JP2022007462A - 摩擦撹拌接合装置及び摩擦撹拌接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摩擦撹拌接合装置10は、プローブ26と、ショルダ14と、第1気室部15と、第2気室部16と、連通部17と、を備えている。プローブ26は、第1ワーク21及び第2ワーク22の接合部23を回転しながら押圧する。ショルダ14は、プローブ26を取り囲むように形成されている。第1気室部15及び第2気室部16は、プローブ26の外周面とショルダ14の内周面14aとの間に形成されている。連通部17は、第1気室部15及び第2気室部16を連通し、各気室部に対してプローブ26とショルダ14との距離が小さく形成されている。
【選択図】図1
Description
(1)本発明に係る摩擦撹拌接合装置は、積層された複数の被接合部材(例えば、実施形態の第1ワーク21、第2ワーク22)の接合部(例えば、実施形態の接合部23)に、回転しながら押圧されるプローブ(例えば、実施形態のプローブ26)と、前記プローブの回転軸(例えば、実施形態の回転軸28)に対する径方向の外側において、前記プローブを取り囲むショルダ(例えば、実施形態のショルダ14,63,124)と、前記プローブの外面(例えば、実施形態のプローブの外周面26a、プローブ軸部の端面71a、プローブ軸部の外周面123a)と前記ショルダの内面(例えば、実施形態のショルダの内周面14a,124a、ショルダ底部の内面76b)との間に形成された複数の気室(例えば、実施形態の第1気室部15,64,94,105,136,155,175、第2気室部16,65,95,106,137,156,176、第3気室部138,194)と、前記複数の気室を連通し、前記複数の気室に対して前記プローブと前記ショルダとの距離(例えば、実施形態の連通部距離L3、第1連通部距離L3、第2連通部距離L3)が小さく形成された連通部(例えば、実施形態の連通部17,66,96,107,195、第1連通部141、第2連通部142)と、を備えている。
ここで、連通部は、気室に対してプローブとショルダとの距離が小さく形成されている。連通部に侵入した切削屑が連通部から気室に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。この状態を複数の気室と連通部とにより繰り返すことにより、切削屑の流れを十分に抑制できる。これにより、被接合部材の摩擦撹拌接合の際に発生する切削屑がプローブとショルダとの間の隙間に侵入することを抑制できる。したがって、複数の被接合部材がプローブで摩擦撹拌接合される接合部の品質を向上させることができる。
ここで、連通部は、気室よりもプローブとショルダとの距離が狭く形成されている。よって、切削屑が連通部から気室に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
さらに、凸端面は、気室のうち接合部に対向する面を形成する。よって、被接合部材の接合の際に発生する切削屑が気室に侵入して凸端面に当たり、凸端面による抵抗によって切削屑の流れを抑制できる。
(第1実施形態)
図1に示すように、摩擦撹拌接合装置10は、支持用治具12と、摩擦撹拌接合用工具13と、ショルダ14と、第1、第2の気室部(複数の気室)15,16、連通部17と、第1、第2の通路部18,19と、駆動機構(図示せず)と、を備えている。
支持用治具12には、第1ワーク(被接合部材)21と第2ワーク(被接合部材)22とが積層された状態に配置(載置)されている。なお、支持用治具12のうち、第1ワーク21が配置される面の中央部(すなわち、後述のプローブ26に相当する部位)12aに、中空円筒体形状の凹部(図示せず)が設けられていてもよい。
第1ワーク21及び第2ワーク22としては、例えば、JIS記号の数字が5000番台である、いわゆる5000系のアルミニウム合金が使用される。
第1ワーク21と第2ワーク22とは、支持用治具12に積層された状態において、摩擦撹拌接合用工具13により接合部23で接合される。
さらに、第1実施形態では、一例として、摩擦撹拌接合装置10を固定型に備える例について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、摩擦撹拌接合装置10を、生産ラインに配設される多軸ロボットのアーム等に備えてもよい。
プローブ26は、プローブ軸部25より小径の円柱状に形成されている。プローブ26は、例えば、鋼、ステンレス、アルミニウム合金、銅合金、ニッケル合金、タングステン合金、コバルト合金、チタン合金、超硬合金、セラミックス、耐熱樹脂等で形成されている。
以下、回転軸28に対する軸方向を単に「軸方向」と略記することがある。また、プローブ26の回転軸28に対する径方向を単に「径方向」と略記し、プローブ26の回転軸28に対する周方向を単に「周方向」と略記することがある。
内周面14aは、プローブ26の外周面26aに対して径方向の外側に所定間隔をおいて、周方向にプローブ26の外周面26aに沿って円周上に形成されている。換言すれば、内周面14aは、プローブ26の回転軸28と交差する面上で外側において、プローブ26を取り囲むように形成されている。
すなわち、プローブ26の外周面26aとショルダ14の内周面14aとの間には、例えば、径方向において僅かな隙間Sが形成されている。ショルダ14の貫通孔31には、プローブ26が軸方向へ移動可能に貫通されている。
傾斜段部34は、ショルダ14のうち接合部23の反対側の端部14cにおいて、例えば、内周面14aから径方向の外側で、かつ、接合部23から離れるように傾斜状に張り出され、接合部23の側に凹むように円錐台状に形成されている。
第1溝側面42及び第2溝側面43は、軸方向に所定間隔をおいて対向するように形成されている。すなわち、第1溝部36は、溝底面41、第1溝側面42、及び第2溝側面43により、内周面14aから径方向の外側に凹むように断面U字状に形成されている。
なお、第1溝部36及び第2溝部37は、軸方向において任意の位置に形成してもよい。
プローブ26の外周面26aとショルダ14の内周面14aとの間には、複数の気室部として、例えば、第1気室部15と、第2気室部16と、が形成されている。
第2気室部16は、プローブ26の外周面26aと第2溝部37とにより、断面矩形状で、かつ、中空の環状に形成されている。第2気室部16は、プローブ26の外周面26aと、第2気室部16におけるショルダ14の内周面(すなわち、溝底面45)との径方向の第2気室距離がL2に形成されている。第1気室距離L1及び第2気室距離L2は、例えば、同じ距離に形成されている。
また、第1気室部15は、複数の気室部(すなわち、第1気室部15及び第2気室部16)のうち、最も接合部23(プローブ26の端部26b)の側で、かつ、最もプローブ26の端部26bの側に位置している。また、第1気室部15は、段部33(すなわち、貫通孔31の下端)に対して接合部23から離れる位置に第2間隔をあけて形成されている。さらに、第2気室部16は、貫通孔31の上端に対して接合部23に近づく位置に第3間隔をあけて形成されている。
連通部17は、第1気室部15と第2気室部16とを隙間Sにより軸方向に連通させている。具体的には、連通部17は、接合部23の側の端部が、第1気室部15のうち第1溝側面42の内周辺とプローブ26の外周面26aとの隙間を経て第1気室部15に連通されている。また、連通部17は、接合部23の反対側の端部が、第2気室部16のうち第2溝側面47の内周辺とプローブ26の外周面26aとの隙間を経て第2気室部16に連通されている。
連通部17は、プローブ26の外周面26aと第1間隔の領域14dとの径方向の連通部距離(距離)がL3に形成されている。連通部距離L3は、第1気室距離L1及び第2気室距離L2に対して小さく(狭く)形成されている。
第1通路部18は、プローブ26の外周面26aと第2間隔の領域14eとの径方向の第1通路部距離(距離)が、連通部距離と同様にL3に形成されている。換言すれば、第1通路部18は、プローブ26の端部26bとショルダ14のうち接合部23の側の端部14bとにより形成されている。第1通路部距離L3は、第1気室距離L1に対して小さく(狭く)形成されている。
第2通路部19は、プローブ26の外周面26aと第3間隔の領域14fとの径方向の第2通路部距離が、連通部距離と同様にL3に形成されている。換言すれば、第2通路部19は、プローブ26のうちプローブ軸部25の側の部位とショルダ14のうち接合部23の反対側の端部14cとにより形成されている。第2通路部距離L3は、第2気室距離L1に対して小さく(狭く)形成されている。
すなわち、第1気室部15及び第2気室部16は、連通部17、第1通路部18、及び第2通路部19に比べて断面積が大きく形成されている。また、第1気室部15及び第2気室部16は、連通部17、第1通路部18、及び第2通路部19に比べて容積が大きく形成されている。
図1に示すように、第1ワーク21と第2ワーク22とを積層した状態で接合部23を支持用治具12に配置する。この状態において、接合部23は、プローブ26及びショルダ14に対応する位置に位置する。また、プローブ26の端部26bは、ショルダ14の端部14bに対して概ね面一に配置されている。
ここで、プローブ26とショルダ14とは回転軸28に対する回転数が異なるように設定されている。例えば、プローブ26がショルダ14に対して高速回転される。
この状態において、プローブ26及びショルダ14をさらに接合部23に向けて移動し、例えば、ショルダ14の端部14bを接合部23に摺接させる。接合部23がショルダ14の端部14bで押圧され、接合部23が摩擦熱で軟化する。
これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21の接合部23を摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入した場合、切削屑の流動性が摩擦熱で高まることが考えられる。このため、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに切削屑が浸入しやすくなり、そのことが接合部23の品質に影響を与えることが考えられる。
第1通路部18は、第1気室部15の第1気室距離L1に対して第1通路部距離L3が小さく形成されている。また、第1通路部18は第1気室部15に対して、回転軸28に対する垂直な断面で断面積が小さく形成されている。よって、切削屑が第1通路部18から第1気室部15に侵入することにより、切削屑が圧力損失(圧損という場合もある)によって圧力低下する。
連通部17は、第2気室部16の第2気室距離L2に対して連通部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が連通部17から第2気室部16に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第2気室部16に侵入した切削屑が第2気室部16から第2通路部19に矢印Eの如く侵入する。第2通路部19は、第2気室部16の第2気室距離L2に対して第2通路部距離L3が小さく形成されている。
よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23において摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、摩擦熱で流動性が高められた場合でも、最も接合部23の側にある第1気室部15に侵入することを、第1通路部18の隙間Sで抑制できる。これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を一層良好に向上させることができる。
図3、図4に示すように、摩擦撹拌接合装置60は、主に、第1実施形態の第1、第2の気室部15,16、及び連通部17を第1、第2の気室部(複数の気室)64,65、及び連通部66に代えたものである。第1実施形態の第1気室部15、第2気室部16、及び連通部17は、軸方向に配置されている。一方、第2実施形態の第1気室部64、第2気室部65、及び連通部66は、径方向に配置されている。
プローブ26及びプローブ軸部71は、径方向の外側において、プローブ26の外周面(外周)26a及びプローブ軸部71の外周面71bがショルダ63により周方向に取り囲まれている。
ショルダ底部76は、底部内周面(すなわち、ショルダの内面)76aと、段部33と、凸部81と、を有する。底部内周面76aは、プローブ26の外周面26aに対して、例えば、径方向において僅かな隙間Sをあけて形成されている。
すなわち、摩擦撹拌接合用工具62(すなわち、プローブ軸部71及びプローブ26)は、ショルダ63に軸方向へ移動可能に貫通されている。
このように、ショルダ底部76に凸部81が加工されることにより、例えば、プローブ軸部71が超硬合金やセラミックス等の難加工材の場合でも、凸部81を容易に加工できる。
以上説明したように、プローブ26の外面(具体的には、プローブ軸部71の端面71a)と、ショルダ63の内面(具体的には、ショルダ底部76の内面76b)との間には、第1気室部64と、第2気室部65と、が形成されている。
第2気室部65は、凸部81の凸外側面81c、プローブ軸部71の端面71a、ショルダ筒部75の筒部内周面75a、及びショルダ底部76の内面76bにより、断面矩形状で、かつ、中空の環状に形成されている。第2気室部65は、プローブ軸部71の端面71aとショルダ底部76の内面76bとの軸方向の第2気室距離がL5に形成されている。
連通部66は、第1気室部64と第2気室部65とを隙間Sにより概ね径方向に連通させている。連通部66が断面U字状に形成されることにより、第1気室部64、連通部66、及び第2気室部65がラビリンス状に形成されている。
連通部66は、溝部73と凸部81との連通部距離(距離)がL3に形成されている。連通部距離L3は、第1気室距離L4及び第2気室距離L5に対して小さく(狭く)形成されている。
第2通路部68は、ショルダ63の外部と第2気室部65とを隙間Sにより軸方向に連通させている。第2通路部68は、プローブ軸部71の外周面71bとショルダ筒部75の筒部内周面75aとの径方向の第2通路部距離が、連通部距離と同様にL3に形成されている。第2通路部距離L3は、第2気室距離L5に対して小さく(狭く)形成されている。
すなわち、第1気室部64及び第2気室部65は、連通部66、第1通路部67、及び第2通路部68に比べて断面積が大きく形成されている。また、第1気室部64及び第2気室部65は、連通部66、第1通路部67、及び第2通路部68に比べて容積が大きく形成されている。
摩擦撹拌接合装置60によれば、プローブ26の外面とショルダ63の内面との間に第1気室部64と第2気室部65とを形成し、第1気室部64及び第2気室部65を連通部66で連通させた。よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、段部33から第1通路部67を経て第1気室部64に矢印Fの如く侵入して溜められる。
第1通路部67は、第1気室部64の第1気室距離L4に対して第1通路部距離L3が小さく形成されている。また、第1気室部64は、回転軸28に対して垂直な断面で第1通路部距離L3よりも広く形成されている。よって、切削屑が第1通路部67から第1気室部64に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
連通部66は、第2気室部65の第2気室距離L5に対して連通部距離L3が小さく形成されている。よって、第1気室部64に溜められた切削屑が連通部66から第2気室部65に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第2気室部65に溜められた切削屑が第2気室部65から第2通路部68に矢印Iの如く侵入する。第2通路部68は、第2気室部65の第2気室距離L5に対して第2通路部距離L3が小さく形成されている。
よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23において摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、摩擦熱で流動性が高められた場合でも、最も接合部23の側にある第1気室部64に侵入することを、第1通路部67の隙間Sで抑制できる。これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を一層良好に向上させることができる。
これにより、第1気室部64及び第2気室部65に切削屑が満たされるまで、第1気室部64及び第2気室部65から切削屑を連通部66及び第2通路部68にそれぞれ侵入し難くできる。したがって、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに切削屑が侵入することを一層良好に抑制できる。
図5、図6に示すように、摩擦撹拌接合装置90は、主に、第2実施形態のプローブ軸部71の端面71aから環状の溝部73を除去し、第2実施形態のショルダ底部76の内面76bに、凸部81に加えて段差部92を形成したものである。
ショルダ底部76に凸部81や段差部92が加工されることにより、例えば、プローブ軸部71が超硬合金やセラミックス等の難加工材の場合でも、凸部81や段差部92を容易に加工できる。
第1気室部94は、第1気室距離(距離)がL6に形成されている。第2気室部95は、第2気室距離がL7に形成されている。連通部96は、プローブ軸部71の端面71aと凸部81との軸方向の連通部距離(距離)がL3に形成されている。連通部距離L3は、第1気室距離L6及び第2気室距離L7に対して小さく(狭く)形成されている。
第2通路部98は、プローブ軸部71の端面71aと段差部92との軸方向の第2通路部距離が、連通部距離と同様にL3に形成されている。第2通路部距離L3は、第2気室距離L7に対して小さく(狭く)形成されている。
すなわち、第1気室部94及び第2気室部95は、連通部96、第1通路部97、及び第2通路部98に比べて断面積が大きく形成されている。また、第1気室部94及び第2気室部95は、連通部96、第1通路部97、及び第2通路部98に比べて容積が大きく形成されている。
摩擦撹拌接合装置90によれば、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、段部33から第1通路部97を経て第1気室部94に矢印の如く侵入して溜められる。
第1通路部97は、第1気室部94の第1気室距離L6に対して第1通路部距離L3が小さく形成されている。また、第1気室部94は、回転軸28に対して垂直な断面で第1通路部距離L3よりも広く形成されている。よって、切削屑が第1通路部97から第1気室部94に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
連通部96は、第2気室部95の第2気室距離L7に対して連通部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が連通部96から第2気室部95に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第2気室部95に溜められた切削屑が第2気室部95から第2通路部98に矢印の如く侵入する。第2通路部98は、第2気室部95の第2気室距離L7に対して第2通路部距離L3が小さく形成されている。
よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23において摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、摩擦熱で流動性が高められた場合でも、最も接合部23の側にある第1気室部94に侵入することを、第1通路部97の隙間Sで抑制できる。これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を一層良好に向上させることができる。
これにより、第1気室部94に切削屑が満たされるまで、第1気室部から切削屑を連通部96に侵入し難くできる。したがって、プローブ26とショルダ124との間の隙間Sに切削屑が侵入することを一層良好に抑制できる。
図7、図8に示すように、摩擦撹拌接合装置100は、主に、第2実施形態のプローブ軸部71の端面71aから環状の溝部73を除去し、第2実施形態の凸部81を第1凸部102及び第2凸部103に代えたものである。
ショルダ底部76に第1凸部102及び第2凸部103が加工されることにより、例えば、プローブ軸部71が超硬合金やセラミックス等の難加工材の場合でも、第1凸部102及び第2凸部103を容易に加工できる。
第1気室部105は、第1気室距離(距離)がL8に形成されている。第2気室部106は、第2気室距離がL9に形成されている。連通部107は、プローブ軸部71の端面71aと第2凸部103との軸方向の連通部距離(距離)がL3に形成されている。連通部距離L3は、第1気室距離L8及び第2気室距離L9に対して小さく(狭く)形成されている。
第2通路部109は、プローブ軸部71の外周面71bとショルダ筒部75の筒部内周面75aとの径方向の第2通路部距離が、連通部距離と同様にL3に形成されている。第2通路部距離L3は、第2気室距離L9に対して小さく(狭く)形成されている。
すなわち、第1気室部105及び第2気室部106は、連通部107、第1通路部108、及び第2通路部109に比べて断面積が大きく形成されている。また、第1気室部105及び第2気室部106は、連通部107、第1通路部108、及び第2通路部109に比べて容積が大きく形成されている。
摩擦撹拌接合装置100によれば、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、段部33から第1通路部108を経て第1気室部105に矢印の如く侵入して溜められる。
第1通路部108は、第1気室部105の第1気室距離L8に対して第1通路部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が第1通路部108から第1気室部105に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
連通部107は、第2気室部106の第2気室距離L9に対して連通部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が連通部107から第2気室部106に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第2気室部106に溜められた切削屑が第2気室部106から第2通路部109に矢印の如く侵入する。第2通路部109は、第2気室部106の第2気室距離L9に対して第2通路部距離L3が小さく形成されている。
よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23において摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、摩擦熱で流動性が高められた場合でも、最も接合部23の側にある第1気室部105に侵入することを、第1通路部108の隙間Sで抑制できる。これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を一層良好に向上させることができる。
図9、図10に示すように、摩擦撹拌接合装置120は、プローブ軸部(プローブ)123の外周面(外面)123a及びショルダ124の内周面(内面)124aが、軸方向において接合部23の側から反対側へ向けて断続的に拡径されたものである。
第1気室部136は、プローブ26の外周面(プローブの外面)26aと第1凹内周面(ショルダの内面)132bとの径方向の第1気室距離(距離)がL10に形成されている。また、第1気室部136は、第1凸端面126aと第1凹端面132aとの軸方向の距離がH1に形成されている。
第2気室部137は、第1凸外周面126bと、第2気室部137におけるショルダ124の内周面(すなわち、第2凹内周面133b)との径方向の第2気室距離がL11に形成されている。また、第2気室部137は、第2凸端面127aと第2凹端面133aとの軸方向の距離がH2に形成されている。
第3気室部138は、第2凸外周面127bと、第3気室部138におけるショルダ124の内周面(すなわち、第3凹内周面134b)との径方向の第3気室距離がL12に形成されている。また、第3気室部138は、第3凸端面128aと第3凹端面134aとの軸方向の距離がH3に形成されている。
第1気室部136、第2気室部137、及び第3気室部138を軸方向に断続的に配置することにより、プローブ軸部123とショルダ124との相対位置が軸方向にずれた場合でも、各気室部136,137,138の容積の管理を容易にできる。すなわち、プローブ軸部123(摩擦撹拌接合用工具122)の位置精度の管理幅を広くでき、摩擦撹拌接合の機能を安定的に発揮できる。
すなわち、第1気室部136、第2気室部137、及び第3気室部138は、第1連通部141、第2連通部142、第1通路部143、及び第2通路部144に比べて断面積が大きく形成されている。また、第1気室部136、第2気室部137、及び第3気室部138は、第1連通部141、第2連通部142、第1通路部143、及び第2通路部144に比べて容積が大きく形成されている。
第1通路部143、第1気室部136、第1連通部141、第2気室部137、第2連通部142、第3気室部138、及び第2通路部144により、いわゆる、ラビリンス構造が形成されている。
摩擦撹拌接合装置120によれば、プローブ軸部123の外周面123aとショルダ124の内周面124aとの間に第1気室部136、第2気室部137、及び第3気室部138とを形成した。さらに、第1気室部136及び第2気室部137を第1連通部141で連通させ、第2気室部137及び第3気室部138を第2連通部142で連通させた。
第1通路部143は、第1気室部136の第1気室距離L10に対して第1通路部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が第1通路部143から第1気室部136に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第1連通部141は、第2気室部137の第2気室距離L11に対して連通部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が第1連通部141から第2気室部137に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
第2連通部142は、第3気室部138の第3気室距離L12に対して第2連通部距離L3が小さく形成されている。よって、切削屑が第2連通部142から第3気室部138に侵入することにより、切削屑が圧力損失によって圧力低下する。
加えて、第3気室部138に溜められた切削屑が第3気室部138から第2通路部144に矢印Mの如く侵入する。第2通路部144は、第3気室部138の第3気室距離L12に対して第2通路部距離L3が小さく形成されている。
さらに、第1凸端面126a、第2凸端面127a、及び第3凸端面128aは、接合部23に対向する面である。よって、第1気室部136、第2気室部137、及び第3気室部138に侵入した切削屑が各凸端面126a,127a,128aに当たり、各凸端面126a,127a,128aによる抵抗によって切削屑の流れが抑制される。
加えて、第1通路部143、第1気室部136、第1連通部141、第2気室部137、第2連通部142、第3気室部138、及び第2通路部144によりラビリンス構造が形成されている。よって、摩擦熱で流動性が高められた切削屑でも、切削屑の流れを一層十分に抑制できる。
よって、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23において摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、摩擦熱で流動性が高められた場合でも、最も接合部23の側にある第1気室部136に侵入することを、第1通路部143の隙間Sで抑制できる。これにより、第2ワーク22及び第1ワーク21を接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ124との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を一層良好に向上させることができる。
図11、図12に示すように、摩擦撹拌接合装置150は、第1実施形態の第1溝部36及び第2溝部37に代えて、プローブ26の外周面26aに第1溝部152及び第2溝部153に形成したもので、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
摩擦撹拌接合装置150は、第1実施形態の第1気室部15、第2気室部16、連通部17、第1通路部18、及び第2通路部19と同様に、第1気室部155、第2気室部156、連通部17、第1通路部18、及び第2通路部19を備えている。
これにより、プローブ26の外周面26aとショルダ14の内周面14aとの間に第1気室部155及び第2気室部156(複数の気室)を容易に形成できる。
摩擦撹拌接合装置150の摩擦撹拌接合方法によれば、第1実施形態の摩擦撹拌接合方法と同様に、第1気室部155、連通部17、第2気室部156、及び第2通路部19に切削屑が矢印の如く順に繰り返し侵入する。よって、例えば、摩擦熱で流動性が高められた切削屑でも、切削屑の流れを十分に抑制できる。
これにより、摩擦撹拌接合の際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入することを抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を向上させることができる。
これにより、接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。
図13、図14に示すように、摩擦撹拌接合装置170は、第3実施形態の凸部81及び段差部92でショルダ底部76に形成した溝部に代えて、プローブ軸部(プローブ)25の端面(外面)25aに第1溝部172及び第2溝部173に形成したものである。
摩擦撹拌接合装置170は、第3実施形態の第1気室部94、第2気室部95、連通部96、第1通路部97、及び第2通路部98と同様に、第1気室部175、第2気室部176、連通部96、第1通路部97、及び第2通路部98を備えている。
これにより、プローブ軸部25の端面25aとショルダ底部76の内面76bとの間に第1気室部175及び第2気室部176(複数の気室)を容易に形成できる。
摩擦撹拌接合装置170の摩擦撹拌接合方法によれば、第1実施形態の摩擦撹拌接合方法と同様に、第1気室部175、連通部96、第2気室部176、及び第2通路部98に切削屑が矢印の如く順に繰り返し侵入する。よって、例えば、摩擦熱で流動性が高められた切削屑でも、切削屑の流れを十分に抑制できる。
これにより、摩擦撹拌接合の際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を向上させることができる。
これにより、接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。
図15、図16に示すように、摩擦撹拌接合装置190は、第7実施形態のプローブ軸部25の端面25aにおいて外周部に第3溝部192を形成したもので、その他の構成は第7実施形態と概ね同様である。
すなわち、摩擦撹拌接合装置190は、第7実施形態の第1気室部175、第2気室部176、連通部96、第1通路部97、及び第2通路部98に加えて、第3気室部194、及び連通部195を備えている。
これにより、プローブ軸部25の端面25aとショルダ底部76の内面76bとの間に第1気室部175、第2気室部176、及び第3気室部194(複数の気室)を容易に形成できる。
摩擦撹拌接合装置190の摩擦撹拌接合方法によれば、第7実施形態の摩擦撹拌接合方法と同様に、第1気室部175、連通部96、第2気室部176、連通部195、第3気室部194、及び第2通路部98に切削屑が矢印の如く順に繰り返し侵入する。よって、例えば、摩擦熱で流動性が高められた切削屑でも、切削屑の流れを十分に抑制できる。
これにより、摩擦撹拌接合の際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を向上させることができる。
これにより、接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ63との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。
図17、図18に示すように、摩擦撹拌接合装置200は、プローブ26の外周面26aに第6実施形態の第1溝部152を形成し、ショルダ14の内周面14aに第1実施形態の第2溝部37を形成したものである。
摩擦撹拌接合装置200は、第1実施形態や第6実施形態と概ね同様に、軸方向において、接合部23の側から接合部23の反対側に向けて、第1通路部18、第1気室部155、連通部17、第2気室部16、及び第2通路部19が順に形成されている。
これにより、第1溝部152及び第2溝部37の2つの溝部を、プローブ26とショルダ14とに分けて形成することにより、軸方向や径方向において各気室部155,37の容積効率を高めることができ、摩擦撹拌接合用工具13の小型化に寄与できる。
摩擦撹拌接合装置200の摩擦撹拌接合方法によれば、第1実施形態の摩擦撹拌接合方法と同様に、第1気室部155、連通部17、第2気室部16、及び第2通路部19に切削屑が矢印の如く順に繰り返し侵入する。よって、例えば、摩擦熱で流動性が高められた切削屑でも、切削屑の流れを十分に抑制できる。
これにより、摩擦撹拌接合の際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入することを抑制できる。したがって、第2ワーク22及び第1ワーク21がプローブ26で摩擦撹拌接合される接合部23の品質を向上させることができる。
これにより、接合部23で摩擦撹拌接合する際に発生する切削屑が、プローブ26とショルダ14との間の隙間Sに侵入することを一層良好に抑制できる。
例えば、連通部距離L3、第1連通部距離L3、第2連通部距離L3、第1通路部距離L3、第2通路部距離L3は同一寸法でも、少なくとも一つが異なる寸法でもよい。
12 支持用治具
13,122 摩擦撹拌接合用工具
14,63,124 ショルダ
14a,124a ショルダの内周面(ショルダの内面)
14b、124b ショルダの端部
15,64,94,105,136,155,175 第1気室部(複数の気室、最も接合部の側にある気室)
16,65,95,106,137,156,176 第2気室部(複数の気室)
17,66,96,107,195 連通部
21,22 第1、第2のワーク(被接合部材)
23 接合部
25,71,123 プローブ軸部(プローブ)
26 プローブ
26a プローブの外周面(プローブの外面)
26b プローブの端部
28 回転軸
41 溝底面(ショルダの内面)
71a プローブ軸部の端面(プローブの外面)
76 ショルダ底部(ショルダの端部)
76a ショルダ底部の底部内周面(ショルダの内面)
76b ショルダ底部の内面(ショルダの内面)
123a プローブ軸部の外周面(プローブの外面)
126,127,128 第1、第2、第3の凸拡径部(プローブの拡径された部位)
132,133,134 第1、第2、第3の凹拡径部(ショルダの拡径された部位)
132b 第1凹内周面(ショルダの内面)
138,194 第3気室部(複数の気室)
141,142 第1、第2の連通部(連通室)
L1,L4,L6,L8,L10 第1気室距離(距離)
L3 連通部距離、第1連通部距離、第2連通部距離、第1通路部距離(距離、プローブの端部とショルダの端部との距離)
Claims (4)
- 積層された複数の被接合部材の接合部に、回転しながら押圧されるプローブと、
前記プローブの回転軸に対する径方向の外側において、前記プローブを取り囲むショルダと、
前記プローブの外面と前記ショルダの内面との間に形成された複数の気室と、
前記複数の気室を連通し、前記複数の気室に対して前記プローブと前記ショルダとの距離が小さく形成された連通部と、
を備えることを特徴とする摩擦撹拌接合装置。 - 前記プローブの外面及び前記ショルダの内面は、前記回転軸の軸方向において前記被接合部材の側から反対側へ向けて断続的に拡径され、
前記プローブの拡径された部位と前記ショルダの拡径された部位とにより前記複数の気室が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌接合装置。 - 前記プローブの端部と前記ショルダの端部との距離は、
前記複数の気室のうち、最も前記接合部の側にある気室における前記プローブの外面と前記ショルダの内面との距離に対して小さい
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩擦撹拌接合装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の摩擦撹拌接合装置による摩擦撹拌接合方法であって、前記プローブと前記ショルダとは回転数が異なる
ことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
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