JP2022014309A - 吸収性シート及び吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者の動作に対して追従しやすく、且つ柔軟性が高い吸収性シート及びこれを備える吸収性物品を提供すること。【解決手段】吸収性シートは、繊維及び吸水性ポリマーが混合され、該吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されているか、又は繊維シートの一方の面に吸水性ポリマーが保持されている。吸収性シートは、一方向に伸長可能なようにクレープが設けられており、クレープ率が10%以上である。また本発明は吸収性シートを備える吸収性物品も提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性シート及び吸収性物品に関する。
紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、尿、経血等の体液の吸収性を維持しつつ、着用時における違和感を低減することを目的として、シート状の又は伸縮性が付与された吸収体が用いられることがある。
本出願人は、親水性繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤並びに高吸水性ポリマーを含む吸収性シートを提案した(特許文献1)。また本出願人は、伸縮性を有する基盤シートと、該基盤シートの少なくとも一方の面に配された多数の吸収部とを備えた伸縮性吸収体を提案した(特許文献2)。
特許文献3には、横方向へ延びる複数のスリットを有し、互いに反対向きの前記縦方向への引っ張り力が加えられたときにスリットが拡開することによって縦方向への伸長性を発現する吸収体を備える吸収性物品が開示されている。
特開平8-246395号公報 特開2009-136498号公報 特開2018-20198号公報
特許文献1及び2の吸収体は、薄型化又は伸縮性の付与のいずれかによって着用時の違和感を低減しうるものであるが、柔軟性の向上に関して更なる改善が望まれる。特許文献3に記載の吸収性物品は、従来用いられている吸収体にスリットを形成したものであるので、厚みがあり、着用者の動作に対する追従性及び柔軟性は十分なものとはいえない。
したがって、本発明は、着用者の動作に対して追従しやすく、且つ柔軟性が高い吸収性シート及びこれを備える吸収性物品に関する。
本発明は、繊維及び吸水性ポリマーが混合され、該吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されているか、又は繊維シートの一方の面に吸水性ポリマーが保持されており、
一方向に伸長可能なようにクレープが設けられており、
クレープ率が10%以上である、吸収性シートを提供するものである。
また本発明は、前記吸収性シートを備える吸収性物品であって、
前記吸収性シートの伸長方向と、前記吸収性物品の長手方向とが一致している、吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、着用者の動作に対して追従しやすく、且つ柔軟性が高い吸収性シート及びこれを備える吸収性物品が提供される。
図1(a)は、吸収性シートの一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)におけるI-I線での模式的な断面図である。 図2は、吸収性シートにおける繊維と吸水性ポリマーとの配置位置の一実施形態を模式的に示す要部拡大断面図である。 図3(a)は、図2に示す吸収性シートを第1面からみたときの模式図であり、図3(b)は、図2に示す吸収性シートを第2面からみたときの模式図である。 図4は、吸収性シートにおける繊維と吸水性ポリマーとの配置位置の別の実施形態を模式的に示す要部拡大断面図である。 図5は、吸収性シートにおける繊維と吸水性ポリマーとの配置位置の更に別の実施形態を模式的に示す要部拡大断面図である。
以下、本発明の吸収性シートを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。吸収性シートは、繊維と吸水性ポリマーの粒子とを含み、クレープ(襞)が形成されている。
吸収性シート1は、図1(a)に示すように、一方向に伸長可能なクレープ10(襞)がシート面全域に複数形成されている。吸収性シートそのものは全体として非弾性であるが、クレープが形成されていることによって一方向に伸長可能に構成されている。同図における吸収性シート1の伸長可能な方向は、符号Xとして示されている(以下、この方向を伸長方向Xともいう。)。
クレープ10は、伸長方向Xと交差する方向に延びており、該方向に連続的に若しくは不連続に又はこれらの組み合わせで形成されている。クレープ10の平面視形状は、直線及び曲線の組み合わせによって形成されており、1つのクレープ10から分岐した形状となっていてもよい。「非弾性」とは、伸ばすことができ且つ元の長さに対して100%伸ばした状態(元の長さの200%の長さになる)から力を解放したときに、元の長さの175%以下の長さには戻らない性質をいう。
図1(a)及び(b)に示すように、吸収性シート1は、該シート1の一方の外面を形成する第1面1Aと、第1面1Aの反対側に位置し、該シート1の他方の外面を形成する第2面1Bとを有する。同図に示す吸収性シート1の外面は他の部材が存在していないが、後述するように、吸収性物品の構成部材等の他の部材が吸収性シート1の外面に配されることは妨げられない。
吸収性シート1は、図1(b)に示すように、その第1面1Aに、凸部1Pと、凹部1Rとがクレープによって複数形成されている。凸部1P及び凹部1Rは、伸長方向Xと交差する方向に延びるようにそれぞれ配されている。
吸収性シート1を伸長方向Xに直交する方向Yに沿って見ると、凸部1Pと凹部1Rとは同方向Yに交互に配されている。凸部1P及び凹部1Rはそれぞれ、断面形状や厚み方向Zに沿う振幅が不均一に形成されていることも好ましい。
吸収性シート1の第2面1Bは、第1面1Aと相補形状になっている。詳細には、第1面1Aにおいて凸部1Pが設けられている位置に対応する第2面1Bの位置に凹部1Rが設けられている。また第1面1Aにおいて凹部1Rが設けられている位置に対応する第2面1Bの位置には凸部1Pが設けられている。したがって、吸収性シート1をその厚み方向Zに沿って見ると、吸収性シート1は波形形状をしている。
上述のとおり、吸収性シート1はクレープを有しているところ、吸収性シート1のクレープ率は所定の値以上であることが好ましい。詳細には、吸収性シートのクレープ率は、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは100%以上であり、300%以下が現実的である。このクレープ率は、本技術分野で用いられる典型的なクレープ紙のクレープ率よりもはるかに高い値である。
このようなクレープ率とすることによって、非弾性のシートに伸長性を発現させて、着用者の動作に対して追従しやすく、また液吸収性を有しながらも柔軟性が高い吸収性シートとすることができる。このようなクレープ率を有する吸収性シートは、例えばクレープが形成されていないシートに対して、クレープ処理を上述のクレープ率となるように施すことによって得ることができる。
クレープ率は、例えば以下の方法に基づいて、水中伸度法で測定することができる。測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。測定対象の吸収性シートを伸長方向Xに100mm、Y方向に25mmの寸法で切断して測定試料を作製する。測定試料の寸法よりも底面積が大きい容器に測定試料が十分浸漬する程度の水を入れ、測定試料を水中に1分間浸漬する。その後、測定試料を引き上げて、伸長方向Xの寸法の変化量から次式でクレープ率を算出する。測定は3回行い、その算術平均値をクレープ率(%)とする。測定試料の作製にあたり、伸長方向Xにおいて100mmの寸法を確保できない場合は、伸長方向Xにおいて最低30mm以上の寸法となるように切断して測定試料を作製し、クレープ率を求めることができる。
クレープ率(%)=((水に浸漬した後の寸法(mm))/(水に浸漬する前の寸法(mm))-1)×100
上述のとおり、吸収性シートは、繊維と吸水性ポリマーの粒子とを含んで構成されている。吸収性シートは、繊維と吸水性ポリマーの粒子との配置形態に応じて、2つの形態に大別される。
詳細には、吸収性シートは、繊維及び吸水性ポリマーの粒子が混合されて、吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されている形態が挙げられる。図2ないし図4に示す吸収性シート1は、複数の繊維2と、複数の吸水性ポリマー3の粒子とを含み、これらが混合されて一体となっている。このような吸収性シートは、湿式抄紙された抄紙体であることが好ましい。
繊維2及び吸水性ポリマー3の詳細並びに本形態の吸収性シートの好適な製造方法は後述する。
本明細書における「単一層」とは、吸収性シート1を厚み方向Zに観察したときに、シート平面方向の境界が存在しないものであり、二枚以上のシート状部材を剥離可能に又は剥離不能に貼り合わせたり、該部材を剥離可能に又は剥離不能に重ね合わせたりして形成された、複数の層を有する一枚のシートは除く趣旨である。
また、本技術分野において液保持性の吸収体として通常用いられる繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体は、吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されていないものであるので、本発明の吸収性シートから除外される。
図2及び図3に示す吸収性シート1は単一層のシートであり、吸水性ポリマー3が吸収性シート1の厚み方向に偏在して接着固定されている。
本形態の吸収性シート1は、その一方の面と他方の面とを比較したときに、一方の面に露出している吸水性ポリマー3の個数と、他方の面に露出している吸水性ポリマー3の個数とが互いに異なるように存在している。本形態に関する説明では、説明の便宜上、図2及び図3において、吸収性シート1の一方の面を第1面1Aとし、吸水性ポリマー3が露出している個数が第1面1Aよりも少ない面を第2面1Bとする。
本明細書における「露出」とは、吸収性シート1を平面視したときに存在する一つの吸水性ポリマー3に着目したときに、該吸水性ポリマー3の面積の半分以上が繊維を巻き込まずにシート表面に存在している状態のことを指す。
また、「面に露出している」とは、吸収性シート1の製造時において吸水性ポリマー3が不可避的に露出したことを指し、シートの製造後に外部から意図的に吸水性ポリマーをシートに付着させることを除く趣旨である。
図2に示すように、吸収性シート1を厚み方向Zに沿ってみたときに、第1面1Aにおける吸水性ポリマー3の個数基準での存在割合が、第2面1Bにおける吸水性ポリマー3の個数基準での存在割合よりも高くなっている。
また図3(a)に示すように、第1面1Aでは、吸水性ポリマー3は、その存在割合が高い状態を維持しながら面方向にわたり存在している。一方、図3(b)に示すように、第2面1Bでは、吸水性ポリマー3は、その存在割合が第1面1Aよりも低い状態を維持しながら面方向にわたり存在している。
また、吸収性シート1は、その厚さ方向Zに関し、第1面1Aと平行な仮想面を考えたときに、その仮想面において、吸水性ポリマー3の存在割合が、第1面1Aから第2面1Bに向かう厚さ方向Zに沿って、階段状に、連続的に、又はその組み合わせで減少している。
図4に示す吸収性シート1は、図2及び図3(b)に示す態様とは異なり、吸水性ポリマーは吸収性シートの表面に露出しておらず、吸収性シート1の厚み方向Z内部に分散されて接着固定されている。本形態は、単一層であるか、複数の層を有する一枚のシートの形態であり得る。
本形態における吸水性ポリマー3は、その存在位置において分散状態を維持しながら面方向にわたり存在している。本形態における吸収性シート1は、その厚さ方向Zに関して第1面1Aと平行な仮想面を考えたときに、その仮想面において、吸水性ポリマー3の存在割合が、第1面1Aから第2面1Bに向かう厚さ方向Zに沿って、第1面1Aから厚み方向Zの中央域まで階段状に、連続的に、又はその組み合わせで増加し、厚み方向Zの中央域から第2面1Bまで階段状に、連続的に、又はその組み合わせで減少している。
図2ないし図4に示す吸収性シート1に含まれる吸水性ポリマー3は、吸収性シート1を構成する繊維に保持された状態で、且つ吸水性ポリマー3の粒子の一部または全部が吸収性シート1の厚み方向Zの内部に埋没保持されている。
吸収性シート1を構成する繊維が少ない場合でも、繊維間に吸水性ポリマー3を保持させてポリマーの脱落を防止するとともに、シートの強度を向上させる観点から、吸収性シート1は、一つの吸水性ポリマー3の粒子に、一本以上のパルプ繊維が埋め込まれている部位を有することが好ましい。
「埋め込まれている」とは、繊維の一部分を見たときに、該部分の繊維周方向全域の一部または全部が吸水性ポリマー3の粒子によって覆われていることをいう。このような構成とすることによって、シートの強度を維持しつつ、柔軟性と液保持性とを高いレベルで両立させることができる。
繊維と吸水性ポリマーとの配置形態の別の形態として、不織布等の繊維シートの一方の面に吸水性ポリマーが保持された態様が挙げられる。
詳細には、図5に示すように、吸収性シート1は、繊維2の集合体である第1の繊維シート11と、繊維2の集合体である第2の繊維シート12と、両繊維シート11,12の間に配された吸水性ポリマー3の粒子とを備えている。同図に示す吸水性ポリマー3の粒子は、シート面方向に複数配されている。本形態における吸水性ポリマー3は、例えば各繊維シート11,12を構成する繊維2との絡み合いや、該ポリマー3が吸水することによって発現する粘着性によって、繊維シートに保持されるようになっている。
これらの態様の他、各繊維シート11,12における吸水性ポリマー3に対向する面にそれぞれ配された接着剤(図示せず)によって、繊維シートに保持されていてもよい。なお図5において、説明の便宜上、各繊維シート11,12は異なる部材として示されているが、この形態に限られず、各繊維シート11,12は同一のものを用いてもよい。また各繊維シート11,12を構成する繊維2は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。また各繊維シート11,12を構成する繊維2は、単一種で構成されていてもよく、複数種が混綿されていてもよい。
以上の構成を有する吸収性シートは、クレープ率が所定の値以上となるようにクレープが形成されていることによって、着用者の動作に対して追従しやすく、着用時の違和感が低減されたものとなる。このことは、吸収性シートを吸収性物品の一構成部材として用いる場合において、吸収性物品を構成する他の部材として伸縮性の部材を組み合わせて用いる場合に更に有利である。
また、吸収性物品を構成する他の部材として非伸縮性の部材を組み合わせて用いる場合であっても、クレープが形成されていることによって、吸収性シートの全域に可撓点が複数形成されていることになるので、クレープが形成されていないシートと比較して、シートの柔軟性を高めることができる。
これに加えて、吸収性シートは、実使用に耐えうる強度を有しながらも薄型であり、且つ液の高い吸収性を兼ね備えたものとなる。
吸収性シート1に形成されているクレープは、伸長方向Xと交差する方向に延び、且つ不連続に形成されていることが好ましい。このような構成になっていることによって、吸収性シートに様々な方向の外力が付与された場合でもシートの可撓性を更に高めることができる。その結果、着用者の動作に対する追従性を更に高め、着用時の違和感を更に低減することができる。
「不連続に形成されている」とは、吸収性シートを平面視したときに、吸収性シートの伸長方向Xに直交する方向Yの一方の端部から他方の端部まで、クレープ10の形状に沿う連続線が引けないことをいう。換言すると、クレープ10は、吸収性シートの伸長方向Xに直交する方向Yの一方の端部から他方の端部までの間の任意の箇所で分断されていることが好ましい。クレープを不連続に形成するためには、例えば後述する製造方法にて形成することができる。
クレープの形成によって凸部1P及び凹部1Rを含む凹凸構造が維持された状態での吸収性シート1の厚みを「見かけ厚み」とし、凸部1P及び凹部1R等の凹凸構造を考慮しない吸収性シート1そのものの厚みを「実質厚み」としたときに、吸収性シートは、実質厚みに対する見かけ厚みの比が所定の範囲であることが好ましい。
詳細には、吸収性シート1の実質厚みT1に対する吸収性シート1の見かけ厚みT2の比(T2/T1)が、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である。
T2/T1比がこのような範囲にあることによって、クレープの形成を考慮した吸収性シート1の厚さを適切に制御して、着用者の動作に対する追従性と、シートの柔軟性とを両立して高めることができ、吸収性シートそのもの又は該シートを含む吸収性物品を着用したときの違和感が一層低減されたものとなる。
吸収性シート1の実質厚みT1(図1(b)参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下である。
実質厚みT1をこのような範囲とすることによって、吸収性シートの製造において、クレープの形成を効率的に行うことができるとともに、形成されたクレープの形状を十分に維持することができる。その結果、吸収性シートに伸長性を十分に付与させて、着用時の違和感を低減することができる。
また吸収性シート1の見かけ厚みT2(図1(b)参照)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは2.0mm以上であり、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.0mm以下である。
見かけ厚みT2をこのような範囲とすることによって、着用者の動作に対する追従性と、シートの柔軟性とを高いレベルで両立して高めることができる。
吸収性シート1の実質厚みT1は、測定対象となる吸収性シート1を伸長方向Xに伸長させるように3N/50mm負荷をかけて最大伸長させた状態で、0.5gf/m(4.9mN/m)の荷重下にて、レーザー変位計(オムロン株式会社製、2次元CMOSレーザータイプスマートセンサV(型番ZS-LD80))を用いて3箇所以上の厚みを測定し、その厚みの算術平均値を実質厚みT1とする。
また、吸収性シート1の見かけ厚みT2は、測定対象となる吸収性シート1を自然状態(非伸長状態)で、0.5gf/m(4.9mN/m)の荷重下にて、上述したレーザー変位計を用いて3箇所以上の厚みを測定し、その厚みの算術平均値を見かけ厚みT2とする。
吸収性シート1は、クレープが形成されていることによって、一方向に伸長性を有していることが好ましい。これに加えて、吸収性シート1は、伸長方向Xに沿う伸長の程度が所定の値以上であることが好ましい。
詳細には、吸収性シート1の伸長の程度を伸長倍率で表したときに、その伸長倍率が、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上であり、4倍以下が現実的である。吸収性シート1がこのような伸長倍率となっていることによって、吸収性シートの製造時におけるクレープの形成を効率的に行うことができるとともに、クレープの形成に起因した吸収性シートの高い柔軟性を効果的に発現させることができる。このような伸長倍率を有するシートは、例えば、繊維及び吸水性ポリマーの粒子が混合されて、吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されている形態のシートに対してクレープ処理を施すことによって、容易に得ることができる。
伸長倍率は、以下のように測定することができる。まず、測定対象の自然状態の吸収性シートを伸長方向X及び該方向に直交する方向Yに沿って、X方向50mm×Y方向25mmの寸法となるように切り出し、これを試験片とする。この試験片を、引張圧縮試験機(株式会社島津製作所製、AG-IS)を用いて、チャック間距離を30mmとし、試験片の伸長方向Xに伸長させるように引張速度300mm/minで引張り、3N/50mm負荷時のシート長さを測定する。この伸長条件を本明細書における最大伸長時の条件とする。この測定を5回行い、その算術平均値をシート伸度(mm)とする。そして、得られたシート伸度に基づいて、以下の式から伸長倍率を算出する。
伸長倍率[倍]=(シート伸度[mm])/(自然状態の試験片のX方向の寸法[mm])
上述した寸法の試験片が取り出せない場合は、可能な限り該寸法に近い寸法となるように試験片を切り出し、チャック間距離を可能な限り大きくしたうえで、3(N)/50(mm)×[採取した試験片のX方向の幅(mm)]負荷時のシート長さを測定し、シート伸度を算出する。
上述の算出方法に基づいて具体例を説明すると、例えばX方向における自然状態の寸法が10mmである試験片をチャックに装着して、上述の手順で引張試験を行った結果、試験片が20mmに伸長したとき、シート伸度は20mmとなるので、伸長倍率は2倍と算出される。
吸収性シートは、最大伸長時におけるシートの密度が所定の値以下であることが好ましい。詳細には、最大伸長時における吸収性シートの密度が、好ましくは0.11g/cm未満、より好ましくは0.08g/cm以下であり、低ければ低いほど好ましいが、0.05g/cm以上が現実的である。
最大伸長時の吸収性シートがこのような密度となっていることによって、吸収性シートの製造時においてクレープの付与及び所定のクレープ率となるようにクレープを付与しやすくして、生産効率を高めることができるとともに、シート自体の柔軟性を高めて、使用感を向上させることができる。
最大伸長時における吸収性シートの密度(g/cm)は、吸収性シートを最大伸長したときの所定面積当たりの質量を吸収性シートの坪量(g/cm)として算出し、該坪量を上述した実質厚みT1(cm)で除することによって算出することができる。上述の密度を満たす吸収性シートは、例えば、湿式抄紙によって得られた抄紙体に対して、送風等の非接触式の乾燥に供することによって得ることができる。
以下に、吸収性シートを構成する繊維及び吸水性ポリマーについて説明する。吸収性シートを構成する繊維としては、天然繊維、合成繊維及び再生繊維が挙げられ、好ましくは親水性の繊維である。天然繊維としては、例えば、パルプ繊維、コットン繊維等の天然セルロール繊維が挙げられる。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール繊維及びポリアクリロニトリル繊維、並びにこれらの樹脂成分を含有する芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維等が挙げられる。合成繊維は、必要に応じて、繊維表面に親水化処理が施されていてもよい。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ及びテンセル等が挙げられる。これらの繊維は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
吸収性シート1として、繊維2を含む繊維シート11,12を用いる場合、繊維シートは、それぞれ独立して、上述した繊維を含む不織布を用いることができる。このような不織布としては、例えばエアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
これらのうち、繊維の剛性が低いことに起因して、成形性及び加工性を高めて、高いクレープ率を維持した吸収性シートを生産性高く得る観点から、吸収性シートを構成する繊維としてパルプ繊維を含むことが好ましい。パルプ繊維は、繊維表面が親水性を有する繊維であり、且つその湿潤状態において繊維どうしが絡合及び水素結合によって結合して紙匹を形成できるので、単一層の吸収性シートの製造効率を高めることができる点で有利である。
パルプ繊維としては、未架橋パルプ及び架橋パルプが挙げられる。未架橋パルプとしては、例えば針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ、木綿パルプ、麻パルプ、ワラパルプ、竹パルプ等の非木材パルプ、通常の木材パルプをカチオン化処理して得られるカチオン化パルプ、通常の木材パルプをマーセル化処理して得られるマーセル化パルプ等の変性パルプ等が挙げられる。架橋パルプとしては、例えば、パルプを構成するセルロース繊維の分子内及び分子間を架橋剤によって架橋した化学架橋セルロース繊維等が挙げられる。これらのパルプ繊維は、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、吸収性シート1は未架橋パルプからなるパルプ繊維を含むことが好ましく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を含むことが更に好ましい。未架橋パルプを含んで構成することによって、吸水性ポリマーがパルプ繊維に接着固定されやすいので、吸収性シートの柔軟性と強度とが両立して発現するものとなる。
吸収性シートの構成繊維としてパルプ繊維を含む場合、シートの柔軟性、強度及び液吸収性を兼ね備える観点から、パルプ繊維の含有量は、吸収性シート100質量部中、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることが更に好ましく、また90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることが好ましく、75質量部以下であることが更に好ましい。
吸収性シート1が未架橋パルプを含む場合、吸収性シート1を構成するパルプ繊維の全体の質量に対する未架橋パルプの含有質量割合は、80質量%超であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。このような割合とすることによって、吸水性ポリマー膨潤時に形成される空間を維持したまま、パルプ繊維どうしの間に生じる水素結合や、パルプ繊維と吸水性ポリマーとの間に生じる物理的な結合が形成されやすくなるので、吸収性シートの柔軟性と強度とが両立して発現するものとなる。
吸収性シート1の質量に対するパルプ繊維の質量割合、並びに吸収性シート1を構成するパルプ繊維全体の質量に対する未架橋パルプの割合は、以下の方法で測定することができる。まず、測定対象の吸収性シートの乾燥状態での質量A1を測定する。次いで、この吸収性シートをアスコルビン酸1000ppm/リボフラビン10ppm水溶液に浸漬した後、日光に暴露し、サンプル中の吸水性ポリマー成分を除去して、繊維成分のみを抽出する。この繊維成分の質量を測定し、吸収性シートの構成繊維の全体の質量とする。抽出した繊維を繊維識別用試薬(一般財団法人ボーケン品質評価機構製、BOKENSTAIN II)にて染色し、灰色がかった青緑色に変色した繊維をパルプ繊維として取り出し、変色したパルプ繊維を一本ごとに分離して乾燥させて、パルプ繊維の総質量A2を測定する。吸収性シート1の質量に対するパルプ繊維の質量割合は、質量A2を質量A1で除することによって算出することができる。また、取り出したパルプ繊維について、繊維が捲縮しているものを架橋パルプとし、繊維が捲縮していないものを未架橋パルプとしてそれぞれ分離し、未架橋パルプの総質量A3を測定する。そして、パルプ繊維の全体の質量A2に対する未架橋パルプの質量A3の百分率を算出して、未架橋パルプの質量割合を求めることができる。
吸収性シート1は、吸水性ポリマー3を含む。吸水性ポリマー3は、吸収性シート1を構成するパルプ繊維どうしの間に三次元的に分散して配置され、接着固定されている。吸収性シート1に存在する吸水性ポリマー3の形状は、例えば球形、塊状、俵状、繊維状及び不定形、並びにこれらの組み合わせの形状でありうる。
吸収性シート1に存在する吸水性ポリマー3の粒子の粒径は、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、好ましくは850μm以下、より好ましくは600μm以下である。吸収性シート1における吸水性ポリマー3の粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、(型番:LA-950V2))を用いたレーザー回折散乱法によって測定したメジアン径とすることができる。
高い吸液保持性を実現する観点から、吸水性ポリマー3の含有量は、吸収性シート100質量部中、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることが更に好ましく、また90質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、吸水性ポリマーの坪量は、5g/m以上であることが好ましく、10g/m以上であることが更に好ましく、20g/m以上であることが最も好ましく、また350g/m以下であることが好ましく、300g/m以下であることが更に好ましく、200g/m以下であることが最も好ましい。
吸水性ポリマーは、本技術分野で用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばデンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が挙げられる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を用いることができる。また吸水性ポリマーの性能を低下させない範囲で、アクリル酸と、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーとを共重合した共重合体を用いることができる。
吸収性シート1の柔軟性、強度及び吸液性を兼ね備える観点から、吸収性シート1の坪量は、60g/m以上であることが好ましく、100g/m以上であることが更に好ましく、また400g/m以下であることが好ましく、300g/m以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、吸収性シート1全体に占める繊維2の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、50g/m以上であることが更に好ましく、また200g/m以下であることが好ましく、150g/m以下であることが更に好ましい。図5に示すように、吸収性シートに繊維2を含む複数枚の繊維シートが吸収性シートの構成部材として用いられる場合、上述の繊維2の坪量はすべてのシートの坪量の合計値である。
繊維と吸水性ポリマーとが図2及び図3に示す配置形態を有する吸収性シートの態様である場合、吸収性シート1は、第1面1Aにおける吸水性ポリマー3が露出している個数Apに対する、第2面1Bにおける吸水性ポリマー3が露出している個数Bpの比(Bp/Ap)が、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下となっている。
また、各面1A,1Bでの露出個数比(Bp/Ap)は、ゼロ(すなわち第2面1Bには吸水性ポリマー3が実質的に露出していない)であることが最も好ましい。このような構成となっていることによって、吸収性シート1を吸収性物品の構成部材として用いたときに、シート平面方向への液拡散性と、吸液性とを両立して高めることができる。この効果は、吸水性ポリマー3の露出個数が、第1面1Aと比較して少ない第2面1Bを、吸収性シート1と液とが最初に接する面である受液面として用いることによって、より顕著に奏される。
第1面1Aにおける吸水性ポリマー3が露出している個数Apは、4.41cm当たり、好ましくは1個以上、更に好ましくは5個以上であり、多ければ多いほど好ましい。同様に、第2面1Bにおける吸水性ポリマー3が露出している個数Bpは、4.41cm当たり、好ましくは30個以下、より好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下であり、最も好ましくは0個である。
吸収性シート1の各面1A,1Bにおける吸水性ポリマー3が露出している個数Ap,Bpは、以下の方法で測定することができる。
測定対象の吸収性シートが市販の吸収性物品等の製品に組み込まれている場合、該吸収性物品に対して、コールドスプレーを噴霧して、吸収性物品の構成部材を接着している接着剤を固化させて、表面シート、吸収性シート、裏面シートなどの各部材ごとに分解する。この製品分解方法は、本明細書における他の測定方法にも共通して適用可能である。得られた吸収性シート1から5cm四方のサンプルを切り出し、該サンプルの各面に、青色2号(インジゴカーミン、ダイワ化成株式会社製)の1質量%水溶液0.2gをそれぞれ散布し、その後、該サンプルを105℃、3時間乾燥機にて乾燥する。乾燥後のサンプルの測定面を、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープ(型番:VHX-1000))を用いて、倍率30倍にて3視野分(1.47cm×3枚=4.41cm)を観察する。3視野において観察される青色に呈色し、吸水性ポリマーが露出した箇所の合計個数を計測し、これを吸収性シート1の一方の面における吸水性ポリマー3が露出している個数とする。また上述の方法と同様に、吸収性シート1の他方の面における吸水性ポリマー3が露出している個数を測定する。露出個数比は、吸水性ポリマー3が露出している個数が多い面の個数を個数Apとし、吸水性ポリマー3が露出している個数が少ない面の個数を個数Bpとし、個数Bpを個数Apで除して算出する。
吸収性シート1は、その引張強度が、好ましくは100cN/25mm以上、より好ましくは200cN/25mm以上、更に好ましくは300cN/25mm以上であり、また5000cN/25mm以下であることが現実的である。このような引張強度を有することによって、吸収性シート1は、その製造後に他の工程へ搬送される場合であっても強度を維持することができ、また、実使用に耐えうる強度も十分に有するものとなる。
引張強度の測定は、引張圧縮試験機(株式会社島津製作所製、AG-IS)を用いて、JIS P8113に準じて測定することができる。必要に応じて、上述した製品分解方法を適用して、製品から吸収性シート1を取り出した後、測定サンプルとして、縦方向200mm×横方向25mmの寸法となるように吸収性シート1を切り出す。この測定サンプルを、50Nのロードセルを用い、チャック間距離を180mmとし、その縦方向に沿って引張速度20mm/minで引っ張り、破断時の最大荷重(cN/25mm)を記録する。1つの測定対象部位につき5つの測定サンプルを用意してそれぞれの最大荷重を測定し、それらの算術平均値を吸収性シート1の引張強度(cN/25mm)とする。上述した寸法を有する測定サンプルを切り出すことが困難であるか、又は上述した寸法を有する測定サンプルを製品から取り出すことが困難である場合には、測定サンプルは、切り出し可能又は取り出し可能な寸法で測定に供してもよい。この場合、測定サンプルの横方向の寸法が25mmでない場合、引張強度は、25mm当たりの荷重に換算して算出する。引張強度の測定における縦方向は、一般に製品の長手方向を意味し、横方向は、一般に製品の短手方向を意味する。吸収性シート1を測定する場合には、縦方向は伸長方向Xとし、横方向はY方向とする。
上述した吸収性シート1は、これをこのままで用いてもよく、該シート1を吸収性物品の構成部材として用いてもよい。つまり、吸収性シートは、吸収性物品用として好適である。典型的には、吸収性物品は、着用者に前後方向に対応する長手方向と、該長手方向に直交する幅方向を備え、表面シートと、裏面シートとを有し、表面シートと裏面シートとの間に本発明の吸収性シートを配した状態で用いることができる。つまり、吸収性シートは吸収性物品における液保持性の吸収体として用いることができる。
吸収性シートが吸収性物品の吸収体として配されていることによって、吸収性シート1はその厚みが薄いので、高い吸液性を有しつつ、薄型の吸収性物品を製造することができる。また吸収性シートは、吸収性物品への適用に耐えうる強度を有しつつ、柔軟性が高いので、使用感が向上した吸収性物品を製造することができる。吸収性物品としては、例えば尿漏れパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が挙げられる。このような吸収性物品はその構成部材として伸縮性の部材と非伸縮性の部材とが組み合わされて用いられるところ、上述した構成を有する吸収性シートを用いることによって、伸縮性の構成部材による伸縮に伴って吸収性シートも追従するので、着用者の動作に対して追従性が高く、着用時の違和感が低減される。また非伸縮性の構成部材によって着用者の動きに追従しにくい部位が存在した場合であっても、吸収性シートに形成されたクレープによって、柔軟性が向上した吸収性物品となる。
吸収性物品として用いられる表面シートは、吸収性物品を適正な位置で着用した場合において、吸収性物品を着用する着用者の肌に向けられる面(以下、これを「肌対向面」ともいう。)側を構成するシートであり、裏面シートは、吸収性物品を着用する着用者の肌とは反対側に向けられる面側を構成するシートである。
吸収性物品として用いられる表面シート及び裏面シートは、吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。表面シートとしては、例えば液透過性の各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができる。裏面シートとしては、表面シートと同じものを用いるか、又は、液難透過性若しくは撥水性の樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
吸収性シート1を吸収性物品の構成部材として備える場合、吸収性シートは、吸収性シートの伸長方向Xと、吸収性物品の長手方向とが互いに一致するように配されることが好ましい。このように吸収性シートを配することによって、吸収性シートの伸長性及び可撓性を十分に発現させることができるので、着用者の動作に対して追従性が高く、着用時の違和感が低減された吸収性物品を得ることができる。
また吸収性シートの伸長性及び柔軟性を効果的に発現させる観点から、吸収性シートは、クレープが維持された状態で、吸収性物品の他の構成部材と間欠的に接合されていることも好ましい。本実施形態における吸収性シートの接合対象部材は、典型的には裏面シートである。
以上は本発明の吸収性シート及び該シートを備える吸収性物品に関する説明であったところ、以下に吸収性シートの好適な製造方法を説明する。以下の説明では、図2及び図3に示す吸収性シートに関する製造方法と、図4に示す吸収性シートに関する製造方法と、図5に示す吸収性シートに関する製造方法とに大別して説明する。
まず、繊維と吸水性ポリマーとが図2及び図3に示す配置形態を有する単一層の吸収性シートに関する製造方法について説明する。本形態では、繊維としてパルプ繊維を用い、パルプ繊維と、吸水性ポリマーとを水に分散させたスラリーを抄紙網上で抄紙して、パルプ繊維及び吸水性ポリマーを含む湿潤紙匹を形成し、得られた湿潤紙匹を乾燥に付し、得られた乾燥紙匹に対してクレープ処理を施す。つまり、本製造方法は湿式抄紙法に係るものであり、図2及び図3に示す単一層の吸収性シートは、繊維と吸水性ポリマーとを湿式抄紙した抄紙体で構成されることが好ましい。
まず、パルプ繊維及び吸水性ポリマーを水に分散させたスラリーを調製する。本製造方法においては、スラリー中の固形分濃度は、好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下とする。スラリー中のパルプ繊維及び吸水性ポリマーの各含有量は、上述した吸収性シートの含有量となるように適宜調整することができる。
次いで、調製したスラリーを抄紙網上で湿式抄紙して、パルプ繊維及び吸水性ポリマーを含む湿潤紙匹を形成する。本工程は、例えば、底部に抄造網を有する円筒状又は角筒状の抄造容器を用いて、調製したスラリーを該抄造容器に投入し、その後、該抄造容器の下方からスラリー中の水分を脱水させながら、スラリー中の固形分を抄造網上に堆積させることによって行うことができる。本工程によって得られる湿潤紙匹は、乾燥した紙匹100質量部に対して、水を好ましくは20質量部以上500質量部以下含む湿潤状態のものである。
抄造容器にスラリーを投入し下部を開放すると、該スラリーに含まれる水は、重力によって、抄造網を介して自然落下する。これとともに、スラリー中の固形分は、水の自然落下とともに抄造網上に堆積して保持される。このとき、パルプ繊維は、吸水により膨潤した吸水性ポリマーよりも体積が小さいので、水中での自由度が高まり、脱水時に吸水性ポリマーよりも先に抄造網側(下方)に回り込みながら堆積する。特に、未架橋パルプ繊維は、捲縮が生じており吸水性ポリマーと均一に混ざりにくい架橋パルプ繊維と比較して、捲縮が生じておらず吸水性ポリマーと均一に混ざりやすいので、未架橋パルプ繊維の堆積過程において、水分によって高い粘着性が発現した吸水性ポリマー内に埋め込まれたり、あるいは該吸水性ポリマー間に保持されたりする。これとともに、吸水性ポリマーに保持されなかったパルプ繊維は、吸水性ポリマーよりも更に速く堆積することになる。このようにして、スラリー中の固形分は、パルプ繊維と吸水性ポリマーの存在割合が湿潤紙匹の厚み方向で異なるように、抄造網上に保持される。抄紙網上に保持される湿潤紙匹は、抄紙網に対向する面が、吸収性シート1における第2面1Bとなり、抄紙網に対向していない面が、吸水性ポリマーの露出個数が第2面1Bよりも多い吸収性シート1における第1面1Aとなる。
上述した抄造容器を用いる場合、その底面積や容積等に特に制限はないが、スラリー中の固形分の十分な沈降時間を確保して、吸水性ポリマーの露出個数比が異なる吸収性シートを容易に製造する観点から、抄造容器の底面積は、好ましくは300cm以上であり、好ましくは1000cm以下である。
同様の観点から、抄造容器の容積は、底面積に応じて適宜変更可能であるが、好ましくは5000cm以上であり、好ましくは30000cm以下である。
本工程に用いる抄造網の平面積は、目的とする吸収性シート1に応じて適宜変更可能であり、例えば、上述した抄造容器の底面積の範囲とすることができる。抄造網は、本技術分野において通常用いられるものを用いることができる。
また上述した抄造容器を用いる場合、抄造容器内に投入するスラリーの体積は、抄造容器の容積に応じて適宜変更可能であるが、好ましくは3L以上であり、好ましくは10L以下である。
次いで、得られた湿潤紙匹を、任意の乾燥手段を用いて乾燥させる。本工程に用いられる乾燥手段としては、例えば、プレスロール、ヒートロール、ヤンキードライヤ等の接触式の乾燥手段、並びに、熱風等を湿潤紙匹に対して送風する送風乾燥や、赤外線乾燥等の非接触式の乾燥手段が挙げられる。
湿式紙匹の乾燥においては、非接触式の乾燥手段を用いることが好ましく、非接触式の乾燥手段のうち、湿潤紙匹を送風によって乾燥させる送風乾燥を採用することが更に好ましい。このような乾燥手段を採用することによって、湿潤紙匹におけるパルプ繊維と吸水性ポリマーとの三次元的な配置状態と、抄紙した湿潤紙匹の形状とを維持したままで、湿潤紙匹に含まれる水分を蒸発させて乾燥することができるので、高い強度を有しながらもシートの密度が低く、柔軟性が高い吸収性シートを生産性高く得ることができる。なお吸水性ポリマーは、吸水により膨潤した場合でも、乾燥を経ることによって、その粒径は膨潤前の状態に戻る。したがって、原材料として用いる吸水性ポリマーの粒径と、本形態における吸収性シートに存在する吸水性ポリマーの粒径とは、略同じものである。
非接触式の乾燥における乾燥温度は、パルプ繊維及び吸水性ポリマーの種類によって適宜変更可能であるが、水分を効率的に蒸発させる観点から、例えば送風乾燥においては、湿潤紙匹に対して送風する熱風の温度を好ましくは100℃以上、更に好ましくは105℃以上とし、好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下とする。湿式紙匹を赤外線乾燥に供する場合は、湿式紙匹自体が上述した温度範囲となるように、赤外線の出力を調整すればよい。
続いて、得られた乾燥紙匹に対して、クレープ処理を施す。クレープ処理は、乾燥紙匹を抄紙網からドクターブレード等を用いて剥離する際に生じる、ドライクレープ法を採用することができる。本形態では、乾燥手段における紙匹の保持部材から乾燥紙匹を剥離する際に、ドクターブレードによって、乾燥紙匹の表面にクレープ処理を施して、乾燥紙匹にクレープを付与することができる。
クレープ処理におけるドライクレープ法の別の形態として、一方向に回転するロールと、該ロールの径方向に押圧力を付与可能な押圧部材と、ロール軸方向に延在し且つロール周面から離間するように配されている離間部材とを備えたクレープ形成装置を用いた方法を採用することができる(以下、この方法をミクロクレーピング法ともいう。)。
詳細には、乾燥手段における紙匹の保持部材から剥離した後の乾燥紙匹をロールの周面に配して、ロールを回転させることで乾燥紙匹を一方向に搬送する。この状態で、押圧部材とロールとの間に乾燥紙匹を導入して、乾燥紙匹を厚み方向に押圧する。このとき、押圧部材は、乾燥紙匹の搬送方向と直交する方向に沿って延びており、これによって、乾燥紙匹の搬送方向と交差する方向全域に圧力が付与されることが好ましい。そして、ロールの回転及び押圧部材による押圧状態を維持しつつ、乾燥紙匹を離間部材に押し当てながら搬送することによって、乾燥紙匹をロール周面から離間させ、且つ搬送方向と交差する方向に延びるクレープを乾燥紙匹の面方向全域に形成することができる。このような方法で形成されたクレープは、その凹凸形状が微細であり、且つ搬送方向と交差する方向に不連続に形成されやすくなる。
このような工程を経て、繊維と吸水性ポリマーとが図2及び図3に示す配置形態を有し、クレープが形成された吸収性シートが製造される。この吸収性シートは単一層からなり、高い吸液性と強度とが高いレベルで両立したものとなる。また吸収性シートは薄型であり、且つ柔軟性が高いものである。
続いて、繊維と吸水性ポリマーとが図4に示す配置形態を有する吸収性シートに関する製造方法について説明する。本形態においては、繊維としてパルプ繊維等の親水性繊維を用い、該繊維と、必要に応じて上述した合成繊維及び紙力補強剤とを水に分散させたスラリーを抄紙網で湿式抄紙して湿式紙匹を得る。次いで、該湿式紙匹に吸水性ポリマーを散布し、然る後に、吸水性ポリマーを含む湿潤紙匹上に、親水性繊維と必要に応じて上述した合成繊維及び紙力補強剤とを含む繊維集合体を重ね合わせて積層体とし、該積層体を乾燥させ一体化させる。このような製造方法は湿式抄紙法に係るものであり、例えば特開平8-246395号公報に記載の製造方法を採用することができる。この製造方法を採用する場合、得られる積層体は複数の層を有する一枚のシート状物である。そして、上述したクレープ処理を乾燥後の積層体に施すことによって、繊維と吸水性ポリマーとが図4に示す配置形態を有し、クレープが形成された吸収性シートが製造される。この吸収性シートは、高い吸液性と強度とが高いレベルで両立するとともに、薄型であり、且つ柔軟性が高いものである。
繊維と吸水性ポリマーとが図5に示す配置形態を有し、クレープが形成された吸収性シートは、例えば以下の方法で製造することができる。まず、第1の繊維シートの一方の面に連続的に又は間欠的に接着剤を塗布したあと、接着剤の塗布面に吸水性ポリマーを散布して、繊維シートに吸水性ポリマーを保持させる。そして、一方の面に連続的に又は間欠的に接着剤を塗布した第2の繊維シートを、各繊維シートにおける接着剤の塗布面どうしが対向するように、各繊維シートを重ね合わせる。各繊維シートを重ね合わせることによって得られた積層体は、両繊維シートの間に吸水性ポリマーが保持されたものとなる。この積層体は、クレープを形成する前に、必要に応じて、プレスロールなどに導入して厚み方向に押圧してもよい。その後、上述の方法にて、積層体にクレープ処理を施してクレープを形成する。このような工程を経て、繊維と吸水性ポリマーとが図5に示す配置形態を有し、クレープが形成された吸収性シートが製造される。
上述の工程を経て得られた吸収性シート1は、これを単独で用いてもよく、吸収性シート1どうしを複数枚積層して用いてもよく、あるいは、他の材料と積層して用いてもよい。上述した吸収性物品を製造する場合には、製造工程のうちのいずれかの工程において、吸収性シート1を吸収性物品の構成材料の一つとして用い、該吸収性シート1と、表面シート及び裏面シート等の吸収性物品を構成する他の構成材料とを積層して、目的とする吸収性物品を製造することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、本発明の吸収性シートは、その製造時に、脱臭剤、殺菌剤等を配合し、目的とする製品の他の機能を高めることもできる。
また吸収性シートを湿式抄紙法によって製造する場合、繊維を含むスラリーは、必要に応じて、ポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、カルボキシメチルセルロース等の紙力補強剤を更に含んでいてもよい。
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性シート及び吸収性物品を開示する。
<1>
繊維及び吸水性ポリマーが混合され、該吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されているか、又は繊維シートの一方の面に吸水性ポリマーが保持されており、
一方向に伸長可能なようにクレープが設けられており、
クレープ率が10%以上である、吸収性シート。
<2>
前記クレープ率は、より好ましくは50%以上、更に好ましくは100%以上であり、好ましくは300%以下である、前記<1>に記載の吸収性シート。
<3>
前記吸収性シートの実質厚みに対する前記吸収性シートの見かけ厚みの比が1.3以上5.0以下であり、
前記吸収性シートの実質厚みが0.3mm以上5.0mm以下であり、
一方向に伸長性を有し、且つ伸長倍率が1.3倍以上である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性シート。
<4>
前記クレープは伸長方向と交差する方向に延び、且つ不連続に形成されている、前記<1>~<3>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<5>
前記吸収性シートの実質厚みに対する前記吸収性シートの見かけ厚みの比が1.5以上4.0以下である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<6>
前記吸収性シートの実質厚みに対する前記吸収性シートの見かけ厚みの比が、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<7>
前記吸収性シートの実質厚みが0.7mm以上3.0mm以下である、前記<1>~<6>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<8>
前記吸収性シートの実質厚みが、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1.0mm以上であり、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下である、前記<1>~<7>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<9>
一方向に伸長性を有し、且つその伸長倍率が1.5倍以上である、前記<1>~<8>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<10>
一方向に伸長性を有し、且つその伸長倍率が、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上であり、好ましくは4倍以下である、前記<1>~<9>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<11>
一方向に伸長性を有し、最大伸長時における前記吸収性シートの密度が0.11g/cm未満である、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<12>
一方向に伸長性を有し、最大伸長時における前記吸収性シートの密度が、より好ましくは0.08g/cm以下であり、好ましくは0.05g/cm以上である、前記<1>~<11>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<13>
前記繊維がパルプ繊維である、前記<1>~<12>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<14>
前記パルプ繊維として未架橋パルプを含むことが好ましい、前記<13>に記載の吸収性シート。
<15>
前記吸収性シートは、一つの前記吸水性ポリマー粒子に、一本以上の前記パルプ繊維が埋め込まれている部位を有する、前記<13>又は<14>に記載の吸収性シート。
<16>
前記吸収性シートは、凸部と凹部とが前記クレープによって複数形成されており、
前記凸部及び前記凹部はそれぞれ、断面形状及びシート厚み方向に沿う振幅が不均一に形成されている、前記<1>~<15>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<17>
前記吸収性シートは単一層のシートであり、
前記吸水性ポリマーが前記吸収性シートの厚み方向に偏在して接着固定されている、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<18>
前記吸収性シートは、前記吸水性ポリマーが該吸収性シートの表面に露出しておらず、該吸収性シートの厚み方向内部に分散されて接着固定されている、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<19>
前記吸収性シート1の見かけ厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは2.0mm以上であり、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.0mm以下である、前記<1>~<18>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<20>
前記吸収性シートの坪量は、60g/m以上であることが好ましく、100g/m以上であることが更に好ましく、また400g/m以下であることが好ましく、300g/m以下であることが更に好ましい、前記<1>~<19>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<21>
前記吸収性シート全体に占める前記繊維の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、50g/m以上であることが更に好ましく、また200g/m以下であることが好ましく、150g/m以下であることが更に好ましい、前記<1>~<20>のいずれか一に記載の吸収性シート。
<22>
前記<1>~<21>のいずれか一に記載の吸収性シートを備える吸収性物品であって、
前記吸収性シートの伸長方向と、前記吸収性物品の長手方向とが一致している、吸収性物品。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1ないし3〕
長さ25cm×幅25cmの抄紙網を底部に配し、長さ27cm×幅27cm×高さ30cmの寸法を有する四角筒状の抄紙容器に、繊維として未架橋パルプ繊維である針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、Cariboo Pulp and Paper社製、商品名「カリブ」)と、吸水性ポリマー(粒径450μm、日本触媒株式会社製、アクアリックCAW-4)とのみを用い、これらが水に分散したスラリーを投入して湿式抄紙を行い、湿潤紙匹を得た。そして、該湿潤紙匹に対して105℃の熱風を送風して乾燥し、乾燥紙匹を得た。その後、乾燥紙匹にクレープ率が異なるようにクレープを形成して、単一層の吸収性シートを得た。各実施例の吸収性シートは、クレープが伸長方向Xと交差する方向に延び、且つ不連続に形成されていた。これらの実施例はいずれも、吸収性シート1における繊維及び吸水性ポリマーの配置態様が図2及び図3に示す態様となっていた。各実施例おける繊維及び吸水性ポリマーの各坪量は、以下の表1に示すとおりであった。
〔実施例4〕
特開平8-246395号公報に記載の方法に従って、繊維と吸水性ポリマーとを含む積層体を作成し、この積層体をヤンキードライヤを用いて圧縮しながら乾燥して一体化させた。その後、乾燥後の積層体にクレープを形成して、複層構造の一枚のシートからなる吸収性シートを得た。本実施例の吸収性シートは、クレープが伸長方向Xと交差する方向に延び、且つ不連続に形成されていた。本実施例の吸収性シート1における繊維及び吸水性ポリマーの配置態様は図4に示す態様となっていた。吸収性シート1における繊維及び吸水性ポリマーの各坪量は、以下の表1のとおりであった。
〔実施例5〕
第1及び第2の繊維シートとして、レーヨン繊維80質量%と、芯がポリプロピレン/鞘がポリエチレンの芯鞘繊維20質量%との混綿によって構成されたスパンレース不織布(シート一枚当たりの坪量:26.5g/cm)を用い、繊維の総坪量を53g/cmとした。まず、第1の繊維シート一方の面に連続的にホットメルト接着剤を塗布したあと、接着剤の塗布面に吸水性ポリマーを表1に示す坪量となるように散布した。そして、一方の面に間欠的にホットメルト接着剤を塗布した第2の繊維シートを、各繊維シートにおけるホットメルト接着剤の塗布面どうしが対向するように、各繊維シートを重ね合わせて、両繊維シートの間に吸水性ポリマーが保持されたシート状物を得た。その後、このシート状物に対して、乾燥後の積層体にクレープを形成して、複数枚のシートからなる吸収性シートを得た。本実施例の吸収性シートは、クレープが伸長方向Xと交差する方向に延び、且つ不連続に形成されていた。本実施例の吸収性シート1における繊維及び吸水性ポリマーの配置態様は図5に示す態様となっていた。本実施例のクレープ率は、以下の表1のとおりであった。
〔比較例1ないし3〕
乾燥紙匹に対してクレープを形成しなかったほかは、実施例1ないし3と同様に、単一層の吸収性シートを得た。これらの比較例の吸収性シートは、繊維及び吸水性ポリマーの配置態様が図2及び図3に示す態様となっているが、クレープは形成されていない。
〔比較例4〕
乾燥後の積層体にクレープを形成しなかったほかは、実施例4と同様に、単一層の吸収性シートを得た。本比較例の吸収性シートは、繊維及び吸水性ポリマーの配置態様が図4に示す態様となっているが、クレープは形成されていない。
〔比較例5〕
シート状物にクレープを形成しなかったほかは、実施例5と同様に、複層構造の吸収性シートを得た。本比較例の吸収性シートは、繊維及び吸水性ポリマーの配置態様が図5に示す態様となっているが、クレープは形成されていない。
〔吸収性シートの物性の測定〕
実施例及び比較例の吸収性シートにおけるクレープ率、実質厚みT1、見かけ厚みT2及び最大伸長時の吸収性シートの密度は、上述した方法で測定した。また、実質厚みT1に対する見かけ厚みT2の比(T2/T1)を算出した。結果を表1に示す。
〔吸収性シートの伸長倍率の測定〕
実施例及び比較例の吸収性シートにおける伸長倍率は、上述した方法で測定した。結果を表1に示す。
〔吸収性シートの柔軟性の評価〕
実施例及び比較例の吸収性シートの柔軟性を、株式会社大栄科学精器製作所のハンドルオメーター(型式HOM-3)を用いて、以下の方法で評価した。まず、スリット幅を20mmに設定した試料台の上に、縦100mm×横50mmの寸法を有する実施例又は比較例の吸収性シートをその長手方向がブレードと直角になるように、且つ吸収性シートの中央域が試料台のスリット位置と重なるように設置した。吸収性シートにクレープが形成されている場合、縦方向(長手方向)と伸長方向Xとは一致させるように配した。次に、試料台表面から10mmまで下がるように設定したブレードを下降させて吸収性シートを押下し、このときのピーク値(cN)を曲げ剛性の値とした。曲げ剛性の数値が小さいほど、吸収性シートの柔軟性が高いものであることを意味する。結果を表1に示す。
〔吸水性ポリマーの露出個数比の測定〕
実施例及び比較例の吸収性シートにおける各面の吸水性ポリマーの露出個数比を、上述の方法に従い測定及び算出した。結果を表1に示す。
〔引張強度の測定〕
実施例及び比較例の吸収性シートの引張強度を、上述の方法に従い測定した。数値が高いほど、シート強度が高いことを示す。結果を表1に示す。
Figure 2022014309000002
表1に示すように、実施例の吸収性シートは、比較例の吸収性シートと比較して、柔軟性が高く、着用者の動作に対して追従しやすいものであることが判る。実施例1ないし4の吸収性シートは薄型であり且つ柔軟性が更に高いことも判る。これに加えて、実施例1~3のシートは、吸水性ポリマーの露出個数比が所定の割合となっており、且つ引張強度も高いので、シート平面方向への液拡散性、吸液性及び十分な強度を兼ね備えたものとなる。
1 吸収性シート
1A 第1面
1B 第2面
2 繊維
3 吸水性ポリマー
10 クレープ

Claims (9)

  1. 繊維及び吸水性ポリマーが混合され、該吸水性ポリマーが該繊維に接着固定されているか、又は繊維シートの一方の面に吸水性ポリマーが保持されており、
    一方向に伸長可能なようにクレープが設けられており、
    クレープ率が10%以上である、吸収性シート。
  2. 前記吸収性シートの実質厚みに対する前記吸収性シートの見かけ厚みの比が1.3以上5.0以下であり、
    前記吸収性シートの実質厚みが0.3mm以上5.0mm以下であり、
    一方向に伸長性を有し、且つ伸長倍率が1.3倍以上である、請求項1に記載の吸収性シート。
  3. 前記クレープは伸長方向と交差する方向に延び、且つ不連続に形成されている、請求項1又は2に記載の吸収性シート。
  4. 前記吸収性シートの実質厚みに対する前記吸収性シートの見かけ厚みの比が1.5以上4.0以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性シート。
  5. 前記吸収性シートの実質厚みが0.7mm以上3.0mm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性シート。
  6. 一方向に伸長性を有し、且つその伸長倍率が1.5倍以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性シート。
  7. 一方向に伸長性を有し、最大伸長時における前記吸収性シートの密度が0.11g/cm未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性シート。
  8. 前記繊維がパルプ繊維である、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性シート。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性シートを備える吸収性物品であって、
    前記吸収性シートの伸長方向と、前記吸収性物品の長手方向とが一致している、吸収性物品。

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