JP2022026102A - 巾木および巾木を利用した床塗装方法 - Google Patents

巾木および巾木を利用した床塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 仕上げの床材と巾木の間に床塗料等による隙間や段差ができるのを防止するとともに、床塗装との密着性を高めることができるようにする。【解決手段】 壁面に当接される背面部11と、正面上部に設けられた平面上部15と、正面下部に設けられたR形状の曲面である曲面部16と、床面に当接する底面部12と、曲面部16の下端側に突出して設けられる下方側突出部17とを備え、前記下方側突出部17には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部18が設けられている。そして、床塗料Rを塗布する際に、床塗料Rを前記塗料止め用凹部に入れて、更に前記下方側突出部17の高さよりも上方において床塗料R(R1,R2)を塗布する。【選択図】図4

Description

本発明は、壁面の最下部と床面とが交差する交差部に使用される巾木および巾木を利用した床塗装方法に関する。
一般に、半屋外の地下の駐車場、魚市場、食品工場、クリーンルーム、医療機関等の壁の最下部と床が交差する交差箇所には巾木が配置される。通常、上記のような場所においては、雨が侵入することや、洗浄液等の液体や水を多量に使用することによって、壁の最下部と床が交差する交差箇所に液体が流れ込み、コンクリートを腐食させてしまう。また、クリーンルームや医療機関においては、交差箇所に塵等が入り込むことで、室内の衛生状態が悪くなってしまう。
よって、巾木を配置することにより、交差箇所に塵や水等の液体が入り込むのを防ぎ、防塵および気密性を持たせ、交差箇所を衛生的に保っている。
従来技術としては、交差箇所に配置する巾木として正面に露出する箇所がR面形状をしているものがあり、次のものが開示されている。
特許文献1は、壁面部と床面部が交差する最下部に使用されるR巾木の製造方法とR巾木に関するもので、R巾木本体部3はステンレス板を断面略J字状に曲げ加工して製造した長尺材である。R巾木本体部3と壁面部W及び床面部Fとの間に、充填材15が充填されることで、R巾木本体部3と壁面部W及び床面部Fとの間がその形状に合わせて隙間なく充填材15で覆うことが可能となるため、R巾木1と壁面部W及び床面部Fの間に水や食品等の飛散物が入り込まないようにしている。
特許文献2は、壁面の最下部と床面とが交差する交差部に使用される巾木、巾木付きシートおよび床と壁の装飾構造に関するもので、巾木として要求される各種特性である耐熱性、耐衝撃性、耐凍害性、耐水性に優れた巾木であって、耐火建築物または準耐火建築物の不燃材料として好適に使用することが可能な巾木を提供することを目的とし、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられかつ床面材として使用されるシートを上から接着するかもしくは上から塗装するための巾木において、前記巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材および繊維を含み、強度減衰率が10%以下、熱膨張率が1.0~15.0×10-6/℃、衝撃強さが0.8~25.0kJ/mおよび熱伝導率が0.3W/mK以下であることを特徴とするものである。
特許文献3は、壁面の最下部と床面とが交差する交差部に使用される巾木に関するもので、台車の荷台等が衝突した場合でも巾木の保護部が衝突による衝撃を吸収し、壁面の表面が欠けることや破損することを防止することが可能となる巾木を提供することを目的とし、壁面Qの最下部と床面Pが交差する交差箇所に取り付けられかつ床面材として使用されるシート100を上から接着するかもしくは上から塗装するための巾木70において、前記巾木70は、下部に設けられ正面が曲面状の巾木本体71と、台車等が前記壁面Qに衝突することにより加わる衝撃を吸収するための保護部72を備え、前記保護部72は前記巾木本体71から上方に連設して設けられていることを特徴とするものである。
特開2006-177035号公報 特開2018-25090号公報 特開2018-204406号公報
従来使用されている巾木は加工性の良さから樹脂や金属で形成されている。しかしながら、巾木が使用される建築物は主に市場や工場、医療機関等延べ面積が広いものが多く、耐火建築物または準耐火建築物であるため、不燃材料ではない樹脂製の巾木は使用できないといった問題が生じる。また、金属製の巾木に関しては、錆や腐食などの耐久性の問題があるため、洗浄液等の液体や水を多量に使用する場所には不向きである。特に、食品工場などでは消毒のために高温、高圧の水を吹き付けるため、樹脂製や金属製の巾木は不向きである。
そこで、セメント等のコンクリート材を使用した複合材料を巾木の材料として使用することが考えられている。
特許文献2、3には材質が主成分としてセメントである巾木が開示されている。しかし特許文献2、3で開示されている巾木では、巾木の下面の部分(下端部の断面がR形状の部分)で、床塗料(仕上げの床材)と巾木の間に段差や隙間ができてしまうという問題があった(図13(a)(b)において、符号Daが仕上げ床材と巾木の間にできる段差であり、符号Dbが隙間を示す。)。また、特に食品工場などでは、巾木を配置することにより、壁面と床面との交差箇所に隙間ができて水等が入り込んでカビや細菌が発生するのを防止しなければならない。
また、従来の主成分がセメントである巾木においては、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所の他、側壁部や底面部において全面的に接着剤が配される場合があるが、全面に配すると却って位置決め精度を高くできない場合があるほか、接着剤の量が多くなってしまう割には、床塗料やコーキング材との間で綺麗な床や側壁が作れないという問題を有していた。特に、正面側に曲面が形成されるR形状の巾木においては、幅が狭いので、その下端側である底部において確実に床塗装との密着性を図る必要性が高い。
そこで本発明の目的は、仕上げの床材と巾木の間に床塗料等による隙間や段差ができるのを防止するとともに、床塗装との密着性を高めることができる巾木および巾木を利用した床塗装方法を提供することである。
本発明は、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられていることを特徴とする巾木である。
本発明によれば、巾木の下端側に塗料止め用凹部を設けることで、床塗料を床面および巾木の正面に塗布し仕上げる際に、床塗料が巾木の塗料止め用凹部に充填されることで、床塗料等による隙間や段差が出にくく、綺麗に床塗料を塗布することが可能になるとともに、上記隙間や段差に対する水の侵入を防止し、カビや細菌の発生を抑制することができる。
また、本発明は、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の上端側に突出して設けられる上方側突出部とを備え、前記上方側突出部には、コーキング材を止めるための窪みであるコーキング材止め用凹部が設けられていることを特徴とする巾木である。
本発明によれば、巾木の上端側にコーキング材止め用凹部を設けることで、コーキング材を側壁に塗布し仕上げる際に、コーキング材がコーキング材止め用凹部に充填されることで、コーキング材等による隙間や段差が出にくく、綺麗に床塗料を塗布することが可能になるとともに、上記隙間や段差に対する水の侵入を防止し、カビや細菌の発生を抑制することができる。
本発明としては、前記巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材を含むものであるとともに、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部を備え、前記曲面部の下方端が床面に向かう曲面として設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、巾木の主成分としてセメントなどを含み、床塗料やコーキング材が含侵して密着性が高められ、その仕上げ面も綺麗に仕上げることができる。
本発明としては、前記塗料止め用凹部は、床塗料を水平に塗布した高さと平行な水平部が設けられているか、及び/又は、床塗料を水平に塗布した高さと平行な角度よりも角度の大きな傾斜高さ部が設けられていることを特徴とする。ここで、前記傾斜高さ部は、床塗料を水平に塗布した高さと平行な水平部以上であればよいが、極端に大きな角度にすると、前記下方側突出部の強度が維持されなくなるおそれがある。そこで、前記傾斜高さ部の傾斜角度としては、前記平行高さを0度とするとき、20~30度以内であることが好ましい。
本発明によれば、床塗料が前記塗料止め用凹部に入り込むと、漏れ出る事態がなくなり床塗料の塗布状態が強い接着力が発揮されることとなり、床塗料が剥離したり損傷したりすることがなくなる。
本発明としては、前記巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材を含むものであるとともに、前記曲面部に床塗料が塗布されると、前記セメント等の隙間に床塗料が浸み込んで塗装膜を形成することを特徴とする。
本発明によれば、巾木の表面側(曲面部や正面上部等)の全域に床塗料等が塗布されて覆われることにより、強固な密着力と被覆が可能である。
また、本発明は、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木を使用した床塗装方法において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられており、床塗料を塗布する際に、前記塗料止め用凹部の位置に床塗料の塗膜を形成するとともに、前記下方側突出部の高さよりも上方において床塗料を塗布することを特徴とする。
本発明によれば、床塗料を塗布する際に、前記下方側突出部の高さよりも上方において床塗料を塗布することにより、前記下方側突出部の損傷が防止できることのみならず、R形状の曲面である曲面部の曲面傾斜が急な巾木であっても、仕上がり面が綺麗に仕上げられることとなる。また、一部の不陸(凹凸)を床塗料で充填させ、外観を向上させることができる。
また、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木を使用した床塗装方法において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられており、床塗料を塗布する際に、前記塗料止め用凹部の位置に床塗料を塗布するとともに前記曲面部の下端側にも塗布して塗膜を形成することを特徴とする巾木を使用した床塗装方法である。
本発明によれば、例えば下地処理剤と上塗りというような複数の床塗料で複数層が形成されるものであり、前記塗料止め用凹部の高さに合わせて床塗料の第1の塗膜を形成し、その上に第2の塗膜を形成することにより、第1の塗膜が巾木に対して密着して塗布されるとともに、第2の塗膜とも密着して強固に塗布されることとなる。
本発明としては、前記巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材を含むものであるとともに、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部を備え、前記曲面部の下方端が床面に向かう曲面として設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、巾木の主成分としてセメントなどを含み、床塗料やコーキング材が含侵して密着性が高められ、その仕上げ面も綺麗に仕上げることができる。
本発明の巾木によれば、壁面の最下部と床面とが交差する交差部に使用される巾木において、巾木と壁面及び床面との間に水が浸入するのを防止して、カビや細菌の発生を抑制し、また、床塗料と巾木の間に隙間や段差ができるのを防止して、美観性を損なうことなく壁面仕上げを行うことが可能な巾木を提供することができる。
また、少なくとも巾木の上端側と下端側との2か所で位置決めするだけで、床塗料との間で段差や傾きを生じさせないで綺麗な仕上がり面を作ることができる。
さらに、本発明の巾木を利用した床塗装方法によれば、床塗料を塗布する際に、前記下方側突出部の高さよりも上方において床塗料を塗布することにより、前記下方側突出部の損傷が防止できることのみならず、R形状の曲面である曲面部の曲面傾斜が急な巾木であっても、仕上がり面が綺麗に仕上げられることとなる。また、前記塗料止め用凹部の高さに合わせて床塗料の第1の塗膜を形成し、その上に第2の塗膜を形成することにより、第1の塗膜が巾木に対して密着して塗布されるとともに、第2の塗膜とも密着して強固に塗布されることとなる。
本発明の第1の実施形態の巾木を示す概略斜視図である。 上記第1の実施形態の巾木を示すH-H断面図である。 上記実施形態の巾木の下部を示す断面図である。 上記実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)を示す概略断面図である。 上記実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)の下部を示す概略断面図である。 上記実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)を示す図とその写真である。 本発明の第2の実施形態の巾木を示す断面図である。 上記実施形態の巾木の上部を示す断面図である。 上記実施形態の巾木の下部を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態の巾木を示す断面図である。 上記実施形態の巾木の上部を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態の巾木を示す断面図である。 従来の床塗装の例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を引用しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の巾木を示す概略斜視図であり、図2は、上記実施形態の巾木を示すH-H断面図であり、図3は、上記実施形態の巾木の下部を示す断面図である。
本実施形態の巾木10は、半屋外の地下の駐車場、魚市場、食品工場、クリーンルーム、医療機関等の壁面Qの最下部と床面Pが交差する交差箇所に取り付けられ、交差箇所周辺を防塵および気密性を持たせて衛生的に保つとともに台車の荷台等、床面から距離のある壁面位置に衝突物が衝突した場合に壁の保護用として使用する部材である。発明の巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材、繊維を含み、不燃材として形成されている。セメント、ケイ酸質粉体、骨材、繊維を含有する混合物を成形、硬化させることにより、耐熱性、耐衝撃性、耐凍害性、耐水性に優れ、耐火建築物または準耐火建築物の不燃材料として好適に使用することが可能な巾木を提供する。
巾木10は、断面略L字形状で長手方向Iに伸張した長尺状となっている。巾木10の高さKは約300mm、巾(幅方向Jの長さ)は約40mmである。これは、食品工場の洗浄室や下処理、加工室等の水を常時使用する水回りの壁面には、高さ約300mmの水掛かりが発生するためである。また巾木10は台車の荷台等が衝突しても割れることや破損することのない強度が必要となるため、巾木10の巾(幅方向Jの最大長さ)を約40mmとすることで台車の荷台が衝突したとしても破損しない程度の強度をもつことが可能となる。巾木10の長手方向Iの長さは、壁面Qまたは床面Pの長さによって適宜選択可能である。
巾木10は、壁面Qに当接される背面部11と、正面上部に設けられた平面上部15と、正面下部に設けられた曲面部16と、床面Pに当接する底面部12と、曲面部16の下端部と底面部12の一端部を連結する下方側突出部17と、底面部12の他端部と背面部11の下端部を連結する面取り部13と、断面略V字状に形成された上面部14と、側面部19,19に囲まれて形成されている。下方側突出部17には、塗料止め用凹部18が設けられている。なお、符号6は、前記曲面部の下方端が床面に向かう曲面を示している。後述するように、この曲面6に対して床塗料Rを塗布することで、綺麗な仕上がりの床の塗膜を形成することができる。
背面部11および底面部12は平面状で長手方向Iに伸長している。
平面上部15は、巾木10の正面上部に設けられた平面状の面であり、曲面部16から上方に連続して形成され平面上部15の上端は上面部14と連結している。また、背面11から平面上部15の厚み(幅方向Jの長さ)は約15mmである。
曲面部16は、巾木10の正面下部に設けられ、平面上部15から下方に連続して形成され、上方から下方にかけて円弧形状となった曲率面が形成されている。円弧形状の半径Rは50mmが最も適しているが、半径Rは35mm以上60mm以上の範囲でもよく、適宜選択可能である。また曲面部16の上端部は平面上部15となだらかに連続した状態で連結し、曲面部16の下端部は下方側突出部17と連結しており、曲面部16の高さは約50mmである。
下方側突出部17は、曲面部16の下端部から連続して形成され、先端がなだらかなR形状の曲面となっている。円弧形状の半径Rは1mmが最も適しているが、適宜選択可能である。下方側突出部17の先端の厚みAは1.5mm~2.0mmであり、付け根の厚みBは3.0mm~7.0mmである。セメント等で巾木を形成する場合、突出する尖った部分を形成すると破損しやすい問題があるが、この厚みで下方側突出部17を形成すると、セメント等で巾木10を形成しても下方側突出部17が破損することがない。
面取り部13は、適切に交差箇所に巾木10を取り付けるために、巾木10に対して面取りをしているものである。壁面Qの最下部と床面Pが交差する交差箇所のつなぎ目は、隙間があること、角度が適切でないことまたはつなぎ目の表面がいびつであること等の問題があり、適切に交差箇所に巾木10を取り付けることができないことがある。よって、巾木10に面取り部13を設け、壁面Qと背面部11を当接させ、かつ床面Pと底面部12を当接させることで、壁面Qの最下部と床面Pが交差する交差箇所に適切に取り付けられるようにしている。
また面取り部13は、底面部12の他端部と、背面部11の下端部を連結する平面状の面であり、背面部11および底面部12から傾斜して設けられ、傾斜角度は135度であり、奥行と高さは約5mmが最も適しているが、適宜選択可能である。
上面部14は、平面上部15と背面部11を連結する面であって、正面側に設けられた正面側上面14aと、背面側に設けられた背面側上面14bと、正面側上面14aと背面側上面14bを連結する上面中心14cから構成される。
正面側上面14aは、平面上部15の上端から平面上部15を基準に傾斜角度略135度で背面方向に傾斜して設けられおり、高さは10mm~13mm程度が適しているが、適宜選択可能である。背面側上面14bは、なだらかなR形状の曲面となっており、コーキング材止め用凹部としての効果を有する。円弧形状の半径Rは5mmが最も適しているが、適宜選択可能である。また正面側上面14aと背面側上面14bは平面状の上面中心14cで連結されており、全体で断面が略V字状に形成され、上面部14がこのような形状であることから巾木10は上端(先端)に向かって徐々に厚みが小さくなるように形成されている。
さらに正面側上面14aの幅方向Jの長さは背面側上面14bの幅方向Jの長さよりも大きく形成されている。
塗料止め用凹部18は、下方側突出部17に設けられた断面矩形状の窪みであり、長手方向Iに沿って長尺状に形成されている。
塗料止め用凹部18は、図3(a)に示すように、下方側突出部17のR形状の部分から、背面部11に向かう窪みの奥行は3.0mm~7.0mmであり、窪みの高さは3.0mm~8.0mmである。
また、塗料止め用凹部18は、図3(b)に示すように、下方側突出部17のR形状の部分から底面部12に向かってR形状の曲面を有する断面扇状の窪みとして設けられてもよい。
また、図3(c)(d)に示すように、底面部12に接着剤塗布領域Sが左右に配されるものであり、塗料止め用凹部18と前記面取り部13とをほぼ同じ形状に形成するものである。このようにして、底面部12の左右に接着剤(仮止め材)が配されることで安定した位置決めができるようになる。
巾木の材質は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材、繊維を含み、前記材料により不燃材として形成されている。
巾木は上記各成分を適切な配合比で混合し(混合工程)、適量の水を加えて混錬する(混錬工程)。混錬された混合物は、押出成形機に供給され、押出成形されることで押出成形体を得る(押出成形工程)。その後、得られた押出成形体は、養生し乾燥することで巾木が得られる(養生・乾燥工程)。
セメントとしては、普通、早強、ちゅうよう熱、低熱、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、各種混合セメント等の水硬セメントが挙げられ、セメントの配合比は30~65質量%の範囲であり、好ましくは35~55質量%の範囲がよい。
ケイ酸質粉体は巾木の防水機能を向上させるために用いられる成分であり、けい石、けい藻土、マイクロシリカ、シリカヒューム等が 挙げられ、特にけい石が好適である。ケイ酸質粉体の配合比は20~41質量%の範囲であり、好ましくは25~37質量%の範囲がよい。ケイ酸質粉体の配合比が20質量%未満であると防水効果が得られず、ケイ酸質粉体の配合比が41質量%よりも大きいと巾木の強度が低下する。
骨材は養生時の発熱および収縮を抑制するために用いられる成分であり、砂、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、真珠岩バルーン、黒曜石バルーン、パーライト、バーミキュライト、カナマイト、ガラスマイクロバルーン等が挙げられる。骨材の配合比は8~31質量%の範囲であり、さらに好ましくは12~26質量%の範囲がよい。骨材の配合比が8質量%未満であると適切な発熱および抑制効果が得られず、骨材の配合比が31質量%より大きいと巾木の強度が低下する。
繊維は巾木の亀裂防止や曲げ強度の向上等、耐凍害性を強化するために用いられる成分であり、パルプ、故紙、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維等の有機繊維およびガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維などが挙げられ、特にパルプが好適である。繊維の配合比は2~11質量%の範囲であり、さらに好ましくは2.5~8質量%の範囲がよい。繊維の配合比が2質量%未満であると亀裂防止や曲げ強度の向上等の適切な効果が得られず、繊維の配合比が11質量%より大きいと巾木の強度が低下する。
上記各成分を上記配合比で混合して得られた巾木は、耐熱性、耐衝撃性、耐凍害性、耐水性に優れ、不燃材料として好適なものとなる。具体的には、強度減衰率が10%以下、熱膨張率が1.0~15.0×10-6/℃、衝撃強さが0.8~25.0kJ/mおよび熱伝導率が0.3W/mK以下、吸水率が40%以下であることが好ましい。また、巾木を水中に浸漬し、凍結および溶解を繰り返した場合の体積変化率が10%以下であれば耐水性および耐凍害性に優れている点から好ましい。
図4は、本発明実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)を示す概略断面図であり、図5は、上記実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)の下部を示す概略断面図であり、図6は、上記実施形態の巾木の取付構造(塗装仕上げ)を示す写真である。
巾木10を壁面Qの最下部と床面Pが交差する交差箇所に取り付ける場合、変性シリコーン系接着剤等の接着材を背面部と底面部と側面部近傍に周設するように塗布し、壁面Qと巾木10の背面部11を当接させ、かつ床面Pと巾木10の底面部12を当接させて、巾木10を交差箇所に取り付ける。
最後に、コーキング材Tを充填し、モルタル等の床塗料(床材)Rを床面Pおよび巾木10の正面に塗布し仕上げる。
また、床塗料Rを塗布し仕上げる際に、図5(a)に示すように、まず塗料止め用凹部18の高さR1aとして(3.0mm~8.0mmの床塗料Rの第1の塗膜R1を形成し)、乾燥して固まった後、その上に第2の塗膜R2を形成することができる。第2の塗膜R2は、前記曲面部の下端側にも塗布して所定厚みR2の塗膜を形成する。これにより、綺麗に床塗料Rを塗布することができる。
ここで、塗り床(床塗装)ついては、巾木10の表面(平面上部15や曲面部16等)に塗料R3を塗布してから床材Rを塗布する施工方法と、単に床材塗料R(R1,R2)を塗布する方法とがある。食品工場、医療機器工場などの適材適所で塗り床(床塗装)の塗料の選定を行わないと、はがれや膨れがおきやすく、また、耐久性を求められる床、または、耐薬品性が求められる床がある。コンクリート面の床では、歩行用の場合の防塵塗装(アクリル樹脂系)、フォークリフトなどの重量物用はエポキシ塗り床(床塗装)に大きくわかれ、また、クリーンルームなどのよりほこりやゴミに対応した帯電防止の効果のある塗り床(床塗装)や食品工場などの毎日水を用いて清掃するための、耐水性と耐久性の高い水性硬質ウレタンなどが使用される。体育館など床や屋外の公園や遊歩道などの床、アスファルトに塗り床(床塗装)を塗装して、遮熱効果をもたらすものなどもある。
まず第1に、巾木10の表面(平面上部15や曲面部16等)に塗料R3を塗布してから床材Rを塗布する方法としては、図6(c)の例では、塗料R3を巾木10にローラーで塗布してから、巾木10の塗料が完全硬化後に床材Rを塗ることにより、前巾木10の表面(平面上部15や曲面部16等)の全域、さらには上方のコーキン材Tの近傍まで塗料R3が塗布して、最後にコーキング材Tで塗料R3を押さえ込むようにする施工方法である。また、図6(b)の例では、巾木10の表面(平面上部15や曲面部16等)の全域に亘って塗装膜R3を形成して、上方側のコーキング材Tと連結させるように塗装膜R2を形成する。本実施の形態では、塗料止め用凹部18とコーキング材止め用凹部14bが設けられているので、床材Rを施す場合や内壁材を巾木10に対して施すときに、塗料Rやコーキング材Tが入り込んで掛止するので、これらが剥離し難くなって、高い密着力が得られるようになる。なお、床塗料としては、透明の塗料として、巾木10が認識できるようにすることができる。
次に第2に、床材塗料R(R1,R2)を塗布する方法としては、本実施の形態では、図5(a)(b)に示しように、床塗料Rを塗布する際に、前記下方側突出部17の高さよりも上方に及ぶように床塗料R(R1,R2)を塗布する。下塗りR1を塗布する理由は、後に塗る中塗りと上塗りの塗装工程のベースとなる工程であり、この工程がないと後の中塗りや上塗りの塗膜を定着させる役割が果たせなかったり、色むらを防止する役割を果たせなかったりする場合がある。色付けは通常2回の工程が必要になる。また、厚い塗膜にするためには、何度も塗り重ねて塗膜の層を厚くすることが望ましい。なお、下塗りR1は、白色か透明である場合が多いが、これは床塗料の色を際立たせるためである。そして、下塗り塗料R1を塗っておくことで、中塗り・上塗り塗料が吸い込まれずにしっかりと塗膜を作ることができるので、塗装後の仕上がりが美しくなり、そして、剥がれにくくなる。なお、床塗料を複数層にすることなく、一層で形成しても良く、この一層の場合でも、塗料止め用凹部18に床塗料を差し込むようにすることで、床の塗装膜が剥がれにくく、綺麗に仕上げることができる。
このように、床塗料Rが巾木10の塗料止め用凹部18に充填されることで、水の侵入を防止し、カビや細菌の発生を抑制することができる。また、床塗料Rが巾木10の塗料止め用凹部18に充填されることで、隙間や段差が出にくく、綺麗に床塗料Rを塗布することが可能となり、美観性を損なうことなく壁面仕上げを行うことができる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態の巾木を示す断面図であり、図8は、上記実施形態の巾木の上部を示す断面図であり、図9は、上記実施形態の巾木の下部を示す断面図である。
第2の実施形態の巾木20は、壁面Qに当接される背面部21と、正面上部に設けられた平面上部25と、正面下部に設けられた曲面部26と、床面Pに当接する底面部22と、曲面部26の下端部と底面部22の一端部を連結する下方側突出部27と、底面部22の他端部と背面部21の下端部を連結する面取り部23と、上方側突出部24と、側面部に囲まれて形成されている。下方側突出部27には、その底面側において、塗料止め用凹部28が設けられている。
上方側突出部24は、平面上部25の上端側または曲面部26の上端側に突出して設けられ、前記上方側突出部24は、前記下方側突出部27と同じように形成することができる。上方側突出部24は、平面上部25と背面部21を連結する面であって、正面側に設けられた正面側上面24aと、背面側に設けられた背面側上面24bと、正面側上面24aと背面側上面24bを連結する上面中心24cから構成され、背面側上面24bがコーキング材を止めるための窪みであるコーキング材止め用凹部24bとなる。コーキング材止め用凹部24bとしては、上方側突出部24に窪みを形成しても良いが、図6(b)に示すように、接着剤塗布領域Sを調整して(コーキング材が入る領域を設けて)形成しても良い。
前記塗料止め用凹部28又は前記コーキング材止め用凹部24bに、断面矩形状の窪みが複数形成されているものであって、前記複数の窪みのうちの第1の矩形状の窪みには、接着剤Sが配されて床面や側壁部と接着され、第2の矩形状の窪みには、床塗料又はコーキング材が配されて床面や側壁部と接着される。
塗料止め用凹部28は、下方側突出部27に設けられた断面矩形状の窪みであり、長手方向Iに沿って長尺状に形成されている。
塗料止め用凹部28と下方側突出部27は、図9(a)に示すように、床塗料Rを水平に塗布した高さと平行な水平部Rとして設けられている。
また、塗料止め用凹部28は、図9(b)に示すように、下方側突出部27及び/又は、床塗料を水平に塗布した高さと平行な角度よりも角度(θ)の大きな傾斜高さ部R3として設けてもよい。傾斜高さ部R3の傾斜角度θとしては、前記水平部の高さを0度とするとき、20~30度以内であることが好ましい。
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態の巾木を示す断面図であり、図11は、上記実施形態の巾木の上部を示す断面図である。
第3の実施形態の巾木30は、壁面Qに当接される背面部31と、正面上部に設けられた平面上部35と、正面下部に設けられた曲面部36と、床面Pに当接する底面部32と、曲面部36の下端部と底面部32の一端部を連結する下方側突出部37と、底面部32の他端部と背面部31の下端部を連結する面取り部33と、上方側突出部34と、側面部に囲まれて形成されている。下方側突出部37には、塗料止め用凹部38が設けられている。
上方側突出部34は、平面上部35の上端側または曲面部36の上端側に突出して設けられ、前記上方側突出部34は、前記下方側突出部37と同じように形成することができる。上方側突出部34は、平面上部35と背面部31を連結する面であって、正面側に設けられた正面側上面34aと、背面側に設けられた背面側上面34bと、正面側上面34aと背面側上面34bを連結する上面中心34cから構成され、背面側上面34bがコーキング材を止めるための窪みであるコーキング材止め用凹部34b,34dとなる。そして、コーキング材止め用凹部34のうちの一方34bには、コーキング材が配され、他方34dには、接着剤Sを介在させるものである。なお、巾木の背面や底面の全域に接着剤が配されるものではなく、下方側突出部37とコーキング材止め用凹部34b,34dにのみ接着剤Sが配されても位置決めが可能である。
図10、図11の例では、塗料止め用凹部34dとコーキング材止め用凹部34bに接着剤(仮止め材)塗布領域Sが配されているので、安定した位置決めが可能である。なお、壁面の最下部と床面が交差する交差箇所にも接着剤(仮止め材)塗布領域Sが配されているので、安定した位置決めが可能である。
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態の巾木を示す断面図である。
第4の実施形態の巾木40は、壁面Qに当接される背面部41と、正面に設けられた曲面部46と、床面Pに当接する底面部42と、曲面部46の下端部と底面部42の一端部を連結する下方側突出部47と、底面部42の他端部と背面部41の下端部を連結する面取り部43と、上方側突出部44と、側面部に囲まれて形成されている。下方側突出部47には、塗料止め用凹部48が設けられている。
第4の実施形態の巾木40は、正面側が曲面で形成されているものである。
上方側突出部44は、曲面部46の上端側に突出して設けられ、下方側突出部47は、曲面部46の下端側に突出して設けられている。前記上方側突出部44は、前記下方側突出部47と同じように形成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本実施の形態では、コンクリート製の巾木を例に説明したが、本発明はプラスチックなどの合成樹脂製のものや金属製であっても適用可能である。また、塗り床(床塗装)の施工ついて説明したが、内壁材との関係でコーキング材を塗布する場合にも適用可能である。
10,20,30,40 本発明の巾木、
11,21,31,41 背面部、
12,22,32,42 底面部、
13,23,33,43 面取り部(コーナー接触部)、
14 上面部、 14a 正面側上面、14b 背面側上面、14c 上面中心、
24,34,44 上方側突出部、
24b コーキング材止め用凹部、
15,25,35, 平面上部、
16,26,36,46 曲面部、
17,27,37,47 下方側突出部、
18,28,38,48 塗料止め用凹部、
19 側面部、
P 床面、
Q 壁面、
R 床塗料、
R1 床塗料の第1の塗膜、R1a 水平部、
R2 床塗料の第2の塗膜、R2a 水平部、
R3 傾斜高さ部、
S 接着剤塗布領域、
T コーキング材


Claims (6)

  1. 壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられていることを特徴とする巾木。
  2. 壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、前記曲面部の上端側に突出して設けられる上方側突出部を備え、前記上方側突出部には、コーキング材を止めるための窪みであるコーキング材止め用凹部が設けられていることを特徴とする巾木。
  3. 前記塗料止め用凹部は、床塗料を水平に塗布するための水平部が設けられているか、及び/又は、床塗料を水平に塗布した高さと平行な角度よりも角度の大きな傾斜高さ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の巾木。
  4. 壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木を使用した床塗装方法において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられており、床塗料を塗布する際に、前記塗料止め用凹部の位置に床塗料の塗膜を形成するとともに、前記下方側突出部の高さよりも上方において床塗料を塗布することを特徴とする巾木を使用した床塗装方法。
  5. 壁面の最下部と床面が交差する交差箇所に取り付けられる巾木を使用した床塗装方法において、前記巾木は、壁面に当接される背面部と、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部と、床面に当接する底面部と、曲面部の下端側に突出して設けられる下方側突出部とを備え、前記下方側突出部には、床塗料を止めるための窪みである塗料止め用凹部が設けられており、床塗料を塗布する際に、前記塗料止め用凹部の位置に床塗料を塗布するとともに前記曲面部の下端側にも塗布して塗膜を形成することを特徴とする巾木を使用した床塗装方法。
  6. 前記巾木は、主成分として、セメント、ケイ酸質粉体、骨材を含むものであるとともに、正面に設けられたR形状の曲面である曲面部を備え、前記曲面部に床塗料が塗布されると、前記セメント等の隙間に床塗料が浸み込んで塗装膜を形成することを特徴とする請求項4又は5記載の巾木の床塗装方法。
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