JP2022021106A - 定着部材およびその製造方法、定着装置、画像形成装置ならびに画像形成方法 - Google Patents

定着部材およびその製造方法、定着装置、画像形成装置ならびに画像形成方法 Download PDF

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【課題】定着後のトナー画像と定着部材との分離性をより高めることができる定着部材を提供すること。【解決手段】基層、弾性層、および離型層をこの順で有する定着部材。上記定着部材は、上記離型層により構成される最表面の展開面積比Sdrが、4.5以上である。上記定着部材は、基層、弾性層および離型層をこの順で有する、定着部材の製造用の積層体を用意する工程と、上記積層体の離型層に多角形状の投射材を投射して、上記離型層により構成される、前記定着部材の最表面の展開面積比Sdrを4.5以上とする工程と、を有する製造方法により製造され得る。【選択図】図2

Description

本発明は、定着部材およびその製造方法、定着装置、画像形成装置ならびに画像形成方法に関する。
複写機やレーザービームプリンターなどの画像形成装置で採用される定着装置は、通常、加熱された定着ベルト(定着部材)を、未定着のトナー画像を担持している記録媒体に当接させて、トナー画像を記録媒体に定着させる。当該定着装置では、例えば、無端状の定着ベルトを支持する二以上のローラの一つが、当該定着ベルトを加熱するための加熱ローラとなっている。
上記定着部材は、トナー画像を記録媒体に定着させた後に、トナー画像から容易に分離する性能が求められる。定着後のトナー画像と定着部材との分離性が悪いと、トナー画像を定着させた記録媒体が定着部材に巻き付いてしまって排紙が困難となり、画像形成装置における用紙詰まりが生じやすくなる。
定着後のトナー画像と定着部材との分離性を高めるために、トナー画像と接触する最表面に微小凹凸形状を形成した定着部材が知られている。
たとえば、特許文献1には、フッ素樹脂を加熱焼成して離型層を形成するときに、微小凹凸形状を有する面転写部材で当該フッ素樹脂を加圧し、上記微小凹凸形状を離型層に転写する、定着部材の製造方法が記載されている。特許文献1には、このようにして離型層に微小凹凸構造を形成することにより、紙の搬送性が高まることが記載されている。
特開平09-277378号公報
特許文献1に記載のように、定着部材の表面に微小凹凸構造を形成することで、定着後のトナー画像と定着部材との分離性を高めることができる。
しかし、本発明者らの知見によれば、特許文献1に記載の定着部材でもなお、トナー画像を定着させた記録媒体が定着部材に巻き付いてしまうことがあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、定着後のトナー画像と定着部材との分離性をより高めることができる定着部材、当該定着部材の製造方法、当該定着部材を有する定着装置および画像形成装置、および当該定着部材を用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、基層、弾性層、および離型層をこの順で有する定着部材に関する。上記定着部材は、上記離型層により構成される、上記定着部材の最表面の展開面積比Sdrが、4.5以上である。
また、上記課題を解決するための本発明は、基層、弾性層および離型層をこの順で有する、定着部材の製造用の積層体を用意する工程と、上記積層体の離型層に多角形状の投射材を投射して、上記離型層により構成される、上記定着部材の最表面の展開面積比Sdrを4.5以上とする工程と、を有する、定着部材の製造方法に関する。
また、上記課題を解決するための本発明は、記録媒体上に担持されたトナー画像を加圧によって前記記録媒体に定着させるための上記定着部材を有する、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
また、上記課題を解決するための本発明は、記録媒体上に担持されたトナー画像を加圧によって前記記録媒体に定着させるための上記定着部材を有する、電子写真方式の画像形成装置に関する。
また、上記課題を解決するための本発明は、トナー画像を記録媒体の表面に担持させる工程と、上記担持されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる工程と、を有し、上記定着させる工程は、上記定着部材により、前記トナー画像を前記記録媒体に加圧する工程である、画像形成方法に関する。
本発明によれば、定着後のトナー画像と定着部材との分離性をより高めることができる定着部材、当該定着部材の製造方法、当該定着部材を有する定着装置および画像形成装置、および当該定着部材を用いた画像形成方法が提供される。
本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示す図である。 図2Aは、本発明の一実施の形態に係る定着ベルトの構成を模式的に示す図であり、図2Bは、図2A中のB部を拡大して示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る定着部材は、無端ベルト形状の定着ベルトであり、耐熱性樹脂製の基層、上記基層上に配置されている弾性材料製の弾性層、および上記弾性層上に配置されているフッ素樹脂製の離型層を有する。上記定着ベルトは、その離型層が後述の特定の表面形状を有する以外は、基層、弾性層および離型層がこの順で重なるように配置されている公知の定着ベルトと同様に構成することができる。
上記基層は、耐熱性樹脂製である。「耐熱性樹脂製」とは、基層を構成する主な材料が耐熱性樹脂であることを意味し、「耐熱性」とは、電子写真方式の画像形成におけるトナー画像の記録媒体への定着に上記定着ベルトを用いる際の温度(例えば150~220℃)において十分に安定しており所期の物性を発現することを意味する。
上記耐熱性樹脂は、定着ベルトの上記の使用温度において実質的な変性および変形を生じない樹脂から適宜に選ばれ、一種でもそれ以上でもよい。上記耐熱性樹脂の例には、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリエーテルエーテルケトンが含まれる。中でも、耐熱性の点から、ポリイミドが好ましい。
ポリイミドは、その前駆体であるポリアミド酸の、200℃以上の加熱による、または触媒を用いることによる、脱水、環化(イミド化)反応を進めることによって得ることができる。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを溶媒に溶解し、混合・加熱による重縮合反応によって製造してもよいし、市販品を用いてもよい。上記ジアミン化合物およびテトラカルボン酸二無水物の例には、特開2013-25120号公報の段落0123~0130に記載の化合物が含まれる。
上記基層における上記耐熱性樹脂の含有量は、上記基層を形成するのに十分な量であればよく、例えば、50質量%以上であることが好ましく、60~75質量%であることがより好ましく、76~90質量%であることがさらに好ましい。
上記基層は、本実施形態の効果が得られる範囲において、耐熱性樹脂以外の成分をさらに含んでいてもよい。たとえば、上記基層は、前述したフィラーをさらに含有していてもよい。上記フィラーは、例えば、基層の硬さ、伝熱性および導電性の少なくともいずれかの向上に寄与する成分である。当該フィラーは、一種でもそれ以上でもよく、その材料の例には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボンおよび黒鉛が含まれる。
上記基層における上記フィラーの含有量は、多すぎると基層の靱性が低くなって定着ベルトの定着性および分離性が低くなることがあり、また、少なすぎると、例えば適度な導電性の付与などのフィラーによる所期の効果が不十分となることがある。このような観点から、上記基層における上記フィラーの含有量は、3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記の観点から、上記基層における上記フィラーの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
上記弾性層は、定着ニップ部における定着ベルトの表面と、未定着のトナー画像を担持する記録媒体との接触性の向上に寄与する弾性を有する層であり、弾性材料製である。「弾性材料製」とは、弾性層を構成する主な材料が弾性材料であることを意味し、「弾性」とは、電子写真方式の画像形成におけるトナー画像の記録媒体への定着において、定着ベルトが未定着トナー画像を有する記録媒体の表面に対して十分に接する変形を定着ベルトに付与することを意味する。
上記弾性材料は、一種でもそれ以上でもよく、例えば、20Hzでの損失正接tanδ(貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比)が0.1以下である材料である。当該弾性材料の例には、弾性樹脂材料が含まれ、その例には、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーおよびゴム材料が含まれる。中でも、上記弾性材料は、所期の弾性の他に耐熱性の観点から、シリコーンゴムであることが好ましい。
上記シリコーンゴムは、一種でもそれ以上でもよい。上記シリコーンゴムの例には、ポリオルガノシロキサンまたはその加熱硬化物、および、特開2009-122317号公報に記載の付加反応型シリコーンゴム、が含まれる。当該ポリオルガノシロキサンの例には、特開2008-255283号公報に記載の、両末端がトリメチルシロキサン基で封鎖され、側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサン、が含まれる。
当該弾性層の厚さは、例えば、伝熱性および弾性を十分に発現させる観点から、5~300μmであることが好ましく、50~250μmであることがより好ましく100~200μmであることがさらに好ましい。
上記弾性層は、本実施形態の効果が得られる範囲において、上記の弾性樹脂材料以外の成分をさらに含んでいてもよい。たとえば、上記弾性材料は、弾性層の伝熱性を高めるための伝熱性のフィラーをさらに含んでいてもよい。当該フィラーの材料の例には、シリカ、金属シリカ、アルミナ、亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボンおよび黒鉛が含まれる。上記フィラーの形態は、限定されず、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末または繊維である。
上記弾性材料における上記弾性樹脂材料の含有量は、伝熱性と弾性とを両立させる観点から、例えば60~100体積%であることが好ましく、75~100体積%であることがより好ましく、80~100体積%であることがさらに好ましい。
上記離型層は、定着ニップ部における定着ベルトの表面からの記録媒体上の溶融トナー層に対する分離性の向上に寄与する離型性を有する層であり、トナー成分に対する適度な離型性を有する。上記離型層は、定着時に記録媒体に当接する定着ベルトの外表面を構成する。上記離型層は、フッ素樹脂製である。「フッ素樹脂製」とは、離型層を構成する主な材料がフッ素樹脂であることを意味する。
上記フッ素樹脂の例には、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)およびテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)が含まれる。
上記離型層の厚さは、例えば、熱の伝達、弾性層の変形への追従および離型性の発現の観点から、5~40μmであることが好ましく、10~35μmであることがより好ましく、20~30μmであることがさらに好ましい。
上記離型層は、本実施形態の効果が得られる範囲において、上記フッ素樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。たとえば、上記離型層は、潤滑材粒子をさらに含んでいてもよい。当該潤滑材粒子の例には、フッ素樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子およびシリカ粒子が含まれる。
上記離型層の材料における上記フッ素樹脂の含有量は、伝熱性、および、弾性層の変形に十分に追従する柔軟性、の観点から、70~100体積%であることが好ましい。
離型層は、ブラスト処理による微細かつ不規則な凹凸形状が形成された表面形状を、少なくともその表面の一部に有する。離型層は、紙などの記録媒体に担持されたトナー画像を加熱し、同時に記録媒体へと押圧して、当該トナー画像を記録媒体へと定着させる役割を有する。また、離型層は、上記定着したトナー画像と定着ベルトとを分離させる役割をも有する。
ここで、定着ベルトの表面(離型層の表面)への加熱(熱軟化)されたトナー画像の付着力(F1)が、押圧されて変形した記録媒体が有する元の形状への復元力(F2)よりも小さいときに、離型層は、上記定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離させる。一方で、近年の使用可能な記録媒体の種類の拡大により、復元力(F2)がより小さい記録媒体が多く上市されている。これらのF2が小さい記録媒体に画像を形成するときも、定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離させるため、定着ベルトには、付着力(F1)をより小さくすることが求められている。
本発明者らの知見によると、上記離型層の表面への熱軟化されたトナー画像の付着力(F1)は、記録媒体とトナー画像との間の分子間力と、記録媒体とトナー画像とが接触する真実接触面積との積により表現される。本実施の形態は、これらのうち、真実接触面積をより小さくすることにより付着力(F1)をより小さくし、これにより、復元力(F2)がより小さい記録媒体においても、定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離させようとするものである。また、真実接触面積をより小さくすることにより、離型層の表面の凹部に空気が入りやすくなって離型層の表面エネルギーがより小さくなり(ロータスエフェクト)、これによっても定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離するようになると考えられる。
上記観点から、本実施の形態では、離型層は、ISO 25178:2012年に規定するその表面の界面の展開面積比Sdrが4.5以上である。Sdrを4.5以上とすることで、離型層の表面の真実接触面積をより小さくし、また表面エネルギーをより小さくして、定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離させることができる。離型層のSdrは、4.5以上であればよいが、5.0以上であることがより好ましく、7.0以上であることがさらに好ましく、9.5以上であることがさらに好ましく、10.0以上であることが特に好ましい。Sdrの上限は特に制限されないものの、離型層の表面の加工のしやすさ等から、20以下とすることができる。
上記離型層の表面のSdrは、形状解析レーザー顕微鏡「VK-X250」(株式会社キーエンス製)で観察して求めた値とすることができる。たとえば、観察には、50倍対物レンズを用い、常時ダブルスキャン設定、測定サイズ(画素数)は標準(1024×768)、測定品質は高精度、Z軸ピッチはRPD(Real Peak Detection)の小さいほう、画像処理は面傾き補正、基準面補正および終端補正あり、数値化領域(ROI)は全域、とすればよい。測定位置による測定値ばらつきを排除するため、展開面積比Sdrを4か所について求め、これらの平均値を算出して、離型層の表面の展開面積比Sdrとすることが望ましい。
上記凹凸形状は、樹脂皮膜の表面を粗す公知の方法によって離型層の表面に適宜に形成することが可能であるが、離型層の製法に関わらずに所望の表面粗さを実現する観点から、多角形状の投射材を用いたブラスト処理で形成することが好ましい。なお、多角形状の投射材とは、複数の各部および複数の面部を有する多角多面体の形状を有する投射材を意味する。
本発明者らの知見によると、特許文献1に記載のような、微小凹凸形状を有する面転写部材からの転写では、離型層の表面の展開面積比Sdrを4.5以上とすることは困難である。
また、たとえば特許文献1に記載のように、微小凹凸形状を有する面転写部材からの転写により凹凸形状を形成すると、通常は、規則的な凹凸形状が離型層の表面に形成される。しかし、このような規則的な凹凸形状は、トナー画像と干渉を起こしてしまい、トナー画像の転写性にムラを生じさせかねない。そして、トナー画像のうち転写されにくかった部分が定着ベルト(離型層)に付着してしまうと、定着後の記録媒体が定着ベルトに巻き付き、記録媒体の搬送不良を引き起こすことがある。これに対し、多角形状の投射材を用いたブラスト加工により微細かつ不規則な凹凸形状を形成することで、離型層の表面の展開面積比Sdrを4.5以上とし、かつ上記干渉の発生も抑制して、定着したトナー画像と定着ベルトとを良好に分離させることができる。
また、本発明者らの知見によると、球状などの多角形状ではない投射材を用いたブラスト加工により、離型層の表面の展開面積比Sdrを4.5以上とすることも困難である。これは、球状の投射材を投射すると、投射材自体による窪みしか形成されないためだと考えられる。これに対し、多角形状の投射材は、表面に角部を有する。そして、投射材が離型層に投射された際に、投射材自体による窪みに加えて、上記角部による微細な凹凸が離型剤の表面に付与されることにより、離型層の表面の展開面積比Sdrを4.5以上にすることができるのだと考えられる。
上記定着ベルトは、基層、弾性層および離型層をこの順に有する、定着ベルトの製造用の積層体を用意する工程と、上記離型層の表面に多角形状の投射材を投射する工程と、を含む方法によって製造することが可能である。
上記定着ベルトの製造用の積層体は、展開面積比Sdrが4.5以上であるような凹凸形状がその表面に形成されていない、公知の定着ベルトとすることができる。上記基層、弾性層および離型層については、上述した通りである。
上記積層体は、耐熱性樹脂製の基層を形成した後、弾性樹脂材料を含む材料を膜状に塗布して加熱硬化させて弾性層を形成し、フッ素樹脂を含む材料を膜状に塗布して加熱焼成して離型層を形成する方法により作製することができる。あるいは、上記積層体は、耐熱性樹脂製の基層を形成した後、離型層となるフッ素樹脂フィルムをかぶせ、基層と離型層との間に弾性樹脂材料を含む材料を注入して加熱硬化させて弾性層を形成する方法により作製してもよい。本発明者らの知見によると、フッ素樹脂を含む材料を塗布して離型層を形成すると、おそらくはフッ素樹脂の分子量(重量平均分子量)が小さいため、離型層がブラスト加工により微細加工されやすく、離型層の表面の展開面積比Sdrをより大きくすることができる。
上記投射材の投射は、多角形状の投射材を用いるほかは通常のブラスト加工と同様に行ってもよい。上記多角形状の投射材の例には、炭化ホウ素、炭化ケイ素、白色溶融アルミナおよび褐色溶融アルミナなどのアルミナ、白銑、ジルコン、スチール、ステンレスおよび鉄粉などの鉄、セラミック、ガラスパウダー、ならびに、ピーチの種、アンズの種およびクルミなどの植物径投射材などが含まれる。
このとき、離型層の表面の展開面積比Sdrをより大きくする観点からは、上記投射材はより硬質であることが好ましい。上記観点から、上記投射材は、新モース硬度が4以上であることが好ましく、5.5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。上記投射材の新モース硬度の上限は特に制限されないが、通常、15以下であり、13以下であることが好ましい。
また、離型層の表面の展開面積比Sdrをより大きくする観点からは、上記投射材は比重がより大きいことが好ましい。上記観点から、上記投射材は、比重が1.0以上8.0であることが好ましく、2.0以上8.0以下であることがより好ましい。
また、離型層の表面の展開面積比Sdrをより大きくする観点からは、上記投射材は大きさがより小さいことが好ましい。上記観点から、上記投射材は、中心粒径(体積基準粒度分布曲線において、積算値が50体積%となる粒径)が40μm以上200μm以下であることが好ましく、40μm以上150μm以下であることがより好ましく、40μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
上記投射材の投射圧力は特に限定されないものの、たとえば0.05MPa以上0.5MPa以下とすることができ、0.1MPa以上0.3MPa以下であることが好ましい。
上記定着ベルトは、電子写真方式の画像形成装置における定着装置に適用される。上記定着ベルトを有する画像形成装置は、上記の定着ベルトを有する以外は、記録媒体上の未定着のトナー画像を、定着ベルトを用いる加熱および加圧によって上記記録媒体に定着させるための定着装置を有する公知の画像形成装置と同様に構成することができる。上記定着ベルトは、電子写真方式の高速での画像形成に用いることができ、それよりも低速の画像形成にも用いることができる。高速の画像形成における「高速」とは、例えばA4版の記録媒体で60枚/分以上の印刷速度を意味し、より具体的には、A4版の記録媒体で60~80枚/分の印刷速度とも言える。
上記定着装置は、無端状の定着ベルトと、上記定着ベルトを無端状に支持するための二以上のローラと、上記ローラに支持されている上記定着ベルトを加熱するための加熱装置と、上記二以上のローラのうちのローラ一つに向けて相対的に付勢されるように配置されている加圧ローラとを有する。上記定着装置は、上記の無端状の定着ベルトとして本実施の形態の上記定着ベルトを有する以外は、公知のいわゆる二軸ベルト式定着装置と同様に構成することができる。
上記二以上のローラは、その少なくとも一つに上記加熱装置を内蔵していてもよく、例えば上記定着ベルトを加熱するための加熱ローラを含んでいてもよい。当該加熱ローラは、例えば、アルミニウム製などの伝熱性のスリーブと、当該スリーブの内側に配置されるハロゲンヒータなどの加熱源とを有する。当該スリーブの外周面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂製の層によって被覆されていてもよい。
なお、上記加熱装置は、ローラ外に配置される加熱装置、すなわち、支持されている当該定着ベルトが形成する無端軌道の内周側または外周側に当該無端軌道に向けて配置される加熱装置、であってもよいし、ローラに内蔵される加熱装置とローラ外に配置される加熱装置との両方を含んでいてもよい。
上記二以上のローラのうちの上記加熱ローラ以外のローラは、一以上あればよく、所望の他の機能に応じて適宜に構成することが可能である。
上記定着ベルトを介して上記加圧ローラによって付勢される上記ローラのローラ径は、高速の画像形成に対応可能な観点から大きいことが好ましく、例えば50mm以上である。上記ローラ径が大きいと、定着時における定着ニップ部での定着ベルトから記録媒体が分離しにくくなり、高速での画像形成における当該分離が困難になる傾向があり、上記定着装置では、上記定着ベルトの優れた分離性および定着性、ならびに所望の画像形成速度に応じて、上記ローラ径を適宜に設定することが可能である。たとえば、上記ローラ径は、画像形成の高速化の観点、および、定着時における記録媒体に対する定着ベルトの定着性の向上の観点から、60mm以上であることがより好ましい。
上記定着ベルトは、上記二以上のローラに、張った状態、すなわち所定の張力がかかった状態で支持される。上記張力は、大きすぎると、弾性層の弾性などのような、定着ベルトの記録媒体への密着性に寄与する物性の定着ニップ部における発現が不十分となることがある。上記密着性の観点から、上記張力は、45N以下であることが好ましく、50N以下であることがより好ましい。上記張力は、定着ベルトが上記ローラによって支持されることによって形成する無端軌道の形状を維持するのに十分な大きさであればよく、例えば20N以上であればよい。上記張力は、例えば、上記二以上のローラ間の距離によって調整することが可能である。
上記定着ベルトを有する画像形成装置は、上記の定着ベルトを有する以外は、記録媒体上の未定着のトナー画像を、定着ベルトを用いる加熱および加圧によって上記記録媒体に定着させるための定着装置を有する公知の画像形成装置と同様に構成することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態をさらに説明する。
図1に示されるように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。画像形成装置1は、定着部60に上記定着ベルトを用いる以外は公知の方法と同様に行う画像形成方法を実施することができる。
制御部100は、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御するための装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)などを備えて構成される。操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部および操作部として機能する。画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路などを備える。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41、中間転写ユニット42、および二次転写ユニット43などを備える。
画像形成ユニット41は、Y成分、M成分、C成分、K成分用の4つの画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kで構成される。画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有するので、図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、またはKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415などを備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
帯電装置414は、例えばコロナ放電を用いる非接触式の帯電装置である。帯電装置414は、感光体ドラム413に接触して帯電させる接触式の帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成されている。現像装置412は、二成分現像剤用の現像装置であり、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤)を収容している。ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接可能に配置されている弾性ブレードなどのドラムクリーニングブレードを有している。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラ422、バックアップローラ423Aを含む複数の支持ローラ423、およびベルトクリーニング装置426などを備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラ423にループ状に張架される。複数の支持ローラ423のうちの少なくとも一つは駆動ローラで構成され、その他は従動ローラで構成される。ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接可能に配置されている弾性ブレードなどのベルトクリーニングブレードを有している。
二次転写ユニット43は、例えば二次転写ローラ431を備える。二次転写ユニット43は、二次転写ローラを含む複数の支持ローラに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成であってもよい。
定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。定着部60は、無端状の定着ベルト61と、定着ベルト61を無端状に支持するための二本のローラ64、65と、ローラ64、65に支持されている定着ベルト61を加熱するための加熱装置63と、ローラ64に対して相対的に付勢されるように配置されている加圧ローラ62とを有する。
ローラ64は、定着ベルト61を介して加圧ローラ62に対向して配置されており、そのローラ径は、50mm以上である。ローラ64、65は、定着ベルト61を45Nの張力で無端軌道上に支持している。たとえば、ローラ64は駆動ローラであり、ローラ65は従動ローラである。加熱装置63は、例えばハロゲンランプや抵抗発熱体などで構成されており、ローラ65に内蔵されている。加圧ローラ62は、ローラ64に対して接近離脱自在に配置されている。ローラ64に支持されている定着ベルト61に加圧ローラ62が圧接することにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップ部が形成される。用紙Sは、記録媒体に相当し、例えば規格用紙、特殊用紙などである。
なお、加熱装置63には、電磁誘導加熱(IH:Induction Heating)方式の加熱装置を採用してもよい。また、定着器F内には、エアを吹き付けることにより、定着ベルト61または加圧ローラ62から用紙Sを分離させるエア分離ユニットがさらに配置されていてもよい。定着部60は、上記の定着装置に相当する。
定着ベルト61は、図2Aに示されるように、無端状のベルトであり、図2Bに示されるように、基層611、弾性層612および離型層613がこの順で積み重ねられて構成されている。基層611はポリイミド製のベルトであり、基層611中にはカーボンブラックが分散されている。弾性層612は、例えばシリコーンゴム製の弾性を有する層であり、離型層613は、例えばペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)の層である。
離型層613は、ブラスト処理による凹凸形状が、その表面に形成されている。当該凹凸形状は、離型層613により構成される、定着ベルト61の最表面の展開面積比Sdrが、4.5以上となる形状である。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、第1の搬送部53、および第2の搬送部57などを備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙Sが予め設定された種類ごとに収容される。第1の搬送部53は、中間搬送ローラ部54、ループローラ部55、およびレジストローラ部56を含む複数の搬送ローラ部を備える。第2の搬送部57は、複数の搬送ローラ部が配置されたスイッチバック経路58および裏面用搬送路59を備える。
画像形成装置1において、自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において必要に応じて所定の画像処理が施される。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動用モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御する。それにより、感光体ドラム413は、一定の周速度で回転する。帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射し、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。現像装置412は、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する。
一方、中間転写ベルト421は、駆動ローラとなる支持ローラ423が回転することにより、矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラ422によって中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されることにより、一次転写ニップ部が形成され、感光体ドラム413上の各色のトナー画像は、中間転写ベルト421に各色トナー画像が順次重なるように一次転写される。感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニング装置415における、感光体ドラム413の表面に当接する上記弾性ブレードによって一次転写後に当該表面から除去される。
他方、中間転写ベルト421を介して、二次転写ローラ431がバックアップローラ423Aに圧接されることにより、二次転写ニップ部が形成される。給紙部51または第2の搬送部57から給紙された用紙Sは、二次ニップ転写部に搬送される。用紙Sの傾きおよび幅方向の位置(片寄り)は、第1の搬送部53により搬送される過程で補正される。
二次転写ニップ部を用紙Sが通過する際、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに二次転写される(トナー画像を記録媒体の表面に担持させる工程)。トナー画像が転写された用紙Sは、定着部60に向けて搬送される。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニング装置426における、中間転写ベルト421の表面に当接する上記弾性ブレードによって当該表面から除去される。
定着部60は、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー画像を定着させる(担持されたトナー画像を記録媒体に定着させる工程)。定着ベルト61、加圧ローラ62および加熱装置63などの駆動制御は、制御部100によって行われる。
加熱装置63によって定着ベルト61が加熱され、その結果、定着ベルト61が幅方向にわたって所定の定着温度(例えば170℃)で均一となる。定着温度とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱エネルギーを供給し得る温度であり、画像形成される用紙Sの紙種などによって異なる。
両面印刷の場合では、第2の搬送部57は、用紙Sをスイッチバック経路58に一旦搬送した後、スイッチバックさせて裏面用搬送路59に搬送することにより用紙Sを反転させ、第1の搬送部53(ループローラ部55の上流)に供給する。そして、再度、二次転写ニップ部に用紙Sを供給して所望のトナー画像を用紙Sに転写させ、次いで定着部60において当該トナー画像を用紙Sに定着させる。
こうして所望の画像が形成された用紙Sは、排紙ローラ52aを備えた排紙部52により画像形成装置1の機外に排紙される。
定着ベルト61は、高速の画像形成においても、トナー画像の用紙Sへの定着性と、定着ニップ部における用紙Sの分離性とに優れる。
このように構成された本発明によれば、定着後のトナー画像と定着部材との分離性をより高めることができる定着部材、当該定着部材の製造方法、当該定着部材を有する定着装置および画像形成装置、および当該定着部材を用いた画像形成方法が提供される。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例などに限定されない。
[試験1]
ポリアミド酸と、それに対して8質量%のカーボンブラックとを含有するワニスを円筒金型の外側に回転塗布し、次いで300~450℃で乾燥させ、またイミド化して、内径99mm、長さ360mm、厚み70μmの円筒形のポリイミド管状物(基材ベルト)を製造した。上記ポリアミド酸は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp-フェニレンジアミンの脱水縮合による重合物である。
次いで、上記基材ベルトの表面に、シリコーンゴム材料を塗布し、加熱硬化して、厚さ200μmのシリコーンゴムによる弾性層を作製した。
さらに、上記弾性層の表面に、PFA樹脂ディスパージョンを塗布し、乾燥させた後に加熱焼成して、厚さ30μmの離型層を作製した。
得られた積層ベルトに支持体を挿入して回転させ、かつブラスト装置のノズルを回転軸に対して移動させながら、当該ブラスト装置のノズルから投射材を当該PFA層に向けて飛ばし、当該PFA層の表面に凹凸形状を形成した。投射材(メディア)として多角形状の白色溶融アルミナ(硬度:12、メーカー公表の中心粒径:63~75μm)を用い、投射材の投射圧力は0.3MPa、移動長さは100mm、投射方向とPFA層とがなす角度は90°、ノズルの移動は片道のみ行った。
こうして、ポリイミド製の基層、シリコーンゴム製の弾性層およびPFA製の離型層をこの順で重ねて有し、凹凸形状を含む表面形状を有する無端形状の定着ベルト1を得た。
定着ベルト1の表面形状を、形状解析レーザー顕微鏡「VK-X250」(株式会社キーエンス製)で観察した。観察には、50倍対物レンズを用い、常時ダブルスキャン設定、測定サイズ(画素数)は標準(1024×768)、測定品質は高精度、Z軸ピッチはRPD(Real Peak Detection)の小さいほう、画像処理は面傾き補正、基準面補正および終端補正あり、数値化領域(ROI)は全域、とした。このようにして、最表面の展開面積比Sdrを4か所について求め、これらの平均値を算出して、定着ベルト1の最表面の展開面積比Sdrとした。
このように測定された定着ベルト1の最表面の展開面積比Sdrは、11.6だった。
[試験2]
ポリアミド酸と、それに対して8質量%のカーボンブラックとを含有するワニスを円筒金型の外側に回転塗布し、次いで300~450℃で乾燥させ、またイミド化して、内径99mm、長さ360mm、厚み70μmの円筒形のポリイミド管状物(基材ベルト)を製造した。上記ポリアミド酸は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp-フェニレンジアミンの脱水縮合による重合物である。
次いで、上記基材ベルトの内側に、外径99mmのステンレス製の円筒状の芯金を密着させ、当該基材ベルトの外側に、厚さ30μmのPFAチューブを内周面上に保持する円筒金型を被せ、このようにして上記芯金と上記円筒金型を同軸で保持するとともに、両者の間にキャビティを形成した。次いで、当該キャビティにシリコーンゴム材料を注入し、加熱硬化して、厚さ200μmのシリコーンゴムによる弾性層を作製した。
このようにして得られた積層ベルトに対し、試験1と同様にして多角形状の投射材を投射して、ポリイミド製の基層、シリコーンゴム製の弾性層およびPFA製の離型層をこの順で重ねて有し、凹凸形状を含む表面形状を有する無端形状の定着ベルト2を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト2の最表面の展開面積比Sdrは、9.9だった。
[試験3]
投射材の投射圧力を0.2MPaとした以外は試験2と同様にして、定着ベルト3を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト3の最表面の展開面積比Sdrは、7.8だった。
[試験4]
投射材の投射圧力を0.1MPaとした以外は試験2と同様にして、定着ベルト4を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト4の最表面の展開面積比Sdrは、6.7だった。
[試験5]
投射材として多角形状の白色溶融アルミナ(硬度:12、メーカー公表の中心粒径:53~63μm)を用いた以外は試験3と同様にして、定着ベルト5を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト5の最表面の展開面積比Sdrは、5.7だった。
[試験6]
投射材として多角形状のガラスパウダー(硬度:5.5、メーカー公表の中心粒径:106μm以下)を用いた以外は試験2と同様にして、定着ベルト6を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト6の最表面の展開面積比Sdrは、5.4だった。
[試験7]
投射材として多角形状のピーチ材(硬度:4、メーカー公表の中心粒径:154μm以下)を用いた以外は試験2と同様にして、定着ベルト7を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト7の最表面の展開面積比Sdrは、4.5だった。
[試験8]
投射材として球状のガラスビーズ(硬度:5.5、メーカー公表の中心粒径:106~125μm以下)を用いた以外は試験2と同様にして、定着ベルト8を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト8の最表面の展開面積比Sdrは、2.1だった。
[試験9]
試験2と同様の方法で得られた積層ベルトに、#600ラッピングフィルムを当接し、積層ベルトに支持体を挿入して回転させ、かつ100kpの荷重をかけながらラッピングフィルムを往復させた。こうして、ポリイミド製の基層、シリコーンゴム製の弾性層およびPFA製の離型層をこの順で重ねて有し、凹凸形状を含む表面形状を有する無端形状の定着ベルト9を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト9の最表面の展開面積比Sdrは、3.9だった。
[試験10]
#240ラッピングフィルムを使用した以外は試験9と同様にして、定着ベルト10を得た。
試験1と同様に測定した定着ベルト10の最表面の展開面積比Sdrは、1.7だった。
[評価]
定着ベルト1~定着ベルト10のそれぞれを、フルカラー複写機「bizhubPRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社)の定着ベルトとして設置した。そして、分離補助のエアブローをOFFにして、記録媒体としての米坪73.3g/mの普通紙であるOKトップコート+(王子製紙株式会社製)に、レッドのベタ画像を形成した。このとき、記録媒体の搬送方向先端からベタ画像の先端までの距離(先端余白)を0mm、2mmおよび4mmとしてそれぞれ実験を行い、ベタ画像が定着ベルトに巻き付くことなく通紙可能であるか否かを観察した。観察結果をもとに、以下の基準でそれぞれの定着ベルトの分離性を評価した。
◎ 先端余白0mmでも、画像の巻き付きなしで通紙可能であった
〇 先端余白0mmでは画像の巻き付きが発生したが、先端余白2mmでは画像の巻き付きなしで通紙可能であった
△ 先端余白0mmおよび2mmでは画像の巻き付きが発生したが、先端余白4mmでは画像の巻き付きなしで通紙可能であり、実用上問題はないと考えられた
× 先端余白4mmでも画像の巻き付きが発生した
定着ベルト1~定着ベルト10のそれぞれの製造条件(離型層の製造方法、投射材の種類および投射圧力)、最表面の展開面積比Sdr、および分離性の評価結果を表1に示す。
Figure 2022021106000002
表1から明らかなように、多角形状の投射材を用いて最表面に凹凸形状を形成した定着ベルト1~定着ベルト10は、最表面の展開面積比Sdrが4.5以上であり、かつ、いずれも、トナー画像の分離性が優れていた。特に、最表面の展開面積比Sdrが大きいほど、分離性は良好となっていた。
一方で、球状の投射材を用いて最表面に凹凸形状を形成した定着ベルト8や、ラッピングフィルムから微小凹凸形状を転写して最表面に凹凸形状を形成した定着ベルト9および定着ベルト10は、最表面の展開面積比Sdrが4.5以上とはならず、かつ、いずれも、トナー画像の分離性が低かった。
本発明によれば、二軸ベルト式の定着装置を有する電子写真方式の画像形成において、記録媒体の種類によらず、定着ベルトの定着性と、定着ベルトの記録媒体に対する分離性との両方を高めることができる。よって、本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置に用いることができる記録媒体の種類のさらなる多様化が期待され、当該画像形成装置のさらなる普及が期待される。
1 画像形成装置
10 画像読取部
11 自動原稿給紙装置
12 原稿画像走査装置
12a CCDセンサー
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
41 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a~51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラ
53 第1の搬送部
54 中間搬送ローラ部
55 ループローラ部
56 レジストローラ部
57 第2の搬送部
58 スイッチバック経路
59 裏面用搬送路
60 定着部
61 定着ベルト
62 加圧ローラ
63 加熱装置
64、65 ローラ
100 制御部
411 露光装置
412 現像装置
413 感光体ドラム
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラ
423 支持ローラ
423A バックアップローラ
426 ベルトクリーニング装置
431 二次転写ローラ
611 基層
612 弾性層
613 離型層
D 原稿
F 定着器
S 用紙

Claims (11)

  1. 基層、弾性層、および離型層をこの順で有する定着部材において、
    前記離型層により構成される、前記定着部材の最表面の展開面積比Sdrが、4.5以上である、定着部材。
  2. 前記最表面は、不規則な形状の凹凸形状を有する、請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記最表面は、ブラスト加工されている、請求項1または2に記載の定着部材。
  4. 前記最表面は、多角形状の投射材によってブラスト加工されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の定着部材。
  5. 前記定着部材は、無端ベルト形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の定着部材。
  6. 基層、弾性層および離型層をこの順で有する、定着部材の製造用の積層体を用意する工程と、
    前記積層体の離型層に多角形状の投射材を投射して、前記離型層により構成される、前記定着部材の最表面の展開面積比Sdrを4.5以上とする工程と、を有する、
    定着部材の製造方法。
  7. 前記投射材は、新モース硬度が5.5以上である、請求項6に記載の定着部材の製造方法。
  8. 前記積層体は、無端ベルト形状である、請求項6または7に記載の定着部材の製造方法。
  9. 記録媒体上に担持されたトナー画像を加圧によって前記記録媒体に定着させる定着部材を有する、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置であって、
    前記定着部材は、請求項1~5のいずれか1項に記載の定着部材または請求項6~8のいずれか1項に記載の方法で製造された定着部材である、定着装置。
  10. 記録媒体上に担持されたトナー画像を加圧によって前記記録媒体に定着させる定着部材を有する電子写真方式の画像形成装置において、
    前記定着部材は、請求項1~5のいずれか1項に記載の定着部材または請求項6~8のいずれか1項に記載の方法で製造された定着部材である、画像形成装置。
  11. トナー画像を記録媒体の表面に担持させる工程と、
    前記担持されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる工程と、を有し、
    前記定着させる工程は、請求項1~5のいずれか1項に記載の定着部材または請求項6~8のいずれか1項に記載の方法で製造された定着部材により、前記トナー画像を前記記録媒体に加圧する工程である、画像形成方法。
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