JP2022026805A - 紡糸装置及び無機繊維の製造方法 - Google Patents

紡糸装置及び無機繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複合繊維の発生を防止して無機繊維を製造することのできる紡糸装置を提供する。【解決手段】無機繊維前駆体溶液を含有する紡糸液を吐出するノズル10と、上記紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口20aと、上記エアー吐出口から吐出される上記エアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構30,40と、を有する紡糸装置1であって、上記紡糸液の吐出方向と上記エアーの吐出方向は略平行であり、上記熱風は、上記ノズルの中心軸を上記紡糸液の吐出方向に延長したノズル延長軸に対して、上記熱風が供給される方向が略n回対称(ただし、nは2以上の整数)となるように少なくとも2つの方向から供給される、ことを特徴とする紡糸装置。【選択図】図1

Description

本発明は、紡糸装置及び無機繊維の製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素やコージェライトなどの多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容するケーシングと、排ガス処理体とケーシングとの間に配設される保持シール材(マット材)とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。この保持シール材(マット材)は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体とケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。
マット材は通常、無機繊維等からなる。そして、排ガス処理体を安定的に保持するためには、マット材を構成する無機繊維自体の強度が高いことが求められる。
特許文献1には、金属化合物と有機重合体とを含有する紡糸液を吹出法で乾式紡糸するための製造法が開示されている。
特開平5-51806号公報
特許文献1は、紡糸ノズルを特定形状とすることで変動費(空気使用量)を大幅に改善できることを開示している。しかしながら、特許文献1は、延伸された紡糸液を乾燥させるための温風の条件を詳しく開示していない。延伸された紡糸液を乾燥させる工程は極めて重要である。従って、紡糸液を乾燥させる条件によっては、延伸段階で紡糸液に振れが発生し、2本以上の繊維がくっついた複合繊維となる場合がある。複合繊維は単繊維より強度が低いため、より強度の高い繊維集合体を製造するためには、延伸段階で紡糸液の振れを抑制できる条件が必要であった。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、複合繊維の発生を防止して無機繊維を製造することのできる紡糸装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の紡糸装置は、無機繊維前駆体溶液を含有する紡糸液を吐出するノズルと、上記紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口と、上記エアー吐出口から吐出される上記エアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構と、を有する紡糸装置であって、上記紡糸液の吐出方向と上記エアーの吐出方向は略平行であり、上記熱風は、上記ノズルの中心軸を上記紡糸液の吐出方向に延長したノズル延長軸に対して、上記熱風が供給される方向が略n回対称(ただし、nは2以上の整数)となるように少なくとも2つの方向から供給される、ことを特徴とする。
本発明の紡糸装置では、紡糸液を延伸するためのエアーに熱風を供給する熱風供給機構を有する。紡糸液を延伸するためのエアーに熱風を供給することで、延伸された紡糸液を乾燥して無機繊維前駆体とすることができる。さらに、熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称となるように少なくとも2つの方向から熱風を供給することで、ノズル延長軸に対して対称性が高い状態で熱風をエアーに供給することができるため、紡糸液の振れを抑制して複合繊維の含有率を低下させることができる。
本発明の紡糸装置では、上記熱風供給機構の供給口における上記熱風の温度が、100℃以上であることが好ましい。
熱風供給機構により供給される熱風の温度が100℃以上であると、ノズルから吐出された紡糸液を乾燥させやすくなる。
本発明の紡糸装置は、上記ノズルの先端から上記ノズル延長軸に沿って吐出方向に10mm離れた地点を通りかつ上記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、上記ノズル延長軸から45mm離れかつ上記熱風が供給される方向が上記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における上記熱風の速度が、いずれも25℃換算で8m/s以下であることが好ましい。
本発明の紡糸装置は、上記ノズルの先端から上記ノズル延長軸に沿って吐出方向に20mm離れた地点を通りかつ上記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、上記ノズル延長軸から45mm離れかつ上記熱風が供給される方向が上記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における上記熱風の速度が、いずれも25℃換算で4m/s以上であることが好ましい。
本発明の紡糸装置は、上記ノズルの先端から上記ノズル延長軸に沿って吐出方向に30mm離れた地点を通りかつ上記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、上記ノズル延長軸から45mm離れかつ上記熱風が供給される方向が上記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における上記熱風の速度が、いずれも25℃換算で3m/s以上であることが好ましい。
本発明の紡糸装置は、上記ノズルの先端から上記ノズル延長軸に沿って吐出方向に40mm離れた地点を通りかつ上記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、上記ノズル延長軸から45mm離れかつ上記熱風が供給される方向が上記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における上記熱風の速度が、いずれも25℃換算で2m/s以上であることが好ましい。
本発明の紡糸装置は、上記ノズルが複数個、略直線状に略等間隔で配置されており、上記熱風は、複数の上記ノズル延長軸を含む面であるノズル軸延長面に対して、上記熱風が供給される方向が略面対称となるように供給されることが好ましい。
本発明の無機繊維の製造方法は、本発明の紡糸装置を用いて無機繊維前駆体を準備する紡糸工程と、上記無機繊維前駆体を焼成する焼成工程とを有する。
本発明の紡糸装置を用いることで、複合繊維の発生を防止して無機繊維を製造することができる。
図1は、本発明の紡糸装置の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す紡糸装置を用いて無機繊維を製造する様子の一例を模式的に説明した断面図である。 図3は、図2におけるB-B線断面図である。 図4は、図2のノズル先端の部分拡大図である。 図5は、本発明の紡糸装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、図5におけるC-C線断面図である。 図7は、本発明の紡糸装置のさらに別の一例を模式的に示す側面図である。 図8は、図7におけるD-D線断面図である。 図9は、複合化率の測定において粉砕された無機繊維の一例を示す模式図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
[紡糸装置]
本発明の紡糸装置は、無機繊維前駆体溶液を含有する紡糸液を吐出するノズルと、上記紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口と、上記エアー吐出口から吐出される上記エアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構と、を有する紡糸装置であって、上記紡糸液の吐出方向と上記エアーの吐出方向は略平行であり、上記熱風は、上記ノズルの中心軸を上記紡糸液の吐出方向に延長したノズル延長軸に対して、上記熱風が供給される方向が略n回対称(ただし、nは2以上の整数)となるように少なくとも2つの方向から供給される、ことを特徴とする。
図1は、本発明の紡糸装置の一例を模式的に示す斜視図である。
紡糸装置1は、紡糸液を吐出するノズル10と、紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口20aを備えるエアー吐出管20と、エアー吐出口20aから吐出されるエアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構の一部である熱風供給管30、40とを有する。
熱風供給管30の供給口30aと熱風供給管40の供給口40aは、ノズル延長軸X10を介して互いに対向している。また、供給口30aの中央地点P30を通過する熱風供給管30の中心軸Y30と供給口40aの中央地点P40を通過する熱風供給管40の中心軸Y40を、それぞれノズル延長軸X10側に延長すると、ノズル延長軸X10上の点P10において互いに交わる。
図2は、図1に示す紡糸装置を用いて無機繊維を製造する様子の一例を模式的に説明した断面図である。図2は、図1に示す紡糸装置のA-A線断面図でもある。
図2に示すように、ノズル10の先端10aからは紡糸液60が吐出される。
ノズル10は、エアー吐出管20の内側に、エアー吐出管20の中心軸と、ノズル10の中心軸とが重なるように配置されている。
エアー吐出口20aより吐出されたエアー(図2中、矢印fで示す)が、ノズル10から吐出される紡糸液60の周囲を覆っており、紡糸液60の吐出方向とエアーfの吐出方向が略平行であるため、エアーfによって紡糸液60が延伸される。
熱風供給管30及び40より、エアーfに衝突するように熱風(図2中、矢印hで示す)が供給される。熱風hがエアーfに衝突するように供給されることにより、紡糸液60が延伸されるとともに乾燥され、無機繊維前駆体が得られる。
本発明の紡糸装置では、熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称となるように少なくとも2つの方向から熱風を供給することで、ノズル延長軸に対して対称性が高い状態で熱風をエアーに供給することができるため、紡糸液の振れを抑制して複合繊維の含有率を低下させることができる。
熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称であるかどうかは、以下の方法で判定することができる。
まず、熱風が供給される方向を判定する基準地点を定める。この基準地点が、熱風が供給される方向を判定するn箇所の地点のうちの1つとなる。基準地点の定め方は特に限定されず、後述する方法によって略n回対称であることが確認できるような基準地点を適宜選択すればよい。
続いて、熱風が供給される方向を判定する残りの地点(n-1箇所の地点)を決定する。残りの地点は、基準地点を通り、かつ、ノズル延長軸に対して垂直な方向の断面において、基準地点をノズル延長軸回りに360/n°ずつ回転させる操作を行った際の位置により定まる。すなわち、略3回対称の場合、基準地点をノズル延長軸周りに120°回転させる操作を2回行う。基準地点をノズル延長軸周りに120°回転させた際の位置、及び、240°回転させた際の位置が、熱風が供給される方向を判定する他の地点となる。
続いて、n箇所の地点における熱風が供給される方向をそれぞれ測定する。測定した方向をノズル延長軸周りに回転させて、基準地点まで移動させる操作を行う。この操作をn-1回行い、全ての地点における熱風が供給される方向を、基準地点に移動させる。この操作により、基準地点には、n箇所の地点における熱風が供給される方向がすべて重ねられる。
最後に、基準地点に移動させた熱風が供給される方向を比較し、熱風が供給される方向同士のなす角の最大値を求める。最大値が10°以下、好ましくは5°以下であれば、熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称であるといえる。
このことを、図3を用いて具体的に説明する。
図3は、図2におけるB-B線断面図である。
図3では、熱風供給管30の供給口30aの中央地点P30、及び、熱風供給管40の供給口40aの中央地点P40を、熱風が供給される方向が略n回対称であるかを判定するための地点として用いる例である。
図3に示すように、中央地点P30における熱風が供給される方向は、矢印h30で示す方向である。一方、中央地点P40における熱風が供給される方向は、矢印h40で示す方向である。
中央地点P30及び中央地点P40は、ノズル延長軸X10を中心とする円Cの円周上に存在する。そのため、中央地点P40をノズル延長軸X10を中心に180°回転させると、中央地点P30に重なる。
従って、中央地点P30を基準地点として、中央地点P40における熱風が供給される方向(矢印h40で示す方向)を、ノズル延長軸X10を中心に180°回転させた場合、移動後の熱風が供給される方向(矢印h40で示す方向)は、中央地点P30における熱風が供給される方向(矢印h30で示す方向)と重なる。この場合、熱風が供給される方向同士のなす角は0°である。
従って、図1、図2及び図3に示す紡糸装置1では、熱風が供給される方向がノズル延長軸X10に対して略n回対称(n=2)であるといえる。
なお、図3では、熱風が供給される方向が略n回対称であることを判定するための地点として、熱風供給管の供給口の中央地点を用いているが、他の地点を用いてもよい。
また、図3では、熱風が供給される方向が、ノズル延長軸X10に垂直な平面に沿っている場合の例を説明しているが、熱風が供給される方向は、ノズル延長軸X10に垂直な平面から傾斜していてもよい。熱風が供給される方向がノズル延長軸X10に垂直な平面から傾斜している場合であっても、その熱風が供給される方向をノズル延長軸X10周りに回転させることにより、上記の判定を行う。
(ノズル)
ノズルは、無機繊維前駆体溶液を含有する紡糸液を吐出する。
紡糸液を吐出するノズルの断面形状は特に限定されないが、円形であることが好ましい。
紡糸液を吐出するノズルの内径は、100μm~500μmであることが好ましい。
ノズルの断面形状が円形以外の場合のノズルの内径は、ノズルの内径形状より求められる面積相当円の直径とする。
ノズルの先端は、エアー吐出口の先端から2~8mm突出していることが好ましい。
紡糸液は、無機繊維前駆体溶液を含有する。
無機繊維前駆体溶液としては、例えば、金属化合物と高分子化合物とを含む溶液が挙げられる。
金属化合物としては、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、マグネシウム、トリウム、イットリウム、カルシウム、クロム等の金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸塩、水酸化物等が挙げられる。具体的には、オキシ塩化アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩基性酢酸ジルコニウム等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、デンプン、酢酸化デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性ないし水分散性の重合体等が挙げられる。
紡糸液の粘度は特に限定されないが、1~100ポイズであることが好ましい。
紡糸液の吐出速度は、0.02~0.04m/sであることが好ましい。
(エアー吐出管)
エアー吐出管は、紡糸液を延伸するためのエアーが吐出されるエアー吐出口を有する。
エアー吐出管の形状は特に限定されないが、内側にノズルを配置できる形状であることが好ましい。
エアー吐出管の内側にノズルが配置されていると、ノズルの外周がエアー吐出口で囲まれることになるため、ノズルから吐出された紡糸液の周囲をエアーにより囲んで紡糸液を均一に延伸することができる。
エアー吐出管の内側には、複数個のノズルが配置されていてもよい。
エアー吐出口の形状は例えば、三角形、四角形、六角形等の多角形、及び、円や楕円等が挙げられる。
エアー吐出口から吐出されるエアーの吐出量は、ノズル1本あたり、0.008~0.016m/minであることが好ましい。
(熱風供給機構)
熱風供給機構は、エアーに衝突する方向に熱風を供給する。
熱風供給機構は、例えば、空気を加熱するヒーターと、加熱された空気を熱風供給管に送風する送風手段で構成される。
熱風供給機構から供給される熱風の供給量は、紡糸装置全体で3~8m/minであることが好ましい。
本発明の紡糸装置では、ノズル延長軸に対して略n回対称(ただし、nは2以上の整数)となるように、熱風供給機構により熱風が供給される。
nは2以上の整数であればよく、例えば、略2回対称、略3回対称、略4回対称等とすることが挙げられる。
延伸時の紡糸液の振れを抑制する観点から、熱風が供給される方向の対称性は高い方が好ましいが、略2回対称でも充分に紡糸液の振れを抑制することができる。
熱風の温度は特に限定されないが、供給口における熱風の温度が100℃以上であることが好ましい。
熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称となるn箇所の地点では、熱風の速度が略同一であることが好ましい。熱風の速度が略同一とは、n箇所の地点における熱風の速度がすべて、n箇所の熱風の速度の平均値の90%~110%であることを指す。
熱風供給管の断面形状、及び、供給口の断面形状は特に限定されず、例えば、円形や楕円形、正方形や長方形等の多角形、及び、異形状等であってもよい。
熱風供給管の断面形状と供給口の断面形状は同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。
1つの熱風供給管を用いて、2つ以上の方向から熱風を供給してもよい。
例えば、ノズル延長軸に垂直な平面上に沿って配置されるリング状の熱風供給管の内周面に、略等間隔に設けられた円形の開口部を複数有するものや、該熱風供給管の内周面を周方向に沿って一周する帯状の開口部を備える場合等は、1つの熱風供給管を用いて2つ以上の方向から熱風を供給することができる。
ノズル延長軸に垂直な平面上に沿って配置されるリング上の熱風供給管の内周面を周方向に沿って一周する帯状の開口部を備える場合、熱風供給管の内周面のすべてからノズル延長軸に向かって熱風が供給されることとなるため、熱風が供給される方向は略n回対称(ただし、nは2以上の任意の整数)となる。
本発明の紡糸装置では、ノズル先端から所定の距離にある地点の風速が、所定の範囲であることが好ましい。この点について図4を用いて説明する。
図4は、図2のノズル先端の部分拡大図である。また、図2では記載していたエアー及び熱風の流れを示す矢印f及びh、並びに、紡糸液を、図4では省略している。
ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って吐出方向に10mm、20mm、30mm及び40mm離れた地点(地点a、地点b、地点c、地点d)を通り、かつ、ノズル延長軸X10に垂直な面をそれぞれ、破線a、破線b、破線c、破線dで示す。
破線aにより切断された断面は、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って10mm離れた地点aを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面である。
図4に示す地点a及び地点aは、それぞれ、ノズル延長軸X10上の点である地点aから45mm離れている。また、図2に示すように、ノズル延長軸X10の左右には熱風供給管30、40がノズル延長軸X10を介して対向するように配置されているため、地点a及び地点aでは、熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略n回対称(n=2)となる。
従って、図4に示す地点a及び地点aは、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って吐出方向に10mm離れた地点aを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面において、ノズル延長軸X10から45mm離れかつ熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略2回対称である2箇所の地点に相当する。
地点a及び地点aにおける熱風の速度は、25℃換算で8m/s以下であることが好ましい。
破線bにより切断された断面は、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って20mm離れた地点bを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面である。
図4に示す地点b及び地点bは、それぞれ、ノズル延長軸X10上の点である地点bから45mm離れている。また、図2に示すように、ノズル延長軸X10の左右には熱風供給管30、40がノズル延長軸X10を介して対向するように配置されているため、地点b及び地点bでは、熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略n回対称(n=2)となる。
従って、図4に示す地点b及び地点bは、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って吐出方向に20mm離れた地点bを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面において、ノズル延長軸X10から45mm離れかつ熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略2回対称である2箇所の地点に相当する。
地点b及び地点bにおける熱風の速度は、25℃換算で4m/s以上であることが好ましい。
破線cにより切断された断面は、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って30mm離れた地点cを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面である。
図4に示す地点c及び地点cは、それぞれ、ノズル延長軸X10上の点である地点cから45mm離れている。また、図2に示すように、ノズル延長軸X10の左右には熱風供給管30、40がノズル延長軸X10を介して対向するように配置されているため、地点c及び地点cでは、熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略n回対称(n=2)となる。
従って、図4に示す地点c及び地点cは、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って吐出方向に30mm離れた地点cを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面において、ノズル延長軸X10から45mm離れかつ熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略2回対称である2箇所の地点に相当する。
地点c及び地点cにおける熱風の速度は、25℃換算で3m/s以上であることが好ましい。
破線dにより切断された断面は、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って40mm離れた地点dを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面である。
図4に示す地点d及び地点dは、それぞれ、ノズル延長軸X10上の点である地点dから45mm離れている。また、図2に示すように、ノズル延長軸X10の左右には熱風供給管30、40がノズル延長軸X10を介して対向するように配置されているため、地点d及び地点dでは、熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略n回対称(n=2)となる。
従って、図4に示す地点d及び地点dは、ノズル10の先端10aからノズル延長軸X10に沿って吐出方向に40mm離れた地点dを通りかつノズル延長軸X10に垂直な方向の断面において、ノズル延長軸X10から45mm離れかつ熱風hが供給される方向がノズル延長軸X10に対して略2回対称である2箇所の地点に相当する。
地点d及び地点dにおける熱風の速度は、25℃換算で2m/s以上であることが好ましい。
各地点における25℃換算の熱風の速度は、環境温度が25℃の条件において、熱風供給機構のヒーターを停止させた状態で紡糸装置を稼働させて、各地点における空気の速度を風速計で測定すればよい。
上述した各地点における熱風の速度を調整する方法としては、熱風供給機構より供給される熱風の供給量(供給速度)を調整する方法や、熱風が供給される供給口の位置を変更する方法等が挙げられる。
熱風の供給速度を調整する方法としては、例えば、熱風の供給量を固定した状態で供給口の口径を調整する方法が挙げられる。
本発明の紡糸装置では、熱風供給機構が、熱風を供給する供給口を3つ以上備えていてもよい。
熱風を供給する供給口を3つ備える紡糸装置の一例について、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の紡糸装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図5に示す紡糸装置2は、紡糸液を吐出するノズル11と、紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口21aを備えるエアー吐出管21と、エアー吐出口21aから吐出されるエアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構の一部である熱風供給管31、41、51を有している。
ノズル11はエアー吐出管21の内側に配置されている。
熱風供給管31、41、51はいずれも、ノズル11の先端からノズル延長軸X11に沿って所定の距離だけ離れた地点を通り、かつ、ノズル延長軸X11に垂直な平面上に存在している。熱風供給管31の供給口31a、熱風供給管41の供給口41a、熱風供給管51の供給口51aはいずれも、ノズル延長軸X11を向いている。熱風供給管31の中心軸Y31、熱風供給管41の中心軸Y41、熱風供給管51の中心軸Y51をそれぞれノズル延長軸X11側に延長すると、ノズル延長軸X11上の点P11で交わる。
図6は、図5におけるC-C線断面図である。
図6に示すように、中心軸Y31、中心軸Y41、中心軸Y51がノズル延長軸X11上の点P11で交わる角度はそれぞれ120°である。
供給口31aの中央地点P31、供給口41aの中央地点P41、供給口51aの中央地点P51における熱風が供給される方向は、それぞれ、矢印h31、矢印h41、矢印h51で示される方向である。
中央地点P31、中央地点P41及び中央地点P51は、ノズル延長軸X11を中心とする円Cの円周上に存在する。そのため、中央地点P41をノズル延長軸X11を中心に右回りに120°回転させると、中央地点P31に重なる。また、中央地点P51をノズル延長軸X11を中心に左回りに120°回転させると、中央地点P31に重なる。
従って、中央地点P41における熱風が供給される方向(矢印h41で示す方向)及び中央地点P51における熱風が供給される方向(矢印h51で示す方向)を、ノズル延長軸X11を中心に回転させて基準地点である中央地点P31に重ねた場合、中央地点P41における熱風が供給される方向(矢印h41で示す方向)及び中央地点P51における熱風が供給される方向(矢印h41で示す方向)が、中央地点P31における熱風が供給される方向(矢印h31で示す方向)と重なる。
従って、図5に示す紡糸装置2では、熱風が供給される方向がノズル延長軸X11に対して略n回対称(n=3)であるといえる。
本発明の紡糸装置は、ノズルを複数個備えていてもよい。
ノズルを複数個備えている場合、複数のノズルが略直線状に略等間隔で配置されていることが好ましい。この場合、熱風は、複数のノズル延長軸を含む面であるノズル軸延長面に対して、熱風が供給される方向が略面対称となるように供給されることが好ましい。
このとき、全てのノズルについて、熱風が供給される方向がノズルを吐出方向に延長したノズル延長軸に対して略2回対称となるように、熱風供給機構により熱風が供給される。
図7は、本発明の紡糸装置のさらに別の一例を模式的に示す側面図である。
図7に示す紡糸装置3は、複数のノズル12a、12b、12c、12d、12e、12fと、紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口22aを備えるエアー吐出管22と、熱風供給機構の一部である熱風供給管32、33、34、42、43、44を備えている。
ノズル12a、12b、12c、12d、12e、12fはエアー吐出管22の内部から突出するように、かつ、略直線状に略等間隔で配置されている。複数のノズル12a、12b、12c、12d、12e、12fが略直線状に並ぶ方向と同じ方向に沿って、エアー吐出口22aも直線状に設けられている。
図7に示す紡糸装置3では、ノズル12a、12b、12c、12d、12e、12fをそれぞれ紡糸液の吐出方向に延長して得られるノズル延長軸Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xfを含む面であるノズル軸延長面Sを仮定したときに、熱風供給管32の供給口32aと熱風供給管42の供給口42a、熱風供給管33の供給口33aと熱風供給管42の供給口43a、及び、熱風供給管34の供給口34aと熱風供給管44の供給口44aが、それぞれ、ノズル軸延長面Sを介して互いに対向している。
熱風が供給される方向がノズル軸延長面に対して略面対称であるかどうかは、以下の方法で判定することができる。
まず、各ノズルについてノズル延長軸を求め、すべてのノズル延長軸を含む面であるノズル軸延長面を定める。
続いて、ノズル軸延長面から等しい距離だけ離れ、かつ、ノズル軸延長面を介して対向する2つの基準地点のペアを3組定める。基準地点のペアのうち2組は、隣接するノズルが1つしかない端部ノズルのノズル延長軸を介して互いに対向する位置に配置される。このとき、各基準地点からノズル軸延長面までの最短距離をすべて等しくする。この操作により、基準地点のペアが2組定まる。
残った基準地点のペアは、既に決定された基準地点のうち、互いにペアになっていない基準地点同士を結ぶ直線の中点に配置される。
続いて、各基準地点において熱風が供給される方向を測定する。
続いて、ペアとなる基準地点の一方における熱風が供給される方向を、ノズル軸延長面に対して鏡面対称(面対称)となるように移動させて他方の基準地点に重ね、熱風が供給される方向同士のなす角を求める。すべての基準地点のペアについて、なす角が5°以下であれば、熱風が供給される方向がノズル軸延長面に対して略面対称であるといえる。
このことを、図8を用いて具体的に説明する。
図8は、図7におけるD-D線断面図である。
図8に示すように、ノズル12a、12b、12c、12d、12e、12fのうち、ノズル12aとノズル12fは、隣接するノズルの数が1つであるため、端部に配置されているノズル(端部ノズルともいう)でもある。
端部ノズルであるノズル12aのノズル延長軸Xaを介して等しい距離(両矢印Lで示される距離及び両矢印Lで示される距離)だけ離れた地点には、基準地点P32及び基準地点P42が設けられる。基準地点P32は、熱風供給管32の供給口32aの中央地点と一致しており、基準地点P42は、熱風供給管42の供給口42aの中央地点と一致している。
また、端部ノズルであるノズル12fのノズル延長軸Xfを介して等しい距離(両矢印Lで示される距離及び両矢印Lで示される距離)だけ離れた地点には、基準地点P34及び基準地点P44が設けられる。基準地点P34は、熱風供給管34の供給口34aの中央地点と一致しており、基準地点P44は、熱風供給管44の供給口44aの中央地点と一致している。
ノズル軸延長面Sを介して等しい距離だけ離れている基準地点P32及び基準地点P42、並びに、基準地点P42及び基準地点P44が、それぞれ、基準地点のペアとなる2組である。
また、互いにペアではない基準地点P32と基準地点P34の中間地点である地点P33と、互いにペアではない基準地点P42と基準地点P44の中間地点である地点P43が、基準地点となるペアの最後の1組である。
図8では、基準地点P33が、熱風供給管33の供給口33aの中央地点と一致している。また、基準地点P43が、熱風供給管43の供給口43aの中央地点と一致している。
続いて、基準地点における熱風の方向をノズル軸延長面Sに対して鏡像対称となるように移動させる。
図8では、熱風供給管32の中心軸Y32、熱風供給管33の中心軸Y33、熱風供給管34の中心軸Y34を、それぞれノズル軸延長面S側に延長すると、ノズル軸延長面S上で熱風供給管42の中心軸Y42、熱風供給管43の中心軸Y43、熱風供給管44の中心軸Y44とそれぞれ重なる。
そのため、基準地点P32において熱風が供給される方向(矢印h32で示される方向)、基準地点P33において熱風が供給される方向(矢印h33で示される方向)、基準地点P34において熱風が供給される方向(矢印h34で示される方向)と、基準地点P42において熱風が供給される方向(矢印h42で示される方向)、基準地点P43において熱風が供給される方向(矢印h43で示される方向)、基準地点P44において熱風が供給される方向(矢印h44で示される方向)は、ノズル軸延長面Sを挟んで互いに逆方向であるといえる。
従って、基準地点P42における熱風が供給される方向(矢印h42で示される方向)をノズル軸延長面Sに対して鏡像対称となるように移動させると、基準地点P32における熱風が供給される方向(矢印h32で示される方向)と重なる。同様に、基準地点P43における熱風が供給される方向(矢印h43で示される方向)をノズル軸延長面Sに対して鏡像対称となるように移動させると、基準地点P33における熱風が供給される方向(矢印h33で示される方向)と重なり、基準地点P44における熱風が供給される方向(矢印h44で示される方向)をノズル軸延長面Sに対して鏡像対称となるように移動させると、基準地点P34における熱風が供給される方向(矢印h34で示される方向)と重なる。この場合、熱風が供給される方向同士のなす角はいずれも0°である。
従って、図7に示す紡糸装置3では、熱風が供給される方向がノズル軸延長面Sに対して略面対称であるといえる。
なお、図7及び図8では、熱風が供給される方向が、ノズル延長軸(Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xf)に垂直な平面に沿っている場合の例を説明しているが、熱風が供給される方向は、ノズル延長軸に垂直な平面から傾斜していてもよい。
基準地点における熱風が供給される方向がノズル延長軸に垂直な平面から傾斜している場合には、その熱風が供給される方向がノズル軸延長面Sに対して鏡像対称となるように移動させることにより、上記の判定を行う。
なお、図8では、基準地点と供給口の中央地点が一致している場合の例を説明しているが、基準地点と供給口の中央地点が一致している必要はない。従って、基準地点が供給口から所定の距離だけ離れていてもよい。また、基準地点は熱風供給管の中心軸上に存在していなくてもよい。
本発明の紡糸装置が複数のノズルを備える場合、ノズル間の間隔が1mm以上であることが好ましい。
本発明の紡糸装置により得られる繊維の複合化率は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
繊維の複合化率は、粉砕した繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求めることができる。具体的には、粉砕した繊維を倍率1000倍のSEMで観察し、視野中に存在するすべての繊維について、単繊維か複合繊維かを区別し、本数をカウントする。これを合計4視野で行い、複合繊維の本数/全繊維の本数×100(%)を複合化率とする。
図9は、複合化率の測定において粉砕された無機繊維の一例を示す模式図である。
図9に示すように、無機繊維を粉砕した後に走査型電子顕微鏡で観察することにより、領域αに存在する単繊維70及び領域βに在する複合繊維80を区別することができる。
無機繊維の圧縮破壊強度は、無機繊維の軸方向に対して垂直な方向から繊維を圧縮した際に、繊維を破壊するのに必要な圧力である。
具体的には、まず、加圧板上に固定した無機繊維の中から、光学顕微鏡(倍率:10~50倍程度)を用いて単繊維を1本選択する。この時、繊維径も測定しておく。続いて、選択した繊維を圧子により加圧する。繊維が破壊されたときの荷重を圧子との接触面積で除算した値が、単繊維の圧縮破壊強度となる。
同様の操作を無作為に選択した10本の単繊維で行って求められた平均値を、単繊維の圧縮破壊強度とする。
無機繊維の平均径は、粉砕した繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求めることができる。具体的には、粉砕した繊維を倍率1000倍のSEMで観察し、視野中に存在するすべての単繊維の径を測定する。これを合計4視野で行い、その平均値を平均繊維径とする。
視野中に複合繊維が存在する場合には、続いて、加圧板上に固定した無機繊維の中から、光学顕微鏡(倍率:10~50倍程度)を用いて複合繊維を1本選択する。このとき、複合繊維の繊維径も測定しておく。複合繊維の繊維径は、複合繊維を構成しているすべての単繊維の繊維径から、複合繊維の断面積を求め、該断面積に相当する投影面積円の直径とする。同様の操作を無作為に選択した10本の複合繊維で行って求められた平均値を、複合繊維の平均繊維径とする。続いて、選択した複合繊維を圧子により加圧する。複合繊維が破壊されたときの荷重を、圧子との接触面積で除算した値が、複合繊維の圧縮破壊強度となる。無機繊維全体の圧縮破壊強度は、以下の式で求められる。
無機繊維全体の圧縮破壊強度=[単繊維の圧縮破壊強度×(100-複合化率)]+[複合繊維の圧縮破壊強度×複合化率]
本発明の紡糸装置により製造される無機繊維の圧縮破壊強度は、1.0GPa以上であることが好ましい。
[無機繊維の製造方法]
本発明の無機繊維の製造方法は、本発明の紡糸装置を用いて無機繊維前駆体を準備する紡糸工程と、上記無機繊維前駆体を焼成する焼成工程とを有する、ことを特徴とする。
本発明の紡糸装置を用いることで、複合繊維の発生を防止して無機繊維を製造することができる。
紡糸工程は、本発明の紡糸装置を用いて無機繊維前駆体を準備する工程であるため、説明を省略する。
焼成工程では、無機繊維前駆体を焼成する。
焼成条件は無機繊維前駆体の組成に応じて適宜変更すればよいが、例えば、1000℃~1600℃で30分~6時間焼成する方法が挙げられる。
無機繊維前駆体を焼成する前に、無機繊維前駆体に対してニードリング処理を行ってもよい。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(a)紡糸液の作製
Al含有量が75g/Lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製したオキシ塩化アルミニウム水溶液400gに対して、30重量%シリカゾル溶液124gと、10重量%ポリビニルアルコール水溶液93gを添加して混合した後、50℃で濃縮して、粘度20ポイズ、アルミナ-シリカの含有率が30重量%の紡糸液を準備した。
(b)紡糸液の延伸(紡糸工程)
図1に示す紡糸装置を用いて、紡糸液を所定の条件で吐出、延伸することにより、ノズルから3m離れた位置に設けたコンベヤ上に無機繊維前駆体を集綿した。
紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口の内側に紡糸液を吐出するノズル(内径:300μm)を配置し、ノズルから吐出される紡糸液の吐出方向と、エアー吐出口から吐出されるエアーの進行方向が並行になるようにした。ノズルの先端は、エアー吐出口から6mmだけ突出させた。
さらに、熱風供給機構により、エアー吐出口から吐出されるエアーに衝突する方向に熱風を供給した。熱風供給機構は熱風の供給口を2つ有しており、ノズル延長軸に垂直な断面において、ノズル延長軸を挟んで2つの供給口が向かい合わせとなるように、供給口の位置を調整した。供給口における熱風の温度は100℃であった。熱風供給機構の供給口における熱風の速度は25.0m/sであった。
熱風が供給される方向は、ノズル延長軸に垂直な断面において、ノズル延長軸に対して2回対称であった。
(c)無機繊維前駆体の焼成(焼成工程)
得られた無機繊維前駆体を大気中1200℃で30分間焼成してアルミナ繊維を得た。
[各地点における風速の測定]
上記紡糸装置を、熱風供給機構に備えられたヒーターを静止させた以外は、実施例1と同じ条件で稼働させ、ノズルの先端からノズル延長軸に沿って吐出方向に10mm、20mm、30mm、40mm離れた地点を通りかつノズル延長軸に垂直な方向の断面においてノズル延長軸から45mm離れかつ熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略2回対称である2つの地点における風速を測定した。このときの室温は25℃であった。これが、熱風供給機構に備えられたヒーターを稼働させた際の、同地点における25℃換算の熱風の速度となる。結果を表1に示す。なお、表1中では、各地点を、図4で示した地点a、a、a、b、b、b、c、c、c、d、d、dに対応させて示す。
(実施例2~4)
供給口における熱風の風速及び供給口の形状は変えずに、熱風が供給される方向の対称性を維持したまま、供給口の位置を変えて各地点における風速を表1に示すとおりに変更したほかは、実施例1と同様の手順で無機繊維前駆体を作製し、焼成してアルミナ繊維を得た。
(比較例1)
供給口の一方だけに熱風を供給した状態で紡糸液の延伸を行ったほかは、実施例1と同様の手順で無機繊維前駆体を作製し、焼成してアルミナ繊維を得た。なお、片側の供給口から供給される熱風の量、及び、エアー吐出口から吐出されるエアーの吐出量は、実施例1と同じである。
[圧縮破壊強度及び平均繊維径の測定]
各実施例及び比較例で得られた無機繊維について、圧縮破壊強度及び平均繊維径の測定を行った。
圧縮破壊強度及び平均繊維径の測定方法は、本発明の説明で説明したとおりである。結果を表1に示す。
[複合化率の測定]
各実施例及び比較例で得られた無機繊維について、複合化率の測定を行った。
複合化率の測定方法は、本発明の説明で説明したとおりである。結果を表1に示す。
Figure 2022026805000002
表1の結果より、本発明の紡糸装置を用いると、複合繊維の発生を防止して、複合化率の低い無機繊維を得ることができることがわかる。
比較例1では、複合化率が15%を超えており、圧縮破壊強度が1GPa未満であった。これは、熱風が供給される方向がノズル延長軸に対して略n回対称ではないために熱風が供給される方向の対称性が低く、延伸中に紡糸液(繊維)が振れてしまい、複合繊維が多く形成されてしまったと考えられる。
1、2、3 紡糸装置
10、11、12b、12c、12d、12e ノズル
12a、12f ノズル(端部ノズル)
10a ノズルの先端
20、21、22 エアー吐出管
20a、21a、22a エアー吐出口
30、31、32、33、34、40、41、42、43、44、51 熱風供給管(熱風供給機構の一部)
30a、31a、32a、33a、34a、40a、41a、42a、43a、44a、51a 供給口
60 紡糸液
70 短繊維
80 複合繊維
ノズルの先端からノズル延長軸に沿って吐出方向に10mm離れた地点
、a 地点aから45mm離れた地点
ノズルの先端からノズル延長軸に沿って吐出方向に20mm離れた地点
、b 地点bから45mm離れた地点
ノズルの先端からノズル延長軸に沿って吐出方向に30mm離れた地点
、c 地点cから45mm離れた地点
、C ノズル延長軸を中心とする円
ノズルの先端からノズル延長軸に沿って吐出方向に40mm離れた地点
、d 地点dから45mm離れた地点
f エアー
h 熱風
30、h31、h32、h33、h34、h40、h41、h42、h43、h44、h51 熱風が供給される方向を示す矢印
、L ノズル軸延長面から基準地点までの最短距離
S ノズル軸延長面
10、P11 ノズル延長軸上の地点
30、P31、P40、P41、P51 供給口の中央地点
32、P33、P34、P42、P43、P44 基準地点
10、X11、Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xf ノズル延長軸
30、Y31、Y32、Y33、Y34、Y40、Y41、Y42、Y43、Y44、Y51 熱風供給管の中心軸
α、β 領域

Claims (8)

  1. 無機繊維前駆体溶液を含有する紡糸液を吐出するノズルと、
    前記紡糸液を延伸するためのエアーを吐出するエアー吐出口と、
    前記エアー吐出口から吐出される前記エアーに衝突する方向に熱風を供給する熱風供給機構と、を有する紡糸装置であって、
    前記紡糸液の吐出方向と前記エアーの吐出方向は略平行であり、
    前記熱風は、前記ノズルの中心軸を前記紡糸液の吐出方向に延長したノズル延長軸に対して、前記熱風が供給される方向が略n回対称(ただし、nは2以上の整数)となるように少なくとも2つの方向から供給される、ことを特徴とする紡糸装置。
  2. 前記熱風供給機構の供給口における前記熱風の温度が、100℃以上である、請求項1に記載の紡糸装置。
  3. 前記ノズルの先端から前記ノズル延長軸に沿って吐出方向に10mm離れた地点を通りかつ前記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、前記ノズル延長軸から45mm離れかつ前記熱風が供給される方向が前記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における前記熱風の速度が、いずれも25℃換算で8m/s以下である、請求項1又は2に記載の紡糸装置。
  4. 前記ノズルの先端から前記ノズル延長軸に沿って吐出方向に20mm離れた地点を通りかつ前記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、前記ノズル延長軸から45mm離れかつ前記熱風が供給される方向が前記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における前記熱風の速度が、いずれも25℃換算で4m/s以上である、請求項1~3のいずれかに記載の紡糸装置。
  5. 前記ノズルの先端から前記ノズル延長軸に沿って吐出方向に30mm離れた地点を通りかつ前記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、前記ノズル延長軸から45mm離れかつ前記熱風が供給される方向が前記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における前記熱風の速度が、いずれも25℃換算で3m/s以上である、請求項1~4のいずれかに記載の紡糸装置。
  6. 前記ノズルの先端から前記ノズル延長軸に沿って吐出方向に40mm離れた地点を通りかつ前記ノズル延長軸に垂直な方向の断面において、前記ノズル延長軸から45mm離れかつ前記熱風が供給される方向が前記ノズル延長軸に対して略n回対称であるn箇所の地点における前記熱風の速度が、いずれも25℃換算で2m/s以上である、請求項1~5のいずれかに記載の紡糸装置。
  7. 前記ノズルが複数個、略直線状に略等間隔で配置されており、
    前記熱風は、複数の前記ノズル延長軸を含む面であるノズル軸延長面に対して、前記熱風が供給される方向が略面対称となるように供給される、請求項1~6のいずれかに記載の紡糸装置。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の紡糸装置を用いて無機繊維前駆体を準備する紡糸工程と、
    前記無機繊維前駆体を焼成する焼成工程とを有する、ことを特徴とする無機繊維の製造方法。
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