JP2022018673A - 血液処理フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】可撓性容器の内部に配置したフィルター材とシート部材の周縁部同士を帯状に接着させることによりシール部を形成した血液処理フィルターにおいて、シール部付近に血液が残存して血液回収量が低減することを抑制する。【解決手段】血液処理フィルター1Aは、血液の入口と出口とを有する可撓性容器3と、可撓性容器3内部を入口側と出口側とに隔てるように配置されたシート状の血液処理フィルター材5と、可撓性容器3の入口側及び出口側の少なくとも何れか一方と血液処理フィルター材5との間に配置されたシート部材7・10と、血液処理フィルター材5とシート部材7・10とがシールされてなる第一シール部13と、可撓性容器3とシート部材7・10とがシールされてなる第二シール部14と、を備える。第二シール部14を、第一シール部13よりも有効ろ過領域5a側に配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、血液処理フィルターに関する。
従来より、血液から凝集物や白血球等を除去するための血液処理フィルターが種々提案され、実用化されている。現在においては、可撓性容器の内部にシート状のフィルター材を配置して構成した血液処理フィルターが提案されている。また、近年においては、可撓性容器の出口側とフィルター材との間の空間が陰圧になって血液の流れが阻害されることを抑制するために、可撓性容器の出口側とフィルター材との間の空間に流路確保用のシート部材を配置し、このシート部材に形成したスリット状の流路孔によって血液の流れを確保する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6190888号公報
ところで、特許文献1に記載されたような従来の血液処理フィルターにおいては、フィルター材の周縁部とシート部材の内側周縁部とを帯状に接着させることにより内側シール部を形成し、この内側シール部の内側領域を有効ろ過領域として使用するとともに、可撓性容器の周縁部とシート部材の外側周縁部とを帯状に接着させることにより外側シール部を形成している。しかし、内側シール部が可撓性容器にシールされていないため、内側シール部と可撓性容器との間に血液が侵入し、内側シール部の谷部付近に血液が残存して血液回収量が低減してしまうという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、可撓性容器の内部にフィルター材及びシート部材を配置し、フィルター材の周縁部とシート部材の周縁部とを帯状に接着させることによりシール部を形成して構成した血液処理フィルターにおいて、シール部付近に血液が残存して血液回収量が低減することを抑制することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る血液処理フィルターは、血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、可撓性容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置されたシート状の血液処理フィルター材と、可撓性容器の入口側及び出口側の少なくとも何れか一方と血液処理フィルター材との間に配置されたシート部材と、血液処理フィルター材とシート部材とがシールされてなる第一シール部と、可撓性容器とシート部材とがシールされてなる第二シール部と、を備え、第二シール部は、第一シール部よりも有効ろ過領域側に配置されているものである。
かかる構成を採用すると、可撓性容器とシート部材とがシールされてなる第二シール部を、血液処理フィルター材とシート部材とがシールされてなる第一シール部よりも有効ろ過領域側に配置しているため、可撓性容器の入口から血液を流入させ血液処理フィルター材を経由させて可撓性容器の出口から血液を流出させて血液処理を行う際に、血液が有効ろ過領域から第一シール部側に侵入するのを防ぐことができる。従って、血液処理を終えたときに第一シール部付近に血液が残存することを防ぐことができるので、血液回収量を増加させることができる。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、第二シール部を、可撓性容器の出口側に配置することができる。
可撓性容器の出口側では血液処理フィルターの内部が陰圧となり、可撓性容器が血液処理フィルター材と密着することで血液が回収されるが、血液処理フィルター材に密着した可撓性容器と、第一シール部の谷部と、の間に形成される間隙に血液が滞留する。そこで、第一シール部よりも有効ろ過領域側に配置される第二シール部を可撓性容器の出口側に設けることにより、第一シール部の谷部に血液が侵入するのを防ぐことができるため、血液回収量を増加させることができる。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、第二シール部を、可撓性容器の入口側に配置することができる。
血液処理フィルターの血液を回収する際には、貯留バッグの血液がなくなり、血液処理フィルターに貯留バッグ内のエアと血液チューブ内のエアとが流入すると同時に、可撓性容器の出口側の陰圧が増していき、最終的には流路確保シートにより第一シール部に形成される谷部の血液が回収される。しかしながら、可撓性容器の入口側において、血液処理フィルターの下部(血液処理フィルターの第一シール部の高さより下方の部位)で血液が回収されない現象が発生する場合があり、このときの回収されない血液量は、出口側の回収されない血液量よりも多いことが明らかとなっている。そこで、第一シール部よりも有効ろ過領域側に配置される第二シール部を可撓性容器の入口側に配置し、可撓性容器の入口側と血液処理フィルター材との間の空間を狭くすることにより、血液処理フィルターの下部にとどまる血液量を抑制でき、血液回収率が向上する。よって残血量の低減に効果的である。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、第二シール部を、可撓性容器の入口側及び出口側の双方に配置することができる。
血液ロスは可撓性容器の入口側及び出口側の双方に発生するため、これら双方に第二シール部を設けることにより、血液を一層効率良く回収することが可能となる。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、第一シール部において谷部を形成するようにシート部材を血液処理フィルター材に取り付けることができ、谷部は、底部と、底部から第一シール部の内方に向けて立ち上がる内斜面部と、底部から第一シール部の外方に向けて立ち上がる外斜面部と、を有することができる。この際、第二シール部を、内斜面部に配置することができる。
第二シール部を、シート部材の谷部の内斜面部に配置する(第一シール部より有効ろ過領域側に設ける)ことにより、可撓性容器とシート部材の間に血液が貯留すること抑制することができ、血液回収率が向上する。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、第一シール部において谷部を形成するようにシート部材を血液処理フィルター材に取り付けることができ、谷部は、底部と、底部から第一シール部の内方に向けて立ち上がる内斜面部と、底部から第一シール部の外方に向けて立ち上がる外斜面部と、を有することができる。この際、第二シール部を、底部と内斜面部の境目に配置することもできる。
第二シール部を血液の流出入口付近に設置すると、シート部材における開口部が狭くなることにより血液処理効率が低下し、白血球除去能及び処理時間に悪影響を与えるが、第二シール部をシート部材の底部と内斜面部の境目に設けることにより、広い有効ろ過領域を確保することができ、血液処理能力が向上する。
本発明に係る血液処理フィルターにおいて、可撓性容器の入口側と、可撓性容器の出口側と、シート部材と、がシールされた第三シール部を備えることができる。
第二シール部を可撓性容器の入口側及び出口側の何れか一方に設ける場合においても、第三シール部を採用することにより密封容器を構成することができる。
本発明によれば、可撓性容器の内部にフィルター材及びシート部材を配置し、フィルター材の周縁部とシート部材の周縁部とを帯状に接着させることによりシール部を形成して構成した血液処理フィルターにおいて、シール部付近に血液が残存して血液回収量が低減することを抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係る血液処理フィルターの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る血液処理フィルターの平面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 図2のIV-IV線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る血液処理フィルターを備えた血液処理システムの概略図である。 本発明の実施形態に係る血液処理フィルターの第二シール部の変形例を示し説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態中で説明する血液とは、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等の血液製剤を含む。また、血液処理フィルターの外形は、矩形状、円盤状、長円盤状、楕円状などの様々態様を採用できるが、製造時の材料ロスを少なくするためには矩形状が好ましく、従って、以下の実施形態では矩形状を例に説明する。なお、各図面において同一又は対応する部分に対しては同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aを形成する各部材について説明する。図1に示されるように、血液処理フィルター1Aは、入口側容器(入口側可撓性容器)9、フレームシート(シート部材)10、血液処理フィルター材(以下、「フィルター材」と称することがある)5、流路確保シート(シート部材)7、及び、出口側容器(出口側可撓性容器)11の各要素を備えている。
入口側容器9は、矩形シート状である。入口側容器9には、血液が流動する入口側回路102(図5参照)を形成した際に処理前の血液を受け入れる入口ポート9aがシールされている。入口ポート9aには、処理前の血液を受け入れる入口流路9b(図2,3参照)が形成され、さらに入口ポート9aには、入口流路9bと入口側容器9の内部とを連通する入口開口部9cが形成されている。なお、シールするとは、液体の漏洩を防止できる程度に接着(溶着含む)にて固定することを意味する。
フレームシート10は、入口側容器9とフィルター材5との間に配置されている。フレームシート10は、矩形シート状であり、入口ポート9aを挟んで対向配置された一対のリブ10aと、一対のリブ10aの内側に形成されたスリット状の第一開口部(開口部)10bと、一対のリブ10aの外側に形成された2つの第二開口部(開口部)10cと、を有している。
フィルター材5は、フレームシート10と流路確保シート7との間に配置されている。フィルター材5は、所定の厚みを有する矩形シート状であり、入口側容器9に近い方から、プレフィルター層51、メインフィルター層52、及びポストフィルター層53の順番で積層されて構成されている。
流路確保シート7は、フィルター材5と出口側容器11との間に配置されている。流路確保シート7は、矩形シート状であり、出口ポート11aを挟んで対向配置された一対のリブ7aと、一対のリブ7aの内側に形成されたスリット7bと、一対のリブ7aの外側に形成された2つの拡散開口部7cと、を有している。流路確保シート7は、フレームシート10と同一形状である。
出口側容器11は、矩形シート状である。出口側容器11には、出口ポート11aがシールされている。出口ポート11aには、血液が流動する出口側回路104(図5参照)を形成した際に、フィルター材5で処理された血液を排出する出口流路11b(図2,3参照)が形成され、さらに出口ポート11aには、出口流路11bと出口側容器11の内部とを連通する出口開口部11cが形成されている。出口側容器11は、入口側容器9と同一形状である。
次に、図2~図4を参照して血液処理フィルター1Aの構成について説明する。血液処理フィルター1Aは、可撓性容器3を備えている。可撓性容器3は、フィルター材5を挟む入口側容器9及び出口側容器11を有する。可撓性容器3は、矩形扁平状の容器であり、扁平状とは、厚みが薄くて面が広い形状を意図する。
流路確保シート7とフレームシート10とは、フィルター材5の周縁に沿ってフィルター材5を挟みつけた状態でシールされている。フィルター材5の周縁に沿った帯状の接着領域は、第一シール部13である。第一シール部13は、入口ポート9a及び出口ポート11aを矩形環状に囲んでおり、下辺部(連絡部)13a、上辺部(連絡部)13b、及び一対の側辺部(側部)13cを備えている。一対の側辺部13cは、入口ポート9a及び出口ポート11aを挟んで対向配置されている。また、下辺部13a及び上辺部13bは、それぞれ入口ポート9a及び出口ポート11aを挟んで対向配置されるとともに、両端が一対の側辺部13cの両端に接続されている。
矩形環状の第一シール部13に対応して、矩形環状の凹み(谷部6)が形成されている(図3及び図4参照)。この谷部6は、フィルター材5がフレームシート10と流路確保シート7とに挟まれて圧縮され、その状態で接着されることで形成される。谷部6は、図4に示すように、第一シール部13に重なる底部6aと、底部6aから第一シール部13の内方に向けて立ち上がる内斜面部6bと、第一シール部13の外方に向けて立ち上がる外斜面部6cと、を有している。
可撓性容器3内における第一シール部13よりも内側の領域は、血液が流動するろ過部となり、ろ過部に面した血液処理フィルター材5の一部分は有効ろ過領域5aとなる。有効ろ過領域5aの面積(有効ろ過面積)は、20×10-42~70×10-42であり、好ましくは35×10-42~60×10-42であり、より好ましくは40×10-42~55×10-42であり、さらに好ましくは40×10-42~45×10-42である。有効ろ過面積が20×10-42未満であると、血液製剤の回収率が損なわれ、ろ過時間が長くなる可能性があり、一方で、70×10-42を超えると、血液製剤の回収率が損なわれる可能性がある。なお、可撓性容器3内における第一シール部13の外側には、血液処理フィルター材5の端部であるはみ出し不織布部分5cが突き出している。
可撓性容器3の入口側容器9とフレームシート10とは、第一シール部13よりも有効ろ過領域5a側でシールされている。また、可撓性容器3の出口側容器11と流路確保シート7とは、第一シール13よりも有効ろ過領域5a側でシールされている。可撓性容器3(入口側容器9及び出口側容器11)とシート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)との接着領域は、第二シール部14である。
本実施形態においては、図3及び図4に示すように、第二シール部14を、可撓性容器3の入口側及び出口側の谷部6の内斜面部6bに配置している。第二シール部14は、入口ポート9a及び出口ポート11aを矩形環状に囲んでおり、下辺部(連絡部)14a、上辺部(連絡部)14b、及び一対の側辺部(側部)14cを備えている。一対の側辺部14cは、入口ポート9a及び出口ポート11aを挟んで対向配置されている。また、下辺部14a及び上辺部14bは、それぞれ入口ポート9a及び出口ポート11aを挟んで対向配置されるとともに、両端が一対の側辺部14cの両端に接続されている。
入口側容器9及び出口側容器11の周縁は、フレームシート10及び流路確保シート7の周縁に重なり、帯状にシールされて矩形環状の第三シール部15が形成されている。第三シール部15は、入口側容器9と出口側容器11との間で流路確保シート7及びフレームシート10を挟んで密着している。なお、第一シール部13、第二シール部14及び第三シール部15の形成は、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着等のあらゆる接着技術を用いることができる。
流路確保シート7は、第一シール部13の内側に、一対のリブ7aと、スリット7bと、2つの拡散開口部7cと、を有している。スリット7bは、一対のリブ7aの内側で、2つの拡散開口部7cは、一対のリブ7aの外側である。一対のリブ7aは、一対の側辺部13cよりも内側で、且つ出口ポート11aを挟んで対向配置され、それぞれ、第二シール部14の下辺部14aから上辺部14bにかけて連続している。また、スリット7b及び2つの拡散開口部7cは、それぞれ、第二シール部14の下辺部14aから上辺部14bにかけて連続して開口している。さらに、2つの拡散開口部7cはそれぞれ、リブ7aから第二シール部14の側辺部14cにかけて連続して開口している。
このように流路確保シート7は、第二シール部14で囲まれた内側の部分において、2本のリブ7aを残し、実質的に全て切り取られた形状をなし、その結果としてスリット7b及び2つの拡散開口部7cが形成されている。フィルター材5の有効ろ過領域5aの面積に対するスリット7b及び2つの拡散開口部7cの総面積の割合は30%~97%であり、好ましくは50%~97%であり、より好ましくは60%~97%であり、さらに好ましくは80%~97%である。この割合が30%未満の場合、ろ過流速を確保することはできても血液製剤の回収率が損なわれる可能性があり、97%を超えるとリブ7aが細くなり過ぎることにより、倒れたり捻じれたりするなどの不具合が発生しやすくなり、流路を確保するというリブ7aの機能が損なわれる可能性が大きくなる。また、7aの充分な強度が得られず、製造や形状維持が困難になる。なお、フレームシート10も同一の形状を有している。
入口側容器9にシールされた入口ポート9aは、第二シール部14の内側の領域に適宜に配置することができる。本実施形態における入口ポート9aは、第二シール部14の一対の側辺部14c間の中央であって、下辺部14aよりも上辺部14bに近い位置に配置されている。すなわち、本実施形態における入口ポート9aは、血液処理フィルター1Aを血液処理のために立てた状態において上側に配置されているが、これに限られない。
出口側容器11にシールされた出口ポート11aは、一対のリブ7aに挟まれる位置であれば、第二シール部14の内側の領域に適宜に配置することができる。出口ポート11aの出口開口部11cは、少なくとも一部分が流路確保シート7のスリット7bに平面視で重なるように配置されている。これによって、血液が効率良く流れ、ろ材としてのフィルター材5を有効活用できる。本実施形態における出口ポート11aは、第二シール部14の一対の側辺部14c間の中央であって、上辺部14bよりも下辺部14aに近い位置に配置されている。すなわち、本実施形態における出口ポート11aは、血液処理フィルター1Aを血液処理のために立てた状態において下側に配置されているが、これに限られない。
流路確保シート7の厚さは、通常、可撓性容器3と同程度のものを使用することができる。流路確保シート7の厚さが厚い程、スリット7bのスリット幅が同じであっても、より大きな流路を確保することになり、また、出口側容器11の撓みによる閉塞の懸念が少なくなる。一方で、流路確保シート7の厚さが厚い程、スリット7b内部の空間の増加により定性的には血液製剤のロス量が増加する傾向がある。このため、流路確保シート7の厚さとしては、0.1mm~3.5mmであるとよく、好ましくは0.1mm~3.0mm、より好ましくは0.2mm~2.5mmであるとよく、さらに好ましくは0.5mm~2.0mm、0.5mm~1.5mmであるとよい。流路確保シートの厚さは、ポストフィルター層の有無を踏まえて、設計することが好ましい。
次に、血液処理フィルター1Aに用いられる各要素の材料や形状について説明する。上述の通り、可撓性容器3は、入口側容器9及び出口側容器11によって形成される。可撓性容器3に用いる可撓性樹脂には、シートまたはフィルムとして市販されている材料を使用することができる。例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体の水添物、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン-エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が好適な材料として挙げられる。血液との接触が考えられるため、好ましくは血液バック等の医療品の材料として用いられている、軟質塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィン、及び、これらを主成分とする熱可塑性エラストマーであり、更に好ましくは軟質塩化ビニルである。
なお、特に、赤血球製剤の製造方法では、遠心分離を行って血液成分を分離する工程を含むことが多いが、遠心分離機に収納する際、血液バック等の他の部材を傷つけないという観点から、可撓性容器3を備えた血液処理フィルター1Aを用いることが好ましい。また、蒸気透過性の良さから、滅菌性に優れるものとして可撓性容器3を備えた血液処理フィルター1Aが望まれる。さらに、可撓性容器3を備えた血液処理フィルター1Aは、硬質の容器のフィルターに比し、経済性にも優れている。また、可撓性容器3には、例えば、特開平7-267871号公報に記載されている容器や、国際公開第95/017236号パンフレットに記載されている容器等を用いることもできる。
フィルター材5は、不織布や織布等の繊維状集積体やスポンジ等の多孔質体からなる材料を用いて製造される。なお、本実施形態に係るフィルター材5において、血液が材料に濡れ易くするために、親水性ポリマーをコーティングしてもよい。また、血液から白血球を除去するために血液処理フィルター1Aを用いるときには、白血球がフィルター材5に付着し易くなるように、ポリマーをコーティングした材料を用いてもよい。
また、フィルター材5(図1参照)は、入口側容器9に近い方から、例えば、プレフィルター層51、メインフィルター層52、及びポストフィルター層53の順番で積層されている。プレフィルター層51は、例えば、平均繊維径が数~数十μmの不織布からなり、血液中の微小凝集物を補足する機能を有する。具体的には、プレフィルター層51は、通気度が180~300(cc/cm2/sec)で厚さ0.2~2.0(mm)の不織布を1枚または複数枚(例えば、2枚~6枚)積層して形成できる。ここで、不織布の通気度に関しては、200~280(cc/cm2/sec)が好ましく、220~260(cc/cm2/sec)が更に好ましい。また、不織布の厚さに関しては、0.5~1.5(mm)が好ましく、0.6~1.2(mm)が更に好ましい。なお、比較的薄い不織布を使用する場合には、多数枚を積層して形成し、比較的厚い不織布を使用する場合には、少数枚を積層して形成すれば足りる。
メインフィルター層52は、平均繊維系がプレフィルター層51よりも小さい不織布からなり、主として白血球や血しょう板を除去する機能を有する。具体的には、メインフィルター層52は、通気度が6.0~9.0(cc/cm2/sec)で厚さ0.1~1.0(mm)の不織布を数枚積層して形成できるが、比較的薄い不織布を使用する場合には、多数枚を積層して形成し、比較的厚い不織布を使用する場合には、少数枚を積層して形成すれば足りる。
ポストフィルター層53は、例えば、平均繊維径が数~数十μmの不織布からなり、通気度180~300cc/cm2/secで厚さ0.2~2.0mmの不織布を1枚または複数枚(例えば、2枚~6枚)積層して形成されたフィルター層である。ここで、不織布の通気度に関しては、200~280(cc/cm2/sec)が好ましく、220~260(cc/cm2/sec)が更に好ましい。また、不織布の厚さに関しては、0.5~1.5(mm)が好ましく、0.6~1.2(mm)が更に好ましい。なお、比較的薄い不織布を使用する場合には、多数枚を積層して形成し、比較的厚い不織布を使用する場合には、少数枚を積層して形成すれば足りる。ポストフィルター層53は、流路確保シート7側に配置され、出口ポート11a側への流れを確保する機能を有する。プレフィルター層51とポストフィルター層53とは、同じものであってもよい。なお、フィルター材5は、単一のフィルター層であってもよい。
本実施形態に係る血液処理フィルター1Aでは、ポストフィルター層53を有するので、適切な通気抵抗を有する血液流路を形成しつつ、血液処理フィルター1A内の血液製剤の残存量を減少させることができ、結果的に、流速を維持しつつ、回収率を高めるという効果を享受する上で更に有利である。また、本実施形態では多数のリブを有さず、出口ポート11aの周辺に2本のリブ7aのみを設けることでスリット7bの他に幅広の拡散開口部7cを形成した流路確保シート7を用いている。そして、本実施形態に係る流路確保シート7を用いた場合においては特に、流速を維持するために、ポストフィルター層53を設けることが効果的であり、ポストフィルター層53を積層する意義が一層大きくなる。
流路確保シート7は、可撓性容器3と同様の材料を用いて製造でき、スリット7b及び拡散開口部7cは、適宜に打ち抜き加工、その他の方法で製造できる。フレームシート10は、流路確保シート7と同じく可撓性容器3と同様の材料を用いて製造でき、第一開口部10b及び第二開口部10cは、適宜に打ち抜き加工、その他の方法で製造できる。
次に、図5を用いて、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aを備えた血液処理システム100について説明する。
血液処理フィルター1Aは、重力を用いてのろ過に使用することができる。例えば、血液処理フィルター1Aを適用した血液処理システム100は、採血後の血液を入れた貯留バッグ101と、血液処理フィルター1Aと、ろ過後の血液をためる回収バッグ103と、を備える。
貯留バッグ101と血液処理フィルター1Aの入口ポート9aとは、血液チューブ等の導管102aによって互いに接続され、回収バッグ103と血液処理フィルター1Aの出口ポート11aとは、血液チューブ等の導管104aによって互いに接続されている。更に、上流側の導管102aには、流路を開閉するローラークランプなどの開閉手段102bやチャンバー102c等が取り付けられており、導管102a、開閉手段102b、チャンバー102c等によって入口側回路102が形成される。また、下流側の導管104a等によって出口側回路104が形成される。
そして、採血後の血液を入れた貯留バッグ101は血液処理フィルター1Aよりも30~70cm高い位置に設置され、ろ過後の血液をためる回収バッグ103を血液処理フィルター1Aよりも50~120cm程度低い位置に設置されている。全落差は150cmである。血液処理システム100の流路を開放することで血液のろ過処理が行われる。
以上説明した実施形態に係る血液処理フィルター1Aにおいては、可撓性容器3(入口側容器9及び出口側容器11)とシート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)とがシールされてなる第二シール部14を、フィルター材5とシート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)とがシールされてなる第一シール部13よりも有効ろ過領域5a側に配置しているため、可撓性容器3の入口から血液を流入させフィルター材5を経由させて可撓性容器3の出口から血液を流出させて血液処理を行う際に、血液が有効ろ過領域5aから第一シール部13側に侵入するのを防ぐことができる。従って、血液処理を終えたときに第一シール部13付近に血液が残存することを防ぐことができるので、血液回収量を増加させることができる。
また、以上説明した実施形態に係る血液処理フィルター1Aにおいては、第二シール部14を、可撓性容器3の入口側及び出口側の双方に配置しているため、血液を一層効率良く回収することが可能となる。まず、可撓性容器3の入口側において、血液処理フィルター1Aの下部L(図2及び図3に示すように血液処理フィルター1Aの第一シール部13の高さより下方の部位)で血液が回収されない現象が発生する場合があり、このときの回収されない血液量は、出口側の回収されない血液量よりも多いことが明らかとなっている。そこで、第一シール部13よりも有効ろ過領域5a側に配置される第二シール部14を可撓性容器3の入口側に配置し、可撓性容器3の入口側とフィルター材5との間の空間を狭くすることにより、血液処理フィルター1Aの下部Lにとどまる血液量を抑制でき、血液回収率が向上する。よって残血量の低減に効果的である。また、可撓性容器3の出口側では血液処理フィルター1Aの内部が陰圧となり、可撓性容器3がフィルター材5と密着することで血液が回収されるが、フィルター材5に密着した可撓性容器3と、第一シール部13の谷部6と、の間に形成される間隙に血液が滞留する。そこで、第一シール部13よりも有効ろ過領域5a側に配置される第二シール部14を可撓性容器3の出口側に設けることにより、第一シール部13の谷部6に血液が侵入するのを防ぐことができるため、血液回収量を増加させることができる。
また、以上説明した実施形態に係る血液処理フィルター1Aにおいては、第一シール部13において谷部6を形成するようにシート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)をフィルター材5に取り付け、第二シール部14を、谷部6の内斜面部6bに配置している。血液処理フィルター1Aの血液を回収する際には、可撓性容器3の入口側からエアを供給するとともに可撓性容器3の出口側を陰圧にするが、この際、第二シール部14を、シート部材の谷部6の内斜面部6bに配置する(第一シール部13より有効ろ過領域5a側に設ける)ことにより、可撓性容器3とシート部材の間に血液が貯留すること抑制することができ、血液回収率が向上する。
なお、以上の実施形態においては、第二シール部14を可撓性容器3の入口側及び出口側の双方に配置した例を示したが、可撓性容器3の入口側及び出口側の何れか一方にのみ第二シール部14を設けることもできる。因みに、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aにおいては、可撓性容器3の入口側(入口側容器9)と、可撓性容器3の出口側(出口側容器11)と、シート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)と、がシールされた第三シール部15を備えているため、第二シール部14を可撓性容器3の入口側及び出口側の何れか一方に設ける場合においても、密封容器を構成することができる。
また、以上の実施形態においては、図3及び図4に示すように、第二シール部14を谷部6の内斜面部6bに配置した例を示したが、図6に示すように、第二シール部14を谷部6の底部6aと内斜面部6bの境目6dに配置することもできる。第二シール部14を血液の流出入口付近に設置すると、シート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)における開口部が狭くなることにより血液処理効率が低下し、白血球除去能及び処理時間に悪影響を与えるが、第二シール部14をシート部材の谷部6の底部6aと内斜面部6bの境目6dに設けることにより、広い有効ろ過領域を確保することができ、血液処理能力が向上する。なお、シート部材(フレームシート10及び流路確保シート7)の谷部6の内斜面部6bが長くなると血液処理効率が低下するため、内斜面部6bは短い方が好ましい。内斜面部6bの長さは、第一シール部13の端部(境目6d)から0.5mm以内であることが好ましい(なお、内斜面部6bの長さの上限は、拡散開口部7cの開口度により限定される)。
また、以上の実施形態においては、一対のリブ7aがそれぞれ下辺部13a・14aから上辺部13b・14bにかけて連続した直線からなり、スリット7bが下辺部13a・14aから上辺部13b・14bにかけて連続して開口するものを例示したが、リブが出口ポートを挟んで対向配置されるような態様であればよく、様々な形状をとり得る。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1A…血液処理フィルター
3…可撓性容器
5…血液処理フィルター材
5a…有効ろ過領域
6…谷部
6a…底部
6b…内斜面部
6c…外斜面部
6d…底部と内斜面部の境目
7…流路確保シート(シート部材)
10…フレームシート(シート部材)
13…第一シール部
14…第二シール部
15…第三シール部

Claims (7)

  1. 血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、
    前記可撓性容器内部を入口側と出口側とに隔てるように配置されたシート状の血液処理フィルター材と、
    前記可撓性容器の入口側及び出口側の少なくとも何れか一方と前記血液処理フィルター材との間に配置されたシート部材と、
    前記血液処理フィルター材と前記シート部材とがシールされてなる第一シール部と、
    前記可撓性容器と前記シート部材とがシールされてなる第二シール部と、を備え、
    前記第二シール部は、前記第一シール部よりも有効ろ過領域側に配置されている、
    血液処理フィルター。
  2. 前記第二シール部は、前記可撓性容器の出口側に配置されている、請求項1に記載の血液処理フィルター。
  3. 前記第二シール部は、前記可撓性容器の入口側に配置されている、請求項1に記載の血液処理フィルター。
  4. 前記第二シール部は、前記可撓性容器の入口側及び出口側に配置されている、請求項1に記載の血液処理フィルター。
  5. 前記シート部材は、前記第一シール部において谷部を形成するように前記血液処理フィルター材に取り付けられており、
    前記谷部は、底部と、前記底部から前記第一シール部の内方に向けて立ち上がる内斜面部と、前記底部から前記第一シール部の外方に向けて立ち上がる外斜面部と、を有し、
    前記第二シール部は、前記内斜面部に配置されている、請求項1から4の何れか一項に記載の血液処理フィルター。
  6. 前記シート部材は、前記第一シール部において谷部を形成するように前記血液処理フィルター材に取り付けられており、
    前記谷部は、底部と、前記底部から前記第一シール部の内方に向けて立ち上がる内斜面部と、前記底部から前記第一シール部の外方に向けて立ち上がる外斜面部と、を有し、
    前記第二シール部は、前記底部と前記内斜面部の境目に配置されている、請求項1から4の何れか一項に記載の血液処理フィルター。
  7. 前記可撓性容器の入口側と、前記可撓性容器の出口側と、前記シート部材と、がシールされた第三シール部を備える、請求項1から6の何れか一項に記載の血液処理フィルター。
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