JP2022030645A - p型酸化物半導体及びp型酸化物半導体を含む半導体装置 - Google Patents

p型酸化物半導体及びp型酸化物半導体を含む半導体装置 Download PDF

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Kentaro Kaneko
泰久 増田
Yasuhisa Masuda
静雄 藤田
Shizuo Fujita
勲 ▲高▼橋
Isao Takahashi
勇次 加藤
Yuji Kato
亮平 菅野
Ryohei Sugano
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Abstract

【課題】工業的に有用であり、かつ半導体特性に優れたp型の酸化物半導体を含む半導体装置を提供する。【解決手段】 イリジウムと、周期律表の第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、さらにドーパントを含有し、ホールキャリア密度が1.0×1019/cm3以下である、p型酸化物半導体。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物半導体に関し、p型酸化物半導体に関する。また、本発明は酸化物半導体を含む半導体装置および/またはシステムに関する。本発明は、p型酸化物半導体の形成方法に関する。
高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga)を用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。しかも、広いバンドギャップからLEDやセンサー等の受発光装置としての応用も期待されている。当該酸化ガリウムは非特許文献1によると、インジウムやアルミニウムをそれぞれ、あるいは組み合わせて混晶することによりバンドギャップ制御することが可能であり、InAlGaO系半導体として極めて魅力的な材料系統を構成している。ここでInAlGaO系半導体とはInAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5~2.5)を示し、酸化ガリウムを内包する同一材料系統として俯瞰することができる(特許文献1)。
そして、近年においては、酸化ガリウム系のp型半導体が検討されており、例えば、特許文献2には、β-Ga系結晶を、MgO(p型ドーパント源)を用いてFZ法により形成したりすると、p型導電性を示す基板が得られることが記載されている。また、特許文献3には、MBE法により形成したα-(AlGa1-x単結晶膜にp型ドーパントをイオン注入してp型半導体を形成することが記載されている。しかしながら、これらの方法では、p型半導体の作製は実現困難であり(非特許文献1)、実際に、これらの方法でp型半導体の作製に成功したとの報告はなされていない。そのため、実現可能なp型酸化物半導体及びその製造方法が待ち望まれていた。
また、非特許文献2や非特許文献3に記載されているように、例えばRhやZnRh等をp型半導体に用いることも検討されているが、Rhは、成膜時に特に原料濃度が薄くなってしまい、成膜に影響する問題があり、有機溶媒を用いても、Rh単結晶が作製困難であった。また、ホール効果測定を実施してもp型とは判定されることがなく、測定自体もできていない問題もあり、また、測定値についても、例えばホール係数が測定限界(0.2cm/C)以下しかなく、使いものには到底ならなかった。また、ZnRhは移動度が低く、バンドギャップも狭いため、LEDやパワーデバイスに用いることができない問題があり、これらは必ずしも満足のいくものではなかった。
ワイドバンドギャップ半導体として、RhやZnRh等以外にも、p型の酸化物半導体が種々検討されている。特許文献4には、デラフォサイトやオキシカルコゲナイド等をp型半導体として用いることが記載されている。しかしながら、これらの半導体は、移動度が1cm/V・s程度かまたはそれ以下であり、電気特性が悪く、α-Ga等のn型の次世代酸化物半導体とのpn接合がうまくできない問題もあった。
なお、従来より、Irは知られている。例えば、特許文献5には、イリジウム触媒としてIrを用いることが記載されている。また、特許文献6には、Irを誘電体に用いることが記載されている。また、特許文献7には、電極にIrを用いることが記載されている。しかしながら、Irをp型半導体に用いることは知られていなかったが、最近、本出願人らにより、p型半導体として、Irを用いることが検討され、研究開発が進められている(特許文献8~11)。また、Irと周期律表の第13族の酸化物の混晶についてはまだまだ十分に満足のいくものが得られておらず、例えば、バンドギャップ3.4eV以上のp型酸化物の混晶が待ち望まれていた。また、イリジウムを含むp型酸化物半導体の低キャリア密度化が待ち望まれていた。
国際公開第2014/050793号公報 特開2005-340308号公報 特開2013-58637号公報 特開2016-25256号公報 特開平9-25255号公報 特開平8-227793号公報 特開平11-21687号公報 国際公開第2018/004008号公報 国際公開第2018/004009号公報 国際公開第2018/043503号公報 国際公開第2019/098295号公報
竹本達哉、EE Times Japan"パワー半導体 酸化ガリウム"熱伝導率、P型……課題を克服して実用化へ、[online]、2014年2月27日、アイティメディア株式会社、[平成28年6月21日検索]、インターネット〈URL:http://eetimes.jp/ee/articles/1402/27/news028_2.html〉 F.P.KOFFYBERG et al., "optical bandgaps and electron affinities of semiconducting Rh2O3(I) and Rh2O3(III)", J. Phys. Chem. Solids Vol.53, No.10, pp.1285-1288, 1992 細野秀雄、"酸化物半導体の機能開拓"、物性研究・電子版 Vol.3、No.1、031211(2013年11月・2014年2月合併号)
本発明は、工業的に有用であり、かつ半導体特性に優れたp型酸化物半導体を提供することを目的の1つとしている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ミストCVD法でもって、マグネシウム(Mg)の有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)を用いてドープを行ってイリジウムと周期律表の第13族金属とを含有する混晶を成膜することにより、従来作製困難であった、イリジウムと、周期律表の第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、ホールキャリア密度が1.0×1019/cm以下である、p型酸化物半導体の創製に成功し、このような酸化物半導体が、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得たのち、さらに検討を重ね、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1] イリジウムと、周期律表の第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、さらにドーパントを含有し、ホールキャリア密度が1.0×1019/cm以下である、p型酸化物半導体。
[2] コランダム構造を有する、前記[1]記載のp型酸化物半導体。
[3] 前記周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、原子比で、イリジウムよりも多い、前記[1]または[2]に記載のp型酸化物半導体。
[4] 前記周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、前記金属酸化物中に含まれる全ての金属において、原子比で、50%以上である、前記[1]または[2]に記載のp型酸化物半導体。
[5] 3.4 eV以上のバンドギャップを有する、前記[1]~[4]のいずれかに記載のp型酸化物半導体。
[6] 膜形状を有している、前記[1]~[5]のいずれかに記載のp型酸化物半導体。
[7] 前記[1]~[6]のいずれかに記載のp型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されているn型酸化物半導体と、を少なくとも有する半導体装置。
[8] 前記n型酸化物半導体がコランダム構造を有する、前記[7]記載の半導体装置。
[9]前記n型酸化物半導体が、n-型酸化物半導体である、前記[7]または[8]に記載の半導体装置。
[10]前記[1]~[6]のいずれかに記載のp型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第1のn型酸化物半導体と、前記第1のn型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第2のn型酸化物半導体と、を少なくとも有する、半導体装置。
[11]前記第1のn型酸化物半導体がコランダム構造を有し、前記第2のn型酸化物半導体がコランダム構造を有する、前記[10]記載の半導体装置。
[12] ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET(、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)IGBTおよび接合電界効果トランジスタ(JFET)から選択される1つである前記[7]~[11]のいずれかに記載の半導体装置。
[13] シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された埋め込み絶縁層とを有するSOI構造をさらに含む、前記[7]~[12]のいずれかにのいずれかに記載の半導体装置。
[14] パワーデバイスである前記[7]~[13]のいずれかに記載の半導体装置。
[15] パワーモジュール、インバータまたはコンバータである前記[7]~[14]のいずれかに記載の半導体装置。
[16] 半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体装置が、前記[7]~[15]のいずれかに記載の半導体装置である半導体システム。
本発明のp型酸化物半導体は、工業的に有用であり、かつ半導体特性に優れている。
実施例において用いられる成膜装置(ミストCVD装置)の概略構成図である。 ショットキーバリアダイオード(SBD)の好適な一例を模式的に示す図である。 高電子移動度トランジスタ(HEMT)の好適な一例を模式的に示す図である。 金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の好適な一例を模式的に示す図である。 接合電界効果トランジスタ(JFET)の好適な一例を模式的に示す図である。 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の好適な一例を模式的に示す図である。 発光素子(LED)の好適な一例を模式的に示す図である。 発光素子(LED)の好適な一例を模式的に示す図である。 電源システムの好適な一例を模式的に示す図である。 システム装置の好適な一例を模式的に示す図である。 電源装置の電源回路図の好適な一例を模式的に示す図である。 ヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT)の好適な一例を模式的に示す図である。 金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の好適な一例を模式的に示す図である。 実施例2で得られた酸化物半導体膜のXRD測定の結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明のp型酸化物半導体の実施態様および/または半導体装置の実施態様において、前記p型酸化物半導体はイリジウムと、周期律表の第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、さらに特定のドーパントを含有させることで、かつホールキャリア密度が1.0×1019/cm以下となることを特長とする。ここで、「ホールキャリア密度」は、ホール効果測定によって得られる酸化物半導体中の正孔のキャリア密度をいう。前記ホールキャリア密度の下限は特に限定されないが、約1.0×1014/cm以上が好ましく、約1.0×1015/cm以上がより好ましい。
また、本発明のp型酸化物半導体の実施態様および/または半導体装置の実施態様において、p型酸化物半導体に含まれる金属酸物がコランダム構造を有するのが好ましい。「コランダム構造を有する金属酸化物」とは、少なくとも2種類の金属を含む金属酸化物の結晶であって、混晶としての結晶構造がコランダム構造を有するものをいう。また、本発明の実施態様において、前記混晶が単結晶膜であることが好ましい。
前記p型酸化物半導体(以下、「p型酸化物半導体膜」および/または「p型半導体層」ともいう)は、金属酸化物を主成分として含み、前記金属酸化物は、イリジウムと、周期律表第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する。本発明の実施態様においては、p型酸化物半導体が前記金属酸化物を主成分として含み、コランダム構造を有するのが好ましい。「主成分」とは、混晶である前記金属酸化物が、原子比で、p型酸化物半導体膜の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。また、本発明の実施態様においては、前記周期率表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、原子比で、イリジウムよりも多いのが好ましい。また、本発明の実施態様においては、前記周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、前記金属酸化物中に含まれる全ての金属において、原子比で、50%以上であるのが好ましい。本発明の実施態様において、前記p型酸化物半導体が、イリジウム(Ir)と、ガリウム(Ga)とを含有する金属酸化物を主成分として含むのが好ましい。「イリジウムとガリウムを含有する金属酸化物」は、イリジウム元素とガリウム元素と酸素とを含むものをいうが、本発明の実施態様においては、前記金属酸化物がIr1-xGaであるのが好ましく、α-Ir1-xGaであるのがより好ましい。なお、本発明の実施態様において、霧化液滴を生成する原料溶液中に含まれるガリウム(Ga)比率(%)が40%以上60%以下の範囲であって、さらに前記霧化液滴がドーパントを含有する場合に、バンドギャップのより高いp型酸化物半導体が得られた。また、本発明の実施態様によれば、3.4eV以上のバンドギャップを有するp型酸化物半導体の混晶が得られることが分かった。また、上記した本発明の好ましい実施態様によれば、前記バンドギャップが4.1eV以上のp型酸化物半導体の混晶を得ることができる。このような混晶は、p型半導体特性の耐熱性に優れているため、特に、パワーデバイス等に工業的有利に適用することができるだけでなく、例えば酸化ガリウムまたはその混晶等のバンドギャップの大きいn型酸化物半導体と組み合わせることによって、半導体装置の電気特性および信頼性をより向上させることができる。また、前記p型酸化物半導体の形状は特に限定されず、膜形状であってもよいし、板状であってもよいし、シート状であってもよい。また、前記p型酸化物半導体が、例えばp型酸化物半導体領域として、膜の一部を構成するものであってもよい。本発明の実施態様によれば、前記p型酸化物半導体が、膜形状を有しているのが好ましい。
なお、「周期律表」は、国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC)にて定められた周期律表を意味する。「dブロック」は、3d、4d、5d、および6d軌道を満たす電子を有する元素をいう。 前記dブロック金属としては、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、ローレンシウム(Lr)、ラザホージウム(Rf)、ドブニウム(Db)、シーボーギウム(Sg)、ボーリウム(Bh)、ハッシウム(Hs)、マイトネリウム(Mt)、ダームスタチウム(Ds)、レントゲニウム(Rg)、コペルニシウム(Cn)及びこれらの2種以上の金属などが挙げられる。
また、「第2族金属」は、周期律表の第2族金属であればそれでよく、第2族金属としては、例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はこれらの2種以上の金属等が挙げられる。「第9族金属」は、周期律表の第9族金属であればそれでよく、このような第9族金属としては、例えば、イリジウム(Ir)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)又はこれらの2種以上の金属等が挙げられる。また、「第13族金属」は、周期律表の第13族金属であれば特に限定されず、第13族金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)又はこれらの2種以上の金属等が挙げられるが、本発明においては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
前記ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知のものであってよい。本発明の実施形態によれば、前記ドーパントがp型ドーパントであるのが好ましい。前記ドーパントの含有量は、前記酸化物半導体膜の組成中、0.00001原子%以上であるのが好ましく、0.00001原子%~20原子%であるのがより好ましく、0.0001原子%~20原子%であるのが最も好ましい。前記p型ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記p型ドーパントとしては、例えば、Mg、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Ca、Sr、Ba、Ra、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Tl、Pb、N、P等及びこれらの2種以上の元素などが挙げられるが、本発明の実施態様においては、前記p型ドーパントが、Mg、ZnまたはCaであるのが好ましく、Mgであるのがより好ましい。このような好ましいドーパントを上記した好ましい金属酸化物と組み合わせて用いることにより、より高バンドギャップ(例えば、4.1eV以上)且つより低キャリア密度のp型酸化物半導体の混晶を実現することができる。
本発明のp型酸化物半導体は、好適には以下の方法により得られるが、このようなp型酸化物半導体の製造方法も新規且つ有用であり、本発明の1つとして包含される。
本発明の実施態様においてp型酸化物半導体の製造方法は、金属酸化物の混晶を形成して混晶を主成分とするp型酸化物半導体を製造する方法であって、イリジウム、ガリウムおよびドーパントを含む原料溶液を霧化して液滴を浮遊させて霧化液滴(ミストを含む)を生成し(霧化工程)、キャリアガスによって、基体の表面まで前記霧化液滴搬送し(搬送工程)、ついで、前記霧化液滴を熱反応させることにより、前記基体の表面上にイリジウムとガリウムを含有する金属酸化物の混晶で、さらにドーパントを含む混晶を形成すること(製膜工程)を特長とする。
(霧化工程)
霧化工程は、イリジウム及びガリウムの少なくとも2種類の金属を含む原料溶液を霧化する。この場合、イリジウムを含む第1の原料溶液と、ガリウムを含む第2の原料溶液とを準備して霧化し、イリジウムを含む第1の霧化液滴とガリウムを含む第2の霧化液滴とを生成してもよい。なお、前記原料溶液は所望によりさらに他の金属を含んでいてもよく、本発明の実施態様においては、前記原料溶液がさらにドーパントを含むのが好ましい。前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液を準備する場合、前記第1の原料溶液および/または前記第2の原料溶液がドーパントを含むのが好ましい。霧化方法は、前記原料溶液を霧化できさえすれば特に限定されず、公知の方法であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化方法が好ましい。超音波を用いて得られた霧化液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能な霧化液滴であるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。霧化液滴の液滴のサイズは、特に限定されず、数mm程度であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは100nm~10μmである。
(原料溶液)
前記原料溶液は、イリジウム及びガリウムを含み、さらに前記ドーパントを含んでいれば特に限定されず、無機材料が含まれていても、有機材料が含まれていてもよい。また、前記原料溶液は、所望により、さらに他の金属を含んでいてもよい。前記原料溶液がイリジウム及びガリウム及びさらに他の金属を含む場合には、該他の金属が、周期律表の第2族金属、イリジウム以外の第9族金属および/又はガリウム以外の第13族金属であるのが好ましい。また、前記原料溶液がイリジウムおよびガリウムを含有していてもよいし、イリジウムを含む原料溶液と、ガリウムを含む原料溶液とに分けてそれぞれ霧化工程に付し、搬送工程又は製膜工程にてそれぞれの原料溶液から得られたイリジウムを含有する霧化液滴とガリウムを含有する霧化液滴を合流させてもよい。本発明の実施態様においては、イリジウム及びガリウムおよび所望により他の金属を錯体又は塩の形態で有機溶媒または水に溶解又は分散させたものを前記原料溶液として好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩、リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。なお、本発明の実施態様で用いられるミストCVD法によれば、原料濃度が低くても、好適に製膜することができる。
前記原料溶液の溶媒は、特に限定されず、水等の無機溶媒であってもよいし、アルコール等の有機溶媒であってもよいし、無機溶媒と有機溶媒の混合溶液であってもよい。本発明においては、他の従来の成膜方法とは異なり、前記溶媒が水を含むのが好ましく、水と酸の混合溶媒であるのも好ましい。前記水としては、より具体的には、例えば、純水、超純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海水などが挙げられるが、本発明においては、超純水が好ましい。また、前記酸としては、より具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の有機酸;三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられるが、本発明の実施態様においては、酢酸が好ましい。
(基体)
前記基体は、前記p型酸化物半導体を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。また、基体として、後述するように、基板上にバッファ層等の他の層を積層してもよい。また、異なる電気導電を有する半導体層を含めて基体として用いてもよい。
前記基板は、板状であって、前記p型酸化物半導体の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、また、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。前記基板としては、好適には例えば、コランダム構造を有する基板などが挙げられる。基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記のコランダム構造を有する基板としては、例えば、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板などが挙げられ、より具体的には例えば、サファイア基板(好ましくはc面サファイア基板)やα型酸化ガリウム基板などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、前記特定の結晶構造を有する基板材料が、原子比で、基板材料の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。
(搬送工程)
搬送工程では、前記キャリアガスによって前記霧化液滴を基体へ搬送する。キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが挙げられるが、本発明においては、キャリアガスとして酸素を用いるのが好ましい。酸素が用いられているキャリアガスとしては、例えば空気、酸素ガス、オゾンガス等が挙げられるが、とりわけ酸素ガス及び/又はオゾンガスが好ましい。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、キャリアガス濃度を変化させた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。本発明においては、霧化室、供給管及び製膜室を用いる場合には、前記霧化室及び前記供給管にそれぞれキャリアガスの供給箇所を設けるのが好ましく、前記霧化室にはキャリアガスの供給箇所を設け、前記供給管には希釈ガスの供給箇所を設けるのがより好ましい。また、キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01~20L/分であるのが好ましく、1~10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001~2L/分であるのが好ましく、0.1~1L/分であるのがより好ましい。
(製膜工程)
製膜工程では、前記霧化液滴を前記基体表面近傍で反応させて、前記基体表面の一部または全部に製膜する。前記熱反応は、前記霧化液滴から膜が形成される熱反応であれば特に限定されず、熱でもって前記霧化液滴が反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、あまり高すぎない温度以下が好ましい。本発明においては、前記熱反応を、1200℃以下で行うのが好ましく、300℃~700℃または750℃~1200℃の温度で行うのがより好ましく、350℃~600℃または750℃~1100℃で行うのが最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸化雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、酸化雰囲気下で行われるのが好ましく、大気圧下で行われるのも好ましく、酸化雰囲気下でかつ大気圧下で行われるのがより好ましい。なお、「酸化雰囲気」は、イリジウムを含有する金属酸化物の結晶又は混晶が前記熱反応により形成できる雰囲気であれば特に限定されない。例えば、酸素を含むキャリアガスを用いたり、酸化剤を含む原料溶液から生成された霧化液滴を用いたりして酸化雰囲気とすること等が挙げられる。また、膜厚は、製膜時間を調整することにより、設定することができ、本発明においては、膜厚が1nm~1mmであるのが好ましく、1nm~100μmであるのが、半導体特性がより向上するのでより好ましく、1nm~10μmであるのが最も好ましい。
なお、本発明の実施態様においては、前記p型半導体層の成膜前又は成膜後に、n型半導体層(以下、「n型酸化物半導体」ともいう。)を形成するのが好ましい。n型半導体層の形成方法は特に限定されず、公知の方法であってよいが、本発明においては、ミストCVD法が好ましい。このようにして前記p型酸化物半導体上に前記n型半導体層を積層することにより、前記p型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されているn型酸化物半導体とを少なくとも有する半導体装置を得ることができる。本発明の実施態様においては、前記半導体装置が、前記p型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第1のn型酸化物半導体(例えば、n-型酸化物半導体等)と、前記第1のn型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第2のn型酸化物半導体(例えば、n+型酸化物半導体等)と、を少なくとも有するのも好ましい。前記n型半導体層は、酸化物半導体を主成分とするのが好ましく、周期律表の第13族金属(例えばAl、Ga、In、Tl等)を含む酸化物半導体を主成分とするのがより好ましい。また、前記n型半導体層は、結晶性酸化物半導体を主成分とするのも好ましく、Gaを含む結晶性酸化物半導体を主成分とするのがより好ましく、コランダム構造を有し且つGaを含む結晶性酸化物半導体を主成分とするのが最も好ましい。また、本発明においては、前記n型半導体の主成分である酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体との格子定数差が、1.0%以下であるのも、良好なpn接合を形成することができるため、好ましく、0.3%以下であるのがより好ましい。ここで、「格子定数差」とは、前記n型半導体の主成分である酸化物半導体の格子定数から、前記p型酸化物半導体の格子定数を差し引いた値を、前記p型酸化物半導体の格子定数で除した数値の絶対値を100倍した数値(%)と定義される。前記格子定数差が1.0%以下である場合の例としては、p型酸化物半導体がコランダム構造を有する場合であって、n型半導体の主成分である酸化物半導体もコランダム構造を有する場合等が挙げられ、より好適には、p型酸化物半導体が、Irの混晶であって、n型半導体の主成分である酸化物半導体が、Gaの単結晶又は混晶である場合等が挙げられる。なお、「主成分」とは、前記酸化物半導体が、原子比で、n型半導体層の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。また、本発明の実施態様においては、前記p型酸化物半導体が、単結晶であるのが好ましい。
上記のようにして得られるp型酸化物半導体膜は、p型半導体層として半導体装置に用いることができ、とりわけ、パワーデバイスに有用である。前記p型酸化物半導体膜を半導体装置に用いることにより、ラフネス散乱を抑制することができ、半導体装置のチャネル移動度を優れたものとすることができる。また、半導体装置は、電極が半導体層の片面側に形成された横型の素子(横型デバイス)と、半導体層の表裏両面側にそれぞれ電極を有する縦型の素子(縦型デバイス)に分類することができ、本発明においては、横型デバイスにも縦型デバイスにも好適に用いることができるが、中でも、縦型デバイスに用いることが好ましい。前記半導体装置としては、例えば、ショットキーバリアダイオード(SBD)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、静電誘導トランジスタ(SIT)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)または発光ダイオードなどが挙げられる。
前記p型酸化物半導体膜をp型半導体層に用いた半導体装置の例を図2~8、図12および図13に示す。なお、n型半導体は、p型酸化物半導体と同じ主成分であってn型ドーパントを含むものであってもよいし、p型酸化物半導体とは主成分等が異なるn型半導体であってもよい。また、前記n型半導体は、例えば、n型ドーパントの含有量を調整することにより、n-型半導体層、n+型半導体層などとして適宜用いられる。
図2は、本発明の実施態様の一つとして、半導体装置を示す。本実施態様における半導体装置は、n-型半導体層101a、n+型半導体層101b、p型半導体層102、金属層103、絶縁体層104、ショットキー電極105aおよびオーミック電極105bを備えているショットキーバリアダイオード(SBD)の好適な一例を示す。図2のSBDは、円弧部を備えているトレンチ70を有しており、かかるトレンチ70内に前記p型半導体層102が埋め込まれている。前記トレンチ70の底面70aと側面70bとの間に円弧部70cを有しており、前記円弧部の曲率半径が100nm~500nmの範囲内であり、電界緩和効果に優れ、オン抵抗を低くすることができる。SBDに逆バイアスが印加された場合には、トレンチ70の前記円弧部の応力緩和作用によって空乏層(図示せず)が結晶性酸化物半導体層としてのn型半導体層101aの中に良好に広がるため、高耐圧のSBDとなる。また、順バイアスが印加された場合には、結晶性酸化物半導体層の第1面側の反対の第2面側に位置するオーミック電極105bから結晶性酸化物半導体層の第1面側に位置するショットキー電極105aへ電子が流れる。このようにして前記半導体構造を用いたSBDは、高耐圧・大電流用に優れており、スイッチング速度も速く、耐圧性・信頼性にも優れている。なお、金属層103は、例えばAl等の金属からなり、ショットキー電極105aを覆っている。本実施態様において、前記p型半導体層102は、イリジウムと、周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、さらにドーパントを含有し、ホールキャリア密度が1.0×1019/cm以下である。前記n-型半導体層101がコランダム構造の酸化ガリウムを主成分として含む場合、前記n-型半導体層101上に配置される前記p型半導体層102もコランダム構造を有し、酸化ガリウムを含む混晶を主成分とすることから、親和性の高い半導体の積層構造が得られる。また、p型半導体層の耐熱性が向上する。
図3は、本発明の実施態様の一つとして、半導体装置を示す。本実施態様における半導体装置は、バンドギャップの広いn型半導体層121a、バンドギャップの狭いn型半導体層121b、n+型半導体層121c、p型半導体層123、ゲート電極125a、ソース電極125b、ドレイン電極125cおよび基板129を備えている高電子移動度トランジスタ(HEMT)の好適な一例を示す。本実施態様において、前記p型半導体層123は、イリジウムとガリウムとを少なくとも含む混晶を主成分として含んでおり、前記混晶がコランダム構造を有している。前記p型半導体層123は、前記n+型半導体層121cに接触して配置されている。前記n+型半導体層121cがコランダム構造の酸化ガリウムを主成分として含む場合、前記n+型半導体層121cに接触して配置される前記p型半導体層123もコランダム構造を有し、酸化ガリウムを含む混晶を主成分とすることから、親和性の高い半導体の積層構造を有する半導体装置が得られる。
ショットキー電極およびオーミック電極の材料は、公知の電極材料であってもよく、前記電極材料としては、例えば、Al、Mo、Co、Zr、Sn、Nb、Fe、Cr、Ta、Ti、Au、Pt、V、Mn、Ni、Cu、Hf、W、Ir、Zn、In、Pd、NdもしくはAg等の金属またはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェン又はポリピロ-ルなどの有機導電性化合物、またはこれらの混合物などが挙げられる。
ショットキー電極およびオーミック電極の形成は、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法などの公知の方法により行うことができる。より具体的に例えば、ショットキー電極を形成する場合、Moからなる層とAlからなる層を積層させ、Moからなる層およびAlからなる層に対して、フォトリソグラフィーの手法を利用したパターニングを施すことにより行うことができる。
絶縁体層の材料としては、例えば、GaO、AlGaO、InAlGaO、AlInZnGaO、AlN、Hf、SiN、SiON、Al、MgO、GdO、SiOまたはSiなどが挙げられるが、本発明においては、コランダム構造を有するものであるのが好ましい。絶縁体層の形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法またはCVD法などの公知の方法により行うことができる。
図4は、本発明の実施態様の一つとして、半導体装置を示す。本実施態様における半導体装置は、トレンチ型のMOSFETであって、n-型半導体層131a、第1のn+型半導体層131b、第2のn+型半導体層131c、p型半導体層132、p+型半導体層132a、ゲート絶縁膜134、ゲート電極135a、ソース電極135bおよびドレイン電極135cを備えている金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の好適な一例を示す。また、前記n-型半導体層131a及び前記第2のn+型半導体層131c内には、前記第1のn+半導体層131cを貫通し、前記n-型半導体層131aの途中まで達する深さの複数のトレンチ70として溝が形成されている。かかるトレンチ70は、いずれもトレンチ70の底面70bと側面70aとの間に前記円弧部70cを備えている。前記トレンチ70内には、例えば、10nm~1μmの厚みのゲート絶縁膜134を介してゲート電極135aが埋め込み形成されている。なお、p+型半導体層132aは、p型半導体層であってもよく、p型半導体層132と同じであってもよい。本実施態様において、前記p型半導体層132は、イリジウムとガリウムとを少なくとも含む混晶を主成分として含んでおり、前記混晶がコランダム構造を有している。前記p+型半導体層132aについても、イリジウムとガリウムとを少なくとも含む混晶を主成分として含み、前記混晶がコランダム構造を有していてもよい。前記p型半導体層131cおよび/または前記p+型半導体層132aは、コランダム構造を有するn+型半導体層121cおよび/またはn-型半導体層131aに接触して配置されている。前記n+型半導体層121cおよび/またはn-型半導体層131aがコランダム構造の酸化ガリウムを主成分として含む結晶を含む場合、前記p型半導体層131cおよび前記p+型半導体層132aもコランダム構造を有し、酸化ガリウムを含む混晶を主成分とすることから、親和性の高い半導体の積層構造を有する半導体装置が得られる。
図5は、本発明の実施態様の一つとして、半導体装置を示す。本実施態様における半導体装置は、n-型半導体層141a、第1のn+型半導体層141b、第2のn+型半導体層141c、p型半導体層142、ゲート電極145a、ソース電極145bおよびドレイン電極145cを備えている接合電界効果トランジスタ(JFET)の好適な一例を示す。図6は、n型半導体層151、n-型半導体層151a、n+型半導体層151b、p型半導体層152、ゲート絶縁膜154、ゲート電極155a、エミッタ電極155bおよびコレクタ電極155cを備えている絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)の好適な一例を示す。本実施態様において、前記p型半導体層142は、イリジウムとガリウムとを少なくとも含む混晶を主成分として含んでおり、前記混晶がコランダム構造を有している。前記p型半導体層142は、前記n-型半導体層141aおよび第1のn+型半導体層141bに接触して配置されている。前記n-型半導体層141aおよび/または前記第1のn+型半導体層141bがコランダム構造の酸化ガリウムを主成分として含む場合、前記n-型半導体層141aおよび第1のn+型半導体層141bに接触して配置される前記p型半導体層123もコランダム構造を含み、酸化ガリウムを含む混晶を主成分とすることから、親和性の高い半導体の積層構造を有する半導体装置が得られる。
(LED)
本発明の半導体装置が発光ダイオード(LED)である場合の一例を図7に示す。図7の半導体発光素子は、第2の電極165b上にn型半導体層161を備えており、n型半導体層161上には、発光層163が積層されている。そして、発光層163上には、p型半導体層162が積層されている。p型半導体層162上には、発光層163にて発生する光を透過する透光性電極167を備えており、透光性電極167上には、第1の電極165aが積層されている。発光層に用いられる発光体は公知のものであってもよい。なお、図7の半導体発光素子は、電極部分を除いて保護層で覆われていてもよい。本実施態様において、前記p型半導体層162は、イリジウムとガリウムとを少なくとも含む混晶を主成分として含んでおり、前記混晶がコランダム構造を有している。前記p型半導体層162と接触して配置される層がコランダム構造および/または酸化ガリウムを主成分として含む場合、親和性の高い半導体の積層構造を有する半導体装置が得られる。
透光性電極の材料としては、インジウム(In)またはチタン(Ti)を含む酸化物の導電性材料などが挙げられる。より具体的には、例えば、In、ZnO、SnO、Ga、TiO、CeOまたはこれらの2以上の混晶またはこれらにドーピングされたものなどが挙げられる。これらの材料を、スパッタリング等の公知の方法で設けることによって、透光性電極を形成できる。また、透光性電極を形成した後に、透光性電極の透明化を目的とした熱アニールを施してもよい。
図7の半導体発光素子によれば、第1の電極165aを正極、第2の電極165bを負極とし、両者を介してp型半導体層162、発光層163およびn型半導体層161に電流を流すことで、発光層163が発光するようになっている。
第1の電極165a及び第2の電極165bの材料としては、例えば、Al、Mo、Co、Zr、Sn、Nb、Fe、Cr、Ta、Ti、Au、Pt、V、Mn、Ni、Cu、Hf、W、Ir、Zn、In、Pd、NdもしくはAg等の金属またはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェン又はポリピロ-ルなどの有機導電性化合物、またはこれらの混合物などが挙げられる。電極の成膜法は特に限定されることはなく、印刷方式、スプレー法、コ-ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ-ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。
なお、発光素子の別の態様を図8に示す。図8の発光素子では、基板169上にn型半導体層161が積層されており、p型半導体層162、発光層163およびn型半導体層161の一部を切り欠くことによって露出したn型半導体層161の半導体層露出面上の一部に第2の電極165bが積層されている。
(HBT)
本発明の半導体装置がヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT)である場合の一例を図12に示す。図12のHBTは、npn構造及びpnp構造のいずれの構造をとることもできる。以下、npn構造について詳しく説明するが、pnp構造の場合も同様であって、npn構造のp型層をpnp構造のn型層で置換することができ、その逆も行うことができる。基板60は、半絶縁性の基体でよく、高い抵抗率(例えば10Ωcmを超える抵抗率等)を有し得る。なお、基板60はn型であってもよい。
基板60の上方にコレクタ層42が形成される。コレクタ層42は、例えば200nm~100μm、さらに好ましくは400nm~20μmの厚さを有している。コレクタ層42は、コランダム構造を有するn型酸化物半導体を主成分として含むのが好ましく、該n型酸化物半導体が、周期律表の第2族金属(例えばBe、Mg、Ca、Sr、Ba等)、第9族金属(例えばCo、Rh、Ir等)又は第13族金属(例えばAl、Ga、In、Tl等)を含む酸化物半導体を主成分とするのがより好ましく、アルミニウム、インジウム及びガリウムから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むのが更により好ましく、酸化ガリウム又はその混晶であるのが最も好ましい。ここで、「主成分」は前記した「主成分」と同様である。また、本実施の形態において、前記n型酸化物半導体中のドーパント(例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン等)の濃度は、通常、約1×1016/cm~1×1022/cmであるが、例えば約1×1017/cm以下の低濃度にして、n-型半導体とすることができる。また、本発明によれば、約1×1020/cm以上の高濃度で含有させて、n+型半導体とすることもできる。
本実施の形態では、特に基板60が半絶縁性である場合、コレクタ層42と基板60の間にサブコレクタ層40を形成してもよい。サブコレクタ層40は、コランダム構造を有するn+型酸化物半導体を主成分として含むのが好ましく、該n+型酸化物半導体が、周期律表の第13族金属(例えばAl、Ga、In、Tl等)を含む酸化物半導体を主成分とするのがより好ましく、アルミニウム、インジウム及びガリウムから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むのが更により好ましく、酸化ガリウム又はその混晶であるのが最も好ましい。ここで、「主成分」は前記した「主成分」と同様である。サブコレクタ層40の厚さは、約0.1~100μmであるのが好ましい。サブコレクタ層40の表面上には、コレクタ電極52が形成される。サブコレクタ層40の目的は、オーム性コレクタ電極52の性能を向上させることにある。なお、サブコレクタ層40は、基板60が導電性である場合には、省略することができる。
コレクタ層42上にベース層44が形成される。ベース層44は、通常、本発明のp型酸化物半導体を主成分として含んでさえいれば特に限定されない。ベース層44の厚さは、特に限定されないが、10nm~10μmが好ましく、10nm~1μmがより好ましい。ベース層44は、コレクタ層の接触部から、ベース層44の上面付近まで徐々に変化させることも好ましい。また、別の態様として、ベース層44の上面に超格子を堆積することもできる。
ベース層44上にエミッタ層46が形成される。エミッタ層46は、コランダム構造を有するn型酸化物半導体を主成分として含むのが好ましく、該n型酸化物半導体が、周期律表の第13族金属(例えばAl、Ga、In、Tl等)を含む酸化物半導体を主成分とするのがより好ましく、アルミニウム、インジウム及びガリウムから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むのが更により好ましく、酸化ガリウム又はその混晶であるのが最も好ましい。ここで、「主成分」は前記した「主成分」と同様である。なお、エミッタ層46の厚さは、特に限定されないが、10nm~100μmが好ましい。エミッタ層46は、通常、ベース層44より広いバンドギャップを有する。エミッタ層46は、任意にエミッタ層46の組成を、ベース層44との接触部から、エミッタ層46の上面付近まで徐々に変化させることも好ましい。
エミッタ層46上にキャップ層48が形成されているのが好ましい。キャップ層48はコランダム構造を有するn+型酸化物半導体が好ましく、アルミニウム、インジウム及びガリウムから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むn+型酸化物半導体がより好ましく、n+型ドープ酸化ガリウム又はその混晶が最も好ましい。なお、厚さは、特に限定されないが、10nm~100μmが好ましい。これらの層に例えばエッチング等を施してベース層44を露出させると共に、上向きのコレクタ電極を設ける場合には、例えばエッチング等でさらに深いスルーホールをつくることでサブコレクタ層40を露出させることができる。
コレクタ電極52、ベース電極54及びエミッタ電極56の各電極は、好ましくはオーム性金属電極である。エミッタ電極56はキャップ層48上に堆積され、ベース電極54は例えばエッチング等で露出させたベース層44上に堆積される。コレクタ電極52は上述のようにサブコレクタ層40上に堆積される。別の実施形態としては、基板がn型の半導体等である場合には、通常、デバイス構造と反対側にある基板60の背面上にコレクタ電極(図示せず)が設けられる。
各電極の材料は、特に限定されず、それぞれ公知の電極材料を用いることができる。電極用の好適な組成物としては、公知のオーミック電極材料(例えばNi、Al、Ti、Pt、Au及びこれらの積層体等)が挙げられる。各電極mの厚さは、特に限定されないが、約10~約100μmの厚さが好ましく、各電極の堆積は電子ビーム蒸着、熱蒸着、スパッタリング又は他の技術で実現することができる。なお、各電極材料の堆積後、オーム接触を達成するため、アニール処理してもよい。アニール温度は、特に限定されないが、約300~1000℃が好ましい。
なお、pnp HBTは、pnp HBTのp型層をnpn HBTのn型層で置換すると共に、その逆も行うことで形成できる。
本発明においては、前記p型酸化物半導体膜を下記(1)~(3)の半導体装置に用いるのが好ましい。
(1)p型チャネル層を含む半導体装置
半導体装置(1)は、ゲート電極と該ゲート電極の側壁に直接または他の層を介して、チャネルの形成されるチャネル層とを少なくとも備える半導体装置であって、前記チャネル層の一部または全部が、p型酸化物半導体を主成分として含むことを特長とする。前記チャネル層は、チャネルが形成されるものであれば、特に限定されず、半導体層の一部分であってもよいし、全部分であってもよい。他の半導体層にわたって形成されていてもよい。p型半導体層に前記p型酸化物半導体膜を使うことによって、イオン注入等をしなくても、例えば、SiCよりはるかに絶縁破壊電界強度が高い高電圧で低損失のn型半導体(例えば、酸化ガリウム等)の半導体特性を損うことなく半導体装置に用いることができる。
なお、半導体装置(1)は、さらに、SBDを内蔵しているのが好ましい。SBDを内蔵することにより、オン電圧を低減し、フリーホイール電流を流しやすくすることができるため、工業的有利により優れた半導体特性を得ることができる。
(2)pウェル層を含む半導体装置
半導体装置(2)は、n型半導体層とp+型半導体層とを少なくとも備える半導体装置であって、n型半導体層が、周期律表第13族金属を含有する結晶性酸化物半導体を主成分として含み、p+型半導体層が、前記p型酸化物半導体膜を主成分として含むことを特長とする。前記p型酸化物半導体膜は、pウェル層に好適に用いることが可能である。
(3)電界シールド層を含む半導体装置
半導体装置(3)は、コランダム構造を有する結晶性酸化物半導体を主成分として含むn型半導体層と、該n型半導体層上に直接または他の層を介してそれぞれ積層されている電界シールド層およびゲート電極とを少なくとも備える半導体装置であって、前記電界シールド層が、p型酸化物半導体を含み、前記ゲート電極よりも深くn型半導体層に埋め込まれていることを特長とする。このようにして電界シールド層を設けることにより、逆方向のリーク電流を低減することができる。
上記(1)~(3)が含まれる半導体装置の一例を図13に示す。図13の半導体装置は、第1のn+型半導体層11a、n-型半導体層12、p型半導体層13、第2のn+型半導体層11b、p+型半導体層16、ゲート電極14a、ゲート絶縁膜15、ショットキー電極14bおよびドレイン電極14cを備えている。図13の半導体装置のオン状態では、前記ソース電極14bと前記ドレイン電極14cとの間に電圧を印加し、前記ゲート電極14aに前記ソース電極14bに対して正の電荷を与えると、前記p型半導体層13とゲート絶縁膜14aとの界面にチャネルが形成され、ターンオンする。オフ状態は、前記ゲート電極14aの電圧を0Vにすることにより、チャネルができなくなり、ターンオフする。また、図13の半導体装置は、p型半導体層13が、ゲート電極14aよりも深くn-型半導体層12に埋め込まれている。このような構成とすることにより、逆方向のリーク電流を低減し、耐圧を向上させることができる。
図13の半導体装置の各層の形成方法は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の方法であってよい。例えば、真空蒸着法やCVD法、スパッタ法、各種コーティング技術等により成膜した後、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法、または印刷技術などを用いて直接パターニングを行う方法などが挙げられる。
なお、図13の半導体装置において、第2のn+型半導体層11bとp+型半導体層16とが前記ソース電極14bを介して連設されているが、前記ソース電極14bを介さずに直接第2のn+型半導体層11bとp+型半導体層16とが連設されていてもよい。図示しないが、第2のn+型半導体層11bとp+型半導体層16とが直接連設されている場合、第2のn+型半導体層11bよりもp+型半導体層16を広くすると、ホール抜けが良くなるという効果を奏する。また、p+型半導体層16よりも第2のn+型半導体層11bを広くすると、オン抵抗を下げるという効果を奏する。
前記半導体装置は、とりわけ、パワーデバイスに有用である。前記半導体装置としては、例えば、ダイオード(SBDなど)またはトランジスタ(例えば、MOSFETまたはJFET等)などが挙げられるが、SBD、MOSFET、IGBTまたはJFETがより好ましく、MOSFETまたはJFETが最も好ましい。また、前記半導体装置は、シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された埋め込み絶縁層とを有するSOI構造またはサファイア基板と、前記サファイア基板上に形成されたシリコン層とを有するSOS構造を含むのも好ましく、より高温での動作を実現することができる。
本発明の半導体装置は、上記した事項に加え、さらに公知の方法を用いて、パワーモジュール、インバータまたはコンバータとして好適に用いられ、さらには、例えば電源装置を用いた半導体システム等に好適に用いられる。前記電源装置は、公知の方法を用いて、前記半導体装置を配線パターン等に接続するなどして作製することができる。図9に電源システムの例を示す。図9は、複数の前記電源装置171、172と制御回路173を用いて電源システム170を構成している。前記電源システム170は、図10に示すように、電子回路181と組み合わせてシステム装置182に用いることができる。なお、電源装置の電源回路図の一例を図11に示す。図11は、パワー回路と制御回路からなる電源装置の電源回路を示しており、インバータ19(MOSFETA~Dで構成)によりDC電圧を高周波でスイッチングしACへ変換後、トランス193で絶縁及び変圧を実施し、整流MOSFETで整流後、DCL195(平滑用コイルL1,L2)とコンデンサにて平滑し、直流電圧を出力する。この時に電圧比較器197で出力電圧を基準電圧と比較し、所望の出力電圧となるようPWM制御回路196でインバータ192及び整流MOSFET194を制御する。
(実施例1)
1.成膜装置
図1を用いて、実施例で用いたミストCVD装置を説明する。ミストCVD装置19は、基体20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給装置22aと、キャリアガス供給装置22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給装置22bと、キャリアガス(希釈)供給装置22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基体20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基体20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。なお、本発明の実施例において、c面サファイア基板上にバッファ層としてα―Gaを形成したものを基体20として用いた。
2.原料溶液の作製
イリジウムアセチルアセトナート(イリジウム(Ir)濃度0.001mol/L)水溶液に塩酸を体積比0.03%となるように加えた溶液と、ガリウムアセチルアセトナート(ガリウム(Ga)濃度0.001mol/L)水溶液に塩酸を体積比2%となるように加えた溶液とを混合して水溶液を調整し、これを原料溶液とした。本実施例では、マグネシウム(Mg)の有機金属塩を含む溶液(Mg濃度0.05mol/L)を、前記原料溶液中におけるMgの原子比が、IrおよびGaの合計の原子比に対して0.75%になるよう混合し、前記原料溶液中のIrおよびGaの合計の原子比に対するGaの原子比を50%とした。なお、試験例として、マグネシウム(Mg)の有機金属塩を含む前記溶液(Mg濃度0.05mol/L)を、前記原料溶液に混合しなかったこと以外は上記1.2.および下記3.4.と同じ条件で成膜して、得られた膜について、X線回折(XRD)測定およびXPS測定により膜の同定を行った。得られた膜はコランダム構造を有する酸化イリジウムガリウム膜α―(Ir0.43Ga0.57であった。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、サセプタ21上に基体20を設置し、ヒーター28の温度を600℃に設定した。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給装置22a、22bからキャリアガスを供給管27内に供給し、供給管27内の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5.0L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/分にそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。
4.膜形成
次に、超音波振動子を振動させ、その振動を、水25を通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを霧化させて霧化液滴を生成させた。この霧化液滴が、キャリアガスによって、供給管27に搬送され、大気圧下、600℃にて、基板20表面近傍で霧化液滴が熱反応して基板20上に膜が形成された。成膜時間を60分とした。
上記4.にて得られた膜について、X線回折測定およびXPS測定により膜の同定を行ったところ、得られた膜は、コランダム構造を有する酸化イリジウムガリウム膜(Mgドープ)で、IrとGaの比率は、上記の試験例で、マグネシウム(Mg)を含まない条件で得られた酸化イリジウムガリウム膜と同等であった。また、ホール効果測定を行ったところ、キャリアタイプは「p」であり、ホールキャリア密度は、9.85×1018(cm-3)で、移動度は6.21×10-1(cm/Vs)であった。また、分光透過率測定により、バンドギャップは4.1eVであることが分かった。
(実施例2)
原料溶液中のMgの原子比を、IrおよびGaの合計の原子比に対して、0.5%、1%、3%、5%になるよう混合し、上記1~4と同様にして膜を得て、XRD測定を行った。なお、参考としてMg0%の場合の結果も示す。図14に示すとおり、Mgドープして混晶を作成した場合でも、他相や他のドメインの混入がなく、良質なコランダム構造を有する酸化イリジウムガリウム膜が得られることを確認した。
本発明の実施態様におけるp型酸化物半導体膜は、半導体(例えば化合物半導体電子デバイス等)、電子部品・電気機器部品、光学・電子写真関連装置、工業部材などあらゆる分野に用いることができるが、p型の半導体特性に優れているため、特に、半導体装置等に有用である。
1 成膜装置
2 石英筒
3 ヒーター
4 原料設置台
5 原料
6 基板
7 サセプタ
11a 第1のn+型半導体層
11b 第2のn+型半導体層
12 n-型半導体層
13 p型半導体層
14a ゲート電極
14b ソース電極
14c ドレイン電極
15 ゲート絶縁膜
16 p+型半導体層
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給装置
22b キャリアガス(希釈)供給装置
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
27a 供給管(原料側)
27b 供給管(基板側)
28 ヒーター
29 排気口
40 サブコレクタ層
42 コレクタ層
44 ベース層
46 エミッタ層
48 キャップ層
52 コレクタ電極
54 ベース電極
56 エミッタ電極
60 基板
70 トレンチ
70a トレンチの側面
70b トレンチの底面
70c トレンチの円弧部
101a n-型半導体層
101b n+型半導体層
102 p型半導体層
103 金属層
104 絶縁体層
105a ショットキー電極
105b オーミック電極
121a バンドギャップの広いn型半導体層
121b バンドギャップの狭いn型半導体層
121c n+型半導体層
123 p型半導体層
125a ゲート電極
125b ソース電極
125c ドレイン電極
128 緩衝層
129 基板
131a n-型半導体層
131b 第1のn+型半導体層
131c 第2のn+型半導体層
132 p型半導体層
134 ゲート絶縁膜
135a ゲート電極
135b ソース電極
135c ドレイン電極
138 緩衝層
139 半絶縁体層
141a n-型半導体層
141b 第1のn+型半導体層
141c 第2のn+型半導体層
142 p型半導体層
145a ゲート電極
145b ソース電極
145c ドレイン電極
151 n型半導体層
151a n-型半導体層
151b n+型半導体層
152 p型半導体層
154 ゲート絶縁膜
155a ゲート電極
155b エミッタ電極
155c コレクタ電極
161 n型半導体層
162 p型半導体層
163 発光層
165a 第1の電極
165b 第2の電極
167 透光性電極
169 基板
170 電源システム
171 電源装置
172 電源装置
173 制御回路
180 システム装置
181 電子回路
182 電源システム
192 インバータ
193 トランス
194 MOSFET
195 DCL
196 PWM制御回路
197 電圧比較器

Claims (16)

  1. イリジウムと、周期律表の第13族の金属から選択される少なくとも1つの金属とを含有する金属酸化物を主成分として含み、さらにドーパントを含有し、ホールキャリア密度が1.0×1019/cm以下である、p型酸化物半導体。
  2. コランダム構造を有する、請求項1記載のp型酸化物半導体。
  3. 前記周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、原子比で、イリジウムよりも多い、請求項1または2に記載のp型酸化物半導体。
  4. 前記周期律表の第13族から選択される少なくとも1つの金属は、前記金属酸化物中に含まれる全ての金属において、原子比で、50%以上である、請求項1または2に記載のp型酸化物半導体。
  5. 3.4 eV以上のバンドギャップを有する、請求項1~4記載のp型酸化物半導体。
  6. 膜形状を有している、請求項1~5のいずれかに記載のp型酸化物半導体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のp型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されているn型酸化物半導体と、を少なくとも有する半導体装置。
  8. 前記n型酸化物半導体がコランダム構造を有する、請求項7記載の半導体装置。
  9. 前記n型酸化物半導体が、n-型酸化物半導体である、請求項7または8に記載の半導体装置。
  10. 請求項1~6のいずれかに記載のp型酸化物半導体と、前記p型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第1のn型酸化物半導体と、前記第1のn型酸化物半導体に少なくとも一部が接触して配置されている第2のn型酸化物半導体と、を少なくとも有する、半導体装置。
  11. 前記第1のn型酸化物半導体がコランダム構造を有し、前記第2のn型酸化物半導体がコランダム構造を有する、請求項10記載の半導体装置。
  12. ショットキーバリアダイオード(SBD)、ジャンクションバリアショットキーダイオード(JBS)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET(、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)IGBTおよび接合電界効果トランジスタ(JFET)から選択される1つである請求項7~11のいずれかに記載の半導体装置。
  13. シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された埋め込み絶縁層とを有するSOI構造をさらに含む、請求項7~12のいずれかに記載の半導体装置。
  14. パワーデバイスである請求項7~13のいずれかに記載の半導体装置。
  15. パワーモジュール、インバータまたはコンバータである請求項7~14のいずれかに記載の半導体装置。
  16. 半導体装置を備える半導体システムであって、前記半導体装置が、請求項7~15のいずれかに記載の半導体装置である半導体システム。


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