JP2021534089A - 細菌株を含む組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象の免疫系を刺激するのに使用するための細菌株を含む組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、哺乳動物の消化管から単離された細菌株を含む組成物及び疾患の処置において、特に、疾患の処置において免疫系を刺激することにおけるそのような組成物の使用の分野に属する。
ヒトの腸は、子宮内では無菌であると考えられているが、出生直後に母体及び環境の様々な微生物に曝露される。その後、微生物のコロニー形成及び遷移の動的な期間が生じる。これは、分娩様式、環境、食事及び宿主の遺伝子型などの要素に影響され、これらの要素のすべてが、特に幼年期に腸内細菌叢の組成に影響を与える。その後、細菌叢は安定化し、成人様となる[1]。ヒトの腸内細菌叢は、細菌の2つの主要な門であるBacteroidetes及びFirmicutesに本質的に属する500〜1000種を超える様々な系統型を含む[2]。ヒトの腸における細菌のコロニー形成から生じる相利共生関係の成功は、多種多様な代謝機能、構造的機能、保護機能、及び他の有益な機能をもたらしている。コロニー形成された腸の代謝活性の増強により、さもなければ難消化性の食物成分が確実に分解され、それとともに宿主にとって重要な栄養源を提供する副産物が放出される。同様に、腸内細菌叢の免疫学的重要性は十分に認識されており、共生細菌の導入後に機能的に再構成される障害のある免疫系を有する無菌動物で例示されている[3〜5]。
炎症性腸疾患(IBD)などの胃腸障害では、細菌叢組成の劇的な変化が記録されている。例えば、IBD患者では、E.coliの数が増大する一方でClostridiumクラスターXIVa細菌のレベルが低下し、このことは、腸内の共生生物と病原性共生生物とのバランスの変化を示唆している[6〜9]。興味深いことに、この微生物のディスバイオシスは、Tエフェクター細胞集団の不均衡とも関連している。
ある特定の細菌株が動物の腸に及ぼし得る好影響の可能性が認識され、様々な疾患の処置に使用するための様々な菌株が提案されている(例えば、[10〜13]を参照されたい)。また、Lactobacillus及びBifidobacterium菌株を主に含むある特定の菌株を、例えば、抗炎症性メカニズムを通じて、腸に直接関係しない様々な炎症性疾患及び自己免疫疾患の処置に使用することが提案されている(総説については[14]及び[15]を参照されたい)。ある特定のStreptococcus及びVeillonella菌株、そして比較的程度は低いがEnterococcus及びLactobaccillus菌株は、インビトロで様々なサイトカインに対して効果の異なる免疫調節効果を有することが示唆されている。しかしながら、様々な疾患と様々な細菌株との間の関係、そして特定の細菌株が腸及び全身レベルにおいて、また任意の特定のタイプの疾患に及ぼす正確な影響は、十分に特性評価されていない。
最近、様々なBifidobacterium種の抗炎症特性が調査され、いくつかのヒト試験によって、特に炎症性障害及び自己免疫障害について、ビフィズス菌の治療特性を実験室から臨床へと問題なく転換できることが示された。例えば、B.longum CECT 7347及びB.infantis NLSは、セリアック病の患者において、どちらも保護作用を誘発した[16、17]。研究により、腸を超えて疾患を調節するビフィズス菌の能力も示された。B.longum BB536、B.infantis M−63及びB.breve M−16Vからなる3菌株製剤は、小児のアレルギー性鼻炎及び軽度の間欠性喘息に関連する症状を緩和した[18]。さらに、潰瘍性大腸炎、乾癬及び慢性疲労症候群の患者にB.longum 35624を投与すると、3つの障害すべてでC反応性タンパク質の血漿中濃度が低下したことから[19]、この菌株が全身性免疫を調節できる可能性があることが示唆された。
Bifidobacterium breve種に由来する生物を、リノール酸の代謝によって免疫刺激補助剤を調製するのに使用することが、例えば、[20]及び[21]において提案されている。しかしながら、それらの文書では、そのような生物が対象に投与されたときに免疫刺激応答を誘発する可能性については、何ら示唆されていない。
参考文献[22]は、ベータ−ガラクト−オリゴ糖A及びBを含む栄養組成物が、免疫刺激効果を誘発し得ることを示唆している。これらの糖を含む組成物は、Bifidobacterium breveを含む様々な他の成分をさらに含み得ると述べられているが、Bifidobacterium breveという生物がベータ−ガラクト−オリゴ糖のいずれかの免疫刺激特性に寄与する、またはその免疫刺激特性を増強するという示唆はない。
Bifidobacterium breve種に由来する生物の治療的使用は[23]で提案されている。しかしながら、そこに開示されている細菌株が免疫刺激効果を有していたという示唆はない。
経口コレラワクチンの免疫原性に対するBifidobacterium菌株の潜在的な影響を調査するための試験は、[24]で報告された。しかしながら、その試験の結果は決定的ではなく、その論文では、試験した菌株は忍容性は良好であったが、ワクチン接種後に明らかな免疫刺激効果を示さなかったことが報告された。
当技術分野では、疾患を処置する新しい方法が必要である。また、腸内細菌を使用した新しい療法を開発できるように、腸内細菌の潜在的な影響の特性評価を行う必要もある。
本発明者らは、対象における免疫系の刺激ならびに疾患の処置及び予防に使用することのできる、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む新しい組成物を開発した。本発明者らは、Bifidobacterium breve種の菌株が免疫系を強力に活性化することができることを特定した。
したがって、本発明は、対象の免疫系を刺激するのに使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を提供する。好ましくは、本発明は、免疫系を刺激するのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体(derivative)もしくは生物型(biotype)を含む組成物を提供する。
さらに、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を対象に投与することを含む、免疫系を刺激する方法を提供する。さらに、本発明は、対象の免疫系を刺激するための薬物を製造するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、ワクチンアジュバントとして使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を提供する。好ましくは、本発明は、ワクチンアジュバントとして使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を提供する。好ましくは、本発明は、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、CAR−Tなどの細胞療法を増強するのに使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を提供する。好ましくは、本発明は、CAR−Tなどの細胞療法を増強するのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
本発明者らはまた、免疫系を刺激するのに特に強力であるBifidobacterium breveの菌株を特性評価し、その効力がその菌体外多糖(EPS)によって媒介される可能性があることを明らかにした。したがって本発明は、好ましくは、対象における免疫系を刺激するために、完全なEPS遺伝子座(complete EPS locus)を含み、及び/または表面にEPSを発現するBifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を使用する。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株である。
好ましい実施形態では、本発明は、実施例で示されるように、疾患の処置または予防において、IL−12p70、IL−12p70、IFNγ、IL−4及び/またはTNF−αの発現レベル及び/または活性を上昇させるのに使用するための組成物を提供する。好ましくは、本発明は、疾患の処置または予防において、IL−12p70、IL−12p70、IFNγ、IL−4及び/またはTNF−αの発現レベル及び/または活性を上昇させるのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、実施例で示されるように、疾患の処置または予防において、IL−12p70、IL−12p70、IFNγ、IL−4、TNF−α及び/またはIL−17αの発現レベル及び/または活性を上昇させるのに使用するための組成物を提供する。好ましくは、本発明は、疾患の処置または予防において、IL−12p70、IL−12p70、IFNγ、IL−4、TNF−α及び/またはIL−17αの発現レベル及び/または活性を上昇させるのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、TLR2を刺激するのに使用するための組成物を提供する。好ましくは、本発明は、TLR2を刺激するのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明は、NFκBを刺激するのに使用するための組成物を提供する。好ましくは、本発明は、NFκBを刺激するのに使用するための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明の細菌株はプルラナーゼを発現し、プルラナーゼは、強力なB.breve菌株によって高度に発現されることが実施例において示されており、接着(adhesion)に関与している可能性がある。
さらなる態様において、本発明は、対象における細菌感染症を処置または予防するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を提供する。実施例により、B.breve、特に本発明のB.breve菌株が、強力な抗菌活性を有することが示されている。さらに、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を投与することを含む、対象における細菌感染症を処置または予防する方法を提供する。さらに、本発明は、対象における細菌感染症を処置または予防するための薬物を製造するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物の使用を提供する。
好ましい実施形態では、感染症は、胃腸感染症である。好ましい実施形態では、感染症は、グラム陰性菌感染症である。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、胃腸のE.coli感染症の処置または予防に使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、胃腸のS.enterica感染症の処置または予防に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、細菌感染症の処置において細菌の生存率を低減させるのに使用するためのものである。本発明の細菌を使用して、病原性細菌のレベルを無症候性レベルに回復させるかまたは病原性細菌を対象から完全に排除することにより、細菌レベルの上昇に関連する症状を緩和することに加えて、細菌感染症を処置することができる。
実施例で試験したB.breve菌株と近縁の菌株も、免疫系を刺激するのに特に有効であると予想される。好ましい実施形態では、本発明は、細菌株が配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%もしくは99.9%同一である16s rRNA遺伝子配列を有するか、または細菌株が配列番号1によって表される16s rRNA遺伝子配列を有する組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用である。本発明の菌株の経口投与は、免疫系を刺激するのに有効であり得る。また、経口投与は、患者及び医師にとって利便性が高く、腸への送達及び/または腸における部分的または完全なコロニー形成を可能にする。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、1または2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌株を含む。本発明の組成物はまた、Bifidobacterium breve種の凍結乾燥細菌株を含むことができる。凍結乾燥は、細菌を送達することができる安定した組成物を調製するための有効かつ便利な技術である。
ある特定の実施形態において、本発明は、上記のような組成物を含む食品を提供する。本発明はまた、本明細書に記載されるBifidobacterium breve種の細菌株を含む食品を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、上記のような細菌株を含むワクチン組成物を提供する。本発明はまた、本発明に係る組成物を含むワクチン組成物を提供する。
さらに、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む、免疫刺激の低減に関連する疾患または状態を処置または予防する方法を提供する。
乳癌のマウスモデル−腫瘍体積。 肺癌のマウスモデル−腫瘍体積。 肝癌のマウスモデル−肝臓重量。 MRX004単独のRapid ID 32 Aプロファイル(A)及びB.breve基準株と比較したRapid ID 32 Aプロファイル(B)。白色=陰性反応(色の変化なし)、下向きの平行斜線=中間陽性反応(弱い色の変化)及び黒色=陽性反応(強く適切な色の変化)。 MRX004のAPI(登録商標)50 CH分析。上向きの平行斜線=陰性反応(色の変化なし)、下向きの平行斜線=中間陽性反応(弱い色の変化)、黒色=陽性反応(強く適切な色の変化)及び白色=疑わしい反応(予想外の色の変化)。 ヒト細胞へのMRX004及びB.breve基準株の接着。 MRx0004処理物によるNFκB及びTLR2の刺激。THP−1−NFκBレポーター細胞株(A)及びHEK−TLR2レポーター細胞株(B)をMRx0004生菌(MRx0004LV)、MRx0004培養上清(MRx0004SN)及び熱不活化MRx0004(MRx0004HK)の処理物で、100:1のMOIで22時間処理した。データは、3回の生物学的反復試験を表す。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキー(Tukey)の多重比較検定を使用して実施した。統計学的有意差を、*p<0.05、***p<0.001及び****p<0.0001として表す。 インビトロにおける、及びIECに対する応答におけるMRx0004の転写応答。10個のMRx0004遺伝子の発現を分析し、後期対数期増殖中の培養物とIECと接触(3時間)後の培養物との間で比較した。データを、指定の条件間で算出しgroELに対して正規化した倍率変化(2−ΔΔCt)値として表し、データは3回の独立した生物学的反復試験を表している。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 MRx0004及び近縁菌株のEPS遺伝子座内の配列多様性。 MRx0004及び近縁菌株のEPS遺伝子座内の配列多様性。 MRx0004のEPS陰性派生菌株の表現型特性。透過型電子顕微鏡検査(TEM)を、MRx0004(A)及びそのEPS陰性菌株(EPSneg)(B)に対して実施した。(C)HT29−MTX細胞と細菌株を100:1のMOIで3時間共インキュベーション後、IECへの細菌の接着を分析した。示したデータは、初回接種物からの接着したCFUのパーセンテージの、3回の生物学的反復試験の平均である。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01。 MRx0004表面タンパク質の検出に対するEPS除去の影響。(A)MRx0004の切り取られた(shaved)タンパク質の画分及びシェディングされた(shed)タンパク質の画分、(B)EPSnegの切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分ならびに(C)MRx0004及びEPSnegの切り取られたタンパク質の画分において同定されたタンパク質の数を示すベン図。 MRx0004による免疫調節におけるEPSの役割の解明。生菌処理物(LV)及び培養上清(SN)を、100:1のMOIでHEK−TLR2レポーター細胞に添加し、22時間インキュベートした。MRx0004LV及びMRx0004SNについて示したデータは、先に図7で示している。データは、3回の独立した反復試験を表す。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 MRx0004による免疫調節におけるEPSの役割の解明。生菌処理物(LV)及び培養上清(SN)を、100:1のMOIでTHP−1−NFκBレポーター細胞に添加し、22時間インキュベートした。MRx0004LV及びMRx0004SNについて示したデータは、先に図7で示している。データは、3回の独立した反復試験を表す。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 MRx0004による免疫調節におけるEPSの役割の解明。HT29−MTX細胞を生菌と3時間共インキュベートした後、TNFαを10ng/mlの濃度で24時間添加した。ELISAを使用して共培養上清中のIL−8レベルを分析した。データは、5回の生物学的反復試験を表す。統計分析を、通常の一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。細胞活性化マーカーCD25の発現を、CD8細胞及びCD4細胞のパーセンテージとして示す(A〜B)。Treg(CD25(高)/CD127(低))を、CD4細胞のパーセンテージとして示す(C)。Treg/CD8の独立した比を各ドナーから算出し(D)、B細胞(CD19)をCD3細胞のパーセンテージとして示し(E)、統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−12p70/IL−4の独立した比を各ドナーから算出し、統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−10/IL1p70の独立した比を各ドナーから算出し、統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−1β/IL12p70の独立した比を各ドナーから算出し、統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 MRx0004の切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分中で同定されたタンパク質(表8に記載)の数を示す、InteractiVennで生成したベン図。 挿入変異導入によるMRx0004のEPS陰性菌株の作製。 MRx0004及びその派生菌株EPSneg、EPSvec及びEPScompの自己凝集。 MRx0004SN及びEPSnegSN中で同定されたタンパク質の数を比較したベン図。 7色カラーパネルのフローサイトメトリー実験に使用されたゲーティング戦略。1×10のイベントにおける生細胞集団を使用して、取得閾値を設定した。未処理の試料からのヒト末梢血単核細胞(PBMC)の代表的な疑似カラープロットを示す。ゲートを、FloJoにおけるアイソタイプ対照及びFMOを使用して設定した。前方散乱及び側方散乱を使用してリンパ球を同定してから、ダブレット集団をゲートアウトし、生死判定用色素を利用して死細胞を除外した。CD3細胞をCD19でサブゲートしてB細胞を同定し、一方で、CD3細胞集団を使用して、CD4細胞とCD8細胞の両方をさらに識別した。次に、CD25を使用して活性化細胞のパーセンテージを調査し、CD4集団の場合は、CD25をさらにCD127と併せて使用してTregを同定した(CD25/CD127)。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、RPMI培地単独、MRx0004HKまたはEPSneg HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。CD8細胞及びCD4細胞を、CD3のパーセンテージとして示し(A〜B)、活性化B細胞をCD19のパーセンテージとして示す(C)。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。CD8細胞の発現を、CD3のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。細胞活性化マーカーCD25の発現を、CD8細胞のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。CD4細胞の発現を、CD3のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。細胞活性化マーカーCD25の発現を、CD4細胞のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。Treg(CD25(高)/CD127(低))をCD4細胞のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。B細胞(CD19)をCD3細胞のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。活性化B細胞をCD19のパーセンテージとして示す。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 フローサイトメトリーによる免疫細胞サブセットの同定。6名の健康ドナー由来のPBMCを以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。散布図を、垂直のバーで表される標準偏差とともに示す。Treg/CD8の独立した比を各ドナーから算出した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、マルチプレックスアッセイを使用してサイトカイン濃度を測定した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−12p70/IL−4の独立した比を各ドナーから算出した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−10/IL1p70の独立した比を各ドナーから算出した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 末梢血単核細胞(PBMC)により生成されたサイトカインプロファイル。細胞を以下の処理物、すなわち、MRx0004HK、EPSneg HK、EPSvec HKまたはEPScomp HKのうちの1つとともに72時間インキュベートした。箱ひげ図を、垂直のひげで表される最小値及び最大値とともに示す。PBMCを6名の健康ドナーから入手し、IL−1β/IL12p70の独立した比を各ドナーから算出した。統計分析を、通常の一元配置分散分析の後、テューキーの多重比較検定を使用して実施した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。 共培養抗菌プレートアッセイの例。指標菌株、試験菌株及び阻害区域を示している。 B.breve試験菌株及びB.breve参照菌株のAPI 32A試験の結果。白色=陰性反応(色の変化なし)、星=中間陽性反応(弱い色の変化)及び黒色=陽性反応(強く適切な色の変化)。 B.breve試験菌株及びB.breve参照菌株のPFGEのSpeI消化。 SpeIで消化した1%PFGEゲルを、0.5%のTBE中で、6V/cm、1〜15秒STで18時間泳動させた。黒矢印はDNAサイズの基準を示す。レーン1及びレーン2を、同じゲルの異なる部分からのレーン3〜7とグループ化した。レーン1=λ、レーン2=MRx0004、レーン3=B.breve参照7、レーン4=B.breve参照6、レーン5=B.breve参照1、レーン6=B.breve参照2、レーン7=λ。 この試験に含まれるB.breveのPFGEパターンに基づくUPGMA系統図(A)。PFGEバンドパターンから作製した類似性マトリックスをパネルBに示す。 サイトカインを添加せずに(サイトカインなし)、加熱死MRx0004(HK4)、MRx0004培養物からの上清(SP4)またはRPMI培地を使用した、ヘルパーT細胞集団におけるT細胞分化の誘導。**=p≦0.01。 サイトカインを添加せずに(サイトカインなし)、加熱死MRx0004(HK4)、MRx0004培養物からの上清(SP4)またはRPMI培地を使用した、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)集団におけるT細胞分化の誘導。*=p≦0.05;***=p≦0.001;****=p≦0.0001。 脾細胞の生存率。 MRx004による処理後の脾細胞によって生成されたサイトカインプロファイル。 CD8+IFNγ+細胞及びCD4+IFNγ+細胞の頻度、ならびに脾臓における細胞当たりのIFNγ生成。
細菌株
本発明の組成物は、Bifidobacterium breve種の菌株を含む。実施例により、そのような細菌株は、免疫系を刺激するのに有用であることが示されている。本発明の好ましい細菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌である。
アクセッション番号NCIMB 42380で寄託されたBifidobacterium breve細菌を実施例において試験した。この細菌は、本明細書において菌株751、MRX004またはMRx0004とも称される。試験したMRX004菌株の16S rRNA配列の一部を配列番号1に示す。Bifidobacterium breve菌株MRX004は、国際寄託機関NCIMB,Ltd.(Ferguson Building,Craibstone Estate,Bucksburn,Aberdeen,AB21 9YA,Scotland)に、GT Biologics Ltd.(Life Sciences Innovation Building,Aberdeen,AB25 2ZS,Scotland)により、2015年3月12日に識別参照751で寄託され、アクセッション番号NCIMB 42380を割り当てられた。その後、GT Biologics Ltd.は名称を4D Pharma Research Limitedに変更した。これらの寄託物は、WO2016/203223で公開された。
菌株NCIMB 42380のゲノム配列は、WO2016/203223の配列番号2に示されている。
実施例で試験した菌株と近縁の細菌株も、免疫系を刺激するのに有効であると予想される。ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、細菌株は、配列番号1によって表される16s rRNA配列を有する。最も好ましくは、細菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託されたBifidobacterium breve菌株である。
ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の配列番号2に対して配列同一性を有するゲノムを有する。好ましい実施形態では、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の配列番号2の少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)にわたって、WO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性)を有するゲノムを有する。例えば、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の配列番号2の70%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の80%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の90%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の100%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも90%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の70%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の80%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の90%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の100%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも95%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の70%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも98%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の80%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも98%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の90%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも98%の配列同一性、またはWO2016/203223の配列番号2の100%にわたってWO2016/203223の配列番号2に対して少なくとも98%の配列同一性を有するゲノムを有し得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、生菌を含む。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、活性状態の生菌、好ましくは、凍結乾燥された生菌を含む。実施例により、生菌の投与は、加熱死細菌または上清よりも有効であることが示されている。
好ましい実施形態では、本発明の細菌は、例えば、実施例に記載されているようなHEK−TLR2レポーターアッセイにおいて、TLR2を活性化する。さらなる実施形態では、本発明の細菌は、TLR4、TLR5またはTLR9を活性化させない。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、TLR2を活性化する細菌を含み、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、TLR2を活性化する細菌を含み、細胞療法を増強するのに使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、TLR2を活性化する細菌を含み、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明の細菌は、例えば、実施例に記載されているようなTHP−1−NFκBレポーターアッセイにおいて、NFκBを活性化する。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、NFκBを活性化する細菌を含み、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、NFκBを活性化する細菌を含み、細胞療法を増強するのに使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、NFκBを活性化する細菌を含み、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、実施例に示すように、例えば液体培養液中で増殖させた場合、oppA、プルラナーゼ、セルピン及びtadAからなる群から選択される1または2以上の遺伝子を、後期対数期と比較して定常期においてより高いレベルで発現する。実施例により、これらの遺伝子が有用な治療効果を媒介し得ることが示されている。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、実施例に示すように、例えば液体培養液中で増殖させた場合、eftU、エノラーゼ及びpGTFからなる群から選択される1または2以上の遺伝子を、定常期と比較して後期対数期においてより高いレベルで発現する。実施例により、これらの遺伝子が有用な治療効果を媒介し得ることが示されている。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、実施例に示すように、例えば液体培養液中で増殖させた場合、エノラーゼ、pGTF、oppA、セルピン及びトランスアルドラーゼからなる群から選択される1または2以上の遺伝子を、後期対数期と比較して腸管上皮細胞に接触後により高いレベルで発現する。実施例により、これらの遺伝子が有用な治療効果を媒介し得ることが示されている。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、プルラナーゼ、NlpC/P60ファミリータンパク質、FtsI、トランスアルドラーゼ、GAPDH、DnaK、GroEL及びエノラーゼのうちの1または2以上を発現し、培養上清中に分泌する。ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、表8のタンパク質のうちの1または2以上、例えば2、3、5、10、15個またはすべてを発現し、培養上清中に分泌する。実施例により、これらのタンパク質が有用な治療効果を媒介し得ることが示されている。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、プルラナーゼ、I型ポリケチドシンターゼ、トランスアルドラーゼ、GAPDH、DnaK、GroEL、エノラーゼ及びEfTuのうちの1または2以上をその細胞表面上に発現する。ある特定の実施形態において、本発明の細菌は、表9のタンパク質のうちの1または2以上、例えば2、3、5、6、8つまたはすべてを発現し、培養上清中に分泌する。実施例により、これらのタンパク質が有用な治療効果を媒介し得ることが示されている。
ある特定の実施形態において、本発明の細菌はプルラナーゼを発現する。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、プルラナーゼを発現する細菌を含み、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、プルラナーゼを発現する細菌を含み、細胞療法を増強するのに使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、プルラナーゼを発現する細菌を含み、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明の細菌は、完全なEPS遺伝子座を含む。実施例により、完全なEPS遺伝子座が治療効力の増強に寄与し得ることが示されている。そのような実施形態では、EPS遺伝子座は、プライミンググリコシルトランスフェラーゼ、1または2以上の追加のグリコシルトランスフェラーゼ、チアミンピロリン酸結合タンパク質、膜貫通タンパク質、フリッパーゼ及び鎖長決定因子を含む。好ましい実施形態では、EPS遺伝子座は、30Kbを超えるサイズである(隣接する仮想タンパク質を含む)。実施例により、そのようなEPS遺伝子座が免疫刺激機能に適切であることが示されている。好ましい実施形態では、EPS遺伝子座は、25〜60Kb、30〜50kb、30〜40kb、30〜35kbまたは30〜32Kbのサイズである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、完全なEPS遺伝子座を有する細菌を含み、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、完全なEPS遺伝子座を有する細菌を含み、細胞療法を増強するのに使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、完全なEPS遺伝子座を有する細菌を含み、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである。
好ましい実施形態では、本発明の細菌は、例えば、実施例において測定されたように、菌株MRX004のEPS遺伝子座に対して高レベルのヌクレオチド同一性、例えば、少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%または99.5%のヌクレオチド同一性を有するEPS遺伝子座を有する。実施例により、菌株MRX004のEPS遺伝子座が他のB.breve菌株と遺伝的に異なっており、効能(potency)及び治療的有用性に寄与し得ることが示されている。
好ましい実施形態では、本発明の細菌は、その表面にEPSを保有する。実施例により、EPSが細胞表面のタンパク質の露出を調節することが示されている。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、その表面にEPSを保有する細菌を含み、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、その表面にEPSを保有する細菌を含み、細胞療法を増強するのに使用するためのものである。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、その表面にEPSを保有する細菌を含み、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、ラフィノースを発酵させることができる。実施例は、最も効果的なB.breve菌株がラフィノースを発酵させることができ、これが、EPSの生成に関与していることを示唆している。さらに好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼ、α−アラビノース、マンノースならびにラフィノースのうちの1または2以上、例えば2、3、4、5、6または7つすべてを発酵させることができる。さらに好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、アルギニン、プロリン、フェニルアラニン、ロイシン、チロシン、グリシン及びヒスチジンのうちの1または2以上、例えば2、3、4、5、6または7つすべてを発酵させることができる。当技術分野において既知の任意の適切なアッセイを使用して、炭水化物源またはアミノ酸を発酵させる細菌の能力を評価することができる。好ましくは、Rapid ID 32A分析を使用する(bioMerieuxのRapid ID 32A系を使用することが好ましい)。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、β−グルコシダーゼの中間の(中程度の)発酵(intermediate fermentation)もしくはα−アラビノースの中間の発酵を示し、またはより好ましくは、β−グルコシダーゼの中間の発酵及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験3のいずれも有用な活性を有し、いずれもβ−グルコシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示すことが示されている。特に好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、β−グルコシダーゼの中間の発酵、α−アラビノースの中間の発酵及びラビノース(rabinose)の陽性の発酵(positive fermentation)を示す。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さない。細菌は、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼの中間の発酵のみを示すか、またはN−アセチル−β−グルコサミニダーゼの発酵を示さない可能性がある。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験2のいずれも有用な活性を有し、いずれもN−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さないことが示されている。特に好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さず、ラビノースの陽性の発酵を示す。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、α−ガラクトシダーゼの中間の発酵もしくはα−アラビノースの中間の発酵を示し、またはより好ましくは、α−ガラクトシダーゼの中間の発酵及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験8のいずれも有用な活性を有し、いずれもα−ガラクトシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示すことが示されている。特に好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、α−ガラクトシダーゼの中間の発酵及びα−アラビノースの中間の発酵、ならびにラビノースの陽性の発酵を示す。
代替的な実施形態では、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、セリンアリルアミダーゼを発酵させるが、ロイシルグリシンアリルアミダーゼ及びアラニンアリルアミダーゼを発酵させない。実施例により、B.breve菌株試験11及び試験12のいずれも有用な活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼを発酵させるが、ロイシルグリシンアリルアミダーゼ及びアラニンアリルアミダーゼを発酵させないことが示されている。特に好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、ラビノースも発酵させる。
代替的な実施形態では、本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、セリンアリルアミダーゼの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株試験3及び試験7のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼの中間の発酵を示すことが示されている。特に好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、ラビノースも発酵させる。
当技術分野において既知の任意の適切なアッセイを使用して、炭水化物源またはアミノ酸を発酵させる細菌の能力を評価することができる。好ましくは、Rapid ID 32A分析を使用する(bioMerieuxのRapid ID 32A系を使用することが好ましい)。
好ましくは、本発明において使用される細菌は、実施例10で使用したものなどの標準的条件を使用するパルスフィールドゲル電気泳動に供される場合、MRX004について、図24または図25に示されるパターンを生成する。
代替的な好ましい実施形態では、本発明において使用される細菌は、アミドン(デンプン)、アミグダリン、アルブチン、セロビオース、エスクリン、ガラクトース、ゲンチオビオース、グルコース、グリコーゲン、フルクトース、フコース、ラクトース、マルトース、マンノース、マンニトール、メリビオース、メレジトース、メチルα−D−グルコピラノシド、N−アセチルグルコサミン、リボース、サッカロース(スクロース)、サリシン、ソルビトール、トレハロース、ツラノース及びキシリトールのうちの1または2以上、例えば、2、3、4、5、10、15、20、25個またはすべてを発酵させることができる。そのような実施形態では、当技術分野において既知の任意の適切なアッセイを使用して、炭水化物源を発酵させる細菌の能力を評価することができる。好ましくは、bioMerieuxのAPI 50 CH分析を使用する。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、特に実施例5の条件下で、特にYCFA培地中で試験した場合にヒト細胞への接着の減少を示す、Bifidobacterium breveの菌株を含む。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の生物型を含む。アクセッション番号42380で寄託された細菌の生物型である細菌株も、免疫系を刺激するのに有効であると予想される。生物型は、NCIMB 42380の原菌株と同等の免疫調節活性を有するであろう。生物型は、同一または非常に生理学的及び生化学的特性を有する近縁の菌株である。
生物型は、免疫系に対して実施例に示される効果と同等の効果を誘発し、このことは、実施例に記載される培養及び投与プロトコールを使用することによって明らかにすることができるであろう。特に、生物型はT細胞及びサイトカインに対して、NCIMB 42380と同等の効果を誘発するであろう。
アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の生物型であり、本発明における使用に好適な菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の他のヌクレオチド配列を配列決定することによって同定してもよい。例えば、実質的に全ゲノムを配列決定することができ、本発明に使用するための生物型菌株は、その全ゲノムの少なくとも80%にわたって(例えば、少なくとも85%、90%、95%もしくは99%またはその全ゲノムにわたって)少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、生物型菌株は、そのゲノムの少なくとも98%にわたる少なくとも98%の配列同一性、またはそのゲノムの99%にわたる少なくとも99%の配列同一性を有する。生物型菌株の同定に使用するための他の好適な配列には、hsp60、または反復配列、例えばBOX、ERIC、(GTG)もしくはREP[25]が含まれ得る。
生物型菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の対応する配列に対して、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有するそのような配列を有し得る。いくつかの実施形態では、生物型菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の対応する配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%の配列同一性を有する16S rRNA配列を有し得る。いくつかの実施形態では、生物型菌株は、配列番号1に対して少なくとも99%同一である(例えば、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%同一である)16S rRNA配列を含み得る。いくつかの実施形態では、生物型菌株は、配列番号1の16S rRNA配列を有する。
あるいは、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の生物型であり、本発明における使用に好適な菌株を、アクセッション番号NCIMB 42380の寄託物、ならびに制限酵素断片分析及び/またはPCR分析を使用することによって、例えば、蛍光増幅断片長多型(FAFLP:fluorescent amplified fragment length polymorphism)及び反復DNAエレメント(rep)−PCRフィンガープリンティングまたはタンパク質プロファイリング、または部分的な16S rDNAもしくは23s rDNAの配列決定を使用することによって同定してもよい。好ましい実施形態では、そのような技術は、他のBifidobacterium breve菌株を同定するために使用され得る。
ある特定の実施形態において、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の生物型であり、本発明における使用に好適な菌株は、増幅リボソームDNA制限分析(ARDRA:amplified ribosomal DNA restriction analysis)によって分析した場合に、例えばSau3AI制限酵素を使用した場合に、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌と同じパターンを示す菌株である(例示的な方法及び指針に関しては、例えば[26]を参照されたい)。あるいは、生物型菌株は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌と同じ炭水化物発酵パターンを有する菌株として同定される。
アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の生物型などの、本発明の組成物及び方法において有用である他のBifidobacterium breve菌株は、実施例に記載のアッセイを含む任意の適切な方法または方策を使用して同定してもよい。特に、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌と類似の増殖パターン、代謝タイプ、及び/または表面抗原を有する細菌株は、本発明において有用であり得る。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の派生体を含む。アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌の派生体は、原菌株の娘株(後代)、または原菌株から培養された(サブクローニングされた)菌株であってもよい。本発明の派生菌株は、例えば生物活性を損ねることなく、遺伝子レベルで改変されていてもよい。特に、本発明の派生菌株は、治療的に活性である。派生菌株は、NCIMB 42380の原菌株と同等の免疫調節活性を有するであろう。派生菌株は、NCIMB 42380の原菌株と同等の細菌叢調節活性を有するであろう。したがって、派生菌株は免疫系を刺激するのに有効であろう。
派生菌株は、がんモデルに対して実施例に示される効果と同等の効果を誘発し、このことは、実施例に記載される培養及び投与プロトコールを使用することによって明らかにすることができるであろう。特に、派生菌株は、サイトカイン及び遺伝子発現に対して、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌と同等の効果を誘発するであろう。特に、派生菌株は、免疫刺激に対して、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌と同等の効果を誘発するであろう。NCIMB 42380菌株の派生体は、概してNCIMB 42380菌株の生物型であろう。
細菌株はまた、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された菌株と同じ安全性及び治療効力特性を有する菌株であり得、そのような細胞は、本発明に包含される。したがって、組成物は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された菌株ではないが、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された菌株と同じ安全性及び治療効力特性を有するBifidobacterium breve菌株を含むことができる。菌株の安全性特性は、例えば、抗生物質に対する菌株の耐性を試験することによって、例えば、抗生物質に対する内因性耐性及び伝達性耐性を識別することによって立証することができる。菌株の安全性特性は、インビトロで菌株の病原特性、例えば、毒素生成のレベルを評価することによっても立証することができる。その他の安全性試験としては、ラット及びマウスモデルにおける細菌株の急性または慢性毒性の試験が挙げられる。菌株の治療効力は、関連するモデルを使用するインビトロ及びインビボの細菌株の機能的特性評価によって立証することができる。
好ましい実施形態では、本発明の組成物中の細菌株は、生存しており、腸に部分的または完全にコロニー形成することができる。
好ましい実施形態では、本発明に使用するための細菌株はいずれも、図9に記載されているB.breve菌株のうちの1または2以上と比較して、YCFA中でヒト腸管上皮細胞、特にCaco−2細胞への接着性が低く(全培養物の1%未満の接着性など、好ましくは0.5%未満または0.3%未満など)、図9に記載されているB.breve菌株のうちの1または2以上と比較して、より多くの結合した表面菌体外多糖を生成する。
ある特定の好ましい実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、多糖ラフィノースを発酵させることができる。
ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、ビフィズス菌、特にB.breveと比較して、α−グルコシダーゼ及び/またはβ−グルコシダーゼを発酵させる能力が低下している。
ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、参照により本明細書に組み込まれるWO2016/203223の表1に記載されている遺伝子のうちの1または2以上、例えば、WO2016/203223の表1の遺伝子のうちの5、10、20、50個またはすべてを含む。ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の表1に記載されている一重下線で強調された遺伝子のうちの1または2以上、例えば、予測ECFトランスポーターの賦活モジュールの膜貫通成分BL0694及び/または予測ECFトランスポーターの賦活モジュールの重複ATPase成分BL0693を含む。ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の表1に記載されている二重下線と太字で強調された遺伝子のうちの1または2以上、例えば、マルトデキストリングルコシダーゼ(EC 3.2.1.20)、推定ガラクトシダーゼ、セルロースシンターゼ(UDP形成)(EC 2.4.1.12)、キチナーゼ(EC 3.2.1.14)及び感覚ボックス/GGDEFファミリータンパク質から選択される1、2、3、4または5つの遺伝子を含む。ある特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、WO2016/203223の表1に記載されている斜体で強調された遺伝子のうちの1または2以上、例えば、オメガ−3多価不飽和脂肪酸シンターゼサブユニットPfaA、I型ポリケチドシンターゼ、機能不明の推定グリコシルヒドロラーゼ(DUF1680)、ビオチンECFトランスポーターの賦活モジュールのATPase成分BioM、カチオン輸送ATPase E1〜E2ファミリー、リボースABC輸送系パーミアーゼタンパク質RbsC(TC 3.A.1.2.1)、リボースABC輸送系ATP結合タンパク質RbsA(TC 3.A.1.2.1)、3’−〜−5’オリゴリボヌクレアーゼ(orn)、アクチノバチルスタンパク質に関連する膜タンパク質(1944168)から選択される1、2、3、4、5、6、7、8または9つの遺伝子を含む。
好ましい実施形態では、本発明に使用するための細菌株は、2−スクシニル−5−エノールピルビル−6−ヒドロキシ−3−シクロヘキセン−1−カルボン酸シンターゼ(EC 2.2.1.9);3’−〜−5’オリゴリボヌクレアーゼ(orn);アルファ−ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22);ECFトランスポーターの一般的賦活モジュールのATPase成分;キューオシン調節ECFトランスポーターの賦活モジュールのATPase成分STY3233;ATP依存性DNAヘリカーゼrecG(EC 3.6.1.−);ベータ−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21);セルロースシンターゼ(UDP形成)(EC 2.4.1.12);キチナーゼ(EC 3.2.1.14);COG1309:転写調節因子;D−アラニル−D−アラニンカルボキシペプチダーゼ(EC 3.4.16.4)、予測ECFトランスポーターの賦活モジュールの重複ATPase成分BL0693;フルクトキナーゼ(EC 2.7.1.4);グルコース/マンノース:H+シンポーターGlcP;グリコシルトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.−);GMPシンターゼ[グルタミン加水分解](EC 6.3.5.2);インジゴイジンシンターゼindAを有するクラスター中の仮想(Hypothetical)糖キナーゼ、キナーゼのPfkBファミリー;イノシン−ウリジン選好ヌクレオシドヒドロラーゼ(EC 3.2.2.1);LSUリボソームタンパク質L31p@LSUリボソームタンパク質L31p、亜鉛非依存性;LSUリボソームタンパク質L33p@LSUリボソームタンパク質L33p、亜鉛非依存性;マルトデキストリングルコシダーゼ(EC 3.2.1.20);アクチノバチルスタンパク質に関連する膜タンパク質(1944168);膜結合溶解性ムレイントランスグリコシラーゼD前駆体(EC 3.2.1.−);メチルトランスフェラーゼ(EC 2.1.1.−);NADH依存性ブタノールデヒドロゲナーゼA(EC 1.1.1.−);ホスホグリコール酸ホスファターゼ(EC 3.1.3.18);ホスホリボシルアントラニル酸イソメラーゼ(EC 5.3.1.24);機能不明の推定グリコシルヒドロラーゼ(DUF1680);ラムノース含有多糖転位パーミアーゼ;リボキナーゼ(EC 2.7.1.15);リボースABC輸送系、ATP結合タンパク質RbsA(TC 3.A.1.2.1);リボースABC輸送系、ATP結合タンパク質RbsA(TC 3.A.1.2.1);リボースABC輸送系、高親和性パーミアーゼRbsD(TC 3.A.1.2.1);リボースABC輸送系、周辺質リボース結合タンパク質RbsB(TC 3.A.1.2.1);リボースABC輸送系、パーミアーゼタンパク質RbsC(TC 3.A.1.2.1);リボースABC輸送系、パーミアーゼタンパク質RbsC(TC 3.A.1.2.1);ソルビトールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.14);SSUリボソームタンパク質S14p(S29e)@SSUリボソームタンパク質S14p(S29e)、亜鉛非依存性;キューオシン調節ECFトランスポーターの基質特異的成分STY3230;スクロース−6−リン酸ヒドロラーゼ(EC 3.2.1.B3);タイコ酸輸送ATP結合タンパク質TagH(EC 3.6.3.40);予測ECFトランスポーターの賦活モジュールの膜貫通成分BL0694;キューオシン調節ECFトランスポーターの賦活モジュールの膜貫通成分STY3231;HrtABトランスポーターと共局在する2成分応答調節因子;I型制限修飾系、DNA−メチルトランスフェラーゼサブユニットM(EC 2.1.1.72);I型制限修飾系、制限サブユニットR(EC 3.1.21.3);I型制限修飾系、特異性サブユニットS(EC 3.1.21.3);I型制限修飾系、特異性サブユニットS(EC 3.1.21.3);I型制限修飾系、特異性サブユニットS(EC 3.1.21.3);キシリトールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.9);及びキシロースABCトランスポーター、周辺質キシロース結合タンパク質XylFから選択される1または2以上(例えば、5、10、15、20、25、30、40、45、50個またはすべて)の遺伝子を含む。好ましい実施形態では、本発明に使用するための細菌株は、先行文に記載されており、WO2016/203223の表1で強調されていない1または2以上(例えば5、10、15、20、25、30、35個またはすべて)の遺伝子を含む。
治療的使用
免疫系の刺激
実施例は、本発明の組成物の投与が、免疫刺激をもたらし得ることを示す。本発明の組成物の投与が免疫刺激効果を有することが示されたため、本発明の組成物は、疾患、特に免疫活性化の低減を特徴とする疾患、及び免疫応答の増大によって処置可能な疾患の処置に有用であり得る。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫系を刺激するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫系を刺激することにより、疾患を処置するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
免疫不全は、患者の免疫系が損なわれているか、または完全に欠如している状態である。免疫不全症は、免疫活性化の低減を特徴とする疾患の例であり、この場合、疾患を処置するために、患者の免疫系を刺激することが有益である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、免疫不全症の処置または予防に使用するためのものである。
2つのタイプの免疫不全症が存在する。原発性免疫不全症は、通常出生時に存在し小児期に診断される遺伝子変異に起因する遺伝性免疫障害である。続発性免疫不全症は、疾患または有毒化学物質などの環境源の結果である後天性の免疫不全である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、原発性免疫不全症または続発性免疫不全症の処置または予防に使用するためのものである。
原発性免疫不全障害の例及び例としては、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、慢性肉芽腫症(CGD)、分類不能型免疫不全症(CVID)及び無リンパ球症または「バブルボーイ(boy in a bubble)」病としても知られる重症複合免疫不全症(SCID)が挙げられる。続発性免疫不全障害は、例えば、重度の火傷、化学療法、放射線、糖尿病、栄養失調によって引き起こされる可能性がある。続発性免疫不全障害の例としては、AIDS、白血病などの免疫系のがん、ウイルス性肝炎、多発性骨髄腫などの免疫複合体疾患が挙げられる[27]。インターフェロン−γは、免疫不全症CGDに対する承認された療法である[28]。実施例により、本発明の組成物がIFN−γの生成を増加させることができることが示されたため、本発明の組成物は、原発性及び続発性免疫不全症を含む免疫不全症の処置に特に有効であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、TLR2への刺激を通じて免疫系を刺激するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、疾患の処置においてTLR2を刺激するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、TLR2活性の低減に関連する疾患の処置に使用するためのものであるか、またはTLR2活性が低減していることが確認された患者の処置に使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物による処置は、Th1細胞応答を促進する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、疾患の処置においてTh1細胞応答を促進するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、Th1細胞活性の低減に関連する疾患の処置に使用するためのものであるか、またはTh1細胞活性が低減していることが確認された患者の処置に使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、NFκBの活性化を通じて免疫系を刺激するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、疾患の処置においてNFκBを刺激するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、NFκB活性の低減に関連する疾患の処置に使用するためのものであるか、またはNFκB活性が低減していることが確認された患者の処置に使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
本発明の組成物は、活性化CD8細胞のレベルの低下を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、疾患を処置するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8細胞を活性化させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。
本発明の組成物は、B細胞のレベルの低下を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、疾患を処置するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞を活性化させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。
本発明の組成物は、活性化CD8CD25細胞のレベルの低下を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8CD25細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8CD25細胞の活性またはレベルを上昇させることにより、疾患を処置するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、CD8CD25細胞を活性化させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。
本発明の組成物は、B細胞の数またはパーセンテージの減少を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞の数またはパーセンテージの減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、細胞集団におけるB細胞の数またはパーセンテージを増大させることにより、疾患を処置または予防するのに使用するためのものであり、B細胞の数またはパーセンテージの増大は、免疫刺激をもたらす。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞の数またはパーセンテージを増大させることにより、免疫応答を刺激するのに使用するためのものである。
実施例は、本発明の組成物の投与は、炎症性サイトカインなどの炎症誘発性分子の発現の増大をもたらし得ることを示す。本発明の組成物を投与した際に発現レベルの上昇を示した炎症誘発性分子の例としては、IL−12p70、TNF−α、IL−4、IFNγ及びIL−17αが挙げられる。本発明の組成物の投与が炎症誘発性分子の発現を増大させることが示されたため、本発明の組成物は、炎症性サイトカインなどの炎症誘発性分子の発現の減少を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、炎症誘発性分子の発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患、特に炎症性サイトカインの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−12p70、TNF−α、IL−4及び/またはIFNγの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70、TNF−α、IL−4及び/またはIFNγの発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70、TNF−α、IL−4及び/またはIFNγの発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−17α、IL−12p70、TNF−α、IL−4、IFNγ及び/またはIL−17αの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70、TNF−α、IL−4、IFNγ及び/またはIL−17αの発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70、TNF−α、IL−4、IFNγ及び/またはIL−17αの発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。
実施例は、本発明の組成物の投与が、IL−1βの発現の増大をもたらし得ることも示す。IL−1βは炎症性サイトカインである[29]。IL−1βの生成及び分泌は、炎症応答の活性化に関連するタンパク質複合体であるインフラマソーム(inflammasome)によって調節される[30]。本発明の組成物の投与がIL−1βの発現を増大させることが示されたため、本発明の組成物は、IL−1βの発現の減少を特徴とする疾患の処置に有用であり得る。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−1βの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−1βの発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに使用するためのものである。
実施例は、本発明の組成物の投与が、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の発現の増大をもたらし得ることを示す。TNF−αは、細胞死を促進する様々なシグナル伝達経路に関与することが知られている炎症性サイトカインである。TNF−αは、その同族受容体であるTNFR−1に結合することによりアポトーシスを開始し、アポトーシス経路における一連の切断事象を引き起こす[31]。TNF−αは、RIPキナーゼ依存性メカニズムを介して壊死を誘発することもできる[32]。本発明の組成物の投与によりTNF−α発現の増大が示されるため、本発明の組成物は、疾患の処置、特にTNF−αの発現の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、TNF−α発現の減少を特徴とする疾患の処置に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、TNF−αの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、TNF−αの発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、TNF−αの発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。
本発明の組成物の投与によりIL−4発現の増大が示されるため、本発明の組成物は、疾患の処置、特にIL−4の発現の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−4発現の減少を特徴とする疾患の処置に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−4の発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−4の発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−4の発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。
本発明の組成物の投与によりIL−17α発現の増大が示されるため、本発明の組成物は、疾患の処置、特にIL−17αの発現の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−17α発現の減少を特徴とする疾患の処置に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−17αの発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−17αの発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−17αの発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。
本発明の組成物の投与によりIL−12p70発現の増大が示されるため、本発明の組成物は、疾患の処置、特にIL−12p70の発現の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70発現の減少を特徴とする疾患の処置に使用するためのものである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、IL−12p70の発現及び/または活性の減少を特徴とする疾患の処置または予防に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70の発現及び/または活性を上昇させることにより、疾患を処置または予防するのに有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70の発現及び/または活性を上昇させることにより、免疫応答を促進するのに使用するためのものである。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物によって処置される疾患は、がんではない。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物によって処置される疾患は、IL−17経路またはTh17経路によって媒介されない。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、IL−17経路及び/またはTh17経路の発現または活性を上昇させる。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物が投与される対象は、リノール酸補助剤を服用していない、及び/またはリノール酸が豊富な食事をとっていない。それに加えて、またはその代わりに、本発明の組成物はリノール酸を含まない。
実施形態では、本発明の組成物は、ベータ−ガラクト−オリゴ糖A及び/またはBを含まない。
免疫刺激が必要な患者は、細菌感染症のリスクがある可能性がある。実施例により、本発明の組成物が、抗菌活性を有することが示されている。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫系を刺激し細菌感染症を処置または予防するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫系を刺激し細菌感染の増大を阻害することにより、細菌感染症を処置するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、病原性細菌に対する免疫応答を促進し、細菌増殖を阻害するのに使用するためのものである。好ましくは、細菌感染症は消化管の細菌感染症である。好ましくは、細菌感染症はグラム陰性菌の細菌感染症である。
実施例はまた、本発明の組成物がヘルパーT細胞及び細胞傷害性Tリンパ球の分化を促進することも示す。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、ヘルパーT細胞及び/または細胞傷害性Tリンパ球の分化を刺激するのに使用するためのものである。
ワクチンアジュバントとしての使用
実施例は、本発明の組成物の投与が、免疫系を刺激し、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の発現及びTLR2の活性化の上昇をもたらし得ることを示す。TNF−αは、ワクチン応答に重要であることが知られている。例えば、TNF−αは、高齢者集団のインフルエンザワクチン接種における効率的なワクチン応答に必要であることが示されている[33]。同様に、TLR2は、応答を向上させるためのワクチンアジュバントの重要な標的である[34]。本発明の組成物の投与がTNF−α発現及びTLR2活性を上昇させることが示されたため、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、TNF−αのレベル及び/または活性を上昇させることにより、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、TLR2のレベル及び/または活性を上昇させることにより、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、インフルエンザ治療におけるワクチンアジュバントとして使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、抗原に対する免疫応答を増強するのに使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本発明は、抗原と組み合わせて投与される組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、ワクチン接種の直前または直後に患者に投与するためのものである。好ましくは、本発明は、ワクチンアジュバントとしてのそのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
実施例により、本発明の細菌がTLR2を活性化させることが示されている。TLRアゴニストは、特に高齢者集団において、様々な抗原タイプに対するワクチンアジュバントとして開発中である[35]。したがって、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして、特に免疫系の活性が低減している場合がある高齢患者(例えば、40歳、50歳、60歳、70歳または80歳超)に投与されるワクチンのために有用であり得る。TLR2シグナル伝達は、年齢に関連した自然免疫応答においても重要な役割を果たす[36]。ある特定の実施形態において、本組成物は、自然免疫応答を増強するのに使用するためのものである。TLR2アゴニストはワクチンアジュバントとして開発中であるが、これらはすべて既知の病原体に由来し、及び/または合成である。対照的に、本発明の組成物は、共生細菌を含む。
実施例は、本発明の組成物の投与が、IL−1βの発現の増大をもたらし得ることも示す。Liら[37]は、アジュバントの水酸化アルミニウムがIL−1βの分泌を活性化させることを示し、IL−β自体がアジュバントとして作用し得ることを示唆した。本発明の組成物の投与がIL−1βの発現を増大させることが示されたため、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして有用であり得る。
実施例により、本発明の組成物がIFNγレベルを上昇させTh1細胞応答を促進することができ、その両方が抗原に対する抗体応答の増強に関連していることが示されている[38]。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、抗原、特に病原性抗原またはがん抗原に対する抗体応答を促進するのに使用するためのものである。同様に、調査したマラリアワクチンを投与された志願者における、ワクチン誘導性T細胞応答のIFN−γの指標である[39]。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、抗原、特に病原性抗原またはがん抗原に対するT細胞応答を促進するのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、IFN−γのレベル及び/または活性を上昇させることにより、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。ある特定の実施形態において、本組成物は、マラリアからの保護に使用するためのものである。
実施例は、本発明の組成物の投与が、IL−12p70の発現またはレベルの上昇をもたらし得ることも示す。この効果はワクチンアジュバントの効率に関連付けられており、IL−12自体がアジュバントとして提案されている[40]。これは、本発明の組成物がアジュバントとして有効であることを示唆している。一実施形態において、本発明の組成物は、IL−12p70のレベル及び/または活性を上昇させることにより、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである。
いくつかの実施形態では、ワクチンアジュバントとして使用する場合、本発明の組成物は、患者に別々に投与された抗原に対するアジュバント効果をもたらすために単独で投与される。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は経口投与され、抗原は非経口的に注射される。
本発明の組成物は、任意の有用な抗原に対する免疫応答を増強するために使用され得る。本発明で使用される例示的な抗原には、ウイルス表面タンパク質などのウイルス抗原;タンパク質及び/または糖類抗原などの細菌抗原;真菌抗原;寄生虫抗原;ならびに腫瘍抗原が含まれる。本発明は、インフルエンザウイルス、HIV、鉤虫、B型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、サイトメガロウイルス、Staphylococcus aureus、クラミジア、SARSコロナウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Neisseria meningitidis、Mycobacterium tuberculosis、Bacillus anthracis、エプスタインバーウイルス、ヒトパピローマウイルスなどに対するワクチンにとって特に有用である。本発明で使用されるさらなる抗原には、糖タンパク質抗原及びリポグリカン抗原、古細菌抗原、メラノーマ抗原E(MAGE)、癌胎児抗原(CEA)、MUC−1、HER2、シアリル−Tn(STn)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、CA−125、前立腺特異抗原(PSA)、エプスタインバーウイルス抗原、ネオ抗原、腫瘍性タンパク質、アミロイドベータ、Tau、PCSK9ならびに習慣性物質、例えば、ニコチン、アルコール、アヘン剤が含まれる。
本発明で使用される好ましい抗原には、病原体抗原及び腫瘍抗原が含まれる。抗原は、病原体による感染から保護したり、腫瘍を攻撃したりするのに有効な、抗原に特異的な免疫応答を誘発する。抗原は、例えば、ペプチドまたは多糖であり得る。
本発明はまた、患者の免疫応答を高めるための薬物の製造における、(i)抗原の水性調製物、及び(ii)B.breve種の細菌株を含む組成物の使用を提供する。好ましくは、細菌株は、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型である。
これらの方法及び使用によって高められる免疫応答には、概して、抗体応答、好ましくは防御抗体応答が含まれる。
いくつかの実施形態では、Bifidobacterium breve種の細菌株は、抗原を提示するように操作されている。本発明の細菌株上に抗原を提示することにより、その免疫刺激活性が最大化し、抗原に対して発生する防御免疫応答がさらに増強され得る。さらに、抗原と本発明の細菌とを含む治療薬を製造及び投与することは、抗原及び細菌株を含む組成物の各々を別々に製造及び投与する場合よりも、この方法でより効率的かつ有効となり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物であって、この細菌が、例えばその細胞表面に抗原を提示する組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗原を提示する細菌株を含む組成物は、ワクチン抗原として使用するためのものである。いくつかの実施形態では、抗原は、HIV、鉤虫、B型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、サイトメガロウイルス、Staphylococcus aureus、クラミジア、SARSコロナウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Neisseria meningitidis、Mycobacterium tuberculosis、Bacillus anthracis、エプスタインバーウイルスまたはヒトパピローマウイルスに由来する。いくつかの実施形態では、抗原は、糖タンパク質抗原、リポグリカン抗原、古細菌抗原、メラノーマ抗原E(MAGE)、癌胎児抗原(CEA)、MUC−1、HER2、シアリル−Tn(STn)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、CA−125、前立腺特異抗原(PSA)、エプスタインバーウイルス抗原、ネオ抗原、腫瘍性タンパク質、アミロイドベータ、Tau、PCSK9またはアルコール、アヘン剤などのような習慣性物質である。
いくつかの実施形態では、本発明の細菌は、1または2以上の抗原を発現する。概して、抗原は組換えにより発現され、本発明の細菌に対して異種である。したがって、本発明は、異種抗原を発現するBifidobacterium breve種の細菌株を提供する。抗原は、細菌に対して同種の1または2以上のポリペプチドとともに発現される融合ポリペプチドの一部であり得る。いくつかの実施形態では、細菌は、非融合ポリペプチドとして抗原を発現する。いくつかの実施形態では、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株の細胞を含む組成物を提供し、この細胞は異種抗原を発現する。いくつかの実施形態では、組成物は、ワクチンとして使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本発明は、Bifidobacterium breve種の細菌株の細胞を提供し、この細胞は異種抗原を発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、ワクチンとして使用するためのものである。
本発明で使用される例示的な抗原には、ウイルス表面タンパク質などのウイルス抗原;タンパク質及び/または糖類抗原などの細菌抗原;真菌抗原;寄生虫抗原;ならびに腫瘍抗原が含まれる。Bifidobacterium breve種の細菌株において発現させるためのさらなる抗原には、糖タンパク質及びリポグリカン抗原、古細菌抗原、メラノーマ抗原E(MAGE)、癌胎児抗原(CEA)、MUC−1、HER2、シアリル−Tn(STn)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、ウィルムス腫瘍遺伝子(WT1)、CA−125、前立腺特異抗原(PSA)、エプスタインバーウイルス抗原、ネオ抗原、腫瘍性タンパク質、アミロイドベータ、Tau、PCSK9、ならびに習慣性物質、例えばニコチン、アルコール、アヘン剤などが含まれる。
本発明はまた、アルツハイマー病及び他の神経変性障害などの非感染性疾患に対するワクチンへの応答を増強するのに有用であり得、この場合、本発明で使用する抗原はアミロイドベータまたはTauであり得る。非感染性疾患に対する他のそのような抗原としては、PCSK9(コレステロール上昇の処置用)が挙げられる。
本発明はまた、習慣性物質、例えばニコチン、アルコール、またはアヘン剤に対するワクチンへの応答を増強するのに有用であり得る。
実施例により、本発明の組成物が抗菌活性を有することが示されている。したがって、本発明の組成物は、細菌感染症、特にグラム陰性菌感染症に対するワクチンにおける使用に特に有効であり得る。本発明の組成物は、細菌感染に対して抗菌作用を発揮する一方で、免疫系を刺激して感染に対処することもできる。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌感染症を処置し将来の細菌感染症を予防している。
細胞療法
キメラ抗原受容体T細胞(CAR−T)療法
実施例は、本発明の組成物の投与が、TLR2の活性化の増大をもたらし得ることも示す。TLR2刺激はCAR−T療法の効力を増強する[41]。したがって、本発明の組成物は、細胞療法、特にCAR−T細胞療法において有用であり得る。一実施形態において、本発明の組成物は、細胞療法で使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、CAR−T細胞療法で使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、慢性リンパ球性白血病の処置に使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
実施例は、本発明の組成物の投与が、NFκBの活性化の増大をもたらし得ることも示す。NFκBの活性化はCAR−T療法の効力を向上させる[42]。したがって、本発明の組成物は、細胞療法、特にCAR−T細胞療法において有用であり得る。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、CAR−T療法の際にT細胞養子移入前に患者に投与される。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、CAR−T療法の際にT細胞養子移入後に患者に投与される。
したがって、本発明の組成物は、細胞療法において、特に細胞療法に対する応答を増強するのに有用であり得る。
間葉系幹細胞(MSC)療法
間葉系幹細胞(MSC)療法には免疫刺激特性があることが報告されている。MSCをLPSで処理すると、炎症性サイトカインのIL−8が上方制御され、B細胞増殖の増大がもたらされる[43]。したがって、本発明の組成物がB細胞増殖の発現を増大させることが示されたため、本組成物はMSC細胞療法との組み合わせにおいて有用であり得る。
幹細胞移植療法
幹細胞移植療法において未分化幹細胞を使用する代わりに、移植前に幹細胞をある程度まで分化させることが有益であり得ることが報告されている。例えば、Hengら[44]は、幹細胞の心筋形成分化が、より高い生着効率、筋細胞の再生の増強、及び心臓機能の回復の向上を伴うことにより、有益であり得ることを報告した。また、研究により、特定の共生細菌株によるGIコロニー形成が、同種造血細胞移植後の生存率を改善できることが示されている[45]。本発明の組成物の投与により細胞が刺激されたため、本発明の組成物は、幹細胞移植療法における幹細胞分化に有用であり得る。
免疫老化
Fulopら[46]は、Treg細胞数の増大及びB細胞数の減少が適応免疫系の老化に関連していることを特定した。したがって、本発明の組成物は、免疫老化を予防または遅延させるために使用され得る。一実施形態において、本発明の組成物は、免疫老化の予防に使用するためのものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、Treg細胞数の増大を特徴とする免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、B細胞数の減少を特徴とする免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、Treg細胞数の増大及びB細胞数の減少を特徴とする免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、Treg細胞数を減少させることにより、免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、B細胞数を増大させることにより、免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、Treg細胞数を減少させ、B細胞数を増大させることにより、免疫老化を遅延させるのに使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、免疫老化に起因する疾患の処置に使用するためのものである。一実施形態において、本発明の組成物は、免疫老化を遅延させること及び/または予防することにより、老化関連疾患の処置に使用するためのものである。好ましくは、本発明は、そのような使用のいずれかのための、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株またはその派生体もしくは生物型を含む組成物を提供する。
さらに、ワクチンアジュバントが免疫老化を克服し得ることが提唱されている[47]。本発明の組成物はワクチンアジュバントとして使用するのに好適であるため、本発明の組成物は、免疫老化を予防または遅延させるのに有用であり得る。別の実施形態では、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして免疫老化を遅延させること及び/または予防することに使用するためのものである。別の実施形態では、本発明の組成物は、ワクチンアジュバントとして使用するためのものであり、本組成物は、免疫老化を遅延させ、及び/または予防する。
免疫老化に関連する疾患としては、循環器疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの神経変性疾患、がん、真性糖尿病2型[48]、ならびに自己免疫障害[49]が挙げられる。
免疫老化に罹患している対象は、細菌感染症にかかりやすい恐れがある。実施例は、本発明の組成物が抗菌活性を有することを示す。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、免疫老化を示す患者、例えば、高齢患者、または50歳、55歳、60歳、65歳、70歳または75歳を超える患者における細菌感染症の処置または予防に使用するためのものである。
細菌感染症の処置及び予防
実施例により、B.breve、特に本発明のB.breve菌株が、強力な抗菌活性を有することが示されている。したがって、ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、細菌感染症の処置または予防に使用するためのものである。
好ましい実施形態では、感染症は、胃腸感染症である。B.breve菌株、特に、本発明のB.breve菌株は、消化管に投与されたときに強力な効果を有することが示されている(実施例及びWO2016/2032を参照されたい)。好ましい実施形態では、感染症は、グラム陰性菌感染症である。特に好ましい実施形態では、感染症は、Helicobacter pylori、Salmonella enteritidis、Salmonella typhiまたはE.coli感染症などのグラム陰性胃腸感染症である。概して、細菌感染症は病原性細菌感染症である。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、胃腸のE.coli感染症の処置または予防に使用するためのものである。さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、胃腸のS.enterica感染症の処置または予防に使用するためのものである。
いくつかの実施形態では、細菌感染症は、Escherichia、Klebsiella、Salmonella及びBacillusからなるリストから選択される属の細菌感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、E.coli感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Klebsiella pneumoniae感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、S.Typhimurium感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、B.subtilis感染症である。本発明の組成物は、これらの細菌に対して強力な抗菌活性を有することが示されている。
いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Pseudomonas aeruginosa感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Neisseria gonorrhoeae感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Chlamydia trachomatis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Yersinia pestis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Neisseria meningitidis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Moraxella catarrhalis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Haemophilus influenzae感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Legionella pneumophila感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Pseudomonas aeruginosa感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Proteus mirabilis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Enterobacter cloacae感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Serratia marcescens感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Helicobacter pylori感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Salmonella Enteritidis感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Salmonella Typhi感染症である。いくつかの実施形態では、処置または予防の対象の細菌感染症は、Salmonella Paratyphi感染症である。これらの細菌はグラム陰性であるため、実施例に示すように、本発明の組成物に対して感受性が高い可能性がある。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、細菌感染症の処置において細菌の生存率を低減させるのに使用するためのものである。本発明の細菌を使用して、病原性細菌のレベルを無症候性レベルに回復させるかまたは病原性細菌を対象から完全に排除することにより、細菌レベルの上昇に関連する症状を緩和することに加えて、細菌感染症を処置することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、細菌感染症の予防の処置において、細菌の増殖を阻害するのに使用するためのものである。換言すれば、組成物は、感染を引き起こす細菌に対して細胞増殖阻害活性を有し得る。
ある特定の実施形態において、組成物は、再発性感染症の発症を遅延させるか、または再発性感染症を予防する。ある特定の実施形態において、処置される対象は、細菌の無症候性キャリアであるなど、細菌感染症を発症するリスクがある。他の実施形態では、本発明の組成物は、細菌感染症の症状を示す患者を処置するのに使用するためのものである。
好ましくは、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、ラフィノースを発酵させることができる。
好ましくは、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、β−グルコシダーゼの中間の発酵もしくはα−アラビノースの中間の発酵を示し、またはより好ましくは、β−グルコシダーゼの中間の発酵及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験3のいずれも有用な活性を有し、いずれもβ−グルコシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示すことが示されている。
好ましくは、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さない。細菌は、N−アセチル−β−グルコサミニダーゼの中間の発酵のみを示すか、またはN−アセチル−β−グルコサミニダーゼの発酵を示さない可能性がある。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験2のいずれも有用な活性を有し、いずれもN−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さないことが示されている。
好ましくは、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、α−ガラクトシダーゼの中間の発酵もしくはα−アラビノースの中間の発酵を示し、またはより好ましくは、α−ガラクトシダーゼの中間の発酵及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株MRX004及び試験8のいずれも有用な活性を有し、いずれもα−ガラクトシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示すことが示されている。
代替的な実施形態では、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、セリンアリルアミダーゼを発酵させるが、ロイシルグリシンアリルアミダーゼ及びアラニンアリルアミダーゼを発酵させない。実施例により、B.breve菌株試験11及び試験12のいずれも有用な活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼを発酵させるが、ロイシルグリシンアリルアミダーゼ及びアラニンアリルアミダーゼを発酵させないことが示されている。
代替的な実施形態では、細菌感染症を処置または予防するために本発明において使用される細菌は、例えば、適切な懸濁培地(API懸濁培地など)で37℃で4時間培養された場合に、及び例えば、Rapid ID 32A分析に供された場合に、セリンアリルアミダーゼの中間の発酵を示す。実施例により、B.breve菌株試験3及び試験7のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼの中間の発酵を示すことが示されている。
当技術分野において既知の任意の適切なアッセイを使用して、炭水化物源またはアミノ酸を発酵させる細菌の能力を評価することができる。好ましくは、Rapid ID 32A分析を使用する(bioMerieuxのRapid ID 32A系を使用することが好ましい)。
投与形態
好ましくは、本発明の組成物は、本発明の細菌株の腸への送達及び/または腸における部分的もしくは全体的なコロニー形成を可能にするために、消化管に投与するように製剤化される。いくつかの実施形態では、「腸の完全なコロニー形成」という用語は、細菌が腸のすべての部分(すなわち、小腸、大腸及び直腸)にコロニー形成したことを意味する。本発明のさらなる実施形態では、「完全コロニー形成」または「部分コロニー形成」という用語はそれぞれ、細菌が永続的または一時的に腸内に保持されることを意味する。一般的には本発明の組成物を経口投与するが、直腸内、鼻腔内、または頬側もしくは舌下経路を介して投与してもよい。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、泡状物、スプレーまたはゲルとして投与してもよい。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物を、例えばカカオ脂(カカオバター)、合成硬脂肪(例えば、suppocire、witepsol)、グリセロゼラチン、ポリエチレングリコール、またはセッケングリセリン組成物の形態で、肛門坐剤などの坐剤として投与してもよい。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、経鼻胃管、経口胃管、胃管、空腸瘻管(Jチューブ)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)などの管、または胃、空腸、及び他の好適なアクセスポートへのアクセスを提供する胸壁ポートなどのポートを介して、消化管に投与される。
本発明の組成物を、1回投与してもよく、または処置レジメンの一部として連続的に投与してもよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物を毎日(1回または複数回のいずれか)投与する。
本発明のある特定の実施形態において、本発明に係る処置は、患者の腸内細菌叢の評価を伴う。本発明の菌株の送達及び/または部分的もしくは全体的なコロニー形成が達成されず、効力が観察されなければ処置を繰り返してもよく、または送達及び/または部分的もしくは全体的なコロニー形成が成功して効力が観察されれば処置を中止してもよい。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、子宮内の子供及び/または出産後の子供に疾患が発生する可能性を減少させるために妊娠中の動物、例えばヒトなどの哺乳動物に投与されてもよい。
本発明の組成物は、免疫活性の低減によって媒介される疾患もしくは状態を有すると診断されている患者、または免疫活性の低減によって媒介される疾患もしくは状態のリスクがあると特定された患者に投与されてもよい。本組成物はまた、健康な患者における免疫活性の低減によって媒介される疾患または状態の発生を予防するための予防手段として投与されてもよい。
本発明の組成物は、免疫活性欠乏と診断された患者、または免疫活性欠乏のリスクがあると特定された患者に投与されてもよい。例えば、患者において、B.breveのコロニー形成が低減しているか、またはコロニー形成されていない場合がある。
本発明の組成物は、食品、例えば栄養補助剤として投与されてもよい。
概して、本発明の組成物はヒトの処置のためのものであるが、家禽、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、またはウサギなどの単胃哺乳動物を含む動物を処置するのに使用してもよい。本発明の組成物は、動物の成長及び能力の増強に有用であり得る。動物に投与する場合は、強制経口投与を使用してもよい。
組成物
本発明の組成物は、概して、細菌を含む。本発明の好ましい実施形態では、組成物は凍結乾燥形態で製剤化される。例えば、本発明の組成物は、本発明の細菌株を含む顆粒剤またはゼラチンカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルを含み得る。
好ましくは、本発明の組成物は、凍結乾燥細菌を含む。細菌の凍結乾燥は十分に確立された手順であり、関連する指針を、例えば参考文献[50、52]で入手することができる。実施例により、凍結乾燥組成物が特に有効であることが示されている。
あるいは、本発明の組成物は、生菌の活性な細菌培養物を含み得る。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、腸への細菌株の送達を可能にするようにカプセル封入されている。カプセル封入は、例えば、圧力、酵素活性、またはpHの変化によって誘発され得る物理的崩壊などの化学的または物理的な刺激による破裂によって標的部位に送達されるまで、組成物を分解から保護する。任意の適切なカプセル封入方法を使用してよい。例示的なカプセル封入技術には、多孔性マトリックスへの封入、固体担体表面への結合または吸着、凝結または架橋剤による自己凝集、及び微孔性膜またはマイクロカプセルへの機械的封じ込めが含まれる。本発明の組成物を調製するために有用であり得るカプセル化の指針は、例えば参考文献[53]及び[54]で入手することができる。
組成物は経口投与されてもよく、錠剤、カプセル、または粉末の形態であってもよい。B.breveは嫌気性菌であるため、カプセル封入された製品が好ましい。インビボの送達及び/または部分的もしくは全体的なコロニー形成及び生存率を向上させるための脱酸素剤及びプレバイオティクス基質として、他の成分(例えばビタミンCなど)を含めてもよい。あるいは、本発明のプロバイオティクス組成物は、食品もしくは栄養製品、例えば乳ベースもしくは乳清ベースの発酵乳製品、または医薬品として経口投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、加水分解された乳牛の乳清を含まない。
本発明の組成物は、治療有効量の本発明の細菌株を含む。細菌株の治療有効量は、患者に有益な効果を及ぼすのに十分である。細菌株の治療有効量は、患者の腸への送達及び/または部分的もしくは全体的なコロニー形成をもたらすのに十分であり得る。
例えば成人のヒトに対する細菌の好適な1日用量は、約1×10〜約1×1011コロニー形成単位(CFU)、例えば、約1×10〜約1×1010CFUであってもよく、別の例では、約1×10〜約1×1010CFUであってもよく、別の例では、約1×10〜約1×1011CFUであってもよく、別の例では、約1×10〜約1×1010CFUであってもよく、別の例では、約1×10〜約1×1011CFUであってもよい。
ある特定の実施形態において、細菌の用量は、少なくとも1日当たり10細胞、例えば、少なくとも1日当たり1010細胞、少なくとも1日当たり1011細胞、または少なくとも1日当たり1012細胞である。
ある特定の実施形態において、組成物は、組成物の重量に対して、約1×10〜約1×1011CFU/g、例えば、約1×10〜約1×1010CFU/gの量の細菌株を含有する。用量は、例えば、1g、3g、5g、及び10gであり得る。
組成物の1用量は、組成物の重量に対して、約1×10〜約1×1011コロニー形成単位(CFU)/gの細菌株を含み得る。用量は成人に適し得る。例えば、組成物は、約1×10〜約1×1011CFU/g、例えば、約1×10〜約1×1010CFU/gの細菌株を含むことができ、別の例では、約1×10〜約1×1010CFU/gの細菌株を含むことができ、別の例では、約1×10〜約1×1011CFU/gの細菌株を含むことができ、別の例では、約1×10〜約1×1010CFU/gの細菌株を含むことができ、別の例では、約1×10〜約1×1011CFU/gの細菌株を含むことができる。用量は、例えば、1g、3g、5g、及び10gであり得る。
ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株の量が、組成物の重量1グラム当たり約1×10〜約1×1011コロニー形成単位である、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、上記の医薬組成物を提供し、この組成物は、500mg〜1000mg、600mg〜900mg、700mg〜800mg、500mg〜750mgまたは750mg〜1000mgの用量で投与される。ある特定の実施形態において、本発明は、上記の医薬組成物を提供し、この医薬組成物中の凍結乾燥細菌は、500mg〜1000mg、600mg〜900mg、700mg〜800mg、500mg〜750mgまたは750mg〜1000mgの用量で投与される。
組成物は、プロバイオティクスとして製剤化されてもよい。プロバイオティクスは、適切な量で投与された場合に宿主に健康上のベネフィットをもたらす生きた微生物として、FAO/WHOによって定義されている。
典型的には、本発明の組成物などのプロバイオティクスを、少なくとも1つの好適なプレバイオティクス化合物と任意で組み合わせる。プレバイオティクス化合物は通常、オリゴ糖もしくは多糖、または糖アルコールなどの非消化性炭水化物であり、これは上部消化管において分解または吸収されない。既知のプレバイオティクスには、市販の製品、例えばイヌリン及びトランスガラクトオリゴ糖が含まれる。
ある特定の実施形態において、本発明のプロバイオティクス組成物は、プレバイオティクス化合物を、組成物の全重量に対して約1〜約30重量%(例えば、5〜20重量%)の量で含む。炭水化物は、フラクトオリゴ糖(またはFOS)、短鎖フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖(またはXOS)、キトサンオリゴ糖(またはCOS)、ベータグルカン、アレイブル(arable)ゴム修飾耐性デンプン、ポリデキストロース、D−タガトース、アカシアファイバー、イナゴマメ、オート麦、及びシトラスファイバーからなる群から選択され得る。一態様では、プレバイオティクスは、短鎖フラクトオリゴ糖(簡単にするために、本明細書において以降FOSs−c.cと示す)であり、前記FOSs−c.cは、消化可能な炭水化物ではなく、概してビートシュガーの転換によって得られ、3つのグルコース分子が結合しているサッカロース分子を含む。
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体を含み得る。そのような好適な賦形剤の例は、参考文献[55]に見出すことができる。治療用途に許容される担体または希釈剤は製薬分野において周知であり、例えば参考文献[56]に記載されている。好適な担体の例としては、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例としては、エタノール、グリセロール、及び水が挙げられる。薬学的担体、賦形剤、または希釈剤の選択は、意図される投与経路及び標準的な薬務との関連で選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤、もしくは希釈剤として、またはそれに加えて、任意の好適な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含み得る。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、流動性ラクトース、ベータ−ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然及び合成のガム、例えばアカシア、トラガントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ならびにポリエチレングリコールが挙げられる。好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。保存剤、安定剤、色素、及びさらには香味料を医薬組成物中に供給してもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤及び懸濁剤を使用してもよい。
本発明の組成物は、食品として製剤化されてもよい。例えば、食品は、栄養補助剤などにおいて、本発明の治療効果に加えて栄養上のベネフィットを提供し得る。同様に、本発明の組成物の味を向上させるために、または医薬組成物ではなく一般的な食品により類似させることによって組成物の消費をより誘引するために、食品を製剤化してもよい。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は乳ベースの製品として製剤化される。「乳ベースの製品」という用語は、多様な脂肪含有量を有する任意の液体または半固体の乳ベースまたは乳清ベースの製品を意味する。乳ベースの製品は、例えば牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、スキムミルク、全乳、粉乳から還元した乳、及び加工していない乳清、または加工製品、例えばヨーグルト、凝固乳、カード、サワーミルク、サワー全乳、バターミルク、及び他のサワーミルク製品であり得る。別の重要な群としては、乳飲料、例えば乳清飲料、発酵乳、コンデンスミルク、幼児用または乳児用ミルク;フレーバーミルク、アイスクリーム;ミルク含有食品、例えばスイーツが挙げられる。
ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一の細菌株または種を含有し、他のいかなる細菌株または種も含有しない。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一の細菌種を含有し、他のいかなる細菌種も含有しない。ある特定の実施形態において、本発明の組成物は、単一の細菌株を含有し、他のいかなる細菌株も含有しない。例えば、本発明の組成物は、Bifidobacterium breve種の細菌のみを含み得る。そのような組成物は、ごく微量のまたは生物学的に無関係な量のみの他の細菌株または種を含んでもよい。そのような組成物は、他の種の生物を実質的に含まない培養物であってもよい。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、他の種の生物を実質的に含まない凍結乾燥物であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、2以上の細菌株または種を含有する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ種に由来する2以上の菌株(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45を超える菌株)を含み、任意選択で、いずれかの他の種に由来する細菌を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ種に由来する50未満の菌株(例えば45、40、35、30、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、または3未満の菌株)を含み、任意選択で、いずれかの他の種に由来する細菌を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ種に由来する1〜40、1〜30、1〜20、1〜19、1〜18、1〜15、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜50、2〜40、2〜30、2〜20、2〜15、2〜10、2〜5、6〜30、6〜15、16〜25、または31〜50の菌株を含み、任意選択で、いずれかの他の種に由来する細菌を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ属に由来する2以上の種(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20、23、25、30、35、または40を超える種)を含み、任意選択で、いずれかの他の属に由来する細菌を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ属に由来する50未満の種(例えば50、45、40、35、30、25、20、15、12、10、8、7、6、5、4、または3未満の種)を含み、任意選択で、いずれかの他の属に由来する細菌を含まない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ属に由来する1〜50、1〜40、1〜30、1〜20、1〜15、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜50、2〜40、2〜30、2〜20、2〜15、2〜10、2〜5、6〜30、6〜15、16〜25、または31〜50の種を含み、任意選択で、いずれかの他の属に由来する細菌を含まない。本発明は、前述の任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は微生物コンソーシアムを含む。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、微生物コンソーシアムの一部としてBifidobacterium breve細菌株を含む。例えば、いくつかの実施形態では、Bifidobacterium breve細菌株は、1または2以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、10、15または20)のBlautia属及び/または他の属に由来する他の細菌株と組み合わせて存在し、インビボの腸内で、それとともに共生的に生存することができる。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、異なる属に由来する細菌株と組み合わせたBifidobacterium breveの細菌株を含む。別の例では、組成物は、Bifidobacterium属に由来する細菌株と組み合わせたBifidobacterium breveの細菌株を含むか、または組成物は、Bifidobacterium属に由来する細菌株及び異なる属に由来する細菌株と組み合わせたBifidobacterium breveの細菌株を含む。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアムは、単一の生物、例えばヒトの糞便試料から得られた2または3以上の細菌株を含む。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアムは、自然界では一緒に見出されない。例えば、いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアムは、少なくとも2つの異なる生物の糞便試料から得られた細菌株を含む。いくつかの実施形態では、2つの異なる生物は、同じ種、例えば、2名の異なるヒトに由来する。いくつかの実施形態では、2つの異なる生物は、乳児ヒト及び成人ヒトである。いくつかの実施形態では、2つの異なる生物は、ヒト及び非ヒト哺乳動物である。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託されたBifidobacterium breve菌株と同じ安全性及び治療効力特性を有するが、アクセッション番号NCIMB 42380で寄託されたBifidobacterium breve菌株ではない細菌株をさらに含む。
本発明の組成物が2以上の細菌株、種または属を含むいくつかの実施形態では、それぞれの細菌株、種または属は、別々の投与、同時投与または逐次投与用であり得る。例えば、組成物に2以上の細菌株、種もしくは属のすべてを含めてもよく、または細菌株、種もしくは属を別々に保管し、それらを別々に投与、同時投与もしくは逐次投与してもよい。いくつかの実施形態では、2以上の細菌株、種または属を別々に保管するが、使用前に一緒に混合する。
いくつかの実施形態では、本発明に使用するための細菌株を、成人ヒトの糞便から得る。本発明の組成物が2以上の細菌株を含むいくつかの実施形態では、すべての細菌株を成人ヒトの糞便から得るか、または他の細菌株が存在する場合は、それらはごく微量でのみ存在する。細菌は、成人ヒトの糞便から得た後に培養され、本発明の組成物に使用されている可能性がある。
いくつかの実施形態では、1または2以上のBifidobacterium breve細菌株は、本発明の組成物中の唯一の治療的に活性な作用物質(複数可)である。いくつかの実施形態では、組成物中の細菌株(複数可)は、本発明の組成物中の唯一の治療的に活性な作用物質(複数可)である。
本発明に従って使用するための組成物は、販売承認を必要とする場合と必要としない場合がある。
ある特定の実施形態において、本発明は、前記細菌株が凍結乾燥されている、上記の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、前記細菌株が噴霧乾燥されている、上記の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が凍結乾燥または噴霧乾燥されており、生存している、上記の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が凍結乾燥または噴霧乾燥されており、生存可能である、上記の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が凍結乾燥または噴霧乾燥されており、腸に部分的または完全にコロニー形成することができる、上記の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株が凍結乾燥または噴霧乾燥されており、生存可能であり、腸に部分的または完全にコロニー形成することができる、上記の医薬組成物を提供する。
場合によっては、凍結乾燥または噴霧乾燥細菌株は、投与前に再調製される。場合によっては、再調製は、本明細書に記載の希釈剤の使用による。
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含み得る。
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、細菌株は、それを必要とする対象に投与されたときに障害を処置するのに十分な量で存在する。
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、細菌株は、疾患または状態を処置または予防するのに十分な量で存在する。
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、細菌株は、疾患または状態を処置または予防するのに十分な量で存在する。
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、細菌株は、疾患または状態を処置または予防するのに十分な量で存在する。
ある特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供し、ここで、細菌株は、免疫応答の低減によって媒介される疾患または状態を処置または予防するのに十分な量で存在する。
ある特定の実施形態において、本発明は、細菌株の量が、組成物の重量1グラム当たり約1×10〜約1×1011コロニー形成単位である、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、組成物が1g、3g、5g、または10gの用量で投与される、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、組成物が経口、直腸内、皮下、経鼻、頬側、及び舌下からなる群から選択される方法で投与される、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール及びソルビトールからなる群から選択される担体を含む、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、エタノール、グリセロール、及び水からなる群から選択される希釈剤を含む、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、流動性ラクトース、ベータ−ラクトース、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムからなる群から選択される賦形剤を含む、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、保存剤、抗酸化剤、及び安定剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルからなる群から選択される保存剤を含む、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、前記細菌株が凍結乾燥されている、上記の医薬組成物を提供する。
ある特定の実施形態において、本発明は、上記の医薬組成物であって、約4℃または約25℃の密封容器に組成物を保管し、容器を相対湿度50%の雰囲気に置いた場合、少なくとも約1か月、3か月、6か月、1年、1.5年、2年、2.5年、または3年の期間が経過した後に、コロニー形成単位で測定した細菌株の少なくとも80%が残る、医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載される組成物を含む密封容器で提供される。いくつかの実施形態では、密封容器は小袋またはボトルである。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載される組成物を含むシリンジで提供される。
本発明の組成物は、いくつかの実施形態では、医薬製剤として提供されてもよい。例えば、本組成物は、錠剤またはカプセルとして提供され得る。いくつかの実施形態では、カプセルはゼラチンカプセル(「ゲルキャップ」)である。カプセルは、硬カプセルまたは軟カプセルであってよい。いくつかの実施形態では、製剤は軟カプセルである。軟カプセルは、カプセルシェルに存在する、例えばグリセロール、ソルビトール、マルチトール、及びポリエチレングリコールなどの軟化剤の添加により、一定の弾性及び柔軟性を有し得るカプセルである。軟カプセルは、例えば、ゼラチンまたはデンプンをベースとして生成することができる。ゼラチンベースの軟カプセルは、様々な供給元から市販されている。例えば、経口または直腸内などの投与方法に応じて、軟カプセルは様々な形状を有することができ、例えば、円形、楕円形、長方形、または魚雷型であってよい。軟カプセルは、例えば、Schererプロセス、Accogelプロセスまたは液滴もしくは発泡プロセスなどの従来のプロセスによって生成することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は経口投与される。経口投与は、化合物が消化管に入るように、嚥下を伴うものであり得る。
経口投与に好適な医薬製剤としては、固体プラグ(solid plug)、固体微粒子、半固体及び液体(多相または分散系を含む)、例えば錠剤;複合粒子もしくはナノ粒子、液体(例えば水溶液)、エマルション、または粉末を含む軟カプセルもしくは硬カプセル;ロゼンジ(液体充填型を含む);咀嚼剤;ゲル;迅速分散剤形;フィルム;オビュール(ovule);スプレー;ならびに頬側/粘膜付着性パッチが挙げられる。
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、腸溶性製剤、すなわち本発明の組成物を経口投与によって腸に送達するのに好適な胃耐性製剤(例えば、胃のpHに耐性がある)である。腸溶性製剤は、細菌または組成物の別の成分が酸感受性である場合、例えば胃条件下で分解されやすい場合に特に有用であり得る。
いくつかの実施形態では、腸溶性製剤は腸溶コーティングを含む。いくつかの実施形態では、製剤は腸溶コーティングされた剤形である。例えば、製剤は、腸溶コーティングされた錠剤または腸溶コーティングされたカプセルなどであり得る。腸溶コーティングは、従来の腸溶コーティング、例えば、経口送達用の錠剤、カプセルなどのための従来のコーティングであってよい。製剤は、フィルムコーティング、例えば、腸溶性ポリマー、例えば酸不溶性ポリマーの薄膜層を含み得る。
いくつかの実施形態では、腸溶性製剤は、腸溶コーティングを必要とせずに、本質的に腸溶性、例えば、胃耐性である。したがって、いくつかの実施形態では、製剤は、腸溶コーティングを含まない腸溶性製剤である。いくつかの実施形態では、製剤は、熱ゲル化材料から作製されたカプセルである。いくつかの実施形態では、熱ゲル化材料は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース材料である。いくつかの実施形態では、カプセルは、いかなるフィルム形成ポリマーも含まないシェルを含む。いくつかの実施形態では、カプセルはシェルを含み、シェルはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、いかなるフィルム形成ポリマーも含まない(例えば[57]を参照されたい)。いくつかの実施形態では、製剤は、本質的に腸溶性のカプセル(例えば、CapsugelのVcaps(登録商標))である。
培養方法
本発明に使用するための細菌株は、例えば、参考文献[58〜60]に詳述されている標準的な微生物学的技術を使用して培養することができる。
培養に使用する固体または液体培地は、YCFA寒天培地またはYCFA培地であってもよい。YCFA培地は、(100ml当たり、概算値)カシトン(1.0g)、酵母抽出物(0.25g)、NaHCO(0.4g)、システイン(0.1g)、KHPO(0.045g)、KHPO(0.045g)、NaCl(0.09g)、(NHSO(0.09g)、MgSO・7HO(0.009g)、CaCl(0.009g)、レサズリン(0.1mg)、ヘミン(1mg)、ビオチン(1μg)、コバラミン(1μg)、p−アミノ安息香酸(3μg)、葉酸(5μg)、及びピリドキサミン(15μg)を含み得る。
ワクチン組成物に使用するための細菌株
本発明者らは、本発明の細菌株が免疫活性の低減に関連する疾患または状態の処置または予防に有用であることを明らかにした。これは、本発明の細菌株が宿主免疫系に対して有する効果の結果である可能性が高い。したがって、本発明の組成物は、ワクチン組成物として投与された場合に、疾患または状態を予防するのに有用であり得る。そのようなある特定の実施形態において、本発明の細菌株は、死滅、不活化または弱毒化され得る。そのような特定の実施形態において、組成物は、ワクチンアジュバントを含み得る。ある特定の実施形態において、組成物は、注射によって、例えば皮下注射によって投与されるためのものである。
概説
本発明の実践には、特記なき限り、当業者が備えている技能の範囲内にある化学、生化学、分子生物学、免疫学、及び薬理学の従来の方法が用いられる。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、参考文献[61]及び[62、68]などを参照されたい。
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含する。例えば、X「を含む」組成物は、Xのみからなる場合もあれば、何らかの追加要素を含む、例えばX+Yである場合もある。
数値xに関する「約」という用語は任意であり、例えば、x±10%を意味する。
「実質的に」という用語は「完全に」を除外しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、「実質的に」という用語は本発明の定義から省略されてもよい。
2つのヌクレオチド配列間の配列同一性パーセンテージへの言及は、アライメントしたとき、そのパーセンテージのヌクレオチドが2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアライメント及び相同性または配列同一性のパーセントは、当技術分野で既知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献[69]のセクション7.7.18に記載されているものを使用して決定することができる。好ましいアライメントは、ギャップオープンペナルティが12、ギャップ延長ペナルティが2、BLOSUM行列が62のアフィンギャップ検索を使用したSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献[70]に開示されている。
特に明記しない限り、多数のステップを含むプロセスまたは方法は、方法の最初もしくは最後に追加のステップを含んでもよく、または途中に追加のステップを含んでもよい。また、必要に応じて、ステップを組み合わせたり、省略したり、または代替的な順序で行ったりしてもよい。
本明細書では、本発明の様々な実施形態を記載している。各実施形態で規定した特徴を他の規定の特徴と組み合わせて、さらなる実施形態をもたらすことができることは理解されよう。特に、本明細書で好適、典型的、または好ましいと強調された実施形態は、互いに組み合わせることができる(それらが相互排他的である場合を除く)。
本明細書に引用されている特許及び参照文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
薬剤を患者へ投与することを含む処置方法へのあらゆる言及は、また、前記処置方法に使用するためのその薬剤、ならびに前記処置方法における薬剤の使用、及び薬物の製造における薬剤の使用を包含する。
以下の実施例は、例証目的で提示されるにすぎず、決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
実施例1
要旨
この試験の目的は、MRx0004のインビトロの免疫調節特性を特性評価することであった。さらに、ゲノミクス、トランスクリプトミクス及びプロテオミクスの組み合わせを使用して、MRx0004に対する宿主応答の媒介を担う可能性のある潜在的な主要エフェクターを同定した。
材料及び方法
細菌株、プラスミド及びプライマー
本試験において菌株を作製するために使用したすべての細菌株及びプラスミド及びプライマーを表7に示す。特に明記されていない限り、B.breve菌株を、嫌気性ワークステーション(Don Whitley Scientific,Shipley,UK)内で37℃で、酵母抽出物−カゼイン脂肪酸加水分解物(YCFA)ブロス(E&O Labs,Bonnybridge,UK)中で通常通り培養した。E.coli菌株を、Luria Bertani(LB)ブロス[71]中で37℃で攪拌しながら通常通り培養した。必要に応じて、増殖培地に、テトラサイクリン(10μg/ml)、クロラムフェニコール(E.coliの場合は10μg/ml、もしくはB.breveの場合は3μg/ml)、エリスロマイシン(E.coliの場合は100μg/ml、もしくはB.breveの場合は1μg/ml)、スペクチノマイシン(100〜300μg/ml)、またはカナマイシン(50μg/ml)を補充した(すべての抗生物質はSigma−Aldrich,Gillingham,UKからである)。pORI19またはpWSK29を含有する組換えE.coli細胞を、40μg/mlのX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)及び0.1MのIPTG(イソプロピル−β−D−ガラクトピラノシド)(いずれもSigma−Aldrichより供給)を補充したLB寒天培地上で選択した。
不死化細胞の通常培養
HT29−MTX−E12細胞(Public Health England,Salisbury,UK)を、10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)、4mMのL−グルタミン、1倍の非必須アミノ酸溶液及び1倍の抗生物質抗真菌溶液を補充した高グルコース改変ダルベッコ最小イーグル培地(DMEM)中で、通常通り培養した。細胞をアッセイ容器に播種して9日間培養後、ハンクス平衡塩類溶液で2回洗浄し、処理開始前に共培養培地(4mMのL−グルタミン、1倍の非必須アミノ酸溶液、5μg/mlのアポトランスフェリン及び200ng/mlの亜セレン酸ナトリウムを補充したDMEM)に入れた。
共培養アッセイのための細菌処理物の調製
共培養実験では、対数期に達するまで細菌を培養した。生菌細胞及び上清を遠心分離により分離後、生菌(LVと表記)をPBS(Sigma−Aldrich)で1回洗浄し、下流で使用するために適切な細胞培養培地に再懸濁させた。上清(SNと表記)を0.22μmフィルターに通し、共培養培地で適切に希釈した。熱不活化細菌(HKと表記)を、80°Cで30分間インキュベートした後、PBSで洗浄し、適切な細胞培養培地に再懸濁させることにより調製した。生存数をプレーティングにより確認した。
レポーターアッセイ
HEK−Blue(商標)−hTLR2細胞及びTHP1−Blue(商標)NF−κB細胞を90%の密度まで増殖させ、PBSで1回洗浄し、抗生物質を含まない培地にそれぞれ280,000細胞/ml及び500,000細胞/mlの密度で再懸濁させた。細菌処理物(生菌、加熱死及び上清)を100:1の感染多重度(MOI)で細胞に添加した。アッセイの陽性対照であるPamCS3K4(Invivogen)及び加熱死L.monocytogenes(HKLM)(Invivogen)をそれぞれ、10ng/mlの濃度及び200:1のMOIで使用した。陰性対照、培地及びビヒクルを、各処理に対し同等のものを提供するように調製した。次に、細胞を37℃、5%COで22時間インキュベートした。共培養からの培地をQUANTI−Blue(商標)(Invivogen)で10倍に希釈し、1時間(NFκB)または2時間(TLR2)インキュベートし、655nmでの光学濃度を記録した。
HT29−MTX細胞とのラージスケールの共培養
HT29−MTX細胞を、前述のように、直径10cmのTranswell(登録商標)(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)の上部チャンバーで培養した。細菌を後期対数期まで培養し、前述のように洗浄して再懸濁させた。細菌を100:1のMOIで細胞に添加し、共培養物を37℃、嫌気性条件で3時間インキュベートした。トランスウェルの上部チャンバーから細菌を含む培地を採取し、5000×gで5〜10分間遠心分離して、下流の用途のために細菌細胞を採取した。
細菌のqPCR分析
RNA単離のために、後期対数期及び定常増殖期のインビトロ培養物から、ならびにHT29−MTXとのラージスケールの共培養後の培養物から、細菌を採取した。製造業者の説明書(QIAGEN,Hilden,Germany)に従って、RNAProtect Bacteria Reagentを使用して細菌を採取及び保管した。細菌細胞を、リゾチーム(15mg/ml)(Sigma−Aldrich)及びプロテイナーゼK(6mAU)(QIAGEN)で37℃で30分間インキュベートすることにより溶解させ、続いて、FastPrep 24装置(6m/sで20秒間のサイクルを2回)及びLysing Matrix B(いずれもMP Biomedicals,Santa Ana,CA,USAより)を使用してホモジナイズした。RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を使用して全RNAを単離し、オンカラム消化(QIAGEN)でRNase−Free DNaseを使用して、ゲノムDNAを除去した(いずれも製造業者の説明書に従った)。Superscript IVキット(Thermo Fisher Scientific)を製造業者の説明書に従って使用して、cDNAを合成した。プライマーをPrimer3Plusソフトウェア[72]を使用して設計した。qPCR反応を製造業者の推奨に従ってPower SYBR(商標)Green PCR Master Mix(Thermo Fisher Scientific)で設定し、アッセイを7500 Fast Real−time PCR System(Thermo Fisher Scientific)にて、次のサイクル:95℃で10分間の後、95℃で15秒間、60℃で1分間を40サイクル使用して実施した。データ分析をデルタデルタCt分析を使用して実施し、試験遺伝子の発現をハウスキーパーgroELに対して正規化した。
細菌細胞の切り取り
細菌細胞を、後期対数増殖期における遠心分離によって、またはHT29−MTXとの接触後に適宜回収した(詳細については上記の共培養のセクションを参照されたい)。次に、細胞を洗浄し、50mMのTEAB緩衝液pH8.5(Sigma−Aldrich)に1/20の希釈度で再懸濁させた。細胞を、1mMのDTT(Sigma−Aldrich)を補充した50mMのTEAB緩衝液中で、シーケンスグレードの修飾トリプシン(Promega,Madison,WI,USA)と37°Cで30分間インキュベートすることによって、切り取られたタンパク質の画分を生成した。各試料について、トリプシンを含まないチューブを、シェディングされたタンパク質(シェディングされたタンパク質の画分)の対照として並行してインキュベートした。切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分を、4000×g、4°Cで15分間遠心分離して回収し、Millex−GV 0.22μm低タンパク質結合膜(Millipore)を通してシリンジ濾過した。Pierce(商標)BCA Protein Assay Kitを製造業者の説明書(Thermo Fisher Scientific)に従って使用して総タンパク質濃度を測定し、SDS−PAGE(Bio−Rad,Hercules,CA,USA)によって試料の性質を評価した。YCFA寒天培地にプレーティングすることにより、トリプシン処理の前後に生存細胞数の測定を実施した。次に、各アッセイについて、3回の生物学的反復試験からの試料をナノLC−MS/MSで分析した。
LC−MS/MSによるタンパク質の同定
簡潔に述べると、培養上清を0.5mlまで濃縮して超純水で洗浄し、ReadyPrep 2−D Cleanup Kit(Bio−Rad)を使用してタンパク質を沈降させ、50mMの炭酸水素アンモニウム100μlに再懸濁させた。次に、試料をブタトリプシン(Promega)と37℃で16時間インキュベートして、得られた上清を真空遠心分離で乾燥させ、0.1%のトリフルオロ酢酸に溶解させた。ペプチドをμ−C18 ZipTip(Merck,Keniloworth,NJ,USA)を使用してさらに脱塩し、96ウェルマイクロタイタープレートに溶出させて、真空遠心分離で乾燥させ、LC−MSローディング溶媒(2%アセトニトリル、0.1%ギ酸)10μlに溶解させた。ペプチドを、15cmのPepMapカラム、60分でのLC−MSの取得方法及び5μlの注入量を使用して、ナノLC−MS/MS(Q Exactiveハイブリッド四重極Orbitrap MSシステム)(Thermo Fisher Scientific)により分離して同定した。切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分については、50mMの炭酸水素アンモニウム70μlを、30μlの試料に直接添加した。次に、試料をブタトリプシン(Promega)と37℃で一晩インキュベートして、得られた上清を−70℃で凍結し、真空遠心分離で乾燥させ、20μLのLC−MSローディング溶媒に溶解させた。ペプチドを、25cmのPepMapカラム、60分でのLC−MSの取得方法及び2μlの注入量を使用して、ナノLC−MS/MS(Q Exactiveハイブリッド四重極Orbitrap MSシステム、Thermo Scientific)により分離して同定した。Proteome Discoverer(Thermo Fisher Scientific)を使用してデータ分析を実施した。Mascot Serverを、次のパラメータを用いて検索エンジンとして使用した:酵素=トリプシン、最大混合切断部位=2、前駆体の質量許容差=10ppm、動的修飾=酸化(M)、静的修飾=カルバミドメチル(C)。同定したペプチドを、B.breve MRx0004の配列決定したゲノム(2,047配列)に基づいて構築した菌株特異的タンパク質の配列データベースと照合した。3回の生物学的反復試験のすべてにおいて少なくとも5つのペプチドが同定された場合、タンパク質の同定は有効であるとみなされた。
B.breve MRx0004−EPSnegの補完
一次グリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子pGTF及びその推定プロモーターを包含するDNA断片を、Q5 High−Fidelity Polymerase(New England BioLabs,Herefordshire,United Kingdom)ならびにプライマー対:pGTFcompF及びpGTFcompRを使用した、B.breve MRx0004の染色体DNAからのPCR増幅により作製した。得られた断片をHinDIII及びXbaI(いずれもNew England Biolabs,Ipswich,MA,USAより)で消化して、同様に消化したpBC1.2にライゲーションした。ライゲーション混合物を電気的形質転換によりE.coli EC101に導入し、次に、形質転換体をCm耐性に基づき選択した。いくつかのCm耐性形質転換体のプラスミド含有量を、制限分析によってスクリーニングした。いくつかの組換えプラスミドにおけるクローニングされたインサートの完全性を、メチル化を促進するためにそれらをE.coli EC101 pWSK29−MRX−M+Sに導入する前に、配列決定することによって確認した。メチル化pBC1.2またはpBC1.2−pGTFを、エレクトロポレーションによってMRx0004negに形質転換し、Tet及びCmを補充した強化クロストリジウム寒天培地(RCA、Thermo Fisher Scientific)上で選択した。コロニーPCR、プラスミドDNAの制限分析を使用して形質転換体のプラスミド含有量について検査し、配列決定によって確認した。得られた菌株を、B.breve MRx0004−EPS−pBC1.2及びMRx0004−EPS−pBC1.2−pGTFと命名した。
HT29−MTX細胞からのサイトカイン分析
生菌(前述の通りに調製)を100:1のMOIで、37℃、5%COで3時間、24ウェルプレート中でHT29−MTX細胞と共インキュベートした。次に、ヒト組換えTNFα(PeproTech,Rocky Hill,NJ,USA)を10ng/mlで細胞に添加し、その後、共培養物をさらに24時間インキュベートし、続いて上清を回収して、4℃、12000×gで3分間遠心分離して細胞デブリを除去した。製造業者の推奨に従ってHuman IL−8(CXCL8)Standard ABTS ELISA Development Kit(PeproTech)を使用して、上清中のIL−8レベルを分析した。
PBMCとの共培養
健康なヒトの凍結末梢血単核細胞(PBMC)をSTEMCELL Technologies(Cambridge,UK)から購入した。細胞を解凍して、完全増殖培地(10%のFBS、2mMのL.グルタミン及び100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを含むRPMI 1640)中に37℃、5%COで一晩静置した(すべての試薬はSigma−Aldrichからである)。細菌処理物を前述の通りに調製した。共インキュベーションでは、細胞を48ウェルプレートに750,000細胞/ウェルの密度で播種し、10:1のMOIで熱不活化細菌、及び細菌上清と、ならびに対照として適切なビヒクル及び5ug/mlのPHA(Sigma−Aldrich)と、共インキュベートした。共培養物を37℃、5%COで72時間インキュベートした後、細胞を採取して、4℃、10000×gで3分間遠心分離した。無細胞上清を回収し、サイトカイン分析のために−80℃で保管した。細胞ペレットを1回洗浄し、次いで、氷上でPBSに再懸濁させた。
フローサイトメトリー
1群当たり1.5×10のPBMCとなるように処理ウェルをプールして、150ulのPBSに再懸濁させ、染色の準備がなされている96V字底プレートに移した。まず、細胞をViobility 405/520 Fixable Dye(Miltenyi Biotec Ltd. Bergisch Gladbach,Germany)で染色して、暗所で室温において10分間、生細胞と死細胞とを判別した。次に、細胞を、CD3、CD4、CD8、CD25、CD127及びCD19に対する抗体の混合物で染色して細胞の表現型を決定し(Miltenyi REA抗体)、室温でさらに10分間インキュベートした。次に、細胞を洗浄してPBSに再懸濁し、フローサイトメトリー分析によって直ちに分析した。最初の実験の際に、ゲートの設定を支援するためにすべての抗体に対してアイソタイプを使用し、すべての実験にわたりFMO対照を含めた。すべての実験は、BD FACS Aria IIを使用して実施し、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,Reading,UK)を使用して、「生(Live)」ゲート内に100,000細胞で設定した取得用のストップゲートを用いた。Flowjoバージョン10.4.2ソフトウェア(FlowJo LLC,Oregon,USA)を使用して分析を実施し、分析は、生死判定用色素で特定した生細胞に基づくものであった。
サイトカイン分析
カスタムProcartaPlexマルチプレックスイムノアッセイ(Thermo Fischer Scientific)を製造業者の推奨に従って使用して、PBMC共培養物の無細胞上清中のサイトカインの定量化を実施した。簡潔に述べると、MAGPIX(登録商標)MILLIPLEX(登録商標)システム(Merck)をxPONENTソフトウェア(Luminex,Austin,TX,USA)とともに使用して、50μlの上清を処理した。5パラメータロジスティック曲線及びバックグラウンド除去を用いた、MILLIPLEX(登録商標)analystソフトウェア(Merck)を使用してデータを分析し、平均蛍光強度(MFI)をpg/ml値に変換した。
データ分析
統計分析を、Windows用のGraphPad Prismバージョン7.00(GraphPad Software、La Jolla CA USA)を使用して実施した。一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用してデータを分析した。ベン図をInteractivenn[73]を使用して作成した。
結果
MRx0004はNFκBレポーター細胞及びTLR2レポーター細胞を刺激する
炎症誘発性転写因子NFκBの活性化に対するMRx0004の影響を、自然免疫の調節におけるその役割が不可欠であることから、THP−1−NFκBレポーター細胞株を用いて調査した。このアッセイでは、加熱死させたListeria monocytogenes(HKLM)(InvivoGen)を陽性対照として使用した。この菌株の有効画分(複数可)を同定するために、THP−1−NFκB細胞を生菌(MRx0004LV)、細菌培養上清(MRx0004SN)及び熱不活化細菌(MRx0004HK)の処理物と共インキュベートした。3種の細菌処理物はすべて、未処理細胞及び細菌増殖培地(YCFA)の陰性対照と比較してNFκBを有意に活性化させた(すべての比較でp<0.0001)(図7A)。MRx0004LVが最も有効な処理物であり、MRx0004SN及びMRx0004HKよりも有意に刺激した(両方の比較についてp<0.0001)。次に、MRx0004HKは、MRx0004SNよりも有意に活性であった(p=0.006)。
MRx0004がNFκBを活性化することが示されたため、上流の受容体であるTLR2、TLR4、TLR5及びTLR9を刺激するMRx0004の能力を調査した。予備データは、MRx0004がTLR4、TLR5及びTLR9を活性化させないことを示唆した(データは示さず)。HEK−TLR2レポーターアッセイを、陽性対照であるPam3CSK4、ならびに上記と同じMRx0004処理物及び陰性対照で処理した(図7B)。MRx0004処理物はすべて、陰性対照と比較してTLR2を刺激した(すべての比較でp<0.0001)。MRx0004LVが、MRx0004SN(p<0.0001)及びMRx0004HK(p<0.0001)と比較して最も刺激性の高い処理物であり、後者は最も有効性の低い処理物であった。これらのデータに基づいて、MRx0004は、TLR2に関連する様式で自然免疫応答を強力に刺激することができる。
MRx0004の転写プロファイリング及びプロテオミクスプロファイリングにより、潜在的な宿主応答エフェクターが明らかとなる
MRx0004における宿主応答の潜在的なエフェクターを同定するために、3つのアプローチを採用した。標的化した転写アッセイを使用して、ビフィズス菌−宿主相互作用の既知のエフェクターとしての同一性が予測される10個のMRx0004遺伝子を分析した(データは示さず)。これらには、推定アドヘシン及びムーンライティングタンパク質(oppA、エノラーゼ、トランスアルドラーゼ、tadA、eftU、プルラナーゼ([74]に広範に概説されている))をコードする遺伝子、ならびにコロニー形成及び免疫調節において役割を果たすと推定されている遺伝子(MRx0004のEPS遺伝子座[75]、luxS[76]及びセルピン[77]の一次グリコシルトランスフェラーゼ(pGTF))ならびに治療効果を有すると推定されている遺伝子(pks[78])が含まれた。これらの遺伝子の発現を、液体培養液中で後期対数期及び定常期まで増殖させたMRx0004から単離したRNA、ならびにラージスケールのトランスウェルで培養したHT29−MTX細胞と3時間接触させた後のMRx0004から単離したRNAにおいて分析した。qPCR分析(図8)により、eftU、エノラーゼ及びpGTFは、後期対数期において定常期よりも著しく上方制御され、一方で、oppA、プルラナーゼ、セルピン及びtadAの発現は、定常期において後期対数期よりも著しく上昇したことが示された。6つの遺伝子(eftU、エノラーゼ、pGTF、oppA、セルピン及びトランスアルドラーゼ)は、後期対数期と比較して、腸管上皮細胞(IEC)に応答して著しく上方制御された。この分析から、MRx0004の遺伝子発現がIECとの接触によって変化したことが明らかであり、MRx0004−宿主相互作用における上方制御された遺伝子の潜在的な役割が推測された。このqPCR分析で著しく上方制御された遺伝子の大部分は、IECへの接着における役割を有することが予測されており、これは、このことがMRx0004の重要な機能特性である可能性があることを示唆している。
MRx0004による追加の宿主応答エフェクターの発現を、培養上清及び細胞表面に存在するタンパク質を同定することにより、さらに特性評価した。ナノLC−MS/MS分析により、MRx0004SN中で64個のタンパク質を同定した(表8)。マッチしたペプチド(PSM)の数が最も多い同定されたタンパク質は、プルラナーゼ(351.33±33.62)、2つのNlpC/P60ファミリータンパク質(82±15.62及び71.67±13.61)、ABCトランスポーター系の溶質結合タンパク質(56±7)ならびに細胞分裂タンパク質FtsI(56±4.36)であった。B.breve及びその他の細菌種における宿主相互作用に関与するいくつかのムーンライティングタンパク質を同定し、それらには、トランスアルドラーゼ(32.67±3.79)、GAPDH(30±3.61)、DnaK(17.67±3.21)、GroEL(12.67±0.58)及びエノラーゼ(5.67±0.58)が含まれた[74、79〜84]。
MRx0004細胞の表面に存在するタンパク質の同定を、酵素による細胞切り取りの手法を使用して実施した。細菌細胞をトリプシンを使用して切り取り、切断した表面結合タンパク質をLC−MS/MSを使用して同定した(切り取られたタンパク質の画分)。トリプシンを含まない対照からのタンパク質も回収してLC−MS/MSで分析することにより、表面に緩く結合したタンパク質(シェディングされたタンパク質の画分)の同定が可能であった。合計106個の切り取られたタンパク質を同定し、そのうち44個は細胞壁に固定されていると予測された(すなわち、切り取られたタンパク質の画分に存在し、シェディングされたタンパク質の画分には存在しない)(表9、図15)。MRx0004SNで観察されたように、同定された最も豊富な切り取られたタンパク質はプルラナーゼ(136.67±17.47)であり、これはシェディングされたタンパク質の画分中にも検出された(79±10.54)。興味深いことに、I型ポリケチドシンターゼもまた、細胞の切り取られた画分の両方において同定されたが、切り取られたタンパク質の画分において、シェディングされたタンパク質の画分よりも多くのマッチするペプチドが同定された(それぞれ54.67±10.69及び11.67±6.43)。MRx0004SNに存在する、上記のすべてのムーンライティングタンパク質もまた、MRx0004細胞の切り取られた画分中に検出された(表9)。さらに、EfTuは、切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分の両方において同定された(それぞれ、PSM=32±5及び24.33±8.39)。qPCRによって分析された5つの遺伝子(eftU、エノラーゼ、luxS、プルラナーゼ及びトランスアルドラーゼ)もまた、細胞から切り取られたもののデータセット及び上清のデータセットの一方または両方で検出され、これにより、これらの遺伝子の翻訳が確認された。転写データセット及びプロテオミクスデータセットからのデータによって、MRx0004中の目的とする潜在的な新規エフェクターを一括して同定することが可能であった。
興味深いことに、細胞から切り取られたもののデータセット中で最も豊富なタンパク質であるアミロース分解性酵素プルラナーゼは、インビトロにおいてStreptococcus pyogenesの糖タンパク質及び宿主細胞に対する接着に関与することが報告されている、ムーンライティングタンパク質である[85、86]。さらに、B.animalis亜種lactisに由来するDnaK及びエノラーゼ[82、83]及びB.longumに由来するEfTu[87]は、インビトロでプラスミノーゲンに接着することが報告されている。加えて、L.lactisにおけるB.bifidum A8の解糖系酵素トランスアルドラーゼの組換え発現は、この菌株のムチンへの接着を増加させた[84]。MRx0004によるこれらのムーンライティングタンパク質の生成は、それらがMRx0004の接着能力における役割を果たし、それにより宿主細胞表面との相互作用を促進し得ることを示唆する。特定の宿主細胞受容体及びシグナル伝達経路に対する、ビフィズス菌のムーンライティングタンパク質の影響は依然として説明されておらず、これは、MRx0004が宿主と相互作用する、MRx0004の新規の調節経路を表している可能性がある。
MRx0004による自然免疫応答の調節の特徴の調査
MRx0004に対する宿主反応の特性を明らかにするために、さらなる実験を実施した。
この試験を補助するため、挿入変異導入を通じてEPS遺伝子座のpGTF遺伝子が不活化されている菌株(EPSneg)を構築した(図16A)。この菌株を、[88]に記載されている方法論を用いて構築したが、II型制限修飾(RM)系を操作するのではなく、MRx0004のI型RM系に由来するメチラーゼ及び特異性サブユニットを発現させ、形質転換前にプラスミドDNAをメチル化するために使用した。補完されたEPSneg菌株(EPScomp)及びEPSneg空ベクター菌株(EPSvec)もまた、対照として作製した。
TLR2及びNFκB活性化に対するEPSの影響を、HEK−TLR2レポーター細胞及びTHP−1−NFκBレポーター細胞の、MRx0004、EPSneg、EPSvec及びEPScompの生菌処理物及び上清処理物との共インキュベーションにより評価した。すべての生菌処理物は、同等の程度までTLR2を活性化した(図12A)。対照的に、MRx0004LVによるNFκBの活性化は、EPSneg LV(p=0.003)及びEPSvec LV(p=0.009)による活性化よりも有意に低かったが、EPScomp LVより有意に低くはなかった(図12B)。MRx0004SNとEPScomp SNとの間で、TLR2及びNFκB活性化に差は存在せず、この例において、野生型及び補完物は同様の表現型を示したことが実証された。EPSneg SN及びEPSvec SNは、MRx0004SNよりもTLR2(両方についてp<0.0001)及びNFκB(それぞれp=0.002及び0.0013)に対する刺激性が有意に高かった。これらのデータは、MRx0004によるTLR2の活性化が、そのEPSによって直接媒介されていないことを示唆している。対照的に、NFκBの活性化は、EPSの非存在下におけるMRx0004の細胞表面の露出に応答して増大する。これらのデータは、MRx0004による効果的な免疫調節は、インタクトな細胞全体を使用して最も良好に実現されること、及びTLR2に対するMRx0004リガンドは主に細胞表面に結合しているが、シェディングまたは分泌される可能性もあることを示唆している。
MRx0004及びその派生菌株がIEC炎症のインビトロモデルに与える影響も調査した。HT29−MTX細胞をMRx0004及びその派生体で3時間プライミングした後、ウェルに炎症性刺激物質としてTNFαをさらに24時間添加した。このモデルを使用すると、MRx0004は、細菌を含まない対照と比較して、TNFαによって媒介されるIL−8の分泌を減少させなかった(図12C)。しかしながら、非TNFα刺激細胞におけるIL−8の分泌は、ベースライン対照と比較して、MRx0004処理物によって減少した。EPSneg処理物は、TNFαによって誘導されるIL−8の分泌を、MRx0004と比較して有意に減少させた(p<0.0001)。EPSvec及びEPScompで処理した細胞におけるIL−8の分泌も、MRx0004に対する応答よりも有意に低かった(両方の比較についてp<0.0001)。興味深いことに、レポーターアッセイにおけるEPSnegにより示された効果と対照的に、表面結合抗原の非保護は、IECに対して抗炎症性効果を有すると思われた。
適応免疫応答に対するMRx0004の影響
適応免疫系に対するMRx0004の影響を調査するために、健康ヒトドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)を使用して、細胞集団及びサイトカイン分泌プロファイルを特性評価した。このアッセイでは、PHAを陽性対照として使用した(データは示さず)。MRx0004及びその派生菌株に由来する熱不活化細菌細胞及び無細胞培養上清と、PBMCを72時間共インキュベートした。T細胞(CD3CD4及びCD3CD8)、Treg(CD3CD4CD25CD127)及びB細胞(CD3CD19)の表面マーカーの発現を、フローサイトメトリーによって(活性化マーカーCD25とともに)分析した(ゲーティング戦略については図18を参照されたい)。72時間のインキュベーション期間中に生菌が増殖し、栄養素を求めてヒト細胞を排除する可能性があることから、生菌ではなく熱不活化細菌をこのモデルにおける処理物として使用した。試験したすべての菌株からの細菌上清に応答した細胞表面マーカー及びサイトカインの両方の発現は、ビヒクル(YCFA)に応答して観察されたものと比較して大幅に異なってはいなかった(データは示さず)。EPSvec及びEPScompのデータを、図20及び図21に示す。
MRx0004HK処理物は、未処理対照と比較して、活性化CD8CD25サブセットを有意に増大させた(p=0.0038、図13A)が、一方で、EPSneg HKは、対照と比較して、活性化CD8CD25細胞のパーセンテージを有意に増大させなかった。MRx0004HK及びEPSneg HKのいずれも、対照と比較して、CD8T細胞集団、CD4T細胞集団またはCD4CD25T細胞集団のパーセンテージを有意に増大させなかった(図19A及び図19B、図13B)。B細胞集団は、未処理細胞と比較して、MRx0004HK及びEPSneg HKの両方で類似した、統計学的に有意な程度まで増大した(それぞれP=0.001及び0.0013、図13E)。B細胞の活性化(CD19CD25)は、適用した処理物のいずれによっても有意な影響を受けなかった(図19C)。CD4細胞集団内において、Treg細胞の割合をCD25CD127表面マーカーを使用して分析した。未処理細胞と比較した場合、EPSneg HKで処理したPBMCではTregの相対パーセンテージの増大が観察されたが、MRx0004HK PBMCでは観察されなかった(p=0.0014、図13C)。EPSneg HKは、MRx0004HKと比較してTregを増大させた(p=0.0196)。MRx0004HK処理物において、未処理細胞と比較して制御性T細胞応答に対するTreg/CD8の比に歪み(skew)が観察された(p=0.0008、図13D)。さらに、MRx0004HKに応答したCD8の正の歪みの増大は、EPSneg HKに対するものよりも有意に強かった(p=0.0272、図13D)。総合すると、これらのデータにより、MRx0004の免疫刺激効果が確認され、EPSの喪失がTregの刺激及びTreg/CD8比の増大、及び免疫刺激効果の低下をもたらし得ることが示唆される。EPSはCD8細胞の活性化に役割を果たす可能性があるが、B細胞集団の大幅な調節には関与していないように思われる。
MRx0004HK及びEPSneg HKで処理したPBMCの分泌されたサイトカインの特性もまた、主にTh1(IL−12p70、IFNγ、TNFα)、Th2(IL−4)、Th17(IL−17α、IL−1β)及びTreg(IL−10)集団に関連するサイトカインを定量化することにより決定した。TNFα、IL−12p70、IFNγ、IL−4及びIL−17αは、未処理細胞と比較して、MRx0004HK処理によって有意に増大した(それぞれp=0.0038、0.0025、0.0036、0.027及び0.0316、図14A〜図14D)。EPSneg HKによる処理は、TNFα、IFNγ、IL−1β、IL−10及びIL−17αにおける有意な応答を誘導した(それぞれp=0.0001、0.0267、<0.0001、0.0004及び0.0103、図14A、図14C、図14E〜図14G)。MRx0004HKとは対照的に、EPSneg HKは、未処理の細胞と比較して、IL−12p70またはIL−4の分泌を有意に増大させなかった。MRx0004HKはまた、EPSneg HKと比較してIL−12p70を有意に増大させた(p=0.0118、図14B)が、逆に、EPSneg HK処理物は、MRx0004HKよりも高濃度のIL−1β及びIL−10を生成することが判明した(それぞれp=0.0008及び0.014、図14E〜図14F)。
細菌処理物が特定のサブタイプに対してヘルパーT細胞応答を歪めるかどうかを推測するために、個々のヘルパーT細胞サブタイプによって生成されるサイトカイン(Th1またはTh2;IL−12p70/IL−4、Treg;IL−10/IL1p70、Th17;IL−1β/IL12p70、図14H〜図14J)を指標に使用して、サイトカイン比を分析した。MRx0004HK処理物は、未処理細胞と比較してTh1表現型に対する免疫応答を有意に歪めるように思われた(p=0.0172、図14H)が、一方で、EPSneg HK処理物は、未処理細胞と比較してTreg及びTh17応答の両方に対して歪みを誘発するように思われた(p=0.0312及び0.0005、図14I〜図14J)。EPSneg HKのTreg及びTh17の歪みもまた、MRx0004HKと比較して有意に増大した(p=0.0423及び0.0008、図14J)。MRx0004HK処理物及びEPSneg HK処理物の間に、異なるサブセットのT細胞応答を促進する能力における明確な差異が観察された。
総合すると、この試験の観察結果は、MRx0004が自然免疫応答及び獲得免疫応答の炎症誘発性アームを調節していることを示している。したがって、MRx0004及び他のB.breve菌株は、免疫系を刺激し、免疫活性の低減に関連する疾患を処置するのに有用であり得る。
実施例2−MRx0004のeps遺伝子座が効力に及ぼす影響の特性評価
要旨
この試験の目的は、MRx0004の免疫刺激及び治療特性におけるMRx0004菌体外多糖(EPS)の役割を明らかにすることであった。
材料及び方法
実験を、以下に記載する追加の手順を含めて、実施例1に記載の通りに実施した。
不死化細胞の通常培養
HEK−Blue(商標)−hTLR2細胞(InvivoGen,San Diego,CA,USA)を、10%(v/v)のFBS、4mMのL−グルタミン、4.5mg/mlのグルコース、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのNormocin(商標)(Invivogen)、30μg/mlのブラストサイジン(blastocydin)及び100μg/mlのゼオシンを補充したDMEM中で、密度90%まで増殖させた。THP1−Blue(商標)NF−κB細胞(InvivoGen)を、10%(v/v)の熱不活化FBS、2mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、25mMのHEPES、100μg/mlのNormocin(商標)、10μg/mlのブラストサイジンを補充したRPMI 1640(cRPMI)中で増殖させた。細胞株を、37℃、5%COで培養した。特に明記されていない限り、すべての試薬はSigma Aldrichから供給された。
MRx0004のEPS遺伝子座とB.breveの近縁菌株との比較分析
GenBankデータベースで利用可能なBifidobacterium菌株のゲノムを、EPSクラスターのインシリコ分析及びBifidobacterium菌株に由来する推定上の菌体外多糖の遺伝子クラスターの物理的地図のために使用した。
MRx0004のEPS遺伝子座に関する差次的発現の分析
わずかな変更を加えた製造業者のプロトコールに従って、RNAprotect(Qiagen)及びRNeasy Miniキット(Qiagen)を使用して、全RNAをMRx0004菌株の後期対数期培養物から抽出した。機械的細胞溶解を、Lysing MatrixB及びMP Fast−Prep−24組織及び細胞ホモジナイザー(MP Biomedicals,Santa Ana,CA,USA)を使用して、振動を6m/sに設定して実施した。細胞を、20秒間のサイクル2回で破壊し、サイクルの合間には氷上で1分間静置させた。RNAの品質を、Agilent RNA Screentape(Agilent Technologies,Santa Clara,CA,USA)を用いて、Tapestation(Agilent Technologies)で確認した。RNAの分解がないことを確認し、すべての試料の最小RNA完全性数(RNA Integrity Number)は9以上であった。MICROBExpressキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してrRNA種を除去した。16S rRNA種及び23S rRNA種が存在しないことを、Agilent RNA RNA Screentape(Agilent Technologies)を用いてAgilent Bioanalyzerで評価し、確認した。rRNAを除去したRNA試料を、ストランド特異的ライブラリー調製のためにGATC Biotechに送り、イルミナシーケンシングで配列決定し150bpのシングルエンドリードを生成した。RNA−Seqライブラリー当たり、平均22,3878,08(後期対数期試料)及び18627178.6(定常期試料)の生の読み取りデータを、それぞれ合計10.07Gbp超及び8.38Gbp超得た。生の読み取りデータをTrimmomatic(1)を使用してトリミングし、Bowtie(2)を使用して、MRx0004ゲノムに対して性質をフィルタリングした(98.36%の後期対数期試料及び98.26%の定常期試料の読み取りデータがQCを通過し、マッピングしたクリーンな読み取りデータの99.11%(LL)及び98.72%(SP)に整列した)。各増殖期の反復試験試料の発現レベルを、XX及びDeSeq2 v X(Love et al,2014)を使用してMRx0004のEPS遺伝子座の各遺伝子について算出し、続いてGeneious R11(Biomatters,Auckland,New Zealand)を使用して可視化した。2つの増殖期の間の差次的発現が表される。2つの試料間の正規化された値の比の、底を2とする対数であり、一方の試料の発現がないかまたは非常に低い場合、log2の比は+/−1,000,000が上限となる。
透過型電子顕微鏡検査(TEM)
細菌を固定液(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中の0.5Mスクロース、2%パラホルムアルデヒド及び0.16%グルタルアルデヒド)で1:5に希釈し、室温で2時間固定した。その後、フォルムバールカーボンでコーティングされた銅グリッドを、B.breve懸濁液の100μlの液滴に1時間浮遊させ、PBS中の0.02Mのグリシンで3回洗浄した。細胞を1.0%のモリブデン酸アンモニウムで陰性に染色した。JEM−1400透過型電子顕微鏡(JEOL Ltd.,Tokyo,Japan)を使用して、グリッドを検査し、顕微鏡写真を可視化した。
細菌接着アッセイ
生菌(前述の通りに調製し共培養培地に再懸濁させたもの)を、24ウェルプレート中で100:1のMOIでHT29−MTX細胞にアプライし、37℃、嫌気性条件で3時間共インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄して未結合の細菌を除去し、0.1%(v/v)のTriton X−100(Sigma−Aldrich)で溶解させた。溶解物を播種し、回収したコロニー形成単位(CFU)の数を使用して、接着のパーセンテージを決定した。
結果
MRx0004のeps遺伝子座は、B.breveの他の菌株とは遺伝的に異なり、後期対数増殖の際に高度に発現する。
菌株MRx0004のゲノム配列決定によって、菌株MRx0004が、27個の遺伝子をコードすることが判明した28KbのEPS遺伝子座を保有することが示され、これは、B.breveにおけるEPSの生合成に必要であると予想される機能の完全な補完を表している。この領域には、プライミンググリコシルトランスフェラーゼ、4つの追加のグリコシルトランスフェラーゼ、膜貫通タンパク質の下流にコードされるチアミンピロリン酸結合タンパク質、フリッパーゼ及び鎖長決定因子が含まれる(図9)。B.breve EPS遺伝子座の大部分(菌株MRx0004のものを含む)は、仮想タンパク質に隣接しており(MRx0004領域を31.5Kbに拡張している)、これは、図9に表すB.breveのEPS遺伝子座の表示からは除外されている。図9に示す大部分(16/19)の菌株は乳児単離株であり、それらのゲノムは公共データベースにおいて大きな比率を占めている。50Kbを超えるB.breveのEPS領域は、EPS陽性の表現型を生成するために必要なすべての機能をコードする完全な遺伝子座を表すと考えられている[89]。対照的に、これらの領域が30Kb未満の場合、これらは不完全なまたは残余の遺伝子座を表すと考えられる[89]。
比較分析により、菌株MRx0004とB.breveの他の菌株のゲノムとの間の、遺伝的相違の主要領域としてのEPS遺伝子座が同定された(データは示さず)。MRx0004のEPS遺伝子座を、公的に利用可能なB.breveゲノムの遺伝子座と比較した。EPS遺伝子座が、菌株MRx0004の遺伝子座と高レベルの配列同一性(ID)及び遺伝子シンテニーを示したB.breveの菌株を図9に示し、菌株MRx0004との類似性の順に従って並べた(オペロンの長さ全体にわたる平均% nt ID)。(母乳で育てられた)乳児の単離株であるB.breve NRBB51は、2つの遺伝子座の全長にわたって、菌株MRx0004と最も高いレベルのヌクレオチド同一性(ID)(91.5%)を共有した。両方の菌株において推定トランスポザーゼをコードする中央の1.3Kbの領域は、菌株MRx0004とNRBB51の間における多様性の主要な領域を表す。MRx0004遺伝子座の開始及び終了にコードされた遺伝子は、他のB.breve単離株との最も高いレベルの配列保存性を示した(図9)。EPSの生合成の主要なステップに不可欠であるMRx0004のpGTFは、比較菌株のホモログと92.2%のペアワイズID(aa)を共有していた。鎖長制御因子、ならびに仮想タンパク質及び膜貫通タンパク質をコードする遺伝子を包含する4Kbの領域は、試験した菌株間で98.3%のnt IDを共有する。仮想タンパク質及びトランスポザーゼをコードする遺伝子は、菌株MRx0004と最も近縁である10個のEPS遺伝子座との間の配列多様性の主要な領域を占めていた(図9)。対照的に、菌株MRx0004のEPS遺伝子座とより異なっていることが判明したB.breveのEPS遺伝子座(図9の下位9菌株)は、gtf遺伝子、ポリメラーゼ遺伝子及びアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含む、EPSの生成に最も重要な遺伝子の数及び順番に相違を示した(図9)。
MRx0004のEPS遺伝子座が、後期対数期増殖中または定常期増殖中のいずれでより高度に転写されるかを確認するために、YCFA中で増殖させた菌株MRx0004の単培養物上で差次的発現分析を実施した(図9B)。MRx0004のEPS合成を主に担うと予測される遺伝子(前述)の大部分は、後期対数期増殖中に上方制御された。MRx0004のEPS遺伝子座は、10個の仮想タンパク質及び5つのトランスポザーゼをコードしており、これらは、MRx0004の定常期増殖中に上方制御された遺伝子の唯一のカテゴリを表す(図9)。MRx0004のEPSの合成における仮想タンパク質の役割は、依然として不明である。
MRx0004のEPS陰性菌株の作製
MRX004 EPSの宿主−微生物相互作用及び免疫調節における役割を調査し、上記の通り、挿入変異導入を通じてEPS遺伝子座のpGTF遺伝子が不活化されている菌株(EPSneg)を構築した(図16A)。この菌株を、[88]に記載されている方法論を用いて構築したが、II型制限修飾(RM)系を操作するのではなく、MRx0004のI型RM系に由来するメチラーゼ及び特異性サブユニットを発現させ、形質転換前にプラスミドDNAをメチル化するために使用した。補完されたEPSneg菌株(EPScomp)及びEPSneg空ベクター菌株(EPSvec)もまた、対照として作製した。EPSneg及びEPSvecは、MRx0004と比較して、自己凝集性の表現型の増加を示した(図16B)。EPScompは、EPSneg及びEPSvecよりも凝集性が低かったが、その自己凝集はMRx0004と比較して増加しているように思われ、このことは、この菌株が野生型EPSの表現型に完全に復帰していないことを示唆する。
MRx0004及びEPSnegのEPSの表現型を、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して調査した。MRx0004と比較したEPSneg菌株におけるEPSの欠如を、図10A及び図10Bに示す。野生型MRx0004及びその派生菌株の接着能力を、インビトロIECモデルを使用して分析した。EPSnegは、MRx0004よりもIECに対する接着性が2倍超高く(それぞれ、47.5%対18.7%の接着性、p=0.006)(図10C)、EPSの欠如がEPSnegの接着能力を向上させたことが示唆される。EPSnegで見られる接着表現型の増加は、EPSvecでも維持された(40.1%の接着性、MRx0004に対してp=0.03)が、EPScompの接着性(34.1%)は、他のいずれの菌株と比較した場合に有意に異なってはおらず、これは、EPScompの野生型表現型への復帰が不完全であったことをさらに意味している。
MRx0004におけるEPSの除去により、宿主刺激に関与する表面タンパク質が露出する。
EPSnegのIECに対する接着性の向上は、EPSの除去が、表面結合タンパク質の露出の増加、または「非保護」をもたらし得ることを示唆する。MRx0004及びEPSnegの表面結合タンパク質の組成物を、IECと接触させた後に分析した。HT29−MTX細胞と3時間接触させた後、前述のように細菌細胞をトリプシンで切り取り、得られた切り取られたタンパク質の画分及びシェディングされたタンパク質の画分をLC−MS/MSで分析した。IECとの接触後のMRx0004細胞の切り取りにより、55個の切り取られたタンパク質(そのうち34個は表面に固定されていると予測された)及び24個のシェディングされたタンパク質を得た(図11A)。IECへの接触後のEPSneg細胞から切り取られたものには、MRx0004のものよりもはるかに多くのタンパク質が含まれており、切り取られたタンパク質の画分中に101個のタンパク質、シェディングされたタンパク質の画分中に45個のタンパク質であった(図11B)。MRx0004のシェディングされたタンパク質の画分中で同定された3つのタンパク質(炭水化物、脂質、及びタンパク質の代謝に関与する酵素)を除いて、同定されたすべてのタンパク質は、両方の菌株の切り取られたタンパク質の画分中に存在していた。
MRx0004とEPSnegの切り取られたタンパク質の画分の比較により、両方の試料に存在していた54個のタンパク質及びEPSneg菌株に特異的であった47個のタンパク質を同定した(図11C)。MRx0004の切り取られたタンパク質のデータセット中でのみ同定された唯一のタンパク質は、NlpC/P60ファミリータンパク質であった。細胞の切り取りによって回収されたタンパク質の数は、MRx0004よりもEPSneg菌株の方が多く、EPSの除去により、トリプシン切断のために表面タンパク質へより接近しやすくなったことが推測された。さらに、ビフィズス菌及び他の属における宿主相互作用に関与することが知られているタンパク質は、EPSnegの切り取られたタンパク質の画分において、MRx0004の切り取られたタンパク質の画分におけるものよりも、(同定されたペプチドの数/総タンパク質(μg)で評価して)より豊富であった(表10)。これらの結果は、EPSの除去が非保護作用をもたらし、さもなければMRx0004のEPSによって遮蔽される表面タンパク質及び潜在的なMRx0004の免疫原を露出させるという仮説にさらなる裏付けを加える。
EPSneg培養上清のタンパク質含有量もLC−MS/MSで分析し、EPSの欠如により、EPSneg菌株によって細胞外環境中にシェディング及び分泌される可能性のあるタンパク質の数が増加することが確認された(図17)。MRx0004SN中で64個のタンパク質のみが同定されたのとは対照的に、EPSneg SN中では合計146個のタンパク質が同定され、そのうち87個はEPSneg SN中でのみ検出され、59個は両方の試料中で検出された。MRx0004SN中で同定された、前述したムーンライティングタンパク質は、両方の試料間で同等(MRx0004SN中で30±3.61、及びEPSneg SN中で28.33±0.58)であったGAPDHを除き、すべてEPSneg SN中でより豊富に検出された。興味深いことに、B.lactis及びB.longumにおけるヒトプラスミノーゲン結合で役割を果たすことが示されているコロイルグリシンヒドロラーゼ(胆汁酸塩ヒドロラーゼ)及びEfTuは、EPSneg SN中においてのみ検出された[80、87]。胆汁酸塩ヒドロラーゼはまた、腸内の環境ストレスから共生種を保護し得る[90]。MRx0004SNと比較した、EPSneg SNにおけるタンパク質の検出の増加は、EPSの非存在下における非保護により、MRx0004の表面結合タンパク質のシェディングまたは分泌の増加がもたらされる可能性があることを示唆する。
結論
比較ゲノム分析により、MRx0004においてEPSの合成を担う遺伝子座は、他のB.breve菌株とは遺伝的に異なることが示された。この領域で観察された遺伝的相違は、MRx0004及び近縁菌株の効力及び治療的有用性の増強に寄与し得る。
MRx0004:宿主相互作用のメディエーターとして、及び免疫応答のエフェクターとしてのEPSの潜在的な重要性は、IECとの接触時のpGTF発現の相対的な増大によって裏付けられた。pGTFに加えて、qPCR分析で著しく上方制御された他の遺伝子の大部分は、IECへの接着における役割を有することが予測されており、これは、このことがMRx0004の重要な機能特性である可能性があることを意味している。MRx0004のIV型線毛関連遺伝子tadAはインビトロ培養中で発現したが、これは、B.breve UCC2003のTad線毛はインビトロ条件下では生成されないという以前の観察結果[91]から、興味深いものであった。セルピンの発現もまた、IECに応答して著しく増大した。B.longum NCC2705に由来するセルピンは、近年、インビボセリアック病モデルの小腸における上皮内リンパ球の浸潤を低減させ[92]、これにより免疫刺激性作用及び保護作用を誘導することが報告されており、これは、B.breve、特にMRx0004のセルピンが類似の免疫調節効果を有し得ることを示唆する。
上清及び細胞から切り取られたもののプロテオミクス分析により、炭水化物代謝において役割を有することが予測される多数のタンパク質が検出された。興味深いことに、細胞から切り取られたもののデータセット中で最も豊富なタンパク質であるアミロース分解性酵素プルラナーゼは、インビトロにおいてStreptococcus pyogenesの糖タンパク質及び宿主細胞に対する接着に関与することが報告されている、ムーンライティングタンパク質である[85、86]。さらに、B.animalis亜種lactisに由来するDnaK及びエノラーゼ[82、83]及びB.longum[87]に由来するEfTuは、インビトロでプラスミノーゲンに接着することが報告されている。加えて、L.lactisにおけるB.bifidum A8の解糖系酵素トランスアルドラーゼの組換え発現は、この菌株のムチンへの接着を増加させた[84]。MRx0004によるこれらのムーンライティングタンパク質の生成は、それらがMRx0004の接着能力における役割を果たし、それにより宿主細胞表面との相互作用を促進し得ることを示唆する。これらのビフィズス菌のムーンライティングタンパク質は、免疫系に対するMRx0004の増強された効果を媒介する特定の宿主細胞受容体及びシグナル伝達経路に対し、特定の効果を及ぼし得る。
MRx0004は、活性化CD8サブセットの著しい増加を誘導し、これは、EPSの存在に部分的に関連しているように思われた。
EPSneg処理物は、MRx0004と比較してTregを著しく増加させた。これは、EPSを除去することにより、宿主細胞と相互作用してTreg応答を促進することができる別の細菌表面成分が露出することを示唆している。CD8+集団及びTreg集団の両方において変動が明らかであった。EPSnegは、ベースラインと比較したTreg/CD8比の著しい増大によって示されているように、Treg応答に対して著しい歪みを誘発した。これは、EPSnegにおける細胞表面の非保護が抗炎症性作用をもたらし、MRx0004におけるEPSの存在がその免疫刺激効力を補助することを意味する。
MRx0004のEPSが、IL−12p70の分泌に直接関与することが判明した。さらに、試験した3つすべてのTh1サイトカイン(IL−12p70、IFNγ、TNFα)の分泌は、MRx0004HKによって著しく上方制御され、これは、この菌株が、菌株のEPSによって部分的に媒介されるTh1応答に対する歪みを誘発することを示唆している。MRx0004HKはまた、Th2サイトカインのIL−4を著しく誘導し、IL−10、IL−1β及びIL−17αを大幅ではないが上方制御したため、この菌株がヘルパーT細胞の微小環境の変化を誘導し得ることが推測された。Th1の誘導は、インビボでの腸の障壁の安定性を向上させ、免疫恒常性の維持に有益であり得る。
MRx0004のEPSは、特定の免疫調節効果、すなわちCD8+、Treg及びTh1応答の調節を有している可能性があり、これらの効果は効力及び治療効果の増強をもたらし得る。
実施例3−がんのマウスモデルにおける細菌接種物の効力
要旨
先行実施例に記載されているように、本発明者らは、B.breve、特に菌株MRX004の新しい免疫刺激効果を同定した。上記の新しいデータを踏まえて、B.breve、特に菌株MRX004を含む組成物は、免疫系を刺激して、免疫系の活性の低減に関連する疾患または免疫系の活性の増大からベネフィットを得られる疾患を処置するのに有効であると予想される。
がんは、腫瘍を攻撃する免疫系の活性の増大からベネフィットを得られる可能性のある疾患である。上記の新しいデータ及びMRX004の新しい免疫刺激効果と一致して、MRX004がマウス腫瘍モデルの腫瘍体積を強力に減少させることを以下の試験で示し、MRX004の投与が疾患の処置に有効であることを実証する。
この試験では、4つの腫瘍モデルにおいて本発明に係る細菌株を含む組成物の効力を試験し、抗CTLAの効力と比較した。
材料
試験物質−細菌株#MRX004、Bifidobacterium breve。
参照物質−抗CTLA−4抗体(クローン:9H10、カタログ:BE0131、アイソタイプ:シリアンハムスターIgG1、Bioxcell)。
試験物質及び参照物質のビヒクル−細菌培地(酵母抽出物、カシトン、脂肪酸培地(YCFA))。マウスへ注射する各日に、抗体をPBSで希釈した(参照:BE14−516F、Lonza、France)。
処理用量−細菌:200μL中に2×10個。抗CTLA−4を10mg/kg/注射で注射した。マウスの直近の体重に従って、抗CTLA−4を10mL/kg/投与の投与量で投与した(すなわち、体重20gのマウス1匹に対して200μLの試験物質が投与される)。
投与経路−細菌接種物を、カニューレによる強制経口投与(経口、PO)によって投与した。カニューレは毎日汚染除去した。抗CTLA−4をマウスの腹腔内に注射した(腹腔内、IP)。
細菌株の培養条件−細菌株の培養条件は以下の通りであった。
・(調製済の10mL E&Oラボボトルより)10mLのYCFAをピペットで取り、Hungateチューブに入れる
・チューブを密封し、シリンジによる投入でCOを流して、系を排気する
・Hungateチューブをオートクレーブする
・冷却後、Hungateチューブに1mLのグリセロールストックを接種する
・37℃のインキュベータ内でチューブを約16時間静置する。
・翌日、この継代培養物1mLを取り、10mLのYCFAに接種する(再度予熱してフラッシュしたHungateチューブ、すべて二連)
・37℃のインキュベータ内でチューブを5〜6時間静置する
がん細胞株及び培養条件
使用した細胞株を以下の表に詳述する。
Figure 2021534089
EMT−6細胞株は、乳腺過形成胞状結節の移植後、BALB/cCRGLマウスに生じた可移植性マウス乳癌から確立された[93]。
LL/2(LLC1)細胞株は、原発性Lewis肺癌の移植により生じた腫瘍を担持するC57BLマウスの肺から確立された[94]。
Hepa 1−6細胞株は、C57/Lマウスに生じたBW7756マウス肝癌の派生株である[95]。
細胞培養条件−細胞株はすべて湿潤雰囲気(5%CO、95%空気)中、37℃で単層として増殖させた。培地及び添加物を以下の表に示す。
Figure 2021534089
実験で使用するために、カルシウムまたはマグネシウムを含まないHanks培地(参照:BE10−543F、Lonza)中でトリプシン−バーゼン(参照:BE17−161E、Lonza)による5分間の処理によって、接着した腫瘍細胞を培養フラスコから剥離させ、完全培地を添加することにより中和した。細胞をヘモサイトメーターで計数し、その生存率は0.25%トリパンブルー排除アッセイによって評価することになる。
動物の使用
体重及び週齢を一致させた健康な雌Balb/C(BALB/cByJ)マウスを、EMT6モデルの実験のために、CHARLES RIVER(L’Arbresles)から入手した。
体重及び週齢を一致させた健康な雌C57BL/6(C57BLl6J)マウスを、LL/2(LLC1)モデル及びHepa1−6モデルの実験のために、CHARLES RIVER(L’Arbresles)から入手した。
動物を、FELASAのガイドラインに従ってSPF健康状態で維持し、フランス及び欧州の規則ならびにNRC Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従う動物の収容及び実験手順を遵守した[96、97]。動物を、管理された環境条件下の飼育室(温度22±2℃、湿度55±10%、照明時間(12時間照明/12時間消灯)、HEPAフィルター濾過空気、再循環せずに1時間に15回換気)で維持した。動物飼育室には、床敷材料、飼料及び水を備えた無菌で適切な空間、環境及び社会的エンリッチメント(群飼育)を備え、その詳細は、換気ラック中の900cmケージ(参照:緑色、Tecniplast)、Epicea床敷(SAFE)、10kGy照射飼料(A04−10、SAFE)、免疫コンピテントげっ歯類用完全飼料(R/M−H Extrudate)、水ボトルからの水であった。
実験計画及び処理
抗腫瘍活性、EMT6モデル
処理スケジュール−最初の投与の開始を0日目とした。0日目に、Vivo manager(登録商標)ソフトウェア(Biosystemes,Couternon,France)を使用して、非移植マウスをマウスの個々の体重に従って9/8匹の群に無作為化した。0日目に、マウスにビヒクル(培地)または細菌株を投与した。14日目に、以下に記載の通りにすべてのマウスにEMT−6腫瘍細胞を移植した。24日目に陽性対照群のマウスに抗CTLA−4抗体処理を施した。
処理スケジュールを以下の表に要約する。
Figure 2021534089
動物のモニタリングを以下に記載の通りに実施した。
動物におけるEMT6腫瘍の誘導−14日目に、200μLのRPMI 1640中のEMT−6細胞1×10個をマウスの右側腹部に皮下注射することによって腫瘍を誘導した。
安楽死−マウスが以下に記載される人道的エンドポイントに達した場合、または投与開始後最大6週間後に、各マウスを安楽死させた。
抗腫瘍活性、LL/2(LLC1)モデル
処理スケジュール−最初の投与の開始を0日目とした。0日目に、Vivo manager(登録商標)ソフトウェア(Biosystemes,Couternon,France)を使用して、非移植マウスを個々の体重に従って9/8匹の7つの群に無作為化した。0日目に、マウスにビヒクル(培地)または細菌株を投与する。14日目に、以下に記載の通りにすべてのマウスにLL/2腫瘍細胞を移植した。27日目に陽性対照群のマウスに抗CTLA−4抗体処理を施した。
処理スケジュールを以下の表に要約する。
Figure 2021534089
動物のモニタリングを以下に記載の通りに実施した。
動物におけるLL/2(LLC1)腫瘍の誘導−14日目に、200μLのRPMI 1640中のLL/2(LLC1)細胞1×10個をマウスの右側腹部に皮下注射することによって腫瘍を誘導した。
安楽死−マウスが以下に記載される人道的エンドポイントに達した場合、または投与開始後最大6週間後に、各マウスを安楽死させた。
抗腫瘍活性、Hepa1−6モデル
処理スケジュール−最初の投与の開始を0日目とした。0日目に、Vivo manager(登録商標)ソフトウェア(Biosystemes,Couternon,France)を使用して、非移植マウスをマウスの個々の体重に従って9匹の7つの群に無作為化した。0日目に、マウスにビヒクル(培地)または細菌株を投与した。14日目に、以下に記載の通りにすべてのマウスにHepa1−6腫瘍細胞を移植した。16日目に陽性対照群のマウスに抗CTLA−4抗体処理を施した。
処理スケジュールを以下の表に要約する。
Figure 2021534089
動物のモニタリングを以下に記載の通りに実施した。
動物における脾臓内注射によるHepa1−6腫瘍細胞の同所性の誘導−14日目に、50μLのRPMI 1640培地中のHepa1−6腫瘍細胞100万個(1×10個)を、脾臓内注射によってマウスに移植した。簡潔に述べると、左肋骨下側腹部に小さな切開を置き、脾臓を体外に露出させた。脾臓を滅菌ガーゼパッド上に露出させ、細胞懸濁液を27ゲージ針により目視下で注射した。細胞の接種後、脾臓を切除した。
安楽死−マウスが以下のセクションに記載される人道的エンドポイントに達した場合、または投与開始後最大6週間後に、各マウスを安楽死させた。
安楽死時の腫瘍量の評価−終了時、肝臓を回収して重量を測定した。
動物のモニタリング
臨床モニタリング−腫瘍の長さ及び幅をノギスで週に2回測定して、腫瘍の体積をこの式によって推定した[98]。
Figure 2021534089
人道的エンドポイント[99]:疼痛、苦しみまたは苦痛の徴候:疼痛の姿勢、疼痛の表情(pain face mask)、行動;通常の体重の10%を超えるが2000mmを超えない腫瘍;移動または栄養摂取に干渉する腫瘍;潰瘍化した腫瘍または組織のびらん;3日連続して持続する20%の体重減少;不良な身体状態、羸痩、悪液質、脱水症状;外部刺激に対する随意反応の持続的な欠如;速い努力呼吸、貧血、著しい出血;神経学的徴候:旋回、痙攣、麻痺;体温の持続的な低下;腹部膨満。
麻酔−イソフルランガス麻酔をすべての処置、すなわち外科手術または腫瘍の接種、静脈内注射、採血に使用した。ケタミン麻酔及びキシラジン麻酔を定位外科的処置に使用した。
鎮痛−カルプロフェンまたはカルプロフェン/ブプレノルフィンのマルチモーダルな鎮痛プロトコールを、外科的処置の重症度に合わせた。痛みを伴うすべての処置に非薬理学的ケアを提供した。さらに、試験に干渉しない薬理学的ケア(局所処置)を、担当獣医師の推奨により提供した。
安楽死−動物の安楽死を、ガス麻酔(イソフルラン)の過量投与後、頸椎脱臼または瀉血によって実施した。
結果
抗腫瘍活性、EMT6モデル
結果を図1に示す。本発明の細菌株による処理によって、両方の陰性対照と比較して腫瘍体積の明らかな減少が生じた。予想されていたように、免疫系を活性化させることが知られている陽性対照によっても腫瘍体積の減少が生じた。
抗腫瘍活性、LL/2(LLC1)モデル
結果を図2に示す。腫瘍体積が陰性対照群よりも陽性対照で処理したマウスにおいて大きかったことから、陰性対照及び陽性対照は予想通りに表示されていない。それにもかかわらず、本発明の細菌株で処理したマウスの腫瘍体積は陽性対照群と同等であり、これは、有用な治療効果及び免疫刺激効果に合致する。
抗腫瘍活性、Hepa1−6モデル
結果を図3に示す。未処理陰性対照群における肝臓重量が他の群より低かったことから、未処理陰性対照は予想通りに表示されていない。しかし、ビヒクルのみで処理したマウスは、抗CTLA4抗体によって処理したマウスより肝臓が大きく、ビヒクル陰性対照群において腫瘍量がより大きいことを反映していることから、ビヒクル陰性対照群及び陽性対照群はいずれも予想通りに表示されている。本発明の細菌株による処理によって、ビヒクル陰性対照群におけるマウスと比較して、肝臓重量(したがって、腫瘍量)の明らかな減少が生じた。
これらのデータは、MRX004が、がんの処置に有効であることを示しており、実施例1及び2のデータを踏まえると、これらのデータは、菌株MRX004が免疫系の活性の低減に関連する他の疾患の処置または予防に有用であり得ることを裏付けている。
実施例4−酵素活性の特性評価
Analytical Profile Index(API(登録商標))試験系は、細菌種における酵素活性に関してアッセイする小型化した生化学的試験を含有するストリップからなる。MRX004(アクセッション番号NCIMB 42380で寄託された細菌)を2つのAPI試験系を使用して特性評価した:Rapid ID 32A−この系は、特に嫌気性種用に設計されており、炭水化物、アミノ酸及び硝酸塩の代謝、ならびにアルカリホスファターゼ活性についての試験を包含する;API(登録商標)50 CH−この系は、49個の炭水化物源の発酵について試験し、嫌気性種の分析のためにAPI(登録商標)CHL Mediumと併せて利用することができる。
Rapid ID 32A試験を、製造業者の説明書に従って細菌コロニー上で実施した。簡潔に述べると、嫌気性ワークステーション内で、細菌をYCFA寒天培地上で37℃で24時間培養した。5μlの滅菌白金耳を使用してプレートからコロニーを除去し、McFarland標準液番号4とほぼ等しい濃度が得られるまで、2mlアンプルのAPI(登録商標)Suspension Mediumに再懸濁させた。Rapid ID 32Aストリップの各小チューブ(cupule)に55マイクロリットルの細菌懸濁液を加え、ウレアーゼ試験を2滴の鉱油で覆った。ストリップをプラスチック製の蓋で覆い、37℃で4時間好気的にインキュベートした後、次の試薬を使用して下の列の小チューブを発色させた:NIT:NIT1及びNIT2を各1滴;IND:James試薬を1滴;残りのすべての小チューブ:FastBlue試薬を1滴。ストリップを室温で5分間インキュベートした後、それぞれの小チューブの色を記録して、陰性、中間陽性または陽性の値に割付けた。
Rapid ID 32A分析の結果を図4に示す。MRX004は、いくつかの炭水化物源、すなわちα−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼ、α−アラビノース、マンノースならびにラフィノース、加えて、アミノ酸のアルギニン、プロリン、フェニルアラニン、ロイシン、チロシン、グリシン及びヒスチジンの発酵について陽性と試験された。
RapidID 32Aの比較分析を、MRX004と4種のB.breve基準株との間で実施し、図4Bにおいて、これらにBif参照1(DSM 20091)、Bif参照2(DSM 20213)、Bif参照6(JCM 7017)及びBif参照7(UCC2003)として注釈を付した。この分析は、MRX004が多糖ラフィノースを発酵させる唯一の試験菌株であることを示した。このことは、ラフィノースは菌体外多糖などの細菌成分の生成に関与しており、ラフィノースの発酵はまた、報告によれば盲腸酪酸の増加、胃腸増殖の増大及び体重減少など、宿主に影響を及ぼす可能性があることから、重要であり得る。
MRX004における炭水化物代謝をさらに調査するために、API(登録商標)50 CH試験を実施した。製造業者の説明書に従って、嫌気性ワークステーション内で、細菌を10mlのYCFAブロス中で37℃で16〜18時間培養した。この培養物を、McFarland標準液番号2にほぼ等しい濃度が得られるように10mlのAPI(登録商標)CHL Medium中で希釈し、110μlのこの混合物を使用してAPI(登録商標)50 CH試験ストリップのセットの各小チューブに接種した。試験ストリップを、嫌気性ワークステーション内の加湿インキュベーションボックス中で37℃で48時間インキュベートした後、それぞれの小チューブの色を記録して、陰性、中間陽性、陽性、または疑わしいという値に割付けた。
API(登録商標)50を使用すると、MRX004は、次の炭水化物源:アミドン(デンプン)、アミグダリン、アルブチン、セロビオース、エスクリン、ガラクトース、ゲンチオビオース、グルコース、グリコーゲン、フルクトース、フコース、ラクトース、マルトース、マンノース、マンニトール、メリビオース、メレジトース、メチルα−D−グルコピラノシド、N−アセチルグルコサミン、リボース、サッカロース(スクロース)、サリシン、ソルビトール、トレハロース、ツラノース及びキシリトールの使用に対して陽性であると試験された(図5)。これらの結果は、MRX004が両方の試験系においてガラクトース、グルコース、マンノース及びラフィノースの発酵を示したという点で、Rapid ID 32A試験で得られた結果と相関した。
実施例5−YCFA培地におけるヒト細胞への接着
要旨
菌株MRX004及び他のいくつかのBifidobacterium breve菌株のヒト細胞への結合レベルを、YCFA培地中で3つの異なる時点において測定した。ヒト細胞に接着した細菌を培地中に再懸濁させ、次に、培地の光学濃度を分析した。光学濃度が高いほど細菌細胞の数が多くなり、したがって、細菌細胞のヒト細胞への結合レベルが高くなる。MRX004菌株が、Bifidobacterium breve参照菌株と比較して、ヒト細胞への接着の減少を示すことが判明した。
結果及び分析
この実験の結果を図6に示す。
図6に示すように、Bifidobacterium breve参照菌株は、すべての時点でヒト細胞への高レベルの接着を示す。一方、MRX004菌株は、ヒト細胞への付着レベルが大幅に低下している。したがって、MRX004菌株のヒト細胞への低い付着性は、免疫系に対する本発明の組成物の有益な効果を向上させ得る。
実施例6−安定性試験
本明細書に記載の少なくとも1つの細菌株を含有する本明細書に記載の組成物を、25℃または4℃で密封容器の中で保管して、容器を相対湿度が30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%または95%である雰囲気中に置く。1か月、2か月、3か月、6か月、1年、1.5年、2年、2.5年、または3年後に、細菌株の少なくとも50%、60%、70%、80%または90%が、標準的なプロトコールによって決定したコロニー形成単位で測定した場合に残るものとする。
実施例7−抗菌活性
概要
この実験の目的は、ヒト乳児に由来するいくつかのB.breve菌株の抗菌活性の潜在能力を様々な指標菌株に対して試験すること、及びそれらがインビトロでバクテリオシンを生成するかどうかを評価することであった。
方法
菌株のパネルを指標菌株として選択し(表5)、これには、Bifidobacterium種によって阻害されることが既に示されている近縁のグラム陽性菌、他のグラム陽性菌及びグラム陰性菌が含まれた[エラー!ブックマーク未定義]。
共培養アッセイ
Research Cell Bankから(B.breve試験菌株及び参照菌株用)またはビーズストックから(指標菌株用)の菌株を、嫌気性条件下(E.coli、B.subtilis及びS.aureusについては好気性条件下)で、37℃(B.subtilisについては30℃)で16時間増殖させた。YCFAプレート(E&O Labs,UK)上に指標菌株の菌叢を作製し、乾燥させ、菌叢の表面に10μlの試験菌株培養物をスポットした。プレートを嫌気性条件下で37℃で48時間(E.coli、B.subtilis及びS.aureusについては嫌気性条件下で37℃で24時間、続いて好気性条件下で37℃で24時間)インキュベートした。各アッセイを三連で実施した(MRx0004、試験1、試験2、試験3、試験4、試験5、試験6、試験7及び試験8を用いたBacillus subtilis NCIMB8045、ならびにすべてのB.breve菌株を用いたBifidobacterium breve DSM20213、Lactobacillus plantarum NCIMB8826、Clostridium sporogenes ATCC3584及びStaphylococcus aureus NCIMB9518に対して二連で実施したことを除く)。
抗菌活性を、試験菌株のスポット周囲の明瞭な区域である、観察された阻害区域の幅を測定することによって評価した(図22)。各生物学的反復試験の各菌株に、0〜3のスコアを付与した。
培養上清
寒天拡散法を使用して、培養上清の潜在的な抗菌能力を試験した。簡潔に述べると、100μlの濾過した無細胞上清を、指標菌株の菌叢を(上記の通り)事前に接種したYCFA寒天培地上にスポットして、寒天培地に打ち抜いたウェルに入れた。プレートを1時間放置して拡散させ、次に、嫌気性条件下で(E.coli、B.subtilis及びS.aureusについては好気性条件で)37℃で48時間インキュベートした。3回の生物学的反復試験を実施した。
結果
共培養
試験した大部分のB.breve菌株は、E.coli、K.pneumoniae、S.Typhimurium及びB.subtilisに対して拮抗活性を示した(表12)。B.breve DSM 20091は、B.breve DSM20213の増殖を阻害した唯一の試験菌株であった。MRx0004及び他のB.breve試験菌株は、E.coli、K.pneumoniae、S.Typhimurium及びB.subtilisに対して抗菌活性を示し(表12)、全体として、B.breve参照菌株で観察されたものよりも強く阻害した。MRx0004、試験1、試験2、試験3、試験7、試験8、試験11及び試験12は、特に強力な抗菌活性を示した。試験した条件では、S.aureus、C.sporogenes及びL.plantarumに対して、拮抗作用は検出されなかった。
これらのデータは、MRX0004及び近縁の試験菌株が、細菌感染症の処置に有用であり得ることを示す。
培養上清
無細胞上清の抗菌活性を、同じパネルの指標菌株に対して試験した。いずれの指標菌株に対しても、試験したすべてのB.breve菌株で阻害は観察されなかった(データは示さず、n=3)。これは、共培養アッセイで観察された阻害が、抗菌分子の分泌によるものではなかったことを示唆している。
実施例8−酵素活性のさらなる特性評価
実施例4に記載されているAPI 32A試験系を使用して、実施例7で試験したB.breve菌株を特性評価した。Rapid ID 32A試験を、製造業者の説明書に従って細菌コロニー上で実施した。簡潔に述べると、嫌気性ワークステーション内で、細菌をYCFA寒天培地上で37℃で24時間培養した。5μlの滅菌白金耳を使用してプレートからコロニーを除去し、McFarland標準液番号4とほぼ等しい濃度が得られるまで、2mlアンプルのAPI(登録商標)Suspension Mediumに再懸濁させた。Rapid ID 32Aストリップの各小チューブに55マイクロリットルの細菌懸濁液を加え、ウレアーゼ試験を2滴の鉱油で覆った。ストリップをプラスチック製の蓋で覆い、37℃で4時間好気的にインキュベートした後、次の試薬を使用して下の列の小チューブを発色させた:NIT:NIT1及びNIT2を各1滴;IND:James試薬を1滴;残りのすべての小チューブ:FastBlue試薬を1滴。ストリップを室温で5分間インキュベートした後、それぞれの小チューブの色を記録して、陰性、中間陽性または陽性の値に割付けた。
Rapid ID 32A分析の結果を図23に示す。実施例4に見られるように、MRX004は、いくつかの炭水化物源、すなわちα−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼ、α−アラビノース、マンノースならびにラフィノース、加えて、アミノ酸のアルギニン、プロリン、フェニルアラニン、ロイシン、チロシン、グリシン及びヒスチジンの発酵について陽性と試験された。
Rapid ID 32A分析を、実施例7で試験した他のB.breve試験菌株(試験1〜試験12)ならびにB.breve参照菌株(DSM 20091、DSM 20213、JCM 7017及びNCIMB 8807/UCC2003)に対しても実施した。試験菌株は、概して参照菌株よりも高い抗菌活性を示し、MRX004と類似した代謝パターンを示した。
興味深いことに、MRX004及び試験菌株は多糖ラフィノースを発酵させるが、一方で、4つの参照菌株は多糖ラフィノースを発酵させない。上記の通り、ラフィノースは菌体外多糖などの細菌成分の生成に関与している。
また、MRX004及び試験3のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもβ−グルコシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。
MRX004及び試験2のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもN−アセチル−β−グルコサミニダーゼの陽性の発酵を示さない。
MRX004及び試験8のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもα−ガラクトシダーゼ及びα−アラビノースの中間の発酵を示す。
試験11及び試験12のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼを発酵させるが、ロイシルグリシンアリルアミダーゼ及びアラニンアリルアミダーゼを発酵させない。
試験3及び試験7のいずれも強力な抗菌活性を有し、いずれもセリンアリルアミダーゼの中間の発酵を示す。
実施例9−パルスフィールドゲル電気泳動
パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を使用して、実施例7で試験したB.breve菌株を特性評価した。結果を図24に示す。B.breve参照菌株よりも高い抗菌活性を示したB.breve試験菌株を、類似のパターンにグループ化し、参照菌株と識別できることが判明した。
実施例10−パルスフィールドゲル電気泳動
MRx004及びB.breve参照菌株に対して、さらなるパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)試験を実施した。PFGEは、臨床実験室における菌株タイピングの「至適基準」として日常的に適用されており[100]、ヒト糞便ビフィズス菌単離株を判別するための有効な方法であると報告されている[101]。実際、多くの試験において、XbaIまたはSpeI制限酵素のいずれかで消化したゲノムDNAのPFGEで分解した断片のフィンガープリント分析を使用して、ビフィズス菌単離株の関係性が調査されてきた[102、103]。SpeIは、Bifidobacterium breveのプラスミドプロファイリング及び種内遺伝子型同定に特に有用であることが証明されている[104、105]。
PFGEプラグの調製
PFGE用の高分子量DNAのアガロースゲルプラグを、公開されているプロトコール[106]に従って調製した。
PFGEプラグの制限
単一の薄片(2mm×2mm)を1mlの10mM Tris.Cl、0.1mM EDTA(pH8.0)で15分間、室温で3回洗浄した。各薄片を、酵素に推奨される250μlの制限緩衝液と4℃で30分間プレインキュベートし、次に20ユニットの制限酵素SmaIを含む250μlの新鮮な緩衝液に交換した。供給元(New England Biolabs(UK)Ltd)の推奨に従って、制限消化を25℃で一晩実施した。
PFGE
ゲノムDNA(gDNA)の処理済(制限酵素)及び未処理のプラグを以下の条件下で検査した。λラダーを、ゲルにロードする前に45℃に加熱した。実施条件は、0.5倍のTPE緩衝液中、14℃、6.0V/cmで20時間であり、パルス時間は1秒から20秒まで増加させた。ラムダDNAラダー(Bio−Rad)をサイズマーカーとして使用した。0.5倍のTBE(1M Tris−ホウ酸塩、0.5M EDTA、pH8.5)で作製した1.0%アガロースゲル(Bio−Rad)のウェルにプラグを入れ、同じアガロースで密封した。DNA断片を、CHEF−DR IIIパルスフィールドシステム(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、14℃に維持した0.5倍のTBE泳動用緩衝液中で6V/cmで18時間分離させた。直線的に増加するパルス時間を選択した。断片の分離には、1秒から15秒の直線的に増加するパルス時間を使用した。光制限条件下で、ゲルを0.5μg/mlの臭化エチジウムを含有する蒸留水で120分間染色した。
PFGEバンドパターン分析
バンドパターンを、[107]で概説されているガイドラインを使用して手動で評価した。PFGE画像をBioNumerics7.6(Applied Maths)で処理し、各菌株のバンドのフィンガープリントを生成した。フィンガープリントのクラスター分析を、Jaccard類似度係数(フィンガープリント型の分析に推奨されている)及び算術平均を用いた非加重結合法(UPGMA)を使用して実施した。
結果
この試験で用いたDNA消化及び電気泳動の条件は、B.breve種のサブタイピングに有効であることが既に示されており[104]、B.breveの菌株を亜種レベルで識別するのに十分な解像度(10本を超える観察可能なバンド)を提供することが判明した。4/5の菌株の制限断片は明瞭であり、十分に分離されていた(図25)。クラスター分析(図26)により、菌株MRx0004の遺伝子型は、この試験において分析された他のB.breve菌株よりも、B.breve参照7の遺伝子型により近縁であることが示唆される。
実施例11−T細胞分化
T細胞分化を誘導するMRx0004の能力について、インビトロで末梢血単核細胞(PBMC、Stemcell、カタログ番号70025)を用いて調査した。簡潔に述べると、ウェル当たり50μlのcRPMI培地中、400,000/ウェルで、抗CD3(Ebioscience、CD3モノクローナル抗体(OKT3クローン)、機能的グレード、カタログ番号16−0037−81)を播種した96ウェルプレートに、PBMCを播種した(cRPMIは、RPMI 1640(+L−グルタミン、21875−034)2mM最終濃度ストック200mM、10%のHI FBS(Gibco life technologies、10082−147)、50μmのメルカプトエタノール(Gibco life technologies、21985−023)、及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(P4333、10mg/ml)を含む)。次いで、加熱死MRx0004(80℃で30分間インキュベートし、その後培養物をPBSで洗浄して、適切な細胞培地に再懸濁することにより調製し、生存数をプレーティングによって確認した)を、100μl/ウェル中に4,000,000個で各ウェルに添加した。37℃のインキュベータに3日間入れた後、細胞を取り出し、PMA−(Sigma、カタログ番号P8139)、イオノマイシン(Sigma、カタログ番号I3909)、及びGolgiSTOP(BD、カタログ番号554724)を含む培地に5時間再懸濁させた。PMAストックはDMSO中1mg/mlであり、これを100ug/mlにさらに希釈し(各試料でcRPMI中50ng/mlが必要であった)、イオノマイシンストックはDMSO中1mMであり(cRPMI中1μMを使用した)、GolgiStop濃度は4μl/6mlで使用した。上清を0.22μmフィルターに通し、共培養培地で適切に希釈した。
次に、細胞をフローサイトメトリー染色に供した。
洗浄後、これらの細胞を、PBS中で、生死判定用色素(Miltenyi biotecのViobility 405/520 Fixable Dye、1μl/試料)とヒトFcブロック(カタログ番号564219)(1μl/試料)とともに、暗所で室温において10分間インキュベートした。次に、表面抗体(CD3−APC−Vio 770(Miltenyi、カタログ番号130−113−136)、CD4−VioBlue(Miltenyi、カタログ番号130−114−534)、及びCD25−VioBright FITC(Miltenyi、カタログ番号130−113−283)、各2μl)を、暗所で室温において、10分間にわたってウェルに直接加えた。次に細胞をPBSで2回洗浄し、300g/5分/室温でスピンダウンした。
次に、eBioscience FoxP3転写因子染色緩衝液(カタログ番号00−5523)を使用して、細胞の固定及び透過処理を行った。eBioscienceのプロトコールに従い、1倍濃縮液及び3倍希釈剤を使用して、透過処理/固定緩衝液を調製した。細胞を室温で1時間固定し、次に1倍の透過洗浄液で2回洗浄し、300g/5分/室温でスピンダウンした。以下の細胞内染色抗体または転写因子抗体を、透過洗浄液(1倍)中の試料に加え、45分/暗所/室温で、または冷蔵庫で一晩(最長18時間)おいた後、透過洗浄液(300μl)を使用して抗体を2回洗浄し、PBS(250μl)に再懸濁して、サイトメーターで取得した。
Figure 2021534089

・抗IFNy−PE Vio770ヒト抗体(Miltenyi、カタログ番号130−114−025)
・抗IL10−PEヒト抗体(Miltenyi、カタログ番号130−112−728)
・抗IL17a−APCヒト抗体(Miltenyi、カタログ番号130−099−202)
・抗RoRyt−PEヒト抗体(Miltenyi、カタログ番号130−103−837)
・抗Tbet−APCヒト抗体(Miltenyi、カタログ番号130−098−655)
・Foxp3モノクローナル抗体(236A/E7)、Pe cy7(ebioscience)カタログ番号25−4777−41
図27〜図28に見られるように、MRx0004の上清(SP4)及び加熱死MRx0004(HK4)のいずれも、分化を誘導するサイトカインの不存在下(サイトカインなし)であっても、それぞれヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞の分化を誘導することが可能であった。
Figure 2021534089
Figure 2021534089
Figure 2021534089
Figure 2021534089
1×10cfu inに正規化した、3回の生物学的反復試験からのペプチドスペクトルマッチの平均値及び対応する標準偏差値。
RASTによりアノテーションされたサブシステムカテゴリの分布[114、115]。n.a.:未割り当て。
PSORTb v3.0(Yu et al.,2010a)を使用して予測された細胞局在化。C:細胞質、CM:細胞膜、CW:細胞壁、E:細胞外、n.d.:未特定。
Proteome Discoverer(Thermo Scientific,Waltham,MA,USA)により算出したパラメータ。MW:分子量、pI:等電点。
Figure 2021534089
Figure 2021534089
3回の生物学的反復試験からのペプチドスペクトルマッチの平均値及び対応する標準偏差値。n.d.:未検出。
RASTによりアノテーションされたサブシステムカテゴリの分布[116、114]。n.a.:未割り当て。
PSORTb v3.0を使用して予測された細胞局在化[117]。C:細胞質、CM:細胞膜、CW:細胞壁、E:細胞外、n.a.:未割り当て。
Figure 2021534089
総タンパク質1μg当たりに正規化した、3回の生物学的反復試験からのペプチドスペクトルマッチの平均値及び対応する標準偏差値(SD)。n.d.:ペプチド未検出。
RASTによりアノテーションされたサブシステムカテゴリの分布[116、114]。n.a.:サブカテゴリ割り当てなし。
Figure 2021534089
Figure 2021534089
実施例12−MRx004は、脾臓において免疫刺激効果を有する。
要旨
この試験の目的は、脾臓におけるMRx0004のインビトロの免疫刺激特性を特性評価することであった。
材料及び方法
処理:未処理、10%YCFA及び10%Bifidobacterium breve菌株MRx0004。
脾細胞の調製
脾細胞を、6〜8週齢の雌C57BL/6マウスから単離した脾臓から新たに調製した。簡潔に述べると、脾細胞を、96ウェルプレート中の10%のFBS、2mMのL−グルタミン及び100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、55μMのβ−メルカプトエタノールを含むRPMI 1640に900,000細胞/ウェルで播種し、10%の細菌培地YCFA+(ブランク培地)またはMRx0518の静置培養物からの10%の無細胞細菌上清に静置またはそれらで刺激して、次に、CO2インキュベータ内で37℃で72時間インキュベートした。その後、無細胞上清を採取し、4℃、500gで5分間スピンダウンした。次に、サイトカイン分析のために試料を採取して−80℃で保管した。
MTTアッセイ
MTTアッセイキットは、Merck Millipore(カタログ番号CT01)から購入した。72時間のインキュベーション後、10μlのMTT溶液を各ウェルに添加し、細胞をCO2インキュベータ内で4時間インキュベートした。その後、100μlのイソプロパノール/0.04M HCL溶液を各ウェルに添加し、波長560nm及び参照波長655nmで吸光度を測定した。
サイトカイン分析
製造業者(Thermo Fischer Scientific)の推奨に従って26−plex Mouse ProcartaPlexマルチプレックスイムノアッセイを使用して、サイトカインの定量化を実施した。簡潔に述べると、MAGPIX(登録商標)MILLIPLEX(登録商標)システム(Merck)をxPONENTソフトウェア(Luminex,Austin,TX,USA)とともに用いて、50μlの無細胞の共培養上清をサイトカインの定量化に使用した。5パラメータロジスティック曲線及びバックグラウンド除去を用いた、MILLIPLEX(登録商標)analystソフトウェア(Merck)を使用してデータを分析し、平均蛍光強度をpg/ml値に変換した。
フローサイトメトリー
まず、細胞をViobility 405/520 Fixable Dye(Miltenyi Biotec Ltd.Bergisch Gladbach,Germany)で染色して、暗所で室温において10分間、生細胞と死細胞とを判別した。次に、細胞をCD3、CD4、CD8及びIFN−γに対する抗体の混合物で染色して、細胞の表現型を決定し(Miltenyi REA抗体)、室温でさらに10分間インキュベートした。次に、細胞を洗浄してPBSに再懸濁し、フローサイトメトリー分析によって直ちに分析した。最初の実験の際に、ゲートの設定を支援するためにすべての抗体に対してアイソタイプを使用し、すべての実験にわたりFMO対照を含めた。すべての実験は、BD FACS Aria IIを使用して実施し、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,Reading,UK)を使用して、「生(Live)」ゲート内に100,000細胞で設定した取得用のストップゲートを用いた。Flowjoバージョン10.4.2ソフトウェア(FlowJo LLC,Oregon,USA)を使用して分析を実施し、分析は、生死判定用色素で特定した生細胞に基づくものであった。
結果
処理後の脾細胞の生存率を、脾細胞の代謝活性を測定するMTTアッセイを使用して評価した。図29は、MRx0004による処理後に脾細胞が生存可能であることを示す。
図30は、MRx0004による処理により、IL−6、IL−17a、IL−22、TNF−α、RANTES、IFN−γ、CCL3、CCL4及びCXCL2をはじめとする脾臓の様々な炎症性サイトカインが増加したことを示す。これらのデータは、Bifidobacterium breve生菌が免疫系に対して刺激効果を有することを示す。MRx0004がCD8+ T細胞及びCD4+ T細胞を活性化してIFNγを生成する能力を、図31に示す。
実施例2及び11で論じたPBMCのデータを組み合わせると、これらのデータは、複数の組織においてT細胞の活性化及び炎症性サイトカインレベルの上昇により免疫系を刺激する、Bifidobacterium breve種に由来する細菌株の能力を裏付ける。
配列
配列番号1(アクセッション番号NCIMB 42380で寄託されたBifidobacterium breve菌株のコンセンサス16S rRNA配列)
GGGACAGGCTCAGGATGAACGCCGGCGGCGTGCTTAACACATGCAAGTCGAACGGGATCCATCGGGCTTTGCCTGGTGGTGAGAGTGGCGAACGGGTGAGTAATGCGTGACCGACCTGCCCCATGCACCGGAATAGCTCCTGGAAACGGGTGGTAATGCCGGATGCTCCATCACACCGCATGGTGTGTTGGGAAAGCCTTTGCGGCATGGGATGGGGTCGCGTCCTATCAGCTTGATGGCGGGGTAACGGCCCACCATGGCTTCGACGGGTAGCCGGCCTGAGAGGGCGACCGGCCACATTGGGACTGAGATACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGCGCAAGCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGGGATGGAGGCCTTCGGGTTGTAAACCTCTTTTGTTAGGGAGCAAGGCACTTTGTGTTGAGTGTACCTTTCGAATAAGCACCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGTGCAAGCGTTATCCGGAATTATTGGGCGTAAAGGGCTCGTAGGCGGTTCGTCGCGTCCGGTGTGAAAGTCCATCGCTTAACGGTGGATCCGCGCCGGGTACGGGCGGGCTTGAGTGCGGTAGGGGAGACTGGAATTCCCGGTGTAACGGTGGAATGTGTAGATATCGGGAAGAACACCAATGGCGAAGGCAGGTCTCTGGGCCGTTACTGACGCTGAGGAGCGAAAGCGTGGGGAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGGTGGATGCTGGATGTGGGGCCCGTTCCACGGGTTCCGTGTCGGAGCTAACGCGTTAAGCATCCCGCCTGGGGAGTACGGCCGCAAGGCTAAAACTCAAAGAAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGCGGAGCATGCGGATTAATTCGATGCAACGCGAAGAACCTTACCTGGGCTTGACATGTTCCCGACGATCCCAGAGATGGGGTTTCCCTTCGGGGCGGGTTCACAGGTGGTGCATGGTCGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTCGCCCCGTGTTGCCAGCGGATTGTGCCGGGAACTCACGGGGGACCGCCGGGGTTAACTCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAGATCATCATGCCCCTTACGTCCAGGGCTTCACGCATGCTACAATGGCCGGTACAACGGGATGCGACAGCGCGAGCTGGAGCGGATCCCTGAAAACCGGTCTCAGTTCGGATCGCAGTCTGCAACTCGACTGCGTGAAGGCGGAGTCGCTAGTAATCGCGAATCAGCAACGTCGCGGTGAATGCGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCAAGTCATGAAAGTGGGCAGCACCCGAAGCCGGTGGCCTAACCCCTGCGGGAGGGAGCCKC
配列番号2〜5−表7を参照されたい
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Claims (30)

  1. 対象の免疫系を刺激するのに使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物。
  2. 前記組成物が、対象の免疫不全症の処置に使用するためのものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記免疫不全症が、原発性免疫不全症または続発性免疫不全症である、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記原発性免疫不全症が選択される、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記続発性免疫不全症が、AIDS、白血病などの免疫系のがん、ウイルス性肝炎、多発性骨髄腫などの免疫複合体疾患から選択される、請求項3に記載の組成物。
  6. 前記組成物が、ワクチンアジュバントとして使用するためのものである、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記組成物が、免疫老化の処置、予防、または遅延に使用するためのものである、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記組成物が、CAR−Tなどの細胞療法を増強するのに使用するためのものである、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、IL−12p70、IL−12p70、IFNγ、IL−4、TNF−αならびに/またはIL−17αの発現レベル及び/もしくは活性の上昇に使用するためのものである、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
  10. 前記組成物が、TLR2を刺激するのに使用するためのものである、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 前記組成物が、NFκBを刺激するのに使用するためのものである、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 前記細菌株が、完全な菌体外多糖遺伝子座を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
  13. 前記細菌株が、プルラナーゼを発現する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
  14. 細菌感染症の処置または予防に使用するための、Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物。
  15. 前記組成物が、胃腸細菌感染症の処置または予防に使用するためのものである、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記組成物が、グラム陰性菌感染症の処置または予防に使用するためのものである、請求項14または請求項15に記載の組成物。
  17. 前記細菌株が、配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%もしくは99.9%同一である16s rRNA遺伝子配列を有するか、または配列番号1によって表される16s rRNA遺伝子配列を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
  18. 前記細菌株が、ラフィノースを発酵させることができる、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
  19. 前記細菌株が、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼ、α−アラビノース、マンノース及びラフィノースのうちの1または2以上、例えば2、3、4、5、6または7つすべてを発酵させることができる、請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
  20. 前記細菌株が、アクセッション番号42380でNCIMBに寄託された菌株である、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
  21. 経口投与用である、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
  22. 前記組成物が、1もしくは2以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の組成物。
  23. 前記細菌株が、凍結乾燥されている、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
  24. Bifidobacterium breve種の細菌株を含む組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、免疫刺激の低減に関連する疾患もしくは状態を処置または予防する方法。
  25. 請求項1〜19のいずれかに記載された細菌株の細胞を含む組成物であって、前記細胞が1または2以上の異種抗原を発現する、前記組成物。
  26. 前記細胞が、前記1または2以上の異種抗原を提示する、請求項25に記載の組成物。
  27. ワクチンとして使用するための、請求項25または請求項26に記載の組成物。
  28. 請求項1〜23のいずれかに記載された細菌株の細胞であって、前記細胞が1または2以上の異種抗原を発現する、前記細胞。
  29. 前記細胞が、前記1または2以上の異種抗原を提示する、請求項28に記載の細胞。
  30. ワクチンとして使用するための、請求項28または請求項29に記載の細胞。
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