JP2022028192A - セルフタッピング式インプラントフィクスチャ - Google Patents

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Abstract

【課題】歯科用インプラント治療に用いられるインプラントフィクスチャであって、埋入時には高い穿孔性を有し、埋植直後には骨との高い固定性を有し、予め形成したドリル孔に沿った望ましい角度で埋植できるインプラントフィクスチャを提供する。【解決手段】歯科用インプラントフィクスチャ1であって、その外面に、少なくとも円錐台部2から円柱部3との連接部付近に掛けてn本のセルフタップ溝5を有し、リード及びピッチが同じであり位相が異なるn×m条のスレッド溝4を有し、nは3以上の整数であり、mは自然数であることを特徴とする歯科用インプラントフィクスチャ。【選択図】図1

Description

本発明は、歯科用インプラント治療で用いられるインプラントフィクスチャに関する。
歯科用インプラント治療は、ウ蝕や歯周病、又は外傷などによって失われた歯牙の欠損部位に対して行われる歯科治療の一つである。
通常、歯科用インプラント治療の主たる施術は、顎骨に歯科用インプラントの外径と略同一又はこれよりわずかに小さい孔にインプラントドリルで形成し、次いで、そのドリル孔に歯科用インプラントを槌打し又はねじ込んで歯科用インプラントを埋入して所望する顎骨位置に埋植することにより行われる。
歯科用インプラントの施術方式としては、歯科用インプラントを埋植後、その歯科用インプラントを口腔内へ露出をさせないように歯肉を縫合し、歯科用インプラントとその周囲及び、顎骨内への挿入を容易にし埋植直後の顎骨との固定を得るためにその外面に螺旋状のスレッドを形成したインプラントフィクスチャである場合にはスレッド溝とドリル孔との間隙に新生骨ができ固定が得られるまでの治癒期間を設け、治癒期間の後に補綴物(歯冠)を装着する2回法施術、及び、埋植した歯科用インプラントを露出をさせてその周りの歯肉を縫合する1回法施術等がある。
歯科用インプラントの仕様としては1ピースタイプが施術が最も簡便で物理学的な強度も優位である。また、施術方式としては、歯科用インプラントを埋植直後に上部構造となる咬合部位の補綴物まで装着することで全治療を完了させる1回法施術は、合計施術時間及び日数を短縮化することができる点や、術者及び患者の金銭的及び精神的負担を軽減することができる点で優位である。ところが、1ピースタイプ及び1回法施術を適用できる症例は、顎骨の骨質及び骨量が十分にあること、口腔衛生状態が良好であること、並びに施術部位に高い咬合圧がかからない部位及び歯列であること等の口腔内条件が揃わなければ実施できないことから、症例に合わせて歯科用インプラントの仕様及び施術方式が適宜選択されているのが現状である。
また歯科用インプラントに用いられるインプラントフィクスチャにおいては先端から後端まで外径が略一定であるストレートタイプや先端から後端に従って外径が大きくなる先細りのテーパータイプなどがあるが、特にインプラント治療後の審美性が重要視される前歯部などの症例においてはインプラントフィクスチャを埋入しながら周囲骨との位置関係によって埋入深さを微調整する為、埋入深度を調整しやすいストレートタイプを選択するなど、インプラントフィクスチャの形状も症例に合わせて適宜選択される。
インプラントフィクスチャは顎骨内への挿入を容易にするため及び埋植直後の顎骨との固定を得るために、その外面に螺旋状のスレッドを形成したものが広く用いられている。
近年、より簡便に使用できるように歯科用インプラントの技術開発が進められ、また、表面性状や形状等を改良した製品が上市されているが、どれも一長一短がある。
特許文献1では、顎骨に埋入する先端部にセルフタップ溝が設けられたインプラントフィクスチャが開示されており、セルフタップ溝を設けることによりセルフタッピング中にインプラントに付与するトルクを少なくできることが知られている。
特許文献2では、多条ねじのインプラントフィクスチャが開示されており、多条ねじにすることによって埋植時の施術時間が短縮しうることが知られている。
特許03307950号公報 特表平8-501962号公報
インプラント治療において、インプラントフィクスチャを埋植する際は、予め診断した患者の顎骨及びその周囲の情報をもとにインプラントフィクスチャを埋植する位置、深さ及び角度を計画し、計画に従ってドリル孔を形成し、インプラントフィクスチャを埋植する。インプラントフィクスチャの埋植は、患者の口腔内という非常に限られた視野において行う作業であり、診断時に設計した位置に正確に埋植するのは困難が伴う。
ドリル孔はインプラントフィクスチャの外径よりも小径にし、インプラントフィクスチャを回転させセルフタッピングさせることにより埋植直後の固定性を向上させることができるが、埋植時はインプラントフィクスチャを取り付けた埋植用の工具を手指で把持して操作する為、セルフタッピング時に顎骨からインプラントフィクスチャが受ける反力によりインプラントフィクスチャがぶれ、ドリル孔に沿わない角度で埋植されてしまうことがある。
その様な場合に備え、埋入時には高い穿孔性を有し、埋植直後には骨との高い固定性を有し、予め形成したドリル孔に沿った望ましい角度で埋植できるインプラントフィクスチャが望まれていた。
本発明は、顎骨に埋植される埋植部を有する歯科用インプラントフィクスチャであって、顎骨に埋植される埋植部は、円錐台形状をしている円錐台部と、円柱形状の円柱部を有し、埋植部の円錐台部と円柱部は前記インプラントフィクスチャの中心軸方向に沿って連接され、前記円錐台部から前記円柱部との連接部付近に掛けてn本のセルフタップ溝を有し、前記円柱部および前記円錐台部は連続したn×m条のスレッド溝を有し、前記スレッド溝はそれぞれリードおよびピッチが同じであり、nは3以上の整数であり、mは自然数であることを特徴とする歯科用インプラントフィクスチャである。
円柱部における任意のスレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが、円柱部の円錐台部側から他端側に掛けて漸増していることが好ましい。またスレッド溝を有する円柱部の外径が一定であってもよく、スレッド溝を有する円柱部の外径が円錐台部側から円柱部の他端側に掛けて漸増するテーパー形状であっても良い。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャは、セルフタップ溝のねじれ角が1~60°であることが好ましく、全スレッド溝のねじ山の先端側フランク角が2~20°であり、後端側フランク角が40~60°であることが好ましい。
また、埋植部の円柱部の他端部に、円柱部と同軸の円柱状のカフ部または周方向に連続する溝を有することが好ましく、また、円柱部の他端側に、前記スレッド溝と同じリードであり前記スレッド溝よりも小さなピッチである多条スレッド溝をさらに有していても良い。
埋入時には高い穿孔性を有し、埋植直後には骨との高い固定性を有し、予め形成したドリル孔に沿った望ましい角度で埋植できる。
本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態側面図である。 図1に示すインプラントフィクスチャの下面図である。 図1に示すインプラントフィクスチャの側面部分拡大図である。 図1に示すインプラントフィクスチャの円柱部の軸を含む面の断面図である。 図1に示すインプラントフィクスチャの円柱部の軸を含む面の断面部分拡大図である。 本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態の一つの側面図である。 本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態の一つの側面図である。 本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態の一つの側面図である。 本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態の一つの中心軸を含む面の断面部分図である。 本発明のインプラントフィクスチャの好適な実施形態の一つの中心軸を含む面の断面部分図である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。また、その他の任意の構成要素を備え得るものである。
本発明は歯科用インプラントフィクスチャであり、インプラントフィクスチャを有する歯科用インプラントに用いることができる。歯科用インプラントの第1の仕様としては、インプラントフィクスチャとアバットメントとが一体とされた1ピースタイプに用いることができる。歯科用インプラントの第2の仕様としては、歯根の代替部位となるインプラントフィクスチャと、歯冠支台の代替部位となるアバットメントとの2部品からなり、インプラントフィクスチャにアバットメントを結合して使用される2ピースタイプがある。歯科用インプラントの第3の仕様としては、インプラントフィクスチャ、アバットメント、及びスクリュの3部品からなり、スクリュを用いてインプラントフィクスチャにアバットメントを固定する3ピースタイプがある。
歯科用インプラントの第1から第3の仕様の1から3ピースタイプのいずれにも用いることができる。
歯科用インプラントフィクスチャと一体とされたアバットメントから構成される歯科用インプラントは第1の仕様の1ピースタイプの歯科用インプラントである。
歯科用インプラントフィクスチャと分けられたアバットメントから構成される歯科用インプラントは第2または3の仕様の2または3ピースタイプの歯科用インプラントである。
本発明のインプラントフィクスチャの用途は、特に制限はない。例えば欠損歯牙の代替として用いられる前記の歯科用インプラントであってもよく、あるいは歯列矯正用ワイヤの固定元等として用いられる暫間インプラントであってもよく、更に、これら以外の任意の用途に用いられる歯科用インプラントであってもよい。
1回法施術に供する第1の仕様である1ピースタイプの歯科用インプラントに用いた場合においても、2回法施術に供する第2から第3の仕様の2または3ピースタイプの歯科用インプラントの場合においても、インプラントフィクスチャを予め計画した角度のとおりに埋植することが可能となり、安心安全な施術を行うことができ、本発明の好ましい態様である。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャの直径(太さ)は3.0~5.0mmであり、長さは6.0~17.0mmであり、スレッドのリードは0.6~6.4mmであり、ピッチは0.2~1.6mmである。
歯科用インプラントフィクスチャの直径(太さ)とは、円柱部の外径を意味し、長さとは1ピースタイプではアバットメント部分を含まない部分である埋植部分の長さであり、2または3ピースタイプでは円柱部及び円錐台部を含む一つのピースの部分である埋植部分の長さを意味する。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャは、口腔内で利用するインプラントフィクスチャであり、顎骨に埋植される埋植部を有する。歯科用インプラントフィクスチャの埋植部は顎骨に埋植される部分であり、スレッド溝を有する部分であることが好ましい。術式や用途によっては埋植部のスレッド溝を超えて顎骨に埋植されることがあるが、インプラントフィクスチャの端部まで顎骨に埋植されることが好ましい。
埋植部は円錐台形状をしている円錐台部と、円柱形状の円柱部を有している。円錐台形状の上底及び下底の内、広い方を下底とし、円錐台部の下底と円柱の底面側が連続した一体形状として構成される。
本発明のインプラントフィクスチャの円錐台部は先細りの円錐台形状が好ましいが、ドーム状等のさまざまな形状をなしうる。
円錐台部から円柱部に掛けて、リード及びピッチを有するスレッド溝を有している。これら、リード及びピッチを有するスレッド溝を有する円錐台部から円柱部の部分が埋植部を成すことが好ましい。円錐台部から円柱部の他端部に掛けてリード及びピッチを有するスレッド溝を有し埋植部であることが好ましい。円錐台部の上底からリード及びピッチを有するスレッド溝を有していることが好ましい。
埋植部に有するスレッド溝は、それぞれがリード及びピッチが同じであることが好ましく、いずれの部分であっても常に同じリード及びピッチであることが好ましい。スレッド溝のリード及びピッチが同じであることで、顎骨に埋植時に、顎骨を痛めることなく埋植することができる。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャが有するセルフタップ溝とは、歯科用インプラントフィクスチャの円錐台形状をしている円錐台部から円柱部との連接部付近に掛けてスレッド溝を縦断するように形成された溝であって、セルフタップ溝によって切り取られたインプラントフィクスチャ外周上のスレッド溝で形成されたねじ山の断面が切削刃として機能することで、顎骨に雌ネジを形成し螺合しながらインプラントフィクスチャが螺進する。
インプラントフィクスチャを望ましい角度で正確に埋入する為には、インプラントフィクスチャをドリル孔に挿入する際に、スレッド溝で形成されたねじ山の断面による切削刃が複数箇所且つインプラントフィクスチャの中心軸に対し軸対象の複数の位置で同時に接触し、顎骨との螺合が開始されることが望ましい。
螺合が開始される点が1箇所であった場合、螺合し始めた側の螺進力によりインプラントフィクスチャが引っ張られ、螺合し始めた側にインプラントフィクスチャが傾いてしまう。また円柱部の軸に対象の2箇所であっても、その2点を軸とした垂直の方向にインプラントフィクスチャは傾いてしまう。前記セルフタップ溝の本数は3本以上であることが好ましい。
更にスレッド溝で形成されたねじ山の断面による切削刃が複数箇所且つインプラントフィクスチャの中心軸に対し軸対象の位置で同時に接触し始める為には、インプラントフィクスチャのスレッド溝はリード及びピッチが同じであり位相が異なる多条のスレッド溝である事が好ましく、スレッド溝は円柱部の軸の周囲に等間隔に配置されることが好ましく、セルフタップ溝の本数と同数条のスレッド溝または自然数倍の多条のスレッド溝であることが好ましい。
インプラントフィクスチャの直径が小径である場合、インプラントフィクスチャの機械的強度に鑑みればセルフタップ溝は少ないほうが良く、インプラントフィクスチャのスレッド溝の条数が増えると必然的にリードが長くなり埋植深さの制御が難しくなることに鑑みれば必要最小限の条数である事が好ましい。即ちセルフタップ溝の本数は埋植時に安定が得られる必要最小限である3本が好ましく、インプラントフィクスチャのスレッド溝はリード及びピッチが同じであり位相が異なる円柱部の軸の周囲に等間隔に配置された3条のスレッド溝であることが好ましい。
円柱部における任意のスレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが、円柱部の円錐台部側から他端側に掛けて漸増する漸増形状をしていることが好ましい。
円柱部における任意のスレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さとは、歯科用インプラントフィクスチャの円柱部の軸を含む面上において、スレッド溝の谷底からインプラントフィクスチャの中心軸までの、円柱部の軸に垂直な直線の距離を意味する。
本発明のインプラントフィクスチャが有する、円柱部における任意のスレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが、漸増する漸増形状を有していることが好ましい。漸増とは徐々に谷径が大きくなっていくことを指している。漸増状態は、円錐台部側から他端側に向けてスレッド溝が進むにつれて、スレッド溝の谷が小さくなっている状態である。スレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが徐々に大きくなっていくのは、一定の割合で大きくなっていくことが好ましい。漸増形状はスレッド溝全体で構成される必要はなく、スレッド溝の一部でよい。
スレッド溝は円錐台部から円柱部の他端部に掛けて有するが、スレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが漸増する形状を成す部分は、少なくとも円柱部に有しており、円柱部の途中から構成していても良く、円柱部の途中で終了することが好ましい。また、前記漸増形状を成す部分は、円錐台部側の円柱部の移行部から円柱部の他端部方向にかけて、構成していることが好ましい。漸増形状を成す部分は、円錐台部方向から円柱部の他端部付近で終了すること好ましく、他端部から0.7mm以上離れた位置で終了することが好ましい。
スレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが漸増する形状を有することで、歯科用インプラントフィクスチャの円錐台部及びその付近は深いスレッド溝とすることができるので埋植する際の穿孔性を損なうことがなく、また円柱部の他端側を浅いスレッド溝とすることができるので埋植直後の固定性を得ることができる。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャのスレッド溝を有する円柱部の外径は一定であることが好ましい。一定とは円柱部の軸を含む面上において、外径を繋ぐ直線が円柱部の軸と平行であることである。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャの円柱部の外径は円柱部の中心をなす軸から垂直方向に等距離の曲面であることが好ましい。曲面は円柱部の中心をなす軸と平行である。本構成をとることで、施術中にインプラントフィクスチャの埋入深さを微調整することができる。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャを円柱部の軸に平行な面において、円柱部の外径を構成する直線が、いずれの面においても軸に平行であることが好ましい。
本発明の歯科用インプラントフィクスチャのスレッド溝を有する円柱部の外径は円錐台部から円柱部の他端側に掛けて漸増するテーパー形状とすることができる。一定の割合で外径が大きくなっていくことが好ましいが、スレッド溝全体が漸増するテーパー形状をとる必要はなく、円柱部の一部でよい。本構成をとることで、機械的強度を損なうことなくインプラントフィクスチャの先端を細くすることができるので、顎骨の状態に合わせたインプラントフィクスチャを選定するうえで有用である。
セルフタップ溝のねじれ角は1~60°であることが好ましい。セルフタップ溝のねじれ角とは円柱部の中心をなす軸と平行である角度を0°とし、スレッド溝と平行である角度を正の角度としたセルフタップ溝の傾きである。
セルフタップ溝のねじれ角が正の値であれば、セルフタップ溝によって切り取られたインプラントフィクスチャ外周上のスレッド溝で形成されたねじ山の断面の下側が鋭角になるので、より小さな回転力で顎骨に螺合することができ、セルフタッピング時に顎骨からインプラントフィクスチャが受ける力が低減し、安定する。ねじれ角は1~60°であることが好ましく、25~50°であることがより好ましい。
漸増形状を成すスレッド溝の深さは、円柱部の円錐台部との移行部では0.15~0.4mmであり、他端側では0.1~0.35mmである。スレッド溝の深さの測定は、インプラントフィクスチャの円柱部の軸線に垂線に測定する。
全スレッド溝のねじ山の先端側フランク角が2~20°であり、後端側フランク角が40~60°であることが好ましい。更に好ましくは先端側フランク角が2~10°であり、後端側フランク角が45~60°である。本角度の構成は円柱部の軸線の垂線となす角である。先端側フランク角は隣り合うスレッド溝で構成されるねじ山の円錐台部方向に有する傾斜と円柱部の軸線の垂線でなす角のことである。また、後端側フランク角は隣り合うスレッド溝で構成されるねじ山の円柱部の他端部方向に有する傾斜と円柱部の軸線の垂線でなす角のことである。先端側フランク角も後端側フランク角も鋭角である。先端側フランク角と後端側フランク角の角度差は35~55°であることが好ましい。また、先端側フランク角と後端側フランク角の角度の和は45~70°であることが好ましい。
埋植部の円柱部の他端部に、周方向に連続する溝を有することが好ましい。周方向に連続する溝は円状であり、スレッド溝と交わることがない様に構成することが好ましい。
溝は円柱部の全周に形成し、1条以上あればよく、同心円状に2条または3条形成するとより好ましい。溝の深さは0.03~0.1mmであることが好ましい。
インプラントフィクスチャを顎骨に埋植した後に、顎骨とインプラントフィクスチャの隙間に侵入する口腔内の細菌を円状の溝で止め、スレッド溝への侵入を防ぐことができる。
インプラントフィクスチャの円柱部の他端部に円柱部と同軸のカフ部を有することが好ましい。その場合、前記円状の溝は歯肉を貫通し且つ歯肉と接触するカフ部(7)とスレッド溝を有する円柱部の間に位置することが好ましい。
カフ部(7)の外面は、上述したような粗面である必要はなく、公知の表面性状を適宜選択して用いることができる。例えば平滑面や鏡面であることが好ましい。また、カフ部(7)の形状も特に制限はないが、円柱部と同直径の円柱状であることが好ましく、0.5~7°の逆テーパ形状であることがより好ましい。逆テーパ形状とは端部に近づくに従い細くなる形状である。
またカフ部の長さは0.1~3.0mm、好ましくは0.3~1.5mmの範囲から選択し得る。
また、円柱部の他端側に、円柱部のスレッド溝と同じリードであり前記スレッド溝よりも小さなピッチである多条スレッド溝をさらに有していても良い。その場合、円柱部よりも小さなピッチを有するスレッド溝を有する部分は、インプラントフィクスチャの中心軸方向に任意の長さで有することができる。インプラントフィクスチャの円柱部の他端部に前記円状の溝や前記カフ部を有する場合は、前記円柱部よりも小さなピッチを有するスレッド溝を有する部分は、前記円状の溝や前記カフ部と円柱部の間に位置することが好ましい。
図面に示した本発明の歯科用インプラントフィクスチャを説明する。
図1には、3ピースタイプの本発明のインプラントフィクスチャ(1)を記載している。図2には、図1に示したインプラントフィクスチャの下面図を示している。図3には、図1に示したインプラントフィクスチャの円錐台部(2)の部分拡大図を示している。図4には、図1に示したインプラントフィクスチャの円柱部(3)の軸を含む面の断面図を示している。アバットメントを接続するための構造(6)が、円柱部(3)の他端部から、インプラントフィクスチャ内部にかけて設けられている。図5には、図4に示した断面図の円柱部(3)の円錐台部(2)への移行部の部分拡大図を示している。
図1のインプラントフィクスチャ(1)は顎骨に埋植される埋植部を有し、顎骨に埋植される埋植部は円錐台形状をしている円錐台部(2)、円錐台部の下底に円柱形状の円柱部(3)、円錐台部から円柱部の他端部に掛けてリード及びピッチが同じであり位相の異なる3条のスレッド溝(4)、3本のスレッドタップ溝(5)から成る。
図1のインプラントフィクスチャは太さ4mm、長さ11mm、リード1.8mm、ピッチ0.6mm、スレッドタップ溝のねじれ角40°のものである。更に、円錐台部の上底は平坦面を形成している。
スレッド溝が円柱部の円錐台部への移行部分から他端側に掛けて浅くなるように構成されている。
本発明のインプラントフィクスチャ(1)は図4のように歯科用補綴物を支持する機構部(6)を内部に有するもの、及び図6にて図示するような当該機構部を外部に有するものを採用することができる。
また本発明のインプラントフィクスチャは、図6にて示されるように他端部付近に、周方向に連続する同心円の溝(8)を有することもできる。歯科用インプラントを埋植した後の多くの症例では、顎骨表面から内部方向に向かって1mm程度の骨吸収(退縮)が起こることが確認されているが、この骨吸収の原因の1つとして細菌が顎骨表面側から歯科用インプラントとの境界に侵入し顎骨が浸食されることが知られており、同心円の溝(8)は骨吸収の原因となる細菌がスレッド部に侵入するのを防ぐために有効である。
前記同心円の溝(8)は円柱部(3)の他端部とスレッド溝(4)の終端部の間に位置し、インプラントフィクスチャの外周に凹で形成してもよいし微小な凸で形成した複数のねじ山で形成されてもよいが、少なくともインプラントフィクスチャの外周上に1条以上の溝を設ければよい。
スレッド溝(4)によって形成されるねじ山のフランク角は一般ねじと同じ30°とすることもできるが、フランク角を最適に選択することで更に穿孔性を向上させることができる。埋植時に小さめに開けたドリル孔に対しインプラントフィクスチャを螺進させる際、図9のように周囲の骨を押し広げる力の反力(104)がインプラントフィクスチャのねじ山に加わる。反力(104)によりねじ山の先端側の面が受ける分力(105)よりもねじ山の後端側の面が受ける分力(107)が大きければ、インプラントフィクスチャは骨から下向きの力を受け螺進しやすくなる。即ち前記スレッド溝により形成されるねじ山の先端側フランク角(102)よりも後端側フランク角(103)を大きくすれば良い。インプラントフィクスチャとして好ましいスレッド溝の深さ、リード及びピッチに鑑みた場合、先端側フランク角(102)は2~20°であることが好ましく、後端側フランク角(103)は40~60°であることが好ましい。
インプラントフィクスチャ(1)の材料は、特に制限はなく、インプラントフィクスチャの材料として公知の材料を適宜選択して使用することができる。例えば純チタンやTi-6Al-4V合金に代表されるような金属材料またはアルミナやジルコニアに代表されるセラミック材料等を挙げることができる。
インプラントフィクスチャ(1)の製造方法も特に制限はなく、インプラントフィクスチャの製造に用いられる公知の製造方法を適宜選択することができる。インプラントフィクスチャ(1)の外面は、例えば切削加工で作製することができる。一般的な精密加工プログラム(CAD)を用いて切削加工(CAM)するだけで作製した表面性状は、通常、算術平均表面粗さRaが0.2μm程度または十点平均粗さRzが2.0μm程度であり、この表面粗さの値は加工痕のみに依存する。このような表面性状は、顎骨とのオッセオインテグレーションには不向きである。Ra又はRzが大きい値であっても、表面凹凸の高低差が単純に大きいだけでは細胞のマクロファージ(増殖)には不向きであり、早期のオッセオインテグレーションを得ることは難しい。
よって、顎骨内に埋植されるインプラントフィクスチャの表面は、良好なオッセオインテグレーションを得るために、適度な粗面であることが必要である。具体的には、Raが1.15~4.05μm且つRzが5.0~40μmであることがより好ましい。
このような表面を得るための表面処理方法は、特に制限はなく、公知の表面処理方法を適宜選択して使用することができるが、例えば放電加工、サンドブラスト、酸処理、アルカリ処理、陽極酸化処理、ハイドロキシアパタイト溶射、チタン溶射または、リン酸カルシウム等の被覆処理等を例示することができる。
(インプラントフィクスチャの埋植実験)
チタン円柱から切削加工し表面処理を施したインプラントフィクスチャを直方体である埋植実験用の模擬骨に埋植した。ドリル孔は直径φ3.2mmとし、模擬骨の上面から垂直に穿孔し、埋植後に模擬骨の垂直方向とインプラントフィクスチャの円柱の軸の角度を測定した。実験は同一の試験者が行い、それぞれ3回実験した結果の平均値とした。
(試料の作製)
実施例1:試料A)太さ4mm、長さ11mmのチタン円柱に円錐台部を形成し、円錐台部から円柱部の他端部に掛けてリード1.8mm、ピッチ0.6mmの3条スレッド溝及び円錐台部から円柱部との連接部付近に掛けてのねじれ角が40°の3本のスレッドタップ溝を形成した本発明のインプラントフィクスチャ。
実施例2:試料B)前記実施例と同様の形状とし、リード2.4mm、ピッチ0.4mmの6条スレッド溝とし、スレッドタップ溝を3本とした本発明のインプラントフィクスチャ。
実施例3:試料C)前記実施例と同様の形状とし、リード1.6mm、ピッチ0.4mmの4条スレッド溝とし、スレッドタップ溝を4本とした本発明のインプラントフィクスチャ。
比較例1:試料D)前記実施例と同様の形状とし、リード1.2mm、ピッチ0.6mmの2条スレッド溝とし、スレッドタップ溝を2本としたインプラントフィクスチャ。
比較例2:試料E)前記実施例と同様の形状とし、リード1.8mm、ピッチ0.6mmの3条スレッド溝とし、スレッドタップ溝を2本としたインプラントフィクスチャ。
比較例3:試料F)前記実施例と同様の形状とし、リード1.2mm、ピッチ0.6mmの2条スレッド溝とし、スレッドタップ溝を3本としたインプラントフィクスチャ。
Figure 2022028192000002
(インプラントフィクスチャの埋植実験結果)
表1に示す通り、本発明の実施例である試料A、試料B及び試料Cは、比較例である試料D、E及びFに比較し優位にインプラントフィクスチャの円柱の軸の角度は小さいことを確認した。本発明のインプラントフィクスチャは形成したドリル孔に沿った望ましい角度で埋植できることが示された。
本発明の歯科用インプラントは、顎骨の状態及び口腔内環境に関わらず広範囲に適用することができ、1回法施術及び2回法施術においてそれぞれ求められる歯科用インプラントの要件も兼ね備えており、様々な症例への対応を可能としながらも、埋入時には高い穿孔性を有し、埋植直後には骨との高い固定性を有し、予め形成したドリル孔に沿った望ましい角度で埋植でき有用である。従って、本発明は歯科用インプラントの分野に広く利用することができる。
1 インプラントフィクスチャ
2 円錐台部
3 円柱部
4 スレッド溝
5 セルフタップ溝
6 歯科用補綴物を支持する機構部
7 カフ部
8 同心円の溝
9 スレッド溝の谷とインプラントフィクスチャの中心軸との長さ
100 セルフタップ溝のねじれ角
101 スレッド溝の傾斜角
102 先端側フランク角
103 後端側フランク角
104 インプラントフィクスチャが受ける反力
105、106 ねじ山の先端側の面が受ける分力
107、108 ねじ山の後端側の面が受ける分力

Claims (10)

  1. 顎骨に埋植される埋植部を有する歯科用インプラントフィクスチャであって、
    顎骨に埋植される埋植部は、円錐台形状をしている円錐台部と、円柱形状の円柱部を有し、埋植部の円錐台部と円柱部は前記インプラントフィクスチャの中心軸方向に沿って連接され、
    前記円錐台部から前記円柱部との連接部付近に掛けてn本のセルフタップ溝を有し、
    前記円柱部および前記円錐台部は連続したn×m条のスレッド溝を有し、
    前記スレッド溝はそれぞれリードおよびピッチが同じであり、
    nは3以上の整数であり、mは自然数であることを特徴とする歯科用インプラントフィクスチャ。
  2. 円柱部における任意のスレッド溝の谷と前記インプラントフィクスチャの中心軸との長さが、円柱部の円錐台部側から他端側に掛けて漸増していることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  3. スレッド溝を有する円柱部の外径が一定であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  4. スレッド溝を有する円柱部の外径が円錐台部側から円柱部の他端側に掛けて漸増するテーパー形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  5. セルフタップ溝のねじれ角が1~60°であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  6. 全スレッド溝のねじ山の先端側フランク角が2~20°であり、後端側フランク角が40~60°であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  7. 埋植部の円柱部の他端部に円柱部と同軸の円柱状のカフ部を有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  8. 埋植部の円柱部の他端部に、周方向に連続する溝を有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  9. 円柱部の他端側に、前記スレッド溝と同じリードであり前記スレッド溝よりも小さなピッチである多条スレッド溝をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の歯科用インプラントフィクスチャ。
  10. 請求項1から9記載のいずれかの歯科用インプラントフィクスチャと一体もしくは分けられたアバットメントから構成される歯科用インプラント。


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