JP2022018929A - 食肉加工品用組成物の製造方法、及び食肉加工品 - Google Patents

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敏樹 岡崎
Toshiki Okazaki
直克 富沢
Naokatsu Tomizawa
香織 室賀
Kaori Muroga
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Abstract

【課題】豚脂や牛脂の代替原料として使用することができ、ジューシーな食感や、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる、食肉加工品用組成物の製造方法、及び、該食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品を提供すること。【解決手段】融点が15~45℃である油脂を25~75質量%、水を23~70質量%、及びメチルセルロースを1.5~4.5質量%含有する食肉加工品用組成物の製造方法であって、該油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程、該流動状の油脂と該メチルセルロースとを混合して調合液を得る工程、該調合液に0~15℃の該水を添加して混合する工程、を含む製造方法(ただし、食肉加工品用組成物が均質化された乳化状態である場合を除く)、及び、該食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品。【選択図】なし

Description

本発明は、食肉加工品用組成物の製造方法、及び該食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品に関する。
ソーセージやハンバーグに代表される食肉加工食品は、ジューシーな食感や、脂肪の粒感を付与するために、ブロック状の豚脂や牛脂を食肉生地中に入れることが行われ、粗挽きソーセージや粗挽きハンバーグとして親しまれている。
他方、世界的な人口増加に伴う食糧需給の逼迫、ひいては畜産資源の限界が懸念されており、畜肉代替素材や畜肉脂代替素材が求められている。また、現在、国内の豚脂は国内畜産メーカーからの供給が主であるが、コストの上昇と安定供給の観点で懸念がある。
したがって、豚脂や牛脂の代替品として食肉加工食品に使用することができ、従来品と同様のジューシーな食感や、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる、食品素材に対する要望があった。
これまでに、柔らかく、ジューシー感及び肉の粒感が高い食感が得られ、且つ、加熱調理時の歩留を高くすることができる食肉加工品用品質改良剤として、カードランとカードラン以外の増粘多糖類とを特定の割合で含有する品質改良剤が報告されている(特許文献1)。また、ジューシーで、やわらかい優れた食感を与えることができる加熱調理型畜肉加工食品用組成物として、食用油脂5~70質量%、20℃における2質量%水溶液の粘度が3~600mPa・sであるメチルセルロース2~10質量%、乳化剤0.5~5質量%、及び水15~92.5質量%からなる水中油型乳化組成物である加熱調理型畜肉加工食品用組成物が報告されている(特許文献2)。
しかし、これらの技術は食肉加工品の原料に追加して配合されるものであって、豚脂や牛脂の代替品を原料とした食肉加工食品に利用できるものではなかった。
特開2019-83826号公報 特開2009-183194号公報
本発明は、上記の問題を鑑み、豚脂や牛脂の代替原料として使用することができ、ジューシーな食感や、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる、食肉加工品用組成物の製造方法、及び、該食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の融点をもつ油脂、水、メチルセルロースを基本原料とし、特定の製造工程で製造することで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)融点が15~45℃である油脂を25~75質量%、水を23~70質量%、及びメチルセルロースを1.5~4.5質量%含有する食肉加工品用組成物の製造方法であって、
該油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程、
該流動状の油脂と該メチルセルロースとを混合して調合液を得る工程、
該調合液に0~15℃の該水を添加して混合する工程、
を含む製造方法(ただし、食肉加工品用組成物が均質化された乳化状態である場合を除く)。
(2)前記油脂の10℃におけるSFCが30~90%である、(1)に記載の食肉加工品用組成物の製造方法。
(3)前記メチルセルロースを水100質量部に対して3~15質量部含有する、(1)または(2)に記載の食肉加工品用組成物の製造方法。
(4)(1)~(3)のいずれか1つに記載の製造方法によって得られた食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品。
(5)前記食肉加工品用組成物が、乳化物、固形脂、及び水相を不均一に含有する(1)に記載の製造方法。
本発明によれば、豚脂や牛脂の代替原料として使用することができ、食肉加工品にジューシーな食感や、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる、食肉加工品用組成物の製造方法を提供できる。より好ましくは、従来の食肉加工品と同等のジューシーな食感や、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる、食肉加工品用組成物の製造方法を提供できる。さらに、本発明の製造方法で製造された食肉加工品用組成物は、食肉加工品の製造時に、豚脂や牛脂を使用する場合と同様に、チョッピングによって粒状の形状が残るため、従来品の製造方法を変更することなく、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず各範囲の上限と下限、並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。さらに、「含有する」又は「含む」等の用語は、適宜「本質的になる」や「のみからなる」と読み替えてもよい。
[食肉加工品用組成物]
本発明における食肉加工品用組成物は、本発明の食肉加工品用組成物の製造方法によって得られ、豚脂、牛脂等の動物性固形脂の代替として用いることができる。
本発明における食肉加工品用組成物は、本発明の食肉加工品用組成物の製造方法により、乳化物(O/W)、固形脂、及び水相が不均一に存在し、該固形脂によって、室温下(例えば1~30℃)で保形している態様であり、これまで、先行技術文献等で報告されている、メチルセルロースを含有する全体が乳化された組成物とは明確に異なる。
例えば、前記食肉加工品用組成物が、全体的に均質化された乳化物の状態であると、ソーセージ等の加熱製造する食肉加工品に配合した場合、加熱時に水相中のメチルセルロースによって乳化物がゲル化し、乳化粒子中の油脂の漏出が抑制されるため、ジューシー感が付与できない。
また、前記食肉加工品用組成物は、乳化物の態様を全く含まないと、ソーセージ等の加熱製造する食肉加工品の場合、加熱時に該組成物中の油脂が溶解・漏出して、食肉加工品中に空洞(脂抜け)ができ、脂肪の粒感が感じられる食感が付与できない。
したがって、本発明における食肉加工品用組成物は、乳化物(O/W)、固形脂、及び水相が不均一に存在することで、食肉加工品のジューシーな食感と、脂肪の粒感が感じられる食感と付与することができ、豚脂や牛脂の代替原料として使用することができる。
本発明における食肉加工品用組成物は、ソーセージ等の食肉加工品の生地の製造時の温度下(5℃前後)において保形性と適度な固さがあり、チョッピング後も目視で粒状の態様が確認できることが好ましい。また、本発明における食肉加工品用組成物は、加熱によりドリップ(漏出)することが好ましく、その漏出量は、好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~55質量%、最も好ましくは20~50質量%である。漏出量が上記の範囲にあると、本発明の食肉加工品は、ジューシーな食感と脂肪の粒感のバランスが優れたものになる。なお、前記漏出量は、食肉加工品用組成物を、ろ紙(円形ろ紙、No.2、90mm)上で80℃・15分間保存したときの、重量の減少量から求めることができる。
[食肉加工食品]
本発明の食肉加工品は、本発明における食肉加工品用組成物を含有し、食肉を主原料として加熱等により加工製造された食品であれば、特に限定されない。本発明における食肉加工品は、例えば、ソーセージ、サラミ、プレスハム、ハンバーグ、ミートボール、メンチカツ、シュウマイ、つくね等が挙げられる。本発明における食肉加工品は、通常、ブロック状の豚脂や牛脂を配合して加熱処理される食肉加工品が好ましく、ソーセージ、サラミ、プレスハム等が挙げられる。
本発明の食肉加工品中の、本発明における食肉加工品用組成物の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5~35質量%、より好ましくは10~30質量%、最も好ましくは15~25質量%である。食肉加工品用組成物の含有量が上記の範囲にあると、本発明の食肉加工品は、ジューシーな食感と脂肪の粒感のバランスが優れたものになる。
[油脂]
本発明における油脂は融点が15~45℃である食用油脂である。本発明における油脂は、所望の融点をもつ油脂であれば特に限定されないが、ラウリン系油脂、パーム系油脂等が挙げられる。ここで、ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が35質量%以上の油脂であり、例えば、ヤシ油、パーム核油や、これらの分別油、エステル交換油、水素添加油等が挙げられる。また、パーム系油脂とは、パーム油及びパーム油を原料に分別されてできる油脂や、それらをエステル交換して得られる油脂であり、例えば、パーム油分別軟質部(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、パーム油中融点画分等や、それらの水素添加油、エステル交換油等が挙げられる。
また、本発明における油脂は、所望の融点をもつ油脂であれば、複数の油脂の混合物でもよく、上記のラウリン系油脂とパーム系油脂から選ばれる2種以上の混合油脂や、さらに、大豆油、菜種油等の室温で液体状の油脂を混合してもよい。本発明における油脂は、パーム油中融点画分、ヤシ油、及びパーム核油から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
本発明における油脂は、好ましくは融点が20~40℃、より好ましくは融点が20~35℃、最も好ましくは融点が20~30℃である。油脂の融点が上記の範囲にあると、油脂含量の高い食肉加工品用組成物を製造することが可能となり、本発明の食肉加工品にジューシーな食感がより得られやすくなる。
また、本発明における油脂は、10℃におけるSFCが好ましくは30~90%、より好ましくは40~90%、さらにより好ましくは60~90%、最も好ましくは70~90%である。油脂のSFCが上記の範囲にあると、室温下(1~30℃)で保形性と適度な固さを有し、食肉加工品の製造時に、チョッピングを行っても、食肉加工品用組成物が粒状の形状として残るためより好ましい。
本発明において、油脂の融点とは「上昇融点」を指す。上昇融点は、公益社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2013年版「2.2.4.2-1996融点(上昇融点)」の方法に準じて測定することができる。また、本発明における油脂が複数種の油脂の混合物(混合油脂)である場合、本発明における融点は、混合油脂の上昇融点である。
また、本発明における油脂のSFC(固体脂含量)は、公益社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2013年版「2.2.9-2013固体脂含量(NMR法)に従って測定することができる。
上記油脂の本発明における食肉加工品用組成物中の含有量は25~75質量%であり、好ましくは40~75質量%であり、より好ましくは50~70質量%であり、最も好ましくは55~65質量%である。油脂の含有量が上記の範囲にあると、本発明の食肉加工品は、ジューシー感の優れたものになる。
[メチルセルロース]
本発明におけるメチルセルロースは、植物パルプ等から得られるセルロースの水酸基の一部を、メチル基でエーテル置換し、水溶性としたものである。水に溶解したメチルセルロースは、加熱してゲル化温度以上の温度になるとゲル化し、また、冷却してゲル化温度以下となると水溶液に戻りゲルが消滅する性質を有する。
本発明における食肉加工品用組成物中のメチルセルロースの含有量は、1.5~4.5質量%であり、好ましくは1.8~3.6質量%であり、より好ましくは2.1~3.2質量%であり、最も好ましくは2.1~2.7質量%である。メチルセルロースの含有量が前記の範囲にあると、本発明の食肉加工品中の空洞(脂抜け)の発生を抑制する効果に優れる。
また、前記メチルセルロースは、食肉加工品用組成物中の水100質量部に対して、好ましくは3~15質量部、より好ましくは3.5~12質量部、さらにより好ましくは4~10質量部、最も好ましくは5.5~8質量部である。メチルセルロースの含有量が前記の範囲にあると、本発明の食肉加工品中の空洞(脂抜け)の発生を抑制する効果に優れる。
本発明におけるメチルセルロースは、2質量%水溶液を20℃にて測定したときの粘度が好ましくは3000~80000mPa・s、より好ましくは10000~70000mPa・s、最も好ましくは35000~60000mPa・sである。2質量%水溶液の粘度が前記の範囲にあると、本発明の食肉加工品に空洞(脂抜け)が発生することを抑制することができるため好ましい。なお、本発明において前記メチルセルロースの粘度は、JIS K2283-1993に規定されるウベローデ粘度計で測定できる。
また、本発明におけるメチルセルロースは、ゲル化温度が好ましくは25~60℃であり、より好ましくは30~50℃、最も好ましくは35~45℃である。ゲル化温度が上記の範囲にあると、本発明の食肉加工品は、ジューシーな食感と脂肪の粒感のバランスが優れたものになる。
[水]
本発明における水は、特に限定されないが、水道水、井戸水、精製水、イオン交換水等を用いることができる。また、本発明における水は、氷水を使用してもよい。
本発明における食肉加工品用組成物中の水の含有量は23~70質量%であり、好ましくは23~55質量%、より好ましくは25~47質量%、最も好ましくは32~42質量%である。
また、本発明における水は、本発明の食肉加工品用組成物の製造時の水温が0~15℃であり、好ましくは0~10℃であり、最も好ましくは0~5℃である。水の温度が15℃より高くなると、本発明におけるメチルセルロースが水に溶けにくくなるため好ましくない。
[その他の原料]
本発明における食肉加工品用組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記油脂、メチルセルロース、及び水以外の、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、乳化剤、増粘安定剤、食塩、糖類や糖アルコール類、甘味料、着色料、酸化防止剤、蛋白素材、香料、調味料、香辛料当等が挙げられる。
本発明における食肉加工品用組成物は、本発明における油脂、メチルセルロース、及び水以外の原料を含む場合、該油脂、該メチルセルロース、該水、及びその他の原料の含有量はそれぞれ以下の範囲とすることができる。すなわち、前記油脂の含有量は、好ましくは25~75質量%、より好ましくは40~75質量%であり、さらにより好ましくは50~70質量%であり、最も好ましくは55~65質量%である。前記メチルセルロースの含有量は、好ましくは1.5~4.5質量%であり、より好ましくは1.8~3.6質量%であり、さらにより好ましくは2.1~3.2質量%であり、最も好ましくは2.1~2.7質量%である。前記水の含有量は、好ましくは22~70質量%であり、より好ましくは22~55質量%、さらにより好ましくは25~46質量%、最も好ましくは30~40質量%である。そして、前記その他の原料の含有量は、好ましくは0.5~15質量%であり、より好ましくは1~10質量%、さらにより好ましくは1.5~8質量%、最も好ましくは2~6質量%である。
[食肉加工品用組成物の製造方法]
本発明の食肉加工品用組成物の製造方法は、融点が15~45℃である油脂を25~75質量%、水を23~70質量%、及びメチルセルロースを1.5~4.5質量%含有し、以下の工程を含む製造方法である。すなわち、前記製造方法は、前記油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程、前記流動状の油脂と前記メチルセルロースとを混合して調合液を得る工程、及び、前記調合液に0~15℃の該水を添加して混合する工程を含む。前記の製造方法を用いることで、乳化物、固形脂、及び水相が不均一に存在する食肉加工品用組成物を得ることができる。また、前記食肉加工品用組成物中に乳化物、固形脂、及び水相が不均一に存在する状態は、光学顕微鏡(200倍)で確認することができる。
上記油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程は、該油脂を融点以上の品温に加熱して、流動状の油脂が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、ジャケットタンク、電気釜、投げ込みヒーターを設置したタンク等に原料油脂を投入して加熱する方法が挙げられる。本特許において、流動状の油脂とは、該油脂の入った容器を、傾けるだけで別の容器に移し替えることができる程度の流動性を有している油脂を指す。
また、上記の加熱温度は、前記油脂が融点以上の品温になる温度であれば特に限定されないが、加熱時の前記油脂の品温は、融点より0~3℃高いことが好ましい。また、加熱時の前記油脂の品温は、好ましくは20~60℃、より好ましくは25~50℃、最も好ましくは25~40℃である。さらに、前記加熱時間は、加熱温度が油脂の融点の品温に到達してから、好ましくは10~80分、より好ましくは10~50分、最も好ましくは10~30分である。
上記流動状の油脂とメチルセルロースとを混合して調合液を得る工程は、該流動状の油脂中に、該メチルセルロースを混合・分散した調合液が得られる方法であれば特に限定されない。例えば、パドルミキサー等を用いて流動状の油脂に、メチルセルロースを混合・分散する方法が挙げられる。
上記調合液に0~15℃の水を添加して混合する工程は、該調合液と該水とを混合できる方法であれば特に限定されない。前記水の添加は、例えば、調合液を撹拌した状態で、分割または全部を添加することができる。
本発明の製造方法においては、油脂の融点以下の温度の水を添加することで、添加と同時に流動状の油脂が一部固化を始めるため、食肉加工品用組成物が均質化された乳化状態になることはない。
前記混合方法としては、手撹拌、機械撹拌のどちらでもよく、機械撹拌の場合は、ブレンダーミキサー、プロペラミキサー、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の撹拌機を使用することができる。また、前記混合する工程は、目視で確認したときに、調合液に添加した水が、直ちに調合液全体に行き渡る程度に調合液が撹拌されていることが、目視で確認できることが好ましい。撹拌機を使用する場合の撹拌条件(回転数、攪拌時間)は、前記調合液と前記水とを十分に混合できる条件であれば、特に制限はない。また、撹拌は品温が原料油脂の融点以下となった時点で止めることができる。
例えば、上記調合液に0~15℃の水を添加して混合する工程は、撹拌機にハンドミキサーを使用する場合、回転数は好ましくは10000~20000rpm、より好ましくは12000~18000rpm、最も好ましくは16000~18000rpmであり、撹拌時間は好ましくは1~10分、より好ましくは2~7分、最も好ましくは3~6分である。撹拌条件が上記の範囲にあると、本発明における食肉加工品用組成物は、乳化物(O/W)、固形脂、及び水相を不均一に含有するので、本発明の効果を奏しやすい。
また、上記調合液に0~15℃の水を添加して混合する工程は、混合時に該調合液の加熱を停止することが好ましく、さらに、該調合液が入った容器を冷却することが好ましい。前記の方法を行うことで、本発明における食肉加工品用組成物が短時間で製造できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
〔食肉加工品用組成物の製造〕
表1~3に示す配合に従い、下記の工程で食肉加工品用組成物を製造した。なお、表中の各種原料は以下を使用した。
油脂-1:パーム油中融点画分(日清オイリオグループ(株)製造品)、融点29℃、10℃におけるSFC72.0%
油脂-2:ヤシ油(日清オイリオグループ(株)製造品)、融点24℃、10℃におけるSFC81.6%
油脂-3:パームオレイン(日清オイリオグループ(株)製造品)、融点23℃、10℃におけるSFC38.7%
油脂-4:パーム油(日清オイリオグループ(株)製造品)、融点38℃、10℃におけるSFC50.7%
油脂-5:パームステアリン(日清オイリオグループ(株)製造品)、融点50℃、10℃におけるSFC76.7%
油脂-6:菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)、0℃で液状油、10℃におけるSFC0%
MC-1:メチルセルロース(商品名:メトセルMX0209、ユニテックフーズ(株)製)、20℃/2質量%水溶液粘度50000mPa・s、ゲル化温度38~44℃
MC-2:メチルセルロース(商品名:メトセルBind112、ユニテックフーズ(株)製)、20℃/2質量%水溶液粘度50000mPa・s、ゲル化温度30℃
MC-3:メチルセルロース(商品名:メトセルA4M、ユニテックフーズ(株)製)、20℃/2質量%水溶液粘度4000mPa・s、ゲル化温度50~55℃
なお、上記原料中の融点、SFC、及び粘度は上述した測定方法で求めた。
1)油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程
油脂-1~6のいずれかの油脂を、品温が該油脂の融点+2℃になるまで加熱して、流動状の油脂を得た。なお、比較例4の菜種油は加熱しなかった。
2)流動状の油脂とメチルセルロースとを混合して調合液を得る工程
上記で得られた流動状の油脂に、品温(油脂の融点+2℃)を保持した状態で、メチルセルロース-1~3(MC-1~3)のいずれかを添加しハンドブレンダーで撹拌して、メチルセルロースが油脂中に均一に分散した調合液を得た。
3)調合液に水を添加して混合する工程
上記で得られた調合液を撹拌しながら水(氷水)を添加し、加熱を停止して、ハンドブレンダーで5分間撹拌(17000rpm)した後、撹拌を停止し、5℃の冷蔵室で60分間静置して、食肉加工品用組成物(実施例1~11、比較例1~4)を得た。
なお、前記食肉加工品用組成物(実施例1~11、比較例1~4)を光学顕微鏡(200倍)で観察したところ、全ての食肉加工品用組成物で、乳化物、固形脂、及び水相が不均一に存在する状態が確認された。
表1の配合について、メチルセルロースを水に溶解した水溶液と、流動状の油脂とを混合する製造方法は、メチルセルロース水溶液が高粘度になりすぎてしまい、油脂と全体的に混合することができないため、動物性固形脂の代替とならず、本発明の食肉加工品用組成物の製造には適さないものであった。
〔食肉加工品用組成物の評価〕
上記で得られた食肉加工品用組成物について、外観、ハンドリング、加熱耐性、及び加熱後残存率を評価した。なお、比較例3は、原料油脂の融点が45℃を超えるため、食肉加工品用組成物の製造時に、水(氷水)の添加よって油脂が部分的に急速固化し、十分な撹拌ができず、一部の水が分離(離水)した状態になった。したがって、動物性固形脂の代替とならず、本発明の食肉加工品用組成物には適さないものであったので、食肉加工品用組成物の評価は実施しなかった。
〔外観評価〕
5名のパネルが食肉加工品用組成物の外観を目視観察し、以下の評価基準に従い、5名のパネルの総意として評価した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
○:色調のムラ、及び/又は、離水が認められない
×:色調のムラ、及び/又は、離水が認められる
〔ハンドリングの評価〕
5名のパネルが5℃の雰囲気下、食肉加工品用組成物をナイフで約1.2cm角にカットしたときの作業性を、以下の評価基準に従い、5名のパネルの総意として評価した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
◎:適度な硬さがあり、ナイフの通りが良く、○の評価よりもカットしやすい
○:硬さが若干あり、ナイフの通りがやや悪いが、カットできる
×:硬さが無く(軟らかく)、ナイフの通りが悪く、カットしにくい
〔加熱耐性の評価〕
約1.2cm角にカットした食肉加工品用組成物を、ろ紙(円形ろ紙、No.2、90mm)の中央部に設置し、80℃恒温槽で15分間保存した。次に、5名のパネルが保存後の食肉加工品用組成物の外観を目視観察し、以下の評価基準に従い、5名のパネルの総意として評価した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
◎:加熱前の形状が大部分保持されている
○:加熱前の形状が若干保持されている
×:加熱前の形状が保持されていない
〔加熱後残存率の評価〕
上記「加熱耐性の評価」の作業において、保存前後の食肉加工品用組成物の重量を測定(n=3)し、保存後の重量を保存前の重量で除して、加熱後残存率(%)を求めた後、平均値を算出し、以下の評価基準に従い評価した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
◎:50~80%
○:40~49%、または81~90%
×:0~39%、または91~100%
加熱後残存率が91%以上になると、食肉加工品の加熱処理時に食肉加工品用組成物から溶け出す油脂が減るため、食肉加工品にジューシー感(油脂感)を付与することが困難になる。また、加熱後残存率が39%以下になると、食肉加工品の加熱処理時に食肉加工品用組成物から溶け出す油脂が多くなりすぎて、食肉加工品中に空洞(脂抜け)ができやすくなり、また、脂肪の粒感が感じられる食感を付与することが困難になる。
〔食肉加工品(ソーセージ)の製造〕
表4の配合に従い、下記の方法でソーセージを製造した。また、食肉加工品用組成物の代わりに豚脂を使用したソーセージも同様に製造し、対照例とした。
1)食肉加工品用組成物を除いた原料をサイレントカッターで混合し、ミートエマルジョンを調製する。
2)食肉加工品用組成物を5℃雰囲気下で6~8mm角にカットし、ミートエマルジョンに手で混ぜ込み、脱気する。
3)長さ約10cm、太さ約2.5cmのケーシングに充填する。
4)68℃の温浴中で、30分間低温殺菌する。
5)氷浴中で、30分間冷却する。
6)90℃の温浴中で、3分間加熱する。
〔ソーセージの脂抜けの評価〕
上記で製造したソーセージを長側面に沿って半分に切り開き、中身の食肉加工品用組成物の残存状態を確認した。5名のパネルが目視観察し、以下の評価基準に従い、5名のパネルの総意として評価した。結果を表1~3に示す。
◎:空洞(脂抜け)が認められず、対照例と同等である
○:若干空洞(脂抜け)が認められるが、ソーセージとして許容できる
×:多数の空洞(脂抜け)が認められ、ソーセージとして許容できない
〔ソーセージの食感の評価〕
上記で製造したソーセージを、社内規定の味覚テスト、及び嗅覚テスト(第一薬品産業(株)製のパネル選定用基準臭を使用)に合格した5名の専門パネルが食し、ジューシーな食感と、脂肪の粒感が感じられる食感とについて下記の採点基準で採点し、次に、5名の採点の平均点を算出し、下記の評価基準で評価した。結果を表1~3に示す。
(採点基準)
2点:対照例と同等のジューシー感(油脂感)、及び脂肪の粒感が感じられる
1点:対照例と比べて、ジューシー感(油脂感)、及び/又は脂肪の粒感が若干劣る
0点:対照例と比べて、ジューシー感(油脂感)、及び脂肪の粒感が感じられない
(評価基準)
◎:1.6~2.0
○:1.0~1.4
×:0.0~0.8
Figure 2022018929000001
Figure 2022018929000002
Figure 2022018929000003
Figure 2022018929000004
融点が23~38℃である油脂を30~70質量%、水を28.2~65.8質量%、及びメチルセルロースを1.8~4.2質量%含有し、本発明の製造方法で製造された食肉加工品用組成物(実施例1~11)は、ハンドリング、加熱耐性、加熱後残存率に優れたものであった。また、前記食肉加工品用組成物を使用して製造したソーセージは、脂抜けが抑制され、ジューシーな食感と脂肪の粒感が感じられる食感が付与されたものであった。

Claims (4)

  1. 融点が15~45℃である油脂を25~75質量%、水を23~70質量%、及びメチルセルロースを1.5~4.5質量%含有する食肉加工品用組成物の製造方法であって、
    該油脂を加熱して流動状の油脂を得る工程、
    該流動状の油脂と該メチルセルロースとを混合して調合液を得る工程、
    該調合液に0~15℃の該水を添加して混合する工程、
    を含む製造方法(ただし、食肉加工品用組成物が均質化された乳化状態である場合を除く)。
  2. 前記油脂の10℃におけるSFCが30~90%である、請求項1に記載の食肉加工品用組成物の製造方法。
  3. 前記メチルセルロースを水100質量部に対して3~15質量部含有する、請求項1又は2に記載の食肉加工品用組成物の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた食肉加工品用組成物を含有する食肉加工品。
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WO2023048011A1 (ja) * 2021-09-22 2023-03-30 不二製油グループ本社株式会社 畜肉様加工食品の製造方法

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