JP2021525791A - 新たな心不全治療用医薬の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、患者における心不全の新規な治療方法に関する。

Description

本発明は、患者、とくに駆出率(EF)が低下した心不全(HF)(HFrEF)患者の心不全の治療における新規な方法及び新規な使用に関する。この場合、前記患者の急性代償不全心不全エピソードの後間もなくサクビトリルとバルサルタンとによる治療が開始される。
心不全(HF)は、全世界で3800万人の推定有病患者を有する世界的パンデミックである(Ambrosy AP,et al.J Am Coll Cardiol 2014;63:1123−33、Writing Group M,Mozaffarian D,et al.Circulation2016;133:e38−360)。米国単独では、1年間当たり一次診断として100万人超のHF入院患者が存在し、すべての入院数の1%〜2%を占める(Blecker S,et al.J Am Coll Cardiol 2013;61:1259−67、Gheorghiade M,et al.JAMA 2006;296:2217−26)。利用可能な療法があるにもかかわらず、心不全(HF)で入院した患者の退院から60〜90日以内の死亡率及び再入院率は、それぞれ、15%及び30%に近い(Greene SJ,et al.Nat Rev Cardiol 2015;12:220−29)。
多くの有望な臨床開発プログラムがあるにもかかわらず、急性期のHFの管理の大きな進展はあまり見られず、療法の基礎は、依然として、静脈内(IV)利尿剤、血管拡張剤、及びそれほど一般的ではないが変力剤である(Vaduganathan M,et al.Nat Rev Cardiol 2013;10:85−97)。HFの代償不全による入院は、心血管(CV)死のリスクをほぼ3倍に増加させ、退院後の最初の30日間はリスクがとりわけ高い。こうした退院後の早期は、「受攻期」と称されており、米国ではHFケアに毎年費やされる>300億米国ドルの不相応な金額を占める。(Ahmed,et al.J Card Fail 2008;14:211−18、Greene et al.Nat Rev Cardiol 2015;12:220−29)。こうした受攻期に対処するために、ESCガイドラインは、患者が入院している間の慢性HF治療の最適化及び退院後の適時のフォローアップを推奨している(Ponikowski et al.Eur Heart J 2016;37:2129−2200)。
LCZ696は、高血圧及び/又は心不全などの心血管疾患の治療用に開発されているファーストインクラスのアンギオテンシンレセプターネプリライシン阻害剤(ARNI)である。LCZ696の摂取は、1:1のモル比で、サクビトリル(AHU377、(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−2−メチルペンタン酸エチルエステル、別名N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステル)、ネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ24.11、NEP)阻害剤(NEPi)プロドラッグと、アンギオテンシンII 1型(AT1)レセプターの阻害を提供するバルサルタンと、への全身暴露をもたらす。
サクビトリルは、エステラーゼを介して、活性NEPi、LBQ657(N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸)にさらに代謝される。ネプリライシンは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、及びC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)をはじめとする生物学的活性ナトリウム利尿ペプチド(NP)を分解する。NEP阻害の効果は、生物学的活性NPの効果の増強に起因する。セカンドメッセンジャーのサイクリックグアノシン一リン酸を介して作用するNPは、強力なナトリウム利尿性及び血管拡張性を有し、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の活性を阻害し、交感神経ドライブを低下させ、且つ抗線維化効果及び抗肥大化効果を有する。アンギオテンシンレセプターブロッケードは、心血管系に及ぼすアンギオテンシンIIの有害作用を媒介するアンギオテンシン1型(AT1)レセプターに特異的に競合する。LCZ696は、そのデュアル作用モードを介して、NEP阻害によりNPを増強すると同時にAT1レセプターブロッケードによりRAASを阻害する。これらの機序は両方とも、相補的且つ相加的に作用してHF患者の罹患率及び死亡率を改善すると考えられる。
心不全における全世界の死亡率及び罹患率に及ぼす影響を決定するためのARniとAceiとのプロスペクティブ比較(Prospective comparison of an ARni with an Acei to Determine the Impact on Global Mortality and morbidity in Heart Failure)(PARADIGM−HF)試験では、エナラプリルと比較して、LCZ696は、駆出率(EF)≦40%及びニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)機能クラスII〜IV症状を有する外来HF患者のうちHF悪化(すなわち、プロトコル試験中期の修正で≦35%に変化)による心血管(CV)死亡率及び入院のロバストな20%相対リスク低減をもたらすことが示された(McMurray JJ,et al.Eur J Heart Fail 2013;15:1062−73、McMurray JJ,et al.N Engl J Med 2014;371:993−1004)。それに応じて、米国心臓病学会(American College of Cardiology)/米国心臓協会(American Heart Association)/米国心不全学会(Heart Failure Society of America)ガイドラインは、2016年に更新され、次のように推奨された。すなわち、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)又はアンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)に寛容性を示すEFが低下したニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)クラスII又はIIIの慢性症状HF患者では、罹患率及び死亡率をさらに低減するためにARNiによる置換えが推奨される(Yancy CW,et al.2016,J Am Coll Cardiol 2016;68:1476−88)。
PARADIGM−HF試験で見られた印象的な結果にもかかわらず、急性代償不全HF(ADHF)で入院した患者及びHFの重篤な徴候及び症状の患者では、LCZ696の早期開始の経験が限定される(McMurray JJ,et al.Eur J Heart Fail 2013;15:1062−73、McMurray JJ,et al.N Engl J Med 2014;371:993−1004)。
TITRATION試験では、心不全(HF)患者において3及び6週間にわたり1日2回50〜200mg(目標用量)で開始/漸増LCZ696の耐容性が評価された(Senni M, et al.Eur J Heart Fail 2016;18(9):1193−1202)。
その際、HFは、依然として心死亡率及び心罹患率の主な原因をなすので、より良好な療法の必要性は明らかである。具体的には、ADHFイベントで入院しEF低下と診断された患者ではより良好な療法の必要性が存在する。特定的には、医学的に安定化された後、係る患者に対し療法の早期開始の必要性が存在する。
本発明は、患者において駆出率が低下した心不全を治療する方法であって、それを必要とする前記患者に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを投与することを含み、前記患者の急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく治療が開始される、方法に関する。
本発明はまた、患者において駆出率が低下した心不全を治療する方法における使用のための、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンであって、前記患者の急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく治療が開始される、サクビトリル及びバルサルタンに関する。
本発明はまた、患者において駆出率が低下した心不全を治療するための医薬の製造における、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの使用であって、前記患者の急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく治療が開始される、使用に関する。
本発明はまた、患者において駆出率が低下した心不全を治療するための、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの使用であって、前記患者の急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく治療が開始される、使用に関する。
本発明はまた、患者において駆出率が低下した心不全を治療するのに使用するための、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンと1種以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物であって、前記患者の急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく治療が開始される、医薬組成物に関する。
定義
本明細書全体を通じて及び以下の特許請求の範囲において、とくに明記されていない限り、以下の用語は以下の意味で定義される。
「治療」という用語は、疾患、病態、又は障害と闘う目的での患者の管理及びケアと理解される。
「治療有効量」という用語は、研究者又は臨床医が目指している組織、系、又は動物(人間を含む)の所望の生物学的及び/又は医学的反応を誘発する1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを含む医薬組成物の量を意味する。
「患者」という用語は、ヒトを意味する。
化合物「の投与」及び又は化合物「を投与すること」という用語は、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを含む医薬組成物を治療の必要な被験者に提供することを意味すると理解すべきである。本発明を実施するための医薬組成物の投与は、治療有効量の医薬組成物を係る治療の必要な被験者に投与することにより行われる。医薬組成物の有効量は、最終的にはその症例の担当医により決定されるが、医師の判断で、治療される厳密な疾患、その疾患及び患者が罹患している他の疾患又は病態の重症度、選択される投与経路、患者が付随的に必要としうる他の薬剤及び治療などの因子に依存する。
本明細書で用いられる「薬学的に許容可能な」という用語は、合理的な便益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、及び他の問題合併症を伴うことなく、健全な医学的判断の範囲内で、哺乳動物、とりわけヒトの組織に接触させるのに好適な化合物、材料、組成物、及び/又は製剤を意味する。
ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)分類は、心不全症状の重症度を4つの機能クラスの1つとしてグレード分けする。NYHA分類は、治療に対する反応を評価するために及び管理の指針となるように使用可能な重症度の標準記述を提供するので、臨床診療及び研究に広くに使用されている。症状の重症度及び身体活動に基づくニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)機能分類は以下の通りである。
クラスI:身体活動の制限なし。通常の身体活動で過度の息切れも疲労も動悸も引き起こさない。
クラスII:身体活動のわずかな制限。安静時は快適であるが、通常の身体活動で過度の息切れ、疲労、又は動悸を生じる。
クラスIII:身体活動の著しい制限。安静時は快適であるが、通常よりも少ない身体活動で過度の息切れ、疲労、又は動悸を生じる。
クラスIV:いかなる身体活動も不快感を伴うことなく続けることができない。安静時に症状が存在することもある。いかなる身体活動を行っても不快感が増す。
チャイルド・ピュースコア(又はその関連チャイルド・ピューグレード)は、肝硬変患者の臨床状態の記述を与え且つその病態の重症度を表す手段として使用される。
ピュー・チャイルドスコアは、肝疾患の5つの臨床尺度にスコアを付けることにより決定される。1、2、又は3のスコアが各尺度に与えられ、3が最も重篤である。5つの臨床尺度は、
(i)総ビリルビン:ヘモグロビン分解由来の胆汁中黄色化合物
(ii)血清アルブミン:肝臓で産生される血中タンパク質
(iii)プロトロンビン時間、延長、又はINR:血液凝固時間
(iv)腹水:腹膜腔内流体
(v)肝性脳症:肝疾患由来の脳障害
である。臨床尺度の5つのスコアの和を用いて、A(スコア5〜6)、B(スコア7〜9)、又はC(スコア10〜15)のチャイルド・ピューグレードに割り当てられる。
「医学的に安定」及び「血行動態的に安定」という用語は、本明細書では同義的に用いられる。代替的に、「医学的に安定な」患者は、「安定化された」患者ともいう(急性代償不全心不全エピソードの後)。これらの用語は、次の特性、(i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg(好ましくは≧110mmHg)、(ii)治療開始前の6時間の間の静脈内(IV)利尿剤の増加(すなわち増強)もIV血管拡張剤の使用もなし、又は(iii)治療開始前の24時間の間のIV変力剤の投与なし、の少なくとも1つにより定義される患者を特徴付ける。
本明細書で用いられる「b.i.d.」という用語は、1日2回を意味する。たとえば、200mg LCZ696 b.i.d.の用量とは、患者が各200mgの単位用量のLCZ696を1日2回摂取し、400mgが合計1日用量になることを意味する。
本明細書で用いられる「急性代償不全心不全(ADHF)エピソード」という用語は、患者が急性心不全治療を受ける急性心不全イベントの発生後の医学的安定化の期間を意味する。係る期間は少なくとも24時間である。
本明細書で用いられる「急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく」という用語は、急性心不全治療終了後の医学的安定化から開始して14日間まで(14日目を含む)の期間を意味する。
TRANSITION試験設計。 PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と対比したTRANSITION試験のベースライン時の治療の比較。 TRANSITION試験の一次及び二次エンドポイントを満たす患者集団(安全性セット)。 TRANSITION試験で10週間の治療期間中に永久中止をもたらす最も一般的なAE(永久中止をもたらす少なくとも1つのAEを有する患者の数)(いずれの治療群でも≧2イベント)。 TRANSITION試験での200mg b.i.dまでのLCZ696用量漸増の成功に対する予測因子。 TRANSITION試験の一次及び二次エンドポイントを満たすde novo患者の割合。 TRANSITION試験の一次及び二次エンドポイントを満たすArb又はACEナイーブ患者の割合。 PIONEER−HF試験の試験フロー図。 PIONEER−HF試験での幾何平均値のベースラインからの診察ごとのNT−proBNP変化。 PIONEER−HF試験でのNT−proBNP幾何平均のベースラインからのパーセント変化。 PIONEER−HF試験でのなんらかの原因による死、HF悪化による入院、左心補助デバイス植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットのカプラン・マイヤー推定累積発生率。 PIONEER−HF試験での、年齢、性別、人種、先行HF及びNYHAクラス、SBP、又はNT−proBNP値、LVEF、eGFR、心房細動、高血圧、入院からランダム化までの期間、並びに先行ACEi及び/又はARB使用による、評価可能な患者におけるNT−proBNP変化のサブ群解析。 PIONEER−HF試験での、年齢、性別、人種、先行HF及びNYHAクラス、SBP、又はNT−proBNP値、LVEF、eGFR、心房細動、高血圧、入院からランダム化までの期間、並びに先行ACEi及び/又はARB使用による、なんらかの原因による死、HF悪化による入院、左心補助デバイス植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットのサブ群解析。
本発明は、臨床試験TRANSITION(NCT02661217)及びPIONEER−HF(NCT02554890)に基づく。
臨床試験TRANSITION(NCT02661217)では、急性代償不全心不全(ADHF)エピソードの後間もなく、駆出率が低下した心不全患者(HFrEF)においてLCZ696療法を用いて退院前及び退院後の治療開始を比較した。以下のことが示された。
・ 退院前及び退院後開始群で同程度の割合の患者が、一次及び二次エンドポイントを満たした。
・ AEに起因する有害イベント及び中止の発生率は、入院及び来院開始群で類似していた。
・ 急性HF代償不全イベント後に安定化されたHFrEF患者の約半分は、10週間以内に200mg LCZ696 b.i.d.の目標用量を達成した。
・ LCZ696の早期開始が実現可能であり、全体として耐容性が良好であった。
− de novo HF患者及びACEi/ARBナイーブ患者をはじめとする広範囲にわたるHFrEF患者において、
− ADHFエピソードの後間もない安定化HFrEF患者は、
− PARADIGM−HF及びTITRATION患者集団と比較したとき、いかなる新しいタイプの有害イベントも伴わず、且つ
− 他の疾患修飾HF療法の安全性プロファイルに適合した。
臨床試験PIONEER−HF(NCT02554890)は、ADHFで入院した後、HFrEF(LVEF≦40%)を有する血行動態的に安定な患者において、4週目及び8週目までベースラインからのNT−proBNPレベルの時間平均比例変化に及ぼすLCZ696対エナラプリルの入院開始の効果を評価するように設計された。以下のことが示された。
・ エナラプリルと比較して、LCZ696による治療(ADHFエピソード後の初期安定化後に開始された)は、耐容性が良好であり、第1週目までにすでに注目すべきNT−proBNP濃度の早期持続低下をもたらした。エナラプリルと比較して、LCZ696は、死、HFによる再入院、LVAD植込み、又は8週間の試験期間にわたる心移植リスティングの臨床コンポジットの低減の増大をもたらし、エナラプリルと比較して、サクビトリル/バルサルタンを用いたときの相対及び絶対リスク低減は、それぞれ、44.6%及び7.5%であった。
・ ARNi(すなわちLCZ696)療法に対する既存の証拠の基礎は、高用量のガイドラインに従ったHF投薬に耐容性があることがまだ知られていないde novo HFのADHFで入院した患者又は従来のレニン−アンギオテンシン系阻害剤を摂取していない患者を含めて、これまで試験されていない集団に延長可能である(Ambrosy AP,et al.Eur J Heart Fail 2018;20:963−72)。
・ LCZ696は、先行臨床試験からのARNi療法の証拠が制限される黒人と認定された患者の患者集団において、エナラプリルよりも有効であった。また、この患者集団では、LCZ696を用いたときは血管浮腫が見られないが、エナラプリルを用いたときは血管浮腫が観測されることが示された。
両方の実験をまとめると、LCZ696は、広範にわたるHFrEF患者において入院診察及び来院診察の両方で、急性心不全エピソードの後間もなく安全に開始可能であることが示される。
200mg LCZ696 b.i.d.の目標用量は、エナラプリル10mg b.i.d.よりも優れた優位性を実証したPARADIGM−HF試験で調べられた用量である。200mg LCZ696 b.i.d.の用量は、HFに対する最大承認バルサルタン用量及びHFの治療のための国際ガイドラインで推奨された用量であるバルサルタン160mg b.i.d.と類似の暴露量のバルサルタン(AUCにより評価)を送達する。そのほか、この用量は、その最大ネプリライシン阻害の約90%を送達することが、バイオマーカー解析(ANP及びcGMPのレベルの増加)により示唆された(Gu J,et al.J Clin Pharmacol 2010;50:401−14)。
目標用量への漸増の基準は、患者の臨床評価及び検査アセスメントに基づく耐容性(すなわち、低血圧、腎又は肝障害、及び高カリウム血症の発生率)に依拠するので、目標用量の達成は、治療に対する患者の耐容性の指標となる。たとえば、TRANSITION試験で200mg LCZ696 b.i.d.の目標用量に達する患者のパーセントが高ければ、LCZ696の早期開始が実現可能であり、全体的に耐容性が良好であることが証明される。
HFrEFにおけるARNiに対する先行試験証拠は、確立された安定高用量のACEi/ARBを摂取した患者及び逐次単盲検ランイン期間に耐容性を示してランダム化前に最高用量のエナラプリル及びサクビトリル/バルサルタンの耐容性が実証された患者に限られていた。PIONEER−HF試験では、これまで試験されなかった最低用量のサクビトリル/バルサルタン(24/26mg錠剤)を利用した。初回用量選択及びSBPベースアルゴリズムに従ったさらなる用量漸増を用いて、PIONEER−HFに登録された患者は、サクビトリル/バルサルタンのSBPベース目標用量を安全に達成した。重要なこととして、サクビトリル/バルサルタンを用いて見られた好ましい効果は、ベースライン時のSBP、入院時のACEi/ARB使用、HFの先行診断、人種、症状出現からの時間に基づいて異ならなかった。
本発明との関連では、「1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン」という用語は、1:1のモル比の
(i)バルサルタン又はその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)サクビトリル又はその薬学的に許容可能な塩と、
の組合せを意味する。
一実施形態では、前記組合せは、バルサルタンとサクビトリルとを含み、且つ非共有結合又は共有結合を介して、任意選択的にリンカーを介してそれらを連結一体化した複合体又は化合物の形態で提供される。
一実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、式(I)
[(A)(A)](Na・xHO (I)
(式中、
は、ジアニオン形のバルサルタンであり、
は、アニオン形のサクビトリルであり、
Naは、ナトリウムイオンであり、且つ
xは、0.5〜7である)
の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、式(I)(式中、xは0.5〜3.5である)の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、式(I)(式中、xは0.5〜2.5である)の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、式(I)(式中、xは2.5〜3.5である)の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、式(I)の化合物はアモルファス形である。
その一実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、式(I)(式中、xは2.5である)の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、式(I)の化合物は結晶形である。
その一実施形態では、式(I)の化合物は、トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物である。
その一実施形態では、化合物トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物は、結晶形で存在する。
本発明との関連では、「使用に供される医薬組成物」は、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを含む医薬組成物であり、この場合、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンは、以上の実施形態に定義される通りである。
サクビトリルとバルサルタンとを含有するLCZ696などの医薬組成物及び化合物並びにそれらの使用は、たとえば、国際公開第2003059345号パンフレット、国際公開第2007056546号パンフレット、国際公開第2009061713号パンフレット、国際公開第2012027237号パンフレット、国際公開第2014029848号パンフレット、国際公開第2015030711号パンフレット、国際公開第2015028941号パンフレット、国際公開第2016181284号パンフレット、国際公開第2016193883号パンフレット、国際公開第2017006254号パンフレット、及び国際公開第2017037577号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)にすでに開示されている。
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを含有する医薬組成物及び化合物並びにそれらの使用はまた、たとえば、中国特許出願公開第105037289A号明細書、国際公開第2017096772号パンフレット、国際公開第2016037552号パンフレット、国際公開第2016049663号パンフレット、中国特許出願公開第105461647A号明細書、国際公開第2016051393号パンフレット、中国特許出願公開第105503760A号明細書、中国特許出願公開第105669581A号明細書、国際公開第2016125123号パンフレット、中国特許出願公開第105929031A号明細書、国際公開第2016151525号パンフレット、中国特許出願公開第106032361A号明細書、国際公開第2016201238号パンフレット、中国特許出願公開第106316973A号明細書、国際公開第2017012917号パンフレット、国際公開第2017009784号パンフレット、国際公開第2017037591号パンフレット、国際公開第2017036420号パンフレット、国際公開第2017037596号パンフレット、国際公開第2017042700号パンフレット、中国特許出願公開第106518709A号明細書、国際公開第2017085573号パンフレット、IN03835DE2015号明細書、国際公開第17097085号パンフレット、IN04304DE2015号明細書、中国特許出願公開第107033094A号明細書、国際公開第2017154017号パンフレット、国際公開第2017191619号パンフレット、インド特許出願公開第201641010897A号明細書、インド特許出願公開第201641022870A号明細書、中国特許出願公開第107674038A号明細書、台湾特許出願公開第201806936A号明細書、国際公開第2018069833号パンフレット、国際公開第2018069937号パンフレット、及び国際公開第2018078592号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)にすでに開示されている。
(i)バルサルタン又は(S)−N−バレリル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]メチル}−バリン)又はその薬学的に許容可能な塩は、供給業者から購入可能であるか、又は米国特許第5,399,578号明細書及び欧州特許第0443983号明細書(その調製の教示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような公知の方法に従って調製可能である。バルサルタンは、本発明のある特定の実施形態では、その遊離酸形、さらにはいずれかの好適な塩形で使用可能である。状況に依存して、カルボン酸基のエステル又は他の誘導体、さらにはテトラゾール基の塩及び誘導体も利用しうる。
(ii)サクビトリル又はN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステル又はその薬学的に許容可能な塩、さらには(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4(3−カルボキシプロピオニルアミノ)−2−メチルペンタン酸は、米国特許第5,217,996号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような公知の方法により調製可能である。
対応する活性成分又はその薬学的に許容可能な塩もまた、水和物形で使用しうるか、又は結晶化に使用された他の溶媒を含みうる。
好ましくは、化合物サクビトリル又はその塩、バルサルタン又はその塩、式(I)の化合物、とくにLCZ696は、実質的に純粋であるか、又は実質的に純粋形である。本明細書で用いられる場合、「実質的に純粋な」とは、少なくとも約90%の純度、より好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約98%の純度を意味する。
また、これらの化合物は、固形又は固形形又は固形状態であることが有利である。固形、固形形、又は固形状態は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又はポリアモルファス、好ましくは結晶形でありうる。
医薬組成物は、それ自体公知の方法で調製可能であり、且つ人間を含めて哺乳動物(温血動物)への経口投与又は直腸投与などの経腸投与及び非経口投与に好適なものであり、治療有効量の薬理活性化合物を単独で又は1種以上の薬学的に許容可能な担体、とりわけ経腸適用又は非経口適用に好適なものとの組合せで含む。
医薬組成物は、たとえば約0.1%〜約100%、たとえば80%又は90%又は約1%〜約60%の活性成分を含有する。いずれの場合も本明細書で用いられる「約」又は「おおよそ」という用語は、所与の値又は範囲の10%以内、より好ましくは5%以内の意味を有するものとする。
経腸投与又は非経口投与に供される医薬組成物は、たとえば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤、棒剤、サシェ剤、顆粒剤、シロップ剤、水性若しくは油性サスペンジョン剤、又は坐剤、さらにアンプル剤などのユニット製剤の形態である。これらは、それ自体公知の方法で、たとえば、従来の混合、顆粒化、糖コーティング、溶解、又は凍結乾燥プロセスを利用して調製される。そのため、経口使用に供される医薬組成物は、活性成分と固形担体とを組み合わせることにより、所望により、得られた混合物を顆粒化することにより、所望又は所要により、好適な賦形剤の添加後、錠剤又は糖衣錠コアを与えるように混合物又は顆粒を処理することにより、得ることが可能である。
錠剤は、充填剤、たとえばリン酸カルシウム、崩壊剤、たとえばメイズデンプン、滑沢剤、たとえばマグネシウムステアレート、結合剤、たとえばマイクロ結晶性セルロース又はポリビニルピロリドン、及び公知の方法により混合物の打錠を可能にする当技術分野で公知の他の任意選択的成分を併用して、活性化合物から形成しうる。同様に、カプセル剤、たとえば、追加の賦形剤を併用して又は併用せずに活性化合物を含有するハード又はソフトゼラチンカプセル剤は、公知の方法により調製しうる。カプセル剤の内容物は、活性化合物の持続放出を与えるように公知の方法を用いて製剤化しうる。
経口投与に供される他の製剤としては、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの非毒性懸濁化剤の存在下で水性媒体に活性化合物を含有する水性サスペンジョン剤、及びラッカセイ油などの好適な植物油中に活性化合物を含有する油性サスペンジョン剤が挙げられる。
医薬組成物は、追加の賦形剤を併用して又は併用せずに顆粒剤として製剤化された活性化合物を含む。顆粒剤は、患者が直接摂取しうるか、又は摂取前に好適な液状担体(たとえば水)に添加しうる。顆粒剤は、液体媒体中への分散を促進するために、酸と炭酸塩又は重炭酸塩とから形成された発泡性ペアなどの崩壊剤を含有しうる。
組成物中の活性成分の投与量は、治療される病態の性質及び重症度並びに組成物中の特定の1種又は複数種の活性成分及びその投与経路により変化するであろう。また、個々の患者の年齢、体重、及び反応によっても変化するであろう。
一実施形態では、医薬組成物で一体化された治療剤サクビトリル及びバルサルタンの組合せ単位用量は、約1〜約1000mgの範囲内、たとえば40mg〜400mg(たとえば、50mg、100mg、200mg、400mg)であろう。代替的に、たとえば、サクビトリル及びバルサルタンの組合せ単位用量が0.5〜100mg、0.5〜50mg、又は0.5〜20mgであるより低用量の医薬組成物を調製しうる。実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物の形態で提示される場合、たとえば100mg LCZ696の単位用量は、100mgの2種の作用剤サクビトリル及びバルサルタン(すなわち49mgサクビトリル及び51mgバルサルタン)を送達し、113.1mgのトリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物に達する。それに対応して、それぞれ、50mg LCZ696の単位用量は、56.6mgを必要とし、200mg LCZ696の単位用量は、226.2mgを必要とし、400mg LCZ696の単位用量は、452.4mgのトリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物を必要とする。
本発明に使用される医薬組成物は、即時放出構成で1日何回か、すなわち1日1回(q.d.)、2回(b.i.d.)、3回、4回など、又は長期放出若しくは持続放出構成として、より少ない頻度で投与可能である。好ましくは、医薬組成物は、1日2回(b.i.d.)投与される。対応する用量は、たとえば、朝、昼、又は晩に摂取しうる。
本発明の一実施形態では、医薬組成物は、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの組合せを約50mg〜約1000mg、とくに約400mgまで又は約200mgまでの1日全体用量で送達するように投与される。
その一実施形態では、医薬組成物は、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの組合せを50mg、100mg、又は200mgの用量で1日2回(b.i.d.)送達するように投与される。言い換えると、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの組合せは、50mg、100mg、又は200mgの個別用量で、それぞれ、100mg、200mg、又は400mgの合計1日用量で1日2回患者に投与される。
その一実施形態では、
a)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mg用量は、24mgサクビトリル及び26mgバルサルタンに相当し、
b)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの100mg用量は、49mgサクビトリル及び51mgバルサルタンに相当し、且つ
c)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの200mg用量は、97mgサクビトリル及び103mgバルサルタンに相当する。
医薬組成物の特定実施形態では、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの組合せは、化合物トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物の形態で送達され、この場合、
a)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mg用量は、約56.6mgトリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物に相当し、
b)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの100mg用量は、約113.1mgトリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物に相当し、且つ
c)1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの200mg用量は、約226.2mgトリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物に相当する。
それゆえ、本発明は以下の実施形態に関する。
治療方法の実施形態
実施形態1:
患者において駆出率が低下した心不全を治療する方法であって、それを必要とする前記患者に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンを投与することを含み、前記患者の急性代償不全心不全エピソードの後間もなく治療が開始され、間もなくという用語が、急性心不全治療の終了後の医学的安定化から開始して急性代償不全心不全エピソードの後14日間まで(14日目を含む)の期間を意味する、方法。
実施形態2:
急性代償不全心不全エピソードが原因で患者がまだ入院している間に治療が開始される、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:
急性代償不全心不全エピソードの後2週間以内に治療が開始される、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4:
急性代償不全心不全エピソードの後10日以内に治療が開始される、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態5:
患者が血行動態的に安定である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6:
血行動態的に安定な患者が、次の(i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg、(ii)治療開始前の6時間の間のIV利尿剤の増加もIV血管拡張剤の使用もなし、又は(iii)治療開始前の24時間の間に投与されたIV変力剤なし、の少なくとも1つにより特徴付けられる、実施形態5に記載の方法。
実施形態7:
血行動態的に安定な患者が、(i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg、(ii)治療開始前の6時間の間のIV利尿剤の増加もIV血管拡張剤の使用もなし、及び(iii)治療開始前の24時間の間に投与されたIV変力剤なし、により特徴付けられる、実施形態6に記載の方法。
実施形態8:
患者が、以下の特性
i)NYHAクラスII、III、若しくはIVの心不全、
ii)血漿BNP若しくはNT−proBNPレベルの上昇、好ましくは血漿BNP≧100pg/mL若しくはNT−proBNP≧400pg/mL、より好ましくは血漿BNP≧150pg/mL若しくはNT−proBNP≧600pg/mL、さらにより好ましくは血漿BNP≧450pg/mL若しくはNT−proBNP≧1600pg/mL、又は
iii)≦40%の低下した左室駆出率(LVEF)、
の少なくとも1つに基づいて駆出率が低下した心不全に罹患している、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9:
患者が、NYHAクラスII、III、又はIVとして分類される駆出率が低下した心不全に罹患しており、且つ患者が、≦40%の低下した左室駆出率(LVEF)を有する、実施形態8に記載の方法。
実施形態10:
患者が、実施形態1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前に駆出率が低下した心不全に罹患していると診断されている、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11:
患者が、実施形態1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前に駆出率が低下した心不全に罹患していると診断されていないde novo患者である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12:
患者が、実施形態1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前の少なくとも4週間にわたりACEI又はARB又はその両方のいずれも摂取していない、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13:
患者が、実施形態1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前にACEI又はARB又はその両方のいずれも摂取していないACEI/ARBナイーブ患者である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14:
患者が、200mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15:
患者が、100mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16:
患者が、50mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14〜16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14又は15に記載の方法。
実施形態19:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前にACEIもARBも摂取していない患者に使用される、実施形態18に記載の方法。
実施形態20:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に低用量のACEI又はARBを摂取している患者に使用される、実施形態18に記載の方法。
実施形態21:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に中等度の肝障害(チャイルド・ピューグレードB分類)又は正常範囲の上限の2倍超のAST/ALT値を有する患者に使用される、実施形態18に記載の方法。
実施形態22:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に中等度の腎障害(eGFR 30〜60ml/min/1.73m)を有する患者に使用される、実施形態18に記載の方法。
実施形態23:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの100mgの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14に記載の方法。
実施形態24:
漸増期間が約2〜約8週間である、実施形態17〜23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25:
漸増期間が約2〜約6週間である、実施形態24に記載の方法。
実施形態26:
漸増期間が約2〜約4週間である、実施形態25に記載の方法。
実施形態27:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、
(i)バルサルタン又はその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)サクビトリル又はその薬学的に許容可能な塩と、
の1:1のモル比の組合せを意味する、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)
[(A)(A)](Na・xHO (I)
(式中、
は、ジアニオン形のバルサルタンであり、
は、アニオン形のサクビトリルであり、
Naは、ナトリウムイオンであり、且つ
xは、0.5〜7である)
の化合物の形態で提供される、実施形態27に記載の方法。
実施形態29:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)(式中、xは0.5〜3.5である)の化合物の形態で提供される、実施形態27又は28に記載の方法。
実施形態30:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)(式中、xは2.5である)の化合物の形態で提供される、実施形態27〜29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物である式(I)の化合物の形態で提供される、実施形態27〜30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32:
患者が、安定用量のβブロッカー、アルドステロンアンタゴニスト、及び/又は利尿剤による基礎治療を受ける、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントを低減することが示されている、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、治療有効量のACE阻害剤を含む医薬よりも有効であり、好ましくはACE阻害剤がエナラプリルである、実施形態1〜33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントの低減において、治療有効量のエナラプリルを含む医薬よりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%有効である、実施形態34に記載の方法。
実施形態36:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントの低減において、治療有効量のエナラプリルを含む医薬よりも統計的に優れていることが示されている、実施形態34に記載の方法。
実施形態37:
エナラプリルと比較される1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの相対リスク低減率が少なくとも40%であるとして統計的優位性が表される、実施形態36に記載の方法。
実施形態38:
エナラプリルと比較される1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの絶対リスク低減率が少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%であるとして統計的優位性が表される、実施形態36に記載の方法。
使用の実施形態のサクビトリル及びバルサルタン
実施形態1b:
患者において駆出率が低下した心不全を治療する方法における使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンであって、前記患者の急性代償不全心不全エピソードの後間もなく治療が開始されることを含み、間もなくという用語が、急性心不全治療の終了後の医学的安定化から開始して急性代償不全心不全エピソードの後14日間まで(14日目を含む)の期間を意味する、サクビトリル及びバルサルタン。
実施形態2b:
急性代償不全心不全エピソードが原因で患者がまだ入院している間に治療が開始される、実施形態1bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態3b:
急性代償不全心不全エピソードの後2週間以内に治療が開始される、実施形態1b又は2bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態4b:
急性代償不全心不全エピソードの後10日以内に治療が開始される、実施形態1b又は2bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態5b:
患者が血行動態的に安定である、実施形態1b〜4bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態6b:
血行動態的に安定な患者が、次の(i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg、(ii)治療開始前の6時間の間のIV利尿剤の増加もIV血管拡張剤の使用もなし、又は(iii)治療開始前の24時間の間に投与されたIV変力剤なし、の少なくとも1つにより特徴付けられる、実施形態5bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態7b:
血行動態的に安定な患者が、(i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg、(ii)治療開始前の6時間の間のIV利尿剤の増加もIV血管拡張剤の使用もなし、及び(iii)治療開始前の24時間の間に投与されたIV変力剤なし、により特徴付けられる、実施形態6bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態8b:
患者が、以下の特性
i)NYHAクラスII、III、若しくはIVの心不全、
ii)血漿BNP若しくはNT−proBNPレベルの上昇、好ましくは血漿BNP≧100pg/mL若しくはNT−proBNP≧400pg/mL、より好ましくは血漿BNP≧150pg/mL若しくはNT−proBNP≧600pg/mL、さらにより好ましくは血漿BNP≧450pg/mL若しくはNT−proBNP≧1600pg/mL、又は
iii)≦40%の低下した左室駆出率(LVEF)、
の少なくとも1つに基づいて駆出率が低下した心不全に罹患している、実施形態1b〜7bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態9b:
患者が、NYHAクラスII、III、又はIVとして分類される駆出率が低下した心不全に罹患しており、且つ≦40%の低下した左室駆出率(LVEF)を有する、実施形態8bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態10b:
患者が、実施形態1bに述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前に駆出率が低下した心不全に罹患していると診断されている、実施形態1b〜9bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態11b:
患者が、実施形態1bに述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前に駆出率が低下した心不全に罹患していると診断されていないde novo患者である、実施形態1b〜9bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態12b:
患者が、実施形態1bに述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前の少なくとも4週間にわたりACEI又はARB又はその両方のいずれも摂取していない、実施形態1b〜11bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態13b:
患者が、実施形態1bに述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前にACEI又はARB又はその両方のいずれも摂取していないACEI/ARBナイーブ患者である、実施形態1b〜11bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態14b:
患者が、200mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1b〜13bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態15b:
患者が、100mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1b〜13bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態16b:
患者が、50mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、実施形態1b〜13bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態17b:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14b〜16bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態18b:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14b又は15bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態19b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前にACEIもARBも摂取していない患者に使用される、実施形態18bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態20b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に低用量のACEI又はARBを摂取している患者に使用される、実施形態18bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態21b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に中等度の肝障害(チャイルド・ピューグレードB分類)又は正常範囲の上限の2倍超のAST/ALT値を有する患者に使用される、実施形態18bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態22b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの50mgの開始用量b.i.d.が、治療開始前に中等度の腎障害(eGFR 30〜60ml/min/1.73m)を有する患者に使用される、実施形態18bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態23b:
約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの100mgの開始用量b.i.d.から目標用量に増加させる漸増後に目標用量に達する、実施形態14bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態24b:
漸増期間が約2〜約8週間である、実施形態17b〜23bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態25b:
漸増期間が約2〜約6週間である、実施形態24bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態26b:
漸増期間が約2〜約4週間である、実施形態25bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態27b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、
(i)バルサルタン又はその薬学的に許容可能な塩と、
(ii)サクビトリル又はその薬学的に許容可能な塩と、
の1:1のモル比の組合せを意味する、実施形態1b〜26bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態28b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)
[(A)(A)](Na・xHO (I)
(式中、
は、ジアニオン形のバルサルタンであり、
は、アニオン形のサクビトリルであり、
Naは、ナトリウムイオンであり、且つ
xは、0.5〜7である)
の化合物の形態で提供される、実施形態27bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態29b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)(式中、xは0.5〜3.5である)の化合物の形態で提供される、実施形態27b又は28bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態30b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)(式中、xは2.5である)の化合物の形態で提供される、実施形態27b〜29bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態31b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物である式(I)の化合物の形態で提供される、実施形態27b〜30bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態32b:
患者が、安定用量のβブロッカー、アルドステロンアンタゴニスト、及び/又は利尿剤による基礎治療を受ける、実施形態1b〜31bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態33b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントを低減することが示されている、実施形態1b〜31bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態34b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、治療有効量のACE阻害剤を含む医薬よりも有効であり、好ましくはACE阻害剤がエナラプリルである、実施形態1b〜33bのいずれか1つに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態35b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントの低減において、治療有効量のエナラプリルを含む医薬よりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%有効である、実施形態34bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態36b:
1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床コンポジットエンドポイントの低減において、治療有効量のエナラプリルを含む医薬よりも統計的に優れていることが示されている、実施形態34bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態37b:
エナラプリルと比較される1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの相対リスク低減率が少なくとも40%であるとして統計的優位性が表される、実施形態36bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
実施形態38b:
エナラプリルと比較される1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの絶対リスク低減率が少なくとも5%、好ましくは少なくとも7%であるとして統計的優位性が表される、実施形態36bに記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
本発明に係る治療の方法又は治療における使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンに関する以上に述べた列挙された実施形態はすべて、
− 本発明に係る治療のための医薬の製造における、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの使用、
− 本発明に係る治療のための、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの使用、
− 本発明に係る治療における使用のための、1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンと1種以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物、
に等しく適用可能である。
Figure 2021525791
試験薬剤LCZ696:
LCZ696は、超分子複合体トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物を意味する。この化合物及びその医薬組成物は、国際公開第2007056546号パンフレット及び国際公開第2009061713号パンフレット(その調製の教示は参照により本明細書に組み込まれる)にすでに開示されている。
実施例1 TRANSITION試験
試験設計
TRANSITION(NCT02661217)は、新たにHFと診断された患者を含めて、HFrEF、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)クラスII〜IV、左室駆出率(LVEF)≦40%を有する患者において、ADHFのエピソード後の血行動態安定化に続いて、退院前及び退院後(1〜14日間)のLCZ696の開始を比較するランダム化パラレルオープンラベル試験である(Pascual Figal D,et al.ESC Heart Fail 2018;5(2):327−368)。
試験設計は、3つのエポック(相):スクリーニングエポック、ランダム化後の10週間として定義される治療エポック、及び16週間のフォローアップエポックを含む。患者は、入院前の治療ステータスに基づいて3つの群:(a)アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)を摂取している、(b)アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)を摂取している、又は(c)ACEI/ARBナイーブ患者に層別化された。患者は、退院前又は退院後のどちらかでLCZ696治療の開始に関して各層内で1:1にランダム化された(図1参照)。
試験集団
試験集団は、CHF NYHAクラスII〜IV及び駆出率の低下(LVEF≦40%)と診断された心不全の急性代償不全のエピソードで入院した患者からなる。患者は、初回出現(de novo)の急性代償不全又は(慢性)HFの前歴のある患者の悪化が原因のHFの急性代償不全のどちらかを有しうる。
選択基準:
1. 急性代償不全HFエピソード(ADHF)一次診断として)並びに一貫性のある徴候及び症状が原因で入院した患者。
2. HFニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)クラスII〜IV及び駆出率の低下の診断:スクリーニング時の左室駆出率≦40%。
3. 患者は、ADHFの出現時からランダム化までいずれのIV血管拡張剤(硝酸塩を除く)及び/又はいずれのIV変力療法も施されなかった。
4. ランダム化に至る少なくとも24hにわたり安定化されて(病院内にいる間)以下のように定義される。
・ ICFにサインする前の過去の24h以内はIV利尿剤の必要なし
・ ランダム化前の少なくとも6hにわたる収縮期血圧(SBP)≧110mmHg。
5. 以下の基準の1つを満たす。
・ スクリーニング時にACEIもARBもなんら摂取していない患者
・ ACEI/ARBナイーブ患者及びスクリーニング前の少なくとも4週間にわたりACEIもARBも摂取していない患者。
主要な除外基準:
1. サクビトリル、バルサルタン、又はいずれかのARB、NEP阻害剤、又はLCZ696賦形剤のいずれかに対する過敏症の病歴。
2. 症候性低血圧症及び/又はランダム化前のSBP<110mmHg又はSBP>180mmHg。
3. スクリーニング時にエンドステージ腎疾患又はランダム化時に腎疾患における食事の簡易修正(simplified Modification of Diet in Renal Disease)(MDRD)式により測定したときの推定GFR<30mL/min/1.73m2。
4. ランダム化時の血清カリウム>5.4mmol/L。
5. 患者が代償不全HFの治療を受けていない今回の入院。
6. 遺伝性若しくは特発性血管浮腫又は以前のACE阻害剤若しくはARB療法に関連する血管浮腫の既往歴。
7. 重篤な肝障害、胆汁性肝硬変、及び胆汁鬱滞。
PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と比較してTRANSITION試験に登録された患者の主要な適格性基準を表1に示す。
Figure 2021525791
デモグラフィックス及びベースライン特性及びベースライン治療
PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と比較してTRANSITION試験の主要なベースライン特性及び病歴を表2に示す。
Figure 2021525791
ベースライン時、平均年齢は67歳であり、患者の75%は男性であった。平均LVEFは29%であり、患者の64%及び34%は、それぞれ、NYHAクラスII及びIIIであった。全体で、286名(29%)の患者は初発(de novo)HFrEFを有し、242名(24%)の患者はACEI/ARBナイーブであった。TRANSITION試験の追加のベースライン特性は、2018年8月28日にMunichでのESC会議でポスター(P6531)として提示されるであろう。
PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と比較して、TRANSITION試験に登録された患者は、年齢が高く、より低いeGFRを有するNYHAクラスIIIに女性が多い可能性があり、且つ高血圧、心房細動、及び糖尿病を有する者が多い可能性があった。
PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と比較して、TRANSITION試験に登録されたより少数の患者が、既知の虚血性病因のHFを有していた。
TRANSITION試験の患者とPARADIGM−HF試験及びTITRATION試験の患者とのベースライン特性の比較により、TRANSITIONでは2つのすでに行われた試験よりも重篤なHFrEF集団が採用されたことが示される。TRANSITION患者集団は、より年齢が高く、より重篤なHF症状及びより多くの併存症を有していた。
TRANSITION試験では、すべての患者が安定ACEI/ARBを摂取していたPARADIGM−HF及び33名(6.6%)の患者がACEI/ARBナイーブであったTITRATIONとは対照的に、242名(24%)の患者がACEI/ARBナイーブであった。登録前にβブロッカー、MRA、及び利尿剤を用いている患者の割合は、TRANSITION試験では、PARADIGM−HF試験及びTITRATION試験と比較して低かった(図2参照)。
TRANSITION試験集団は、初発(de novo)HFrEF患者及びACEI/ARBナイーブ患者を含めて、日々の臨床診療の集団に類似して、安定化され退院間近のADHFイベントが原因で入院した広範にわたるHFrEF患者を呈する。
目標用量
LCZ696の推奨開始用量は、100mg b.i.d.であった。
以下の患者に対して、50mg LCZ696 b.i.d.の開始用量が考慮された。
(1)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンIIレセプターブロッカー(ARB)を現在摂取していない患者、
(2)低用量のこれら作用剤をこれまで摂取している患者、
(3)中等度の肝障害(チャイルド・ピューグレードB分類)又は正常範囲の上限の2倍超のAST/ALT値を有する患者、
(4)中等度の腎障害(eGFR 30〜60ml/min/1.73m)を有する患者。
LCZ696の用量は、患者の耐容性に応じて200mg 1日2回の目標用量を達成するように2〜4週間ごとに2倍にした。
目標用量への漸増の基準は、臨床評価及び検査アセスメントに基づいて耐容性(すなわち、低血圧、腎又は肝障害、及び高カリウム血症の発生率)を考慮した。耐容性の問題を抱えている患者の場合、(a)併用医薬の調整、又は(b)一時漸減、又は(c)LCZ696の一時又は永久中止を考慮した。
一次エンドポイント
一次エンドポイントは、ランダム化後10週間で200mg LCZ696 b.i.d.の目標用量を達成する患者の割合である。
二次エンドポイント
二次エンドポイントは、ランダム化後10週目まで少なくとも2週間にわたり維持されるさまざまな用量のLCZ696(200mg b.i.d.、100mg b.i.d.、いずれかの用量)の耐容性、さらには有害イベント(AE)に起因する永久LCZ696中止の発生率を評価する。
参照
試験設計及び手順は、www.clinicaltrials.govの試験番号NCT02661217(本願をもって参照により組み込まれる)の下に見いだしうる。
結果
試験集団
2016年2月〜2017年12月の間、合計1124名の患者がスクリーニングされ、1002名の患者がランダム化された。ランダム化前に13名の患者が中止され、そのうち1名はスクリーニング期間中に死亡した。合計111名の患者は、スクリーニング基準を満たさなかった。そのため、500名の患者を退院前開始及び502名を退院後開始にランダム化した。これらのうち、退院前群の493名(99%)の患者及び退院後群の489名(97%)の患者は、試験投薬を受けた。
入院から試験薬剤の初回投与までのメジアン期間は、退院前群では7日間及び退院後群では10日間であった。ランダム化から初回投与までのメジアン期間は、退院前群及び退院後群で、それぞれ、0日間[四分位間範囲(IQR)0〜1日間]及び3日間(IQR 2〜6日間)であった。退院から初回投与までのメジアン期間は、退院前群では−1日間(IQR −2〜−1日間)、及び退院後群では1日間(IQR 1〜4日間)であった。
患者は急性イベント後に安定化されると予想されたので、ランダム化時の患者の2/3(64%)はNYHAクラスIIであり、且つ34%はNYHAクラスIIIであったことが、ベースライン特性(以上の表2)から示される。患者の29パーセントは、新たに(de novo)HF(n=286)と診断され、患者の24%(n=241)は、ADHFイベント前にACEI/ARBナイーブであり(層割当てによる)、且つ49%(n=485)は、以前にHFのため入院した。
サクビトリル/バルサルタンの初期開始用量
退院前群の436名(88.4%)の患者及び退院後群の413名(84.5%)の患者で、より低い24/26mg bidの開始用量を調査員により選択した。残りの患者で、49/51mg bidのより高い開始用量を使用した。
一次及び二次エンドポイント
一次及び二次エンドポイントを満たした患者の割合は、退院前及び退院後開始群で同程度であった(図3参照)。
ランダム化の10週間後、退院前アームの患者の45.0%及び退院後アームの患者の50.4%は、200mg 1日2回(b.i.d.)LCZ696の目標用量を達成した(相対リスク比[RRR]0.893、95% CI 0.783〜1.019、p=0.092)。
退院前(62.5%)及び退院後(68%)にLCZ696を開始した患者の約2/3は、ランダム化後10週目まで少なくとも2週間にわたり100mg b.i.d又は200mg b.i.d.のどちらかを達成且つ維持した(RRR 0.919、95% CI 0.839〜1.008、p=0.071)。患者の86%超は、両群でランダム化後10週目まで少なくとも2週間にわたりLCZ696のいずれかの用量を達成且つ維持した(退院前開始では86.4%及び退院後開始では88.8%)(RRR 0.973、95% CI 0.929〜1.020、p=0.262)。
AEに起因する試験薬剤の永久中止率は低く、退院前開始の患者間では4.5%及び退院後開始の患者間では3.5%であった(RRR 1.287、95% CI 0.692〜2.395、p=0.424)。
ナイーブであった層と比較して、ACEI層又はARB層との間で一次エンドポイントを満たした患者の割合に有意差は存在しなかった(相対RR 1.01、95% CI 0.88〜1.16)。二次エンドポイントの解析により、両層でサクビトリル/バルサルタンの同程度の耐容性が確認された。
漸増成功の予測因子
10週間の治療の終了時にLCZ696 200mg b.i.d.の目標用量への漸増の成功のベースライン予測因子を同定するために、多変量ロジスティック回帰モデルを開発した。目標用量を達成する可能性の高いものを同定するために、95%信頼区間と共にオッズ比を求めた(図5参照)。解析では、10週間以内の目標用量達成の有意な(P<0.05)予測因子は、年齢<65歳、ベースライン時のSBP≧120mmHg、高血圧の病歴、de novo HF、ベースライン時の心房細動なし、ランダム化時の推定糸球体濾過量≧60mL/min/1.73m2、及び49/51mg bidのサクビトリル/バルサルタン開始用量であった。サクビトリル/バルサルタンの退院前又は退院後開始への割当ては有意ではなく(OR 1.21、95% CI 0.93〜1.59)、ACEI又はARBの先行使用も漸増成功の有意な予測因子ではなかった(OR 1.04、95% CI 0.75〜1.45)(図5)。
安全性
10週間の期間中のAE率、重篤AE(SAE)率、一時及び永久治療中止率は、退院前及び退院後開始群で同程度であった(表3参照)。
Figure 2021525791
退院前群対退院後群の患者で最も頻繁に報告されたAEは、それぞれ、高カリウム血症(11.1%対11.3%)、低血圧(12.3%対9.1%)、心不全(6.8%対8.5%)、及び眩暈(5.6%対4.2%)であった(表4参照)。
Figure 2021525791
SAEは、退院前群対退院後群の患者で、それぞれ、18.9%対17.7%で報告された(表3)。
報告されたSAEのうち、心不全は最も一般的であった(退院前群対退院後群の患者のそれぞれ7.0%対7.7%)(表5)。
急性腎傷害SAEの類似の頻度(退院前群対退院後群の患者のそれぞれ1.2%対1.4%)(表5)。
低血圧及び高カリウム血症のSAEは、両治療群の患者の<1%で報告された(表5)。
死亡率は、両治療アームで低かった。13名の患者(2.6%)は、退院前アームで死亡し、10名の患者(2.0%)は、退院後アームで死亡した(p=0.6740)(表3)。死亡例は、調査員により試験治療に帰属されなかった。
Figure 2021525791
永久治療中止をもたらす最も一般的なAEは、心不全及び高カリウム血症であった(図4参照)。
サブ群解析
A. 駆出率が低下した心不全と新たに診断された患者(de novo HFrEF)。
TRANSITION(NCT02661217)では、286名の患者(28.8%)は、de novo HFrEFであり、且つ705名(71.0%)は、HFrEFの以前の診断を有していた。ベースライン時には、de novo HF患者は、より若く、より低い収縮期血圧、より高い脈拍数、より高頻度の非虚血性HF、より低い血清クレアチニン、より高いe−GFR、より低い高感度トロポニンTレベル、及び通常のHF併存症のより低い存在を有していた。重要なこととして、先行HF診断を有する被験者と比較して、より多くのde novo HF患者が目標用量を達成し(56.0%対44.8%、RRR 1.30、95% CI 1.12、1.52、P<0.001)、90%は、10週目にいずれかのサクビトリル−バルサルタン用量を達成且つ維持可能であった(図6)。AEの全発生率は群間で同程度であり、重篤AE、AEに起因するサクビトリル−バルサルタンの一時及び永久中止は、de novo HFrEF患者でより少なかった(表6)。
Figure 2021525791
B. アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)又はアンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)にナイーブな患者。
TRANSITIONでは、326名の患者(32.9%)はACEI/ARBナイーブであり、且つ665名(67.1%)はそうではなかった。ベースライン時には、ACEI/ARBナイーブ患者は、より低い収縮期血圧、血清クレアチニン、及び通常のHF併存症の存在を有していたが、より高い脈拍数及びより高頻度の非虚血性HF病因を有していた。先行ACEI/ARB使用を有する被験者と比較して、類似の割合のACEI/ARBナイーブ患者が目標用量を達成し(48.3%対47.9%、RRR 1.008、95% CI 0.878、1.156)、両群の被験者の88%は、10週目にいずれかのサクビトリル−バルサルタン用量を維持した(図7)。AE、重篤AE、及びAEに起因するサクビトリル−バルサルタンの永久中止の全発生率は、群間で同程度であった(表7)。
Figure 2021525791
結論:
TRANSITIONでは、急性HF代償不全イベントの後に安定化されたHFrEF患者の約半分は、10週間以内に200mg LCZ696 b.i.d.の推奨目標用量を達成した。
有害イベント及び有害イベントに起因するLCZ696の中止の発生率は、退院前群対退院後群で類似していた。
より少ない併存症、より高い収縮期血圧、又は新たに診断されたHFを有する患者は、10週間以内の目標用量へのLCZ696の漸増に耐容性を有する可能性が高い。
入院中又は退院後間もない広範にわたるHFrEF患者においてLCZ696の開始が実現可能で、全体的に耐容性が良好であった。
de novo HFrEFを有する患者は、サクビトリル−バルサルタンで安全に開始可能であり、HFrEFの以前の診断を有する患者と比較して10週目までに目標用量を達成しS/V治療を維持する可能性が高い。
ACEI/ARBにナイーブであるADHFイベント後に安定化されたHFrEF患者は、ACEI/ARBで以前に治療された患者に類似して、安全に開始、漸増、及びS/V維持を行うことが可能である。
実施例2. PIONEER−HF試験
試験設計
PIONEER−HF(NCT02554890)は、急性HFrEFで入院した患者においてLCZ696の効能、安全性、及び耐容性を評価するために設計されたプロスペクティブ多中心二重盲検ランダム化実対照試験である。
N末端プロb型ナトリウム利尿ペプチド(NT−proBNP)≧1600pg/mL又はBNP≧400pg/mLのどちらかを有するEF≦40%の年齢≧18歳の同意成人が含まれていた。試験の原理及び設計は、Velazquez EJ,et al.Am.Heart J 2018;198:145−51(本願をもって参照により組み込まれる)に記載されている。
試験集団
初回出現から24時間以降且つ10日間までの患者が参加適格であり、入院開始で8週間にわたり97/103mg 1日2回まで漸増されるLCZ696対10mg 1日2回まで漸増されるエナラプリルに1:1でランダムに割り当てられた。開始用量及びすべての後続用量は、収縮期血圧(SBP)アルゴリズムに基づいて最高耐容用量を最適化するように選択された。
選択基準:
・ 書面によるインフォームドコンセントを提供する能力を有する年齢≧18歳の患者。
・ 流体オーバーロードの症状及び徴候を含むHFの一次診断で現在入院している。
・ 安定ステータスの以下の定義を満たす限り、出現の24時間以降且つ出現後10日間までの適格患者が、まだ入院している間にランダム化される。
− ランダム化前の先行する6時間にわたりSBP≧100mmHg、症候性低血圧症なし
− ランダム化前の最後の6時間以内にi.v.利尿用量の増加(増強)なし
− ランダム化前の24時間にわたりi.v.変力薬剤なし
− ランダム化前の最後の6時間以内に硝酸塩を含むi.v.血管拡張剤なし
・ エコーカルジオグラフィー、マルチゲート収集スキャン(MUGA)、CTスキャニング、MRI、又は心室アンギオグラフィーを用いた過去6m以内の左室EF≦40%(今回の入院を含む)。ただし、後続試験で>40%のEFが実証されないものとする。
・ 今回の入院時の上昇NT−proBNP≧1600pg/mL又はBNP≧400pg/mL。
主要な除外基準:
・ LCZ696錠剤を現在摂取しているか又は過去30日間以内にいずれか使用。
・ 治験剤又は治験デバイスを含むいずれかの他の臨床試験に登録。
・ 過敏症、既知若しくは推定の禁忌、又はACEI、ARB、若しくはサクビトリル(NEP阻害剤)を含む試験薬剤のいずれかに対する不耐容性の病歴。
・ 以前のACE阻害剤又はARB療法に関連する血管浮腫の既往歴を有する患者。
・ ACE阻害剤及びARBの両方の治療の必要性。
・ スクリーニング時に腎疾患における食事の簡易修正(simplified Modification of Diet in Renal Disease)(MDRD)式により測定したときのeGFR<30ml/min/1.73m2。
・ スクリーニング時の血清カリウム>5.2mEq/L。
・ 既知の肝障害(実施された場合、総ビリルビン>3mg/dL若しくはアンモニアレベル増加により実証される)又は静脈瘤などの門脈圧亢進の証拠を有する硬変の病歴。
・ 急性冠症候群、脳卒中、一過性脳虚血発作、心臓、頸動脈、又は他の主要CV手術、ビジット1の前の1ヶ月以内の経皮的冠インターベンション(PCI)又は頸動脈血管形成。
・ 妊娠又は授乳(泌乳)女性。この場合、妊娠は、受胎後且つ妊娠終了までの女性の状態として定義され、陽性hCG検査試験により確認される。
・ 2つの受胎調節法を使用していない限り、経歴、ライフスタイル、又は性的指向により男性パートナーとの性交が妨げられる女性及びパートナーが精管切除又は他の手段により不妊化された女性を含めて、生理学的に妊娠可能なすべての女性として定義される出産可能性のある女性。
デモグラフィックス及びベースライン特性及びベースライン治療
米国の129ヵ所で、61(±14)歳の平均(±SD)年齢の887名の患者(男性72%、アフリカ系アメリカ人36%)を出現から4日間のメジアン(IQR 2)でランダム化した。ランダム化患者間で、303名(34%)は、HFの前歴の報告がなく(de novo)、463名(52%)は、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)/アンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)ナイーブであった。メジアン(IQR)EFは0.25(0.11)であり、メジアン(25th、75th)登録NT−proBNPは4817(3105、8745)pg/mlであった。ベースライン時には、メジアン(IQR)SBP及び血清クレアチニンは、それぞれ、118(22)mmHg及び1.28(0.45)mg/dlであった。8週目までに、511名(58%)の患者は最大可能用量を達成した。
一次エンドポイント
・ N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT−proBNP)のベースラインからのパーセント変化[時間フレーム:ベースライン、4週目、及び8週目]。
この試験の主目的は、ADHFで入院した後で安定化された駆出率の低下(左室駆出率[LVEF]≦40%)を有する患者において、4週目と8週目との間でベースラインからのNT−proBNPの時間平均パーセント変化に及ぼすLCZ696対エナラプリルの入院開始の影響を評価することである。
二次エンドポイント
・ 症候性低血圧症の発生を伴う患者数[時間フレーム:8週間]
− 8週間の治療中に症候性低血圧症の発生に及ぼすLCZ696対エナラプリルの影響を調べる。
・ 高カリウム血症の発生を伴う患者数[時間フレーム:8週間]
− 高カリウム血症はカリウムレベル>5.5meq/lとして定義される。
・ 血管浮腫の発生数[時間フレーム:8週間]
− 血管浮腫は、皮下及び/又は粘膜下に発生するタイプの急腫脹であり、多くの場合、頭部、頸部、喉、及び/又は舌に局在化されるが、生殖器及び腸を含めて他の箇所にも発生しうる。
・ 高感度トロポニン(hs−トロポニン)のベースラインからの変化[時間フレーム:ベースライン、4週目、及び8週目]
・ 尿中cGMPのベースラインからの変化[時間フレーム:ベースライン、4週目、及び8週目]
・ BNP対NTproBNP比のベースラインからの変化[時間フレーム:ベースライン、4週目、及び8週目]。
参照
試験設計及び手順は、www.clinicaltrials.govの試験番号NCT02554890(本願をもって参照により組み込まれる)の下に見いだしうる。
結果
試験集団
887名の患者を米国の129ヵ所の参加センターで登録した。合計6名(0.7%)の患者は不適切にランダム化され、いずれの試験薬剤も摂取しなかったので、すべての解析からプロスペクティブに除外された。最終分析コホートは881名の患者を含み、440名は、LCZ696を摂取するようにランダムに割り当てられ、且つ441名は、エナラプリルを摂取するようにランダムにランダム化された(図8参照)。
患者は、初回出現から68(48、98)時間のメジアン(25th、75th)で登録された。HFの徴候及び症状は、ランダム化の時点できわめて優位であり、61.7%は末梢性浮腫を有し、32.9%は肺ラ音を伴った。デモグラフィックス、臨床所見、投薬病歴、及びインデックス入院詳細を含めて、ベースライン特性は、2つの治療群間で類似していた。患者の平均年齢は61±14歳であり、635名(72%)は男性であり、316名(36%)は黒人として自己申告された。インデックス入院では、303名(34%)の患者がHFの初診であった。インデックス入院前にHFと診断された576名(65%)の患者のうち、343名(60%)は、過去12ヶ月以内にHFのため少なくとも1回の先行入院が報告され、351名(61%)は、過去1ヵ月以内にNYHA機能クラスIII又はIV症状が報告された。入院の時点では、459名(52%)の患者は、ACEi/ARB療法を受けていなかった。
ランダム化時には、メジアンSBPは118(110、132)mmHgであり、23%の患者はSBP<110mmHgを有していた。ベースラインメジアンLVEFは0.25(0.20、0.30)であり、ベースライン時のメジアン血清クレアチニンは1.28(1.06、1.51)mg/dLであった。スクリーニング局所検査メジアンNT−proBNPは4812(3050、8745)pg/mLであり、メジアンBNPは1063(718、1743)pg/mLであった。ランダム化時には、患者の大多数(85%)はループ利尿剤により治療されていた。インデックス入院中且つランダム化前、814名(93%)の患者は静脈内フロセミド療法を受け、97名(11%)は集中治療室でケアを受け、且つ68名(7.7%)は静脈内変力剤を必要とした。インデックス入院のメジアン継続期間は、5.20(4.09、7.24)日であった。
試験治療及びフォローアップ
少なくとも1用量の試験薬剤が875名の患者に投与され、安全性解析のためにあらかじめ定義されたコホートで、439名はLCZ696に、且つ436名はエナラプリルにランダム化された。死が原因の中止を除外して、試験薬剤は、LCZ696に割り当てられた87名(19.6%)の患者及びエナラプリルに割り当てられた90名(20.3%)で、8週間前に早期に中止された。LCZ696にランダム化された4名及びエナラプリルにランダム化された1名の全体で5名の患者は、フォローアップ不能又は同意離脱(n=1)であった。それらのデータは37日間のメジアンで打ち切られた。8週目の試験診察までに、LCZ696アームの245名(56%)の患者及びエナラプリルアームの270名(62%)で最大目標用量が達成された。
アウトカム
NT−proBNPレベルは、両治療アームで低下し、LCZ696を摂取している患者では、エナラプリルと比較して、有意に大きく低減した(4週目及び8週目の幾何平均に対するベースラインからの時間平均変化のLCZ696対エナラプリル比:0.71、95% CI 0.63〜0.81、p<.001)(図9及び10、表8)。LCZ696治療によるNT−proBNP濃度のより大きな低減は、1週目という早期(0.76、95% CI 0.69〜0.85、p<.001)及びすべての後続診察で明らかであった。
Figure 2021525791
エナラプリル群と比較したLCZ696の臨床アウトカムを表8にまとめる。死、HFのため再入院、LVAD植込み、又は心移植リスティングの臨床関連コンポジットエンドポイントでは、LCZ696にランダム化された患者は、エナラプリルにランダム化された患者と比較して、有意に低いリスクを経験した(n=41対74、HR 0.54、95% CI 0.37〜0.79、p=0.001)(図11)。
主要な安全性エンドポイントは、腎機能(13.6%対14.7%、HR 0.93、95% CI 0.67〜1.28)、高カリウム血症(11.6%対9.3%、HR 1.25、95% CI 0.84〜1.84)、及び症候性低血圧症(10.0%対9.1%、HR 1.10、95% CI 0.73〜1.66)の悪化に関して、LCZ696群とエナラプリル群との間で類似していた。そのほか、試験期間全体を通じて、血清クレアチニン、カリウム、又はSBPの臨床的有意差は、2つの群間で観測されなかった。盲検判定により、LCZ696群で1件の血管浮腫イベント(白人患者)及びエナラプリル群で6件(黒人として自己申告した患者すべて)が確認された(0.2%対1.4%、HR 0.17、95% CI 0.02〜1.38)。いずれの有害イベントに起因する永久試験薬剤中止率にも統計的群間有意差は存在しなかった。
サブ群解析
対象のデモグラフィック及び臨床的特性に基づくサブ群解析により、一次アウトカム(図12)及びコンポジット臨床エンドポイント(図13)に関して同定サブ群による有意な治療相互作用なしにエナラプリルと比較してLCZ696の効果の一貫性が示された。腎機能、高カリウム血症、及び症候性低血圧症の悪化の主要な安全性エンドポイントに関して、サブ群による有意な治療相互作用は見られなかった。
心血管バイオマーカー解析
循環高感度心筋トロポニン(hsTn)及び可溶性ST2(sST2)は、心不全(HF)患者の心筋ストレスを反映する。ナトリウム利尿ペプチドレセプターの活性化に反応する環状グアノシン3’5’一リン酸(cGMP)の産生は、心後負荷及び心前負荷を軽減する。
ベースライン、1、2(sST2、cGMP)、4、及び8週間での循環hsTnT、sST2、及び尿中cGMP(すべてのベースラインバイオマーカーを有するn=694)を測定した。サクビトリル/バルサルタン対エナラプリルの比として幾何平均の比(タイムポイント/ベースライン)を決定し比較した。
エナラプリルと比較して、サクビトリル/バルサルタンは、hsTnT及びsST2の有意により大きな低下をもたらした。この効果は、sST2では1週間という早期に現れ、4週間ではhsTnTの16%超の低下(P<0.001)及びsST2の9%超の低下(P=0.0033)で両方とも有意であった。サクビトリル/バルサルタンでは、エナラプリルと比較して逐次的に尿中cGMPが増加した(P<0.001、1週間)。各バイオマーカーの治療群間有意差は8週間持続した。心血管死又はHF再入院の探索的多変数調整解析では、1週目のhsTnT、sST2の濃度は、後続アウトカムに有意に関連付けられた。
考察
PIONEER−HF試験は、急性心不全で入院した患者の治療で、レニン−アンギオテンシン系阻害剤単独と比較して、レニン−アンギオテンシン系阻害剤に添加されたネプリライシン阻害剤の使用を評価するために実施された。血行動態安定化後のサクビトリル−バルサルタン療法の開始は、エナラプリル療法よりもNT−proBNP濃度の大きな低減をもたらし、第1週目までに明らかな差を生じた。
神経ホルモン活性化、血行動態ストレス、及び後続心血管イベントのバイオマーカーであるNT−proBNPの濃度に及ぼすサクビトリル−バルサルタンの有益な効果は、心構造及び心機能の異常並びに心不全患者間の予後予測の悪化に関連付けられる心筋傷害のバイオマーカーである高感度心筋トロポニンTの濃度の低減を伴った。腎機能不全、高カリウム血症、及び症候性低血圧症の率は、サクビトリル−バルサルタン群とエナラプリル群との間で有意差はなかった。さらに、探索的臨床アウトカムの解析では、サクビトリル−バルサルタン療法の入院開始は、エナラプリル療法よりも8週間での心不全による再入院率がより低いことに関連付けられた。
PIONEER−HF試験の結果は、急性代償不全心不全で入院した患者、新たな心不全を有する患者、心不全のガイドラインに従った高用量の投薬に暴露されていない患者、及び従来のレニン−アンギオテンシン系阻害剤を摂取していない患者を含めて、データが限られるか又は存在しない集団に、サクビトリル−バルサルタンの使用に関する証拠の基礎を拡張する。そのほか、我々の試験では患者の35.9%が黒人と認定され、黒人の患者間のサクビトリル−バルサルタンの使用に関する以前の臨床試験からの証拠は限られる。サクビトリル−バルサルタンの好ましい効果は、エナラプリルと比較して、治療の入院開始から明白であり、帰宅時並びに急性代償不全心不全を有する患者間の罹患率及び死亡率が高い状態を維持する後続「受攻期」全体を通じて継続して存在する。
サクビトリル−バルサルタン群とエナラプリル群との間で、腎機能不全、高カリウム血症、及び症候性低血圧症の率に有意差がなかったという知見は、血行動態不安定のリスクが高い急性代償不全心不全を有する患者間ではとりわけ、安心感を与える。そのほか、サクビトリル−バルサルタン群には、黒人の患者間に症例がない血管浮腫の症例が1つのみ存在した。サクビトリル−バルサルタンの以前の試験、最も注目すべきはPARADIGM−HF試験からの結果は、確立された高用量のACE阻害剤又はARB、さらにはランダム化前の逐次単盲検ランイン期間中の最高用量のエナラプリル及びサクビトリル−バルサルタンを摂取した通院外来患者に限られていた。
PIONEER−HF試験では、あまり経験したことのない最低開始用量のサクビトリル−バルサルタン(24mgのサクビトリルと26mgのバルサルタン)を利用した。PIONEER−HF試験では、サクビトリル−バルサルタン療法の入院開始という特定要件を課した。患者は、先行する6時間の間に静脈内利尿剤の用量の増加がなく且つ静脈内血管拡張剤の使用がなく、しかも先行する24時間の間に静脈内変力剤の使用がない状態で、先行する6時間にわたり少なくとも100mmHgの収縮期血圧を有することが必要とされた。サクビトリル−バルサルタン療法は、より低い収縮期血圧を有する患者間で低用量で開始され、用量は、あらかじめ特定されたアルゴリズムに従って調整された。これまでACE阻害剤もARBも摂取していない患者がオーバーラップする投薬効果をなんら有していないことを保証するために、36時間のウォッシュアウト時間を使用した。こうした対策にもかかわらず、各治療群の患者の約20%は、ほとんどの場合、有害イベントが理由で、8週間までに治療を中止した。
まとめると、これらを考慮して、この集団ではいずれの神経ホルモン剤の開始も注意深く実施すべきであることが示唆される。我々の試験にはいくつかの制限が存在する。サクビトリル−バルサルタン群で最初の2つの用量でプラセボ単独の提供を含み、次いで、第3の用量の後6時間にわたり必須の観測を含む入院開始期は、在院期間を延長したかもしれない。プロトコルのこれらの要素は、盲検化を保持し、プロトコルの一貫性を維持し、且つ患者の安全性を確保するために必要であった。そのほか、患者のおおよそ0.5%はフォローアップ不能であり、且つ15%はNT−proBNP濃度の欠測データを有していたが、一次効能アウトカムの結果は、多重インピュテーションを行う解析で有意性を維持した。
結論
結論として、急性代償不全心不全で入院した患者間で、サクビトリル−バルサルタン療法の開始は、エナラプリル療法よりもNT−proBNP濃度の有意に大きな低減をもたらした。エナラプリルと比較して、サクビトリル/バルサルタンは、バイオマーカー(hsTnT、sST2、及び尿中cGMP)に反映される心筋傷害及び血行動態ストレスを低減し、開始は1〜4週間以内に現れる。
腎不全、高カリウム血症、症候性低血圧症、及び血管浮腫の率に関して、サクビトリル−バルサルタン群とエナラプリル群との間に有意差は存在しなかった。

Claims (15)

  1. 患者において駆出率が低下した心不全を治療する方法における使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンであって、前記患者の急性代償不全心不全エピソードの後間もなく治療が開始され、間もなくという用語が、急性心不全治療の終了後の医学的安定化から開始して急性代償不全心不全エピソードの後14日間まで(14日目を含む)の期間を意味する、サクビトリル及びバルサルタン。
  2. 前記急性代償不全心不全エピソードが原因で前記患者がまだ入院している間に前記治療が開始される、請求項1に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  3. 急性代償不全心不全エピソードの後10日以内に前記治療が開始される、請求項1又は2に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  4. 前記患者が血行動態的に安定である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  5. 血行動態的に安定な患者が、以下の
    i)治療開始前の6時間の間の収縮期血圧≧100mmHg(好ましくは≧110mmHg)、
    ii)治療開始前の6時間の間の静脈内(IV)利尿剤の増加もIV血管拡張剤の使用もなし、又は
    iii)治療開始前の24時間の間に投与されたIV変力剤なし、
    の少なくとも1つにより特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  6. 患者が、以下の特性
    i)NYHAクラスII、III、若しくはIVの心不全、
    ii)血漿BNP若しくはNT−proBNPレベルの上昇、好ましくは血漿BNP≧100pg/mL(若しくはNT−proBNP≧400pg/mL)、より好ましくは血漿BNP≧150pg/mL若しくはNT−proBNP≧600pg/mL、さらにより好ましくは血漿BNP≧450pg/mL若しくはNT−proBNP≧1600pg/mL、又は
    iii)≦40%の低下した左室駆出率(LVEF)、
    の少なくとも1つに基づいて駆出率が低下した心不全に罹患している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  7. 前記患者が、請求項1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前に駆出率が低下した心不全に罹患していると診断されていないde novo患者である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  8. 前記患者が、請求項1に述べた前記急性代償不全心不全エピソードの前にACEI又はARB又はその両方のいずれも摂取していないACEI/ARBナイーブ患者である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  9. 前記患者が、200mgの1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンb.i.d.の目標用量を達成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  10. 約2〜約10週間の漸増期間中に1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンの開始用量b.i.d.から前記目標用量に増加させる漸増後に前記目標用量に達する、請求項9に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  11. 1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、
    (i)バルサルタン又はその薬学的に許容可能な塩と、
    (ii)サクビトリル又はその薬学的に許容可能な塩と、
    の1:1のモル比の組合せを意味する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  12. 1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)
    [(A)(A)](Na・xHO (I)
    (式中、
    は、ジアニオン形のバルサルタンであり、
    は、アニオン形のサクビトリルであり、
    Naは、ナトリウムイオンであり、且つ
    xは、0.5〜7である)
    の化合物の形態で提供される、請求項11に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  13. 1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、式(I)(式中、xは0.5〜3.5、好ましくは2.5である)の化合物の形態で提供される、請求項11又は12に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  14. 1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタンが、トリナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2’’−(テトラゾール−5−イレート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミ五水和物である、式(I)の化合物の形態で提供される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
  15. 前記患者が、安定用量のβブロッカー、アルドステロンアンタゴニスト、及び/又は利尿剤による基礎治療を受ける、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用のための1:1のモル比のサクビトリル及びバルサルタン。
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