JP2022026615A - 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置 - Google Patents

被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022026615A
JP2022026615A JP2020130173A JP2020130173A JP2022026615A JP 2022026615 A JP2022026615 A JP 2022026615A JP 2020130173 A JP2020130173 A JP 2020130173A JP 2020130173 A JP2020130173 A JP 2020130173A JP 2022026615 A JP2022026615 A JP 2022026615A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
particles
coated
ascorbic acid
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020130173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7465747B2 (ja
Inventor
知直 菊池
Tomonao Kikuchi
航希 野々村
Koki Nonomura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2020130173A priority Critical patent/JP7465747B2/ja
Publication of JP2022026615A publication Critical patent/JP2022026615A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7465747B2 publication Critical patent/JP7465747B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Die Bonding (AREA)

Abstract

【課題】耐酸化性に優れ、低温焼結が可能な被覆銅粒子、該被覆銅粒子の製造方法、前記被覆銅粒子を含む銅ペースト、該銅ペーストの製造方法、前記銅ペーストを使用することで信頼性に優れた半導体装置を提供する。【解決手段】銅核粒子と、該銅核粒子の表面の少なくとも一部を被覆するアスコルビン酸誘導体とを有する被覆銅粒子であって、前記被覆銅粒子の総質量に対して、前記アスコルビン酸誘導体が0.005質量%以上5質量%未満の割合で被覆されている、被覆銅粒子。【選択図】なし

Description

本開示は、被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置に関する。
半導体製品の大容量、高速処理化及び微細配線化に伴い半導体製品作動中に発生する熱の問題が顕著になってきており、半導体製品から熱を逃がす、いわゆるサーマルマネージメントがますます重要な課題となってきている。このため半導体製品にヒートスプレッダー、ヒートシンクなどの放熱部材を取り付ける方法などが一般的に採用されており、放熱部材を接着する材料自体の熱伝導率はより高いものが望まれてきている。
一方、半導体製品の形態によっては、サーマルマネージメントをより効率的なものとするため、半導体素子そのもの又は半導体素子を接着したリードフレームのダイパッド部にヒートスプレッダーを接着する方法及びダイパッド部をパッケージ表面に露出させることにより放熱板としての機能を持たせる方法などが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、さらには半導体素子をサーマルビアなどの放熱機構を有する有機基板などに接着する場合もある。この場合も半導体素子を接着する材料に高熱伝導性が要求される。また、近年の白色発光LEDの高輝度化により、フルカラー液晶画面のバックライト照明、シーリングライト、ダウンライト等の照明装置にも広く用いられるようになっている。ところで、発光素子の高出力化による高電流投入により、発光素子と基板とを接着する接着剤が熱及び光等で変色したり、電気抵抗値の経時変化が発生したりする問題があった。とりわけ発光素子と基板との接合を接着剤の接着力に完全に頼る方法では、電子部品のはんだ実装時に接合材料がはんだ溶融温度下に接着力を失い剥離し、不灯に至る致命的問題の懸念があった。また、白色発光LEDの高性能化は、発光素子チップの発熱量の増大を招くこととなり、これに伴いLEDの構造及びそれに使用する部材にも放熱性の向上が求められている。
特に、近年、電力損失の少ない炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)のようなワイドバンドギャップ半導体を使用するパワー半導体装置の開発が盛んとなり、素子自身の耐熱性が高く、大電流による250℃以上の高温動作が可能となっている。しかし、その特性を発揮するためには、動作発熱を効率的に放熱する必要があり、導電性及び伝熱性に加え、長期高温耐熱性に優れた接合材料が求められている。
このように半導体装置及び電気・電子部品の各部材の接着に用いられる材料(ダイアタッチペースト及び放熱部材接着用材料等)に高い熱伝導性が要求されている。また、これらの材料は、同時に製品の基板搭載時のリフロー処理に耐える必要がある。
昨今、そうした要求に耐えうるペースト材料の候補として、バルク体の銀よりも低温の条件下で接合を可能とする、銀ナノ粒子による接合方法が着目されるようになってきた(例えば、特許文献2参照)。
ところで、銀粒子は導電性が非常に良好であるが、価格が高いこと及びマイグレーションの問題から、他の金属への代替が検討されている。そこで、現在、銀粒子と比較して安価で、マイグレーション耐性のある銅粒子に注目が集まっている。
斯かる状況下において、半導体やLEDの製造工程において使用される接合材として、銅化合物と還元性化合物とを有機溶剤中で加熱還元して得られる焼結性銅ナノ粒子を用いた銅ペーストが採用されるようになってきた。
特開2006-086273号公報 特開2011-240406号公報
しかしながら、焼結性銅ナノ粒子を用いた銅ペーストは、はんだペーストと比較して、接合の原理上、硬化時間が長いため、被着体をマウントした後、硬化炉に投入するまでの待機時間が発生する。焼結性銅ナノ粒子を用いた銅ペーストは、この待機時間において、銅ナノ粒子表面の酸化が進行し、接合信頼性が低下してしまうことがある。
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐酸化性に優れ、低温焼結が可能な被覆銅粒子、該被覆銅粒子の製造方法、前記被覆銅粒子を含む銅ペースト、該銅ペーストの製造方法、前記銅ペーストを使用することで信頼性に優れた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、下記の発明により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本願開示は、以下に関する。
[1]銅核粒子と、該銅核粒子の表面の少なくとも一部を被覆するアスコルビン酸誘導体とを有する被覆銅粒子であって、前記被覆銅粒子の総質量に対して、前記アスコルビン酸誘導体が0.005質量%以上5質量%未満の割合で被覆されている、被覆銅粒子。
[2]前記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸エステル及びアスコルビン酸エーテルの少なくともいずれかである、上記[1]に記載の被覆銅粒子。
[3]前記被覆銅粒子の平均粒子径が10~200nmである、上記[1]又は[2]に記載の被覆銅粒子。
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載の被覆銅粒子を製造する被覆銅粒子の製造方法であって、銅化合物と、還元性化合物とを有機溶剤中で混合して、銅核粒子分散液を得る混合工程と、前記混合工程で得られた前記銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄して、銅核粒子の表面の少なくとも一部を前記アスコルビン酸誘導体で被覆する洗浄工程と、を含む被覆銅粒子の製造方法。
[5]前記洗浄工程を密閉系回転型膜分離装置で実施する、上記[4]に記載の被覆銅粒子の製造方法。
[6]上記[1]~[3]のいずれかに記載の被覆銅粒子(A)と有機溶媒(B)とを含む、銅ペースト。
[7]前記被覆銅粒子(A)100質量部に対して、アスコルビン酸誘導体(C)を0.1~5質量部さらに含有する、上記[6]に記載の銅ペースト。
[8]上記[7]に記載の銅ペーストを製造する銅ペーストの製造方法であって、前記被覆銅粒子(A)と前記有機溶媒(B)と前記アスコルビン酸誘導体(C)とを含む組成物を、非酸化雰囲気下、-80~60℃、及び24時間以上の条件で、熟成する熟成工程を含む、銅ペーストの製造方法。
[9]上記[6]又は[7]に記載の銅ペーストを用いて接合されてなる、半導体装置。
本開示によれば、耐酸化性に優れ、低温焼結が可能な被覆銅粒子、該被覆銅粒子の製造方法、前記被覆銅粒子を含む銅ペースト、該銅ペーストの製造方法、前記銅ペーストを使用することで信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
以下、本開示について、一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせ得る。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「銅核粒子の表面の少なくとも一部を被覆する」とは、銅核粒子の表面の一部を被覆してもよく、銅核粒子の表面の全部を被覆してもよいことを意味する。
また、本明細書における「被覆」は、「吸着」を意味し、「物理吸着」及び「化学吸着」のいずれであってもよい。ここで、「物理吸着」とは、ファンデルワールス力、静電引力、磁力などの相互作用によって起こる吸着を意味し、「化学吸着」とは、化学結合生成、電荷移動相互作用などによって起こる吸着を意味する。
(被覆銅粒子)
本実施形態の被覆銅粒子は、銅核粒子と、該銅核粒子の表面の少なくとも一部を被覆するアスコルビン酸誘導体とを有する。
即ち、本実施形態の被覆銅粒子における銅核粒子の表面の少なくとも一部に、アスコルビン酸誘導体が吸着している。アスコルビン酸誘導体が銅核粒子の表面に吸着していることで、被覆銅粒子は分散安定性に優れている。また、加熱時には熱分解機構による脱離および被覆銅粒子の酸化層を還元する作用を有しているため、被覆銅粒子の焼結性を劇的に増大させる。
アスコルビン酸誘導体が銅核粒子へ吸着していることは、実施例に記載の方法により被覆銅粒子の表面組成を分析することで確認できる。
アスコルビン酸誘導体の被覆量(吸着量)としては、被覆銅粒子の総質量に対して、0.005質量%以上5質量%未満である限り、特に制限はないが、被覆銅粒子の焼結性及び分散安定性の観点から、0.007質量%以上4.5質量%以下であってもよく、0.01質量%以上2質量%以下であってもよく、0.1質量%以上0.95質量%以下であってもよい。被覆量(吸着量)が0.005質量%以上であることにより、酸化層を十分に還元して、焼結性及び分散安定性が低下するのを防止することができ、また、被覆量(吸着量)が5質量%未満であることにより、被覆層を薄くして焼結が阻害されるのを防止することができる。
<銅核粒子>
本実施形態の被覆銅粒子の母体を構成する銅核粒子は、銅化合物に由来する。銅化合物は、銅原子を含むものであれば特に限定されるものではない。銅化合物としては、例えば、カルボン酸銅、酸化銅、水酸化銅、窒化銅、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中から、反応時の均一性の観点で、カルボン酸銅、酸化銅を選択してもよい。
カルボン酸銅としては、例えば、ギ酸銅(I)、酢酸銅(I)、プロピオン酸銅(I)、酪酸銅(I)、吉草酸銅(I)、カプロン酸銅(I)、カプリル酸銅(I)、カプリン酸銅(I)、ギ酸銅(II)、酢酸銅(II)、プロピオン酸銅(II)、酪酸銅(II)、吉草酸銅(II)、カプロン酸銅(II)、カプリル酸銅(II)、カプリン酸銅(II)、クエン酸銅(II)等のカルボン酸銅無水物;これらの水和物;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中から、生産性および入手容易性の観点で、酢酸銅(II)一水和物を選択してもよい。
また、カルボン酸銅は、市販のものを使用してもよいし、合成によって得られたものを使用してもよい。
カルボン酸銅の合成は、公知の方法で行うことができ、例えば、水酸化銅(II)とカルボン酸化合物とを混合・加熱によって得ることができる。
酸化銅としては、例えば、酸化銅(II)、酸化銅(I)、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、生産性の観点で、酸化銅(I)を選択してもよい。
水酸化銅としては、例えば、水酸化銅(II)、水酸化銅(I)、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<アスコルビン酸誘導体>
アスコルビン酸誘導体としては、例えば、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸エーテル、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、アスコルビン酸誘導体には光学異性体も含まれるが、アスコルビン酸は含まれない。
アスコルビン酸エステルとしては、例えば、アスコルビン酸と、濃硫酸又は脂肪酸のメチルエステル又はエチルエステルとからなる混合物を、20~50℃の温度で反応させることで得ることができるが、塗布後放置の安定性の観点から、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸であってもよい。
アスコルビン酸エーテルとしては、例えば、2-O-アルキルアスコルビン酸エーテル、3-O-アルキルアスコルビン酸エーテル、5,6-O-アルキリデン-アスコルビン酸、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、塗布後放置の安定性の観点で、5,6-O-イソプロピリデン-L-アスコルビン酸等の5,6-O-アルキリデン-アスコルビン酸を選択してもよい。
本実施形態の被覆銅粒子の平均粒子径としては、特に制限はないが、被覆銅粒子を用いて形成される接合層の緻密性の観点から、10~200nmであってもよく、50~150nmであってもよい。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは「個数平均粒子径」のことであり、走査電子顕微鏡(例えば、日本電子(株)製、商品名:JSM-7600F;SEM)の観察画像に基づく任意に選択した10個の被覆銅粒子(n=10)の平均値として算出する。なお、平均値は算術平均値であり、その算出にあたっては10個以上の被覆銅粒子を用いてもよい。
本実施形態の被覆銅粒子は、例えば、銅化合物と、還元性化合物とを有機溶剤中で混合して、銅核粒子分散液を得て(湿式還元法によって銅核粒子分散液を得て)、得られた銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄して、銅核粒子の表面の少なくとも一部をアスコルビン酸誘導体で被覆することによって得られる。
なお、本明細書において、「湿式還元法」とは、「金属イオンを含んだ水溶液に還元剤(還元性化合物)を加えて金属を析出させて回収する方法」を意味する。
銅核粒子分散液を得る際に、アルキルアミンや脂肪族カルボン酸を使用してもよい。アルキルアミンや脂肪族カルボン酸を使用することで、得られた銅核粒子分散液における銅核粒子の分散性が向上する。
<還元性化合物>
還元性化合物は、銅化合物を還元し、金属銅を遊離させる還元力を有するものであれば、特に制限はないが、炭素、水素及び酸素から構成される後述する有機溶剤に溶解する化合物であってもよい。
還元性化合物の具体例としては、典型的には、ヒドラジン誘導体が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン一水和物、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n-プロピルヒドラジン、i-プロピルヒドラジン、n-ブチルヒドラジン、i-ブチルヒドラジン、sec-ブチルヒドラジン、t-ブチルヒドラジン、n-ペンチルヒドラジン、i-ペンチルヒドラジン、neo-ペンチルヒドラジン、t-ペンチルヒドラジン、n-ヘキシルヒドラジン、i-ヘキシルヒドラジン、n-ヘプチルヒドラジン、n-オクチルヒドラジン、n-ノニルヒドラジン、n-デシルヒドラジン、n-ウンデシルヒドラジン、n-ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4-メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2-フェニルエチルヒドラジン、2-ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、溶解性、入手容易性の観点で、ヒドラジン一水和物を選択してもよい。
還元性化合物の沸点としては、特に制限はないが、70℃以上であってもよく、後述する混合工程における加熱温度以上であってもよい。
<有機溶剤>
有機溶剤は、上述の各原料を混合して得られる混合物から生成する錯体等の性質を阻害しない反応溶媒として用いることができる炭素、水素及び酸素から構成されるものである限り、特に制限はないが、アルコールであってもよい。
有機溶剤として用いられるアルコールとしては、特に制限はなく、例えば、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、還元化合物、アルキルアミン、及び脂肪族カルボン酸の相溶性の観点で、1-プロパノール(沸点:97.15℃)を選択してもよい。
また、有機溶剤の沸点としては、特に制限はないが、還元性化合物としてヒドラジン一水和物を用いた場合の銅イオンの還元反応が発熱反応であるため、還元反応中に揮発しない観点から、70℃以上であってもよく、80℃以上であってもよく、90℃以上であってもよい。
<アルキルアミン>
アルキルアミンとしては、アミノ基と結合する基としてアルキル基等の脂肪族炭化水素基を有するアミン化合物である限り、特に制限はなく、例えば、アミノ基を1個有するアルキルモノアミン;アミノ基を2個有するアルキルジアミン;などが挙げられる。なお、アルキル基は置換基をさらに有していてもよい。
アルキルモノアミンの具体例としては、特に制限はなく、例えば、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ドデシルアミン、オレイルアミン、2-アミノ-1-エタノール、3-アミノ-1-プロパノールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、入手容易性の観点で、オクチルアミンを選択してもよい。
また、アルキルジアミンの具体例としては、特に制限はなく、例えば、エチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、N,N’-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、入手容易性の観点で、エチレンジアミンを選択してもよい。
<脂肪族カルボン>
脂肪族カルボン酸としては、特に制限はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノナン酸、カプリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸等の芳香族カルボン酸;グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、リンゴ酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸等のヒドロキシ酸;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、焼結性の観点で、ヘキサン酸を選択してもよい。
(被覆銅粒子の製造方法)
本実施形態の被覆銅粒子の製造方法は、本実施形態の被覆銅粒子を製造する被覆銅粒子の製造方法であって、銅化合物と、還元性化合物とを有機溶剤中で混合して、銅核粒子分散液を得る混合工程と、前記混合工程で得られた銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄して、銅核粒子の表面の少なくとも一部をアスコルビン酸誘導体で被覆する洗浄工程と、を含む。
本実施形態の被覆銅粒子の製造方法は、銅化合物と、還元性化合物とを有機溶剤中で混合し、銅核粒子分散液を得る混合工程と、前記混合工程で得られた銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄して、銅核粒子の表面の少なくとも一部をアスコルビン酸誘導体で被覆する洗浄工程と、を含む。さらに、前記洗浄工程を密閉系回転型膜分離装置で実施してもよい。
本実施形態の被覆銅粒子の製造方法によると、銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄することにより、銅核粒子の表面の少なくとも一部をアスコルビン酸誘導体で被覆することができる。
銅核粒子分散液に脂肪族カルボン酸が含まれている場合、銅核粒子分散液に含まれている脂肪族カルボン酸が銅核粒子表面に吸着され、この銅核粒子表面に吸着された脂肪族カルボン酸の少なくとも一部が、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄されると同時に、アスコルビン酸誘導体で置換される。
また、洗浄工程を密閉系回転型膜分離装置で実施することにより、銅核粒子表面の酸化が抑制され、接合特性が良好な被覆銅粒子を得ることができる。
<<混合工程>>
混合工程では、まず、反応容器中に有機溶剤を収容し、該有機溶剤中において、銅化合物、還元性化合物、必要に応じて、アルキルアミン、脂肪族カルボン酸を混合する。これらの化合物の混合の順番は特に限定されず、どのような順番で混合しても構わない。なお、アルキルアミンは、銅核粒子の表面に付着し、成長を抑制することで粒子が粗大化するのを防ぐ作用を有している。
上記混合にあたって、各化合物の使用量としては、特に制限はないが、焼結性の観点から、銅化合物1molに対し、還元性化合物0.5~5mol、アルキルアミン0.1~10mol、脂肪族カルボン酸0.1~10molであってもよく、還元性化合物0.6~3mol、アルキルアミン1~10mol、脂肪族カルボン酸1~10molであってもよい。このとき、有機溶剤は各成分が十分に反応を行うことができる量であればよく、例えば、50~3000mL程度用いるようにすればよい。
混合工程では、次に、上記で混合して得られた混合物を十分に加熱して、銅化合物の還元反応を進行させてもよい。この加熱により、未反応の銅化合物をなくすことができ、良好に金属銅を析出、成長させ、銅核粒子を形成することができる。
上記混合工程における加熱温度としては、銅化合物が熱分解及び還元され、銅核粒子を生成できる温度である限り、特に制限はないが、70~150℃であってもよく、80~120℃であってもよい。さらに、上記混合物の加熱における加熱温度としては、原料化合物及び有機溶剤の沸点よりも低くてもよい。加熱温度が上記範囲にあると、銅核粒子を効率的に生成できるとともに、アルキルアミンの他に脂肪族カルボン酸を併用する場合にはこれらの揮発が抑制される。
また、加熱温度が70℃以上であると、銅化合物の定量的な熱分解を生じさせて、未分解の銅化合物が残存してしまうのを防止することができる。また、加熱温度が150℃以下であると、アルキルアミンの揮発量が多くなるのを防止して、系中が不均一となるのを防止することができる。
このようにして、銅核粒子分散液を得ることができる。なお、得られた銅核粒子分散液に後述する溶剤を加えて当該銅核粒子分散液中に含有される銅核粒子の濃度を1~50質量%に調製してもよい。
<<洗浄工程>>
洗浄工程では、混合工程で得られた銅核粒子分散液を溶剤で洗浄する。溶剤として、銅核粒子100質量%に対して、アスコルビン酸誘導体を0.1~30質量%含有する溶剤を用いてもよく、アスコルビン酸誘導体を0.5~5質量%含有する溶剤を用いてもあってもよい。これにより、銅核粒子表面の少なくとも一部がアスコルビン酸誘導体で被覆される。
溶剤としては、生成した銅核粒子の保護基にダメージを与えないものであれば、特に制限はなく、例えば、水;エタノール、メタノール等のアルコール類;ジエチレングリコール等のグリコール類;その他の溶剤;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、アルキルアミン、脂肪族カルボン酸及び置換用溶剤との混和性の観点で、エタノールを選択してもよい。
ここで、洗浄工程では、密閉系回転型膜分離装置で銅核粒子分散液を溶剤洗浄することにより、銅核粒子の表面酸化を低減することができる。
また、洗浄工程では、銅粒子の表面酸化を低減する観点から、連続して溶剤置換及び洗浄を行ってもよい。
具体的な溶剤置換洗浄方法は、銅核粒子を1~50質量%含有する銅核粒子分散液をリスラリーすることなく、流量5~1500kg/hr・m、圧力0.03~1.0MPaの条件で密閉系回転型膜分離装置のろ過膜に供給し、さらに、上記条件により洗浄溶剤を連続して該ろ過膜に供給する方法である。このように、銅核粒子分散液に洗浄溶剤を流量5~1500kg/hr・mで供給し、0.03~1.0MPaで加圧し、銅核粒子分散液と洗浄用剤の置換を密閉系回転型膜分離装置で行うことで、銅核粒子を酸素が存在しない状態で洗浄することができ、該銅核粒子の表面酸化を低減することができる。
また、上記流量としては、特に制限はないが、銅核粒子の表面酸化を低減する観点から、10~1000kg/hr・mであってもよく、15~500kg/hr・mであってもよく、20~200kg/hr・mであってもよい。上記圧力としては、特に制限はないが、銅核粒子の表面酸化を低減する観点から、0.1~0.8MPaであってもよく、0.2~0.6MPaであってもよい。
溶剤置換装置としては、特に制限はないが、密閉して溶剤洗浄できる密閉系回転型膜分離装置であってもよい。
また、溶剤洗浄後、濾別した固形物に対し、例えば、減圧乾燥、遠心分離等を行うことにより、銅核粒子を得ることができる。
(銅ペースト)
本実施形態の銅ペーストは、本実施形態の被覆銅粒子(以下、「被覆銅粒子(A)」ということがある)を含むことから、塗布後放置の安定性に優れる。したがって、本実施形態の銅ペーストは、素子接着用ダイアタッチペースト及び放熱部材接着用材料として好適である。
本実施形態の銅ペーストに含まれる被覆銅粒子(A)として、2つ以上の異なる平均粒子径の被覆銅粒子を併用してもよい。例えば、第一の被覆銅粒子の平均粒子径に対して、該第一の被覆銅粒子よりも大きい平均粒子径を有する第二の被覆銅粒子の平均粒子径は2~10倍程度であってもよい。また、第一の被覆銅粒子の配合量に対して、第二の被覆銅粒子の配合量は1.5~10倍程度であってもよい。
本実施形態の銅ペースト中に含まれる被覆銅粒子(A)の含有量は、20質量%以上であってもよく、40質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。
本実施形態の銅ペーストは、被覆銅粒子(A)以外に、有機溶剤(B)をさらに含んでいればよく、任意成分として、上述のアスコルビン酸誘導体(C)、大粒径銅粒子、熱硬化性樹脂、その他添加剤をさらに含んでもよい。
上述の被覆銅粒子(A)100質量部に対する上述のアスコルビン酸誘導体(C)の添加量としては、特に制限はないが、焼結性の観点から、0.1~5質量部であってもよく、0.3~4質量部であってもよく、0.5~3質量部であってもよい。
<有機溶剤(B)>
有機溶媒(B)は、還元剤として機能する溶剤であれば公知の溶剤を用いることができる。
有機溶剤(B)としては、例えば、脂肪族多価アルコール等のアルコール、などが挙げられる。
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロビレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、などのグリコール類などを挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、焼結性及びブリード性の観点で、ジエチレングリコールを選択してもよい。
有機溶剤(B)として、アルコールを用いることにより、ペースト硬化(焼結)時の熱処理により高温となることでアルコールの還元力を増大させ、被覆銅粒子中に一部存在している酸化銅及び金属基板上の酸化金属(例えば、酸化銅)がアルコールによって還元され、純粋な金属となり、結果としてより緻密で導電性が高く、基板との密着性の高い硬化膜の形成ができると考えられる。また、半導体素子と金属基板に挟まれていることでペースト硬化時の熱処理中にアルコールが一部還流状態となり、溶剤であるアルコールが揮発により系中から直ちに失われることがなく、沸点以上のペースト硬化温度で酸化金属がより効率的に還元されるようになる。
有機溶剤(B)の沸点及び引火点としては、特に制限はないが、塗布後放置の安定性を改善する観点から、沸点200~350℃、且つ、引火点100~200℃であってもよい。有機溶剤(B)の沸点及び引火点がこの範囲であると、被覆銅粒子の酸化が抑制されるため、塗布後放置しても安定性を維持しながら、一部遊離したアスコルビン酸誘導体が析出しやすくなる。
有機溶剤(B)の含有量としては、被覆銅粒子(A)100質量部に対して、5~20質量部であってもよい。有機溶剤(B)の含有量が、5質量部以上であると、粘度が高くなり過ぎず、作業性を向上させることができ、また、20質量部以下であると、粘度低下が抑制され、銅ペースト中の被覆銅粒子の沈下が制御され、信頼性を高めることができる。
<大粒径銅粒子>
大粒径銅粒子は、平均粒子径が1μmよりも大きく30μm以下であってもよく、2~20μmであってもよい。また、形状は特に限定されず、球状、粒状、プレート型、フレーク状、鱗片状、樹枝状、ロッド状、ワイヤー状等が使用できる。
なお、大粒径銅粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
大粒径銅粒子は、滑材、防錆剤で処理されているものを使用してもよい。このような処理として典型的なものは、カルボン酸化合物による処理である。カルボン酸化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノナン酸、カプリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、リンゴ酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中から、被覆銅粒子との焼結性の観点で、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノナン酸、カプリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸を選択してもよく、被覆銅粒子の分散性および耐酸化性の観点で、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノナン酸、カプリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸を選択してもよい。
本実施形態の銅ペーストが大粒径銅粒子を含有する場合、被覆銅粒子(A)と大粒径銅粒子との質量比としては、特に制限はないが、100:0~20:80であってもよい。
<熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂は、一般に接着剤用途として使用される熱硬化性樹脂であれば、特に制限されずに使用できる。熱硬化性樹脂は、液状樹脂であってもよく、室温(25℃)で液状である樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂、などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の銅ペーストが熱硬化性樹脂を含むことで、適度な粘度を有する接着材料(ペースト)とすることができる。また、本実施形態の銅ペーストが熱硬化性樹脂を含むと、その硬化時の反応熱によって銅ペーストの温度が上昇し、銅粒子の焼結性を促進させる。
本実施形態の銅ペーストが熱硬化性樹脂を含有する場合は、熱硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はないが、被覆銅粒子(A)及び大粒径銅粒子の総量100質量部に対して、1~20質量部であってもよい。熱硬化性樹脂の含有量が、1質量部以上であると、熱硬化性樹脂による接着効果を十分に得ることができ、20質量部以下であると、銅成分の割合が低下するのを抑制し、高熱伝導性を十分に確保することができ、熱放散性を向上させることができ、また、有機成分が多くなる過ぎず、光及び熱による劣化を抑え、その結果、発光装置の寿命を高めることができる。
<その他添加剤>
本実施形態の銅ペーストには、以上の各成分の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、その他添加剤を、必要に応じて配合することができる。
その他添加剤としては、特に制限はなく、例えば、硬化促進剤;ゴム、シリコーン等の低応力化剤;カップリング剤;消泡剤;界面活性剤;着色剤(顔料、染料);各種重合禁止剤;酸化防止剤;溶剤;などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の銅ペーストは、被覆銅粒子(A)及び有機溶剤(B)、並びに、必要に応じて配合される大粒径銅粒子、熱硬化性樹脂、その他添加剤を十分に混合した後、さらにディスパース、ニーダー、3本ロールミル等により混練処理を行い、次いで、脱泡することにより、調製することができる。
本実施形態の銅ペーストの粘度としては、特に制限はなく、使用用途・方法に応じて選択できる。
本実施形態の銅ペーストを接合用途に用いる場合、銅ペーストの粘度としては、20~300Pa・sであってもよく、40~200Pa・sであってもよい。
本実施形態の銅ペーストを金属パターンに適用する場合、スクリーン印刷法での粘度としては、0.1~30Pa・sであってもよく、インクジェット印刷法での粘度としては、使用するインクジェットヘッドの規格にもよるが、0.1~30mPa・sであってもよい。ここで、粘度の調整は、有機溶剤(B)の含有量によって調整してもよい。
上記粘度は、E型粘度計(3°コーン)を使用し、25℃で測定した値とする。
本実施形態の銅ペーストの焼結体の体積抵抗率としては、特に制限はないが、1.0×10-4Ωcm以下であってもよく、1.0×10-5Ωcm以下であってもよく、5.0×10-6Ωcm以下であってもよい。
なお、体積抵抗率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の銅ペーストは、高熱伝導性、熱放散性に優れるとともに、塗布後放置の安定性に優れる。そのため、素子や放熱部材の基板等への接合材料として使用すると、装置内部の熱の外部への放散性が改善され、製品特性を安定させることができる。
本実施形態の銅ペーストを用いることで、金属メッキ処理されていない基材をも接合できる。このようにして得られた半導体装置は、実装後の温度サイクルに対する接続信頼性が従来に比べ飛躍的に向上したものとなる。また、電気抵抗値が十分小さく経時変化が少ないため、長時間の駆動でも出力の経時的減少が少なく長寿命であるという利点がある。
また、本実施形態の銅ペーストを用いて、発熱部材に放熱部材を接着することにより、電気・電子部品を得ることもできる。この場合、銅ペーストは放熱部材接着用材料として使用され、該銅ペーストを介して放熱部材と発熱部材とが接着し、固定される。
発熱部材としては、半導体素子又は該半導体素子を有する部材でもよいし、それ以外の発熱部材でもよい。半導体素子以外の発熱部材としては、光ピックアップ、パワートランジスタ等が挙げられる。また、放熱部材としては、ヒートシンク、ヒートスプレッダー等が挙げられる。
このように、本実施形態の銅ペーストを用いて放熱部材を発熱部材に接着することで、発熱部材で発生した熱を放熱部材から効率良く外部へ放出することが可能となり、発熱部材の温度上昇を抑えることができる。なお、発熱部材と放熱部材とは、銅ペーストを介して直接接着してもよいし、他の熱伝導率の高い部材を間に挟んで間接的に接着してもよい。
(銅ペーストの製造方法)
本実施形態の銅ペーストの製造方法は、本実施形態の銅ペーストを製造する銅ペーストの製造方法であって、被覆銅粒子(A)と有機溶媒(B)とアスコルビン酸誘導体(C)とを含む組成物を、非酸化雰囲気下、-80~60℃、及び24時間以上の条件で、熟成する熟成工程を含む。
熟成工程における熟成温度としては、-80~60℃である限り、特に制限はないが、粒子分散の安定性の観点から、-40~40℃であってもよく、-40~20℃であってもよく、-40~0℃であってもよい。
熟成工程における熟成時間としては、24時間以上である限り、特に制限はないが、製造性の観点から、6時間~48時間であってもよい。
非酸化雰囲気としては、例えば、不活性ガス雰囲気であり、窒素ガス雰囲気であってもよい。
また、熟成工程は、マスターバッチで実施してもよく、シリンジ等に充填した密閉状態で実施してもよい。
(半導体装置)
本実施形態の半導体装置は、上述の銅ペーストを用いて接合されてなることから、信頼性に優れる。
本実施形態の半導体装置は、上述の銅ペーストを用いて、半導体素子を素子支持部材となる基板上に接着してなるものである。すなわち、ここで銅ペーストはダイアタッチペーストとして使用され、このペーストを介して半導体素子と基板とが接着し、固定される。
ここで、半導体素子は、公知の半導体素子であればよく、例えば、トランジスタ、ダイオード、などが挙げられる。さらに、この半導体素子としては、LED等の発光素子が挙げられる。また、発光素子の種類は特に制限されるものではなく、例えば、MOBVC法等によって基板上にInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体を発光層として形成させたものも挙げられる。
また、素子支持部材としては、銅、銅メッキ銅、PPF(プリプレーティングリードフレーム)、ガラスエポキシ、セラミックス等の材料で形成された支持部材が挙げられる。
次に、実施例により、本開示を具体的に説明するが、本開示は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(被覆銅粒子の製造)
(合成例1及び2)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)400mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)800mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)800mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)1000mLとを2000mLのフラスコに入れ、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)300mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌した。反応液を密閉した密閉系回転型膜分離装置としてのディスク回転式膜ろ過装置(商品名:DyF152/s、三菱化工機(株)製)に加圧供給し、濃縮操作を行って銅核粒子分散液を得た。続いて、密閉系回転型膜分離装置内における銅核粒子分散液に対して、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を1質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)を加圧供給し、密閉状態での粒子洗浄および6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸による被覆を行った。さらに、ジエチレングリコール(関東化学(株)製)を加圧供給し、ジエチレングリコールへの溶剤置換をした。最後に、遠心分離(4000rpm(1分間))により、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例3及び4)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)20mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)40mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)40mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)10mLとを50mLのサンプルビンに入れ、アルミブロック式加熱撹拌機内で、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)15mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌することにより銅核粒子分散液を得た。
続いて、アルミブロック式加熱撹拌機内における銅核粒子分散液に対して、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を1質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)5mLを加え、ボルテックススターラーで再分散した後、遠心分離(4000rpm(1分間))をする操作を4回繰り返した。さらに、エタノールをジエチレングリコール(関東化学(株)製)に代えて同様の操作を4回繰り返すことで、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例5)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)400mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)800mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)800mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)1000mLとを2000mLのフラスコに入れ、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)300mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌した。反応液を密閉した密閉系回転型膜分離装置としてのディスク回転式膜ろ過装置(商品名:DyF152/s、三菱化工機(株)製)に加圧供給し、濃縮操作を行って銅核粒子分散液を得た。
続いて、密閉系回転型膜分離装置内における銅核粒子分散液に対して、5-6-O-イソプロピリデン-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を1質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)を加圧供給し、密閉状態での粒子洗浄および5-6-O-イソプロピリデン-L-アスコルビン酸による被覆を行った。さらに、ジエチレングリコール(関東化学(株)製)を加圧供給し、ジエチレングリコールへの溶剤置換をした。最後に、遠心分離(4000rpm(1分間))により、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例6)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)20mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)40mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)40mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)10mLとを50mLのサンプルビンに入れ、アルミブロック式加熱撹拌機内で、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)15mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌することにより銅核粒子分散液を得た。
続いて、アルミブロック式加熱撹拌機内における銅核粒子分散液に対して、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を3質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)5mLを加え、ボルテックススターラーで再分散した後、遠心分離(4000rpm(1分間))をする操作を4回繰り返した。さらに、エタノールをジエチレングリコール(関東化学(株)製)に代えて同様の操作を4回繰り返すことで、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例7)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)20mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)40mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)40mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)10mLとを50mLのサンプルビンに入れ、アルミブロック式加熱撹拌機内で、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)15mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌することにより銅核粒子分散液を得た。
続いて、アルミブロック式加熱撹拌機内における銅核粒子分散液に対して、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を10質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)5mLを加え、ボルテックススターラーで再分散した後、遠心分離(4000rpm(1分間))をする操作を4回繰り返した。さらに、エタノールをジエチレングリコール(関東化学(株)製)に代えて同様の操作を4回繰り返すことで、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例8)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)400mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)800mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)800mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)1000mLとを2000mLのフラスコに入れ、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)300mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌した。反応液を密閉した密閉系回転型膜分離装置としてのディスク回転式膜ろ過装置(商品名:DyF152/s、三菱化工機(株)製)に加圧供給し、濃縮操作を行って銅核粒子分散液を得た。続いて、密閉系回転型膜分離装置内における銅核粒子分散液に対して、アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)を1質量%で溶解・調整したエタノール(関東化学(株)製、特級)を加圧供給し、密閉状態での粒子洗浄およびアスコルビン酸による被覆を行った。さらに、ジエチレングリコール(関東化学(株)製)を加圧供給し、ジエチレングリコールへの溶剤置換をした。最後に、遠心分離(4000rpm(1分間))により、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の被覆銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた被覆銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(合成例9)
酸化銅(I)(古河ケミカルズ(株)製、商品名:FRC-10A)20mmolと、オクチルアミン(東京化成工業(株)製)40mmolと、ヘキサン酸(東京化成工業(株)製)40mmolと、1-プロパノール(東京化成工業(株)製)10mLとを50mLのサンプルビンに入れ、アルミブロック式加熱撹拌機内で、100℃で10分間撹拌し、室温(25℃)まで冷却した。その後、ヒドラジン一水和物(東京化成工業(株)製)15mmolを加え、室温(25℃)で2時間、次いで100℃で1時間撹拌することにより銅核粒子分散液を得た。
続いて、アルミブロック式加熱撹拌機内における銅核粒子分散液に対して、エタノール(関東化学(株)製、特級)5mLを加え、ボルテックススターラーで再分散した後、遠心分離(4000rpm(1分間))をする操作を4回繰り返した。さらに、エタノールをジエチレングリコール(関東化学(株)製)に代えて同様の操作を4回繰り返すことで、ジエチレングリコールに溶剤置換された銅ケークを得た。得られた銅ケークを加熱重量減少測定したところ、90%の銅粒子(粒径120nm)を含むことがわかった。得られた銅粒子のアスコルビン酸誘導体被覆量を下記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例1)
合成例1で得られた被覆銅粒子1が100質量部、有機溶剤としてのジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)が2質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、その後、窒素ガス存在下で、-20℃、24時間熟成処理を行って、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
合成例2で得られた被覆銅粒子2が100質量部、有機溶剤としてのジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例3)
合成例3で得られた被覆銅粒子3が100質量部、有機溶剤としてのジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸(東京化成工業(株)製)が2質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、その後、窒素ガス存在下で、-20℃、24時間熟成処理を行って、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例4)
合成例4で得られた被覆銅粒子4が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例5)
合成例5で得られた被覆銅粒子5が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例6)
合成例6で得られた被覆銅粒子6が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
合成例7で得られた被覆銅粒子7が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
合成例8で得られた被覆銅粒子8が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを下記の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
合成例9で得られた銅粒子9が100質量部、有機溶剤としてジエチレングリコール(東京化成工業(株)製)が15質量部、となるように調製し、自転公転ミキサーによる混錬をし、銅ペーストを得た。得られた銅ペーストを以下の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
<被覆銅粒子の評価方法>
[アスコルビン酸誘導体の被覆量(吸着量)]
乾燥した被覆銅粒子を塩酸で洗浄し、遊離したアスコルビン酸誘導体(合成例1~4、合成例6、及び合成例7:6-O-パルミトリル-L-アスコルビン酸;合成例5:5-6-O-イソプロピリデン-L-アスコルビン酸)をクロロホルムで抽出した。
抽出液を液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)(島津製作所製)で溶離し、アスコルビン酸誘導体を定量した。
<銅ペーストの評価方法>
[大気曝露後焼結性]
500μmの塗膜状にスキージした銅ペーストを25℃のインキュベータ内に24時間保管した後、窒素雰囲気下200℃1時間の条件で焼成し、ロレスタGP(三菱ケミカルアナリテック製)を用いて体積抵抗率(Ωcm)を測定した。なお、体積抵抗率(Ωcm)は小さい方が好ましい。
<半導体装置の評価方法>
[接合強度]
2mm×2mmの接合面に金蒸着層を設けたシリコンチップを、銅ペーストを用いて無垢の銅フレーム及びPPF(Ni-Pd/Auめっきした銅フレーム)にマウントし、窒素(3%水素)雰囲気下、200℃、60分間で硬化した。硬化後及び吸湿処理(85℃、相対湿度85%、72時間)後、それぞれについて、ボンドテスター(製品名:DAGE 4000Plus、ノードソン(株)製)を用い、室温(25℃)におけるダイシェア強度を測定した。なお、接着強度は大きい方が好ましい。
Figure 2022026615000001
Figure 2022026615000002
比較例2により、アスコルビン酸を配合することによる大気曝露後の焼結性改善効果は確認できなった。その理由として、大気曝露によりアスコルビン酸の安定性が低下したものと推定される。
実施例1にみられるように、アスコルビン酸に代えて、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸を用いることにより大気曝露後の焼結性に改善効果が得られた。これは、アスコルビン酸エステルが銅粒子表面に存在することにより分散安定性に優れるためと推定される。
被覆銅粒子表面のアスコルビン酸誘導体の被覆量を測定することにより銅核粒子洗浄時に、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄することで、ヘキサン酸がアスコルビン酸誘導体に置換されて、被覆銅粒子表面の少なくとも一部がアスコルビン酸誘導体で被覆されていることが確認できた。
このように、表面がアスコルビン酸誘導体で被覆された被覆銅粒子は、分散の安定性に優れていることにより、大気曝露後の焼結性が改善する。このことは、実施例1~6と比較例1~3との対比により明らかである。
洗浄工程を密閉系回転型膜分離装置で行うことにより、被覆銅粒子の酸化が抑制され、顕著な焼結性改善効果が得られる。これは、実施例1と実施例3との対比、並びに、実施例2と実施例4との対比により明らかである。

Claims (9)

  1. 銅核粒子と、該銅核粒子の表面の少なくとも一部を被覆するアスコルビン酸誘導体とを有する被覆銅粒子であって、
    前記被覆銅粒子の総質量に対して、前記アスコルビン酸誘導体が0.005質量%以上5質量%未満の割合で被覆されている、被覆銅粒子。
  2. 前記アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸エステル及びアスコルビン酸エーテルの少なくともいずれかである、請求項1に記載の被覆銅粒子。
  3. 前記被覆銅粒子の平均粒子径が10~200nmである、請求項1又は2に記載の被覆銅粒子。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の被覆銅粒子を製造する被覆銅粒子の製造方法であって、
    銅化合物と、還元性化合物とを有機溶剤中で混合して、銅核粒子分散液を得る混合工程と、
    前記混合工程で得られた前記銅核粒子分散液を、アスコルビン酸誘導体を含有する溶剤で洗浄して、銅核粒子の表面の少なくとも一部を前記アスコルビン酸誘導体で被覆する洗浄工程と、を含む被覆銅粒子の製造方法。
  5. 前記洗浄工程を密閉系回転型膜分離装置で実施する、請求項4に記載の被覆銅粒子の製造方法。
  6. 請求項1~3のいずれかに記載の被覆銅粒子(A)と有機溶媒(B)とを含む、銅ペースト。
  7. 前記被覆銅粒子(A)100質量部に対して、アスコルビン酸誘導体(C)を0.1~5質量部さらに含有する、請求項6に記載の銅ペースト。
  8. 請求項7に記載の銅ペーストを製造する銅ペーストの製造方法であって、
    前記被覆銅粒子(A)と前記有機溶媒(B)と前記アスコルビン酸誘導体(C)とを含む組成物を、非酸化雰囲気下、-80~60℃、及び24時間以上の条件で、熟成する熟成工程を含む、銅ペーストの製造方法。
  9. 請求項6又は7に記載の銅ペーストを用いて接合されてなる、半導体装置。
JP2020130173A 2020-07-31 2020-07-31 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置 Active JP7465747B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020130173A JP7465747B2 (ja) 2020-07-31 2020-07-31 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020130173A JP7465747B2 (ja) 2020-07-31 2020-07-31 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022026615A true JP2022026615A (ja) 2022-02-10
JP7465747B2 JP7465747B2 (ja) 2024-04-11

Family

ID=80264156

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020130173A Active JP7465747B2 (ja) 2020-07-31 2020-07-31 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7465747B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023190471A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 東洋製罐グループホールディングス株式会社 経時安定性に優れた抗微生物性を有する金属微粒子含有分散液

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4421840B2 (ja) 2003-05-02 2010-02-24 株式会社カネカ 樹脂組成物及びその製造方法
JP6274444B2 (ja) 2012-12-25 2018-02-07 戸田工業株式会社 銅粉末の製造方法
JPWO2016031860A1 (ja) 2014-08-28 2017-06-15 石原産業株式会社 金属質銅粒子及びその製造方法
JP6103126B1 (ja) 2016-01-29 2017-03-29 東洋インキScホールディングス株式会社 導電性組成物、その製造方法、および導電性材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023190471A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 東洋製罐グループホールディングス株式会社 経時安定性に優れた抗微生物性を有する金属微粒子含有分散液
JP7392905B1 (ja) 2022-03-31 2023-12-06 東洋製罐グループホールディングス株式会社 経時安定性に優れた抗微生物性を有する金属微粒子含有分散液

Also Published As

Publication number Publication date
JP7465747B2 (ja) 2024-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7222904B2 (ja) ペースト組成物、半導体装置及び電気・電子部品
JP4470193B2 (ja) 加熱焼結性銀粒子の製造方法、固形状銀の製造方法、金属製部材の接合方法、プリント配線板の製造方法および電気回路接続用バンプの製造方法
JP5567636B2 (ja) 半導体接着用熱硬化型樹脂組成物及び半導体装置
JP6381738B1 (ja) ペースト状金属粒子組成物、接合方法および電子装置の製造方法
JP2010053377A (ja) 金属製部材の接合方法および金属製部材接合体の製造方法
JP2022026615A (ja) 被覆銅粒子、被覆銅粒子の製造方法、銅ペースト、銅ペーストの製造方法、及び半導体装置
TW202014260A (zh) 銅粒子之製造方法、接合用膏及半導體裝置以及電氣‧電子零件
JP6210562B2 (ja) 発光ダイオード装置の製造方法
WO2022196620A1 (ja) ペースト組成物、半導体装置、電気部品及び電子部品
CN113165069B (zh) 铜粒子、铜粒子的制造方法、铜膏和半导体装置以及电气/电子部件
JP7129043B2 (ja) 接合用銅粒子の製造方法、接合用ペーストおよび半導体装置並びに電気・電子部品
WO2023191028A1 (ja) 銅粒子及びその製造方法、ペースト組成物、半導体装置、電気部品、並びに電子部品
TWI699412B (zh) 糊料組合物、半導體裝置及電氣‧電子零件
JP6713182B1 (ja) 焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法
WO2020261993A1 (ja) 電子装置及び電子装置の製造方法
JP2021134362A (ja) 被覆銅粒子、銅ペースト及び半導体装置
JP7410742B2 (ja) 銅粒子の製造方法、銅ペースト及び半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7465747

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150