JP2022015833A - 漢方薬活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】腸内細菌叢の構成による薬効差を解消するための漢方薬活性化剤の提供。【解決手段】本発明に係る漢方薬活性化剤は、アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを含む。他の観点から、この漢方薬活性化剤は、配糖体分解能を有する腸内細菌の増殖剤を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、漢方薬活性化剤に関する。詳細には、本発明は、漢方薬の薬効を発現しやすくするための活性化剤に関する。
漢方処方を構成する生薬(漢方薬)には様々な配糖体が有効成分として含まれている。配糖体は、糖と糖以外の化合物とが結合した物質の総称であり、糖以外の部分はアグリコンと称される。アグリコンの種類として、各種テルペノイド、ステロイド、キノン類、リグナン等が挙げられる。
糖と結合した配糖体は水溶性であり、消化管での吸収性は高いが、疎水性の生体膜を透過しにくいという特性がある。一方、配糖体の加水分解により生成するアグリコンは疎水性であり、生体膜を容易に透過することができる。そのため、多くの漢方処方では、配糖体として経口摂取され有効成分が腸管内部で加水分解され、アグリコンとして吸収されることにより、その薬効が発揮される。この配糖体の加水分解には、腸内細菌が深く関与している。
非特許文献1には、ヒトの腸内細菌の培養方法が開示されている。非特許文献2では、高麗人参等に含まれる配糖体の一つであるジオール系サポニンの分解能と、腸内細菌との関係が調べられている。
一般に、ヒトの腸管内では、400種を超える多種多様な細菌が共生しており、所謂腸内細菌叢を形成している。腸内細菌叢の構成には個体差があり、加齢や生活環境等によっても変動する。腸内細菌叢において、配糖体の加水分解に寄与する腸内細菌の占有率が小さい場合、経口摂取された漢方薬の効果が十分に得られない場合がある。これが、漢方薬の薬効に個体差を生じる一因となっている。
配糖体分解能の相違に起因する薬効の個体差を解消する手段として、特許文献1には、複数の酵素及び微生物で漢方薬を処理することにより配糖体を加水分解した上で、経口摂取させる方法が記載されている。しかし、特許文献1に開示された方法には多段階での処理が必要であり、これを実施することは容易ではない。また、配糖体は、加水分解によって水溶性が損なわれるため、消化管での吸収が限定され、効能の一部が阻害される場合がある。
特許第5917772号公報
Martens EC, Chiang HC and Gordon JI, 「Mucosal glycan foraging enhances fitness and transmission of a saccharolytic human gut bacterial symbiont.」、Cell Host Microbe、2008年、第4巻、p.447-457 HASEGAWAら、Journal of Traditional Medicines、2007年、第24巻、p.140-143
漢方薬の効能を十分に発揮させるためには、有効成分を水溶性の配糖体として経口摂取すること、及び、大腸上皮等腸内細菌が存在し、かつ、薬効成分の吸収が生じる場所で、配糖体を加水分解して糖を脱離させることが必要である。
例えば、非特許文献2では、被験者17名に関する詳細な研究の結果、配糖体の加水分解に関与する腸内細菌として、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)が特定されている。従って、腸内細菌叢におけるバクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)の占有率を増加させることにより、配糖体分解能が低く漢方薬の効能にあずかりにくい個体においても、その有効成分の吸収性を高めて、漢方薬を活性化することができる。しかしながら、漢方薬を活性化させるために、ヒトの腸内細菌叢において、特定の腸内細菌を増殖させてその占有率を増加する方法は、未だ提案されていない。
本発明の目的は、漢方薬の有効成分である配糖体の水溶性を損なうことなく、この配糖体の加水分解を促進する特定の腸内細菌の占有率を増加させることで、この漢方薬の効力を十分に発揮させることができる、漢方薬活性化剤の提供である。
発明者らは鋭意検討の結果、アセチル総置換度を調整した酢酸セルロースが、漢方薬の有効成分である配糖体の加水分解能を有する腸内細菌を選択的に増殖させ、かつ、配糖体分解に関与しない他の腸内細菌を増殖させないことを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係る漢方薬活性化剤は、アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを含む。
好ましくは、この漢方薬活性化剤では、酢酸セルロースの粘度平均重合度(DPv)は10以上400以下である。
好ましくは、この漢方薬活性化剤では、酢酸セルロースの組成分布指数(CDI)は2.0以下である。組成分布指数(CDI)の定義は、以下の通りである。
CDI=(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)
(ここで、組成分布半値幅の実測値は、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅であり、組成分布半値幅の理論値は下記式で求められる値である。
Figure 2022015833000001

上記式中、DSは、アセチル総置換度であり、DPwは、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC-光散乱法により求めた重量平均重合度である。)
好ましい漢方薬組成物は、前述したいずれかの漢方薬活性剤と、漢方薬とを含む。
好ましくは、この漢方薬の有効成分はサポニンである。好ましくはこのサポニンは、ジオール系サポニンである。
他の観点から、本発明は、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の増殖剤である。この増殖剤は、アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを含む。好ましくは、この腸内細菌は、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)である。
好ましい漢方薬活性化剤は、前述したいずれかの増殖剤を含む。
本発明に係る漢方薬活性化剤によれば、ヒトの腸内細菌叢において、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の占有率が向上する。その結果、本来、配糖体分解能の低い個体においても、吸収性の高いアグリコンの生成が促進され、漢方薬の効能が十分に発揮される。これにより、薬効の個体差が解消される。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下に例示する以外にも、本発明の趣旨を損なわない範囲内で適宜変更して、実施することが可能である。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。複数の実施形態についてそれぞれ開示された技術的手段を、適宜組み合わせて得られる他の実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本願明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。さらに、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。
[漢方薬活性化剤]
本開示に係る漢方薬活性化剤は、アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロース(以下、「低置換度酢酸セルロース」と称する場合がある)を含む。ここで、「漢方薬の活性化」とは、その有効成分の吸収性を向上して、漢方薬の効能が有効に発揮させることを意味する。
多くの漢方処方では、配糖体として経口摂取された有効成分が加水分解され、腸管から吸収されることにより薬効が得られる。ヒトの腸管内部には、多種多様な細菌が常在して腸内細菌叢を構成している。腸内細菌叢を形成する菌のうち、特定の腸内細菌が配糖体の加水分解に関与している。
配糖体の加水分解能を有する腸内細菌は、本開示に係るアセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを代謝することにより増殖する。換言すれば、この低置換度酢酸セルロースは、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の増殖因子である。一方、この低置換度酢酸セルロースは、配糖体の加水分解能を有さない他の腸内細菌の増殖に寄与しない。その結果、本開示に係る低置換度セルロースを摂取したヒトの腸管内部には、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の占有率が高い腸内細菌叢が形成される。これにより、経口摂取された配糖体の加水分解が促進され、有効成分が効率的に吸収されるため、漢方薬の効力が十分に発揮される。また、本開示に係る漢方薬活性化剤によれば、本来、配糖体分解能の低い個体においても、漢方薬の薬効が十分に得られる。この漢方薬活性化剤と、漢方薬とを併用することで、従来課題であった薬効の個体差が解消されうる。
[漢方薬]
本開示に係る漢方薬活性化剤によって活性化される漢方薬(生薬)は、有効成分として配糖体を含む。漢方薬に含まれる配糖体には、糖及び糖以外の化合物(アグリコン)の組み合わせが異なる多くの種類が存在する。
配糖体を構成する糖としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フコース、ラムノース、アラビノース、キシロース等のアルドース、フルクトース等のケトースが例示される。配糖体を構成するアグリコンとしては、各種テルペノイド、ステロイド、キノン類、リグナン等が挙げられる。
有用な漢方薬の有効成分として代表的な配糖体として、サポニンが例示される。サポニンは、薬用ニンジン等の有効成分として知られている。サポニンは、アグリコンの種類によって、トリテルペノイドサポニンとステロイドサポニンに大別される。トリテルペノイドサポニンは、オレアノール系サポニンとダマラン系サポニンに分けられ、ダマラン系サポニンは、さらに、プロトバナキサトリオール系(トリール系サポニン)とプロトパナキサジオール系(ジオール系サポニン)に分類される。
ダマラン系サポニンを含む生薬として、例えば、ニンジン、タイソウ等が挙げられる。オレアノール系サポニンを含む生薬として、オンジ、カンゾウ、キキョウ、ゴシツ、サイコ、セネガ、モクツウ等が例示される。ステロイドサポニンを含む生薬として、チモ、バクモンドウ等が挙げられる。
サポニンを有効成分として含む漢方薬において、本開示の漢方薬活性化剤の効果が得られやすい。より好ましい有効成分は、ジオール系サポニンである。
[酢酸セルロースのアセチル総置換度]
本開示の酢酸セルロースは、アセチル総置換度(置換度)が0.4以上1.0以下である。アセチル総置換度がこの範囲であると水に対する溶解性に優れ、この範囲を外れると水に対する溶解性が低下する傾向となる。経口摂取された酢酸セルロースは、腸内細菌によって、消化管内で酢酸とセルロースに分解される。さらに、セルロースは、オリゴ糖や単糖を経由して、酢酸等の短鎖脂肪酸に分解される。本開示に係る低置換度酢酸セルロースは、特に、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌により資化される。酢酸セルロースの酢酸とセルロースへの分解は、菌体外酵素によって生じると考えられる。従って、水に対する溶解性の高い酢酸セルロースの方が分解されやすく、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の増殖につながると考えられる。この観点から、アセチル総置換度は0.4以上1.0以下が好ましく、0.5以上0.9以下がより好ましい。
アセチル総置換度は、ASTM:D-871-96(セルロースアセテート等の試験方法)における酢化度の測定法に準じて求めた酢化度を、次式で換算することにより求められる。これは、最も一般的なセルロースアセテートの置換度の求め方である。
DS=162.14×AV×0.01/(60.052-42.037×AV×0.01)
DS:アセチル総置換度
AV:酢化度(%)
酢化度(AV)の測定方法は、以下の通りである。
まず、乾燥した酢酸セルロース(試料)500mgを精秤し、超純水とアセトンとの混合溶媒(容量比4:1)50mlに溶解した後、0.2N-水酸化ナトリウム水溶液50mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。次に、0.2N-塩酸50mlを添加し、フェノールフタレインを指示薬として、0.2N-水酸化ナトリウム水溶液(0.2N-水酸化ナトリウム規定液)で、脱離した酢酸量を滴定する。また、同様の方法によりブランク試験(試料を用いない試験)を行う。そして、下記式に従ってAV(酢化度)(%)を算出する。
AV(%)=(A-B)×F×1.201/試料質量(g)
A:0.2N-水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
B:ブランクテストにおける0.2N-水酸化ナトリウム規定液の滴定量(ml)
F:0.2N-水酸化ナトリウム規定液のファクター
[酢酸セルロースの粘度平均重合度(DPv)]
本開示に係る酢酸セルロースの粘度平均重合度(DPv)は特に限定されないが、好ましくは、10以上400以下である。粘度平均重合度がこの範囲である低置換度酢酸セルロースは、消化酵素等による分解を受けにくいため、腸管内部に到達しやすく、前述した腸内細菌に資化されやすい。この観点から、粘度平均重合度は、15以上300以下がより好ましく、20以上200以下がさらに好ましい。
粘度平均重合度(DPv)は、低置換度酢酸セルロースの極限粘度数([η]、単位:cm/g)に基づいて求められる。
極限粘度数([η]、単位:cm/g)は、JIS-K-7367-1及びISO1628-1に準じて求められる。具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒とする試料溶液を準備し、サイズ番号1Cのウベローデ型粘度計を用いて測定した25℃の対数相対粘度を、試料溶液の濃度で除すことにより求められる。
得られた極限粘度数[η]を用いて、Kamideらの文献(Polymer Journal、13、421-431(1981))に従って、次式により、粘度平均分子量を算出した。
粘度平均分子量=(極限粘度数[η]/0.171)(1/0.61)
算出した粘度平均分子量を用いて、次式により粘度平均重合度(DPv)を求めた。
粘度平均重合度(DPv)=粘度平均分子量/(162.14+42.037×DS)
なお、式中、DSは、前述したアセチル総置換度である。
[酢酸セルロースの組成分布指数(CDI)]
本開示において、酢酸セルロースの組成分布指数(CDI)は特に限定されない。組成分布指数(CDI)は、例えば1.0以上3.0以下であってよい。組成分布指数(CDI)は、1.0以上2.5以下がより好ましく、1.0以上2.0以下がさらに好ましく、1.0以上1.8以下がよりさらに好ましく、1.0以上1.6以下が特に好ましい。
組成分布指数(CDI)の下限値は0であるが、これは例えば100%の選択性でグルコース残基の6位のみをアセチル化し、他の位置はアセチル化しない等の特別な合成技術をもって実現されるものであり、そのような合成技術は知られていない。グルコース残基の水酸基の全てが同じ確率でアセチル化及び脱アセチル化される状況において、CDIは1.0となるが、実際のセルロースの反応においてはこのような理想状態に近付けるためには相当の工夫を要する。前記組成分布指数(CDI)が小さいほど、組成分布(分子間置換度分布)が均一となる。組成分布が均一であると、アセチル総置換度が通常よりも広い範囲で水溶性を確保でき、均一な溶解がなされ、構造粘性が発現しないので摂取又は投与しやすく、分解されやすく、前述した腸内細菌の占有率向上及び漢方薬の活性化という効果を発現しやすいという利点がある。
ここで、組成分布指数(Compositional Distribution Index、CDI)とは、組成分布半値幅の理論値に対する実測値の比率[(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)]として定義される。組成分布半値幅は「分子間置換度分布半値幅」又は単に「置換度分布半値幅」ともいう。
酢酸セルロースのアセチル総置換度の均一性を評価するのに、酢酸セルロースの分子間置換度分布曲線の最大ピークの半値幅(「半価幅」ともいう)の大きさを指標とすることができる。なお、半値幅は、アセチル総置換度を横軸(x軸)に、この置換度における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、分布のバラツキの目安を表す指標である。置換度分布半値幅は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定により求めることができる。なお、HPLCにおけるセルロースエステルの溶出曲線の横軸(溶出時間)を置換度(0~3)に換算する方法は、特開2003-201301号公報(段落0037~0040)に説明されている。
(組成分布半値幅の理論値)
組成分布半値幅(置換度分布半値幅)は確率論的に理論値を算出できる。すなわち、組成分布半値幅の理論値は以下の式(1)で求められる。
Figure 2022015833000002

m:酢酸セルロース1分子中の水酸基とアセチル基の全数
p:酢酸セルロース1分子中の水酸基がアセチル置換されている確率
q=1-p
DPw:重量平均重合度(GPC-光散乱法による)
なお、重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
式(1)は、セルロースの全ての水酸基が同じ確率でアセチル化及び脱アセチル化された際に必然的に生じる組成分布半値幅であり、所謂二項定理に従って導かれるものである。さらに、組成分布半値幅の理論値を置換度と重合度で表すと、以下のように表される。下記式(2)を組成分布半値幅の理論値を求める定義式とする。
Figure 2022015833000003

DS:アセチル総置換度
DPw:重量平均重合度(GPC-光散乱法による)
なお、重量平均重合度(DPw)の測定法は後述する。
(組成分布半値幅の実測値)
本開示において、組成分布半値幅の実測値とは、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基(未置換水酸基)を全てプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定して求めた組成分布半値幅である。
HPLC測定前に前処理として酢酸セルロースの分子内残存水酸基の誘導体化を行う目的は、低置換度酢酸セルロース(例えば、アセチル総置換度1.0以下の酢酸セルロース)を有機溶媒に溶解しやすい誘導体に変換してHPLC測定可能とすることである。即ち、分子内の残存水酸基を完全にプロピオニル化し、その完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)をHPLC測定して組成分布半値幅(実測値)を求める。ここで、誘導体化は完全に行われ、分子内に残存水酸基はなく、アセチル基とプロピオニル基のみ存在していなければいけない。すなわち、アセチル総置換度(DSac)とプロピオニル総置換度(DSpr)の和は3である。これは、CAPのHPLC溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチル総置換度(0~3)に変換するための較正曲線を作成するために関係式:DSac+DSpr=3を使用するためである。
低置換度酢酸セルロースの完全誘導体化は、例えば、ピリジン/N,N-ジメチルアセトアミド混合溶媒中でN,N-ジメチルアミノピリジンを触媒とし、無水プロピオン酸を作用させることにより行うことができる。より具体的には、溶媒として混合溶媒[ピリジン/N,N-ジメチルアセトアミド=1/1(v/v)]を低置換度酢酸セルロース(試料)1質量部に対して20質量部、プロピオニル化剤として無水プロピオン酸を該酢酸セルロースの水酸基に対して6.0~7.5当量、触媒としてN,N-ジメチルアミノピリジンを該酢酸セルロースの水酸基に対して6.5~8.0mol%使用し、温度100℃、反応時間1.5~3.0時間の条件でプロピオニル化を行う。その後、例えば、室温で、反応混合物1質量部を水/メタノール混合溶媒(容量比1/1)10質量部に投入することにより得られる沈殿物を、この水/メタノール混合溶媒で5回洗浄し、60℃で真空乾燥を3時間行うことにより、完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)が得られる。
HPLC測定では、予め、異なるアセチル総置換度を有する複数のセルロースアセテートプロピオネートを標準試料として、所定の測定装置及び測定条件でHPLC測定を行い、これらの標準試料の分析値を用いて較正曲線[セルロースアセテートプロピオネートの溶出時間とアセチル総置換度(0~3)との関係を示す曲線、通常、三次曲線]を作成する。この較正曲線に基づいて、低置換度酢酸セルロース(試料)の組成分布半値幅(実測値)を求める。このHPLC分析で求められるのは、溶出時間とセルロースアセテートプロピオネートのアセチル総置換度分布との関係である。これは、試料分子内の残存ヒドロキシ基のすべてがプロピオニルオキシ基に変換された物質の溶出時間とアセチル総置換度分布の関係であるから、本開示の酢酸セルロースのアセチル総置換度分布を求めていることと本質的には変わらない。
なお、HPLC測定の測定条件は、以下の通りである。
装置: Agilent 1100 Series
カラム: Waters Nova-Pak phenyl 60Å 4μm(150mm×3.9mmφ)+ガードカラム
カラム温度:30℃
検出: Varian 380-LC
注入量: 5.0μL(試料濃度:0.1%(wt/vol))
溶離液: A液:MeOH/HO=8/1(v/v),B液:CHCl/MeOH=8/1(v/v)
グラジェント:A/B=80/20→0/100(28min)
流量:0.7mL/min
較正曲線から求めた置換度分布曲線[セルロースアセテートプロピオネートの存在量を縦軸とし、アセチル総置換度を横軸とするセルロースアセテートプロピオネートの置換度分布曲線](「分子間置換度分布曲線」ともいう)において、平均置換度に対応する最大ピーク(E)に関し、以下のようにして置換度分布半値幅を求める。ピーク(E)の低置換度側の基部(A)と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A-B)を引き、このベースラインに対して、最大ピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A-B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A-B)と平行な直線を引き、分子間置換度分布曲線との二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点間の幅を求め、最大ピークの半値幅(即ち、置換度分布半値幅)とする。
次に、下式で表される補正式に基づいて補正値Zを求める。この補正により、測定装置の構成及び測定条件が異なっても、同じ(ほぼ同じ)値として、より正確な置換度分布半値幅(実測値)を求めることができる。
Z=(X-Y1/2
(式中、Xは、所定の測定装置及び測定条件で求めた置換度分布半値幅(未補正値)である。Y=(a-b)x/3+b(0≦x≦3)である。ここで、aは前記Xと同じ測定装置及び測定条件で求めた総置換度3のセルロースアセテートの見掛けの置換度分布半値幅であり、bは前記Xと同じ測定装置及び測定条件で求めた総置換度3のセルロースプロピオネートの見掛けの置換度分布半値幅である。xは測定試料のアセチル総置換度(0≦x≦3)である)
なお、上記総置換度3のセルロースアセテート(若しくはセルロースプロピオネート)とは、セルロースのヒドロキシル基の全てがエステル化されたセルロースエステルを示し、実際には(理想的には)置換度分布半値幅を有しない(すなわち、置換度分布半値幅0の)セルロースエステルである。
酢酸セルロースの置換度分布は、後述するように、酢酸セルロースの加水分解工程後の後処理条件の工夫により制御することができる。また、酢酸セルロースの90℃以上の(又は90℃を超える)高温での加水分解反応(熟成反応)によって、置換度分布をより狭くすることができる。本発明者らは、酢酸セルロースを加水分解して低置換度酢酸セルロースを得るに際し、90℃以上の(又は90℃を超える)高温下、好ましくは硫酸等の強酸の存在下、多量の酢酸中で反応させると、重合度の低下は見られない一方で、CDIの減少に伴い粘度が低下することを見出した。すなわち、高温反応に伴う粘度低下は、重合度の低下に起因するものではなく、置換度分布が狭くなることによる構造粘性の減少に基づくものであることを解明した。上記の条件で酢酸セルロースの加水分解を行うと、正反応だけでなく逆反応も起こるため、生成物(低置換度酢酸セルロース)のCDIが極めて小さい値となり、水に対する溶解性も著しく向上する。これに対し、逆反応が起こりにくい条件で酢酸セルロースの加水分解を行うと、置換度分布は様々な要因で広くなり、水に溶けにくいアセチル総置換度0.4未満の酢酸セルロース及びアセチル総置換度1.0を超える酢酸セルロースの含有量が増大し、全体として水に対する溶解性が低下する。
[分散度(多分散性、Mw/Mn)]
本開示における分子量分布(重合度分布)の分散度(多分散性、Mw/Mn)は、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC-光散乱法により求めた値である。
本開示の低置換度酢酸セルロースの分散度(多分散性、Mw/Mn)は、1.2~3.5の範囲であることが好ましい。分散度Mw/Mnが上記の範囲にある低置換度酢酸セルロースは、分子の大きさが揃っており、水に対する溶解性に優れる。経口摂取された酢酸セルロースは、腸内細菌によって、消化管内で酢酸とセルロースに分解される。さらに、セルロースは、オリゴ糖や単糖を経由して、酢酸等の短鎖脂肪酸に分解される。本開示に係る低置換度酢酸セルロースは、特に、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌により資化される。酢酸セルロースの酢酸とセルロースへの分解は、菌体外酵素によって生じると考えられる。従って、水に対する溶解性の高い酢酸セルロースの方が分解されやすく、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の増殖につながると考えられる。この観点から、低置換度酢酸セルロースの分散度(多分散性、Mw/Mn)は、1.2~2.5がより好ましく、1.2~2.0がさらに好ましい。
低置換度酢酸セルロースの分散度(多分散性、Mw/Mn)は、公知の方法で求めることができる。詳細には、低置換度酢酸セルロースの分散度(多分散性、Mw/Mn)は、測定試料を有機溶媒に可溶とするため、前記組成分布半値幅の実測値を求める場合と同様の方法で、酢酸セルロース(試料)を完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)とした後、以下の装置及び条件でサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)測定を行うことにより決定される(GPC-光散乱法)。
装置:Shodex製 GPC 「SYSTEM-21H」
溶媒:アセトン
カラム:GMHxl(東ソー)2本、ガードカラム(東ソー製TSKgel guardcolumn HXL-H)
流速:0.8ml/min
温度:29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量:100μl
検出:MALLS(多角度光散乱検出器)(Wyatt製、「DAWN-EOS」)
MALLS補正用標準物質:PMMA(分子量27600)
[重量平均重合度(DPw)]
本開示における重量平均重合度(DPw)は、低置換度酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いて、前述したGPC-光散乱法により求めた値である。
本開示の低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度(DPw)は、10~400の範囲であることが好ましい。重量平均重合度(DPw)が高すぎると、水に対する溶解性が悪くなりやすい。前記重量平均重合度(DPw)は、好ましくは15~300、さらに好ましくは20~200である。経口摂取された酢酸セルロースは、腸内細菌によって、消化管内で酢酸とセルロースに分解される。さらに、セルロースは、オリゴ糖や単糖を経由して、酢酸等の短鎖脂肪酸に分解される。本開示に係る低置換度酢酸セルロースは、特に、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌により資化される。酢酸セルロースの酢酸とセルロースへの分解は、菌体外酵素によって生じると考えられる。従って、水に対する溶解性の高い酢酸セルロースの方が分解されやすく、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌の増殖につながると考えられる。
低置換度酢酸セルロースの重量平均重合度(DPw)は、前述した分散度(多分散性、Mw/Mn)と同じく、組成分布半値幅の実測値を求める場合と同様の方法で、酢酸セルロース(試料)を完全誘導体化セルロースアセテートプロピオネート(CAP)とした後、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC)測定を行うことにより求められる(GPC-光散乱法)。GPC測定の装置及び条件は、前述した通りである。
[低置換度酢酸セルロースの製造]
本開示における低置換度酢酸セルロースは、例えば、(A)中乃至高置換度酢酸セルロースの加水分解工程(熟成工程)、(B)沈殿工程、及び、必要に応じて行う(C)洗浄・中和工程により製造できる。なお、中乃至高置換度酢酸セルロースのアセチル総置換度は、例えば、1.5以上3以下、好ましくは2以上3以下である。
(A)加水分解工程(熟成工程)
加水分解反応は、有機溶媒中、触媒(熟成触媒)の存在下、原料である中乃至高置換度酢酸セルロース(以下、原料酢酸セルロースと称する)と水とを反応させることにより行うことができる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、アセトン、アルコール(メタノール等)、これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、酢酸を少なくとも含む溶媒が好ましい。触媒としては、一般に脱アセチル化触媒として用いられる触媒を使用できる。触媒としては、特に硫酸が好ましい。
有機溶媒(例えば、酢酸)の使用量は、原料酢酸セルロース1質量部に対して、例えば、0.5~50質量部、好ましくは1~20質量部、さらに好ましくは3~10質量部である。
触媒(例えば、硫酸)の使用量は、原料酢酸セルロース1質量部に対して、例えば、0.005~1質量部、好ましくは0.01~0.5質量部、さらに好ましくは0.02~0.3質量部である。触媒の量が少なすぎると、加水分解の時間が長くなりすぎ、酢酸セルロースの分子量の低下を引き起こすことがある。一方、触媒の量が多すぎると、加水分解温度に対する解重合速度の変化の度合いが大きくなり、加水分解温度がある程度低くても解重合速度が大きくなり、分子量がある程度大きい酢酸セルロースが得られにくくなる。
加水分解工程における水の量は、原料酢酸セルロース1質量部に対して、例えば、0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2~7質量部である。また、該水の量は、有機溶媒(例えば、酢酸)1質量部に対して、例えば、0.1~5質量部、好ましくは0.3~2質量部、さらに好ましくは0.5~1.5質量部である。水は、反応開始時において全ての量を系内に存在させてもよいが、酢酸セルロースの沈殿を防止するため、使用する水の一部を反応開始時に系内に存在させ、残りの水を1~数回に分けて系内に添加してもよい。
加水分解工程における反応温度は、例えば、40~130℃、好ましくは50~120℃、さらに好ましくは60~110℃である。特に、反応温度を90℃以上(或いは90℃を超える温度)とする場合には、正反応(加水分解反応)に対する逆反応(アセチル化反応)の速度が増加する方向に反応の平衡が傾く傾向があり、その結果、置換度分布が狭くなり、後処理条件を特に工夫しなくとも、組成分布指数CDIの極めて小さい酢酸セルロースを得ることができる。この場合、触媒として硫酸等の強酸を用いるのが好ましく、また、反応溶媒として酢酸を過剰に用いるのが好ましい。また、反応温度を90℃以下とする場合であっても、後述するように、沈殿工程において、沈殿溶媒として2種以上の溶媒を含む混合溶媒を用いる沈殿方法や、沈殿分別及び/又は溶解分別により、組成分布指数CDIが非常に小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。
(B)沈殿工程
この工程では、加水分解反応終了後、反応系の温度を室温まで冷却し、沈殿溶媒を加えて酢酸セルロースを沈殿させる。沈殿溶媒としては、水と混和する有機溶媒若しくは水に対する溶解度の大きい有機溶媒を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトニトリル等の含窒素化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル;これらの混合溶媒などが挙げられる。
沈殿溶媒として2種以上の溶媒を含む混合溶媒を用いると、後述する沈殿分別と同様の効果が得られ、組成分布(分子間置換度分布)が狭く、組成分布指数(CDI)が小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。好ましい混合溶媒として、例えば、アセトンとメタノールの混合溶媒、イソプロピルアルコールとメタノールの混合溶媒などが挙げられる。
また、沈殿して得られた酢酸セルロースに対して、さらに沈殿分別(分別沈殿)及び/又は溶解分別(分別溶解)を行うことにより、組成分布(分子間置換度分布)が狭く、組成分布指数CDIが非常に小さい低置換度酢酸セルロースを得ることができる。
沈殿分別は、例えば、沈殿して得られた酢酸セルロース(固形物)を水に溶解し、適当な濃度(例えば、2~10質量%、好ましくは3~8質量%)の水溶液とし、この水溶液に貧溶媒を加え(又は、貧溶媒に前記水溶液を加え)、適宜な温度(例えば、30℃以下、好ましくは20℃以下)に保持して酢酸セルロースを沈殿させ、沈殿物を回収することにより行うことができる。貧溶媒としては、例えば、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトンなどが挙げられる。貧溶媒の使用量は、前記水溶液1質量部に対して、例えば1~10質量部、好ましくは2~7質量部である。
溶解分別は、例えば、前記沈殿して得られた酢酸セルロース(固形物)或いは前記沈殿分別で得られた酢酸セルロース(固形物)に、水と有機溶媒(例えば、アセトン等のケトン、エタノール等のアルコールなど)との混合溶媒を加え、適宜な温度(例えば、20~80℃、好ましくは25~60℃)で撹拌後、遠心分離により濃厚相と希薄相とに分離した後、分取した希薄相に沈殿溶剤(例えば、アセトン等のケトン、メタノール等のアルコールなど)を加えて、沈殿物(固形物)を回収することにより行うことができる。前記水と有機溶媒の混合溶媒における有機溶媒の濃度は、例えば、5~50質量%、好ましくは10~40質量%である。
(C)洗浄・中和工程
沈殿工程(B)で得られた沈殿物(固形物)は、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトンなどの有機溶媒(貧溶媒)で洗浄するのが好ましい。また、塩基性物質を含む有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトンなど)で洗浄及び中和することも好ましい。なお、中和工程は、別途、加水分解工程の直後に設けても良く、その場合には塩基性物質又はその水溶液を加水分解反応浴に添加するのが好ましい。
前記塩基性物質としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属カルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシドなど)、アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金属カルボン酸塩;マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシドなど)などを使用できる。これらの中でも、特に、酢酸カリウム等のアルカリ金属化合物が好ましい。
洗浄及び/又は中和により、加水分解工程で用いた触媒(硫酸等)などの不純物を効率よく除去することができる。
このようにして得られた低置換酢酸セルロースは、必要に応じて、粉砕、篩別又は造粒して、特定粒度の範囲に調整することができる。
[その他の任意成分]
製造されたアセチル総置換度0.4以上1.0以下の酢酸セルロースは、そのまま本開示の漢方薬活性化剤とすることができるが、本発明の効果が阻害されない範囲で既知の添加剤を配合してもよい。このような添加剤として、例えば、賦形剤、流動化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、着色剤、溶解補助剤、香料、風味剤、コーティング剤等が例示される。
[漢方薬組成物]
必要に応じて、本開示の漢方薬活性化剤と、前述した漢方薬(生薬)とを配合して、漢方薬組成物とすることもできる。即ち、本開示の漢方薬組成物は、アセチル総置換度0.4以上1.0以下の酢酸セルロースと、漢方薬とを含んでいる。この漢方薬組成物に配合する漢方薬の種類及び量は、本発明の効果が得られる範囲内で適宜調製される。有効成分としてサポニンを含む漢方薬が好ましく、ジオール系サポニンを含む漢方薬がより好ましい。
[腸内細菌増殖剤]
本開示に係る漢方薬活性化剤は、換言すれば、前述した配糖体の加水分解能を有する腸内細菌を選択的に増殖させるアセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロース(低置換度酢酸セルロース)を含む、腸内細菌増殖剤(以下、「増殖剤」と称する)を含む。本開示の増殖剤のように有用な腸内細菌の増殖や活性化を通じて宿主に有用な作用をもたらすものはプレバイオティクスとも呼ばれる。本開示の増殖剤における低置換度酢酸セルロースの詳細は、漢方薬活性化剤に関して前述した通りである。
例えば、ヒトの腸内細菌叢を構成する主要な構成菌群の一つとして、バクテロイデス(Bacteroides)属が挙げられる。このバクテロイデス属に含まれる腸内細菌として、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・デスタソニス(Bacteroides destasonis)、バクテロイデス・バルファンタス(Bacteroides vulfatus)、バクテロイデス・メラニノジェニカス(Bacteroides meraninogenicus)等が例示される。このうち、低置換度酢酸セルロースを資化して選択的に増殖する腸内細菌としてバクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)が挙げられる。バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)は、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌である。
ここで、本開示に係る増殖剤による「選択的に増殖」とは、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)の増殖を促進するが、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)以外の他の腸内細菌を増殖させないことを意味する。この選択的な増殖効果によって、本開示に係る増殖剤を摂取したヒトの腸内細菌叢では、配糖体の加水分解能を有する腸内細菌(例えば、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis))の占有率が向上する。その結果、配糖体分解能の低い個体においても漢方薬の効能が得られやすくなり、薬効の個体差が解消される。
[使用方法]
本開示に係る漢方薬活性化剤及び腸内細菌増殖剤は、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤及び乳剤の種々の形態で用いることができる。この漢方薬活性化剤及び腸内細菌増殖剤は、配糖体分解能を有する腸内細菌の占有率を高めることで、漢方薬の有効成分の吸収を促進することから、腸管内への投与が好ましい。腸管内への投与方法として、例えば、経口摂取や、座薬等による投与が挙げられる。この漢方薬活性化剤及び腸内細菌増殖剤は、漢方薬と同時に投与してもよく、漢方薬の投与前又は投与後に別途投与してもよい。また、漢方薬を配合した漢方薬組成物として投与してもよい。
本開示の漢方薬活性化剤又は腸内細菌増殖剤の摂取又は投与量は、所望の効果をもたらすのに十分な量であればよい。具体的には、個体の年齢、体重、性別、健康状態、並びに胃、小腸及び大腸等の状態等の個体に関する条件、摂取方法又は投与方法、製剤形態等を考慮して経験的に決定され得る。1回あたりの摂取量又は投与量は、例えば、5mg/kg体重~60mg/kg体重であってよく、10mg/kg体重~40mg/kg体重であってよい。また、摂取回数又は投与回数は、1回でもよいし、1回を超えてもよい。1回を超える場合は、定期的に、不定期に、又は必要に応じて摂取又は投与され得る。適切な回数は、摂取量又は投与量と同様に、個体に関する条件、摂取方法又は投与方法、製剤形態等を考慮して経験的に決定され得る。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
(試験1)
[実施例1]
[酢酸セルロースの調製]
酢酸セルロース(ダイセル社製、商品名「L-70」、アセチル総置換度2.43、6%粘度:145mPa・s)1質量部に対して、4.4質量部の酢酸及び1.9質量部の水を加えた後、3時間攪拌して酢酸セルロースを溶解した。この溶液に0.58質量部の酢酸及び0.13質量部の硫酸を加え、得られた溶液を70℃に保持して加水分解を開始した。加水分解中、酢酸セルロースの沈殿を防止するため、2回に分けて水の添加をおこなった。具体的には、反応開始から1時間後に0.65質量部の水を5分間にわたって添加した。さらに2時間後、1.29質量部の水を10分間にわたって添加した。その後、さらに4時間反応を継続した。加水分解時間は合計7時間であった。なお、反応開始時から1回目の水の添加開始時までが第1加水分解工程(第1熟成工程)、1回目の水の添加開始時から2回目の水の添加開始時までが第2加水分解工程(第2熟成工程)、2回目の水の添加開始時から反応終了時までが第3加水分解工程(第3熟成工程)である。
得られた反応混合物に、硫酸に対して1.1当量の酢酸マグネシウムを含む24%酢酸マグネシウム水溶液を添加することにより、加水分解反応を停止した。その後、この反応混合物に対し質量比で3.6倍のアセトンを準備した。このアセトン中に、撹拌下、反応混合物を60分かけて滴下し、沈殿を形成させた。続いて、ろ過をおこなって、この沈殿を、固形分15質量%のウェットケーキとして回収した。得られた沈殿物の固形分1質量部に対し、16質量部のアセトン/水混合溶剤(アセトン濃度20質量%)を加えて、40℃で8時間撹拌した。その後、ろ過をおこなって、固形分15質量%のウェットケーキ得た。さらに、得られたウェットケーキの固形分1質量部に対し、16質量部のメタノールを加えて、25℃で1時間撹拌後、ろ過をおこなって、固形分15質量%のウェットケーキを得た。メタノール中での撹拌及びろ過をさらに5回繰り返し、乾燥することにより、低置換度酢酸セルロースを得た。
得られた低置換度酢酸セルロースのアセチル総置換度、粘度平均重合度(DPv)、分散度(多分散性、Mw/Mn)、組成分布半値幅の実測値、及び組成分布指数(CDI)を、前述した方法で測定した。その結果、得られた低置換度酢酸セルロースのアセチル総置換度は0.78、粘度平均重合度(DPv)は128、重量平均分子量DPwは124、分散度(多分散性、Mw/Mn)は2.0、組成分布半値幅の実測値は0.305、組成分布指数(CDI)は1.90であった。以下の評価試験では、この低置換度酢酸セルロースを、そのまま、実施例1の漢方薬活性化剤として、以下の単菌培養実験に使用した。
[単菌培養実験]
バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)として菌株ATCC 29148、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)として菌株ATCC 8483、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)として菌株ATCC 25285、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)として菌株ATCC 8492を準備した(微生物材料開発室(理化学研究所)より入手)。
各細菌株を、それぞれ、GAM培地(ニッスイ製)で対数増殖期中期まで増殖させた後、各培養物0.1mlを新しいGAM培地に接種した。これを3回繰り返した。その後、得られた培養物を4℃、2,300Gで10分間遠心分離し、沈降物を嫌気性希釈剤(0.4g/L KHPO、0.4g/L NaCl、0.4g/L (NHSO、0.013g/L MnSO・5HO、0.03g/L CaCl・2HO、0.045g/L MgSO・7HO、8.8mg/L FeSO・7HO、8.8mg/L ZnSO・7HO、0.82mg/L CoCl・6HO、0.59g/L L-Cystein、4.7g/L NaCO)に懸濁した。得られた懸濁液を前記の条件で遠心分離し、沈降物を前記の嫌気性希釈剤に再度懸濁して、各菌株についてイノキュラムを調製した。
非特許文献2に基づき、13.6g/L KHPO、0.9g/L NaCl、1.1g/L (NHSO、0.5g/L L-システイン、1.2mg/L ヘマチン、31mg/L L-ヒスチジン、9.5mg/L MgCl、0.4mg/L FeSO・7HO、5.5mg/L CaCl、1mg/L ビタミンK、5μg/L ビタミンB12及び1mL/L 0.1質量%レサズリン溶液を含む最小培地を準備した。この最小培地に、実施例1の漢方薬活性化剤(アセチル総置換度0.78の酢酸セルロース)を、濃度0.5質量%となるように添加した。
実施例1の漢方薬活性化剤を添加した培地5mlに対し、前記の方法で調製したイノキュラム0.1mlを添加して、各菌株を37℃で120時間培養した。培養前後の各培養液について波長660nmにおける吸光度(OD660)を、miniphoto518R(TAITEC製)で測定した。120時間培養後の吸光度(OD660 120)と培養開始時(0時間)の吸光度(OD660 )との差ΔOD660(=OD660 120-OD660 )を求めた。3回測定して得られた平均値が、下表1に示されている。差ΔOD660は、菌の増殖の指標であり、数値が大きいほど増殖が促進されたことを意味する。
[比較例1]
アセチル総置換度0.78の酢酸セルロースに代えてグルコースを使用した以外は同様にして単菌培養実験をおこない、差ΔOD660を求めた。得られた結果が、下表1に示されている。
[参考例1]
この参考例1はControl群である。アセチル総置換度0.78の酢酸セルロースを添加しない以外は同様にして単菌培養実験をおこない、差ΔOD660を求めた。得られた結果が、下表1に示されている。
Figure 2022015833000004
表1に示した通り、実施例1の漢方薬活性化剤によれば、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)及びバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)は増殖せず、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)のみが増殖した。参考例1では、いずれの菌も増殖しなかった。比較例1では、すべての菌が増殖した。この結果から、実施例1において、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)を選択的に増殖することが示された。
(試験2)
試験2では、ヒト糞便中の細菌叢分析をおこなって、前述した実施例1の漢方薬活性化剤の効果を確認した。
[ヒト糞便中の細菌叢分析]
抗生物質を3か月摂取しなかった4人の健康な男性ボランティア(23±0.71歳)から糞便を採取した。採取した糞便サンプル1質量部を、それぞれ、0.1MのPBSバッファー(8g/L NaCl、0.2g/L KCl、1.15g/L NaHPO、0.2g/L KHPO)4質量部と混合して、スラリーとした。このスラリーを2層の外科用ガーゼで濾過した。これらの手順は糞便採取後5分以内に行った。
ろ過されたスラリー1mLを、嫌気性チャンバー(Coy Laboratory Products、グラスレイク、ミシガン州)内で、9mLの腸内環境培地(2g/Lペプトン水、2g/L 酵母エキス、0.1g/L NaCl、0.04g/L KHPO、0.04g/L KHPO、0.01g/L MgSO・7HO、0.01g/L CaCl・6HO、0.5g/L 胆汁酸塩、2mL/L Tween80、1mL/L 0.05%ヘミン溶液、0.01mL/L ビタミンK、1mL/L 0.1%レサズリン溶液、0.5g/L L-システインHCl、2g/L NaHCO)を含む試験管に移した。この試験管に、実施例1の漢方薬活性化剤(アセチル総置換度0.78の酢酸セルロース)0.1gを添加した。試験管のヘッドスペースを窒素ガスで置換し、ブチルゴムストッパーとプラスチックキャップで密閉した後、これを37℃で24時間培養した。
「Improved extraction of PCR-quality community DNA from digesta and fecal samples.」(Yu Z and Morrison M, Biotechniques, 36:808-812 (2004))に記載された方法に準じて、得られた培養物からDNAを抽出した。抽出したDNAを、次世代シーケンサーMiSeq(イルミナ社製)を用いて、以下の条件で分析して細菌構成を求めた。
・試薬:MiSeq試薬キットV3
・操作条件:イルミナ社2× 300-bp ペアエンドシーケンシングプロトコル
・データ解析:QIIME2 2018.11.28、DADA2 プラグイン、類似度閾値90%
ボランティア4人の細菌構成の分析結果を平均した結果が、下表2に示されている。
[参考例2]
この参考例2はControl群である。アセチル総置換度0.78の酢酸セルロースを添加しない以外は同様にしてヒト糞便中の細菌叢分析をおこなった。得られた結果が、下表2に示されている。
Figure 2022015833000005
表2に示した通り、実施例1の漢方薬活性化剤によれば、参考例2と比較して、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)が有意に増殖した。この結果から、低置換度酢酸セルロースがバクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)の増殖因子であり、実施例1において、当該細菌が選択的に増殖して、腸内細菌叢における占有率が向上することが示された。
表1及び2に示されるように、実施例の漢方薬活性化剤は、比較例及び参考例に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された漢方薬活性化剤は、ヒト以外の動物に対しても適用されうる。

Claims (9)

  1. アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを含む、漢方薬活性化剤。
  2. 上記酢酸セルロースの粘度平均重合度(DPv)が10以上400以下である、請求項1に記載の漢方薬活性化剤。
  3. 上記酢酸セルロースの、下記で定義される組成分布指数(CDI)が3.0以下である、請求項1又は2に記載の漢方薬活性化剤。
    CDI=(組成分布半値幅の実測値)/(組成分布半値幅の理論値)
    (ここで、組成分布半値幅の実測値は、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートをHPLC分析して求めた組成分布半値幅であり、組成分布半値幅の理論値は下記式で求められる値である。
    Figure 2022015833000006

    上記式中、DSは、アセチル総置換度であり、DPwは、酢酸セルロース(試料)の残存水酸基をすべてプロピオニル化して得られるセルロースアセテートプロピオネートを用いてGPC-光散乱法により求めた重量平均重合度である。)
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の漢方薬活性化剤と、漢方薬とを含む、漢方薬組成物。
  5. 上記漢方薬の有効成分がサポニンである、請求項4に記載の漢方薬組成物。
  6. 上記サポニンがジオール系サポニンである、請求項5に記載の漢方薬組成物。
  7. アセチル総置換度が0.4以上1.0以下である酢酸セルロースを含む、配糖体分解能を有する腸内細菌の増殖剤。
  8. 上記腸内細菌が、バクテロイデス・ユニフォミス(Bacteroides uniformis)である、請求項7に記載の増殖剤。
  9. 請求項7又は8に記載の増殖剤を含む、漢方薬活性化剤。
JP2020118946A 2020-07-10 2020-07-10 漢方薬活性化剤 Pending JP2022015833A (ja)

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