JP2022030149A - 有機膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機膜が形成されたワークの冷却時間を短縮することができ、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置を提供することである。【解決手段】実施形態に係る有機膜形成装置は、基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有するワークを、大気圧よりも減圧された雰囲気で加熱可能である。有機膜形成装置は、前記大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、筒状を呈し、前記チャンバの外側から前記チャンバの内側に延び、前記チャンバに気密となるように挿通された外管と、前記外管の内部空間に設けられ前記外管に沿って延びる発熱部と、を有する少なくとも1つの温度制御部と、前記外管の内部空間に流体を供給可能な冷却部と、を備えている。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、有機膜形成装置に関する。
有機ELディスプレイなどに設けられる基板として、有機膜が用いられている。この様な有機膜には、ポリイミド膜がある。例えば、ポリイミド膜は、基板と、基板の上面に塗布されたポリアミド酸を含む溶液とを有するワークを、100℃~600℃程度に加熱して、ポリアミド酸をイミド化することで形成している。形成されたポリイミド膜は基板から剥離され、例えば、有機ELディスプレイなどに用いられる。
ここで、ポリイミド膜などの有機膜が形成されたワークは、加熱処理が行われたチャンバの内部から取り出され、次工程などに搬送される。ところが、ワークは、100℃~600℃程度に加熱されているので、そのままチャンバから取り出したり、搬送したりするのが困難となる。この場合、ワークを冷却するための冷却装置を、有機膜形成装置とは別に設けると、冷却装置を設置するための場所が必要となったり、製造設備のコストが増大したりすることになる。
そこで、チャンバの内部空間に冷却ガスを供給して、ワークを冷却する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、チャンバの内部空間の体積が大きいため、チャンバの内部空間を冷却し、ひいてはワークを冷却するのに時間を要する。
また、チャンバの内部空間に冷却ガスを供給すると、溶液を加熱した際に生じ、チャンバの内壁などに付着している昇華物が剥離して、有機膜の上に付着するおそれがある。有機膜の上に昇華物が付着すると、有機膜の品質が悪くなる。
そこで、有機膜が形成されたワークの冷却時間を短縮することができ、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置の開発が望まれていた。
特開2019-205991号公報
本発明が解決しようとする課題は、有機膜が形成されたワークの冷却時間を短縮することができ、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置を提供することである。
実施形態に係る有機膜形成装置は、基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有するワークを、大気圧よりも減圧された雰囲気で加熱可能である。有機膜形成装置は、前記大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、筒状を呈し、前記チャンバの外側から前記チャンバの内側に延び、前記チャンバに気密となるように挿通された外管と、前記外管の内部空間に設けられ前記外管に沿って延びる発熱部と、を有する少なくとも1つの温度制御部と、前記外管の内部空間に流体を供給可能な冷却部と、を備えている。
本発明の実施形態によれば、有機膜が形成されたワークの冷却時間を短縮することができ、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置が提供される。
本実施の形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。 温度制御部を例示するための模式断面図である。 温度制御部を例示するための模式斜視図である。 流体の流れを示す配管系統図である。 ワークの処理工程を例示するためのグラフである。 他の実施形態に係る温度制御部を例示するための模式断面図である。 他の実施形態に係る温度制御部を例示するための模式断面図である。 他の実施形態に係る温度制御部を例示するための模式断面図である。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、本実施形態では、基板の上面に塗布された有機材料を含む溶液を減圧雰囲気で焼成して有機膜を形成する有機膜形成装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る有機膜形成装置1を例示するための模式斜視図である。
なお、図1中のX方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する三方向を表している。本明細書における上下方向は、Z方向とすることができる。
ワーク100は、基板と、基板の上面に塗布された溶液と、を有する。
基板は、例えば、ガラス基板や半導体ウェーハなどとすることができる。ただし、基板は、例示をしたものに限定されるわけではない。
溶液は、有機材料と溶媒を含んでいる。有機材料は、溶媒により溶解が可能なものであれば特に限定はない。溶液は、例えば、ポリアミド酸を含むワニスなどとすることができる。ただし、溶液は、例示をしたものに限定されるわけではない。
有機膜形成装置1は、ワーク100を、大気圧よりも減圧された雰囲気で加熱することができる。
図1に示すように、有機膜形成装置1には、チャンバ10、排気部20、処理部30、冷却部40、およびコントローラ50が設けられている。
チャンバ10は、箱状を呈している。チャンバ10は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ10の外観形状には特に限定はない。チャンバ10の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。チャンバ10は、例えば、本体10a、開閉扉13、蓋15から成る。
本体10aは、筒状を呈している。本体10aの一方の端部には、フランジ11、他方の端部には、フランジ14を設けることができる。本体10a、フランジ11およびフランジ14は、例えば、ステンレスなどの金属から形成されている。なお、本体10aの両端部を接続する外壁を側面10a1と呼ぶ。
フランジ11には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。本体10aの、フランジ11が設けられた側の開口は、開閉扉13により開閉可能となっている。
開閉扉13は、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成されている。図示しない駆動装置により、開閉扉13がフランジ11(シール材12)に押し付けられることで、本体10aのフランジ11が設けられた側の開口が気密になるように閉鎖される。図示しない駆動装置により、開閉扉13がフランジ11から離隔することで、チャンバ10の開口を介したワーク100の搬入または搬出が可能となる。
フランジ14には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。本体10aの、フランジ14が設けられた側の開口は、蓋15により閉鎖されている。
蓋15は、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成されている。蓋15は、後述するホルダ32cの孔32c2に連通する孔15aが設けられている(図2参照)。ホルダ32cは、後述する温度制御部32の数だけ蓋15に設けられる。そのため、孔15aは、複数個設けられる。
ネジなどの締結部材を用いて、蓋15がフランジ14に取り付けられた際に、蓋15がフランジ14(シール材12)に押し付けられる。その後、温度制御部32がホルダ32cと気密に接続されることで、本体10aのフランジ14が設けられた側の開口が気密になるように閉鎖される。また、メンテナンスなどを行う際には、蓋15を取り外すことで、本体10aの、フランジ14が設けられた側の開口を露出させることができる。なお、蓋15は、必ずしも必要ではなく、例えば、蓋15と本体10aとが一体となって形成されていてもよい。つまり、一端が閉塞された筒状形状の本体10aとしてもよい。
本体10aの側面10a1には冷却部16を設けることができる。冷却部16には、図示しない冷却水供給部が接続されている。冷却部16は、例えば、ウォータージャケット(Water Jacket)とすることができる。冷却部16が設けられていれば、チャンバ10の外壁温度が所定の温度よりも高くなるのを抑制することができる。
排気部20は、チャンバ10の内部空間を排気する。そのため、ワーク100は、大気圧よりも減圧された雰囲気において放射による熱エネルギーによって加熱される。
排気部20は、第1の排気部21、第2の排気部22、および第3の排気部23を有することができる。
第1の排気部21は、チャンバ10の底面に設けられた排気口17に接続されている。 第1の排気部21は、排気ポンプ21aと、圧力制御部21bを有することができる。 排気ポンプ21aは、例えば、ドライ真空ポンプなどとすることができる。
圧力制御部21bは、排気口17と排気ポンプ21aとの間に設けられている。圧力制御部21bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部21bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。なお、排気口17と圧力制御部21bとの間には、排気された昇華物をトラップするためのコールドトラップ24が設けられている。また、排気口17とコールドトラップ24との間にバルブ25が設けられている。バルブ25は、後述の冷却工程において、流体101がコールドトラップ24に流入するのを防ぐ役割を果たす。
第2の排気部22は、チャンバ10の底面に設けられた排気口18に接続されている。 第2の排気部22は、排気ポンプ22aと、圧力制御部22bを有することができる。 第2の排気部22は、高真空の分子流領域まで排気可能な排気能力を有する。そのため、排気ポンプ22aは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。
圧力制御部22bは、排気口18と排気ポンプ22aとの間に設けられている。圧力制御部22bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部22bは、例えば、APCなどとすることができる。なお、排気口18と圧力制御部21bとの間には、排気された昇華物をトラップするためのコールドトラップ24が設けられている。また、排気口18とコールドトラップ24との間にバルブ25が設けられている。バルブ25は、後述の冷却工程において、流体101がコールドトラップ24に流入するのを防ぐ役割を果たす。
第3の排気部23は、排気口18と第2の排気部22のバルブ25との間に接続されている。第3の排気部23は、工場の排気系に接続されている。第3の排気部23は、例えばステンレスなどの配管とすることができる。第3の排気部は、排気口18と工場の排気系との間にバルブ25が設けられている。
チャンバ10の内部空間を減圧する場合には、まず、第1の排気部21によりチャンバ10の内圧が10Pa程度になるようにする。次に、第2の排気部22によりチャンバ10の内圧が10Pa~1×10-2Pa程度となるようにする。
第1の排気部21は、大気圧から所定の内圧まで粗引き排気を行うので、第1の排気部21の排気量は第2の排気部22の排気量よりも多い。また、第2の排気部22は、粗引き排気の完了後、さらに低い所定の内圧まで排気を行う。なお、第3の排気部23は、後述する冷却工程において流体101を工場の排気系に排出するために用いられる。
処理部30は、フレーム31、温度制御部32、ワーク支持部33、均熱部34、均熱板支持部35、およびカバー36を有する。
処理部30の内部には、処理領域30aおよび処理領域30bが設けられている。処理領域30a、30bは、ワーク100に加熱処理を施す空間となる。ワーク100は、処理領域30a、30bの内部に支持される。処理領域30bは、処理領域30aの上方に設けられている。なお、2つの処理領域が設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。1つの処理領域のみが設けられるようにすることもできる。また、3つ以上の処理領域が設けられるようにすることもできる。図1においては、一例として、2つの処理領域が設けられる場合を例示するが、1つの処理領域、および、3つ以上の処理領域が設けられる場合も同様に考えることができる。
処理領域30a、30bは、均熱部34(上部均熱板34a、下部均熱板34b、側部均熱板34c、側部均熱板34d)により囲まれている。処理領域30a、30bと、チャンバ10の内部の、処理領域30a、30bの外側の空間とは、上部均熱板34a同士の間の隙間、および下部均熱板34b同士の間の隙間、カバー36同士の隙間、カバー36に設けられた孔やスリットなどを介して繋がっている。そのため、チャンバ10の内部の、処理領域30a、30bの外側の空間の圧力が減圧されると、処理領域30a、30bの圧力も減圧される。
また、チャンバ10の内部の、処理領域30a、30bの外側の空間の圧力が減圧されていれば、処理領域30a、30bから外部に放出される熱を少なくすることができる。そのため、蓄熱効率を向上させることができるので、ヒータ32aに印加する電力を低減させることができる。印加電力を低減させることができれば、省エネルギー化とヒータ32aの長寿命化を図ることができる。また、蓄熱効率が向上すれば、急激な温度上昇を必要とする処理に対応するのが容易となる。また、チャンバ10の外壁の温度が高くなるのを抑制することができるので、冷却部16を簡易なものとすることができる。
フレーム31は、細長い板材や形鋼などからなる骨組み構造を有している。フレーム31の外観形状は、チャンバ10の外観形状と同様とすることができる。フレーム31の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。
また、フレーム31には、複数の梁31aが設けられている。複数の梁31aは、処理領域30a、30bの長手方向(図1中のX方向)に延びている。フレーム31の開閉扉13側に設けられた梁31aは、フレーム31の蓋15側の面に設けられた梁31aと対向している。梁31aには、複数の均熱板支持部35を所定の間隔で並べて設けることができる。
温度制御部32は、複数設けることができる。温度制御部32は、ワーク100の温度を制御する。例えば、温度制御部32は、ワーク100を加熱したり、加熱されたワーク100を冷却したりする。温度制御部32は、一方向に延びた形態を有している。温度制御部32の数、間隔などは、加熱する溶液の組成(必要となる溶液の加熱温度など)、ワーク100の大きさなどに応じて適宜変更することができる。温度制御部32の数、間隔などは、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定することができる。
温度制御部32は、処理領域30a、30bの下部、および処理領域30a、30bの上部に設けることができる。処理領域30a、30bの下部に設けられた温度制御部32は、処理領域30a、30bの上部に設けられた温度制御部32と対向している。
なお、複数の処理領域が上下方向に重ねて設けられる場合には、下側の処理領域と上側の処理領域との間に設けられた温度制御部32を、上下の処理領域におけるワーク100の温度制御に用いることができる。この様にすれば、温度制御部32の数を減らすことができるので、加熱の際の消費電力の低減、冷却の際の後述する流体101の消費量の低減、製造コストの低減、省スペース化などを図ることができる。
処理領域30aの内部に支持されたワーク100の下面(基板の裏面)は、処理領域30aの下部に設けられた複数の温度制御部32(温度制御群3a)により加熱または冷却される。処理領域30aの内部に支持されたワーク100の上面(溶液)は、処理領域30aと処理領域30bとにより兼用される複数の温度制御部32(温度制御群3ab)により加熱または冷却される。処理領域30bの内部に支持されたワーク100の下面(基板の裏面)は、温度制御群3abにより加熱または冷却される。処理領域30bの内部に支持されたワーク100の上面(溶液)は、処理領域30bの上部に設けられた複数の温度制御部32(温度制御群3b)により加熱または冷却される。なお、温度制御群を区別しない場合、温度制御群3と呼ぶ。
図2は、温度制御部32を例示するための模式断面図である。
図3は、温度制御部32を例示するための模式斜視図である。
図2に示すように、温度制御部32には、ヒータ32a、外管32b、およびホルダ32cを設けることができる。
ヒータ32aは、発熱部32a1、フランジ32a2、および端子32a3を有することができる。
発熱部32a1は、外管32bの内部空間に設けられ、外管32bに沿って延びている。発熱部32a1は、電力を熱に変換する。発熱部32a1は、例えば、シーズヒータ、セラミックヒータ、カートリッジヒータなどとすることができる。また、発熱部32a1の外面を覆う石英カバーをさらに設けることもできる。
フランジ32a2は、板状を呈し、外管32bの開口側の端部に設けられている。フランジ32a2は、発熱部32a1の、端子32a3側の端部の近傍に設けることができる。フランジ32a2は、例えば、発熱部32a1の外面に溶接することができる。フランジ32a2の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
図3に示すように、フランジ32a2は、ネジなどの締結部材を用いてホルダ32cのフランジ32c1に取り付けることができるように、フランジ32a2の厚み方向を貫通する孔32a2bがフランジ32a2の外縁に設けられる。すなわち、フランジ32a2は、チャンバ10に着脱自在に設けられる。フランジ32a2をチャンバ10に取り付けた際には、フランジ32a2とチャンバ10との間が気密となるように封止される。
また、フランジ32a2には厚み方向を貫通し、外管32bの内部空間に連通する孔32a2aが設けられる。孔32a2aは、孔32a2bよりも発熱部32a1に近い位置に少なくとも2つ設けることができる。説明を簡略化するため、以下においては、孔32a2bを2つ設けた場合を説明する。
一方の孔32a2a(第1の孔の一例に相当する)には、パイプ32d(第1のパイプの一例に相当する)の一方の端部が挿入されるとともに、溶接される。パイプ32dは、外管32bの内部空間に設けられ外管32bに沿って延びている。パイプ32dの他方の端部は、外管32bの内部空間の中央部分から外管32bの先端の間に位置するよう設けられる。すなわち、パイプ32dの他方の端部は、外管32bの一方の端部と他方の端部との間の中心位置よりも、外管32bの閉鎖側に設けられている。パイプ32dの他方の端部をこのような位置に設けることで、後述する流体101が外管32bの先端まで流れ、外管32bの内部空間内において流体101が流れない空間が形成されることを防ぐことができる。したがって、流体101による冷却の効率を向上させることができる。
パイプ32dの一方の端部は、孔32a2aから突出し、例えば、発熱部32a1の、端子32a3側の端部の近傍に設けることができる。パイプ32dの一方の端部には、継手38の一端と接続されている。継手38の他端には、フレキシブルな配管39が接続されている。配管39は、例えば、蛇腹形状のステンレスの配管や、塩化ビニルで形成されたチューブ等とすることができる。配管39は、後述する冷却部40と接続されており、パイプ32dは、継手38および配管39を介して冷却部40と接続される。すなわち、パイプ32dおよび後述する他方の孔32a2a(第2の孔の一例に相当する)には、流体が流通可能で、且つフレキシブルな配管39が接続されている。
他方の孔32a2aには、継手32a2cが設けられる。継手32a2cの一端は、例えば、溶接により他方の孔32a2aに接続される。しかし、接続方法はこれに限られない。例えば、継手32a2cの一端を雄ネジ、他方の孔32a2aを雌ネジとして、テープ状のシール材を介して接続するようにしてもよい。継手32a2cの他端には、配管39が設けられ、例えば、第3の排気部23または工場の排気系に接続される。配管39は、変形可能なため、例えば、メンテナンス等でヒータ32aおよび外管32bを取り外す際に、パイプ32dおよび他方の孔32a2aに配管39を接続したまま取り外すことができる。
端子32a3は、発熱部32a1の一方の端部に設けられている。端子32a3は、発熱部32a1に設けられた発熱体と電気的に接続されている。また、端子32a3には、有機膜形成装置1の外部に設けられた電源や制御装置などを電気的に接続することができる。つまり、端子32a3を介して発熱部32a1に電力が供給される。この場合、図2に示すように、端子32a3は、蓋15の外側、すなわち有機膜形成装置1の外側に露出している。そのため、電源ケーブルを端子32a3に着脱するのが容易となる。なお、端子32a3を覆う絶縁カバーをさらに設けることもできる。
図2に示すように、外管32bは、筒状を呈し、一方向に延びた形態を有している。外管32bは、チャンバ10の外側からチャンバ10の内側に延び、チャンバ10に気密となるように挿通されている。外管32bの一方の端部は開口し、他方の端部は閉鎖されている。外管32bの開口側の端部は、フランジ32a2に溶接等により気密に接続される。外管32bをフランジ32a2に接続することによって、ヒータ32aと外管32bは、一体とすることができる。
冷却部40は、外管32bの開口側から外管32bの内部空間に流体101を供給する。そして、供給された流体101は、外管32bの開口側から排出される。具体的には、冷却部40から供給された流体101は、パイプ32dを介して外管32bの内部空間に供給される。そして、外管32bの内部空間に供給された流体101は、冷却部40が接続されていないフランジ32a2の孔32a2a(第2の孔の一例に相当する)を介して、外管32bの外部に排出される。
外管32bの内部空間には、発熱部32a1を設けることができる。外管32bの内壁と、発熱部32a1の外面との間には隙間が設けられている。そのため、パイプ32dを介して供給された流体101を、発熱部32a1の外面に沿って流すことができる。外管32bの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
また、外管32bの閉鎖された端部は、支持部37によって支持されている。
支持部37は、チャンバ10内で温度制御部32を支持する部材である。支持部37は、例えば、矩形であり、梁31aに設けることができる。支持部37の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
支持部37は、温度制御部32(外管32bの閉鎖側の端部)を支持する支持面37aと、支持面37aと接続され、支持面37aと交差する傾斜面37bを有する。
支持面37aは、例えば、支持部37の上面であり、傾斜面37bは、梁31aと接触する面とは反対の面であって、支持面37aと接続する位置に設けられる。
温度制御部32は、自重により先端(外管32bの閉鎖された端部)が垂れてしまう。先端が垂れた温度制御部32は、支持部37に載置するのが困難となる場合がある。しかし、支持部37が傾斜面37bを有することで、温度制御部32の先端が垂れた状態であっても、傾斜面37bが支持面37aへと誘導するので、温度制御部32を支持部37へ載置するのが容易となる。
ホルダ32cの一方の端部にはフランジ32c1が設けられている。ホルダ32cの他方の端部は、蓋15の外面に設けられている。加熱処理を行う際には、チャンバ10の内部空間が大気圧よりも減圧された雰囲気とされる。そのため、ホルダ32cは、例えば、蓋15に気密となるように溶接することができる。ホルダ32cの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
ホルダ32cには、蓋15に設けられた孔15aと連通する孔32c2が設けられている。そのため、ヒータ32aおよび外管32bは、チャンバ10の外部から孔32c2を介して処理領域30a(30b)の内部空間に挿入することができる。この様にすれば、ヒータ32aおよび外管32bの着脱が容易となるので、有機膜形成装置1の組立作業やメンテナンス作業が容易となる。
フランジ32c1の外縁には、フランジ32a2の孔32a2bに対応するネジ孔32c3が設けられる(図3参照)。また、ネジ孔32c3と孔32c2との間にシール部材32c4が設けられる。シール部材32c4によってヒータ32aをフランジ32c1に気密に接続することができ、チャンバ10内を気密に保つことができる。
また、ホルダ32cには、発熱部32a1において発生した熱が伝わる。そのため、ホルダ32cの温度、ひいては蓋15の温度が高くなり過ぎないように、ホルダ32cを冷却する冷却部をさらに設けることもできる。冷却部は、例えば、ホルダ32cにガスを吹き付けるものとすることもできるし、ホルダ32cの内部に設けられた流路にガスや液体を流すものとすることもできる。
図1に示すように、ワーク支持部33は、処理領域30a、30bの内部において、ワーク100の下面を支持する。ワーク支持部33は、複数設けることができる。複数のワーク支持部33は、処理領域30aの下部、および、処理領域30bの下部に設けられている。複数のワーク支持部33は、棒状体とすることができる。
複数のワーク支持部33の上端は、処理領域30a、30bの内部に位置し、ワーク100の下面に接触する。そのため、複数のワーク支持部33の上端の形状は、半球状などとすることが好ましい。この様にすれば、ワーク100の下面に損傷が発生するのを抑制することができる。また、ワーク100の下面と複数のワーク支持部33との接触面積を小さくすることができるので、ワーク100から複数のワーク支持部33に伝わる熱を少なくすることができる。
複数のワーク支持部33の数、配置、間隔などは、ワーク100の大きさや剛性(撓み)などに応じて適宜変更することができる。複数のワーク支持部33の数、配置、間隔などは、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定することができる。
均熱部34は、複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dを有する。複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dは、板状を呈している。
複数の上部均熱板34aは、ワーク100の上方に設けられた複数の温度制御部32とワーク100との間に設けられている。複数の上部均熱板34aは、複数の温度制御部32と離隔して設けられている。複数の上部均熱板34aは、複数の温度制御部32が並ぶ方向(図1中のX方向)に並べて設けられている。
複数の下部均熱板34bは、ワーク100の下方に設けられた複数の温度制御部32とワーク100との間に設けられている。複数の下部均熱板34bは、複数の温度制御部32と離隔して設けられている。複数の下部均熱板34bは、複数の温度制御部32が並ぶ方向(図1中のX方向)に並べて設けられている。
側部均熱板34cは、複数の温度制御部32が並ぶ方向において、処理領域30a、30bの両側(図1のX方向)の側部のそれぞれに設けられている。側部均熱板34cは、カバー36の内側に設けることができる。また、側部均熱板34cとカバー36との間に、側部均熱板34cおよびカバー36と離隔して設けられた少なくとも1つの温度制御部32を設けることもできる。
側部均熱板34dは、複数の温度制御部32が並ぶ方向と直交する方向(図1のY方向)において、処理領域30a、30bの両側の側部のそれぞれに設けられている。
処理領域30a、30bは、複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dにより囲まれている。また、これらの外側をカバー36が囲んでいる。
温度制御部32は、一方向に延びた形態を有しているので、熱の放射および熱の吸収は、温度制御部32の中心軸を中心として放射状に行われる。この場合、温度制御部32の中心軸と、温度制御の対象領域との間の距離が短くなるほど温度変化が生じ易くなる。そのため、複数の温度制御部32に対して対向するようにワーク100が支持されたとき、ワーク100に温度分布が生じ易くなる。
本実施の形態に係る有機膜形成装置1には、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが設けられている。そのため、複数の温度制御部32による熱の放射および熱の吸収は、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bを介して行われる。
ワーク100を加熱する場合において、複数の温度制御部32から放射された熱は、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに入射し、これらの内部を面方向に伝搬しながらワーク100に向けて放射される。
ワーク100を冷却する場合において、ワーク100から放射された熱は、ワーク100に対向する上部均熱板34aおよび下部均熱板34bに入射し、これらの内部を面方向に伝搬しながら複数の温度制御部32に向けて放射される。
そのため、ワーク100を加熱する場合であっても冷却する場合であっても、ワーク100に温度分布が生じるのを抑制することができ、ひいては形成された有機膜の品質を向上させることができる。
複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの材料は、熱伝導率の高い材料とすることが好ましい。複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bは、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどの金属とすることができる。また、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bの表面には、ニッケルメッキやアルマイト処理などを施すことで、酸化しにくい材料を含む層を設けることもできる。
また、側部均熱板34c、34dの材料は、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの材料と同じとすることができる。
なお、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが設けられる場合を例示したが、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの少なくとも一方は、単一の板状部材とすることもできる。
複数の均熱板支持部35(上部均熱板支持部)は、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向に並べて設けられている。均熱板支持部35は、複数の上部均熱板34aが並ぶ方向において、上部均熱板34a同士の間の直下に設けることができる。複数の下部均熱板34bを支持する複数の均熱板支持部(下部均熱板支持部)も同様の構成を有することができる。
カバー36は、板状を呈し、フレーム31の上面、底面、および側面を覆っている。この場合、開閉扉13側のカバー36は、例えば、開閉扉13に設けることができる。カバー36は処理領域30a、30bを囲っているが、例えば、カバー36同士の間に隙間を設けたり、孔やスリットなどを設けたりすることができる。この様にすれば、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間と、処理領域30a、30bとが繋がるので、処理領域30a、30b内の圧力が、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間の圧力と同じとなるようにすることができる。また、フレーム31の側面を覆うカバー36には、流体101を後述の温度制御群3が設けられた空間に供給または、温度制御群3が設けられた空間からチャンバ10の内部空間へと排気するための孔36aが形成されている。カバー36は、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
冷却部40は、温度制御群3a、3ab、3bが設けられた空間および各外管32bの内部空間に流体101を供給することができる。説明のため、各温度制御群3が設けられた空間へと流体101を供給する流路を第1の流路40a、各温度制御部32の外管32bの内部空間へと流体101を供給する流路を第2の流路40bと呼ぶ。なお、温度制御群3が設けられた空間とは、梁31a、上部均熱板34a、下部均熱板34b、カバー36によって、複数の温度制御部32(温度制御群3)が囲まれた空間である(図1参照)。
冷却部40について、図4を用いて詳細に説明する。
図4は、流体101の流れを示す配管系統図である。
図4に示すように、冷却部40は、供給源41、流体制御部42、および配管43~46を有することができる。
供給源41は、流体101の供給源とすることができる。
流体101は、例えば、ガスや液体などとすることができる。
ガスは、例えば、ドライエアー、窒素ガス、アルゴンやヘリウムガスなどの不活性ガスなどとすることができる。
液体は、例えば、水やフルオロカーボンなどとすることができる。
ただし、流体101の種類は例示をしたものに限定されるわけではない。
流体101がガスの場合には、供給源41は、例えば、高圧ガスボンベや工場配管などとすることができる。
流体101が液体の場合には、供給源41は、例えば、液体を循環させるポンプと、液体を収納するタンクなどとしたり、工場配管などとしたりすることができる。
ここで、流体101が酸素を含むガスである場合には、高温状態にある外管32bが酸化するおそれがある。そのため、流体101は、酸素を含まないガス、例えば、窒素ガスや不活性ガスなどとすることがより好ましい。
また、流体101の温度は、例えば、常温(25℃)以下とすることができる。流体101の温度が低ければ、外管32bの温度を迅速に低下させることができ、ひいてはワーク100の温度を迅速に低下させることができる。そのため、流体101を冷却する冷却器を設けたり、液状の流体101を気化させた際の気化熱により、ガス状の流体101の温度を低下させたりすることができる。
流体制御部42は、例えば、流体101の供給と停止、流量や圧力の制御などを行うことができる。流体制御部42は、例えば、マスフローコントローラや、ニードルバルブなどとすることができる。流量制御部42は、各温度制御群3へ流体101を供給する配管44と供給源41との間に1つ、各温度制御群3の各温度制御部32へ供給する配管45に9つ、合計10個設けられている。
第1の流路40aは、供給源41、配管43、流体制御部42および配管44から構成されている。前述の通り、流量制御部42は、配管44と供給源41との間に1つ設けられている。具体的には、流量制御部42は、配管43と接続している。
配管43は、3つの端部43a、43b、43cを有する三つ又構造の配管である。配管43は、例えば、ステンレスなどの金属でできている。例えば、配管43の端部43aは、供給源41と接続している。配管43の端部43bは、例えば、流量制御部42と接続している。なお、配管43は、三つ又の継手に、ストレートの配管が3本接続された構造も含む。
配管43は、流量制御部42を介して、配管44と接続される。
配管44は、流量制御部42と接続していない端部が3つに分岐した構造の配管である。各分岐した部分を流量制御部42と接続した端部に近い順に、分岐部44a、分岐部44ab、分岐部44bとする。分岐部44a、44abおよび44bは、各温度制御群3が設けられた空間へと接続される。
分岐部44a、44abおよび44bは、フレーム31の側面を覆っている一方のカバー36に設けられた孔36aに接続されている。各温度制御群3が設けられた空間に供給されたほとんどの流体101は、他方のカバー36の孔36aからチャンバ10の内部空間へと供給される。
温度制御群3が設けられた空間を形成する上部均熱板34aおよび下部均熱板34bは、梁31aあるいはカバー36と僅かに隙間が空いている。そのため、各温度制御群3が設けられた空間に供給された流体101の一部は、上部均熱板34aの隙間および下部均熱板34bの隙間から処理領域30a、30bに供給される。なお、各温度制御群3が設けられた空間に供給されたほとんどの流体101が他方のカバー36の孔36aから排出されるように、上部均熱板34aの隙間および下部均熱板34bの隙間のコンダクタンスが他方のカバー36の孔36aのコンダクタンスよりも大きくなるように設計するようにするとよい。
第2の流路40bは、供給源41、配管43、配管45、流体制御部42、配管46から構成されている。
配管45の一方の端部は、配管43の端部43cと不図示の継手により接続される。配管45の他方の端部は、3つに分岐した構造となっている。各分岐した部分を配管43の端部43cと接続された一方の端部に近い順に、分岐部45a、分岐部45ab、分岐部45bとする。本実施形態では、分岐部45a、分岐部45abおよび分岐部45bは、同じ構造であるので、説明を簡略化するために分岐部45aについてのみ説明する。
分岐部45aは、さらに複数の分岐を有することができる。本実施形態では、処理領域30a(30b)を中央部分とその両側の部分とに分けて温度制御を行うため、分岐部45aは、3つの分岐を有する。
分岐部45aの3つの分岐を配管43の端部43cと接続された一方の端部に近い順に、分岐部45a1、分岐部45a2、分岐部45a3とする。
分岐部45a1、分岐部45a2および分岐部45a3は、流量制御部42と接続される。そして、分岐部45a1、分岐部45a2および分岐部45a3は、流量制御部42を介して配管46と各々接続される。
配管46は、流量制御部42と接続された端部とは反対の端部が処理領域30a(30b)の中央部分とその両側の部分に対応する温度制御部32の数だけ分岐を有する配管である。本実施形態では6つの端部を有する6又構造である。なお、配管46は、複数の継手と複数の真っ直ぐな配管を組み合わせた構造からなる配管、あるいは、複数の継手と複数のチューブを組み合わせた構造からなる配管も含む。
配管46は、例えば、配管39を介して、ヒータ32aのフランジ32a2に設けられたパイプ32dに接続することができる(図3参照)。そして、継手32a2cから第3の排気部21または工場の排気系に流体101が排気される。
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。
コントローラ50は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、有機膜形成装置1に設けられた各要素の動作を制御する。例えば、コントローラ50は、処理領域30a、30bに設けられた不図示の温度計の検出値に基づいて、発熱部32a1に供給する電力量や、温度制御部32に供給する流体101の供給量を制御する。
次に、有機膜形成装置1の動作について例示をする。
図5は、ワーク100の処理工程を例示するためのグラフである。
図5に示すように、有機膜の形成工程は、昇温工程と、加熱処理工程と、冷却工程とを含む。
まず、開閉扉13がフランジ11から離隔し、ワーク100がチャンバ10の内部空間に搬入される。チャンバ10の内部空間にワーク100が搬入されると、排気部20によりチャンバ10の内部空間が所定の圧力まで減圧される。
チャンバ10の内部空間が所定の圧力まで減圧されると、発熱部32a1に電力が印加される。すると、図5に示すように、ワーク100の温度が上昇する。ワーク100の温度が上昇する工程を昇温工程と呼ぶ。本実施形態では、昇温工程が二回(昇温工程(1)、(2))実施される。なお、所定の圧力は、溶液中のポリアミド酸がチャンバ10の内部空間に残留する酸素と反応して酸化されない圧力であればよい。所定の圧力は、例えば、100~1×10-2Paとすればよい。つまり、第2の排気部22で排気することは、必ずしも必要ではなく、第1の排気部21で排気が開始された後、チャンバ10の内部空間が100~10Paの範囲内の圧力となったら、温度制御部32によるワーク100の加熱を開始するようにしてもよい。
コントローラ50の記憶部は、昇温工程後の加熱処理工程における所定の温度および昇温工程の時間を予め記憶しており、演算部は、昇温工程の時間内に所定の温度となるように制御する。具体的には、コントローラ50は、昇温工程(1)において、不図示の温度計の検出値に基づいて、発熱部32a1に供給する電力量を制御する。また、コントローラ50は、昇温工程(2)において、不図示の温度計の検出値に基づいて、発熱部32a1に供給する電力量と共に温度制御部32に供給する流体101の供給量を制御する。
昇温工程の後、加熱処理工程が行われる。加熱処理工程は、所定の温度を所定時間維持する工程である。本実施形態では、第1の加熱処理工程および第2の加熱処理工程を設けることができる。
第1の加熱処理工程は、例えば、第1の温度でワーク100を所定時間加熱し、溶液に含まれている水分やガスなどを排出させる工程とすることができる。第1の温度は、例えば、100℃~200℃とすればよい。
コントローラ50は、不図示の温度計により、ワーク100の温度をモニターし、ワーク100が上記温度となるように発熱部32a1への電力の供給量を制御している。第1の加熱処理工程を実施することで、溶液に含まれている水分やガスが完成品である有機膜に含まれることを防ぐことができる。なお、溶液の成分などによっては第1の加熱処理工程は、温度を変えて複数回実施することもできるし、第1の加熱処理工程を省くこともできる。
第2の加熱処理工程は、溶液が塗布された基板(ワーク100)を、所定の圧力および温度で所定時間維持し、有機膜を形成する工程である。第2の温度は、イミド化が起きる温度とすればよく、例えば、300℃以上とすればよい。本実施形態では、分子鎖の充填度の高い有機膜を得るため、400℃~600℃で第2の加熱処理工程を実施している。
コントローラ50は、不図示の温度計により、ワーク100の温度をモニターし、ワーク100が上記温度となるように発熱部32a1への電力の供給量を制御している。コントローラ50は、不図示の温度計により、ワーク100の温度をモニターし、ワーク100が上記温度となるように発熱部32a1への電力の供給量を制御すると共に、後述の流体101を用いた温度制御部32の温度制御方法を併用することで、ワーク100の温度を制御する。
冷却工程は、有機膜が形成されたワーク100の温度を低下させる工程である。本実施形態では第2の加熱処理工程の後に行われる。ワーク100は、搬出可能な温度まで冷却される。例えば、搬出されるワーク100の温度が常温であれば、ワーク100の搬出が容易である。ところが、有機膜形成装置1においては、ワーク100は、連続的に加熱処理される。そのため、ワーク100を搬出するたびにワーク100の温度を常温にすると、次のワーク100を昇温させる時間が長くなる。すなわち、生産性が低下するおそれがある。搬出するワーク100の温度は、例えば、50℃~90℃とすればよい。この搬出温度を第3の温度とする。
コントローラ50は、第1の排気部21および第2の排気部22のバルブ25を閉じる。そして、冷却部40を制御して、温度制御部32および温度制御群3に流体101を供給することで、間接的および直接的にワーク100の温度を低下させる。コントローラ50は、不図示の温度計の検出値が第3の温度となるまで流体101の供給を維持する。コントローラ50は、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計の出力が大気圧と同じ圧力となったら、第3の排気部23のバルブ25を開け、流体101を常時排気する。
有機膜が形成されたワーク100の温度が第3の温度となったら、開閉扉13がフランジ11から離隔し、上記ワーク100が搬出される。上記ワーク100を搬出した後、次のワーク100がチャンバ10内に搬入され、上記の工程が繰り返される。
ここで、冷却工程において、チャンバ10の内部空間に冷却ガスを供給して、ワーク100を冷却することもできる。しかしながら、チャンバ10の内部空間の体積が大きいため、高温となっている部材、例えば、ヒータ32aおよび均熱部34を的確に冷却することができない。ワーク100だけを冷却ガスで冷却したとしても、ワーク100の周囲の部材の温度が高いと、周囲の部材からワーク100へ熱が伝わる。結果として、内部空間を冷却することでワーク100を冷却する方法だけでは、ワーク100を冷却するのに時間を要する。また、多量の冷却ガスを必要とするのでランニングコストが増大する。またさらに、チャンバ10の内部空間に冷却ガスを供給する場合、冷却ガスがワーク100に触れる供給の仕方だと、溶液を加熱した際に生じ、チャンバ10の内壁などに付着している昇華物が剥離して、有機膜の上に付着するおそれがある。有機膜の上に昇華物が付着すると、有機膜の品質が悪くなる。
冷却部40は、外管32bの内部空間に流体101を供給することで温度制御部32を冷却し、さらに、温度制御群3が設けられた空間にも流体101を供給することで、梁31a、カバー36、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを冷却し、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bを介してワーク100を冷却する。第2の加熱処理工程後、最も温度の高い温度制御部32および均熱部34を流体101によって的確に冷却することができるので、ワーク100の冷却を迅速に行うことができる。特に、外管32bの内部空間の体積は小さいので、温度制御部32の冷却、ひいてはワーク100の冷却を迅速に行うことができる。また、外管32bの内部空間に供給する流体101の量は少なくて済むので、チャンバ10の内部空間に冷却ガスを供給して、ワーク100を冷却する方法に比べて、冷却工程で使用する流体101(冷却ガス)の量を少なくすることができる。結果的に、ランニングコストの抑制を図ることができる。また、ワーク100へ直接吹き付けられる流体101の流れを極力抑えた構造となっている。このため、流体101が供給されても前述した昇華物の剥離が生じることがない。
すなわち、本実施の形態に係る有機膜形成装置1とすれば、有機膜が形成されたワーク100の冷却時間を短縮することができ、且つ、有機膜の品質を維持することができる。
冷却工程における流体101の供給タイミングは、例えば、ワーク100に対する加熱処理が完了した後とすることができる。なお、加熱処理の完了した後とは、有機膜が形成される温度を所定時間維持した後とすることができる。
本実施形態では冷却工程における流体101の供給は、第1の流路40aによる各温度制御群3への供給と、第2の流路40bによる各温度制御部32(外管32b)への供給の2種類がある。温度制御部32(外管32b)への流体101の供給タイミングは、各温度制御群3への流体101の供給のタイミングと同じとすることができる。
外管32bの内部空間に供給された流体101は、外管32bの内壁と、発熱部32a1の外面との間の隙間を流れる。このため、対流による冷却で外管32bと発熱部32a1を冷却することができる。また、外管32bの内壁と、発熱部32a1の外面との間の隙間が狭いため、少ない流体101の供給量で、外管32bと発熱部32a1を効率良く冷却することができる。
そして、各温度制御群3に流体101が供給されることで、各温度制御群3を構成する均熱部34およびカバー36が冷却される。前述の通り、各温度制御部32が外管32b内へ流体101が供給されることで、効率良く冷却されている。このため、各温度制御群3に供給された流体101の温度が各温度制御部32によって上昇されることを抑制することができる。その結果、各温度制御群3に供給された流体101は、各温度制御群3を構成する均熱部34およびカバー36を的確に冷却することができる。
また、処理領域30aおよび30bは、各温度制御群3へ供給される流体101のうち、上部均熱板34aの隙間から漏れる流体101、下部均熱板34bの隙間から漏れる流体101およびカバー36の孔36aを介してチャンバ10の内部空間へ排出された流体101によって大気圧と同じ圧力へと加圧される。処理領域30aおよび30bが大気圧と同じ圧力となったとき、ワーク100の周囲の部材が先に冷却された状態となる。つまり、ワーク100の熱が周囲の部材に伝わりやすい状態となる。すなわち、実質的な冷却時間の短縮を図ることができる。
以上は、冷却工程における温度制御部32の作用であるが、温度制御部32は加熱処理工程においても用いることができる。
イミド化は、200℃以上で生じる場合がある。つまり、昇温中でもイミド化は生じる。そのため、所定の温度(例えば、500℃)によるイミド化によって有機膜の品質を向上させるためには、急速加熱をする必要がある。
この場合、発熱部32a1への通電を制御して、温度制御部32の温度、ひいてはワーク100の温度を制御することができる。しかしながら、例えば、発熱部32a1への通電を停止したとしても、減圧雰囲気中では伝熱効率が悪いため、外管32bの温度が低下し、さらにワーク100の温度が低下するのには時間を要する。また、ワーク100の温度が500℃を下回ってから発熱部32a1への通電を開始したとしても、外管32bの温度が上昇し、さらにワーク100の温度が上昇するのに時間を要する。
前述したように、ワーク100の温度が高くなり過ぎると、有機膜に泡が発生したり、有機膜の組成が変化したりして有機膜の品質が低下するおそれがある。また、加熱処理温度のばらつきが大きいと有機膜の品質が低下するおそれがある。
冷却部40は、外管32bの内部空間に流体101を供給するので、外管32bの温度を迅速に低下させることができ、ひいてはワーク100の温度を迅速に低下させることができる。
また、ワーク100の温度が設定温度よりも低下した場合には、流体101の供給量を減らしたり、流体101の供給を停止したりすればよい。このようにすれば、発熱部32a1からの放熱だけでなく、発熱部32a1の熱が流体101を介して外管32bに伝わるため、外管32bの温度、ひいてはワーク100の温度を迅速に上昇させることができる。
すなわち、冷却部40と発熱部32a1とが協働してワーク100の温度を制御することができる。そのため、温度制御のレスポンスの向上と、ワーク100毎の処理温度のばらつきの抑制を図ることができるので、生産性の向上と有機膜の品質の向上とを図ることができる。またさらに、複数の温度制御部32ごとに温度を制御することができるので、ワーク100に温度分布が生じるのを抑制することができる。なお、温度を迅速に上昇させる場合、流体101の供給を停止しつつ、外管32bの内部空間を流体101で満たすことが好ましい。この様にすることで、発熱部32a1の熱を外管32bに伝えやすくなる。なお、発熱部32a1の熱が潜熱として流体101に吸収されることを防ぐために、このときの流体101は、気体であることが好ましい。
また、処理領域30a(30b)における中央領域の温度は、中央領域の両側に位置する領域の温度よりも高くなりやすい。処理領域30a(30b)内で温度分布があると、ワーク100の面内において温度分布が発生するおそれがある。ワーク100の面内において温度分布があっても有機膜の組成が不均一となり品質が低下するおそれがある。この場合、処理領域30a(30b)における中央領域と、中央領域の両側に位置する領域とで、流体101の制御を別々に行えば、ワーク100に温度分布が生じるのを抑制することができる。
例えば、分岐部45a2、の流体101の流量を分岐部45a1、45a3の流体101の流量よりも多くなるよう分岐部45aに設けられた各流体制御部42を制御するようにすればよい(図4参照)。分岐部45ab、分岐部45bも同様に制御すればよい。
また、温度制御群3abの温度は、温度制御群3aおよび温度制御群3bの温度よりも高くなりやすい。この場合、温度制御群3abと、温度制御群3aおよび温度制御群3bとで、流体101の制御を別々に行えば、ワーク100の温度に差が生じるのを抑制することができる。例えば、分岐部45abの各分岐部に供給される流体101の流量を分岐部45a、分岐部45bの各分岐部に供給される流体101の流量よりも多くなるように各分岐部に設けられた各流体制御部42を制御すればよい(図4参照)。また、前述の処理領域30a(30b)における中央領域と、中央領域の両側に位置する領域とで、流体101の制御を別々に行う制御を組み合わせてもよい。
以上に説明した様に、温度制御部32は複数設けられ、複数の温度制御部32が、複数の温度制御群3に区分けされている。冷却部40には、温度制御群3が設けられる複数の空間ごとに流体を供給する第1の流路40aと、複数の温度制御部32ごとに流体を供給する第2の流路40bと、が接続さている(図4を参照)。
加熱されたワーク100を冷却する際には、コントローラ50は、冷却部40を制御して、第1の流路40aおよび第2の流路40bを介して、流体を、温度制御群3が設けられた複数の空間と複数の温度制御部32とに供給する。
また、コントローラ50は、発熱部32a1に印加する電力の制御が可能である。
ワーク100を加熱する際には、コントローラ50は、第2の流路40bを介した流体の供給と、発熱部32a1に印加する電力と、を制御して、温度制御部32の温度を制御する。
図6は、他の実施形態に係る温度制御部232を例示するための模式断面図である。
図6に示すように、温度制御部232には、ヒータ232a、外管232b、ホルダ32c、およびパイプ232d1、232d2、232d3(第2のパイプの一例に相当する)を設けることができる。
ヒータ232aは、発熱部32a1、フランジ232a2、および端子32a3を有することができる。
フランジ232a2は、板状を呈し、発熱部32a1の、端子32a3側の端部の近傍に設けることができる。フランジ232a2は、例えば、発熱部32a1の外面に溶接することができる。フランジ232a2の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
外管232bは、筒状を呈し、一方向に延びた形態を有している。外管232bの一方の端部は開口し、他方の端部は閉鎖されている。外管232bの内部空間には、発熱部32a1を設けることができる。外管232bの内部には、壁232b1、232b2が設けられている。壁232b1、232b2は、外管232bの内部空間を複数の領域に仕切っている。壁232b1と壁232b2は所定の間隔をあけて設けられている。なお、2つの壁が設けられる場合を例示したが、少なくとも1つの壁が設けられていればよい。この場合、冷却部40は、壁により仕切られた複数の領域ごとに流体101を供給する。
外管232bの開口側の端部は、フランジ232a2に設けることもできる。外管232bの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
パイプ232d1は、少なくとも2つ設けることができる。パイプ232d1の一方の端部は、フランジ232a2に設けることができる。パイプ232d1の他方の端部は、外管232bの、フランジ232a2と壁232b1との間の内部空間に接続することができる。少なくとも1つのパイプ232d1には、冷却部40を接続することができる。冷却部40と接続されたパイプ232d1は、冷却部40が接続されていないパイプ232d1よりも長く形成されている。冷却部40と接続されたパイプ232d1の他方の端部は、フランジ232a2と壁232b1との間の内部空間の中央部分から壁232b1の間に位置する様に設けられる。冷却部40から供給された流体101は、パイプ232d1を介して、外管232bの、フランジ232a2と壁232b1との間の内部空間に供給される。この内部空間に供給された流体101は、冷却部40が接続されていないパイプ232d1を介して、外管232bの外部に排出される。
パイプ232d2は、少なくとも2つ設けることができる。パイプ232d2の一方の端部は、フランジ232a2に設けることができる。パイプ232d2の他方の端部は、外管232bの、壁232b1と壁232b2との間の内部空間に接続することができる。少なくとも1つのパイプ232d2には、冷却部40を接続することができる。冷却部40と接続されたパイプ232d2は、冷却部40が接続されていないパイプ232d2よりも長く形成されている。冷却部40と接続されたパイプ232d2の他方の端部は、壁232b1と壁232b2との間の内部空間の中央部分から壁232b2の間に位置する様に設けられる。冷却部40から供給された流体101は、パイプ232d2を介して、外管232bの、壁232b1と壁232b2との間の内部空間に供給される。この内部空間に供給された流体101は、冷却部40が接続されていないパイプ232d2を介して、外管232bの外部に排出される。
パイプ232d3は、少なくとも2つ設けることができる。パイプ232d3の一方の端部は、フランジ232a2に設けることができる。パイプ232d3の他方の端部は、外管232bの、壁232b2と外管232bの閉鎖端との間の内部空間に接続することができる。少なくとも1つのパイプ232d3には、冷却部40を接続することができる。冷却部40と接続されたパイプ232d3は、冷却部40が接続されていないパイプ232d3よりも長く形成されている。冷却部40と接続されたパイプ232d3の他方の端部は、壁232b2と外管232bの閉鎖端との間の内部空間の中央部分から外管232bの閉鎖端の間に位置する様に設けられる。冷却部40から供給された流体101は、パイプ232d3を介して、外管232bの、壁232b2と外管232bの閉鎖端との間の内部空間に供給される。この内部空間に供給された流体101は、冷却部40が接続されていないパイプ232d3を介して、外管232bの外部に排出される。
すなわち、壁により仕切られた複数の領域ごとに流体101を供給するパイプを設けることができる。パイプの一方の端部は、対応する領域に接続される。パイプの他方の端部は、冷却部40に接続される。また、冷却部40が接続されたパイプの他方の端部を冷却部40が接続されていないパイプの他方の端部よりも内部空間に挿入する長さを長くする。こうすることで、流体101が分割された内部空間の外管232bの閉鎖端側まで流れ、各内部空間内において流体101が流れない空間が形成されることを防ぐことができる。
ここで、発熱部32a1の軸方向において温度分布が生じる場合がある。例えば、発熱部32a1の、端子32a3側とは反対側の端部の近傍には、発熱体が設けられていない場合がある。例えば、発熱部32a1の、端子32a3側の端部の近傍には、フランジ232a2が設けられているので熱が逃げやすい。そのため、軸方向において、発熱部32a1の中央領域の温度が、発熱部32a1の両端側の領域の温度よりも高くなりやすい。発熱部32a1に温度分布が生じる。外管232bの温度分布が均熱部34で均熱にできる温度差以上であった場合、均熱部34に温度分布が生じる。そうすると、ワーク100に軸方向の温度分布が生じるおそれがある。
本実施の形態に係る温度制御部232においては、外管232bの内部空間を複数の領域に区画し、複数の領域毎に流体101の供給と排出を行うようにしている。そのため、熱処理工程において、流体101の温度や流量を制御することで、外管232bの外面に温度分布が生じるのを抑制することができる。その結果、発熱部32a1に温度分布が生じたとしても、外管232bの外面に温度分布が生じるのを抑制することができ、ひいてはワーク100に温度分布が生じるのを抑制することができる。また、前述の処理領域30a(30b)における中央領域と、中央領域の両側に位置する領域とで、流体101の制御を別々に行う制御と併用することで、ワーク100の軸方向(Y方向)の温度分布だけでなく、X方向の温度分布も抑制することができる。
また、パイプの、発熱部32a1に沿って延びる部分の長さが、長くなればパイプが加熱されやすくなり、ひいてはパイプが接続された領域に供給される流体101の温度が高くなり易くなる。一方、パイプの、発熱部32a1に沿って延びる部分と、発熱部32a1との間の距離が長くなれば、パイプが加熱され難くなり、ひいてはパイプが接続された領域に供給される流体101の温度が高くなり難くなる。
そのため、先端側の領域に接続されるパイプ232d3は外管232bの内壁の近傍に設けられ、フランジ232a2側の領域に接続されるパイプ232d1は発熱部32a1の近傍に設けられ、中央領域に接続されるパイプ232d2はパイプ232d3とパイプ232d1の間に設けられている。この様にすれば、それぞれの領域に供給される流体101の温度を揃え易くなる。
図7は、他の実施形態に係る温度制御部332を例示するための模式断面図である。
図7に示すように、温度制御部332には、ヒータ332a、外管332b、ホルダ332c、およびパイプ332d1、332d2、332d3を設けることができる。
ヒータ332aは、発熱部32a1、フランジ332a2、および端子32a3を有することができる。
外管332bの内部空間は、前述した外管232bと同様に、壁332b1、332b2により仕切られている。
パイプ332d1は、少なくとも2つ設けられ、外管332bの、フランジ332a2と壁332b1との間の内部空間に接続されている。パイプ332d1の機能は、前述したパイプ232d1の機能と同様とすることができる。
パイプ332d2は、少なくとも2つ設けられ、外管332bの、壁332b1と壁332b2との間の内部空間に接続されている。パイプ332d2の機能は、前述したパイプ232d2の機能と同様とすることができる。
パイプ332d3は、少なくとも2つ設けられ、外管332bの、壁332b2と外管332bの閉鎖端との間の内部空間に接続されている。パイプ332d3の機能は、前述したパイプ232d3の機能と同様とすることができる。
なお、冷却部40と接続された各パイプの内部空間との接続部は、冷却部40と接続されていないパイプの接続部よりも外管332bの閉鎖端側で接続されている。このようにすれば、供給された流体101が各内部空間の外管232bの閉鎖端側まで流れ、各内部空間内において流体101が流れない空間が形成されることを防ぐことができる。
前述したパイプ232d1、232d2、232d3は外管232bの内部空間に設けられていたが、パイプ332d1、332d2、332d3は外管332bの外部に設けられている。そのため、発熱部32a1において発生した熱が、パイプ332d1、332d2、332d3に伝わるのを抑制することができる。
なお、図6に例示をしたパイプの配設形態と、図7に例示をしたパイプの配設形態を組み合わせることもできる。すなわち、パイプは、外管の内部空間と外管の外部とに設けられていてもよい。
図8は、他の実施形態に係る温度制御部132を例示するための模式断面図である。 本実施形態に係る温度制御部132は、チャンバ10の側面10a1から挿入される(図1参照)。なお、チャンバ10内の部材は、Z軸を回転軸として90度回転した構造となっている。
図8に示すように、温度制御部132には、ヒータ32a、外管132b、およびホルダ32cを設けることができる。
外管132bは、筒状を呈し、一方向に延びた形態を有している。外管132bの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。外管132bの両側の端部は開口している。外管132bの一端は、フランジ32a2に溶接される。
外管132bの他端は、例えば、処理領域30a内に配置される。外管132bの他端は、外部接続部60に接続される。
外部接続部60は、配管付きフランジ61、センターリング62、ホルダ63、クランプ64が設けられている。
配管付きフランジ61は、フランジ61a、配管65、継手66、配管67、継手68が設けられている。
フランジ61aは、円柱状を呈し、厚さ方向に貫通する孔61bが中心に設けられている。フランジ61aの材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
配管65は、フランジ61aの孔61bに挿入され、フランジ61aに貫通した状態で溶接されている。配管65の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。配管65の一端は、例えば、不図示の継手に接続され、第3の排気部23または工場の排気系に接続される。配管65の他端は、継手66に接続される。
継手66は、金属の配管同士を気密に接続する。継手66の一方に配管65が接続され、他方に配管67が接続される。
配管67は、変形可能な配管である。配管67は、例えば、蛇腹形状のステンレスの配管である。配管67の継手66と接続された端部とは別の端部には、継手68が設けられている。
継手68は、配管67と外管132bとを気密に接続する継手である。継手68の一端が外管132bと接続し、継手68の他端が配管67と気密に接続される。
配管付きフランジ61の一端には、センターリング62が嵌る溝が形成されており、センターリング62を介してホルダ63と接続される。
センターリング62は、筒状の部材である。センターリング62の外周にはシール部材が設けられている。
ホルダ63の一方の端部にはフランジ63aが設けられている。ホルダ32cの他方の端部は、チャンバ10の側面10a1の外面に設けられている。加熱処理を行う際には、チャンバ10の内部空間が大気圧よりも減圧された雰囲気とされる。そのため、ホルダ63は、例えば、チャンバ10の側面10a1に気密となるように溶接することができる。ホルダ63の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。
ホルダ63には、チャンバ10の側面10a1に設けられた孔10a2と連通する孔63bが設けられている。そのため、配管付きフランジ61の配管65、継手66、配管67、継手68は、チャンバ10の外部から孔63bを介して処理領域30a(30b)の内部空間に挿入することができる。
フランジ63aの表面には、センターリング62が嵌る溝が形成されており、センターリング62を挟んだ状態でクランプ64によって、固定されることで、配管付きフランジ61と気密に接続することができる。
クランプ64は、ねじの付いたC字形状金具である。C字の一端に雄ネジ、C字の他端に、雌ネジが設けられている。クランプ64の内側に配管付きフランジ61とホルダ63とをセンターリング62を挟んだ状態で配置し、雄ネジを雌ネジに嵌合させることで、C字形状から円形へと形状を変化させる。円形となると、配管付きフランジ61とホルダ63とが気密に固定される。
前述した外管32bと同様に、外管132bの内部空間には、発熱部32a1を設けることができる。外管132bの内壁と、発熱部32a1の外面との間には隙間が設けられている。そのため、孔32a2aを介して供給された流体101を、発熱部32a1の外面に沿って流すことができる。発熱部32a1の外面に沿って流れた流体101は、処理領域30a(30b)の外側に排出される。すなわち、冷却部40は、外管132bの一方の開口側から内部空間に流体101を供給する。供給された流体101は、外管132bの他方の開口側から排出される。この場合、流体101は、側部均熱板34dと開閉扉13との間に排出されてもよいし、有機膜形成装置1の外部に排出されてもよい。
本実施の形態に係る温度制御部132には、両側の端部が開口している外管132bが設けられているので、流体101の流れを円滑にすることができる。そのため、冷却効率の向上を図ることができる。なお、温度制御部132に供給される流体101は、前述したガスとすることができる。
また、本実施形態では、形状変化が可能な配管67を介して、外管132bが継手68と接続される。加熱処理工程において、外管132bに熱膨張が生じる。例えば、外管132bを継手68を介して配管65と直接接続するとする。すると、熱変形による応力が配管付きフランジ61に加わり、クランプ64による固定が外れてしまうおそれがある。
外管132bと配管65との間に形状変化が可能な配管67を設けることで、配管67が外管132bの熱膨張を相殺するように形状を変化させることができる。このため、クランプ64による固定でも、クランプ64が外れてしまうことを防ぐことができる。
また、継手68で外管132bの着脱を行うことができるので、クランプ64を外すことなく有機膜形成装置1の組立作業やメンテナンス作業を行うことができる。
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、外管32bの他方の端部が閉鎖されている場合、外管32bの開口側の端部は、蓋15の内壁、ホルダ32cあるいは、本体10aの側面10a1に設けることもできる。
このようにすれば、ヒータ32aと外管32bとを別々に交換することができる。ヒータ32aが故障した場合、ヒータ32aだけ交換することができるので、コスト削減となる。
また、前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1 有機膜形成装置、3 温度制御群、10 チャンバ、20 排気部、30 処理部、30a 処理領域、30b 処理領域、32 温度制御部、32a ヒータ、32a1 発熱部、32b 外管、32d パイプ、37 支持部、40 冷却部、50 コントローラ、60 外部接続部、100 ワーク、101 流体、132 温度制御部、132b 外管、232 温度制御部、232a ヒータ、232b 外管、232b1 壁、232b2 壁、232d1~232d3 パイプ、332 温度制御部、332a ヒータ、332b 外管、332b1 壁、332b2 壁、332d1~332d3 パイプ

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有するワークを、大気圧よりも減圧された雰囲気で加熱可能な有機膜形成装置であって、
    前記大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、
    前記チャンバの内部を排気可能な排気部と、
    筒状を呈し、前記チャンバの外側から前記チャンバの内側に延び、前記チャンバに気密となるように挿通された外管と、前記外管の内部空間に設けられ前記外管に沿って延びる発熱部と、を有する少なくとも1つの温度制御部と、
    前記外管の内部空間に流体を供給可能な冷却部と、
    を備えた有機膜形成装置。
  2. 前記外管の一方の端部は開口し、前記外管の他方の端部は閉鎖され、
    前記冷却部は、前記外管の開口側から前記内部空間に前記流体を供給し、
    前記供給された流体は、前記外管の開口側から排出される請求項1記載の有機膜形成装置。
  3. 前記温度制御部は、前記外管の開口側の端部に設けられたフランジをさらに有し、
    前記フランジは、前記チャンバに着脱自在に設けられ、
    前記フランジを前記チャンバに取り付けた際には、前記フランジと前記チャンバとの間が気密となるように封止される請求項2記載の有機膜形成装置。
  4. 前記温度制御部は、前記外管の内部空間に設けられ前記外管に沿って延びる第1のパイプをさらに有し、
    前記第1のパイプの一方の端部は、前記フランジを厚み方向に貫通する第1の孔に設けられ、
    前記第1のパイプの他方の端部は、前記外管の一方の端部と他方の端部との間の中心位置よりも、前記外管の閉鎖側に設けられている請求項3記載の有機膜形成装置。
  5. 前記フランジは、厚み方向に貫通する第2の孔をさらに有し、
    前記第1のパイプおよび前記第2の孔には、前記流体が流通可能で、且つフレキシブルな配管が接続されている請求項3記載の有機膜形成装置。
  6. 前記外管の内部空間を複数の領域に仕切る壁をさらに備え、
    前記冷却部は、前記複数の領域ごとに前記流体を供給可能な請求項1~5のいずれか1つに記載の有機膜形成装置。
  7. 前記外管の内部空間を複数の領域に仕切る壁をさらに備え、
    前記複数の領域ごとに前記流体を供給する第2のパイプをさらに備え、
    前記第2のパイプの一方の端部は、対応する前記領域に接続され、
    前記第2のパイプの他方の端部は、前記冷却部に接続される請求項1~3のいずれか1つに記載の有機膜形成装置。
  8. 前記外管の閉鎖側の端部を支持する支持面と、前記支持面と交差する傾斜面と、を有する支持部をさらに備えた請求項1~7のいずれか1つに記載の有機膜形成装置。
  9. 前記外管の両側の端部は開口し、
    前記冷却部は、前記外管の一方の開口側から前記内部空間に前記流体を供給し、
    前記供給された流体は、前記外管の他方の開口側から排出される請求項1記載の有機膜形成装置。
  10. 前記冷却部を制御するコントローラをさらに備え、
    前記温度制御部は複数設けられ、
    前記複数の温度制御部は、複数の温度制御群に区分けされ、
    前記冷却部には、前記温度制御群が設けられる複数の空間ごとに前記流体を供給する第1の流路と、前記複数の温度制御部ごとに前記流体を供給する第2の流路と、が接続され、
    加熱された前記ワークを冷却する際には、前記コントローラは、前記冷却部を制御して、前記第1の流路および前記第2の流路を介して、前記流体を、前記温度制御群が設けられた複数の空間と前記複数の温度制御部とに供給する請求項1~9のいずれか1つに記載の有機膜形成装置。
  11. 前記コントローラは、前記発熱部に印加する電力の制御がさらに可能であり、
    前記ワークを加熱する際には、前記コントローラは、前記第2の流路を介した前記流体の供給と、前記発熱部に印加する電力と、を制御して、前記温度制御部の温度を制御する請求項10記載の有機膜形成装置。
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