JP2022010586A - エポキシ樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents

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幸泰 西岡
Yukiyasu Nishioka
弘貴 落合
Hiroki Ochiai
尚樹 釜谷
Naoki Kamaya
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Abstract

【課題】透明性が良好であり、接着特性及び機械的特性に優れた接着剤を与え得る、新規なエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】エポキシ樹脂(A)、エラストマー変性エポキシ樹脂(B)、ロジン系樹脂(c1)、環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)及びテルペン系樹脂(c3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素系樹脂(C)、並びに、硬化剤(D)を含む、エポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物及び接着剤に関する。
エポキシ樹脂組成物は、作業性に優れ、またその硬化物は、電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)及び成形性に優れている。そのため、エポキシ樹脂組成物は、電気・電子部品、自動車部品、電気機器、繊維強化プラスチック(FRP)、スポーツ用品、構造用材料及び塗料等の広汎な分野において、様々な材料を結合するための接着剤として使用されており、中でも、自動車、船舶、航空、宇宙、土木及び建築等の分野においては、構造用接着剤として広く使われている。
一方で、このような接着剤に用いられるエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂は脆いために、衝撃を受けると簡単に破壊されるという問題がある。そのため、従来より、エポキシ樹脂に、エラストマーやエラストマーで変性したエポキシ樹脂を添加して、エポキシ樹脂組成物を強靱化させる試みが行われている。
例えば、特許文献1では、エポキシ樹脂と、ウレタン変性エポキシ樹脂とを含む混合物を用いたエポキシ系接着剤が提案されている。また、特許文献2では、エポキシ樹脂と、ゴム変性エポキシ樹脂とを含む樹脂組成物を用いた構造用接着剤が提案されている。
特開昭59-196376号公報 特開2012-219223号公報
しかしながら、特許文献1、2の接着剤は、その外観が濁っており、剥離強度などの接着特性や機械的特性が不十分である問題があった。本発明者らが検討したところ、特許文献1、2の接着剤は、エポキシ樹脂中にエラストマー相(ウレタン相、ゴム相)が十分に分散していないために外観が濁っていることを見出し、エポキシ樹脂中のエラストマー相の分散不良によって、接着剤の接着特性や機械的特性が不十分になることを見出した。
本発明は、透明性が良好であり、接着特性及び機械的特性に優れた接着剤を与え得る、新規なエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、エポキシ樹脂、エラストマー変性エポキシ樹脂及び特定の炭化水素系樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出した。
詳しくは、本発明者らは、エポキシ樹脂及びエラストマー変性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物に、特定の炭化水素系樹脂を用いることにより、エポキシ樹脂中にエラストマー相が十分に分散してエポキシ樹脂組成物の透明性が良好になることを見出した。そして、そのようなエポキシ樹脂組成物は、接着特性及び機械的特性に優れた接着剤を与え得ることを見出した。すなわち、本発明は、以下のエポキシ樹脂組成物、及び接着剤に関する。
1.エポキシ樹脂(A)、エラストマー変性エポキシ樹脂(B)、ロジン系樹脂(c1)、環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)及びテルペン系樹脂(c3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素系樹脂(C)、並びに、硬化剤(D)及び/又は硬化促進剤(E)を含む、エポキシ樹脂組成物。
2.(B)成分が、ゴム変性エポキシ樹脂である、上記項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
3.(c1)成分が、水素化ロジン、水素化ロジンエステル、ロジンジオール及びロジンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、上記項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
4.(c2)成分が、水酸基含有石油樹脂、水酸基含有石油樹脂の水素化物、環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂及び芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
5.(c3)成分が、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂及びそれらの水素化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
6.上記項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む、接着剤。
本発明のエポキシ樹脂成形物は、エポキシ樹脂中にエラストマー相が良好に分散しているため、それを含む接着剤において、透明性、接着特性及び機械的特性に優れている。
本発明の接着剤は、接着特性及び機械的特性に優れているため、例えば、構造用接着剤として使用するのに好適である。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)(以下、(A)成分という)、エラストマー変性エポキシ樹脂(B)(以下、(B)成分という)、ロジン系樹脂(c1)、環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)及びテルペン系樹脂(c3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素系樹脂(C)(以下、(C)成分という)、並びに、硬化剤(D)(以下、(D)成分という)を含むものである。
<エポキシ樹脂(A)>
(A)成分は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。(A)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。なお、(A)成分には、後述の(B)成分は含まれない。
(A)成分は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、脂肪族ポリエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、モノエポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、スチルベン型エポキシ化合物、トリアジン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アリールアルキレン型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記脂肪族ポリエポキシ化合物は、例えば、1,4-ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物は、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物は、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
上記グリシジルエステル型エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
(A)成分は、硬化速度が速く、硬化物が三次元的な架橋構造を構築する点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ポリエポキシ化合物が好ましく、同様の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルがより好ましい。
(A)成分の物性は、特に限定されない。(A)成分のエポキシ基当量は、50~300g/eqが好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されないが、接着特性の点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、5~65質量部程度が好ましい。
<エラストマー変性エポキシ樹脂(B)>
(B)成分は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有し、エラストマー構造を有する化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。(B)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
(B)成分は、例えば、エポキシ樹脂とエラストマーとの反応物が挙げられる。該エポキシ樹脂は、例えば、(A)成分が挙げられる。
上記エラストマーは、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。エラストマーは、例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。エラストマーは、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタンが好ましい。エラストマーは、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
(B)成分は、接着特性の点から、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂が好ましく、油面接着性の点から、ゴム変性エポキシ樹脂がより好ましい。
(ゴム変性エポキシ樹脂)
上記ゴム変性エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有し、ゴムに由来する構造を含む化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。上記ゴム変性エポキシ樹脂は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
上記ゴム変性エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂とゴムとの反応物が挙げられる。該エポキシ樹脂は、例えば、(A)成分が挙げられる。
上記ゴムは、例えば、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴム(CTBN)、アミノ基末端アクリロニトリルブタジエンゴム(ATBN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム等が挙げられる。上記ゴムは、エポキシ樹脂との反応性の点から、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等のエポキシ基と反応し得る官能基を末端に有するものが好ましい。
上記ゴム変性エポキシ樹脂は、入手の容易さやエポキシ樹脂との反応性の点から、エポキシ樹脂とアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)との反応物(NBR変性エポキシ樹脂)、エポキシ樹脂とカルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエンゴムとの反応物(CTBN変性エポキシ樹脂)、エポキシ樹脂とアミノ基末端アクリロニトリルブタジエンゴムとの反応物(ATBN変性エポキシ樹脂)が好ましい。
上記ゴム変性エポキシ樹脂の製造方法は、上記エポキシ樹脂と上記ゴムとを反応させる方法であれば、特に限定されず、各種公知の製造方法が例示される。
上記ゴム変性エポキシ樹脂の物性は、特に限定されない。ゴム変性エポキシ樹脂のエポキシ基当量は、取り扱い性や接着特性の点から、150~1000g/eqが好ましい。
(ウレタン変性エポキシ樹脂)
上記ウレタン変性エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有し、ポリウレタンに由来する構造を含む化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。上記ウレタン変性エポキシ樹脂は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
上記ウレタン変性エポキシ樹脂は、例えば、イソシアネート反応性基含有エポキシ樹脂とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとの反応物が挙げられる。該イソシアネート反応性基は、例えば、水酸基、アミノ基等が挙げられる。イソシアネート反応性基含有エポキシ樹脂は、例えば、(A)成分のうち、分子内に少なくとも1個の水酸基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
上記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、分子内に少なくとも1個のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであれば、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。該ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。上記ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネートは、例えば、直鎖脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、これらジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体、並びに、ビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体及びアダクト体からなる群より選択される2種以上が反応して得られる複合体等が挙げられる。
上記直鎖脂肪族ジイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記分岐脂肪族ジイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香族ジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記ポリオールは、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。上記ポリオールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオールは、例えば、脂肪族ポリオール、脂環族ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール等が挙げられる。
上記脂肪族ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、2、2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、ペンタエリスリトールジアクリレート、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の2個の水酸基を含有する脂肪族アルコール類、キシリトールやソルビトール等の糖アルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3個以上の水酸基を含有する脂肪族アルコール類等が挙げられる
上記脂環族ポリオールは、例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロヘキサンジオール類、水添ビスフェノールA等の水添ビスフェノール類、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造方法は、上記ポリイソシアネートと上記ポリオールとを反応させる方法であれば特に限定されず、各種公知の方法が例示される。具体的には、例えば、上記ポリイソシアネート及び上記ポリオールを、触媒存在下で、適切な反応温度(例えば60~90℃等)で反応させる方法等が挙げられる。また、得られるウレタンプレポリマーの分子内にイソシアネート基を残存させるため、上記ポリオールに含まれる水酸基に対して、上記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が過剰になるように反応させるのが良い。
上記触媒は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫触媒、オクチル酸錫などの有機酸錫、チタンエチルアセトアセテート等の有機チタン触媒、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム触媒、鉄アセチルアセトネート等の有機鉄触媒等が挙げられる。上記触媒は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記ウレタン変性エポキシ樹脂の製造方法は、上記エポキシ樹脂と上記ウレタンプレポリマーとを反応させる方法であれば、特に限定されず、各種公知の製造方法が例示される。具体的には、例えば、上記ウレタンプレポリマーの製造方法等が挙げられる。
上記ウレタン変性エポキシ樹脂の物性は、特に限定されない。ウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ基当量は、取り扱い性、接着特性の点から、200~400g/eqが好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されないが、取り扱い性、接着特性の点から、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、30~90質量部程度が好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されないが、接着特性の点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、10~90質量部程度が好ましい。
<炭化水素系樹脂(C)>
(C)成分は、ロジン系樹脂(c1)(以下、(c1)成分とする)、環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)(以下、(c2)成分とする)及びテルペン系樹脂(c3)(以下、(c3)成分とする)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(ロジン系樹脂(c1))
(c1)成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(c1)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(c1)成分は、例えば、馬尾松、スラッシュ松、メルクシ松、思茅松、テーダ松及び大王松等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、天然ロジン及び/又は精製ロジンを重合させて得られる重合ロジン、天然ロジン及び/又は精製ロジンをマレイン酸、フマル酸及びアクリル酸等のα,β―不飽和カルボン酸(若しくはα,β―不飽和カルボン酸無水物)で変性させることにより得られるα,β―不飽和カルボン酸変性ロジン及びこれらのエステル化物(以下、ロジンエステル類ともいう)、並びに、ロジンフェノール樹脂、ロジンジオール等が挙げられる。なお、本願明細書において、天然ロジン、精製ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、重合ロジン及びα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンを纏めて「ロジン類」ということもある。
上記精製ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法等の各種公知の精製手段を用いて得ることができる。蒸留法は、例えば、上記ロジン類を通常200~300℃程度の温度、0.01~3kPa程度の減圧下で蒸留する方法等が挙げられる。抽出法は、例えば、上記ロジン類をアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が挙げられる。再結晶法は、例えば、上記ロジン類を良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が挙げられる。良溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒は、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。
上記不均化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンを不均化触媒の存在下に加熱する方法(不均化)により得ることができる。不均化触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒;ニッケル、白金等の金属粉末;ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものを使用できる。該触媒の使用量は、天然ロジン及び/又は精製ロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~1質量部程度である。反応温度は100~300℃程度であり、好ましくは150~290℃程度である。
上記水素化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば公知の水素化条件を用いて上記天然ロジン及び/又は精製ロジンを水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素圧2~20MPa程度で、100~300℃程度に上記天然ロジン及び/又は精製ロジンを加熱する方法等が挙げられる。また、水素圧は5~20MPa程度、反応温度は150~300℃程度とすることが好ましい。水素化触媒としては、担持触媒、金属粉末等、各種公知のものを使用することができる。担持触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。金属粉末としては、ニッケル、白金等が挙げられる。これらの中でもパラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び白金系触媒が、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなるため好ましい。なお、水素化触媒の使用量は、上記天然ロジン及び/又は精製ロジン100質量部に対して、通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~2質量部程度である。
上記水素化は、必要に応じて、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンを溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンに対して固形分が10質量%以上、好ましくは10~70質量%程度の範囲となるように用いればよい。
また、(c1)成分は、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンに、更に上記精製、不均化、水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行い、得られるものでも良い。
上記ロジンエステル類は、例えば、上記ロジン類とアルコールとの反応物が挙げられる。なお、本明細書において、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンのエステル化物を、精製ロジンエステル、水素化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、α,β―不飽和カルボン酸変性ロジンエステルと称する。
上記アルコールは、特に限定されず、各種公知のものを利用できる。上記アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブチルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジ(トリメチロールプロパン)等の4価アルコール;トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール等の6価アルコールなどが挙げられる。なお、該アルコールは、カルボン酸と反応してエステルとなる、グリシジルエーテル類や、グリシドールなどを用いてもよい。上記アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ロジンエステル類の製造方法としては、特に限定されず、公知のエステル化方法を採用することができる。上記ロジン類及びアルコールの各仕込み量については、特に限定されないが、通常は、アルコールのOH基/ロジン類のCOOH基(当量比)が0.8~8程度、好ましくは3~7程度の範囲となるよう決定される。エステル化反応の反応温度は、通常150~320℃程度であり、好ましくは150~300℃程度である。反応時間は通常2~24時間程度であり、好ましくは2~7時間程度である。
上記ロジンエステル類の製造方法において、反応時間を短縮する目的で、触媒の存在下でエステル化反応を進行させることができる。触媒は、例えば、パラトルエンスルホン酸などの酸触媒;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの金属の水酸化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが挙げられる。また、エステル化反応の結果、水が生成するので、該反応は生成した水を系外に除きながら進行させることができる。得られるロジンエステルの色調を考慮すれば、不活性ガス気流下で反応を行うことが望ましい。また、該反応は、必要があれば加圧下で行うことができる。
上記ロジンエステル類の製造方法において、上記ロジン類及びアルコールに対して非反応性の有機溶媒中で反応させても良い。該有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。なお、有機溶媒を使用した場合には、必要に応じて、有機溶媒又は未反応の原料を減圧留去することができる。
なお、水素化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル及びα,β―不飽和カルボン酸変性ロジンエステルの製造方法は、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンと上記アルコールとの反応物に、それぞれ水素化、不均化、重合反応及びα,β―不飽和カルボン酸による変性反応を行う方法であってもよい。
また、(c1)成分は、上記ロジンエステル類に、更に上記精製、不均化、水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行い、得られるものでも良い。
上記ロジンジオールは、分子内に少なくとも2個のロジン骨格を有し、かつ分子内に少なくとも2個の水酸基を有する化合物である。上記ロジンジオールは、例えば、上記天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン又は不均化ロジンと、エポキシ樹脂との反応物が挙げられる(特開平5-155972号参照)。該エポキシ樹脂は、例えば、(A)成分が挙げられる。
上記ロジンジオールの製造方法は、特に限定されないが、例えば、触媒存在下、上記天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン又は不均化ロジンとエポキシ樹脂とを120~200℃で開環付加反応させる方法が挙げられる。該触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、2-メチルイミダゾールなどのアミン系触媒、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4アンモニウム塩、ルイス酸、ホウ酸エステル、有機金属化合物、有機金属塩などを使用できる。
上記ロジンジオールの市販品は、例えば、荒川化学工業(株)製「D-6011」「D-6250」「KE-601」「KE-615-3」等が挙げられる。
上記ロジンフェノール樹脂は、上記天然ロジン及び/又は精製ロジンにフェノール類を反応させて得られる。
上記フェノール類としては、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、クレゾール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール類、フェノール、ビスフェノール類、ナフトール類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。フェノール類の使用量は、乳化性の点から、通常、上記原料ロジン1モルに対して0.8~1.5モル程度反応させればよい。
上記ロジンフェノール樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記天然ロジン及び/又は精製ロジン、並びにフェノール類を必要に応じて酸触媒の存在下、加熱して反応させる方法が挙げられる。反応温度としては、通常、180~350℃で6~18時間程度反応させればよい。なお、当該反応に用いることができる酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩化水素、三フッ化ホウ素等の無機酸触媒やパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸触媒を挙げることができる。酸触媒を使用する場合には、上記原料ロジン100質量部に対し、0.01~1.0質量部程度用いればよい。また、ロジンフェノール樹脂は、上記反応で得られた樹脂に、更にアルコールを反応させてエステル化したものであっても良い。その際に用いるアルコールは上記同様である。
(c1)成分は、エラストマー相の分散性に優れる点から、水素化ロジン、水素化ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂及びロジンジオールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
(c1)成分は、精製ロジン、不均化ロジン、水素化ロジンに対して、更に上記精製、不均化、水素化の各操作を単独で若しくは2種以上を組み合わせて行って、得られるものがより好ましい。また、(c1)成分は、精製ロジンエステル、不均化ロジンエステル、水素化ロジンエステルに対して、更に上記精製、不均化、水素化の各操作を単独で若しくは2種以上を組み合わせて行って、得られるものがより好ましい。
(c1)成分の物性は、特に限定されない。上記ロジン類の酸価は、(A)成分と(B)成分との相溶性に優れる点から、100~350mgKOH/g程度が好ましい。また、上記ロジンエステル類の水酸基価は、(A)成分と(B)成分との相溶性に優れる点から、0~150mgKOH/g程度が好ましい。上記ロジンジオールの水酸基価は、(A)成分と(B)成分との相溶性に優れる点から、25~150mgKOH/g程度が好ましい。なお、本明細書において、酸価及び水酸基価は、JIS K0070に準じて測定した値である。
(c1)成分の軟化点は、接着剤の機械的特性に優れる点から、70~180℃程度が好ましく、80~160℃程度がより好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、環球法(JISK5902)により測定した値である。
(環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2))
(c2)成分は、分子内に環式炭化水素構造を有し、少なくとも2個の水酸基を有する化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(c2)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。該環式炭化水素構造は、例えば、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。なお、(c2)成分には、(c1)成分及び(c3)成分は含まれない。
上記脂環族基は、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基、ビシクロデシレン基、ジシクロペンタジエン残基、ポリシクロペンタジエン残基等が挙げられる。上記脂環族基は、分子内に1個以上の炭素-炭素二重結合を更に含んでいてもよく、また、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
上記芳香族基は、例えば、フェニル基(フェニレン基)、トリル基(トリレン基)、メシチル基(メシチレン基)、ナフチル基(ナフチレン基)等が挙げられる。上記芳香族基は、1個以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
(c2)成分は、例えば、水酸基含有石油樹脂、水酸基含有石油樹脂の水素化物、環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物、フェノール樹脂及びフェノール樹脂の水素化物等が挙げられる。
(水酸基含有石油樹脂)
上記水酸基含有石油樹脂は、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する石油樹脂であれば、特に限定されず各種公知のものを使用できる。上記水酸基含有石油樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有石油樹脂は、例えば、水酸基含有C5系石油樹脂、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂、水酸基含有C9系石油樹脂、水酸基含有C5・C9系石油樹脂、水酸基含有ジシクロペンタジエン-C9系石油樹脂等が挙げられる。
上記水酸基含有C5系石油樹脂は、例えば、ナフサのC5石油留分と水酸基含有化合物との反応物が挙げられる。
上記C5石油留分は、例えば、イソプレン、トランス-1,3-ペンタジエン、シス-1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン等に代表される炭素数4~6の共役ジオレフィン性不飽和炭化水素類;ブテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、シクロペンテン等に代表される炭素数4~6のモノオレフィン性不飽和炭化水素類;シクロペンタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、n-ヘキサン等の脂肪族系飽和炭化水素;及びこれらの混合物等が挙げられる。
上記水酸基含有化合物は、例えば、フェノール系化合物、水酸基含有オレフィン化合物等が挙げられる。フェノール系化合物は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、アミルフェノール、ビスフェノールA、ビニルフェノール、及びブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等のアルキルフェノール等が挙げられる。水酸基含有オレフィン化合物は、例えば、アリルアルコール系化合物、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アリルアルコール系化合物は、例えば、アリルアルコール、2-メチル-2-プロペン-1-オール、3-メチル-2-プロペン-1-オール、2-ブテン-1-オール、2-ペンテン-1-オール、2-ヘキセン-1-オール、5-メチル-2-ヘキセン-1-オール、4-シクロヘキシル-2-ブテン-1-オール、2,5-ヘキサジエン-1-オール、2,5-ヘプタジエン-1-オール、2,6-ヘプタジエン-1-オール、2,5-オクタジエン-1-オール、2,6-オクタジエン-1-オール、2,7-オクタジエン-1-オール、4-(1-シクロヘキセニル)-2-ブテン-1-オール、4-フェニル-2-ブテン-1-オール、4-ナフチル-2-ブテン-1-オール、3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール、3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オール、1-ペンテン-3-オール、1-ヘキセン-3-オール、5-メチル-1-ヘキセン-3-オール、4-シクロヘキシル-1-ブテン-3-オール、1,5-ヘキサジエン-3-オール、1,5-ヘプタジエン-3-オール、1,6-ヘプタジエン-3-オール、1,5-オクタジエン-3-オール、1,6-オクタジエン-3-オール、1,7-オクタジエン-3-オール、4-(1-シクロヘキセニル)-1-ブテン-3-オール、シンナミルアルコール、4-フェニル-1-ブテン-3-オール、4-ナフチル-1-ブテン-3-オール、3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール等が挙げられる。
上記水酸基含有モノ(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられる。
上記水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂は、例えば、ナフサのシクロペンタジエン系石油留分と上記水酸基含有化合物との反応物が挙げられる。
上記シクロペンタジエン系石油留分は、例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、及びこれらの2量体、3量体、共2量体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。該2量体は、例えば、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
上記水酸基含有C9系石油樹脂は、例えば、ナフサのC9石油留分と上記水酸基含有化合物との反応物が挙げられる。
C9石油留分は、例えば、スチレン等の炭素数8の芳香族化合物;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等の炭素数9の芳香族化合物;1-メチルインデン、2-メチルインデン、3-メチルインデン等の炭素数10の芳香族化合物;2,3-ジメチルインデン、2,5-ジメチルインデン等の炭素数11の芳香族化合物;及びこれらの混合物等が挙げられる。
上記水酸基含有C5・C9系石油樹脂は、例えば、上記C5石油留分、C9石油留分及び上記水酸基含有化合物の反応物等が挙げられる。
上記水酸基含有ジシクロペンタジエン・C9系石油樹脂は、例えば、上記シクロペンタジン系石油留分、C9石油留分及び上記水酸基含有化合物の反応物等が挙げられる。
上記水酸基含有石油樹脂の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、各種石油留分と上記水酸基含有化合物の共存下に、塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素等のフリーデルクラフト触媒を用いてカチオン重合させる方法;各種石油留分と上記水酸基含有化合物の共存下に、オートクレーブ中で熱重合させる方法等が挙げられる。
上記水酸基含有石油樹脂は、エラストマー相の分散性及び接着特性に優れる点から、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂、水酸基含有C9系石油樹脂が好ましい。水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂は、同様の点から、シクロペンタジエン系石油留分とアリルアルコールとの反応物であるのがより好ましい。水酸基含有C9系石油樹脂は、同様の点から、C9石油留分とフェノール系化合物との反応物であるのがより好ましい。
(水酸基含有石油樹脂の水素化物)
水酸基含有石油樹脂の水素化物は、水酸基含有石油樹脂を水素化させた樹脂であれば、特に限定されず、例えば、上記水酸基含有石油樹脂の水素化物が挙げられる。該水素化物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有石油樹脂の水素化物は、公知の水素化条件を用いて上記水酸基含有石油樹脂を水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素分圧が0.2~30MPa程度で、200~350℃程度に該水酸基含有石油樹脂を加熱する方法等が挙げられる。水素化触媒は、例えば、ニッケル、パラジウム、コバルト、ルテニウム、白金及びロジウム等の金属や、該金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物等が挙げられる。また、水素化触媒は、多孔質で表面積の大きな活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ケイソウ土、各種ゼオライト等の担体に担持して使用してもよい。水素化触媒の使用量は、原料樹脂100質量部に対して、通常0.01~10質量部程度とするのが好ましい。
上記水素化は、上記水酸基含有石油樹脂を溶融して、又は溶剤に溶解した状態で行う。該石油樹脂を溶解する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。たとえば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、該石油樹脂に対して固形分が10質量%以上であり、好ましくは10~70質量%の範囲である。なお、上記水素化条件は反応形式として回分式を採用した場合について説明しているが、反応形式としては流通式(固定床式、流動床式等)を採用することもできる。
上記水酸基含有石油樹脂の水素化物は、接着特性に優れる点から、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物、水酸基含有C9系石油樹脂の水素化物が好ましい。該水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂は、同様の点から、シクロペンタジエン系石油留分とアリルアルコールとの反応物であるのがより好ましい。該水酸基含有C9系石油樹脂は、同様の点から、C9石油留分とフェノール系化合物との反応物であるのがより好ましい。
(環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物)
環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物は、環状ケトン-アルデヒド樹脂を水素化させた樹脂であれば、特に限定されず各種公知のものを使用できる。該水素化物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記環状ケトン-アルデヒド樹脂は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記環状ケトン-アルデヒド樹脂は、例えば、環状ケトンとアルデヒド系化合物との反応物が挙げられる。上記環状ケトン-アルデヒド樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記環状ケトンは、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、アセトフェノン等が挙げられる。上記アルデヒド系化合物は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルム、ホルマリン、アセトアルデヒド等が挙げられる。
上記環状ケトン-アルデヒド樹脂は、入手の容易性及び接着特性に優れる点から、シクロヘキサンノンとホルムアルデヒド類(ホルムアルデヒド、パラホルム、ホルマリン)との反応物である、シクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂及びアセトフェノンとホルムアルデヒド類(ホルムアルデヒド、パラホルム、ホルマリン)との反応物であるアセトフェノン-ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
上記環状ケトン-アルデヒド樹脂の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、上記環状ケトンとアルデヒド系化合物とを塩基性触媒存在下に公知の方法で反応させる方法等挙げられる。アルカリ性触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物は、公知の水素化条件を用いて、上記環状ケトン-アルデヒド樹脂のカルボニル基を水素化還元することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素分圧が0.1~20MPa程度で、30~250℃程度に該環状ケトン-アルデヒド樹脂を加熱する方法等が挙げられる。水素化触媒は、例えば、ニッケル、パラジウム、コバルト、ルテニウム、白金及びロジウム等の金属や、該金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物等が挙げられる。また、水素化触媒は、多孔質で表面積の大きな活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ケイソウ土、各種ゼオライト等の担体に担持して使用してもよい。水素化触媒の使用量は、原料樹脂100質量部に対して、通常0.005~2質量部程度とするのが好ましい。
上記水素化還元は、必要に応じて、上記環状ケトン-アルデヒド樹脂を溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノールのようなアルコール化合物、クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、トリクロロメタン、ジクロロメタンなどのハロゲン化化合物、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの炭化水素化合物等が挙げられる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、該環状ケトン-アルデヒド樹脂に対して固形分が10質量%以上であり、好ましくは10~70質量%の範囲である。なお、上記水素化条件は反応形式として回分式を採用した場合について説明しているが、反応形式としては流通式(固定床式、流動床式等)を採用することもできる。
上記環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物において、その水素化率は特に限定されない。該水素化率は、加熱時に樹脂の分解を抑制する点から、40~100%程度が好ましい。なお、当該水素化率は、環状ケトン-アルデヒド樹脂に含まれるカルボニル基が水酸基へ還元された割合を意味する。
(芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂)
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂は、例えば、芳香族ビニル化合物と上記アリルアルコール系化合物との反応物等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物は、芳香環及びビニル基の部位を有する化合物であれば、特に限定されず各種公知のものを使用できる。当該芳香環は、置換基を有するものでも良く、置換基を有しないものでも良い。芳香族ビニル化合物は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、アセトキシスチレン、ヒドロキシスチレン等のスチレン類、ビニルトルエン、クロロビニルトルエン等のビニルトルエン類、アリルベンゼン、p-アリルトルエン、o-アリルトルエン等のアリルトルエン類、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂は、入手の容易性及び接着特性に優れる点から、スチレンとアリルアルコールとの反応物である、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂が好ましい。
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用でき、例えば、溶液重合や乳化重合等の各種公知の重合方法が挙げられる。
上記溶液重合に用いる溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記乳化重合に用いる各種公知の乳化剤は、例えば、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン乳化剤等が挙げられる。また、乳化剤の使用量は特に限定されないが、芳香族ビニル化合物及び上記アリルアルコール系化合物の総重量に対して通常5質量%以下、好ましくは0.1~2質量%程度である。
また、上記重合方法では、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2´-アゾビス-(2-アミジノプロパン)-ヒドロクロライド、レドックス系開始剤(過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム-酸性亜硫酸ナトリウムなど)といった過硫酸塩類や過酸化物、アゾ化合物、レドックス類等の開始剤等を、芳香族ビニル化合物及び上記アリルアルコール系化合物の総重量に対して通常0.1~10質量%程度の範囲で使用できる。
さらに、上記重合方法では、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α-ナフタレンチオール、β-ナフタレンチオール、メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール等の連鎖移動剤を、芳香族ビニル化合物及び上記アリルアルコール系化合物の総重量に対して通常0.1~5質量%程度の範囲で使用できる。
(芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物)
芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物は、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂を水素化させた樹脂であれば、特に限定されず、例えば、上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物が挙げられる。該水素化物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物は、公知の水素化条件を用いて上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂を水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、上記水酸基含有石油樹脂の水素化の方法等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物は、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物が好ましい。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、特に限定されず各種公知のものを使用できる。フェノール樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール樹脂は、例えば、上記フェノール系化合物と上記アルデヒド系化合物との反応物等が挙げられる。上記フェノール樹脂は、入手の容易性及び接着特性に優れる点から、フェノールとホルムアルデヒド類(ホルムアルデヒド、パラホルム、ホルマリン)との反応物である、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、上記フェノール系化合物とアルデヒド系化合物とを酸触媒または塩基性触媒存在下に公知の方法で反応させる方法等挙げられる。酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等が挙げられ、アルカリ性触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
(フェノール樹脂の水素化物)
フェノール樹脂の水素化物は、フェノール樹脂を水素化させた樹脂であれば、特に限定されず、例えば、上記フェノール樹脂の水素化物が挙げられる。該水素化物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記フェノール樹脂の水素化物は、公知の水素化条件を用いて上記フェノール樹脂を水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、上記水酸基含有石油樹脂の水素化の方法等が挙げられる。
上記フェノール樹脂の水素化物は、入手の容易性及び接着特性に優れる点から、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂の水素化物が好ましい。
(c2)成分は、エラストマー相の分散性に優れる点から、水酸基含有石油樹脂、水酸基含有石油樹脂の水素化物、環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂及び芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。(c2)成分は、同様の点から、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物、水酸基含有C9系石油樹脂の水素化物、シクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂の水素化物、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂及びスチレン-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
(c2)成分の物性は特に限定されない。(c2)成分の水酸基価は、(A)成分と(B)成分との相溶性に優れる点から、10~310mgKOH/g程度が好ましく、50~200mgKOH/g程度がより好ましい。
(c2)成分の軟化点は、接着剤の機械的特性に優れる点から、70~180℃程度が好ましく、80~150℃程度がより好ましい。
(c2)成分の数平均分子量は、接着剤の機械的特性に優れる点から、150~3000程度が好ましく、200~1500程度がより好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいうが、その測定方法は特に限定されず、各種公知の手段を採用でき、市販の測定機も利用できる。以下、同様である。
(c2)成分の重量平均分子量は、接着剤の機械的特性に優れる点から、250~3000程度が好ましく、400~3000程度がより好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいうが、その測定方法は特に限定されず、各種公知の手段を採用でき、市販の測定機も利用できる。以下、同様である。
(テルペン系樹脂(c3))
(c3)成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(c3)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(c3)成分は、例えば、テレピン油から精製して得られたα-ピネン、β-ピネン、ジペンテン等のテルペン単量体を単独で重合したポリテルペン樹脂、テルペン単量体と芳香族単量体とを共重合した芳香族変性テルペン樹脂、テルペン単量体とフェノール類とを共重合したテルペンフェノール樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂に水素添加処理をした水添系であってもよい。
上記芳香族単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。上記フェノール類は、例えば、フェノール、クレゾール等が挙げられる。
(c3)成分の市販品は、例えば、ヤスハラケミカル(株)製「YSレジン」「YSポリスター」の各種グレード等が挙げられる。
(c3)成分は、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂及びそれらの水素化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(c3)成分の物性は特に限定されない。(c3)成分の軟化点は、接着剤の機械的特性に優れる点から、70~180℃程度が好ましく、80~150℃程度がより好ましい。
(C)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び重合禁止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、例えば、硫黄含有酸性化合物あるいは該酸性化合物から形成される誘導体、フェノール系安定剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、エポキシ系安定剤等を挙げることができる。また、紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。添加剤の含有量は、特に限定されないが、(C)成分100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。
(C)成分の物性は特に限定されない。(C)成分の軟化点は、接着剤の機械的特性に優れる点から、70~180℃程度が好ましく、80~160℃程度がより好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されないが、接着剤の機械的特性及びエラストマー相の分散性に優れる点から、樹脂組成物100質量部に対して、0.1~25質量部程度が好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されないが、接着剤の機械的特性、エラストマー相の分散性に優れる点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.5~30質量部程度が好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(c1)成分の含有量は、特に限定されないが、接着剤の機械的特性及びエラストマー相の分散性に優れる点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.5~30質量部程度が好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(c2)成分の含有量は、特に限定されないが、接着剤の機械的特性及びエラストマー相の分散性に優れる点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.5~30質量部程度が好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物における(c3)成分の含有量は、特に限定されないが、接着剤の機械的特性及びエラストマー相の分散性に優れる点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.5~30質量部程度が好ましい。
<硬化剤(D)>
(D)成分は、エポキシ基と反応しうる硬化剤であれば特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。(D)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
(D)成分は、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、チオール系化合物、イミダゾール、3フッ化ホウ素-アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
上記アミン系化合物は、例えば、メタキシリレンジアミン(MXDA)、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン(IPDA)、ジシアンジアミド、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物等のアミン系化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド骨格のポリアミン等が挙げられる。
上記酸無水物系化合物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3-ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等が挙げられる。
上記フェノール系化合物は、例えば、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、またはビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類もしくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類およびこれらの変性物等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されず、最適な量は(D)成分の種類により異なり、各(D)成分ごとの最適量を好適に用いることができる。この最適量は、例えば、「総説 エポキシ樹脂 基礎編」(エポキシ樹脂技術協会、2003年発行)の第3章に記載されている。
上記エポキシ樹脂組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されないが、該樹脂組成物に含まれるエポキシ基や他の活性基の濃度、及び該樹脂組成物の硬化速度等を考慮して設定される。上記エポキシ樹脂組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0.1~15質量部程度が好ましい。
<硬化促進剤(E)>
上記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤(E)(以下、(E)成分とする)を含み得る。(E)成分は、エポキシ基と反応しうる硬化促進剤であれば特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。(E)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
(E)成分は、例えば、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチルー2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ-ル類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸;Zn、Cu、及びFe等の有機金属塩が挙げられる。
上記エポキシ樹脂組成物における(E)成分の含有量は、特に限定されず、最適な量は(E)成分の種類により異なるが、硬化速度の点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、0~10質量部程度が好ましい。
(添加剤)
上記エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(A)~(E)成分以外の各種の添加剤を含み得る。当該添加剤は、溶剤、充填剤、脱水剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、揺変性付与剤、シランカップリング剤、耐候剤、上記酸化防止剤、上記紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、分散剤、強化剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、抗菌剤、難燃剤、表面処理剤、粘度調節剤、無機フィラー、染料、無機顔料、有機顔料等が例示される。該添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
上記無機顏料は、カドミウムレッド、カドミウムレモンイエロー、カドミウムイエローオレンジ、二酸化チタン、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黒色錯体無機顏料等が例示される。上記有機顏料は、アニリンブラック、ペリレンブラック、アントラキノンブラック、 ベンジジン系黄色顏料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が例示される。
上記エポキシ樹脂組成物は透明性に優れており、有機・無機顔料を配合して着色させた場合にその色がよく映えるため、意匠性に優れたものとなる。
上記充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ; ケイソウ土; 酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム; 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛; ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー; カーボンブラック; これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
上記エポキシ樹脂組成物における添加剤の含有量は、特に限定されないが、上記エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
上記エポキシ樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、(A)~(D)成分、及び必要に応じて(E)成分、上記添加剤を、減圧下で混合ミキサー等の撹拌機を用いて十分に撹拌する方法;又は、(A)~(D)成分、及び必要に応じて(E)成分、上記添加剤を、各種有機溶剤に溶解させて、混合ミキサー等の撹拌機を用いて十分に撹拌する方法等が挙げられる。有機溶剤は、例えば、シクロヘキサンノン、トルエン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は特に限定されないが、通常、(A)~(E)成分及び添加剤の合計100質量部に対して、20~200質量部程度である。
上記エポキシ樹脂組成物は、例えば、コンクリート、セメントモルタル、各種金属、皮革、ガラス、ゴム、プラスチック、木、布、紙等に対する塗料あるいは接着剤;包装用粘着テープ、粘着ラベル、冷凍食品ラベル、リムーバルラベル、POSラベル、粘着壁紙、粘着床材の粘着剤;アート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、塗工板紙、カーボンレス複写機、含浸紙等の加工紙;天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の収束剤、ほつれ防止剤、加工剤等の繊維処理剤;シーリング材、セメント混和剤、防水材等の建築材料、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤等に用いることできる。封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用といったポッティング封止、フリップチップなど用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)等が挙げられる。
[接着剤]
本発明の接着剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物を含むものである。
上記接着剤におけるエポキシ樹脂組成物の含有量は、特に制限されないが、接着剤100質量%に対し、50~100質量%程度が好ましい。
上記接着剤は、更に添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、上述の添加剤が挙げられる。
上記接着剤における添加剤の含有量は、特に制限されないが、接着剤100質量%に対し、0~50質量%程度が好ましい。
上記接着剤は、その接着特性及び機械的特性が優れているため、例えば、構造用接着剤として使用するのに好適である。ここで、「構造用接着剤」とは、長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い接着剤(JIS K6800)を意味する。
上記接着剤は、例えば、自動車や車両(新幹線、電車)、土木、建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材を接合するのに用いる構造用接着剤として使用するのに好適である。自動車用接着剤としては、例えば、ウェルドボンド用接着剤、ヘミング用接着剤等が挙げられる。
また、上記接着剤は、構造用接着剤のほかに一般事務用、医療用、電子材料用の接着剤としても用いることができる。電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。また、実施例中、「%」および「部」は特に断りのない限り「質量%」、「質量部」を意味する。
<環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)の製造>
製造例1
1Lオートクレーブに水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂(商品名「クイントン1700」、ジシクロペンタジエンとアリルアルコールの反応物、日本ゼオン(株)製、軟化点102.0℃、数平均分子量360)500部、ニッケル/珪藻土触媒(ニッケル担持量50質量%)7部を仕込み、280℃に保温し、水素圧力20MPaで5時間、水素化を行なった。次いで、得られた水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物を取出し、トルエン500部に溶解し、ろ過により触媒を除去した後、200℃、2.7kPaで30分間減圧脱溶剤して、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物(c2-1)(以下、(c2-1)成分とする)450部を得た。(c2-1)成分は、軟化点が103.5℃、色調が200ハーゼン(H)、水酸基価が100mgKOH/g、数平均分子量が400であった。
製造例2
1Lオートクレーブに水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂(商品名「クイントン1700」、ジシクロペンタジエンとアリルアルコールの反応物、日本ゼオン(株)製、軟化点102.0℃、数平均分子量360)500部、ニッケル/珪藻土触媒(ニッケル担持量50質量%)7部を仕込み、270℃に保温し、水素圧力20MPaで5時間、水素化を行なった。次いで、得られた水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物を取出し、トルエン500部に溶解し、ろ過により触媒を除去した後、200℃、2.7kPaで30分間減圧脱溶剤して、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物(c2-2)(以下、(c2-2)成分とする)450部を得た。(c2-2)成分は、軟化点が105℃、色調が200ハーゼン(H)、水酸基価が150mgKOH/g、数平均分子量が400であった。
製造例3
1Lオートクレーブに水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂(商品名「クイントン1700」、ジシクロペンタジエンとアリルアルコールの反応物、日本ゼオン(株)製、軟化点102.0℃、数平均分子量360)500部、ニッケル/珪藻土触媒(ニッケル担持量50質量%)7部を仕込み、260℃に保温し、水素圧力20MPaで5時間、水素化を行なった。次いで、得られた水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物を取出し、トルエン500部に溶解し、ろ過により触媒を除去した後、200℃、2.7kPaで30分間減圧脱溶剤して、水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物(c2-3)(以下、(c2-3)成分とする)450部を得た。(c2-3)成分は、軟化点が100℃、色調が300ハーゼン(H)、水酸基価が200mgKOH/g、数平均分子量が400であった。
製造例4
1Lオートクレーブにシクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂(商品名「ケトンレジンK-90」、荒川化学工業(株)製、軟化点93.0℃、数平均分子量450)500部、ルテニウム/活性炭触媒(ルテニウム担持量2質量%)50部を仕込み、150℃に保温し、水素圧力10MPaで5時間、水素化を行なった。次いで、得られたシクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂の水素化物を取出し、トルエン500部に溶解し、ろ過により触媒を除去した後、200℃、2.7kPaで30分間減圧脱溶剤して、シクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂の水素化物(c2-4)(以下、(c2-4)成分とする)450部を得た。(c2-4)成分は、軟化点が105℃、色調が150ハーゼン(H)、水酸基価が200mgKOH/g、水素化率が100%、数平均分子量が500であった。
製造例5
1Lオートクレーブに、水酸基含有C9系石油樹脂(商品名「ネオポリマーE-100」、フェノールとC9石油留分の反応物、軟化点90.0℃、数平均分子量540、JXTGエネルギー(株)製)500部、ニッケル/珪藻土触媒(ニッケル担持量50質量%)2.5部を仕込み、280℃に保温し、水素圧力20MPaで5時間、水素化を行なった。次いで、得られた水酸基含有C9系石油樹脂の水素化物を取出し、トルエン500部に溶解し、ろ過により触媒を除去した後、200℃、2.7kPaで30分間減圧脱溶剤して、軟化点92℃の水酸基含有C9系石油樹脂の水素化物(c2-5)(以下、(c2-5)成分とする)450部を得た。(c2-5)成分は、軟化点が92℃、色調が300ハーゼン(H)、水酸基価が69mgKOH/g、数平均分子量が590であった。
(軟化点)
(c2-1)~(c2-5)成分の軟化点は、JISK5902に準ずる環球法で測定した。
(色調)
(c2-1)~(c2-5)成分の色調は、JIS K0071-3 に準じてハーゼン単位で測定した。色調が500 ハーゼン(H)を超える場合は、JIS K5400 に準じてガードナー単位にて測定した。
(水酸基価)
(c2-1)~(c2-5)成分の水酸基価は、JIS K0700に準ずる電位差滴定法で測定した。
(数平均分子量)
(c2-1)~(c2-5)成分の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレンの検量線から求めた、ポリスチレン換算値として算出した。なお、GPC法は以下の条件で測定した。
分析装置:HLC-8120(東ソー(株)製)
カラム:TSKgelSuperHM-L×3本
溶離液:テトラヒドロフラン
注入試料濃度:5mg/mL
流量:0.6mL/min
注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:RI
[エポキシ樹脂組成物の製造]
(実施例1~14及び比較例1)
表1に示す割合で(A)~(D)成分を配合し、シクロヘキサノンを50%溶液となるように添加し、ディスパーにて分散してエポキシ樹脂組成物を製造した。
(平均剥離強度)
25×100×1.5mmのアルミニウム基材に、実施例1~14及び比較例1のエポキシ樹脂組成物を膜厚200μmとなるように塗布し、アルミ箔を貼り付けた。その後、160℃で3時間硬化させた。JIS K6854-2に従い、インストロンジャパンカンパニイリミテッド社製「インストロンデジタル万能試験機 5566型」を用いて180℃剥離試験を行い、平均剥離強度(N/25mm)を測定した。結果を表1に示す。平均剥離強度が高いほど、接着剤における接着特性が優れている。
(Haze値)
25×75×1.5mmの石英基板に、実施例1~14及び比較例1のエポキシ樹脂組成物を膜厚200μmとなるように塗布し、160℃で3時間硬化させた。その後、日本電飾(株)製「ヘーズメーター、NDH4000」を用いて、Haze値を測定した。結果を表1に示す。Haze値が低いほど、エポキシ樹脂組成物の硬化物(接着剤)の透明性が高く、エラストマーの分散性が良好である。
Figure 2022010586000001
表1の配合量は、質量部の値である。表1中の略語は、以下の通りである。
(A1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製、商品名「jER828」)
(A2):1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル(四日市合成(株)製、商品名「エポゴーセーHD」)
(B1):CTBN変性エポキシ樹脂((株)ADEKA製、商品名「EPR-1630」)
(B2):NBR変性エポキシ樹脂((株)ADEKA製、商品名「EPR-1415-1」)
(c1-1):水素化ロジンエステル(荒川化学工業(株)製、商品名「KE-311」)
(c1-2):ロジンジオール(荒川化学工業(株)製、商品名「D-6011」)
(c1-3):水素化ロジン(荒川化学工業(株)製、商品名「KR-612」)
(c1-4):ロジンフェノール樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル803L」)
(c2-1):製造例1の水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物
(c2-2):製造例2の水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物
(c2-3):製造例3の水酸基含有ジシクロペンタジエン系石油樹脂の水素化物
(c2-4):製造例4のシクロヘキサノン-ホルムアルデヒド樹脂の水素化物
(c2-5):製造例5の水酸基含有C9系石油樹脂の水素化物
(c2-6):スチレン-アリルアルコール共重合樹脂(シグマアルドリッチ製)
(c3-1):テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、商品名「YSポリスターS145」)
(D1):ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業(株)製)

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂(A)、エラストマー変性エポキシ樹脂(B)、ロジン系樹脂(c1)、環式炭化水素構造を有するポリアルコール樹脂(c2)及びテルペン系樹脂(c3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素系樹脂(C)、
    並びに、硬化剤(D)を含む、エポキシ樹脂組成物。
  2. (B)成分が、ゴム変性エポキシ樹脂である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. (c1)成分が、水素化ロジン、水素化ロジンエステル、ロジンジオール及びロジンフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. (c2)成分が、水酸基含有石油樹脂、水酸基含有石油樹脂の水素化物、環状ケトン-アルデヒド樹脂の水素化物、芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂及び芳香族ビニル化合物-アリルアルコール共重合樹脂の水素化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. (c3)成分が、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂及びそれらの水素化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含む、接着剤。
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