JP2022029088A - 燃料電池用セパレーター - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高い導電性及び防錆性を有する燃料電池用セパレーターを提供する。【解決手段】本発明の一態様は、金属基材と、金属基材の表面に配置された、チタンを含む第一層と、第一層の表面に配置された、カーボンを含む第二層と、第二層の表面に配置された、カーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層とを備え、第三層におけるカーボンナノチューブの被覆率が90面積%以上であり、且つSi系バインダーの含有量が第三層の総質量の40質量%以上である、燃料電池用セパレーターに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用セパレーターに関する。
燃料電池は、水素及び酸素を電気化学的に反応させて起電力を得る。燃料電池の発電に伴って生じる生成物は、原理的に水のみである。それ故、地球環境への負荷がほとんどない、クリーンな発電システムとして注目されている。
燃料電池は、電解質膜の両面に電極触媒層が配置された、膜電極接合体(以下、「MEA」とも記載する)を基本単位として構成される。燃料電池の運転時には、アノード(燃料極)側の電極触媒層に水素を含む燃料ガスを、カソード(空気極)側の電極触媒層に酸素を含む酸化ガスを、それぞれ供給することにより、起電力を得る。アノードでは酸化反応が、カソードでは還元反応が進行し、外部回路に起電力を供給する。
燃料電池においては、通常は、MEAの各電極触媒層の外側にガス拡散層が配置され、ガス拡散層の外側にセパレーターがさらに配置されて、燃料電池セルが構成される。燃料電池は、通常は、所望の電力に基づき、必要となる複数の燃料電池セルの組み合わせ(以下、「燃料電池スタック」とも記載する)として使用される。
セパレーターは、各燃料電池セルに供給される燃料ガス及び空気を遮断するだけでなく、外部への電流伝達部としても機能する。このため、セパレーターには、気密性だけでなく、導電性、耐錆性及び熱伝導性が要求される。従来、セパレーターには、カーボン基材が使用されてきたが、近年では、金属基材の表面に導電性皮膜を配置した材料も使用される。
燃料電池用セパレーターに使用する部材としては、例えば、特許文献1は、金属基材層と、前記金属基材層上に形成される緻密バリア層と、前記緻密バリア層上に形成される中間層と、前記中間層上に形成される導電性薄膜層と、を有する、導電部材を記載する。当該文献は、前記緻密バリア層がチタンのような金属を、前記中間層が金属の炭化物を、前記導電性薄膜層がカーボンナノチューブのような導電性炭素を含み得ることを記載する。当該文献は、前記構成を有する導電部材は接触抵抗を低減し得ることを記載する。
特許文献2は、金属基材と該金属基材の表面に設けられる表面層とを備える燃料電池用セパレーターであって、前記表面層には、炭素系導電材とSi系バインダーとが含まれており、前記表面層において、前記炭素系導電材の表面被覆率は90%以上、前記Si系バインダーの比率は40%以上であることを特徴とする燃料電池用セパレーターを記載する。
特開2010-129303号公報 特開2019-133838号公報
前記のように、燃料電池用セパレーターに使用し得る種々の部材が開発された。しかしながら、従来の燃料電池用セパレーター又はそれに使用し得る部材には、導電性及び防錆性の点で課題が存在した。例えば、特許文献1に記載の導電部材の場合、燃料電池使用環境下では、ガス拡散層との接触部が少なくなり、初期及び腐食環境下での接触抵抗が過度に上昇する可能性がある。このため、当該文献に記載の導電部材は、導電性及び防錆性が低下し得る。
それ故、本発明は、高い導電性及び防錆性を有する燃料電池用セパレーターを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、金属基材の表面に、チタンを含む第一層及びカーボンを含む第二層からなる中間層を配置し、さらに中間層の表面に、所定量のカーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層を配置することにより、腐食環境下であってもガス拡散層との間の接触抵抗を低減した燃料電池用セパレーターが得られることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) 金属基材と、
金属基材の表面に配置された、チタンを含む第一層と、
第一層の表面に配置された、カーボンを含む第二層と、
第二層の表面に配置された、カーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層とを備え、
第三層におけるカーボンナノチューブの被覆率が90面積%以上であり、且つSi系バインダーの含有量が第三層の総質量の40質量%以上である、燃料電池用セパレーター。
本発明により、高い導電性及び防錆性を有する燃料電池用セパレーターを提供することが可能となる。
図1は、本発明の一態様の燃料電池用セパレーターの好ましい一実施形態の断面図である。 図2は、比較例1~9のセパレーターのCNT被覆率と初期接触抵抗との関係を示すグラフである。図中、横軸は、CNT被覆率(面積%)であり、縦軸は、初期接触抵抗(mΩcm2)である。 図3は、比較例1~9のセパレーターにおける第三層の膜中のSi系バインダー含有量と初期又は耐食試験後の接触抵抗との関係を示すグラフである。図中、横軸は、第三層の膜中のSi系バインダー含有量(質量%)であり、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。 図4は、比較例4及び実施例1のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を示すグラフである。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。 図5は、比較例5及び実施例2のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を示すグラフである。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。 図6は、比較例6及び実施例3のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を示すグラフである。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<1. 燃料電池用セパレーター>
本発明の一態様は、燃料電池用セパレーターに関する。本発明の一態様の燃料電池用セパレーターの好ましい一実施形態の断面図を図1に示す。以下、本態様の燃料電池用セパレーターについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本態様の燃料電池用セパレーター10は、金属基材1と、金属基材1の表面に配置された第一層2と、第一層2の表面に配置された第二層3と、第二層3の表面に配置された第三層4とを備える。第一層2は、チタン(Ti)を含む。第二層3は、カーボン(C)を含む。第三層4は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも記載する)5及びSi系バインダー6を含む。
燃料電池用セパレーターに適用される従来の部材の場合、燃料電池使用環境下では、ガス拡散層との接触部が少なくなり、初期及び腐食環境下での接触抵抗が過度に上昇する可能性がある。例えば、特許文献1に記載の導電部材の場合、導電性薄膜層に含まれる導電性炭素の表面被覆率が低いと、GDLとの接触部が少なくなり、GDLとの間の初期接触抵抗が上昇する可能性がある。また、燃料電池用セパレーターにおいて、金属基材の表面に表面処理膜を形成する場合、樹脂系バインダーを使用すると、燃料電池使用環境下で腐食液が浸透する可能性がある。腐食液の浸透が進行すると、金属基材と表面処理膜との間の界面に酸化膜が成長して、セパレーターとGDLとの間の接触抵抗が上昇する可能性がある。さらに、燃料電池用セパレーターにおいて、金属基材の表面に導電性炭素を含む表面処理膜を形成する場合、金属基材と表面処理膜との間の界面の抵抗が高くなり、セパレーターとGDLとの間の接触抵抗が上昇する可能性がある。
本発明者らは、金属基材の表面に、Tiを含む第一層及びCを含む第二層からなる中間層を配置し、さらに中間層の表面に、所定量のカーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層を配置することにより、腐食環境下であってもGDLとの間の接触抵抗を低減した燃料電池用セパレーターが得られることを見出した。それ故、前記構成を有する本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有することができる。
本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、金属基材を構成する材料は、ステンレス、チタン合金又はアルミニウム合金であることが好ましく、ステンレスであることがより好ましい。前記材料は、高い導電性及び防錆性を有する。それ故、前記材料で構成される金属基材を用いることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有することができる。
本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、第一層は、Tiを含み、場合により炭素又は窒素を含むことが好ましい。Tiを含む第一層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、金属基材由来の金属イオン溶出を抑制することができ、またCを含む第二層と高い親和性で接合することができる。例えば、本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、金属基材を構成する材料としてステンレスを用いる場合、Tiを含む第一層を備えることにより、燃料電池使用環境下で腐食液が浸透して鉄イオンが溶出し、燃料電池セル中の発電膜を被毒することを抑制し得る。また、Tiとステンレスとは親和性が高いので、該金属基材の表面にCを含む第二層を配置する場合と比較して、金属基材及び第一層との間を高い親和性で接合することができる。それ故、前記特徴を有する第一層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有することができる。
第一層の膜厚は、30~500 nmの範囲であることが好ましく、100~200 nmの範囲であることがより好ましい。第一層の膜厚が前記下限値未満の場合、金属基材とCNTを含む第三層との間の界面の抵抗が上昇する可能性がある。また、第一層の膜厚が前記上限値を超える場合、膜応力の上昇により、金属基材との密着力が低下する可能性がある。それ故、前記範囲の膜厚を有する第一層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、第二層は、Cを含む。Cは耐酸性が高いことから、Cを含む第二層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、接触抵抗の悪化を抑制することができる。例えば、本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、Cを含む第二層を備えることにより、燃料電池使用環境下で腐食液が第二層まで浸透しても、金属基材及び第一層の表面の変質を抑制し得る。それ故、前記特徴を有する第二層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
第二層の膜厚は、10~500 nmの範囲であることが好ましく、30~50 nmの範囲であることがより好ましい。第二層の膜厚が前記下限値未満の場合、金属基材とCNTを含む第三層との間の界面の抵抗が上昇する可能性がある。また、第二層の膜厚が前記上限値を超える場合、膜応力の上昇により、第一層との密着力が低下する可能性がある。それ故、前記範囲の膜厚を有する第二層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、第三層は、CNT及びSi系バインダーを含む。第三層は、場合により分散剤等のその他の成分を含むことが好ましい。その他の成分、例えば分散剤の含有量は、以下において例示するCNT及びSi系バインダーの含有量に基づき適宜設定すればよく、通常は第三層の総質量の5~40質量%の範囲である。その他の成分、例えば分散剤を含むことにより、第三層においてCNT及びSi系バインダーを均質に配置することができる。これにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
第三層に含まれるSi系バインダーは、無機Si系バインダーであることが好ましい。Si系バインダーの含有量は、第三層の総質量の40質量%以上であり、60~80質量%の範囲であることが好ましい。Si系バインダーの含有量が前記下限値未満の場合、燃料電池使用環境下で腐食液が浸透する可能性がある。腐食液の浸透が進行すると、金属基材と表面処理膜との間の界面に酸化膜が成長して、セパレーターとGDLとの間の接触抵抗が上昇する可能性がある。それ故、前記含有量のSi系バインダーを含む第三層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有することができる。
当該技術分野において、CNTは、グラファイトの単層面が筒状の構造を有するカーボン材料を意味する。通常は、1層の筒状の構造を有するCNTを単層CNTと、2層の筒状の構造を有するCNTを2層CNTと、3層以上の筒状の構造を有するCNTを多層CNTと、それぞれ分類する。通常は、CNTを含む導電性皮膜において、CNTの層数が増加すると導電性が向上し得る。第三層に含まれるCNTは、前記いずれの構造を有してもよい。第三層に含まれるCNTの平均長さは、1~数十 μmの範囲であることが好ましい。CNTの平均長さが前記下限値未満の場合、導電経路が減少して、第三層の導電性が低下する可能性がある。CNTの平均長さが前記上限値を超える場合、分子間凝集が起こりやすく、CNTを均質に配置できない可能性がある。それ故、前記範囲の平均長さを有するCNTを含む第三層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有することができる。
第三層に含まれるCNTの含有量は、第三層の総質量の20質量%以上であることが好ましく、20~30質量%の範囲であることがより好ましい。CNTの含有量が前記下限値未満の場合、結果として得られる燃料電池用セパレーターとGDLとの間の接触抵抗が上昇する可能性がある。それ故、前記含有量のCNTを含む第三層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
本態様の燃料電池用セパレーターにおいて、第三層におけるCNTの被覆率は、90面積%以上である。CNTの被覆率が前記下限値未満の場合、以下において説明する接触抵抗の測定において、初期の接触抵抗が上昇する可能性がある。それ故、前記範囲の被覆率のCNTを含む第三層を備えることにより、本態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性を有することができる。
本発明の各態様において、燃料電池用セパレーターの第三層におけるCNTの被覆率は、限定するものではないが、以下の手順で測定することができる。レーザー顕微鏡を用いて、燃料電池用セパレーターの表面観察を実施する。観察像に対して、CNTの有無の観点で2値化し、CNTが覆っている割合を被覆率(面積%)として算出する。
本態様の燃料電池用セパレーターは、GDLに対する初期の接触抵抗が、通常は10 mΩcm2以下であり、特に5 mΩcm2以下である。また、耐食試験後の接触抵抗が、通常は4 mΩcm2以下であり、特に3.9 mΩcm2以下である。前記範囲の接触抵抗を有する本態様の燃料電池用セパレーターは、燃料電池使用環境下で高い導電性及び防錆性を有することができる。
本発明の各態様において、燃料電池用セパレーターのGDLに対する接触抵抗は、限定するものではないが、以下の手順で測定することができる。燃料電池用セパレーターの成膜面とGDLとを重ね合わせ、所定(例えば、1 MPa)の荷重がかかるように印加する。その状態で、所定(例えば、1 A)の電流を印加し、セパレーター及びGDL間の電圧を測定する。測定した電圧値を抵抗値に換算し、さらに評価面積を乗して、初期接触抵抗を算出する。耐食性評価は、燃料電池使用環境を想定して行うことができる。まず、燃料電池用セパレーターを、強酸性腐食液に浸漬させる。セパレーターを浸漬させた状態で、セパレーターと電極との間に所定(例えば、0.9 V)の定電圧の電位を掛ける。一定時間経過後に、前記と同様の手順で測定した接触抵抗を、耐食試験後接触抵抗値とする。用いる強酸性腐食液は、例えば、pH 3のフッ素(F)及び塩素(Cl)を含む強酸性溶液である。
<2. 燃料電池用セパレーターの製造方法>
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の燃料電池用セパレーターの製造方法に関する。本態様の製造方法は、金属基材準備工程、第一層形成工程、第二層形成工程及び第三層形成工程を含む。
[2-1. 金属基材準備工程]
本工程は、金属基材を準備することを含む。
本工程で準備される金属基材は、前記で説明した材料で構成されることが好ましい。金属基材は、製品を購入等して準備してもよく、自ら作製して準備してもよい。
[2-2. 第一層形成工程]
本工程は、金属基材の表面に、Tiを含む第一層を形成することを含む。
本工程は、前記で説明した第一層に含まれる材料を金属基材の表面に被覆することにより、実施することができる。第一層は、限定するものではないが、例えば、物理蒸着(以下、「PVD」とも記載する)法のような当該技術分野で通常使用される成膜手段により実施することができる。
[2-3. 第二層形成工程]
本工程は、前記で説明した第二層に含まれる材料を第一層の表面に被覆することにより、実施することができる。第二層は、限定するものではないが、例えば、PVD法のような当該技術分野で通常使用される成膜手段により実施することができる。
[2-4. 第三層形成工程]
本工程は、前記で説明した第三層に含まれる材料を第二層の表面に被覆することにより、実施することができる。本工程は、第三層に含まれる材料を含む組成物を調製すること、組成物を第二層の表面に塗工すること、及び塗工した組成物の塗膜を硬化させることを含む(ゾルゲル法)。
組成物の調製は、所定の含有量の材料を、ディゾルバー又はビーズミル等の当該技術分野で通常使用される手段によって均一に分散させることによって実施することができる。
組成物の塗工は、コーター塗工法、ブレード塗工法、スプレー噴霧法又はスクリーン印刷法等の当該技術分野で通常使用される手段によって実施することができる。
塗膜の硬化は、塗工後の塗膜を所定の温度で熱処理することによって実施することができる。熱処理の温度は、使用される材料に基づき、適宜設定すればよい。
前記で説明した各工程を実施することにより、本発明の一態様の燃料電池用セパレーターを得ることができる。
以上、詳細に説明したように、本発明の一態様の燃料電池用セパレーターは、高い導電性及び防錆性を有する。それ故、本発明の一態様の燃料電池用セパレーターは、自動車等の燃料電池に好適に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<I:セパレーターの作製>
まず、Si系バインダーの元となるSi系溶液にCNT及び分散剤を入れ、攪拌し混ぜ合わせた。その際、分散剤量の調整によって、表1に示す組成を有するサンプルの原料を作製した。次に、金属基材(ステンレス)の表面に、PVD法にてTiを含む第一層及びCを含む第二層を順次成膜した。第二層の表面に、各サンプルの原料を滴下し、バーコーターを用いて、塗工した。塗工後のサンプルを、300℃で30分間加熱し、塗膜を固化させて、各サンプルのセパレーターを得た(ゾルゲル法)。
<II:セパレーターの評価>
[II-1:接触抵抗の測定]
各サンプルのセパレーターの成膜面とGDL(東レ製TGP-H-060)とを重ね合わせ、1 MPaの荷重がかかるように印加した。その状態で、1 Aの電流を印加し、セパレーター及びGDL間の電圧を測定した。測定した電圧値を抵抗値に換算し、さらに評価面積を乗して、初期接触抵抗を算出した。
耐食性評価は、燃料電池使用環境を想定して行った。まず、作製した各サンプルのセパレーターを、強酸性腐食液に浸漬させた。セパレーターを浸漬させた状態で、セパレーターと電極との間に0.9 Vの定電圧の電位を掛けた。一定時間経過後に、前記と同様の手順で測定した接触抵抗を、耐食試験後接触抵抗値とした。用いた強酸性腐食液は、pH 3のフッ素(F)及び塩素(Cl)を含む強酸性溶液である。
[II-2:CNT被覆率の測定]
レーザー顕微鏡を用いて、各サンプルのセパレーターの表面観察を実施した。観察像に対して、CNTの有無の観点で2値化し、CNTが覆っている割合を被覆率(面積%)として算出した。
<III:結果>
各サンプルのセパレーターを作製する際に使用した原料の組成及びセパレーターの評価結果を表1に示す。比較例1~9のセパレーターのCNT被覆率と初期接触抵抗との関係を図2に示す。図中、横軸は、CNT被覆率(面積%)であり、縦軸は、初期接触抵抗(mΩcm2)である。比較例1~9のセパレーターにおける第三層の膜中のSi系バインダー含有量と初期又は耐食試験後の接触抵抗との関係を図3に示す。図中、横軸は、第三層の膜中のSi系バインダー含有量(質量%)であり、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。比較例4及び実施例1のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を図4に示す。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。比較例5及び実施例2のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を図5に示す。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。比較例6及び実施例3のセパレーターの初期又は耐食試験後の接触抵抗を図6に示す。図中、縦軸は、初期(白抜き四角)又は耐食試験後(黒塗り四角)の接触抵抗(mΩcm2)である。
Figure 2022029088000002
表1に示すように、CNT被覆率が増加するにつれ、初期接触抵抗の低下が見られた。CNT被覆率が90面積%以上の時に、初期接触抵抗は10 mΩcm2以下となった(図2)。これは、CNT被覆率が増加することで、GDLとの接触部が増加したことによると考えられる。また、第三層の膜中のSi系バインダー含有量が40質量%以上になると、初期及び耐食試験後の接触抵抗に差が見られなくなった(図3)。第三層の膜中のSi系バインダー含有量が高くなることで、腐食液の浸透が抑えられ、表面処理膜と金属基材との界面の酸化膜の成長が抑制されたと考えられる。さらに、第三層の膜中のSi系バインダー含有量が40~60質量%の範囲、且つ第一層(Ti:170 nm)及び第二層(C:30 nm)からなる中間層を有するサンプルでは、初期接触抵抗がさらに低下し、耐食後接触抵抗も4 mΩcm2以下となった(図4~6)。なお、実施例のセパレーターにおいて、Tiを含む第一層を設ける理由としては、金属基材由来の金属イオン溶出を抑制できる点、また、Cを含む第二層との親和性が良い点を挙げることができる。例えば、ステンレス(SUS)基材を用いる場合、腐食液の浸透によりSUS表面が溶解し、鉄イオンが溶出することで、燃料電池セル中の発電膜を被毒する可能性がある。また、SUS基材上にC層を直接成膜する場合、層間の親和性が悪く連続膜とならない可能性がある。これらの点を回避するため、Tiを含む第一層を設けることが有効である。
以上より、燃料電池用セパレーターにおいて、基材の表面に配置された、チタンを含む第一層と、第一層の表面に配置された、カーボンを含む第二層と、第二層の表面に配置された、カーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層とを備え、第三層におけるカーボンナノチューブの被覆率が90面積%以上であり、且つSi系バインダーの含有量が第三層の総質量の40質量%以上である構成を備えることにより、GDLとの接触抵抗を4 mΩcm2以下とすることができる。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
1…金属基材
2…第一層
3…第二層
4…第三層
5…カーボンナノチューブ
6…Si系バインダー
10…燃料電池用セパレーター

Claims (1)

  1. 金属基材と、
    金属基材の表面に配置された、チタンを含む第一層と、
    第一層の表面に配置された、カーボンを含む第二層と、
    第二層の表面に配置された、カーボンナノチューブ及びSi系バインダーを含む第三層とを備え、
    第三層におけるカーボンナノチューブの被覆率が90面積%以上であり、且つSi系バインダーの含有量が第三層の総質量の40質量%以上である、燃料電池用セパレーター。
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