JP2022001749A - 渦室式ディーゼルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼性能が高い渦室式ディーゼルエンジンを提供する。【解決手段】シリンダヘッド1内に設けられた渦室2と、インジェクタ挿通孔3と、インジェクタ挿通孔3に挿通された燃料インジェクタ4と、燃料インジェクタ4のノズル部4aを収容するインジェクタ挿通孔3のノズル部収容部3aと、ノズル部4aを覆う防熱キャップ5を備えた、渦室式ディーゼルエンジンにおいて、防熱キャップ5は、ノズル部4aの先端面4bを覆うキャップ先端壁5aを備え、ノズル部収容部3a内で渦室2に臨むキャップ先端壁5aの先端面5bと、渦室2の内周面2aで、球面形の旋回流案内面2bが形成されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、渦室式ディーゼルエンジンに関し、詳しくは、燃焼性能が高い渦室式ディーゼルエンジンに関する。
従来、シリンダヘッド内に設けられた渦室と、インジェクタ挿通孔と、インジェクタ挿通孔に挿通された燃料インジェクタと、燃料インジェクタのノズル部を収容するインジェクタ挿通孔のノズル部収容部と、ノズル部を覆う防熱キャップを備えた、渦室式ディーゼルエンジンがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−345940号公報(図1,2参照)
《問題点》 燃焼性能が低くなることがある。
特許文献1のエンジンでは、防熱キャップがノズル部収容部から渦室内に突出し、渦室の内周面に沿う圧縮空気の旋回流が防熱キャップに衝突し、スムーズな旋回が邪魔されるため、ノズル部から噴射された燃料が圧縮空気に拡散され難く、予混合燃焼が抑制され、燃焼性能が低くなることがある。
この場合、このエンジンでは、エンジン出力の低下やスモークの発生が起こる。
本発明の課題は、燃焼性能が高い渦室式ディーゼルエンジンを提供することにある。
本願発明の主要な構成は、次の通りである。
図1,2(A),3,4(A)に例示するように、防熱キャップ(5)は、ノズル部(4a)の先端面(4b)を覆うキャップ先端壁(5a)を備え、ノズル部収容部(3a)内で渦室(2)に臨むキャップ先端壁(5a)の先端面(5b)と、渦室(2)の内周面(2a)で、球面形の旋回流案内面(2b)が形成されている、ことを特徴とする渦室式ディーゼルエンジン。
本願発明は、次の効果を奏する。
《効果》 燃焼性能が高い。
図1,2(A),3,4(A)に例示するように、このエンジンでは、渦室(2)に突出しない防熱キャップ(5)の先端面(5b)と、渦室(2)の内周面(2a)で形成される球面形の旋回流案内面(2b)の案内で、圧縮空気の旋回流(6)が防熱キャップ(5)に衝突することなく、スムーズに旋回するため、ノズル部(4a)から噴射された燃料(7)が圧縮空気に拡散され易く、予混合燃焼が促進され、燃焼性能が高い。
これにより、エンジン出力の向上やスモークの低減を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る渦室式ディーゼルエンジンの要部断面図である。 本発明の第2実施形態に係る渦室式ディーゼルエンジンを説明する図で、図2(A)は要部断面図、図2(B)は防熱キャップの底面図である。 本発明の第3実施形態に係る渦室式ディーゼルエンジンの要部断面図である。 本発明の第4実施形態に係る渦室式ディーゼルエンジンを説明する図で、図4(A)は要部断面図、図4(B)は防熱キャップの底面図である。
図1〜4は、本発明の実施形態に係る渦室式ディーゼルエンジンを説明する図で、図1は第1実施形態、図2は第2実施形態、図3は第3実施形態、図4は第4実施形態を示している。これら実施形態では、立形の水冷渦室式ディーゼルエンジンについて説明する。
まず、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、この第1実施形態のエンジンは、シリンダブロック(13)と、シリンダブロック(13)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(1)と、ピストンヘッド(8)を備えている。
図1に示すように、シリンダブロック(13)は、シリンダ部(13a)を備え、シリンダ部(13a)内にはピストンヘッド(8)が昇降自在に内嵌され、シリンダ部(13a)内にシリンダヘッド(1)とピストンヘッド(8)で挟まれた主燃焼室(9)が形成されている。
図1に示すように、シリンダヘッド(1)は、渦室(2)を備えている。
シリンダヘッド(1)は、その下面から上向きに凹入された凹入部(1b)を備え、凹入部(1b)の奥側に上側に凹入された上側半球面(1c)を備え、凹入部(1b)の入口側には口金(10)が内嵌され、口金(10)は、その上側から下向きに凹入された下側半球面(10a)を備え、上側半球面(1c)と下側半球面(10a)で球形の渦室(2)が形成されている。
渦室(2)は、口金(10)の噴口(10b)で主燃焼室(9)と連通している。
渦室(2)には、燃料インジェクタ(4)のノズル部(4a)が臨み、グロープラグ(12)が差し込まれている。
図1に示すように、燃料インジェクタ(4)の燃料噴射軸線(4c)は、渦室(2)の中心点(2c)と噴口(10b)を通過して、主燃焼室(9)に向けられている。
燃料インジェクタ(4)の燃料噴射軸線(4c)は、渦室(2)の中心部と噴口(10b)を通過して、主燃焼室(9)に向けられているものであればよい。渦室(2)の中心部とは、渦室(2)の中心点(2c)とその周辺を含む領域をいう。
図1に示すように、シリンダヘッド(1)は、渦室(2)を周囲から取り囲むヘッドジャケット(1a)を備え、シリンダブロック(13)は、シリンダ部(13a)を周囲から取り囲むシリンダジャケット(13b)を備えている。シリンダジャケット(13b)とヘッドジャケット(1a)は相互に連通して水冷ジャケット(11)を構成し、水冷ジャケット(11)内を通過するエンジン冷却水で、シリンダ部(13a)とシリンダヘッド(1)が水冷される。
図1に示すように、このエンジンは、シリンダヘッド(1)内に設けられた渦室(2)と、インジェクタ挿通孔(3)と、インジェクタ挿通孔(3)に挿通された燃料インジェクタ(4)と、燃料インジェクタ(4)のノズル部(4a)を収容するインジェクタ挿通孔(3)のノズル部収容部(3a)と、ノズル部(4a)を覆う防熱キャップ(5)を備えている。
図1に示すように、防熱キャップ(5)は、ノズル部(4a)の先端面(4b)を覆うキャップ先端壁(5a)を備え、ノズル部収容部(3a)内で渦室(2)に臨むキャップ先端壁(5a)の先端面(5b)と、渦室(2)の内周面(2a)で、球面形の旋回流案内面(2b)が形成されている。
このエンジンでは、図1に示すように、渦室(2)に突出しない防熱キャップ(5)の先端面(5b)と、渦室(2)の内周面(2a)で形成される球面形の旋回流案内面(2b)の案内で、圧縮空気の旋回流(6)が防熱キャップ(5)に衝突することなく、スムーズに旋回するため、ノズル部(4a)から噴射された燃料(7)が圧縮空気に拡散され易く、予混合燃焼が促進され、燃焼性能が高い。
これにより、このエンジンでは、エンジン出力の向上やスモークの低減を図ることができる。
図1に示すように、ノズル部(4a)の先端面(4b)とキャップ先端壁(5a)の間に防熱空間(5c)が設けられ、キャップ先端壁(5a)の中央部に開口された噴射燃料通過孔(5d)を介して、防熱空間(5c)が渦室(2)と連通している。
このエンジンでは、図1に示すノズル部(4a)の過熱が抑制される。その理由は、次のように推定される。
このエンジンでは、圧縮上死点付近で渦室(2)内に発生した高圧の燃焼ガスが、噴射燃料通過孔(5d)から防熱空間(5c)に高速で流入しようとするため、噴射燃料通過孔(5d)を通過する燃焼ガスの圧力損失が大きくなり、燃焼ガスの防熱空間(5c)への流入が抑制され、防熱空間(5c)内に比較的多くの後述する低温空気が残留し、この低温空気の断熱作用で、キャップ先端壁(5a)からノズル部(4a)の先端面(4b)への熱伝達が抑制される。そして、燃焼行程中に防熱空間(5c)内で昇温した比較的低圧の高温空気が、排気行程や吸気行程で、噴射燃料通過孔(5d)から渦室(2)に低速で流出しようとするため、噴射燃料通過孔(5d)を通過する高温空気の圧力損失が小さくなり、高温空気の渦室(2)への流出が促進される。そして、圧縮行程前半に、主燃焼室(9)から渦室(2)内に押し込まれた比較的低圧の低温空気が噴射燃料通過孔(5d)から防熱空間(5c)に低速で流入しようとするため、噴射燃料通過孔(5d)を通過する低温空気の圧力損失が小さくなり、低温空気の防熱空間(5c)への流入が促進される。このため、防熱空間(5c)の高温空気と渦室(2)の低温空気の交換が促進され、低温空気でノズル部(4a)が強力に冷却され、ノズル部(4a)の過熱が抑制される。
図1に示すように、防熱キャップ(5)は、ノズル部(4a)の外周面を覆うキャップ周壁(5f)を備え、キャップ周壁(5f)は、ノズル部収容部(3a)の内周面(3b)に密着している。
このエンジンでは、キャップ周壁(5f)の熱は、ノズル部収容部(3a)の内周面(3b)を介してシリンダヘッド(1)に放熱されるため、ノズル部(4a)には伝達され難く、ノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。
次に、図2に示す第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、図1の第1実施形態に連通孔(5e)を追加したもので、他は第1実施形態と同じ構成と機能を備えている。図2中、図1の第1実施形態と同じ要素には、図1と同じ符号を付しておく。
図2(B)に示すように、第2実施形態では、キャップ先端壁(5a)に噴射燃料通過孔(5d)よりも小さい開口面積の連通孔(5e)を備え、この連通孔(5e)を介して、図2(A)に示す防熱空間(5c)が渦室(2)と連通している。
このエンジンでは、図2(A)に示すノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。その理由は、次のように推定される。
このエンジンでは、連通孔(5e)も噴射燃料通過孔(5d)と同様に機能し、防熱空間(5c)の高温空気と渦室(2)の低温空気の交換が促進され、ノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。
図2(B)に示すように、第2実施形態では、連通孔(5e)は、複数個設けられ、噴射燃料通過孔(5d)の周囲で、周方向に所定間隔を保持して配置されている。
このエンジンでは、図2(A)に示すノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。その理由は、次のように推定される。
このエンジンでは、複数個の連通孔(5e)があるため、、防熱空間(5c)の高温空気と渦室(2)の低温空気の交換が促進され、ノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。
次に、図3に示す第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、図1の第1実施形態に金網(5g)を追加したもので、他は第1実施形態と同じ構成と機能を備えている。図3中、図1の第1実施形態と同じ要素には、図1と同じ符号を付しておく。
第3実施形態では、図3に示す防熱空間(5c)に金網(5g)が充填されている。
このエンジンでは、ノズル部(4a)の熱は、金網(5g)から防熱空間(5c)の低温空気に放熱されるので、ノズル部(4a)の過熱抑制機能が高い。
次に、図4に示す第4実施形態について説明する。
この第4実施形態は、図1の第1実施形態に、図2の第2実施形態の連通孔(5e)と、図3の第3実施形態の金網(5g)を追加したもので、他は第1実施形態と同じ構成と機能を備えている。図4中、図1の第1実施形態と同じ要素には、図1と同じ符号を付しておく。
(1)…シリンダヘッド、(2)…渦室、(2a)…内周面、(2b)…旋回流案内面、(3)…インジェクタ挿通孔、(3a)…ノズル部収容部、(3b)…内周面、(4)…燃料インジェクタ、(4a)…ノズル部、(4b)…先端面、(5)…防熱キャップ、(5a)…キャップ先端壁、(5b)…キャップ先端面、(5c)…防熱空間、(5d)…噴射燃料通過孔、(5e)…連通孔、(5f)…キャップ周壁、(5g)…金網。

Claims (6)

  1. シリンダヘッド(1)内に設けられた渦室(2)と、インジェクタ挿通孔(3)と、インジェクタ挿通孔(3)に挿通された燃料インジェクタ(4)と、燃料インジェクタ(4)のノズル部(4a)を収容するインジェクタ挿通孔(3)のノズル部収容部(3a)と、ノズル部(4a)を覆う防熱キャップ(5)を備えた、渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    防熱キャップ(5)は、ノズル部(4a)の先端面(4b)を覆うキャップ先端壁(5a)を備え、ノズル部収容部(3a)内で渦室(2)に臨むキャップ先端壁(5a)の先端面(5b)と、渦室(2)の内周面(2a)で、球面形の旋回流案内面(2b)が形成されている、ことを特徴とする渦室式ディーゼルエンジン。
  2. 請求項1に記載された渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    ノズル部(4a)の先端面(4b)とキャップ先端壁(5a)の間に防熱空間(5c)が設けられ、キャップ先端壁(5a)の中央部に開口された噴射燃料通過孔(5d)を介して、防熱空間(5c)が渦室(2)と連通している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  3. 請求項2に記載された渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    キャップ先端壁(5a)に噴射燃料通過孔(5d)よりも小さい開口面積の連通孔(5e)を備え、この連通孔(5e)を介して、防熱空間(5c)が渦室(2)と連通している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
  4. 請求項3に記載された渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    連通孔(5e)は、複数個設けられ、噴射燃料通過孔(5d)の周囲で、周方向に所定間隔を保持して配置されている、ことを特徴とする渦室式ディーゼルエンジン。
  5. 請求項2から請求項4のいずれかに記載された渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    防熱空間(5c)に金網(5g)が充填されている、ことを特徴とする渦室式ディーゼルエンジン。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載された渦室式ディーゼルエンジンにおいて、
    防熱キャップ(5)は、ノズル部(4a)の外周面を覆うキャップ周壁(5f)を備え、キャップ周壁(5f)は、ノズル部収容部(3a)の内周面(3b)に密着している、ことを特徴とする渦室式ディーゼルエンジン。
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