JP2021530504A - サリノマイシンを含む高分子ナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、サリノマイシンを含む高分子ナノ粒子、及び、特定の疾患を治療するための方法であって、これらの高分子ナノ粒子をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法に関する。

Description

関連出願
本願は、2018年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/699,963号明細書に対する優先権の利益を主張する。本願の内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
本発明は、ナノテクノロジーの分野、特に、サリノマイシンなどの治療薬の送達を意図した生分解性高分子ナノ粒子の使用に関する。
ストレプトマイセス・アルブス(Streptomyces albus)から単離されたモノカルボン酸ポリエーテル抗生物質のサリノマイシンは、伝統的に抗生物質として使用されている。サリノマイシンは近年、細胞周期停止、アポトーシスの誘導、及び多剤耐性克服を含むいくつかの様式で、がん細胞及びがん幹細胞に影響することが見出されている。インビトロでの証拠によると、サリノマイシンが、乳がん、卵巣がん、及び膵がんを含む複数のがんタイプに影響することが示されている。サリノマイシンによる治療は、神経毒性を含む毒性をもたらす可能性があり、サリノマイシンの有効用量をさらに維持しつつもかかる毒性を低減することが求められ続けている。
米国仮特許出願第62/699,963号明細書
本開示は、一部には、サリノマイシンを含むナノ粒子が、がんを治療する場合、サリノマイシン単独よりも同じ用量で投与されるときに毒性が少ないという発見に基づく。したがって、一態様では、本発明は、ポリ(乳酸)(PLA)及びポリ(エチレングリコール)(PEG)を含むブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;並びにサリノマイシンを含む組成物を提供する。
本開示は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子及びサリノマイシンを含む組成物を提供する。
組成物の様々な実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体は、PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体とPLAとのコンジュゲーションから形成される。例えば、コンジュゲーションは、化学的コンジュゲーションである。
別の態様では、それを必要とする対象における急速増殖細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能を低減する方法であって、細胞を、治療有効量の、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシンを含む組成物と接触させることを含み、ここで治療有効量が対象の質量の1kgあたり約0.025mg(mg/kg)〜約5mg/kgのサリノマイシンである、方法が、本明細書に提供される。
本方法のいくつかの実施形態では、細胞は、がん細胞である。本方法の別の実施形態では、細胞は、がん幹細胞である。
別の態様では、それを必要とする対象におけるがんを治療するための方法であって、治療有効量の、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシンを含む組成物を対象に投与することを含み;ここで治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法が、本明細書に提供される。
本方法のいくつかの実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膵がん、白血病、リンパ腫、骨肉腫、胃がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、頭頚部がん、及び子宮頸がんからなる群から選択される。一実施形態では、がんは、転移性である。
別の実施形態では、方法は、追加的な抗がん療法を対象に施すことをさらに含む。本方法の一実施形態では、追加的な抗がん療法は、手術、化学療法、放射線、ホルモン療法、免疫療法、又はそれらの組み合わせである。
本方法のいくつかの実施形態では、がんは、化学療法剤に対して耐性又は難治性である。
方法の特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
別の態様では、それを必要とする対象におけるがん幹細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能を低減する方法であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシンを含む組成物を治療有効量で対象に投与することを含み、ここで治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法が、本明細書に提供される。
本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.03mg/kg〜約0.5mg/kgである。
本方法の他の実施形態では、治療有効量は、約0.05mg/kg〜約0.8mg/kgである。
本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.08mg/kg〜約1.1mg/kgである。
本方法の実施形態では、組成物は、静脈内に、腫瘍内に、又は皮下に投与される。
本方法のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回、1日おきに1回、週1回、週2回、月1回、又は月2回投与される。
本方法の一実施形態では、組成物は、3週の持続期間にわたり週1回又は週2回投与される。
本方法の一実施形態では、PLAの分子量は、約10,000〜約100,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、PLAの分子量は、約20,000〜90,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、PLAの分子量は、約30,000〜80,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、PLAの分子量は、約50,000〜80,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、PEG−PPG−PEGの分子量は、約2,000ダルトン〜18,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、PEG−PPG−PEGの分子量は、約10,000ダルトン〜15,000ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、共重合体中のPLAの分子量は、72,000であり、PEG−PPG−PEGの分子量は、12,500ダルトンである。
本方法の別の実施形態では、共重合体中のPLAの分子量は、35,000であり、PEG−PPG−PEGの分子量は、12,500ダルトンである。
本方法の一実施形態では、組成物は、第2の治療薬又は標的化抗がん剤をさらに含む。
本方法の別の実施形態では、共重合体中のPLAの分子量は、20,000であり、PEG−PPG−PEGの分子量は、2,000ダルトンである。
別の態様では、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシン、並びに薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。
医薬組成物の一実施形態では、高分子ナノ粒子は、高分子ナノ粒子の外部に結合された標的化部分をさらに含む。
別の態様では、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシン、並びに薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を約12.5mg〜約500mgで含む剤形が、本明細書に提供される。
組成物の様々な実施形態では、PLAの分子量は、約10,000〜約100,000ダルトン;約20,000〜90,000ダルトン;約30,000〜80,000ダルトン;約8,000ダルトン〜18,000ダルトン;又は約10,000ダルトン〜15,000である。例えば、PLAの分子量は、約10,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;70,000;80,000;90,000、又は100,000ダルトンである。さらなる実施形態では、PLAの分子量は、約12,500ダルトン(即ち12.5kDA)又は約72,000ダルトン(即ち72kDA)である。一実施形態では、A−B構造でのテトラブロック、即ち交互の規則的なA及びBサブユニットを有する交互共重合体を作製するための2,000〜12,5000のPEG−PPG−PEGの分子量は、12.5kDaである。
組成物の様々な実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG)ジブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
組成物の様々な実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
組成物の様々な実施形態では、高分子ナノ粒子は、高分子ナノ粒子の外部に結合された標的化部分をさらに含み、ここで標的化部分は、抗体、ペプチド、又はアプタマーである。様々な実施形態では、標的化部分は、免疫グロブリン分子、scFv、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2、Fv、及びジスルフィド結合Fvを含む。
本明細書に提供される組成物又は方法のいずれかの様々な実施形態では、ナノ粒子は、ポリ(乳酸)(PLA)及びポリ(エチレングリコール)(PEG)を含むブロック共重合体;並びにサリノマイシンから形成される。一実施形態では、ナノ粒子は、サリノマイシンを長期にわたり放出する。さらなる実施形態では、その期間は、少なくとも1日〜20日である。本方法の様々な実施形態では、その期間は、約5日〜10日である。
別の態様では、それを必要とする対象における急速増殖細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能の低減における使用のための医薬組成物であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体、及びサリノマイシンを含む医薬組成物が、本明細書に提供され、ここで治療有効量の医薬組成物が対象に投与され、ここで治療有効量は、約0.025mg/kg〜約5mg/kgである。
使用のための医薬組成物のいくつかの実施形態では、細胞は、がん細胞である。使用のための医薬組成物の別の実施形態では、細胞は、がん幹細胞である。
別の態様では、それを必要とする対象におけるがんの治療における使用のための医薬組成物であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体、及びサリノマイシンを含む医薬組成物が、本明細書に提供され、ここで治療有効量の医薬組成物が対象に投与され、ここで治療有効量は、約0.025mg/kg〜約5mg/kgである。
使用のための医薬組成物のいくつかの実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膵がん、白血病、リンパ腫、骨肉腫、胃がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、頭頚部がん、及び子宮頸がんからなる群から選択される。一実施形態では、がんは、転移性である。
別の実施形態では、使用のための医薬組成物は、追加的な抗がん療法を対象に施すことをさらに含む。使用のための医薬組成物の一実施形態では、追加的な抗がん療法は、手術、化学療法、放射線、ホルモン療法、免疫療法、又はそれらの組み合わせである。
使用のための医薬組成物のいくつかの実施形態では、がんは、化学療法剤に対して耐性又は難治性である。
使用のための医薬組成物の特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
別の態様では、それを必要とする対象におけるがん幹細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能の低減における使用のための医薬組成物であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体、及びサリノマイシンを含む医薬組成物が、本明細書に提供され、ここで治療有効量の医薬組成物が対象に投与され、ここで治療有効量は、約0.025mg/kg〜約5mg/kgである。
使用のための医薬組成物の実施形態では、治療有効量は、約0.03mg/kg〜約0.5mg/kgである。
使用のための医薬組成物の他の実施形態では、治療有効量は、約0.05mg/kg〜約0.8mg/kgである。
使用のための医薬組成物の実施形態では、治療有効量は、約0.08mg/kg〜約1.1mg/kgである。
使用のための医薬組成物の実施形態では、組成物は、静脈内に、腫瘍内に、又は皮下に投与される。
使用のための医薬組成物のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回、1日おきに1回、週1回、週2回、月1回、又は月2回投与される。
使用のための医薬組成物の一実施形態では、組成物は、3週の持続期間にわたり週1回又は週2回投与される。
使用のための医薬組成物の一実施形態では、PLAの分子量は、約10,000〜約100,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、PLAの分子量は、約20,000〜90,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、PLAの分子量は、約30,000〜80,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、PLAの分子量は、約50,000〜80,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、PEG−PPG−PEGの分子量は、約8,000ダルトン〜18,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、PEG−PPG−PEGの分子量は、約10,000ダルトン〜15,000ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、共重合体中のPLAの分子量は、72,000であり、PEG−PPG−PEGの分子量は、12,500ダルトンである。
使用のための医薬組成物の別の実施形態では、共重合体中のPLAの分子量は、35,000であり、PEG−PPG−PEGの分子量は、12,500ダルトンである。
使用のための医薬組成物の一実施形態では、組成物は、第2の治療薬又は標的化抗がん剤をさらに含む。
当業者は、本明細書に記載の発明が具体的に記載される場合を除くバリエーション及び修飾を対象とすることを理解するであろう。本明細書に記載の発明がすべてのかかるバリエーション及び修飾を含むことは理解されるべきである。本発明はまた、本明細書中で参照されるか又は示されるすべてのかかるステップ、特徴、組成物及び化合物を個別に又は集合的に、またステップ又は特徴の任意の2種以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の態様をさらに例示するために含まれる。
図1A、1B、及び1Cは、対照群中のマウスからの健常な肝臓切片(図1A)、12.5mg/kgのSAL群中のマウスからの脂肪変化及び細胞質グリコーゲンの混合(図1B)、及び12.5mg/kgのSAL群中のマウスからのテンションリピドーシス(tension lipidosis)(図1C)を示す、H&Eで染色されたマウス肝臓切片の顕微鏡画像である。 図2A及び2Bは、対照群中のマウスからの正常な糸球体(G)、近位(PT)及び遠位(DT)細管を有する健常な腎臓切片(図2A)、並びに12.5mg/kgのSAL群からのマウスにおける細管の間隔の空きと蓋上皮の萎縮(星印)、管腔内部の網状の管(矢印)、及び腎小体の著しい萎縮(黒矢印)(図2B)を示す、H&Eで染色されたマウス腎臓切片の顕微鏡画像である。 図3A及び3Bは、対照群からのマウスからの健常な精巣(図3A)、並びに12.5mg/kgのSAL群からのマウスにおける胚上皮における精細管の収縮及び空胞化(図3B)を示す、H&Eで染色されたマウス精巣切片の顕微鏡画像である。 図4A及び4Bは、対照群からのマウスからの健常な精巣上体(図4A)、並びに12.5mg/kgのSAL群からのマウスにおける空胞化及び壊死性細胞の発生による上皮の破壊(図4B)を示す、H&Eで染色されたマウス精巣上体切片の顕微鏡画像である。 図5A及び5Bは、サリノマイシン−ナノ粒子の電子顕微鏡写真である。図5Aは、サリノマイシン−ナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図5Bは、サリノマイシン−ナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。 図6A及び6Bは、サリノマイシン−ナノ粒子のサイズ分布(図6A)及びゼータポテンシャル(図6B)を示す。 図7は、サリノマイシン−ナノ粒子からのサリノマイシンの放出を示すグラフである。 図8は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のH358細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図9A及び9Bは、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のNCI−H526細胞における細胞生存の用量反応曲線である(図9A)。図9Bは、サリノマイシン−ナノ粒子の2つの異なる製剤による処置後の用量反応曲線である。 図10は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のNCI−H69細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図11は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のMDA−MB−231細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図12は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のSUM149細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図13は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のMCF7細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図14は、サリノマイシン−ナノ粒子による処置後のMDA−MB−468細胞における細胞生存の用量反応曲線である。 図15A及び15Bは、サリノマイシンナノ粒子又は媒体対照による処置後のマウスにおけるH69細胞の腫瘍体積(図15A)及び同じマウスの体重(図15B)を示すグラフである。 図16A及び16Bは、5mg/kg(図16A)及び7.5mg/kg(図16B)のサリノマイシン単独又はサリノマイシン−ナノ粒子による処置後の野生型マウスの体重及び死亡率を示すグラフである。 図16C及び16Dは、10mg/kg(図16C)及び12.5mg/kg(図16D)のサリノマイシン単独又はサリノマイシン−ナノ粒子による処置後の野生型マウスの体重及び死亡率を示すグラフである。 図16Eは、15mg/kg(図16E)のサリノマイシン単独又はサリノマイシン−ナノ粒子による処置後の野生型マウスの体重及び死亡率を示すグラフである。 図17A、17B及び17Cは、3D抗増殖アッセイにおけるMDA−MB231細胞に対するサリノマイシン(図17A)、サリノマイシン−ナノ粒子(図17B)の阻害百分率を示す用量反応曲線である。図17Cは、図17A及び図17Bからのデータを比較している。 図18は、CD44+/CD24low細胞の定量化を伴う、TNBC患者から単離され、PBS、サリノマイシン、サリノマイシン−NP、又はパクリタキセルで処置されたがん幹細胞の画像を示す。
本開示は、特にがんを治療又は予防するために有用であるサリノマイシンを含むナノ粒子を提供する。ナノ粒子は、サリノマイシンの毒性を低減する。
定義
便宜上、本発明のさらなる説明の前に、本明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語がここでまとめられる。これらの定義は、本開示の残りを考慮して解釈され、当業者によりそのように理解される必要がある。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書全体を通じて使用される用語は、具体例において特に制限されない限り、次のように定義される。
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という冠詞は、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(即ち少なくとも1つ)を指すように用いられる。
「含む(comprise)」「含む(comprising)」「含む(including)」「含む(containing)」「〜によって特徴づけられる(characterized by)」及びその文法的等価物は、包括的な開かれた意味で用いられ、追加的要素が含まれてもよいことを意味する。それは、「〜のみからなる(consists of only)」と解釈されることが意図されていない。
本明細書で用いられるとき、「〜からなる(consisting of)」及びその文法的等価物は、特許請求の範囲において特定されない任意の要素、ステップ又は成分を排除する。
本明細書で用いられるとき、用語「約(about)」又は「約(approximately)」は、所与の値又は範囲の5%以内を意味する。
用語「生分解性」は、本明細書で用いられるとき、高分子構造の酵素的及び非酵素的な崩壊又は分解の双方を指す。
用語「カチオン性」は、正味の正電荷又は正のゼータポテンシャルを各々の環境条件下で有する任意の薬剤、組成物、分子又は材料を指す。様々な実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、カチオン性ポリマー、ペプチド、タンパク質担体、又は脂質を含む。
本明細書で用いられるとき、用語「多剤耐性」は、2つ以上の化学療法剤に対する耐性を発現しているがん細胞を指す。がん細胞は、薬剤取り込みの低下及び薬剤排出の増加を含む複数の機構により、多剤耐性になり得る。
本明細書で用いられるとき、治療薬に対する用語「耐性」又は「屈折性(refractive)」は、がん患者を指すとき、がんが、治療薬との接触の結果としての治療薬の効果に対して、自然、又は獲得耐性を有することを意味する。換言すれば、がんは、特定の治療薬に関連する通常の標準治療に対して耐性がある。
本明細書で用いられるとき、用語「ナノ粒子」は、直径が10nm〜1000nmの範囲内の粒子を指し、ここで直径は、粒子と同じ体積を有する完全球形の直径を指す。用語「ナノ粒子(nanoparticle)」は、「ナノ粒子(nanoparticle(s))」と互換可能に用いられる。場合によっては、粒子の直径は、約1〜1000nm、10〜500nm、20〜300nm、又は100〜300nmの範囲内である。様々な実施形態では、直径は、約30〜170nmである。特定の実施形態では、ナノ粒子の直径は、約1、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、又は1000nmである。他の実施形態では、ナノ粒子の直径は、1、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、又は1000nmである。
場合によっては、粒子の集団が存在してもよい。本明細書で用いられるとき、ナノ粒子の直径は、特定集団内の分布の平均である。
本明細書で用いられるとき、用語「ポリマー」は、当該技術分野で用いられる通り、その通常の、即ち共有結合によって結合された1つ以上の反復単位(単量体)を含む分子構造という意味が与えられる。反復単位はすべて同一であってもよい、又は場合によっては、ポリマー内部に反復単位の2つ以上のタイプが存在してもよい。
「化学療法剤」、「治療薬」及び「薬剤」は、作用機構と無関係に、がんの治療において有用な生物学的(大分子)又は化学的(小分子)化合物である。化学療法剤のクラスとして、限定はされないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、タンパク質、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤が挙げられる。化学療法剤は、「標的療法」及び非標的化、通常の化学療法において使用される化合物を含む。
「標的化部分」は、標的化細胞の表面に選択的に結合することになる分子である。例えば、標的化部分は、特定タイプの細胞上に見出されるか又は標的細胞上に他の細胞よりも高頻度で発現される細胞表面受容体に結合するリガンドであってもよい。
標的化部分又は治療薬は、ペプチド又はタンパク質であり得る。「タンパク質」及び「ペプチド」は、当該技術分野で周知の用語であり、本明細書で用いられるとき、これらの用語は、当該技術分野でのそれらの通常の意味が与えられる。一般に、ペプチドは、約100アミノ酸長未満のアミノ酸配列であり、タンパク質は、一般に少なくとも100アミノ酸の分子であると考えられる。アミノ酸は、D−又はL−立体配置であり得る。タンパク質は、例えば、タンパク質薬、抗体、組換え抗体、組換えタンパク質、酵素などであり得る。いくつかの場合には、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸の1つ以上が、例えば、化学的実体、例えば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション用リンカー、官能化、又は他の修飾、例えば、閉環、疑似閉環(by−cyclization)、並びにペプチド及びタンパク質に対してより有利な特性を与えることが意図された極めて多数の他の修飾のいずれかの付加により、修飾され得る。その他の場合には、ペプチド又はタンパク質のアミノ酸の1つ以上が、1つ以上の天然に存在しないアミノ酸との置換により修飾され得る。ペプチド又はタンパク質は、ファージライブラリー、酵母ライブラリー、又はインビトロコンビナトリアルライブラリーなどのコンビナトリアルライブラリーから選択されてもよい。
用語「組み合わせ」、「治療的組み合わせ」又は「薬学的組み合わせ」は、本明細書で用いられるとき、2つ以上の治療薬の併用投与(例えば、共送達)を指す。併用療法の成分は、同時に又は経時的に投与されてもよい、即ち、組み合わせの少なくとも1つの成分は、それ以外の成分と時間的に異なる時点で投与される。実施形態では、ある成分は、それ以外の成分から1月、1週、1〜6日、18、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1時間、又は30、20、15、10、若しくは5分以内に投与される。
用語「薬学的に許容できる」は、本明細書で用いられるとき、健全な医学的判断の範囲内で、温血動物、例えば哺乳動物又はヒトの組織との接触に適し、過剰な毒性、刺激アレルギー反応、及び合理的なリスク・ベネフィット比に見合う合併症といった他の問題を伴わない、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
1つ以上の治療薬を含む高分子ナノ粒子の「治療有効量」は、組み合わせで治療された障害の臨床的に観察可能な徴候及び症状のベースラインを上回る、観察可能又は臨床的有意な改善をもたらすのに十分な量である。
用語「対象」又は「患者」は、本明細書で用いられるとき、がん又は直接的若しくは間接的にがんに関わる任意の障害を患う可能性があるか又はそれに苦しむ動物を含むことが意図される。対象の例として、哺乳類、例えば、ヒト、類人猿、サル、イヌ、雌ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、及びトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。一実施形態では、対象は、ヒト、例えばがんを患うヒトである。
用語「処置する」又は「処置」は、本明細書で用いられるとき、対象における少なくとも1つの症状を解放、低減又は軽減するか、又は疾患の進行における遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、障害の1若しくはいくつかの症状の減少、又は障害、例えばがんの完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内で、用語「治療する」はまた、疾患を悪化させるリスクを停止及び/又は低減することを意味する。用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」又は「予防」は、本明細書で用いられるとき、予防対象の状態、疾患又は障害に関連するか又はそれによって引き起こされる少なくとも1つの症状の予防を含む。
本明細書で用いられるとき、用語「ヒト等価用量」は、動物試験で使用される特定用量から計算される、ヒトに投与されるべき組成物の用量を指す。
本明細書で用いられるとき、用語「急速増殖細胞」は、自律的成長の能力を有する細胞(例えばがん細胞)を指す。
本明細書で用いられるとき、用語「がん幹細胞」は、例えば特定の腫瘍タイプ内のすべての細胞型を生じさせる、幹細胞の特徴及び自己再生する能力を有するがん細胞を指す。いくつかの実施形態では、がん幹細胞は、化学療法に対して耐性又は難治性である。
サリノマイシンを含む高分子ナノ粒子
サリノマイシンを送達するための生分解性高分子ナノ粒子が、本明細書に提供される。サリノマイシンを含むナノ粒子は、例えば、米国特許出願公開第2015−0353676A1号明細書;国際出願PCT/US第2016/060276号明細書(2017年5月11日に公開);及び2017年11月1日に出願された国際出願PCT/US第2017/059542号明細書に記載の方法を用いて調製され得る。
一実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)(PLA)及びポリ(エチレングリコール)(PEG)を含むブロック共重合体を含む。ポリ(乳酸)(PLA)は、疎水性ポリマーであり、高分子ナノ粒子の合成にとって好ましいポリマーである。しかし、ポリ(グリコール酸)(PGA)及びポリ乳酸・グリコール酸ブロック共重合体(PLGA)をさらに使用してもよい。疎水性ポリマーはまた、生物学的に誘導され得るか又はバイオポリマーであり得る。使用されるPLAの分子量は、一般に約2,000g/モル〜80,000g/モルの範囲内である。したがって、一実施形態では、使用されるPLAは、約10,000g/モル〜80,000g/モルの範囲内である。PLAの平均分子量はまた、約70,000g/モルであってもよい。
PEGは、親水性、マクロファージに対する抗食作用、及び免疫学的認識に対する抵抗性を付与することから、高分子ナノ粒子を形成するために使用されるポリマーの別の好ましい成分である。ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)のようなブロック共重合体は、本発明において使用可能な親水性又は親水性−疎水性共重合体である。ブロック共重合体は、2、3、4、又は5以上の数の異なるブロックを有してもよい。
本明細書で用いられるとき、1g/モルは、1「ダルトン」に等しい(即ち、ダルトンとg/モルは、ポリマーの分子量を参照するとき、互換可能である)。「キロダルトン」は、本明細書で用いられるとき、1,000ダルトンを指す。
さらなる実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG)ジブロック共重合体を含む。
さらなる実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む。様々な実施形態では、ナノ粒子は、生分解性、長期血液循環性、ステルス性のテトラブロック高分子ナノ粒子プラットフォームであるNANOPRO(商標)を含む(NanoProteagen Inc.;Massachusetts)。PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体は、PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体とPLAとの化学的コンジュゲーションから形成され得る。
ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含むナノ粒子の合成及び特徴づけについては、PCT公開の国際公開第2013/160773号パンフレット(その全体が参照により本明細書で援用される)に記載されている。ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子は、安全、安定及び非毒性であることが示されている。
このテトラブロック共重合体を形成するために用いられる方法は、PEG−PPG−PEGをポリ乳酸(PLA)マトリックスに共有結合的に結合させ、マトリックス、即ちナノ粒子送達系の一部になるブロック共重合体を得ることを含む。これにより、乳化剤の培地への浸出が阻止される。
特定の実施形態では、分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量として表すことができる。
数平均分子量(Mn)は:
Figure 2021530504
によって定義される。
ここでMは鎖の分子量であり、Nはその分子量の鎖の数である。重量平均分子量(Mw)は:
Figure 2021530504
によって定義される。
Mnと比べて、Mwでは、分子量平均への寄与を判定する場合、鎖の分子量が考慮される。鎖が大規模になればなるほど、Mwへの鎖の寄与が大きくなる。
いくつかの実施形態では、親水性−疎水性ブロック共重合体(例えば、PEG−PPG−PEG)の数平均分子量(Mn)は、一般に1,000〜20,000g/モルの範囲内である。さらなる実施形態では、親水性−疎水性ブロック共重合体の平均分子量(Mn)は、約4,000g/モル〜15,000g/モルである。場合によっては、親水性−疎水性ブロック共重合体の平均分子量(Mn)は、4,400g/モル、8,400g/モル、又は14,600g/モルである。特定の実施形態では、PEG−PPG−PEGのMnは、1,100〜15,000g/モル、例えば4,000〜13,000g/モルである。特定の実施形態では、PEG−PPG−PEGのMnは、10,000〜13,000g/モルである。他の実施形態では、PEG−PPG−PEGのMnは、約12,500g/モルである。
いくつかの実施形態では、本発明のブロック共重合体は、本質的にポリ(乳酸)(PLA)のセグメント及びポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)のセグメントからなる。
一実施形態では、特定の生分解性高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)ブロック共重合体で形成される。
本発明の別の特定の生分解性高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(乳酸)(PLA−PEG−PPG−PEG−PLA)ブロック共重合体で形成される。
本発明の生分解性ポリマーは、共有結合を用いて、PLAを親水性−疎水性ブロック共重合体で化学修飾することにより形成され得る。
本発明の生分解性高分子ナノ粒子は、様々な実施形態では、約1〜1000nmの範囲内のサイズ、約30〜300nmの範囲内のサイズ、約100〜300nmの範囲内のサイズ、又は約100〜250nmの範囲内のサイズ、又は少なくとも約100nmのサイズを有する。
本発明の生分解性高分子ナノ粒子は、様々な実施形態では、約30〜120nmの範囲内のサイズ、約120〜200nmのサイズ、又は約200〜260nmのサイズ、又は少なくとも約260nmのサイズを有する。
一実施形態では、本発明の生分解性ポリマーは、実質的に乳化剤を含まないか、又は外部乳化剤を約0.5重量%〜5重量%の量だけ含んでもよい。
一実施形態では、本発明の生分解性高分子ナノ粒子は、PLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量は、約60,000g/モルであり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は、約8,400又は約14,600g/モルであり、且つ外部乳化剤は、約0.5重量%〜5重量%である。
別の実施形態では、本発明の生分解性高分子ナノ粒子は、PLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量は、約16,000g/モル以下であり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は、約8,400g/モル又は約14,600g/モルであり、ここで組成物は、実質的に乳化剤を含まない。
一実施形態では、生分解性高分子ナノ粒子は、PLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量は、約10,000〜約100,000ダルトン、約20,000〜90,000ダルトン、約30,000〜80,000ダルトン、約50,000〜80,000ダルトン、及び約72,000ダルトンであり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は、約8,000ダルトン〜18,000ダルトン、約12,000ダルトン〜17,000ダルトン、及び約8,400〜約14,600g/モルであり、且つ外部乳化剤は、約0.5重量%〜5重量%である。
別の実施形態では、生分解性高分子ナノ粒子は、PLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量は、約100,000ダルトン以下であり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は、約12,000ダルトン又は約17,000ダルトンであり、ここで組成物は、実質的に乳化剤を含まない。
別の実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子は、カチオン性ペプチドをさらに含む。
別の態様では、本質的にPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体又はPLA−PEGジブロック共重合体からなるポリマーで形成される高分子ナノ粒子であって、サリノマイシンと、任意選択的に第2の治療薬とが充填された高分子ナノ粒子が、本明細書に提供される。
ナノ粒子(本明細書中で「NP」とも称される)は、ナノカプセル又はナノ球体として作製され得る。ナノ粒子中へのサリノマイシンの充填は、吸着プロセス又はカプセル封入プロセスのいずれかにより実施され得る(Spada et al.,2011;Protein delivery of polymeric nanoparticles;World Academy of Science,Engineering and Technology:76、その全体が参照により本明細書中に援用される)。ナノ粒子は、受動的及び能動的標的化方法の双方を用いることで、がん細胞内での薬剤の細胞内濃度を増加させ得る一方で、正常細胞内での毒性を回避させ得る。ナノ粒子が特異的な受容体に結合し、細胞に侵入するとき、それらは通常、受容体介在性エンドサイトーシスを介してエンドソームにより覆われ、それにより主要な薬剤耐性機構の1つであるP−糖タンパク質の認識がバイパスされる(Cho et al.,2008,Therapeutic Nanoparticles for Drug Delivery in Cancer,Clin.Cancer Res.,2008,14:1310−1316、その全体が参照により本明細書中に援用される)。ナノ粒子は、オプソニン作用及び食作用により身体から排除される(Sosnik et al.,2008;Polymeric Nanocarriers:New Endeavors for the Optimization of the Technological Aspects of Drugs;Recent Patents on Biomedical Engineering,1:43−59、その全体が参照により本明細書中に援用される)。ナノ担体に基づく系は、改善された細胞内透過性、局在化送達、早期分解に対して保護された薬剤、制御された薬物動態及び薬物組織分布特性、より低い用量の要件及び費用効果といった利点を有する有効な薬物送達のために用いることができる(Farokhzad OC,et al.;Targeted nanoparticle−aptamer bioconjugates for cancer chemotherapy in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006,103(16):6315−20;Fonseca C,et al.,Paclitaxel−loaded PLGA nanoparticles:preparation,physicochemical characterization and in vitro anti−tumoral activity.J.Controlled Release 2002;83(2):273−86;Hood et al.,Nanomedicine,2011,6(7):1257−1272、それら全体が参照により本明細書中に援用される)。
ナノ粒子の取り込みは、それらの小さい寸法に間接的に比例する。それらの小さいサイズに起因し、高分子ナノ粒子は、細網内皮系(RES)による認識及び取り込みを回避することが見出されており、それ故、長期間にわたり血液中を循環し得る(Borchard et al.,1996,Pharm.Res.7:1055−1058、その全体が参照により本明細書中に援用される)。ナノ粒子はまた、固形腫瘍の漏出性脈管構造のような病理学的部位に血管外遊出し得ることで、受動的標的化機構がもたらされる。より高い表面積が可溶化速度の迅速化をもたらすことに起因し、ナノサイズ構造は通常、より高い血漿濃度及び曲線下面積(AUC)値を示す。粒径の減少が宿主防御機構を回避することに役立ち、血液循環時間を増加させる。ナノ粒子径は薬剤放出に影響する。より大きい粒子は、薬剤の系へのより緩徐な拡散を有する。より小さい粒子は、より大きい表面積を提供するが、迅速な薬剤放出をもたらす。より小さい粒子は、ナノ粒子分散体の貯蔵及び輸送の間、凝集する傾向がある。それ故、ナノ粒子の小径と最大安定性との間で妥協することが所望される。薬物送達システムで使用されるナノ粒子径は、それらの毛細毛管への迅速な漏出を阻止するのに十分に大きい必要があるが、網内系、例えば肝臓及び脾臓に留まる固定マクロファージによる捕捉を回避するのに十分に小さい必要がある。
それらのサイズに加えて、ナノ粒子の表面特徴はまた、循環中の寿命及び運命を決定するのに重要な要素である。ナノ粒子は、理想的には、マクロファージ捕捉を回避するための親水性表面を有する必要がある。親水性及び疎水性ドメインを有するブロック共重合体から形成されるナノ粒子は、これらの基準を満たす。制御されたポリマー分解はまた、病的状態への薬剤送達のレベル上昇を可能にする。ポリマー分解はまた、粒径による影響を受け得る。分解速度は、インビトロでの粒径の増加とともに増加する(Biopolymeric nanoparticles;Sundar et al.,2010,Science and Technology of Advanced Materials;doi:10.1088/1468−6996/11/1/014104、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
ポリ(乳酸)(PLA)は、組織工学、医用素材及び薬物担体における用途について米国食品医薬品局(FDA)によって認可されており、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)PLA−PEGに基づく薬物送達システムは、当該技術分野で公知である。米国特許出願公開第2006/0165987A1号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)は、ポリ(エステル)−ポリ(エチレン)マルチブロック共重合体、及びナノ球体に剛性を与え、医薬化合物を組み込むための任意選択成分を含む、ステルス性の高分子生分解性ナノ球体について記載している。米国特許出願公開第2008/0081075A1号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)は、グラフト高分子と1つ以上のブロック共重合体とから自己組織化される、機能的な内部コア及び親水性の外部シェルを有する新規な混合ミセル構造を開示している。米国特許出願公開第2010/0004398A1号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)は、相間領域を有するシェル/コア立体配置の高分子ナノ粒子及びそれを作製するための方法を記載している。
様々な実施形態では、本発明は、安定なナノ複合体を形成するため、治療用分子と相互作用し、且つ/又は細胞透過性ペプチドとして機能するカチオン性分子をさらに含む。様々な実施形態では、カチオン性分子細胞は、透過性ペプチド又はタンパク質伝達ドメインを含む。様々な実施形態では、カチオン性分子は、治療薬の核への伝達を促進するカチオン性ペプチドである。
サリノマイシン及び追加的な治療薬を含む高分子ナノ粒子を調製するための方法が、本明細書に提供される。得られる高分子ナノ粒子は、非毒性、安全、及び生分解性であるだけでなく、インビボで安定であり貯蔵安定性が高く、また医薬分野におけるナノ担体系又は薬物送達システムにおいて安全に使用可能である。実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子は、インビボで送達可能な薬剤又は治療薬の半減期を増加させ得る。
調製方法は、サリノマイシンを準備することと、ブロック共重合体溶液を形成するため、ブロックポリマーを溶媒に溶解することと;複合体及びブロック共重合体を含む溶液を形成するため、複合体をブロック共重合体溶液に添加することと、を含み得る。
一実施形態では、ブロック共重合体は、PLA−PEGジブロック共重合体である。
一実施形態では、ブロック共重合体は、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体である。
一実施形態では、ブロック共重合体溶液は、約2mg/ml〜10mg/mlの濃度で調製される。さらなる実施形態では、ブロック共重合体溶液は、約6mg/mlの濃度で調製される。
一実施形態では、方法は、サリノマイシンを含む溶液を、界面活性剤を含む溶液に添加することをさらに含む。さらなる実施形態では、サリノマイシンとブロックポリマー溶液とを結合させることから得られる溶液は、安定なナノ粒子が形成されるまで撹拌される。
様々な実施形態では、高分子ナノ粒子は、膨化又は収縮時、非球状立体配置をとり得る。
ナノ粒子は、様々な実施形態では、本質的に両親媒性である。
ナノ粒子のゼータポテンシャル及びPDI(多分散指数)が計算されてもよい(米国特許第9,149,426号明細書を参照、その全体が参照により本明細書中に援用される)。
高分子ナノ粒子は、透過型電子顕微鏡を用いて測定されてもよい寸法を有する。好適な実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子の直径については、直径が約100〜350nm又は直径が約100〜30nm又は約100〜250nmとなる。さらなる実施形態では、本明細書に提供される高分子ナノ粒子の直径は、約100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、又は250nmである。
一実施形態では、複合体を含む高分子ナノ粒子は、約+5〜−90mV、例えば、+4〜−75mV、+3〜−30mV、+2〜−25mV、+1〜−40mVのゼータポテンシャルを有する。さらなる実施形態では、複合体は、約−30mVのゼータポテンシャルを有する。
高分子ナノ粒子を形成するための特定の方法及び医薬組成物における使用は、参照を目的として本明細書に提供される。これらの方法及び使用は、当業者にとって明白な種々の方法を通じて実施されてもよい。
医薬組成物
さらに、医薬用途、及び担体系又はナノ粒子のリザーバー若しくはデポーを使用する他の分野における、サリノマイシン高分子ナノ粒子を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。ナノ粒子は、予後、治療、診断、及び/又はセラノスティック組成物において使用可能である。好適には、本発明のナノ粒子は、薬剤及び薬剤送達(例えば腫瘍細胞内)のため、並びにヒト及び動物における疾患診断及び医学的イメージングのため、使用される。したがって、本発明は、本明細書に記載のような治療薬をさらに含むナノ粒子を用いて、疾患を治療するための方法を提供する。本発明のナノ粒子はまた、バイオセンサーとして、固定化酸素のための作用剤としてなど、リザーバー又はデポーが要求される場合、化学的又は生物学的反応などの他の適用において使用可能である。
したがって、一態様では、
a)ポリ(乳酸)(PLA)及びポリ(エチレングリコール)(PEG)を含むブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;並びに
b)サリノマイシン
を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。
一実施形態では、高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG)ジブロック共重合体を含む。
一実施形態では、高分子ナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む。
さらなる実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体は、PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体とPLAとの化学的コンジュゲーションから形成される。
一実施形態では、PLAの分子量は、約10,000〜約100,000ダルトンである。
本明細書に提供される組成物の一実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG)ジブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
本明細書に提供される組成物の一実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
本明細書に提供される組成物の一実施形態では、高分子ナノ粒子は、高分子ナノ粒子の外部に結合された標的化部分をさらに含み、ここで標的化部分は、抗体、ペプチド、又はアプタマーである。
好適な医薬組成物又は製剤は、例えば、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の活性成分を含有し得る。経腸又は非経口投与用の医薬製剤は、例えば、単位剤形、例えば、糖コーティング錠、錠剤、カプセル剤若しくは坐剤、又はアンプル剤に含まれるものである。特に指示がない場合、これらは、本質的に公知の方法で、例えば、通常の混合、顆粒化、糖コーティング、溶解又は凍結乾燥化プロセスを用いて調製される。必要な有効量が複数の用量単位の投与によって達成されてもよいことから、各剤形の個別用量中に含有される組み合わせパートナーの単位含量がそれ自体で有効量を構成する必要がないことは理解されるであろう。
医薬組成物は、活性成分として、ナノ粒子の1つ以上を、1つ以上の薬学的に許容できる担体(賦形剤)と組み合わされて含有し得る。本発明の組成物を作製する場合、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合される、賦形剤によって希釈される、又は、例えば、カプセル剤、サシェ剤、ペーパー剤、若しくは他のコンテナ剤の形態に類する担体中に封入される。賦形剤が希釈剤として機能するとき、それは、固体、半固体、又は液体材料であり得、活性成分のための媒体、担体又は培地として作用する。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として又は液体培地中)、軟膏剤(例えば、活性化合物の最大10重量%で含有する)、ソフト及びハードゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射用液剤、並びに無菌封入粉末の形態であり得る。
好適な賦形剤のいくつかの例が、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン)、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースを含む。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などの平滑剤;浸潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチル−及びプロピルヒドロキシ−安息香酸塩などの保護剤;甘味剤;並びに香味剤をさらに含み得る。
本発明の化合物及び組成物が経口投与又は注射による投与用に組み込み可能である液体形態は、水溶液、好適には風味シロップ、水性又は油性懸濁液、及び風味エマルジョンとともに、食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ヤシ油、又はピーナッツ油、並びにエリキシル剤及び類似の薬剤溶媒を含む。
処置方法
本明細書で開示されるナノ粒子は、サリノマイシンによる治療から利益を得ることが知られる又は疑われる任意の病態又は障害を治療又は予防するため、使用可能である。
一態様では、がん又は前がん状態を治療又は予防するため、サリノマイシン含有ナノ粒子が使用される。いくつかの実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膵がん、白血病、リンパ腫、骨肉腫、胃がん、前立腺がん、結腸がん、肺がん、肝がん、腎がん、頭頚部がん、及び子宮頸がんからなる群から選択される。
一実施形態では、がんは、乳がんである。別の実施形態では、乳がんは、トリプルネガティブ乳がんである。別の実施形態では、乳がんは、ホルモン依存性乳がんである。
一実施形態では、がんは、肺がんである。別の実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がんである。別の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。
一実施形態では、がんは、化学療法剤に対して耐性又は難治性である。別の実施形態では、がんは、多剤耐性である。
一態様では、それを必要とする対象における疾患を治療するための方法であって、a)PLA−PEGジブロック共重合体を含むポリマー;及びサリノマイシンで形成される高分子ナノ粒子を含む医薬組成物を治療有効量で対象に投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
本明細書に提供される方法の一実施形態では、医薬組成物は、レナリドミド、クリゾチニブ、グリベック、ハーセプチン、アバスチン(avstin)、PD−1チェックポイント阻害剤、PDL−1チェックポイント阻害剤、CTLA−4チェックポイント阻害剤、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキサート、パクリタキセル、及びインデノイソキノリンからなる群から選択される化学療法剤又は標的化抗がん剤をさらに含む。
本明細書に提供される方法の一実施形態では、疾患は、がん、自己免疫性疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染症、内分泌疾患、及び神経障害である。
本明細書に提供される方法の一実施形態では、ナノ粒子は、本質的にPLA−PEGジブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
本明細書に提供される方法の一実施形態では、ナノ粒子は、本質的にPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
一実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にPLA−PEGジブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
一実施形態では、高分子ナノ粒子は、本質的にPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体からなるポリマーで形成される。
本明細書に提供される医薬組成物の投与により、疾患又は障害の症状を軽減するか、その進行を遅延させるか又は阻害することに関連する有益な効果だけでなく、さらに驚くべき有益な効果、例えば本明細書に記載の高分子ナノ粒子系を用いない薬剤送達又は任意の他の通常の手段による薬剤送達と比べて、例えば、副作用低下、より耐久性のある応答、改善された生活の質又は罹患率減少がもたらされることがある。
用量及び投与
一態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシンを含む組成物を治療有効量で対象に投与することを含み;ここで治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法を対象とする。
別の態様では、対象におけるがん幹細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能を低減する方法であって、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシンを含む組成物を治療有効量で対象に投与することを含み、ここで治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法が、本明細書に提供される。
本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.1mg/kg〜約2.5mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.5mg/kg〜約5mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約1mg/kg〜約5mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約2.5mg/kg〜約5mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.025mg/kg〜約0.5mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.025mg/kg〜約0.1mg/kgである。
本方法の他の実施形態では、治療有効量は、約0.025mg/kg〜約1mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約1mg/kg〜約2mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約2mg/kg〜約3mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約3mg/kg〜約4mg/kgである。本方法の実施形態では、治療有効量は、約4mg/kg〜約5mg/kgである。
本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.03mg/kg〜約0.5mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約0.35mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約0.4mg/kgである。本方法の他の実施形態では、治療有効量は、約0.05mg/kg〜約0.8mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約0.61mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約0.69mg/kgである。
本方法の実施形態では、治療有効量は、約0.08mg/kg〜約1.1mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約0.89mg/kgである。本方法の一実施形態では、治療有効量は、約1.0mg/kgである。
本方法の実施形態では、組成物は、静脈内に、腫瘍内に、又は皮下に投与される。
本方法のいくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回、1日おきに1回、週1回、週2回、月1回、又は月2回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも1日1回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも1日おきに1回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも週1回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも週2回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも月1回投与される。本方法の一実施形態では、組成物は、少なくとも月2回投与される。別の実施形態では、組成物は、1日2回以上投与される。
本方法のいくつかの実施形態では、組成物は、3週間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、30日間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、60日間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、90日間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、120日間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、150日間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、6か月間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、約6か月間〜約1年間にわたり投与される。本方法の他の実施形態では、組成物は、約1年間〜約2年間にわたり投与される。
本明細書で開示される方法及び用量は、インビボでサリノマイシンの毒性を低減することが見出されている。さらに、本明細書に記載の組成物は、サリノマイシンナノ粒子がサリノマイシン単独よりも高い用量で対象に投与されることを可能にする。
特定の実施形態では、治療有効量は、動物実験から決定されるヒト等価用量である。
医薬組成物の一実施形態では、高分子ナノ粒子は、高分子ナノ粒子の外部に結合された標的化部分をさらに含む。
別の態様では、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子、及びサリノマイシン、並びに薬学的に許容できる担体を含む約12.5mg〜約500mgの医薬組成物を含む剤形が、本明細書に提供される。
本明細書に提供される高分子ナノ粒子の有効用量は、特定のタンパク質、核酸、及び/又は使用される他の治療薬、投与様式、治療中の病態、並びに治療中の病態の重症度に応じて変化してもよい。したがって、高分子ナノ粒子の投与計画は、投与経路や患者の腎臓及び肝臓機能を含む種々の要素に従って選択される。
有効性を判定するため、治療は、1つ以上の治療前又は治療後の表現型を標準表現型と比較することをさらに含んでもよい。標準表現型は、参照細胞又は細胞集団内での対応する表現型である。参照細胞は、以下、即ち、タンパク質分解障害を有することが疑われていない個人若しくは対象からの細胞、対象からの細胞、培養細胞、対象からの培養細胞、又は治療前の対象からの細胞の1つ以上である。対象からの細胞は、例えば、骨髄間質細胞(BMSC)、末梢血単核球(PBMC)、リンパ球、毛包、血球、他の上皮細胞、骨髄形質細胞、原発性がん細胞、患者由来腫瘍細胞、正常若しくはがん造血幹細胞、神経幹細胞、固形腫瘍細胞、星状細胞、がん幹細胞などを含んでもよい。
組み合わせ治療
本明細書に提供される組成物は、任意選択的には、追加的な治療様式、例えば、サリノマイシンと併せて対象に投与される、治療薬(例えば化学療法剤)、放射線薬剤、ホルモン剤、生物学的製剤又は抗炎症剤をさらに含む。
サリノマイシンとの併用療法において使用可能な治療薬は、例えば、レナリドミド、クリゾチニブ又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、例えば米国特許第8,883,842号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)中に開示されるものを含んでもよい。追加的な治療薬として、例えば、グリベック、ハーセプチン、アバスチン(avstin)、PD−1チェックポイント阻害剤、PDL−1チェックポイント阻害剤、CTLA−4チェックポイント阻害剤、タモキシフェン、トラスツザマブ(trastuzamab)、ラロキシフェン、ドキソルビシン、フルオロウラシル/5−fu、パミドロン酸二ナトリウム、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、レトロゾール、トレミフェン、フルベストラント、フルオキシメステロン、トラスツズマブ、メトトレキサート、酢酸メガストロール、ドセタキセル、パクリタキセル、テストラクトン、アジリジン、ビンブラスチン、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ゾレドロン酸、タキソール、ビンブラスチン、及び/又はビンクリスチンが挙げられる。有用な非ステロイド性抗炎症剤として、限定はされないが、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルリサール、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;サリチル酸誘導体、例えば、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジン;パラ−アミノフェノール(para−aminophennol)誘導体、例えば、アセトアミノフェン及びフェナセチン;インドール及びインデン酢酸、例えば、インドメタシン、スリンダク、及びエトドラク;ヘテロアリール酢酸、例えば、トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラク;アントラニル酸(フェナム酸)、例えば、メフェナム酸、及びメクロフェナム酸;エノール酸(enolic acid)、例えば、オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)、及びピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンサルタゾン(oxyphenthartazone));及びアルカノン、例えばナブメトン、並びにそれらの薬学的に許容できる塩及びそれらの混合物、が挙げられる。NSAIDのより詳細な説明については、Paul A.Insel,Analgesic−Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617−57 Perry B.Molinhoff and Raymond W.Ruddon eds.,9th ed 1996,Glen R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti−Inflammatory Drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy Vol II 1196−1221 and A.R.Gennaro ed.19th ed.1995(それら全体が本明細書で参照により援用される)を参照されたい。
一実施形態では、追加的な化学療法剤又は標的化抗がん剤は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキサート、パクリタキセル、及びインデノイソキノリンからなる群から選択される。
主題がその特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されているものの、他の実施形態が可能である。それ故、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる具体的な実施形態の説明に限定されるべきでない。
本開示は、ここで有効な実施例を用いて例示されることになり、開示の有効性を例示することが意図され、したがって本開示の範囲に何らかの制限は意図されない。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本開示が属する当業者に一般に理解されていることと同じ意味を有する。開示される方法及び組成物の実施において、本明細書に記載される場合に類似又は相当する方法及び材料を用いることができるが、例示的な方法、デバイス及び材料を本明細書に記載する。
実施例1.PLA−PEG−PPG−PEGブロック共重合体の高分子ナノ粒子の調製
ポリ(乳酸)(分子量−45,000〜60,000g/モル)、PEG−PPG−PEG及び組織培養試薬は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。すべての試薬は、分析グレードであるか又は上記であり、特に指定のない限り、入手状態で使用した。細胞株は、NCCS Pune,India又はATCC,Maryland,USAから入手した。
60,000g/モルの平均分子量を有する5gmのポリ(乳酸)(PLA)を、250mlの丸底フラスコ内の100mlのCHCl(ジクロロメタン)に溶解した。この溶液に、0.7gのPEG−PPG−PEGポリマー(1100〜8400Mnの分子量範囲)を添加した。溶液を0℃で10〜12時間撹拌した。この反応混合物に、5mlの1%Ν,Ν−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)溶液を添加し、続いて0.1%の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)5mlを−4℃〜0℃/0℃以下の温度で緩徐に添加した。反応混合物をさらに24時間撹拌し、続いてPLA−PEG−PPG−PEGブロック共重合体をジエチルエーテルで沈殿させ、Whatman濾紙No.1を用いて濾過した。そのようにして得られたPLA−PEG−PPG−PEGブロック共重合体沈殿物を、低真空下で乾燥させ、さらに使用するまで2℃〜8℃で貯蔵した。
PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子をエマルジョン沈殿法により調製した。上記方法によって得られた100mgのPLA−PEG−PPG−PEG共重合体を、有機溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジクロロメタンに別々に溶解し、高分子溶液を得た。
ナノ粒子は、この高分子溶液を蒸留水20mlの水相に滴加することにより調製した。溶液を室温で10〜12時間磁気撹拌し、残留溶媒の蒸発及びナノ粒子の安定化を可能にした。次に、ナノ粒子を25,000rpmで10分間の遠心分離により収集し、蒸留水を用いて3回洗浄した。ナノ粒子をさらに凍結乾燥させ、さらに使用するまで2℃〜8℃で貯蔵した。
上記方法によって得られたナノ粒子の形状は、本質的に球状である。粒径範囲は、約30〜120nmであった。動的光散乱(DLS)機器を用いて測定したナノ粒子の流体力学的半径は、110〜120nmの範囲内である。
実施例2.サリノマイシンがカプセル封入されたナノ粒子の調製
本発明のナノ粒子は、天然に両親媒性であり、疎水性及び親水性薬剤の双方を充填することが可能である。
実施例1の方法を用いて調製した100mgのPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を、アセトニトリル(CHCN)、ジメチルホルムアミド(DMF;CNO)、アセトン又はジクロロメタン(CHCl)のような有機溶媒5mlに溶解する。
1〜10mgのサリノマイシンを水溶液に溶解し、上の高分子溶液に添加する。サリノマイシンは通常、ポリマーの約10〜20重量%の重量範囲内で取り込まれる。この溶液を、250〜400rpmで10〜15秒間短く超音波処理し、微細な一次エマルジョンを得る。
シリンジ/マイクロピペットを用いて微細な一次エマルジョンを、F−127ポロキソマー(poloxomer)を含有する蒸留水20mlの水相に滴加し、25℃〜30℃、250〜400rpmで10〜12時間磁気撹拌し、溶媒の蒸発及びナノ粒子の安定化を可能にする。水相は、糖添加物をさらに含む。得られたナノ粒子懸濁液を開いた蓋のない状態で一晩撹拌しておき、残留有機溶媒を蒸発させる。サリノマイシンがカプセル封入された高分子ナノ粒子を、10,000gで10分間の遠心分離又は3000gで15分間の限外濾過により収集する。(Amicon Ultra、100,000NMWLのUltracel膜,Millipore,USA)。ナノ粒子を蒸留水に再懸濁し、3回洗浄し、凍結乾燥させる。それらをさらに使用するまで2℃〜8℃で貯蔵する。高分子ナノ粒子は、高度に安定である。
実施例3.CD2雄マウスにおけるサリノマイシン−ナノ粒子(SAL−NP)予備毒性試験の概念の証明及び等用量のSALとのヘッドトゥヘッド比較
野生型CD2雄マウスにおいて、サリノマイシン(SAL)の3つの異なる濃度での効果を評価し、比較するための試験を実施し、生分解性テトラブロック高分子ナノ粒子中のSALの配合物と比較した。
マウス
Taconicから入手した6〜8週齢の20〜25gの雄CD2マウスを使用した。試験を開始する前、動物を5日間気候順応させた。
用量
下の表1に従い、5.0mg/kg、8.5mg/kg、又は12.5mg/kgのSAL又はSAL−NPのいずれかを1回、動物に静脈内注射した。対照動物はPBSで処置した。
Figure 2021530504
方法
すべての動物を、変化(体重、食物及び水摂取)について7日にわたり毎日観察した。動物による薬剤耐性を、臨床、体重及び挙動変化を介して測定した。化合物を1日目に1回投与した。投与から7日後、すべての動物を安楽死させ、完全な血液化学及び血液学分析のため、血液を収集した(下の表2及び3を参照)。動物のすべてについて、死後検査を実施した。さらに、H&E染色による組織病理学的評価のため、異なる臓器(脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、胃、腸、腎臓、及び皮膚)を単離した。
Figure 2021530504
Figure 2021530504
結果
各実験動物を、試験期間中のそれらの水及び食物摂取、排尿、排便及び任意の他の観察可能な変化を含む任意の臨床及び挙動変化について、個別且つ精密に観察した。
12.5mg/kgのSALを投与した群の体重において観察可能な変化が認められた。さらに、8.5mg/kgのSALを投与した動物群においてもわずかな体重減少が認められた。5mg/kgのSAL群においては、観察可能な変化が認められなかった。興味深いことに、SAL−NPをすべての用量で投与した場合、群中の動物の体重において観察可能な変化が認められなかった。食物及び水摂取は、7日目の12.5mg/kgのSAL群の場合以外のすべての群において、一定レベルであった。体重データについては下の表4、そして死後所見については表5を参照されたい。
Figure 2021530504
Figure 2021530504
すべての群からの動物において、排尿及び排便における変化が認められなかった。6日目、12.5mg/kgのSAL群中の動物番号2及び3に、わずかなラフコートが認められた。7日目、この動物群において毛皮の粗さがやや悪化した。
6日目、12.5mg/kgのSAL群中の動物番号1において後肢遅れ及び運動低下の明らかな徴候が認められ、7日目にそれらは悪化した。後肢遅れは、7日目の動物2及び3(12.5mg/kgのSAL群)においても認められた。後肢遅れは、8.5mg/kgのSAL群においてより少ない範囲で認められた。12.5mg/kgのSAL群、8.5mg/kgのSAL群及び5mg/kgのSAL群におけるすべての動物が、運動の嗜眠が認められた。
重要なことに、SAL−NPを投与した群中の動物のいずれもが、後肢遅れの症状を全く示さず、運動障害を全く有しなかった。このデータは、意外にも、ナノ粒子とサリノマイシンの配合がサリノマイシン単独よりも毒性が少ないことを示す。
試験の7日目、ありとあらゆる動物に対して死後検査を実施した。5mg/kgのSALを投与した群は、11の試験臓器のいずれにおいても解剖顕微鏡下で観察可能な変化を全く示さなかった。8.5mg/kgのSAL群の動物番号2が、やや赤みがかり、やや拡張した精巣を有した。この群中のすべての動物が、正常な動物と比べて減少した精巣重量を有した。精巣周囲の筋膜にわずかな拡大が認められた。外傷は認められず、精巣上体は変化が全くないことが見出された。12.5mg/kgのSALを投与した群中のすべての動物が、精巣及び精巣上体の重量における減少、精巣周囲の筋膜の発赤を有し、それにより拡張されたような外観を呈した。これらの動物のいずれもが、外傷の徴候を全く示さなかった。SAL−NP(5mg/kg、8.5mg/kg及び12.5mg/kg)を投与した群中のすべての動物が、かかる変化を全く示さず、正常と思われた。
試験中、12.5mg/kgのサリノマイシン群を除くすべての動物が正常であった。脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、胃、腸、腎臓、筋肉、及び皮膚組織に対して、H&E染色により病理組織学的試験を実施した。7日目、組織を収集し、増加濃度のアルコールを通し、次いで薄片化のためにBuoyins溶液中で保存した。
すべての組織の顕微鏡検査時、SAL−NPを投与したすべての試験動物の脳、心臓、肺、脾臓、胃、精巣、精巣上体、坐骨神経、腸、筋肉及び皮膚には、変化が認められなかった。しかし、12.5mg/kgのSALを投与した群の腎臓、肝臓、精巣及び精巣上体には、変化が認められた。
12.5mg/kgのSALを投与した動物の肝臓において、脂肪変化、細胞質グリコーゲン及びテンションリピドーシスの混合が認められた。これらの変化は、12.5mg/kgのSALを投与した3匹すべての動物で認められた。12.5mg/kgのSAL−NPを投与した動物では、肝臓における変化が認められなかった。
12.5mg/kgのSALを投与した3匹すべての動物の精巣が、胚上皮における精細管の収縮及び空胞化を有した。12.5mg/kgのSALを投与した動物における精巣上体の断面において、空胞化及び壊死性細胞の発生による上皮の破壊が認められた。処置により、精巣の精細管及び間質における様々な構造的変化(縮小)が誘導された。上皮ギャップ、上皮脱落及び胚細胞変性もまた認められた。意外にも、12.5mg/kgのSAL−NPで処置した動物は、それらの精巣上体における変化を有しなかった。
12.5mg/kgのSALを投与した3匹すべての動物は、腎臓の蓋上皮の萎縮とともに精細管の間隔の空きを示した。それらの管腔内部に網状の管が認められ、腎小体の著しい萎縮が認められた。12.5mg/kgのSAL−NPで処置した動物は、腎臓における変化を有しなかった。
結論
SALで処置した動物が肝臓、腎臓、精巣、及び精巣上体に毒性を有した一方で、SAL−NP群では最高濃度であっても変化が認められなかったことが明示される。この試験は、動物による耐性がSAL−NPの3つすべての濃度で十分であったことを示す。
実施例4.サリノマイシン−ナノ粒子(SAL−NP)のヒト等価用量(HED)の計算
マウス試験で使用するサリノマイシン−ナノ粒子(SAL−NP)用量のヒト等価用量(HED)は、Nair and Jacob,“A simple practice guide for dose conversion between animals and human”(2016) and J.Basic Clin.Pharma.27−31に開示され;FDAの“Guidance for Industry”(July 2005)にも開示された(それらの全体が参照により本明細書中に援用される)、2つの異なる式により計算した。SAL−NPにおけるHEDの具体的な実施形態を下の表6に開示する。
Figure 2021530504
本明細書中に引用されるありとあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示内容は、それら全体が参照により本明細書中に援用される。
本発明が具体的な実施形態を参照して開示されている一方で、本発明の他の実施形態及びバリエーションが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく他の当業者によって企図され得ることは明白である。添付の特許請求の範囲は、すべてのかかる実施形態及び等価なバリエーションを含むように解釈されることが意図される。
実施例5.複数のがん細胞株の細胞生存に対するサリノマイシン含有ナノ粒子の効果
Alamar Blueアッセイを用いて、がん細胞生存に対するサリノマイシン含有ナノ粒子の効果を評価した。各細胞株の成長速度に基づき、1500〜4000個の細胞/ウェルを96ウェルプレートに蒔き、37℃、5%COで一晩成長させておいた。細胞を、異なる濃度のサリノマイシン含有ナノ粒子で、8つの濃度について3倍段階希釈を用いて5日間処置した。
次に、Alamar Blue試薬(培地で1:10希釈)をウェルに添加し、2〜4時間インキュベートした。吸収における変化を570nM励起及び600nM放射で測定した。生存百分率を100%としての非処置対照と比べて計算した。
気管支肺胞上皮がん(非小細胞肺がん)細胞株の結果を図8(NCI−H358)に示す。小細胞肺がん細胞株の結果を図9A(NCI−H526)、図9B(NCI−H526、SAL−NPの2つの異なる配合物)及び図10(NCI−H69)に示す。トリプルネガティブ乳がん細胞株の結果を図11(MDA−MB−231)、図12(SUM149)、及び図14(MDA−MB−468)に示す。ホルモン依存性乳がん細胞における結果を図13(MCF−7)に示す。すべてのグラフにおいて、生存パーセント(y軸)をナノ粒子濃度(x軸)の関数として示す。各細胞株のIC50値を細胞生存データから計算した(下の表7を参照)。
Figure 2021530504
実施例6.マンモスフェアに対するサリノマイシン含有ナノ粒子の効果。
がん幹細胞媒介性マンモスフェアを、3D培養物としてのMDA−MB−231トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞からの無血清腫瘍塊成長特別培地中で作製した。作製の成功後、マンモスフェアを、二重ウェルを用いて、8つの異なる濃度のサリノマイシン又はサリノマイシン−NPで72時間処置した。インキュベーション後、WST−1試薬を添加し、プレートをさらに60分間インキュベートし、630nmで発光又は吸光度について読み出した。SAL及びSAL−NPによる3Dマンモスフェアにおける抗増殖アッセイの結果を図17A〜17Cに示す。
実施例7.TNBC患者から単離されたがん幹細胞に対するサリノマイシン含有ナノ粒子の効果。
スフェロイド培養物として培養され、次いで指示薬剤で72時間処置された、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者腫瘍由来細胞におけるCD24−PE及びCD44−FITC抗体染色によるがん幹細胞(CSC)のフローサイトメトリー同定。マンモスフェアの72時間の処置後、アキュターゼ処置により細胞を解離させた。洗浄後、細胞をCD24−PE及びCD44−FITC抗体で染色し、洗浄し、FACSにより分析した。CD44+/CD24−low細胞の亜集団をゲーティングし、定量化した。サリノマイシン及びサリノマイシン−NPの場合、CD44+/CD24low細胞について有意な効果が認められ;パクリタキセルの場合、効果が大して認められなかった(図18参照)。
実施例8.動物異種移植片マウスモデルにおける腫瘍成長阻害に対するサリノマイシン−NPの効果
サリノマイシン含有ナノ粒子がマウスに移植したH69小細胞肺がん細胞の成長を阻害する能力を試験した。
4〜6週齢Balb/c nu/nuマウスの左側腹部に、5×10個のH69小細胞肺がん細胞を皮下注射した。樹立されたH69腫瘍(90〜120mm)を有するマウスを、マウス6匹の群に各々無作為化し、(i)媒体対照で各日又は(ii)5mg/kgのサリノマイシン−ナノ粒子で各週1回、3週間、腹腔内処置した。腫瘍を1日おきにノギスで測定し、式(AXB)/0.5(式中、A及びBは各々、最長及び最短腫瘍径)を用いて腫瘍体積を計算した。腫瘍体積の統計分析は、一元配置分散分析及びダネット検定により、Origin8.0(Origin Lab)を用いて実施した。
結果を図15Aに示す。腫瘍体積(y軸)を経時的に(x軸)示す。媒体対照で処置したマウスにおける腫瘍体積は、2000mmに達した。それに対し、サリノマイシン含有ナノ粒子で処置したマウスにおける腫瘍体積は、1000mm以下であった。
実施例9:サリノマイシン含有ナノ粒子で処置したH69異種移植片マウスにおける体重の評価
上の実施例6で検討した、サリノマイシン−ナノ粒子で処置したH69異種移植片マウス及び対照マウスの体重を、21日間にわたり試験し、媒体で処置したマウスの体重と比較した。
結果を図15Bに示す。体重は、試験期間中、両群において安定性を維持したか、又はやや増加した。これらの結果は、サリノマイシン含有ナノ粒子が体重に悪影響を及ぼさないことを示す。
実施例10.様々な用量のサリノマイシン及びサリノマイシン含有ナノ粒子の野生型マウスにおける比較毒性
サリノマイシンの毒性緩和におけるナノ粒子の効果を野生型マウスにおいて試験した。異なる用量のサリノマイシン単独(5、7.5、10、12.5及び15mg/kg)又はサリノマイシン−ナノ粒子(SAL−NP)(5、7.5、10、12.5及び15mg/kg)を野生型マウスに注射した。サリノマイシン単独群及びサリノマイシン−NP群の各群においてマウス3匹を使用し、体重、食物及び水摂取を毎日、22日間測定した。
結果を図16A〜Eに示す。結果は、サリノマイシン単独で処置したマウス及びサリノマイシン−NPで処置したマウスにおける体重変化又は致死性を示す。最低用量で、体重は、試験の終了時、サリノマイシン−ナノ粒子で処置したマウスにおいて、サリノマイシン単独で処置したマウスと比べて有意により高かった(図16A及び16B;各々、5及び7.5mg/kg用量)。
次の2つのより高い試験用量で、サリノマイシン単独で処置したマウスにおける試験で、致死性が認められ;サリノマイシン単独で処置したマウスは、5日(図16C;10mg/kgの用量)又は3日(図16D;12.5mg/kgの用量)より長く生存しなかった。それに対し、これらの濃度のサリノマイシン含有ナノ粒子で処置したマウスは、体重が本質的に変化せずに、試験の持続期間にわたり生存した。
両群において、最高濃度のサリノマイシンで致死性が認められた(図16E;15mg/kg)。しかし、サリノマイシン含有ナノ粒子群中のマウスが、試験の10〜12日目まで生存した一方で、サリノマイシン単独で処置した群の全メンバーが、3日後に死亡した。
これらの結果は、ナノ粒子がマウスにおけるサリノマイシンの用量を増加させることの毒作用を軽減することを示す。
実施例11.サリノマイシン含有ナノ粒子の特徴づけ
図5A及び5Bは、上の実施例で使用したサリノマイシン−ナノ粒子のサイズ及び形状を提示する透過型電子顕微鏡写真を提供する。図7は、インビトロ無細胞緩衝液系における30日にわたるナノ粒子からのサリノマイシンの持続放出及び徐放を示すグラフである。
図6A及び図6Bは、サリノマイシン−ナノ粒子のサイズ分布及びゼータポテンシャル分布を示すグラフである。サリノマイシン−ナノ粒子の生理化学的特徴を下の表8に詳しく示し、使用した共重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を下の表9に開示する。
Figure 2021530504
Figure 2021530504

Claims (59)

  1. それを必要とする対象における急速増殖細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能を低減する方法であって、前記細胞を、治療有効量の、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン
    を含む組成物と接触させることを含み、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法。
  2. 前記細胞が、がん細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞が、がん幹細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. それを必要とする対象におけるがんを治療するための方法であって、治療有効量の、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;
    を含む組成物を前記対象に投与することを含み、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法。
  5. 前記がんが、乳がん、卵巣がん、膵がん、白血病、リンパ腫、骨肉腫、胃がん、前立腺がん、結腸がん、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん、肝がん、腎がん、頭頚部がん、並びに子宮頸がんからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記がんが、転移性である、請求項4に記載の方法。
  7. 追加的な抗がん療法を前記対象に施すことをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記追加的な抗がん療法が、手術、化学療法、放射線、ホルモン療法、免疫療法、又はそれらの組み合わせである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記がんが、化学療法剤に対して耐性又は難治性である、請求項4に記載の方法。
  10. 前記対象が、ヒトである、請求項4に記載の方法。
  11. それを必要とする対象におけるがん幹細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能を低減する方法であって、治療有効量の、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;
    を含む組成物を前記対象に投与することを含み、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、方法。
  12. 前記治療有効量が、約0.03mg/kg〜約0.5mg/kgである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記治療有効量が、約0.5mg/kg〜約0.8mg/kgである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記治療有効量が、約0.8mg/kg〜約1.1mg/kgである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記組成物が、静脈内に、腫瘍内に、又は皮下に投与される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記組成物が、少なくとも1日1回、1日おきに1回、週1回、週2回、月1回、又は月2回投与される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記組成物が、週1回又は週2回、3週間にわたり投与される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体が、PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体とPLAとの化学的コンジュゲーションから形成される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. PLAの分子量が、約10,000〜約100,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  20. PLAの分子量が、約20,000〜90,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  21. PLAの分子量が、約30,000〜80,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  22. PEG−PPG−PEGの分子量が、約8,000ダルトン〜18,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  23. PEG−PPG−PEGの分子量が、約12,000ダルトン〜17,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記共重合体中のPLAの分子量が、約30,000〜80,000ダルトンであり、且つPEG−PPG−PEGの分子量が、12,000ダルトン〜17,000ダルトンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、80〜120nmである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、90〜110nmである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、95〜105nmである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  28. 第2の治療薬又は標的化抗がん剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  29. a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;及び
    c)薬学的に許容できる担体
    を含む医薬組成物。
  30. 前記高分子ナノ粒子が、前記高分子ナノ粒子の外部に結合された標的化部分をさらに含む、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 請求項25に記載の医薬組成物を約12.5mg〜約500mgで含む剤形。
  32. それを必要とする対象における急速増殖細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能の低減における使用のための医薬組成物であって、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;
    を含み、ここで治療有効量の前記医薬組成物が前記対象に投与され、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、医薬組成物。
  33. 前記細胞が、がん細胞である、請求項32に記載の使用のための医薬組成物。
  34. 前記細胞が、がん幹細胞である、請求項32又は33に記載の使用のための医薬組成物。
  35. それを必要とする対象におけるがんの治療における使用のための医薬組成物であって、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;
    を含み、ここで治療有効量の前記医薬組成物が前記対象に投与され、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、医薬組成物。
  36. 前記がんが、乳がん、卵巣がん、膵がん、白血病、リンパ腫、骨肉腫、胃がん、前立腺がん、結腸がん、非小細胞肺がん及び小細胞肺がん、肝がん、腎がん、頭頚部がん、並びに子宮頸がんからなる群から選択される、請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
  37. 前記がんが、転移性である、請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
  38. 追加的な抗がん療法を前記対象に施すことをさらに含む、請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
  39. 前記追加的な抗がん療法が、手術、化学療法、放射線、ホルモン療法、免疫療法、又はそれらの組み合わせである、請求項38に記載の使用のための医薬組成物。
  40. 前記がんが、化学療法剤に対して耐性又は難治性である、請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
  41. 前記対象が、ヒトである、請求項35に記載の使用のための医薬組成物。
  42. それを必要とする対象におけるがん幹細胞の増殖、生存、遊走、又はコロニー形成能の低減における使用のための医薬組成物であって、
    a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロック共重合体を含む高分子ナノ粒子;及び
    b)サリノマイシン;
    を含み、ここで治療有効量の前記医薬組成物が前記対象に投与され、ここで前記治療有効量が約0.025mg/kg〜約5mg/kgである、医薬組成物。
  43. 前記治療有効量が、約0.03mg/kg〜約0.5mg/kgである、請求項32〜42のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  44. 前記治療有効量が、約0.5mg/kg〜約0.8mg/kgである、請求項32〜42のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  45. 前記治療有効量が、約0.8mg/kg〜約1.1mg/kgである、請求項32〜42のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  46. 静脈内に、腫瘍内に、又は皮下に投与される、請求項32〜45のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  47. 少なくとも1日1回、1日おきに1回、週1回、週2回、月1回、又は月2回投与される、請求項32〜46のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  48. 週1回又は週2回、3週間にわたり投与される、請求項32〜47のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  49. 前記PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック共重合体が、PEG−PPG−PEGトリブロック共重合体とPLAとの化学的コンジュゲーションから形成される、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  50. PLAの分子量が、約10,000〜約100,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  51. PLAの分子量が、約20,000〜90,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  52. PLAの分子量が、約30,000〜80,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  53. PEG−PPG−PEGの分子量が、約8,000ダルトン〜18,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  54. PEG−PPG−PEGの分子量が、約12,000ダルトン〜17,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  55. 前記共重合体中のPLAの分子量が、約30,000〜80,000ダルトンであり、且つPEG−PPG−PEGの分子量が、12,000ダルトン〜17,000ダルトンである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  56. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、80〜120nmである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  57. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、90〜110nmである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  58. 前記高分子ナノ粒子の平均直径が、95〜105nmである、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  59. 第2の治療薬又は標的化抗がん剤をさらに含む、請求項32〜48のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
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