JP2022031165A - 医用画像処理装置、システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】壁せん断応力を観察し易く表示すること。【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、抽出部と、表示制御部とを備える。取得部は、血管の壁せん断応力を取得する。抽出部は、血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は特徴的な血管領域を抽出する。表示制御部は、壁せん断応力の代表値又は血管領域の抽出結果に基づいて、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。【選択図】図1

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、システム及び方法に関する。
従来、心臓疾患に関する診断や治療計画の策定等を支援するための技術として、被検体の心臓の血管に関する医用画像に基づいて、当該血管の血流に関する各種の情報を提示する技術が知られている。例えば、血流に関する情報の一つとして、血管の各位置における壁せん断応力(Wall Shear Stress:WSS)を算出して表示する技術が知られている。
特表2020-518362号公報 特開2011-62358号公報 特表2016-533815号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、壁せん断応力を観察し易く表示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、抽出部と、表示制御部とを備える。取得部は、血管の壁せん断応力の分布を取得する。抽出部は、前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は特徴的な血管領域を抽出する。表示制御部は、前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システム及び医用画像処理装置の構成例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係るWSSの表示例を説明するための図である。 図3は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図4は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図7は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図8は、第1の実施形態に係る抽出基準の表示の一例を示す図である。 図9は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理回路が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。 図10は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。 図11は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図12は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図13は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図14は、第2の実施形態に係る血管の変形処理の一例を説明するための図である。 図15は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図16は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図17は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図18は、第2の実施形態に係る血管断面の模式図の表示例を示す図である。 図19は、第3の実施形態に係るグラフ表示の一例を示す図である。 図20は、第4の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。 図21は、第4の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、システム及び方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用情報処理装置及び医用情報処理方法は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態は、処理内容に矛盾が生じない範囲で他の実施形態や従来技術との組み合わせが可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システム及び医用画像処理装置の構成例を示す図である。
例えば、図1に示すように、本実施形態に係る医用画像処理システム100は、X線CT(Computed Tomography)装置110と、医用画像保管装置120と、医用情報表示装置130と、医用画像処理装置140とを含む。ここで、各装置及びシステムは、ネットワーク150を介して通信可能に接続されている。
なお、医用画像処理システム100は、X線CT装置110の他に、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置や超音波診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の他の医用画像診断装置をさらに含んでもよい。また、医用画像処理システム100は、電子カルテシステムや、HIS(Hospital Information System)やRIS(Radiology Information System)等の他のシステムをさらに含んでもよい。
X線CT装置110は、被検体に関するCT画像を生成する。具体的には、X線CT装置110は、被検体を囲む円軌道上でX線管及びX線検出器を旋回移動させることで、被検体を透過したX線の分布を表す投影データを収集する。そして、X線CT装置110は、収集された投影データに基づいて、CT画像を生成する。
医用画像保管装置120は、被検体に関する各種の医用画像を保管する。具体的には、医用画像保管装置120は、ネットワーク160を介してX線CT装置110からCT画像を取得し、当該CT画像を自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。例えば、医用画像保管装置120は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。また、例えば、医用画像保管装置120は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等によって実現され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式でCT画像を保管する。
医用情報表示装置130は、被検体に関する各種の医用情報を表示する。具体的には、医用情報表示装置130は、ネットワーク150を介して医用画像保管装置120からCT画像や画像処理の処理結果等の医用情報を取得し、当該医用情報を自装置内のディスプレイに表示する。例えば、医用情報表示装置130は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ、タブレット端末等のコンピュータ機器によって実現される。
医用画像処理装置140は、被検体に関する各種の画像処理を行う。具体的には、医用画像処理装置140は、ネットワーク150を介してX線CT装置110又は医用画像保管装置120からCT画像を取得し、当該CT画像を用いて各種の画像処理を行う。例えば、医用画像処理装置140は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
例えば、医用画像処理装置140は、ネットワーク(NetWork:NW)インタフェース141と、記憶回路142と、入力インタフェース143と、ディスプレイ144と、処理回路145とを備える。
NWインタフェース141は、医用画像処理装置140と、ネットワーク150を介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、NWインタフェース141は、処理回路145に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路145に送信、又は、処理回路145から受信したデータを他の装置に送信する。例えば、NWインタフェース141は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路142は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路142は、処理回路145に接続されており、処理回路145から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路145に送信する。例えば、記憶回路142は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
入力インタフェース143は、ユーザから各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース143は、処理回路145に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路145に送信する。例えば、入力インタフェース143は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、及び音声入力インタフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース143は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インタフェース143の例に含まれる。
ディスプレイ144は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ144は、処理回路145に接続されており、処理回路145から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ144は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
処理回路145は、医用画像処理装置140の全体を制御する。例えば、処理回路145は、入力インタフェース143を介してユーザから受け付けた入力操作に応じて、各種処理を行う。例えば、処理回路145は、他の装置により送信されたデータをNWインタフェース141から受信し、受信したデータを記憶回路142に記憶する。また、例えば、処理回路145は、記憶回路142から受信したデータをNWインタフェース141に送信することで、当該データを他の装置に送信する。また、例えば、処理回路145は、記憶回路142から受信したデータをディスプレイ144に表示する。
以上、本実施形態に係る医用画像処理システム100及び医用画像処理装置140の構成例について説明した。例えば、本実施形態に係る医用画像処理システム100及び医用画像処理装置140は、病院や診療所等の医療施設に設置され、医師等のユーザによって行われる心臓疾患に関する診断や治療計画の策定等を支援する。
具体的には、医用画像処理装置140が、被検体の心臓の血管に関する医用画像に基づいて、血管の各位置における壁せん断応力(Wall Shear Stress:WSS)を算出して表示する。ここで、医用画像処理装置140は、壁せん断応力を観察し易く表示する。すなわち、医用画像処理装置140は、WSSをより分かりやすく表示させることで、医師等のユーザのWSSの解釈に要する労力を減らす。
WSSは、血管の内壁の各位置において算出される。すなわち、WSSは、血管全体において3次元で分布する指標値である。一方、ディスプレイ等の画像表示装置の表示画面は2次元であるため、血管を画像として表示する場合、特定の方向から見た2次元の画像又は特定の断面の2次元の画像が表示される。そして、このような表示画面においては、上記した特定の方向から見た2次元の画像における特定の方向を連続的に変えながら表示させることで、血管の3次元構造が表現される。
例えば、冠動脈はVR(Volume rendering)表示やSR(Surface rendering)表示により3次元的な構造を表現するが、1時点における画面上には特定の方向から観察される2次元の冠動脈像が表示される。したがって、血管の各位置で算出されたWSSをVR表示した冠動脈像にマッピングする場合には、観察可能なWSS(観察可能な領域上のWSS)と、観察不可能なWSS(観察不可能な領域上のWSS)が発生することとなる。
図2は、第1の実施形態に係るWSSの表示例を説明するための図である。ここで、図2においては、冠動脈のVR画像を観察した場合の観察可能な領域と観察不可能な領域とを示す。例えば、図2に示すように、冠動脈V1の全域について、WSSを算出し、算出したWSSを冠動脈V1にマッピングして表示させると、画面に表示されている方向におけるWSS(画面手前側のWSS)は観察できるが、画面に表示されていない方向におけるWSS(画面奥側のWSS)は観察することができない。
したがって、このような表示において、画面奥側に重要な特徴を有するWSSが存在する場合、ユーザは、当該特徴的なWSSを見逃すおそれがある。また、VR画像を回転させて観察する場合、ユーザは、360度方向で観察しなければ特徴的なWSSを見逃すおそれがあり、手間がかかる。
そこで、本実施形態に係る医用画像処理装置140は、領域に応じて決められた抽出基準に基づいて、表示させるWSSの代表値又は表示領域を抽出することで、WSSをより分かりやすく表示させ、医師等のユーザのWSSの解釈に要する労力を減らすことができるように構成されている。
具体的には、医用画像処理装置140は、血管の各位置から特徴的なWSS或いは特徴的な領域を抽出して、WSSの表示形態を変化させることで、WSSをより分かりやすく表示させる。
以下、このような構成を有する医用画像処理装置140について、詳細に説明する。なお、以下では、血管に関する医用画像として、冠動脈CT画像を用いる場合の例を説明する。
例えば、図1に示すように、本実施形態では、医用画像処理装置140の処理回路145が、取得機能145aと、算出機能145bと、抽出機能145cと、画像生成機能145dと、表示制御機能145eとを実行する。ここで、算出機能145bは、取得部の一例である。また、抽出機能145cは、抽出部の一例である。また、表示制御機能145eは、表示制御部の一例である。
取得機能145aは、NWインタフェース141を介して、X線CT装置110又は医用画像保管装置120から被検体の冠動脈CT画像を取得する。具体的には、取得機能145aは、WSSの算出に用いることができる3次元の冠動脈CT画像を取得する。
算出機能145bは、血管の壁せん断応力の分布を取得する。例えば、算出機能145bは、取得機能145aによって取得された被検体の冠動脈CT画像に含まれる冠動脈の心線を抽出する。また、算出機能145bは、取得機能145aによって取得された被検体の冠動脈CT画像に基づいて、WSSを算出する。
例えば、算出機能145bは、被検体の冠動脈CT画像から、CFD(Computational Fluid Dynamics)や機械学習等を用いた既知の手法によって、冠動脈の各位置におけるWSSを算出する。
抽出機能145cは、血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管におけるWSSの分布から、代表値又は特徴的な血管領域を抽出する。具体的には、抽出機能145cは、抽出基準に基づいて、血管の心線に沿った位置ごとにWSSの空間分布から表示させる値を抽出する。なお、抽出機能145cによる処理については、後に詳述する。
画像生成機能145dは、表示用の各種画像を生成する。例えば、画像生成機能145dは、冠動脈CT画像における冠動脈の血管領域を三次元的に再構成することで、冠動脈の三次元画像を生成する。例えば、画像生成機能145dは、VR画像、SR画像、CPR(Curved Planer Reconstruction)画像、MPR(Multi Planer Reconstruction)画像、SPR(Stretched Multi Planer Reconstruction)画像などを生成する。
表示制御機能145eは、壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。具体的には、表示制御機能145eは、抽出機能145cによる抽出結果に応じたWSSをディスプレイ144に表示させる。なお、表示制御機能145eによる処理については、後に詳述する。
上述した処理回路145は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路142に記憶される。そして、処理回路145は、記憶回路142に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路145は、各プログラムを読み出した状態で、図1に示した各処理機能を有することとなる。
なお、処理回路145は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路145が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路145が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路142に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路が分散して記憶され、処理回路145が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
上述したように、医用画像処理装置140は、血管の各位置から特徴的なWSS或いは特徴的な領域を抽出して、WSSの表示形態を変化させる。以下、医用画像処理装置140による処理例について説明する。
(ステップ1)
医用画像処理装置140は、WSSの表示において、まず、3次元の医用画像を取得する。具体的には、取得機能145aは、NWインタフェース141を介して、X線CT装置110又は医用画像保管装置120から被検体の冠動脈CT画像を取得する。より具体的には、取得機能145aは、WSSの算出に用いることができる3次元の冠動脈CT画像を取得する。なお、取得機能145aは、血管の形状と血液の流速等の流れ情報が算出可能な種類の画像であれば、どのような種類の画像を取得する場合でもよい。例えば、取得機能145aは、X線CT装置110以外の医用画像診断装置によって収集された医用画像(超音波画像や、MRI画像など)を取得することもできる。
(ステップ2)
次に、医用画像処理装置140は、取得した3次元の医用画像において、血管の心線を抽出する。具体的には、算出機能145bは、取得機能145aによって取得された被検体の冠動脈CT画像に含まれる冠動脈の心線を抽出する。ここで、算出機能145bは、CT値を用いた手法など、既知の種々の手法により、冠動脈の心線を抽出することができる。
(ステップ3)
そして、医用画像処理装置140は、取得した3次元の医用画像からWSSを算出する。具体的には、算出機能145bは、取得機能145aによって取得された被検体の冠動脈CT画像から、CFDや機械学習等を用いた既知の手法により、各血管位置におけるWSSを算出する。
(ステップ4)
その後、医用画像処理装置140は、算出されたWSSから代表値を抽出する。具体的には、抽出機能145cは、血管の形状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管におけるWSSの代表値を抽出する。例えば、抽出機能145cは、算出機能145bによって抽出された冠動脈の心線の各位置において、心線を軸にした水平断方向360°の全てのWSSの値から特徴的な値を抽出する。
一例を挙げると、抽出機能145cは、代表値として、心線を軸にした水平断方向360°の全てのWSSの値の中から、最も高い値(最高WSS)を抽出する。なお、抽出機能145cは、代表値として、心線を軸にした水平断方向360°の全てのWSSの値の中から、最も低い値(最低WSS)を抽出することもできる。また、抽出機能145cは、代表値として、心線を軸にした水平断方向360°の全てのWSSの値の平均値を抽出することもできる。また、抽出機能145cは、代表値として、上下又は左右の隣り合う血管位置におけるWSSとの差が最も大きい(すなわち、隣接する位置でWSSの変化量が大きい)WSSの値を抽出することもできる。
(ステップ5)
そして、医用画像処理装置140は、ディスプレイ144などの表示装置に、抽出したWSSを表示する。具体的には、画像生成機能145dは、3次元の医用画像における血管領域を含む3次元の表示用画像を生成する。例えば、画像生成機能145dは、冠動脈CT画像における血管領域を3次元的に再構成することで、VR画像や、SR画像などの表示用画像を生成する。
表示制御機能145eは、画像生成機能145dによって生成された表示用画像を用いてWSSを表示させる。例えば、表示制御機能145eは、算出機能145bによって算出された血管の全ての位置のWSSの値を取得し、取得したWSSの値の最大値及び最小値とからWSSの取り得る範囲を特定する。そして、表示制御機能145eは、特定した範囲に対して色の配列(カラールックアップテーブル)を設定し、各血管位置のWSSの値に対応する色を、各血管位置に割り当てることにより、カラー画像を表示させる。
(ステップ6)
そして、医用画像処理装置140は、ユーザの指示に基づいて、WSSの表示形態を変化させる。例えば、表示制御機能145eは、入力インタフェース143を介したユーザによる切り替え操作(例えば、切り替えボタンの選択操作など)に応じて、通常のWSSの空間分布の表示と、抽出機能145cによる抽出結果に基づくWSSの表示とを切り替えて表示させる。また、例えば、表示制御機能145eは、ユーザがWSSの画像に対して回転やブラウジングなどの操作を実施している場合には通常のWSSの表示を行い、動作が停止している場合には抽出結果に基づくWSSの表示を行うように制御することもできる。
以下、WSSの代表値の抽出例及び表示例を説明する。かかる場合には、抽出機能145cは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁におけるWSSの値から、最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値を抽出する。表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとに抽出された最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値が示されるように、血管におけるWSSの表示形態を変化させる。
図3は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。図3の上段の図に示すように、抽出機能145cは、心線の各位置において、心線を軸にした水平断方向360°の全てのWSSから特徴的なWSSとして最大値を抽出する。すなわち、抽出機能145cは、心線に沿った位置ごとに、点線で示した円上のWSSの値の中から最大値をそれぞれ抽出する。なお、図3では、5つの位置について最大値を抽出する例を示しているが、実際には、血管の心線に沿った多数の位置について最大値が抽出される。
上述したように特徴的なWSSの値が抽出されると、表示制御機能145eは、抽出された値が表示されるように、WSSの表示形態を変化させる。例えば、表示制御機能145eは、ユーザの指示に応じて、図3の下段の図に示すように、冠動脈においてユーザから観察可能な側に、各位置で抽出されたWSSの最高値に対応する色を示したカラー画像を表示させる。
なお、図3では、特徴的なWSSとして、各位置における水平断方向の全てのWSSおいて最大値を抽出する場合について示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、最低値を抽出してもよく、また、水平断方向の全てのWSSの平均値を抽出してもよい。また、特徴的なWSSの値として、上下又は左右に隣り合う血管位置のWSSとの差が最も大きい(すなわち、変化量が大きい)WSSが抽出される場合でもよい。
これにより、冠動脈の各位置における画面に表示されていない方向におけるWSSに関しても、特徴的な値が存在する場合は容易に観察することができるため、重要な情報の見逃しを減らすことができる。
(変形例1)
上記した実施形態では、ステップ4において、1時点の冠動脈CT画像における特徴的なWSSを抽出する場合について説明した。変形例1では、複数の時点における冠動脈CT画像から特徴的なWSSを抽出する場合について説明する。
かかる場合には、抽出機能145cは、複数の時点における同一位置のWSSの比較結果に基づいて、特徴的なWSSの値を抽出する。具体的には、抽出機能145cは、複数の時点における同一位置のWSSの差分値を夫々の位置において算出する。そして、抽出機能145cは、当該差分値に基づいて特徴的なWSSを抽出する。より具体的には、抽出機能145cは、当該差分値が閾値より高い血管位置(血管領域)又は閾値より低い血管位置(血管領域)を抽出する。なお、当該閾値は予め定めておいてもよいし、ユーザが指定できるようにしてもよい。また別の例では、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において最大の差分値を有す領域又は最小の差分値を有す領域を抽出してもよい。すなわち、抽出機能145cは、時間経過に伴って、WSSの値の変化が大きい領域又は小さい領域を抽出する。
図4は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。例えば、図4に示すように、抽出機能145cは、1ヶ月前に収集された冠動脈V2のCT画像と、現在収集された冠動脈V2のCT画像とを位置合わせを行う。位置合わせは既知の方法により実施する。例えば、LDDM(Large Deformation Diffeomorphic Metric Mapping)法やFFD(Free-form Deformation)法を使用することができる。そして、抽出機能145cは、算出機能145bが各CT画像において算出したWSSを用いて、位置ごとのWSSの差分値を算出する。ここで、抽出機能145cは、例えば、差分値が閾値以上となる領域を抽出する。また、抽出機能145cは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において最大の差分値を有す領域又は最小の差分値を有す領域を抽出してもよい。
表示制御機能145eは、ユーザの指示に応じて、抽出された領域におけるWSSの値が示されるように、血管におけるWSSの表示形態を変化させる。例えば、表示制御機能145eは、冠動脈V2の差分値が閾値以上の血管位置における現在のWSSをユーザから観察可能な側に表示する。具体的には、表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において閾値以上の当該差分値を有す全ての領域を特定し、当該差分値の大きさ順にユーザの視線方向に近い順に並べて表示する。
また、表示制御機能145eは、閾値に基づいて領域を抽出する場合に、その他種々の方法でWSSを表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において閾値以上の当該差分値を有す全ての領域を特定し、当該領域の位置が視線方向に近い順に並べて表示する。また、例えば、表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において閾値以上の当該差分値を有す全ての領域を特定し、特定した領域において、現在のWSSの高い順、或いは、低い順に、ユーザの視線方向に近い順に並べて表示する。また、例えば、表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁において閾値以上の当該差分値を有す全ての領域を特定し、特定した領域において、現在のWSSの高い領域と低い領域とを交互に並べて表示する。
また、表示制御機能145eは、最大の差分値を有す領域又は最小の差分値を有す領域を抽出した場合、当該最大の差分値又は最小の差分値に対応する現在のWSSをユーザから観察可能な側に表示してもよい。なお、表示する値は、現在のWSSだけでなく過去(変形例では1か月前)の時点のWSSであってもよいし、差分値そのものであってもよい。
また、特徴的な領域以外の領域に関してもWSSのマップではなく、差分値のマップを表示するようにしてもよい。その場合、表示制御機能145eは、差分値に応じた色をマッピングさせたカラー画像を表示させる。なお、図4においては、差分が閾値以上となる場合を一例に挙げて説明したが、差分が閾値以下となる場合も同様に処理が行われる。このように、複数の時点で算出されたWSSの比較結果を用いることで、病変の進行状況や、治療前後の効果の有無などを診断することができる。
(変形例2)
上記した実施形態では、ステップ4において、任意の特徴的なWSSの値を抽出する場合について説明した。変形例2では、血管枝ごと、或いは、血管の領域ごとに特徴的な条件(抽出基準)を変更してWSSを抽出する場合について説明する。
具体的には、抽出機能145cは、血管の性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管における代表値を抽出する。一例を挙げると、抽出機能145cは、血管においてプラークを含む領域について、相対的に高いWSSの値を代表値として抽出し、血管においてプラークを含まない領域について、相対的に低いWSSの値を代表値として抽出する。
かかる場合には、抽出機能145cは、まず、冠動脈におけるプラークを抽出する。例えば、抽出機能145cは、被検体の冠動脈CT画像を解析することで、冠動脈の血管枝ごとにプラークの位置を抽出する。一例を挙げると、抽出機能145cは、冠動脈の血管径の情報からプラークの位置を抽出する。また、例えば、抽出機能145cは、冠動脈CT画像を用いた閾値処理によって、プラークの位置を抽出する。または、例えば、抽出機能145cは、機械学習の技術によって、プラーク内部の画素値の分布の特徴を予め学習させた識別器を用いてプラークの位置を算出してもよい。
そして、抽出機能145cは、例えば、プラークが抽出された位置の代表値としてWSSの最高値を抽出し、プラークが抽出されなかった位置の代表値としてWSSの最低値を抽出する。これは、低WSSがプラークの進行リスクに相関し、高WSSがプラークの破綻リスクに相関するという報告に基づく。すなわち、既にプラークがある領域については、WSSの高い値を表示させて破綻リスクの程度を推定可能とし、一方、プラークが生じていない領域については、今後プラークが生じるおそれがあるか否かを推定可能とする。
表示制御機能145eは、ユーザの指示に応じて、抽出された代表値が示されるように、血管におけるWSSの表示形態を変化させる。例えば、表示制御機能145eは、血管の対応する位置に、代表値に応じた色をマッピングしたカラー画像を表示させる。
図5は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。例えば、抽出機能145cは、図5の上段の図に示すように、冠動脈V3を解析することで、冠動脈V3におけるプラークを抽出する。そして、抽出機能145cは、心線に直交する断面と交差する血管壁のそれぞれの位置におけるプラークが抽出された位置において、当該血管壁のそれぞれの位置で算出されたWSSのうち、最高値を代表値として抽出する。また、抽出機能145cは、心線に直交する断面と交差する血管壁のそれぞれの位置におけるプラークが抽出されなかった位置において、当該血管壁のそれぞれの位置で算出されたWSSのうち、最低値を代表値として抽出する。
表示制御機能145eは、図5の下段の図に示すように、プラークが抽出された断面位置ではWSSの最高値を表示させ、プラークが抽出されなかった断面位置ではWSSの最低値を表示させるように制御する。例えば、表示制御機能145eは、冠動脈V3のVR画像のプラークを含む領域においてユーザから観察可能な側に、WSSの最高値に対応する色をマッピングさせ、VR画像のプラークを含まない領域においてユーザから観察可能な側に、WSSの最低値に対応する色をマッピングさせたカラー画像を表示させる。
ここで、抽出機能145cは、血管における血管枝ごとにプラークの有無を判定し、血管枝ごとに代表値を抽出することができる。すなわち、抽出機能145cは、冠動脈全体を対象とすることができる。また、抽出機能145cは、血管における血管枝の走行方向に沿った領域ごとにプラークの有無を判定し、血管枝の走行方向に沿った領域ごとに代表値を抽出することができる。
また、抽出機能145cは、血管にプラークが含まれる場合、プラークの硬さに応じた抽出基準を用いた抽出処理を行うことができる。具体的には、抽出機能145cは、血管におけるプラークの硬さをさらに判定し、プラークの硬さに応じて抽出基準を変更する。
上述したように、抽出機能145cは、プラークが含まれる領域について相対的に高いWSSを閾値に基づいて抽出するが、抽出されたプラークの硬さが閾値よりも高い場合、代表値の抽出に用いる閾値をより高くし、抽出されたプラークの硬さが閾値よりも低い場合、代表値の抽出に用いる閾値をより低くする。これは、柔らかいプラークの近傍に高いWSSの領域が存在すると、プラーク破裂のリスクが生じるためであり、柔らかいプラークが抽出された場合に閾値をより低くして、より低い値でも抽出されるようにするものである。なお、プラークの硬さは、例えば、冠動脈CT画像の解析によって得られるカルシウムスコアに基づく場合でもよい。
なお、図5においては、プラークを含む領域が位置する断面位置についてはWSSの最高値を抽出し、プラークを含まない領域が位置する断面位置についてはWSSの最低値を抽出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、プラークを含む領域が位置する断面位置については閾値より高いWSSを抽出し、プラークを含まない領域が位置する断面位置については閾値より低いWSSを抽出する場合でもよい。
かかる場合には、表示制御機能145eは、例えば、冠動脈V3のVR画像のプラークを含む領域が位置する断面位置においてユーザから観察可能な側に、閾値より高い複数のWSSの値に対応する色をそれぞれマッピングさせ、VR画像のプラークを含まない領域が位置する断面位置においてユーザから観察可能な側に、閾値より低い複数のWSSの値に対応する色をそれぞれマッピングさせたカラー画像を表示させる。例えば、表示制御機能145eは、当該WSSの大きさ順にユーザの視線方向に近い順に並べて表示する。つまり、プラークを含む領域が位置する断面位置においては、ユーザの視線方向に近い順にWSSの大きい順に並べて表示し、プラークを含まない領域が位置する断面位置においては、ユーザの視線方向に近い順にWSSの小さい順に並べて表示してもよい。
また、表示制御機能145eは、閾値に基づいてWSSを抽出する場合に、その他種々の方法でWSSを表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、VR画像のプラークを含む領域が位置する断面位置において、閾値より高い複数のWSSの位置が視線方向に近い順に並べて表示し、VR画像のプラークを含まない領域が位置する断面位置において、閾値より低い複数のWSSの位置が視線方向に近い順に並べて表示する。また、例えば、表示制御機能145eは、VR画像のプラークを含む領域が位置する断面位置において、閾値より高い複数のWSSのうち、高い値と低い値とを交互に並べて表示し、VR画像のプラークを含まない領域が位置する断面位置において、閾値より低い複数のWSSのうち、高い値と低い値とを交互に並べて表示する。
また、抽出機能145cは、心筋の状態に応じて抽出基準を変更することもできる。具体的には、抽出機能145cは、血管によって血液が供給される心筋における炎症の有無をさらに判定し、心筋が炎症を有する場合、血管においてプラークを含まない領域における抽出基準を変更する。
例えば、抽出機能145cは、WSSを表示させる冠動脈が支配する心筋の支配領域に炎症が含まれるか否かを判定する。一例を挙げると、抽出機能145cは、ボロノイ法などの既存のアルゴリズムを用いて、心筋を含む冠動脈CT画像からWSSを表示させる冠動脈の支配領域を特定する。そして、抽出機能145cは、心筋SPECT画像と冠動脈CT画像における心筋とを位置合わせし、特定した支配領域に炎症が含まれるか否かを判定する。
ここで、支配領域に炎症が含まれる場合、抽出機能145cは、血管においてプラークを含まない領域における抽出基準を変更する。図6は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。例えば、抽出機能145cは、図6に示すように、支配領域に心筋炎症を含む冠動脈V4において、プラークを含まない領域R1に対する抽出基準を変更する。
上述したように、プラークを含まない領域では、抽出機能145cは、相対的に低いWSSの値を閾値に基づいて抽出するが、心筋に炎症が生じている場合、代表値の抽出に用いる閾値をより高くする。これは、心筋に炎症が生じている場合、プラークが生じやすくなるためであり、心筋に炎症が生じている場合に閾値をより高くして、より高いWSSの値でも抽出されるようにするものである。
(変形例3)
上記した実施形態では、ステップ6において、ユーザの指示に応じて、心線を軸にした各位置における特徴的なWSSの値を画面の前面にくるように表示を切り替える場合について説明した。変形例3では、血管位置ごとに表示の切り替えを行う場合について説明する。
例えば、抽出機能145c及び表示制御機能145eは、血管の心線に沿った各位置について特徴的なWSSの値を抽出して表示させるだけでなく、所定の位置の値のみを前面に表示させるようにすることもできる。一例を挙げると、表示制御機能145eは、心線に沿った各位置のWSSにおいて、予め定めた閾値を超えるWSSのみをユーザ側に表示させるように制御してもよい。
また、表示制御機能145eは、プラークの存在する位置に基づいて表示を切り替えることができる。図7は、第1の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。例えば、表示制御機能145eは、図7に示すように、プラークが存在する位置についてのみ、WSSの最大値をユーザ側に表示させるように制御する。
その他、表示制御機能145eは、プラークの存在確率が高い位置、プラークの破綻確率が高い位置、心筋に炎症が生じている位置のみについて、WSSの最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値を表示させるように制御してもよい。
(変形例4)
上記した実施形態では、ステップ6において、WSSの値を表示させる場合について説明した。変形例4では、特徴的なWSSの抽出基準を表示させる場合について説明する。
上述したように、医用画像処理装置140は、予め定められた抽出基準に基づいて、WSSの代表値を抽出し、抽出結果に基づいて、WSSの表示形態を変化させる。ここで、表示制御機能145eは、抽出基準をユーザに提示することもできる。具体的には、表示制御機能145eは、代表値の抽出に用いた抽出基準をさらに表示させる。
図8は、第1の実施形態に係る抽出基準の表示の一例を示す図である。図8に示すように、表示制御機能145eは、冠動脈V3の表示において、「WSS:aaa、同一断面にプラークが含まれるため、代表値として最大値を抽出しています」や、「WSS:bbb、正常領域のため、代表値として最小値を抽出しています」をあわせて表示させる。これにより、ユーザは、血管の各位置でどのような値が表示されているかを一目で把握することができる。
次に、図9を用いて、医用画像処理装置140の処理手順について説明する。図9は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140の処理回路145が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
例えば、図9に示すように、本実施形態では、取得機能145aが、入力インタフェース143を介してユーザから処理を開始する指示を受け付けた場合に、X線CT装置110又は医用画像保管装置120から被検体の冠動脈CT画像を取得する(ステップS101)。この処理は、例えば、処理回路145が、取得機能145aに対応するプログラムを記憶回路142から呼び出して実行することにより実現される。
続いて、算出機能145bが、取得機能145aによって取得された被検体の冠動脈CT画像に含まれる冠動脈の心線を抽出し(ステップS102)、冠動脈CT画像に基づいて、WSSを算出する(ステップS103)。この処理は、例えば、処理回路145が、算出機能145bに対応するプログラムを記憶回路142から呼び出して実行することにより実現される。
続いて、抽出機能145cが、血管形状又は性状に基づいて領域ごとに割り当てられた基準に基づいて、WSSの空間分布から代表値を抽出する(ステップS104)。この処理は、例えば、処理回路145が、抽出機能145cに対応するプログラムを記憶回路142から呼び出して実行することにより実現される。
続いて、表示制御機能145eが、算出機能145bによって算出されたWSSを表示させ(ステップS105)、抽出機能145cによって抽出された代表値に基づいて、表示形態を変化させる(ステップS106)。この処理は、例えば、処理回路145が、表示制御機能145eに対応するプログラムを記憶回路142から呼び出して実行することにより実現される。
上述したように、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管における壁せん断応力の代表値又は血管領域を抽出する。表示制御機能145eは、壁せん断応力の代表値又は血管領域の抽出結果に基づいて、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、抽出基準に応じた壁せん断応力を表示させることができ、壁せん断応力を観察し易く表示することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管においてプラークを含む領域について、相対的に高い壁せん断応力の値を代表値として抽出し、血管においてプラークを含まない領域について、相対的に低い壁せん断応力の値を代表値として抽出する。表示制御機能145eは、抽出された代表値が示されるように、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、プラークが含まれる領域及びプラークが含まれない領域それぞれについて、適切な壁せん断応力の値を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管における血管枝ごとにプラークの有無を判定し、血管枝ごとに代表値を抽出する。また、抽出機能145cは、血管における血管枝の走行方向に沿った領域ごとにプラークの有無を判定し、血管枝の走行方向に沿った領域ごとに代表値を抽出する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、適切な代表値を抽出することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管におけるプラークの硬さをさらに判定し、プラークの硬さに応じて抽出基準を変更する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、プラークの硬さを考慮した壁せん断応力の値を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管において曲率が閾値より高い血管領域を抽出する。表示制御機能145eは、曲率が閾値より高い血管領域について、曲りの内側の領域における壁せん断応力が示されるように、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、曲率が高い血管領域の曲りの内側の領域における壁せん断応力を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、同一血管を対象に複数の時点で算出された壁せん断応力の同一位置ごとの差分を算出し、算出した差分が閾値より高い血管領域又は算出した差分が閾値より低い血管領域を抽出する。表示制御機能145eは、抽出された血管領域における壁せん断応力が示されるように、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、壁せん断応力が特徴的な経時変化を示す領域の値を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、血管によって血液が供給される心筋における炎症の有無をさらに判定し、心筋が炎症を有する場合、血管においてプラークを含まない領域における抽出基準を変更する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、心筋における炎症を考慮した壁せん断応力の値を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、抽出機能145cは、さらに、血管の心線の位置ごとに、心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値から、最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値を抽出する。表示制御機能145eは、さらに、血管の心線の位置ごとに抽出された最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値が示されるように、血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、特徴的な壁せん断応力の値を表示させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能145eは、代表値又は血管領域の抽出に用いた抽出基準をさらに表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置140は、表示させた壁せん断応力の値について、ユーザにより把握させることを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、特徴的なWSSの値を抽出して、表示する場合について説明した。第2の実施形態では、特徴的な血管位置におけるWSSの値を表示させる場合について説明する。なお、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、第1の実施形態と比較して、抽出機能145c及び表示制御機能145eによる処理内容が異なる。以下、この点を中心に説明する。
第2の実施形態に係る抽出機能145cは、上記したステップ4において、血管の形状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、血管における特徴的な血管領域を抽出する。一例を挙げると、抽出機能145cは、血管において曲率が閾値より高い血管領域を抽出する。かかる場合には、抽出機能145cは、冠動脈の各位置における曲率を算出する。そして、抽出機能145cは、算出した曲率が予め定める閾値よりも高い領域を特徴的な血管領域として抽出する。なお、当該特徴的な血管位置は、冠動脈全体に対して特定してもよく、或いは、各血管枝において最も曲率の大きい又は小さい位置をそれぞれ特定してもよい。
表示制御機能145eは、特徴的な血管位置のWSSの値を表示させる。例えば、表示制御機能145eは、曲率が閾値より高い血管領域におけるWSSが示されるように、血管におけるWSSの表示形態を変化させる。
図10は、第2の実施形態に係る抽出処理及び表示制御処理の一例を説明するための図である。例えば、抽出機能145cは、図10の上段の図に示すように、冠動脈V5における心線における位置ごとの曲率をそれぞれ算出して、算出した曲率を閾値とそれぞれ比較することで、曲率が閾値よりも高い位置P1を抽出する。そして、表示制御機能145eは、図10の下段の図に示すように、曲率が閾値よりも高い位置P1におけるWSSの値がユーザから観察可能となるように、表示形態を変化させる。すなわち、表示制御機能145eは、心線に直交し、位置P1を含む血管の断面におけるユーザから観察可能な位置に、位置P1のWSSの値を表示させる。
例えば、表示制御機能145eは、冠動脈V5のVR画像にWSSの値に応じた色をマッピングしたカラー画像を表示させる場合に、冠動脈V5の心線に直交し位置P1を含む血管の断面におけるユーザから観察可能な側に、位置P1のWSSの値に応じた色をマッピングしたカラー画像を表示させる。かかる場合には、表示制御機能145eは、算出機能145bによって算出された血管の全ての位置のWSSの値を取得し、取得したWSSの値の最大値及び最小値とからWSSの取り得る範囲を特定する。そして、表示制御機能145eは、特定した範囲に対して色の配列(カラールックアップテーブル)を設定し、位置P1のWSSの値に応じた色を冠動脈V2の位置P1にマッピングする。
なお、図10においては、曲率が閾値よりも高い領域として、位置P1のみ示しているが、実際には、冠動脈V5において曲率が閾値よりも高いすべての位置が抽出される。
また、血管の形状に応じた抽出基準は、曲率が閾値より高い血管領域だけではなく、曲率が閾値より低い血管領域を抽出する場合でもよい。かかる場合には、表示制御機能145eは、心線に直交し当該曲率が閾値よりも低い位置を含む血管の断面におけるユーザから観察可能な側に、当該位置のWSSの値をディスプレイ144で表示させるようにしてもよい。ここで、曲率が高い領域を抽出するために用いる閾値と、曲率が低い領域を抽出するための閾値とが、異なる値で設定されてもよい。
また、血管の形状に応じた抽出基準は、曲率だけではなく、血管径を用いる場合でもよい。かかる場合は、例えば、抽出機能145cは、血管径の大きさと閾値とを比較して、比較結果に基づいて、特徴的な領域を抽出してもよい。また、血管の形状に応じた抽出は、特定の血管枝に対して実施されてもよく、冠動脈全体、すなわち、全ての血管枝を対象に実施されてもよい。
また、第2の実施形態に係る表示制御機能145eは、上記したステップ6において、抽出された血管領域を強調して表示させる。例えば、表示制御機能145eは、曲率が閾値よりも高い血管領域や、プラークを含む領域など、抽出機能145cによって抽出された血管領域のWSSを表示させる際に、表示対象を強調して表示させる。
図11~図13は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図11に示すように、ユーザの切り替え操作に応じて、抽出された血管領域の表示形態を変化させることで、強調させる。一例を挙げると、表示制御機能145eは、ユーザの切り替え操作に応じて、抽出された血管領域を示す情報(図中の円)を表示させたり、抽出された血管領域を拡大させたりすることで強調させる。
ここで、抽出機能145cによって複数の領域が抽出され、それらの領域間の距離が近い場合は、夫々を拡大表示すると視認性が低下する場合がある。そこで、表示制御機能145eは、拡大させる複数の血管領域間の距離が閾値より小さい場合に、複数の血管領域を単一の拡大領域で拡大させる。例えば、表示制御機能145eは、図12に示すように、抽出された2つの領域間の距離が近く、拡大することで重なる場合に、表示制御機能145eは、2つの領域を含む単一の拡大領域で拡大させる。
なお、上述した領域間の距離は、表示画像の画面上での拡大率に基づいて動的に変更するようにしてもよい。かかる場合には、記憶回路142が、拡大率と領域間の距離との関係を示す情報を予め記憶する。表示制御機能145eは、拡大させる領域の拡大率に対応する距離の情報を記憶回路142から読み出し、拡大させる複数の領域間の距離が読み出した距離よりも短い場合に、複数の領域を含む単一の拡大領域で拡大させる。
なお、表示対象を強調する処理は、算出した各位置におけるWSSの表示形態を切り替えることにより強調することができればどのような方法であってもよい。例えば、表示制御機能145eは、色、テクスチャ、パターン、又は、付加情報を用いて、抽出された代表値又は血管領域を強調させる。
一例を挙げると、表示制御機能145eは、WSSの値に応じて色を割り当てるためのカラールックアップテーブルから、極端に解離した色(例えば、通常の青から赤に変化するルックアップテーブルの場合に黒を使う、或いは、グレースケールの場合に赤を使う等)を用いて領域を強調する。また、表示制御機能145eは、色の透過度や濃淡を変化させることで、強調させることもできる。
また、表示制御機能145eは、テクスチャや、パターンなどでWSSを表現する場合(例えば、矢印や円の大きさ等などでWSSを表現する場合)には、強調する領域のテクスチャやパターンだけを変更する。一例を挙げると、図13に示すように、矢印の種類によってWSSの値を表現する場合、表示制御機能145eは、強調するWSSの値を示す矢印の太さを変える。また、表示制御機能145eは、強調するWSSの値の周囲に文字やマークを表示することにより強調表示することもできる。
(変形例1)
上記した第2の実施形態におけるステップ4では、冠動脈の形状に基づいて特徴的な位置を抽出する場合について説明した。変形例1では、血管径の大きさや、血管の性状に基づいて特徴的な位置を抽出する場合について説明する。
かかる場合には、例えば、抽出機能145cは、血管径の大きさなどの情報からプラークや石灰化が存在する位置を特定し、特定した位置を、特徴的な位置として抽出する。また、抽出機能145cは、機械学習技術などによりプラークの破綻確率を算出し、破綻確率の高いプラークなどリスクの高いプラークが存在する位置のみを特定し、特定した位置を、特徴的な位置として抽出する。また、抽出機能145cは、過去の時点における冠動脈CT画像から得られるWSSからの変化量が最も大きい又は小さいWSSを有する位置を特定し、特定した位置を、特徴的な位置として抽出する。また、抽出機能145cは、冠動脈周囲の心筋領域の画素値の分布から炎症が起きている領域を特定し、当該領域に含まれる血管の位置を、特徴的な位置として抽出する。また、抽出機能145cは、心筋SPECT画像などの他の医用画像から炎症の領域が判明している場合には、当該医用画像と冠動脈CT画像とを位置合わせすることにより、炎症の領域を特定し、特定した位置を、特徴的な位置として抽出する。
(変形例2)
上記した第2の実施形態のステップ6では、特徴的な位置のWSSの値を強調して表示する場合について説明した。変形例2では、特徴的な位置が視認しがたい場所にある場合について説明する。
例えば、強調する血管領域が他の構造物(例えば、他の血管や、心臓等)により観察することが困難な場合、表示制御機能145eは、血管の形状を変形させることもできる。図14は、第2の実施形態に係る血管の変形処理の一例を説明するための図である。例えば、表示制御機能145eは、図14に示すように、視線方向に重なる複数の血管におけるWSSを表示させる場合に、視線方向に重ならないように複数の血管の形状を変化させて、各血管におけるWSSを表示させる。
なお、表示制御機能145eは、変形モデルを使った確率的な手法や画像処理技術などにより血管の形状を変形させることができる。また、図14に示す血管の変形は、ユーザの操作に応じて切り替えられてもよい。
(変形例3)
上記した第2の実施形態のステップ6では、単一の特徴的な位置のWSSの値を強調して表示する場合について説明した。変形例3では、特徴的な位置が複数ある場所について説明する。
例えば、表示制御機能145eは、複数の強調すべき血管領域がある場合に、全て又は最も多くの領域を観察可能な観察方向を特定し、表示させる画像を特定した方向の画像に切り替えることができる。
また、表示制御機能145eは、拡大させた領域を別の領域に並べて表示させることもできる。すなわち、表示制御機能145eは、拡大させた代表値又は血管領域を血管と区別して表示させる。図15は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図15に示すように、冠動脈全体を表示させる領域とは異なる表示領域に、拡大させた血管領域をそれぞれ表示させる。
ここで、表示制御機能145eは、区別して表示させた血管領域を識別するための識別情報をさらに表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図15に示すように、拡大させた冠動脈の血管領域それぞれに、AHA(American Heart Association)によって規定されたセグメントの番号(図中、#3、#5、#8)を表示させる。
また、表示制御機能145eは、強調した領域のWSSのみを表示してもよい。図16は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図16に示すように、拡大した領域のみを表示させるように制御する。この場合、例えば、表示制御機能145eは、拡大した領域以外の領域を全て背景色と同様の単一の色(例えば、黒)に変更することで実施することができる。
(変形例4)
上記した第2の実施形態のステップ6では、特徴的な位置のWSSの値を強調して表示する場合について説明した。変形例4では、医用画像をさらに表示させる場合について説明する。
例えば、プラークなどがある場合、VR画像の拡大表示だけではプラークにかかる力がわかりにくい場合がある。そこで、表示制御機能145eは、拡大する血管領域における断面の画像を並べて表示することができる。すなわち、表示制御機能145eは、WSSとともに、対応する血管の断面を示す医用画像を並列して表示させる。
図17は、第2の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図17に示すように、拡大させた血管領域のカラー画像と、血管領域を描出したMPR画像を並列して表示させる。
ここで、表示制御機能145eは、表示させる血管領域の形状又は性状に応じて断面を変化させた医用画像を表示させる。例えば、表示制御機能145eは、プラークを有する血管領域について、血管径が最も短くなる断面で切断したCPR画像を表示させる。また、表示制御機能145eは、曲率が閾値より高い血管領域について、血管の曲がりに対して水平な断面で切断したMPR画像を表示させる。
また、表示制御機能145eは、断面画像を表示することが解像度などの限界から困難である場合に、模式図を表示することもできる。図18は、第2の実施形態に係る血管断面の模式図の表示例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図18に示すように、血管径が最も短くなる断面で血管領域を切断した場合の模式図や、血管の曲がりに対して水平な断面で切断した場合の模式図を表示させる。このように、模式図であってもプラークなどにかかる力の傾向を観察することはできるため、ユーザは必要に応じて別画面で断面像を確認することができる。
(変形例5)
変形例5では、立体視によりWSSを表示させる場合について説明する。
例えば、表示制御機能145eは、立体視を利用して、血管領域を強調表示させることもできる。VR画像などは2つ並べて表示することにより、人間の両眼の視差を用いて立体的に視覚を得る(立体視する)ことができる。そこで、表示制御機能145eは、強調させる領域の表示形態を、並べて表示させる2つの画像の内の一方の画像においてだけ変更することにより、立体視した際に当該領域が強調されるVR画像を表示させる。例えば、表示制御機能145eは、強調して表示させる血管領域について、立体視に応じた視差角分ずらした位置からレンダリングすることでそれぞれ生成された2つのVR画像を表示させる。これにより、表示制御機能145eは、立体視によって血管領域を強調させた画像を表示させることができる。
上述したように、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、抽出された代表値又は血管領域を強調して表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、視認性の高い情報を表示することを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、抽出された代表値又は血管領域を拡大させることで強調させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、より視認性の高い情報を表示させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、拡大させる複数の血管領域間の距離が閾値より小さい場合に、複数の血管領域を単一の拡大領域で拡大させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、複数の血管領域について観察し易い画像を表示させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、色、テクスチャ、パターン、又は、付加情報を用いて、抽出された代表値又は血管領域を強調させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、種々の強調方法を用いて、血管領域強調表示させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、視線方向に重なる複数の血管における壁せん断応力を表示させる場合に、視線方向に重ならないように複数の血管の形状を変化させて、各血管における壁せん断応力を表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管全体の情報を一目で確認することを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、拡大させた代表値又は血管領域を血管と区別して表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、拡大させた領域の視認性をより高めることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、区別して表示させた血管領域を識別するための識別情報をさらに表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管情報を提供することができ、血管領域についてより分かりやすく表示することを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、壁せん断応力とともに、対応する血管の断面を示す医用画像を並列して表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管領域の形態情報を提供することができ、診断効率を向上させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、表示させる血管領域の形状又は性状に応じて断面を変化させた医用画像を表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管領域の形状及び性状に応じて適切な医用画像を表示させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、表示制御機能145eは、プラークを有する血管領域について、血管径が最も短くなる断面で切断したCPR画像を表示させる。また、表示制御機能145eは、曲率が閾値より高い血管領域について、血管の曲がりに対して水平な断面で切断したMPR画像を表示させる。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置140は、適切な医用画像を表示させることを可能にする。
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、WSSの値に応じた情報を血管画像に付帯させて表示する場合について説明した。第3の実施形態では、WSSのグラフ表示について説明する。なお、第3の実施形態に係る医用画像処理装置140は、第1及び第2の実施形態と比較して、表示制御機能145eによる処理内容が異なる。以下、この点を中心に説明する。
第3の実施形態に係る表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとの、心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の最大値及び最小値を示したグラフをさらに表示させる。図19は、第3の実施形態に係るグラフ表示の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図19に示すように、縦軸にWSSの値を示し、横軸に心線の距離方向の位置を示すグラムを表示させる。
ここで、表示制御機能145eは、各位置における最大値を示す曲線L1と、各位置における最低値を示す曲線L2とを示したグラフを表示させる。これにより、ユーザは、血管全体にわたるWSSの最大値と最低値の状態を一目で把握することができる。
また、表示制御機能145eは、心線に直交する断面と交差する血管壁におけるWSSの値の分布をグラフにさらに表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図19に示すように、血管の位置aにおけるWSSの分布をグラフ上にプロットして表示させる。ここで、WSSの分布を表示させる位置は、ユーザが任意に指定することができる。これにより、ユーザは、血管における所望の位置のWSSの分布状態を一目で把握することができる。
上述したように、第3の実施形態によれば、表示制御機能145eは、血管の心線の位置ごとの、心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の最大値及び最小値を示したグラフをさらに表示させる。したがって、第3の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管の各位置におけるWSSの最大値と最低値の状態を一目で把握させることを可能にする。
また、第3の実施形態によれば、表示制御機能145eは、心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の分布をグラフにさらに表示させる。したがって、第3の実施形態に係る医用画像処理装置140は、血管におけるWSSの分布状態を一目で把握させることを可能にする。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、WSSと医用画像の表示において、その他種々の形態について説明する。例えば、第4の実施形態に係る表示制御機能145eは、WSSにおいて特徴的な位置を、血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示させる。ここで、WSSにおいて特徴的な位置とは、例えば、WSSの値が相対的に高い位置や、WSSの値が相対的に低い位置、疾患が疑われる値を示す位置、プラークを含む領域の位置などである。
図20は、第4の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。図20では、血管の断面を示す医用画像として、血管の心線に直交する断面である短軸断面画像(クロスカット画像)を表示する場合について示す。例えば、表示制御機能145eは、図20に示すように、表示領域A1に冠動脈のVR画像を表示させるとともに、表示領域A21~A26に冠動脈の各位置における短軸断面画像を表示させる。なお、表示制御機能145eは、短軸断面画像の各画素を各画素位置に対応するWSSの値に応じて表現させた画像で表示させることができる。例えば、WSSの値に応じた色で表現させたカラー画像を表示することができる。その他、WSSの値に応じた透過度、明度、グレースケール値、テクスチャ、記号、マークなどで表現された画像を表示させてもよい。もちろんこれらは例であり、WSSの値に応じた表現方法により表現された画像であればどのような画像を表示してもよい。
ここで、表示制御機能145eは、WSSにおいて特徴的な位置を短軸断面画像における所定の方向に表示させる。例えば、表示制御機能145eは、図20に示すように、各短軸断面において特徴的な位置を短軸断面画像の下側に表示させる。一例を挙げると、画像生成機能145dは、冠動脈の周方向における所定の位置を上側とした短軸断面画像を、冠動脈の心線に沿ってそれぞれ生成する。表示制御機能145eは、生成された短軸断面画像について、冠動脈の周方向の各位置におけるWSSを比較し、比較結果に基づく特徴的な位置が画像の下側に示されるように、画像中心を回転軸として短軸断面画像を回転して表示させる。
なお、短軸断面画像における所定の方向に表示させる位置は、ユーザによって任意に選択される。例えば、表示制御機能145eが、短軸断面画像における所定の方向に表示させる位置を選択するためのGUIを表示させ、ユーザが入力インタフェース143を介したGUIの操作により、所定の方向に表示させる位置を選択する。また、表示させる方向は、図20に示す短軸断面画像の下側に限らず、任意の方向に表示させることができる。
また、表示制御機能145eは、WSSにおいて特徴的な位置に対応する3次元画像上の位置を識別可能に表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図20に示すように、表示領域A21~A26に表示させた各短軸断面画像の下側の位置に対応するVR画像上の位置を矢印で示すことができる。
また、さらに、表示制御機能145eは、WSSにおいて特徴的な位置を血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示するための画像の移動量に関する情報をさらに表示させることもできる。上述したように、表示制御機能145eは、特徴的な位置が画像における所定の方向(例えば、下側)に示されるように、画像中心を回転軸として短軸断面画像を回転して表示させる。そこで、表示制御機能145eは、回転量に関する情報を上記の移動量としてさらに表示させることができる。
例えば、表示制御機能145eは、図20の表示領域A21~A26に表示させた各短軸断面画像の回転量に応じて、各表示領域の枠の表示形態を変化させる。一例を挙げると、表示制御機能145eは、表示領域A21に表示させた短軸断面画像の回転量に応じて表示領域A21の外枠の色を変化させる。同様に、表示制御機能145eは、その他の短軸断面画像の回転量に応じて、表示領域A22~A26の外枠の色を変化させる。その他、表示制御機能145eは、表示領域A21~A26に対応付けて、回転量を示す数値を表示させることもできる。
上述した例では、血管の断面を示す医用画像として、短軸断面画像を表示させる場合について説明したが、表示制御機能145eは、血管の断面を示す医用画像として、CPR画像を表示させることもできる。図21は、第4の実施形態に係る表示制御処理の一例を示す図である。例えば、表示制御機能145eは、図21に示すように、表示領域A1に冠動脈のVR画像を表示させるとともに、表示領域A3に冠動脈のCPR画像を表示させる。
ここで、表示制御機能145eは、短軸断面画像の表示と同様に、CPR画像においても、WSSにおいて特徴的な位置を、血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図21に示すように、WSSにおいて特徴的な位置を、冠動脈のCPR画像の左側に表示させる。すなわち、画像生成機能145dは、WSSにおいて特徴的な位置がCPR画像における所定の方向(例えば、左側)となるように、血管の断面方向を変化させたCPR画像を生成する。そして、表示制御機能145eは、生成されたCPR画像を表示させる。なお、表示制御機能145eは、CPR画像をWSSの値に応じた色でカラー化させたカラー画像で表示させることができる。また、所定の方向に表示させる特徴的な位置、及び、表示させる方向は、ユーザによって任意に選択される。
また、表示制御機能145eは、短軸断面画像の表示と同様に、画像間の位置の対応関係を識別可能に表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図21に示すように、VR画像及びCPR画像上に矢印を示すことで、画像間の位置の対応関係を表示する。
また、さらに、表示制御機能145eは、短軸断面画像の表示と同様に、特徴的な位置が画像における所定の方向(例えば、左側)に示すための移動量に関する情報を表示させることができる。例えば、表示制御機能145eは、図21のCPR画像を生成するための血管の断面方向の変化量に応じて、表示領域A3の枠の表示形態を変化させる。一例を挙げると、表示制御機能145eは、血管の走行方向の各位置における断面方向の変化量に応じて、表示領域A3の外枠の縦方向の各位置の色を変化させる。
上述したように、第4の実施形態によれば、表示制御機能145eは、壁せん断応力において特徴的な位置を、血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示させる。したがって、第4の実施形態に係る医用画像処理装置140は、ユーザの関心部位(特徴的な位置)の連続性がどのような状態となっているかを容易に識別することを可能にする。
また、第4の実施形態によれば、表示制御機能145eは、壁せん断応力において特徴的な位置を血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示するための位置の移動量に関する情報をさらに表示させる。したがって、第4の実施形態に係る医用画像処理装置140は、特徴的な位置の分布状態を容易に把握させることを可能にする。ここで、移動量に関する情報として、短軸断面の場合は回転量、CPR画像の場合には血管の断面方向の変化量を移動量として扱う例を述べた。移動量とは、本来の画像上における特徴的な位置を、所定の方向に合わせて表示させるためのなんらかの移動量であればよく、短軸画像の断面上の回転量や、血管の断面方向の変化量のみに限られない。例えばボリュームレンダリング画像において観察角度を変更したり、あるいは所定の血管部分を血管軸に沿って回転させたりすることで、特徴的な位置を視認しやすい、つまり画面の手前側に表示させる制御を行う場合に、観察角度の変更量、あるいは血管部分の血管軸に沿った回転量を移動量として取り扱っても構わない。
また、第4の実施形態によれば、表示制御機能145eは、血管の断面を示す医用画像とともに当該血管の3次元画像を表示させ、壁せん断応力において特徴的な位置に対応する3次元画像上の位置を識別可能に表示させる。したがって、第4の実施形態に係る医用画像処理装置140は、特徴的な位置の3次元の分布状態を容易に把握させることを可能にする。
(他の実施形態)
なお、上述した実施形態では、心臓の血管に関する医用画像として、冠動脈CT画像を用いる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、血管の形状、及び、血液の流速等の流れ情報が算出可能な種類の画像であれば、どのような種類の医用画像が用いられてもよい。例えば、超音波診断画像によって得られた超音波画像や、MRI装置によって得られたMR画像等が用いられてもよい。
また、上述した実施形態では、WSSに関する情報を医用画像処理装置140のディスプレイ144に表示させる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、WSSに関する情報を医用情報表示装置130のディスプレイに表示させる場合でもよい。
なお、上述した実施形態では、本明細書における抽出部及び表示制御部を、それぞれ、処理回路の抽出機能及び表示制御機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における抽出部及び表示制御部は、実施形態で述べた抽出機能及び表示制御機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、壁せん断応力を観察し易く表示することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以上の実施形態に関し、発明の一側面及び選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
血管の壁せん断応力の分布を取得する取得部と、
前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は血管領域を抽出する抽出部と、
前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる表示制御部と、
を備える、医用画像処理装置。
(付記2)
前記抽出部は、前記血管においてプラークを含む領域について、相対的に高い壁せん断応力の値を代表値として抽出し、前記血管においてプラークを含まない領域について、相対的に低い壁せん断応力の値を代表値として抽出し、
前記表示制御部は、抽出された代表値が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させてもよい。
(付記3)
前記抽出部は、前記血管における血管枝ごとにプラークの有無を判定し、前記血管枝ごとに前記代表値を抽出してもよい。
(付記4)
前記抽出部は、前記血管における血管枝の走行方向に沿った領域ごとにプラークの有無を判定し、前記血管枝の走行方向に沿った領域ごとに前記代表値を抽出してもよい。
(付記5)
前記抽出部は、前記血管におけるプラークの硬さをさらに判定し、前記プラークの硬さに応じて前記抽出基準を変更してもよい。
(付記6)
前記抽出部は、前記血管において曲率が閾値より高い血管領域を抽出し、
前記表示制御部は、前記曲率が閾値より高い血管領域について、曲りの内側の領域における壁せん断応力が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させてもよい。
(付記7)
前記抽出部は、同一血管を対象に複数の時点で算出された壁せん断応力の同一位置ごとの差分を算出し、算出した差分が閾値より高い血管領域又は算出した差分が閾値より低い血管領域を抽出し、
前記表示制御部は、抽出された血管領域における壁せん断応力が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させてもよい。
(付記8)
前記抽出部は、前記血管によって血液が供給される心筋における炎症の有無をさらに判定し、前記心筋が炎症を有する場合、前記血管においてプラークを含まない領域における抽出基準を変更させてもよい。
(付記9)
前記抽出部は、さらに、前記血管の心線の位置ごとに、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値から、最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値を抽出し、
前記表示制御部は、さらに、前記血管の心線の位置ごとに抽出された最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させてもよい。
(付記10)
前記表示制御部は、前記代表値又は前記血管領域の抽出に用いた抽出基準をさらに表示させてもよい。
(付記11)
前記表示制御部は、抽出された代表値又は血管領域を強調して表示させてもよい。
(付記12)
前記表示制御部は、抽出された代表値又は血管領域を拡大させることで強調させてもよい。
(付記13)
前記表示制御部は、拡大させる複数の血管領域間の距離が閾値より小さい場合に、前記複数の血管領域を単一の拡大領域で拡大させてもよい。
(付記14)
前記表示制御部は、色、テクスチャ、パターン、又は、付加情報を用いて、抽出された代表値又は血管領域を強調させてもよい。
(付記15)
前記表示制御部は、視線方向に重なる複数の血管における壁せん断応力を表示させる場合に、前記視線方向に重ならないように前記複数の血管の形状を変化させて、各血管における壁せん断応力を表示させてもよい。
(付記16)
前記表示制御部は、拡大させた代表値又は血管領域を前記血管と区別して表示させてもよい。
(付記17)
前記表示制御部は、区別して表示させた血管領域を識別するための識別情報をさらに表示させてもよい。
(付記18)
前記表示制御部は、前記壁せん断応力とともに、対応する血管の断面を示す医用画像を並列して表示させてもよい。
(付記19)
前記表示制御部は、表示させる血管領域の形状又は性状に応じて断面を変化させた医用画像を表示させてもよい。
(付記20)
前記表示制御部は、プラークを有する血管領域について、血管径が最も短くなる断面で切断したCPR(Curved Planar Reconstruction)画像を表示させてもよい。
(付記21)
前記表示制御部は、曲率が閾値より高い血管領域について、血管の曲がりに対して水平な断面で切断したMPR(Multi Planar Reconstruction)画像を表示させてもよい。
(付記22)
前記表示制御部は、前記血管の心線の位置ごとの、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の最大値及び最小値を示したグラフをさらに表示させてもよい。
(付記23)
前記表示制御部は、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の分布を前記グラフにさらに表示させてもよい。
(付記24)
前記表示制御部は、前記壁せん断応力において特徴的な位置を、血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示させてもよい。
(付記25)
前記表示制御部は、前記壁せん断応力において特徴的な位置を前記血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示するための前記位置の移動量に関する情報をさらに表示させてもよい。
(付記26)
前記表示制御部は、前記血管の断面を示す医用画像とともに当該血管の3次元画像を表示させ、前記壁せん断応力において特徴的な位置に対応する前記3次元画像上の位置を識別可能に表示させてもよい。
(付記27)
血管における壁せん断応力の空間分布に基づいて、代表値又は血管領域を抽出する抽出部と、
前記壁せん断応力の代表値又は血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる表示制御部と、
を備える、医用画像処理装置。
(付記28)
医用画像処理装置と、医用情報表示装置とを含む医用画像処理システムであって、
前記医用画像処理装置が、
血管の壁せん断応力の分布を取得し、
前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は特徴的な血管領域を抽出し、
前記医用情報表示装置が、
前記壁せん断応力の代表値又は血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、
医用画像処理システム。
(付記29)
血管の壁せん断応力の分布を取得し、
血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は血管領域を抽出し、
前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、
ことを含む、医用画像処理方法。
100 医用画像処理システム
130 医用情報表示装置
140 医用画像処理装置
145 処理回路
145c 抽出機能
145e 表示制御機能

Claims (29)

  1. 血管の壁せん断応力の分布を取得する取得部と、
    前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は血管領域を抽出する抽出部と、
    前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる表示制御部と、
    を備える、医用画像処理装置。
  2. 前記抽出部は、前記血管においてプラークを含む領域について、相対的に高い壁せん断応力の値を代表値として抽出し、前記血管においてプラークを含まない領域について、相対的に低い壁せん断応力の値を代表値として抽出し、
    前記表示制御部は、抽出された代表値が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、請求項1に記載の医用画像処理装置。
  3. 前記抽出部は、前記血管における血管枝ごとにプラークの有無を判定し、前記血管枝ごとに前記代表値を抽出する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  4. 前記抽出部は、前記血管における血管枝の走行方向に沿った領域ごとにプラークの有無を判定し、前記血管枝の走行方向に沿った領域ごとに前記代表値を抽出する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  5. 前記抽出部は、前記血管におけるプラークの硬さをさらに判定し、前記プラークの硬さに応じて前記抽出基準を変更する、請求項2~4のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  6. 前記抽出部は、前記血管において曲率が閾値より高い血管領域を抽出し、
    前記表示制御部は、前記曲率が閾値より高い血管領域について、曲りの内側の領域における壁せん断応力が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、請求項1に記載の医用画像処理装置。
  7. 前記抽出部は、同一血管を対象に複数の時点で算出された壁せん断応力の同一位置ごとの差分を算出し、算出した差分が閾値より高い血管領域又は算出した差分が閾値より低い血管領域を抽出し、
    前記表示制御部は、抽出された血管領域における壁せん断応力が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、請求項1に記載の医用画像処理装置。
  8. 前記抽出部は、前記血管によって血液が供給される心筋における炎症の有無をさらに判定し、前記心筋が炎症を有する場合、前記血管においてプラークを含まない領域における抽出基準を変更する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
  9. 前記抽出部は、さらに、前記血管の心線の位置ごとに、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値から、最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値を抽出し、
    前記表示制御部は、さらに、前記血管の心線の位置ごとに抽出された最高値、最低値、平均値、又は、隣接する値との差分が最も大きい値が示されるように、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、請求項1~8のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  10. 前記表示制御部は、前記代表値又は前記血管領域の抽出に用いた抽出基準をさらに表示させる、請求項1~9のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  11. 前記表示制御部は、抽出された代表値又は血管領域を強調して表示させる、請求項1~10のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  12. 前記表示制御部は、抽出された代表値又は血管領域を拡大させることで強調させる、請求項11に記載の医用画像処理装置。
  13. 前記表示制御部は、拡大させる複数の血管領域間の距離が閾値より小さい場合に、前記複数の血管領域を単一の拡大領域で拡大させる、請求項12に記載の医用画像処理装置。
  14. 前記表示制御部は、色、テクスチャ、パターン、又は、付加情報を用いて、抽出された代表値又は血管領域を強調させる、請求項11に記載の医用画像処理装置。
  15. 前記表示制御部は、視線方向に重なる複数の血管における壁せん断応力を表示させる場合に、前記視線方向に重ならないように前記複数の血管の形状を変化させて、各血管における壁せん断応力を表示させる、請求項1~14のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  16. 前記表示制御部は、拡大させた代表値又は血管領域を前記血管と区別して表示させる、請求項12又は13に記載の医用画像処理装置。
  17. 前記表示制御部は、区別して表示させた血管領域を識別するための識別情報をさらに表示させる、請求項16に記載の医用画像処理装置。
  18. 前記表示制御部は、前記壁せん断応力とともに、対応する血管の断面を示す医用画像を並列して表示させる、請求項1~17のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  19. 前記表示制御部は、表示させる血管領域の形状又は性状に応じて断面を変化させた医用画像を表示させる、請求項18に記載の医用画像処理装置。
  20. 前記表示制御部は、プラークを有する血管領域について、血管径が最も短くなる断面で切断したCPR(Curved Planar Reconstruction)画像を表示させる、請求項19に記載の医用画像処理装置。
  21. 前記表示制御部は、曲率が閾値より高い血管領域について、血管の曲がりに対して水平な断面で切断したMPR(Multi Planar Reconstruction)画像を表示させる、請求項19に記載の医用画像処理装置。
  22. 前記表示制御部は、前記血管の心線の位置ごとの、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の最大値及び最小値を示したグラフをさらに表示させる、請求項1~21のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
  23. 前記表示制御部は、前記心線に直交する断面と交差する血管壁における壁せん断応力の値の分布を前記グラフにさらに表示させる、請求項22に記載の医用画像処理装置。
  24. 前記表示制御部は、前記壁せん断応力において特徴的な位置を、血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示させる、請求項1に記載の医用画像処理装置。
  25. 前記表示制御部は、前記壁せん断応力において特徴的な位置を前記血管の断面を示す医用画像における所定の方向に表示するための前記位置の移動量に関する情報をさらに表示させる、請求項24に記載の医用画像処理装置。
  26. 前記表示制御部は、前記血管の断面を示す医用画像とともに当該血管の3次元画像を表示させ、前記壁せん断応力において特徴的な位置に対応する前記3次元画像上の位置を識別可能に表示させる、請求項24に記載の医用画像処理装置。
  27. 血管における壁せん断応力の空間分布に基づいて、代表値又は血管領域を抽出する抽出部と、
    前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる表示制御部と、
    を備える、医用画像処理装置。
  28. 医用画像処理装置と、医用情報表示装置とを含む医用画像処理システムであって、
    前記医用画像処理装置が、
    血管の壁せん断応力の分布を取得し、
    前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は血管領域を抽出し、
    前記医用情報表示装置が、
    前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、
    医用画像処理システム。
  29. 血管の壁せん断応力の分布を取得し、
    前記血管の形状又は性状に応じて領域ごとに定められた抽出基準に基づいて、前記血管における壁せん断応力の分布から、代表値又は血管領域を抽出し、
    前記壁せん断応力の代表値又は特徴的な血管領域の抽出結果に基づいて、前記血管における壁せん断応力の表示形態を変化させる、
    ことを含む、医用画像処理方法。
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