横比に応じて長辺部分77に沿う方向の引っ張りによる変形量が、短辺部分83に沿う方向の引っ張りによる変形量よりも大きくなる。この長辺部分77に沿う方向の引っ張りによる変形量は、長辺部分77の中央部81で大きくなる。引っ張り変形が大きくなった中央部81は、引っ張り方向に直交する断面積が他の部分よりも減少する。断面積が減少した中央部81は、本体部21の外周面63から浮き上がりやすくなる。同時に、この中央部81においては、本体部21の外周面63に密着する締め付け力Fも減少する(図14の(a)参照)。
そこで、本実施形態に係る防水コネクタ11における環状パッキン17は、環状本体部73における対向する一対の長辺部分77の中央部81に、両端部から徐々に肉厚量が増大する肉厚部19が設けられている。この肉厚部19は、急激な厚み変化が生じないように、なだらかに肉盛りされて形成される。環状パッキン17は、長辺部分77の中央部81に肉厚部19が設けられることにより、長辺部分77に引っ張り変形が生じた際、肉厚部19を設けない従来パッキンに比べ、中央部81における断面積の減少が抑制される。そこで、断面積の減少が抑制された中央部81は、ハウジング15の本体部21の外周面63から浮き上がりにくくなる。同時に、肉厚部19を設けた環状パッキン17は、中央部81において、本体部21の外周面63に密着する締め付け力Fの減少も抑制される。これにより、本実施形態の防水コネクタ11では、長辺部分77の中央部81に肉厚部19を設けて肉盛りすることにより、内側への圧力を回復させることが可能となる。
このように、環状パッキン17を備える防水コネクタ11では、ハウジング15の本体部21が横長であっても、環状パッキン17の長辺部分77における中央部81での締め付け力Fの減少を抑制できる。環状本体部73の厚みを長辺部分77の中央部81に向かって徐々に厚くし、長辺部分77の中央部付近で、内側への圧力減少を緩和することにより、嵌合時の外力による動きを規制して浮きにくくできる。
図15は、環状パッキン17に肉厚部19が設けられることによる本実施形態の防水コネクタ11の作用図である。
その結果、防水コネクタ11と相手防水コネクタ12は、嵌合開始から、嵌合途中状態を経て、嵌合完了状態に至るまでの過程で、相手防水コネクタ12の先端が環状パッキン17の先端に引っ掛かって浮き上がる(破線矢印)ことを抑制できる。また、相手防水コネクタ12の内周面93が環状パッキン17のリップ75を圧縮しつつリップ75と摺動する際に、環状パッキン17がめくれた状態(破線矢印)で、防水コネクタ11と相手防水コネクタ12が嵌合完了状態となることを抑制できる。
また、本実施形態に係る防水コネクタ11では、相手防水コネクタ12と嵌合する際、相手ハウジングの先端が嵌合空間51に挿入される。このとき、相手防水コネクタ12の内周面93は、環状本体部73の外周側に設けられたリップ75を押圧しつつ摺動することになる。断面積の減少が抑制された変形例に係る環状パッキン91は、中央部81に肉厚部19を設けていない環状パッキンに比べ、相手防水コネクタ12の内周面93から押圧された際の反発力が大きくなる。つまり、中央部81に肉厚部19を設けていない環状パッキンに比べ、相手防水コネクタ12の挿入抵抗が増大する。
そこで、環状パッキン91では、環状本体部73の内周面93において肉厚部19と対応する部分に、周方向に延びる溝部89が設けられている。環状本体部73は、この溝部89が設けられることで、肉厚部19が押圧されたときの潰れにより変形する肉を溝内に逃がすことができる。これにより、相手防水コネクタ12は、環状パッキン91から受ける反発力が小さくなる。その結果、防水コネクタ11と相手防水コネクタ12を嵌合する際の嵌合操作力を小さくできる。また、溝部89が設けられることにより、環状パッキン91を伸ばして(拡径して)、ハウジング15の本体部21の外周面63に取り付ける際の力も小さくでき、環状パッキン91の装着作業を良好にすることもできる。
また、本実施形態に係る防水コネクタ11によれば、環状パッキン17(環状パッキン91の場合も同様。以下、環状パッキン17を代表例として説明する。)は、環状本体部73の長辺部分77に、一対の位置決め凸部85を有する。位置決め凸部85は、長辺部分77における肉厚部19の両側に設けられて、奥壁部45に向かって突出する。この位置決め凸部85は、ハウジング15の位置決め凹部67に嵌合される。より具体的には、ハウジング15の本体部21は、奥壁部45の手前に周方向のリブ65が断続的に形成される。このリブ65には、位置決め凸部85に相当する位置に、位置決め凸部85を嵌め入れる位置決め凹部67が形成される。位置決め凹部67は、断続するリブ65が途切れた所となる。
環状パッキン17は、ハウジング15の本体部21の外周面63に装着される際、位置決め凸部85がハウジング15の位置決め凹部67に嵌め入れられることにより、長辺部分77に沿う周方向の移動が規制され、本体部21の中央に対して環状パッキン17の肉厚部19が確実に位置決めされるようになる。
これにより、環状パッキン17が周方向に位置決めされて、肉厚部19が位置ずれすることによる防水性能の低下が抑制される。
更に、本実施形態に係る防水コネクタ11では、環状パッキン17がハウジング15の本体部21に装着されると、環状パッキン17の位置決め凸部85がハウジング15の位置決め凹部67に嵌め入れられる。これにより、環状パッキン17は、本体部21の周方向に対して位置決めされる。この位置決め完了状態で、環状パッキン17は、位置決め凸部85に設けられて奥壁部45に向かって突出する固定突起87が、奥壁部45に穿設された貫通孔69に挿通されて係止される。
これにより、環状パッキン17は、位置決めと同時に、ハウジング15に固定状態となる。そこで、本実施形態の環状パッキン17は、材質が弾性体であっても、位置決め後における位置ずれが生じにくくなり、設計位置へ高精度に装着可能となる。
従って、本実施形態に係る防水コネクタ11によれば、環状パッキン17がパッキン装着面から浮き上がったり、めくれたりする状態で、相手防水コネクタ12と嵌合完了状態になることを抑制して、防水性能の低下を抑制することができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係る防水コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 本体部(21)とフード部(29)とが奥壁部(45)により一体的に接続されたハウジング(15)と、
対向する一対の長辺部分(77)を有する環状本体部(73)が前記本体部(21)の外周面(63)に緊締状態で装着される環状パッキン(17,91)と、
前記長辺部分(77)の両端部から中央部(81)に向けて徐々に肉厚量が増大するように形成された肉厚部(19)と、
を備えることを特徴とする防水コネクタ(11)。
[2] 前記環状本体部(73)の内周面(93)における前記肉厚部(19)と対応する部分には、周方向に延びる溝部(89)が設けられることを特徴とする上記[1]に記載の防水コネクタ(11)。
[3] 前記環状本体部(73)から前記奥壁部(45)に向かって突出して前記ハウジング(15)の位置決め凹部(67)に嵌合される位置決め凸部(85)が、前記長辺部分(77)における前記肉厚部(19)の両側に設けられることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の防水コネクタ(11)。
[4] 前記奥壁部(45)に穿設された貫通孔(69)に挿通して係止される固定突起(87)が、前記位置決め凸部(85)の先端に設けられることを特徴とする上記[3]に記載の防水コネクタ(11)。
11…防水コネクタ
15…ハウジング
17…環状パッキン
19…肉厚部
21…本体部
29…フード部
45…奥壁部
63…外周面
67…位置決め凹部
69…貫通孔
73…環状本体部
77…長辺部分
81…中央部
85…位置決め凸部
87…固定突起
89…溝部
93…内周面

Claims (4)

  1. 本体部とフード部とが奥壁部により一体的に接続されたハウジングと、
    対向する一対の長辺部分を有する環状本体部が前記本体部の外周面に緊締状態で装着される環状パッキンと、
    前記長辺部分の両端部から中央部に向けて徐々に肉厚量が増大するように形成された肉厚部と、
    を備えることを特徴とする防水コネクタ。
  2. 前記環状本体部の内周面における前記肉厚部と対応する部分には、周方向に延びる溝部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の防水コネクタ。
  3. 前記環状本体部から前記奥壁部に向かって突出して前記ハウジングの位置決め凹部に嵌合される位置決め凸部が、前記長辺部分における前記肉厚部の両側に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水コネクタ。
  4. 前記奥壁部に穿設された貫通孔に挿通して係止される固定突起が、前記位置決め凸部の先端に設けられることを特徴とする請求項3に記載の防水コネクタ。
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