JP2022023007A - ポリウレタンフォーム - Google Patents

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クリスピー ダニエル
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敦史 森上
Atsushi Morigami
遼 藤本
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Abstract

【課題】 硬質又は軟質のポリウレタンフォームであって、一定の体積膨張率や機械強度を有するポリウレタンフォーム、及びその製造方法を提供する。【解決手段】 2種以上のポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンを含有し、前記ポリオールに少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールが含まれる、ポリウレタンフォームである。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリウレタンフォームに関する。
ポリウレタンフォームは、ポリウレタン樹脂に気体を分散させて得られる発泡体である。ポリウレタンフォームは、気泡が連通し柔らかくて復元性のある軟質ポリウレタンフォームと、独立気泡であり硬くて復元性が無い硬質ポリウレタンフォーム、それらの中間的な性状の半硬質ポリウレタンフォームに大別される。軟質ポリウレタンフォームとしては、気泡を連通させるために整泡剤を用いた設計が知られている(特許文献1)。硬質ポリウレタンフォームは、気泡が独立しており断熱性に優れ、また軽量で機械的強度も高いことから、断熱性の要求される建築材等に用いられる。
ポリウレタンフォームは、大きくポリエーテル系とポリエステル系に区分することができる。ポリエーテル系はランダム性のある化学構造を有するために弾性に優れ、加水分解性が低く、製造コストが低いという特徴を有する。軟質ポリウレタンフォームでは、要求される特性を備えていることからポリエーテル系のポリオールが用いられている(非特許文献1)。
また、ポリオールとして、ポリカーボネートポリオールが知られている。ポリカーボネートポリオールは、カーボネート基に由来する高い凝集力によって耐水性、耐熱性、耐油性、応力緩和性能、耐摩耗性、耐候性等に優れた材料を与えうることが知られている。特定の構造を有する鎖状のポリカーボネートポリオールや(特許文献2)、高度に分岐した構造を有する、所謂ハイパーブランチポリマーとして設計されたポリカーボネートポリオール(特許文献3)が、ポリウレタン樹脂の原料として検討されている。また、ポリカーボネートポリオールを用いてのポリウレタンフォームの製造が試みられている(特許文献4~6)。
特開2013-199620号公報 特開2019-59864号公報 特開2019-123871号公報 特開2016-44238号公報 特開2008-37991号公報 特開2019-151727号公報
ポリウレタン原料・製品の世界市場(2016)出版社:富士経済
ポリウレタンフォームには、構造材としての用途が多いことから機械的強度が要求されることが多い。これらの特性のいくつかはポリカーボネートポリオールが有する特性と共通しているものの、ポリウレタンフォームは膜状物とは全く異なる構造を有している。そのため、ポリカーボネートポリオールを用いたウレタンフォームについては、特性について不明確な点が多かった。
また、ポリウレタンフォームは発泡により形成されるが、発泡の度合いが小さいとフォームとしての要求を満足しないため、ある程度以上の発泡倍率で体積膨張することが要求される。
そこで本発明の課題は、上記の不明点を明らかにし、良好な体積膨張率を備えた硬質又は軟質のポリウレタンフォームであって、機械的強度や耐熱性に優れたポリウレタンフォーム、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
[1]2種以上のポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンを含有し、前記ポリオールに少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールが含まれる、ポリウレタンフォーム。
[2]前記ポリカーボネートポリオールが、ポリオール由来の構造中に、第3級又は第4級炭素原子を有する、前記[1]記載のポリウレタンフォーム。
[3]前記ポリカーボネートポリオールが、1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有する、前記[1]又は[2]記載のポリウレタンフォーム。
[4]前記ポリカーボネートポリオールが、脂肪族ジオール由来の構造及び1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有し、分岐度ファクターg’が0.55~0.82の範囲である、高分岐ポリカーボネートポリオールである、前記[1]~[3]のいずれか一項記載のポリウレタンフォーム。
[5]前記ポリカーボネートポリオールが、脂環式構造を有する、前記[1]又は[2]に記載のポリウレタンフォーム。
[6]前記ポリカーボネートポリオールの原料であるポリオールモノマー中の脂環式構造を有するポリオールモノマーの割合が、20~80モル%の範囲である、前記[5]記載のポリウレタンフォーム。
[7]前記脂環式構造が、シクロヘキサンジメタノール由来の構造である、前記[5]記載のポリウレタンフォーム。
[8]前記ポリカーボネートポリオールの75℃での粘度が10~5000cPの範囲である、前記[1]~[7]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
[9]ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲である、前記[1]~[8]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
[10]ポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールのモル比が0.005~0.5の範囲である、前記[1]~[9]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
[11]ポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールの割合が0.5~50.0質量%の範囲である、前記[1]~[9]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
[12]ポリオール及びポリイソシアネートを含む配合物、触媒、整泡剤、及び発泡剤を混合して混合物を調製する工程、及び該混合物を発泡させる工程を含む、ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記ポリオールは、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含み、
ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲である、ポリウレタンフォームの製造方法。
[13]前記[1]~[11]のいずれかに記載のウレタンフォームの、自動車シートのクッション、家電用断熱材、配管断熱材、ソファー又は椅子のクッション、寝具用マットレス又は枕、建築用断熱材、靴底、梱包材、吸音材又はクリーナー用スポンジとしての使用。
本発明によれば、良好な体積膨張率を備えた硬質又は軟質のポリウレタンフォームであって、強度に優れたポリウレタンフォーム、及びその製造方法を提供することができる。
実施例8、9、13及び14のポリウレタンフォームの、発泡の状態を示す図である。 比較例2のポリウレタンフォームの顕微鏡写真(倍率40倍)である。 実施例33のポリウレタンフォームの顕微鏡写真(倍率40倍)である。 実施例36のポリウレタンフォームの顕微鏡写真(倍率40倍)である。 実施例39のポリウレタンフォームの顕微鏡写真(倍率40倍)である。
本発明のポリウレタンフォームは、2種以上のポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンを含有し、前記ポリオールに少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールが含まれる、ポリウレタンフォームであり、前記ポリウレタンが、ポリオール由来の構造として、ポリカーボネートポリオール以外のポリオール由来の構造をさらに含むことが好ましい。
以下、本発明のポリウレタンフォームの原料、製造方法等について、例示によって項目ごとに、詳細に説明する。
[ポリオール]
本発明において、ウレタンフォームにおけるポリオール由来の構造とは、ポリオールの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。したがって、ポリウレタンフォームに含まれるポリウレタンには、2以上の水酸基を有する、ポリオールに分類される化合物が原料として用いられる。ポリオール化合物は、1分子中に2つ以上の水酸基を有していれば、その種類に特に制限はない。ただし、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールが含まれる。また、ポリオールとしては、その構造の主鎖に分岐となる構造があることが好ましい。例えば、ポリオール由来の構造中に、第3級若しくは第4級炭素原子又は酸素に結合した第2級炭素原子を有することが好ましい。また、ポリオールとして高度に分岐した構造を有する、所謂ハイパーブランチポリマーと言われるものを用いることもできる。ポリオール化合物には、高分子量ポリオール又は低分子量ポリオールを用いることができる。
高分子量ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の構成成分となりうるものであれば特に制限されないが、数平均分子量が200~10000であるものが好ましく、250~5000であるものがより好ましく、300~4000であるものがさらに好ましく、350~4000であるものが特に好ましく、400~2500であるものが最も好ましい。数平均分子量がこの範囲であれば、適切な粘度及び良好な取り扱い性が得られ、ポリウレタンフォームの発泡性を向上できる。また、ソフトセグメントとしての性能の確保が容易であり、得られたポリウレタン樹脂を含むポリウレタンフォームの硬度を抑制し易い。
高分子量ポリオールの数平均分子量は、公知の方法によって算出することができる。例えば、JIS K 1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量とすることができる。具体的にはこの方法では、水酸基価を測定し、末端基定量法により、(56.1×1,000×価数)/水酸基価 [mgKOH/g]で算出する。前記式中において、価数は1分子中の水酸基の数である。
水酸基価は、以下の手順により算出することができる。
ポリオール0.9gとフタル化剤(無水フタル酸160g、イミダゾール24gとピリジン1000mLとの混合物)10mLとを100℃付近で30分間反応させる。次いで、この反応液に、水4mLとピリジン20mLを添加した後、0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定する。
なお、フタル化剤を0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液で滴定した(これはブランク値を求める空試験である)。
得られた滴定量に基づき、以下の式(1)により水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=[B(mL)-A(mL)]×f×28.05/S(g)+酸価(mgKOH/g)・・・式(1)
A:試料を滴定するのに必要な0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の使用量(mL)B:ブランクを滴定するのに必要な0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の使用量(mL)
f:0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の力価
S:試料の質量(g)
なお、酸価は、下記の方法で算出することができる。
10gの試料をトルエン/エタノールの50/50(質量比)溶液に溶解させたものを調製し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定した。酸価は、次の式(2):
5.61×(C-B1)×f/s・・・式(2)
によって求められる。
ここで、B1は、ブランクを中和するのに要する0.1NのKOHエタノール標準溶液の量(mL)であり、Cは、試料を中和するのに要する0.1NのKOHエタノール標準溶液の量(mL)であり、fは、0.1NのKOHエタノール標準溶液のファクターであり、sは、試料の質量(g)である。
ポリオールとしてはポリウレタン樹脂の製造の容易さから、高分子量ポリオールを用いることが好ましい。高分子量ポリオールとしては、例えば、必須の原料として含まれるポリカーボネートポリオールのほか、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは1種類以上のポリカーボネートポリオールを含んでいれば、複数種を混合して用いてもよいが、ポリオール由来の構造として、ポリカーボネートポリオール以外のポリオール由来の構造をさらに含むことが好ましく、ポリエーテルポリオール由来の構造をさらに含むことがより好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルやホスゲンとを反応させることにより得られる。製造が容易な点及び末端塩素化物の副生成がない点から、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが好ましい。本発明でいうポリカーボネートポリオールは、その分子中に、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
<高分岐ポリオール>
本発明の一つの態様において、ポリカーボネートポリオールは、1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有することが好ましい。そのような構造を有する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの1分子中に3個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。多価アルコールを用いることで、ポリカーボネートポリオールが高度に分岐した構造を有する、ハイパーブランチポリマーと呼ばれる構造をとる。したがって、本発明の一つの態様は、高分岐ポリカーボネートポリオールを含むポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンを含有する、ポリウレタンフォームである。
ポリオールモノマーとして多価アルコールを用いる場合、多価アルコールのみを原料としてもよいし、ジオールと組み合わせて用いてもよい。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどの炭素原子数2~12の直鎖状の脂肪族ジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-又は3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-又は2,4,4-トリメチルヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオールなどの炭素原子数3~18の分岐状の脂肪族ジオール;1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの炭素原子数6~18の環状脂肪族ジオールが使用される。なお、これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールが、脂肪族ジオール由来の構造及び1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有し、分岐度ファクターg’が0.55~0.82である、高分岐ポリカーボネートポリオールであることが好ましい。
本発明において「高分岐」とは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により算出される分岐度ファクターg’が0.55~0.82である状態を指す。したがって高分岐ポリカーボネートポリオールは、分岐度ファクターg’が0.55~0.82であることが好ましい。分岐度ファクターg’は、0.55~0.82であることが好ましく、0.58~0.80であることがより好ましく、0.60~0.78であることがさらに好ましく、0.60~0.75であることが特に好ましい。以下、特に断りがない限り、分岐度ファクターg’を0.55~0.82であると説明している部分にも、上記好適な範囲の記載が適用される。
(分岐度ファクター(g’))
分岐度ファクターg’は、ポリマーがどの程度の分岐を有しているかを評価するための値である。一般に分岐度ファクターg’は、ポリマーの分岐が多いほど小さい値をとる。
高分岐ポリカーボネートポリオールの分岐度ファクター(g’)は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により算出することができる。
GPCは、カラムとしてShodex KF-Gを1本、KF-805Lを2本及びKF-800Dを1本取り付け、検出器としてViscotek製TriSEC302TDAを付けた東ソー社製HLC-8220GPCを用い、溶離液がテトラヒドロフラン、流速が1.0mL/分、濃度が0.1質量/体積%、注入量が300マイクロL、温度が40℃の条件で測定を行い、解析ソフトOmniSec4.0を用いてMark-Houwinkプロットを行い、分子量と固有粘度から分岐度ファクターg’を算出する。
分岐度ファクターg’は、高分子がどのくらい分岐を有するかの度合いを示すものである。分岐度ファクターg’は分子量との相関関係があるため、例えば球状に近いのか、楕円に近いのかというような高分子の形状をより詳しく表すことができる。一方で、本発明の高分岐ポリカーボネートポリオールは、高度に分岐した分子鎖の末端にポリオール由来の水酸基が複数個存在するような構造を有している。つまり分岐の程度に応じて高分子末端の水酸基の数が変動するので、分岐度ファクターg’は、ポリカーボネートポリオール1分子当たりの末端平均水酸基数(以下、「価数」と称することもある)と関連づけることもできる。価数によって本発明の高分岐ポリカーボネートポリオールを表現する場合、価数が4.0~15の範囲であるポリカーボネートポリオールが、本発明においてはより好ましい態様である。そのうえで前記分岐度ファクターg’の範囲を満たしていることが、さらに好ましい。
本発明の高分岐ポリカーボネートポリオールの分岐度ファクターg’は、0.55~0.82である。分岐度ファクターg’がこの範囲にあることで、室温で液状の物質として取扱いが容易になり、ポリウレタンとしたときに高強度と高い伸び率を両立することができる。
高分岐ポリカーボネートポリオールの室温での性状は、80℃で3時間加熱したサンプルを25℃で24時間置いたあとの状態を目視により確認する。液状であるかどうかの判断は、ポリカーボネートポリオールを80℃で3時間加熱した後、室温すなわち25℃で24時間放置した際に、透明で流動性があるかどうかを確認することによって行う。固体が目視できず、白濁していない状態を透明であると判断する。
高分岐ポリカーボネートポリオールは実質的に分岐度ファクターg’が0.55~0.82を有していればよく、末端の水酸基の一部が不飽和結合(例えば、末端エチレン)や、エーテル結合(例えば、末端メトキシ基や末端フェノキシ基)となっていてもよい。
ここで、高分岐ポリカーボネートポリオールの末端構造における末端水酸基の割合は、H-NMRで測定することができ、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。この範囲であることで、例えば、本発明の高分岐ポリカーボネートポリオールを用いたウレタン化反応の分子量の増大が図れる。
また、末端の水酸基のうち、1級末端水酸基の比率は好ましくは95%以上である。この範囲であることで、例えば、高分岐ポリカーボネートポリオールを用いたウレタン化反応がスムーズに進行する。
(高分岐ポリカーボネートポリオールの製造)
高分岐ポリカーボネートポリオールの製造方法は、特に限定されないが、例えば、多価アルコール、脂肪族ジオール、炭酸エステル及び触媒を混合して、低沸点成分(例えば、副生するアルコールなど)を留去しながら、反応させるなどの方法によって行われる。
なお、高分岐ポリカーボネートポリオールの製造は、一旦、高分岐ポリカーボネートポリオールのプレポリマー(目的とする高分岐ポリカーボネートポリオールより低分子量)を得た後、更に分子量を上げるためにプレポリマーを反応させるなど、反応を複数回に分けて行うこともできる。
(脂肪族ジオールと多価アルコールのモル比)
脂肪族ジオールを多価アルコールと組み合わせて高分岐ポリカーボネートポリオールを製造する場合、脂肪族ジオール及び多価アルコールの使用量(モル比)は、高分岐ポリカーボネートポリオールの分岐度ファクターg’が0.55~0.82の範囲となるような使用量(モル比)であれば特に限定されない。「多価アルコールの総水酸基モル数/脂肪族ジオールの総水酸基モル数」に換算したとき、好ましくは0.3~4.0である。一例として、高分岐ポリカーボネートポリオールを完全に加水分解し、脂肪族ジオールと多価アルコールをガスクロマトグラフィー、マススペクトル、NMR測定などの手段により同定、定量することで、脂肪族ジオールと多価アルコールのモル比を求めることができる。
好ましくは本発明の高分岐ポリカーボネートポリオールは、下記式(I):
-(O-C(=O)-O-R)-OH (I)
(式中、Rは、脂肪族ジオールに由来する基であり、nは繰り返し単位の数であり、1以上の整数である)
で示され、多価アルコールに由来する基に結合している構造を、分岐度ファクターg’が0.55~0.82となる量だけ有する。例えば、構造を単純化して多価アルコールとしてペンタエリスリトールに由来する構造を1つだけ有する分子を考えたとき、前記式(I)で示される構造は、C(CH-)で表される構造の4つのメチレン基それぞれに結合している。分岐度ファクターg’が0.55~0.82の前記式(I)で示される構造において、各R及びnは、各々異なっていてもよく、また同じであってもよい。また、分岐度ファクターg’が0.55~0.82の前記式(I)で示される構造は、各々独立して、同一の又は異なる多価アルコールに由来する基に結合していてもよい。
<鎖状ポリカーボネートポリオール>
本発明の一態様では、ポリカーボネートポリオールは鎖状の構造を有する。ポリカーボネートポリオールの構成要素となるポリオールモノマーとして、脂環式構造を有するポリオールモノマー、直鎖状脂肪族ポリオールモノマー、分岐鎖状脂肪族ポリオールモノマー、芳香族ポリオールモノマー、ポリエステルポリオールモノマー又はポリエーテルポリオールモノマーが用いられ、脂環式構造を有するポリオールモノマー及び/又は脂肪族ポリオールモノマーが用いられることが好ましく、脂環式構造を有するポリオールモノマー及び/又は分岐脂肪族ポリオールモノマーを用いることがより好ましい。これらのモノマーを1種類単独で用いてもよく、複数種類を組み合わせて用いてもよい。所望の高分子量ポリオールに合わせて用いるモノマー種を選択・設計することができる。
(脂環式構造を有するポリカーボネートポリオール)
本発明の一態様では、ポリカーボネートポリオールが、脂環式構造を有することが好ましい。脂環式構造を有するポリカーボネートポリオール由来の構造をポリウレタンに導入するポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭素原子数が5~12の脂環式構造を有するポリオール由来の構造を有するポリカーボネートポリオールが挙げられる。
前記炭素原子数が5~12の脂環式構造を有するポリオール由来の構造とは、炭素原子数が5~12の脂環式構造を有するポリオール分子のうち、カーボネート化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。
炭素原子数が5~12の脂環式構造を有するポリオール由来の構造をポリカーボネートポリオールに導入するためのポリオールとしては、具体的には、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジオキサン、2,7-ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、1,4-シクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましい。
更に、脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールは、その構造の一部に脂環式構造を有しないポリオールに由来する構造を有していてもよい。脂環式構造を有しないポリオールに由来する構造をポリカーボネートポリオールに導入するためのポリオールとしては、例えば、脂肪族ポリオールが挙げられ、例えば、炭素原子数2~12の脂肪族ポリオールである。炭素原子数2~12の脂肪族ポリオールとしては、後述の脂肪族ポリオールが挙げられるが、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールを使用することが好ましく、1,6-ヘキサンジオールを使用することがより好ましい。
脂環式構造を有さないポリオールに由来する構造を分子中に有するようなポリカーボネートポリオールは、脂環式構造を有するポリオールとそれ以外のポリオールとを用いて通常の方法でポリカーボネートポリオールを調製することで、得ることができる。
脂環式構造を有するポリカーボネートポリオールにおける、脂環式構造を有するポリオールモノマーの割合を、ポリカーボネートポリオールの調製の際に加えるポリオールの比率によって適宜調節することができる。ポリカーボネートポリオールの原料であるポリオールモノマー中の脂環式構造を有するポリオールモノマーの割合は、20~80モル%であることが好ましく、40~60モル%であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、引張り強度の力学特性により優れ、また良好な発泡倍率でポリウレタンフォームを得ることができる。
(その他のポリカーボネートポリオール)
本発明の一態様では、上記高分岐ポリカーボネートポリオールや脂環式構造を有するポリオールモノマー以外のポリオールモノマーから得られるポリカーボネートポリオールを用いることもできる。そのようなモノマーとしては、上記のようにカテゴリ分けされたモノマー種を用いることができる。脂肪族ポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,9-ノナンジオール等の分岐鎖状脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ポリオールモノマーを単独で用いる場合には、ポリウレタンフォームとしたときの発泡倍率が高くなる傾向があることから、分岐鎖状脂肪族ポリオールモノマーを用いることが好ましい。脂肪族ポリオールモノマーは、前述の高分岐ポリカーボネートポリオール又は脂環式構造を有するポリオールモノマーと組み合わせて用いることが好ましい。脂肪族ポリオールモノマーの複数種を用いる場合には、発泡倍率が高くなる傾向があることから、2種の脂肪族ポリオールモノマーを使用することが好ましく、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを用いることがより好ましい。また、前記脂肪族ポリオールモノマーに加えてラクトンモノマーを原料に用いて部分的にエステル結合を有するポリカーボネートポリオールを使用してもよい。具体的には、このポリカーボネートポリオールは、前記脂肪族ポリオールモノマー由来の構造及びラクトン由来の構造を含み、ラクトンとしては、ω-ラクトン、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ω-エナントラクトン、ω-カプリロラクトン、ω-ラウロラクトン等の炭素数3~21のラクトン類が挙げられ、好ましくはε-カプロラクトンである。
芳香族ポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,2-ベンゼンジメタノール、4,4’-ナフタレンジメタノール、3,4’-ナフタレンジメタノールが挙げられる。
ポリエステルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、6-ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール、アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられる。
[ポリカーボネートポリオールの製造方法]
ポリカーボネートポリオールは一般的に、上述のようなポリオールと炭酸エステル又はホスゲンとの反応で得ることができる。製造が容易な点及び末端塩素化物の副生成がない点から、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルとを反応させることが好ましい。用いる炭酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル、ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステルが挙げられる。その他に、ポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲン等も使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオールの製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、ジメチルカーボネートが特に好ましい。
前記炭酸エステルの使用量は、ポリオールの種類によって変動しうる。当業者であればポリオールの種類等に合わせて炭酸エステルの使用量は適宜設計できる。
(触媒)
ポリカーボネートポリオールを得る反応で使用する触媒として、公知のエステル交換触媒を使用することができる。
(反応温度、及び反応圧力)
高分岐ポリカーボネートポリオールを得る反応における反応温度は、炭酸エステルの種類に応じて適宜調整することができるが、好ましくは50~250℃、更に好ましくは70~230℃である。また、高分岐ポリカーボネートポリオールを得る反応における反応圧力は、低沸点成分を除去しながら反応させる態様となるような圧力ならば特に制限されない。
[ポリカーボネートポリオールの特性]
本発明において用いられるポリカーボネートポリオールは、上記原料及び方法により調製することができ、その限りにおいてその種類、特性等で制限されるものではないが、75℃での粘度が、好ましくは10~5000cPであり、更に好ましくは、50~3000cPである。粘度がこの範囲であることで、ポリウレタン化反応において取り扱い性が良好であるとともに、ポリウレタンフォームとしたときの発泡倍率が高くなる傾向がある。なお、粘度は、E型粘度計を用いて測定される粘度であり、例えば特開2011-148886に記載の方法により、測定される。
[その他のポリオール]
本発明において用いられるポリウレタンは、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含むものであるが、それ以外のポリオールを含んでいてもよい。そのようなポリオールの例として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、低分子量ポリオール等が挙げられる。本発明において用いられるポリウレタンは、ポリオール由来の構造として、ポリカーボネートポリオール以外のポリオールに由来する構造を1種類含むことが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。更に、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等を用いてもよい。ポリオールとしてポリエーテルポリオールを含むことが、フォームの成形性を向上させる観点から好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ-ε-カプロラクトンジオール、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンアジペート)ジオール、1,6-へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。
低分子量ポリオールは、ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールモノマーとして先に挙げたものであれば特に制限されないが、例えば、数平均分子量が60以上400未満のものが挙げられる。
また低分子量ポリオールとしては、低分子量ジオールを好適に用いることができる。低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の炭素数2~9の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、2,7-ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジオキサン等の炭素数6~12の環式構造を有するジオールを挙げることができる。また、前記低分子量ポリオールとして、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコールを用いることもできる。
本発明において用いられるポリウレタンは、原料のポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールのモル比が0.005~0.5の範囲であることが好ましい。この範囲とすることで、良好な発泡倍率を保ち、又は引張強度を向上することができる。さらに、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対し、ポリカーボネートポリオールのモル比が0.005~0.5の範囲であることがより好ましい。
調製の際に定量が簡便であることから、ポリオールの配合を質量比で行うこともできる。一つの態様において、本発明において用いられるポリウレタンは、原料のポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールの割合が0.5~50.0質量%の範囲であることが、ポリウレタンフォームの成形において好ましく、0.5~35.0質量%の範囲であることが、得られるポリウレタンフォームを軟質のものとするうえではより好ましい。
[ポリイソシアネート由来の構造]
ポリイソシアネート由来の構造とは、ポリイソシアネートの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。
本発明のポリウレタンフォームに用いられるポリウレタンにおいて、ポリイソシアネート由来の構造は、脂肪族ポリイソシアネート由来の構造と、芳香族ポリイソシアネート由来の構造とを含むことが好ましい。
更に、脂肪族ポリイソシアネート由来の構造とは、ポリイソシアネートの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示し、芳香族ポリイソシアネート由来の構造とは、芳香族ポリイソシアネートの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。
<脂肪族ポリイソシアネート>
脂肪族ポリイソシアネート由来の構造をポリウレタンに導入するポリイソシアネートとしては、2個以上のイソシアナト基を有する脂肪族ポリイソシアネート化合物が挙げられ、具体的には、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-ジクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネーネート等の脂環式構造を有する脂肪族ポリシアネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
<芳香族ポリイソシアネート>
芳香族ポリイソシアネート由来の構造をポリウレタンに導入するポリイソシアネート化合物としては、2個以上のイソシアナト基を有する芳香族ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、粗(クルード)ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、m-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、粗(クルード)ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートであり、2種以上を併用することもできる。
[ポリウレタンの原料としてのその他の成分]
本発明において用いられるポリウレタンには、当業者に公知のその他の成分を原料として用いることができる。
[ポリウレタン]
本発明のポリウレタンフォームには、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含む2種以上のポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンが含まれる。ポリウレタンにおいて各々の構造の由来となるポリオール、ポリイソシアネートの例は先に説明したとおりである。ポリウレタンは、ポリオールの水酸基(OH基)とポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO基)とを反応させてウレタン基を形成することにより得られる。ポリオールとポリイソシアネートの配合は、ポリイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基とのモル比(水酸基/イソシアネート基(モル))により設計することができる。該モル比OH/NCOは、0.05~1.5となる範囲であればポリウレタン化反応が順調に進行するため好ましく、0.05~1.0となる範囲であるとより好ましく、0.1~0.7となる範囲であると、ポリウレタンフォームとしたときの発泡倍率がより高くなる点で更に好ましく、0.1~0.55となる範囲であると、より効率的にポリウレタンフォームが得られる傾向にあることから、特に好ましい。
[ポリウレタンフォーム]
ポリウレタンフォームは、ポリオールとポリイソシアネートとを主成分として、発泡剤、整泡剤、触媒、着色剤などを混合し樹脂化させながら発泡させることで得られる。本発明のポリウレタンフォームを製造する方法としては、当業者に公知の製造方法が用いられ、原料を金型中に注入して発泡させるモールド発泡法、混合した原料を吐出しながら矩形ブロックとするスラブ発泡法などが利用可能である。
ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール及びポリイソシアネートを含む配合物、触媒、整泡剤、及び発泡剤を混合して混合物を調製する工程、並びに該混合物を発泡させる工程を含む、ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記ポリオールは、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含み、
ポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲である、方法である。
発泡剤は、化学反応を利用するか又はそれ自身が気体であるためにガスを発生させることができる物質であり、発生したガスを樹脂中に分散させることで発泡体を得るための成分である。発泡剤としては、HFC類(代替フロン)、炭化水素化合物、HFO類(ノンフロン)、二酸化炭素、水等の、従来公知のものを使用することができる。水はイソシアネート基との反応で炭酸ガスを発生し、炭酸ガスがポリウレタン樹脂中に分散して空隙を形成することによりポリウレタンを発泡させる。容易に入手することができ、環境負荷の観点からも、発泡剤として水を用いることが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
発泡剤の配合量は、ポリウレタンフォーム生成用の混合物中に0.8~1.5mmol/gの濃度であることが好ましい。
発泡剤として水を用いる場合、過剰に加えると発泡の反応に関与せず水が残存することや、ウレタン化反応を阻害することがありえ、過小量であると発泡が十分でないことがありえる。発泡剤としての水の添加量は、ポリウレタンフォームの生成が阻害されない量を当業者であれば適宜設定することができる。例えば、水のモル数とポリオールのOH基のモル数の合計が、ポリイソシアネートのNCO基のモル数の0.3倍~2.5倍の範囲になるように設計することができる。
整泡剤は、樹脂中に生じたガスによる気泡の分散を容易にし、気泡を連通するなどして気泡構造を調整する作用を有する物質である。整泡剤を用いることで発泡を安定させることができ、また得られるフォームの寸法安定性等が高まる。整泡剤としては、シリコーン系界面活性剤、例えばポリジメチルシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー等の公知の整泡剤を用いることができる。
整泡剤の配合量は、ポリオール100質量部当たり0.1質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。整泡剤の配合量が0.1質量部未満の場合、気泡の連通化を十分に促進することができず、クラッシング処理時のポリウレタンフォームの内部破壊の発生を十分に抑制することができないおそれがある。一方、ポリオール100質量部に対する整泡剤の配合量が2.0質量部を超える場合、気泡膜が不安定となり、気泡が粗くなってポリウレタンフォームの表面が粗くなったり、均一な気泡が十分に形成されずにポリウレタンフォームの耐久性が低下したりすることがある。
整泡剤としては、例えば、Momentive社製の「L6164」、「L626」、「L6186」、「L6900」等の表面張力が低いシリコーン系界面活性剤、Evonik社製の「B8742」や、Momentive社製の「L598」等の気泡連通化作用を実質的に有さない界面活性剤を用いることができる。
触媒としては、三級アミンやスズ、チタンなどの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事ができる。フォーム内に残存する金属がなくポリウレタン樹脂の分解のような影響が小さいことから、三級アミンを用いることが好ましい。三級アミン触媒としては、当該分野において公知のものが使用できる。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ブチル-2-メチルイミダゾール、1,4-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の三級アミン及びこれらの有機酸塩、ジメチルエタノールアミン、N-トリオキシエチレン-N,N-ジメチルアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン等のアミノアルコール類、及びこれらの有機酸塩が上げられる。
更に、本発明のポリウレタンフォームには、上記ポリウレタン、発泡剤、整泡剤、触媒のほかに、本発明の目的を妨げない範囲で任意の成分を含有してもよい。具体的には、必要に応じて例えば架橋剤、難燃剤、充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
架橋剤としては、水酸基、1級アミノ基及び2級アミノ基などのイソシアネート基と反応可能な活性水素含有基を2個以上有する低分子化合物を用いることができる。具体的には、架橋剤としては、特に限定されることなくエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の多価アルコールや、ジエチルトルエンジアミン、クロロジアミノベンゼン、エチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン等のポリアミンを用いることができる。
難燃剤としては、特に限定されず、ポリウレタンフォームに用いられる市販の難燃剤を使用することができる。例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、亜リン酸エチル、芳香族系リン酸オリゴマーエステル等のハロゲン系リン酸エステル又は非ハロゲン系リン酸エステル及びそのオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン含有有機化合物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、メラミン樹脂、クレー、亜鉛華等の無機化合物等が挙げられる。なかでも、難燃性の高さから、ハロゲン系リン酸エステル又は非ハロゲン系リン酸エステル及びそれらのオリゴマー、ポリリン酸アンモニウムが好ましい。
顔料としては、特に限定されず、ポリウレタンフォームに用いられる市販の顔料を使用することができ、着色の必要に応じて適宜選択することができる。例えば、酸化チタン、クロム酸鉛、酸化クロム、ウルトラマリン、コバルトブルー、シアニンブルー、シアニングリーン、レーキレッド、キナクリドンレッド等が挙げられる。
耐熱性を高めるために、酸化防止剤を用いることもできる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示され、市販のものを用いることができる。
ポリウレタンフィラーの光酸化劣化を防止するために、光安定剤を使用することができる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、ヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましい。
[ポリウレタンフォームの製造方法]
本発明のポリウレタンフォームは、連続発砲ラインで製造したのち所定の形状に加工するスラブフォーム、又は金型を用いて製造するモールドフォームのいずれの方法によっても製造することができる。両製造方法共、ポリイソシアネート以外の成分をあらかじめ混合してポリオールプレミックスを準備し、これとポリイソシアネートとの2成分を混合発泡させる方法、一部又は全ての成分を別々に混合装置に導入し、発泡する方法が可能である。本発明においては、ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオールとして少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含む2種類以上のポリオールを用い、ポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲であることが好ましい。
スラブフォームの製造方法としては、原料混合用として当業界で公知のローター回転式混合ヘッドを備えた低圧発泡機、又は、高圧衝突混合式の混合ヘッドを有する高圧発泡機を用い、ヘッドにて全ての成分を混合した後、混合液を発泡用容器又は連続的にベルトコンベア上に供給して発泡する方法が採られる。
モールドフォームの製造方法としては、低圧発泡機又は高圧発泡機で原料液を混合した後、所定の金型に注入する方法が挙げられる。この方法では、金型の温度を30~120℃の範囲で調節することが望ましい。いずれの方法でも、原料液の混合にかける時間は、通常は10秒以上20秒以下である。この範囲であれば、ポリウレタンフォームの原料を均一に混合することができ、製造工程全体としても効率的である。発泡にかける時間は適宜設定され、通常は上限で7分ほどである。ポリウレタンフォームの発泡にかける時間は、軟質ポリウレタンフォーム用途であれば好ましくは10秒以上1分以下である。硬質ポリウレタンフォームの場合は凡そ10秒程度とすることが好ましい。得られたポリウレタンフォームは、既知の方法を用いてクラッシング処理を施してもよい。
ポリウレタンフォームは、発泡によりウレタン化の前より体積が大幅に膨張する。膨張の度合いは、ポリウレタンフォームにおいては発泡倍率として表される。より適切な発泡倍率は用途に応じて異なっており、当業者であれば自由に設定可能であるが、発泡倍率は、10倍以上であることが好ましい。
本発明のポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、構造材としての強度と軽さとのバランスをとる観点から、20kg/m以上であることが好ましい。上記密度は、ASTM D 3574-17に従って測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、良好な引張強度を示す。引張強度のパラメータは機械的強度に直結する。機械的強度の観点からは、120kPa以上であることが好ましい。引張強度(kPa)の上限は特に限定されず、ポリウレタンフォームの用途に応じて適宜調整することができるが、一般的には500kPa以下である。上記引張強さは、ASTM D 3574-17に従って測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、押す力に対しても高い硬度を示す。「押込力たわみ」(Indentation Force Deflection)は試験材料に物体を押し込んだ際の押込力たわみ応力(N)としてフォームの硬さを示すものであり、本発明のポリウレタンフォームにおいては25%の押込力たわみで19.8N以上であることが好ましい。押込力たわみの上限は特に限定されず、ポリウレタンフォームの用途に応じて調整することができるが、一般的には300N以下である。押込力たわみは、ASTM D 3574-17に従って測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、加熱における重量減少が少なく、一般的なポリウレタンの耐熱温度の上限を超える環境下でも、高い耐熱性を示す。140℃で22時間保持された後での重量減少が1%以下であることが、構造材としての強度をさらに高めることができるため好ましい。耐熱性は、ASTM D 3574-17に従って測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、ポリカーボネートポリオールを用いることで気泡の状態を制御することができるという特徴を有する。脂環式構造や分岐を有するポリカーボネートポリオールを用いると気泡の孔径を小さくすることができ、ポリウレタンフォーム全体での表面積が大きくなり、機械的強度、耐熱性の面において好ましい。高分岐ポリカーボネートポリオールを用いると、気泡の壁面を厚くすることができ、機械的な強度を高める目的において好ましい。
[用途]
本発明のポリウレタンフォームは軟質ポリウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、スプレーウレタンに使用でき、その具体的な用途としては自動車(例えばシート用クッション)、家電(例えば冷蔵庫用断熱材)、家具(例えばソファや椅子のクッション)、寝具(例えばマットレスや枕)、雑貨、建築用断熱材、靴(例えば靴底)、梱包材、吸音材、クリーナー用スポンジ等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<測定方法>
[フォームの密度測定]
ASTM D 3574-17に従い、サイズ40×40×40(mm)のサンプル3つの測定を行い、平均値を算出した。
[押込力たわみ(Indentation Force Deflection)試験]
ASTM D 3574-17に従い、サイズ50×50×25(mm)のサンプルを用いて測定した。まず1分間、70%の圧縮を保持し、荷重を除去した。続いて25%の圧縮を行い、20秒間保持し荷重を測定した。続いて50%の圧縮を行い、20秒間保持し荷重を測定した。
[引張試験]
ASTM D 3574-17に従い、厚さ10mmのサンプル3つの測定を行い、平均値を算出した。
[耐熱性試験]
40×40×40(mm)のサンプル3つを100-105℃で6時間予備乾燥させた後、ASTM D 3574-17(TEST K-DRY HEAT AGING)に従い、140℃で22時間保持し、重量減少をそれぞれ測定した後、平均値を算出した。
[実施例1]
(ポリウレタンフォームの作成)
ポリプロピレンオキシドグリコール(PPG:数平均分子量約2,000、水酸基価56mgKOH/g)10.0g、1,6-ヘキサンジオール及び1,5-ペンタンジオールを原料とするPCD-1(水酸基価224mgKOH/g)5.0g、シリコーン系界面活性剤としてL6900(モメンティブ社製)0.24g、水0.3g、DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)0.08g、PMDI(ポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート);NCO濃度32.6質量%)7.5gを容量300mlのプラスチックカップ内で室温にて14秒間混合(混合時間)し静置し、泡が発生し始めてからフォームとして膨張が停止するまでの時間を測定した(発泡時間)。OH/NCOは[原料中のOH基のモル数]/[原料中のNCO基のモル数]にて算出した。膨張後の体積を測定し、原料の体積との比較により体積膨張率を計算した。外観より、フレキシブルタイプフォーム(F)、リジッドタイプフォーム(R)に分類した。
[実施例2~40、比較例1、2]
(ポリウレタンフォームの作成)
原料の質量(g)、種類、混合時間を以下の表2~10に記載の通り変更した以外は実施例1と同じ方法で反応を行い、ポリウレタンフォームを得た。比較例として、ポリカーボネートポリオールのみをポリオールとして用いたもの(比較例1)と、ポリカーボネートポリオールを用いなかったもの(比較例2)をそれぞれ掲示する。
各実施例、比較例において、ポリウレタンの原料となるポリカーボネートポリオールとして使用したもの(PCD-1~8及び高分岐ポリカーボネートポリオールであるHPCP)の組成、分子量、水酸基価及び粘度を表1に示す。
Figure 2022023007000001
Figure 2022023007000002
表2では、分子量又は分子骨格の異なるポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンフォームを製造した結果を示す。ポリカーボネートポリオールを含むポリオールをウレタンの原料とすることで、体積膨張率が高い軟質ポリウレタンフォームを得ることができた。
Figure 2022023007000003
Figure 2022023007000004
表3及び表4では、脂環式構造又は分岐鎖を有するポリカーボネートポリオールを用いて、イソシアネートの使用量を変えてポリウレタンフォームを製造した結果を示す。実施例8、9、13及び14において、特に実施例8及び13において、気泡の大きさが均一に保たれており、形状に優れたフォームを得ることができた(図1)。このことより、OH/NCO比を0.3前後に設計することが特に好ましいことが理解される。
Figure 2022023007000005
Figure 2022023007000006
表5及び6は、ポリオール中に含まれるポリカーボネートポリオールの量による効果の違いを示す。ポリカーボネートポリオールの含有量が全ポリオールに対して35質量%程以下であると、体積膨張率が高く、軟質のポリウレタンフォームが得られる。一方でポリカーボネートポリオールの含有量が全ポリオールに対して35質量%程以上、70質量%程以下であれば、硬質ポリウレタンフォームが得られる。ポリカーボネートポリオールのみをポリオールとして用いた場合(比較例1)は、発泡が十分でなくポリウレタンフォームを得ることができなかった。
Figure 2022023007000007
Figure 2022023007000008
表7及び8では、ポリカーボネートポリオールを添加することによる効果を示す。ポリカーボネートポリオールを用いなかった比較例2と比べて、ポリカーボネートポリオールを加えることで、同程度の混合時間、同程度乃至より短い発泡時間で、体積膨張率が高いポリウレタンフォームを得ることができる。
Figure 2022023007000009
表9は、ポリカーボネートポリオールの添加量に対するポリウレタンフォームの密度への影響を示す。実施例の試料はポリカーボネートポリオールの添加がない場合(比較例2)と比較して高い体積膨張率を有するが、ポリカーボネートポリオールの添加量が増えることで、より高密度なポリウレタンフォームを得ることができる。
Figure 2022023007000010
表10は、ポリウレタンフォームの各種特性を比較したものである。ポリカーボネートポリオールの添加によって、ポリウレタンフォームがより高い引張強度を有する。また、押込力たわみ試験では、ポリカーボネートポリオールの添加によってポリウレタンフォームの押す力に対する強度も向上していることが示された。さらに、ポリカーボネートポリオールの添加によって耐熱性も向上しており、物理的に強度の高いポリウレタンフォームが得られることが示された。
また、表10記載の試料について、光学顕微鏡を用いてポリウレタンフォームの微細構造を観察した。倍率40倍で撮影したものを図2~5に示す。実施例33、36のポリウレタンフォームは、比較例2のポリウレタンフォームとより小さい孔径の非貫通気泡を有している。また実施例39のポリウレタンフォームは、厚い壁面を有していることが観察される。非貫通孔によりポリウレタンフォームの応力集中を緩和させるために、厚い壁面はその厚みゆえにポリウレタンフォームの機械的強度を向上させる。これらの気泡の状態は、上記引張試験等の結果とよく適合している。
本開示によれば、良好な発泡倍率を有し、物理的強度に優れたポリウレタンフォームを提供することができる。また軟質・硬質の作り分けも可能であり、自動車、家電、家具、寝具、雑貨、断熱材(建材、冷蔵庫等)、靴、梱包材等、各種材料として広範に利用することができる。

Claims (13)

  1. 2種以上のポリオール由来の構造及びポリイソシアネート由来の構造を有するポリウレタンを含有し、
    前記ポリオールに少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールが含まれる、ポリウレタンフォーム。
  2. 前記ポリカーボネートポリオールが、ポリオール由来の構造中に、第3級又は第4級炭素原子を有する、請求項1記載のポリウレタンフォーム。
  3. 前記ポリカーボネートポリオールが、1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有する、請求項1又は2記載のポリウレタンフォーム。
  4. 前記ポリカーボネートポリオールが、脂肪族ジオール由来の構造及び1分子に3つ以上の水酸基を有するポリオール由来の構造を有し、分岐度ファクターg’が0.55~0.82の範囲である、高分岐ポリカーボネートポリオールである、請求項1~3のいずれか一項記載のポリウレタンフォーム。
  5. 前記ポリカーボネートポリオールが、脂環式構造を有する、請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム。
  6. 前記ポリカーボネートポリオールの原料であるポリオールモノマー中の脂環式構造を有するポリオールモノマーの割合が、20~80モル%の範囲である、請求項5記載のポリウレタンフォーム。
  7. 前記脂環式構造が、シクロヘキサンジメタノール由来の構造である、請求項5記載のポリウレタンフォーム。
  8. 前記ポリカーボネートポリオールの75℃での粘度が10~5000cPの範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  9. ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  10. ポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールのモル比が0.005~0.5の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  11. ポリオールとしてポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールを含み、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールの合計値に対するポリカーボネートポリオールの割合が0.5~50.0質量%の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
  12. ポリオール及びポリイソシアネートを含む配合物、触媒、整泡剤、及び発泡剤を混合して混合物を調製する工程、及び該混合物を発泡させる工程を含む、ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
    前記ポリオールは、少なくとも1種類のポリカーボネートポリオールを含み、
    ポリイソシアネートのイソシアネート基と、ポリオールの水酸基とのモル比OH/NCOが0.1~0.7の範囲である、ポリウレタンフォームの製造方法。
  13. 請求項1~11のいずれかに記載のウレタンフォームの、自動車シートのクッション、家電用断熱材、配管断熱材、ソファー又は椅子のクッション、寝具用マットレス又は枕、建築用断熱材、靴底、梱包材、吸音材又はクリーナー用スポンジとしての使用。
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