JP2021528480A - 予防及び治療に有効な選択的抗がん剤 - Google Patents

予防及び治療に有効な選択的抗がん剤 Download PDF

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Abstract

デ−エチルフラボペレイリン、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物若しくは水和物、又はその溶媒和物若しくは水和物の薬学的に許容される塩を、がん療法(すなわち、予防及び/又は治療)として、それを必要とする対象に使用することができ、炎症などの病態、とりわけ慢性の炎症又はがん(例えば、癌腫、肉腫、黒色腫、白血病、リンパ腫)、とりわけ固形腫瘍及び/若しくは転移性腫瘍が含まれる。特に、有効量のそのような改善された抗がん剤の全身投与は、固形腫瘍及び/又は固形腫瘍の転移部位において、がん細胞(がん幹細胞を含む)を選択的に破壊することができる。改善された抗がん剤は、大量の全身用量であっても、大量の全身用量によってもたらされる循環中の高濃度も、対象により良好に忍容され、安全で有効な抗がん剤を提供する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、一般に、がん、とりわけ固形腫瘍の治療、及びがん再発のリスクの低減に関する。特に、本発明は、対象のがんの療法のためにデ−エチルフラボペレイリン(de−ethylflavopereirine)、又はその塩若しくは溶媒和物(例えば、水和物)、又はその溶媒和物若しくは水和物の塩(すなわち、本発明の化合物)を投与することに関する。本発明の化合物は、がん細胞を、とりわけ固形腫瘍及び/又は固形腫瘍の転移において、非癌性細胞に目立った有害作用を有さず、他の細胞障害性化学療法剤に関連する副作用を有することなく、選択的に破壊することができる。本化合物は、大用量で投与されたときに良好に忍容され、高い全身濃度を達成している。したがって、他の細胞障害性化学療法剤を休薬して、対象の生活の質を改善している寛解期に対象に投与し、それによって微小転移、残存がん細胞又はがん幹細胞の増殖によって引き起こされる再燃(relapse)のリスクを縮小することができる。1つ又は複数の本発明の化合物を単独で使用することができる、又は他の治療剤及びがん療法と組み合わせて使用することができる。
がん細胞から精製されたDNAは、DNAの一次構造と同様に、DNAの二次構造も正常な細胞のDNAと異なることが数十年の間に確立されてきた。二次構造は、水素結合により安定化されている二重らせんを形成するDNAの2本の鎖を指す。一次構造は、タンパク質の遺伝子コードであるDNAの配列を指す。がん細胞のDNAと正常な細胞のDNAの差は、腫瘍細胞のDNA配列における変異、すなわち、がんの進行の原因因子であると考えられ、多くの場合に証明されているDNAの一次構造における変化にほぼ限定的に関連している。
それでも、がん細胞DNAの二次構造は、正常な構造の二次構造と異なり、UV又はIR分光法のいずれかを使用する2か所の独立した研究所は、がんDNAが正常なDNAと物理的に変化していることを示している。彼らのアッセイは、がん細胞のDNAでは、DNA二重鎖を安定化している水素結合が壊れていること、分子結合が伸張していること及び原子が置換されている又は不在であることを示した。これらの研究所は、この「不安定化」又は「無秩序化」されたDNAが、発癌物質及び酸化損傷に長期間曝露された後に生じるという証拠を提示した。
デ−エチルフラボペレイリンは、がん細胞DNAに特徴的な変更された構造を標的にする。これらの構造的変更は両性におけるすべての腫瘍のがん細胞で生じるので、デ−エチルフラボペレイリンの抗がん効果は広範囲なものである。このことは、当然のことながら、異なる種類のがん細胞が様々な変異を担持するので、発癌の潜在性を有する変異タンパク質に焦点を合わせることがある他の標的化療法より著しく有益である。デ−エチルフラボペレイリンは、DNAにおける変異により引き起こされた変更タンパク質を標的にせず、むしろ、がん細胞のDNAそれ自体の損傷を受けた物理的構造を標的にする。
二次構造が損傷を受けているがんDNAを特異的に標的にすることは、抗がん戦略における大きな突破口である。この現象は、正常なDNA構造を有する健康な細胞がこの化合物に標的を提供しないので、デ−エチルフラボペレイリンに関連する毒性又は目立った副作用が不在であることを説明することができる。
本明細書に示されているように、デ−エチルフラボペレイリンはがん細胞に見出される変更DNAを標的にする化学療法剤の広範囲の活性を呈する。ここで、in vivoにおいて、前臨床研究は、膵がん及び結腸がんに焦点を合わせている。前者は、通常は侵襲性及び難治性であり、後者は、より一般的であり、多くの場合に致死的である。両方とも、この新たな療法により有効に予防又は治療することができる。これらの2つのがんでは、薬物動態データは膵臓及び結腸におけるデ−エチルフラボペレイリンの局在化を示し、このことは、関連する動物モデルでこの化合物の抗がん及び抗腫瘍活性を研究することを正当化している。デ−エチルフラボペレイリンは、他の臓器(例えば、肺、脾臓、腎臓、肝臓及び卵巣)にも蓄積及び存続する。このような結果は、これらのがんが、デ−エチルフラボペレイリンに基づいた療法にとって優れた標的であることを示している。
膵がん
膵がんは、米国における第7位のがん死亡の原因である。2018年には、米国がん学会(American Cancer Society)による米国における膵がんの推定は、約55,440人(男性29,200人及び女性26,240人)が膵がんの診断を受け、約44,330人(男性23,020人及び女性21,310人)が膵がんにより死亡するというものである。膵がんの率は、過去10年間でゆっくりと増加してきた。2013年の膵がん発生の生涯リスクは78人に約1人(1.47%)であったが、2017年の生涯リスクは65人に約1人(1.5%)であった。
大部分のがんのように、膵がんを発生する人のリスクは、行動要因と遺伝又は環境要因の組合せによって左右されると思われる。大部分のがんと異なり、慣用の治療は疾患の過程にほとんど影響を与えず、膵がんが診断されたほぼすべての患者は、転移を発生し、死亡している。5年生存率は4%未満であり、この率は25年間にわたって有意に変わっていない。
膵がんは、早期ステージでは多くの場合に無症候性であり、そのため、もはや切除可能ではないより後期のより侵襲性のステージで一般的に診断される。膵がんの第一線薬であるゲムシタビンは、最初に投与されたときには疾患の進行を遅くしたかもしれないが、腫瘍はこの薬物に対して耐性になり、この薬物を無効にしている。そこで治療選択肢は緩和ケアに低減される。
このように、腫瘍を収縮させ、薬物耐性を回避し、寿命を延長し、同時に生活の質に最小限の影響を与える新たな抗膵がん治療の緊急の必要性が存在する。本発明は、そのような新規治療を記載している。
結腸直腸がん
皮膚がんを除いて、結腸直腸がんは、米国において男性及び女性の両方に診断される3番目に一般的ながんである。米国がん学会による2018年の米国における結腸直腸がんの症例数の推定は、結腸がんでは97,220件の新たな症例及び直腸がんでは42,030件の新たな症例である。結腸直腸がんを発生する生涯リスクは、21人に約1人(4.7%)であり、男性と女性のデータを合わせると、米国における第3位のがん死亡の原因である。2018年に約50,630件の死亡を引き起こすと予想される。
現在、スクリーニング技術が、癌性になる前に除去することができるポリープの早期検出を可能にしている。一般に、早期に検出されたがんは、より治療を受けやすくなり、それによって結腸直腸がんの死亡率(1年ごとの100,000人あたりの死亡数)が過去20年間で男性と女性の両方において下落した。ここ数年の間における治療の改善は、米国で百万人を超えて結腸直腸がんから生存させることができた。いずれにしても、50,000件を超える死亡が2018年において結腸直腸がんから予測される。
本発明は、安全で良好に忍容され有効な抗がん剤である新規の構造的に関連する化合物によって、ステージII、III及びIVのがんを有する患者の有意に良好な生存を提供し、現行の治療様式に関連する負の副作用を避けるという、次世代のがん治療を開発する課題に対処している。国際公開第2005/1211143号、欧州特許公開第1758905号及び米国特許出願公開第2010/0256177号は、がん療法のためのフラボペレイリン誘導体を対象としているが、本発明の化合物はこれらに開示されていなかった。より重要なことには、従来技術の化合物の安全性及び有効性が決定されていなかった。
本発明の医薬活性成分(API)は、デ−エチルフラボペレイリン、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物(例えば、水和物)、並びにそのような溶媒和物及び水和物の薬学的に許容される塩によって例示され、任意選択で非晶質、結晶質又は多形乾燥形態であり、比較的非毒性であり、新生物又は悪性腫瘍の1つ又は複数のタイプに少なくとも抗がん活性を有する、合成(すなわち、人工であり、天然ではない)化合物である。デ−エチルフラボペレイリンは、化学名12H−インドロ[2,3−a]キノリジン−5−イウム又は12H−ピリド[2,1−a]β−カルボリン−5−イウムを有する。本発明の合成化合物は、ある特定の植物から得られるフラボペレイリンとして公知であるβ−カルボリンアルカロイドに構造的に関連しているが、天然の化合物より有効である。本発明の合成化合物は、少なくとも、溶媒に均質に溶解する、懸濁液に分散する、組成物に混合する、ブレンドする、均質化する、乳化する、圧縮する、錠剤化する、カプセル化する又はこれらの任意の組合せに適している、乾燥形態(例えば、微細若しくは顆粒状の圧縮性若しくは疎性粉末)、又は液体形態(とりわけ、水性若しくは油性、希薄若しくは濃密、乳化若しくは多相、等方性若しくはスメクチックの溶液に溶解若しくは懸濁されている)であり得る。合成した後、これらをさらなるステップで加工して、特性(抗がん活性ではなく)を化学的又は物理的に変化させること、不活性成分(例えば、注射用水など担体として使用されるビヒクル、塩、緩衝液、糖、安定剤、酸化防止剤若しくは他の防腐剤、液体希釈剤若しくは固体充填剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、乾燥剤、分散剤、コーティング、ポリマーマトリックス若しくは支持体、又はこれらの任意の組合せ)により無菌条件下で医薬組成物に処方すること、任意選択で凍結乾燥又はフリーズドライ(freeze dried)すること、用途ラベルを有するキット(例えば、粉末又は顆粒用の気密封入容器、多回用量のブリスターパック、再構成用容器中の単一単位用量、注入又は注射用装置)に滅菌包装すること、対象へのさらなる投与に適した液体又は固体形態により、必要とされるまで保存することができる。
デ−エチルフラボペレイリンを医薬又は他の治療用物質として使用することができる。デ−エチルフラボペレイリンは代表的な新規クラスの化学療法剤である。本発明の実行のための任意の必要な作用機構に束縛されることはないが、多段階発癌の文脈及び本明細書に特定的に記載されていない医療用途のおける有用性がどのように理解され得るかを理解するため、本化合物は、悪性腫瘍への段階を進むゲノム不安定性及び/又は遺伝子変異に応じて、細胞内の物理的に損傷を受けたDNA構造を選択的に標的にすることができる。したがって、この新規クラスの化学療法剤は、多くの異なるタイプの前癌性状態(例えば、慢性炎症)、がん、固形腫瘍、転移及びがん幹細胞に対して広範囲の効果を発揮することができる。新規クラスの化学療法剤は、結腸、膵臓、肺、腎臓、卵巣及び脳、並びに他の臓器に由来する又は内部にあるがん細胞を選択的に死滅させることができる。
がんは、癌腫(例えば、腺腫若しくは扁平上皮癌)、肉腫(例えば、骨若しくは軟部組織)、黒色腫、白血病又はリンパ腫であってもよい。より詳細には、本発明は、原発性腫瘍が骨髄、血液、リンパ節、乳房、前立腺、結腸、直腸、肺、子宮、卵巣、膀胱、皮膚、筋肉、腎臓、口、膵臓、肝臓、胃、食道、頸部、甲状腺、骨、脳、脊椎又は精巣のうちの1つから誘導される又はこれらの中にあるがんの療法に関連する。原発性固形腫瘍は、前述の臓器のうちの1つに由来するが、続発性腫瘍(すなわち、転移)は、別の位置に見出される。核医学又は放射線学による画像化は、腫瘍が検出されるために十分なサイズであることを要する。注意深い病理検査であっても、小さな腫瘍又は微小転移を検出できないことがある。このように、原発性腫瘍の外科的除去の後、本発明の化合物の全身投与は、がん細胞が明らかではない位置を含む全身循環の限界まで対象の身体を網羅することが可能である。同様に、対象が寛解期に入るまで白血病又はリンパ腫を治療した後、血液循環中の本発明の化合物は、残存がん細胞を死滅させる又は残存がん細胞の増殖を少なくとも抑制する。本明細書に記載されているがん療法の方法は、根治的治療(definitive treatment)(例えば、外科手術のみ、放射線のみ、若しくは外科手術の後に放射線が続く)の前にネオアジュバント(neoadjuvant)として、又は放射線療法若しくは化学療法の最中及び/若しくは後にアジュバントとして、又はがんが再燃若しくは再発した後の救命治療(rescue treatment)それ自体若しくは救命治療の一部として、又は緩和治療それ自体若しくは緩和治療の一部として実施することができる。
本発明の化合物を、経腸的(例えば、経口的)、非経口的(例えば、それぞれ静脈若しくは動脈に挿入された針若しくはチューブを介して静脈内若しくは動脈内、腹腔内若しくは膀胱内注入、皮下若しくは筋肉内注入、鞘内送達、皮膚を通して分散させて全身分布を達成するために経皮的、吸入、通気、舌下若しくは唇下などの経粘膜的)、又は局所的(例えば、皮膚に適用して局所分布を達成するために経皮的、吸入的)に投与することができる。経腸又は非経口投与が好ましく、経腸投与がより好ましい。自己投与が好ましく、固体形態(例えば、コーティング錠剤を含む錠剤、遅延/持続放出カプセル剤を含むカプセル剤に本発明の化合物を含有する医薬組成物)又は液体形態(例えば、液滴、乳濁液、泡、ゲル、リポソーム、リンス液若しくは噴霧として送達されるアルコール若しくは水性ベースの液剤;ローション剤、クリーム剤若しくは軟膏剤;人工ポリマーへの吸収、チューインガム、スポンジ、若しくは坐剤)では、1日に1回又は2回であってもよく、任意選択で1つ又は複数の他の化学療法剤を含めることもできる。そうでなければ、熟練の医療専門家は本発明の化合物を1日あたり2若しくは3回、又は毎日、隔日、毎週、隔週、若しくは毎月の間隔で投与することができる。
がんは、デ−エチルフラボペレイリン化合物を1つ又は複数の用量で、治療を必要とする対象に投与して治療することができる。治療化合物は、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩である。このようにデ−エチルフラボペレイリン化合物を、対象の治療のため、又は代替的には、対象の治療のための医薬組成物及び/若しくはキット・オブ・パーツ(kit of parts)を含む医療装置の製造のために使用することができる。
慢性炎症も、デ−エチルフラボペレイリン化合物を1つ又は複数の用量で、それを必要とする対象に投与して治療することができる。治療化合物は、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩である。このようにデ−エチルフラボペレイリン化合物を、対象の療法のため、又は代替的には、対象の療法のための医薬組成物及び/若しくはキット・オブ・パーツを含む医療装置の製造のために使用することができる。特に、対象における慢性炎症の低減は、前者がDNAの損傷、ゲノムの不安定性、遺伝子変異又はこれらの任意の組合せを引き起こし、がんの発生のリスク因子であるので、がんを予防することができる。例えば、少なくともデ−エチルフラボペレイリン化合物、組成物又は装置の投与による慢性の膵炎、胃炎、肝炎又は潰瘍性大腸炎/クローン病の治療は、膵がん、胃がん、肝がん又は結腸がんの発症をそれぞれ低減することができる。
療法は、固体又は液体形態(例えば、本発明の化合物を含有する医薬組成物は、製造会社からサプライチェーンを通して医療提供者又は調剤者(compounder)に無菌及び安定化条件下で分配することができ、固体形態は、注入、注射、又はポンプ若しくはレザバーによる送達に適した形態に再構成され、任意選択で、1つ又は複数の他の化学療法剤と組み合わされている)による1、2、3、4、6、9、12、18、24、36か月間、又はそれ以上であり得る。例えば、1又は2か月間にわたる毎日投与、次いで再開するまで1又は2か月間の中断である。
1つ又は複数のデ−エチルフラボペレイリン化合物の治療有効量を含む、医薬組成物又はキット・オブ・パーツが含まれる医療装置も提供され得る。1つ又は複数の治療化合物は、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩、又はこれらの任意の組合せである。
本発明は、侵襲性がんの予防及び治療を含む、がん療法における大きな前進である。全身毒性などの負の副作用は、最小限、さらには目立たなくなり得る。
デ−エチルフラボペレイリンの合成、構造及び純度
デ−エチルフラボペレイリンの有機合成のステップ:トリプタミン(1)の2−(1H−インドール−3−イル)−エチルアミンのアミン基を無水酢酸でアセチル化して、N−[2−(1H−インドール−3−イル)−エチル]−アセトアミド(2)を生じ、続いて塩化ホスホリルの媒介で環化して、1−メチル−4,9−ジヒドロ−3H−b−カルボリン(3)を生じ、1,2−ジブロモプロパン架橋とのC−Nカップリング反応によって、D環含有化合物の2,3,4,6,7,12−ヘキサヒドロ−1H−インドロ[2,3−a]キノリジン−5−イリウム過塩素酸塩(4)を生じ、続いて10%Pd/Cとの酸化反応により、デ−エチルフラボペレイリン(5)の12H−インドロ[2,3−a]キノリジン−5−イリウムを生じ、任意選択で硫酸塩の12H−インドロ[2,3−a]キノリジン−5−イリウムスルフェート(6)がメタノール/硫酸で生成される。 デ−エチルフラボペレイリン(上側)及びその硫酸塩(下側)の化学構造、並びに後者の化学式及び分子量である。 合成デ−エチルフラボペレイリンの特徴的な紫外線(UV)吸収スペクトルである。吸収(y軸)がナノメートルによる波長(x軸)に対してプロットされている。 合成デ−エチルフラボペレイリンの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析である。ここでは、所望の生成物の純度は97%を超えていた。 合成デ−エチルフラボペレイリンの質量(MS)分析である。m/z=219.3における単一の顕著なピークは、所望の生成物に対応している。 デ−エチルフラボペレイリン(右側)と、デ−エチルフラボペレイリンのエチル置換基が不在であるフラボペレイリン(左側)の化学構造の比較である。 デ−エチルフラボペレイリンの抗がん活性:卵巣がん、膵がん、神経膠芽腫及び結腸がんの細胞株 デ−エチルフラボペレイリンに曝露されたヒト卵巣がん細胞株のOVCAR−5(三角形)、SHIN−3(四角形)及びOVCAR−8(菱形)の細胞生存率の用量応答曲線である。細胞を増量濃度の化合物の存在下で48時間培養し、細胞生存率をMTTアッセイにより決定した。MRC−5(×印)は、固定化された正常なヒト上皮細胞株であり、対照として使用した。 デ−エチルフラボペレイリンに曝露されたヒト膵がん細胞株のMIA PaCa(四角形)、PANC−1(菱形)、BxPC(×印)、及びAsPc(三角形)の細胞生存率の用量応答曲線である。細胞を増量濃度の化合物の存在下で48時間培養し、細胞生存率をMTTアッセイにより決定した。MRC−5(星印)を対照として使用した。 デ−エチルフラボペレイリンにより処理した後の、神経膠芽腫のin vitroにおける細胞生存率及び繁殖アッセイである。神経膠芽腫の細胞株U−87MG、DBTRG−05MG、A172及びAM−38を試験した。テモゾロミドは、一部の脳がんを治療することが公知である経口化学療法薬であり、対照として使用した。使用したテモゾロミド(丸形)又は化合物13−9−1(四角形)の濃度は、3nM、10nM、30nM、100nM、1uM、3uM、10uM及び30uMであった。それぞれの細胞株を、細胞障害性及び細胞繁殖の阻害を測定する前に、デ−エチルフラボペレイリンで72時間処理した。ATPによる定量化に基づいた培養中の生存細胞の数である。IC50を決定して、各グラフの下に示した。 デ−エチルフラボペレイリン(四角形)又はフラボペレイリンを含有するパオペレイラ(Pao pereira)植物抽出物(三角形)のいずれかに曝露されたヒト結腸がん細胞株HT−29、及び少なくとも1つの他の抗がん化合物のジヒドロフラボペレイリンの用量応答曲線である。HT−29細胞株の生物発光を使用した。 デ−エチルフラボペレイリンの抗膵がん活性 デ−エチルフラボペレイリンは膵がん細胞株のPANC−1(上段)、MIA PaCa(中段)及びBxPc(下段)にアポトーシスを誘導する。細胞を0.5μM、10μM及び20μMの濃度のデ−エチルフラボペレイリンに曝露した後、フローサイトメトリーを使用して、早期アポトーシス(透明色)、後期アポトーシス(暗色)又は壊死(点描)を経た細胞の百分率を評価した。早期アポトーシスがデ−エチルフラボペレイリンにより誘導されている優勢な結果であり、3つの細胞株すべてにおいて10μM及び20μM濃度で図表に最高のバーで示されている。値は、平均±SEM(n=3)である。p≦0.05は、スチューデントt検定を使用して対照群と比較しており、**p≦0.01は、スチューデントt検定を使用して対照群と比較している。 カスパーゼ−3、カスパーゼ−8及びPARPの切断は、デ−エチルフラボペレイリンがPANC−1膵がん細胞にアポトーシスを誘導することを確認している。ベータ−アクチンを対照として使用した。効果は用量及び時間依存性である。左側のパネルは、同じ時間(48時間)での化合物の0、5μM、10μM及び20μMによる結果を示し、右側パネルは、化合物の同じ濃度(20μM)での0、6時間、12時間、24時間及び48時間による結果を示す。 デ−エチルフラボペレイリン処理を用いる又は用いないPANC−1膵がん細胞の軟寒天におけるコロニー形成である。デ−エチルフラボペレイリンは、腫瘍形成性がん細胞によるコロニー形成を10μM又は15μMの濃度で完全に阻害した。 ゲムシタビン+デ−エチルフラボペレイリン(Gem+13−9−1)の組合せ処理と比較した、ゲムシタビン(Gem)単独により処理された膵がん細胞の増殖阻害である。膵がん細胞株のMIA PaCa(上段左側)、PANC−1(上段右側)、AsPc(下段左側)及びBxPc(下段右側)は、各用量応答プロットの上側曲線によって示されているように、ゲムシタビン(菱形)に対していくらかの抵抗性を示した。ゲムシタビンとデ−エチルフラボペレイリンの組合せ(四角形)は、ゲムシタビン単独に対する様々な抵抗性にかかわらず、各用量応答プロットの下側曲線によって示されているように、がん細胞に対して100%に近い細胞障害効果を提供した。 静脈内又は経口投与後のデ−エチルフラボペレイリンの血漿濃度:20mg/kgでの静脈内(菱形)は、およそ2時間にピークを有し、100mg/kgでの経口(四角形)又は200mg/kgでの経口(三角形)は、およそ4時間にピークを有する。 動物研究。ルシフェラーゼ遺伝子を有するPANC−1細胞をヌードマウスの膵臓に同所性移植(orthotopically implanted)し、腫瘍を生体画像化(live−animal imaging)によってモニターした。治療群(菱形、n=9)及び未治療群(四角形、n=10)のすべての画像の定量化によって示されている長軸方向の腫瘍増殖である。腫瘍量は、総光子束の平均(上側)及び対数変換(下側)により表されている。 未治療動物。ルシフェラーゼ遺伝子を有するPANC−1細胞を6匹のヌードマウスの膵臓に同所性移植し、腫瘍を発光画像化によってモニターした。 デ−エチルフラボペレイリンで治療した動物。ルシフェラーゼ遺伝子を有するPANC−1細胞を6匹のヌードマウスの膵臓に同所性移植し、腫瘍を発光画像化によってモニターした。 デ−エチルフラボペレイリンによる治療で消滅させた、ヌードマウス#480又は#486におけるPANC−1腫瘍の生体発光画像化である。このように、21匹の動物のうち2匹に腫瘍がなくなっていた(「治癒」と標識されている)。1週間の間隔を置いた画像が各動物で示されている。 治療又は未治療動物の死体解剖によるPANC−1腫瘍の最終重量:平均重量が左側に示されており、個別の重量が右側に示されている(図20A)。 治療又は未治療動物の死体解剖による転移病変の最終カウント(図20B):転移病変を有するマウスの百分率が左側にあり、転移病変の数が右側にある。 デ−エチルフラボペレイリンで治療しなかった(四角形)又は治療した(菱形)、同所性PANC−1腫瘍を有したマウスの0日目から40日目までの平均体重である。対照群と治療群のマウスの重量は識別不能であった。 デ−エチルフラボペレイリンの抗膵がん幹細胞活性 PANC−1細胞懸濁液を0μM(陰性対照)、2.5μM、5.0μM及び10.0μMの濃度のデ−エチルフラボペレイリンで処理し、次いでスフェロイドの存在を検査した。この1回目の処理では、5μM及び10μMの濃度が一次スフェロイドの形成を有意に阻害し、画像の下にあるグラフのバー及び表中のP値によって示されている。 1回目の一次スフェロイドを収集し、二次スフェロイド形成のために播種した。0μM(陰性対照)、2.5μM、5.0μM及び10.0μMの濃度のデ−エチルフラボペレイリンで処理した後、懸濁液を検査した。二次スフェロイドの形成は、5μM及び10μMの処理で完全に阻害され、一方、2.5μMの処理は有意な阻害を示し、画像の下にあるグラフのバー及び表中のP値によって示されている。 デ−エチルフラボペレイリンは、膵がん細胞個体群においてがん幹細胞の百分率を減少させた(24時間)。パネルは、24時間後の0μM(上段左側)、2.5μM(上段右側)、5μM(下段左側)及び10μM(下段右側)の濃度のデ−エチルフラボペレイリンによるCD24(PE)ゲートでのCD44(PE−Cy7)陽性及びEpCam(APC)陽性細胞を示す。「Q1」=CD24/CD44、「三重+」=CD24/CD44/EpCam、「Q3」=CD24及び「Q4」=CD24/EpCam。処理の24時間後、デ−エチルフラボペレイリンは、PANC−1細胞においてCD24/CD44/EpCam細胞個体群を低減させた。バーグラフ(最下段)は、0、2.5μM、5μM及び10μMのデ−エチルフラボペレイリンへの曝露後の、バルク細胞個体群における三重陽性細胞の百分率を示す。 デ−エチルフラボペレイリンは、膵がん細胞個体群においてがん幹細胞の百分率を減少させた(48時間)。パネルは、48時間後の0μM(上段左側)、2.5μM(上段右側)、5μM(下段左側)及び10μM(下段右側)の濃度のデ−エチルフラボペレイリンによるCD24(PE)ゲートでのCD44(PE−Cy7)陽性及びEpCam(APC)陽性細胞を示す。「Q1」=CD24/CD44、「三重+」=CD24/CD44/EpCam、「Q3」=CD24及び「Q4」=CD24/EpCam。処理の48時間後、化合物13−9−1は、PANC−1細胞においてCD24/CD44/EpCam細胞個体群を低減させた。バーグラフ(最下段)はデ−エチルフラボペレイリンへの曝露後の、バルク細胞個体群における三重陽性細胞の百分率を示す。10μMのデ−エチルフラボペレイリンの結果は、統計的に有意であった(スチューデントt検定によりP<0.05)。 膵がん形成及び増殖に対するデ−エチルフラボペレイリンの効果である。図26Aは、1×10PANC−1細胞が接種された後の腫瘍形成の率(左側)及び腫瘍増殖(右側)を示す。対照群(左側グラフの上側ライン)では、86.67%(13/15)の未治療マウスが腫瘍を形成した。化合物13−9−1(10μM)は、率を80%(4/5)に減少させ、腫瘍形成の時間に対しては効果がなかった(左側グラフの下側ライン)。化合物13−9−1は、対照群の未治療マウスにおける腫瘍増殖(右側グラフの上側ライン)と比較して、1×10PANC−1細胞を接種することによって形成された腫瘍の増殖を、治療マウスにおいて有意に(P=0.04)低減させた(右側グラフの下側ライン)。2×10PANC−1細胞を接種した後、図26BはPANC−1細胞が化合物13−9−1により有意に阻害されたことを示した。対照群(左側グラフの上側ライン)では、80%(12/15)の未治療マウスが腫瘍を形成した。化合物13−9−1(10μM)は、腫瘍形成率を60%(3/5)に減少させ、このことは、膵がん幹細胞により開始された腫瘍形成の低減を示した(左側グラフの下側ライン)。また、化合物13−9−1(10μM)の単回用量治療は、形成された腫瘍の増殖を低減させた。腫瘍体積は対照群の未治療マウスで増加し(右側グラフの上側ライン)、一方、化合物13−9−1は、治療マウスにおいて腫瘍増殖を有意に低減させた(右側グラフの下側ライン)(P=0.02)。図26Cでは、2×10PANC−1細胞を接種した後、20%のマウスが、38日間の観察で対照群(3/15)及び治療群(1/5)の両方において腫瘍を形成した。治療マウスにおける腫瘍の増殖は、未治療マウスの腫瘍の増殖と有意な差はなかった。 デ−エチルフラボペレイリンによる腫瘍形成の低減である。化合物13−9−1は、PANC−1がん幹細胞の腫瘍形成を低減させた。2×10の未処理PANC−1細胞を接種した後、100%(20/20)の腫瘍形成が対照群において20日目に観察された(上側実線)。接種されたPANC−1細胞が化合物13−9−1で前処理されていた場合、わずか55%の腫瘍形成が治療群において20日目に観察された(下側破線)。治療群の最大腫瘍形成率は39日目に80%に達し、これは対照群と比較すると極めて有意な差である(ログランクテストによりP<0.001)。 PANC−1細胞の核におけるβ−カテニンの局在化に対するデ−エチルフラボペレイリンの効果である。処理の24時間後、化合物13−9−1は、PANC−1膵がん細胞の核におけるβ−カテニンレベルに対して効果を示さなかった。処理の48時間後、化合物13−9−1は、核におけるβ−カテニンレベルを有意に低減した。細胞質のβ−カテニンレベルは、これらの条件下で影響を受けなかった。ビンキュリンは、核に非常に少ない量で存在する細胞質タンパク質のマーカーである。 デ−エチルフラボペレイリンの抗炎症効果は膵炎及び続発性の膵がんを低減する アルコール誘導慢性膵炎のマウスモデルにおけるデ−エチルフラボペレイリンの効果である。膵臓のパラフィン切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。図29Aは、正常な組織(左側パネル)、エタノールを与えたマウスにおける浮腫及び炎症細胞の浸潤(中央パネル)、並びにエタノール及び化合物13−9−1を与えたマウスにおける組織損傷なし(右側パネル)を示す。この組織保護を傷害スコアにより定量化した(図29B)。Ly6Gは、エタノールを与えたマウスの膵臓において4倍に上昇したが、好中球の数は、エタノール及び化合物13−9−1を与えたマウスでは上昇しなかった(図29C)。 デ−エチルフラボペレイリンの抗結腸がん活性 HT−29結腸がん腫瘍体積に対するデ−エチルフラボペレイリンの効果である。ヒトHT−29結腸がん細胞の皮下異種移植片を有するヌードマウスを、未治療対照(四角形)、化合物13−9−1の投与(三角形)又は慣用の化学療法レジメンとしてのIFLの投与(円形)に群分けした。IFLは、結腸直腸がんの治療に多くの場合に使用される、イリノテカン、フルオロウラシル及びロイコボリンの組合せである。グラフは、時間(日数)に対してプロットされた腫瘍体積(mm)を示している。動物を2週間半にわたって治療した。IFL群の動物が2週間半で死亡し始めたので、そこで実験を停止した。化合物13−9−1により治療した動物で死亡したものはなかった。 未治療マウス(対照)から除去したHT−29腫瘍のTUNEL染色を示す。図31〜33のそれぞれは、各治療からの2つの独立した試料(上側及び下側)を示す。治療を完了した後、腫瘍を動物から除去し、固定し、薄切片にし、TUNEL法により染色して、アポトーシスを経ている細胞を確認した。図31では、対照動物からの腫瘍の境界は、無傷組織を示し、TUNEL染色の不在を示す。 デ−エチルフラボペレイリンを投与したマウスから除去したHT−29腫瘍のTUNEL染色を示す。図32では、13−9−1を投与した動物からの腫瘍の境界は、腫瘍の周辺に近い区域でアポトーシスが存在したことを示す。図32の試料(上側)は、細胞のアポトーシスの後で破壊された、腫瘍組織の左下側の縁部に隣接する領域も示している。カラー画像は、アポトーシスを経ている細胞の暗紫/褐色を、無傷の腫瘍細胞の青色と明確に区別している。 IFLを投与したマウスから除去したHT−29腫瘍のTUNEL染色を示す。図33は、IFLで治療された動物からの腫瘍の境界は、周辺の組織の有意な区域が完全に破壊されたことを示している。
発癌は多段階過程であることが理解されている。したがって、残存疾患又はがん幹細胞を除去することが、とりわけ、細胞障害剤の有効性が少ない又はもはや有効ではないがん進行期では困難であるので、調節不全の繁殖の発生の時点及び事象を早期に標的にすることが本発明の目的であった。このため、本発明者たちは、本明細書に記載されているデ−エチルフラボペレイリン及びその誘導体が、がん細胞代謝の異なる側面を標的にすること、がん細胞を他の化学療法剤活性に対して感作すること、低用量の他の化学療法剤の有効な使用を可能にして、他の化学療法剤の1つ若しくは複数の望ましくない副作用を減らすこと、進行がんにおいて有効性を失っている別の化学療法剤の有用性を延長すること又はこれらの任意の組合せによって、別の化学療法剤を補完する療法を(例えば、薬物カクテルにより同時に)提供することができると考える。
がん細胞表現型の発生の後にDNA不安定化が続き、DNA不安定化はデ−エチルフラボペレイリンの標的になり得る。例えば、発癌性物質は、腫瘍が観察されるかなり前に正常なDNA構造を変化させる。Malinsらは、前立腺細胞のDNAにおける構造変化の検出が、正常組織、良性前立腺肥大症(BPH)、並びにデオキシリボース及びホスホジエステル構造の変更により引き起こされる腺腫を区別できることを示した(米国科学アカデミー紀要(Proc.Nat’l Acad.Sci.USA)94:259〜264頁、1997年)。正常細胞からBPH又は腺腫への進行をDNAにおける同じ構造修飾によって追跡することができる。Malinsらは、また、既知の発癌性物質がヌクレオチド塩基及び細胞DNAのホスホジエステル主鎖に構造変化を生じることを肉腫において示した(米国科学アカデミー紀要101:10721〜10725頁、2004年)。DNA二重らせんを安定化する水素結合に対するこの化学的DNA損傷の効果は、発癌性物質の間接的アッセイにおいて当初から示されていた(Beljanski、IRCS医科学生化学(Med.Sci.Biochem.)7:476頁、1979年)。本明細書に記載されている合成化合物は、不安定化されたDNAを有する細胞を特異的に標的にし、それにアポトーシスを誘導することによって、腫瘍形成の率を遅延又は低減することができる。
作用の特定の機構に束縛されることなく、デ−エチルフラボペレイリン及びその誘導体は、細胞の繁殖を阻止することによって発癌の早期段階において、例えば、DNA不安定化過程の早期ステージにおいて、抗がん剤として有効であり得る。毒性が欠如しているので、高用量であっても、がんの高い又は上昇したリスクがある対象、例えば、変異原、発癌性物質若しくは他の環境ハザードに曝露されている、癌原遺伝子若しくは腫瘍抑制遺伝子、DNA損傷応答、若しくはDNA修復機構に固有の変異を担持する、又は重篤な副作用を伴う治療が是認されないためのがんスクリーニングにより検出された前癌性病変を有する対象に、デ−エチルフラボペレイリン及びその誘導体を投与することが可能であり得る。おそらく炎症の長期効果を阻害することによって高い心血管疾患(CVD)リスクを有する特定の人々において、CVD及び結腸がんの一次予防のための、低用量のアセチルサリチル酸の同様の使用(アナルズ・オブ・インターナル・メディシン(Ann.Intern.Med.)164:836〜845頁、またJAMAオンコロジー(Oncol.)2:762〜769頁、2016年も参照すること)が、米国予防医療専門委員会(U.S.Preventive Services Task Force)により推奨されている。卵巣がん(日本国立がん研究所(J.Nat’l Cancer Inst.)106:djt431、2014年)、膵がん(がん疫学、バイオマーカー及び予防(Cancer Epidemol.Biomarkers Prev.)26:68〜74頁、2017年)、並びに胃がん、食道がん、子宮内膜がん、乳がん及び前立腺がん(BMCがん(Cancer)18:288頁、2018年)などの他のものに対するリスクを減少する少し弱い支持も存在する。
そのようなDNA不安定化が発癌の全体にわたる連続した病理過程であるので、本発明は、がん進行の異なるステージの全体にわたって有効である(本明細書の実施例に示されている)。1つの可能性は、本発明の化合物が、現存するがんプロトコールより効果的に、不安定化DNAを含有する細胞を標的にすること(PLOS遺伝学(Genet.)11:e1004901頁、2015年を参照すること)及びそれらにアポトーシスを誘導すること(細胞生化学ジャーナル(J.Cell Biochem.)117:279〜288頁、2016年を参照すること)ができるということである。
細胞ベースアッセイは、合成化合物が用量依存的に、がん細胞の増殖を選択的に阻害することを示した。合成化合物は、非癌性細胞を傷つけることなくがん細胞の破壊を引き起こすことによって、がん細胞に対して選択的に作用すると思われる。in vitro及びin vivo研究は、腫瘍体積が抗がん療法により低減された後でも悪性腫瘍の存続及び再発を可能にするがん幹細胞も、デ−エチルフラボペレイリンが破壊することを実証した。
ヒト膵がん又は結腸がん細胞を有するマウス異種移植片を使用する前臨床研究において、合成化合物は、腫瘍を有意に収縮させ、時には完全に消滅させた。転移の出現も阻害するが、動物において検出可能な毒性を引き起こさず、動物の正常な重量増加及び動物の内臓の正常な組織学によって示されている。
デ−エチルフラボペレイリンは、経腸又は非経口(好ましくは、経口、静脈内若しくは注入により)投与することができ、広範囲の用量が良好に忍容されると思われる。同様の又は低い濃度において、がん細胞に対して天然の化合物(フラボペレイリン)と同じ活性があり、構造的に関連しているが、デ−エチルフラボペレイリンは毒性が少なかった。このように、フラボペレイリンからエチル基を除去することは、フラボペレイリンの抗腫瘍活性を変更しなかったが、毒性を有意に低減することができる。フラボペレイリンと異なり、デ−エチルフラボペレイリンは、目立った毒性を有することなく対象の質量1キログラムあたり数百ミリグラムの経口用量で投与することができる。このように、フラボペレイリンの用量に限界があるという問題に対する解決策として、デ−エチルフラボペレイリンは、化学修飾が活性を有意に増加しないにもかかわらず、より高い全身濃度を達成できるので、フラボペレイリンより有効な抗がん剤となり得る。
経腸投与の文脈において、医薬組成物のカプセル化を使用して、消化管において遭遇する酸若しくは酵素による分解からデ−エチルフラボペレイリンを保護すること、及び/又は全身循環へのデ−エチルフラボペレイリンの吸収を増強することができる。リポソーム組成物を投与する利点は、デ−エチルフラボペレイリンの循環量又はデ−エチルフラボペレイリンの代謝産物を比較することによって示すことができる。
溶液又は固体形態のデ−エチルフラボペレイリン及びその塩が、安全及び有効な化学療法剤の必要性に対する答えである。デ−エチルフラボペレイリンの生理学的効果は選択的であると思われ、排除するがん細胞を選択的に標的にすること(例えば、外部作用体(actor)によるアポトーシス又は死滅)ができるが、急速に分裂する非癌性細胞を含む非癌性細胞の生存率に目立った干渉がなかった。デ−エチルフラボペレイリンは、他の化学療法薬と組み合わせても有効であった。そのような組合せは、相乗的であり、がん細胞(薬物耐性になった細胞を含む)に細胞死を誘発した。独自の機構及び広範囲な有用効果のため、デ−エチルフラボペレイリンは、がん療法の効力を増強する、及び化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物(例えば、水和物)又は溶媒和物若しくは水和物の薬学的に許容される塩を摂取する対象に対する害を低減する、新世代の化学療法組合せ(chemotherapeutic combinations)におけるアンカー化合物(anchor compound)となる。
定義
本明細書において特に定義されない限り、技術用語は、本発明に関連する当業者(すなわち、腫瘍学者又は他のがん専門家)により理解される意味と同じ意味を有する。特定の技術に応じて、そのような専門家は医化学及び/又は薬理学に知識、訓練及び経験を有していることもある。
明細書及び特許請求の範囲に使用されるとき、用語「a」は、名詞の単数形及び複数形を、いずれかがこの用語の使用される文脈に反しない限り含む。例えば、a compoundは1つ又は複数の化合物であってもよく、一方、a compound of Formula(I)は、デ−エチルフラボペレイリンを意味する。
範囲が、分子量などの物理的な特性又は化学式などの化学的特性について本明細書に使用されるとき、範囲及びその特定の実施形態のすべての組合せ及び部分的組合せが含まれることが意図される。本明細書で使用されるとき、用語「約」又は符号「〜」は、数値又は数値範囲の文脈で使用される場合、値又は範囲が、当業者により状況下で妥当と認められる量で、例えば、測定若しくは観察の変動の範囲内(又は実験誤差の範囲内)で偏差し得ることを意味する。或いは、数値又は範囲は、記述された値又は範囲の10%で変動し得る。例えば、「約23℃」は、温度計読み取り値の観察変動で22℃〜24℃の範囲の温度、或いは23℃±2.3℃の温度を意味する。
用語「薬剤」は、1つ又は複数の生物学的又は化学的化合物を指す。非限定例には、小(1000Da未満)有機若しくは無機分子、オリゴペプチド(20個以下のアミノ酸)、オリゴペプチドの模倣体、ポリペプチド(抗生物質、酵素、可溶性受容体若しくはこれらのリガンドが含まれるが、これらに限定されない)、オリゴヌクレオチド(50個以下のヌクレオチド)、オリゴヌクレオチドのアプタマー、又はポリヌクレオチドが含まれる。薬剤は、合成することができる、又は天然源、例えば、植物若しくは動物抽出物などから得ることができる。本発明の化合物以外の薬剤は、本明細書以降に「別の薬剤」又は「第2薬剤」と称されることもある。
用語「抗がん剤」又は「抗腫瘍剤」は、がん、悪性腫瘍又は別の新生物状態の治療に有用な薬剤を指す。化学療法剤は、そのような抗がん剤又は抗腫瘍剤を含む。1つ又は複数の化学療法剤を医薬活性成分(API)として対象に投与することは、がん化学療法を構成する。ここで、化学療法における1つ又は複数の化学療法剤の新規使用及び化学療法剤を投与するための医薬生成物は、本発明のいくつかの実施形態である。
用語「アゴニスト」は、in vitroの細胞において又はin vivoの身体において、標的の生物学的活性を活性化若しくは強化することにより、又は標的の発現を開始させる若しくは増強することによって、標的を増加することができる化合物を指す。対比すると、用語「アンタゴニスト」は、in vitroの細胞において又はin vivoの身体において、標的の生物学的活性を不活性化若しくは阻害することにより、又は標的の発現を終結若しくは発現抑制させることによって、標的の生物学的活性を減少できる化合物を指す。標的の生理学的な文脈において、アンタゴニストは、限定されることなく、代謝又は異化作用に関与する酵素、リガンド又はリガンドの受容体のいずれかである酵素複合体の構成成分、リガンド受容体シグナル伝達経路の構成成分、及び他の細胞調節又は構造構成成分であり得る。アゴニスト又はアンタゴニストは標的と直接特異的に相互作用する(例えば、結合する)ことができ、そのような化合物は、標的ではない他の構成成分を介して複合体又はシグナル伝達経路と相互作用することもできる。任意の特定の機構又は理論に拘束されることなく、本発明に使用される1つ又は複数の化学療法剤は、がん細胞内にある又は非癌性細胞の標的を介して、標的に作用することができる。標的の生物学的活性は、委任細胞となる幹細胞、がん細胞の分化、がん細胞の繁殖、並びにがん細胞の転移の決定に関連し得る。作用の機構に応じて、本発明に使用される1つ又は複数の化学療法剤は、単一標的に対してアンタゴニスト若しくはアゴニストとして、又は複数の異なる標的に対してアンタゴニスト及び/若しくはアゴニストのいくつかの組合せとして作用することができる。
用語「細胞繁殖」は、増強された細胞分裂(同様に、細胞増殖及びDNA複製)、並びに/又は縮小したプログラム細胞死(すなわち、アポトーシス)の結果として細胞の数が増加した現象を指す。in vitroのがん細胞培養において、細胞繁殖は、核分裂指数、細胞の増加数の率、細胞倍加の数又は細胞倍加の率により測定することができる。一部の場合において、細胞繁殖は、異常な増殖制御及び/若しくは形態、ゲノム不安定性、遺伝子変異及び/若しくはエピジェネティック(epigenetic)変更、ネオアンチゲン(neoantigen)発現、腫瘍関連自己抗原の過剰発現、癌原遺伝子及び/若しくはその発現における変異の活性化、腫瘍抑制遺伝子及び/若しくはその過小発現における変異の不活性化、又は細胞繁殖に一致する別のがん/腫瘍バイオマーカーにおける変化を伴うことがある。
用語「同時投与」又は「組合せによる投与」は、交換可能に使用され、2つ又は複数の薬剤を同時又は順次に対象に投与することを包含する。例えば、2つ若しくは複数の薬剤及び/又はこれらの代謝産物は、動物内に同時に存在する。一実施形態において、同時投与には、別々の組成物の同時の投与、別々の組成物の異なる時点での投与、又は両方の薬剤が存在する組成物による投与が含まれる。
交換可能に使用される、用語「有効量」及び「治療有効量」は、本明細書に定義されているがん又は腫瘍(又は新生物、とりわけ悪性腫瘍)の療法が含まれるが、これらに限定されない意図される用途又は効果をもたらすのに十分な本発明の化合物の量を指す。治療有効量は、意図される用途(がん細胞のin vivo若しくはin vitro培養)、又は治療される対象及び癌性状態、例えば、治療の必要な対象の体重及び/若しくは年齢、がんのタイプ及び/若しくはステージ分類、がんの侵襲性及び/若しくは重症度(とりわけ、転移における)、がん細胞の数若しくは腫瘍のサイズ(すなわち、腫瘍量)、投与の経路及び/若しくは頻度など、或いはこれら任意の組合せによって変わってもよく、当業者によって決定することができる。これらの用語は、繁殖指数、核分裂指数、細胞及び/若しくは細胞倍加の絶対数の経時的変化、アポトーシス、埋没物(implant)の挙動、又はこれらの任意の組合せに特定の応答を誘導する、対象に投与された用量又は対象において達成された濃度に適用することができる。特定の用量又は濃度は、制がん剤が別の薬剤と組み合わせて使用される、アジュバントの使用、投与の時点又は頻度、薬剤の標的細胞又は組織、及び薬剤が担持する物理的な送達系のような、選択された特定の治療レジメンに応じて変わる。
本明細書で使用されるとき、用語「療法」には、がんが診断された対象を治療すること、治療を受けた対象における再燃又は悪化を予防すること、治療を受けた対象の症状を回復又は緩和することを含み、寛解、再燃の予防、部分寛解、症状の数及び/又は重症度の低減、並びに緩和が含まれるが、これらに限定されない有益な又は治療上の効果を得る手法を指す。用語「第一線治療」及び「一次治療」は交換可能に使用されて、対象のために計画された初期治療を説明しており、がんのステージ分類を考慮しながら又はすることなく、治療されるがんの特定のタイプによって選択することができる。これらに関連するが、異なっているものは、対象の特定の診断に基づいて、異なる代替治療から対象に最適に選択された治療計画を説明するために使用される用語「根治的治療」である。これに関連して、本発明の化合物は「ネオアジュバント」として使用され、多くの場合、標準治療(又はベストプラクティス(best practice))の一部である。
「治療利益」は、がん及び/若しくは腫瘍を少なくとも低減若しくは排除すること、がん若しくは腫瘍に関連する生理学的症状を少なくとも改善すること、がん及び/若しくは腫瘍のバイオマーカーで測定してリスクを少なくとも減少させること、又はこれらの組合せを意味する。このように、治療利益は、がん細胞及び/又は腫瘍が対象において依然として検出され得る又は依然として存在するにもかかわらず、対象において観察されるように達成され得る。予防では、本発明の療法又は他の療法に既に応答しており、がんを発生する増加リスクを有する又は前癌性病変を有すると診断された対象は、長期間にわたって再燃を避けること、がんを発生するリスクを低減すること、疾患特異的生存を増加すること、そうでなければ予後を改善することによって治療利益を受ける。治療利益は、特定の個人において決定することが困難であり得ること及びリスクのある個人の大集団を、例えば臨床試験で研究する必要があり得ることを、当業者は理解する。
本明細書で使用されるとき、「治療効果」は、本明細書に記載されている治療利益及び/又は予防利益を包含する。予防効果には、疾患若しくは状態の出現を遅延若しくは排除すること、疾患若しくは状態の症状の開始を遅延若しくは排除すること、疾患若しくは状態の進行を緩徐、停止若しくは逆転すること、又はこれらの任意の組合せが含まれる。臓器における慢性炎症(例えば、膵炎、胃炎、肝炎又は潰瘍性大腸炎/クローン病)を低減することは、がん(例えば、膵がん、胃がん、肝がん又は結腸がん)を予防し、それは、前者がDNA損傷表現型を有し、がんの発生のリスク因子であるからである。発癌の阻害は、組織病理学、遺伝子分析又は炎症のマーカーをモニタリングすることによって細胞レベルで見ることができる。当該技術分野で公知であるように、治療効果は、治療を受けたすべての対象において疾患を治癒すること又は疾患を完全に予防することを必ずしも必要とすることなく達成され得る。
用語「in vivo」及び「in vitro」は、それぞれ対象の無傷の身体の内側又は外側に起こる事象を指す。例えば、in vitroアッセイは、対象アッセイの外側で実行される任意のアッセイを包含する。in vitroアッセイは、生存又は死亡している細胞が用いられる細胞ベースアッセイを包含する。一実施形態において、in vitroアッセイは、無傷の細胞を用いない無細胞アッセイも包含する。
用語「対象」は、ヒト、すなわち、男性又は女性、例えば、小児対象(例えば、誕生から約2歳の乳幼児、約2歳から約12歳の児童、約12歳から約18歳の青少年)又は成人対象(例えば、約18歳から約25歳の若年成人、約25歳から約40歳の壮年成人(mature adult)、約30歳から約60歳の中年成人、若しくは約60歳以上の老年成人(senior adult))であり得る。代替的に対象は、別の(非ヒト)霊長類、或いはウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、齧歯類(例えば、マウス、ハムスター、モルモット若しくはラット)、ネコ及び/又はイヌが含まれるが、これらに限定されない別の(非ヒト)哺乳動物であってもよい。
用語「放射線療法」は、当業者に公知の方法及び組成物を使用して、対象を高エネルギー放射線に曝露することを意味し、外部光線療法又は近接照射療法に使用されるX線又はガンマ線光子、電子、陽子及び中性子が限定されることなく含まれる。放射線は特定の癌性臓器又は腫瘍を標的にすることができ、存在する場合、転移に向けることもできる。放射線の種類及び放射線を送達するプロトコールは、がんのタイプに応じて選択される。放射線療法は、様々な意図(例えば、治癒、化学療法の前のネオアジュバント、化学療法若しくは外科手術の後のアジュバント、又は緩和)のために実施することができる。
用語「反応する」は、1つ又は複数の反応物の分子又はイオン構造が、物理的形態の単なる変化に対して、電子を欠失する、得る、移行させる又は共有することによって再編成される化学過程を指す。化学反応には、1つ又は複数の化合物が別の1つ又は複数の化合物(同じ又は別の化学実体)と(例えば、結合形成若しくは切断、塩形成、溶媒和物形成、キレート化、又は他の非結合変更会合により)反応する過程が含まれ得るが、これらに限定されない。化学反応の後には、さらなる化学反応、分離及び収集(母液から結晶を分離する結晶化、溶液から沈殿物を回収する沈殿、固体とろ液を分離するろ過、固体と溶液を分離するデカント、沸点により分離する蒸留、溶質と溶媒を分離する蒸発が含まれるが、これらに限定されない)、洗浄、並びに精製が続くことがある。化学反応の生成物を、化合物の混合物として、又は固体形態(例えば、粉末、粒子)若しくは溶液中(例えば、溶媒に溶解された溶質)の実質的に純粋な化合物として単離することができる。1つ又は複数の化学療法化合物を単離することは、化学療法剤の塩、溶媒和物、水和物又は別の複合体を調製し、次いで上記に記載されたように収集又は分離することを伴うことができる。
化学療法剤の「薬学的に許容される形態」という用語には、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、非共有結合複合体、プロドラッグ又は同位体標識誘導体及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される形態は、薬学的に許容される塩を含んでもよく、当業者の判断よって、対象に過剰な毒性、刺激、アレルギー反応などを有することなく投与するのに適しており、妥当な利益/危険比に相当する塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野で公知である(例えば、薬学ジャーナル(J.Pharmaceutical Sciences)66:1〜19頁、1977年を参照すること)。薬学的に許容される塩は、適切な無機又は有機酸から誘導され得る。無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれるが、これらに限定されない。有機酸には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸若しくは過塩素酸などの無機酸により、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸により、又はイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成された、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
ある特定の実施形態において、薬学的に許容される形態は「溶媒和物」(例えば、水和物)である。本明細書で使用されるとき、用語「溶媒和物」は、非共有結合分子間力により結合している理論量又は非理論量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩のものであり得る。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。薬学的に許容される溶媒和物及び水和物は、例えば、1〜約100個、又は1〜約10個、又は1〜約2、3若しくは4個の溶媒又は水分子を含むことができる複合体である。一部の実施形態において、溶媒和物はチャンネル溶媒和物であり得る。用語「化合物」は、本明細書で使用されるとき、化合物及び化合物の溶媒和物、並びにこれらの混合物を包含することが理解される。
本明細書で使用されるとき、用語「溶媒」、「有機溶媒」又は「不活性溶媒」は、それぞれ、一緒に記載されている反応の条件下で不活性である溶媒を意味し、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、ジメチルアセトアミド(「DMA」)、クロロホルム、塩化メチレン(ジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ブタノール、メチルt−ブチルエーテル(「MTBE」又は「TBME」)、2−ブタノン(「MEK」)、N−メチルピロリドン(「NMP」)、ピリジンなどが限定されることなく含まれる。特に指定のない限り、本明細書に記載されている反応に使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。特に指定のない限り、制限試薬1グラムあたり、1立方センチメートル(又はmL)の溶媒が同等の体積を構成する。
用語「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」には、ビヒクル(例えば、注射用水、等張食塩水)、塩、緩衝液、糖、安定剤、酸化防止剤又は他の防腐剤、液体希釈剤又は固体充填剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、乾燥剤、分散剤、コーティング及びポリマーマトリックス又は支持体が含まれるが、これらに限定されない。そのような薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤は、当該技術分野で公知である。例えば、レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)及び米国薬局方を参照すること。
用語「固体形態」は、実質的に液体又は気体ではない物理的状態の化学療法剤を説明する。固体形態は、結晶質、非晶質又はこれらの任意の混合物であり得る。結晶形態は、結晶質である固体形態であり、多形体、溶媒和物又は水和物、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物及びこれらの多形体が含まれるが、これらに限定されない。多形体は、実質的に同じ化学療法剤からなる2つ又は複数の結晶形態を有する。溶媒和物は、溶媒を含有する結晶形態であり、水和物は、溶媒が水を含む溶媒和物である。溶媒和物の多形体は、1つを超える結晶形態を特定の溶媒和物組成物に有する。同様に、水和物の多形体は、1つを超える結晶形態を特定の水和物組成物に有する。脱溶媒した溶媒和物は、溶媒から溶媒を除去することによって調製される結晶形態である。
特定の官能基及び化学用語が、本明細書の下記により詳細に説明される。化学元素は、化学物理ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)の表紙裏にある周期表(CAS版)に従って確認され、特定の官能基は、化学物理ハンドブックに記載されているように一般に定義される。加えて、有機化学の一般的原則、並びに特定の官能性部分及び反応性は、有機化学のテキスト、キャリーの上級有機化学(Carey’s Advanced Organic Chemistry)、カラザーズの有機合成の最新の方法(Carruther’s Modern Methods of Organic Synthesis)、グリーンの有機合成における保護基(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis)、ハロルドの医化学における基本概念(Harrold’s Basic Concepts in Medicinal Chemistry)、ラロックの包括的有機変換(Larock’s Comprehensive Organic Transformations)及びマークの上級有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)に記載されている。
薬学的に許容される固体は、結晶質若しくは非晶質形態、又はこれらの混合物で提供され得る。それぞれの望ましさは、特定の用途によって左右されることがあり、非晶質固体は、溶解するのが容易であり得るが、結晶質固体はより安定であり得る。固体形態の変化は、様々な物理的及び化学的特性に影響を与えることがあり、このことは、加工、処方、安定性及び/又は生物学的利用能に利益又は障害をもたらすことがある。
1つ又は複数の化学療法剤を含む医薬組成物を、対象に投与することができる。薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いる又は用いない合成方法によって単離された固体形態を、対象に直接投与することができる。或いは、固体形態は、錠剤に圧縮される粉末、遅延放出用にコーティングされる錠剤、又はカプセル剤に充填される粒であり得る。単位用量の形態では、錠剤又はカプセル剤は、対象により自己投与され得る。
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
Figure 2021528480

又は塩若しくは溶媒和物若しくは水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩、又はこれらの任意の混合物の1つ又は複数の固体形態である。一実施形態において、式(I)の化合物の固体形態は、結晶質形態、非晶質形態、又は結晶質及び非晶質形態の混合物であり得る。固体形態は、式(I)の化合物、又は塩若しくは溶媒和物若しくは水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩、又はこれらの任意の混合物の結晶質形態を含むことができる。
式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の1つ又は複数の塩がもたらされる。塩は、薬学的に許容される塩である。塩は、H−Xの塩であり、ここで、XはF、Cl、Br、I、RSO又はRCOであり、Rは、アルキル、アリール、置換アルキル又は置換アリールである。式(I)の化合物の1つ又は複数の塩であり、式中、塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、1,2−エタンジスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、2−ヒドロキシプロピルエタンスルホン酸の塩(すなわち、イセチオン酸塩)、L−アスパラギン酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩又はエタンスルホン酸塩である。
他の実施形態において、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の遊離塩基の固体形態がもたらされる。ここで、用語「遊離」及び「不変」は交換可能に使用することができる。本明細書に提供される固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の溶媒和物であり得る。一実施形態において、溶媒和物は水和物である。一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物:
Figure 2021528480

又は塩若しくは溶媒和物若しくは水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩、又はこれらの任意の混合物の固体形態と、1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/若しくは賦形剤とを含む医薬組成物である。さらに、治療有効量の式(I)の化合物、又は塩若しくは溶媒和物若しくは水和物、又は溶媒和物若しくは水和物の塩、又はこれらの任意の混合物の固体形態と、1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/若しくは賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
医学的調合剤の生成に有用な固体形態であり、結晶質及び半結晶質形態を生成する結晶化方法又は非晶質形態を得る固化方法によって得ることができる。ある特定の実施形態において、結晶化は、式(I)の化合物若しくはその塩を反応混合物において生成し、反応混合物から固体形態を回収すること、又は式(I)の化合物若しくはその塩を溶媒に、任意選択で加熱しながら溶解し、続いて冷却して及び/若しくは貧溶媒(anti−solvent)を一定期間添加して、生成物を結晶化/固化すること、のいずれかによって実施される。結晶化又は固化の後には乾燥が続くことがあり、ある特定の溶媒又は水の含有量が最終固体形態において達成されるまで制御条件下で実施される。
一実施形態において、この方法は、式(I)の化合物又はその塩の合成後に固体形態を回収することを含む。別の実施形態において、この方法は、式(I)の化合物又はその塩の事前の固体形態から転移として固体形態を回収すること(例えば、式(I)の化合物又はその塩の第1固体形態を最初に回収し、回収した第1固体形態を適切な条件下で第2固体形態に変換すること)を含む。1つ(例えば、第1)の固体形態から別(例えば、第2)の固体形態に転移することは、本発明の範囲内の方法である。そのような転移は、医薬組成物を生成するために固体形態を得る製造方法として使用することができる。
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の塩の固体形態を調製する方法であって、(a)式(I)の化合物を溶媒系において酸と接触させること、並びに(b)ステップ(a)で得た混合物から式(I)の化合物の塩の固体形態を生成及び/又は回収することを含む方法である。
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の塩の固体形態を調製する方法であって、(a)式(I)の化合物の塩を含む物質を、溶媒系に曝露すること、並びに(b)ステップ(a)で得た混合物から式(I)の化合物の塩の固体形態を生成及び/又は回収することを含む方法である。
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の遊離塩基の固体形態を調製する方法であって、(a)式(I)の化合物の塩又は遊離塩基を含む物質を、溶媒系に曝露すること、並びに(b)ステップ(a)で得た混合物から式(I)の化合物の遊離塩基の固体形態を生成及び/又は回収することを含む方法である。
ある特定の実施形態において、ステップ(b)は、以下の1つ又は複数を含むことができる。(i)式(I)の化合物の塩若しくは遊離塩基を含有する溶液を冷却すること、(ii)冷却ステップを用いて若しくは用いることなく貧溶媒を添加して、式(I)の化合物の塩又は遊離塩基を含む固体物質を沈殿させること、(iii)式(I)の化合物の塩若しくは遊離塩基を含有する溶液を蒸発させること、(iv)式(I)の化合物の塩若しくは遊離塩基を含む物質を、溶媒系においてスラリー化すること、及び/又は(v)式(I)の化合物の塩若しくは遊離塩基を含む物質を、溶媒系において熟成に付すこと。
式(I)の化合物の硫酸塩
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の硫酸塩である。式(I)の化合物の硫酸塩は、様々な固体形態で存在できることが考慮される。そのような固体形態には、式(I)の化合物の結晶質硫酸塩の多形体、溶媒和物及び水和物などの結晶質固体、並びに非晶質固体、又はこれらの任意の混合物が含まれる。式(I)の化合物の硫酸塩のすべてのそのような固体形態が、本発明において考慮される。
本明細書で使用されるとき、「硫酸塩」は、硫酸(HSO)から誘導される少なくとも1個の対イオンを含む塩を指す。硫酸から誘導される対イオンには、HSO (例えば、硫酸水素イオン、ヒドロスルフェート(hydrosulfate)又は重硫酸イオン)及びSO 2−(例えば、硫酸イオン)が含まれるが、これらに限定されない。硫酸塩における陽イオンと、硫酸から誘導された対イオンのモル比は、当該技術分野で公知の任意の比であり得る。例示的なモル比には、約1:2(すなわち、ビス硫酸塩)、約1:1(すなわち、モノ硫酸塩)及び約2:1(すなわち、ヘミ硫酸塩)が含まれるが、これらに限定されない。用語「硫酸塩」には、すべての形態の塩が含まれ、結晶質形態、無水形態、塩の溶媒和物(例えば、水和物)形態、非晶質形態又はこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の硫酸塩を含む固体形態である。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の硫酸塩の溶媒和物を含む固体形態である。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の硫酸塩の水和物を含む固体形態である。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物又はその溶媒和物(例えば、水和物)の硫酸塩の結晶質形態を含む固体形態である。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の硫酸塩の溶媒和物の結晶質形態を含む固体形態である。一実施形態において、本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物の硫酸塩の水和物の結晶質形態を含む固体形態である。一実施形態において、式(I)の化合物の硫酸塩は硫酸イオンである。別の実施形態において、式(I)の化合物の硫酸塩は重硫酸イオン(すなわち、ハイドロスルフェート)である。
医薬組成物
医薬組成物は、活性成分(複数可)として、本明細書に提供される1つ又は複数の化合物、そのような化合物(複数可)の立体異性体、鏡像異性体、鏡像異性体又はジアステレオマーの混合物、又はこれらの任意の組合せ(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物)、及び不活性ビヒクル(例えば、水又は有機溶媒)、担体、固体充填剤、液体希釈剤、緩衝液、塩、糖などが含まれる薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、追加の化学療法剤などの第2の活性成分を含むことができる。
処方
医薬組成物は、液剤、懸濁剤、カプセル剤、クリーム剤、乳剤、フォーム剤、軟膏剤、ペースト剤、顆粒剤、微粉化粉末剤又は錠剤が含まれる、液体又は固体形態での、経口、経腸、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、鞘内)、眼内、舌下、経皮、又は局所、膣内又は直腸内などの経路による、及び吸入器、噴霧器、パッチ、ペッサリー、ステント又は坐剤などの医療装置による投与のために処方され得る。
医薬ビヒクルは水性又は非水性であってもよく、水、グリセロール、油、アルコール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)及びこれらの混合物が含まれる。担体の例には、リポソーム、ヒドロゲル、安定したエマルション、ポリマーミセル、シクロデキストリン、デンドリマー、微小球、及びナノ粒子又はナノ繊維が含まれる。
組成物は、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、結合剤、分散剤、滑沢剤、安定剤及び/又は乾燥剤などの賦形剤を含有することもできる。本明細書に記載されている化合物に対する微生物の作用は、抗菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって防止することができる。デキストロース及び/又は塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることも望ましいことがある。加えて、注入又は注射された医薬組成物の延長吸収は、吸収を遅延する薬剤を含めることによってもたらすことができる。
医薬組成物を処方する方法は、本発明の化合物と賦形剤の会合をもたらすステップを含む。より詳細には、医薬組成物は、本発明の化合物をビヒクル又は担体と、任意選択で他の賦形剤と接触させることによって処方することができる。液体形態は、組成物を乾燥する介在ステップを用いて又は用いることなく、滅菌容器に無菌的に分配することができる。或いは、乾燥形態は、組成物を複数の単位用量に形態する介在ステップを用いて又は用いることなく、滅菌容器に無菌的に分配することができる。ロット試験を実施して、ウイルス、発熱物質又は他の汚染物質の不在を確認することができる。医薬組成物を処方する又は下流生成物(例えば、経腸自己投与用の錠剤又はカプセル剤の単位用量、多用量ブリスターパック、単回非経口投与用に再構成され得る単位用量)にさらに加工する方法は、当該技術分野で慣用なものである。担体又は賦形剤が、望ましくない生理学的効果をもたらす、そうでなければ医薬組成物の別の構成成分と有害な方法で相互作用するなど、化学療法剤と不適合である以外は、担体又は賦形剤の使用は本発明の範囲内であると考慮される。
経口投与用の処方
式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物を、経口投与用に処方することができる。経口投与用の医薬組成物は、有効量の1つ又は複数の式(I)の化合物、任意選択で、有効量の1つ又は複数の第2の薬剤、並びに経口投与に適した1つ又は複数の医薬担体及び/若しくは賦形剤を含有する。時には、医薬組成物は、有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
経口投与に適した医薬組成物は、錠剤若しくはカプセル剤、又は所定量の活性成分を微細若しくは顆粒化粉末として含有するエリキシル剤若しくはシロップ剤、液剤、懸濁剤、又は乳剤などの別個の剤形で提示され得る。医薬組成物は、活性成分を、1つ又は複数の不活性成分を構成する薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と会合させることを含む慣用の手順によって処方することができる。例えば、活性成分を、微粉砕固体担体、液体担体又はその両方と均一及び密接に混合し、次いで、必要であれば生成物を所望の剤形に造形することができる。例えば錠剤は、圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、塩、緩衝液、安定剤、防腐剤、充填剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤及び/又は分散剤などであるが、これらに限定されない賦形剤と任意選択で混合されている粉末又は顆粒などの易流動形態のAPIを、適切な機械で圧縮することによって調製することができる。任意選択で、担体を混合物に加えることができる。錠剤は、API、不活性賦形剤及びビヒクルで湿らせた任意選択の担体の同様の混合物を、適切な機械により成形して作製することができる。改善された薬物送達又は保存が望ましい場合、コーティングを遅延又は持続放出のために加えて、コーティング錠剤を作製することができる。
活性成分を含む無水医薬組成物が好ましく、それは水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水を製薬術(pharmaceutical arts)に、長期保存を模倣する手段として(例えば、約5%)加えて、製剤の経時的な貯蔵寿命又は安定性などの特徴を決定することができる。無水医薬組成物は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製することができる。例えば、ラクトースを含有する医薬組成物は、製造、包装及び/又は保存の際に水分及び/又は湿度との実質的な接触が予測される場合に無水に作製され得る。無水医薬組成物は、無水の性質が維持されるように調製及び保存することができる。したがって、無水医薬組成物は、無水医薬組成物が適切な処方キットに含まれ得るように、水への曝露を防止することが公知である物質を使用して包装することができる。適切な包装の例には、気密封入容器、ブリスターパック、バイアル及びボトル、バッグなどが含まれるが、これらに限定されない。
活性成分を、慣用の医薬配合技術に従って、薬学的に許容される担体との混合物と組み合わせることができる。担体は、投与に望ましい調合剤の形態に応じて多種多様な形態をとることができる。経口剤形の医薬組成物の調製では、通常の医薬媒質のいずれかを担体として用いることができ、例えば、経口液体調合剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤若しくは懸濁剤)の場合では、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤などであり、又はデンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤などの担体を経口固体調合剤に使用することができ、一部の実施形態では、ラクトースの使用を用いることがない。例えば、適切な担体は、固体経口調合剤の粉末剤、カプセル剤及び錠剤に含まれる。一部の実施形態において、錠剤は標準的な水性又は非水性技術によってコーティングされる。
医薬組成物に適した結合剤には、トウモロコシ又はジャガイモデンプン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸又はその塩、トラガカントガム、グアーガム、アルファ化デンプン、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース)、ポリビニルピロリドン及びこれらの任意の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物における使用に適した充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストレート(、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
崩壊剤を医薬組成物の形成に使用して、水性環境に曝露されたときに崩壊する錠剤を提供することができる。崩壊剤が多すぎると、輸送の際に容易に壊れる錠剤を生成する可能性があり、少なすぎると、崩壊が生じるのに不十分であり、したがって活性成分の放出の速度及び程度を変更する可能性がある。このように、少なすぎて又は多すぎて活性成分の放出を有害に変更することのない崩壊剤の十分な量を使用して、式(I)の化合物の単位用量を形成することができる。使用される崩壊剤の量は、製剤のタイプ又は投与の様式に基づいて変わり得る。約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤又は約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を、医薬組成物に使用することができる。医薬組成物の形成に使用することができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、又はこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物の形成に使用することができる滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、アガー又はこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。追加の滑沢剤には、例えば、シロイド(syloid)シリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル又はこれらの混合物が含まれる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量パーセント未満の量で任意選択で添加することができる。
水性懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤が経口投与に望ましい場合、これらの活性成分を、様々な甘味剤又は着香剤、着色物又は色素、並びに例えば乳化剤及び/又は懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの様々な組合せなどの希釈剤と一緒にして組み合わせることができる。
錠剤は、コーティングされていなくてもよく又は公知の技術によりコーティングされて、胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによって、長期間にわたる持続活性を提供することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質を使用することができる。経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、又は活性成分が水若しくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提示され得る。
医薬組成物の形成に使用することができる界面活性剤には、親水性又は親油性界面活性剤及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を用いることができる、親油性界面活性剤の混合物を用いることができる、又は少なくとも1種の親水性界面活性剤と少なくとも1種の親油性界面活性剤の混合物を用いることができる。
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性のいずれかであり得る。適切なイオン性界面活性剤には、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム(sodium docusate);アシルアクチレート;モノ−及びジ−グリセリドのモノ−及びジ−アセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ−及びジ−グリセリド;モノ−及びジ−グリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
前述の群の範囲内において、イオン性界面活性剤には、例として、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びそれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルスルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルアクチレート;モノ−及びジ−グリセリドのモノ−及びジ−アセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ−及びジ−グリセリド;モノ−及びジ−グリセリドのクエン酸エステル;並びにこれらの組合せが含まれる。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル(lactylic ester)、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン(cholylsarcosine)、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレート、リノレート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、並びにこれらの塩及び混合物のイオン化形態であり得る。
親水性非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴルグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びその混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオールと、トリグリセリド、植物油及び水素化植物油のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物が含まれ得るが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール又は多糖であり得る。
他の親水性非イオン性界面活性剤には、限定されることなく、PEG−10ラウレート、PEG−12ラウレート、PEG−20ラウレート、PEG−32ラウレート、PEG−32ジラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20オレエート、PEG−20ジオレエート、PEG−32オレエート、PEG−200オレエート、PEG−400オレエート、PEG−15ステアレート、PEG−32ジステアレート、PEG−40ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−20ジラウレート、PEG−25グリセリルトリオレエート、PEG−32ジオレエート、PEG−20グリセリルラウレート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−20グリセリルオレエート、PEG−30グリセリルオレエート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−40グリセリルラウレート、PEG−40パーム核油、PEG−50硬化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40硬化ヒマシ油、PEG−60硬化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG−8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル−10ラウレート、PEG−30コレステロール、PEG−25植物ステロール、PEG−30ダイズステロール、PEG−20トリオレエート、PEG−40ソルビタンオレエート、PEG−80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100スクシネート、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレエート、ツイーン(Tween)40、ツイーン60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10−100ノニルフェノールシリーズ、PEG15−100オクチルフェノールシリーズ及びポロキサマーが含まれる。
適切な親油性界面活性剤には、単なる例として、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ−及びジ−グリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸及びステロールのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにこれらの混合物が含まれる。この群の範囲内において、親油性界面活性剤の非限定例には、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びこれらの混合物が含まれ、又はポリオールと、植物油、水素化植物油及びトリグリセリドのうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
一実施形態において、医薬組成物は、可溶化剤を含んで本明細書に提供される化合物の良好な可溶性及び/又は溶解性を確実にすること、並びにその化合物の沈殿を最小限にすることができる。このことは、非経口使用の医薬組成物、例えば、注射用の医薬組成物にとって、とりわけ重要であり得る。可溶化剤は、親水性薬物及び/又は界面活性剤などの他の構成成分の可溶性を増加するため、又は医薬組成物を安定した若しくは均質の溶液又は分散体として維持するために添加することもできる。
適切な可溶化剤の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びその異性体、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール(transcutol)、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体などのアルコール及びポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEGなどの約200〜約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド及びポリビニルピロリドンなどのアミド及び他の窒素含有化合物;エチルプロピオネート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルN−ヒドロキシエチルピロリドンシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、エチルブチレート、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクトン及びその異性体、δ−バレロラクトン及びその異性体、β−ブチロラクトン及びその異性体などのエステル;並びにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び水などの当該技術分野で公知の他の可溶化剤。
可溶化剤の混合物を使用することもできる。例には、トリアセチン、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200−100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール及びジメチルイソソルビドが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、可溶化剤には、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロール及びプロピレングリコールが含まれる。
含むことができる可溶化剤の量は、特に制限されない。所定の可溶化剤の量は、生体許容(bioacceptable)量に制限されてもよく、当業者により容易に決定され得る。一部の状況において、生体許容量をはるか超える可溶化剤の量を含んで、例えば、薬物の濃度を最大化することが有益なこともあり、過剰な可溶化剤は、医薬組成物が対象に提供される前に、蒸留又は蒸発などの慣用の技術を使用して除去される。
医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤及び/又は賦形剤をさらに含むことができる。そのような添加剤及び/又は賦形剤には、限定されることなく、粘着防止剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤(viscomodulator)、等張化剤(tonicifier)、香料、着色剤、油、着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤、充填剤、可塑化剤、滑沢剤及びこれら混合物が含まれる。
例示的な防腐剤には、酸化防止剤、キレート剤、抗微生物防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤及び他の防腐剤が含まれ得る。例示的な酸化防止剤には、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。例示的なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸及びエデト酸三ナトリウムが含まれる。例示的な抗微生物防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール及びチメロサールが含まれるが、これらに限定されない。例示的な抗真菌防腐剤には、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアルコール防腐剤には、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート及びフェニルエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。例示的な酸性防腐剤には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ−カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸が含まれるが、これらに限定されない。他の防腐剤には、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム及びメチルパラベンが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、防腐剤は酸化防止剤である。他の実施形態において、防腐剤はキレート剤である。
例示的な油には、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子(black current seed)油、ルリジサ油、杜松油、カミツレ油、カノーラ油、カラウェー油、カルナウバ油、ヒマシ油、ケイ皮油、カカオ脂、ヤシ油、タラ肝油、コーヒー豆油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、マツヨイグサ油、魚油、アマニ油、ゲラニオー油、ウリ(gourd)油、ブドウ種油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ油、ククイナッツ(kukui nut)油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、アオモジ油、マカデミアナッツ油、ゼニアオイ油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ニクズク油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ油、カボチャ種子油、菜種油、コメヌカ油、ローズマリー油、ベニバナ油、ビャクダン油、サスクアナ(sasquana)油、セイバリー(savoury)油、シーバックソーン(sea buckthorn)油、ゴマ油、シアバター、シリコーン油、ダイズ油、ヒマワリ油、チャノキ油、アザミ油、ツバキ油、ベチベル油、クルミ油及びコムギ麦芽油が含まれるが、これらに限定されない。例示油には、ステアリン酸ブチル、トリカプリル酸グリセリル(caprylic triglyceride)、トリカプリン酸グリセリル(capric triglyceride)、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
加えて、酸又は塩基を医薬組成物に、加工を促進するため、安定性を増強するため又はその他の理由で組み込むことができる。薬学的に許容される塩基の例には、アミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロカルサイト(hydrocalcite)、水酸化アルミニウムマグネシウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(TRIS)などが含まれる。同じく適しているものは、薬学的に許容される酸、例えば、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基である。リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムなどの多塩基酸の塩を使用することもできる。塩基が塩である場合、陽イオンは、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの任意の慣用の薬学的に許容される陽イオンであり得る。例には、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウムが含まれ得るが、これらに限定されない。
適切な酸は、薬学的に許容される有機又は無機の酸である。適切な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などが含まれる。適切な有機酸の例には、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などが含まれる。
非経口投与用の処方
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物及び非経口投与に適した医薬賦形剤を含有する非経口投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、有効量の開示されている化合物、任意選択で有効量の1つ又は複数の第2の薬剤、並びに非経口投与に適した1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含有する、非経口投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、医薬組成物は、有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
食塩水による水性液剤が注射又は注入のために多くの場合使用される。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。
滅菌液剤は、式(I)の化合物を有効量で適切な溶媒に、適切であれば上記に記載された様々な他の不活性成分と共に組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散剤は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒体及び上記に記載された適切な他の不活性成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注入又は注射用液剤の調製のための滅菌粉末剤の場合では、調製するためのある特定の方法は、真空乾燥及びフリーズドライ技術であり、活性成分+前記の滅菌ろ過液剤からの任意の追加の成分の粉末を生じる。
注入又は注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターでろ過することによって、或いは使用前に、水又は他の滅菌注射用媒体に溶解若しくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。注入用又は注射用医薬組成物は、約0.1%w/w〜約5%w/wの本明細書に提供される化合物を含有することができる。
本明細書に提供される医薬組成物は、軟膏剤、ゲリ剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、スラリー剤、油剤、乳剤又はフォーム剤などの固体、半固体又は液体の調合剤に処方することができる。一般に、高密度を有する担体は、活性成分への長時間の曝露を維持する部域をもたらすことができる。対照的に、溶液製剤は、選択された部域への活性成分のより即時の曝露をもたらすことができる。
局所投与用の製剤は、例えば、製剤の総重量に対して、約1%〜約10%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができるが、製剤中の本明細書に提供される化合物の濃度は、溶媒中の化合物の溶解限界まで高くなり得る。一部の実施形態において、局所投与用の製剤は、例えば、約1%〜約9%(w/w)の本明細書に提供される化合物、例えば約1%〜約8%(w/w)、さらに例えば約1%〜約7%(w/w)、さらに例えば約1%〜約6%(w/w)、さらに例えば約1%〜約5%(w/w)、さらに例えば約1%〜約4%(w/w)、さらに例えば約1%〜約3%(w/w)、さらに例えば約1%〜約2%(w/w)の本明細書に提供される化合物を含むことができる。局所投与用の製剤は、1つ又は複数の本明細書に記載されている追加の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含むことができる。
吸入投与用の処方
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物及び局所投与に適した医薬賦形剤を含有する吸入投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、有効量の本明細書に提供される化合物、任意選択で有効量の1つ又は複数の第2の薬剤、並びに吸入投与に適した1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含有する、吸入投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、医薬組成物は、有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
摂取用の医薬組成物は、本明細書に提供される化合物が1つ又は複数の薬学的に許容される水性及び/若しくは有機溶媒、又はこれらの混合物に溶解又は懸濁されている液剤、或いは、圧縮粉末を含有する錠剤、顆粒を含有するカプセル剤、又は再構成性粉末剤であってもよい。液体又は固体形態の医薬組成物は、本明細書に記載される1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含有することができる。この医薬組成物を、局所又は全身効果のために、経口(好ましい)、静脈内、腹腔内若しくは鞘内への注入、又は皮下若しくは筋肉内の注入のうちから選択される適切な経路によって、経腸的又は非経口的に投与することができる。
非経口投与用の処方
医薬組成物は非経口投与(例えば、静脈内注入、動脈内若しくは血管内、皮下又は筋肉内への注射、カテーテル若しくはポートを介した送達、或いはこれらの任意の組合せ)のために処方することができる。医薬組成物は、有効量の式(I)の化合物及び非経口投与に適した薬学的に許容される担体を含有することができる。非経口投与に適した医薬組成物は、ガラスバイアル、真空ボトル又はプラスチックバッグなどの別個の単位用量として提示され、それぞれ、所定量の活性成分を乾燥形態で、溶液に溶解して、懸濁液に、又は乳剤として含有することができる。全身投与を達成することができる。
医薬組成物は、活性成分を、注射用水、生理食塩水若しくは他の食塩溶液、平衡塩溶液、又は他の緩衝溶液などの滅菌水溶液に溶解することによって、或いは、使用前の溶解される粉末組成物を組み合わせることによって調製することができる。他の担体には、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリエーテル;ポリビニルアルコール又はポビドンなどのポリビニル;メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、鉱油及び白色ワセリンなどの石油誘導体、ラノリンなどの動物性油脂、カルボキシポリメチレンゲルなどのアクリル酸のポリマー、ピーナッツ油などの植物性油脂、デキストランなどの多糖、及びヒアルロン酸ナトリウムなどのグリコサミノグリカンが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、点眼剤に通常使用される添加剤を加えることができる。そのような添加剤には、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなどの多糖;例えば、ヒアルロン酸若しくはその塩、例えばヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖、例えばコンドロイチン硫酸など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当該技術分野で公知の他の薬剤)が含まれる。
一部の場合において、コロイド粒子は、少なくとも1つの陽イオン剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル又はポリオキシステアレートを含む。一部の場合において、陽イオン剤は、アルキルアミン、第三級アルキルアミン、第四級アンモニウム化合物、陽イオン性脂質(cationic lipid)、アミノアルコール、ビグアニジン塩、陽イオン性化合物、又はこれらの混合物である。一部の場合において、陽イオン剤は、クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニジン、フェンホルミン、アルキルビグアニジン又はこれらの任意の混合物などのビグアニジン塩である。一部の場合において、第四級アンモニウム化合物は、ベンザルコニウムハライド、ラウラルコニウムハライド、セトルイミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド、セトリモニウムハライド、ベンゼトニウムハライド、ベヘンアルコニウムハライド、セタルコニウムハライド、セテチルジモニウムハライド、セチルピリジニウムハライド、ベンゾドデシニウムハライド、クロラリルメテナミンハライド、ルニリスチルアルコニウムハライド、ステアラルコニウムハライド又はこれらの2つ若しくは複数の混合物である。一部の場合において、陽イオン剤は、ベンザルコニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、ベンゾドデシニウムブロミド、ベンゾエテニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はこれらの2つ若しくは複数の混合物である。一部の場合において、油相は、鉱油及び軽油;中鎖トリグリセリド(MCT);ヤシ油;水素化綿実油、水素化パーム油、硬化ヒマシ油又は水素化ダイズ油を含む硬化油;ポリオキシル−40硬化ヒマシ油、ポリオキシル−60硬化ヒマシ油又はポリオキシル−100硬化ヒマシ油を含むポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体である。
制御放出投与用の処方
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される化合物及び制御放出投与に適した医薬賦形剤を含有する制御放出投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、本明細書に提供されるのは、有効量の開示されている化合物、任意選択で有効量の1つ又は複数の第2の薬剤、並びに制御放出投与に適した1つ又は複数の医薬賦形剤を含有する、制御放出投与用の医薬組成物である。一部の実施形態において、医薬組成物は、有効量の第3の薬剤をさらに含有する。
式(I)の化合物などの活性剤は、送達装置(例えば、生分解性ポリマー、エマルション、カプセル化、腸溶性コーティング)又は当業者に公知の他の手段を使用する、持続、遅延又は他の制御放出によって投与され得る。そのような剤形は、例えば、エマルション、ゲル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、リポソーム若しくはミセル、多層コーティング、浸透系、粒子若しくは球体、透過膜、ポリ酪酸若しくは他の生分解性ポリマー、又はこれらの任意の組合せを使用して1つ又は複数の活性剤の制御放出を提供して、所望の放出プロファイルを様々な割合で提供するために使用できる。本明細書に記載されているものを含む、適切な制御放出製剤が当該技術分野で公知であり、本明細書に提供される活性剤との使用のために容易に選択され得る。このように、提供される医薬組成物は、錠剤、カプレット剤、カプセル剤、及び制御放出に適合されたジェルキャップ(gel cap)などであるが、これらに限定されない、経口投与に適した単一単位用量を包含する。
すべての制御放出医薬生成物は、非制御対応物によって達成される薬物療法を改善するという共通の目的を有する。一部の実施形態では、医学的治療における制御放出調合剤の使用は、最小限の原薬を用いて疾患、障害又は状態を最小限の時間の量で治癒又は制御することによって特徴付けられる。制御放出製剤の利点には、延長された薬物の活性、低減された投与量頻度及び増加された対象の服薬遵守が含まれる。加えて、制御放出製剤を使用して、作用の開始時間及び薬物の血中レベルなどの他の特徴に影響を与えることができ、したがって、副(例えば、有害)作用の出現に影響を与えることができる。
一部の実施形態において、制御放出製剤は、所望の治療効果を素早く生成する本明細書に提供される化合物の量を初めに放出し、化合物の他の量を徐々に持続的に放出して、このレベルの治療又は予防効果を長時間にわたって維持するように設計される。この一定レベルの化合物を体内で維持するため、化合物は、代謝され身体から排出される薬物の量を補う速度で放出されるべきである。活性剤の制御放出は、pH、温度、酵素、水又は他の生理学的条件若しくは化合物が含まれるが、これらに限定されない様々な条件によって刺激され得る。
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、静脈内注入、埋め込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム又は他の投与様式を使用して投与することができる。一つの実施形態では、ポンプを使用することができる(セフトン、バイオメディカル工学のCRC批評版(Sefton,CRC Crit.Ref Biomed.Eng.)14:201頁(1987年);バックワルドら、外科手術(Buchwald et al.,Surgery)88:507頁(1980年);ソウデックら、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(Saudek et al.,N.Engl.J.Med.)321:574頁(1989年)を参照すること)。別の実施形態では、ポリマー物質を使用することができる。なお別の実施形態では、制御放出系を当業者により決定された適切な部位で対象内に置くことができ、すなわち、そのためごくわずかな全身投与量しか必要としない(例えば、グッドソン、制御放出の医療用途(Goodson,Medical Applications of Controlled Release)、2:115〜138頁、1984年を参照すること)。他の制御放出系が、ランガー、サイエンス(Langer,Science)249:1527〜1533頁(1990年)によるレビューにおいて考察されている。1つ又は複数の活性剤は、固体内側マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は無可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルに分散されてもよく、固体内側マトリックスは、外側ポリマー膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーで囲まれており、外側ポリマー膜は体液において不溶性である。次いで、1つ又は複数の活性剤は、外側ポリマー膜を通して放出速度律速段階で拡散する。そのような非経口組成物における活性剤の百分率は、非経口組成物の特定の性質、並びに対象の必要性に高く依存している。
リポソーム
医薬活性成分の分解を低減する及び/又は医薬活性成分の経腸吸収を増加するための実施形態は、本明細書に提供される化合物をリポソームにカプセル化することである。個体群内のサイズの分布において、大多数のリポソームは400nm未満の直径を有してもよい。大多数のリポソームは、約100〜約150nmの直径を有してもよい。リポソームは、コーティングされていても、安定化されていてもよい。
リポソームは、リポソームの有用な特性のために薬物送達に使用される。溶解された親水性溶質は、脂質の中を容易に通過することができない。疎水性化学物質を膜に溶解することができ、この方法によって、リポソームは疎水性分子と親水性分子の両方を運ぶことができる。分子を作用の部位に送達するため、脂質二重層は、細胞膜などの他の二重層と縮合し、それによってリポソーム内容物を送達することができる。リポソームを、本明細書に提供される化合物を含む溶液で調製することによって、リポソームは、消化系の細胞裏層を通る化合物の送達を改善することができる。
リポソームの別の興味深い特性は、腫瘍組織を標的にするリポソームの能力である。血管の内皮壁は、密着接合により一緒に結合している内皮細胞でカプセル化されている。これらの密着接合は、血液中の任意の大型粒子が血管の外側へ漏出するのを止める。腫瘍血管は、同じレベルの封止を細胞間に含有せず、漏出する。ある特定のサイズ、典型的には400nm未満のリポソームは、血液から腫瘍部位に急速に侵入することができるが、健康な組織血管系では内皮壁によって血流内に保持される。
リポソームは、本明細書に提供される化合物を他の方法で送達するように設計することもできる。低pHを含有するリポソームは、溶解された水性薬物を溶液(すなわち、pHが薬物のpH範囲の外側にある)に投入することによって構築することができる。pHがリポソーム内で自然に中和される(陽子は一部の膜を通過することができる)ので、本明細書に提供される化合物は中和され、化合物が膜を自由に通過することを可能にする。これらのリポソームは、直接の細胞融合ではなく拡散によって薬物を送達するように作動する。リポソーム薬物送達の別の戦略は、エンドサイトーシス事象を標的にすることである。リポソームは、リポソームを天然のマクロファージ食作用に実用的な標的にする特定のサイズ範囲で作製することができる。これらのリポソームは、細胞の食作用胞の中にある間に消化され、これによって本明細書に提供される化合物を放出することができる。リポソームをオプソニン及びリガンドで装飾して、他の細胞タイプにおいてエンドサイトーシスを活性化させることもできる。
リポソームを公知の実験技術によって調製してもよい。リポソームは、リポソーム脂質を容器中の溶媒に溶解することにより調製することができる。容器は、リポソームの予想される懸濁液の体積の10倍大きい体積を有していてもよい。ロータリーエバポレーターを使用して、溶媒を負圧下において、およそ40℃で除去する。溶媒は通常、リポソームの所望の体積に応じて、約5分〜2時間の範囲内で除去される。組成物を、乾燥器により真空下でさらに乾燥することができる。乾燥脂質は、滅菌の発熱物質無含有水中の約25mM〜50mMのリン脂質において、すべての脂質膜が再懸濁されるまで振とうすることにより水和され得る。次いで水性リポソームをアリコートに分け、それぞれをバイアルにいれ、凍結乾燥し、真空下で封止することができる。
脂質は、ホスファチジルエタノールアミン及びコレステロールのようなリン脂質であり得る。リン脂質は両親媒性であり、分子の炭化水素尾部が疎水性であり、分子の極性頭部が親水性である。リポソームは両側で水性溶液と接触するので、リン脂質は、互いに向かい合っている疎水性尾部によりリン脂質二重層を形成することによって、このことに適応している。リポソームは、実効正電荷を担持することができる、実効負電荷を担持することができる又は中性であり得る。例えば、リン酸ジセチルを使用して、負電荷をリポソームに付与することができ、一方、ステアリルアミンを使用して、正電荷をリポソームに付与することができる。
限定されることなく、脂質は、ステロール脂質、脂肪酸、脂肪アルコール、グリセロ脂質(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド)、リン脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質(saccharolipid)、ポリケチド及びこれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。脂質は、多不飽和脂肪酸又はアルコールでもあり得る。多不飽和脂肪酸及び多不飽和脂肪アルコールという用語は、炭化水素鎖に2つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有する脂肪酸又はアルコールをそれぞれ意味する。脂質は、高度不飽和脂肪酸又はアルコールであり得る。高度多不飽和脂肪酸及び高度多不飽和脂肪アルコールという用語は、少なくとも18個の炭素原子及び少なくとも3つの二重結合を有する脂肪酸又はアルコールをそれぞれ意味する。
脂質は、コレステロール、1,3−プロパンジオールジカプリレート/ジカプレート;10−ウンデセン酸、1−ドトリアコンタノール、1−ヘプタコサノール、1−ノナコサノール、2−エチルヘキサノール、アンドロスタン、アラキジン酸、アラキドン酸、アラキジルアルコール、ベヘン酸、ベヘニルアルコール、カプリン酸、カプリン酸アルコール、カプリルアルコール、カプリル酸、飽和脂肪アルコールC12〜C18のカプリル酸/カプリン酸エステル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、セラミドホスホリルコリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール、セロプラスチン酸、セロチン酸、セロチン酸、セリルアルコール、セテアリールアルコール、セチルアルコール、コラン、コレスタン、コレステロール、シス−11−エイコセン酸、シス−11−オクタデセン酸、シス−13−ドコセン酸、ドコサヘキサエン酸、卵レシチン、エイコサペンタエン酸、エイコセン酸、エライジン酸、エライドリノレニルアルコール、エライドリノレイルアルコール、エライジルアルコール、エルカ酸、エルシルアルコール、エストラン、エチレングリコールジステアレート、ゲダ酸(geddic acid)、ゲジルアルコール(geddyl alcohol)、グリセロールトリカプリレート/カプレート、グリセロールトリカプリレート/カプレート、グリセリルモノカプリレート、グリセリルトリアセタート、グリセリルトリカプリレート、グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレート、グリセリルトリカプリレート/トリカプレート、グリセリルトリパルミタート、ヘナトリアコンチル酸、ヘンエイコシルアルコール、ヘンエイコシル酸、ヘプタコシル酸、ヘプタデカン酸、ヘプタデシルアルコール、ヘキサトリアコンチル酸、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラッセロ酸、ラウリエ酸、ラウリルアルコール、リグノセリン酸、リグノセリルアルコール、リノエライジン酸、リノール酸、リノレニルアルコール、リノレイルアルコール、マルガリン酸、メリシン酸、メリシルアルコール、モンタン酸(montanic acid)、モンタニルアルコール(montanyl alcohol)、ミリシルアルコール、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ミリスチルアルコール、ネオデカン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、ネルボン酸、ノナコシル酸、ノナデシルアルコール、ノナデシル酸、ノナデシル酸、オレイン酸、オレイルアルコール、パルミチン酸、パルミトレイン酸、パルミトレイルアルコール、ペラルゴン酸、ペラルゴン酸アルコール、ペンタコシル酸、ペンタデシルアルコール、ペンタデシル酸、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールビスホスフェート、ホスファチジルイノシトールホスフェート、ホスファチジルイノシトールトリホスフェート、ホスファチジルセリン、ポリグリセリル−6−ジステアレート、プレグナン、プロピレングリコールジカプレート、プロピレングリコールジカプリロカプレート、プロピレングリコールジカプリロカプレート、プシリン酸(psyllic acid)、レシノール酸(recinoleaic acid)、レシノレイルアルコール(recinoleyl alcohol)、サピエン酸、ダイズレシチン、ステアリン酸、ステアリドン酸(stearidonic)、ステアリルアルコール、トリコシル酸、トリデシルアルコール、トリデシル酸、ウンデシルアルコール、ウンデシレン酸;ウンデシル酸、α−リノレン酸、及びγ−リノレン酸からなる群から選択され得る。
リン脂質は、ホスファチジルコリン、6〜22個の炭素原子を有するアシル基を持つホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルグリセロール又はこれらの任意の組合せのうちの1つ又は複数であり得る。より詳細には、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、レシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、セファリン、カルジオリピン、セレブロシド、ジセチルホスフェート、ジオレオイル−ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイル−オレオイル−ホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ステアロイル−パルミトイル−ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン又はこれらの任意の組合せのうちの1つ又は複数であり得る。
一部の実施形態において、脂質は、ポリエチレングリコール(PEG)と複合した脂質である。PEG複合脂質は、PEG複合ジアシルグリセロール及びジアルキルグリセロール、PEG複合ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG複合セラミド、PEG複合ジアルキルアミン、PEG複合1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミン、並びにこれらの任意の組合せのうちのいずれか1つ又は複数であり得る。
投与量
本明細書に記載されている化合物は、治療有効量の本明細書に提供される化合物及び/又は1つ若しくは複数の追加の化学療法剤を含み、1つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と一緒に処方されている、薬学的に許容される組成物の形態で送達され得る。一部の場合において、本明細書に提供される化合物及び追加の化学療法剤は、別々の医薬組成物で投与され、(例えば、異なる物理的及び/又は化学的特徴のため)異なる経路で投与され得る(例えば、一方の化学療法剤は経口投与されるが、他方の化合物は静脈内投与される)。他の場合において、本明細書に提供される化合物及び追加の化学療法剤は別々であるが、同じ経路(例えば、両方とも経口的又は両方とも静脈内)で投与され得る。なお他の場合において、本明細書に記載される化合物及び追加の化学療法剤は、同じ医薬組成物で投与され得る。
選択される投与量レベルは、例えば、用いられる特定の化合物の活性、投与経路、投与時点、用いられる特定の化合物の排出又は代謝の速度、吸収の速度及び程度、治療の持続期間、用いられる特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態及び以前の病歴、並びに医療技術に周知の同様の要因を含む様々な要因に応じて左右される。
一般に、本明細書に記載される化合物及び/又は化学療法薬の適切な1日用量は、一部の実施形態において、治療効果を生成するのに有効な最低用量であり得る化合物の量である。そのような有効用量は、一般に上記に記載された要因によって左右される。一般に、指示された効果のために使用されるとき、患者における本明細書に記載されている化合物の用量は、1日あたり約0.0001mg〜約100mg、又は1日あたり約0.001mg〜約100mg、又は1日あたり約0.01mg〜約100mg、又は1日あたり約0.1mg〜約100mg、又は1日あたり約0.0001mg〜約500mg、又は1日あたり約0.001mg〜約500mg、又は約0.01mg〜1000mg、又は1日あたり約0.01mg〜約500mg、又は1日あたり約0.1mg〜約500mg、又は1日あたり約1mg〜50mg、又は約5mg〜40mgの範囲である。例示的な投与量は、1日あたり約10〜30mgである。一部の実施形態において、70kgのヒトでは、適切な用量は約0.05〜約7g/日、例えば約0.05〜約2.5g/日である。本明細書に記載される医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物及び投与様式において、患者に対して毒性を有することなく望ましい治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るために変わり得る。一部の場合では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルが十分すぎることがあり、一方、他の場合では、依然として大用量を、例えば、そのような大用量を一日中の投与のためにいくつかの小用量に分けることによって、任意の有害な副作用を引き起こすことなく用いることができる。
一部の実施形態において、化合物は、毎日、1日おき、週に3回、週に2回、毎週又は隔週ごとに投与することができる。投与スケジュールは、「休薬日」を含むことができ、例えば、薬物を2週間にわたって続けて1週間休む、若しくは3週間にわたって続けて1週間休む、若しくは4週間にわたって続けて1週間休む、などのように投与することができる、又は休薬日なしで連続的に投与することができる。化合物は、経口、静脈内、腹腔内、鞘内、局所的、経皮、筋肉内、皮下、鼻内、舌下又は他の経路で投与され得る。
一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、多回用量で投与される。投与は、1日あたり約1回、2回、3回、4回、5回、6回であり得る又は6回を超えることができる。投与は、1か月に約1回、2週間おきに約1回、1週間に約1回又は1日おきに約1回であり得る。別の実施形態において、本明細書に提供される化合物及び別の薬剤は、1日あたり約1回から1日あたり約6回で一緒に投与される。別の実施形態において、本明細書に提供される化合物及び別の薬剤の投与は、約7日間未満にわたって継続される。なお別の実施形態において、投与は、約6日間、約10日間、約14日間、約28日間、約2か月間、約6か月間又は約1年間を超えて継続される。一部の場合では、連続投与が達成され、必要な限り維持される。
本明細書に提供される医薬組成物の投与は、必要な限り継続され得る。一部の実施形態において、本明細書に提供される薬剤は、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約14日間、約21日間又は約28日間を超えて投与される。一部の実施形態において、本明細書に提供される薬剤は、約28日間、約21日間、約14日間、約7日間、約6日間、約5日間、約4日間、約3日間、約2日間又は約1日未満で投与される。一部の実施形態において、本明細書に提供される薬剤は、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約14日間、約21日間又は約28日間で投与される。一部の実施形態において、本明細書に提供される薬剤は、例えば治療の慢性効果のために、中断することなく慢性的に投与される。
本明細書に記載される化合物は他の治療(例えば、追加の化学療法薬、放射線又は外科手術)と組み合わせて投与され得るので、各薬剤又は療法の用量は、単一薬剤療法に対応する用量より低くなり得る。単一薬剤療法の用量は、例えば、1日ごとに体重1キログラムあたり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であり得る。
キット・オブ・パーツ
一部の実施形態において、本明細書に提供されるのはキットである。キットは、適切な包装の中に、本明細書に提供される化合物又は医薬組成物、及び使用説明書、臨床試験の考察、副作用のリストなどが含まれ得る文書を含むことができる。そのようなキットは、情報を含むこともでき、例えば、科学参照文献、包装挿入書面、臨床試験の結果及び/又は結果の要約などであり、これらは、医薬組成物の活性及び/若しくは利点を示す若しくは確立する、並びに/又は医療提供者に有用な服用、投与、副作用、薬物相互作用若しくは他の情報を記載する。そのような情報は、様々な研究、例えば、in vivoモデルを伴う実験動物を使用する研究及びヒト臨床試験に基づいた研究の結果に基づくことができる。
一部の実施形態において、記憶補助が、例えば錠剤又はカプセル剤の隣にある数字の形態でキットに提供され、その数字は、特定された錠剤又はカプセル剤が摂取されるレジメンの日にちに対応する。「1日用量」は、所定の日に摂取される単一の錠剤若しくはカプセル剤、又は数個の錠剤若しくはカプセル剤であり得る。
キットは、別の薬剤をさらに含有することができる。一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物及び薬剤は、キット内の別個の容器中に別々の医薬組成物として提供される。一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物及び薬剤は、キット内の容器中に単一の医薬組成物として提供される。使用するのに適した包装及び追加の物品(例えば、液体調合剤用の計量カップ、空気への曝露を最小限にするホイル包みなど)が当該技術分野で公知であり、キットに含めることができる。他の実施形態において、キットは活性剤を投与するのに使用される装置をさらに含むことができる。そのような装置の例には、シリンジ、点滴バッグ、パッチ及び吸入器が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるキットは、医師、看護師、薬剤師、処方師(formulary official)などが含まれる医療提供者のために提供、市販及び/又は奨励され得る。
そのようなキットの例は、ブリスターパックであり、当該技術分野で公知であり、医薬品産業において包装単位用量(錠剤、カプセル剤など)に使用される。ブリスターパックは、堅いが変形し得る材料、好ましくは透明プラスチックの第1のシートを含むことができる。包装の際には、くぼみがプラスチックシートに形成される。くぼみは、錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有し、次いで錠剤又はカプセル剤はこれらのくぼみの中に置かれる。ブリスターパックは、第1のシートと同じサイズ及び形状を有する、頑丈であるが裂くことができる材料、好ましくは金属ホイル又はコート紙の第2のシートを含むこともできる。次に、シートを揃え、一緒に圧縮し、くぼみの縁の周囲を封止して、錠剤又はカプセル剤がそれらの位置にゆるく保持されているブリスターパックの向かい合っている上側及び下側を形成する。その結果、錠剤又はカプセル剤はブリスターパックに包装される。第1のシートの任意のくぼみを手で押すことによって、くぼみが平らになり、錠剤又はカプセル剤は第2のシートの抵抗に会うまで押され、錠剤又はカプセル剤は第2のシートを破って穴を開け、錠剤又はカプセル剤は、他の錠剤又はカプセル剤を邪魔することなく穴から取り出される。
キットは、1つ又は複数の活性剤の投与に使用され得る薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。例えば、活性剤が、非経口投与用に再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、適切な担体の封止容器を含むことができ、その中に活性剤を溶解して、非経口投与に適している粒子無含有滅菌溶液を形成することができる。薬学的に許容される担体の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない。注射用水USP、並びに塩化ナトリム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸リンゲル注射液などであるが、これらに限定されない他の水性ビヒクル。
無水医薬組成物が活性成分を含み、それは水が一部の化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水を製薬術に、長期保存を模倣する手段として(例えば、約5%)加えて、製剤の経時的な貯蔵寿命又は安定性などの特徴を決定することができる。無水医薬組成物は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製することができる。例えば、ラクトースを含有する医薬組成物は、製造、包装及び/又は保存の際に水分及び/又は湿度との実質的な接触が予測される場合に無水に作製され得る。無水医薬組成物は、無水の性質が維持されるように調製及び保存することができる。したがって、無水医薬組成物は、無水医薬組成物が適切な処方キットに含まれ得るように、水への曝露を防止することが公知である物質を使用して包装することができる。適切な包装の例には、気密封止容器、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスターパックなどが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されているがん療法を受けている対象は、以下のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されないがんが診断されていることがある。脳がん(神経膠芽腫)、膵がん、結腸直腸がん、子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、精巣がん、肺がん、黒色腫、骨肉腫、腎細胞がん、軟部組織肉腫及び甲状腺がん。
より詳細には、本明細書に記載されているがん療法によって利益を受ける固形腫瘍及び/又は固形腫瘍の転移には以下のうちの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。軟部組織肉腫;乳がん、例えば、侵襲性小葉癌、管状癌のような侵襲性腺管癌、髄様癌、粘液癌又は篩状癌;卵巣がん、例えば、腺癌のような上皮卵巣腫瘍;子宮がん;子宮頸がん、例えば、扁平上皮癌及び腺癌を含む子宮頸部上皮における腺癌;前立腺がん、例えば、腺癌又は骨に遊走した腺癌;膵がん、例えば、膵管組織における上皮癌又は膵管における腺癌;膀胱がん、例えば、膀胱における移行上皮癌、尿路上皮癌(移行上皮癌)、膀胱を裏打ちする尿路上皮細胞における腫瘍、扁平上皮癌、腺癌又は小細胞がん;骨癌、例えば、軟骨肉腫、脊索腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫又は線維肉腫;肺がん、例えば、扁平上皮癌、腺癌及び大細胞未分化癌のような非小細胞肺がん、又は小細胞肺がん;皮膚がん、例えば、基底細胞癌、黒色腫、扁平上皮癌、及び時には扁平上皮癌に発展する皮膚の状態である日光角化症;眼の網膜芽細胞腫;皮膚又は眼内(眼)の黒色腫;原発性肝がん(肝臓から始まるがん);腎がん;甲状腺がん、例えば、乳頭状、濾胞状、髄様及び退形成性;カポジ肉腫;B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)及び肝細胞癌を含むウイルス誘導性がん;並びにヒトパピローマウイルス(HPV)及び子宮頸癌;中枢神経系がん(CNS)、例えば、神経膠腫(星状細胞腫、退形成星状細胞腫又は多形神経膠芽腫)、乏突起神経膠腫、上衣細胞腫、髄膜腫、シュワン細胞腫及び髄芽細胞腫を含む、原発性脳腫瘍;末梢神経系がん、例えば、神経線維腫及びシュワン細胞腫を含む聴神経腫若しくは悪性末梢神経鞘腫、悪性線維性細胞腫、悪性線維性組織球腫、悪性髄膜腫、悪性中皮腫又は悪性ミュラー管混合腫瘍;口腔及び食道がん、例えば、下咽頭がん、喉頭がん、上咽頭がん又は中咽頭がん;胃がん、例えば、胃間質性腫瘍(gastric stromal tumor)又はカルチノイド腫瘍;精巣がん、例えば、セミノーマ及び非セミノーマを含む胚細胞腫瘍、並びにライディッヒ細胞腫及びセルトリ細胞腫を含む性腺間質性腫瘍;胸腺がん、例えば、胸腺腫、胸腺癌;或いは直腸がん及び結腸がん。
併用療法
一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、1つ又は複数の他の療法と組み合わせて投与される。例えば、本明細書に提供されるのは、他の経路、又は同じ経路の他の構成成分、又はさらには標的酵素の重複セットを調節することが公知である薬剤が、本明細書に提供される化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ及び同位体標識誘導体)と組み合わせて使用される併用療法のための方法である。一態様において、そのような療法には、相乗又は付加治療効果を提供する、対象化合物と、化学療法剤、治療抗体及び/又は放射線治療との組合せが含まれるが、これらに限定されない。
「組合せ」とは、他の治療剤が同時に投与されなければならないこと及び/又は一緒の送達用に処方されなければならないことを示唆することを意図しないが、これらの送達方法は本開示の範囲内である。本明細書に提供される化合物を、1つ又は複数の他の追加の薬剤を使用する1つ又は複数の他の療法と同時に、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間又は16週間前に)、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間又は16週間後に)投与することができる。一般に、各化学療法剤は、その特定の薬剤に決定されている用量及び/又はタイムスケジュールで投与される。他の化学療法剤は、単一組成物により又は異なる組成物によって別々に、本明細書に提供される化合物を伴って投与され得る。
一般に、組み合わせて用いられる追加の化学療法剤が、追加の化学療法剤が個別に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが予想される。一部の実施形態において、組み合わせて利用されるレベルは、個別に利用されるレベルより低くなる。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象において異常な細胞増殖を阻害する医薬組成物であり、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物又は水和物の塩)を、ある量の抗がん剤(例えば、化学療法剤)と組み合わせて含む。多くの化学的及び生物学的治療薬が当該技術分野で公知であり、これらを本明細書に提供される化合物と組み合わせて使用することができる。
一部の実施形態において、1つ又は複数の他の化学療法剤(例えば、第2の薬剤)は以下のうちから選択され得る。抗体、DNAアルキル化及び/又は挿入剤、他の非特異的又は配列特異的DNA結合剤、ヌクレオシド類似体、白金化合物、抗アンドロゲン剤、抗エストロゲン剤、他の抗ホルモン剤、代謝拮抗剤、血管新生阻害剤、有糸分裂阻害剤、細胞周期阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、並びに他の酵素阻害剤。
他の化学療法剤の非限定例には、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン);アントラサイクリン(例えば、アントラセンジオン、ビサントレン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ゾルビシン);抗副腎剤(antiadrenals)(例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);抗生物質(例えば、アクラルビシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ベカテカリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カミノマイシン(caminomycin)、カラビシン(carabicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン(detorubicin)、ジアゾオキソノルロイシン、エソルビシン、エスペラミシン、マルセロマイシン(、マイトマイシン、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ピクサントロン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、レベッカマイシン、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ゾルビシン);抗エストロゲン剤(例えば、アコルビフェン、アフィモキシフェン、アナストロゾール、クロミフェン、エピチオスタノール、メゲストロール、メピチオスタン、オナプリストン、タモキシフェン、テラプリストン、トレミフェン);葉酸代謝拮抗剤(例えば、アミノプテリン、デノプテリン、エダトレキセート、メトトレキセート、ペメトレキセド、プララトレキセート、プテロプテリン、ラルチトレキセド、トリメトレキセート);抗アンドロゲン剤(例えば、アパルタミド、ビカルタミド、ダロルタミド、エンザルタミド、フルタミド、ニルタミド);LHRHアゴニスト(例えば、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロリド、トリプトレリン);アジリジン(例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、ウレドーパ(uredopa));BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ、ARQ 531、BGB−3111、CC−292、CT−1530、DTRMWXHS−12、GDC−0853、M7583、SNS−062);エピポドフィリン(epipodophyllin)(例えば、アミノカンプトテシン、ベロテカン、カンプトテシン、エトポシド、エキサテカン、イリノテカン、ルルトテカン、ルビテカン、テニポシド、トポテカン);HDAC阻害剤(例えば、アベキシノスタット(abexinostat)、ベリノスタット、エンチノスタット、ガビノスタット(gavinostat)、ケベトリン(kevetrin)、モセチノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット(pracinostat)、キシノスタット、レスミノスタット、リコリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、ボリノスタット、4SC−202、ACY−241、AR−42、CG200745、CHR−2845、CHR−3996、CUDC−101、CXD101、MPT0E028、OBP−801、SHP−141);JAK1/JAK2又はSTAT阻害剤(例えば、バリシチニブ、ホスタマチニブ、イタシチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、ルキソリチニブリン酸塩、トファシチニブ、AZD1480、BMS−911543、CYT387、GLPG0636、INCB047986、INCB16562、NS−018、TG101348、WP1066、XL019);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アベマシクリブ、アファチニブ、アムバチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、デファクチニブ、ドビチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブニトシル酸塩、レスタウルチニブ、リニファニブ、ネラチニブ、ニロチニブ、ニンテダニブ、ニラパリブ、オラパリブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レバスチニブ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、ルカパリブ、ソラフェニブ、スタウロスポリン、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、バンデタニブ、バタラニブ、BMS−777607、CEP−11981、JNJ−26483327、OSI−930、PCI−32765、PF−04217903、XL228);mTOR阻害剤(例えば、ダクトリシブ、エベロリムス、ラパマイシン、リダフォロリムス、サパニセルチブ、シロリムス、テムシロリムス、AZD8055、BEZ235、BGT226、GDC0980、OSI−027、PF−4691502、SF1126、XL765);ナイトロジェンマスタード(例えば、アトリムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、エストラムスチン、マホスファミド、マンノムスチン、メルファラン、フェナメット、フェネステリン(phenesterine)、チオホスファミド(thiophosphamide));ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン);白金化合物(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、トリプラチン四硝酸塩);プリン類似体(例えば、フルダラビン、メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジン類似体(例えば、アンシタビン、アザシチジン、アザウリジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール);タキサン(例えば、カバジタキセル、ドセタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル(、パクリタキセル、テセタキセル);トリアジン(例えば、アルトレタミン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド、トリエチレンメラミン、トリメチロールメラミン);ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビンロシジン);アモナフィド、アパジコン、ブロスタリシン、デメコルチン、ジアジコン、エリプチニウム、エポチロン、エリブリン、エトグルシド、エクシスリンド、フェルギノール、ロニダミン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、モピダモール、ニトラクリン、ピポブロマン、ポドフィリン酸、シゾフィラン、テヌアゾン酸、トラベクテジン及びバジメザンが含まれる。
例示的な生物学的製剤には、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子アルファ)、インターフェロン(例えば、アルファインターフェロン、ベータインターフェロン、ガンマインターフェロン)、造血成長因子(例えば、エリスロポエチン、GM−CSF、G−CSF、IL−11)、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21)、抗体(例えば、アバゴボマブはCA125腫瘍抗原を模倣して免疫応答を誘導する、アデカツムマブはEpCAMに結合して免疫応答を誘発する、アテゾリズマブはPD−L1に結合する、アベルマブはPD−L1に結合する、抗VEGFベバシズマブは血管新生を阻害する、セツキシマブはEGFR活性を阻害する、抗GD2ジヌツキシマブは免疫応答を誘発する、デュルバルマブはPD−L1に結合する、イピリムマブはCTLA4に結合する、ニボルマブはPD−1に結合する、オレゴボマブはCA125腫瘍抗原に結合して免疫応答を誘導する、パニツムマブはEGFR活性を阻害する、ペムブロリズマブはPD−1に結合する、ペルツズマブはHER2に結合する、抗VEGFR2ラムシルマブは血管新生を阻害する、抗VEGFラニビズマブは血管新生を阻害する、セリバンツマブはHER3活性を阻害する、トラスツズマブはHER2活性を阻害する、トレメリムマブはCTLA4に結合する)、がんワクチン、CAR T細胞又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及び他の細胞治療が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の化合物と組み合わせることができる追加の化学療法剤、生物学的製剤(例えば、抗体及び特異的酵素阻害剤)又は小化学化合物が記載されており、1つ又は複数のタイプのがんにおけるこれらの有用性は、ブラガロンによる腫瘍学における薬物情報ハンドブック(Bragalone’s Drug Information Handbook for Oncology)、チュウによる医師のためのがん化学療法薬マニュアル(Chu’s Physicians’ Cancer Chemotherapy Drug Manual)、グッドマン及びギルマンによる治療薬についての薬理学基礎(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics)、並びにポロビッチによる化学療法及び生物学的療法のガイドライン、及び実践における推奨(Polovich’s Chemotherapy and Biotherapy Guidelines and Recommendations for Practice)に見出すことができ、これらはすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を放射線と組み合わせて使用して、対象の異常な細胞増殖を阻害する又はがんを治療するための方法が、本明細書に提供される。放射線治療のプロトコールは公知であり(例えば、近接照射療法又は外部光線療法)、これらのうちのいずれかを本明細書に提供される併用療法の一部として使用することができる。併用療法では、本明細書に提供される医薬組成物を放射線治療の前、最中及び/又は後に投与することができる。
卵巣がん又は腫瘍の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を別の治療と組み合わせることができる。標準的療法は、腫瘍の外科的除去、外科的減量又は緩和手術であり、その後に化学療法(例えば、カルボプラチンと、パクリタキセル、又はゲムシタビンとシスプラチン)が続く。シスプラチンをカルボプラチンの代わりに使用してもよく、ドセタキセルをパクリタキセルの代わりに使用してもよい。本明細書に提供される化合物を外科的減量の前、又は化学療法の最中及び後に投与することができる。デ−エチルフラボペレイリンは、経口的に摂取されたときに非毒性であり、全身効果が可能であると思われるので、患者による錠剤又はカプセル剤の1日1回又は2回の経腸投与が好ましい。或いは、本明細書に提供される化合物を注入(静脈内若しくは腹腔内)又は注射(皮下若しくは筋肉内)することができる。任意選択で、抗体(例えば、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ)及び/又は小分子(例えば、ニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ)阻害剤を、患者の腫瘍から誘導した1つ又は複数の抗原に対する免疫応答を誘発する一回のワクチン/免疫細胞療法を伴って又は伴うことなく、いくつかの治療サイクルにわたって投与することもできる。任意選択で、アルトレタミン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、イホスファミド、メルファラン、ペメトレキセド、タモキシフェン、チオホスファミド、トポテカン又はビノレルビンを卵巣がんの化学療法の際に投与することもできる。
膵がん又は腫瘍の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を別の治療と組み合わせることができる。ステージI及びステージIIの膵がんの標準的療法は、腫瘍の外科的除去(膵臓全体又は膵臓の一部のほかに胃腸管の他の臓器を伴ってもよい)であり、その後に、放射線治療を伴う又は伴わない化学療法が続く。ステージIII及びステージIVの膵がんでは、最大でも緩和手術が実施される。化学療法プロトコールには、ロイコボリン、フルオロウラシル、イリノテカン及びオキサリプラチン(FOLFIRINOX);ゲムシタビンと、シスプラチン又はオキサリプラチン;ロイコボリン、フルオロウラシル及びオキサリプラチン(OFFレジメン)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に提供される化合物を化学放射線治療又は化学療法の際に投与することができる。デ−エチルフラボペレイリンは、経口的に摂取されたときに非毒性であり、全身効果が可能であると思われるので、患者による錠剤又はカプセル剤の1日1回又は2回の経腸投与が好ましい。或いは、本明細書に提供される化合物を注射(皮下内若しくは筋肉内)又は注入(静脈内若しくは腹部内)することができる。任意選択で、抗体(例えば、ベバシズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、トレメリムマブ)及び/又は小分子(例えば、セジラニブ、エルロチニブ、エベロリムス、オラパリブ、パゾパニブ、スニチニブ、テムシロリムス)阻害剤を、患者の腫瘍から誘導した1つ又は複数の抗原に対する免疫応答を誘発する一回のワクチン/免疫細胞療法を伴って又は伴うことなく、いくつかの治療サイクルにわたって投与することもできる。任意選択で、カペシタビン、マイトマイシンC、パクリタキセル又はストレプトゾシンを膵がんの化学療法又は化学放射線療法の際に投与することもできる。
脳がん又は腫瘍(神経膠芽腫)の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を別の治療と組み合わせることができる。標準的療法は腫瘍の外科的除去であり、その後に放射線治療及びテモゾロミドが続く。本明細書に提供される化合物を外科手術の後に開始し、次いで放射線及び化学療法の際に続けてもよい。化学療法プロトコールには、ロムスチン、プロカルバジン及びビンクリスチン(PCV)が含まれるが、これらに限定されない。デ−エチルフラボペレイリンは、経口的に摂取されたときに非毒性であり、全身効果が可能であると思われるので、患者による錠剤又はカプセル剤の1日1回又は2回の経腸投与が好ましい。或いは、本明細書に提供される化合物を注射(皮下内若しくは筋肉内)又は注入(静脈内若しくは鞘内)することができる。任意選択で、放射線療法の後、抗体(例えば、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ)及び/又は小分子(例えば、エベロリムス)阻害剤を、患者の腫瘍から誘導した1つ又は複数の抗原に対する免疫応答を誘発する一回のワクチン/免疫細胞療法を伴って又は伴うことなく、テモゾロミドと共にいくつかの治療サイクルにわたって投与することもできる。任意選択で、カルムスチンを脳がんの化学療法の際に投与することもできる。
乳がん又は腫瘍の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を別の治療と組み合わせることができる。標準的療法は、腫瘍の外科的除去であり、その後に放射線治療(外部光線又は近接照射療法)、ホルモン治療(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、レトロゾール、タモキシフェン、トレミフェン)及び2つ又は複数の化学療法剤のカクテル(例えば、ベバシズマブ、カルボプラチン、シクロホスファミド、ドセタキセル又はパクリタキセル、ダウノルビシン又はドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキセート、ネラチニブ、チオテパ、トラスツズマブ)が続く。本明細書に提供される化合物を外科手術の後に開始し、次いで放射線、ホルモン治療及び化学療法の際に続けてもよい。デ−エチルフラボペレイリンは、経口的に摂取されたときに非毒性であり、全身効果が可能であると思われるので、患者による錠剤又はカプセル剤の1日1回又は2回の経腸投与が好ましい。或いは、本明細書に提供される化合物を注射(皮下内若しくは筋肉内)又は注入(静脈内若しくは腹腔内)することができる。任意選択で、アベマシクリブ、カペシタビン、エリブリン、エベロリムス、ゲムシタビン、イクサベピロン、ラパチニブ、マイトマイシン、ミトキサントロン、パルボシクリブ、ペルツズマブ、リボシクリブ、ビンクリスチン又はビノレルビンを単独で又は組み合わせて、進行型又は転移型乳がんの化学療法の際に投与してもよい。
結腸直腸がん又は腫瘍の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を別の治療と組み合わせることができる。標準的療法は、腫瘍の外科的除去であり、その後に放射線治療(外部光線又は近接照射療法)及び2つ又は複数の化学療法剤のカクテル(例えば、ベバシズマブ、カペシタビン、セツキシマブ、フルオロウラシル、イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、パニツムマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ)が続く。本明細書に提供される化合物を外科手術の前、最中又は後の任意の時点で開始し、次いで放射線、化学療法又は化学放射線治療の際に続けてもよい。デ−エチルフラボペレイリンは、経口的に摂取されたときに非毒性であり、全身効果が可能であると思われるので、患者による錠剤又はカプセル剤の1日1回又は2回の経腸投与が好ましい。或いは、本明細書に提供される化合物を注射(皮下内若しくは筋肉内)又は注入(静脈内若しくは腹腔内)することができる。任意選択で、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、トリフルリジン/チピラシルを結腸直腸がんの化学療法又は化学放射線療法の際に投与することもできる。
併用療法では、化学療法剤を同時、順次又は別々に投与することができる。肺がん又は腫瘍の療法では、本明細書に提供される化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、ベバシズマブ、シスプラチン又はカルボプラチン、エルロチニブ、ゲムシタビン及びペメトレキセドのうちの1つ又は複数と組み合わせることができる。腎癌又は腫瘍の療法では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物をベバシズマブ及び/又はソラフェニブと組み合わせることができる。子宮内膜がん又は腫瘍の療法では、本明細書に提供される化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物をシスプラチン又はカルボプラチン、ドセタキセル及びドキソルビシンのうちの1つ又は複数と組み合わせることができる。乳がん又は腫瘍の療法では、本明細書に提供される化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、ベバシズマブ、カペシタビン、エルロチニブ、エベロリムス、ゲムシタビン、ラパチニブ、レトロゾール、タモキシフェン、タキサン及びトラスツズマブのうちの1つ又は複数と組み合わせることができる。前立腺がん又は腫瘍の療法では、本明細書に提供される化合物又はその薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、水和物、溶媒和物若しくは水和物の塩)、又は本明細書に提供される医薬組成物を、ベバシズマブ、カペシタビン、エベロリムス、ゲムシタビン、ラパチニブ、レトロゾール、タモキシフェン、タルセバ、タキサン及びトラスツズマブのうちの1つ又は複数と組み合わせることができる。
本明細書に記載されている化合物を、治療される状態に応じて、本明細書に提供される薬剤又は他の適切な薬剤と組み合わせて使用することができる。ここで、一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、上記に記載された他の薬剤と同時投与される。併用療法に使用されるとき、本明細書に記載されている化合物を、第2の薬剤と同時又は別々に投与することができる。この組合せの投与には、同じ単位用量による2つの薬剤の同時の投与、別々の単位用量による同時の投与、及び別々の投与が含まれ得る。すなわち、本明細書に記載されている化合物及び上記に記載された薬剤のいずれかを同じ単位用量に一緒に処方して、同時に投与することができる。或いは、本明細書に提供される化合物及び上記に記載された薬剤のいずれかを同時に投与することができ、ここで両方の薬剤は別々の製剤に存在する。別の代替案では、本明細書に提供される化合物を投与し、直後に、上記に記載された薬剤のいずれかを投与することができ、その逆も可能である。別々の投与のプロトコールでは、本明細書に提供される化合物及び上記に記載された薬剤のいずれかを数分間の間隔、又は数時間の間隔、又は数日間の間隔をおいて投与することができる。
式(I)の化合物は、その化合物を作用の部位(例えば、局所的又は全身的)に送達することができる任意の方法(例えば、経腸、非経口、局所)により投与することができる。有効量の化合物を、経口、頬側、舌下、経腸、鼻腔内、経皮、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、筋肉内又は腹腔内が限定されることなく含まれる任意の経路により単一又は多単位用量のいずれかによって投与することができる。
デ−エチルフラボペレイリンの合成及び構造
デ−エチルフラボペレイリンを合成し、デ−エチルフラボペレイリンの活性を2つの理由で分析した。第1には、エチル基を除去し、それによって化学相互作用の可能な源を除去して、フラボペレイリンの構造を簡略化するためである。第2には、化合物の三次元形態を維持するためであり、フラボペレイリンとデ−エチルフラボペレイリンは両方とも平面であり、がん細胞DNAにより生じると考えられるスタッキング相互作用(stacking interaction)に重要な特性である。
デ−エチルフラボペレイリンの化学合成、分子構造及び純度が図1〜5に示されている。合成の出発化合物はトリプタミンであり、97%を超える純度を、示された反応スキーム(図1)を使用して得た。デ−エチルフラボペレイリンの硫酸塩を、安定している及び水溶性であるという理由で選択した(図2)。構造及び純度は、UV吸収分光分析、高速液体クロマトグラフィー及び質量分析によって確証した(図3〜5)。
デ−エチルフラボペレイリン及びフラボペレイリンの化学構造を図6で比較する。デ−エチルフラボペレイリンでは、フラボペレイリンのD環に存在するエチル基(−CH−CH)が不在である。
デ−エチルフラボペレイリンはフラボペレイリンと比較して同様の又は低い濃度でがん細胞増殖を阻害する
デ−エチルフラボペレイリン(化合物13−9−1)を合成する第一目標は、フラボペレイリン(化合物13−7−2)の抗がん細胞活性を依然として保持する異なる化合物を生成することであった。様々ながん細胞の繁殖に対する2つの化合物の効果を比較して、この目標が達成されたことを確証した。例えば、2つのヒト乳がん細胞株及び2つのヒト前立腺がん細胞株に対するデ−エチルフラボペレイリンの効果を分析した。乳がん細胞の場合では、2つの化合物は同じ濃度(同じIC50)で同じ程度に繁殖を阻害している。前立腺がん株の場合では、デ−エチルフラボペレイリンは半分の濃度でフラボペレイリンと同じように活性であり、時には、前立腺がん細胞増殖の抑制においてより強力であることを示した。
Figure 2021528480
デ−エチルフラボペレイリンは動物においてフラボペレイリンより有意に毒性が低い
1.マウスにおける毒性:腹腔内投与
毒性研究は、試験したすべての用量(100mg/kg、150mg/kg及び200mg/kg)において、50%のマウスがフラボペレイリンの腹腔内(IP)注射の投与後に死亡した。同じ用量では、デ−エチルフラボペレイリンをIP注射したマウスで死亡したものはなく、統計的に有意な結果、P<0.05であった。
合成化合物13−7−2(フラボペレイリン)及び13−9−1(デ−エチルフラボペレイリン)による研究を実施して、2つの化合物の動物における毒性を比較した。化合物を、投与用のリン酸緩衝食塩水に溶解した。両方の化合物を雄免疫不全(ホモ接合劣性scid/scid、ベージュ/ベージュ)マウスにIP注射した。すべのマウスを、化合物の注射の15分、1時間、2時間、6時間、24時間及び48時間後の時点で潜在的な有害作用について観察した。
化合物13−7−2を、2つの群に分けたマウスに100mg/kg、150mg/kg及び200mg/kgの用量で注射した。150mg/kg及び200mg/kgの用量を注射したすべてのマウスが、注射の15分後に嗜眠挙動を呈した。150mg/kgを注射した1匹のマウスは6時間目に死亡し、一方、200mg/kg用量を注射した1匹のマウスは24時間目に死亡した。100mg/kg用量を注射した1匹のマウスは48時間目に死亡した。150mg/kg及び200mg/kgの用量を注射したすべてのマウスは、6時間目からマウスを安楽死させた48時間目でまで、遅い心拍数、浅い呼吸及び低体温を呈した。100mg/kg用量群における生存したマウスは膨張した腹部を有し、48時間目に安楽死させた。
化合物13−9−1を、2つの群に分けたマウスに100mg/kg、150mg/kg及び200mg/kgの用量で注射した。化合物13−9−1を注射したマウスで死亡したものはなかった。下痢が注射の24時間から48時間後のすべての用量群において観察されたが、例外として150mg/kg群の1匹のマウスは、32時間後にこの作用を示さなかった。
2.マウスにおける毒性:経口投与
デ−エチルフラボペレイリンは、経口投与で与えたとき、300mg/kgの用量であってもマウスにおいて良好に忍容される。対照的に、フラボペレイリンは100mg/kgまでの用量のみが忍容される。
化合物13−7−2及び13−9−1のマウスにおける最大忍容用量を推定するため、両方の化合物をPBSに溶解し、SCIDマウスに経口胃管栄養法で与えた。すべてのマウスを、化合物又はビヒクルのみの投与の15分、1時間、2時間、6時間、24時間及び48時間後に任意の有害作用について観察した。
化合物13−7−2を、100mg/kg、150mg/kg又は200mg/kgの用量で投与した。各用量群は3匹のマウスから構成された。150mg/kg治療群では、2匹のマウスが化合物の投与の15分後に死亡し、1匹のマウスが化合物の投与の48時間後に死亡した。48時間の時点で死亡したマウスは、徐脈、低体温、痂皮性閉眼(crusted shut eye)及び嗜眠を含む窮迫の徴候を呈した。200mg/kg治療群では、2匹のマウスが、呼吸促迫、徐脈、閉眼及び嗜眠を含む窮迫の徴候を呈した。この群の1匹のマウスが化合物の投与の24時間後に死亡した。1匹のマウスに化合物の投与の15分後に徐脈があった以外は、100mg/kg群のマウスにおいて窮迫の徴候は観察されなかった。
化合物13−9−1を、100mg/kg、150mg/kg又は200mg/kgの用量で経口胃管栄養法により投与した(1用量群あたり3匹のマウス)。200mg/kg群の1匹のマウスは、化合物の投与後の15分後に死亡した(経口胃管栄養法により引き起こされた外傷に起因すると思われる)。100mg/kg、150mg/kg又は200mg/kg治療群における他のいずれのマウスにも、窮迫の徴候は観察されなかった。
化合物13−9−1による別個の用量知見/毒性試験では、3匹のマウスが、経口胃管栄養法により与えられる3日間の50mg/kg/日、7日間の100mg/kg/日、7日間の200mg/kg/日及び3日間の300mg/kg/日の増加用量を受けた。マウスを毒性の徴候について緊密にモニターした。異常は観察されなかった。死体解剖では、腹腔内臓器には異常は見つからなかった。これらの結果は、マウスにおける経口13−9−1の低い毒性作用を示した。
3.マウスにおける毒性:静脈内投与
20mg/kg及び40mg/kg用量では、化合物13−9−1のマウスへの静脈内投与は良好に忍容された。20mg/kg用量は、化合物が抗腫瘍効果を発揮するのに十分な血清濃度をもたらした。
デ−エチルフラボペレイリンの抗がん活性:細胞ベース研究
デ−エチルフラボペレイリンを、卵巣がん、膵がん、脳がん及び結腸がん細胞株に対する活性について試験した。結果を図7〜10に示す。それぞれの場合において、データは抗がん活性を実証し、この抗がん剤の挙動についての追加の詳細も明らかにしている。細胞障害性は、黄色テトラゾリウム色素の3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を不溶性の紫色のホルマザンに還元することによってアッセイする。MTTアッセイは、生存細胞の数を決定する比色アッセイである。
卵巣がん細胞株の結果を図7に示す。膵がん株の結果を図8に示す。デ−エチルフラボペレイリン(化合物13−9−1)の濃度が増加すると、がん細胞の生存率は用量依存的に減少する。対照的に、化合物は非癌性上皮細胞株MRC−5に対して有意に毒性が低い。これは重要な点であり、デ−エチルフラボペレイリンは卵巣がん細胞及び膵がん細胞を選択的に標的にするが、正常な細胞は標的にしない。
図9は、神経膠芽腫細胞株U−87MG、DBTRG−05、A172及びAM−38へのデ−エチルフラボペレイリン(化合物13−9−1)の効果を示す。化合物13−9−1濃度の増加が、神経膠芽腫細胞生存率の用量依存性減少をもたらす。抗脳がん薬のテモゾロミドの用量応答曲線を比較のために示す。大部分の神経膠芽腫細胞株では、50%の細胞が死滅する濃度(IC50)は、テモゾロミドよりも化合物13−9−1のほうが1.4〜2.8倍高い。例外は、化合物13−9−1のIC50がテモゾロミドのIC50より低い(0.66倍)、AM38である。これらの用量応答曲線は、直接比較において、神経膠芽腫細胞株に対する化合物13−9−1の活性が周知の抗脳がん薬テモゾロミドと同様であることを示す。
結腸がん細胞株HT−29の結果を図10に示す。生物発光系を使用して、生存率を発光により評価することができた。この場合では、化合物13−9−1の活性を、フラボペレイリンを含有するパオペレイラ抽出物及び少なくとも1つの他の抗がん化合物と比較した。予想したとおり、純粋な合成化合物は植物抽出物よりはるかに低い濃度で活性である。
デ−エチルフラボペレイリンはがん細胞にアポトーシスを誘導する
図11に示されているフローサイトメトリー分析の結果は、合成化合物13−9−1ががん細胞を死滅させることができる1つの作用機構が、アポトーシスの誘導であることを実証している。この誘導は用量依存的であり、化合物の濃度が高いほど、アポトーシスを経る膵がん細胞の百分率が高くなる。未処理細胞からなる対照と比較すると、差は統計的に有意である(p<0.01)。
アポトーシスの誘導は、カスパーゼ−8、カスパーゼ−3及びPARP切断産物の検出によっても示された。切断タンパク質産物は右側パネルに隣接する矢印により図12において確認される。これらのタンパク質分解フラグメントの蓄積は、アポトーシス細胞死の生化学的シグネチャーである。
アポトーシスの誘導は、卵巣がん細胞及び結腸がん細胞において見られる作用機構でもある。
デ−エチルフラボペレイリンは膵がん細胞のコロニー形成を完全に阻害する
軟寒天における足場非依存性コロニー形成アッセイを使用して、デ−エチルフラボペレイリンへの曝露後の腫瘍形成性膵がん細胞の長期生存(20日間)を試験した。PANC−1細胞は未処理の場合では12%の率でコロニーを形成した。デ−エチルフラボペレイリンは、軟寒天におけるPANC−1コロニーの形成を完全に阻害した。化合物13−9−1への曝露後に生存した腫瘍形成性がん細胞はなかった(図13)。
デ−エチルフラボペレイリンをゲムシタビンと組み合わせると、ゲムシタビンに抵抗性がある膵がん細胞に100%の死滅をもたらす
有効な抗がん治療の最も強力な戦略の1つは、薬物組合せを用いることである。デ−エチルフラボペレイリンが、がん細胞の損傷DNA構造を特異的に標的にすることによりがん細胞にアポトーシスを誘導することができるので、潜在的な相乗的組合せを、多種多様な作用機構を有する抗がん薬の長いリストと形成することができる。
図14に示されている用量応答曲線は、デ−エチルフラボペレイリンを、膵がんに一般的に使用される薬物であるゲムシタビンと組み合わせた結果を示す。ゲムシタビンを単独で使用した曲線は、すべての4つの膵がん細胞株が薬物に対して抵抗性があることを示す。デ−エチルフラボペレイリンと組み合わせると、薬物耐性は有効に逆転され、100%のがん細胞が死滅している。これらのデータは、デ−エチルフラボペレイリン/ゲムシタビン組合せの相乗効果を示し、デ−エチルフラボペレイリン薬物組合せをさらに評価する強力な基礎を提供する。
in vivo試験:薬物動態
化合物13−9−1のマウスへの投与
マウスへの最適な投与経路及び投与量範囲を確立する予備試験は、IV投与が20mg/kg及び40mg/kgで良好に忍容されたこと、同時に経口投与が100mg/kg、200mg/kg及びさらには300mg/kgでも良好に忍容されたことを実証した(図15)。経口投与をマウス実験のために選択し、それは、投与が、尾静脈注射の必要性を避けることによって簡素化されるからである。
デ−エチルフラボペレイリンの組織分布
経口投与(200mg/kg)の後、化合物13−9−1は、脳を含むすべての試験臓器及び組織において見出された。最高濃度(最高Cmax)は、腎臓、結腸及び脾臓において見出された。最高AUCは、肺において見出され、続いて脾臓、結腸及び腎臓の順であった。
肺は、最大のAUC及び最速のTmaxを有した。肺では、Cmaxは2時間以内に達成され(Tmax=2時間)、一方、大部分の他の臓器では、Tmaxは4時間であった。化合物13−9−1は、肺に相対的に速く蓄積し、相対的に遅く排除された。濃度は、他の臓器より肺において長時間にわたって維持された。24時間では、肺における濃度は依然として6.67nmole/タンパク質mgであり、38%が2時間でピークの17.50になった。
結腸は、試験したすべての臓器のうちで2番目に高いCmaxを有し、肺及び脾臓のみより低いAUCを有した。肺と同じ速い分布及び遅い排除が結腸において見られた。Tmaxは3時間であった。24時間では、濃度は9.31nmole/タンパク質mgであり、29%がピークの31.63になった。
Figure 2021528480
組織分布データは、肺、脾臓、結腸、腎臓及び肝臓が化合物への最良の曝露を有したことを示した。200mg/kg後に膵臓において得られたレベルが、極めて有意な抗がん効果をもたらすことに注目することが重要である(次のセクションを参照すること)。
デ−エチルフラボペレイリンはin vivoにおいてPANC−1腫瘍増殖を抑制する
抗がん化合物の活性を試験するマウスモデルは、極めて強力であることが証明されており、ヒトがん患者における化合物の有効性を推定する優れた基礎を提供している。ヒトがん細胞の異種移植片が同所性移植されたときに特に当てはまり、これは、腫瘍が関連する臓器において増殖し、生理学的環境がヒトの臨床状態を模倣することを意味する。
ヒトPANC−1膵がん細胞にルシフェラーゼ遺伝子を形質移入して、in vivoでの画像化を可能にした。ヒトPANC−1膵がん細胞をヌードマウスの膵臓に移植し、10日後に腫瘍がマウスに確立され、マウスを経口胃管栄養法によりデ−エチルフラボペレイリンで治療した。長軸方向の腫瘍進行を生体画像化で追跡した。この実験の結果を図16〜21に描写する。
図16は、デ−エチルフラボペレイリンの抗腫瘍効果が、未治療対照群のすべての画像と比較した、デ−エチルフラボペレイリンで治療した動物のすべての画像の定量化によって、有意であったことを示している。図17及び18は、デ−エチルフラボペレイリンで治療したマウスと比較した、未治療マウスの試験の終了時の代表的な画像を示す。
図19は、腫瘍がデ−エチルフラボペレイリンによる治療で完全に消滅した2匹のマウス(2/9又は22%)の長軸方向の画像を示す。他のマウスでは、腫瘍のサイズは、未治療対照群と比較して、治療群において有意に低減した。図20Aは、治療又は未治療動物の最終腫瘍重量を比較して、デ−エチルフラボペレイリンにより引き起こされた統計的に有意な低減を確証している。図20Bは、転移病変もデ−エチルフラボペレイリンにより低減されたことを示す。
デ−エチルフラボペレイリンの毒性効果の不在が図21に示されている。治療群のマウスの体重は、未治療対照群のマウスの体重と識別不能であった。両方の群は、試験の期間にわたって正常な重量増加を示した。2つの群の内部臓器の検査も、任意の毒性効果を明らかにしなかった。
デ−エチルフラボペレイリンは膵がん幹細胞に対して活性である
放射線及び化学療法により治療されたがん患者は、多くの場合、治療後に寛解期に入る。寛解は数か月間又は数年間続くこともあるが、がんは、連続した治療にもかかわらず、戻ること、転移すること、最終的により侵襲性になることが一般的である。がん幹細胞は、化学療法抵抗性、放射線抵抗性及び再発の基礎を提供する。腫瘍細胞のサブセットであるがん幹細胞は、抗がん治療の破壊効果に抵抗すること、長期間存続することができ、次いで腫瘍再増殖を可能にする。抗がん幹細胞活性を実証する薬剤は、新たな成功したがん療法を開発する助けとなる。
いくつかの実験が実施され、膵がん幹細胞に対するデ−エチルフラボペレイリンの活性が示されている。
in vitroでは、がん幹細胞はスフェロイドを形成し、スフェロイドはがん幹細胞を囲むがん細胞のクラスターである。スフェロイド形成の阻害は、化合物の抗がん幹細胞活性についての試験である。デ−エチルフラボペレイリンは、強力な抗膵がん幹細胞活性を示した(図22及び23)。この化合物は、5μM及び10μMの濃度で一次スフェロイド形成を有意に阻害した。二次スフェロイドは、5μM及び10μMで完全に阻害され、一方で2.5μMは有意な阻害を示した。
がん幹細胞は特異的細胞表面マーカーにより確認することができる。3つのマーカーCD24、CD44及びEpCamの組合せが、膵がん幹細胞の検出に使用される。これらのマーカーを異なる蛍光団で標識し、フローサイトメトリーで同時に検出することができる。三重陽性(triple positive)細胞(すなわち、3つすべてのマーカーを発現する細胞)は、膵がん幹細胞であると見なされる。デ−エチルフラボペレイリンは、膵がん細胞個体群において膵がん幹細胞の百分率を低減した。PANC−1細胞を、化合物の2.5μM、5.0μM及び10μMの濃度で24時間又は48時間にわたって処理した。三重陽性細胞をフローサイトメトリー出力の四分円弧Q2(「三重+」)で確認した。三重陽性(CD24/CD44/EpCam)がん幹細胞個体群の低減が24時間で見られた(図24)。48時間では、低減は統計的に有意であった(図25)。
in vivoにおいて、がん幹細胞は腫瘍形成及び増殖の主な供給源である。したがって、腫瘍形成及び増殖の率は、がん幹細胞活性の指標である。動物に限定数のがん細胞を接種すると、腫瘍形成及び増殖の率を正確に測定することができる。次いで、予定された薬剤が腫瘍の形成及び増殖の率を緩徐するかを決定することができ、このことは、薬剤ががん幹細胞に対して作用するかを示している。PANC−1がん細胞を懸濁液に増殖させ、マウスに接種する前に、デ−エチルフラボペレイリンの10μM濃度で前処理した。陰性対照として、PANC−1がん細胞をこの化合物で前処理しなかった。接種した後、腫瘍形成及び増殖の率を測定した。
1)10個のPANC−1細胞を接種した後、腫瘍は対照群のマウスの87%に形成され、治療群のマウスの80%に形成された。デ−エチルフラボペレイリンは、形成されたPANC−1腫瘍の増殖を有意に阻害した(図26A)。
2)2×10個のPANC−1細胞を接種した後、80%のマウスが腫瘍を形成した(対照)。デ−エチルフラボペレイリンは腫瘍形成率を60%に低減し、膵がん幹細胞の阻害を示した。デ−エチルフラボペレイリンの単一用量も、形成された腫瘍の増殖率を緩徐した(図26B)。
3)2×10個のPANC−1細胞を接種した後、20%のマウスが、対照群及び治療群の両方において腫瘍を形成した。2つの群の腫瘍の増殖率に有意な差はなかった(図26C)。
デ−エチルフラボペレイリンはin vivoにおいてPANC−1腫瘍形成を抑制する:抗がん幹細胞活性
図27は、デ−エチルフラボペレイリン化合物で処理したPANC−1細胞を注射した後のマウスにおける膵臓腫瘍形成に対するデ−エチルフラボペレイリンの効果を示す。次いでマウスを、注射した後にデ−エチルフラボペレイリンで20日間にわたって治療した。20日後、腫瘍形成が、化合物13−9−1で処理したPANC−1を注射した動物の55%に観察され、一方では、腫瘍形成が対照(未治療)群の動物の100%に生じた。最大腫瘍形成率は39日目に80%に達し、これは、対照と比較すると極めて有意な差である(ログランクテストによりP=0.001)。この実験は、デ−エチルフラボペレイリンがPANC−1がん幹細胞の確定された活性、すなわち新たな腫瘍を形成する能力を阻害することを実証している。
デ−エチルフラボペレイリンは膵がん細胞のWntシグナル伝達経路を標的にする
健康な幹細胞は、臓器中に細胞の小さな個体群を通常提示する。健康な幹細胞は特定化された体細胞であり、自己再生と分化が可能であり、それによって組織の増殖及び維持を調節する。幹細胞は、Wntシグナル伝達と呼ばれる生化学経路によって制御される。
がん幹細胞は、正常な幹細胞制御機構を乗っ取り、Wntシグナル伝達経路はがん幹細胞において異常に活性化されて、腫瘍の開始、がんの存続及び転移を可能にする。Wntシグナル伝達経路を安全に標的にする能力は、がんに対する桁外れに大きな治療有望性をもたらす。
Wnt経路の活性化は、細胞質から核へのβ−カテニンの転位を伴い、その後の標的化遺伝子の転写の変化を伴う。Wnt活性化の抑制は、核へのβ−カテニンの転位が抑制されたときに生じる。図28は、デ−エチルフラボペレイリンが、細胞質から核へのβ−カテニンの転位を低減することによって、Wnt活性化を抑制することを示す。このように、デ−エチルフラボペレイリンは膵がん幹細胞の増殖を部分的に阻害し、それは、Wntシグナル伝達を特異的に抑制するからである。
デ−エチルフラボペレイリンの抗炎症効果:慢性炎症からの膵臓組織の保護は膵がんの予防の潜在性を支持する
慢性炎症は多くのタイプのがんにとっての引き金である。慢性膵炎として公知である膵臓の慢性炎症は、膵がんの有意に高いリスクに関連してきた。このため、デ−エチルフラボペレイリンの抗炎症活性を試験して、膵炎を抑制できるか、したがって慢性炎症から膵がんへの移行を予防する潜在性を有するかを調べた。結果は陽性であり、デ−エチルフラボペレイリンは膵炎に対して有意な抗炎症効果を有し、このことは、膵炎又は他のがんリスク因子を有する患者において、膵がんの予防にデ−エチルフラボペレイリンを使用することを正当化している。
膵炎は、膵臓の外分泌細胞、内分泌細胞及び腺管細胞に対する損傷によってもたらされる。ヒトにおいて、この状態は、最も多くの場合に過剰なアルコール消費によって引き起こされる。膵炎に関連する組織損傷は、浸潤性白血球が膵腺房細胞にさらに損傷を引き起こすので、炎症応答によって実質的に増大される。そのような慢性炎症はヒトにおいて膵がんの一因となる。
アルコール誘導性膵炎は、状態を抑制する潜在性についてデ−エチルフラボペレイリンを試験するため及びどの炎症経路が関与しているかを確認するため、動物モデルにおいて研究した。
マウスへのエタノールの毎日投与の後に過度なエタノール投与が続き、ヒト消費に関連するレジメンであった。実験群では、デ−エチルフラボペレイリンを実験の期間にわたって毎日の食餌に含めた。2つの対照群があり、アルコールを与えなかった動物(陰性対照)及び化合物13−9−1を摂取させないでアルコールを与えた動物(陽性対照)であった。アルコール処置の10日後、動物にアルコールを8時間にわたって胃管栄養補給し、次いで安楽死させ、動物の膵臓組織を収集した。膵臓組織切片を組織学について分析し、単離したRNAを定量的PCRに使用した。
健康な試料(図29A左側パネル)と比較して、アルコールレジメンを投与した動物の膵臓組織は、浮腫及び炎症細胞の浸潤を示した(図29A中央パネル)。アルコールを投与した動物の膵臓組織に見られる組織損傷は、化合物13−9−1も受けた動物において予防された(図29A右側パネル)。デ−エチルフラボペレイリンの保護効果も、組織損傷を定量化する傷害スコアにより示された。デ−エチルフラボペレイリンによる治療は損傷を完全に予防し、アルコールを一切受けなかった動物の組織に見られる健康なスコアを維持した(図29B)。
デ−エチルフラボペレイリンは、アルコールを受けた動物の膵臓における炎症細胞の浸潤も低下させた(図29C)。Ly6Gは好中球のマーカーであり、アルコール受容者の膵臓において4倍に上昇し、デ−エチルフラボペレイリンを治療化合物として添加すると完全に正常なLy6Gレベルを与え、これらのアルコール曝露組織における好中球カウントが正常であることを意味している。
データは、アルコールの炎症作用から膵臓を保護することを実証しており、組織は、デ−エチルフラボペレイリンが存在するとアルコールにより傷害を受けず、好中球のアルコール誘導性浸潤により引き起こされる細胞への損傷は予防される。デ−エチルフラボペレイリンは組織保護及び直接的な抗炎症作用をもたらす。デ−エチルフラボペレイリンは、アルコール消費により引き起こされる膵炎を低減することができ、したがって、慢性膵炎から膵がんへの進行を妨げることができる。
デ−エチルフラボペレイリンはin vivoにおいてHT−29結腸がん腫瘍増殖を抑制する
デ−エチルフラボペレイリンは、図30に示されているように、ヒト結腸がん細胞の皮下異種移植片を受けたマウスにおいて、HT−29腫瘍体積を低減した。この例では、デ−エチルフラボペレイリンの抗腫瘍活性をIFL(イリノテカン、フルオロウラシル及びロイコボリンの組合せ)の活性と比較した。IFLは、結腸直腸がんの治療に日常的に使用されているが、有意な毒性に関連している。毒性は、一部がリポソーム中にカプセル化イリノテカンを有して負の副作用を低減するほど激しいものである。
IFLは、デ−エチルフラボペレイリンよりHT−29腫瘍体積の低減に有効であり、侵襲的に機能するが、IFLはマウスに対して激しい毒性もあった。デ−エチルフラボペレイリンは、腫瘍に対してより緩徐に作用するが、マウスに対して毒性作用を有さなかった。
腫瘍に対するデ−エチルフラボペレイリンとIFLの直接的な影響の比較を図32及び33に描写する。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニックエンドラベリング(terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick−end labeling)(TUNEL)は、アポトーシスの際に生成される二本鎖DNA中断における3’−ヒドロキシ末端の標識によってDNAフラグメンテーションを検出する方法である。2つの群及び未治療対照群の腫瘍切片をTUNEL方法によって免疫染色して、アポトーシスを経ている細胞を特異的に確認した。未治療動物の腫瘍切片(図31)はTUNEL染色を示さず、それはアポトーシスが誘導されなかったからであった。IFLが投与されたマウスの腫瘍切片の周辺の細胞は、より広範な損傷を示し、TUNEL染色された一部の細胞もあるが、周辺の細胞は破壊されていた。図32において、デ−エチルフラボペレイリンで治療されたマウスの腫瘍切片は、周辺の細胞が化合物により誘導されたアポトーシスを経ていたことを示す。
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年3月31日出願の米国特許仮出願第62/651,133号の優先権を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
参考文献

Claims (15)

  1. 1つ又は複数の用量でデ−エチルフラボペレイリン化合物を、がんに罹患している又はがんの上昇したリスクを有する対象に投与することを含む治療方法であって、前記化合物が、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は前記溶媒和物若しくは前記水和物の塩である、治療方法。
  2. 医薬として使用されるデ−エチルフラボペレイリン化合物であって、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は前記溶媒和物若しくは前記水和物の塩である、化合物。
  3. がん又は慢性炎症の治療に使用されるデ−エチルフラボペレイリン化合物であって、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は前記溶媒和物若しくは前記水和物の塩である、化合物。
  4. がん又は慢性炎症に罹患している対象の療法のための、医薬組成物又はキット・オブ・パーツを含む医療装置の製造のためのデ−エチルフラボペレイリン化合物の使用であって、前記化合物が、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、又は前記溶媒和物若しくは前記水和物の塩である、使用。
  5. 請求項4に記載されたように製造される、医薬組成物又はキット・オブ・パーツを含む医療装置。
  6. 前記医薬組成物又は前記医療装置が全身投与のために処方される、請求項4に記載の使用又は請求項5に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  7. 前記医薬組成物又は前記医療装置が局所投与のために処方される、請求項4に記載の使用又は請求項5に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  8. 前記医薬組成物又は前記医療装置が少なくとも経腸投与のために処方される、請求項4に記載の使用又は請求項5に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  9. 前記医薬組成物又は前記医療装置が少なくとも非経口投与のために処方される、請求項4に記載の使用又は請求項5に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  10. 前記医薬組成物又は前記医療装置が、少なくとも局所適用、吸入、眼科用又は舌下投与のために処方される、請求項4に記載の使用又は請求項5に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  11. 前記医療装置が埋め込み型である、請求項4に記載の使用又は請求項5〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  12. デ−エチルフラボペレイリン化合物以外の薬剤をさらに含み、前記薬剤が、がんの治療に活性であり、前記デ−エチルフラボペレイリン化合物と同じ又は異なる経路で投与される、請求項4に記載の使用又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  13. 前記がんが、癌腫、肉腫、黒色腫、白血病及びリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの疾患として特徴付けられる、請求項1に記載の治療方法、請求項2若しくは3に記載のデ−エチルフラボペレイリン化合物、請求項4に記載の使用又は請求項5〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  14. 前記がんが、肺がん、脾臓がん、結腸がん、腎がん、肝がん、膵がん及び卵巣がんからなる群から選択される、請求項1に記載の治療方法、請求項2若しくは3に記載のデ−エチルフラボペレイリン化合物、請求項4に記載の使用又は請求項5〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物若しくは医療装置。
  15. 治療有効量の1つ又は複数のデ−エチルフラボペレイリン化合物を含み、前記1つ又は複数の化合物が、デ−エチルフラボペレイリン、その塩、その溶媒和物、その水和物、前記溶媒和物若しくは前記水和物の塩、又はこれらの任意の組合せである、医薬組成物又はキット・オブ・パーツを含む医療装置。
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