JP2022007610A - 多能性幹細胞由来フィーダー細胞 - Google Patents

多能性幹細胞由来フィーダー細胞 Download PDF

Info

Publication number
JP2022007610A
JP2022007610A JP2020110683A JP2020110683A JP2022007610A JP 2022007610 A JP2022007610 A JP 2022007610A JP 2020110683 A JP2020110683 A JP 2020110683A JP 2020110683 A JP2020110683 A JP 2020110683A JP 2022007610 A JP2022007610 A JP 2022007610A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
pluripotent stem
derived
feeder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020110683A
Other languages
English (en)
Inventor
明弘 梅澤
Akihiro Umezawa
陵 横溝
Ryo Yokomizo
凪紗 高島
Nagisa Takashima
彩瑛子 秋山
Saeko Akiyama
瑠莉 常石
Ruri Tsuneishi
大 片岡
Masaru Kataoka
風渡 土屋
Futo Tsuchiya
和香那 金子
Wakana Kaneko
亮 高木
Akira Takagi
裕子 河野
Yuko Kono
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Center for Child Health and Development
Original Assignee
National Center for Child Health and Development
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Center for Child Health and Development filed Critical National Center for Child Health and Development
Priority to JP2020110683A priority Critical patent/JP2022007610A/ja
Publication of JP2022007610A publication Critical patent/JP2022007610A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】単独での培養が困難な細胞の培養に使用でき、異種物質の混入の問題のない培養手段を提供すること。【解決手段】多能性幹細胞由来フィーダー細胞、および当該細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む、細胞の培養方法。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス https://www.eshre.eu/ESHRE2020/Programme/Searchable#!abstractdetails/0000611210 掲載日 令和2年5月7日
本発明は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞、および当該細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む細胞の培養方法に関する。
生体から得られた初代培養細胞、胚性幹細胞(ES細胞)および人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの多能性幹細胞、ならびに、多能性幹細胞から分化誘導された細胞などは、基礎研究、再生医療、創薬などの分野で広く利用されている。
これらの細胞は、しばしば単独での培養(特に長期間の培養)が困難である。例えば、子宮内膜は、受精卵の着床の場であり、妊娠および胎児や胎盤の維持と発育の役割を担う組織である。子宮内膜の菲薄化に起因する不妊症などの子宮内膜に関連する疾患のための再生医療、創薬研究、および疾患解明を目的として、子宮内膜のインビトロ培養を行うことが望まれている。しかし、子宮内膜を構成する子宮内膜上皮細胞の培養は従来困難であった。
培養が困難な細胞を培養するために、別の細胞(フィーダー細胞)によって形成される細胞層(フィーダー層)上で目的の細胞を培養する方法が用いられている。フィーダー細胞として、マウス胚性線維芽細胞(MEF)のような動物由来の細胞が主に使用されている。
しかし、例えば、培養された細胞をヒトの再生医療または細胞医療などに応用する場合、マウスのような異種動物由来のフィーダー細胞を用いることによって、当該動物由来の物質が混入する危険性が問題となっていた。
本発明の一態様は、単独での培養が困難な細胞であっても、その培養を支持することができ、異種物質の混入の問題のない培養手段を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞を提供する。
本発明の別の実施形態は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む細胞の培養方法を提供する。
本発明の一態様によれば、異種細胞由来の物質の混入なしに目的の細胞を培養することができる。
hES細胞由来間葉系細胞の作製方法を示す図である。 フィーダー細胞なしでの子宮内膜上皮細胞の継代培養を示す図である。 子宮内膜上皮のPassage 1~Passage 5の細胞を示す図である。 子宮内膜上皮細胞の免疫蛍光染色の結果を示す図である。 子宮内膜上皮細胞のコロニー面積を示す図である。 子宮内膜上皮細胞の細胞分裂回数(PDL)を示す図である。 軟骨細胞のHE染色(左)およびアルシアンブルー染色(右)の結果を示す図である。 フィーダー細胞の存在下または非存在下での表皮細胞の増殖を示す図である。 フィーダー細胞の存在下または非存在下での表皮細胞の形態を示す図である。 表皮細胞における角化細胞マーカー発現を示す図である。 フィーダー細胞の存在下での肝細胞の培養を示す図である。 フィーダー細胞の存在下でのhiPS細胞の培養を示す図である。左の図は、MEFとの共培養の結果を示す。右の図は、hES細胞由来間葉系細胞との共培養の結果を示す。 hiPS細胞における未分化マーカーおよび自己複製能マーカーの発現を示す図である。左の図はNANOGの発現を、中央の図はOCT3/4の発現を、右の図はTERTの発現をそれぞれ示す。 MEFの存在下で培養したhiPS細胞における多能性細胞特異的マーカーの発現を示す図である。左から右に、NANOG、OCT3/4、SSEA4、TRA1-60、およびSOX2についての結果を示す。 hES細胞由来間葉系細胞の存在下で培養したhiPS細胞における多能性細胞特異的マーカーの発現を示す図である。左から右に、NANOG、OCT3/4、SSEA4、TRA1-60、およびSOX2についての結果を示す。 hiPS細胞由来肝細胞の増殖を示す図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本発明の実施形態1は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞に関する。
本明細書において使用する用語「フィーダー細胞」は、目的の細胞の生存または増殖を支持するために、目的の細胞とともに培養される、目的の細胞とは異なる細胞を指す。フィーダー細胞は、目的の細胞と同時に播種されてもよく、または目的の細胞の播種の前に播種されてもよい。一態様において、フィーダー細胞は、目的の細胞の播種の前に播種されて、フィーダー層と称する細胞の層を形成する。目的の細胞は、フィーダー細胞と接触して培養されてもよく、またはフィーダー細胞との接触なしで培養されてもよい。フィーダー細胞として使用される細胞の増殖を、放射線(例えば、γ線)の照射、抗生物質(例えば、マイトマイシンC)での処理など公知の方法に従って抑制または不活性化してもよい。
本明細書において使用する用語「多能性幹細胞」は、多能性を有する細胞を指す。本明細書において使用する用語「多能性」は、個体を構成する全ての胚葉(すなわち、外胚葉、中胚葉および内胚葉)に分化できる細胞の能力を指す。多能性幹細胞の例としては、胚性幹細胞(ES細胞)および人工多能性幹細胞(iPS細胞)、ならびに、成体組織または臍帯血もしくは臍帯由来の幹細胞などが挙げられる。多能性幹細胞は、任意の生物に由来し得る。多能性幹細胞は、例えば、脊椎動物、好ましくは、温血動物、より好ましくは、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、サル、ヒト)、さらに好ましくは、霊長類、特に好ましくは、ヒトに由来する。
本明細書において使用する用語「多能性幹細胞由来フィーダー細胞」は、フィーダー細胞として使用される多能性幹細胞に由来する任意の細胞を指す。多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、多能性幹細胞を分化誘導することによって得られる。
一態様において、多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、多能性幹細胞から形成された胚様体を培養することによって得られる。
本明細書において使用する用語「胚様体」(本明細書において「EB」ともいう)は、多能性幹細胞を培養することによって形成される細胞塊を指す。胚様体は、例えば、96ウェルプレートのウェルまたは液滴のような空間中に細胞を播種して一定期間浮遊培養することによって形成される。培養には、任意の培地を使用することができ、例えば、EB培地を使用することができる(Ando, Y. et al., Stem Cell. Int., 2017:7541734 (2017))。
多能性幹細胞から形成された胚様体を、任意の方法で培養することができる。例えば、胚様体を、その形成に使用された培養容器より大きな培養容器に胚様体を移して培養することができる。培養の期間は、例えば、30日以上、40日以上、50日以上、または60日以上、100日以下、90日以下、80日以下、または70日以下である。培養には、任意の培地を使用することができ、例えば、XF32培地を使用することができる(Ando, Y. et al.、前出)。
一態様において、多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、間葉系細胞である。
本明細書中で使用する用語「間葉系細胞」は、非上皮系の間葉を構成する、細胞と細胞との間で細胞を支持する役割を担う細胞、またはそのような細胞に類似した性質を有する細胞を指す。本発明において、多能性幹細胞に由来する任意の間葉系細胞を使用することができる。多能性幹細胞からの腸オルガノイドの生成の際に、間葉系細胞が生じることが報告されている(Uchida, H. et al., JCI Insight, 2:e86492 (2017))。従って、胚様体を、この文献において使用されているXF hESC培地(上記のXF32培地と同じ)中で培養することによって、間葉系細胞を得ることができる。間葉系細胞を、間葉系細胞特異的なマーカーの発現によって同定することができる。従って、間葉系細胞は、少なくとも1つの間葉系細胞特異的なマーカーを発現する細胞として定義され得る。間葉系細胞特異的なマーカーの例としては、CD24、CD320、CD63、CD70、CD99L2、HMMR、ICAM1、IGF2R、ITGA3、MCAM、PDGFRA、PDGFRB、CD29、CD44、CD54、CD59、CD73、CD90、CD105およびHLA-ABCが挙げられる。また、HLA-DR陰性であることも、間葉系細胞の指標となり得る。さらに、サイトカインであるWnt5Aの発現、および中胚葉系の転写因子であるNkx2.5の発現が、好適な多能性幹細胞由来フィーダー細胞の指標となり得る。
ただし、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、上記のような間葉系細胞に限定されるものではなく、フィーダー細胞として使用することができる任意の多能性幹細胞由来の細胞を本発明において使用することができる。例えば、上記の間葉系細胞のように、多能性幹細胞から内胚葉由来組織(例えば、腸、肝臓など)、または中胚葉由来組織(例えば、軟骨など)を誘導する際に生じる細胞を、多能性幹細胞由来フィーダー細胞として本発明において使用することができる。
フィーダー細胞として使用するための本発明の細胞は、増殖能を有する多能性幹細胞に由来するので、たとえそれ自体の増殖能が高くなくても、多能性幹細胞から容易に作製することができる。しかし、フィーダー細胞として使用するために、多能性幹細胞由来フィーダー細胞を容易に増殖させることが可能であることが望ましい。
一態様において、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、その増殖能が増強されている。細胞の増殖能を、任意の公知の方法によって増強することができる。例えば、細胞の増殖能を、細胞の増殖能を増強させる因子を培地に添加することによって、または細胞の増殖能を増強させる因子をコードする遺伝子の発現を増加させることによって増強することができる。遺伝子の発現を、遺伝子をウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を使用して導入することによって増加させることができる。
例えば、細胞の増殖能を、Wnt/βカテニンシグナル伝達経路を活性化することによって増強することができる。Wnt/βカテニンシグナル伝達経路の活性化に使用される因子の例としては、Wnt(例えば、Wnt3A(アファミン(AFM)と複合体形成していてもよい))、R-スポンジン(R-spondin)が挙げられる。
あるいは、細胞の増殖能を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路を阻害することによって増強することができる。骨形成タンパク質シグナル伝達経路の阻害に使用される因子の例としては、ノギン(noggin)が挙げられる。
フィーダー細胞として使用するために、多能性幹細胞由来フィーダー細胞が無限増殖能を有していることが望ましい。
一態様において、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、不死化されている。正常組織から分離された初代培養細胞などの分化した細胞は、次第に増殖能を低下させ、最終的に増殖能を喪失する。このような増殖能の低下または喪失を回避するために、細胞に無限増殖能を獲得させることを本明細書において「不死化」という。細胞を、任意の公知の方法によって不死化することができる。
例えば、細胞を、テロメア逆転写タンパク質(TERT)の過剰発現によって不死化することができる。また、細胞を、細胞周期を制御するタンパク質の過剰発現によって不死化することができる。そのようなタンパク質の例としては、サイクリン(例えば、サイクリンD1)およびサイクリン依存性キナーゼ(CDK;例えば、CDK4)が挙げられる。さらに、細胞を、ガン抑制遺伝子(例えば、p53およびRb)を不活性化することによって不死化することができる。不死化のための遺伝子を、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を使用して導入することができる(Yokoi, T. et al., PLoS ONE. 7(1): e29677 (2012)を参照のこと)。
フィーダー細胞として使用するために、多能性幹細胞由来フィーダー細胞が保存可能であることが望ましい。
本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、任意の公知の方法で保存することができる。一態様において、細胞を、凍結保存剤の存在下で凍結保存することができる。凍結保存剤として、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、その他の市販の凍結保存試薬などを使用することができる。
本明細書において使用する用語「目的の細胞」は、フィーダー細胞として使用される本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞の存在下で培養しようとする細胞を指す。目的の細胞は、フィーダー細胞の存在下での培養が所望される任意の細胞であり得る。目的の細胞は、任意の生物に由来し得る。目的の細胞は、例えば、脊椎動物、好ましくは、温血動物、より好ましくは、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、サル、ヒト)、さらに好ましくは、霊長類、特に好ましくは、ヒトに由来する。
フィーダー細胞の存在下での培養が所望される細胞は、例えば、フィーダー細胞の存在下での培養が増殖のために必要である細胞、またはフィーダー細胞の存在下での培養が増殖のために好適である細胞である。フィーダー細胞なし(フィーダーフリー)での培養のための技術が開発されており、多くの細胞を、フィーダーフリー条件下で培養することができる。本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞をフィーダー細胞として使用して培養可能な細胞であれば、フィーダーフリー条件下での培養が可能であっても、目的の細胞として使用され得る。一態様において、目的の細胞は、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞の存在下で培養することにより、その増殖能が増強される。
目的の細胞の例としては、限定するものではないが、子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞が挙げられる。
子宮内膜上皮細胞は、間質細胞とともに子宮内膜を構成している。子宮内膜は、受精卵の着床の場であり、妊娠および胎児や胎盤の維持と発育の役割を担う組織である。子宮内膜の菲薄化に起因する不妊症などの子宮内膜に関連する疾患のための再生医療、創薬研究、および疾患解明を目的として、子宮内膜のインビトロ培養を行うことが望まれている。しかし、子宮内膜上皮細胞の培養は従来困難であった。
軟骨細胞は、軟骨基質とともに軟骨を構成している。小児に対する気管切開後の気道狭窄の治療に利用可能な大きさおよび質を有する軟骨塊の作製が望まれている。培養した軟骨細胞を、例えば、このような目的に使用することができる。
表皮細胞は、皮膚の表皮を構成する。熱傷や外傷などによる皮膚欠損が生じた場合、患者の正常皮膚組織を損傷部へ移植する自家植皮、および、正常な皮膚組織から分離した表皮細胞を人工的に培養して作製された培養表皮の移植が行われている。培養表皮に関して、現在、日本国内で、患者本人の表皮細胞から作製された自家培養表皮が再生医療等製品として実用化されている。しかし、他人由来の同種培養表皮は、未だに製品化されておらず、実用化が期待されている。この目的のために、表皮細胞の培養が望まれている。
肝細胞は、肝臓の主な機能を担う細胞である。培養肝細胞は、肝疾患の病態解明、薬剤感受性を検査するための実験系などのために使用されている。従来、肝細胞は、フィーダーフリー条件下で、またはMEFをフィーダー細胞として用いて培養されていた。さらに効率的な肝細胞の培養方法が求められている。
多能性幹細胞は、様々な細胞および器官に分化する能力を有しており、再生医療、創薬、基礎研究などの分野で利用されている。多能性幹細胞は、自己増殖能を有するが、その培養には、多くの場合、MEFなどの異種フィーダー細胞が使用されている。特に、多能性幹細胞をヒトの再生医療または細胞医療のために使用する場合、異種物質の混入を回避するために、ヒト由来のフィーダー細胞を使用した培養方法の確立が求められている。
また、多能性幹細胞から分化誘導された様々な細胞も、生体から得られた初代細胞等と同様にその培養が所望される。
本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞を、これらの細胞の培養の際にフィーダー細胞として使用することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2は、上記の本発明の実施形態1の多能性幹細胞由来フィーダー細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む、細胞の培養方法に関する。説明の便宜上、実施形態1にて上記した事項と重複する事項については、その説明を省略する。
上記のように、一態様において、目的の細胞は、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞の存在下で培養することにより、その増殖能が増強される。従って、本発明の実施形態2の方法は、目的の細胞の増殖能を増強する方法である。
(まとめ)
以下に本発明の実施形態をまとめる。
本発明の一実施形態は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞に関する。
一態様において、前記多能性幹細胞は、霊長類に由来する。
一態様において、前記多能性幹細胞は、ヒトに由来する。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、多能性幹細胞から形成された胚様体を培養することによって得られる。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、間葉系細胞である。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、CD24、CD320、CD63、CD70、CD99L2、HMMR、ICAM1、IGF2R、ITGA3、MCAM、PDGFRA、PDGFRB、CD29、CD44、CD54、CD59、CD73、CD90、CD105およびHLA-ABCからなる群より選択される少なくとも1つが陽性であるか、または、HLA-DRが陰性である。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、Wnt/βカテニンシグナル伝達系遺伝子の発現が増強されている。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、不死化されている。
一態様において、前記多能性幹細胞由来フィーダー細胞は、子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞からなる群より選択される細胞の培養に際してフィーダー細胞として使用するためのものである。
本発明の別の実施形態は、多能性幹細胞由来フィーダー細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む、細胞の培養方法に関する。
一態様において、前記目的の細胞は、子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞からなる群より選択される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]ヒト胚性幹細胞(hES細胞)細胞由来間葉系細胞の取得
1-1.hESからの胚様体の形成
hES細胞であるSEES2を、ROCK阻害剤(Y-27632;10μM)に曝露した後、0.5mMEDTAを用いて単一細胞に解離させ、96ウェルプレートに1ウェルあたり5×10細胞の濃度で播種した。
この細胞をEB培地(76%KnockOut DMEM、20%35kGy照射Xeno-free KnockOut Serum Replacement(XF-KSR、Life Technologies, CA, USA)、2mM GlutaMAX-I、0.1mM非必須アミノ酸(NEAA)、50U/mlペニシリン-50μg/mlストレプトマイシン(Pen-Strep)、50μg/ml L-アスコルビン酸2-ホスフェート(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA))中で4日間培養して胚様体を形成させた。
1-2.胚様体からのhES細胞由来間葉系細胞の作製
1-1で形成された胚様体を、NMP collagen PS(Nippon Meat Packers Inc.)でコートしたT25フラスコに移し、XF32培地(85%KnockOut DMEM、15%35kGy照射XF-KSR、2mM GlutaMAX-I、0.1mM NEAA、Pen-Strep、50μg/ml L-アスコルビン酸2-ホスフェート、10ng/mlヘレグリン-1β(recombinant human NRG-beta 1/HRG-beta 1 EGF domain; Wako, Japan)、200ng/ml組換えヒトIGF-1(LONGR3-IGF-1; Sigma-Aldrich)、および20ng/mlヒトbFGF(Kaken Pharmaceutical Co. Ltd.))中で60~70日培養して、hES細胞由来細胞を得た。この細胞は間葉系細胞様の性質を有していることから、以後、hES細胞由来間葉系細胞と称する。hES細胞由来間葉系細胞の作製方法を図1に示す。
得られたhES細胞由来間葉系細胞を、10%FBS(GibcoまたはHyClone)および1%Pen-Strepを補充したα-MEM培地中で維持した。
[実施例2]初代子宮内膜上皮細胞の培養
2-1.方法
良性婦人疾患を罹患した患者から摘出された子宮から子宮内膜検体を採取し、酵素処理に供して細胞を解離させた。次いで、解離した細胞をサイズによって間質細胞(40μm未満)と子宮内膜上皮細胞(40μm以上)とに分け、そのうち子宮内膜上皮細胞を以下の実験に使用した。
24ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific, 174929)を0.01%ゼラチンでコートした。その上にフィーダー細胞としてのhES細胞由来間葉系細胞を5×10細胞/ウェルの濃度で播種した。翌日、細胞の接着を確認した後、上記で得られた子宮内膜上皮細胞を10×10細胞/ウェルの濃度で播種して培養した。培地として改変F培地(グライコテクニカ社)を使用した。
対照として、フィーダー細胞なしでの培養を行った。
マウス胚性線維芽細胞(MEF)または上記で得られた子宮内膜間質細胞をフィーダー細胞として使用した場合は、hES細胞由来間葉系細胞の代わりにこれらの細胞を使用した以外、同じ条件下で実験を行った。
2-2.結果
フィーダー細胞なしで培養した場合には、子宮内膜上皮細胞の生着はごく一部であり、継代培養は困難であった(図2)。
一方、hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として使用した場合、最終的に、Passage 5、培養日数74日まで継代培養することができた(図3)。
Passage 4まで培養した時点で、免疫蛍光染色で、子宮内膜上皮細胞のマーカーである汎サイトケラチン(pan-cytokeratin)の発現が維持されていたことを確認した(図4)。
Passage 2で約2.5倍のコロニー面積(Total area of colony)を示し、その後コロニー面積は減少した(図5)。
子宮内膜上皮細胞は、Passage 2の際に最も多い細胞分裂回数(PDL)を示した。Passage 3で細胞分裂回数は減少したが、Passage 4での細胞分裂回数は再び増加した(図6)。
MEFまたは子宮内膜間質細胞をフィーダー細胞として使用した場合も、hES細胞由来間葉系細胞の場合と同様に継代培養することができた。
以上より、hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として用いてヒト子宮内膜上皮細胞を培養した場合、フィーダー細胞なしでは培養できないという問題点を解決でき、かつ子宮内膜上皮細胞上のタンパク発現も維持されることが明らかとなった。
[実施例3]軟骨細胞の培養
3-1.方法
(i)hES細胞からの軟骨細胞および間葉系細胞の同時発生
10cmディッシュに、30μlのiMatrix-511 silk(MATRIXOME)および9mlのPBSを添加し、1時間インキュベーター中でコートした。1時間後、アスピレーターで溶液を除去し、ディッシュを10mlのPBSで2回洗浄した。コート済みの10cmディッシュに9mlのStemFit(登録商標)AK02N培地(味の素株式会社)を入れた。
一方、-80℃で凍結されていたhES細胞(SEES2)を半解凍し、5.5mlのStemFitAK02N培地および5.5μl(1/1000量)のROCK阻害剤(最終濃度10μM)(以後「StemFitAK02Nプラス培地」と称する)を添加して細胞を懸濁した。細胞懸濁液の0.5mlをセルカウントに供し、残りの5mlを10分間遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、セルカウントの結果に基づいて1.0×10細胞/mlの濃度になるようStemFitAK02Nプラス培地中に細胞を懸濁し、ピペッティングによって単一細胞に解離した。細胞懸濁液25μlを、10mlのStemFitAK02Nプラス培地を含むコート済みの10cmディッシュに播種した。翌日から各日、10mlのStemFitAK02N培地を用いて培地交換した。
播種の後1回継代し、継代から8日目のhES細胞を用いてEBを作製した。
詳細には、培地を除去し、細胞を10mlのPBSで2回洗浄し、1mlのTriple Select(Gibco)を添加して、2分間インキュベートした。次いで、Triple Selectを除去し、細胞を10mlのPBSで2回洗浄し、1mlのStemFitAK02Nプラス培地を添加した。細胞を、スクレイパーを用いて10cmディッシュから剥がし、培地に懸濁して分散させた。細胞懸濁液を回収し、StemFitAK02Nプラス培地を全量が10.5mlになるように添加した。得られた細胞懸濁液の0.5mlをセルカウントに供し、残りの10mlを遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、セルカウントの結果に基づいて1.0×10細胞/mlの濃度になるようStemFitAK02Nプラス培地中に細胞を懸濁し、ピペッティングによって単一細胞に解離した。10μlまたは25μlの細胞懸濁液と10mlの軟骨誘導プラス培地とを混合した。得られた細胞懸濁液100μlを8連ピペットを用いてUボトム96ウェルプレート(Corning Incorporated)のウェルに播種して(2000または5000細胞/ウェル)、EBを作製した。
(ii)EBから軟骨細胞への誘導
T25フラスコ(TPP)に3mlのコラーゲン塩酸混合液(コラーゲン:HCl=1:9または1:19)を入れ、インキュベーター中で1時間静置した。次いで、混合液を除去し、T25フラスコを10mlのPBSで2回洗浄し、そこに5mlの軟骨誘導培地を添加した。
上記(i)で得られたEBを、播種の後、3日目、4日目または10日目に回収した。EBを10日目に回収した場合、4日目で軟骨誘導培地(KnockOut DMEM、67%KnockOut SR Xeno-Free、1%×100 GlutaMAX、1%×100 Pen-Strep、1%×100NEAA、1%×100ピルビン酸ナトリウム、0.2% 1μg/ml bFGF、0.2% 1mg/ml IGF、0.01% 0.1g/mlヘレグリンβ、0.1% 50μg/mlアスコルビン酸)および10μl(培地の1/1000量)のROCK阻害剤(最終濃度10μM)(以後「軟骨誘導プラス培地」と称する)を用いて半量の培地を交換した。EBを、8連ピペットを用いてリザーバーに回収した。3枚の96ウェルプレートから回収した288個のEBを一本の50mlチューブ(FALCON)に移し、全てのEBが沈降するまで静置した。その後、上清を除去した。コラーゲンコート処理したT25フラスコにEBを播種した。培養には4mlまたは6mlの軟骨誘導培地を使用し、2日に1度または3日に1度軟骨誘導培地を用いて培地交換を行って、60日または90日間培養した。
-80℃で冷凍保存されていたhES細胞(SEES1)を半解凍し、9mlのES用プラス培地を含む15mlチューブに移し、5分間遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、1mlのES用プラス培地中に細胞を懸濁し、全量を上記の10cmディッシュに播種した。翌日から各日、10mlのES用培地を用いて培地交換した。
hES細胞の播種から8日目に、以下のように継代を行った。培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄し、1mlのDissociation Solution(REPROCELL)を添加して2分間インキュベートした。その後、hES細胞を、ディッシュを叩いて剥がし、回収し、ピペッティングにより懸濁し、上記と同様にして前日に用意したMEF播種済みの10mlディッシュに播種した。
播種の後1回継代し、継代から8日目のhES細胞を用いてEBを作製した。
詳細には、培地を除去し、10mlのPBSで2回洗浄し、2mlのReLeST(STEM CELL)を添加して、2分間インキュベートした。次いで、10cmディッシュを約30回叩いてhES細胞をディッシュから剥がした。10mlディッシュに5.5mlのES用培地プラスを添加し、細胞を懸濁して分散させた。得られた細胞懸濁液の0.5mlをセルカウントに供し、残りの5mlを遠心分離した。遠心分離後、上清を除去し、セルカウントの結果に基づいて1.0×10細胞/mlの濃度になるようにES用培地プラス中に細胞を懸濁し、ピペッティングによって単一細胞に解離した。25μlの細胞懸濁液と10mlの軟骨誘導プラス培地とを混合した。得られた細胞懸濁液100μlを8連ピペットを用いてUボトム96ウェルプレート(Corning Incorporated)のウェルに播種して(5000細胞/ウェル)、EBを作製した。
得られたEBを用いて、(ii)と同様にして軟骨細胞を誘導した。
3-2.結果
(ii)で形成された細胞シートをHE染色した(図7、左)。図7中、間葉系細胞層(下の矢印で示す)に重なって、軟骨細胞(上の矢印で示す)が形成されていることが示された。
さらに、軟骨を染めるアルシアンブルー染色を行った(図7、右)。これにより、培養された細胞が軟骨細胞であることが示された。
以上より、hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として使用して軟骨細胞を培養できることが明らかとなった。
[実施例4]表皮細胞の培養
4-1.方法
多指症患者由来の表皮から樹立された細胞株であるYub2459keratinoを、表皮誘導培地(Defined keratinocyte SFM+ROCK阻害剤(Y-27632;10μM))中、37℃、5%CO下で継代培養した。10cmディッシュに0.1%ゼラチンを入れ、15分以上静置して、コーティングした。次いで、フィーダー細胞としての照射(30Gy)hES細胞由来間葉系細胞を、表皮誘導培地中、ディッシュ当たり1×10細胞で播種した。翌日、表皮細胞をディッシュ当たり0.5×10細胞で播種した。
対照として、hES細胞由来間葉系細胞の代わりにMEFを使用して、またはフィーダー細胞なしで培養を行った。
4-2.結果
表皮細胞をPassage 5からPassage 22まで157日間培養した。hES細胞由来間葉系細胞またはMEFをフィーダー細胞として使用して培養した場合は、表皮細胞は増殖能を維持することができた。一方、フィーダー細胞なしの場合は、継代を重ねると徐々に細胞増殖能が低下し、細胞はほとんど増殖しなくなった(図8)。
また、MEFおよびhES細胞由来間葉系細胞上で培養した表皮細胞は、継代を重ねても細胞密度が高く、表皮細胞特有の敷石状の細胞形態を維持することが確認された(図9)。
次いで、Passage 22の表皮細胞における角化細胞マーカー発現を免疫染色によって観察した。ケラチン14(Keratin 14)およびケラチン10(Keratin 10)の発現を、それらに対する抗体(それぞれ、abcam社のマウスIgG3(ab7800)およびBioLegend社のウサギIgG(905403))を使用して確認した。ケラチン14の発現は、MEFおよびhES細胞由来間葉系細胞を用いて培養した表皮細胞上で示された(図10)。MEFを用いて培養した表皮細胞では、細胞が凝集および積層化しているコロニー(点線で示す)の中心部におけるケラチン10の発現が示された(図10、中央)。hES細胞由来間葉系細胞を用いて培養した表皮細胞では、MEFを用いた培養ほどではないが、細胞の中心部(点線で示す)でケラチン10を発現している表皮細胞が確認された(図10、右)。
以上より、hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として用いて表皮細胞が培養可能であることが明らかとなった。
[実施例5]肝細胞の培養
5-1.方法
初代肝細胞であるHep2007(Passage 15)を、改変F培地中、37℃、5%CO下で継代培養した。6cmディッシュに0.1%ゼラチンを入れ、15分以上静置して、コーティングした。次いで、フィーダー細胞としての照射(30Gy)hES細胞由来間葉系細胞を、改変F培地中、ディッシュ当たり0.5×10細胞で播種した。翌日、肝細胞Hep2007をディッシュ当たり1.0~2.0×10細胞で播種した。
対照として、hES細胞由来間葉系細胞の代わりにMEFを使用して、またはフィーダー細胞なしで培養を行った。
5-2.結果
結果を図11に示す。図11の2枚の写真は、いずれもhES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として使用した場合の肝細胞を示す。hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として使用した場合、4回の継代培養を行うことができ、他の2条件(MEF、フィーダー細胞なし)よりも増殖能を維持できることが明らかになった。
[実施例6]ヒト人工多能性幹細胞(hiPS細胞)の培養
6-1.hiPS細胞のhES細胞由来間葉系細胞またはMEFとの共培養
照射(30Gy)hES細胞由来間質細胞を10cmディッシュに1ディッシュ当たり2.0×10細胞で播種し、翌日に月経血由来のhiPS細胞であるEdom22iPS #s31を、10cmディッシュに1ディッシュ当たり8×10細胞で播種した。使用した培地はXF32培地であった(Nishiwaki, M. et al., bioRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/729525)。
対照として、hES細胞由来間葉系細胞の代わりにMEFを使用して培養を行った。
MEF上で培養した場合のhiPS細胞の形態と、hES細胞由来間葉系細胞上で培養した場合のhiPS細胞の形態とは類似していた(図12)。図12の左はMEFと共培養した場合を、図12の右はhES細胞由来間葉系細胞と共培養した場合を示す。
6-2.hiPS細胞における未分化マーカーおよび自己複製能マーカーの発現
MEFまたはhES細胞由来間葉系細胞上で培養したhiPS細胞における未分化マーカーであるNANOGおよびOCT3/4、ならびに自己複製能を評価するためのマーカーであるTERTの遺伝子発現量をqRT-PCR法を用いて比較した。NANOG増幅用のフォワードおよびリバースプライマー、OCT3/4増幅用のフォワードおよびリバースプライマー、ならびにおよびTERT増幅用のフォワードおよびリバースプライマーのヌクレオチド配列をそれぞれ配列番号1~6に示す。
結果を図13に示す(左:NANOG、中央:OCT3/4、右:TERT)。OCT3/4およびTERTの発現量は両方の場合で同量程度であった。一方、NANOGの発現量は、MEFと共培養した場合のほうが、hES細胞由来間葉系細胞と共培養した場合よりも高かった。ただし、hES細胞由来間葉系細胞上で培養した場合でもある程度の発現が見られ、未分化状態は維持されていると考えられた。
6-3.hiPS細胞における多能性細胞特異的マーカーの発現
hiPS細胞がhES細胞由来間葉系細胞上で多分化能を維持するかどうかを免疫組織化学染色で検討した。詳細には、多能性細胞の特異的マーカーであるNANOG、OCT3/4、SSEA4、TRA1-60、およびSOX2の発現をMEFとの共培養の場合と比較した。MEFまたはhES細胞由来間葉系細胞の存在下での培養の結果をそれぞれ図14および図15に示す。図14および図15において、左から右に、NANOG、OCT3/4、SSEA4、TRA1-60、およびSOX2についての結果を示す。使用した抗体は以下のとおりである:NANOG:Repro CELL #RCAB0003P;OCT3/4:Santa Cruz #sc-5279;SSEA4:MILLIPORE #MAB4304;TRA1-60:MILLIPORE #MAB4360;SOX2:MILLIPORE #AB5603。
その結果、両方の場合の染色パターンは類似しており、いずれの場合も多分化能が維持されていることが示された。
以上より、hES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として用いた場合に、hiPS細胞の未分化性を保って培養可能であることが明らかとなった。
[実施例7]多能性幹細胞に由来する分化細胞の培養
iPS細胞(cell#O)から分化キット(cellartis、タカラバイオ)を用いて分化誘導されたiPS細胞由来肝細胞(cellartis-Hep#O)を、分化誘導を終えてコンフルエントになった時点で、細胞シートとして継代培養に供した。継代培養において、培地として改変F培地を使用し、フィーダー細胞として、MEFまたはヒトES細胞由来間葉系細胞を、1ウェル当たり1×10細胞の濃度で播種して使用した。
結果を図16に示す。MEFまたはヒトES細胞由来間葉系細胞をフィーダー細胞として使用した場合、ほぼ同様に、iPS細胞由来肝細胞(cellartis-Hep#O)の増殖能を維持させることが出来た。
上記のように、hES細胞由来間葉系細胞のような多能性幹細胞由来の細胞をフィーダー細胞として用いることによって、子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞を培養することができた。このように、異種細胞であるMEFを用いる従来の培養とは異なり、同種細胞を用いる培養方法が確立された。さらに、本発明の多能性幹細胞由来フィーダー細胞は凍結保存可能であり、様々な細胞を培養する際にフィーダー細胞として簡便に使用することができる。
本発明によって提供されるフィーダー細胞は、再生医療、創薬研究、および疾患解明に利用することができる。

Claims (11)

  1. 多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  2. 前記多能性幹細胞が霊長類に由来する、請求項1に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  3. 前記多能性幹細胞がヒトに由来する、請求項2に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  4. 多能性幹細胞から形成された胚様体を培養することによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  5. 間葉系細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  6. CD24、CD320、CD63、CD70、CD99L2、HMMR、ICAM1、IGF2R、ITGA3、MCAM、PDGFRA、PDGFRB、CD29、CD44、CD54、CD59、CD73、CD90、CD105およびHLA-ABCからなる群より選択される少なくとも1つが陽性であるか、または、HLA-DRが陰性である、請求項1~5のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  7. Wnt/βカテニンシグナル伝達系遺伝子の発現が増強されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  8. 不死化されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  9. 子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞からなる群より選択される細胞の培養に際してフィーダー細胞として使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の多能性幹細胞由来フィーダー細胞をフィーダー細胞として使用して目的の細胞を培養する工程を含む、細胞の培養方法。
  11. 前記目的の細胞が、子宮内膜上皮細胞、軟骨細胞、表皮細胞、肝細胞、多能性幹細胞および多能性幹細胞由来の分化細胞からなる群より選択される、請求項10に記載の細胞の培養方法。
JP2020110683A 2020-06-26 2020-06-26 多能性幹細胞由来フィーダー細胞 Pending JP2022007610A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020110683A JP2022007610A (ja) 2020-06-26 2020-06-26 多能性幹細胞由来フィーダー細胞

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020110683A JP2022007610A (ja) 2020-06-26 2020-06-26 多能性幹細胞由来フィーダー細胞

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022007610A true JP2022007610A (ja) 2022-01-13

Family

ID=80109879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020110683A Pending JP2022007610A (ja) 2020-06-26 2020-06-26 多能性幹細胞由来フィーダー細胞

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022007610A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024053684A1 (ja) * 2022-09-06 2024-03-14 大日本印刷株式会社 フィーダー細胞、細胞シートおよびそれらの製造方法、ならびにフィーダー細胞を用いた細胞の維持または増殖方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024053684A1 (ja) * 2022-09-06 2024-03-14 大日本印刷株式会社 フィーダー細胞、細胞シートおよびそれらの製造方法、ならびにフィーダー細胞を用いた細胞の維持または増殖方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220033770A1 (en) Macs-based purification of stem cell-derived retinal pigment epithelium
US20210139847A1 (en) Method for reproducible differentiation of clinical-grade retinal pigment epithelium cells
KR102594102B1 (ko) 중간 중배엽 세포로부터 신장 전구 세포로의 분화 유도 방법 및 다능성 줄기세포로부터 신장 전구 세포로의 분화 유도 방법
JP5227318B2 (ja) 細胞増殖培地
JP6581655B2 (ja) 多能性幹細胞由来ケラチノサイトの生成およびケラチノサイト培養の維持
JP2012523240A (ja) 幹細胞培養のための方法および組成物
CN110713973B (zh) 一种诱导多能干细胞分化为间充质干细胞的培养基组合及方法
JP2020534004A (ja) ヒト多能性幹細胞由来の胸腺オルガノイドのインビトロ生成
Zhang et al. Retinol (vitamin A) maintains self‐renewal of pluripotent male germline stem cells (mGSCs) from adult mouse testis
JP2022513355A (ja) 条件付き不死化に関する制御可能な導入遺伝子を含む人工多能性細胞
Sahare et al. Factors supporting long-term culture of bovine male germ cells
US20060030040A1 (en) Human embryonic stem cells and culturing methods thereof
AU2016366158B2 (en) Methods for the re-derivation of diverse pluripotent stem cell-derived brown fat cells
WO2023106122A1 (ja) 間葉系譜への分化に特化した神経堤細胞の製造方法
WO2014168157A1 (ja) 肝幹前駆様細胞の培養方法及びその培養物
US9598675B2 (en) Method for preparing mesenchymal stem cell-like cells and cardiomyocyte-like cells
Ma Biomaterials and regenerative medicine
TW201940693A (zh) 細胞之培養方法
JP2022007610A (ja) 多能性幹細胞由来フィーダー細胞
WO2020203538A1 (ja) 多能性幹細胞を含む細胞集団及びその製造方法
CN113166722A (zh) 羊水细胞来源的细胞外基质及其用途
Fossum et al. Long-term culture of human urothelial cells–a qualitative analysis
Islam et al. Functional characterization of cell hybrids generated by induced fusion of primary porcine mesenchymal stem cells with an immortal murine cell line
JP2010004796A (ja) 分化抑制剤、分化抑制基材及び分化抑制方法並びにその使用
EP3153576A1 (en) Improved expansion of eukaryotic cells

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20200713

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231219

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240408