JP2021526819A - Bag3遺伝子治療の最適化 - Google Patents

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Abstract

BAG3(Bcl2関連アサノジーン3)遺伝的バリアントの同定は、アフリカ系の個体における非虚血性又は虚血性拡張型心筋症(DCM)の有病率及びDCM転帰と関連していた。
【選択図】 図1

Description

[0003]本発明の実施形態は、非虚血性又は虚血性拡張型心筋症などの心疾患を有する患者の転帰にBAG3の機能の調節を通じて悪影響を与える、アフリカ系の個体におけるBAG3の遺伝的バリアントの、同定を対象とする。組成物は、Bcl2関連アサノジーン3(Bcl2−associated anthanogene3)(BAG3)発現及び/又は機能を正常化する薬剤を含む。
[0004]拡張型心筋症(DCM)に続発する心不全(HF)は、20歳以上のアメリカ人の概算で250万人が罹患する。DCMの疫学は、アフリカ系のアメリカ人が最も高いHFの発生率及び有病率を有し、特発性拡張型心筋症(IDC)が優勢で、人種及び民族で異なっている2、3。これは虚血性心臓疾患に続発するDCMを最も一般的に有するヨーロッパ系の患者とは対照的である4〜7。アフリカ系のアメリカ人でのIDCの疫学と一致して、米国において又はヨーロッパにおいてよりもサハラ以南のアフリカにおいてIDCははるかに一般的であり、疾患が始めて認識される年齢は実質的に低い8、9
[0005]アフリカ系のアメリカ人におけるDCMの有病率の増加は、地域10並びに心血管系リスク因子の高い負荷:糖尿病、高血圧、コレステロール、喫煙状況及び心室肥大、を含む多様な医学的及び社会的要因が原因である11。しかし、いくつかの観察は、IDCの発生率の増加も遺伝的リスク因子に起因し得ることを示唆している。例えば、HFホットスポットは、サハラ以南のアフリカを横断する地理的領域に見出されている12。サハラ以南のアフリカ人において高血圧とDCMとの存在の間に強い相関関係はない13。DCMと最も一般的に関連している遺伝子、TTNにおける短縮型バリアント14は、産後心筋症を有するヨーロッパ系の女性においてよりも産後心筋症を有するアフリカ系の女性においてさらに蔓延している15
[0006]BAG3(Bcl2関連アサノジーン3)遺伝的バリアントの同定は、アフリカ系の個体において非虚血性又は虚血性拡張型心筋症(DCM)の有病率及びDCMの転帰と関連していた。死亡又は心不全入院加療のリスクの顕著な増加が、変異を有する患者において見出された。
[0007]したがって、ある特定の実施形態では、心疾患を有する患者を処置する方法であって、前記患者が対照BAG3核酸配列と比較して少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入を有する方法は、患者に薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤が標的細胞又は組織においてBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの発現又は量を調節するステップを含む。
[0008]ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)。
[0009]
[0010]ある特定の実施形態では、心疾患を有する患者を診断及び処置する方法は、対照BAG3核酸配列と比較して患者試料中の少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントを同定するステップであって、ある特定のバリアントの検出が、BAG3レベルの増加が前記患者に治療的であるかどうかを予測するステップ、及びかかるバリアントを有するとして同定された患者に、薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤がBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節するステップを含む。ほとんどアフリカ系の個体においてのみ見出されるBAG3における遺伝的バリアントは、疾患の原因ではなかったが、BAG3の機能の調節を通じて非虚血性又は虚血性拡張型心筋症を有する患者の転帰に悪影響を与えた。
[0011]ある特定の実施形態では、心疾患を有する患者を診断及び処置する方法は、対照BAG3核酸配列と比較して患者試料中の少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントを同定するステップ、及びBAG3遺伝的多様性を有するとして同定された患者に、薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤がBCl2関連アサノジーン3(BAG3)分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節するステップを含む。
[0012]ある特定の実施形態では、遺伝的バリアントはインフレーム挿入である。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入はアミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)。
[0013]ある特定の実施形態では、心不全のリスクがある又はそれを罹患している対象を処置する方法は、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子の発現又は量を調節する少なくとも1つの薬剤の治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与するステップであって、前記対象が対照BAG3核酸配列と比較して少なくとも1つのBAG3遺伝的バリアントを有し、前記BAG3遺伝的バリアントがインフレーム挿入であり、前記薬剤がBCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子をコードしている発現ベクターを含むステップを含む。
[0014]ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)。
[0015]ある特定の実施形態では、遺伝的バリアントは、単一ヌクレオチドバリアント(SNV)インフレーム挿入、欠失、置換又はこれらの組合せである。ある特定の実施形態では、SNVは:p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンをコードしている。
[0016]ある特定の実施形態では、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝子に遺伝的バリアントを有するとして同定された患者を処置する薬剤であって、遺伝的バリアントはインフレーム挿入、インフレーム欠失、短縮化、置換又はこれらの組合せを含む単一ヌクレオチドバリアント(SNV)である。
[0017]ある特定の実施形態では、薬剤は、標的細胞又は組織におけるBCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子、そのタンパク質又はペプチドの発現又は量を正常対照と比較して調節し、BAG3タンパク質又はその活性断片を発現する発現ベクター、オリゴヌクレオチド又はこれらの組合せを含む。
[0018]ある特定の実施形態では、心不全のリスクがある又はこれを罹患している対象を処置する方法は、BAG3レベルの増加が対象に治療的であるかどうかを予測する、BAG3バリアントを生物学的試料において同定すること、及びかかるバリアントを有するとして同定された患者に、薬剤の治療有効量を投与することを含む。ある特定の実施形態では、薬剤は、BAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節する。
[0019]ある特定の実施形態では、悪い予後を有する心臓疾患患者を同定する方法は、対照BAG3核酸配列と比較してBcl2−関連アサノジ−ン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の存在について患者試料をスクリーニングするステップであって、BAG3ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の検出が悪い予後を有するとして心臓疾患患者を同定するステップを含む。
[0020]ある特定の実施形態では、心臓疾患のリスクがある患者を同定する方法は、対照BAG3核酸配列と比較してBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の存在について患者試料をスクリーニングするステップであって、BAG3ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の検出が患者を心臓疾患のリスクがあるとして同定するステップを含む。
[0021]ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)。
[0022]ある特定の実施形態では、心臓疾患のリスクがある患者を同定する方法は、患者試料をBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントの存在についてスクリーニングするステップであって、BAG3遺伝的バリアントが、p.Ala160dup(10:121429647A/AGCG;rs139438727);p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含むステップを含む。
[0023]ある特定の実施形態では、生物学的試料中のBCL2関連アサノジーン3(BAG3)バリアントを同定するために検出可能な標識にコンジュゲートされた1つ又は複数のプローブを含むキット。ある特定のバリアントの検出は、対象が処置から利益を得るかどうかを予測する。
[0024]本明細書において開示されるすべての遺伝子、遺伝子名及び遺伝子産生物は、本明細書において開示される組成物及び方法が適用可能である任意の種由来のホモログに対応することが意図される。したがって用語は、これだけに限らないがヒト及びマウス由来の遺伝子及び遺伝子産生物を含む。特定の種由来の遺伝子又は遺伝子産生物が開示される場合、本開示は、例示的のみを目的とし、内容が明確に示すと考えられる場合を除いて限定として解釈されないことは、理解される。したがって、例えば、一部の実施形態では、哺乳動物の核酸及びアミノ酸配列に関する本開示の遺伝子又は遺伝子産生物について、これだけに限らないが他の哺乳動物、魚類、両生類、は虫類及び鳥類が挙げられる他の動物由来の相同及び/又はオルソログ遺伝子並びに遺伝子産生物を包含することが意図される。ある特定の実施形態では、遺伝子、核酸配列、アミノ酸配列、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質は、ヒトである。
[0025]他の態様は以下に記載される。
[0026]定義
[0027]他に定義する場合を除いて、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、本発明が関連する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似の又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の検査のための実施において使用され得るが、ある特定の材料及び方法が本明細書に記載される。本発明の記載及び特許請求において、以下の用語が使用される。
[0028]冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語の1つ又は1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を言及して本明細書において使用される。例示の方法により「エレメント(an element)」は、1つのエレメント又は1つより多いエレメントを意味する。したがって、「細胞(a cell)」の記述は、例えば、同じ種類の複数の細胞を含む。さらに、用語「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「含む(with)」又はこれらの変化形が、詳細な記載及び/又は特許請求の範囲のいずれかで使用される場合、かかる用語は、用語「含んでいる(comprising)」と同様の様式で包括的であることが意図される。
[0029]本明細書において使用される場合、用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprise)」又は「含まれる(comprised)」及びこれらの変化形は、物品、組成物、装置、方法、工程、システムなどの定義された又は記載されたエレメントを参照して、追加的エレメントを容認して包括的又は拡張可能であることを意味し、それにより定義された又は記載された物品、組成物、装置、方法、工程、システムなどが明確に述べたエレメント又はその適切な等価物を含むこと、並びに他のエレメントが含まれてもよく、定義された物品、組成物、装置、方法、工程、システムなどの範囲/定義のいまだ範囲内であることを示している。
[0030]量、時間的継続期間などの測定可能な値を指して本明細書において使用される場合「約(About)」は、指定した値の+/−20%、+/−10%、+/−5%、+/−1%、又は+/−0.1%の変動を包含することが意味され、かかる変動は、開示された方法を実施するために適切である。代替的に、特に生物学的システム又は工程に関して、用語は、値の10倍以内、5倍以内及び同様に2倍以内であることを意味してもよい。出願書類及び特許請求の範囲において具体的な値が記載される場合、他に述べる場合を除いて、用語「約」が具体的な値についての許容可能な誤差範囲内を意味することは想定されるべきである。
[0031]本明細書において使用される場合「BAG3」、「BAG3分子」、「BCL2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝子」、「BCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子」は、すべてのファミリーメンバー、変異体、cDNA配列、対立遺伝子、断片、種、コード及び非コード配列、センス及びアンチセンスポリヌクレオチド鎖などを含む(HGNC(939)Entrez Gene(9531)Ensembl(ENSG00000151929)OMIM(603883)UniProtKB(O95817))。同様に、「BAG3」、「BAG3分子」、「BCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子」もBAG3ポリペプチド又はその断片、タンパク質、バリアント、誘導体などを指す。したがって用語「分子」は、BAG3の核酸配列及びアミノ酸配列の両方を包含する。
[0032]本明細書において使用される場合、「生物学的試料」は、固形及び体液試料を含む。本発明において使用される生物学的試料として、細胞、細胞のタンパク質又は膜抽出物、血液又は生物学的液体、例えば腹水又は脳液(例えば、脳脊髄液)が挙げられる。固形生物学的試料の例として、これだけに限らないが、中枢神経系、骨、乳房、腎臓、子宮頸部、子宮内膜、頭/頸部、胆嚢、耳下腺、前立腺、脳下垂体、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺、心臓、肺、膀胱、脂肪、リンパ節、子宮、卵巣、副腎、精巣、扁桃腺、胸腺及び皮膚の組織から採取された試料、又は腫瘍から採取された試料が挙げられる。「体液試料」の例として、これだけに限らないが血液、血清、精液、前立腺液、精漿、尿、大便、唾液、痰、粘液、骨髄、リンパ液及び涙が挙げられる。
[0033]本明細書において使用される場合、「心疾患」は、心不全、心筋疾患、心筋症、肥大性心筋症、拡張型心筋症、粥状動脈硬化、環状動脈疾患、非虚血性心臓疾患、虚血性心臓疾患、心筋炎、ウイルス感染、創傷、高血圧性心臓疾患、弁膜疾患、先天性心臓疾患、心筋梗塞、うっ血性心不全、不整脈、心臓のリモデリングを生じる疾患などが挙げられる任意の種類の心臓疾患を指す。心臓の疾患は、例えば、収縮力の喪失(例えば、駆出率の減少によって実証され得る)などの心臓組織への損傷などの何らかの理由による可能性がある。不十分な心機能によって特徴付けられる心臓の損傷又は障害として、正常な心機能の障害若しくは欠如又は異常な心機能の存在が挙げられる。異常な心機能は、疾患、傷害及び/又は加齢の結果である場合がある。本明細書において使用される場合「異常な心機能」として、心筋細胞、心筋細胞の集団又は心臓自体の形態学的及び/又は機能的異常が挙げられる。形態学的及び機能的異常の非限定的例として、心筋細胞の物理的劣化及び/又は死、心筋細胞の異常な増殖パターン、心筋細胞間の物理的接続における異常、心筋細胞による1つ又は複数の物質の過少又は過剰産生、心筋細胞が通常産生する1つ又は複数の物質を産生する心筋細胞の欠如及び、異常なパターン又は異常な時期の電気的刺激の伝達が挙げられる。さらに全体的なレベルでの異常として、ジスキネジア、駆出率の低減、心エコーによって観察される変化(例えば、拡張)、EKGにおける変化、運動負荷における変化、キャピラリー灌流の低減、及び血管造影によって観察される変化が挙げられる。異常な心機能は、例えば、非虚血性又は虚血性心臓疾患、例えば、狭心症、心筋梗塞、慢性虚血性心臓疾患、高血圧性心臓疾患、肺心症(肺性心)、心臓弁膜症、例えば、リウマチ熱、僧帽弁逸脱症、僧帽弁輪の石灰化、カルチノイド心臓疾患、感染性心内膜炎、先天性心臓疾患、心筋疾患、例えば、心筋炎、拡張型心筋症、高血圧性心筋症、うっ血性心不全を生じる心臓障害及び心臓の腫瘍、例えば、原発性肉腫及び二次腫瘍が挙げられる多数の障害と共に見られる。心臓損傷は、例えば、ナイフ創;生物学的(例えばウイルス性;自己免疫疾患)又は化学的(例えば、化学療法、薬物);手術;移植などの創傷も含む。
[0034]本明細書において使用される場合、句「診断する」は、疾患又は症状を分類すること、疾患の重症度を決定すること、疾患の進行をモニタリングすること、疾患の転帰及び/又は回復の見込みを予測することを指す。用語「検出する」は、上記のいずれかを任意選択で包含してもよい。本発明による疾患の診断は、対象から得られた生物学的試料における本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドのレベルを決定することによってもたらされ、決定されるレベルは、疾患の素因又は存在若しくは不在と相関する場合がある。「対象から得られた生物学的試料」が、対象から身体的に除去されていない試料も任意選択で含み得ることは、注目されるべきである。
[0035]本明細書において使用される場合、句「診断」は、病的な状態の存在又は性質を同定することを意味する。診断方法は、その感度及び特異性において異なっている。診断アッセイの「感度」は、検査陽性の罹患した個体の百分率である(「真の陽性」のパーセント)。アッセイによって検出されなかった罹患した個体は、「偽陰性」である。罹患しておらず、アッセイにおいて検査陰性の対象は、「真の陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異性」は、1引く偽陽性率であり「偽陽性」率は、検査陽性で疾患を有さない者の割合として定義される。一方、具体的な診断方法は、状態の確定診断を提供せず、方法が診断の助けになる陽性の指標を提供すれば十分である。
[0036]「有効量」は、本明細書において使用される場合、治療的又は予防的利益を提供する量を意味する。
[0037]「コードしている」は、ヌクレオチドの規定の配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)又はアミノ酸の規定の配列のいずれかを有し、生物学的工程において他のポリマー及び高分子の合成のための鋳型として役立つ遺伝子、cDNA又はmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特異的配列の固有の特性、並びにそれから生じる生物学的特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生物学的システムにおいてタンパク質を産生する場合に、タンパク質をコードしている。ヌクレオチド配列が、mRNA配列と同一であり、通常配列表に提供されるコード鎖、及び遺伝子又はcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両方がその遺伝子又はcDNAのタンパク質又は他の産生物をコードしていると称され得る。
[0038]本明細書において使用される場合、用語「発現」は、そのプロモーターによって駆動される具体的なヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳として定義される。
[0039]「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現調節配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用エレメントを含み;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって又はin vitro発現系において供給されてもよい。発現ベクターは、コスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド又はリポソームに含有される)及び組換えポリヌクレオチドを組み込むウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などの当技術分野において周知のすべてのものを含む。
[0040]「抑制核酸」によって、哺乳動物細胞に投与された場合に標的遺伝子の発現の減少(例えば、10%、25%、50%、75%又はさらに90〜100%まで)を生じる2本鎖RNA、siRNA、shRNA若しくはアンチセンスRNA又はこれらの一部又はこれら模倣物が意味される。典型的には、核酸抑制物は、標的核酸分子の少なくとも一部若しくはそのオルソログを含む、又は標的核酸分子の相補鎖の少なくとも一部を含む。例えば、抑制核酸分子は、本明細書で説明する任意の又はすべての核酸の少なくとも一部を含む。
[0041]「単離された」は、天然状態からの変更又は除去を意味する。例えば、生存している動物に天然で存在する核酸又はペプチドは、「単離されて」いないが、その天然の状態で同時に存在する物質から部分的に又は完全に分離されている同じ核酸又はペプチドは「単離されている」。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在する場合がある、又は例えば、宿主細胞などの非天然環境中に存在する場合がある。
[0042]「単離された核酸」は、天然に存在する状態で隣接する配列から分離されている核酸セグメント又は断片、すなわち、断片に通常近接している配列、すなわちそれが天然で存在するゲノムにおいて断片に近接する配列から除去されているDNA断片を指す。用語は、核酸に天然で付随する他の構成成分、すなわち、細胞においてそれに天然で付随するRNA又はDNA又はタンパク質から実質的に精製されている核酸にも適用する。したがって用語は、例えば、ベクターに、自己複製するプラスミド若しくはウイルスに、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれている、或いは他の配列と無関係に別個の分子として(すなわち、cDNA又はゲノム又はPCR若しくは制限酵素消化によって産生されたcDNA断片として)存在する組換えDNAを含む。デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、これらの置換及びアルファ−アノマー形態、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどが挙げられる、追加的ポリペプチド配列をコードしているハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNA、相補的DNA(cDNA)、天然及び/又は修飾モノマー又は連結の直鎖状又は環状オリゴマー又はポリマーも含む。
[0043]核酸配列は、異なる領域からなる「キメラ」である場合もある。本発明の文脈では「キメラ」化合物は、2つ以上の化学的領域、例えば、DNA領域(複数可)、RNA領域(複数可)、PNA領域(複数可)などを含有するオリゴヌクレオチドである。各化学領域は、少なくとも1つのモノマー単位、すなわちヌクレオチドから構成されている。これらの配列は、配列が1つ又は複数の望ましい特性を示すために改変されている少なくとも1つの領域を典型的には含む。
[0044]本明細書において使用される場合、用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの文脈では、かかる送達システムは、反応試薬(例えば、適切な容器中のオリゴヌクレオチド、酵素など)及び/又は補助材料(例えば、緩衝剤、アッセイを実施するための書面の説明書など)の保存、ある場所から別への輸送又は送達を可能にするシステムを含む。例えば、キットは、関連する反応試薬及び/又は補助材料を含む1つ又は複数の封入物(例えば、箱)を含む。本明細書において使用される場合、用語「断片化キット」は、キット全体の構成成分の一部をそれぞれ含有する2つ以上の別個の容器を備える送達システムを指す。容器は、目的のレシピエントに一緒に又は別々に送達され得る。例えば、第1の容器は、アッセイにおける使用のための酵素を含有し、一方第2の容器はオリゴヌクレオチドを含有する。用語「断片化キット」は、Federal Food、Drug、and Cosmetic Actのセクション520(e)の下で規制される分析物特異的試薬(ASR)を含有するキットを包含することを意図するがこれに限定されない。実際に、キット全体の構成成分の一部をそれぞれ含有する2つ以上の別個の容器を含む任意の送達システムは、用語「断片化キット」に含まれる。対照的に「複合キット」は、単一の容器に(例えば、所望の各構成成分を入れた単一の箱に)反応アッセイのすべての構成成分を含有する送達システムを指す。用語「キット」は、断片化及び複合キットの両方を含む。
[0045]用語「標的核酸」配列は、オリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイズするように設計された核酸(しばしば生物学的試料に由来する)を指す。検出される標的核酸の存在若しくは不在、又は定量される標的核酸の量のいずれでもよい。標的核酸は、標的に向けられた対応するオリゴヌクレオチドの核酸配列に相補的である配列を有する。用語、標的核酸は、オリゴヌクレオチドが方向付けられる大きな核酸の特定の部分配列、又は配列全体(例えば、遺伝子又はmRNA)を指す場合がある。使用法における差異は、文脈から明らかである。
[0046]本発明の文脈では、一般に存在する核酸塩基について以下の略号が使用される。「A」はアデノシンを指す、「C」はシトシンを指す、「G」はグアノシンを指す、「T」はチミジンを指す、及び「U」はウリジンを指す。
[0047]他に特に規定のない限り、アミノ酸配列を「コードしているヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードしているすべてのヌクレオチド配列を含む。句、タンパク質又はRNAをコードしているヌクレオチド配列は、タンパク質をコードしているヌクレオチド配列が一部のバージョンでイントロン(複数可)を含有する限り、イントロンも含み得る。
[0048]免疫原性組成物の「非経口」投与として、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)若しくは胸骨下(intrasternal)注射又は注入技術が挙げられる。
[0049]用語「患者」又は「個体」又は「対象」は、本明細書において互換的に用いられ、ヒト患者が一例で処置される哺乳動物対象を指す。一部の場合では、本発明の方法は、実験動物において、獣医学的応用において並びにこれだけに限らないがマウス、ラット及びハムスターを含むげっ歯類並びに霊長類が挙げられる疾患についての動物モデルの開発において使用される。
[0050]用語「配列同一性パーセント」又は「配列同一性」を有するは、所与の問い合わせ配列と対象配列との間の同一性の程度を指す。
[0051]用語「薬学的に許容できる」(又は「薬理学的に許容できる」)は、動物又はヒトに必要に応じて投与された場合に、有害な、アレルギー性の又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容できる担体」は、薬学的に許容できる物質のための媒体として使用され得る任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、ゲル、界面活性剤などを含む。
[0052]用語「ポリヌクレオチド」は、「核酸」又は「核酸配列」としても周知であるヌクレオチドの鎖であり、これだけに限らないが、当技術分野において利用可能な任意の手段によって得られるすべての核酸配列、天然に存在する及び合成の両方の核酸、相補的DNA(cDNA)、天然及び/若しくは修飾モノマー又は連結の直鎖状若しくは環状オリゴマー又はポリマーを含み、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、その置換及びアルファアノマー形態、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどが挙げられる。核酸配列は、異なる領域からなる「キメラ」である場合がある。本発明の文脈では「キメラ」化合物は、オリゴヌクレオチドであり、2つ以上の化学領域、例えば、DNA領域(複数可)、RNA領域(複数可)、PNA領域(複数可)などを含有する。各化学領域は、少なくとも1つのモノマー単位、すなわちヌクレオチドから構成される。これらの配列は、配列が1つ又は複数の所望の特性を示すように改変されている少なくとも1つの領域を典型的には含む。
[0053]用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に用いられ、ペプチド結合によって共有結合で連結されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなければならず、タンパク質の又はペプチドの配列を含むアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドとして、ペプチド結合によって互いに接続された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質が挙げられる。本明細書において使用される場合、用語は、例えば当技術分野においてペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーと一般に称される短い鎖、並びに当技術分野においてタンパク質と一般に称され、多数の種類がある長い鎖の両方を指す。「ポリペプチド」として、例えば、生物学的活性断片、実質的に相同性のポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、類似物、融合タンパク質がとりわけ挙げられる。ポリペプチドとして、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド又はこれらの組合せが挙げられる。
[0054]用語「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」は、それにより外来性核酸が宿主細胞に移行又は導入される工程を意味する。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外来性核酸をトランスフェクトされた、形質転換された又は形質導入されたものである。トランスフェクトされた/形質転換された/形質導入された細胞は、初代の対象細胞及びその後代を含む。
[0055]本明細書において用語が使用される場合、疾患を「処置する」は、対象によって経験される疾患又は障害の少なくとも1つの徴候又は症状の頻度又は重症度を低減することを意味する。疾患又は障害の処置は、ウイルスの根絶を含む。
[0056]「処置」は、障害の病態又は症状の発症を予防する又は変化させる意図で実施される介入である。したがって、「処置」は、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を指す。「処置」は、対症療法的ケアとして特定される場合もある。処置の必要があるものは、既に障害を有するもの及び障害が予防されるものを含む。したがって、状況、障害又は状態の「処置すること」又は「処置」は:(1)ウイルスを根絶すること;(2)状況、障害又は状態に苦しんでいる又はかかりやすいが、状況、障害又は状態の臨床又は亜臨床症状をまだ経験又は示していないヒト又は他の哺乳動物において発症する状況、障害又は状態の臨床症状の出現を予防する又は遅延させること;(3)状況、障害又は状態を抑制すること、すなわち、疾患若しくはその再発(維持処置の場合)又はその少なくとも1つの臨床若しくは亜臨床症状の発症を停止させる、低減する又は遅延させること;或いは(4)疾患を軽減する、すなわち、状況、障害若しくは状態又はその少なくとも1つの臨床又は亜臨床症状の退縮を生じること、を含む。処置される個体への利益は、統計的に有意である又は患者若しくは医師に少なくとも知覚できる、のいずれかである。
[0057]ポリヌクレオチド配列の文脈において使用される場合、用語「バリアント」は、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義は、例えば「対立遺伝子」、「スプライス」、「種」又は「多型」バリアントも含み得る。スプライスバリアントは、参照分子に顕著な同一性を有し得るが、mRNAプロセシングの際のエクソンの代替的スプライシングのために、さらに多い又は少ない数のポリヌクレオチドを一般に有する。対応するポリペプチドは、追加的な機能的ドメイン又はドメインの欠如を有する場合がある。種バリアントは、ある種から別で変動するポリヌクレオチド配列である。本発明における特別な有用性は、野生型遺伝子産生物のバリアントである。バリアントは、核酸配列中の少なくとも1つの変異から生じる場合があり、その構造また機能が変化している場合としていない場合がある変化したmRNA又はポリペプチドを生じ得る。任意の所与の天然又は組換え遺伝子は、1つ又は多数の対立遺伝子形態を有する場合と有さない場合がある。バリアントを生じる一般的な変異変化は、一般にヌクレオチドの天然の欠失、付加又は置換が原因である。これらの種類の各変化は、単独で又は他との組合せで、1回又は複数回、所与の配列に生じる場合がある。
[0058]「ベクター」は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用され得る物質の組成物である。ベクターの例として、これだけに限らないが、直鎖ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物と会合したポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスが挙げられる。したがって、用語「ベクター」は、自己複製プラスミド又はウイルスを含む。用語は、核酸の細胞への移行を促進する、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどの、非プラスミド及び非ウイルス性化合物を含むとも解釈される。ウイルスベクターの例として、これだけに限らないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられる。
[0059]範囲:本開示全体を通じて、本発明の種々の態様は、範囲の形式で示される場合がある。範囲の形式での記載は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、本発明の範囲での変更できない限定として解釈されるべきでないことは理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲及び範囲内の個々の数値を有すると見なされるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの具体的に開示された部分範囲、並びに範囲内の個々の値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を有すると見なされるべきである。このことは、範囲の幅に関わらず適用される。
[0060]任意の核酸配列又はアミノ酸配列が、Swiss Prot.又はGENBANK受託番号によって具体的に参照される場合、配列は、参照により本明細書に組み込まれる。シグナルペプチド、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、プロモーター配列及び翻訳開始の同定などの受託番号と関連する情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1は、単一の非同義バリアントのタンパク質結合ドメイン及び部位、単一の3ヌクレオチド挿入及び二重ヘテロ接合体非同義バリアントを示すBAG3の模式図である。ブロックは、複数の哺乳動物種にわたるアミノ酸の保存を示す。WWドメインは、BAG3の3次元構造を改変するようにPXXP領域と相互作用し、シャペロン支援選択的オートファジー(CASA)にも関与する;IPVモチーフは、マクロオートファジーを支持するように低分子熱ショックタンパク質HspB8及びHspB6と相互作用する;PXXP領域は、がん細胞の遊走及び転移を促進するようにSrc相同3(SH3)ドメインへの結合を促進し、核周囲アグリソームへの細胞内タンパク質輸送を促進するようにダイニン複合体にも結合する;並びにBAGドメインは、Bcl−2と相互作用し、アポトーシスの阻害を生じる。 図2A〜2Cは、BAG3遺伝的バリアントを有する又は有さない患者における無イベント生存率を示すカプラン・マイヤー曲線を示す図である。図2Aは、BAG3バリアントを有する又は有さないすべての患者における無イベント生存率を示す。図2Bは、BAG3バリアントを有する又は有さない非虚血性HFを有する患者における無イベント生存率を示す。図2Cは、虚血性拡張型心筋症を有する患者における無イベント生存率を示す。統計的有意性は、各比較について示されている。各群の患者の数は、x軸に沿って示されている。 図2A〜2Cは、BAG3遺伝的バリアントを有する又は有さない患者における無イベント生存率を示すカプラン・マイヤー曲線を示す図である。図2Aは、BAG3バリアントを有する又は有さないすべての患者における無イベント生存率を示す。図2Bは、BAG3バリアントを有する又は有さない非虚血性HFを有する患者における無イベント生存率を示す。図2Cは、虚血性拡張型心筋症を有する患者における無イベント生存率を示す。統計的有意性は、各比較について示されている。各群の患者の数は、x軸に沿って示されている。 図2A〜2Cは、BAG3遺伝的バリアントを有する又は有さない患者における無イベント生存率を示すカプラン・マイヤー曲線を示す図である。図2Aは、BAG3バリアントを有する又は有さないすべての患者における無イベント生存率を示す。図2Bは、BAG3バリアントを有する又は有さない非虚血性HFを有する患者における無イベント生存率を示す。図2Cは、虚血性拡張型心筋症を有する患者における無イベント生存率を示す。統計的有意性は、各比較について示されている。各群の患者の数は、x軸に沿って示されている。 図3Aは、空プラスミド又は野生型BAG3若しくはc.187C>G+c.1138C>T(p.Pro63Ala+p.Pro380Ser)、c.249C>A(p.His83Gln)、c.474_476dupGGC(p.Ala160dup)若しくはc.1436C>T(p.Ala479Val)を含有するプラスミドを用いてトランスフェクトされ、Adv−RFP−GFP−LC3を用いて同時トラスフェクトされたAC16細胞からの代表的共焦点画像である。赤色の点は、GFPがライソソームのオートファゴソーム(autophagasome)融合後の酸性度の増加によって消光された、オートファゴリソソームでのLC3の増加を示す。図3Bは、条件あたり8〜42個の間の細胞からの画像の定量である。図3Cは、アポトーシス細胞から生細胞を識別するためにアネキシン−V(緑色)及びヨウ化プロピジウム(赤色)を用いて染色されたAC16細胞の代表的共焦点画像である。アポトーシス細胞は、緑色に見え、後期アポトーシス性(late apoptotic)及び/又は壊死性細胞は赤色に見え、非生細胞は緑色及び赤色の両方に見える。図3Dは、緑色でも赤色でもなかった細胞の数を表す、条件あたりおよそ200個の細胞からの画像の定量である。 図4Aは、特発性拡張型心筋症に続発する重度の左心室機能障害(n=23)又は虚血性心臓疾患(n=16)又は非不全対照(n=4)のヒト心臓から単離されたタンパク質の代表的ウエスタンブロットを示す図である。BAG3バリアントを保有することが見出された心臓から得られた試料は、aからcを付けられた赤色四角によって示される。図4Bは、複数のウエスタンブロットの定量を示す。図4Cは、内部対照としてGAPDHを用いた不全虚血性拡張型心筋症(n=13)、IDC(n=18)及び非不全ヒト心臓(n=4)におけるBAG3についてのqPCRの定量を示す。 図5A〜5Cは、ヒト不全心臓におけるBAG3レベルの代表的ウエスタンブロット(図5A)、複数のウエスタンブロットの定量(図5B)、ヒト不全心臓でのmRNAレベルの定量(図5C)を示す図である。データは、BAG3変異を有さない、特発性拡張型心筋症又は虚血性心筋症のいずれかの患者において、BAG3のレベルが非不全ヒト心臓よりも一貫して低いことを示す。A160Adupインフレーム挿入の場合は、BAG3レベルも低い。対照的に、BAG3のレベルは、P63A+P380S(シスでバリアントを有する二重ヘテロ接合体)及びAla479Valの両方において実際に上昇しており、遺伝子治療を介する外来性BAG3の付加がこの遺伝子型では有益な影響を有さない場合があることを示唆している。 図5A〜5Cは、ヒト不全心臓におけるBAG3レベルの代表的ウエスタンブロット(図5A)、複数のウエスタンブロットの定量(図5B)、ヒト不全心臓でのmRNAレベルの定量(図5C)を示す図である。データは、BAG3変異を有さない、特発性拡張型心筋症又は虚血性心筋症のいずれかの患者において、BAG3のレベルが非不全ヒト心臓よりも一貫して低いことを示す。A160Adupインフレーム挿入の場合は、BAG3レベルも低い。対照的に、BAG3のレベルは、P63A+P380S(シスでバリアントを有する二重ヘテロ接合体)及びAla479Valの両方において実際に上昇しており、遺伝子治療を介する外来性BAG3の付加がこの遺伝子型では有益な影響を有さない場合があることを示唆している。 図5A〜5Cは、ヒト不全心臓におけるBAG3レベルの代表的ウエスタンブロット(図5A)、複数のウエスタンブロットの定量(図5B)、ヒト不全心臓でのmRNAレベルの定量(図5C)を示す図である。データは、BAG3変異を有さない、特発性拡張型心筋症又は虚血性心筋症のいずれかの患者において、BAG3のレベルが非不全ヒト心臓よりも一貫して低いことを示す。A160Adupインフレーム挿入の場合は、BAG3レベルも低い。対照的に、BAG3のレベルは、P63A+P380S(シスでバリアントを有する二重ヘテロ接合体)及びAla479Valの両方において実際に上昇しており、遺伝子治療を介する外来性BAG3の付加がこの遺伝子型では有益な影響を有さない場合があることを示唆している。 図6A、6Bは、BAG3ハプロ不全及びWtBAG3の再構成を有する心臓の機能を示すグラフである。一般的な(>1%)BAG3遺伝的バリアントの機能的影響を評価するために、マウスは、BAG3の対立遺伝子での欠失に続いてBAG3の野生型又は変異形態のいずれかのトランスフェクションを駆動するアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型9を用いて、BAG3のハプロ不全を感染させた。BAG3の1つの対立遺伝子の欠失を有するマウスが野生型マウスにおいて見出されるBAG3の半量を有することから、AAV−BAG3を用いて感染させた場合にBAG3の正常レベルは完全になり、1つのBAG対立遺伝子を欠失しているマウス(cBAG3+/−)において見出される左心室機能障害を回復させた。同じマウスは、AAV9−MUTANT対立遺伝子も注射された。マウスは、左心室機能を決定するために隔週の心エコー図を用いて経過観察された。図6Aは、cBAG3+/+又はcBAG3+/−マウスへのAAV9−GFPの注射(対照)後の左心室機能の経時的測定を示す。cBAG3+/+マウスは、AAV9−GFPの存在下で正常な収縮力を示した一方で、cBAG3+/−マウスは、本発明者らのグループからの早期の報告と一致して、左心室機能の進行性の減少を実証した。図6Bは、正常cBAG3+/+マウスと比較した、cBAG3+/−マウスでのAAV9−BAG3を用いた感染の効果を示している。本明細書において、AAV9−BAG3を用いたBAG3の正常レベルの回復が、単一のBAG3対立遺伝子を欠失しているcBAG3+/−マイナスマウスにおいて見られるBAG3レベルの減少を回復できることが初めて示されている。 図6A、6Bは、BAG3ハプロ不全及びWtBAG3の再構成を有する心臓の機能を示すグラフである。一般的な(>1%)BAG3遺伝的バリアントの機能的影響を評価するために、マウスは、BAG3の対立遺伝子での欠失に続いてBAG3の野生型又は変異形態のいずれかのトランスフェクションを駆動するアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型9を用いて、BAG3のハプロ不全を感染させた。BAG3の1つの対立遺伝子の欠失を有するマウスが野生型マウスにおいて見出されるBAG3の半量を有することから、AAV−BAG3を用いて感染させた場合にBAG3の正常レベルは完全になり、1つのBAG対立遺伝子を欠失しているマウス(cBAG3+/−)において見出される左心室機能障害を回復させた。同じマウスは、AAV9−MUTANT対立遺伝子も注射された。マウスは、左心室機能を決定するために隔週の心エコー図を用いて経過観察された。図6Aは、cBAG3+/+又はcBAG3+/−マウスへのAAV9−GFPの注射(対照)後の左心室機能の経時的測定を示す。cBAG3+/+マウスは、AAV9−GFPの存在下で正常な収縮力を示した一方で、cBAG3+/−マウスは、本発明者らのグループからの早期の報告と一致して、左心室機能の進行性の減少を実証した。図6Bは、正常cBAG3+/+マウスと比較した、cBAG3+/−マウスでのAAV9−BAG3を用いた感染の効果を示している。本明細書において、AAV9−BAG3を用いたBAG3の正常レベルの回復が、単一のBAG3対立遺伝子を欠失しているcBAG3+/−マイナスマウスにおいて見られるBAG3レベルの減少を回復できることが初めて示されている。 図7A、7Bは、p.Pro63Ala+Pro380Ser発現を有する心臓機能を示すグラフである。一般的なp.Pro63Ala+Pro380Serの機能的効果を評価するために、遺伝的バリアントマウスをAAV9−BAG3−WT又はAAV9−BAG3−63/380を用いて感染させた。図7Aは、cBAG3+/+マウス(対照)と比較した場合のcBAG3+/−マウスにおける左心室機能へのAV9−BAG3−63/380の効果を示す。AAV9−BAG3−63/380の注射は、左心室機能の劇的な減少を生じた−単一のBAG3対立遺伝子のみの欠失によって生じるより大きかった減少。図7Bは、正常BAG3遺伝子型(+/+)を有するマウスへのcBAG3−63/380の注射は、野生型マウスにおいてみられるより悪いが、AAV9−BAG3−63/380を注射されたcBAG3+/−マウスにおいてみられるより有意に良好な左心室機能を生じる。総合すると、これらの結果は、cBAG3−63/380変異を保有するマウスへのAAV9−BAG3−WTの投与がドミナントネガティブ効果を生じやすく、左心室機能の減少を強めるとの仮定を強く支持している。したがって、重要なことは、BAG3遺伝子治療を受けている患者は、治療を最適化するために彼らのBAG3遺伝子を配列決定されるべきであることである。 図7A、7Bは、p.Pro63Ala+Pro380Ser発現を有する心臓機能を示すグラフである。一般的なp.Pro63Ala+Pro380Serの機能的効果を評価するために、遺伝的バリアントマウスをAAV9−BAG3−WT又はAAV9−BAG3−63/380を用いて感染させた。図7Aは、cBAG3+/+マウス(対照)と比較した場合のcBAG3+/−マウスにおける左心室機能へのAV9−BAG3−63/380の効果を示す。AAV9−BAG3−63/380の注射は、左心室機能の劇的な減少を生じた−単一のBAG3対立遺伝子のみの欠失によって生じるより大きかった減少。図7Bは、正常BAG3遺伝子型(+/+)を有するマウスへのcBAG3−63/380の注射は、野生型マウスにおいてみられるより悪いが、AAV9−BAG3−63/380を注射されたcBAG3+/−マウスにおいてみられるより有意に良好な左心室機能を生じる。総合すると、これらの結果は、cBAG3−63/380変異を保有するマウスへのAAV9−BAG3−WTの投与がドミナントネガティブ効果を生じやすく、左心室機能の減少を強めるとの仮定を強く支持している。したがって、重要なことは、BAG3遺伝子治療を受けている患者は、治療を最適化するために彼らのBAG3遺伝子を配列決定されるべきであることである。 図8A、8Bは、p.Ala479Val発現を有する心臓の機能を示すグラフである。Ala479Valの機能的影響を評価するために、後眼窩腔にAAV9−BAG3−Ala479Valが注射された。図8A:AAV9−BAG3−63/380とは対照的に、AAV9−BAG3−A479Vの後眼窩注射は、正常遺伝子型(BAG3+/+)を有するマウスにおいて又は479変異(A479V)を有するマウスにおいてのいずれでも望ましくない影響を有さなかった。図8B:同様に、AAV9−BAG3−63/380とは対照的に、cBAG3−A479Vの注射は、左心室機能に望ましくない影響を有さなかった。したがって、A479Vは、心不全を有し、BAG3のレベルが減少している患者を処置するために使用される場合にドミナントネガティブ効果を有する可能性は低い。 図8A、8Bは、p.Ala479Val発現を有する心臓の機能を示すグラフである。Ala479Valの機能的影響を評価するために、後眼窩腔にAAV9−BAG3−Ala479Valが注射された。図8A:AAV9−BAG3−63/380とは対照的に、AAV9−BAG3−A479Vの後眼窩注射は、正常遺伝子型(BAG3+/+)を有するマウスにおいて又は479変異(A479V)を有するマウスにおいてのいずれでも望ましくない影響を有さなかった。図8B:同様に、AAV9−BAG3−63/380とは対照的に、cBAG3−A479Vの注射は、左心室機能に望ましくない影響を有さなかった。したがって、A479Vは、心不全を有し、BAG3のレベルが減少している患者を処置するために使用される場合にドミナントネガティブ効果を有する可能性は低い。
[0069]ある特定の実施形態の以下の記載は、本質的に単に例示的であり、本発明、その応用又は使用を限定することを全く意図しない。本発明の実施形態は、理論的態様が表されることなく実施され得る。さらに、理論的態様は、出願者らが、示される理論によって束縛されるように努めないことが理解されて表される。
[0070]本発明は、ほとんどアフリカ系アメリカ人においてのみ見出されるBAG3における固有の遺伝的バリアントの存在が、有害転帰を有する2倍近く高いリスクを予測するという発見に一部基づいている。加えて、遺伝的バリアントの病原性を評価する重要性及び、可能な場合、ヒト心臓におけるタンパク質レベルとそれらとの関連が示される。したがって、BAG3変異は、アフリカ系の個体において心血管系病理生物学で重要な役割を演じている。
[0071]BCL2関連アサノジーン3;MFM6;Bcl−2−結合タンパク質Bis;CAIR−1;ドッキングタンパク質CAIR−1;BAGファミリー分子シャペロン制御因子3;BAG−3;BCL2−結合アサノジーン3;又はBISとしても周知なBcl−2関連アサノジーン−3(BAG3)は、HSP70への結合についてHip−1と競合する細胞保護ポリペプチドである。BAG3についてのNCBI参照アミノ酸配列は、受託番号NP_004272.2;Public GI:14043024でGenbankにおいて見出され得る。Genbank受託番号NP_004272.2;Public GI:14043024のアミノ酸配列は、本明細書において配列番号1と称される。BAG3についてのNCBI参照核酸配列は、受託番号NM_004281.3 GI:62530382でGenbankにおいて見出され得る。Genbank受託番号NM_004281.3 GI:62530382の核酸配列は、配列番号2と称される。他のBAG3アミノ酸配列として、例えば、非限定的に、095817.3 GI:12643665(配列番号3);EAW49383.1 GI:119569768(配列番号4);EAW49382.1 GI:119569767(配列番号5);及びCAE55998.1 GI:38502170(配列番号6)が挙げられる。本発明のBAG3ポリペプチドは、それが機能を保持している限り、本明細書に記載されるポリペプチドのバリアントであり得る。
[0072]組成物
[0073]40を超える遺伝子における遺伝的バリアントは、DCMと関連付けられている。かかる遺伝子の1つは、心臓、骨格筋において及び多数のがんにおいて主に発現されている進化的に保存されたタンパク質、BAG3(Bcl関連アサノジーン3)をコードしている。BAG3は、多面的な(pleotropic)効果を心臓に有する:それは、アポトーシスを阻害し、オートファジーを促進し、興奮収縮連関を調節し、筋節の完全性を維持し17、18、主なDCM遺伝子座として出現した19。いくつかの観察は、BAG3変異がアフリカ系アメリカ人において蔓延している可能性を示唆している:1)BAG3遺伝的バリアントは、隔離集団において最も蔓延している20;及び2)Genome Aggregation Database(gnomAD)は、ヨーロッパ系の個体におけるBAG3バリアントの対立遺伝子頻度と比較した場合に、アフリカ系個体において一般に見出されるBAG3バリアントの対立遺伝子頻度との間に著しい差異を示している21。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、BAG3バリアントがアフリカ系アメリカ人におけるIDCの有病率の増加の原因である可能性があることが仮定された。実施例セクションにおいて詳細に記載されるとおり、まれな例外を除いてアフリカ系の個体において見出される機能性BAG3バリアントの群がIDCを有する患者における転帰不良と関連しており、治療的介入のための正確な標的を提供する可能性があることが初めて見出された。
[0074]したがって、ある特定の実施形態では、心疾患を有する患者を診断及び処置する方法は、対照BAG3核酸配列と比較して患者試料中の少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントを同定するステップであって、ある特定のバリアントの検出が、BAG3レベルの増加が前記患者に治療的であるかどうかを予測するステップ、及びかかるバリアントを有するとして同定された患者に薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤がBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節するステップを含む。
[0075]ある特定の実施形態では、遺伝的バリアントは、単一ヌクレオチドバリアント(SNV)インフレーム挿入、欠失、置換又はこれらの組合せである。ある特定の実施形態では、SNVは:p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンをコードしている。
[0076]さらなる実施形態では、患者が少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入を対照BAG3核酸配列と比較して有する、心疾患を有する患者を処置する方法は、薬剤の治療有効量を患者に投与するステップであって、前記薬剤が標的細胞又は組織におけるBAG3分子、タンパク質又はそのペプチドの発現又は量を調節するステップを含む。
[0077]ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)。
[0078]ある特定の実施形態では、IDCを有し、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝子に遺伝的バリアントを有するとして同定された患者を処置するための薬剤であって、ある特定のバリアントの検出がBAG3レベルの増加が患者に治療的であるかどうかを予測する遺伝的バリアント。
[0079]ある特定の実施形態では、対象におけるBAG3並びにその関連分子及び経路と関連する疾患の処置のための治療剤は、細胞においてBAG3の発現又は量を調節する。一部の実施形態では、組成物は非限定的にBAG3のcDNA、センス及び/又はアンチセンス配列が挙げられるBCL2関連アサノジーン3(BAG3)の核酸配列を含む。
[0080]ある特定の実施形態では、薬剤は、対象において遺伝的バリアントを欠失又は編集するための1つ又は複数の遺伝子編集又はヌクレアーゼシステムを含み、ここでBAG3の増加は治療的でなく、又はさらに対象に有害でさえある場合もある。
[0081]任意の好適なヌクレアーゼシステムを使用することができ、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼのアルゴノートファミリー、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、他のエンド若しくはエキソヌクレアーゼ又はこれらの組合せが挙げられる。参照により組み込まれるSchiffer、2012J Virol 88(17):8920〜8936を参照されたい。ある特定の実施形態では、システムは、アルゴノートヌクレアーゼシステムである。
[0082]CRISPR/Cas:ある特定の実施形態では、遺伝子編集剤は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼ/Cas(CRISPR/Cas)を含む。
[0083]ある特定の実施形態では、CRISPR/Casは、触媒欠損Casタンパク質(dCas)、オルソログ、ホモログ、変異体バリアント又はこれらの断片を含む。
[0084]本明細書で開示される組成物は、Cas9などのCRISPR−関連エンドヌクレアーゼをコードしている核酸を含み得る。細菌では、CRISPR/Cas遺伝子座は、可動遺伝エレメント(ウイルス、転位因子及び接合性プラスミド)に対するRNAガイド適応免疫システムをコードしている。CRISPRシステムの3つの型(I−III)は、同定されている。CRISPRクラスターは、スペーサー、先行する可動エレメントに相補的な配列を含有する。CRISPRクラスターは、転写され、成熟CRISPR RNA(crRNA)にプロセスされる。CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、Cas9は、II型CRISPR/Casシステムに属し、標的DNAを切断する強いエンドヌクレアーゼ活性を有する。Cas9は、固有の標的配列(スペーサーと呼ばれる)の約20塩基対(bp)及び、プレ−crRNAのリボヌクレアーゼIII−補助プロセシングのためのガイドとして作用するトランス活性化低分子RNA(tracrRNA)を含有する成熟crRNAによってガイドされる。crRNA:tracrRNA二重鎖は、Cas9を標的DNAにcrRNA上のスペーサーと標的DNA上の相補性配列(プロトスペーサーと呼ばれる)との間の相補性塩基対合を介して方向付ける。Cas9は、切断部位(PAMから3番目のヌクレオチド)を特定するためにトリヌクレオチド(NGG)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する。crRNA及びtracrRNAは、別々に発現され得る、又は天然crRNA/tracrRNA二重鎖を模倣するように合成ステムループ(AGAAAU)を介して人工融合低分子ガイドRNA(sgRNA)に操作され得る。かかるsgRNAは、shRNAと同様に、合成され得る、又は直接RNAトランスフェクションのためにin vitro転写され得る、又はU6若しくはH1プローモートされたRNA発現ベクターから発現され得るが、人工sgRNAの切断効率は、別々に発現されたcrRNA及びtracrRNAを用いたシステムについてのものより低い。
[0085]実施形態では、CRISPR/Casシステムは、I型、II型又はIII型システムである場合がある。好適なCRISPR/Casタンパク質の非限定的例として、Cas9、CasX、CasY.1、CasY.2、CasY.3、CasY.4、CasY.5、CasY.6、spCas、eSpCas、SpCas9−HF1、SpCas9−HF2、SpCas9−HF3、SpCas9−HF4、ARMAN1、ARMAN4、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(又はCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(又はCasA)、Cse2(又はCasB)、Cse3(又はCasE)、Cse4(又はCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4及びCu1966が挙げられる。
[0086]Cas9は、オルソログである場合がある。6個の低分子Cas9オルソログが使用され、報告は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9(SaCas9)が、1キロベースを超えて短い一方で、SpCas9のものと同様の効率でゲノムを編集できることを示した。
[0087]野生型及び記載されたバリアントCas9エンドヌクレアーゼに加えて、本発明の実施形態は、オフターゲット切断を劇的に低減する、新たに開発された「特異性が増強された」化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9バリアント(eSpCas9)を含むCRISPRシステムも包含する。これらのバリアントは、DNAの非標的鎖と相互作用する溝中の正に荷電した部位を中和するためにアラニン置換を用いて操作される。この改変の目的は、Cas9の非標的鎖との相互作用を低減することであり、それにより標的と非標的鎖との間の再ハイブリダイゼーションを促す。この改変の効果は、オフターゲット切断を限定するgRNAと標的DNA鎖との間のさらにストリンジェントなワトソンクリック対形成のために必要である(Slaymaker,I.M.et al.(2015)DOI:10.1126/science.aad5227)。
[0088]ある特定の実施形態では、3つのバリアントが、最良の切断効率及び最小のオフターゲット効果を有することが見出された:SpCas9(K855A)、SpCas9(K810A/K1003A/R1060A)(a.k.a.eSpCas9 1.0)及びSpCas9(K848A/K1003A/R1060A)(a.k.a.eSPCas9 1.1)は、組成物において使用される。本発明は、決してこれらのバリアントに限定されず、すべてのCas9バリアントを包含する(Slaymaker,I.M.et al.(2015))。本発明は、特異性が増強された別の種類のCas9バリアント、「高フィデリティー」spCas9バリアント(HF−Cas9)も含む。高フィデリティーバリアントの例として、SpCas9−HF1(N497A/R661A/Q695A/Q926A)、SpCas9−HF2(N497A/R661A/Q695A/Q926A/D1135E)、SpCas9−HF3(N497A/R661A/Q695A/Q926A/L169A)、SpCas9−HF4(N497A/R661A/Q695A/Q926A/Y450A)が挙げられる。同様に、N497A、R661A、Q695A、Q926A又は任意の他の置換のすべての可能な単一、二重、三重及び四重の組合せを保有するすべてのSpCas9バリアントも含まれる(Kleinstiver,B.P.et al.,2016,Nature.DOI:10.1038/nature16526)。
[0089]本明細書において使用される場合、用語「Cas」は、バリアント、変異体、オルソログ、高フィデリティーバリアントなどを含むすべてのCas分子を含んで意味する。
[0090]一実施形態では、エンドヌクレアーゼは、II型CRISPR/Casシステム由来である。他の実施形態では、エンドヌクレアーゼは、Cas9タンパク質由来であり、Cas9、CasX、CasY.1、CasY.2、CasY.3、CasY.4、CasY.5、CasY.6、spCas、eSpCas、SpCas9−HF1、SpCas9−HF2、SpCas9−HF3、SpCas9−HF4、ARMAN1、ARMAN4、変異体、バリアント、高フィデリティーバリアント、オルソログ、類似物、断片又はこれらの組合せが挙げられる。Cas9タンパク質は、化膿性連鎖球菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス種(Streptococcus sp.)、ノカルディオプシス・ダソンビレイ(Nocardiopsis dassonvillei)、ストレプトマイセス・プリスチナエスピラリス(Streptomyces pristinaespiralis)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、ストレプトスポランギウム・ロゼウム(Streptosporangium roseum)、アリシクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)、バシルス・シュードミコイデス(Bacillus pseudomycoides)、バシルス・セレニチレドゥセンス(Bacillus selenitireducens)、エクシグオバクテリウム・シビリカム(Exiguobacterium sibiricum)、ラクトバチルス・デルブリュッキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ミクロシラ・マリーナ(Microscilla marina)、バークホルデリア・バクテリウム(Burkholderiales bacterium)、ポラロモナス・ナフタレニボランス(polaromonas naphthalenivorans)、ポラロモナス種(polaromonas sp.)、クロコスファエラ・ワトソニー(Crocosphaera watsonii)、シアノセイス種(Cyanothece sp.)、ミクロシスティス・エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)、シネココッカス種(Synechococcus sp.)、アセトハロビウム・アラビティカム(Acetohalobium arabaticum)、アモニフェクス・デジェンシー(Ammonifex degensii)、カルジセルロシルプトル・ベクシイ(Caldicelulosiruptor becscii)、カンジダタス・デスルフォルディス(Candidatus Desulforudis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、フィネゴルジア・マグナ(Finegoldia magna)、ナトラナエロビウス・サーモフィルス(Natranaerobius thermophilus)、ペロトマクルム・サーモプロピオニクム(Pelotomaculum thermopropionicum)、アシディチオバチルス・カルダス(Acidithiobacillus caldus)、アシディチオバチルス・フェロオキシダンス(Acidithiobacillus ferrooxidans)、アロクロマティウム・ヴィノスム(Allochromatium vinosum)、マリノバクター種(Marinobacter sp.)、ニトロソコッカス・ハロフィルス(Nitrosococcus halophilus)、ニトロソコッカス・ワトソニ(Nitrosococcus watsoni)、シュードアルテロモナス・ハロプランクチス(Pseudoalteromonas haloplanktis)、クテドロバクター・ラセミフェル(Ktedonobacter racemifer)、メタノハロビウム・エベスチガツム(Methanohalobium evestigatum)、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)、ノドゥラリア・スプミゲナ(Nodularia spumigena)、ノストック種(Nostoc sp.)、アルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima)、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルスロスピラ種(Arthrospira sp.)、リングビア種(Lyngbya sp.)、ミクロコレウス・クソノプラステス(Microcoleus chthonoplastes)、オシラトリア種(Oscillatoria sp.)、ペトロトガ・モビリス(Petrotoga mobilis)、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)又はアカリオクロリス・マリーナ(Acaryochloris marina)由来である場合がある。ナノアーキア(nanoarchaea) ARMAN−1(カンジダタス・ミクラカエウム・アシジフィルム(Candidatus Micrarchaeum acidiphilum)ARMAN−1)及びARMAN−4(カンジダタス・パルバルカエウム・アシジフィルム(Candidatus Parvarchaeum acidiphilum)ARMAN−4)、CasY(ケルフェルドバクテリア(Kerfeldbacteria)、ヴォゲルバクテリア(Vogelbacteria)、コメイリバクテリア(Komeilibacteria)、カタノバクテリア(Katanobacteria))、CasX(プランクトミセス門(Planctomycetes)、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria))のゲノムにおいてコードされるCas9タンパク質は含まれる。
[0091]一般に、CRISPR/Casタンパク質は、少なくとも1つのRNA認識及び/又はRNA結合ドメインを含む。RNA認識及び/又はRNA結合ドメインは、ガイドRNAと相互作用する。CRISPR/Casタンパク質は、ヌクレアーゼドメイン(すなわち、DNase又はRNaseドメイン)、DNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、RNAseドメイン、タンパク質タンパク質相互作用ドメイン、二量体化ドメイン及び他のドメインも含む場合がある。活性DNA−標的化CRISPR−Casシステムは、自己対非自己識別のために標的配列に隣接して位置付けられた2〜4ヌクレオチドプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を使用する。ARMAN−1は、強い「NGG」PAM選択性を有する。Cas9は、2つの別個の転写物、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)も、RNAガイドDNA切断のために使用する。推定tracrRNAは、ARMAN−1及びARMAN−4CRISPR−Cas9システムの両方の近傍において同定された。
[0092]本発明の実施形態は、地下水及び沈降物試料から回収された2種の細菌のゲノムにおいて見出された新たな種類のクラス2 CRISPR−Casシステムも含む。このシステムは、Cas1、Cas2、Cas4及びCasXと称されるおよそ980アミノ酸のタンパク質を含む。異なる門、デルタプロテオバクテリア及びプランクトメケス(Planctomycetes)、に属する2つの生物におけるこのタンパク質の高い保存(68%タンパク質配列同一性)は、近年の門を超えた移動を示唆している。各CasXと関連するCRISPRアレイは、37ヌクレオチド(nt)の高度に類似した反復(86%同一性)、33〜34ntのスペーサー及びCasオペロンとCRISPRアレイの間の推定tracrRNAを有する。遠位相同検出及びタンパク質モデリングは、V型CRISPR−Casシステムにおいて見出された組織化を想起させて、CasX C末端近くにRuvCドメインを同定した。CasXタンパク質の残部(N末端アミノ酸630個)は、いかなる周知のタンパク質にも検出可能な類似性を示さず、これが新規クラス2エフェクターであることを示唆している。tracrRNAと別個のCas1、Cas2及びCas4タンパク質との組合せは、V型システムにおいて固有であり、系統発生解析は、CRISPR−CasXシステム由来のCas1が、他の周知のV型のいずれからも離れていることを示している。さらに、CasXは、任意の周知のV型タンパク質よりも相当小さい:Cpf1、C2c1及びC2c3の典型的サイズ、約1,200アミノ酸と比較して980aa(Burstein,D.et al.,2016、上記)。
[0093]一部の実施形態では、BAG3の核酸配列は、少なくとも約50%配列同一性を野生型BAG3又はそのcDNA配列に有する。他の実施形態では、BAG3核酸配列は、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%配列同一性を野生型BAG3又はそのcDNA配列に有する。
[0094]一部の実施形態では、BAG3の核酸配列は、1つ又は複数の変異、置換、欠失、バリアント又はこれらの組合せをさらに含む。
[0095]一部の実施形態では、1つ又は複数の変異、置換、欠失、バリアント又はこれらの組合せを含むBAG3核酸配列とBAG3の天然又は野生型又はcDNA配列との間の相同性、配列同一性又は相補性は、約50%〜約60%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約60%〜約70%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約70%〜約80%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約80%〜約90%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%である。
[0096]試料において検出されたバリアントがBAG3レベル又は活性の増加が治療的であることの予測である場合、BAG3分子を含む薬剤は、対象に投与される。一実施形態では、発現ベクターは、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝子又はそのcDNA配列又はその改変配列をコードしている。一実施形態では、発現ベクターは、少なくとも約50%配列同一性を野生型BCL2関連アサノジーン3(BAG3)又はそのcDNA配列に有する核酸配列をコードしている。他の実施形態では、核酸配列は、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%配列同一性を野生型BCL2関連アサノジーン3(BAG3)又はそのcDNA配列に有する。
[0097]好適な核酸送達システムとして、ウイルスベクター、典型的にはアデノウイルス、アデノウイルス随伴ウイルス(AAV)、ヘルパー依存型アデノウイルス、レトロウイルス又はセンダイウイルスリポソーム(HVJ)複合体の少なくとも1つ由来の配列が挙げられる。具体的な例では、ウイルスベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結された強い真核生物プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含む。
[0098]所望により、本発明のポリヌクレオチドは、カチオン性リポソーム及びアデノウイルスベクターなどのマイクロ送達ビヒクルと共にも使用され得る。リポソーム調製、標的化及び内容物の送達の手順の概説について、Mannino and Gould−Fogerite,BioTechniques,6:682(1988)を参照されたい。同様にFelgner and Holm,Bethesda Res.Lab.Focus,11(2):21(1989)及びMaurer,R.A.,Bethesda Res.Lab.Focus,11(2):25(1989)も参照されたい。
[0099]複製欠損組換えアデノウイルスベクターは、周知の技術を用いて産生され得る。Quantin,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:2581〜2584(1992);Stratford−Perricadet,et al.,J.Clin.Invest.,90:626〜630(1992);及びRosenfeld,et al.,Cell,68:143〜155(1992)を参照されたい。
[0100]別の送達方法は、BAG3を細胞内に、例えば心臓組織に産生できる1本鎖DNA産生ベクターを使用することである。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Chen et al,BioTechniques,34:167〜171(2003)を参照されたい。
[0101]BAG3の発現は、当技術分野において周知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによって調節され得るが、これらの制御エレメントは発現のために選択された宿主において機能性でなければならない。一部の実施形態では、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。特に興味深いのは、筋肉特異的プロモーターであり、さらに詳細には心臓特異的プロモーターである。これらとして、ミオシン軽鎖2プロモーター(Franz et al.(1994)Cardioscience,Vol.5(4):235〜43;Kelly et al.(1995)J.Cell Biol.,Vol.129(2):383〜396)、アルファアクチンプロモーター(Moss et al.(1996)Biol.Chem.,Vol.271(49):31688〜31694)、トロポニン1プロモーター(Bhaysar et al.(1996)Genomics,Vol.35(1):11〜23);Na/Ca2+交換輸送体プロモーター(Barnes et al.(1997)J.Biol.Chem.,Vol.272(17):11510〜11517)、ジストロフィンプロモーター(Kimura et al.(1997)Dev.Growth Differ.,Vol.39(3):257〜265)、アルファ7インテグリンプロモーター(Ziober and Kramer(1996)J.Bio.Chem.,Vol.271(37):22915〜22)、脳性ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointe et al.(1996)Hypertension,Vol.27(3Pt2):715〜22)及びアルファB−クリスタリン/低分子熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal−Srivastava(1995)J.Mol.Cell.Biol.,Vol.15(12):7081〜7090)、アルファミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi−Takihara et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.86(10):3504〜3508)及びANFプロモーター(LaPointe et al.(1988)J.Biol.Chem.,Vol.263(19):9075〜9078)が挙げられる。
[0102]酵母発現システムもBAG3を発現するために本発明により使用され得る。例えば、2つ述べると、非融合pYES2ベクター(XbaI、SphI、Shol、NotI、GstXI、EcoRI、BstXI、BamH1、SacI、Kpn1及びHindIIIクローニング部位;Invitrogen)又は融合pYESHisA、B、C(XbaI、SphI、Shol、NotI、BstXI、EcoRI、BamH1、SacI、KpnI及びHindIIIクローニング部位、プロボンド(ProBond)レジンを用いて精製され、エンテロキナーゼを用いて切断されたN末端ペプチド;Invitrogen)は、本発明により使用され得る。酵母ツーハイブリッド発現システムは、本発明により調製され得る。
[0103]例示的な一送達システムは、1つ又は複数のポリヌクレオチド、例えば、約1つのポリヌクレオチドをその中に組み込む組換えウイルスベクターである。本発明の方法において使用される例示的ウイルスベクターは、約10〜約5×1010pfu(プラーク形成単位)のpfuを有する。ポリヌクレオチドが非ウイルスベクターを用いて投与される実施形態では、約0.1ナノグラム〜約4000マイクログラム、例えば、約1ナノグラム〜約100マイクログラムの使用がしばしば有用である。
[0104]一部の実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルスウイルスベクター(AAV)、例えば、AAV9である。用語「AAVベクター」は、非限定的に、AAV−1、AAV−2、AAV−3、AAV−4、AAV−5、AAV−6、AAV−7及びAAV−8が挙げられるアデノ随伴ウイルス血清型由来のベクターを意味する。AAVベクターは、rep及び/又はcap遺伝子などの1つ又は複数のAAV野生型遺伝子の全体又は一部が欠失している場合があるが、機能性隣接ITR配列は保持している。高い程度の相同の一方で、異なる血清型は、異なる組織に指向性を有する。AAV1に対する受容体は不明である;しかし、AAV1は、AAV2よりも効率的に骨格筋及び心筋を形質導入することが周知である。大部分の研究は、AAV2 ITRに隣接しているベクターDNAが代替血清型のカプシドにパッケージされている、シュードタイプベクターを用いて行われていることから、生物学的差異がゲノムよりもカプシドに関連することは明らかである。近年の証拠は、AAV2カプシドにパッケージされたものよりもAAV1カプシドにパッケージされたDNA発現カセットが、心筋細胞を形質導入することに少なくとも1log10さらに効率的であることを示している。一実施形態では、ウイルス送達システムは、アデノ随伴ウイルス送達システムである。アデノ随伴ウイルスは、血清型1(AAV1)、血清型2(AAV2)、血清型3(AAV3)、血清型4(AAV4)、血清型5(AAV5)、血清型6(AAV6)、血清型7(AAV7)、血清型8(AAV8)又は血清型9(AAV9)のものである場合がある。
[0105]当業者は、アデノウイルス及び他の種類のウイルス由来の望ましい特性を高度に特異的な特性を有する固有のベクターを生成する手段として組み込む、アデノウイルス「ハイブリッド」ウイルスを使用することによって、アデノウイルスに基づくベクターの一部の制限を回避した。例えば、ウイルスベクターキメラは、アデノウイルスとアデノ随伴ウイルス(AAV)との間で生成された。本発明のこれらの態様は、本明細書に記載される本発明の範囲から逸脱しない。
[0106]本発明のBAG3タンパク質をコードしている核酸は、当技術分野において周知の方法によって心筋に送達され得る。例えば、大型哺乳動物の心臓細胞は、核酸を投与する前及び/又は同時に血管拡張性物質を前記哺乳動物に投与することによって冠循環の血管を拡張することを含む方法によってトランスフェクトされ得る。一部の実施形態では、方法は、in vivoで冠循環の血管に核酸を投与することを含み、ここで核酸は、少なくとも約3分間にわたって血管に注入され、冠循環は、哺乳動物の全身循環から分離されていない又は実質的に分離されておらず、核酸は哺乳動物の心臓細胞をトランスフェクトする。
[0107]一部の実施形態では、対象は、ヒト、実験動物、例えばラット若しくはマウスなど、飼育動物、例えばイヌ、ウシ、ヒツジ、ブタ若しくはウマなど、又は非ヒト霊長類、例えばサルである場合がある。対象は、心臓障害、例えば心不全、虚血、心筋梗塞、うっ血性心不全、不整脈、移植片拒絶などを罹患している場合がある。一実施形態では、対象は、心不全を罹患している。別の具体的な実施形態では、対象は、不整脈を罹患している。一実施形態では、対象はヒトである。例えば、対象は18〜65歳である。別の実施形態では、対象は非ヒト動物である。
[0108]一実施形態では、対象は、心不全、例えば非虚血性心筋症、僧帽弁逆流症、虚血性心筋症、又は大動脈狭窄若しくは逆流症などを有する、又はそのリスクがある。
[0109]一部の実施形態では、BAG3タンパク質又はエフェクタードメインに融合されたBAG3タンパク質をコードしている核酸分子を用いた心臓細胞のトランスフェクションは、外側心室内径(lateral ventricle)短縮率を増加させる。一部の実施形態では、哺乳動物は、ヒトであり、疾患は、うっ血性心不全である。一部の実施形態では、心臓細胞のトランスフェクションは、前記融合の約4か月後に測定した場合、ポリヌクレオチドの融合前の外側心室内径短縮率と比較して少なくとも25%外側心室内径短縮率を増加させる。一部の実施形態では、心臓細胞のトランスフェクションは、BAG3タンパク質の発現、短縮率、駆出率、心拍出量、心弛緩の時定数及び逆流量からなる群から選択される心臓機能の測定値における改善を生じる。
[0110]処置は、収縮力に関連するパラメーターへの処置の効果を評価することによって評価され得る。例えば、SR Ca2+ATPase活性又は細胞内Ca2+濃度は、測定され得る。さらに、心臓又は心臓組織によって生じる力は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるStrauss et al.,Am.J.Physiol.,262:1437〜45,1992に記載の方法を使用して測定され得る。
[0111]改変核酸配列:本発明が、使用される核酸の性質によって限定されないことは、意図される。核酸は、DNA又はRNAである場合があり、2本鎖、1本鎖又は部分的に2本鎖形態で存在してもよい。
[0112]本発明において有用な核酸として、例示の方法により、非限定的に、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド、例えばアンチセンスDNA及び/又はRNAなど;リボザイム;shRNA;阻害性核酸;遺伝子治療のためのDNA;ウイルスDNA及び/又はRNAを含むウイルス断片;DNA及び/又はRNAキメラ;mRNA;プラスミド;コスミド;ゲノムDNA;cDNA;遺伝子断片;1本鎖DNA、2本鎖DNA、高次コイルDNA及び/又は三重らせんDNAが挙げられるDNAの種々の構造形態;Z−DNA;などが挙げられる。核酸は、典型的には大量に核酸を調製するために使用される任意の従来の手段によって調製され得る。例えば、DNA及びRNAは商業的に入手できる試薬及び合成機を使用して、当技術分野において十分周知である方法(例えば、Gait,1985,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,England)を参照されたい)によって化学的に合成され得る。RNAは、pGEM(商標)Tベクター又はSP65(Promega Corporation、Madison、Wis.)などのプラスミドを使用してin vitro転写を介して高収量で産生され得る。
[0113]したがって、本発明のある特定の核酸配列は、キメラ核酸配列である。「キメラ核酸配列」又は「キメラ」は、本発明の文脈では、少なくとも1つのヌクレオチドでそれぞれ構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含有する。これらの配列は、1つ又は複数の有利な特性(例えば、ヌクレアーゼ耐性の増加、細胞への取り込みの増加、標的に対する結合親和性の増加など)を付与する改変ヌクレオチドの少なくとも1つの領域を典型的には含有する。
[0114]本発明のキメラ核酸配列は、2つ以上のオリゴヌクレオチド、改変オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド及び/又はオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成されてもよい。かかる化合物は、当技術分野においてハイブリッド又はギャップマーとも称される。かかるハイブリッド構造の調製を教示する代表的米国特許は、これだけに限らないが、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,013,830号;第5,149,797号;第5,220,007号;第5,256,775号;第5,366,878号;第5,403,711号;第5,491,133号;第5,565,350号;第5,623,065号;第5,652,355号;第5,652,356号;及び第5,700,922号を含む。
[0115]本発明のために想定されるいくつかの改変核酸配列の具体的な例として、修飾された骨格、例えば、ホスホロチオエート、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキル若しくはシクロアルキル糖間連結又は短鎖ヘテロ原子若しくは複素環糖間連結を含むものが挙げられる。一部の実施形態では、改変オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を有するもの及びヘテロ原子骨格、CH−−NH−−O−−CH、CH,−−N(CH)−−O−−CH[メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として周知]、CH−−O−−N(CH)−−CH、CH−−N(CH)−−N(CH)−−CH及びO−−N(CH)−−CH−−CH骨格を有するものを含み、ここで天然ホスホジエステル骨格は、O−−P−−O−−CHと表される)。De Mesmaeker et al.Acc.Chem.Res.1995,28:366〜374)によって開示されたアミド骨格も本明細書に具現化されている。一部の実施形態では、モルホリノ骨格構造を有する核酸配列(Summerton and Weller,米国特許第5,034,506号)、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格がポリアミド骨格を用いて置き換えられているペプチド核酸(PNA)骨格、ポリアミド骨格のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合されている核酸塩基(Nielsen et al.Science 1991,254,1497)。核酸配列は、1つ又は複数の置換された糖成分も含む場合がある。核酸配列は、ペントフラノシル基の代わりにシクロブチルなどの糖模倣物を有する場合もある。
[0116]例示的な修飾オリゴヌクレオチド骨格は、これだけに限らないが、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル並びに通常の3’−5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’−5’結合類似物並びに、ヌクレオシド単位の隣接対が3’−5’から5’−3’又は2’−5’から5’−2’に結合されている逆位極性を有するものを含む。種々の塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
[0117]その中にリン原子を含まない例示的な修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間連結又は1つ若しくは複数の短鎖ヘテロ原子若しくはヘテロサイクリックヌクレオシド間連結によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から一部形成されている);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル(formacetyl)及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの;並びに他のN、O、S及びCH構成成分部分を混合して有するものを含む。
[0118]核酸配列は、追加的に又は代替的に、核酸塩基(当技術分野においてしばしば単に「塩基」と称される)改変又は置換も含み得る。本明細書において使用される場合、「未改変」又は「天然」ヌクレオチドは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。改変ヌクレオチドは、天然核酸においてまれに又は一時的に見られるだけのヌクレオチド、例えば、ヒポキサンチン、6−メチルアデニン、5−Meピリミジン、特に5−メチルシトシン(5−メチル−2’デオキシシトシンとも称され、当技術分野においてしばしば5−Me−Cと称される)、5−ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMC及びゲントビオシル(gentobiosyl)HMC並びに合成ヌクレオチド、例えば、2−アミノアデニン、2−(メチルアミノ)アデニン、2−(イミダゾリルアルキル)アデニン、2−(アミノアルキルアミノ)アデニン又は他のヘテロ置換アルキルアデニン、2−チオウラシル、2−チオチミン、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、8−アザグアニン、7−デアザグアニン、N6(6−アミノヘキシル)アデニン及び2,6−ジアミノプリン.(Kornberg,A.,DNA Replication,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,1980,pp75〜77;Gebeyehu,G.,(1987)et al.Nucl.Acids Res.15:4513)を含む。当技術分野において周知の「ユニバーサル」塩基、例えばイノシンも含まれ得る。
[0119]別の改変は、オリゴヌクレオチドの活性又は細胞取り込みを増強する1つ又は複数の成分又はコンジュゲートをオリゴヌクレオチドに化学的に連結することを含む。かかる成分として、これだけに限らないが、脂質成分、例えばコレステロール成分、コレステリル成分、コール酸など、チオエーテル、例えばヘキシル−5−トリチルチオールなど、脂肪族鎖、例えばドデカンジオール若しくはウンデシル残基など、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセリン若しくはトリエチルアンモニウムなど、1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミン若しくはポリエチレングリコール鎖又はアダマンタン酢酸が挙げられる。親油性成分を含む核酸配列及びかかるオリゴヌクレオチドを調製するための方法は、当技術分野において周知である、例えば、米国特許第5,138,045号、第5,218,105号及び第5,459,255号。
[0120]所与の核酸配列のすべての位置について均一に修飾される必要はなく、実際に1つより多い前述の修飾が単一の核酸配列に、又はかかる配列内の単一のヌクレオシド内にさえ組み込まれてもよい。本発明は、本明細書で既に定義されたキメラオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドも含む。
[0121]別の実施形態では、本発明のBAG3核酸分子は、これだけに限らないが脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質又はポリ炭水化物化合物が挙げられる別の成分とコンジュゲートされる。当業者は、これらの分子が核酸分子を含む任意の1つ又は複数のヌクレオチドに糖、塩基又はリン酸基のいくつかの位置で連結され得ることを認識する。
[0122]別の実施形態では、BAG3核酸配列は、ロックド核酸(LNA)を用いて置換された1つ又は複数のヌクレオチドを含む。LNA改変核酸配列は、親若しくは天然配列と同様のサイズを有する場合がある、またさらに長い若しくは短い場合がある。かかるLNA改変オリゴヌクレオチドは、約70%未満、又は約60%未満、又は約50%未満のLNAモノマーを含有する場合があり、それらのサイズは、約1〜25ヌクレオチドの間である。
[0123]アンチセンスBAG3−オリゴヌクレオチド:別の実施形態では、BAG3の発現を調節するオリゴヌクレオチド、例えば、転写制御エレメントによって、細胞又は患者における治療的転帰の予測である1つ又は複数のバリアントを含むBAG3の発現を減少させる必要がある場合がある。
[0124]一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、核酸配列に相補的な少なくとも5つの連続した塩基を含み、オリゴヌクレオチドは、in vivo又は in vitroでBAG3に特異的にハイブリダイズし、発現を調節する。別の実施形態では、本発明のオリゴマー化合物は、異なる塩基が化合物中の1つ又は複数のヌクレオチド位置に存在するバリアントも含む。例えば、第1のヌクレオチドがアデノシンである場合、バリアントは、この位置にチミジン、グアノシン又はシチジンを含有して産生される場合がある。これは、オリゴヌクレオチドの任意の位置で行われ得る。次にこれらの化合物は、標的核酸の発現を阻害するそれらの能力を決定するために本明細書に記載される方法を使用して検査される。
[0125]一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的との間の相同性、配列同一性又は相補性は、約50%〜約60%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約60%〜約70%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約70%〜約80%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約80%〜約90%である。一部の実施形態では、相同性、配列同一性又は相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%又は約100%である。
[0126]別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結と:アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホロアミデート、カルバメート、カーボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデート(acetamidate)、カルボキシメチルエステル及び/又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド間連結との組合せを含む。
[0127]別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸、ロックド核酸(LNA)分子、類似物、誘導体及び/又はこれらの組合せを含む少なくとも1つの修飾核酸塩基を任意選択で含む。
[0128]化合物の標的核酸への結合が活性の減少を生じるように標的核酸の通常の機能を干渉し、特異的結合が望ましい条件下でオリゴヌクレオチドの非標的核酸配列への非特異的結合を回避するために十分な程度の相補性がある場合に、オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能である。かかる条件として、すなわちin vivoアッセイ又は治療処置の場合では生理的条件、及びin vitroアッセイの場合ではアッセイが実施される条件が挙げられる。
[0129]DNA、RNA、キメラ、置換などであるかに関わらず、化合物の標的DNA又はRNA分子への結合が有用性の減少を生じるように標的DNA又はRNA分子の通常の機能を干渉し、特異的結合が望ましい条件下、すなわち、in vivoアッセイ又は治療処置の場合では生理的条件、及びin vitroアッセイの場合ではアッセイが実施される条件下で、オリゴヌクレオチドの非標的配列への非特異的結合を回避するために十分な程度の相補性がある場合に、オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能である。
[0130]アンチセンスの特異性及び感度も治療的使用のために当業者によって利用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物及びヒトの疾患状態の処置において治療成分として使用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトに安全かつ効果的に投与されており、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、オリゴヌクレオチドが細胞、組織及び動物、特にヒトの処置のための治療レジメンにおいて有用であるように構成され得る有用な治療成分であり得ことは確立されている。
[0131]本発明の実施形態では、オリゴマーオリゴヌクレオチド、特にオリゴヌクレオチドは、標的核酸分子に結合し、BAG3の増加から利益を受ける又は欠失、置換若しくは薬剤が使用されるいくつかの他の機序が具体的な対象に治療的に有益であるかどうかである、1つ又は複数のバリアントを含むBAG3遺伝子によってコードされる分子の発現を調節する。干渉されるDNAの機能は、例えば複製及び転写を含む。干渉されるRNAの機能は、例えば、RNAのタンパク質翻訳部位への移行、RNAからのタンパク質の翻訳、1つ又は複数のmRNA種を生じるRNAのスプライシング及びRNAによって関与又は促進され得る触媒活性などのすべての生体機能を含む。機能は、望ましい機能に応じて、上方制御又は抑制され得る。
[0132]オリゴヌクレオチドとして、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部カイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、代替スプライサー、プライマー、プローブ及び標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物が挙げられる。このようにこれらの化合物は、1本鎖、2本鎖、部分的に1本鎖又は環状オリゴマー化合物の形態で導入され得る。
[0133]本発明の文脈では、オリゴヌクレオチドの特定の核酸分子への標的化は、複数ステップ工程であり得る。工程は、その機能が調節される標的核酸の同定で一般に開始する。この標的核酸は、その発現が具体的な障害又は疾患状態と関連する、例えば細胞の遺伝子(又は遺伝子から転写されたmRNA)であり得る。
[0134]標的化工程は、望ましい効果、例えば、発現の調節がもたらされるアンチセンス相互作用が生じるような標的核酸内の少なくとも1つの標的領域、セグメント又は部位の決定も一般に含む。本発明の文脈において、用語「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能又は特徴を有する標的核酸の部分として定義される。標的核酸の領域内は、セグメントである。「セグメント」は、標的核酸内の領域の小さなまた一部の部分として定義される。本発明において使用される場合「部位」は、標的核酸内の位置として定義される。
[0135]別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのコード及び/又は非コード領域に結合し、標的分子の発現及び/又は機能を調節する。
[0136]別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは天然アンチセンスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現及び/又は機能を調節する。「機能」の例は、転写の負の制御因子を阻害するものであってもよく、それにより所望の分子、例えば、BAG3などの発現の増加を可能にする。
[0137]別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、センスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現及び/又は機能を調節する。
[0138]本発明の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、具体的な標的のアンチセンス鎖に結合する。オリゴヌクレオチドは、長さ少なくとも5ヌクレオチドであり、各オリゴヌクレオチドが重複する配列を標的化するように合成されてもよく、それによりオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの全長を網羅するように合成される。標的は、コード及び非コード領域も含む。
[0139]本発明によるアンチセンス化合物として、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本又は2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物及び、標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズし、その機能を調節する他のオリゴマー化合物が挙げられる。これにより、それらは、DNA、RNA、DNA様、RNA様若しくはこれらの混合物である場合がある、又はこれらの1つ若しくは複数の模倣物である場合がある。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状又はヘアピンオリゴマー化合物である場合があり、内部若しくは末端バルジ、ミスマッチ又はループなどの構造エレメントを含有する場合がある。アンチセンス化合物は、日常的に直鎖状に調製されるが、環状及び/又は分枝状に接続又はそうでなければ調製され得る。アンチセンス化合物は、例えば、完全に若しくは部分的に2本鎖の化合物を形成するようにハイブリダイズする2本の鎖、又はハイブリダイゼーション及び完全に若しくは部分的に2本鎖の化合物の形成を可能にするように十分な自己相補性を有する1本の鎖などの構築物を含む。2本の鎖は、遊離3’又は5’末端を残したまま内部で連結されてもよく、連続的なヘアピン構造又はループを形成するように連結されてもよい。ヘアピン構造は、5’又は3’末端のいずれかに1本鎖の特徴の伸展を生じるオーバーハングを含有する場合がある。2本鎖化合物は、末端にオーバーハングを任意選択で含んでもよい。さらなる改変として、一方の末端、選択された核酸塩基位置、糖位置又はヌクレオシド間連結の1つに結合されたコンジュゲート基を含む場合がある。代替的に、2本の鎖は、非核酸成分又はリンカー基を介して連結され得る。1本の鎖だけから形成される場合、dsRNAは、二重鎖を形成するようにそれ自体に折り返す自己相補性ヘアピン型分子の形態をとる場合がある。したがってdsRNAは、完全に又は部分的に2本鎖である場合がある。遺伝子発現の特異的な調節は、トランスジェニック細胞株におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成され得るが、ある特定の実施形態では、遺伝子発現は上方制御される。2本の鎖から形成される、又は二重鎖を形成するようにそれ自体に折り返す自己相補性ヘアピン型分子の形態をとる1本鎖の場合、2本鎖(又は、1本鎖の二重形成領域)は、塩基がWatson−Crick様式で対になる相補性RNA鎖である。
[0140]別の実施形態では、所望のオリゴヌクレオチド又はアンチセンス化合物は:アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド、修飾連結を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉RNA(RNAi)、短鎖干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過性RNA(stRNA);又は短いヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);低分子活性化RNA(saRNA)又はこれらの組合せの少なくとも1つを含む。
[0141]dsRNAは、遺伝子発現、「低分子RNA誘導遺伝子活性化」又はRNAaと呼ばれる機構も活性化できる。dsRNAs標的化遺伝子プロモーターは、関連遺伝子の強力な転写活性化を誘導する。RNAaは、「低分子活性化RNA」(saRNA)と呼ばれる合成dsRNAを使用してヒト細胞において実証された。
[0142]低分子2本鎖RNA(dsRNA)は、低分子活性化RNA(saRNA)としても作用できる。理論に束縛されることなく、遺伝子プロモーター中の配列を標的化することによって、saRNAは、dsRNA誘導転写活性化(RNAa)と称される現象において標的遺伝子発現を誘導する。
[0143]一部の実施形態では、リボ核酸配列は、BAG3の転写を調節するゲノムの制御セグメントに特異的である。そのため候補治療剤は、細胞においてBAG3の発現を活性化するdsRNAである場合があり、処置を必要とする患者に投与される。
[0144]ペプチド:別の実施形態では、BAG3ペプチドは、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)野生型、キメラ又はそのcDNA配列を含む核酸によってコードされる。ペプチドは、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)の合成ペプチドであってもよい。
[0145]ペプチド配列がBCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子の天然又はそのcDNA配列に限定されないことは理解される。当業者は、タンパク質又はペプチドの一次配列を変更するが、その機能を通常変更しない保存的アミノ酸変化が作製され得ることを認識する。保存的アミノ酸置換として、典型的には、次の群:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシンの内での置換が挙げられる。
[0146]保存的置換は、アミノ酸の種類に基づいても作製され得る:脂肪族(バリン、イソロイシン、ロイシン及びアラニン);荷電(アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン及びヒスチジン);芳香族残基(フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン);並びに含硫(メチオニン及びシステイン)。ポリペプチド配列は、少なくとも約68%同一性、少なくとも約70%同一性又は少なくとも約71%同一性をBCL2関連アサノジーン3(BAG3)核酸配列、又はそのcDNA配列に有する。
[0147]2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性百分率の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成できる。例えば、2つの配列を比較するために有用な数学アルゴリズムは、Karlin and Altschul(1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264〜2268)のアルゴリズムであり、Karlin and Altschul(1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877)のとおり改変される。このアルゴリズムは、Altschul,et al.(1990,J.Mol.Biol.215:403〜410)のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれ、例えば、ウェブページアドレスhttp://blast(dot)ncbi(dot)nlm(dot)nih(dot)gov/blast.cgi/を有する、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のワールドワイドウェブサイトで接続できる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム(NCBIウェブサイトで「blastn」と指定される)で、次のパラメーター:ギャップペナルティ=5;ギャップ伸長ペナルティ=2;ミスマッチペナルティ=3;マッチリワード=1;期待値10.0;及び本明細書に記載される核酸とのヌクレオチド配列相同性を得るためのワードサイズ=11を使用して実施され得る。BLASTタンパク質検索は、次のパラメーター:期待値10.0、本明細書に記載されるタンパク質分子へのアミノ酸配列相同性を得るための、BLOSUM62スコアリングマトリクスを使用してXBLASTプログラム又はNCBI「blastp」プログラム、で実施され得る。比較目的のためのギャップを作った配列比較を得るために、Gapped BLASTは、Altschul et al.(1997,Nucleic Acids Res.25:3389〜3402)に記載のとおり利用され得る。代替的に、PSI−Blast又はPHI−Blastは、分子間の遠縁及び共通パターンを共有する分子の関係を検出する繰り返し検索を実施するために使用され得る。BLAST、Gapped BLAST、PSI−Blast及びPHI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)の初期設定パラメーターは、使用され得る。同一性百分率を算出することにおいて、典型的には正確なマッチが計数される。
[0148]本発明の実施形態は、直接又はペプチドリンカーを介して間接的に第2のポリペプチド配列に作動可能に融合されたBCL2関連アサノジーン3(BAG3)ポリペプチドを含むハイブリッドタンパク質をコードしているポリヌクレオチドも含む。リンカー配列は、当技術分野において十分周知である。一実施形態では、ハイブリッドタンパク質は、BAG3ポリペプチド又はレポーターポリペプチドなどの検出可能な成分に作動可能に連結されたBAG3ポリペプチドを含み、ここでレポーターポリペプチドは、BAG3ポリペプチドのN又はC末端に直接又は間接的に融合されている。例示的レポーターポリペプチドとして、ルシフェラーゼ(LUC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)及びGFP誘導体が挙げられる。
[0149]BAG3ポリペプチド又はその断片を含むハイブリッドタンパク質は、レポーターポリペプチドに加えて、又はレポーターポリペプチドに代えて、別の種類のポリペプチドに連結され得る。これらの追加的ポリペプチドは、ペプチドの精製、同定、及び/又は治療的若しくは予防的適用のために有用である任意のアミノ酸配列であり得る。加えて、追加的ポリペプチドは、シグナルペプチド又は標的化ペプチドなどであってもよい。
[0150]一部の場合では、他の付加、置換又は欠失は、ポリペプチドの安定性(これだけに限らないが、タンパク質分解への抵抗性が挙げられる)を増加させる、又は適切な受容体、リガンド及び/若しくは結合タンパク質に対するポリペプチドの親和性を増加させる場合がある。一部の場合では、他の付加、置換又は欠失は、ポリペプチドの溶解度を増加させる場合がある。一部の実施形態では、部位は、非天然アミノ酸の組み込みのための別の部位に加えて、組換え宿主細胞での発現後にポリペプチド溶解度を増加させる目的のための天然でコードされる又は非天然アミノ酸を用いた置換のために選択される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、関連するリガンド、結合タンパク質、及び/又は受容体に対する親和性を調節する、受容体二量体化を調節する(これだけに限らないが、増加させる又は減少させることが挙げられる)、受容体二量体を安定化させる、循環半減期を調節する、放出若しくは生物学的利用率を調節する、精製を促進する、又は投与の具体的な経路を改善若しくは変更する、別の付加、置換又は欠失を含む。同様に、非天然アミノ酸ポリペプチドは、化学的若しくは酵素切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応基、抗体結合ドメイン(これだけに限らないが、FLAG若しくはポリ−Hisが挙げられる)又は他の親和性に基づく配列(これだけに限らないが、FLAG、ポリ−His、GSTなどが挙げられる)又は、検出(これだけに限らないが、GFPが挙げられる)、精製、組織若しくは細胞膜を通じた輸送、プロドラッグ放出又は活性化、サイズ低減又はポリペプチドの他の特性、を改善する連結された分子(これだけに限らないが、ビオチンが挙げられる)を含み得る。
[0151]本明細書に記載される方法及び組成物は、1つ又は複数の非天然アミノ酸のポリペプチドへの組み込みを含む。1つ又は複数の非天然アミノ酸は、ポリペプチドの活性を破壊しない1つ又は複数の具体的な位置に組み込まれ得る。これは、「保存的」置換を作製すること、これだけに限らないが、疎水性アミノ酸を非天然若しくは天然の疎水性アミノ酸を用いて置換すること、かさ高いアミノ酸を非天然若しくは天然のかさ高いアミノ酸を用いて置換すること、親水性アミノ酸を非天然若しくは天然の親水性アミノ酸を用いて置換することが挙げられる)及び/又は、活性に必要ない位置に非天然アミノ酸を挿入すること、によって達成され得る。
[0152]種々の生化学及び構造的アプローチは、ポリペプチド内の非天然アミノ酸を用いた置換のための望ましい位置を選択するために使用され得る。ポリペプチド鎖の任意の位置は、非天然アミノ酸を組み込むための選択のために好適であり、選択は、合理的な設計に基づいて、又は具体的な望ましい目的のための若しくは目的のない無作為選択によってであり得る。望ましい位置の選択は、これだけに限らないが、アゴニスト、スーパーアゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合モジュレーター、受容体活性モジュレーター、結合パートナーへの結合のモジュレーター、結合パートナー活性モジュレーター、結合パートナーコンホメーションモジュレーター、二量体若しくは多量体形成、天然分子と比較して活性若しくは特性に変化がないことが挙げられる、任意の望ましい特性又は活性を有する非天然アミノ酸ポリペプチド(さらに改変され得る又は未改変のままであり得る)を産生すること、又は溶解度、凝集又は安定性などのポリペプチドの任意の物理的若しくは化学的特性を操作することに基づき得る。例えば、ポリペプチドの生物学的活性のために必要なポリペプチド中の位置は、これだけに限らないが、点変異分析、アラニンスキャンニング又はホモログスキャンニング法が挙げられる方法を使用して同定され得る。これだけに限らないが、アラニン又はホモログスキャンニング変異導入が挙げられる方法によって生物学的活性に重要であると同定されたもの以外の残基は、ポリペプチドに求められる望ましい活性に応じた非天然アミノ酸を用いた置換のための良好な候補である可能性がある。代替的に、生物学的活性に重要であると同定された部位は、この場合も、ポリペプチドに求められる望ましい活性に応じた非天然アミノ酸を用いた置換のための良好な候補である可能性がある。別の選択肢は、ポリペプチド鎖上の各位置に系列置換を非天然アミノ酸を用いて作製し、ポリペプチドの活性への効果を観察することである。任意のポリペプチドへの非天然アミノ酸を用いた置換のための位置を選択するための任意の手段、技術又は方法は、本明細書に記載される方法、技術及び組成物における使用のために好適である。
[0153]候補薬剤及びスクリーニングアッセイ
[0154]本明細書で具現化される組成物は、創薬及び標的の検証の領域においても適用され得る。本発明は、Bcl−2関連アサノジーン−3(BAG3)ポリヌクレオチドと疾患状態、表現型又は状態との間に存在する関係を明らかにする創薬の努力における本明細書において具現化される核酸配列及びペプチドの使用を包含する。方法は、患者試料中において、対照BAG3核酸配列と比較して少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントを同定すること;及び、BAG3遺伝的多様性を有するとして同定された患者に薬剤の治療有効量を投与することを含み、ここで薬剤は、正常対照と比較して、BCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を調節する。ある特定の実施形態では、遺伝的バリアントは、単一ヌクレオチドバリアント(SNV)インフレーム挿入、欠失、置換又はこれらの組合せである。ある特定の実施形態では、SNVは:p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、非極性アミノ酸をコードしている。ある特定の実施形態では、インフレーム挿入は、160位にアラニンをコードしている。
[0155]本発明のスクリーニングアッセイは、動物モデル、細胞に基づくシステム及び細胞に基づかないシステムを好適に含み、具現化する。本明細書において具現化される核酸配列及びペプチドは、例えば化合物のライブラリーをスクリーニングすることによって治療目的の薬剤を同定するために、又は他に種々の薬物スクリーニング若しくは分析技術若しくは新規化合物の合成によって目的の化合物を同定するために使用される。かかるスクリーニングにおいて使用される遺伝子、対立遺伝子、断片又はそのオリゴペプチドは、溶液中で遊離、固体支持体に着けて、細胞表面由来又は細胞内に位置付けられている場合がある。測定は、以下の実施例セクションに詳細に記載されるとおり実施される。実施形態では、候補薬剤のスクリーニングは、BAG3の翻訳を調節するものを同定するために実施される。
[0156]アッセイは、in vitro又はin vivo形式のものであり得る。目的のin vitro形式は、例えば細胞が存在する水性媒体などの培地中に基質を導入することによって接触が生じる細胞ベース形式を含む。さらに他の実施形態では、アッセイは、細胞を含む多細胞生物が使用されるin vivoである場合がある。本明細書において具現化される核酸配列をコードしている標的化ベクターと標的細胞(複数可)との接触は、任意の従来のプロトコールを使用して達成され得る。標的細胞が多細胞生物、例えば動物の一部として存在するこれらの実施形態では、ベクターは、多細胞生物、例えば動物全体に好都合に投与され(例えば、注射される、給餌されるなど)、投与は、全身性又は局所性、例えば多細胞生物の特定の組織(複数可)及び/又は器官(複数可)に直接であり得る。
[0157]目的の多細胞生物として、これだけに限らないが:昆虫、鳥類種などの脊椎動物、例えばニワトリ;哺乳動物、げっ歯類、例えば、マウス、ラットを含む;有蹄動物、例えばブタ、ウシ、ウマ;イヌ、ネコ、霊長類、例えばサル、類人猿、ヒト;などが挙げられる。したがって目的の標的細胞として、これだけに限らないが:昆虫細胞、脊椎動物細胞、特に鳥類細胞、例えば、ニワトリ細胞;哺乳動物細胞、例えばマウス、ブタ、有蹄動物、ヒツジ、ウマ、ラット、イヌ、ネコ、サル及びヒト細胞;などが挙げられる。
[0158]ある特定の実施形態では、対象の方法は、ハイスループット(HT)形式で実施される。対象の発明の対象のHT実施形態では、複数の異なる細胞は、同時にアッセイ又は検査される。同時に検査によって、複数の細胞それぞれが実質的に同時に検査されることが意味される。一般に、対象HT方法において同時に検査される細胞の数は、約10〜10,000個、通常約100〜10,000個、ある特定の実施形態では、約1000〜5000個の範囲である。候補薬剤の活性を決定するための種々のハイスループットスクリーニングアッセイは、当技術分野において周知であり、本発明に容易に適応され、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるSchultz(1998)Bioorg Med Chem Lett 8:2409−2414;Fernandes(1998)Curr Opin Chem Biol 2:597〜603に記載のもの;及び米国特許第6,127,133号に記載のものが挙げられる。
[0159]実施形態では、検出可能な成分は、目的の薬剤にコンジュゲートされ、ここで検出可能な成分は:発光成分、化学発光成分、蛍光成分、生物発光成分、酵素、天然又は合成成分を含む。
[0160]候補薬剤:方法は、候補薬剤として任意の検査化合物を用いて実行され得る。本発明の方法を実行することに有用な検査化合物は、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固相又は溶液相ライブラリー、逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、及び親和性クロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法が挙げられる当技術分野において周知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを使用して得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定される一方で、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマー又は化合物の小分子ライブラリーに適用可能である(Lam,1997,Anticancer Drug Des.12:145)。
[0161]分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当技術分野において、例えば:DeWitt et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909〜6913;Erb et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422〜11426;Zuckermann et al.,1994,J.Med.Chem.37:2678〜2685;Cho et al.,1992,Science 261:1303〜1305;Carell et al.,1994,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059〜2061;Carell et al.,1994,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061〜2064;及びGallop et al.,1994,J.Med.Chem.37:1233〜1251、において見出すことができる。
[0162]化合物のライブラリーは、溶液(例えば、Houghten,1992,Bio/Techniques 13:412〜421)、又はビーズ(Lam,1991,Nature 354:82〜84)、チップ(Fodor,1993,Nature 364:555〜556)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;及び第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)、又はファージ(Scott and Smith,1990,Science 249:386〜390;Devlin,1990,Science 249:404〜406;Cwirla et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378〜6382;及びFelici,1991,J Mol.Biol.222:301〜310)で提示される場合がある。
[0163]スクリーニングされ得る商業的に入手可能なライブラリーとして、これだけに限らないが、TimTec Natural Product Library(NPL)、NPL−640及びTimTec NDL−3000Libraryが挙げられる。ポリアミンをモデルにした化合物(すなわち、ポリアミン類似物)を含むライブラリーもスクリーニングされ得る。
[0164]ある特定の実施形態では、候補薬剤は、小分子又は大分子リガンドである。小分子リガンドによって、約50〜約10,000ダルトン、一般的に約50〜約5,000ダルトン及びさらに一般的に約100〜約1000ダルトンのサイズの範囲のリガンドが意味される。大分子によって、分子量で約10,000ダルトン又はこれを超えるサイズの範囲のリガンドが意味される。
[0165]方法は、さまざまな濃度の検査候補及び/又は、反応の持続時間などのさまざまな検査条件を使用して反復して実施され得る。方法によって同定され得る検査候補は、特異性、用量依存性、in vivoでの有効性などを検証するための当技術分野の従来の方法を使用してさらに検査され得る。検査候補は、追加的検査候補を開発するためのリード化合物として役立ち得る。
[0166]プロトタイプ化合物又は薬剤は、当業者に利用可能な任意の情報に基づいて治療活性を有すると考えられている。例えば、プロトタイプ剤は、Physician’s Desk Referenceにある情報に基づいて治療活性を有すると考えられている。非限定的な例の方法に加えて、化合物は、臨床医の経験、化合物の構造、構造活性関連性データ、EC50、アッセイデータ、IC50アッセイデータ、動物若しくは臨床研究又は任意の他の根拠、又はそのような根拠の組合せに基づいて治療活性を有すると考えられている。
[0167]治療的に活性な化合物又は薬剤は、例えば、対象に投与される、又はin vitroで検査される場合に特定の応答を誘導する薬剤の能力が挙げられる治療活性を有する薬剤である。治療活性として、予防的及び寛解性の処置の両方が挙げられる疾患又は状態の処置を含む。疾患又は状態の処置は、疾患又は状態の予防、回復及び消失を含む、疾患又は状態の任意の程度の改善を含み得る。治療活性は、一実施形態では反応性酸素中間体による損傷を伴う任意の疾患又は障害に対してを含む、任意の疾患又は状態に対して行われ得る。治療活性を判定するために、化合物の治療活性が評価され得る任意の方法が使用され得る。例えば、例えば臨床評価、EC50及びIC50アッセイ並びに用量応答曲線を含むin vivo及びin vitro法の両方が使用され得る。
[0168]本発明のアッセイでの使用のための、又は有用な薬理学的薬剤として本発明のアッセイにおいて同定された候補化合物は、当技術分野において既に周知の薬理学的薬剤若しくはそのバリアントであり得る、又は薬理学的活性を有することがそれ以前に周知でない化合物であってもよい。候補化合物は、天然に存在してもよく、又は研究所において設計されてもよい。候補化合物は、単一のジアステレオマー、1つより多いジアステレオマー又は単一の鏡像異性体若しくは1つより多い鏡像異性体を有する場合がある。
[0169]候補化合物は、微生物、動物又は植物から単離され得る、例えば、組換え的に産生され得る、又は当技術分野において周知の化学的方法によって合成され得る。所望により、本発明の候補化合物は、これだけに限らないが、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固相又は溶液相ライブラリー、逆重畳積分を必要とする合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、及び親和性クロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法が挙げられる当技術分野において周知の多数のコンビナトリアルライブラリー法のいずれかを使用して得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ポリペプチドライブラリーに限定される。他の4つのアプローチは、ポリペプチド、非ペプチドオリゴマー又は化合物の小分子ライブラリーに適用可能であり、本発明における例示的アプローチである。Lam,Anticancer Drug Des.12:145〜167(1997)を参照されたい。
[0170]一実施形態では、本発明は、好適なプロドラッグとして候補化合物を同定する方法を提供する。好適なプロドラッグは、本発明の方法によって同定され得る任意のプロドラッグを含む。当業者に明らかな任意の方法は、好適なプロドラッグとして候補化合物を同定するために使用され得る。
[0171]別の態様では、本発明は、治療剤としての適合性について候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。治療剤の適合性についてのスクリーニングは、治療剤としての化合物の能力に影響を与え得る化合物に関連する1つ、数個の又は多数の判断基準の評価を含み得る。例えば、有効性、安全性、効率、保持率、局所性、組織選択性、分解又は細胞内残留性などの因子も検討され得る。一実施形態では、治療剤としての適合性についての候補化合物をスクリーニングする方法は提供され、ここで方法は、好適なプロドラッグとして同定された候補化合物を提供すること、候補化合物の治療活性を判定すること、候補化合物の細胞内残留性を判定することを含む。細胞内残留性は、例えば、放射性トレーサー、重同位元素標識又はLCMSによってなど当業者に明らかな任意の技術によって測定され得る。
[0172]治療剤としての適合性についての化合物のスクリーニングにおいて、候補化合物の細胞内残留性が評価される。一実施形態では、薬剤は、本明細書において具現化される組成物の翻訳を調節するその能力に関して、候補治療剤への応答について経時的に評価される。
[0173]別の実施形態では、本明細書において具現化される組成物の可溶性及び/又は膜結合形態、例えばタンパク質、変異体又はこれらの生物学的に活性な部分は、候補薬剤をスクリーニングするためのアッセイにおいて使用され得る。タンパク質の膜結合形態が使用される場合、可溶化剤を利用することは望ましい場合がある。かかる可溶化剤の例として、非イオン性界面活性剤、例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、トリトン(TRITON)(商標)X−100、トリトン(商標)X−114、THESIT(商標)、イソトリデシポリ(Isotridecypoly)(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンミニオ(dimethylamminio)]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)又はN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートなどが挙げられる。
[0174]無細胞アッセイが使用される場合もあり、生物発光成分を含むBAG3分子(核酸又はペプチド)及び検査化合物を含む反応混合物を、翻訳及び/又は転写活性の経時的な測定を可能にする条件及び期間並びに検査薬剤の濃度で調製することを含む。
[0175]マイクロアレイ:標的分子に結合できる核酸配列又はペプチドの同定は、核酸のライブラリーを固有の各核酸がアレイを形成するように規定の位置に位置付けて基質表面に固定することによって達成され得る。一般に、核酸又はペプチドの固定化ライブラリーは、生体分子の核酸又はペプチドへの結合を支持する条件下で生体分子又は候補薬剤に曝露される。次いでアレイは、どの核酸配列又はペプチドが生体分子に結合するかを判定するために本明細書において具現化される方法によって分析される。かかる生体分子は、結合核酸又はペプチドの位置の検出における使用のために予め決定された標識を保有してもよい。
[0176]BAG3核酸配列の固定化アレイを使用するアッセイは、未知の核酸の配列;単一ヌクレオチド多型(SNP)分析;特定の種、組織、細胞型など由来のBAG3遺伝子発現パターンの分析;遺伝子同定;などを決定するために使用され得る。
[0177]さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチド又はいずれかのBAG3ポリヌクレオチド配列由来の長い断片は、マイクロアレイにおいて標的として使用され得る。マイクロアレイは、標的遺伝子又はその産生物が相互作用する遺伝子を同定するため、及び/又は例えば、神経学的障害を媒介する遺伝子の発現産生物を制御することにおける候補治療剤の有効性を評価するのと同時に、多数の遺伝子及び遺伝子転写物の同一性及び/又は発現レベルをモニターするために使用され得る。この情報は、遺伝子機能を決定し、治療剤を開発し、活性をモニターするために使用され得る。
[0178]マイクロアレイは、当技術分野において周知の方法を使用して調製、使用及び分析され得る(例えば、Brennan et al.,1995,米国特許第5,474,796号;Schena et al.,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:10614〜10619;Heller et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:2150〜2155;及びHeller et al.,1997、米国特許第5,605,662号を参照されたい)。他の実施形態では、マイクロアレイは、BAG3ペプチド又は、候補薬剤を同定するためにアッセイされ得る他の望ましい分子を含む。
[0179]別の実施形態では、心疾患又は障害の処置又は予防のための候補薬剤をスクリーニングするための方法は、試料を候補治療剤と接触させること、及び薬剤が標的に有する効果を測定することを含む。例えば、薬剤は、BAG3発現を制御でき、次いで薬剤は、治療効果の可能性(モニターされるパラメーター、例えば発現、の増加又は減少)についてさらに研究され得る。異常な発現状態は、心不全、疾患、がん、遺伝的欠陥及び/又は毒素などの病態によって生じる場合がある。
[0180]抗体。有用な診断アッセイは、BAG3に特異的に結合する1つ又は複数の抗体を含む場合がある。一部の実施形態では、抗体は、変異体BAG3に特異的に結合する。用語抗体は、免疫グロブリンに基づく結合分子を広範に指して使用され、用語は、従来の抗体(例えば、クラスGの四量体抗体(例えば、IgG1))、それらの目的の標的に結合する能力を保持しているその断片(例えば、Fab’断片)及び1本鎖抗体(scFvs)を包含する。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであってもよく、ヒト、マウス、ウサギ、ヒツジ若しくはヤギ細胞によって、又はこれらの細胞由来の融合細胞によって産生され得る。抗体は、ヒト化、キメラ又は二重特異性であってもよい。
[0181]抗体は、種々の立体配置を想定でき、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ又は複数のポリペプチドからなるタンパク質を包含できる。未処置抗体、抗体多量体若しくは抗体断片又は、抗体の機能性、抗原結合領域を含むその他のバリアントを含む種々の抗体構造にいずれか1つが使用され得る。本発明者らは、用語「免疫グロブリン」を「抗体」と同意語として使用する場合がある。抗体は、起源においてモノクローナル又はポリクローナルであってもよい。抗体の供給源にかかわらず、好適な抗体として、未処置抗体、例えば2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖を有するIgG四量体、1本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、相補性決定領域(CDR)移植抗体及び抗体断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、及びかかる断片由来の組換え抗体、例えば、ラクダ抗体、マイクロ抗体、二重特異性抗体及び二特異性抗体が挙げられる。
[0182]未処置抗体は、抗原結合可変領域(V及びV)並びに軽鎖定常ドメイン(C)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えばヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであってもよい。当技術分野において十分周知であるとおり、V及びV領域は、さらに保存されたフレームワーク領域(FR)が組み入れられた、「相補性決定領域」(CDR)と称される超変異性の領域にさらに細分される。
[0183]抗BAG3抗体は、任意のクラスの免疫グロブリン、例えば、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM(並びにそのサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4))由来であってもよく、免疫グロブリンの軽鎖は、カッパ又はラムダ型であってもよい。認められているヒト免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1及びIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子並びに多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。
[0184]用語、免疫グロブリン又は抗体の「抗原結合部分」は、一般に標的、この場合BAG3ポリペプチド上のアミノ酸残基を含むエピトープ、に特異的に結合する免疫グロブリンの部分を指す。免疫グロブリンの抗原結合部分は、したがって、1つ又は複数の免疫グロブリン鎖が全長ではないが細胞性標的に特異的に結合する分子である。抗原結合部分又は断片の例として:(i)Fab断片、VLC、VHC、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2個のFab断片を含む二価断片;(iii)抗体の単一の腕のVLC及びVHCドメインからなるFv断片、並びに(v)例えば可変領域の抗原結合部分に特異的に結合するために十分なフレームワークを有する単離されたCDRが挙げられる。軽鎖可変領域の抗原結合部分及び重鎖可変領域の抗原結合部分、例えば、Fv断片の2つのドメイン、VLC及びVHCは、組換え方法を使用して、VLC及びVHC領域が一価分子(1本鎖Fv(scFv)として周知、を形成するように対になる単一のタンパク質鎖として作製され得るようにする合成リンカーによって、接続され得る。かかるscFvは、本発明の標的剤である場合があり、用語、抗体の「抗原結合部分」によって包含される。
[0185]「Fv」断片は、完全な抗原認識及び結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、固く非共有結合的に会合している1個の重鎖及び1個の軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3個の高頻度可変性領域がV−V二量体の表面上の抗原結合部位を規定するように相互作用する立体配置にある。6個の高頻度可変性領域が抗原結合特異性を付与する一方で、単一の可変ドメイン(又は、抗原に特異的な高頻度可変性領域を3個だけ含むFvの半分)でさえ、完全な結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を有する。安定性を改善するために、V−Vドメインは、1本鎖Fv又はscFV抗体断片を形成するように(GlySer)などの可動性ペプチドリンカーによって接続され得る、又はジスルフィド安定化Fv(dsFv)を生じるようにフレームワーク領域に2個のシステイン残基を導入することによってジスルフィド結合を形成するように操作される場合がある。抗体の断片は、それらが全長抗体の望ましい特異性及び/又はBAG3ポリペプチドに特異的に結合するために十分な特異性を保持している限り、提供される方法における使用のために好適である。
[0186]本発明の組成物は、(1)閾値レベルの結合活性を示す;及び/又は(2)周知の関連ポリペプチド分子と顕著に交差反応しない、抗体を含む。抗体の結合親和性は、当業者によって、例えばScatchard分析(Scatchard,AnnNY Acad,Sci.51:660〜672(1949))によって容易に決定され得る。
[0187]一部の実施形態では、抗BAG3抗体は、BAG3にいくらかの相同性を有することが予測される他のタンパク質によりも標的抗BAG3について少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、10倍、10倍、10倍、10倍又はそれより多くそれらの標的エピトープ又は模倣物デコイに結合できる。
[0188]一部の実施形態では、抗BAG3抗体は、10−4M以下、10−7M以下、10−9M以下の高親和性、又はナノモル以下の親和性(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1nM又はさらに少なく)を有して結合する。一部の実施形態では、抗BAG3抗体のそれらそれぞれの標的に対する結合親和性は、少なくとも1×10Kaである。一部の実施形態では、抗BAG3抗体のBAG3に対する結合親和性は、少なくとも5×10Ka、少なくとも1×10Ka、少なくとも2×10Ka、少なくとも1×10Ka又はそれを超える。抗体は、BAG3に対するそれらの結合親和性の観点からも記載又は指定され得る。一部の実施形態では結合親和性として、5×10−2M、10−2M、5x10−3M、10−3M、5x10−3M、10−4M、5x10−5M、10−5M、5x10−6M、10−6M、5x10−7M、10−7M、5x10−8M、10−8M、5x10−9M、5x10−10M、10−10M、5x10−11M、10−11M、5x10−12M、10−12M、5x10−13M、10−13M、5x10−14M、10−14M、5x10−15M未満又は10−15M以下のKdを有するものを含む。
[0189]一部の実施形態では、抗体は、周知の関連ポリペプチド分子に結合せず;例えばそれらは、BAG3に結合するが、周知の関連ポリペプチドにしない。一部の実施形態では、抗体は、変異体BAG3ポリペプチド、例えば10個の塩基対欠失を有するBAG3ポリペプチドに特異的に結合するが、野生型BAG3ポリペプチドにしない。抗体はBAG3に特異的に結合する抗体集団を単離するために周知の関連ポリペプチドに対してスクリーニングされ得る。
[0190]本発明の診断アッセイとして、同時免疫電気泳動、放射免疫アッセイ(RIA)、放射性免疫沈降法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロット又はウエスタンブロットアッセイ、阻害又は競合的アッセイ及びサンドイッチアッセイが挙げられる。抗BAG3抗体は、レポーター又はマーカー(例えば、検出可能マーカー)とも称される場合があるタグを含み得る。検出可能マーカーは、タグ付きペプチドの発現又は活性の定性的及び/又は定量的評価を可能にする抗BAG3抗体又はその生物学的に活性断片に共有結合で連結される任意の分子であり得る。活性は、生物学的活性、物理化学的活性又はこれらの組合せを含む。検出可能マーカーの形態及び位置の両方は、標識化抗体が生物学的活性を保持している限り、変動する場合がある。多数の異なるマーカーを使用することができ、具体的なマーカーの選択は、望ましい適用に依存する。標識化抗BAG3抗体は、例えば、生物学的試料、例えば、尿、唾液、脳脊髄液、血液若しくは生検試料中のBAG3若しくは変異体BAG3のレベルを評価するため、又は心血管系治療剤、例えば上に記載されるBAG3構築物への臨床応答の評価のために使用され得る。
[0191]薬剤にコンジュゲートされ得る例示的な検出可能な標識として、バリウム、ジアトリゾエート、ヨード化ケシ油エチルエステル、クエン酸ガリウム、イオカルミン酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、ヨーグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、イオプロセム酸、イオセファミック酸(iosefamic acid)、イオセリック酸(ioseric acid)、イオスラミドメグルミン、イオセメチック酸、イオタスル(iotasul)、イオテトリック酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソアトリゾイック(ioxotrizoic)酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン及び塩化タリウムなどの放射線不透過性又は造影剤が挙げられる。代替的に又は付加的に、検出可能な標識は、蛍光標識、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリテリン(phycoerytherin)、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒド(o−phthaldehyde)及びフルオレサミン;ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルからなる群から選択される化学発光化合物;リポソーム又はデキストラン;又は生物発光化合物、例えばルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリン、であり得る。
[0192]好適なマーカーとして、例えば、酵素、光親和性リガンド、放射性同位元素及び蛍光又は化学発光化合物が挙げられる。ペプチドに検出可能マーカーを導入する方法は、当技術分野において十分周知である。マーカーは、合成の際に又は合成後に付加され得る。組換え抗BAG3抗体又はその生物学的に活性なバリアントは、形質転換された細胞が増殖する培養培地への標識化前駆体(例えば、放射標識されたアミノ酸)の添加によっても標識化され得る。一部の実施形態では、ペプチドの類似物又はバリアントは、検出可能マーカーの組み込みを促進するために使用され得る。例えば、任意のN末端フェニルアラニン残基は、125Iを用いて容易に標識され得るチロシンなどの近い関連芳香族アミノ酸を用いて置き換えられ得る。一部の実施形態では、有効な標識化を支持する追加的官能基は、抗BAG3抗体又はその生物学的に活性なバリアントの断片に付加される場合がある。例えば、3−トリブチルチンベンゾイル基は、天然構造のN末端に付加され得る;1251を用いたトリブチルチン基の続く置き換えは、放射標識されたヨードベンゾイル基を生じる。
[0193]任意の当技術分野において周知の方法は、かかる標識を検出するために使用され得る、例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)、SPECT画像法、磁気共鳴画像法、X線;又は超音波によって検出可能である。
[0194]診断、治療、キット
[0195]本明細書の組成物及び本発明の化合物は、診断、治療及び予防のために、並びに研究試薬として並びにキットの構成成分として利用され得る。
[0196]本明細書において開示される組成物は、心疾患又は障害、例えば、心不全又は拡張型心筋症を有する対象の処置のために一般に及びさまざまに有用である。用語「対象」、「患者」又は「個体」は、互換的に参照される。対象は、臨床的に有益な結果が続いて生じる場合はいつも有効に処置される。これは、例えば、疾患の症状の完全な消散、疾患の症状の重症度の減少又は疾患の進行の遅延を意味する場合がある。これらの方法は、生物学的試料中で、BAG3レベルの増加が対象に治療的であるかどうかを予測するBAG3バリアントを同定すること、及びかかるバリアントを有するとして同定された患者に薬剤の治療有効量を投与することをさらに含み得る。
[0197]ある特定の実施形態では、キットは、生物学的試料中のBCL2関連アサノジーン3(BAG3)バリアントを同定するための検出可能な標識にコンジュゲートされた1つ又は複数のプローブを含む。ある特定のバリアントの検出は、対象が処置から利益を得るかどうかを予測する。
[0198]本発明の治療及び/又は予測方法に適している心血管系障害は、BAG3の調節に応答性である障害、又はBAG3調節剤に応答性でない可能性がある対象を処置することであり得る。本発明の組成物は、具体的な細胞機構のいずれかに影響することによって作動するものに限定されない。BAG3の誤制御に関連する任意の形態の心血管系障害は、本発明の範囲内である。
[0199]本発明の方法は、医薬の調製物の観点から表され得る。したがって、本発明は、医薬の調製物における本明細書に記載される薬剤及び組成物の使用を包含する。本明細書に記載される化合物は、治療用組成物及びレジメンにおいて、又は本明細書に記載される疾患若しくは状態(例えば、本明細書において開示される心血管系障害)の処置における使用のための医薬の製造のために有用である。
[0200]本明細書に記載される任意の組成物は、標的細胞への続く送達のために宿主の身体の任意の部分に投与され得る。組成物は、非限定的に、脳、脳脊髄液、関節、鼻粘膜、血液、肺、腸管、筋肉組織、皮膚又は哺乳動物の腹膜腔に送達され得る。送達の経路に関して、組成物は、静脈内、頭蓋内、腹腔内、筋肉内、皮下、筋肉内、直腸内、腟内、くも膜下腔内、気管内、皮内若しくは経皮注射によって、経口若しくは経鼻投与によって、又は時間をかけたゆっくりの灌流によって送達され得る。さらなる例では、組成物のエアロゾル調製物は、吸入によって宿主に与えられ得る。
[0201]必要な投薬量は、投与の経路、製剤の性質、患者の疾病の性質、患者のサイズ、体重、表面積、年齢及び性別、投与される他の薬物並びに担当臨床医の判断に依存する。好適な投薬量は、0.01〜1,000mg/kgの範囲である。必要な投薬量の広い多様性は、細胞標的の多様性及び種々の投与経路の異なる効率の観点から予測される。これらの投薬レベルにおける多様性は、最適化のために標準的な経験的ルーチンを使用して調整されてもよく、当技術分野において十分理解される。投与は、単一又は複数(例えば、2〜若しくは3〜、4〜、6〜、8〜、10〜、20〜、50〜、100〜、150〜又はこれを超える倍数)であってもよい。好適な送達ビヒクル(例えば、ポリマー性微小粒子又は埋め込み型デバイス)への化合物の封入は、送達の効率を増加させ得る。
[0202]本明細書で提供される任意の組成物を用いる処置の継続期間は、短くは1日から長くは宿主の寿命(例えば、長い年月)の任意の長さの時間であってもよい。例えば、化合物は、1週間に1回(例えば、4週間から複数月若しくは年について);1か月に1回(例えば、3〜12か月間について又は多数年について);又は5年間、10年間又はそれ以上の期間について1年に1回投与され得る。処置の頻度が変動する場合があることも注目される。例えば、本化合物は、1日に、1週間に1カ月に又は1年に1回(又は2回、3回など)投与され得る。
[0203]本明細書で提供される任意の組成物の有効量は、処置を必要とする個体に投与され得る。本明細書において使用される場合、用語「有効」は、望ましい応答を誘導するが、患者において顕著な毒性を誘導しない任意の量を指す。かかる量は、具体的な組成物の既知量の投与後に患者の応答を評価することによって決定され得る。加えて、毒性のレベル、ある場合、は、具体的な組成物の既知量を投与する前後の患者の臨床症状を評価することによって決定され得る。患者に投与される具体的な組成物の有効量が、望ましい転帰及び患者の応答及び毒性のレベルに従って調整され得ることは注目される。顕著な毒性は、具体的な患者それぞれについて変動する場合があり、非限定的に、患者の疾患状態、年齢及び副作用への耐性が挙げられる複数の要因に依存する。
[0204]当業者に周知の任意の方法は、具体的な応答が誘導されるかどうかを判定するために使用され得る。具体的な疾患状態の程度を評価できる臨床的方法は、応答が誘導されるかどうかを判定するために使用され得る。応答を評価するために使用される具体的な方法は、患者の障害の性質、患者の年齢及び性別、投与される他の薬物並びに担当臨床医の判断に依存する。
[0205]2つ以上の治療剤の同時投与は、薬剤がそれらの治療効果を発揮する期間が重複している限り、薬剤が同時に又は同じ経路によって投与される必要はない。異なる日又は週での投与のような同時又は連続的な投与は、検討される。組成物は、心血管疾患の処置のための別の標準的治療剤と共にも投与され得る。かかる関連する疾患又は障害の例は:心疾患又は障害、骨格筋疾患又は障害、多発性硬化症、老人斑、脳アミロイドアンギオパチー、粥状動脈硬化、神経膠芽腫、アミロイド沈着、神経変性疾患、神経原線維変化、認知症、絨毛がん、星状細胞腫、アミロイドーシス、高脂血症、神経変性、腫瘍性形質転換、前立腺がん、動脈硬化プラーク、閉塞症、AIDS、転移、心筋梗塞、肺線維症、壊死、ショック、メラノーマ、結腸直腸がん、遺伝子感受性、乾癬、がん、炎症、神経膠腫、癌腫、乳がん、神経病理、腫瘍、前立腺がん、血管疾患、細胞損傷、脳腫瘍、非小細胞肺癌(NSCLC)、高コレステロール血症を含む。骨格筋疾患の例として、筋肉の原発性(遺伝的)疾患(例えば、筋ジストロフィー及び先天性ミオパチー、代謝ミオパチー);後天性疾患(例えば、筋炎、中毒性ミオパチー);筋肉の二次疾患(例えば慢性肺、心臓、腎疾患、HIV/AID、がん、サルコペニアなど由来の神経原性萎縮、萎縮症が挙げられる。
[0206]キット:本発明は、本明細書に記載される方法のいずれかを実行するために十分な、必要な又は有用な1つ若しくは複数の又はすべての構成要素を含有する、システム及びキット(例えば、市販の治療用、診断用又は研究用製品、反応混合物など)をさらに提供する。これらのシステム及びキットは、緩衝剤、検出/画像法構成要素、陽性/陰性対照試薬、説明書、ソフトウェア、ハードウェア、パッケージング又は他の所望の構成要素を含み得る。
[0207]キットは、標的分子への化合物の効果を調節することができる検査化合物をスクリーニングするための有用なツールを提供する。キットは、研究、臨床及び試験研究所を補助するために任意の好適な様式で、典型的には、使用のための説明書と共に好適な容器中に種々のパーツを含んで、パッケージされ得る。
[0208]ある特定の実施形態では、キットは、脂質及び/又は溶媒をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、キットは、手順のために必要な緩衝剤及び試薬並びにアッセイを実行するための説明書をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、キットは、必要に応じて、検査におけるバックグラウンド干渉を低減するための薬剤、陽性及び陰性対照試薬、検査を実行するための装置などをさらに含み得る。
[0209]心血管疾患を有する又は心血管疾患を発症する素因を有する患者を診断するために、対象がBAG3ポリペプチド中に変異を有するかどうかを判定するためのキットが同様に提供される。キットは、心血管疾患の処置のために使用される薬剤の効率をモニターするためにも利用され得る。
[0210]組成物の投与
[0211]本明細書において具現化される方法によって同定される薬剤は、製剤化され得る、及び本発明の組成物は、1つ又は複数の追加的活性成分、医薬組成物又は他の化合物と併せて投与され得る。本発明の治療剤は、ヒトを含む哺乳動物などの動物に投与され得る。
[0212]他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書において具現化される少なくとも1つ又は複数の薬剤及び/又は候補治療剤を含む。
[0213]医薬用製剤は、経口(固体若しくは液体)、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)若しくは皮下注射)、心臓内、経皮的(受動的に、又はイオン泳動若しくは電気穿孔法を使用してのいずれかで)、経粘膜及び全身性(経鼻、膣、直腸内若しくは舌下)又は吸入経路投与によって又は生体内分解性の挿入を使用する投与のためである場合があり、投与の各経路のために適切な投薬形態に製剤化され得る。
[0214]薬剤は、生理食塩水又は緩衝塩類溶液などの薬学的に許容できる担体又は希釈剤中に製剤化され得る。好適な担体及び希釈剤は、投与の様式及び経路並びに標準的薬務に基づいて選択され得る。例示的な薬学的に許容できる担体及び希釈剤並びに医薬製剤の記載は、当分野における標準的テキスト、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて及びUSP/NFに見出される。他の物質は、組成物を安定化及び/又は保存するために組成物に加えられてもよい。
[0215]本発明の組成物は、任意の従来の技術によって動物に投与され得る。組成物は、標的部位に直接、例えば外科的送達によって内部若しくは外部標的部位に、又は血管によって到達できる部位にカテーテルによって投与され得る。送達の他の方法、例えば、リポソーム送達又は組成物を含む浸透性のデバイスからの拡散は、当技術分野において周知である。組成物は、単一ボーラスで、複数回注射で、又は持続注入によって(例えば、静脈内に)投与され得る。非経口投与のために、組成物は、滅菌発熱物質不含有形態で例えば製剤化される。
[0216]本発明によって同定される化合物は、薬物の濃度が骨吸収を阻害するために、又は本明細書に開示される任意の他の治療指標を達成するために十分であるような様式で、患者に経口でも投与され得る。典型的には、化合物を含有する医薬組成物は、患者の状態と調和する様式で約0.1〜約50mg/kgの間の経口用量で投与される。例示的経口用量は、約0.5〜約20mg/kgである。
[0217]水又は通常の生理食塩水中の5%ブドウ糖又は好適な賦形剤を含む同様の製剤での化合物の静脈内注入は、筋肉内ボーラス注射も同様に有用だが、最も有効である。典型的には、非経口用量は、BAG3発現を増加させるために有効な濃度に血漿中の薬物の濃度を維持する様式で、約0.1〜20mg/kgなどの約0.01〜約100mg/kgである。化合物は、約0.4〜約400mg/kg/日の合計日用量を達成するレベルで1日に1〜4回投与され得る。治療的に有効な本発明の化合物の正確な量及びかかる化合物が最良に投与される経路は、薬剤の血中レベルを治療効果を有するために必要な濃度と比較することによって当業者によって容易に決定される。本発明の化合物のプロドラッグは、任意の好適な方法によって調製され得る。
[0218]許容できない毒性学的影響は、本発明の化合物、誘導体、塩、組成物などが本発明により投与される場合に予測されない。良好な生物学的利用率を有し得る本発明の化合物は、所与の薬理学的効果を有するために必要である化合物の濃度を決定するためにいくつかの生物学的アッセイの1つにおいて検査され得る。
[0219]別の実施形態では、1つ又は複数の同定された化合物及び薬学的に又は獣医学的に許容できる担体を含む医薬又は動物用組成物が提供される。他の活性材料も、処置される又は予防される疾患又は状態について適切である又は適していると見なされ得る場合、存在してもよい。
[0220]担体、又は1つより多くが存在する場合、各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、レシピエントに有害でないとの意味で許容可能でなければならない。
[0221]本明細書の方法によって同定される化合物は、上に記載される種々の薬物送達システムにおける使用のために好適である。加えて、投与された化合物のin vivo血清半減期を増強するために、化合物は、封入され得る、リポソームの腔に導入され得る、コロイドとして調製され得る又は他の従来の技術が使用される場合があり、化合物の血清半減期の延長をもたらす。種々の方法は、リポソームを調製するために利用可能であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Szoka、et al.、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号及び第4,837,028号に記載のとおり。さらに、薬物を標的化薬物送達システムにおいて、例えば組織特異的抗体を用いてコートしたリポソーム中で投与する場合がある。リポソームは、器官に標的化され、選択的に取り込まれる。
[0222]製剤は、直腸内、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、膣若しくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与のために好適なものを含む、又は製剤は、経口で投与される製剤である。製剤は、単位投与形態、例えば錠剤及び徐放カプセルで好都合に提示され得る、並びに薬学の分野において十分周知の任意の方法によって調製され得る。
[0223]かかる方法は、上に定義される活性剤を担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性剤を液体担体若しくは細かく分割された固形担体又は両方と均一によく合わせ、次に必要に応じて産生物を成形することによって調製される。
[0224]これらの方法を使用して同定される化合物は、薬学的に有用な組成物を調製するために周知の方法によって製剤化され得る、それにより化合物は、薬学的に許容できる担体ビヒクルとの混合で組み合わされる。治療用製剤は、所望の程度の純度を有する活性成分を任意選択の生理学的に許容できる担体、賦形剤又は安定化剤と混合することによって保存のために凍結乾燥製剤又は水溶液の形態に調製される(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。許容できる担体、賦形剤又は安定化剤は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに無毒性であり、緩衝剤、例えばリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸など;抗酸化物質、アルコルビン酸を含む;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンなど、アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシンなど;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTAなど;糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトールなど;塩形成対イオン、例えばナトリウムなど;並びに/又は非イオン性サーファクタント、例えばツイーン(TWEEN)(商標)(ICI Americas Inc.、Bridgewater、N.J.)、ピューロニクス(PLURONICS)(商標)(BASF Corporation、Mount Olive、N.J.)又はPEGなどを含む。
[0225]in vivo投与のために使用される製剤は、滅菌、発熱物質不含有でなければならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前に又は続いて、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成される。
[0226]本発明の医薬組成物の投薬量及び所望の薬物濃度は、想定される具体的な使用に応じて変動する場合がある。適切な投薬量又は投与経路の決定は、当業者の技術の範囲内である。動物実験は、ヒトの治療のための有効量の決定のために信頼できるガイダンスを提供する。有効用量の種間調整は、Mordenti,J.and Chappell,W.“The use of interspecies scaling in toxicokinetics”In Toxicokinetics and New Drug Development、Yacobi et al.,Eds.,Pergamon Press,New York 1989,pp.42〜96によって記された原理に従って実施され得る。
[0227]本発明における経口投与のための製剤は:予め規定された量の活性剤をそれぞれ含有するカプセル、カシェ剤(cachets)若しくは錠剤などの個別の単位;粉剤若しくは顆粒剤として;水性液体若しくは非水性液体中の活性剤の溶液若しくは懸濁剤として;又は水中油乳剤若しくは油中水乳剤として;又はボーラス剤などとして示され得る。
[0228]経口投与(例えば錠剤及びカプセル)のための組成物について、用語「許容できる担体」として、ビヒクル、例えば、一般的な賦形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖及びデンプンなど;注入剤及び担体、例えばコーンデンプン、ゼラチン、乳糖、ショ糖、結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム及びアルギン酸;並びに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム及び他の金属ステアリン酸塩、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸、シリコン油、タルクワックス、油及びコロイドシリカなど、が挙げられる。ペパーミント、冬緑油、サクランボ風味剤などの風味付け剤も使用され得る。容易に同定可能な投薬形態を作製するために着色剤を添加することが望ましい場合がある。錠剤は、当技術分野において十分周知の方法によってコートされてもよい。
[0229]錠剤は、任意選択で1つ又は複数の副成分を含んで圧縮又は成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの流動性の形態の活性剤を、任意選択で、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性又は分散剤と混合して好適な機械において圧縮することによって調製され得る。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤を用いて湿らせた粉末化化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択でコート又は刻みを入れられてもよく、活性剤の徐放又は放出制御を提供するように製剤化されてもよい。
[0230]経口投与のために好適な他の製剤として、活性剤を風味付けした基材、通常ショ糖及びアラビアゴム又はトラガント中に含むロゼンジ(lozenges);活性剤を不活性基材、ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムなど中に含むトローチ(pastille);並びに活性剤を好適な液体担体中に含む口腔洗浄薬が挙げられる。
[0231]非経口製剤は、一般に滅菌される。
[0232]用量:本開示の主題の組成物の有効用量は、それを必要とする対象に投与される。「治療有効量」又は「治療量」は、測定可能な応答(例えば、処置される対象における生物学的又は臨床的に関連する応答)を生じるために十分な治療用組成物の量である。応答は、上に考察したとおり多数の方法、例えばサイトカインプロファイル、細胞型、細胞表面分子などにおいて測定され得る。本開示の主題の組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、具体的な対象に対して望ましい治療応答を達成するために有効である活性化合物(複数可)の量を投与するために変動する場合がある。選択された投薬レベルは、治療用組成物の活性、投与の経路、他の薬物又は処置との組合せ、処置される状態の重症度並びに処置される対象の状態及び前病歴に依存する。しかし、望ましい治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、望ましい効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることは当業者の技術の範囲内である。組成物の効力は変動する場合があり、したがって「処置有効量」は、変動する場合がある。しかし、本明細書に記載されるアッセイ法を使用して、当業者は、本開示の主題の候補化合物の効力及び有効性を容易に評価でき、それにより治療レジメンを調整できる。
[0233]本発明は、そのある特定の実施形態を参照して詳細に記載されている。しかし、本開示の検討において当業者が、本発明の精神及び範囲内で変更及び改善を行い得ることは明らかである。
[0234]本明細書において述べられるすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願において引用されるすべての刊行物及び特許文献は、個々の刊行物及び特許文献それぞれが個々に示された場合と同程度に、すべての目的について参照により組み込まれる。本文書における種々の参考文献の引用によって出願者らは、いかなる具体的な参考文献も本発明の「先行技術」であるとして承認しない。
[0235]実施例1:BAG3のバリアントは、心筋症を有するアフリカ系アメリカ人におけるさらに悪い転帰を予測する。
[0236]アフリカ系の対象におけるBAG3遺伝的バリアントとDCMとの間の関連を調査するために、3つの臨床試験の内の1つに登録した対象から得たDNAからBAG3を配列決定した。結果は、まれな例外を除いてアフリカ系の個体において見出される機能性BAG3バリアントの群がIDCを有する患者における転帰不良と関連し、治療的介入のための正確な標的を提供できることを初めて実証した。
[0237]方法
[0238]患者:ゲノムDNAを、3つの米国臨床試験に登録したDCMを有し、そのDNAが預けられた509名のアフリカ系アメリカ人から得た:Genetic Risk Assessment of African Americans with Heart Failure(GRAHF)治験からの患者342名、(コホートA);22〜25、Intervention in Myocarditis and Acute Cardiomyopathy Trial−2からの患者109名(IMAC−2;コホートB);26及びGenetic Risk Assessment of Cardiac Events(GRACE)研究からの患者58名(コホートC)27、28。DNAは、University of Colorado(コホートD)又はUniversity of Pittsburgh(コホートE)で心臓移植を受けたアフリカ系の対象の左心室(LV)心筋からも得た。移植のために使用され得なかった非不全ヒト心臓組織を非不全対照として使用した29。DNA又は組織を前述の研究リポジトリに寄付したすべての患者からインフォームドコンセントを得て、手順は、参加施設それぞれのIRBによって承認された。
[0239]3つの参照集団を使用した。第1に、コホートA〜Cに入れられた、研究に登録した虚血性心筋症を有したアフリカ系の個体からDNAを配列決定した。第2に、BAG3配列データを、全米のHF診療所から回収したヨーロッパ系の個体からBrigham and Women’s Hospital、Bostonで回収した家族性及び孤発性DCMの両方のヨーロッパ系の個体のコホートから、得た30。第3に、集団遺伝的データを非血縁個体由来の123,136個のエクソーム配列及び15,496個の全ゲノム配列からのデータを含むgnomAD(オンラインで利用可能)から得た。このうち、7,509個の全ゲノム及び55,860個のエクソームは、非フィンランドヨーロッパ系の個体からであり、4,368個の全ゲノム及び7,652個のエクソーム配列は、アフリカ系の個体からである21
[0240]DNA配列決定及び分析:GRAHF治験由来のDNAをGenetics Resources Core Facility、the McKusick−Nathans Institute of Genetic Medicine、at The Johns Hopkins University School of Medicineで配列決定した。簡潔には、各GRAHFコホート患者由来のゲノムDNAをPCR増幅し、次いで、サイクル配列決定の蛍光ジデオキシターミネーター法を使用して配列決定した。配列データをSequencher Software、バージョン5.4.6(Gene Codes、Ann Arbor、MI)を使用して分析した。SNVをソフトウェア「Call Secondary Peaks」機能を使用して同定し、すべてのデータを手作業で調査した。
[0241]標的化遺伝子型判定をGRAHFコホートの結果を確認し、リアルタイムPCR及びSNP−特異的試薬を使用して続く各コホートにおいてSNVを同定するために実施した。SNVを、それらが:1)GRAHFにおいて>0.005の対立遺伝子頻度を有した;2)非同義であった;及び3)ヨーロッパ系においてよりもアフリカ系の対象においてさらに一般的であった場合に、確証的遺伝子型判定及び機能性分析のために選択した。同じ試料中の2つのBAG3 SNVがシスに配置されていたかどうかを判定するために、BAG3遺伝子座を増幅し、プラスミドにクローニングし、サンガー配列決定に供した。
[0242]ヒト心臓組織のウエスタンブロット分析:ウエスタンブロット分析を以前記載のとおり実施した31。簡潔には、凍結組織を緩衝液中でホモジナイズし、遠心分離し、生じた沈殿を緩衝液に再懸濁した。ブラッドフォードの方法を使用してタンパク質濃度を測定した後、タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分画し、ニトロセルロース膜に移行させた。次いで膜を抗体とインキュベートし、画像化した。シグナル強度をGAPDHに標準化した。qPCRをそれぞれのBAG3バリアントに特異的なmRNAを定量するために使用した。
[0243]オートファジーフラックス及びアポトーシスの測定:方法は、以前詳細に記載されている18、32。簡潔には、野生型BAG3をCMVプロモーター下でプラスミドに挿入し、次いで目的のそれぞれのSNVを生成させた。p.160AladupバリアントをGenScript(Piscataway Township、NJ)によって合成した。形質転換ヒト心室細胞(AC16)33を37οC、5%COで5%FBSを含むダルベッコ改変イーグル培地で60〜70%コンフルエントまで培養した。次いで細胞をc.null、c.BAG3、c.187C>G+c.1138C>T(p.P63Ala+P380S)、c.249C>A、(p.H83Q)c.474_476dupGGC、(p.A160dup)又はc.1436C>T(p.A479V)を含有するプラスミドを用いてトランスフェクトし、オートファジーレポーター構築物アデノウイルス赤色蛍光タンパク質緑色蛍光タンパク質−LC3(Adv−RFP−GFP−LC3)を用いて同時トランスフェクトした。各トランスフェクションは、36時間実行し、その後、細胞を4時間の低酸素(5%CO/1%N)に続いて、2時間の再酸素負荷又は正常酸素圧(5%CO:21%O)に供した。細胞を共焦点顕微鏡を用いて画像化し、LC3点の数を本発明者らが以前記載のとおり計数した34。各プラスミドの発現レベルをウエスタンブロットによって評価し、同等であった。
[0244]実験の第2の群では、細胞を同じ様式で36時間トランスフェクトし、低酸素に12時間及び次いで再酸素負荷に2時間曝露した。細胞をアネキシン−V及びヨウ化プロピジウムを用いて30分間染色し、共焦点顕微鏡を用いて画像化した。アネキシン−V陽性細胞(アポトーシス)は緑色に見える一方で、ヨウ化プロピジウム陽性細胞(後期アポトーシス及び壊死)は赤色に見える。視野あたり細胞少なくとも20個及び条件あたり10視野を計数した。調査者は、実験群に盲検であった。
[0245]統計解析:統計解析をBAG3 SNV(SNV対SNVなし)、虚血(虚血性対非虚血性)及び同時相互作用による層別化/分割に基づいて実施した。連続変数は、スチューデントのt検定又はANOVAを必要に応じて使用して評価し、カテゴリー変数はカイ二乗又はフィッシャー直接検定を使用して評価した。イベントまでの時間の分析について、イベントは死亡、移植又はHF関連入院加療と定義した。生存率は、カプラン・マイヤー法を使用して評価した;得られた曲線をログランク検定を使用して評価した。ハザード比は、コックス比例ハザードモデルを使用して概算した。すべての統計解析は、SAS(登録商標)9.4(SAS Institute)を使用して実施した。統計的有意性は、p<0.05と定義した。すべての報告されたp値は、適用可能な場合は両側であり、他に断らない限り、多重比較のために調整されなかった。
[0246]結果
[0247]研究対象:DCMを有する合計509名のアフリカ系アメリカ人由来のゲノムDNAは、3つの独立した研究から得た:GRAHF(コホートA)からの患者342名;23、24GRACE(コホートB)からの患者109名;27、28及びIMAC−2(コホートC)からの患者58名26。急性心筋炎、周産期心筋症又はDCMについての任意の潜在的に改善可能な原因を有する場合、患者は分析から除外された26。GRAHF及びIMAC−2の患者は、死亡又はHF入院加療の心配のないエンドポイントまで経過観察した。GRACEの対象は、心臓移植又は死亡のエンドポイントまで経過観察した。
[0248]BAG3遺伝的バリアント:
[0249]GRAHFコホートのサンガー配列決定は、18個のバリアント(表1)を明らかにし、その内8個は、同義であった。4個のSNVは、この研究についての選定基準に合致した:p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);及びAla479Val(10:121436502C/T、rs34656239)。160位でタンパク質にアラニンを付加する3ヌクレオチドインフレーム挿入(p.Ala160dup;10:121429647A/AGCG)も同定した。サンガーの結果は、標的化配列決定によって確認した。p.Pro63Alaバリアントを保有するすべての個体は、p.Pro380Serバリアントも保有し、gnomAD中のこれら2つのSNVについての対応する対立遺伝子頻度は、ほとんど同一であり、2つのSNVがシスで連結している証拠を提供している。このことは、サンガー配列決定によって確認した。4個の同定されたBAG3バリアントを有する及び有さないアフリカ系のHF患者の特徴を表1に示す。連結されたSNVは、p.Pro63Ala+Pro380Serと称される。図1に見られるとおり、BAG3バリアントに影響を与える残基(His83、Ala160、Pro380及びAla479)は、哺乳動物にわたって高度に保存されている。
[0250]コホートA、B及びCのIDCを有する患者402名における4個のBAG3バリアントの有病率(対象402の42名;10.45%)は、複数の対立遺伝子について調整した場合、虚血性HFを有する患者における4個のバリアントの有病率(対象107名の9名;8.41%)より大きかった;しかし、差異は統計的に有意でなかった(表2)。同様に、IDC及び4個のBAG3バリアントの内の1個を有するコホートA、B及びCの患者の割合は、各バリアントについての対応するgnomADデータセットの合計において、BAG3バリアントを有する対象の割合(9.06%)と統計的に異ならなかった。対照的に、BAG3バリアントを保有する3個のコホートにおける対象の割合(10.02%)は、gnomADヨーロッパ系データセットにおけるヨーロッパ系の60,000名を超える対象での4個のBAG3バリアントの有病率(0.020%;p<0.0001)より有意に(p<0.0001)高く、ヨーロッパ系でBAG3バリアントを有さないIDCの個体359名の参照集団(ボストンコホート;0.000%BAG3バリアント;p<0.0001)においてより有意に大きかった。
[0251]心不全転帰へのBAG3バリアントの影響:4個のBAG3バリアントのいずれか1つの存在が、心不全入院加療、心臓移植又は死亡の組合せ転帰変数によって反映されるさらに悪い転帰と関連したかどうかを判定することが次に求められた。図2Aに見られるとおり、4個のBAG3バリアントの内の1個を保有しなかった虚血性及び非虚血性疾患の両方のHF対象を比較した場合、BAG3バリアントを有する対象は、有害イベントの発生が有意に(p=0.010)高かった。同様に、BAG3バリアントを保有する、非虚血性HFを有する個体は、BAG3バリアントを有さない非虚血性患者と比較した場合にさらに悪い転帰を有した(図2B;p=0.018)。虚血性HF及びBAG3 SNVを有する対象において、さらに悪い転帰への傾向があった;しかし、差異は、統計的に有意でなかった(図2C、p=0.177)。コックス比例ハザード分析を使用して、本発明者らは、4個のBAG3バリアントの内の1つの保有者が有害イベントを有するリスクは、BAG3バリアントを有さないHFを有する個体よりも1.906倍高かった(95%CL:1.157−3.141、p=0.011)ことを決定した。
[0252]BAG3バリアントの病原性:細胞におけるBAG3の主な2つの作用:オートファジー及びアポトーシス、へのBAG3バリアントの影響を評価した。図3Aに見られるとおり、AC16細胞を空プラスミド又は野生型BAG3、c.187C>G+c.1138C>T(p.Pro63Ala+p.Pro380Ser)、c.249C>A(p.His83Gln)、c.474_476dupGGC(p.Ala160dup)又はc.1436C>T(p.Ala479Val)を含有する血漿のいずれかを用いてトランスフェクトし、Adv−RFP−GFP−LC3を用いて同時トランスフェクトした。細胞に低酸素−再酸素負荷を用いてストレスを与えた場合、空プラスミド又は野生型BAG3のいずれかを用いてトランスフェクトした細胞においてLC3が顕著に増加した;しかし、低酸素−再酸素負荷へのオートファジー応答は、4個のBAG3バリアントのそれぞれを過発現するAC16細胞において顕著に減少しており、LC3において顕著な増加はなかった(図3A及び3B)。加えて、低酸素−再酸素負荷後に、BAG3バリアントを用いてトランスフェクトした細胞は、野生型BAG3を発現するプラスミドを用いてトランスフェクトした細胞よりも顕著に多いアネキシン−V陽性細胞を示した(図3C及び3D)。したがって、野生型BAG3とは対照的に、BAG3バリアントは、低酸素誘導アポトーシスを妨害することができなかった。
[0253]ヒト心臓不全におけるBAG3レベル:BAG3レベルのウエスタンブロット分析及びqPCRを、アフリカ系の対象(コホートD及びE)からの不全ヒト心臓及び非不全対照心臓においてBAG3 mRNAを定量するために実施した。図4A〜4Cに見られるとおり、BAG3レベルは、非不全対照(n=4)と比較した場合に、IDC(p=0.0001、n=23)又は虚血性HF(p<0.0001、n=16)を有する移植レシピエントから摘出した心臓において顕著に低減していた。IDC心臓(n=18)由来、及び虚血性DCMを有するDCM心臓(n=13)由来のBAG3 mRNAレベルは、対照(n=4)におけるBAG3 mRNAレベルと異ならなかった。標的化配列分析は、心臓1個がp.His83Glnバリアントを保有し、2個がp.Pro63Ala+Pro380Serバリアントを保有し、1個がp.Ala160dup挿入を保有したことを見出した。BAG3レベルは、2個のp.Pro63Ala+Pro380心臓において正常を超えており、BAG3バリアントの発現がBAG3発現を支配する固有の制御機構を乗り越える証拠を提供している。対照的に、BAG3レベルは、p.His83Gln心臓において変化しておらず、p.Ala160dupを保有している心臓において認められず、それらを遺伝子治療のための潜在的な標的にしている。
[0254]
Figure 2021526819
[0255]
Figure 2021526819
[0256]
Figure 2021526819
[0257]考察
[0258]BAG3は、タンパク質品質管理、アポトーシス及び興奮/収縮連関を含む重要な細胞機能を制御する17。BAG3のレベルは、ヒト末期HFにおいて、及びLV機能障害の動物モデルにおいて低減している。BAG3不全の機能的重要性は、興奮収縮連関を損なうsiRNAによるBAG3のノックダウンによって実証され、BAG3ハプロ不全を有するマウスは、顕著なLV機能障害、オートファジーの減少及びアポトーシスの増加を10週齢までに示す32、35。本研究では、DCMを有するヨーロッパ系の個体においては認識できるレベルで見られなかった(0.00%)、2つの一般的な(>1%)非同義SNV、一般的な二重ヘテロ接合体バリアント及び3ヌクレオチドインフレーム挿入をDCMを有するアフリカの家系の対象において同定した。本研究の結果は、重要なBAG3機能の減少及びアフリカ系アメリカ人の排他性の両方が示されている以前の研究と異なる。
[0259]4個のBAG3バリアントは、ClinVar40によって良性(p.Pro63Ala)、良性/推定良性(p.Ala160dup;p.Pro380Ser)又は「病原性の解釈の矛盾」があった(p.His83Gln及びp.Ala479Val)のいずれかとして注釈を付けられた。コンピューターでの病原性予測アルゴリズムの統計解析、ソフトウェアの増強及び計算予測は、注釈のためには信頼できない41。したがって、病原性は:1)それらが、BAG3の高度に保存された領域に見出される;2)それらの機能がin vitroで喪失している;3)それらがバリアントの機能的意義と合致するドメインに局在化している;及び4)集合体中の4個のSNVがDCMを有する患者における転帰を顕著に変更する、との発見に基づいた。それにもかかわらず、これらのSNVの病原性を支持する証拠は、家族性再発率及び分離比分析によって強化される42、43
[0260]本研究において同定されたバリアントは、家族性DCMを有する発端者のコホートにおいて以前認識されなかった。例えば、家族性IDCを有する独立の初発症例においてBAG3バリアントを同定した4つの研究において、16名未満の対象がアフリカ系として同定された20、44〜46。大きなエキソームワイドアレイベース関連研究(large exome−wide array−based association study)において、調査者らは、DCMのリスクを低減するBAG3遺伝子座(c.451T>C、p.Cys151Arg)を同定した;しかし、バリアントは、ヨーロッパ系(0.2163対立遺伝子頻度)及びアフリカ系(0.03対立遺伝子頻度)の両方において一般的であり、それにより本分析の組み入れの基準に合致しなかった30
[0261]ヨーロッパ系の個体における以前の研究は、本研究の結果を支持している。BAG3バリアントは、民族的又は地理的に隔離された発端者のコホートにおいて最も一般的であった:ケベックのガスペ領域の隔離集団から集められた初発症例において15%;20ポーランドの単一施設研究において6.7%19、ヨーロッパ集団において3.5%44及び大規模な米国での研究において2.25%(7/311)45
[0262]本明細書の結果は、IDCを有する患者の転帰及び虚血性DCMを有する者の転帰にもおそらく悪影響を与える、ほとんどアフリカの家系の個体においてのみ見出されるBAG3の固有のバリアントの証拠を提供する。アフリカ系アメリカ人に選択的であるBAG3中の遺伝的多様性の研究は、多様な患者集団にわたって見られる表現型の差異を生じるいくつかの要因の1つとして生物学的差異を考慮する重要性を示している。
[0263]参考文献
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[0264]等価物
当業者は、単に日常的実験を使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態への多数の等価物を認識及び確認できる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
〔関連出願〕
[0001]本出願は、2018年6月8日出願の米国特許仮出願第62/682,404号に対する優先権を主張する。前述の出願の内容全体は、すべての文章、表、配列表及び図を含んで参照により本明細書に組み込まれる。
〔政府支援〕
[0002]本発明は、National Institutes of Healthによって承認された助成金番号RO1 HL123093及びHL091799−01の政府の支援の下で実施された。政府は、本発明に一定の権利を有する。

Claims (33)

  1. 心疾患を有する患者を診断及び処置する方法であって、
    対照BAG3核酸配列と比較して患者試料中の少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントを同定するステップであって、ある特定の遺伝的バリアントの検出が、BAG3レベルの増加が前記患者に治療的であるかどうかを予測するステップ、及び
    かかる遺伝的バリアントを有するとして同定された患者に薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤がBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節するステップを含む、方法。
  2. 前記バリアントの検出が、BAG3の機能の調節を通じて、非虚血性又は虚血性拡張型心筋症を有する患者の転帰に悪影響を与える、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遺伝的バリアントが、ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入、インフレーム欠失、短縮化、置換又はこれらの組合せである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記インフレーム挿入がアミノ酸をコードしている、請求項3に記載の方法。
  5. 前記インフレーム挿入が非極性アミノ酸をコードしている、請求項3に記載の方法。
  6. 前記インフレーム挿入が160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)、請求項3に記載の方法。
  7. 前記遺伝的バリアントが、単一ヌクレオチドバリアント(SNV)インフレーム挿入、インフレーム欠失、短縮化、置換又はこれらの組合せである、請求項2に記載の方法。
  8. 前記SNVが:p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含む、請求項4に記載の方法。
  9. 前記薬剤がBAG3タンパク質又はその活性断片を発現する発現ベクター、オリゴヌクレオチド又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記発現ベクターが、ウイルスベクター、心臓作用性ベクター、プラスミド、又は酵母ベクターを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 心臓作用性ベクターがアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)、コクサッキーウイルスベクター、サイトメガロウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、パルボウイルスベクター又は肝炎ウイルスベクターを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記発現ベクターが、心臓作用性偽型ウイルスベクターである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記薬剤がタンパク質又はそのペプチド、ペプチド模倣物、小分子、有機又は無機化合物、合成又は天然化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記心疾患が心不全である、請求項1に記載の方法。
  15. 患者が対照BAG3核酸配列と比較して少なくとも1つのBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入を有し、前記患者に薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤が標的細胞又は組織においてBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの発現又は量を調節するステップを含む、心疾患を有する患者を処置する方法。
  16. 前記インフレーム挿入が、アミノ酸をコードしている、請求項15に記載の方法。
  17. 前記インフレーム挿入が、非極性アミノ酸をコードしている、請求項15に記載の方法。
  18. 前記インフレーム挿入が、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)、請求項15に記載の方法。
  19. 対照BAG3核酸配列と比較してBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の存在について患者試料をスクリーニングするステップであって、BAG3ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の検出が悪い予後を有するとして心臓疾患患者を同定するステップを含む、悪い予後を有する心臓疾患患者を同定する方法。
  20. 対照BAG3核酸配列と比較してBcl2関連アサノジーン3(BAG3)ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の存在について患者試料をスクリーニングするステップであって、前記BAG3ヌクレオチドバリアント(NV)インフレーム挿入の検出が心臓疾患のリスクがあるとして前記患者を同定するステップを含む、心臓疾患のリスクがある患者を同定する方法。
  21. 前記インフレーム挿入がアミノ酸をコードしている、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記インフレーム挿入が非極性アミノ酸をコードしている、請求項19又は20に記載の方法。
  23. 前記インフレーム挿入が、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)、請求項19又は20に記載の方法。
  24. Bcl2関連アサノジーン3(BAG3)遺伝的バリアントの存在について患者試料をスクリーニングするステップであって、前記BAG3遺伝的バリアントがp.Ala160dup(10:121429647A/AGCG;rs139438727);p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);Ala479Val(10:121436502C/T、rs34656239)又はこれらの組合せを含むステップを含む、心臓疾患のリスクがある患者を同定する方法。
  25. 生物学的試料中のBCL2関連アサノジーン3(BAG3)バリアントを同定するための検出可能な標識にコンジュゲートされた1つ又は複数のプローブを含む、キット。
  26. 前記BAG3バリアントが:p.Ala160dup(10:121429647A/AGCG;rs139438727);p.Pro63Ala(10:121429369C/G;rs133031999);p.His83Gln(10:151331972;rs151331972);Pro380Ser(10:121436204C/T;rs144692954);又はAla479Val(10:121436502C/T、rs34656239)の1つ又は複数を含む、請求項25に記載のキット。
  27. ある特定のバリアントの検出が、対象が処置から利益を得るかどうかを予測する、請求項25に記載のキット。
  28. BCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子の発現又は量を調節する少なくとも1つの薬剤の治療有効量を含む医薬組成物を対象に投与するステップであって、前記対象が対照BAG3核酸配列と比較して少なくとも1つのBAG3遺伝的バリアントを有し、前記BAG3遺伝的バリアントがインフレーム挿入であり、前記薬剤がBCL2関連アサノジーン3(BAG3)分子をコードしている発現ベクターを含むステップを含む、心不全のリスクがある、又はそれを罹患している対象を処置する方法。
  29. 前記インフレーム挿入がアミノ酸をコードしている、請求項28に記載の方法。
  30. 前記インフレーム挿入が非極性アミノ酸をコードしている、請求項28に記載の方法。
  31. 前記インフレーム挿入が、160位にアラニンを付加する3ヌクレオチド挿入を含む(p.Ala160dup、10:121429647A/AGCG;rs139438727)、請求項28に記載の方法。
  32. BAG3レベルにおける増加が対象に治療的であるかどうかを予測するバリアントを生物学的試料において同定するステップ、及びかかるバリアントを有するとして同定された患者に薬剤の治療有効量を投与するステップであって、前記薬剤がBAG3分子、そのタンパク質又はペプチドの標的細胞又は組織における発現又は量を正常対照と比較して調節するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  33. 前記遺伝的バリアントが疾患の原因ではないが、BAG3の機能の調節を通じて非虚血性又は虚血性拡張型心筋症を有する患者の転帰に悪影響を与える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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