JP2022017947A - 熱硬化性接着シート、およびその利用 - Google Patents

熱硬化性接着シート、およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、低誘電率、低誘電正接の特性を有するのに加え、良好なレーザー加工性とドリル加工性、および半田リフロー前後で高い接着力を発現する熱硬化性接着シートを提供することである。【解決手段】 熱硬化性接着シートであって、前記熱硬化性接着シートを180℃で1時間加熱した硬化物が(i)~(iv)を満たすことを特徴とする熱硬化性接着シート。(i)硬化物の厚みが25μmであるとき、波長355nmのエネルギー線透過率が0~40%である。(ii)比誘電率が、周波数10GHz、23℃において1.5~3.0である。(iii)誘電正接が、周波数10GHz、23℃において0.0001~0.01である。(iv)0℃~Tgにおける線膨張係数α1が100~500ppm/℃である。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱硬化性接着シートに関する。本発明の熱硬化性接着シートは、プリント配線板の回路面の保護に好適に用いられる。
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚ましく、大量の情報を高速で処理する必要が生じ、電子機器、通信機器等に用いられるプリント配線板に使用される信号の周波数帯は、メガHz帯からギガHz帯に移行しつつある。しかしながら、電気信号は周波数が高くなるほど、電気信号の伝送損失が大きくなるという問題があり、このような問題に対応するため、プリント基板においては低誘電率、低誘電正接の材料が必要とされている。
一般に電気信号の伝送損失は、配線周りの絶縁層の誘電特性等に起因する誘電体損失と、導体の形状、表皮抵抗、特性インピーダンス等に起因する導体損失からなるとされている。しかし、高周波回路の場合は誘電体損失の影響が大きく、誘電体損失が材料の比誘電率の平方根と材料の誘電正接の積に比例して大きくなるため、比誘電率と誘電正接がいずれも低い材料が求められている。そのため、プリント配線板の配線周りの接着剤およびコーティング剤には、従来から求められていた高度なフレキシブル性、接着性、高い電気絶縁性、熱安定性等に加え、低い誘電特性が求められているのが現状である。
また、プリント配線板においては、内層回路と外層回路との導通を確保するために、ブラインドビアやスルーホールといった開口をプリント配線板に設けることがあり、それらの開口を形成するための加工適性も求められる。
さらに、プリント配線板、および電子機器の実装工程においては、高温曝露工程(例えば、半田リフロー工程等)後においても、被着体に対して十分な接着力を維持することが必要となる。
こういった高周波電気信号が伝播するプリント配線板周りの接着剤への高い要求に応えるため、様々な検討が行われている。例えば、特許文献1には、高湿度下における誘電特性、UVレーザー加工性、および密着性に優れるものとして、スチレン系ポリマーと、無機フィラーとして粒径が1μm以下のシリカ及び/又は水酸化アルミニウム、硬化剤とを含み、波長355nmの光の吸収率(X)がX≧50%、ヘイズ値(Y)がY≦40%を満たす樹脂組成物を含む接着フィルムが開示されている。
特開2019―132318号公報
特許文献1には、無機フィラーとして、粒径が1μm以下のシリカ及び/又は水酸化アルミニウムを多量に用いることで、UVレーザーの拡散透過率を高め、レーザー加工の際のスチレン系ポリマーの除去(アブレーション)が促進されることが示されている。
しかし、従来のドリルによる加工も依然として利用されている。
特許文献1に開示される微細なフィラーを多量に含む樹脂組成物を含む接着フィルムを用いた場合、被着体との接触界面における、バインダー(特許文献1では、スチレン系ポリマー)と被着体との接触面積が減少する。その結果、ドリル加工時の衝撃によって、開口部周辺に浮き、剥がれなどの不良を生じる問題があった。またフィラーを多量に含むことで線膨張係数α1が小さくなり、レーザー加工やドリル加工時にかかる熱によって被着体界面との間で応力がかかり、剥がれや浮きが生じることがしばしばあった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、低誘電率、低誘電正接の特性を有するのに加え、良好なレーザー加工性とドリル加工性、および半田リフロー前後で高い接着力を発現する熱硬化性接着シートを提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討を行ったところ、以下の態様において本発明の課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る熱硬化性接着シートは、バインダー樹脂と硬化剤とを含む熱硬化性接着シートであって、当該熱硬化性接着シートを180℃で1時間加熱した硬化物が、(i)硬化物の厚みが25μmであるとき、波長355nmのエネルギー線透過率が0~40%である、(ii)比誘電率が、周波数10GHz、23℃において1.5~3.0である、(iii)誘電正接が、周波数10GHz、23℃において0.0001~0.01である、(iv)0℃~ガラス転移温度(以下、Tgという)における線膨張係数α1が100~500ppm/℃である、を満たすことを特徴とする。
また、本発明は、銅箔と絶縁性フィルムとが、前記の熱硬化性接着シートの硬化物である接着層を介して積層されている、銅張積層板に関する。
また本発明は、前記の熱硬化性接着シートを用いてなる、プリント配線板に関する。
さらに、本発明は、前記の熱硬化性接着シートを用いてなる電子機器に関する。
本発明によれば、低誘電率、低誘電正接の特性を有するのに加え、良好なレーザー加工性とドリル加工性、および半田リフロー前後で高い接着力を発現する熱硬化性接着シートを提供することができるという優れた効果を奏する。
プリント配線板のレーザー加工によるブラインドビア付近の断面を示す模式図である。 プリント配線板のレーザー加工によるスルーホール付近の断面を示す模式図である。 プリント配線板のドリル加工によるスルーホール付近の断面を示す模式図である。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。尚、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。また、本明細書において「任意の数A~任意の数B」なる記載は、当該範囲に数Aが下限値として、数Bが上限値として含まれる。また、本明細書における「シート」とは、JISにおいて定義される「シート」のみならず、「フィルム」も含むものとする。また、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。
<熱硬化性接着シート>
本発明の熱硬化性接着シートは、プリント配線板、および電子機器の接着用部材として用いられ、他の部材を接着・保持する機能を有する。熱硬化性接着シートは、バインダー樹脂、硬化剤を含み、被着体、即ち接着したい部材同士の間に挟み仮接着を行った後に後述する加熱、もしくは熱プレス工程を経ることにより硬化し、被着体同士を接着する。
<バインダー樹脂>
本発明におけるバインダー樹脂は、熱硬化性接着シートの基体として機能する他、他成分の分散状態の保持機能を有する。
本発明におけるバインダー樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン系エラストマー、フッ素樹脂およびスチレン無水マレイン酸系樹脂などが挙げられる。これらは適宜選択し複数を用いることができる。なかでも、疎水性の高さに由来する高い絶縁性、誘電特性、また熱分解点の少なさに由来する高い耐熱性の観点からスチレン系エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドが好ましく、スチレン系エラストマー、ポリイミド、ポリアミドがより好ましい。
なお、ここでいうスチレン系エラストマーとは、スチレンから構成される部分と、ブタジエンやイソプレンやエチレン等から構成される部分とが「ブロック」を成しているブロック共重合体をいう。
本発明におけるバインダー樹脂は、硬化剤の有するエポキシ基、イソシアネート基、アジリジニル基、オキセタニル基、カルボジイミド基等の官能基や金属キレートと反応し得る、反応性官能基を有する。
前記反応性官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基(アルコール性水酸基、フェノール性水酸基)、アミノ基、シアネート基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、イミダゾール基、ピロール基、アセタール基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アルデヒド基、ヒドラジド基、ヒドラゾン基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基(アルコール性水酸基、フェノール性水酸基)、およびアミノ基からなる群より選ばれることが好ましく、2種類以上の反応性官能基を含んでもよい。
バインダー樹脂は、窒素、リン、硫黄原子を有することが好ましい。窒素、リン、硫黄といった非共有電子対を有する元素を有するバインダー樹脂を用いることで、それら非共有電子対を利用したバインダー樹脂間、あるいは被着体との水素結合や、非共有電子対間の相互作用によって、被着体への密着力向上や、硬化物の凝集力向上が起こり、接着力向上が引き起こされるものと推測される。尚、前述の作用機構は推測であり、本発明が奏する効果の機構としては前述の内容に限定されるものではない。
窒素、リン、硫黄原子を有するバインダー樹脂と、当該原子を含有しないバインダー樹脂を組み合わせる場合、バインダー樹脂全体に占める、窒素、リン、硫黄原子を有するバインダー樹脂の質量割合は30質量%以上であることが、接着力向上の観点から好ましい。窒素、リン、硫黄原子を有するバインダー樹脂の質量割合は40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
バインダー樹脂の酸価は、1~30mg/KOHであることが好ましく、1~20mg/KOHであることがより好ましい。酸価を1~30mg/KOHとすることにより、比誘電率や誘電正接の値を低くすることができる。
バインダー樹脂の重量平均分子量は5,000~200,000であることが好ましく、20,000~100,000であることがより好ましいバインダー樹脂の重量平均分子量は5,000以上であることで、十分な半田耐熱性および可撓性が発現できる。又、塗工時の粘度やハンドリングの観点から、重量平均分子量は150,000以下であることが好ましい。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は-50~130℃であることが好ましく、-50~100℃であることがより好ましい。バインダー樹脂のTgを-50~150℃とすることにより、接着力の向上が期待できる。
<硬化剤>
硬化剤は、バインダー樹脂の官能基と反応可能な官能基を有するものであり、反応可能な官能基を複数有することが好ましい。
硬化剤は、例えば、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アジリジニル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、金属キレート、アミン化合物、フェノール化合物、および酸無水物基含有化合物等の公知の化合物が挙げられ、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アジリジニル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、および金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが、誘電特性の観点から好ましい。硬化剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
<エポキシ基含有化合物>
硬化剤の1つ、エポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するものを好ましく用いることができる。エポキシ基有化合物としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、又は環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、又はテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、又はジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、又はビス(エポキシシクロヘキシル)アジペートなどが挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、前記化合物の一種を単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有化合物としては、高接着性及び耐熱性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はテトラグリシジルメタキシリレンジアミンを用いることが好ましい。
<イソシアネート基含有化合物>
硬化剤の1つ、イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
1分子中にイソシアネート基を1個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、1,6-ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’-ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4-ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4-メチル-m-フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、P-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基、カルボキシル基、アミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
1分子中にイソシアネート基を2個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、
ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
また、1分子中にイソシアネート基を3個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、さらに例示した種々のイソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε-カプロラクタムやMEKオキシム等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物も用いることができる。
具体的には、前記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、メチルエチルケトン(以下、MEKという)オキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。特に、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体は、本発明に使用した場合、ポリイミドや銅に対する接着強度や耐熱性に優れるため、非常に好ましい。
<アジリジニル基含有化合物>
硬化剤の1つ、アジリジニル基含有化合物としては、分子内にアジリジニル基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
アジリジニル基含有化合物としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリ-1-アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1、3、5-トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3-(1-アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3-(1-(2-メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3-(1-アジリジニル)-2-メチルプロピオネート]、2,2’-ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン-4,4-ビス-N,N’-エチレンウレア、1,6-ヘキサメチレンビス-N,N’-エチレンウレア、2,4,6-(トリエチレンイミノ)-Syn-トリアジン、ビス[1-(2-エチル)アジリジニル]ベンゼン-1,3-カルボン酸アミド等が挙げられる。
特に、2,2’-ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]は、本発明に使用した場合、熱プレス時のはみ出しを抑制でき、かつ硬化塗膜の柔軟性を保持したまま耐熱性を向上できるため、本発明において好適に用いられる。
<オキセタニル基含有化合物>
硬化剤の1つ、オキセタニル基含有化合物としては、例えば、1,4-ビス{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]ベンゼン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、(2-エチル-2-オキセタニル)エタノールとテレフタル酸とのエステル化物、(2-エチル-2-オキセタニル)エタノールとフェノールノボラック樹脂とのエーテル化物、(2-エチル-2-オキセタニル)エタノールと多価カルボン酸化合物とのエステル化物等が挙げられる。
<カルボジイミド基含有化合物>
硬化剤の1つ、カルボジイミド基含有化合物としては分子内にカルボジイミド基を有するものであれば、特に限定されないが、1分子中に平均2個以上のカルボジイミド基を有するものを好ましく用いることができる。カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、カルボジライトV-03、V-05、V-07(日清紡ケミカル株式会社)、環状カルボジイミド(帝人株式会社)などが挙げられる。
<金属キレート化合物>
前記金属キレート化合物は、金属と有機物からなる化合物であり、バインダー樹脂の官能基と反応して架橋を形成するものである。有機金属化合物の種類は特に限定されないが、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などが挙げられる。また、金属と有機物の結合は金属-酸素結合でもよく、金属-炭素結合に限定されるものではない。加えて、金属と有機物の結合様式は化学結合、配位結合、イオン結合のいずれであってもよい
前記有機アルミニウム化合物はアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物は、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ-n-ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ-sec-ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム-sec-ブチレート、アルミニウムエチレート等が挙げられる。
前記有機チタン化合物はチタンキレート化合物が好ましい。チタンキレート化合物は、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタン-1.3-プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ダーシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタンイソステアレート、トリ-n-ブトキシチタンモノステアレート、ジ-i-プロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、ジ-i-プロポキシチタンジイソステアレート、(2-n-ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物はジルコニウムキレート化合物が好ましい。ジルコニウムキレート化合物は、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物が熱硬化反応性と硬化後の耐熱性の点から好ましい。
本発明に用いられる硬化剤は、前記バインダー樹脂に対して、エポキシ基、イソシアネート基、アジリジニル基、オキセタニル基、カルボジイミド基および金属キレート基含有化合物の合計が、1~20質量部となる範囲で含有することが好ましく、1~10部含有することがさらに好ましく、1~5部含有することがさらに好ましい。硬化剤の添加量を1~20部とすることにより、比誘電率や誘電正接の値を低くすることができ、また半田リフロー後にも高い接着力を発現することができる。
<フィラー>
次に、本発明で用い得るフィラーについて詳細に説明する。
本発明の熱硬化性接着シートは、難燃性の付与、接着剤の流動性制御、硬化物の弾性率向上、誘電特性の向上等の目的でフィラーを含有することができる。
フィラーとしては、特に限定されないが、形状としては球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。
フィラーとしては例えば、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリエチレン粉末、ポリアクリル酸エステル粉末、エポキシ樹脂粉末、ポリアミド粉末、ポリウレタン粉末、ポリシロキサンン粉末等の他、シリコーン、アクリル、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等を用いた多層構造のコアシェル等の高分子フィラー;リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ポリリン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸アミドアンモニウム、ポリリン酸アミドアンモニウム、リン酸カルバメート、ポリリン酸カルバメート等の(ポリ)リン酸塩系化合物、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、メチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、エチルブチルホスフィン酸アルミニウム、メチルブチルホスフィン酸アルミニウム、ポリエチレンホスフィン酸アルミニウム等のホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、ホスホルアミド化合物等のリン系難燃フィラー;
ベンゾグアナミン、メラミン、メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌレート、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール化合物、ジアゾ化合物、尿素等の窒素系難燃フィラー;
シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト、ゾノトライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ガラスフレーク、水和ガラス、チタン酸カルシウム、セピオライト、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム等の無機フィラー等が挙げられる。
なかでもフィラーとしては、近年取り沙汰されている、環境への影響を配慮すると、リン系難燃フィラーや窒素系難燃フィラー等のノンハロゲン系難燃剤を使用することが望ましく、中でも難燃性により効果のあるホスファゼン化合物、ホスフィン化合物、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等を用いることが好ましい。
また、比誘電率や誘電正接をさらに低下させる点では、ポリテトラフルオロエチレン粉末、窒化ホウ素フィラーを使用することが好ましく、誘電特性のみならず接着性、屈曲性、電気絶縁性、耐熱性とのバランスに優れた硬化物を得ることができるようになる。本発明において、これらフィラーは、単独又は複数を併用して用いることができる。
これらフィラーの平均粒子径D50としては、硬化物の機械特性が向上しやすくなる観点から0.1μmから25μmであることが好ましく、1μm以上10μm以内がより好ましい。
フィラーを含有する場合には、前記バインダー樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以下であることが最も好ましい。
フィラー量が多くなると、被着体との接着力が低下し、ドリル加工やレーザー加工の際被着体界面で浮きや剥離が発生するおそれがある。
フィラーの添加方法は特に制限されるものではなく、従来公知のいかなる方法を用いても良いが、具体的には、バインダー樹脂の重合前または途中に重合反応液に添加する方法、3本ロールなどを用いてバインダー樹脂にフィラーを混錬する方法、フィラーを含む分散液を用意しこれをバインダー樹脂に混合する方法などが挙げられる。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等を接着シート物性に影響を及ぼさない範囲で用いることもできる。
<その他添加剤>
この他、本発明の熱硬化性接着シートシートには、目的を損なわない範囲で任意成分として更に、エネルギー線吸収剤、染料、顔料、酸化防止剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、イオン捕集剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、赤外線吸収剤、電磁波シールド剤などを添加することができ、レーザー加工性向上の点から、エネルギー線吸収剤を配合することが好ましい。
<エネルギー線吸収剤>
エネルギー線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール骨格やヒドロキシフェニルトリアジン骨格などを有する化合物が例として挙げられる。具体的には、Tinuvin PS、Tinuvin99-2、Tinuvin326、Tinuvin384-2、Tinuvin900、Tinuvin928、Tinuvin970、Tinuvin1130、Tinuvin400、Tinuvin405、Tinuvin460、Tinuvin477、Tinuvin479(いずれもBASF社製)、ニューコートUVA-101、102、103、104、バナレジンUVA5080、UVA-55T、55MHB(いずれも新中村化学社製)などが挙げられる。エネルギー線吸収剤は、紫外-可視光の波長領域の355nm付近に吸収極大を有するものを用いることが好ましいが、適宜添加量を調整するなどして硬化物のエネルギー線透過率を所望のものとできるのであれば、特定の化学構造、組成に限定されず使用することができる。
<熱硬化性接着シートの製造方法>
本発明の熱硬化性接着シートは、熱硬化性接着シート形成用の熱硬化性接着剤を乾燥し、シート状にしたものである。
例えば、熱硬化性接着剤を剥離フィルムの片面に塗布後、含まれている有機溶剤等の液状媒体を通常40~150℃で除去・乾燥し、形成された熱硬化性接着シートの表面に別の剥離フィルムを積層するにより、両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを得ることができる。両面を剥離フィルムで積層することにより、熱硬化性接着シートの表面汚染を予防することができる。剥離フィルムを剥がすことによって、熱硬化性接着シートを単離することができる。
2つの剥離フィルムは、同種または異種のいずれも用いることができる。剥離性の異なる剥離フィルムを用いることによって、剥離力に強弱をつけることができるので順番に剥がしやすくなる。
塗布方法としては、例えば、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等、公知の方法を選択することができる。
熱硬化性接着シートの乾燥後の厚みは、十分な接着性を発揮させる為、また取り扱い易さの点から、5μm~500μmであることが好ましく、10μm~100μmであることが更に好ましい。
このようにして得られた熱硬化性接着シートを180℃で1時間加熱し硬化すると、(i)~(iv)の性質を呈する。
(i)硬化物の厚みが25μmであるとき、波長355nmのエネルギー線透過率が0~40%である。
(ii)比誘電率が、周波数10GHz、23℃において1.5~3.0である。
(iii)誘電正接が、周波数10GHz、23℃において0.0001~0.01である。
(iv)0℃~Tgにおける線膨張係数α1が100~500ppm/℃である。
[(i)エネルギー線透過率]
エネルギー線透過率 %Tは、式(2)で定義される。
式(2) %T=(I/I)×100
I=入射前の光の強度、I=透過後の光の強度
硬化物が厚み25μmであるときの波長355nmのエネルギー線透過率が0~40%であることで、硬化物にエネルギー線(入射光)が照射された際に、照射箇所で入射光を効率よく吸収し、硬化物の分解に必要な熱エネルギーへと変換することが可能となる。そのため、照射箇所以外へのエネルギー線の拡散、熱エネルギーの伝播を抑制することができるため、所望の範囲、形状に切削加工を施すことが可能となる。
エネルギー線を用いた切削加工では、通常所定の波長をピークとしたレーザー光が用いられ、波長355nmにおける硬化物のエネルギー線透過率が0~40%であることでレーザー光を用いた切削加工、即ちレーザー加工性が良好なものとできる。エネルギー線透過率は、0~20%であることがより好ましく、0~5%であることがさらに好ましい。
波長355nmにおける硬化物のエネルギー線透過率は、熱硬化性接着シートに含まれ得るエネルギー線吸収剤の種類、量によって制御することが好ましい。
[(ii)比誘電率、(iii)誘電正接]
本発明の熱硬化性接着シートの硬化物は、周波数10GHz、23℃における比誘電率が1.5~3.0、誘電正接が0.0001~0.01である。
比誘電率は1.5~2.8であることがより好ましく、1.5~2.6であることがさらに好ましい。誘電正接は0.0001~0.0050であることがより好ましく、0.0001~0.002であることがさらに好ましい
一般に電気信号の伝送損失は、配線周りの絶縁層の誘電特性等に起因する誘電体損失と、導体の形状、表皮抵抗、特性インピーダンス等に起因する導体損失からなるとされているが、高周波回路の場合は誘電体損失の影響が大きく、誘電体損失が材料の比誘電率の平方根と材料の誘電正接の積に比例して大きくなるため、比誘電率と誘電正接がいずれも小さい材料が求められている。誘電特性が上記の数値範囲であることで、電気信号の伝送損失の改善が期待できる。
10GHzにおける硬化物の比誘電率、誘電正接は、バインダー樹脂や硬化剤の種類や量によって制御することができる。
[(iv)線膨張係数α1]
本発明の熱硬化性接着シートを180℃で1時間加熱した硬化物は、0℃~Tgにおける線膨張係数α1が100~500ppm/℃であり、100~300ppm/℃であることが好ましく、100~250ppm/℃であることがさらに好ましい。
線膨張係数α1が100~500ppm/℃であることで、レーザー加工時のサイドエッチングを抑制することができる。サイドエッチングとは、後述するプリント配線板に対して、エネルギー線を用いたレーザー加工によりスルーホールやブラインドビア形成を行ったとき、図1や図2に示すように、所望の開口径よりも大きな欠損が接着層に発生した際の欠損のことを指す。また、線膨張係数α1が100~500ppm/℃であることで、ドリル加工によりスルーホール形成する際、接着界面の浮きや剥がれを効果的に抑制・防止できる。
α1が100以上だと、レーザー加工時やドリル加工時に発生する熱により硬化物が適度に伸び、被着体と硬化物との界面に応力がかかっても追従でき、浮きや剥がれの発生を効果的に抑制・防止できる。またα1が500以下の場合、レーザー加工時やドリル加工時に発生する熱により硬化物が伸びすぎず強度を保てるので、レーザー加工時のサイドエッチングを抑制・防止したり、ドリル加工時の衝撃による硬化物自体の破損を低減でき、浮きや剥がれの発生を効果的に抑制・防止したりできる。
硬化物の線膨張係数α1は硬化剤の種類や量、フィラーの種類や量によって制御することができる。
硬化物のガラス転移温度(Tg)の求め方について説明する。
ガラス転移温度(Tg)はDVA法(動的粘弾性分析法)測定装置等を使用して測定することができる。当該装置によって得られた硬化物についての粘弾性曲線から、各温度の貯蔵弾性率、および損失弾性率から、式(3)に従い、損失正接(tanδ)を各温度で算出し、プロットを行い、tanδ曲線が極大となる温度をTgとする。尚、極大点が複数存在する場合には、最も温度が低いものを硬化物のTgとする。
式(3)
(損失正接;tanδ)=(貯蔵弾性率)/(損失弾性率)
線膨張係数α1は、TMA法(熱機械分析法)測定装置等を使用して引張り法で、Tg以上まで昇温し、0~Tgの範囲の硬化物の長さ変化から求める。なお、引張り法は、測定対象である試料が弛まないように試料の両端を保持する方法である。
[(V)高温領域の貯蔵弾性率の比X]
本発明の熱硬化性接着シートの硬化物は、100℃~200℃における貯蔵弾性率が1.0×10~1.0×10Paであることが好ましく、1.0×10~1.0×10であることがより好ましい。硬化物の貯蔵弾性率は硬化剤の量やフィラー量によって制御することができる。
そして、本発明の熱硬化性接着シートの硬化物は、100℃~200℃という高温領域における貯蔵弾性率の最高値E’MAXと最低値E’minとから下記式(1)にて求められる、貯蔵弾性率の比X(貯蔵弾性率の変化率ともいう)が0.001~1.0であることが好ましい。
式(1)
X=E’min/E’MAX

高温領域の貯蔵弾性率の比Xが0.001~1.0の範囲にあることで、プリント配線板、および電子機器の実装工程における高温曝露工程(例えば、半田リフロー工程等)においても、硬化物が極端に軟化も硬くなったりもせず、被着体に対して十分な接着力を維持することが可能となる。Xは0.01~1.0であることがより好ましく、0.1~1.0であることがさらに好ましい。
また、本発明の熱硬化性接着シートは、被着体に貼付け、180℃、2MPaにて1時間熱プレスして形成される硬化した接着層と被着体との間の接着力が8N/cmより大きいことが好ましく、10N/cmより大きいことがより好ましく、12N/cmより大きいことがさらに好ましい。
ここでいう被着体とは、銅箔、ポリイミドフィルムを言う。これらに対し、8N/cmより大きい接着力を発現することによって、ドリル加工の衝撃にも十分耐えられ、半田リフロー前後での接着力変化の少ない銅張積層板やプリント配線板を得ることができる。
<剥離フィルム付き熱硬化性カバーシート>
剥離フィルム付き熱硬化性カバーシートは、剥離フィルムとカバー樹脂層との間に、熱硬化性接着シートが挟まれているものである。言い換えると、熱硬化性カバーシートは、両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートにおける一方の面の剥離性フィルムをカバー樹脂層に置き換えたものであり、製造方法も同様である。
カバー樹脂層は絶縁性フィルムであり、絶縁性フィルムとしては、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂を用いることができる。
絶縁性フィルムとしてのフッ素系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ジフルオロエチレン-トリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリビニリデンフルオライドからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
<熱硬化性接着シート、剥離フィルム付き熱硬化性接着シート、剥離フィルム付き熱硬化性カバーシートの利用>
本発明の剥離フィルム付き熱硬化性接着シート等を用いて、銅張積層板やプリント配線板を得ることができる。
銅張積層板は、銅箔と絶縁性フィルムとが、本発明の熱硬化性接着シートの硬化物である接着層を介して積層されたものである。
このような銅張積層板は、例えば、本発明の剥離フィルム付き熱硬化性接着シートから剥離性フィルムを順次剥がし、熱硬化性接着シート各面に銅箔と絶縁性フィルムをそれぞれ重ね(この工程を仮接着ということがある)、加熱、もしくは熱プレス工程を経ることにより、銅箔と絶縁性フィルムとの間の熱硬化性接着シートを熱硬化することにより得られる。
あるいは、絶縁性フィルム上に熱硬化性接着シート形成用の組成物を塗布・乾燥し、形成された熱硬化性接着シート上に銅箔を重ね、加熱、もしくは熱プレス工程を経ることにより、銅箔と絶縁性フィルムとの間の熱硬化性接着シートを熱硬化することにより、銅張積層板を得ることもできる。
銅張積層板は、銅箔/接着層/絶縁性フィルム/接着層/銅箔のように両面最外層をともに銅箔としてもよいし、さらに銅箔の内層を設けることもできる。複数の熱硬化性接着シートを利用して銅箔や絶縁性フィルムを積層する場合、仮接着を複数回経た後に、複数の熱硬化性接着シートの加熱硬化を1度に行うこともできる。
<プリント配線板>
銅張積層板における銅箔をエッチング等によって加工し、信号回路やグランド回路を形成し、プリント配線板を得ることができる。剥離フィルム付き熱硬化性カバーシートから剥離フィルムを剥がし、熱硬化性接着シート面を回路面に貼り合せ、加熱硬化することで、カバー樹脂層/接着シートの硬化物からなるカバーレイを形成し、信号回路を保護したり、更なる多層化のための基体として利用したりすることもできる。
信号回路やグランド回路を設ける方法としては、例えば、銅張積層板における銅箔上に感光性エッチングレジスト層を形成し、回路パターンを持つマスクフィルムを通して露光させて、露光部のみを硬化させ、次いで未露光部の銅箔をエッチングにより除去した後、残っているレジスト層を剥離するなどして、銅箔から導電性回路を形成することができる。
また、本発明のプリント配線板は銅張積層板を用いずに、得ることもできる。
例えば、ポリエステルやポリイミド、液晶ポリマー、PTFEフィルム等のフレキシブル性、絶縁性のあるプラスチックフィルム上に、導体パターンをプリント技術によって形成した後、導体パターンを覆うように、本発明の熱硬化性接着シートを介して保護層を重ね、加熱・加圧することによって、熱硬化性接着シートを硬化させ、保護層を設けたフレキシブルプリント配線板を得ることもできる。
あるいは、フレキシブル性、絶縁性のあるプラスチックフィルム上にスパッタリングやメッキ等の手段で必要な回路のみを設け、以下同様に、本発明の熱硬化性接着シートの硬化物を介して保護層が設けられたフレキシブルプリント配線板を得ることもできる。
さらに、複数のフレキシブルプリント配線の間に、本発明の剥離フィルム付き熱硬化性接着シートから剥離フィルムを剥がしてなる熱硬化性接着シートを挟み、加熱・加圧することによって、熱硬化性接着シートを硬化させ、多層フレキシブルプリント配線板を得ることもできる。
本発明のプリント配線板に、レーザー加工性によってブラインドビアやスルーホールといった開口や、ドリル加工によってスルーホールといった開口を設け、内層回路と外層回路との導通を確保することができる。
さらに、本発明のプリント配線板を用いて、スマートフォン、タブレット端末、カメラ等の各種電子機器を製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
なお、樹脂の酸価と重量平均分子量(Mw)とガラス転移温度(Tg)の測定は次の方法で行なった。
《バインダー樹脂の酸価の測定》
酸価はJIS K0070に準じて測定した。共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密
に量り採り、テトラヒドロフラン/エタノール(容量比:テトラヒドロフラン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬が淡紅色を30秒間保持した時を終点とした。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
式(5)
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
《原料》
・バインダー樹脂1:FG1901GT(マレイン酸変性されたスチレン系エラストマー)、酸価10mgKOH/g(クレイトン社製)
・バインダー樹脂2:ユーメックス1001(マレイン酸変性されたポリプロピレン)、酸価26mgKOH/g(三洋化成社製)
・バインダー樹脂3:ポリイミド樹脂、酸価8.6mgKOH/g、重量平均分子量は54000、Tgは50℃(トーヨーケム社製)
・バインダー樹脂4:ポリアミド樹脂、酸価10.6mgKOH/g、重量平均分子量は21200、Tgは50℃(トーヨーケム社製)
・バインダー樹脂5:バイロン637、酸価5mgKOH/g、重量平均分子量は30000、Tgは21℃のポリエステル樹脂(東洋紡社製)
硬化剤1:「YX-8800」(グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq)三菱ケミカル社製
硬化剤2:「TKA-100」(イソシアヌレート型イソシアネート化合物、イソシアネート当量:180g/eq、旭化成社製)
硬化剤3:「ケミタイトPZ-33」(日本触媒社製)
硬化剤4:「カルボジライトV―05」(カルボジイミド当量:262g/eq、日清紡ケミカル社製)
硬化剤5:「ETERNACOLL OXBP」(宇部興産社製)
硬化剤6:「オルガチックスZC-150」(有機ジルコニア化合物、マツモトファインケミカル社製)
硬化剤7:「リカシッド TMTA-C」(新日本理化社製)
エネルギー線吸収剤:「Tinuvin326」BASFジャパン社製
フィラー1:「エクソリットOP935」(ホスフィン酸アルミニウム塩、平均粒径D50;2.5μm)クラリアント社製
フィラー2:「SC2050-MB」(シリカ、平均粒径D50;0.5μm)アドマテックス社製
[実施例1]
<<熱硬化性接着剤組成物の製造>>
固形分換算でバインダー樹脂1を100部、硬化剤1を5部、エネルギー線吸収剤を3部容器に仕込み、不揮発分濃度が20%になるように混合溶剤(トルエン:MEK=9:1(重量比))を加えディスパーで10分攪拌して熱硬化性接着剤組成物を得た。
<<両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートの製造>>
得られた熱硬化性接着剤組成物を、ドクターブレードを使用して乾燥後の厚さが25μmとなるように厚さ50μmの重剥離フィルム(重離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)上に均一塗工して100℃で2分乾燥させた後、室温まで冷却し片面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを形成した。
次いで、得られた片面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートの熱硬化性接着シート面を厚さ50μmの軽剥離フィルム(軽離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に重ね合わせ、重剥離フィルム/熱硬化性接着シート/軽剥離フィルムからなる両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを得た。
後述する方法に従って、熱硬化性接着シートの硬化物について、波長355nmのエネルギー線透過率、比誘電率、誘電正接、線膨張係数α1、貯蔵弾性率を求めた。また、後述する方法に従って、熱硬化性接着シートを用いてなる積層体について、接着力、レーザー加工性、ドリル加工性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2~36、比較例1~3]
表1~4に示すように、バインダー樹脂、硬化剤、エネルギー線吸収剤、フィラーの種類や量を変更した以外は、実施例1と同様にして、両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートをそれぞれ得、同様に評価した。
<波長355nmのエネルギー線の透過率>
両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを180℃、2MPaにて1時間熱プレスし、得られたサンプルを50mm×50mmに切り出し、両面に付いている剥離フィルムを剥離し、厚さ25μmの硬化物を得た。紫外可視近赤外分光光度計(製品名「V―570」、日本分光社製)を用いて、波長355nmの光における透過率を測定した。
[比誘電率、誘電正接、線膨張係数α1、貯蔵弾性率測定用試験片の作製]
両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを4枚用意し、剥離フィルムを順次剥がし、露出した熱硬化性接着シート同士を重ね合わせ、真空ラミネーター(ニチゴーモートン製 小型加圧式真空ラミネーターV-130)で貼り合せることで厚さ100μmの熱硬化性接着シートが、重剥離フィルムと軽剥離フィルムの間に挟まれた両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを得た。尚、真空ラミネート条件は加熱温度90℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒で行った。
次いで、両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートを180℃、2MPaにて1時間プレスし、剥離フィルムを剥がし、熱硬化性接着シートの硬化物を測定用試験片とした
<比誘電率、および誘電正接>
測定用試験片を、23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間以上保管後、同温湿度環境下、エー・イー・ティー社製の誘電率測定装置を用い、空洞共振器法により、測定周波数10GHzにおける比誘電率および誘電正接を求めた。
<線膨張係数α1>
TMA SS6100(SII社製)を用い、3mm×10mmの大きさの測定用試験片について、引張法(治具;石英ガラス製、荷重;19.6mN)にて、0℃まで冷却後、昇温速度5℃/分で0℃からTg(測定方法は後述)以上の温度である250℃まで昇温させ、熱硬化性接着シートの硬化物の線膨張係数α1(ppm/℃)を求めた。
<ガラス転移温度(Tg)、貯蔵弾性率>
5mm×30mmの大きさの測定用試験片について、動的粘弾性測定装置「DVA200」(アイティー計測制御(株)製)を用い、0℃まで冷却後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温させ、振動周波数10Hzで粘弾性を測定した。
得られた粘弾性曲線から、各温度の貯蔵弾性率、および損失弾性率から損失正接(tanδ)を各温度で算出し、プロットを行い、tanδ曲線が極大となる温度をTgとした。尚、極大点が複数存在する場合には、最も温度が低いものを硬化物のTgとした。
表1~4には100℃、150℃、200℃における貯蔵弾性率と、それらの最高値E’MAX、および最低値E’minを式(1)にあてはめ、高温領域における貯蔵弾性率の比Xを求めた。
式(1)
X=E’min/E’MAX
[[接着強度]]
[接着強度評価用サンプルAの作製]
両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートから軽剥離フィルムを剥がし、露出した熱硬化性接着シート面を、50μmのポリイミドフィルムと12μmの銅箔とが積層されてなる片面銅張積層板の銅箔側に真空ラミネーター(ニチゴーモートン製 小型加圧式真空ラミネーターV-130)で仮接着した。尚、真空ラミネート条件は加熱温度90℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒であった。
次いで、重剥離フィルムを剥がし、露出した熱硬化性接着シート面に、2枚目の片面銅張積層板の銅箔側を同様に真空ラミネーターにて仮接着した後、熱プレスにて180℃、1時間、2MPaで、熱硬化性接着シートを熱硬化させ、ポリイミドフィルム/銅箔/熱硬化性接着シートの硬化物/銅箔/ポリイミドフィルムという積層構成の評価用サンプルAを作製した。
[接着性評価用サンプルBの作製]
2枚の片面銅張積層板のポリイミドフィルム同士を熱硬化性接着シートの硬化物で貼り合せた以外はサンプルAの場合と同様にして、銅箔/ポリイミドフィルム/熱硬化性接着シートの硬化物/ポリイミドフィルム/銅箔という積層構成の評価用サンプルBを作製した。
「耐熱性試験前・後の接着強度」
評価用サンプルA、Bから幅100mm、長さ100mmの試験片を切り出した。
23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間以上保管し、その後288℃の溶融半田に3分間浮かべる半田フロート試験前・後の接着強度を、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで90°ピール剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。なお、半田フロート試験後の場合は、試験後、23℃相対湿度50%の雰囲気下で24時間以上保管した後、接着強度(剥離力)を測定した。
◎・・・12N/cm以上。極めて良好な結果である。
〇・・・10N/cm以上、12N/cm未満。良好な結果である。
△・・・8N/cm以上、10N/cm未満。 実用範囲内である。
×・・・8N/cm未満。実用不可。
[[レーザー加工性]]
[評価用サンプルCの作製]
両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シートから軽剥離フィルムを剥がし、露出した熱硬化性接着シート面を、50μmのポリイミドフィルムの両面に12μmの銅箔が積層されてなる両面銅張積層板の一方の面の銅箔に、仮接着した。
次いで、重剥離フィルムを剥がし、露出した熱硬化性接着シート面に、50μmのポリイミドフィルムと12μmの銅箔とが積層されてなる片面銅張積層板のポリイミドフィルム側を同様に真空ラミネーターにて仮接着した後、熱プレスにて180℃、1時間、2MPaで熱硬化させ、銅箔/ポリイミドフィルム/銅箔/熱硬化性接着シートの硬化物/ポリイミドフィルム/銅箔という積層構成の評価サンプルCを得た。
「評価方法」
上記のサンプルCに対し、UV-YAGレーザー(Model5330、ESI社製)を用いて、図1の上面よりレーザーを照射し、接着層と両面銅張積層板との境界まで直径150μmのブラインドビア加工を行った。
次いで、ブラインドビア部の断面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK-X100)にて倍率20~500倍程度で観察し、熱硬化性接着シートの硬化物に生じたサイドエッチング(設計した開口径以上に水平方向が削られること)の最大長を測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:5μm以下。極めて良好な結果である。
〇:5μmより大きく7μm以下 良好な結果である。
△:7μmより大きく10μm以下 実用範囲内である。
×:10μmより大きい 実用不可。
[[ドリル加工性]]
レーザー加工性評価用と同じ評価用サンプルAに対し、図3の上面より、NC穴あけ加工機(日立ビアメカニクス社:ND-1V212)を用いて、回転数2000~6000回転/分で直径200μmのスルーホールを10点形成した。各スルーホール部の断面をレーザー顕微鏡、または電子顕微鏡(倍率20~500倍程度)にて観察し、以下の基準で評価を行った。
◎:全てのスルーホールで接着層と銅箔との界面、接着層とポリイミドフィルムの界面に浮きや剥がれが全くみられない。 極めて良好な結果である。
〇:接着層と銅箔との界面、接着層とポリイミドフィルムの界面に浮きや剥がれがみられたスルーホールが1~2点確認された。 良好な結果である。
△:接着層と銅箔との界面、接着層とポリイミドフィルムの界面に浮きや剥がれがみられたスルーホールが3~4点確認された。 実用範囲内である。
×:接着層と銅箔との界面、接着層とポリイミドフィルムの界面に浮きや剥がれがみられたスルーホールが5点以上確認された。 実用不可。
Figure 2022017947000002
Figure 2022017947000003
Figure 2022017947000004
Figure 2022017947000005
本発明の熱硬化性接着シートにより、誘電率および誘電正接がいずれも低く、良好なレーザー加工性とドリル加工性に優れ、半田リフロー前後で高い接着力を維持できるプリント配線板を提供できる。これらは、高周波電気信号を必要とする種々の電子機器の製造に好適である。
1 銅箔
2 絶縁性フィルム
3 接着層
4 サイドエッチング

Claims (11)

  1. バインダー樹脂と硬化剤とを含む熱硬化性接着シートであって、
    前記熱硬化性接着シートを180℃で1時間加熱した硬化物が、(i)~(iv)を満たすことを特徴とする熱硬化性接着シート。
    (i)硬化物の厚みが25μmであるとき、波長355nmのエネルギー線透過率が0~40%である。
    (ii)比誘電率が、周波数10GHz、23℃において1.5~3.0である。
    (iii)誘電正接が、周波数10GHz、23℃において0.0001~0.01である。
    (iv)0℃~ガラス転移温度における線膨張係数α1が100~500ppm/℃である。
  2. 前記硬化物の100℃~200℃における貯蔵弾性率が1.0×10~1.0×10Paであり、100℃~200℃における貯蔵弾性率の最高値E’MAXと最低値E’minとから下記式(1)にて求められる貯蔵弾性率の比Xが0.001~1.0であることを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性接着シート。
    式(1)
    X=E’min/E’MAX
  3. 前記熱硬化性接着シートを被着体に貼付け、180℃、2MPaにて1時間熱プレスして形成される硬化した接着層と被着体との間の接着力が8N/cmより大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性接着シート。
  4. 前記バインダー樹脂が、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載の熱硬化性接着シート。
  5. 前記硬化剤が、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、アジリジニル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、および金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1~4いずれか1項に記載の熱硬化性接着シート。
  6. 前記バインダー樹脂は、スチレン系エラストマー、ポリイミド、およびポリアミドからなる群より選択されることを特徴とする,請求項1~5いずれか1項に記載の熱硬化性接着シート。
  7. 第1および第2の剥離フィルムの間に、請求項1~6いずれか1項に記載の熱硬化性接着シートが挟まれている、両面剥離フィルム付き熱硬化性接着シート。
  8. 剥離フィルムとカバー樹脂層との間に、請求項1~6いずれか1項に記載の熱硬化性接着シートが挟まれている、剥離フィルム付き熱硬化性カバーシート。
  9. 銅箔と絶縁性フィルムとが、請求項1~6いずれか1項に記載の熱硬化性接着シートの硬化物である接着層を介して積層されている、銅張積層板。
  10. 請求項1~6いずれか1項に記載の熱硬化性接着シートを用いてなる、プリント配線板。
  11. 請求項10記載のプリント配線板を用いてなる電子機器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024048000A1 (ja) * 2022-08-31 2024-03-07 富士フイルム株式会社 組成物、及び、フィルム

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