JP2021532191A - アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための方法に関する。本発明はさらに、アルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための方法に使用するためのエンパグリフロジンに関する。さらに、本発明は、アルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための薬剤の製造のためのエンパグリフロジンの使用に関する。加えて、本発明は、特に上記および下記の方法において使用するための、エンパグリフロジンを含む医薬組成物に関する
遺伝性腎炎とも呼ばれるアルポート症候群(AS)は、腎不全、聴力損失、前部円錐水晶体および網膜斑点に可変的に関連する血尿の糸球体腎炎に特徴を有する遺伝的異質性疾患である。さらに、アルポート症候群は、異常コラーゲンIV組成物を有するラメラ状の糸球体基底膜(GBM)に特徴を有する。アルポート症候群は、糸球体、蝸牛、角膜、水晶体、および網膜における成熟基底膜の主要なコラーゲン成分である、コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着または機能を損なう突然変異によって引き起こされるものとして記載されている。X連鎖型のアルポート症候群は、コラーゲンIVアルファ5鎖をコードするCOL4A5の突然変異に起因する。染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ3およびアルファ4鎖をそれぞれコードする、COL4A3およびCOL4A4における突然変異によって、アルポート症候群の常染色体形態が生じる。COL4A3またはCOL4A4の両方の対立遺伝子における突然変異は、常染色体劣性伝達に関連し、一方、ヘテロ接合性突然変異は、常染色体優性疾患を引き起こす。個体が糸球体性血尿または腎不全を有し、また、アルポート症候群の家族歴または他の明らかな原因がない腎不全を有する場合には、アルポート症候群の診断が疑われる。アルポート症候群の診断は、糸球体性血尿症やアルポート症候群の家族歴がある場合;左右の高トーン感音性聴力損失、円錐水晶体、または斑点網膜症が存在する場合;またはGBMがコラーゲンIVアルファ5鎖を欠いている場合には、高い可能性がある。[O. Gross et al., Nephrol. Dial. Transplant(2017)32: 916-924; J. Savige et al., J. Am. Soc. Nephrol. 24: 364-375, 2013; C. Kashtan, F1000Research 2017, 6 (F1000 Faculty Rev):50]。タンパク尿、聴力損失、円錐水晶体、網膜症、およびGBMコラーゲンIV a5鎖の減少したレベルは、全て、男性における早期発症腎不全の可能性の増加と相関する。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を投与して、タンパク尿を減少させる。アンジオテンシン受容体遮断薬およびアルドステロン阻害剤は、タンパク尿のためのさらなる利点を有する。[J. Savige et al., dto.]。約10,000人の小児および約25,000人の成人がヨーロッパではアルポート症候群を有すると診断され、また、アルポート症候群の米国ステージは、血尿(血液の混じった尿)、微量アルブミン尿、タンパク尿、糸球体濾過量(GFR)から約22〜45歳の年齢での透析の開始を伴う末期腎不全(ESKD)までである。現在まで、アルポート症候群のための治癒的治療がなく、RAS遮断薬による介入にもかかわらず、アルポート症候群を有する大部分の患者は、腎機能の進行性消失に直面し続け、ESKDの高いリスクを維持するであろう。従って、既に現在の標準治療を受けかつ高いESKDリスクのままである患者が含まれる、アルポート症候群を有する患者に対して可能性のある新規な治療選択を探索するために満たされていない高度の医療が求められている。
1つの態様において、本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群を治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるかまたは腎機能障害を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における慢性腎疾患の進行を遅延させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における糸球体高血圧を治療または軽減するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、アルポート症候群と診断された患者におけるタンパク尿の進行を減速または逆転させることが含まれる治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における糸球体濾過量を改善させるかまたは糸球体濾過量の低下を遅延もしくは減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。この態様の変形によれば、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における、例えば透析の開始を伴う、末期腎疾患(ESKD)への糸球体濾過量の低下を遅延または減速させる方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
本発明はさらに、方法において、特に本明細書に記載の疾患または状態のいずれか1つにおける治療のための方法において、使用するためのエンパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、薬剤の製造に使用するための、特に本明細書に記載の方法のいずれか1つに使用するための、エンパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを含む医薬組成物を提供する。
本発明に従う方法および使用において、エンパグリフロジンは、1種以上の他の治療薬と組合せて患者に投与されてもよい。
本発明に従うエンパグリフロジンを含む医薬組成物は、1種以上の他の治療薬を含むことができる。
本発明のさらなる態様は、上記および下記の説明ならびに実施例によって、当業者に明らかになるであろう。
本発明に従う医薬組成物の用語「有効成分」は、本発明に従うSGLT2阻害剤エンパグリフロジンを意味する。「有効成分」は、本明細書では「活性物質」と呼ばれることもある。
用語「エンパグリフロジン」は、例えばWO 2005/092877号に記載されているように、下記式
用語「予防的治療」、「防止的治療」および「防止する」は、互換的に使用され、前に述べた状態を発症するリスクのある患者の治療を含み、従って、上記リスクを低減する。
用語「錠剤」は、コーティングを含まない錠剤および1つ以上のコーティングを有する錠剤を含む。さらに、「用語」錠剤は、1、2、3またはそれ以上の層を有する錠剤およびプレスコーティング錠を含み、これらの種類の錠剤の各々は、1つ以上のコーティングなしであってもよく、または1つ以上のコーティングを有していてもよい。用語「錠剤」はまた、ミニ錠、溶解錠、咀嚼錠、発泡錠および口腔内崩壊錠を含む。
用語「アルポート症候群」は、患者に見られるような下記の症状のうちの1つ以上に特徴を有する:
a)腎不全、聴力損失、前部円錐水晶体および網膜斑点と可変的に関連する血尿または血尿糸球体腎炎;
b)異常なコラーゲンIV組成を有するラメラ状の糸球体基底膜(GBM);
c)コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着、または機能を損なう1つ以上の突然変異;
d)コラーゲンIVアルファ5鎖をコードする、COL4A5における1つ以上の突然変異;
e)コラーゲンIVアルファ3鎖をコードする、COL4A3における1つ以上の突然変異;
f)コラーゲンIVアルファ4鎖をコードする、COL4A4における1つ以上の突然変異;
g)コラーゲンIVアルファ3鎖およびアルファ4鎖をコードする、それぞれCOL4A3およびCOL4A4における1つ以上の突然変異。
アポート症候群は、X連鎖型の、常染色体優性または常染色体劣性であってもよい。
用語「血尿糸球体腎炎」は、ネフロンの患部糸球体に起因する尿中の赤血球の存在に特徴を有する症状として定義される。
用語「タンパク尿」は、尿中に過剰なタンパクが存在している状態として定義される。尿中のタンパク量は、通常、濃度としてmg/dlで測定される。尿中のタンパク濃度を尿試料中のクレアチニンレベルと比較できる。これをタンパク/クレアチニン比(PCR)と呼ぶ。通常、タンパク尿は、45mg/mmolよりも大きいタンパク/クレアチニン比(PCR)として規定され、これは、30mg/mmolよりも大きいかまたは約300mg/gよりも大きいアルブミン対クレアチニン比(ACR)と等価である。
用語「eGFR」は、推定された糸球体濾過量(GFR)を意味する。GFRは、腎臓を通る濾過された流体の流量を記述する。推定GFRは、例えば、慢性腎臓病疫学(CKD-EPI)式、コッククロフト・ゴールト式または腎疾患における食事改善(MDRD)式(これらは当該技術において、全て公知である)を使用して血清クレアチニン値に基づいて計算され得る。本発明の一態様によれば、推定糸球体濾過量(eGFR)は、CKD-EPI式に基づいて、血清クレアチニン値、年齢、性別および人種から誘導される:
GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.209×0.993Age×1.018[女性の場合]×1.159[黒人の場合]
(ここで、
Scrは、血清クレアチニン、mg/dLであり、
κは、女性で0.7、男性では0.9であり、
αは、女性で-0.329、男性では-0.411であり、
minは、Scr/κの最小値または1を示し、
maxは、Scr/κの最大値または1を示す)。
正常腎機能(CKDステージ1):eGFR≧90mL/分/1.73m2
軽度腎障害(CKDステージ2):eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2
中程度腎障害(CKDステージ3):eGFR≧30〜<60mL/分/1.73m2
重度腎障害(CKDステージ4):eGFR≧15〜<30mL/分/1.73m2
腎不全(CKDステージ5):eGFR<15mL/分/1.73m2
本発明によれば、中程度の腎障害をさらに2つのサブステージに分割できる:
中程度Aの腎障害(CKD3A):eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2
中程度Bの腎障害(CKD3B):eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2
用語「慢性腎疾患(CKD)」は、健康に影響を与える、特に3ヶ月を超えて存在する腎臓構造または機能の異常として定義される。CKDは、原因、GFR分類、アルブミン尿分類(CGA)に基づいて区分される。CKDは5段階に分類され、ステージ1は、正常なGFR(mL/分/1.73m2)が90以上の腎臓損傷であり;ステージ2は、GFRの穏やかな減少を伴う腎臓損傷であり(GFR60〜89);ステージ3は、GFRの中程度の減少であり(GFR(30〜59)、ステージ4は、GFRの重度の減少であり(GFR15〜29)、ステージ5は、腎不全である(GFR<15または透析)。ステージ3は、ステージ3A(これはGFRの緩やかな減少から中程度の減少(GFR45〜59)である)およびステージ3B(これはGFRの中程度の減少から重度の減少(GFR30〜44)である)に細分されている。
尿中グルコース排泄の増加に起因する血糖コントロールおよび体重減少の改善を超えて、エンパグリフロジンは利尿効果、動脈硬化の減少および直接血管作用を示す(Cherney et al., Cardiovasc Diabetol. 2014;13:28; Cherney et al., Circulation. 2014;129:587-597)。EMPA-REG OUTCOMETMの研究において、エンパグリフロジンが2型糖尿病および高い心血管リスクを有する患者における心血管死、心不全での入院および全体的な死亡率のリスクを減少させることが証明された(Zinman et al., N Engl J Med. 2015;373:2117-2128)。エンパグリフロジンによる治療が心拍数の臨床的に関連した変化のない血圧低下につながり、これにより、心臓の酸素消費量の代用マーカーである心拍数×収縮期血圧(RPP)が改善されることが観察された。さらに、利尿薬で観察される増加とは対照的に、臨床的に関連する反射媒介性交感神経活性化に関連していないことが見出された。腎臓内の改変されたグルコースおよびナトリウム勾配が、交感神経抑制作用のある腎神経信号を生成し得ると仮定できる。交感神経活性化の欠如は、エンパグリフロジンの有益な心血管および腎プロファイルに寄与し得る(心腎軸)。2型糖尿病および確立された心血管疾患を有する患者におけるEMPA-REG OUTCOMETM試験の二次アウトカム分析において、エンパグリフロジンは腎疾患の進行が遅くなり、臨床的に関連する腎臓事象(包括的な末期腎疾患)のリスクが低減される。エンパグリフロジンの腎臓への影響は、ベースラインで一般的な慢性腎疾患(CKD)を有するかまたはそれを伴わない患者において一貫し、全体的な結果は、RAS遮断薬を使用して血圧が充分に管理されている患者の集団において観察された。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群の徴候または症状には、血尿、タンパク尿、円柱尿、白血球尿、高血圧、浮腫、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿、明白なアルブミン尿、糸球体濾過量の低下、間質性線維症、間質炎、尿細管損傷、GBMの超微細構造の異常、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、末期腎疾患、慢性貧血、マクロ血小板減少症、骨形成異常症、感音性難聴、前部円錐水晶体、ドットアンドフレック網膜症、後部多形性角膜変性症、 再発性角膜びらん、一時的黄斑菲薄化、白内障、流涙、羞明、視力喪失、円錐角膜、および平滑筋腫症、特に、タンパク尿、高血圧、浮腫、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿、明白なアルブミン尿、糸球体濾過量の低下、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、末期腎疾患のうちの1つ以上が含まれる。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群と診断された患者における末期腎疾患(ESKD)の発症を遅延させるための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるかまたはの腎機能の障害を遅延または減速させるための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明のこの態様の変形によれば、アルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させるための方法が提供される。
本発明のこの態様の変形によれば、患者における腎機能は、GFRまたはeGFRのいずれかとして決定される。
この変形によれば、腎機能を改善させることまたは腎機能障害を遅延または減速させることは、eGFRの低下を減速させること、例えば、eGFRの進行性低下を減速させることである。この実施形態の別の態様によれば、腎機能の改善は、eGFRの改善により診断される。
本発明のこの態様の変形によれば、患者における腎機能はPCR(タンパク−クレアチニン比)、ACR(アルブミン−クレアチニン比)またはUACR(尿中アルブミン−クレアチニン比)として決定する。
この変形によれば、腎機能を改善させるかまたは腎機能の障害を遅延または減速させることは、PCR、ACRまたはUACRの増加を減速させること、例えば、PCR、ACRまたはUACRの進行性の増加を減速させることである。この実施形態の別の態様によれば、腎機能の改善は、PCR、ACRまたはUACRの改善により診断される。
−eGFRの低下、例えばeGFRの年間の低下、
−アルブミン尿、
−タンパク尿、
−新たなアルブミン尿の発症
−末期腎疾患(ESKD)
−アルブミン尿なしから微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿への進行、
−微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への進行
−顕性アルブミン尿から末期腎疾患(ESKD)への進行
−eGFR(腎疾患における食事改善(MDRD)式に基づく)≦45mL/分/1.73m2を伴う血清クレアチニンレベルの倍化
−≧30%、≧40%、≧50%または≧57%のeGFR(CKD-EPI)持続減少、特に≧40%のeGFR(CKD-EPI)の持続減少、
−ベースラインeGFR≧30mL/分/1.73m2を有する患者でeGFR(CKD-EPI)<15mL/分/1.73m2持続、
−ベースラインeGFR<30mL/分/1.73m2を有する患者でeGFR(CKD-EPI)<10mL/分/1.73m2持続、
−持続的腎代替療法の必要性、
−透析治療、特に慢性透析治療の必要性、
−腎移植を受ける必要性、
−腎不全に起因する死。
本発明のこの態様によれば、患者は、下記の群のうちの1つ以上に従う腎機能の低下を有し得る
a)軽度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)60〜89mL/分/1.73m2、
b)中程度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜59mL/分/1.73m2、
c)中程度Aの腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)45〜59mL/分/1.73m2、
d)中程度Bの腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜44mL/分/1.73m2、
e)重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜29mL/分/1.73m2、
f)軽度から重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜89mL/分/1.73m2、
g)中程度から重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜59mL/分/1.73m2、
h)軽度から中程度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜89mL/分/1.73m2、
i)糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)20〜74mL/分/1.73m2。
本発明の一態様によれば、患者は、例えばスクリーニングの際にCKD-EPIを介して決定される、75mL/分/1.73m2の糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)を有する腎機能低下を有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は20mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は30mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は45mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、タンパク尿、例えば1日当たり200mg以上のタンパク(24時間尿タンパク)の上昇したレベルを有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、300mg/gクレアチニン以上のタンパク対クレアチニン比(PCR)の上昇を有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、200mg/gクレアチニン以上のアルブミン対クレアチニン比(ACR)の上昇を有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、10.0g/gクレアチニン以下のPCRを有する。
本発明の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
さらに、軽度から重度の減少した腎機能、eGFR≧15〜<90mL/分/1.73m2またはeGFR≧20〜<75mL/分/1.73m2、およびアルブミン尿、特に顕性アルブミン尿、例えば200mg/gクレアチニン以上のUACRによりアルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させる方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
さらに、軽度から重度の減少した腎機能、例えばeGFR≧15〜<90mL/分/1.73m2またはeGFR≧20〜<90mL/分/1.73m2、およびアルブミン尿、特に顕性アルブミン尿、例えば500mg/gクレアチニン以上のUACRによりアルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させる方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
本発明の一態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着または機能の障害を表示する。
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A5の発現の障害または低減を表示する。COL4A5は、コラーゲンIVアルファ5鎖をコードする。
本発明のさらに別の態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A3の発現の障害または低減を表示する。COL4A3は、染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ3鎖をコードする。
本発明のさらに別の態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A4の発現の障害または低減を表示する。COL4A4は、染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ4鎖をコードする。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A5に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A3に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A4に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A3およびCOL4A4に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の一態様によれば、患者は、アルポート症候群を有すると診断される。この態様の変形によれば、患者は、X染色体連鎖型アルポート症候群を有すると診断される。この態様の別の変形によれば、患者は、常染色体優性または常染色体劣性アルポート症候群を有すると診断される。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり2.5mgの用量で患者に投与される。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり5mgの用量で患者に投与される。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり10mgの用量で患者に投与される。
本発明の別の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり25mgの用量で患者に投与される。
エンパグリフロジンは、1日1回、患者に経口投与することが好ましい。
従って、一実施形態によれば、本発明に従う医薬組成物または剤形は、エンパグリフロジンを0.5〜25mg、特に2.5〜25mg、例えば0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mgまたは25mgの量で含む。例えば、本発明に従う固形医薬組成物または剤形は、2.5mg、5mg、10mgまたは25mgのエンパグリフロジンを含む。
さらに、本発明に従う医薬組成物の投与は、低血糖のリスクがないかまたはそのリスクが低くなることが見出され得る。従って、本発明に従う治療または予防は、低血糖のリスクの増大を示すかまたはそれを有する患者においても有利に可能である。
エンパグリフロジンの投与によりSGLT2阻害活性に基づいて患者の尿中に過剰の血中グルコースが排出されるので、患者の体重増加がなくまたは体重の減少さえも生じ得る。従って、本発明に従う方法は、有利には、過体重および肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓肥満、腹部肥満からなる群から選択される1つ以上の症状が診断されたアルポート症候群を有する患者に適している。加えて、本発明に従う方法は、有利には、体重増加が禁忌である患者に適している。
さらに、エンパグリフロジンは、血圧を低下させることが期待される。従って、エンパグリフロジンは、有利には、血圧低下が必要とされているアルポート症候群を有する患者に適している。
さらに、エンパグリフロジンは、ヘマトクリットおよびヘモグロビンのレベルを増加させることが期待される。従って、エンパグリフロジンは、有利には、ヘマトクリットおよびヘモグロビンのレベルの増加が必要とされているアルポート症候群を有する患者に適している。
本発明の一実施形態によれば、エンパグリフロジンは、1種以上の他の治療物質と組合せて患者に投与される。併用投与は、同時に、別々に、または順次に投与できる。
本発明のこの実施形態の1つの態様において、この1種以上の他の治療物質は、アルポート症候群の症状の治療または軽減に必要とされている活性物質、特に、アルブミン尿、タンパク尿、腎機能障害および/または高血圧を治療する物質から選択される。
例えば、エンパグリフロジンは、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される1種以上の活性物質と組合わせて投与される、
さらに、本発明はまた、エンパグリフロジンと、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に活性な成分とを含む、医薬組成物または医薬剤形、例えば錠剤またはカプセルに関する。
・カンデサルタン(アタカンド)、4mg、8mg、16mg、または32mgのカンデサルタンシレキセチル
・エプロサルタン(テベテン)、400mgまたは600mg
・イルベサルタン(アバプロ)、75mg、150mg、または300mgのイルベサルタン。
・ロサルタン(コザール)、25mg、50mgまたは100mgのロサルタンカリウム
・テルミサルタン(ミカルディスHCT)、40mgまたは80mg
・テルミサルタン(ミカルディスHCT)、40mg/12.5mg、80mg/12.5mg、および80mg/25mgの各々テルミサルタンおよびヒドロクロロチアジド
・テルミサルタン/アムロジピン(トウィンスタ)、40mg/5mg、40mg/10mg、80mg/5mgおよび80mg/10mgの各々テルミサルタンおよびアムロジピン
・バサルタン(ディオバン)、40mg、80mg、160mgまたは320mgのバルサルタン
・ベナゼプリル(ロテンシン)、5mg、10mg、20mg、および40mgを経口投与用として
・カプトプリル(キャポテン)、12.5mg、25mg、50mg、および100mgを経口投与用分割錠として
・エナラプリル(バソテック)、2.5mg、5mg、10mg、および20mgの経口投与用錠剤
・フォシノプリル(モノプリル)、経口投与用に10mg、20mg、および40mgの錠剤として
・リシノプリル(プリニビル、ゼストリル)、5mg、10mg、20mgの経口投与用錠剤
・モエキシプリル(ユニバスク)、7.5mgおよび15mgを経口投与用として
・ペリンドプリル(アセオン)、2mg、4mgおよび8mgの経口投与用強度
・キナプリル(アキュプリル)、5mg、10mg、20mg、または40mgのキラプリルを経口投与用として
・ラミプリル(アルテース)、1.25mg、2.5mg、5mg、10mg
・トランドラプリル(マビック)、1mg、2mg、または4mgのトランドプリルを経口投与用として
・アセブトロール(セクトラール)、200mgまたは400mgの塩酸塩としてのアセブトロール
・アテノロール(テノルミン)、25mg、50mgおよび100mgの経口投与用錠剤
・ベタキソロール(ケルロン)、10mgおよび20mgの経口投与用錠剤
・ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(ジアック)、2.5/6mg、5/6.25mg、10/6.25mg
・ビソプロロール(ゼベタ)、5mgおよび10mgの経口投与用錠剤
・メトプロロール(ロプレッサー、トプロールXL)、50mgおよび100mgの経口投与用錠剤および5mLの静脈内投与用アンプルで
・プロプラノロール(インデラル)、10mg、20mg、40mg、60mg、および80mgの経口投与用錠剤
・チモロール(ブロカドレン)、5mg、10mgまたは20mgのチモロールマレイン酸塩を経口投与用として
・スピロノラクトン(例えば、アルダクトン)、25mgまたは50mgを1日1回または2日に1回
・エプレレノン(例えば、インスプラ)、25mgまたは50mgを1日1回
・アミロライド(ミダモル)、5mgの無水アミロライドHCl
・ブメタニド(ブメックス)、分割錠として入手可能、0.5mg(淡緑色)、1mg(黄色)および2mg(桃色)を経口投与用として
・クロロチアジド(ディウリル)、
・クロルタリドン(ハイグロトン)
・フロセミド(ラシックス)
・ヒドロクロロチアジド(エシドレックス、ヒドロジウリル)
・インダパミド(ロゾール)およびスピノラクトン(アルダクトン)
・エプレレノン(インスプラ)
アンギオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)の一例は、バルサルタンとサクビトリル(エントレスト)との組合せである。
血圧を低下させる薬剤の例としては、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、利尿薬およびカルシウムチャンネル遮断薬が挙げられる。
この実施形態の1つの態様において、上記薬剤またはアルポート症候群の症状を治療または軽減する他の治療物質の数、投与量および/または投薬計画は上記患者において低減され、一方、エンパグリフロジンの投与は開始および/または継続される。
上記のグループにおける活性物質の例は、当業者に公知であり、それらの用量強度、投与スキームおよび製剤が含まれる。
本発明の範囲内で、本発明に従い組合せたこれらの組合せ、組成物または投与が、活性成分または有効成分の同時、順次または別々の投与を想定できることは理解されるべきである。
これに関連して、本発明の意味の範囲内の「組合せ」または「組合せた」には、限定されることなく、固定された、また、固定されていない(例えば自由な)形態(キットを含む)および使用、例えば、活性成分または有効成分の同時、順次または別々の使用が含まれてもよい。
本発明の併用療法のために、活性成分または有効成分を別々に投与する(これは、それらが別々に製剤化されることを意味する)かまたは全部製剤化されてもよい(これは、それらが同じ調製でまたは同じ剤形で製剤化されることを意味する)。従って、本発明の組合せの一方の要素の投与は、組合せのもう一方の要素の投与の前、同時またはそれに続いてであってもよい。
特記しない限り、併用療法は、第一選択療法、第二選択療法もしくは第三選択療法、または初期の併用療法もしくは追加の併用療法もしくは置換療法を指すことができる。
本発明に従う方法は、上記および下記の疾患および/または状態の長期治療または予防に特に適している。上文および下文で使用される用語「長期」は、12週間より長い期間、好ましくは25週間より長い期間、さらに好ましくは1年より長い期間で患者を治療するかまたは患者に投与することを示す。
本発明に従う医薬組成物および方法は、上記のこれらの疾患および状態の治療および予防に有利な効果を示す。さらに有利な効果は、例えば、有効性、投与強度、投与頻度、薬力学的性質、薬物動態学的性質、より少ない副作用、利便性、コンプライアンスなどに対して見ることができる。
エンパグリフロジンの製造方法は、当業者に知られている。有利には、本発明に従うエンパグリフロジンは、先に引用した特許出願を含む文献に記載されているような合成法を用いて調製できる。好ましい製造方法は、WO 2006/120208号およびWO 2007/031548号に記載されている。エンパグリフロジンに関して、有利な結晶形態は、国際特許出願WO 2006/1117359号に記載されており、その全体が本明細書に援用されている。
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点は、以下の実施例から明らかになるであろう。以下の実施例は、例として、本発明の原理を制限することなく例示するのに役立つ。
アルポート症候群を有する患者の関連集団におけるエンパグリフロジンによる治療の腎機能への長期間の影響および他のパラメータを下記のように調べる:
エンパグリフロジンを患者に無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験において投与して、エンパグリフロジンによる治療、例えば1日に1回10mgを、アルポート症候群を有する患者の標準治療に対するアドオン療法としてのプラセボと比較する。これらの患者の持続時間は、好ましくは、例えば24、48、50、52、102または104週間の長期治療であり、これには、例えば2週間の治療後のフォローアップ期間が含まれてもよい。
アルポート症候群(遺伝性腎炎)の診断には、アルポート症候群が示唆する腎不全および難聴の家族歴、または皮膚もしくは腎生検で証明された診断、または分子遺伝的試験による診断が含まれる。
−eGFR<75ml/分/1.73m2、例えば、スクリーニングの際にCKD-EPIにより決定される、および
−尿タンパク−クレアチニン比(PCR)≧300mg/gクレアチニンとして規定される高レベルのタンパク尿または非常に高レベルのアルブミン尿、すなわち、UACR≧200mg/gクレアチニンとして規定される、特にUACR≧300mg/gクレアチニンとして規定される顕性アルブミン尿。
または
−eGFR<90ml/分/1.73m2、例えば、スクリーニングの際にCKD-EPIにより決定される、および
−UACR≧500mg/gクレアチニンとして規定される、非常に高レベルのアルブミン尿。
−UACR≧300mg/gクレアチニンとして規定される高レベルのアルブミン尿。
特に、上記PCRは、スクリーニングの際におよびスクリーニング前の12ヶ月以内に少なくとももう1つのさらに文書化された機会に存在しなければならない。
患者は、20ml/分/1.73m2以上の腎機能を有することが好ましい。さらに、患者は、10.0g/g以下のPCRを有することが好ましい
さらに、患者には、安定な単一RAS遮断基礎療法を有するもの、例えばACE阻害剤またはARBのいずれかが日用量を変えずに含まれる。
患者は成人患者である。さらに、この研究には、青年患者(例えば年齢10〜18歳)および/または子供(例えば、年齢2〜10歳または6〜10歳)が含まれてもよい。
重要な副次評価項目は、尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR、mg/gクレアチニン)におけるベースラインからの変化、例えば、ベースラインからのパーセント変化の時間加重平均値に関連する。
さらに副次評価項目は下記のものである
−eGFRにおけるベースラインからの変化
−UACRにおけるベースラインからの変化
−PCRにおけるベースラインからの変化
−UACR分類の退行または進行
−体量および血圧のベースラインからの変化。
さらに、評価項目は下記に関連し得る
−時間経過に伴う腎機能のためのスロープ分析
−急速な腎機能低下の発生、例えば、年間低下が5ml/分/年以上
−代謝パラメータにおけるベースラインからの変化(例えば、FPG、脂質、尿酸)。
経口投与のための固形医薬組成物および剤形の以下の実施例は、本発明を実施例の内容に限定することなく、より完全に説明するのに役立つ。経口投与のための組成物および剤形のさらなる例は、WO 2010/092126号に記載されている。用語「活性物質」は、本発明に従うエンパグリフロジン、特にWO 2006/117359号およびWO 2011/039107号に記載されているようなその結晶形態を示す。
活性物質エンパグリフロジン2.5mg、5mg、10mgまたは25mgを含有する錠剤。この成分の量は、フィルムコーティングされた1錠当たりのmgで示される。
Claims (16)
- それを必要とする患者におけるアルポート症候群を治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるための方法または腎機能の障害を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- アルポート症候群と診断された患者における慢性腎疾患の進行を遅延させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- アルポート症候群と診断された患者における糸球体高血圧を治療または軽減するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- アルポート症候群と診断された患者におけるアルブミン尿および/またはタンパク尿の進行を減速または逆転させることを含む、治療のための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- アルポート症候群と診断された患者における糸球体濾過量を改善させるかまたは糸球体濾過量の低下を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
- 前記患者が、20mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 成人の前記患者が、75mL/分/1.73m2未満または90mL/分/1.73m2未満のeGFRを有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記患者が、300mg/gクレアチニン以上の上昇したタンパク対クレアチニン比(PCR)、1日当たり200mg以上のタンパクの上昇したレベルのタンパク尿(24時間尿タンパク)または200mg/gクレアチニン以上もしくは300mg/gクレアチニン以上の上昇したアルブミン対クレアチニン比(ACR)を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
- エンパグリフロジンが、前記患者に1日当たり1mg〜25mgの範囲の用量で投与される、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- エンパグリフロジンが、前記患者に1日当たり10mgの用量で投与される、請求項10記載の方法。
- エンパグリフロジンが、前記患者に1種以上の他の治療物質と組合せて投与される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
- 前記1種以上の他の治療物質が、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法に使用するためのエンパグリフロジンを含む医薬組成物。
- エンパグリフロジンをアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される1種以上の他の治療物質と組合せて含む、請求項14記載の医薬組成物。
- 1〜25mgの量のエンパグリフロジンを含む、請求項14または15記載の医薬組成物。
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