JP2022016605A - 7型コラーゲンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示は、精製rC7を調製する方法を提供する。これらの精製方法は、従来の方法を超えてrC7の収率を著しく高め、かつヒトへの投与に使用しうる高純度の工業規模のrC7組成物を調製するために使用可能である。
a)細胞培養から採取された上清をデプスフィルタに供するステップであって、上清は組換えヒト7型コラーゲンを含有する、ステップ;
b)デプスフィルタを通り抜ける溶液を収集するステップ;
c)ステップb)からの溶液を限外濾過ステップに供するステップであって、組換えヒト7型コラーゲンは限外濾過膜に隣接する層の中に集積する、ステップ;
d)第1の保持液を廃棄するステップであって、第1の保持液は、ステップ(b)からの溶液中に含まれた不純物を含んでなる、ステップ;
e)組換えヒト7型コラーゲンを回収し、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる第2の保持液を得るために、限外濾過膜に隣接する層を可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方に供するステップ;
f)組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる未精製バルク液体を得るために第2の保持液を透析濾過ステップに供するステップ;並びに
g)任意選択で未精製バルク液体を凍結するステップ
を含んでなる方法に関する。
a)組換えヒト7型コラーゲンを生産する宿主細胞を培養するステップ;及び
b)培養された宿主細胞から上清を採取するステップ
をさらに含んでなる。
ある実施形態では、可溶化剤は、尿素、チオ尿素、アルギニン、ブタノール、エタノール、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、フェノール、プロパノール、硫酸ドデシルナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸(glutamic)、アスコルビン酸、グルタミン、アスパラギン、及びグアニジンのうち少なくとも1つを含んでなる。1つの実施形態では、可溶化剤はアルギニンを含んでなる。
a)組換えヒト7型コラーゲンを含有する試料を、混合モードのフロースルー式樹脂に供するステップであって、混合モードのフロースルー式樹脂はリガンド活性化コア及び不活性シェルを含んでなり、不活性シェルは組換えヒト7型コラーゲンがリガンド活性化コアに入るのを防止し、かつ十分に小さい不純物は不活性シェルを通り抜けてリガンド活性化コアに結合する、ステップ;
b)混合モードのフロースルー式樹脂を通り抜け、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含有する、第1の流出液を収集するステップ;
c)ステップb)からの第1の流出液を、組換えヒト7型コラーゲンが陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂に結合することを可能にする条件下で陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂に供するステップ;
d)陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂から組換えヒト7型コラーゲンを溶出させるステップ;
e)ステップd)からの溶出した組換えヒト7型コラーゲンを、フロースルーモードの疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂に供し、疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂を通り抜ける第2の流出液を収集するステップ;
f)ステップe)の第2の流出液を、組換えヒト7型コラーゲンを濃縮するために限外濾過ステップに供するステップ;
g)ステップf)からの濃縮された組換えヒト7型コラーゲンを、バッファーを用いて透析濾過するステップ;並びに
h)精製された組換えヒト7型コラーゲンを回収するステップ
を含んでなり、
1以上のウイルス低減ステップ及びエンドヌクレアーゼ処理ステップを含んでなる方法に関する。
ある実施形態では、方法は、ステップf)に先立ち、ステップe)からの第2の流出液に可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を添加するステップをさらに含んでなる。
ある実施形態では、バッファーは、少なくとも1つの塩、可溶化剤、及び糖質を含んでなる。
ある実施形態では、ステップa)における試料は少なくとも25グラムの組換えヒト7型コラーゲンを含有する。
ある実施形態では、ステップh)の精製された組換えヒト7型コラーゲンは、宿主細胞タンパク質を組換えヒト7型コラーゲン1mgあたり2000ng以下、好適には1000ng/mg以下、及びより好適には600ng/mg以下しか含有しない。
a)細胞培養から採取された上清をデプスフィルタに供するステップであって、上清は組換えヒト7型コラーゲンを含有する、ステップ;
b)デプスフィルタを通り抜ける溶液を収集するステップ;
c)ステップb)からの溶液を限外濾過ステップに供するステップであって、組換えヒト7型コラーゲンは限外濾過膜に隣接する層の中に集積する、ステップ;
d)第1の保持液を廃棄するステップであって、第1の保持液は、ステップ(b)からの溶液中に含まれた不純物を含んでなる、ステップ;
e)組換えヒト7型コラーゲンを回収し、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる第2の保持液を得るために、限外濾過膜に隣接する層を可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方に供するステップ;
f)組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる未精製バルク液体を得るために第2の保持液を透析濾過ステップに供するステップ;並びに
g)任意選択で未精製バルク液体を凍結するステップ
をさらに含んでなる。
*1mgのrC7あたり2000ng以下の宿主細胞タンパク質、好適には1000ng/mg以下、及びより好適には600ng/mg以下;
*1mgのrC7あたり42pg以下の宿主細胞DNA、好適には25pg/mg以下、及びより好適には15pg/mg以下;
並びに/又は
*1mgのrC7あたり1.0EU/mg以下のエンドトキシン、好適には0.70EU/mg以下、及びより好適には0.50EU/mg以下
しか含有しない。
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、ある特定の実施形態を例証しており、かつ文書での記述と共に、本明細書中に開示された組成物及び方法のある一定の法則について説明する役割を果たす。
1.定義
本発明のより容易な理解のために、ある特定の用語については最初に以下に定義する。以降の用語及びその他の用語のさらなる定義は本明細中の各所に明記されている。
ルエンザワクチン、及びさらなる薬剤の、薬学的送達に適した組成物及び調合物について述べている。一般に、担体の性質は、使用されている特定の投与方式に応じて変化することになろう。例えば、非経口用の調合物は通常、ビヒクルとして水、生理的食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロールなどのような薬学的かつ生理学的に許容可能な流体を含む注射可能な流体を含んでなる。固形組成物(例えば、粉末、ピル、錠剤、又はカプセルの形態)については、従来の非毒性固形担体として例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。生物学的に中立な担体に加えて、投与される医薬組成物は、微量の無毒な補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレートを、含有することが可能である。
動物モデルを過ぎて臨床試験へとrC7の開発を進めるために、ヒトで使用するためのrC7を生産することができる規模拡大可能なプロセスが開発された。大規模細胞培養からrC7を精製するためのプロセスを開発しようとするとき、本発明者らが見出したのは、rC7が、「粘着性」と、特にPBSバッファー中で調合された時に高いタンパク質濃度では沈殿する傾向とを示して、rC7の溶解度が限定的なものとなり工業規模の精製方法の際にかなりの量のタンパク質の喪失が生じる、ということである。PBSバッファー中のrC7の溶解度は約0.4mg/mLに限られ、0.4mg/mLを上回るとかなりの沈殿及び粘稠度の問題を伴う。PBSバッファー中のrC7の溶解度(solubility rC7)を約0.8mg/mLまで高めることは可能であったが、規模拡大や、又は限外濾過/透析濾過(UF/DF)のような従来の精製プロセスとの両立が不可能な、まさに特有の実験室条件下でのみのことであった。
a)rC7を含有している採取された細胞培養上清を(例えば、デプスフィルタを使用して)清澄化するステップ;
b)清澄化されたrC7組成物を(例えば、限外濾過膜を使用して)濃縮するステップ
c)濃縮rC7組成物を透析濾過するステップ;及び
g)任意選択で未精製バルク液体を凍結するステップ
を含んでなる方法を提供する。
a)rC7を生産する宿主細胞を培養するステップ;及び
b)培養された宿主細胞から上清を採取するステップ
をさらに含んでなる。
a)rC7を含有している試料を:
*混合モードクロマトグラフィ、フロースルー式樹脂;
*陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂;
*フロースルーモードの疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)樹脂;
に供するステップ;
b)HIC樹脂からの溶出液中のrC7を(例えば、限外濾過膜を使用して)濃縮するステップ;
c)濃縮rC7組成物を透析濾過するステップ;及び
d)精製されたrC7を回収するステップ
を含んでなる方法を提供する。
これらの捕捉及び精製方法の様々な特徴及び実施形態は、以下に一層詳細に説明される。
rC7は、当業者に周知の標準的な細胞培養手順を使用して工業規模で生産可能である。典型的には、rC7をコードする核酸を宿主細胞に導入し、該宿主細胞を適切な細胞培養条件下で増殖させる。7型コラーゲンは好適にはヒトの7型コラーゲンである。ヒト7型コラーゲンをコードする核酸配列は当分野において既知である。rC7は細胞培養上清中に分泌される。rC7の工業規模生産については、培養細胞を典型的には大型バイオリアクタ中で増殖させる。ある実施形態では、バイオリアクタは灌流バイオリアクタである。他の実施形態では、バイオリアクタは流加培養式バイオリアクタである。ある実施形態では、細胞培養は、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも5000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、又は少なくとも20,000リットルの細胞培養体積を用いてバイオリアクタ中で宿主細胞を培養することを含んでなる。ある実施形態では、バイオリアクタは灌流バイオリアクタであり、灌流バイオリアクタ中の細胞培養の量は少なくとも200リットル、より好適には少なくとも1500リットルである。
1つの態様では、本発明は、細胞培養上清からrC7を収集及び濃縮して未精製バルク液体とし、該液体は任意選択で凍結される、捕捉プロセスに関する。この態様は、rC7が採取、清澄化、及び濃縮される、上流の処理とも呼ばれる。一般的な上流プロセスの一実施形態を示すフローチャートを、図1に示す。図2は、rC7を捕捉するために使用される具体的な上流プロセスの一実施形態を示す。
バイオリアクタからの上清を収集し、適切な保管温度、典型的には2~8℃に維持する。典型的には、清澄化プロセスを開始する前に上清が未処理の状態におかれるのは1日未満である。細胞を灌流バイオリアクタ中で増殖させる場合、上清は、5~30、10~25、又は15~20日間、好適には20日間にわたって一日単位のバッチとして採取する。
採取した上清を、例えば生菌及び細胞残屑を除去するために、かつUF/DFステップに先立ちバイオバーデン及び他の微粒子を低減するために、清澄化することができる。当業者に既知の任意の清澄化プロセス、例えば濾過、精密濾過、遠心分離、クロマトグラフィ及びその他同種のものなどを使用可能である。
上流プロセスのある実施形態では、rC7組成物を、当業者に既知の多くのプロセス、例えば透析、クロマトグラフィ、限外濾過及び同種のもののうちのいずれか1つによって濃縮する。
濾過滅菌ステップが本方法に含まれてもよく、該ステップはバイオバーデンの除去に役立つ。例えば、UF/DFステップに続いて、UPBを、例えば修飾ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(EMDミリポア)のような0.22ミクロンのフィルタを使用して、濾過滅菌することが可能である。修飾PVDFに加えて、滅菌フィルタは、当分野において良く知られかつ当業者に入手可能な様々な他の材料で構築されていてもよい。これらには、限定するものではないが、ポリプロピレン、セルロース、セルロースエステル、ナイロン、ポリエーテルスルフォン、又は任意の他の材料であって、生産物との結合性が低いことと矛盾しないものが挙げられる。濾過滅菌されたrC7組成物は、凍結して保管するか、又はその後の使用の準備が完了するまで2~8℃に保持することが可能である。
任意の捕捉プロセスによって収集されたrC7を含むいかなるrC7試料も、該rC7試料を混合モードのフロースルー式樹脂、続いて陽イオン交換クロマトグラフィ、フロースルーモードの疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂、並びに最後の濃縮及び任意選択のバッファー交換(例えばUF/DF)のステップに供することにより、さらに精製することが可能である。図3。該精製方法はさらに、1以上のウイルス低減ステップ及びエンドヌクレアーゼ処理ステップを包含することが好ましい。この精製プロセスから回収されたrC7は純度が高く、かつフィブロネクチン結合活性を保持している。精製rC7は、ヒトでの使用に適していることが好ましい。
混合モードのフロースルー式樹脂は、2つの一般的な精製技法すなわち:サイズ排除及び結合分離を兼ね備える。混合モードのフロースルー式樹脂は、リガンド活性化コア及び不活性シェルを含んでなる。不活性シェルはサイズ排除の構成要素として機能し、かつrC7のようなより大きな分子がリガンド活性化コアに入るのを防止する。不活性シェルは、所望の分画分子量を設定するために様々な細孔径を有する。ある実施形態では、不活性シェルの分画分子量は、200~1500kDa、より好適には500~900kDa、最適には約700kDaである。
陽イオン交換クロマトグラフィの原理は当分野で良く知られているが、簡潔に述べると、この方法は、単離されるべき粒子と使用される樹脂との間の静電的相互作用に依存している。陽イオン交換カラムは固定化された負の電荷を有する構成部分を含有している。rC7は生理的pH範囲では正の電荷を有するので、カラムは、陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂へのrC7の結合を伴う結合溶出モードで操作される。
ogel EMD SO3M、Toyopearl(登録商標)Megacap(登録商標)II SP 550C、Poros(登録商標)50 HS及びSP‐Sepharose(登録商標)FFマトリックスが挙げられる。ある実施形態では、陽イオン樹脂はスルホプロピル基を含んでなる。
疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)は、分子をその疎水性に基づいて分離する。HICは、分子を、これらの分子とHIC樹脂の疎水性表面(例えば、疎水性のリガンドで修飾されたポリマーマトリックス)との間の可逆的相互作用を使用して、該分子の表面の疎水性の差に従って分離する。典型的には、疎水性分子とHICマトリックスのリガンドとの間の相互作用は、ランニングバッファー中のコスモトロピック塩の存在によって影響を受ける。高い塩濃度は相互作用を増強する一方、塩濃度を低下させると相互作用が弱まる。バッファーのイオン強度を低下させるにつれて、分子とマトリックスとの間の相互作用は覆され、疎水性の度合いの最も低い分子が最初に溶出される。最も疎水性の高い分子は、相互作用を覆すためにより大きな塩濃度の低減を必要として、最後に溶出する。
下流プロセスのある実施形態では、rC7組成物は、当業者に既知の多くのプロセスのうち任意のもの、例えば透析、クロマトグラフィ、限外濾過及び同種のものによって濃縮される。
濾過滅菌ステップが本方法に含まれてもよく、該ステップはバイオバーデンの除去に役立つ。例えば、UF/DFステップに続いて、精製rC7組成物を、例えば修飾ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(例えば、EMDミリポア)のような0.22ミクロンのフィルタを使用して濾過滅菌することが可能である。修飾PVDFに加えて、滅菌フィルタは、当分野において良く知られかつ当業者に入手可能な様々な他の材料で構築されていてもよい。これらには、限定するものではないが、ポリプロピレン、セルロース、セルロースエステル、ナイロン、ポリエーテルスルフォン、又は任意の他の材料であって、生産物との結合が低いことと矛盾しないものが挙げられる。ある実施形態では、界面活性剤(例えばポリソルベート)が、濾過滅菌の前又は後、好適には前に、rC7組成物に添加されることが好ましい。ある実施形態では、界面活性剤(例えばポリソルベート)は、2~0.01%(v/v)、1.0~0.05%(v/v)、又は約0.05%(v/v)の終濃度となるように添加される。濾過滅菌されたrC7組成物を凍結及び保管するか、又は望ましい場合には、その後の調合のために2~8℃に保持することが可能である。
ある実施形態では、下流プロセスは1以上のウイルス低減ステップを含む。ウイルスは、不活性化されるか又は組成物から物理的に除去される(又は両方である)場合に、「低減」される。いくつかの実施形態では、ウイルス低減ステップは混合モードのフロースルーステップの前に行なわれる。いくつかの実施形態では、ウイルス低減ステップは混合モードのフロースルーステップの後に行なわれる。いくつかの実施形態では、ウイルス低減ステップは混合モードのフロースルーステップの前及び後の両方において行なわれる。いくつかの実施形態では、ウイルス低減ステップは、疎水性相互作用クロマトグラフィのステップの後及びUF/DFステップの前に行なわれる。いくつかの実施形態では、第1のウイルス低減ステップは混合モードのフロースルーステップの前に行なわれ、第2のウイルス低減ステップは混合モードのフロースルーステップの後及び疎水性相互作用クロマトグラフィステップの前に行なわれ、かつ第3のウイルス低減ステップは疎水性相互作用クロマトグラフィステップの後及びUF/DFステップの前に行なわれる。
ある実施形態では、下流の処理には、エンドヌクレアーゼを用いてrC7を含有する組成物を処理するステップが含まれる。エンドヌクレアーゼは、好適にはDNA及びRNAの両方を分解するエンドヌクレアーゼである。1つの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、Benzonase(登録商標)(EMDミリポア)と称して販売されている、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens )由来の遺伝子操作されたエンドヌクレアーゼ(イーブス(Eaves )、G.N.ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J. Bact.)、1963年、第85巻、p.273-278;ネスレ(Nestle)、M.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、1969年、第244巻、p.5219-5225)である。該酵素は、pNUC1生産プラスミドを含有している、K12株の突然変異体である大腸菌W3110株(米国特許第5,173,418号明細書、この文献は参照によりその全体がここで本願に援用される)から生産されて精製される。構造上、該タンパク質は、2つの重要なジスルフィド結合を備えた、同一の245アミノ酸で約30kDaのサブユニットの二量体である。Benzonase(登録商標)は、全ての形態のDNA及びRNA(一本鎖、二本鎖、直線状及び環状)を分解し、かつ広範囲の作用条件にわたり有効であって、核酸を分解して長さ2~5塩基の5’‐モノホスファートを終端としたオリゴヌクレオチドとする。Benzonase(登録商標)は現行の適正製造規範(cGMP)の下で生産され、よって、医薬用タンパク質の精製のための工業規模でのプロセスにおいて使用可能である。
本開示によって精製されたrC7は、薬学的に有用な組成物を調製するために既知の方法によって調合可能である。本開示の組成物は、当分野で既知の技法を使用して、哺乳動物の対象者、好適にはヒトへの投与のために調合可能である。特に送達システムは、筋肉内、皮内、粘膜、皮下、静脈内、注射可能なデポ剤型デバイス、又は局所への投与用に調合することができる。送達システムが溶液又は懸濁液として調合される場合、該送達システムは、許容可能な担体中に、好適には水性担体中に含まれる。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.8%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用することができる。これらの組成物は従来の良く知られた滅菌技法によって滅菌されてもよいし、濾過滅菌されてもよい。結果として生じる水溶液は、そのまま使用するために包装されても、凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製物は投与に先立ち滅菌溶液と組み合わされる。
実施例
実施例1:上流の処理
第1回の実行及び第2回の実行は、未精製バルク(UPB)を生産するために、20の清澄化された採取物に、限外濾過/透析濾過(UF/DF)による10回の捕捉を伴って、成功裡に完了した。UF/DFは接線流濾過(TFF)によって実施した。第1回の実行からの102.9グラムのrC7を含有する2241LのUPB、及び第2回の実行からの92.1gのrC7を含有する1052LのUPBの合計が、下流の処理のために生産され、清澄化については70%及び捕捉プロセスについては60%の平均収率が示された。
最後に、UPBの品質の尺度として、rC7の宿主細胞タンパク質(HCP)に対する比率を純度の単純な尺度として評価した。図5は、2回の実行についてのrC7:HCP比をまとめたものであり、初期及び後期の両方の採取物についてはより高いrC7:HCP値を示している。
rC7精製プロセスの一般化した概略図を図6に示す。実施例1からの未精製バルク(UPB)を融解し、CAPTO(商標)Core700(GEヘルスケア・ライフ・サイエンシズ(GE Healthcare Life Sciences ))指定の装荷量を目標としてプールした。意図した目標のCAPTO Core700(GEヘルスケア・ライフ・サイエンシズ)装荷量は、樹脂1Lあたり1.0gのrC7である(UPBの濾過及び短波長紫外線の操作について100%の力価収率を仮定)。装荷の詳細は以下の表2に詳述されている。
プールしたUPBは、下流の処理に備えて微粒子の除去及びバイオバーデンの低減を行うために、0.45及び0.2μmのフィルタに通して濾過した。濾過したUPBを、UVIVATEC(登録商標)(ザルトリウス)システムを使用して短波長紫外線照射に供した。ウイルスが不活性化されたUPBをプールして0.2μmフィルタに通して濾過した。
PPG 600M(トーソー・バイオサイエンシズ(Tosoh Biosciences ))樹脂をフロースルーモードで使用した。Benzonase(商標)で処理したプールを18℃に冷却し、次に1M MES、酸を使用してpH6.0に調整した。次いで5M NaClを終濃度1.5Mまで添加し、0.45/0.2μmフィルタに通して濾過してからPPGカラムに装荷した。不純物は樹脂に結合する一方、rC7は0.02M MES、1.5M NaCl中でpH6.0においてカラムを通過する。通過画分の収集は装荷の開始後0.4CVで始め、1.5CVの洗浄の後に終了した。
請求項の要素を修飾するための特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」などのような順序を示す用語の使用は、それ自体で1つの請求項の要素が別の要素を上回る何らかの優先度、優先順位、若しくは順序を、又は方法の行為が実施される一時的な順序を意味するものではなく、単に、請求項の要素を識別するために、ある名前を有している1つの請求項の要素を同一の名前(順序を示す用語の使用を別とする)を有している別の要素から識別するためのラベルとして使用されている。
参照文献
1.ハラルソン(Haralson)M.A.及びハッセル(Hassell )J.R.編「細胞外マトリックス 実践的アプローチ(Extracellular Matrix A Practical Approach )」、オックスフォード大学出版局、1995年の中の、バージソン(Burgeson)R.E.著「第4C章.VII型コラーゲン(Chapter 4C. Type VII Collagen )」。
Claims (21)
- 細胞培養からの組換えヒト7型コラーゲン生成物を捕捉する方法において、
a)細胞培養から採取された上清をデプスフィルタに供するステップであって、上清は組換えヒト7型コラーゲンを含有する、上清をデプスフィルタに供するステップと、
b)デプスフィルタを通り抜ける溶液を収集するステップと、
c)ステップb)からの溶液を限外濾過ステップに供するステップであって、組換えヒト7型コラーゲンは限外濾過膜に隣接する層の中に集積する、溶液を限外濾過ステップに供するステップと、
d)第1の保持液を廃棄するステップであって、第1の保持液は、ステップb)からの溶液中に含まれた不純物を含んでなる、第1の保持液を廃棄するステップと、
e)組換えヒト7型コラーゲンを回収し、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる第2の保持液を得るために、限外濾過膜に隣接する層を可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方に供するステップと、
f)組換え7型コラーゲンを含んでなる未精製バルク液体を得るために第2の保持液を透析濾過ステップに供するステップと、
g)任意選択で未精製バルク液体を凍結するステップと
を備え、
前記可溶化剤は尿素、チオ尿素、アルギニン、ブタノール、エタノール、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、フェノール、プロパノール、硫酸ドデシルナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、グルタミン、アスパラギン、及びグアニジンのうち少なくとも1つを含有する、方法。 - ステップa)の前に:
I)組換えヒト7型コラーゲンを生産する宿主細胞を培養するステップ;及び
II)培養された宿主細胞から上清を採取するステップ
をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。 - 未精製バルク液体は、ステップb)から収集された上清中の組換えヒト7型コラーゲンのうち40~80%を含有する、請求項1に記載の方法。
- 細胞培養は、少なくとも200リットルの量を用いてバイオリアクタ中で宿主細胞を培養することを含んでなる、請求項3に記載の方法。
- バイオリアクタは灌流バイオリアクタ又は流加培養式バイオリアクタである、請求項4に記載の方法。
- 未精製バルク液体は50グラムを上回る組換えヒト7型コラーゲンを含有する、請求項5に記載の方法。
- 可溶化剤は、アルギニンを含んでなる、請求項1に記載の方法。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を行って組換えヒト7型コラーゲンを含有する試料を得るステップを備えた、前記組換えヒト7型コラーゲンを精製する方法において、
a)前記試料を、混合モードのフロースルー式樹脂に供するステップであって、混合モードのフロースルー式樹脂はリガンド活性化コア及び不活性シェルを含んでなり、不活性シェルは組換えヒト7型コラーゲンがリガンド活性化コアに入るのを防止し、かつ十分に小さい不純物は不活性シェルを通り抜けてリガンド活性化コアに結合する、試料を混合モードのフロースルー式樹脂に供するステップと、
b)混合モードのフロースルー式樹脂を通り抜け、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含有する、第1の流出液を収集するステップと、
c)ステップb)からの第1の流出液を、組換えヒト7型コラーゲンが陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂に結合することを可能にする条件下で陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂に供するステップと、
d)陽イオン交換クロマトグラフィ樹脂から組換えヒト7型コラーゲンを溶出させるステップと、
e)ステップd)からの溶出した組換えヒト7型コラーゲンを、フロースルーモードの疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂に供し、疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂を通り抜ける第2の流出液を収集するステップと、
f)ステップg)に先立ち、ステップe)からの第2の流出液に可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方を添加するステップと、
g)ステップf)の第2の流出液を、組換えヒト7型コラーゲンを濃縮するために限外濾過ステップに供するステップと、
h)ステップg)からの濃縮された組換えヒト7型コラーゲンを、少なくとも1つの塩と、可溶化剤と、糖と含有するバッファーを用いて透析濾過するステップと、
i)精製された組換えヒト7型コラーゲンを回収するステップと
を含んでなり、
1以上のウイルス低減ステップ及びエンドヌクレアーゼ処理ステップを含んでなる方法。 - 限外濾過ステップは接線流フィルタを含んでなり、接線流フィルタは親水性膜を含んでなる、請求項8に記載の方法。
- 1以上のウイルス低減ステップは、ステップa)に先立ち組換えヒト7型コラーゲンを含有する試料に放射線照射するステップ、ステップb)からの第1の流出液に界面活性剤を添加するステップ、及びステップe)からの第2の流出液を多孔質フィルタに供するステップ、を含んでなる、請求項8に記載の方法。
- エンドヌクレアーゼ処理ステップは、ステップd)からの溶出された組換えヒト7型コラーゲンを、エンドヌクレアーゼで処理することを含んでなる、請求項10に記載の方法。
- バッファーは、少なくとも1つの塩、可溶化剤、及び糖質を含んでなり、前記可溶化剤は尿素、チオ尿素、アルギニン、ブタノール、エタノール、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、フェノール、プロパノール、硫酸ドデシルナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、グルタミン、アスパラギン、及びグアニジンのうち少なくとも1つを含有する、請求項8に記載の方法。
- 少なくとも1つの塩は、塩化ナトリウム、クエン酸塩、及びリン酸ナトリウムのうち1以上であり、可溶化剤はアルギニンであり、糖質はスクロースである、請求項12に記載の方法。
- ステップi)の精製された組換えヒト7型コラーゲンは、ステップa)からの試料中の組換えヒト7型コラーゲンの量の平均15~30%を含有する、請求項13に記載の方法。
- ステップa)における試料は少なくとも25グラムの組換えヒト7型コラーゲンを含有する、請求項14に記載の方法。
- 少なくとも4.0グラムの精製された組換えヒト7型コラーゲンがステップi)において回収される、請求項15に記載の方法。
- ステップi)の精製された組換えヒト7型コラーゲンは、宿主細胞タンパク質を組換えヒト7型コラーゲン1mgあたり600ng/mg以下しか含有しない、請求項16に記載の方法。
- ステップi)の精製された組換えヒト7型コラーゲンは、宿主細胞DNAを組換えヒト7型コラーゲン1mgあたり15pg/mg以下しか含有しない、請求項17に記載の方法。
- ステップi)の精製された組換えヒト7型コラーゲンは、エンドトキシンを組換えヒト7型コラーゲン1mgあたり0.50EU/mg以下しか含有しない、請求項18に記載の方法。
- ステップa)の前に:
I)細胞培養から採取された上清をデプスフィルタに供するステップであって、上清は組換えヒト7型コラーゲンを含有する、上清をデプスフィルタに供するステップと、
II)デプスフィルタを通り抜ける溶液を収集するステップと、
III)ステップII)からの溶液を限外濾過ステップに供するステップであって、組換えヒト7型コラーゲンは限外濾過膜に隣接する層の中に集積する、ステップII)からの溶液を限外濾過ステップに供するステップと、
IV)第1の保持液を廃棄するステップであって、第1の保持液は、ステップII)からの溶液中に含まれた不純物を含んでなる、第1の保持液を廃棄するステップと、
V)組換えヒト7型コラーゲンを回収し、かつ組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる第2の保持液を得るために、限外濾過膜に隣接する層を可溶化剤及び界面活性剤のうち少なくともいずれか一方に供するステップと、
VI)組換えヒト7型コラーゲンを含んでなる未精製バルク液体を得るために第2の保持液を透析濾過ステップに供するステップと、
VII)任意選択で未精製バルク液体を凍結するステップと
をさらに備え、
前記可溶化剤は、尿素、チオ尿素、アルギニン、ブタノール、エタノール、過塩素酸リチウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、フェノール、プロパノール、硫酸ドデシルナトリウム、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、グルタミン、アスパラギン、及びグアニジンのうち少なくとも1つを含んでなる、請求項19に記載の方法。 - 前記可溶化剤はアルギニンを含んでなる、請求項20に記載の方法。
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