JP2021532191A - アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン - Google Patents

アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン Download PDF

Info

Publication number
JP2021532191A
JP2021532191A JP2021528482A JP2021528482A JP2021532191A JP 2021532191 A JP2021532191 A JP 2021532191A JP 2021528482 A JP2021528482 A JP 2021528482A JP 2021528482 A JP2021528482 A JP 2021528482A JP 2021532191 A JP2021532191 A JP 2021532191A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
patient
empagliflozin
alport syndrome
egfr
administering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021528482A
Other languages
English (en)
Inventor
アイナッテン マキシミリアン ヴォン
オリヴァー グロス
シビレ ジェニー ハウスケ
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
ゲオルク−アウグスト ウニヴェルジテート ゲッティンゲン スティフタング エーフェントリヘン レヒツ ウニヴェルジテーツメディツィーン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング, ゲオルク−アウグスト ウニヴェルジテート ゲッティンゲン スティフタング エーフェントリヘン レヒツ ウニヴェルジテーツメディツィーン filed Critical ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2021532191A publication Critical patent/JP2021532191A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7042Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings
    • A61K31/7048Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings having oxygen as a ring hetero atom, e.g. leucoglucosan, hesperidin, erythromycin, nystatin, digitoxin or digoxin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/2004Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/2009Inorganic compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/2004Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/2013Organic compounds, e.g. phospholipids, fats
    • A61K9/2018Sugars, or sugar alcohols, e.g. lactose, mannitol; Derivatives thereof, e.g. polysorbates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/2004Excipients; Inactive ingredients
    • A61K9/2022Organic macromolecular compounds
    • A61K9/205Polysaccharides, e.g. alginate, gums; Cyclodextrin
    • A61K9/2054Cellulose; Cellulose derivatives, e.g. hydroxypropyl methylcellulose
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/28Dragees; Coated pills or tablets, e.g. with film or compression coating
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/10Drugs for disorders of the urinary system of the bladder
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/12Drugs for disorders of the urinary system of the kidneys
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療および軽減するための方法、医薬組成物およびその使用であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法、医薬組成物およびその使用に関する。

Description

本発明の技術分野
本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための方法に関する。本発明はさらに、アルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための方法に使用するためのエンパグリフロジンに関する。さらに、本発明は、アルポート症候群、アルポート症候群に関連する様々な態様および症状を治療するための薬剤の製造のためのエンパグリフロジンの使用に関する。加えて、本発明は、特に上記および下記の方法において使用するための、エンパグリフロジンを含む医薬組成物に関する
本発明の背景
遺伝性腎炎とも呼ばれるアルポート症候群(AS)は、腎不全、聴力損失、前部円錐水晶体および網膜斑点に可変的に関連する血尿の糸球体腎炎に特徴を有する遺伝的異質性疾患である。さらに、アルポート症候群は、異常コラーゲンIV組成物を有するラメラ状の糸球体基底膜(GBM)に特徴を有する。アルポート症候群は、糸球体、蝸牛、角膜、水晶体、および網膜における成熟基底膜の主要なコラーゲン成分である、コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着または機能を損なう突然変異によって引き起こされるものとして記載されている。X連鎖型のアルポート症候群は、コラーゲンIVアルファ5鎖をコードするCOL4A5の突然変異に起因する。染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ3およびアルファ4鎖をそれぞれコードする、COL4A3およびCOL4A4における突然変異によって、アルポート症候群の常染色体形態が生じる。COL4A3またはCOL4A4の両方の対立遺伝子における突然変異は、常染色体劣性伝達に関連し、一方、ヘテロ接合性突然変異は、常染色体優性疾患を引き起こす。個体が糸球体性血尿または腎不全を有し、また、アルポート症候群の家族歴または他の明らかな原因がない腎不全を有する場合には、アルポート症候群の診断が疑われる。アルポート症候群の診断は、糸球体性血尿症やアルポート症候群の家族歴がある場合;左右の高トーン感音性聴力損失、円錐水晶体、または斑点網膜症が存在する場合;またはGBMがコラーゲンIVアルファ5鎖を欠いている場合には、高い可能性がある。[O. Gross et al., Nephrol. Dial. Transplant(2017)32: 916-924; J. Savige et al., J. Am. Soc. Nephrol. 24: 364-375, 2013; C. Kashtan, F1000Research 2017, 6 (F1000 Faculty Rev):50]。タンパク尿、聴力損失、円錐水晶体、網膜症、およびGBMコラーゲンIV a5鎖の減少したレベルは、全て、男性における早期発症腎不全の可能性の増加と相関する。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を投与して、タンパク尿を減少させる。アンジオテンシン受容体遮断薬およびアルドステロン阻害剤は、タンパク尿のためのさらなる利点を有する。[J. Savige et al., dto.]。約10,000人の小児および約25,000人の成人がヨーロッパではアルポート症候群を有すると診断され、また、アルポート症候群の米国ステージは、血尿(血液の混じった尿)、微量アルブミン尿、タンパク尿、糸球体濾過量(GFR)から約22〜45歳の年齢での透析の開始を伴う末期腎不全(ESKD)までである。現在まで、アルポート症候群のための治癒的治療がなく、RAS遮断薬による介入にもかかわらず、アルポート症候群を有する大部分の患者は、腎機能の進行性消失に直面し続け、ESKDの高いリスクを維持するであろう。従って、既に現在の標準治療を受けかつ高いESKDリスクのままである患者が含まれる、アルポート症候群を有する患者に対して可能性のある新規な治療選択を探索するために満たされていない高度の医療が求められている。
本発明の概要
1つの態様において、本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群を治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるかまたは腎機能障害を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における慢性腎疾患の進行を遅延させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における糸球体高血圧を治療または軽減するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における、微量アルブミン尿および顕性アルブミン尿が含まれるアルブミン尿の進行を遅延または逆転させることが含まれる治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、アルポート症候群と診断された患者におけるタンパク尿の進行を減速または逆転させることが含まれる治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
さらに別の態様においては、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における糸球体濾過量を改善させるかまたは糸球体濾過量の低下を遅延もしくは減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。この態様の変形によれば、本発明は、アルポート症候群と診断された患者における、例えば透析の開始を伴う、末期腎疾患(ESKD)への糸球体濾過量の低下を遅延または減速させる方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。
本発明はさらに、本明細書に記載される方法のいずれか1つにおいて薬剤として使用するためのエンパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、方法において、特に本明細書に記載の疾患または状態のいずれか1つにおける治療のための方法において、使用するためのエンパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、薬剤の製造に使用するための、特に本明細書に記載の方法のいずれか1つに使用するための、エンパグリフロジンまたはエンパグリフロジンを含む医薬組成物を提供する。
本発明に従う方法および使用において、エンパグリフロジンは、1種以上の他の治療薬と組合せて患者に投与されてもよい。
本発明に従うエンパグリフロジンを含む医薬組成物は、1種以上の他の治療薬を含むことができる。
本発明のさらなる態様は、上記および下記の説明ならびに実施例によって、当業者に明らかになるであろう。
定義
本発明に従う医薬組成物の用語「有効成分」は、本発明に従うSGLT2阻害剤エンパグリフロジンを意味する。「有効成分」は、本明細書では「活性物質」と呼ばれることもある。
用語「エンパグリフロジン」は、例えばWO 2005/092877号に記載されているように、下記式
Figure 2021532191
のSGLT2阻害剤1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノス-1-イル)-2-[4-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-ベンジル]-ベンゼンを意味する。合成の方法は、文献、例えば、WO 06/120208号およびWO 2011/039108号に記載されている。本発明によれば、エンパグリフロジンの定義はまた、その水和物、溶媒和物および多形形態、ならびにそれらのプロドラッグも含むことが理解されるべきである。エンパグリフロジンの有利な結晶形態は、WO 2006/117359号およびWO 2011/039107号に記載されており、それらの全体が本明細書に援用されている。この結晶形態は、SGLT2阻害剤の良好な生物学的利用能を可能にする良好な溶解性を有する。さらに、この結晶形態は物理化学的に安定であり、従って、医薬組成物の良好な貯蔵寿命安定性を与える。経口投与用の固形製剤、例えば錠剤のような好ましい医薬組成物は、WO 2010/092126号に記載されており、その全体が本明細書に援用されている。
用語「治療」および「治療する」は、上記症状を既に発現している、特に顕在的な形態の患者の治療的治療を含む。この治療的治療は、特定の適応症の症状を取り除くための対症療法または適応症の症状を逆転あるいは部分的に逆転させるかもしくは疾患の進行を停止あるいは遅らせるための原因療法であり得る。従って、本発明の組成物および方法は、例えば、長期間にわたる治療的治療だけでなく慢性治療のために使用され得る。
用語「予防的治療」、「防止的治療」および「防止する」は、互換的に使用され、前に述べた状態を発症するリスクのある患者の治療を含み、従って、上記リスクを低減する。
用語「錠剤」は、コーティングを含まない錠剤および1つ以上のコーティングを有する錠剤を含む。さらに、「用語」錠剤は、1、2、3またはそれ以上の層を有する錠剤およびプレスコーティング錠を含み、これらの種類の錠剤の各々は、1つ以上のコーティングなしであってもよく、または1つ以上のコーティングを有していてもよい。用語「錠剤」はまた、ミニ錠、溶解錠、咀嚼錠、発泡錠および口腔内崩壊錠を含む。
用語「薬局方(pharmacopoe)」および「薬局方(pharmacopoeias)」は、「第2の栄養補助食品によるUSP31-NF26」(米国薬局方)または「欧州薬局方6.3」(欧州医薬品品質部門、2000〜2009年)のような標準的な薬局方を意味する。
用語「アルポート症候群」は、患者に見られるような下記の症状のうちの1つ以上に特徴を有する:
a)腎不全、聴力損失、前部円錐水晶体および網膜斑点と可変的に関連する血尿または血尿糸球体腎炎;
b)異常なコラーゲンIV組成を有するラメラ状の糸球体基底膜(GBM);
c)コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着、または機能を損なう1つ以上の突然変異;
d)コラーゲンIVアルファ5鎖をコードする、COL4A5における1つ以上の突然変異;
e)コラーゲンIVアルファ3鎖をコードする、COL4A3における1つ以上の突然変異;
f)コラーゲンIVアルファ4鎖をコードする、COL4A4における1つ以上の突然変異;
g)コラーゲンIVアルファ3鎖およびアルファ4鎖をコードする、それぞれCOL4A3およびCOL4A4における1つ以上の突然変異。
アポート症候群は、X連鎖型の、常染色体優性または常染色体劣性であってもよい。
用語「血尿」は、尿中の赤血球の存在に特徴を有する状態として定義される。
用語「血尿糸球体腎炎」は、ネフロンの患部糸球体に起因する尿中の赤血球の存在に特徴を有する症状として定義される。
用語「タンパク尿」は、尿中に過剰なタンパクが存在している状態として定義される。尿中のタンパク量は、通常、濃度としてmg/dlで測定される。尿中のタンパク濃度を尿試料中のクレアチニンレベルと比較できる。これをタンパク/クレアチニン比(PCR)と呼ぶ。通常、タンパク尿は、45mg/mmolよりも大きいタンパク/クレアチニン比(PCR)として規定され、これは、30mg/mmolよりも大きいかまたは約300mg/gよりも大きいアルブミン対クレアチニン比(ACR)と等価である。
用語「アルブミン尿」は、正常の量を超えるアルブミンが尿中に存在する状態として定義される。アルブミン排泄速度(AER)および/または尿中アルブミン対クレアチン比(ACR)(UACRともいう)によりアルブミン尿を判定できる。CKDにおけるアルブミン尿の分類は、下記のように定義される:

Figure 2021532191
分類A1は、アルブミン尿を反映せず、分類A2は、微量アルブミン尿を反映し、分類A3は、顕性アルブミン尿を反映している。分類A1の進行は、通常、微量アルブミン尿(A2)に至るが、顕性アルブミン尿(A3)も直接生じることがあり得る。微量アルブミン尿(A2)の進行により、顕性アルブミン尿(A3)が生じる。
用語「eGFR」は、推定された糸球体濾過量(GFR)を意味する。GFRは、腎臓を通る濾過された流体の流量を記述する。推定GFRは、例えば、慢性腎臓病疫学(CKD-EPI)式、コッククロフト・ゴールト式または腎疾患における食事改善(MDRD)式(これらは当該技術において、全て公知である)を使用して血清クレアチニン値に基づいて計算され得る。本発明の一態様によれば、推定糸球体濾過量(eGFR)は、CKD-EPI式に基づいて、血清クレアチニン値、年齢、性別および人種から誘導される:
GFR=141×min(Scr/κ,1)α×max(Scr/κ,1)-1.209×0.993Age×1.018[女性の場合]×1.159[黒人の場合]
(ここで、
Scrは、血清クレアチニン、mg/dLであり、
κは、女性で0.7、男性では0.9であり、
αは、女性で-0.329、男性では-0.411であり、
minは、Scr/κの最小値または1を示し、
maxは、Scr/κの最大値または1を示す)。
本発明のために、患者における腎障害の程度は、下記の推定糸球体濾過量(eGFR)により規定される:
正常腎機能(CKDステージ1):eGFR≧90mL/分/1.73m2
軽度腎障害(CKDステージ2):eGFR≧60〜<90mL/分/1.73m2
中程度腎障害(CKDステージ3):eGFR≧30〜<60mL/分/1.73m2
重度腎障害(CKDステージ4):eGFR≧15〜<30mL/分/1.73m2
腎不全(CKDステージ5):eGFR<15mL/分/1.73m2
本発明によれば、中程度の腎障害をさらに2つのサブステージに分割できる:
中程度Aの腎障害(CKD3A):eGFR≧45〜<60mL/分/1.73m2
中程度Bの腎障害(CKD3B):eGFR≧30〜<45mL/分/1.73m2
用語「慢性腎疾患(CKD)」は、健康に影響を与える、特に3ヶ月を超えて存在する腎臓構造または機能の異常として定義される。CKDは、原因、GFR分類、アルブミン尿分類(CGA)に基づいて区分される。CKDは5段階に分類され、ステージ1は、正常なGFR(mL/分/1.73m2)が90以上の腎臓損傷であり;ステージ2は、GFRの穏やかな減少を伴う腎臓損傷であり(GFR60〜89);ステージ3は、GFRの中程度の減少であり(GFR(30〜59)、ステージ4は、GFRの重度の減少であり(GFR15〜29)、ステージ5は、腎不全である(GFR<15または透析)。ステージ3は、ステージ3A(これはGFRの緩やかな減少から中程度の減少(GFR45〜59)である)およびステージ3B(これはGFRの中程度の減少から重度の減少(GFR30〜44)である)に細分されている。
本発明の詳細な説明
尿中グルコース排泄の増加に起因する血糖コントロールおよび体重減少の改善を超えて、エンパグリフロジンは利尿効果、動脈硬化の減少および直接血管作用を示す(Cherney et al., Cardiovasc Diabetol. 2014;13:28; Cherney et al., Circulation. 2014;129:587-597)。EMPA-REG OUTCOMETMの研究において、エンパグリフロジンが2型糖尿病および高い心血管リスクを有する患者における心血管死、心不全での入院および全体的な死亡率のリスクを減少させることが証明された(Zinman et al., N Engl J Med. 2015;373:2117-2128)。エンパグリフロジンによる治療が心拍数の臨床的に関連した変化のない血圧低下につながり、これにより、心臓の酸素消費量の代用マーカーである心拍数×収縮期血圧(RPP)が改善されることが観察された。さらに、利尿薬で観察される増加とは対照的に、臨床的に関連する反射媒介性交感神経活性化に関連していないことが見出された。腎臓内の改変されたグルコースおよびナトリウム勾配が、交感神経抑制作用のある腎神経信号を生成し得ると仮定できる。交感神経活性化の欠如は、エンパグリフロジンの有益な心血管および腎プロファイルに寄与し得る(心腎軸)。2型糖尿病および確立された心血管疾患を有する患者におけるEMPA-REG OUTCOMETM試験の二次アウトカム分析において、エンパグリフロジンは腎疾患の進行が遅くなり、臨床的に関連する腎臓事象(包括的な末期腎疾患)のリスクが低減される。エンパグリフロジンの腎臓への影響は、ベースラインで一般的な慢性腎疾患(CKD)を有するかまたはそれを伴わない患者において一貫し、全体的な結果は、RAS遮断薬を使用して血圧が充分に管理されている患者の集団において観察された。
進行性腎損傷の基礎となる病態生理学は、異なるCKD実体の間で変化し得る;しかしながら、CKDのより進行した段階で(すなわち、アルポート症候群を有する患者にしばしば見られる症状である、GFRの著しい低下および/または高レベルのタンパク尿を有する個体において)、一般的な尿細管調節不全が腎疾患の全体的な進行を推進し得る、かなりの実験的および臨床的証拠が存在する。この尿細管調節不全は、ナトリウムの過再吸収を特徴とし、脆弱で未熟な糸球体基底膜(GBM)によるアルポート症候群を有する患者にとって特に重要な状態である、糸球体高血圧および腎圧外傷につながる。糸球体高血圧は、腎疾患の進行において、主な原因であると仮定されるが、RAS遮断を超える有効な治療は欠如している。エンパグリフロジンは、特に進行性腎機能消失のリスクが高いものである、アルポート症候群を有する患者の近位尿細管において、ナトリウム−グルコース共輸送体2(SGLT2)を遮断することにより糸球体高血圧を緩和する可能性を有する。糸球体高血圧を低下させることによりエンパグリフロジンは、アルポート症候群を有する患者のネフロンにおけるストレスや損傷を軽減することが期待される。アルポート症候群の治療にエンパグリフロジンを使用することが上述および後述されている。
本発明は、それを必要とする患者におけるアルポート症候群を治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法に関する。用語アルポート症候群を治療するには、アルポート症候群の発生を遅延させることまたは進行を減速もしくは逆転させることが含まれる。加えて、用語アルポート症候群を治療するには、アルポート症候群の徴候または症状を治療または予防することが含まれる。本発明の範囲内で、その徴候または症状が含まれる、アルポート症候群を治療することは、特に、腎臓機能の低下または消失によって引き起こされるかまたは媒介されるものが含まれる、腎臓関連兆候、徴候または症状を指す。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群の徴候または症状には、血尿、タンパク尿、円柱尿、白血球尿、高血圧、浮腫、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿、明白なアルブミン尿、糸球体濾過量の低下、間質性線維症、間質炎、尿細管損傷、GBMの超微細構造の異常、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、末期腎疾患、慢性貧血、マクロ血小板減少症、骨形成異常症、感音性難聴、前部円錐水晶体、ドットアンドフレック網膜症、後部多形性角膜変性症、 再発性角膜びらん、一時的黄斑菲薄化、白内障、流涙、羞明、視力喪失、円錐角膜、および平滑筋腫症、特に、タンパク尿、高血圧、浮腫、微量アルブミン尿、顕性アルブミン尿、明白なアルブミン尿、糸球体濾過量の低下、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、末期腎疾患のうちの1つ以上が含まれる。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群と診断された患者における末期腎疾患(ESKD)の発症を遅延させるための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群と診断された患者における平均余命を改善するための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるかまたはの腎機能の障害を遅延または減速させるための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明のこの態様の変形によれば、アルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させるための方法が提供される。
本発明のこの態様の変形によれば、患者における腎機能は、GFRまたはeGFRのいずれかとして決定される。
この変形によれば、腎機能を改善させることまたは腎機能障害を遅延または減速させることは、eGFRの低下を減速させること、例えば、eGFRの進行性低下を減速させることである。この実施形態の別の態様によれば、腎機能の改善は、eGFRの改善により診断される。
本発明のこの態様の変形によれば、患者における腎機能はPCR(タンパク−クレアチニン比)、ACR(アルブミン−クレアチニン比)またはUACR(尿中アルブミン−クレアチニン比)として決定する。
この変形によれば、腎機能を改善させるかまたは腎機能の障害を遅延または減速させることは、PCR、ACRまたはUACRの増加を減速させること、例えば、PCR、ACRまたはUACRの進行性の増加を減速させることである。この実施形態の別の態様によれば、腎機能の改善は、PCR、ACRまたはUACRの改善により診断される。
1つの実施形態において、本発明は、アルポート症候群と診断された患者において、下記の1つ以上に対して治療、予防、防止するか、それの発生を遅延させるか、またはそれのリスクを低減させる方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法を提供する:
−eGFRの低下、例えばeGFRの年間の低下、
−アルブミン尿、
−タンパク尿、
−新たなアルブミン尿の発症
−末期腎疾患(ESKD)
−アルブミン尿なしから微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿への進行、
−微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への進行
−顕性アルブミン尿から末期腎疾患(ESKD)への進行
−eGFR(腎疾患における食事改善(MDRD)式に基づく)≦45mL/分/1.73m2を伴う血清クレアチニンレベルの倍化
−≧30%、≧40%、≧50%または≧57%のeGFR(CKD-EPI)持続減少、特に≧40%のeGFR(CKD-EPI)の持続減少、
−ベースラインeGFR≧30mL/分/1.73m2を有する患者でeGFR(CKD-EPI)<15mL/分/1.73m2持続、
−ベースラインeGFR<30mL/分/1.73m2を有する患者でeGFR(CKD-EPI)<10mL/分/1.73m2持続、
−持続的腎代替療法の必要性、
−透析治療、特に慢性透析治療の必要性、
−腎移植を受ける必要性、
−腎不全に起因する死。
本発明の一態様によれば、アルポート症候群を有する患者は、一般的な慢性腎疾患を有する。
本発明のこの態様によれば、患者は、下記の群のうちの1つ以上に従う腎機能の低下を有し得る
a)軽度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)60〜89mL/分/1.73m2
b)中程度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜59mL/分/1.73m2
c)中程度Aの腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)45〜59mL/分/1.73m2
d)中程度Bの腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜44mL/分/1.73m2
e)重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜29mL/分/1.73m2
f)軽度から重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜89mL/分/1.73m2
g)中程度から重度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)15〜59mL/分/1.73m2
h)軽度から中程度の腎機能障害、すなわち糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)30〜89mL/分/1.73m2
i)糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)20〜74mL/分/1.73m2
本発明の一態様によれば、患者は、例えばスクリーニングの際にCKD-EPIを介して決定される、90mL/分/1.73m2未満の糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)を有する腎機能低下を有する。
本発明の一態様によれば、患者は、例えばスクリーニングの際にCKD-EPIを介して決定される、75mL/分/1.73m2の糸球体濾過量(GFRまたはeGFR)を有する腎機能低下を有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は20mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は30mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
上記および下記の方法の1つの実施形態によれば、患者は45mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、タンパク尿、例えば1日当たり200mg以上のタンパク(24時間尿タンパク)の上昇したレベルを有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、300mg/gクレアチニン以上のタンパク対クレアチニン比(PCR)の上昇を有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、200mg/gクレアチニン以上のアルブミン対クレアチニン比(ACR)の上昇を有する。
本発明のこの態様の変形によれば、患者は、10.0g/gクレアチニン以下のPCRを有する。
本発明の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
特に、軽度から重度の減少した腎機能、例えばeGFR≧15〜<90mL/分/1.73m2またはeGFR≧20〜<75mL/分/1.73m2、およびタンパク尿、例えば1日当たり(24時間尿)300mg/gクレアチニン以上のPCRまたは200mgを超えるタンパクによりアルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させるための方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
さらに、軽度から重度の減少した腎機能、eGFR≧15〜<90mL/分/1.73m2またはeGFR≧20〜<75mL/分/1.73m2、およびアルブミン尿、特に顕性アルブミン尿、例えば200mg/gクレアチニン以上のUACRによりアルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させる方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
さらに、軽度から重度の減少した腎機能、例えばeGFR≧15〜<90mL/分/1.73m2またはeGFR≧20〜<90mL/分/1.73m2、およびアルブミン尿、特に顕性アルブミン尿、例えば500mg/gクレアチニン以上のUACRによりアルポート症候群と診断された患者における腎機能喪失率を減速させる方法であって、この患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。本発明のこの態様の一実施形態によれば、患者は成人患者である。
さらに、アルポート症候群およびアルブミン尿、特に顕性アルブミン、例えば、200mg/gクレアチニン以上または300mg/gクレアチニン以上のUACRにより規定される慢性腎疾患と診断された患者における腎機能喪失率を減速させる方法であって、患者が青年または子供である患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、上記方法が提供される。
本発明の一態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、コラーゲンIVアルファ345ネットワークの産生、沈着または機能の障害を表示する。
本発明のさらなる態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A5の発現の障害または低減を表示する。COL4A5は、コラーゲンIVアルファ5鎖をコードする。
本発明のさらに別の態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A3の発現の障害または低減を表示する。COL4A3は、染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ3鎖をコードする。
本発明のさらに別の態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A4の発現の障害または低減を表示する。COL4A4は、染色体2上に位置し、コラーゲンIVアルファ4鎖をコードする。
本発明のさらに別の態様によれば、それを必要とする患者は、例えば正常な対照患者と比較して、COL4A3およびCOL4A4の発現の障害または低減を表示する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A5に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A3に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A4に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の別の態様によれば、それを必要とする患者は、COL4A3およびCOL4A4に1つ以上の遺伝子変異を担持する。
本発明の一態様によれば、患者は、アルポート症候群を有すると診断される。この態様の変形によれば、患者は、X染色体連鎖型アルポート症候群を有すると診断される。この態様の別の変形によれば、患者は、常染色体優性または常染色体劣性アルポート症候群を有すると診断される。
上記および下記の方法の一実施形態によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり0.5〜25mg、特に1日当たり2.5〜25mgの範囲の用量で、例えば1日当たり0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mgまたは25mgの用量で患者に投与される。エンパグリフロジンの投与は、1日に1回または2回、最も好ましくは1日1回行われてもよい。例えば、1日1回投与する用量は、2.5mg、5mg、10mgまたは25mgである。好ましい投与経路は、経口投与である。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり2.5mgの用量で患者に投与される。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり5mgの用量で患者に投与される。
本発明の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり10mgの用量で患者に投与される。
本発明の別の特定の態様によれば、エンパグリフロジンは、1日当たり25mgの用量で患者に投与される。
エンパグリフロジンは、1日1回、患者に経口投与することが好ましい。
従って、一実施形態によれば、本発明に従う医薬組成物または剤形は、エンパグリフロジンを0.5〜25mg、特に2.5〜25mg、例えば0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mgまたは25mgの量で含む。例えば、本発明に従う固形医薬組成物または剤形は、2.5mg、5mg、10mgまたは25mgのエンパグリフロジンを含む。
1つの実施形態において、本発明の意味の範囲内の患者には、アルポート症候群を治療するために薬剤で以前に治療されていないアルポート症候群を有する患者が含まれ得る。従って、一実施形態においては、本明細書に記載される治療法は、アルポート症候群−薬物治療歴のない患者において使用され得る。
さらに、本発明に従う医薬組成物の投与は、低血糖のリスクがないかまたはそのリスクが低くなることが見出され得る。従って、本発明に従う治療または予防は、低血糖のリスクの増大を示すかまたはそれを有する患者においても有利に可能である。
エンパグリフロジンの投与によりSGLT2阻害活性に基づいて患者の尿中に過剰の血中グルコースが排出されるので、患者の体重増加がなくまたは体重の減少さえも生じ得る。従って、本発明に従う方法は、有利には、過体重および肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、内臓肥満、腹部肥満からなる群から選択される1つ以上の症状が診断されたアルポート症候群を有する患者に適している。加えて、本発明に従う方法は、有利には、体重増加が禁忌である患者に適している。
さらに、エンパグリフロジンは、血圧を低下させることが期待される。従って、エンパグリフロジンは、有利には、血圧低下が必要とされているアルポート症候群を有する患者に適している。
さらに、エンパグリフロジンは、ヘマトクリットおよびヘモグロビンのレベルを増加させることが期待される。従って、エンパグリフロジンは、有利には、ヘマトクリットおよびヘモグロビンのレベルの増加が必要とされているアルポート症候群を有する患者に適している。
本発明が治療または予防を必要とする患者を指す場合、主としてヒトにおける治療および予防に関する。本発明の範囲では、患者は、成人患者、青年または子供であってもよい。成人患者は、18歳以上の年齢である。また、本発明の範囲において、青年は、年齢10〜17歳、好ましくは年齢13〜17歳である。また、本発明の範囲において、子供は、年齢2〜10歳、好ましくは年齢6〜10歳である。
本発明の一実施形態によれば、エンパグリフロジンは、1種以上の他の治療物質と組合せて患者に投与される。併用投与は、同時に、別々に、または順次に投与できる。
本発明のこの実施形態の1つの態様において、この1種以上の他の治療物質は、アルポート症候群の症状の治療または軽減に必要とされている活性物質、特に、アルブミン尿、タンパク尿、腎機能障害および/または高血圧を治療する物質から選択される。
例えば、エンパグリフロジンは、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される1種以上の活性物質と組合わせて投与される、
さらに、本発明はまた、エンパグリフロジンと、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に活性な成分とを含む、医薬組成物または医薬剤形、例えば錠剤またはカプセルに関する。
アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)の例は、テルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、アジルサルタンおよびエプロサルタンであり;これらの薬剤のいくつかの投与量を例として下記に示す:
・カンデサルタン(アタカンド)、4mg、8mg、16mg、または32mgのカンデサルタンシレキセチル
・エプロサルタン(テベテン)、400mgまたは600mg
・イルベサルタン(アバプロ)、75mg、150mg、または300mgのイルベサルタン。
・ロサルタン(コザール)、25mg、50mgまたは100mgのロサルタンカリウム
・テルミサルタン(ミカルディスHCT)、40mgまたは80mg
・テルミサルタン(ミカルディスHCT)、40mg/12.5mg、80mg/12.5mg、および80mg/25mgの各々テルミサルタンおよびヒドロクロロチアジド
・テルミサルタン/アムロジピン(トウィンスタ)、40mg/5mg、40mg/10mg、80mg/5mgおよび80mg/10mgの各々テルミサルタンおよびアムロジピン
・バサルタン(ディオバン)、40mg、80mg、160mgまたは320mgのバルサルタン
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の例は、ベナゼプリル、カプトプリル、ラミプリル、リシノプリル、モエキシプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、フォシノプリルおよびトランドラプリルであり;これらの薬剤のいくつかの投与量を例として下記に示す:
・ベナゼプリル(ロテンシン)、5mg、10mg、20mg、および40mgを経口投与用として
・カプトプリル(キャポテン)、12.5mg、25mg、50mg、および100mgを経口投与用分割錠として
・エナラプリル(バソテック)、2.5mg、5mg、10mg、および20mgの経口投与用錠剤
・フォシノプリル(モノプリル)、経口投与用に10mg、20mg、および40mgの錠剤として
・リシノプリル(プリニビル、ゼストリル)、5mg、10mg、20mgの経口投与用錠剤
・モエキシプリル(ユニバスク)、7.5mgおよび15mgを経口投与用として
・ペリンドプリル(アセオン)、2mg、4mgおよび8mgの経口投与用強度
・キナプリル(アキュプリル)、5mg、10mg、20mg、または40mgのキラプリルを経口投与用として
・ラミプリル(アルテース)、1.25mg、2.5mg、5mg、10mg
・トランドラプリル(マビック)、1mg、2mg、または4mgのトランドプリルを経口投与用として
ベータ遮断薬の例は、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール、ネビボロール、プロプラノロール、チモロールおよびカルベジロールであり;これらの薬剤のいくつかの投与量を例として下記に示す:
・アセブトロール(セクトラール)、200mgまたは400mgの塩酸塩としてのアセブトロール
・アテノロール(テノルミン)、25mg、50mgおよび100mgの経口投与用錠剤
・ベタキソロール(ケルロン)、10mgおよび20mgの経口投与用錠剤
・ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(ジアック)、2.5/6mg、5/6.25mg、10/6.25mg
・ビソプロロール(ゼベタ)、5mgおよび10mgの経口投与用錠剤
・メトプロロール(ロプレッサー、トプロールXL)、50mgおよび100mgの経口投与用錠剤および5mLの静脈内投与用アンプルで
・プロプラノロール(インデラル)、10mg、20mg、40mg、60mg、および80mgの経口投与用錠剤
・チモロール(ブロカドレン)、5mg、10mgまたは20mgのチモロールマレイン酸塩を経口投与用として
アルドステロン拮抗薬の例は、スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノンおよびフィネレノンであり;これらの薬剤のいくつかの投与量を例として下記に示す:
・スピロノラクトン(例えば、アルダクトン)、25mgまたは50mgを1日1回または2日に1回
・エプレレノン(例えば、インスプラ)、25mgまたは50mgを1日1回
利尿薬の例は、ブメタニド、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、キシパミド、インダパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロライドおよびトリアムテレンであり;例えば、これらの薬剤は、チアジド利尿薬、例えば、クロルタリドン、HCT、ループ利尿薬、例えば、フロセミド、トラセミドまたはカリウム保持性利尿薬、例えばエプレレノン、またはこれらの組合せであり;これらの薬剤のいくつかの投与量を例として下記に示す:
・アミロライド(ミダモル)、5mgの無水アミロライドHCl
・ブメタニド(ブメックス)、分割錠として入手可能、0.5mg(淡緑色)、1mg(黄色)および2mg(桃色)を経口投与用として
・クロロチアジド(ディウリル)、
・クロルタリドン(ハイグロトン)
・フロセミド(ラシックス)
・ヒドロクロロチアジド(エシドレックス、ヒドロジウリル)
・インダパミド(ロゾール)およびスピノラクトン(アルダクトン)
・エプレレノン(インスプラ)
アンギオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)の一例は、バルサルタンとサクビトリル(エントレスト)との組合せである。
カルシウムチャンネル遮断薬の例は、アムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミルおよびジルチアゼムである。
血圧を低下させる薬剤の例としては、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、利尿薬およびカルシウムチャンネル遮断薬が挙げられる。
この実施形態の1つの態様において、上記薬剤またはアルポート症候群の症状を治療または軽減する他の治療物質の数、投与量および/または投薬計画は上記患者において低減され、一方、エンパグリフロジンの投与は開始および/または継続される。
上記のグループにおける活性物質の例は、当業者に公知であり、それらの用量強度、投与スキームおよび製剤が含まれる。
本発明の範囲内で、本発明に従い組合せたこれらの組合せ、組成物または投与が、活性成分または有効成分の同時、順次または別々の投与を想定できることは理解されるべきである。
これに関連して、本発明の意味の範囲内の「組合せ」または「組合せた」には、限定されることなく、固定された、また、固定されていない(例えば自由な)形態(キットを含む)および使用、例えば、活性成分または有効成分の同時、順次または別々の使用が含まれてもよい。
本発明の併用投与は、活性成分または有効成分を一緒に投与することによって、例えば、単一のまたは2つの別個の製剤または剤形で同時に投与することにより行われてもよい。あるいは、投与は、活性成分または有効成分を順次、例えば、2つの別個の製剤または剤形で連続して投与することにより行なわれてもよい。
本発明の併用療法のために、活性成分または有効成分を別々に投与する(これは、それらが別々に製剤化されることを意味する)かまたは全部製剤化されてもよい(これは、それらが同じ調製でまたは同じ剤形で製剤化されることを意味する)。従って、本発明の組合せの一方の要素の投与は、組合せのもう一方の要素の投与の前、同時またはそれに続いてであってもよい。
特記しない限り、併用療法は、第一選択療法、第二選択療法もしくは第三選択療法、または初期の併用療法もしくは追加の併用療法もしくは置換療法を指すことができる。
本発明に従う方法は、上記および下記の疾患および/または状態の長期治療または予防に特に適している。上文および下文で使用される用語「長期」は、12週間より長い期間、好ましくは25週間より長い期間、さらに好ましくは1年より長い期間で患者を治療するかまたは患者に投与することを示す。
本発明に従うエンパグリフロジンを含む医薬組成物は、液体もしくは固体形態でまたは吸入もしくは吹送による投与に適した形態で経口または非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与のために製剤化できる。経口投与が好ましい。医薬組成物は、錠剤、顆粒、細粒、粉末、カプセル、カプレット、軟カプセル、丸薬、経口溶液、シロップ、ドライシロップ、チュアブル錠、トローチ、発泡錠、液滴、懸濁液、速溶解性錠、口腔内速分散錠などの形態に製剤化できる。医薬組成物および剤形は、製剤の他の成分と相溶性であり、その受容者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない1種以上の薬学的に許容される担体を含むことが好ましい。薬学的に許容される担体の例は、当業者に知られている。好ましい医薬組成物は、例えば、WO 2010/092126号に記載されている。
本発明に従う医薬組成物および方法は、上記のこれらの疾患および状態の治療および予防に有利な効果を示す。さらに有利な効果は、例えば、有効性、投与強度、投与頻度、薬力学的性質、薬物動態学的性質、より少ない副作用、利便性、コンプライアンスなどに対して見ることができる。
エンパグリフロジンの製造方法は、当業者に知られている。有利には、本発明に従うエンパグリフロジンは、先に引用した特許出願を含む文献に記載されているような合成法を用いて調製できる。好ましい製造方法は、WO 2006/120208号およびWO 2007/031548号に記載されている。エンパグリフロジンに関して、有利な結晶形態は、国際特許出願WO 2006/1117359号に記載されており、その全体が本明細書に援用されている。
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点は、以下の実施例から明らかになるであろう。以下の実施例は、例として、本発明の原理を制限することなく例示するのに役立つ。
実施例1:アルポート症候群を有する患者の治療
アルポート症候群を有する患者の関連集団におけるエンパグリフロジンによる治療の腎機能への長期間の影響および他のパラメータを下記のように調べる:
エンパグリフロジンを患者に無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験において投与して、エンパグリフロジンによる治療、例えば1日に1回10mgを、アルポート症候群を有する患者の標準治療に対するアドオン療法としてのプラセボと比較する。これらの患者の持続時間は、好ましくは、例えば24、48、50、52、102または104週間の長期治療であり、これには、例えば2週間の治療後のフォローアップ期間が含まれてもよい。
アルポート症候群(遺伝性腎炎)の診断には、アルポート症候群が示唆する腎不全および難聴の家族歴、または皮膚もしくは腎生検で証明された診断、または分子遺伝的試験による診断が含まれる。
患者、特に成人には、アルポート症候群および下記に定義される慢性腎疾患の存在を有する個体が含まれる:
−eGFR<75ml/分/1.73m2、例えば、スクリーニングの際にCKD-EPIにより決定される、および
−尿タンパク−クレアチニン比(PCR)≧300mg/gクレアチニンとして規定される高レベルのタンパク尿または非常に高レベルのアルブミン尿、すなわち、UACR≧200mg/gクレアチニンとして規定される、特にUACR≧300mg/gクレアチニンとして規定される顕性アルブミン尿。
または
−eGFR<90ml/分/1.73m2、例えば、スクリーニングの際にCKD-EPIにより決定される、および
−UACR≧500mg/gクレアチニンとして規定される、非常に高レベルのアルブミン尿。
さらに、患者、特に青年(例えば年齢10〜17歳)または子供(例えば年齢2〜10歳または6〜10歳)には、アルポート症候群および下記に規定される慢性腎疾患の存在を有する個体が含まれる:
−UACR≧300mg/gクレアチニンとして規定される高レベルのアルブミン尿。
特に、上記PCRは、スクリーニングの際におよびスクリーニング前の12ヶ月以内に少なくとももう1つのさらに文書化された機会に存在しなければならない。
患者は、20ml/分/1.73m2以上の腎機能を有することが好ましい。さらに、患者は、10.0g/g以下のPCRを有することが好ましい
さらに、患者には、安定な単一RAS遮断基礎療法を有するもの、例えばACE阻害剤またはARBのいずれかが日用量を変えずに含まれる。
患者は成人患者である。さらに、この研究には、青年患者(例えば年齢10〜18歳)および/または子供(例えば、年齢2〜10歳または6〜10歳)が含まれてもよい。
研究の主要評価項目は、例えばCKD-EPIにより評価された、eGFRにおけるベースラインからの変化である。
重要な副次評価項目は、尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR、mg/gクレアチニン)におけるベースラインからの変化、例えば、ベースラインからのパーセント変化の時間加重平均値に関連する。
さらに副次評価項目は下記のものである
−eGFRにおけるベースラインからの変化
−UACRにおけるベースラインからの変化
−PCRにおけるベースラインからの変化
−UACR分類の退行または進行
−体量および血圧のベースラインからの変化。
さらに、評価項目は下記に関連し得る
−時間経過に伴う腎機能のためのスロープ分析
−急速な腎機能低下の発生、例えば、年間低下が5ml/分/年以上
−代謝パラメータにおけるベースラインからの変化(例えば、FPG、脂質、尿酸)。
実施例2:医薬組成物および剤形
経口投与のための固形医薬組成物および剤形の以下の実施例は、本発明を実施例の内容に限定することなく、より完全に説明するのに役立つ。経口投与のための組成物および剤形のさらなる例は、WO 2010/092126号に記載されている。用語「活性物質」は、本発明に従うエンパグリフロジン、特にWO 2006/117359号およびWO 2011/039107号に記載されているようなその結晶形態を示す。
活性物質エンパグリフロジン2.5mg、5mg、10mgまたは25mgを含有する錠剤。この成分の量は、フィルムコーティングされた1錠当たりのmgで示される。
Figure 2021532191
錠剤、医薬品有効成分、賦形剤およびフィルムコーティング系の製造に関する詳細は、WO 2010/092126号、特に実施例5および6に記載されており、その全体が本明細書に援用されている。

Claims (16)

  1. それを必要とする患者におけるアルポート症候群を治療するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  2. アルポート症候群と診断された患者における腎機能を改善させるための方法または腎機能の障害を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  3. アルポート症候群と診断された患者における慢性腎疾患の進行を遅延させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  4. アルポート症候群と診断された患者における糸球体高血圧を治療または軽減するための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  5. アルポート症候群と診断された患者におけるアルブミン尿および/またはタンパク尿の進行を減速または逆転させることを含む、治療のための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  6. アルポート症候群と診断された患者における糸球体濾過量を改善させるかまたは糸球体濾過量の低下を遅延または減速させるための方法であって、その患者にエンパグリフロジンを投与することを含む、前記方法。
  7. 前記患者が、20mL/分/1.73m2以上のeGFRを有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 成人の前記患者が、75mL/分/1.73m2未満または90mL/分/1.73m2未満のeGFRを有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記患者が、300mg/gクレアチニン以上の上昇したタンパク対クレアチニン比(PCR)、1日当たり200mg以上のタンパクの上昇したレベルのタンパク尿(24時間尿タンパク)または200mg/gクレアチニン以上もしくは300mg/gクレアチニン以上の上昇したアルブミン対クレアチニン比(ACR)を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. エンパグリフロジンが、前記患者に1日当たり1mg〜25mgの範囲の用量で投与される、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. エンパグリフロジンが、前記患者に1日当たり10mgの用量で投与される、請求項10記載の方法。
  12. エンパグリフロジンが、前記患者に1種以上の他の治療物質と組合せて投与される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記1種以上の他の治療物質が、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される、請求項12記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法に使用するためのエンパグリフロジンを含む医薬組成物。
  15. エンパグリフロジンをアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン受容体−ネプリライシン阻害剤(ARNi)、カルシウムチャンネル遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬およびイバブラジンからなる群から選択される1種以上の他の治療物質と組合せて含む、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 1〜25mgの量のエンパグリフロジンを含む、請求項14または15記載の医薬組成物。
JP2021528482A 2018-07-25 2019-07-23 アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン Pending JP2021532191A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18185598 2018-07-25
EP18185598.2 2018-07-25
PCT/EP2019/069815 WO2020020896A1 (en) 2018-07-25 2019-07-23 Empagliflozin for use in treating alport syndrome

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021532191A true JP2021532191A (ja) 2021-11-25

Family

ID=63047268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021528482A Pending JP2021532191A (ja) 2018-07-25 2019-07-23 アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20210275558A1 (ja)
EP (1) EP3826642A1 (ja)
JP (1) JP2021532191A (ja)
WO (1) WO2020020896A1 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BRPI0508830B8 (pt) 2004-03-16 2021-05-25 Boehringer Ingelheim Int derivados de benzeno substituídos por glucopiranosila, medicamentos contendo esses compostos, seu uso e processo para sua fabricação
UA91546C2 (uk) 2005-05-03 2010-08-10 Бьорінгер Інгельхайм Інтернаціональ Гмбх КРИСТАЛІЧНА ФОРМА 1-ХЛОР-4-(β-D-ГЛЮКОПІРАНОЗ-1-ИЛ)-2-[4-((S)-ТЕТРАГІДРОФУРАН-3-ІЛОКСИ)-БЕНЗИЛ]-БЕНЗОЛУ, СПОСІБ ЇЇ ОДЕРЖАННЯ ТА ЇЇ ЗАСТОСУВАННЯ ПРИ ПРИГОТУВАННІ ЛІКАРСЬКИХ ЗАСОБІВ
US7772191B2 (en) 2005-05-10 2010-08-10 Boehringer Ingelheim International Gmbh Processes for preparing of glucopyranosyl-substituted benzyl-benzene derivatives and intermediates therein
AR056195A1 (es) 2005-09-15 2007-09-26 Boehringer Ingelheim Int Procedimientos para preparar derivados de (etinil-bencil)-benceno sustituidos de glucopiranosilo y compuestos intermedios de los mismos
EP2395968B1 (en) 2009-02-13 2024-01-17 Boehringer Ingelheim International GmbH Pharmaceutical composition comprising glucopyranosyl diphenylmethane derivatives, pharmaceutical dosage form thereof, process for their preparation and uses thereof for improved glycemic control in a patient
HUE029381T2 (en) 2009-09-30 2017-02-28 Boehringer Ingelheim Int A method for preparing a crystalline form of 1-chloro-4- (beta-D-glucopyranos-1-yl) -2- [4 - ((S) -tetrahydrofuran-3-yloxy) benzyl] benzene.
BR112012007085B8 (pt) 2009-09-30 2021-05-25 Boehringer Ingelheim Int processos para a preparação de derivados de benzil-benzeno substituídos com glicopiranosila
EP2884988A4 (en) * 2012-08-17 2016-04-20 Father Flanagan S Boys Home Doing Business As Boy Town Nat Res Hospital RAC1 INHIBITORS FOR THE TREATMENT OF GLOMEROLARY ALPORT SYNDROME
EP3171889A4 (en) * 2014-07-25 2018-03-14 Goldfinch Biopharma, Inc. Collagen iv replacement
EP3903802A1 (en) * 2014-08-21 2021-11-03 Stealth Biotherapeutics Corp Peptide d-arg-2',6'-dmt-lys-phe-nh2 for treating alport syndrome

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
NEW ENGL. J. MED., vol. 375, JPN6022013281, 2016, pages 323 - 334, ISSN: 0004745097 *

Also Published As

Publication number Publication date
US20210275558A1 (en) 2021-09-09
EP3826642A1 (en) 2021-06-02
WO2020020896A1 (en) 2020-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hebert et al. Renoprotection: one or many therapies?
WO2001068136A1 (fr) Medicaments permettant de traiter les complications du diabete et des neuropathies et utilisation de ces medicaments
EP2524693B1 (en) Pharmaceutical for preventing or treating disorders accompanied by ocular angiogenesis and/or elevated ocular vascular permeability
TWI415605B (zh) 用於預防或治療貓之全身性疾病之血管緊張素ii受體拮抗劑
KR20180127493A (ko) 승모판 질환으로 인한 무증상 심부전이 있는 환자에서 심장 크기의 감소 및/또는 임상적 증상 개시의 지연을 위한 피모벤단의 용도
KR20230162125A (ko) 약제학적 조성물, 치료 방법 및 이의 용도
CA2737163C (en) Methods of treatment of hyperuricemia and associated disease states
JP2019507165A (ja) 脳卒中の処置における使用のためのイマチニブ
JP7402907B2 (ja) ネコの全身性疾患の予防又は治療用アンジオテンシンii受容体拮抗薬
US11007203B2 (en) Formulations comprising aldosterone receptor antagonists and treatments using same
US10596119B1 (en) Methods of treatment comprising torsemide
BR112019023766A2 (pt) Protocolo aprimorado para o tratamento de nefrite lúpica
JP2021532191A (ja) アルポート症候群の治療に使用するためのエンパグリフロジン
US10463622B2 (en) Treatments and formulations comprising Torsemide
TW201737909A (zh) 用以腎臟病之治療的醫藥
EP3328381A1 (en) Pde4 inhibitor for the treatment of diabetic nephropathy
WO2006066235A1 (en) Combination therapy for treating heart disease
WO2016077370A1 (en) Novel methods for treatment and prophylaxis of polycystic kidney disease
EP2793878A1 (en) Combination of (3s,3s') 4,4'-disulfanediylbis(3-aminobutane 1-sulfonic acid) and a second antihypertensive agent
CN110772523B (zh) 一种用于防治肾病的药物组合物
Heida et al. The effect of tolvaptan on blood pressure in polycystic kidney disease. A post-hoc analysis of the TEMPO 3: 4 trial.
CN101252938A (zh) 噻嗪类利尿剂和环利尿剂的组合制剂
JPH10513472A (ja) 心臓血管疾患の治療を目的とするアンギオテンシン変換酵素抑制物質、副作用軽減量のアルドステロン拮抗物質および利尿剤のコンビネーション療法
Nithin Manohar et al. NEW ARBS IN THE TREATMENT OF HYPERTENSION: AN OVERVIEW
McInnes Diuretics

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210401

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220406

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20220512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220512

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221006

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230112