JP2021525546A - 抗cd137抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】CD137アゴニスト分子の臨床開発は、治療が用量制限高度肝炎(ウレルマブ)又は低い臨床的有効性(ウトミルマブ)のいずれかを伴うため、遅れている。【解決手段】本出願は、CD137に結合する抗体分子に関する。この抗体分子は、癌及び感染症などの疾患及び障害の治療及び診断に利用される。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、CD137に結合する抗体分子に関する。この抗体分子は、癌及び感染症などの疾患及び障害の治療及び診断に利用される。
発明の背景
細胞シグナル伝達は、全ての生物の生命に不可欠な部分であり、通常、可溶性リガンド又は表面で発現されるリガンドと相互作用する細胞表面受容体を必要とする。この相互作用は、受容体、リガンド又はその両方に変化をもたらす。例えば、リガンド結合は、受容体を一緒にクラスター化させて二量体又はオリゴマーにする、受容体の構造変化を誘発し得る。次に、このクラスター化効果が、細胞内シグナル伝達経路の活性化をもたらす。CD137などの、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーを含む、このように活性化される多くの受容体がある。
CD137(4−1BB;TNFRSF9)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)の共刺激分子である。CD137は、活性化の後、CD8+ T細胞において上方制御されることが広く知られており、また、活性化CD4+ヘルパーT細胞、B細胞、制御性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞及び樹状細胞(DC)において発現され得る(Bartkowiak & Curran,2015)。T細胞細胞毒性の促進におけるCD137の主な機能的役割が、1997年に初めて説明され(Shuford et al.,1997)、その後すぐに、抗CD137 mAbが、抗癌治療薬として提案された。
CD137は、CRD1−4と呼ばれる4つの細胞外システインリッチドメイン、及びCD137シグナル伝達に関与する細胞質領域を有する膜貫通タンパク質である。CD137のためのリガンドはCD137Lである。CD137が、CD137Lとともに三量体/三量体複合体を形成することが予測されており(Won et al.,2010)、CD137/CD137L複合体のX線結晶構造の決定により、3つのモノマーCD137受容体が、CD137L三量体に結合することが確認された(Li et al.,2018)。CD137Lのエンゲージメントは、受容体三量体の形成及びその後の複数の受容体三量体のクラスター化をもたらし、CD137シグナル伝達カスケードの活性化につながる。このシグナル伝達カスケードは、活性化誘導細胞死に対してT細胞に生存シグナルを与え(Hurtado et al.,1997)、それによって、有効なT細胞免疫応答を維持し、免疫記憶を生成するのに重要な役割を果たす(Bartkowiak & Curran,2015)。
白血球生物学におけるCD137の役割が、腫瘍免疫学におけるその役割の陰で、明らかな生物学的合理性を有して一般に十分に理解されている。CD137は、活性化T細胞によって発現され、抗原特異的CD4+及びCD8+ T細胞を同定するマーカーとして使用されている。典型的に、CD137の発現は、CD4+ T細胞よりCD8+ T細胞においてより高い(Wen et al.,2002)。CD8+ T細胞の場合、インターフェロンγ及びインターロイキン2の産生を介した増殖、生存及び細胞傷害性エフェクター機能が、CD137のクラスター化に起因するとされてきた。CD137のクラスター化はまた、メモリーCD8+ T細胞の分化及び維持に寄与する。CD4+ T細胞のいくつかのサブセットにおいて、CD137のクラスター化は、同様に、増殖及び活性化につながり、インターロイキン2などのサイトカインの放出をもたらす(Makkouk et al.,2016)。
腫瘍標的化mAbを介したナチュラルキラー(NK)媒介性抗体依存性細胞毒性(ADCC)は、インビトロ及びインビボのアゴニスト抗CD137モノクローナル抗体を介したCD137刺激の結果として増強されることが実証されている(Bartkowiak & Curran,2015)。NK細胞は、抗体アイソタイプに応じて、それらのFc受容体を介して抗体に結合し、これは、NK細胞活性化につながり得、細胞傷害性顆粒放出及び標的細胞の溶解を引き起こす(Kohrt et al.,2012)。Kohrtらは、抗CD137アゴニスト抗体が、併用して投与される場合にADCCを増強することによって、治療用抗体リツキシマブ、トラスツズマブ、及びセツキシマブの抗腫瘍活性を増強したことを実証した(Kohrt et al.,2014;Kohrt et al.,2011)。さらに、ヒトNK細胞は、それらのFcγRを介して細胞結合抗体に遭遇した後、CD137の発現を上方制御する。抗CD137抗体によるこれらのNK細胞のその後の刺激は、腫瘍細胞に対してそれらのADCCを増強することが示されている(Chester et al.,2015;Chester et al.,2016)。
Bリンパ球も、活性化時にCD137を発現する。CD137リガンドの、CD137への結合は、B細胞増殖、生存及びサイトカイン産生を促進する。CD137発現はまた、CD40の、そのリガンドCD154(CD40リガンド)への結合の後、正常及び悪性ヒトB細胞において誘導されて、CD137が後に活性化される場合、B細胞生存の促進をもたらす(Vinay and Kwon,2011)。
CD137はまた、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の腫瘍反応性サブセットにおいて発現されることが実証されている。CD137単独療法は、MC38、CT26及びB細胞リンパ腫などのいくつかの前臨床免疫原性腫瘍モデルにおいて有効であることが示されている。化学療法、サイトカイン及び他のチェックポイント調節因子などの他の抗癌剤とのCD137のエンゲージメントの組合せが、定着腫瘍の成長の低下を促進することが実証されている。具体的には、抗CD137抗体と、抗CD20、抗EGFR、及び抗HER−2抗体の組合せが、様々な前臨床異種移植片モデルにおいて腫瘍成長の低下に対する相乗効果をもたらすことが示されている(Kohrt et al.,2014;Kohrt et al.,2012;Kohrt et al.,2011)。
腫瘍標的化モノクローナル抗体療法を、抗CD137アゴニスト抗体による治療と組み合わせることは、リンパ腫(Kohrt et al.,2011)、頭頸部癌、結腸直腸癌(Kohrt et al.,2014)及び乳癌(Kohrt et al.,2012)の前臨床モデルにおいて有望な結果を示した。抗CD20 mAbリツキシマブ(NCT01307267、NCT02951156)、抗EGFR mAbセツキシマブ(NCT02110082)及び抗CS1 mAbエロツズマブ(NCT02252263)を含む、いくつかの腫瘍標的化モノクローナル抗体がまた、臨床においてCD137アゴニスト抗体と組み合わせて試験されてきた。しかしながら、CD137アゴニスト抗体治療に関連する用量制限高度肝炎のため、臨床開発が遅れている。ウレルマブ(BMS−663513)、非リガンドブロッキングヒトIgG4アイソタイプ抗体(Chester et al,2018)が、臨床試験に入った最初の抗CD137抗体であったが、これらは、顕著なオンターゲット用量依存性肝毒性が観察された後、停止された(Chester et al.,2018)。より最近では、ウレルマブ治療を、放射線療法(NCT03431948)又は他の治療用抗体、例えば、リツキシマブ(NCT01775631)、セツキシマブ(NCT02110082)、抗PD−1抗体ニボルマブ(NCT02253992、NCT02534506、NCT02845323)、及びニボルマブと抗LAG−3抗体BMS986016との組合せ(NCT02658981)と組み合わせた、固形癌の治療におけるウレルマブの臨床試験が再開された。しかしながら、ウレルマブ治療に関連する肝毒性を低減するために、これらの試験におけるウレルマブの投与は制限される必要があり、有効性の結果は残念なものであった(Chester et al.,2018)。
進行癌の第I相臨床試験において、0.03mg/kgから10mg/kgまでの用量範囲のPfizerの抗CD137抗体ウトミルマブ(PF−05082566)、ヒトIgG2アイソタイプ抗体では、用量制限毒性が観察されなかった(Chester et al.2016;Segal et al.,2018)。しかしながら、この抗体による全客観的奏効率は、固形腫瘍を有する患者の3.8%に過ぎず、これは、ウトミルマブが、より有利な安全性プロフィールを有しつつも、ウレルマブより弱い効力及び臨床的有効性を有する可能性があることを示している(Chester et al.,2018;Segal et al.,2018)。ウトミルマブは、様々な治療の組合せの安全性、忍容性、用量制限毒性(DLT)、最大耐量(MTD)及び有効性を評価するために、放射線療法(NCT03217747)若しくは化学療法と組み合わせて、並びに他の抗体療法(抗PD−L1抗体アベルマブ(NCT02554812)、及び抗PD−1抗体ペンブロリズマブ(NCT02179918)を含む)と組み合わせて試験されてきた。これらの試験は、現在進行中であり、初期結果は、ウトミルマブ及びペンブロリズマブの組合せについて、5mg/kgまでの用量についてDLTがないこと及び26%の患者の奏効率を示している。ウトミルマブと、アベルマブ及び他の癌免疫療法との3剤併用も試験されている(NCT02554812、NCT03217747)。
CD137を標的とするいくつかの二重特異的分子も、開発の初期段階にあり、その多くが、非抗体ベースの足場タンパク質又は融合タンパク質技術に基づいている。DARPin足場タンパク質ベースの技術を用いたCD137及びFAPαを標的とする二重特異的分子の開発が報告されている(Link et al.,2018;Reichen et al.,2018)。HER2標的化及びEphA2標的化DART分子を用いたCD137アゴニズムの腫瘍標的化によるT細胞活性化も示されている(Liu et al.,2017)。固形腫瘍及びリンパ腫中のFAPα又はCD19を介して腫瘍を標的とするCD137L融合タンパク質も開発されている。最も臨床的に進歩したCD137二重特異的分子(且つ完全長抗体を含有する唯一のもの)は、PRS−343、CD137/HER2二重特異的分子である。この分子において、CD137は、IgG4フォーマットにおけるHER2標的化抗体トラスツズマブのFc部分に結合された人工結合タンパク質(アンチカリン)を介して結合される。PRS−343は、HER2がヒト化マウスモデルにおいて過剰発現される部位におけるリンパ球上のCD137の腫瘍標的依存性活性化を提供することが報告されているが、トラスツズマブ治療単独を超える腫瘍成長阻害の改善は観察されなかった(Hinner et al.,2016及び国際公開第2016/177802 A1号)。PRS−343は、最近、その安全性、忍容性及び有効性を評価するために、様々な固形腫瘍の治療のための第I相臨床試験に入った(NCT03330561)。
発明の記述
上記の背景技術の項において説明されるように、CD137アゴニスト分子の臨床開発は、治療が用量制限高度肝炎(ウレルマブ)又は低い臨床的有効性(ウトミルマブ)のいずれかを伴うため、遅れている。
本発明者らは、向上した臨床的有効性を示すが、用量制限肝炎に関連しないCD137アゴニスト分子が当該技術分野において必要とされていることを認識していた。このような分子は、分子の効力、及びひいては有効性を最適化する用量で個体に投与され得、免疫療法剤として癌の治療に、例えば、又は感染症の治療に用いられ得る。
理論に制約されるのを望むものではないが、肝臓中に存在するT細胞は、抗CD137アゴニスト分子によって活性化されて、肝炎を引き起こす可能性を有し得ると考えられる。CD8+ T細胞は、敗血症/ウイルス感染の後、肝炎及びアポトーシスを促進することが示されている(Wesche-Soldato et al.,2007)。マウスにおける抗CD137アゴニスト抗体療法は、肝臓中へのCD137依存性T細胞浸潤をもたらすことが示されている(Dubrot J et al.,2010)。これらの試験からの結果は、総合すると、ウレルマブなどの、高い活性を有する抗CD137アゴニスト抗体が、肝臓中への活性化CD8+ T細胞の浸潤を引き起こし、それによって、肝炎を引き起こし得ることを示す。ウトミルマブの活性は、この影響が観察されるには低過ぎていた可能性がある。或いは、ウレルマブ治療で観察される用量制限肝毒性は、この抗体によって結合された特定のエピトープに起因し得る。
本発明者らは、高い親和性で二量体ヒトCD137に結合する抗体分子を単離するために、幅広い選択プログラムを行った。使用される選択プロトコルを考慮して、抗体分子は、二量体CD137について観察される親和性より低い親和性でモノマーCD137に結合すると予想され、すなわち、高い結合力でCD137に結合すると予想される。
本明細書において言及される「親和性」は、KDによって測定される抗体分子とその同種抗原との間の結合相互作用の強さを指し得る。当業者に容易に明らかになるであろうように、抗体分子が、抗原と複数の結合相互作用を形成することが可能である場合(例えば、抗体分子が、抗原に2価的に結合することが可能である、任意に、抗原が二量体である場合)、KDによって測定される親和性はまた、結合力によって影響され得、それによって、結合力は、抗体−抗原複合体の全体的な強さを指す。
免疫細胞、たとえばT細胞によるCD137の発現は、活性化の際に上方制御される。理論に制約されるのを望むものではないが、活性化免疫細胞におけるCD137の高い発現のため、CD137は、このような細胞の表面上で二量体、三量体及びより高次の多量体の形態になるものと考えられる。対照的に、ナイーブなT細胞などのナイーブな免疫細胞は、それらの細胞表面において低い又はごくわずかなレベルのCD137を発現するため、存在するCD137は、モノマー形態である可能性が高い。したがって、高い結合力でCD137に結合する抗体分子が、ナイーブな免疫細胞とは対照的に、活性化T細胞などの活性化免疫細胞に優先的に結合することが予想される。
上記の背景技術の項において説明されるように、CD137リガンドの、その受容体、CD137への最初のライゲーションは、CD137の三量体化、続いて、受容体のクラスター化、NFkB細胞内シグナル伝達経路の活性化及びその後の免疫細胞活性化をもたらす一連の事象を開始させる。CD137を効率的に活性化する治療剤のために、いくつかのCD137モノマーは、三量体リガンドを模倣する方法で一緒に架橋される必要がある。
ウトミルマブは、IgG2分子であり、そのアゴニスト活性のためにFcγ受容体による架橋に依存している。ウレルマブは、構成的活性を有するIgG4分子であるため、活性のためにFcγ受容体による架橋を必要としないが、そのアゴニスト活性は、いくつかのFcγ受容体によって架橋すると促進される。Fcγ受容体は、ヒトの全身にわたって見られる。したがって、ウトミルマブ及びウレルマブの免疫細胞活性化活性は、身体の特定の部位に限定されないため、肝臓中又は身体の他の箇所で発生し得る。
本発明者らは、本発明の抗体分子が、CD137をクラスター化し、それを活性化するために、架橋を必要とすることを示した。上述されるように、Fcγ受容体媒介性架橋は、Fcγ受容体が、ヒトの全身にわたって見られるため、CD137の活性化が、特定の部位に限定されないという欠点を有する。したがって、本発明者らは、突然変異を、抗体分子のCH2ドメインに導入して、Fcγ受容体結合を低減又は抑制した。したがって、Fcγ受容体以外の薬剤による架橋の非存在下で、本発明の抗体分子は、CD137アゴニスト活性を示さないため、肝炎を誘発すると予想されない。
本発明の抗体分子は、二量体カニクイザルCD137に高い親和性で結合することが可能であることがさらに示された。ヒト及びカニクイザルCD137の両方に対するこの交差反応性は、抗体分子の投与及び安全性試験が、前臨床開発中にカニクイザルにおいて実施されるのを可能にするため、有利である。このような分子は、臨床において肝毒性に関連していることが示されているため、これは、CD137に結合する抗体分子に関して特に有利である。
本発明の抗体分子はまた、リガンド結合に関する様々な活性を有することが示されており、CD137へのCD137Lの結合をブロックする、ブロックしない、又は部分的にブロックする抗体分子を含む。抗CD137抗体ウトミルマブ及びウレルマブはそれぞれ、CD137へのCD137Lの結合をブロックすること及びブロックしないことが報告されている(米国特許出願公開第2012/0237498号及び米国特許第7288638号)。ウトミルマブについて、この機能はまた、本発明者らによって確認されているが、以前の報告に反して、ウレルマブは、リガンド結合もブロックすることが分かった。理論に制約されるのを望むものではないが、CD137へのCD137Lの結合をブロックしない、又は部分的にのみブロックする抗体分子は、CD137Lへの結合を介したCD137発現免疫細胞の天然の活性化経路が、抗体分子の存在下で阻害されないか、又は部分的に阻害されるに過ぎないため、有利であり得ると考えられる。したがって、これは、抗体分子によって引き起こされるCD137のクラスター化及び活性化による免疫細胞活性化に加えて、CD137を発現する免疫細胞の天然の活性化を可能にし得る。
CD137へのCD137Lの結合をブロックし、二量体カニクイザルCD137に結合する本発明の抗体分子の能力を考慮して、これらの抗体分子は、ウトミルマブ及びウレルマブよりCD137上の異なるエピトープに結合すると予想される。上述されるように、ウレルマブ治療によって引き起こされる高度肝炎が、この抗体によって結合された特定のエピトープの結果であることが可能である。これは、抗体分子が異なる効力を有するようであることを考慮して、ウトミルマブが、ウレルマブよりCD137上の異なるエピトープに結合すると考えられること、及びウトミルマブによる治療が、用量制限毒性に関連していなかったことによって裏付けられる。
本発明者らは、本発明の抗CD137抗体が、CD137に加えて、腫瘍抗原などの第2の抗原に結合する多重特異的、例えば二重特異的分子を調製するのに使用され得ることを認識した。好ましくは、多重特異的分子は、第2の抗原に2価的に結合するが、第2の抗原が細胞結合腫瘍抗原である場合、抗原の1価結合が、抗体分子を架橋し、CD137のクラスター化及び活性化を誘発するのに十分であることが予想される。具体的には、本発明者らは、抗体分子のCH3ドメインのそれぞれにさらなる抗原結合部位を含み、したがって第2の抗原に2価的に結合することが可能である抗体分子を調製した。このような二重特異的抗体分子は、従来の抗体分子によって必要とされる例えばFcγ受容体媒介性架橋を必要とせずに、前記第2の抗原の存在下で、コンディショナルでCD137を活性化することが可能であると予想される。第2の抗原への抗体分子の結合が、前記抗原の部位における抗体分子の架橋を引き起こし、これがひいては免疫細胞表面におけるCD137のクラスター化及び活性化をもたらすと考えられる。したがって、抗体分子のアゴニスト活性は、存在している第2の抗原及びCD137の両方に依存していると予想される。言い換えると、アゴニスト活性は、コンディショナルであると予想される。さらに、第2の抗原の存在下における抗体の架橋は、抗体分子の定常ドメイン抗原結合部位を介して結合されるCD137のクラスター化を助けると考えられる。したがって、第2の抗原が、腫瘍抗原などの疾患抗原である場合、抗体分子は、例えば腫瘍微小環境中で、疾患に依存して免疫細胞を活性化することが可能であると予想される。免疫細胞のこの標的化活性化は、例えばウレルマブ治療で見られる肝炎を回避するのに有益であると予想される。
本発明の抗CD137 Fab及び第2の抗原に特異的なCH3ドメイン結合部位を含む抗体分子は、好ましくは、CD137及び第2の抗原の両方に2価的に結合する。これは、両方の標的の2価結合が、CD137を発現する免疫細胞と第2の抗原との間の架橋をより安定させ、それによって、免疫細胞が、腫瘍微小環境などの特定の部位に限局され、疾患、例えば腫瘍に作用し得る時間を延長することが予想されるため、有利である。これは、ヘテロ二量体であり、1つのFabアームを介して1価的に各標的抗原に結合する従来の二重特異的抗体フォーマットの大部分と異なる。このような1価相互作用は、より不安定であるだけでなく、多くの場合、第一にCD137などのTNFRSF受容体のクラスター化を誘発するのに不十分であることが予想される。
第2の抗原に特異的なCH3ドメイン結合部位を含む本発明の抗体分子のさらなる特徴は、CD137及び第2の抗原のための2つの抗原結合部位が両方とも、抗体構造自体の中に含まれることである。特に、抗体分子は、その標的の両方に2価的に結合する分子をもたらすために、他のタンパク質がリンカー又は他の手段を介して抗体分子に融合される必要がない。これは、多くの利点を有する。具体的には、抗体分子は、さらなる融合された部分を含まないため、標準的な抗体の産生に用いられるものと類似の方法を用いて産生され得る。リンカーが、時間とともに分解して、抗体分子の不均一な集団をもたらし得るため、この構造はまた、改善した抗体安定性をもたらすことが予測される。1つのみのタンパク質が融合された集団中のそれらの抗体は、2つのタンパク質が融合された抗体と同じくらい効率的に、CD137などのTNFRSF受容体のコンディショナルなアゴニズムを誘発することができないこともある。リンカーの切断又は分解は、患者への治療薬の投与前又は投与後に(例えば酵素的切断又は患者のインビボpHによって)起こり、それによって、患者の循環中でその有効性の低下をもたらし得る。本発明の抗体分子中にリンカーがない際、抗体分子は、投与前及び投与後の両方で同じ数の結合部位を保持することが予想される。さらに、融合されたタンパク質若しくはリンカー又はその両方の導入が、抗体分子が患者に投与されるときに免疫原性を誘発し、治療薬の有効性の低下をもたらし得るため、本発明の抗体分子の構造は、分子の免疫原性の観点からも好ましい。
したがって、本発明は、以下を提供する:
[1] CD137に結合する抗体分子であって、抗体分子の抗原結合部位が、
(i)配列番号30、32、38、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;(ii)配列番号30、32、34、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
(iii)配列番号30、32、36、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
(iv)配列番号62、64、66、17、19及び23のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
(v)配列番号7、9、11、17、19及び21のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
の相補性決定領域(CDR)1〜6を含み;
ここで、CDR配列が、ImMunoGeneTics(IMGT)番号付けスキームに従って定義される、抗体分子。
[2] CD137に結合する抗体分子であって、抗体分子の抗原結合部位が、
(i)配列番号31、33、39、18、20及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;
(ii)配列番号31、33、35、18、20及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
(iii)配列番号31、33、37、18、20及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
(iv)配列番号63、65、67、18、20及び23のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
(v)配列番号8、10、12、18、20及び21のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
のCDR1〜6を含み;
ここで、CDR配列が、Kabat番号付けスキームに従って定義される、抗体分子。
[3] 抗体分子が、重鎖可変(VH)ドメイン及び/又は軽鎖可変(VL)ドメインを含む、[1]又は[2]に記載の抗体分子。
[4] 抗体分子が、免疫グロブリン重鎖及び/又は免疫グロブリン軽鎖を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の抗体分子。
[5] 抗体分子が、
(i)配列番号54及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;
(ii)配列番号28及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
(iii)配列番号44及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
(iv)配列番号60及び70のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
(v)配列番号5及び15のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
のVHドメイン及び/又はVLドメインを含む、[3]から[4]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[6] 抗体分子が、
(i)配列番号52若しくは50に記載される抗体FS30−10−16の重鎖、及び/又は配列番号46に記載される抗体FS30−10−16の軽鎖;
(ii)配列番号26若しくは24に記載される抗体FS30−10−3の重鎖、及び/又は配列番号46に記載される抗体FS30−10−3の軽鎖;
(iii)配列番号42若しくは40に記載される抗体FS30−10−12の重鎖、及び/又は配列番号46に記載される抗体FS30−10−12の軽鎖;
(iv)配列番号58若しくは56に記載される抗体FS30−35−14の重鎖、及び/又は配列番号68に記載される抗体FS30−35−14の軽鎖;又は
(v)配列番号3若しくは1に記載される抗体FS30−5−37の重鎖、及び/又は配列番号13に記載される抗体FS30−5−37の軽鎖
を含む、[1]から[5]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[7] 抗体分子が、
(i)配列番号52及び46のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;
(ii)配列番号26及び46のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
(iii)配列番号42及び46のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
(iv)配列番号58及び68のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
(v)配列番号3及び13のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
の重鎖及び軽鎖を含む、[1]から[6]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[8] 抗体分子が、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14のCDR1〜6、VHドメイン、VLドメイン、軽鎖及び/又は重鎖を含む、[1]から[7]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[9] 抗体分子が、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12のCDR1〜6、VHドメイン、VLドメイン、軽鎖及び/又は重鎖を含む、[1]から[8]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[10] 抗体分子が、抗体FS30−10−16のCDR1〜6、VHドメイン、VLドメイン、軽鎖及び/又は重鎖を含む、[1]から[9]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[11] 抗体が、CD137へのCD137リガンド(CD137L)の結合をブロックしないか又は部分的にブロックする、[8]から[10]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[12] 抗体が、CD137へのCD137Lの結合を部分的にブロックする、[9]から[11]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[13] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性より低い、[11]又は[12]に記載の抗体分子。
[14] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の80%以下、70%以下、又は60%以下である、[11]から[13]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[15] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%である、[11]から[14]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[16] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の20%から80%、30%から70%、又は40%から60%である、[11]から[15]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[17] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lのブロッキング活性より低い、[11]から[16]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[18] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の80%以下、70%以下、又は60%以下である、[11]から[17]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[19] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%である、[11]から[18]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[20] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の20%から80%、30%から70%、又は40%から60%である、[11]から[19]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[21] 抗体分子のCD137Lブロッキング活性が、配列番号79及び46のそれぞれに記載される抗体FS20−22−49AA/FS30−10−16の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の70%から130%、80%から120%、又は90%から110%である、[10]に記載の抗体分子。
[22] 抗体分子が、抗体FS30−5−37のCDR1〜6、VHドメイン、VLドメイン、軽鎖及び/又は重鎖を含む、[1]から[7]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[23] 抗体が、CD137へのCD137Lの結合をブロックする、[22]に記載の抗体分子。
[24] 抗体分子のリガンドブロッキング活性が、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて測定可能である、[11]から[23]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[25] CD137が、ヒトCD137である、[1]から[24]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[26] CD137が、ヒトCD137の細胞外ドメインである、[25]に記載の抗体分子。
[27] CD137が、配列番号112に記載される配列からなるか又はそれを含む、[26]に記載の抗体分子。
[28] CD137が、カニクイザルCD137である、[1]から[24]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[29] CD137が、カニクイザルCD137の細胞外ドメインである、[28]に記載の抗体分子。
[30] CD137が、配列番号113に記載される配列からなるか又はそれを含む、[29]に記載の抗体分子。
[31] CD137Lが、ヒトCD137Lである、[11]から[27]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[32] CD137Lが、ヒトCD137Lである、[11]から[27]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[33] 抗体分子が、多重特異的抗体分子である、[1]から[32]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[34] 抗体分子が、二重特異的、三重特異的、又は四重特異的抗体分子である、[33]に記載の抗体分子。
[35] 抗体分子が、二重特異的分子である、[34]に記載の抗体分子。
[36] 抗体分子が、抗体分子の定常ドメイン中に位置する第2の抗原結合部位を含む、[33]から[35]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[37] 第2の抗原結合部位が、免疫細胞抗原、腫瘍抗原、又は感染症抗原に結合する、[36]に記載の抗体分子。
[38] 免疫細胞抗原が、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーである、[37]に記載の抗体分子。
[39] TNFRSFのメンバーがOX40である、[38]に記載の抗体分子。
[40] 腫瘍抗原が、腫瘍関連抗原である、[37]に記載の抗体分子。
[41] 感染症抗原が、細菌又はウイルス抗原である、[37]に記載の抗体分子。
[42] 第2の抗原結合部位が、第1の配列、第2の配列、及び/又は第3の配列を含み、ここで、第1の配列、第2の配列及び第3の配列がそれぞれ、定常ドメインのAB構造ループ、CD構造ループ及びEF構造ループ中に位置する、[36]から[41]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[43] 定常ドメインが、CH3ドメインである、[36]から[42]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[44] 抗体分子が、第2の抗原の存在下で、免疫細胞上のCD137を活性化することが可能である、[36]から[43]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[45] CD137及び第2の抗原への抗体分子の結合が、免疫細胞上のCD137のクラスター化を引き起こす、[36]から[44]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[46] 免疫細胞が、T細胞である、[44]又は[45]に記載の抗体分子。
[47] 抗体分子が、Fcγ受容体に結合しない、[1]から[46]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[48] 抗体分子が、1つ以上のFcγ受容体への抗体分子のCH2ドメイン又は抗体分子の結合を低減又は抑制するように修飾されている、[1]から[47]のいずれか1つに記載の抗体分子。
[49] Fcγ受容体が、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb及びFcγRIIIからなる群から選択される、[47]から[48]に記載の抗体分子。
[50] [1]から[49]のいずれか1つに記載の抗体分子及び生物活性分子を含むコンジュゲート。
[51] [1]から[49]のいずれか1つに記載の抗体分子及び検出可能な標識を含むコンジュゲート。
[52] [1]から[49]のいずれか1つに記載の抗体分子をコードする1つ又は複数の核酸分子。
[53] 核酸分子が、
(i)配列番号55に記載される抗体FS30−10−16のVHドメインcDNA配列又は、及び/又は配列番号49に記載される抗体FS30−10−16のVLドメインcDNA配列;又は
(ii)配列番号29に記載される抗体FS30−10−3のVHドメインcDNA配列、及び/又は配列番号49に記載される抗体FS30−10−3のVLドメインcDNA配列;
(iii)配列番号45に記載される抗体FS30−10−12のVHドメインcDNA配列、及び/又は配列番号49に記載される抗体FS30−10−12のVLドメインcDNA配列;
(iv)配列番号61に記載される抗体FS30−35−14のVHドメインcDNA配列、及び/又は配列番号69に記載される抗体FS30−35−14のVLドメインcDNA配列;又は
(v)配列番号6に記載される抗体FS30−5−37のVHドメインcDNA配列、及び/又は配列番号14に記載される抗体FS30−5−37のVLドメインcDNA配列
を含む、[52]に記載の核酸分子。
[54] 核酸分子が、
(i)配列番号53若しくは51に記載される抗体FS30−10−16の重鎖cDNA配列、及び/又は配列番号47に記載される抗体FS30−10−16の軽鎖cDNA配列;
(ii)配列番号27若しくは25に記載される抗体FS30−10−3の重鎖cDNA配列、及び/又は配列番号47に記載される抗体FS30−10−3の軽鎖cDNA配列;
(iii)配列番号43若しくは41に記載される抗体FS30−10−12の重鎖cDNA配列、及び/又は配列番号47に記載される抗体FS30−10−12の軽鎖cDNA配列;
(iv)配列番号59若しくは57に記載される抗体FS30−35−14の重鎖cDNA配列、及び/又は配列番号69に記載される抗体FS30−35−14の軽鎖cDNA配列;又は
(v)配列番号4若しくは2に記載される抗体FS30−5−37の重鎖cDNA配列、及び/又は配列番号14に記載される抗体FS30−5−37の軽鎖cDNA配列
を含む、[52]又は[53]に記載の核酸分子。
[55] [52]から[54]のいずれか1つに記載の1つ又は複数の核酸分子を含む1つ又は複数のベクター。
[56] [52]から[54]のいずれか1つに記載の核酸分子、又は[55]に記載のベクターを含む組み換え宿主細胞。
[57] [1]から[49]のいずれか1つに記載の抗体分子を産生する方法であって、抗体分子の産生のための条件下で、[56]に記載の組み換え宿主細胞を培養することを含む、方法。
[58] 抗体分子を単離及び/又は精製することをさらに含む、[57]に記載の方法。
[59] [1]から[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
[60] 治療法によるヒト身体の治療のための方法に使用するための、[1]から[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲート。
[61] 個体における癌又は感染症を治療する方法に使用するための、[1]から[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲート。
[62] 個体における疾患を治療する方法であって、治療有効量の、[1]から[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲートを個体に投与することを含む、方法。
[63] 疾患が、癌又は感染症である、[62]に記載の方法。
[64] 薬剤の調製における、[1]から[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲートの使用。
[65] 薬剤が、癌又は感染症の治療のためのものである、[64]に記載の使用。
[66] 治療のための方法が、抗体分子又はコンジュゲートを、第2の治療薬と組み合わせて個体に投与することを含む、[60]又は[61]に記載の使用のための抗体分子又はコンジュゲート。
[67] 治療有効量の第2の治療薬を個体に投与することをさらに含む、[62]又は[63]に記載の方法。
[68] ヒト又は動物身体において実施される診断方法に使用するための、[1]から[49]又は[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲート。
[69] 個体における疾患を検出する方法であって、[1]から[49]又は[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲートの使用を含む、方法。
[70] 診断薬の製造における、[1]から[49]又は[51]のいずれか1つに記載の抗体分子又はコンジュゲートの使用。
図面の簡単な説明
増加する濃度の抗ヒトCD137 FS30 mAbの存在下での初代T細胞活性化アッセイにおけるIL−2放出を示す。FS30 mAbを、LALA突然変異を含むIgG1フォーマット(G1AA/FS30−5、G1AA/FS30−6、G1AA/FS30−10、G1AA/FS30−15及びG1AA/FS30−16)において試験した。それぞれIgG1フォーマットであり、且つLALA突然変異を有する、抗CD137 mAb、MOR7480.1及び20H4.9が、陽性対照(G1AA/MOR7480.1及びG1AA/20H4.9)として含まれていた一方、IgG1 LALAフォーマットにおける抗ニワトリ卵白リゾチーム抗体が、陰性対照(G1AA/HelD1.3)として含まれていた。架橋される場合にのみ試験されたG1AA/MOR7480.1及びG1AA/HelD1.3を除いて、全てのmAbを、架橋剤の非存在下及び存在下で試験した。 架橋された陽性対照mAb(G1AA/MOR7480.1及びG1AA/20H4.9)及び抗CD137 FS30 mAb(G1AA/FS30−5、G1AA/FS30−6、G1AA/FS30−10、G1AA/FS30−15及びG1AA/FS30−16)の存在下で、IL−2放出の増加によって証明されるように、T細胞の活性化の濃度依存性の増加があるが、陰性対照mAb(G1AA/HelD1.3)の存在下ではないことを示す。G1AA/FS30−5、G1AA/FS30−10、G1AA/FS30−15及びG1AA/FS30−16のT細胞活性化活性は、G1AA/FS30−6のものより高かった。 架橋の非存在下で、FS30 mAb(G1AA/FS30−5、G1AA/FS30−6、G1AA/FS30−10、G1AA/FS30−15及びG1AA/FS30−16)が、測定された低い基礎レベルのIL−2によって証明されるように、T細胞活性化を示さなかったことを示す。対照的に、陽性対照mAb(G1AA/20H4.9)は、IL−2放出の増加によって証明されるように、架橋の非存在下で強力なT細胞活性化を示した。IL−2放出に対する抗ヒトCD137 mAb及び対照抗体の効果を、2つの濃度(25nM及び100nM)で試験した。 CD137結合及びリガンドブロッキング活性についての陽性対照としての抗CD137 mAb(図2AにおいてG1/MOR7480.1及びG1/20H4.9並びに図2BにおいてG1/MOR7480.1のみ)、OX40結合についての陰性対照mAb2としてのmAb2 FS20−22−49AA/4420、及びアイソタイプ/陰性対照としての抗OX40 mAb G1/11D4と比較した、抗ヒトOX40 Fcabを含むmAb2フォーマットにおける抗CD137 mAb(FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及び、図2Aのみにおいて、FS20−22−49AA/FS30−35−14)の存在下でのヒトCD137受容体へのヒトCD137L結合の代表的なプロットを示す。mAb及びmAb2を、1つの濃度(図2Aおいて100nM及び図2Bにおいて200nM)で試験した。正規化された値が示される。これらの結果は、抗CD137対照抗体及びFS20−22−49AA/FS30−5−37 mAb2が両方とも、ヒトCD137LとヒトCD137受容体との間の相互作用を完全にブロックしたことを示す。FS30−10系統に由来する抗CD137 Fabを含むmAb2、すなわち、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12及びFS20−22−49AA/FS30−10−16は、ヒトCD137LとヒトCD137受容体との間の相互作用を部分的にブロックした一方、FS20−22−49AA/FS30−35−14 mAb2(図2Aのみ)及びG1/11D4 mAb及びFS20−22−49AA/4420 mAb2対照は、受容体−リガンド相互作用を実質的に阻害する能力を欠いていたため、リガンドブロッキング活性を示さないと考えられた。 抗ヒトOX40 Fcabを含むmAb2フォーマットにおける増加する濃度の抗ヒトCD137 FS30 mAb(FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14)の存在下でのDO11.10−hCD137 T細胞活性化アッセイにおけるマウスIL−2放出の代表的なグラフを示す。抗CD137抗体G2/MOR7480.1を、陽性対照として使用し;抗OX40 mAb G1/11D4及びmAb2クローンFS20−22−49AA/4420を、陰性対照として使用し;抗FITC mAb G1/4420を、アイソタイプ陰性対照として使用した。全てのmAb及びmAb2を、架橋剤の非存在下及び存在下で試験した。 架橋された陽性対照mAb(G2/MOR7480.1)並びに抗CD137 FS30 mAb2(FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14)の存在下で、マウスIL−2放出の増加によって証明されるように、DO11.10−hCD137細胞の活性化の濃度依存性の増加があったが、陰性対照mAb及びmAb2(G1/4420、FS20−22−49AA/4420及びG1/11D4)の存在下ではなかったことを示す。 架橋の非存在下で、陽性対照G2/MOR7480.1、mAb2 FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14、並びに陰性対照G1/4420、FS20−22−49AA/4420及びG1/11D4が、測定された低い基礎レベルのIL−2によって証明されるように、T細胞活性化を示さないないしは弱いT細胞活性化を示したことを示す。
詳細な説明
本発明は、CD137に結合する抗体分子に関する。CD137は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)又は4−1BBとしても知られている。抗体分子は、好ましくは、ヒトCD137、より好ましくは、ヒト及びカニクイザルCD137、さらにより好ましくは、二量体ヒト及びカニクイザルCD137に結合する。抗体分子によって結合されるCD137の部分は、好ましくは、CD137細胞外ドメインである。ヒト及びカニクイザルCD137の細胞外ドメインは、配列番号112及び113のそれぞれに記載される配列を含むか又はそれからなり得る。本発明の抗体分子は、好ましくは、細胞の表面において発現されるCD137に結合することが可能である。細胞は、好ましくは、免疫細胞、例えば、CD8+又はCD4+ T細胞又は制御性T(Treg)細胞、好ましくは、CD8+ T細胞、又はB細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞(DC)、又は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。
抗体分子は、好ましくは、CD137に特異的に結合する。「特異的」という用語は、抗体分子が、その特異的結合パートナー(ここではCD137)以外の分子への顕著な結合を示さない状況を指し得る。「特異的」という用語はまた、抗体分子が、いくつかの抗原によって保有される、CD137上のエピトープなどの特定のエピトープに対して特異的である場合に該当し、その場合、抗体分子は、エピトープを保有する様々な抗原に結合することが可能であろう。抗体分子は、好ましくは、TNFRSF1A、TNFRSF1B、GITR、NGFR、CD40及び/又はDR6に結合しないか、又はそれらへの顕著な結合を示さない。
上記の背景技術の項において説明されるように、抗CD137抗体ウレルマブによる患者の治療は、用量制限高度肝炎を伴っていた。理論に制約されるのを望むものではないが、ウレルマブ治療で見られる肝炎は、肝臓中に存在するT細胞の活性化、又は患者の肝臓中の活性化T細胞の浸潤及び蓄積に起因していた可能性があると考えられる。軽減された肝炎を伴うか又は肝炎を伴わない分子を選択するために、本発明者らは、CD137に対する高い結合力を有すると予想される抗体分子を選択した。具体的には、本発明者らは、高い親和性で二量体CD137に結合した抗体分子を選択した。T細胞によるCD137の発現は、プライミング及び活性化の際に上方制御される。活性化T細胞におけるCD137のより高い発現のため、CD137は、このような細胞の表面において二量体、三量体及びより高次の多量体の形態になるものと考えられる。対照的に、不活性T細胞によるCD137発現は、低く発現し、或いは検出不可能である。したがって、CD137は、これがこのようなT細胞の表面において発現される限り、モノマー形態である可能性が高いものと考えられる。したがって、高い結合力でCD137に結合する抗体分子は、肝臓中に存在する不活性T細胞などの不活性T細胞と対照的に、活性化T細胞に優先的に結合し、したがって、軽減された肝炎を示すか又は肝炎を示さないものと考えられる。
抗体分子は、好ましくは、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、若しくは0.2nMの親和性(KD)又はより高い親和性で二量体ヒトCD137に結合する。抗体分子は、モノマーCD137よりより高い親和性で二量体CD137に結合し得る。
本発明の抗体分子はまた、二量体カニクイザルCD137に結合することが示された。カニクイザルCD137並びにヒトCD137への結合は、カニクイザルにおける抗体分子の有効性及び毒性試験を行うのに有益であると考えられ、これは、ヒトにおける抗体分子の有効性及び毒性の予測であり得る。
好ましい実施形態において、抗体分子は、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、若しくは0.2nMの親和性(KD)又はより高い親和性で二量体カニクイザルCD137に結合し得る。
抗体分子は、同様の親和性で二量体ヒトCD137及び二量体カニクイザルCD137に結合し得る。これは、カニクイザルにおける抗体分子を用いて行われる有効性及び毒性試験が、ヒトにおける抗体分子の有効性及び毒性の予測であることを確実にするのに有益であると考えられる。
したがって、好ましい実施形態において、抗体分子は、抗体分子が二量体ヒトCD137に結合する親和性より10倍以下、好ましくは、5倍以下、より好ましくは、2倍以下低いか又は高い親和性で二量体カニクイザルCD137に結合する。
ヒト又はカニクイザルCD137などの同種抗原に対する抗体分子の結合親和性は、例えばBiacoreなどの表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定され得る。
抗体分子は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体分子であり得る。好ましくは、抗体分子は、ヒト抗体分子である。
抗体分子は、好ましくは、モノクローナルである。
抗体分子は、他のポリペプチド及び/又は血清成分に結合することが可能な抗体などの、汚染物質を含まないという意味で単離され得る。
抗体分子は、天然であるか又は部分的に若しくは完全に合成的に産生され得る。例えば、抗体分子は、組み換え抗体分子であり得る。
抗体分子は、CD137のための1つ以上のCDRベースの抗原結合部位を含む。
抗体分子は、免疫グロブリン又はその抗原結合断片であり得る。例えば、抗体分子は、IgG、IgA、IgE又はIgM分子、好ましくは、IgG分子、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4分子、より好ましくは、IgG1又はIgG2分子、最も好ましくは、IgG1分子、又はその断片であり得る。好ましい実施形態において、抗体分子は、完全免疫グロブリン分子である。
他の実施形態において、抗体分子は、CD137のためのCDRベースの抗原結合部位を含む抗原結合断片であり得る。本発明の抗体分子に適用可能なCDRベースの抗原結合断片は、当業者に公知であろう。例示的なCDRベースの抗原結合断片は、例えば、Brinkmann and Kontermann,2017及びPowers et al.,2012に記載されている。例えば、抗原結合断片は、IgGΔCH2、断片抗原結合(Fab)、F(ab’)2、一本鎖Fab(scFab)、ジスルフィド安定化可変断片(dsFv)、一本鎖可変断片(scFv)、(scFv)2、scFv−CH3(ミニボディ)、scFv−Fc、scFv−ジッパー、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、又は単一ドメイン抗体(sdAb)、例えばVHHドメイン又はナノボディであり得る。好ましい抗原結合断片は、CD137のための2つ以上のCDRベースの抗原結合部位を含み、すなわち、それらは多価であり得る。したがって、抗原結合断片は、好ましくは、IgGΔCH2、F(ab’)2、ダイアボディ、トリアボディ、又はテトラボディであり得る。*
抗体並びにそれらの構築及び使用のための方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Holliger and Hudson,2005に記載されている。モノクローナル及び他の抗体を取り、元の抗体の特異性を保持する他の抗体又はキメラ分子を産生するために組み換えDNA技術の技術を使用することが可能である。このような技術は、1つの抗体分子のCDR又は可変領域を、異なる抗体分子中に導入することを含み得る(欧州特許出願公開第A−184187号、英国特許第2188638A号及び欧州特許出願公開第A−239400号)。
CDRベースの抗原結合部位は、抗体可変領域における抗原結合部位である。CDRベースの抗原結合部位は、3つのCDR、例えば3つの軽鎖可変ドメイン(VL)CDR又は3つの重鎖可変ドメイン(VH)CDRによって形成され得る。好ましくは、CDRベースの抗原結合部位は、6つのCDR、3つのVL CDR及び3つのVH CDRによって形成される。抗原の結合への異なるCDRの寄与は、異なる抗原結合部位において異なり得る。
抗原結合部位の3つのVHドメインCDRは、免疫グロブリンVHドメイン内に位置してもよく、3つのVLドメインCDRは、免疫グロブリンVLドメイン内に位置し得る。例えば、CDRベースの抗原結合部位は、抗体可変領域中に位置し得る。
抗体分子は、1つ又は好ましくは2つ以上、例えば2つの、CD137のためのCDRベースの抗原結合部位を有する。したがって、抗体分子は、1つのVH及び1つのVLドメインを含み得るが、好ましくは、例えば天然のIgG分子の場合のように、2つのVH及び2つのVLドメイン、すなわち2つのVH/VLドメイン対を含む。
CDRベースの抗原結合部位は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16の3つのVH CDR又は3つのVL CDR、好ましくは、3つのVH CDR及び3つのVL CDRを含み得る。
CDRの配列は、日常的な技術を用いて、抗体分子のVH及びVLドメイン配列から容易に決定され得る。抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、又はFS30−5−37のVH及びVLドメイン配列は、本明細書に記載され、したがって、前記抗体の3つのVH及び3つのVLドメインCDRは、前記配列から決定され得る。CDR配列は、例えば、Kabat et al.,1991又は国際免疫遺伝学情報システム(international ImMunoGeneTics information system)(IMGT)(Lefranc et al.,2015)に従って決定され得る。
IMGT番号付けに従う抗体分子のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列はそれぞれ、抗体分子のVHドメインの27〜38、56〜65、及び105〜117位に位置する配列であり得る。
Kabat番号付けに従う抗体分子のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列はそれぞれ、VHドメインの31〜35、50〜65、及び95〜102位に位置する配列であり得る。
IMGT番号付けに従う抗体分子のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列はそれぞれ、VLドメインの27〜38、56〜65、及び105〜117位に位置する配列であり得る。
Kabat番号付けに従う抗体分子のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列はそれぞれ、VLドメインの24〜34、50〜56、及び89〜97位に位置する配列であり得る。
例えば、
(i)抗体FS30−10−16のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号30、32、及び38のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(ii)抗体FS30−10−3のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号30、32、及び34のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iii)抗体FS30−10−12のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号30、32、及び36のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iv)抗体FS30−35−14のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号62、64、及び66のそれぞれに記載されるとおりであり得;又は
(v)抗体FS30−5−37のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号7、9、及び11のそれぞれに記載されるとおりであり得;
ここで、CDR配列が、ImMunoGeneTics(IMGT)番号付けスキームに従って定義される。
(i)抗体FS30−10−16のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号17、19、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(ii)抗体FS30−10−3のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号17、19、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iii)抗体FS30−10−12のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号17、19、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iv)抗体FS30−35−14のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号17、19、及び23のそれぞれに記載されるとおりであり得;又は
(v)抗体FS30−5−37のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号17、19、及び21のそれぞれに記載されるとおりであり得;
ここで、CDR配列が、IMGT番号付けスキームに従って定義される。
(i)抗体FS30−10−16のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号31、33、及び39のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(ii)抗体FS30−10−3のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号31、33、及び34のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iii)抗体FS30−10−12のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号31、33、及び37のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iv)抗体FS30−35−14のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号63、65、及び67のそれぞれに記載されるとおりであり得;又は
(v)抗体FS30−5−37のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号8、10、及び12のそれぞれに記載されるとおりであり得;
ここで、CDR配列が、Kabat番号付けスキームに従って定義される。
(i)抗体FS30−10−16のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号18、20、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(ii)抗体FS30−10−3のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号18、20、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iii)抗体FS30−10−12のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号18、20、及び22のそれぞれに記載されるとおりであり得;
(iv)抗体FS30−35−14のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号18、20、及び23のそれぞれに記載されるとおりであり得;又は
(v)抗体FS30−5−37のVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3の配列は、配列番号18、20、及び21のそれぞれに記載されるとおりであり得;
ここで、CDR配列が、Kabat番号付けスキームに従って定義される。
抗体FS30−10−16、FS30−10−3、及びFS30−10−12の重鎖及び軽鎖配列は、IMGT番号付けスキームに従ってVHドメインの109位における残基(Kabat番号付けスキームに従ってVHドメインの残基97)を除いて同一である。このアミノ酸変化は、VHドメインCDR3内にある。したがって、抗体分子は、抗体FS30−10−16のVHドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列及び/又はVLドメインCDR1、CDR2及びCDR3配列、VHドメイン配列及び/又はVLドメイン配列、重鎖配列及び/又は軽鎖配列を含んでいてもよく、ここで、抗体分子は、IMGT番号付けスキームに従ってVHドメインの109位(Kabat番号付けスキームに従ってVHドメインの残基97)に、アスパラギン(N)、及びトレオニン(T)からなる群から選択されるアミノ酸置換を任意に含む。
CDRベースの抗原結合部位は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16のVH又はVLドメイン、好ましくは、VH及びVLドメインを含み得る。
抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37のVHドメインは、配列番号54、28、44、60、又は5のそれぞれに記載される配列を有し得る。抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37のVLドメインは、配列番号46、46、46、68、又は13のそれぞれに記載される配列を有し得る。
抗体分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16の重鎖又は軽鎖、好ましくは、重鎖及び軽鎖を含み得る。
[LALAを有する配列]抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、及びFS30−5−37の重鎖は、配列番号52、26、42、58、及び3のそれぞれに記載される配列を有し得る。
抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、及びFS30−5−37の軽鎖は、配列番号46、46、46、68、及び13のそれぞれに記載される配列を有し得る。
抗体分子は、本明細書に開示されるCDR、VHドメイン、VLドメイン、重鎖又は軽鎖配列の変異体も含み得る。好適な変異体は、配列変異、又は突然変異、及びスクリーニングの方法によって得ることができる。好ましい実施形態において、1つ以上のこのような変異体配列を含む抗体分子は、CD137、好ましくは、ヒト及び/又はカニクイザルCD137に対する結合特異性及び/又は結合親和性などの、親抗体分子の機能特性の1つ以上を保持する。例えば、1つ以上の変異体配列を含む抗体分子は、好ましくは、(親)抗体分子と同じ親和性、又は(親)抗体分子より高い親和性でCD137に結合する。親抗体分子は、変異体抗体分子に組み込まれたアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を含まない抗体分子である。
抗体分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16のVHドメイン、VLドメイン、重鎖、又は軽鎖に対する、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%の配列同一性を有するVHドメイン、VLドメイン、重鎖、又は軽鎖を含み得る。
配列同一性は、アルゴリズムGAP(Wisconsin GCG package,Accelerys Inc,San Diego USA)に関連して一般的に定義される。GAPは、Needleman and Wunschアルゴリズムを使用して、一致の数を最大にし、且つギャップの数を最小にする、2つの完全な配列をアラインする。一般に、12に等しいギャップ作成ペナルティ(gap creation penalty)及び4に等しいギャップ伸長ペナルティ(gap extension)を伴うデフォルトパラメータが使用される。GAPの使用が、好ましいことがあるが、他のアルゴリズム、例えば、一般にデフォルトパラメータを用いる、BLAST(Altschul et al.,1990の方法を使用する、FASTA(Pearson and Lipman,1988の方法を使用する)、又はSmith-Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman,1981)、又は上記のAltschul et al.,1990のTBLASTNプログラムが使用され得る。特に、psi−Blastアルゴリズム(Altschul et al.,1997)が使用され得る。
抗体分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3と比較して、1つ以上のアミノ酸配列変異(アミノ酸残基の付加、欠失、置換及び/又は挿入)、好ましくは、3つ以下の変異、2つ以下の変異、又は1つの変異を有するVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含み得る。
抗体分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16のVHドメイン、VLドメイン、重鎖、又は軽鎖と比較して、1つ以上のアミノ酸配列変異(アミノ酸残基の付加、欠失、置換及び/又は挿入)、好ましくは、20以下の変異、15以下の変異、10以下の変異、5つ以下の変異、4つ以下の変異、3つ以下の変異、2つ以下の変異、又は1つの変異を有するVHドメイン、VLドメイン、重鎖、又は軽鎖を含み得る。特に、アミノ酸配列変異は、抗体分子の1つ以上のフレームワーク領域、例えば、抗体分子の重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上のフレームワーク領域中に位置し得る。
抗体分子の重鎖は、重鎖CH3ドメイン配列の直近のC末端にさらなるリジン残基(K)を任意に含み得る。
1つ以上のアミノ酸が別のアミノ酸で置換される好ましい実施形態において、置換は、例えば以下の表で表される保存的置換であり得る。ある実施形態において、真ん中の列における同じカテゴリーのアミノ酸が、互いに置換され、すなわち、非極性アミノ酸が、例えば別の非極性アミノ酸で置換される。ある実施形態において、最も右側の列における同じ行のアミノ酸が、互いに置換される。
Figure 2021525546
ある実施形態において、置換は、機能的に保存的であり得る。すなわち、ある実施形態において、置換は、同等の非置換の抗体分子と比較して、置換を含む抗体分子の1つ以上の機能特性(例えば結合親和性)に影響を与えることはない(又は実質的に影響を与えることはない)。
抗体分子のCH2ドメインは、CH2ドメインの、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIなどの1つ以上のFcγ受容体、及び/又は補体への結合を低減又は抑制する1つ以上の突然変異を含み得る。本発明者らは、Fcγ受容体への結合を低減又は抑制することが、抗体分子によって媒介されるADCCを低減するか又はなくすと仮定している。同様に、補体への結合を低減又は抑制することが、抗体分子によって媒介されるCDCを低減するか又はなくすと予想される。CH2ドメインの、1つ以上のFcγ受容体及び/又は補体への結合を低減又は抑制する突然変異は、当該技術分野において公知である(Wang et al.,2018)。これらの突然変異は、Bruhns et al.,2009及びHezareh et al.,2001に記載される「LALA突然変異」を含み、これは、アラニン(L1.3A及びL1.2A)によるCH2ドメインのIMGT位置1.3及び1.2におけるロイシン残基の置換を含む。或いは、CH2ドメインのIMGT位置84.4におけるアスパラギン(N)を、アラニン、グリシン又はグルタミン(N84.4A、N84.4G又はN84.4Q)に突然変異させることによる、保存されたN−結合型グリコシル化部位の突然変異を介したa−グリコシル抗体の産生は、IgG1エフェクター機能を低下させることも知られている(Wang et al.,2018)。さらなる代替例として、補体活性化(C1q結合)及びADCCは、CH2ドメインのIMGT位置114におけるプロリンの、アラニン又はグリシン(P114A又はP114G)への突然変異によって低下されることが知られている(Idusogie et al.,2000;Klein et al.,2016)。これらの突然変異はまた、さらなる低下されたADCC若しくはCDC活性を有するか又はADCC若しくはCDC活性を有さない抗体分子を産生するために組み合わされてもよい。
したがって、抗体分子は、CH2ドメインを含んでいてもよく、ここで、CH2ドメインは、好ましくは、
(i)1.3及び1.2位におけるアラニン残基;及び/又は
(ii)114位におけるアラニン若しくはグリシン;及び/又は
(iii)84.4位におけるアラニン、グルタミン若しくはグリシン
を含み;
ここで、アミノ酸残基の番号付けが、IMGT番号付けスキームに従う。
好ましい実施形態において、抗体分子は、CH2ドメインを含み、ここで、CH2ドメインは、好ましくは、
(i)1.3及び1.2位におけるアラニン残基;及び/又は
(ii)114位におけるアラニン若しくはグリシン
を含み;
ここで、アミノ酸残基の番号付けが、IMGT番号付けスキームに従う。
好ましい実施形態において、抗体分子は、CH2ドメインを含み、ここで、CH2ドメインは、
(i)1.3位におけるアラニン残基;及び
(ii)1.2位におけるアラニン残基
を含み;
ここで、アミノ酸残基の番号付けが、IMGT番号付けスキームに従う。
例えば、CH2ドメインは、配列番号107に記載される配列を有し得る。
別の好ましい実施形態において、抗体分子は、CH2ドメインを含み、ここで、CH2ドメインは、
(i)1.3位におけるアラニン残基;
(ii)1.2位におけるアラニン残基;及び
(iii)114位におけるアラニン
を含み;
ここで、アミノ酸残基の番号付けが、IMGT番号付けスキームに従う。
例えば、CH2ドメインは、配列番号108に記載される配列を有し得る。
CD137のためのCDRベースの抗原結合部位を含み、且つ本明細書に記載される抗体分子と競合するか、又はCD137における、本明細書に記載される抗体分子と同じエピトープに結合する抗体分子も考えられる。2つの抗体による抗原を巡る競合を決定するための方法は、当該技術分野において公知である。例えば、2つの抗体による抗原への結合の競合は、例えばBiacore機器を用いて、表面プラズモン共鳴によって決定され得る。抗体によって結合されたエピトープをマッピングするための方法が、同様に公知である。
抗体分子は、リガンド結合するとある範囲の活性を有することが示された。例えば、抗体分子は、CD137へのCD137Lの結合をブロックすることが可能であり得るか、ブロックすることが可能であることはないか、又は部分的にブロックすることが可能であり得る。
好ましくは、抗体分子は、CD137へのCD137Lの結合をブロックすることが可能であり得るか、ブロックすることが可能であることはないか、又は部分的にブロックすることが可能であり得る。より好ましくは、抗体分子は、CD137へのCD137Lの結合を部分的にブロックすることが可能である。
CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖を含むか若しくはそれからなる、又は配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖を含むか若しくはそれからなる抗体分子を参照することによって決定され得る。
或いは、本明細書においてCD137Lブロッキング活性とも呼ばれる、CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力は、配列番号79及び46のそれぞれに記載される抗体FS20−22−49AA/FS30−10−16の重鎖及び軽鎖を含むか又はそれからなる抗体分子を参照することによって決定され得る。
例えば、抗体分子は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖、又は配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖を含むか又はそれからなる抗体分子より低いレベルのCD137Lブロッキング活性を有し得る。
例えば、抗体分子は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖配列、又は配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の80%以下、70%以下、又は60%以下であるCD137Lブロッキング活性を有し得る。
抗体分子は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖配列、又は配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%であるCD137Lブロッキング活性を有し得る。
抗体分子は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖配列、又は配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の20%から80%、30%から70%、又は40%から60%であるCD137Lブロッキング活性を有し得る。
抗体分子は、配列番号79及び46のそれぞれに記載される抗体FS20−22−49AA/FS30−10−16の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなる抗体分子のCD137Lブロッキング活性の70%から130%、80%から120%、又は90%から110%であるCD137Lブロッキング活性を有し得る。
一態様において、本発明は、上述される部分的なCD137Lブロッキング活性を有し、且つヒト及びカニクイザルCD137の両方に結合する抗体分子に関する。
CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力を決定するのに好適な方法は、当該技術分野において公知であり、ELISA及び細胞ベースのアッセイ、例えば標識された、例えばビオチン化CD137L又はCD137のそれぞれの結合の試験のために、CD137又はCD137リガンドを過剰発現する細胞を使用するアッセイを含む。
例えば、CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力を決定するための方法は、
(a)
(i)CD137を固体担体上に固定すること;
(ii)前記固体担体を抗体分子とともにインキュベートすること;
(iii)工程(a)(ii)において調製された固体担体を、CD137Lとともにインキュベートすること;及び
(iv)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;並びに
(b)
(i)CD137を固体担体上に固定すること;
(ii)前記固体担体を対照抗体分子とともにインキュベートすること;
(iii)工程(b)(ii)において調製された前記固体担体を、CD137Lとともにインキュベートすること;及び
(iv)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;及び(a)において得られた測定値を、(b)において得られた測定値と比較すること
を含み得る。
別の例として、CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力を決定するための方法は、
(a)
(i)CD137Lを固体担体上に固定すること;
(ii)CD137を抗体分子とともにインキュベートすること;
(iii)工程(a)(i)において調製された固体担体を、工程a(ii)において調製されたCD137と抗体分子との混合物とともにインキュベートすること;及び
(iv)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;並びに
(b)
(i)CD137Lを固体担体上に固定すること;
(ii)CD137を対照抗体分子とともにインキュベートすること;
(iii)工程(b)(i)において調製された固体担体を、工程b(ii)において調製されたCD137と対照抗体分子との混合物とともにインキュベートすること;及び
(iv)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;及び(a)において得られた測定値を、(b)において得られた測定値と比較すること
を含み得る。
さらなる例として、CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力を決定するための方法は、
(a)
(i)CD137を抗体分子とともにインキュベートすること;
(ii)抗体分子とCD137との混合物を、CD137Lを発現する細胞とともにインキュベートすること;及び
(iii)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;並びに
(b)
(i)CD137を対照抗体分子とともにインキュベートすること;
(ii)対照抗体分子とCD137との混合物を、CD137Lを発現する細胞とともにインキュベートすること;及び
(iii)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;及び(a)において得られた測定値を、(b)において得られた測定値と比較すること
を含み得る。
さらに他の例として、CD137へのCD137Lの結合をブロックする抗体分子の能力を決定するための方法は、
(a)
(i)抗体分子を、CD137を発現する細胞とともにインキュベートすること;
(ii)抗体分子とCD137発現細胞との混合物を、CD137Lとともにインキュベートすること;及び
(iii)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;並びに
(b)
(i)対照抗体分子を、CD137を発現する細胞とともにインキュベートすること;
(ii)対照抗体分子とCD137発現細胞との混合物を、CD137Lとともにインキュベートすること;及び
(iii)CD137へのCD137Lの結合を測定して、測定値を得ること;及び(a)において得られた測定値を、(b)において得られた測定値と比較すること
を含み得る。
対照抗体は、好ましくは、CD137へのCD137Lの結合をブロックする。例えば、対照抗体は、配列番号99及び101のそれぞれに記載される抗体G1/MOR7480.1の重鎖及び軽鎖、配列番号104及び106のそれぞれに記載される抗体G1/20H4.9の重鎖及び軽鎖、又は配列番号79及び46のそれぞれに記載される抗体FS20−22−49AA/FS30−10−16の重鎖配列及び軽鎖配列を含むか又はそれからなり得る。したがって、工程(a)において決定される際の測定値が工程(b)において決定される際の対照抗体の測定と同じか又はそれより高い抗体分子は、対照抗体と同じ程度又は対照抗体より大きい程度に、CD137へのCD137Lの結合をブロックする。
好ましい実施形態において、本発明の抗体分子は、CD137のためのCDRベースの抗原結合部位に加えて、1つ以上のさらなる抗原に結合する1つ以上のさらなる抗原結合部位を含み得る。1つ以上のさらなる抗原結合部位は、好ましくは、それらの同種抗原に特異的に結合する。
1つ以上のさらなる抗原結合部位は、好ましくは、CD137に結合しない。したがって、抗体分子は、多重特異的、例えば二重特異的、三重特異的、又は四重特異的分子、好ましくは、二重特異的分子であり得る。好ましい実施形態において、抗体分子は、CD137及び1つ以上のさらなる抗原に同時に結合することが可能である。
抗体分子は、多重特異的、例えば二重特異的、三重特異的、又は四重特異的抗体フォーマットを形成するために複数の異なる方法で組み合わされ得る個別のドメインを含むモジュール構造を有する。例示的な多重特異的抗体フォーマットは、例えば、Spiess et al.(2015)and Kontermann(2012)に記載されている。本発明の抗体分子は、このような多重特異的フォーマットで用いられ得る。
例えば、本発明の抗体分子は、ヘテロ二量体抗体分子、例えば、ヘテロ二量体完全免疫グロブリン分子、又はその断片であり得る。この場合、抗体分子の一部は、本明細書に記載される1つ又は複数の配列を有するであろう。例えば、本発明の抗体分子が、二重特異的ヘテロ二量体抗体分子である場合、抗体分子は、MSLN以外の抗原に結合する、VHドメイン及びVLドメインをそれぞれ含む重鎖及び軽鎖と対合される本明細書に記載される重鎖及び軽鎖を含み得る。ヘテロ二量体抗体を調製するための技術は、当該技術分野において公知であり、ノブ・イン・ホール(KIH)技術を含み、これは、鎖のヘテロ二量体化を促進するために「ノブ」又は「ホール」のいずれかを形成するように抗体分子のCH3ドメインを操作することを含む。或いは、ヘテロ二量体抗体は、静電反発力によってCH3ドメインのホモ二量体化を回避し、静電引力によってヘテロ二量体化を指向するための、抗体分子中への電荷対の導入によって調製され得る。ヘテロ二量体抗体フォーマットの例としては、CrossMab、mAb−Fv、SEED−ボディ、及びkih IgGが挙げられる。
或いは、多重特異的抗体分子は、完全免疫グロブリン分子又はその断片及び1つ若しくは複数のさらなる抗原結合部分を含み得る。抗原結合部分は、例えば、Fv、scFv又は単一ドメイン抗体であってもよく、完全免疫グロブリン分子又はその断片に融合され得る。完全免疫グロブリン分子に融合されたさらなる抗原結合部分を含む多重特異的抗体分子の例としては、DVD−IgG、DVI−IgG、scFv4−IgG、IgG−scFv、及びscFv−IgG分子が挙げられる(Spiess et al.,2015;図1)。免疫グロブリン断片に融合されたさらなる抗原結合部分を含む多重特異的抗体分子の例としては、例えば、BiTE分子、二重特異性抗体及びDART分子が挙げられる(Spiess et al.,2015;図1)。
他の好適なフォーマットは、当業者に容易に明らかになるであろう。
好ましい実施形態において、抗体分子は、第2の抗原に結合する第2の抗原結合部位を含み、第2の抗原結合部位は、好ましくは、抗体分子の定常ドメイン中に位置する。例えば、抗体分子は、mAb2(TM)二重特異的抗体であり得る。本明細書において言及されるmAb2二重特異的抗体は、その可変領域のそれぞれにおけるCDRベースの抗原結合部位及び抗体分子の定常ドメイン中の少なくとも1つの抗原結合部位を含むIgG免疫グロブリンである。
好ましい実施形態において、抗体は、CD137及び第2の抗原に結合する抗体分子であり、抗体分子は、
(i)免疫グロブリンVHドメイン及び免疫グロブリンVLドメインによってそれぞれ形成される、CD137のための2つのCDRベースの抗原結合部位;及び
(ii)抗体分子の2つのCH3ドメイン中に位置する第2の抗原に結合する2つの抗原結合部位
を含む。
より好ましい実施形態において、抗体は、完全免疫グロブリン分子、例えば、CD137及び第2の抗原に結合する完全IgG1分子であり、抗体分子は、
(i)免疫グロブリンVHドメイン及び免疫グロブリンVLドメインによってそれぞれ形成される、CD137のための2つのCDRベースの抗原結合部位;及び
(ii)抗体分子の2つのCH3ドメイン中に位置する第2の抗原に結合する2つの抗原結合部位
を含み;
ここで、免疫グロブリン分子は、CH1、CH2及びCLドメインをさらに含む。
第2の抗原のための抗原結合部位は、抗体分子の任意の定常ドメイン中に位置し得る。例えば、第2の抗原のための抗原結合部位は、CH4、CH3、CH2、CH1又はCLドメインの1つ以上、好ましくは、CH3又はCH2ドメイン、最も好ましくは、CH3ドメインに位置し得る。
抗原結合部位は、1つ以上、例えば1つ、2つ、3つ又はそれ以上の、抗体分子の定常ドメインの構造ループから構成され得る。
抗体定常ドメインの構造ループは、AB、BC、CD、DE、EF、及びFG構造ループを含む。抗原結合部位は、定常ドメインのAB、BC、CD、DE、EF、及びFG構造ループの2つ以上、好ましくは、AB及びEF構造ループ、又はAB、CD及びEF構造ループを含み得る。
抗体定常ドメインにおける構造ループの位置は、当該技術分野において周知である。例えば、CH3ドメインの構造ループは、CH3ドメインの10及び19位の間(ABループ)、28及び39位の間(BCループ)、42及び79位の間(CDループ)、82及び85位の間(DEループ)、91及び102位の間(EFループ)並びに106及び117位の間(FGループ)に位置し、ここで、残基は、IMGT番号付けスキームに従って番号付けされる。他の定常ドメインにおける構造ループ位置の場所は、容易に決定され得る。
定常ドメインの構造ループは、第2の抗原のための抗原結合部位を形成するために、1つ以上のアミノ酸修飾を含み得る。1つ以上のアミノ酸修飾は、アミノ酸置換、付加、又は欠失を含み得る。標的抗原のための抗原結合部位を形成するための抗体定常ドメインの構造ループ領域中へのアミノ酸修飾の導入は、当該技術分野において周知であり、例えば、Wozniak-Knopp G et al.,2010、並びに特許公開番号国際公開第2006/072620号及び国際公開第2009/132876号に記載されている。定常ドメイン結合部位の例が、以下に示される。
好ましい実施形態において、抗体分子は、AB、CD及び/又はEF構造ループ、好ましくは、AB及びEF構造ループ又はAB、CD及びEF構造ループ中の1つ以上のアミノ酸修飾(置換、付加、及び/又は欠失)を含む。例えば、抗体分子は、本明細書に記載される第2の抗原のための抗原結合部位を提供するために、CH3ドメインの10及び19位の間、42及び79位の間、及び/又は91及び102位の間、好ましくは、CH3ドメインの10及び19位の間、並びに91及び102位の間、又は10及び19位の間、42及び79位の間、並びに91及び102位の間に1つ以上のアミノ酸修飾(置換、付加、及び/又は欠失)を含み得る。より好ましくは、抗体分子は、本明細書に記載される第2の抗原のための抗原結合部位を提供するために、CH3ドメインの11及び19位の間、45及び78位の間、91及び95位の間、及び/又は96及び102位の間、より好ましくは、CH3ドメインの11及び19位の間、91及び95位の間、並びに96及び102位の間、又は11及び19位の間、45及び78位の間、91及び95位の間、並びに96及び102位の間に1つ以上のアミノ酸修飾(置換、付加、及び/又は欠失)を含む。非修飾CH3ドメインは、好ましくは、配列番号109に記載される配列を含むか又はそれからなる。残基番号付けは、IMGT番号付けスキームに従う。
CD137の活性化は、免疫細胞表面、例えばT細胞表面におけるCD137のクラスター化を必要とし、これは、次に、細胞内シグナル伝達経路及び免疫細胞活性化を刺激する。抗体分子の架橋の非存在下での免疫細胞表面におけるCD137への抗体分子の結合は、CD137にクラスターを形成させることはなく、その結果、免疫細胞活性化をもたらすことはない。
本発明者らは、本発明の抗体分子が、抗体分子の架橋の非存在下でT細胞活性化を行わないことを示した(実施例7を参照)。
上記に説明されるように、Fcγ受容体への結合による抗体分子の架橋は、非効率的であり、且つFcγ受容体発現細胞がヒト身体全体に存在する際、特定の位置、例えば、疾患の部位に標的化することができない。したがって、第2の抗原結合部位によって結合された第2の抗原は、好ましくは、Fcγ受容体でない。
したがって、好ましい実施形態において、本発明の抗体分子は、第2の抗原に結合する第2の抗原結合部位を含み、ここで、第2の抗原は、複数の抗体分子に結合し、それを架橋することが可能である。
例えば、本発明者らは、CD137及び第2の抗原の両方のための結合部位を含む他の二重特異的分子、特に、CD137のための2つの定常ドメイン結合部位及び第2の抗原のための2つのCDRベースの抗原結合部位を含むmAb2分子(CD137/第2の抗原mAb2)を用いて、第2の抗原が多量体分子である場合、第2の抗原への抗体分子の結合が、T細胞活性化をもたらすか、又はT細胞活性化を促進することを示した。したがって、第2の抗原は、好ましくは、多量体抗原、例えば二量体、三量体又はより高次の多量体であり、したがっていくつかの抗体分子に架橋することが可能である。
本発明者らは、CD137/第2の抗原mAb2分子を用いて、第2の抗原が、モノマー又は多量体であり得、且つ表面、例えば細胞表面に高濃度で存在するか及び/又はクラスター化された細胞表面抗原などの表面抗原である場合、抗体分子の、第2の抗原への結合は、T細胞活性化をもたらすか、又はT細胞活性化を促進することも示した。理論に制約されるのを望むものではないが、抗体分子の、豊富な細胞表面抗原への結合が、例えば、抗体分子が、CD137のクラスター化及び免疫細胞活性化を引き起こすことが可能なほど十分に近接して配置された、細胞表面に結合された高濃度の抗体分子をもたらすと考えられる。したがって、好ましい実施形態において、第2の抗原は、表面、例えば細胞表面において高濃度で発現される表面抗原である。
本明細書に記載される第2の抗原に結合し、且つ第2の抗原への結合の際にのみT細胞などの免疫細胞を活性化するか、又はその免疫細胞活性化活性が第2の抗原への結合の際に促進される第2の抗原結合部位を含む抗体分子は、コンディショナルなアゴニストとも呼ばれる。第2の抗原への結合の際のこの免疫細胞活性化活性は、抗体分子の、Fcγ受容体及び/又は外部の架橋剤、例えばプロテインA又はG又は二次抗体への結合とは無関係であり、したがって、抗体分子のコンディショナルなアゴニスト活性が、第2の抗原が存在する部位に標的化されるのを可能にする。例えば、第2の抗原が疾患抗原である場合、抗体分子は、個体における疾患の部位で選択的に免疫細胞の活性化を促進し得、他の箇所では免疫細胞の活性化を促進しない。
さらに、第2の抗原への結合の際にのみT細胞などの免疫細胞を活性化する抗体分子は、外部の架橋剤などの他の機構による架橋、又はFcγ受容体相互作用による架橋に依存する抗体分子と比較して増加した免疫細胞活性化活性を有し得る。CD137の活性化がより効率的であるため、免疫細胞活性化は、他の抗体分子と比べてより低い濃度の本明細書に記載される抗体分子で達成され得る。
したがって、本発明の抗体分子は、好ましくは、抗体分子が架橋されていない場合より、抗体分子が、例えば第2の抗原への結合によって架橋される場合、増加したT細胞などの免疫細胞の活性化を誘発する。
T細胞を活性化する抗体分子の能力は、T細胞活性化アッセイを用いて測定され得る。T細胞は、活性化の際にIL−2を放出する。したがって、T細胞活性化アッセイは、抗体分子によって誘発されるT細胞活性化のレベルを決定するためにIL−2放出を測定し得る。
例えば、T細胞を活性化する抗体分子の能力は、抗体分子が架橋される場合、T細胞活性化アッセイにおいてT細胞によるIL−2の最大半量(half-maximal)放出を達成するのに必要な抗体分子の濃度を測定することによって決定され得る。これは、以下の抗体分子のEC50と呼ばれる。より低いEC50は、より低い濃度の抗体分子が、T細胞活性化アッセイにおいてT細胞によるIL−2の最大半量放出を達成するのに必要とされること、及びひいては抗体分子が、より高いT細胞活性化活性を有することを示す。抗体分子は、例えば、抗CH2抗体を用いて架橋され得る。
好ましい実施形態において、抗体分子は、同じアッセイにおいてFS20−22−49AA/FS30−10−16(LALA突然変異を含む)のEC50の50倍、40倍、30倍、20倍、10倍、5倍、4倍、3倍、又は2倍以内である、T細胞活性化アッセイにおけるEC50を有し、ここで、FS20−22−49AA/FS30−10−16(LALA)は、配列番号79に記載される重鎖及び配列番号46に記載される軽鎖からなるか又はそれを含む。
例えば、抗体分子は、20nM以下、15nM以下、10nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下、1nM以下、又は0.5nM以下の、T細胞活性化アッセイにおけるEC50を有し得る。
それに加えて、又はその代わりに、T細胞を活性化する抗体分子の能力は、抗体分子の存在下でT細胞活性化アッセイにおいてT細胞によって放出されるIL−2の最高濃度を測定することによって決定され得、ここで、抗体分子は、架橋されている。
好ましい実施形態において、架橋の存在下で、抗体分子の存在下でT細胞活性化アッセイにおいてT細胞によって放出されるIL−2の最高濃度は、FS20−22−49AA/FS30−10−16(LALA突然変異を含む)の存在下でT細胞によって放出されるIL−2の最高濃度の10倍、5倍、4倍、3倍、2倍、又は1.5倍以内である。架橋の存在下で、抗体分子の存在下でT細胞活性化アッセイにおいてT細胞によって放出されるIL−2の最高濃度は、好ましくは、同じアッセイにおいて架橋されたG1/MOR7480.1の存在下で、T細胞活性化アッセイにおいてT細胞によって放出されるIL−2の最高濃度より、例えば少なくとも1.1倍又は少なくとも1.2倍高い。
T細胞活性化アッセイは、本発明の実施例に記載されるように、CD8+T細胞アッセイなどの、本明細書に記載されるT細胞アッセイであり得る、実施例2を参照のこと。
例えば、T細胞活性化アッセイは、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)から単離されたCD8+ T細胞に基づくIL−2放出アッセイであり得る。例えば、T細胞活性化アッセイは、白血球除去錐体細胞(cone)からヒトPBMCを単離することを含み得る。PBMCを単離するための方法は、当該技術分野において公知であり、本発明の実施例に記載されている。次に、CD8+ T細胞は、PBMCから単離され得る。PBMCからCD8+ T細胞を単離するための方法は、当該技術分野において公知であり、本発明の実施例に記載されている。
次に、CD8+ T細胞は、抗ヒトCD3抗体で被覆された多層プレートに加えられ得る。各試験抗体分子の好適な希釈物が、調製され、ウェルに加えられ得る。次に、T細胞は、試験抗体とともに24時間にわたって、37℃、5%のCO2でインキュベートされ得る。上清が、収集され、上清中のIL−2の濃度を決定するためにアッセイされ得る。溶液中のIL−2の濃度を決定するための方法は、当該技術分野において公知であり、本発明の実施例に記載されている。ヒトIL−2の濃度は、抗体分子のlog濃度に対してプロットされ得る。得られた曲線は、log(アゴニスト)対応答の式を用いてフィッティングされ得る。
抗体分子の第2の抗原結合部位によって結合される第2の抗原は、免疫細胞抗原、又は疾患抗原であり得る。疾患抗原としては、病原性抗原及び腫瘍抗原が挙げられる。
抗体分子によって結合される免疫細胞抗原は、CD137と同じ免疫細胞又は異なる免疫細胞上に存在し得る。
免疫細胞抗原は、CD137以外の、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーであり得る。TNFRSF受容体は、腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)の1つ以上のリガンドに結合する細胞外システインリッチドメインを含む膜結合サイトカイン受容体である。
TNFRSF受容体は、免疫細胞の表面上に位置し得る。TNFRSFリガンドの結合の際、TNFRSF受容体は、免疫細胞を活性化する免疫細胞表面上にクラスターを形成する。例えば、リガンド結合TNFRSF受容体は、三量体などの多量体、又は多量体のクラスターを形成し得る。リガンド−結合NFRSF受容体のクラスターの存在は、免疫細胞を活性化する細胞内シグナル伝達経路を刺激する。
理論に制約されるのを望むものではないが、免疫細胞表面上でCD137及び第2のTNFRSF受容体を嵌合することによって、抗体分子は、CD137及び第2のTNFRSF受容体の両方をクラスター化させ、免疫細胞を活性化させると考えられる。言い換えると、抗体分子は、両方の標的が結合されるとき、TNFRSF受容体アゴニストとして働く。
TNFRSF受容体としては、CD27、CD40、EDA2R、EDAR、FAS、LTBR、RELT、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TNFRSF4、TNFRSF6B、TNFRSF8、TNFRSF10A−10D、TNFRSF11A、TNFRSF11B、TNFRSF12A、TNFRSF13B、TNFRSF13C、TNFRSF14、TNFRSF17、TNFRSF18、TNFRSF19、TNFRSF21及びTNFRSF25が挙げられる。
好ましい実施形態において、TNFRSF受容体は、TNFRSF4(OX40)である。
CD27(TNFRSF7:遺伝子ID 939)は、NP_001233.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001242.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。CD40(TNFRSF5:遺伝子ID 958)は、NP_001241.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001250.5の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。EDA2R(TNFRSF27:遺伝子ID 60401)は、NP_001186616.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001199687.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。EDAR(遺伝子ID 10913)は、NP_071731.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_022336、3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。FAS(TNFRSF6:遺伝子ID 355)は、NP_000034.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_000043.5の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。LTBR(TNFRSF3:遺伝子ID 4055)は、NP_001257916.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001270987.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。RELT(TNFRSF19L:遺伝子ID 84957)は、NP_116260.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_032871.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF1A(遺伝子ID 7132)は、NP_001056.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001065.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF1B(遺伝子ID 7133)は、NP_001057.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001066.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。
TNFRSF4(遺伝子ID 7293)は、NP_003318の基準アミノ酸配列を有し、NM_003327の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。)TNFRSF6B(遺伝子ID 8771)は、NP_003814.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_003823.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF8(遺伝子ID 943)は、NP_001234.3の基準アミノ酸配列を有し、NM_001243.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF10A(遺伝子ID 8797)は、NP_003835.3の基準アミノ酸配列を有し、NM_003844.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF10B(遺伝子ID 8795)は、NP_003833.4の基準アミノ酸配列を有し、NM_003842.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF10C(遺伝子ID 8794)は、NP_003832.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_003841.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF10D(遺伝子ID 8793)は、NP_003831.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_003840.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF11A(遺伝子ID 8792)は、XP_011524547.1の基準アミノ酸配列を有し、XM_11526245.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF11B(遺伝子ID 4982)は、NP_002537.3の基準アミノ酸配列を有し、NM_002546.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF12A(遺伝子ID 51330)は、NP_057723.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_016639.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF13B(遺伝子ID 23495)は、NP_0036584.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_012452.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF13C(遺伝子ID 115650)は、NP_443177.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_052945.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF14(遺伝子ID 8764)は、NP_001284534.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001297605.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF17(遺伝子ID 608)は、NP_001183.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_001192.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF18(遺伝子ID 8784)は、NP_004195.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_004186.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF19(遺伝子ID 55504)は、NP_001191387.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001204458.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。NFRSF21(遺伝子ID 27242)は、NP_055267.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_014452.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TNFRSF25(DR3:遺伝子ID 8718)は、リガンドTNFSF15(TL1A)に結合し、NP_001034753.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_001039664.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。
或いは、第2の抗原結合部位によって結合される免疫細胞抗原は、TNFRSF分子、例えば、免疫共刺激分子又は阻害性チェックポイント分子以外の免疫系を調節する分子であり得る。このような他の免疫調節分子の例としては、ICOS(CD278)、LAG3、PD1、PD−L1、PD−L2、B7H3、B7H4、CTLA4、TIGIT、BTLA、HVEM、T細胞免疫グロブリン、及びムチンドメイン含有−3(TIM−3)、CD47、CD73、A2aR、CD200、CD200R、及びコロニー刺激因子1受容体(CSF−1R)、VISTA CD28、CD80、LLT1、ガレクチン−9、NKG2A、NKG2D、及びKIRが挙げられる。
免疫細胞抗原が存在する免疫細胞は、任意の免疫細胞サブセットに属してもよく、T細胞、腫瘍浸潤白血球(TIL)、骨髄系統細胞、例えば、抗原提示細胞(APC)、NK細胞及び/又はB細胞であり得る。免疫細胞抗原がTNFRSF受容体である場合、TNFRSF受容体が存在する免疫細胞は、好ましくは、T細胞である。
或いは、第2の抗原結合部位は、上述される疾患抗原に結合し得る。理論に制約されるのを望むものではないが、抗体分子の、CD137及び疾患抗原への結合が、疾患の近くでT細胞の活性化をもたらすと考えられる。次に、次に活性化T細胞は、免疫応答、例えば、病原体又は癌細胞に対する免疫応答を開始させ、促進し、又はそれに関与し得る。癌細胞を認識及び除去する際に免疫系が果たす役割の概説が、Chen and Mellman (2013)によって提供される。
好ましい実施形態において、疾患抗原は、腫瘍抗原に結合し得る。腫瘍抗原は、腫瘍の環境中に主に存在し、個体における他の箇所に遍在的に存在していない抗原である。例えば、腫瘍抗原は、腫瘍細胞の表面に存在し得、又は腫瘍微小環境の他の間質細胞若しくは腫瘍の近くの体液中に存在し得る。したがって、腫瘍抗原は、個体における腫瘍細胞の位置のマーカーである。
ある実施形態において、腫瘍抗原は、癌細胞の表面に位置する抗原であり得る。好ましくは、腫瘍抗原は、腫瘍細胞において上方制御又は過剰発現される一方、それは、腫瘍の非存在下における同じ組織から対応する正常な体細胞によって多く発現されることはない。
ある実施形態において、腫瘍抗原は、腫瘍の非存在下における対応する正常な組織の間質細胞と比較して、腫瘍微小環境の間質細胞において上方制御又は過剰発現される。
好ましい腫瘍抗原は、細胞表面に存在し、急速に内在化されることはない。
抗体分子によって標的化するのに好適な腫瘍抗原は、当該技術分野において公知の方法を用いて同定され得る。例えば、CD137受容体及び腫瘍抗原を標的とする抗体分子は、CD137発現細胞が腫瘍抗原発現細胞とともに共培養されるアッセイにおいて使用され得、CD137発現細胞の活性化が、例えば、T細胞活性化アッセイ、増殖アッセイ又は細胞毒性アッセイによって測定される。
細胞表面腫瘍抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異的抗原(TSA)であり得る。
癌細胞によって発現される腫瘍抗原としては、例えば、癌生殖細胞系遺伝子、例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、GAGE−I、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、BAGE−I、RAGE−1、LB33/MUM−1、PRAME、NAG、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1/CT7、MAGE−C2、NY−ESO−I、LAGE−I、SSX−I、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−3、SSX−4、SSX−5、SCP−I及びXAGEによってコードされる癌精巣(CT)抗原並びに免疫原性断片又はその変異体が挙げられ得る(Simpson et al.,2005;Gure et al.,2005;Velazquez et al.,2007;Andrade et al.,2008;Tinguely et al.,2008;Napoletano et al.,2008)。
他の細胞表面腫瘍抗原としては、例えば、AFP、αvβ3(ビトロネクチン受容体)、αvβ6、B細胞成熟剤(BCMA)、CA125(MUC16)、CD4、CD20、CD22、CD33、CD52、CD56、CD66e、CD80、CD140b、CD227(MUC1)、EGFR(HER1)、EpCAM、GD3ガングリオシド、HER2、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺特異抗原(PSA)、CD5、CD19、CD21、CD25、CD37、CD30、CD33、CD45、HLA−DR、抗イディオタイプ、癌胎児性抗原(CEA)、例えば癌胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)、TAG−72、葉酸結合タンパク質、A33、G250、フェリチン、糖脂質、例えば、ガングリオシド、糖質、例えば、CA−125、IL−2受容体、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、IGF1R、B7H3、B7H4、PD−L1、CD200、EphA2、及びメソテリン又はその変異体が挙げられる。これらの及び他の細胞表面腫瘍抗原は、Carter et al.,2004;Scott and Renner,2001;及びCheever et al.,2009;Tai and Anderson,2015;及びPodojil and Miller,2017に記載されている。
他の腫瘍抗原としては、「ストレスを受けた」癌細胞によって用いられる非AUG翻訳開始機構によって生成されるアウトオブフレームペプチド−MHC複合体が挙げられる(Malarkannan et al.,1999)。
他の腫瘍抗原としては、腫瘍細胞の表面又は腫瘍微小環境の細胞の表面におけるペプチド−MHC複合体が挙げられ、ここで、ペプチド−MHC複合は、突然変異した細胞内腫瘍抗原の腫瘍特異的ネオアンチゲンペプチド断片を含み、ペプチドネオアンチゲンは、1つ以上の腫瘍特異的突然変異を有する(Gubin et al.,2015)。他の腫瘍抗原が、当該技術分野において周知である(例えば国際公開第00/20581号;Cancer Vaccines and Immunotherapy(2000)Eds Stern,Beverley and Carroll,Cambridge University Press,Cambridgeを参照)。これらの腫瘍抗原の配列は、公開データベースから容易に入手可能であるが、国際公開第1992/020356 A1号、国際公開第1994/005304 A1号、国際公開第1994/023031 A1号、国際公開第1995/020974 A1号、国際公開第1995/023874 A1号及び国際公開第1996/026214 A1号にも見出される。
好ましい腫瘍抗原としては、HER2、FAP、EpCAM、CEACAM5、CD20、CD73、PSMA、メソテリン、EphA2、IGF1R、CD200、αvβ6、BCMA、PD−L1、B7H3、B7H4及びEGFRが挙げられる。
HER2(ERBB2;遺伝子ID 2064)は、NP_001005862.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001005862.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。FAP(遺伝子ID 2191)は、NP_001278736.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001291807.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。EpCAM(遺伝子ID 4072)は、NP_002345.2の基準アミノ酸配列を有し得、NM_002354.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。CEACAM5(遺伝子ID 1048)は、NP_001278413.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001291484.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。CD20(MS4A1;遺伝子ID 931)は、NP_068769.2の基準アミノ酸配列を有し得、NM_021950.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。CD73(NT5E;遺伝子ID 4907)は、NP_001191742.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001204813.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。PSMA(FOLH1;遺伝子ID 2346)は、NP_001014986.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001014986.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。メソテリン(MSLN;遺伝子ID 10232)は、NP_001170826.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001177355.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。EphA2(遺伝子ID 1969)は、NP_001316019.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001329090.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。IGF1R(遺伝子ID 3480)は、NP_000866.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_000875.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。CD200(遺伝子ID 4345)は、NP_001004196.2の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001004196.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。αvβ6は、インテグリンサブユニットαV及びインテグリンサブユニットβ6から構成されるヘテロ二量体である。インテグリンサブユニットαV(ITGAV;遺伝子ID 3685)は、NP_001138471.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001144999.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。インテグリンサブユニットβ6(ITGB6;遺伝子ID 3694)は、NP_000879.2の基準アミノ酸配列を有し得、NM_000888.4の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。BCMA(TNFRSF17;遺伝子ID 608)は、NP_001183.2の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001192.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。PD−L1(CD274;遺伝子ID 29126)は、NP_001254635.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001267706.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。B7H3(CD276;遺伝子ID 80381)は、NP_001019907.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001024736.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。B7H4(VTCN1;遺伝子ID 79679)は、NP_001240778.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001253849.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。EGFR(遺伝子ID 1956)は、NP_001333826.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001346897.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。
他の実施形態において、腫瘍抗原は、可溶性腫瘍抗原、例えば、癌細胞によって、又は癌細胞に応答して産生される成長因子であり得る。可溶性因子は、腫瘍の近くの体液中で上方制御又は過剰発現され得る。可溶性腫瘍抗原は、多量体、例えば二量体又は三量体であり得る。可溶性腫瘍抗原は、個体の身体の他の箇所より、腫瘍部位又は腫瘍微小環境中により高い濃度で存在し得る。腫瘍微小環境及び関連する可溶性腫瘍抗原は、Bhome et al.(2015)により詳細に記載されている。
好適な可溶性腫瘍抗原としては、VEGF、HGF、SDF1及びTGF−β、例えばTGF−β−1、TGF−β−2、TGF−β−3及びTGF−β−4が挙げられる。
VEGF(VEGFA;遺伝子ID 7422)は、NP_001020537.2の基準アミノ酸配列を有し、NM_001025366.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。HGF(遺伝子ID 3082)は、NP_000592.3の基準アミノ酸配列を有し、NM_000601.5の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。SDF1(CXCL12;遺伝子ID 6387)は、NP_000600.1の基準アミノ酸配列を有し、NM_000609.6の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TGF−β−1(TGFB1;遺伝子ID 7040)は、NP_000651.3の基準アミノ酸配列を有し得、NM_000660.6の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TGF−β−2(TGFB2;遺伝子ID 7042)は、NP_001129071.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001135599.3の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TGF−β−3(TGFB3;遺伝子ID 7043)は、NP_001316867.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001329938.1の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。TGF−β−4(LEFTY2;遺伝子ID 7044)は、NP_001165896.1の基準アミノ酸配列を有し得、NM_001172425.2の基準ヌクレオチド配列によってコードされ得る。
別の好ましい実施形態において、疾患抗原は、病原性抗原である。
感染症の部位の近くでの抗体分子によるT細胞などの免疫細胞及び/又はマクロファージの活性化は、感染症の治療に有用であることが予想される。感染症は、急性又は持続性感染症であり得るが、好ましくは、持続性感染症である。
病原性抗原は、好ましくは、ヒト病原体によって発現される抗原、例えば、ウイルス、細菌、真菌又は寄生虫抗原(例えば原虫抗原)、好ましくは、ウイルス又は細菌抗原である。病原性抗原は、病原体、又は感染症の部位の近くに主に存在し、個体における他の箇所に遍在的に存在していない抗原である。
例えば、病原性抗原は、ウイルス、細菌、真菌若しくは寄生生物の表面に存在する抗原、又はウイルス、細菌、真菌若しくは寄生生物によって発現される可溶性抗原であり得る。ウイルス、細菌、真菌、又は寄生生物は、本明細書の他の箇所で言及されるウイルス、細菌、真菌、又は寄生生物であり得る。
病原性抗原が可溶性抗原である場合、抗原は、感染症の部位の近くの体液中で上方制御又は過剰発現され得る。例えば、可溶性病原性抗原は、個体の身体の他の箇所より、感染症の部位、又は感染症の部位の近くにより高い濃度で存在し得る。可溶性病原性抗原は、多量体、例えば二量体又は三量体であり得る。
抗体分子によって標的化するのに好適な病原性抗原は、当該技術分野において公知の方法を用いて同定され得る。例えば、CD137及び病原性抗原を標的とする抗体分子が、CD137発現細胞が病原体又は病原性抗原とともに共培養されるアッセイにおいて使用され得、CD137発現細胞の活性化が、例えば、T細胞活性化アッセイ、増殖アッセイ又は細胞毒性アッセイによって測定される。
抗体分子によって標的化するのに好適な多くの病原性抗原が、当該技術分野においてさらによく知られており、治療される感染症に応じて当業者によって選択され得る。ウイルス抗原の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって発現されるタンパク質p24、gp120、及びgp41、B型肝炎ウイルス(HBV)によって発現されるB型肝炎表面抗原(HBsAg)、並びにインフルエンザウイルスによって発現されるヘマグルチニン及びノイラミニダーゼが挙げられる。細菌抗原の例としては、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって発現されるRv1733、Rv2389及びRv2435nが挙げられる。
ある実施形態において、抗体分子は、抗体分子の定常ドメイン、例えばCH3ドメイン中に抗原結合部位を含むことはない。例えば、抗体分子は、抗体分子の定常ドメイン中にOX40に結合する抗原結合部位を含むことはない。特に、抗体分子は、抗体分子の定常ドメイン、例えばCH3ドメイン中に抗原結合部位を含むことはなく、ここで、抗原結合部位は、定常ドメインの1つ以上の構造ループ中の修飾、例えば、定常ドメインのAB、CD及び/又はEF構造ループ中の1つ以上の修飾を含む。
1つの例において、抗体分子は、CH3ドメインのAB、CD及びEF構造ループのそれぞれに位置する第1の配列、第2の配列、及び第3の配列を含むOX40抗原結合部位を含むことはなく、ここで、第1、第2、及び第3の配列は、以下に記載されるFcab FS20−22−49の第1、第2及び第3の配列である。
それに加えて、又はその代わりに、抗体分子は、以下に記載されるFcab FS20−22−49のCH3ドメインを含むことはない。
Fcab FS20−22−49 CH3ドメイン構造ループ配列
FS20−22−49 第1の配列−YWDQE
FS20−22−49 第2の配列−DEQFA
FS20−22−49 第3の配列−QYRWNPADY
Fcab FS20−22−49 CH3ドメイン配列
Figure 2021525546
抗体分子は、生物活性分子又は検出可能な標識にコンジュゲートされ得る。この場合、抗体分子は、コンジュゲートと呼ばれ得る。このようなコンジュゲートは、本明細書に記載される疾患の治療及び/又は診断に利用される。
例えば、生物活性分子は、サイトカイン、好ましくは、ヒトサイトカインなどの免疫系調節剤であり得る。例えば、サイトカインは、T細胞活性化及び/又は増殖を刺激するサイトカインであり得る。抗体分子へのコンジュゲーションのためのサイトカインの例としては、IL−2、IL−10、IL−12、IL−15、IL−21、GM−CSF及びIFN−γが挙げられる。
或いは、生物活性分子は、サイトカインのリガンドトラップ、例えばTGF−β又はIL−6のリガンドトラップなどのリガンドトラップであり得る。
抗体分子にコンジュゲートされ得る好適な検出可能な標識は、当該技術分野において公知であり、放射性同位体、例えば、ヨウ素−125、ヨウ素−131、イットリウム−90、インジウム−111及びテクネチウム−99;蛍光色素、例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、Texas Red及びシアニン色素誘導体、例えば、Cy7及びAlexa750;発色性色素、例えば、ジアミノベンジジン;ラテックスビーズ;酵素標識、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ;スペクトル的に分離された吸収若しくは発光特性を有する蛍光又はレーザー色素;及び特定の同種検出可能部分、例えば標識されたアビジンへの結合を介して検出され得る、ビオチンなどの化学部分が挙げられる。
抗体分子は、任意の好適な共有結合又は非共有結合、例えば、ジスルフィド又はペプチド結合によって、生物活性分子又は検出可能な標識にコンジュゲートされ得る。生物活性分子がサイトカインである場合、サイトカインは、ペプチドリンカーによって抗体分子に結合され得る。好適なペプチドリンカーは、当該技術分野において公知であり、5から25、5から20、5から15、10から25、10から20、又は10から15アミノ酸長であり得る。
ある実施形態において、生物活性分子は、切断可能なリンカーによって抗体分子にコンジュゲートされ得る。リンカーは、治療の部位における抗体分子からの生物活性分子の放出を可能にし得る。リンカーは、アミド結合(例えばペプチドリンカー)、ジスルフィド結合又はヒドラゾンを含み得る。ペプチドリンカーは、例えば部位特異的プロテアーゼによって切断され得、ジスルフィド結合は、サイトゾルの還元環境によって切断され得、ヒドラゾンは、酸媒介性加水分解によって切断され得る。
コンジュゲートは、抗体分子及び生物活性分子を含む融合タンパク質であり得る。この場合、生物活性分子は、ペプチドリンカー又はペプチド結合によって抗体分子にコンジュゲートされ得る。抗体分子が多連鎖分子である場合、例えば、抗体分子がFcabであるか若しくはそれを含むか又はmAb2である場合、生物活性分子は、抗体分子の1つ以上の鎖にコンジュゲートされ得る。例えば、生物活性分子は、mAb2分子の重鎖の一方又は両方にコンジュゲートされ得る。融合タンパク質は、産生及び精製するのが容易であるという利点を有し、臨床グレードの材料の製造を容易にする。
本発明はまた、本発明の抗体分子をコードする1つ又は複数の単離された核酸分子を提供する。当業者には、当該技術分野において周知の方法を用いて、このような核酸分子を調製するのに何の困難もない。
1つ又は複数の核酸分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16のVHドメイン及び/又はVLドメイン、好ましくは、VHドメイン及びVLドメインをコードし得る。これらの抗体のVH及びVLドメイン配列は、本明細書に記載される。
例えば、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37のVHドメインをコードする核酸分子は、配列番号53、27、43、59及び4のそれぞれに記載される。
抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37のVLドメインをコードする核酸分子は、配列番号49、49、49、70及び13のそれぞれに記載される。
好ましい実施形態において、核酸分子は、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37、好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、又はFS30−35−14、より好ましくは、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、又はFS30−10−12、最も好ましくは、抗体FS30−10−16の重鎖及び/又は軽鎖、好ましくは、重鎖及び軽鎖をコードする。これらの抗体の重鎖及び軽鎖配列は、本明細書に記載される。
例えば、抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37の重鎖をコードする核酸分子は、配列番号53、27、43、59及び4のそれぞれに記載される。
抗体FS30−10−16、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−35−14、又はFS30−5−37の軽鎖をコードする核酸分子は、配列番号49、49、49、71及び16のそれぞれに記載される。
核酸が、本発明の抗体分子のVH及びVLドメイン、又は重鎖及び軽鎖をコードする場合、2つのドメイン又は鎖は、2つの別個の核酸分子上でコードされ得る。
単離された核酸分子が、本発明の抗体分子を発現させるのに使用され得る。核酸は、一般に、発現のために組み換えベクターの形態で提供される。したがって、本発明の別の態様は、上述される核酸を含むベクターを提供する。必要に応じて、プロモータ配列、ターミネータ断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び他の配列を含む適切な制御配列を含有する好適なベクターが、選択又は構築され得る。好ましくは、ベクターは、宿主細胞内の核酸の発現を引き起こすために適切な制御配列を含有する。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、例えば、ファージ、又はファージミドであり得る。
本明細書に記載される核酸分子又はベクターは、宿主細胞中に導入され得る。宿主細胞中への核酸又はベクターの導入のための技術は、当該技術分野において十分に確立されており、任意の好適な技術が用いられ得る。組み換え抗体分子の産生に好適な様々な宿主細胞が、当該技術分野において公知であり、細菌、酵母、昆虫又は哺乳動物宿主細胞を含む。好ましい宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えばCHO、NS0、又はHEK細胞、例えばHEK293細胞である。
本発明の別の態様は、本発明の抗体分子を産生する方法であって、宿主細胞内で抗体分子をコードする核酸を発現させること、及び任意に、このように産生された抗体分子を単離及び/又は精製することを含む、方法を提供する。宿主細胞を培養するための方法は、当該技術分野において周知である。本方法は、抗体分子を単離及び/又は精製することをさらに含み得る。組み換え抗体分子の精製のための技術は、当該技術分野において周知であり、例えばプロテインA又はプロテインLを用いた、例えばHPLC、FPLC又はアフィニティークロマトグラフィーを含む。ある実施形態において、精製は、抗体分子上でアフィニティータグを用いて行われ得る。本方法は、任意に、薬学的に許容される賦形剤又は後述される他の物質を用いて、抗体分子を医薬組成物へと製剤化することも含み得る。
上記に説明されるように、CD137は、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、Treg細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、及び腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、免疫系の細胞において発現される。特に、CD137の活性化は、CD8+ T細胞の増殖、生存及び細胞傷害性エフェクター機能、並びにCD8+ T細胞の分化及びメモリーCD8+ T細胞の維持を促進するのに役割を果たすことが示された。CD137は、CD8+ T細胞よりCD4+ T細胞において低いレベルで発現されるが、CD4+ T細胞のいくつかのサブセットの増殖及び活性化を誘発するのに関与していることも示されている。CD137の活性化はまた、NK細胞媒介性ADCC、並びにB細胞増殖、生存及びサイトカイン産生を促進することも実証されている。
CD137の活性を促進する免疫応答を考慮して、CD137アゴニスト分子は、癌治療、並びに慢性感染症の治療に関して調査されている。
したがって、本明細書に記載される抗体分子は、治療用途、特に、癌の治療に有用であり得る。さらに、抗体分子は、持続性感染症などの感染症の治療に有用であると予想される。
本明細書に記載される抗体分子は、ヒト又は動物身体の治療の方法に使用され得る。本発明の関連する態様は、以下を提供する;
(i)薬剤として使用するための本明細書に記載される抗体分子、
(ii)疾患又は障害の治療の方法に使用するための本明細書に記載される抗体分子、
(iii)疾患又は障害の治療に使用するための薬剤の製造における、本明細書に記載される抗体分子の使用;及び
(iv)個体における疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に記載される抗体分子を個体に投与することを含む、方法。
個体は、患者、好ましくは、ヒト患者であり得る。
治療は、ある所望の治療効果が達成される任意の治療又は治療法、例えば、病態の進行の阻害又は遅延であり得、進行速度の低下、進行速度の停止、病態の改善、病態の治癒若しくは緩和(部分的か若しくは全体的かにかかわらず)、病態の1つ以上の症状及び/又は兆候を予防、改善、遅延、低減若しくは停止するか、又は個体若しくは患者の生存期間を、治療しない場合に予想される生存期間を超えて延長することを含む。
予防的措置(すなわち予防)としての治療も含まれる。例えば、癌などの疾患の発症又は再発を起こしやすい又はそのリスクがある個体が、本明細書に記載されるように治療され得る。このような治療は、個体における疾患の発症又は再発を予防するか又は遅延させ得る。
本明細書に記載される治療の方法は、抗体分子に加えて、少なくとも1つのさらなる治療を個体に投与することを含み得る。したがって、本明細書に記載される抗体分子は、単独で又は1つ以上の他の治療と組み合わせて、個体に投与され得る。抗体分子が、別の治療と組み合わせて個体に投与される場合、さらなる治療は、抗体分子の投与と同時に、投与と連続して、又は投与と別々に、個体に投与され得る。さらなる治療が、抗体分子と同時に投与される場合、抗体分子及びさらなる治療は、複合製剤として個体に投与され得る。例えば、さらなる治療法は、治療される疾患のための公知の治療法又は治療剤であり得る。
抗体分子は、単独で投与され得るが、抗体分子は、通常、抗体分子に加えて少なくとも1つの成分を含み得る医薬組成物の形態で投与されるであろう。したがって、本発明の別の態様は、本明細書に記載される抗体分子を含む医薬組成物を提供する。抗体分子を医薬組成物へと製剤化することを含む方法も提供される。
医薬組成物は、抗体分子に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤又は当業者に周知の他の材料を含み得る。本明細書において使用される際の「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わずに、妥当なリスク・ベネフィット比に見合う、対象(例えば、ヒト)の組織と接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形に関する。各担体、賦形剤などはまた、製剤の他の成分と適合するという意味で「許容され」なければならない。担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路に依存し、投与経路は、後述されるように、注入、注射又は任意の他の好適な経路によるものであり得る。
例えば注射による、非経口、例えば皮下又は静脈内投与のため、抗体分子を含む医薬組成物は、パイロジェンフリーであり、且つ好適なpH、等張性及び安定性を有する非経口で許容される水溶液の形態であり得る。当業者は、例えば、等張ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ラクトリンゲル注射液を用いて好適な溶液を調製することが十分にできる。緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸及び他の有機酸;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸及びメチオニン;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル若しくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3’−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン;単糖類、二糖類及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含む他の糖質;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えばZn−タンパク質複合体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)を含む、保存剤、安定剤、緩衝液、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が、必要に応じて用いられ得る。
ある実施形態において、抗体分子は、投与前に再構成のために凍結乾燥形態で提供され得る。例えば、凍結乾燥された抗体分子は、滅菌水で再構成され、個体への投与前に生理食塩水と混合され得る。
投与は、「治療有効量」であり得、これは、個体への利益を示すのに十分なものである。投与される実際の量、並びに投与の速度及び時間的経過は、治療されるものの性質及び重症度、治療される特定の個体、個体の臨床症状、障害の原因、組成物の送達の部位、抗体分子のタイプ、投与の方法、投与のスケジューリング及び医師に公知の他の要因に依存する。治療の処方、例えば、投与量に関する決定などは、一般医師及び他の医師の責任に含まれ、症状の重症度及び/又は治療される疾患の進行に依存し得る。抗体分子の適切な用量は、当該技術分野において周知である(Ledermann et al.,1991;Bagshawe et al.,1991)。本明細書に、又は投与される抗体分子について適切な場合the Physician’s Desk Reference(2003)に示される特定の投与量が使用され得る。抗体分子の治療有効量又は好適な用量は、動物モデルにおけるインビトロ活性及びインビボ活性を比較することによって決定され得る。マウス及び他の試験動物における有効な投与量をヒトに当てはめるための方法は公知である。正確な用量は、治療される部位のサイズ及び位置がどうであるか、並びに抗体分子の正確な性質を含むいくつかの要因に依存する。
典型的な抗体用量は、全身適用では100μgから1gの範囲であり、局所適用では1μgから1mgの範囲である。初期のより多い負荷用量、その後、1回以上のより少ない用量が投与され得る。これは、成人個体の単回の治療のための用量であり、これは、小児及び幼児のために比例的に調整され得、また、分子量に比例して他の抗体フォーマットのために調整され得る。
治療は、医師の判断で、毎日、週に2回、1週間又は1か月間隔で繰り返され得る。個体のための治療スケジュールは、抗体組成物の薬物動態及び薬力学的特性、投与経路及び治療される病態の性質に依存し得る。
治療は、定期的であってもよく、投与間の期間は、約2週間以上、例えば約3週間以上、約4週間以上、1か月以上で約1回、約5週間以上、又は約6週間以上であり得る。例えば、治療は、2から4週間毎又は4から8週間毎であり得る。好適な製剤及び投与の経路は、上述されている。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子は、癌を治療する方法に使用するためのものであり得る。
癌は、悪性癌細胞の異常増殖によって特徴付けられ得る。乳癌などの特定のタイプの癌が言及される場合、これは、乳房組織などの関連する組織の悪性細胞の異常増殖を指す。乳房に位置するが、卵巣組織などの別の組織の悪性細胞の異常増殖の結果である二次癌は、本明細書において言及される際、乳癌ではなく、卵巣癌である。
癌は、原発性癌又は二次癌であり得る。したがって、本明細書に記載される抗体分子は、個体における癌を治療する方法に使用するためのものであり得、ここで、癌は、原発性腫瘍及び/又は腫瘍転移である。
本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される癌の腫瘍は、例えばそれらの細胞表面において、CD137を発現するTILを含み得る。一実施形態において、腫瘍は、CD137を発現するTILを含むことが決定されている場合がある。細胞表面における抗原の発現を決定するための方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、フローサイトメトリーを含む。
例えば、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される癌は、白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び慢性リンパ球性白血病(CLL);リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫;並びに固形癌、例えば、肉腫(例えば軟組織肉腫)、皮膚癌(例えばメルケル細胞癌)、黒色腫、膀胱癌(例えば尿路上皮癌)、脳腫瘍(例えば多形性膠芽腫)、乳癌、子宮/子宮内膜癌、卵巣癌(例えば卵巣漿液性嚢胞腺腫)、前立腺癌、肺癌(例えば非小細胞肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌(SCLC)、結腸直腸癌(例えば結腸直腸腺癌)、子宮頸癌(例えば子宮頸部扁平上皮細胞癌及び子宮頚部腺癌)、肝臓癌(例えば肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌)、食道癌、膵臓癌、腎臓癌(例えば腎細胞癌)、副腎癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、精巣癌、胆嚢及び胆道の癌(例えば胆管癌)、甲状腺癌、胸腺癌、骨肉腫、及び脳腫瘍からなる群から選択され得る。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される癌は、固形癌である。より好ましくは、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される癌は、肉腫、黒色腫、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、卵巣癌、子宮癌/子宮内膜癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、肝臓癌、頭頸部癌、膵臓癌、腎臓癌及び胃癌からなる群から選択され得る固形癌である。
癌に関して、治療は、完全な癌の寛解を含む、癌成長を阻害すること、及び/又は癌転移を阻害すること、並びに癌の再発を阻害することを含み得る。癌成長は、一般に、より発達した形態への癌内の変化を示すいくつかの指標のいずれか1つを指す。したがって、癌成長の阻害を測定するための指標としては、癌細胞生存の減少、腫瘍体積若しくは形態の減少(例えば、コンピューター断層撮影(CT)、超音波検査、若しくは他のイメージング方法を用いて決定される際)、遅延した腫瘍成長、腫瘍血管系の破壊、遅延型過敏症皮膚試験の改善した成績、抗癌免疫細胞若しくは他の抗癌免疫応答の活性の増加、及び腫瘍特異的抗原のレベルの低下が挙げられる。個体における癌性腫瘍に対する免疫応答を活性化又は促進することは、癌成長、特に、対象中に既に存在する癌の成長に抵抗し、及び/又は個体における癌成長の傾向を低下させる個体の能力を向上させ得る。
癌治療に関して、本明細書に記載される抗体分子は、当該癌の治療のために、好適であることが示されているか、又は好適であると予想される抗癌治療法又は治療剤などの別の抗癌治療法又は治療剤と組み合わせて、個体に投与され得る。例えば、抗体分子は、化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、抗腫瘍ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、養子細胞移植(ACT)療法(養子NK細胞療法など又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞、自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、若しくはγ/δ T細胞を用いた治療法、又はホルモン療法のための薬剤と組み合わせて、個体に投与され得る。
理論に制約されるのを望むものではないが、本明細書に記載される抗体分子は、抗癌治療法において補助剤として働き得ると考えられる。具体的には、化学療法及び/又は放射線療法と組み合わせた、又は抗腫瘍ワクチンと組み合わせた、個体への抗体分子の投与は、例えば、化学療法及び/又は放射線療法で、又は抗腫瘍ワクチン単独で達成されるより大きな、癌に対する免疫応答を引き起こすと考えられる。
本明細書に記載される抗体分子と組み合わせた投与のための1つ以上の化学療法剤は、タキサン、細胞傷害性抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、PARP阻害剤、B−Raf酵素阻害剤、MEK阻害剤、c−MET阻害剤、VEGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、アルキル化剤、白金類似体、ヌクレオシド類似体、抗葉酸剤、サリドマイド誘導体、抗腫瘍性化学療法剤及びその他からなる群から選択され得る。タキサンとしては、ドセタキセル、パクリタキセル及びnab−パクリタキセルが挙げられ;細胞傷害性抗生物質としては、アクチノマイシン、ブレオマイシン、及びアントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、ミトキサントロン及びバルルビシンが挙げられ;チロシンキナーゼ阻害剤としては、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アキシチニブ、PLX3397、イマチニブ、コビメチニブ(cobemitinib)及びトラメチニブが挙げられ;PARP阻害剤としては、ニラパリブ(piraparib)が挙げられ;B−Raf酵素阻害剤としては、ベムラフェニブ及びダブラフェニブが挙げられ;アルキル化剤としては、ダカルバジン、シクロホスファミド及びテモゾロミドが挙げられ;白金類似体としては、カルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンが挙げられ;ヌクレオシド類似体としては、アザシチジン、カペシタビン、フルダラビン、フルオロウラシル及びゲムシタビンが挙げられ;抗葉酸剤としては、メトトレキサート及びペメトレキセドが挙げられる。本発明において使用するのに好適な他の化学療法剤としては、デファクチニブ、エンチノスタット、エリブリン、イリノテカン及びビンブラスチンが挙げられる。
本明細書に記載される抗体分子とともに投与するための好ましい治療剤は、ドキソルビシン、ミトキサントロン、シクロホスファミド、シスプラチン、及びオキサリプラチンである。
本明細書に記載される抗体分子と組み合わせた投与のための放射線療法は、外照射放射線療法又は近接照射療法であり得る。
本明細書に記載される抗体分子と組み合わせた投与のための免疫療法剤は、治療用抗体分子、核酸サイトカイン、又はサイトカインベースの治療法であり得る。例えば、治療用抗体分子は、免疫調節分子、例えば阻害性チェックポイント分子若しくは免疫共刺激分子、自然免疫系の受容体又は腫瘍抗原、例えば細胞表面腫瘍抗原若しくは可溶性腫瘍抗原に結合し得る。治療用抗体分子が結合し得る免疫調節分子の例としては、CTLA−4、LAG−3、TIGIT、TIM−3、VISTA、PD−L1、PD−1、CD47、CD73、CSF−1R、KIR、OX40、CD40、HVEM、IL−10及びCSF−1が挙げられる。治療用抗体分子が結合し得る自然免疫系の受容体の例としては、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR7、TLR9、RIG−I様受容体(例えばRIG−I及びMDA−5)、及びSTINGが挙げられる。治療用抗体分子が結合し得る腫瘍抗原の例としては、HER2、EGFR、CD20及びTGF−βが挙げられる。
本明細書に記載される抗体分子と組み合わせた投与のための核酸は、siRNAであり得る。
サイトカイン又はサイトカインベースの治療法は、IL−2、コンジュゲートされたIL−2のプロドラッグ、GM−CSF、IL−7、IL−12、IL−9、IL−15、IL−18、IL−21、及びI型インターフェロンからなる群から選択され得る。
癌の治療のための抗腫瘍ワクチンは、臨床において実現されており、且つ科学文献(Rosenberg, 2000など)中で詳細に説明されている。これは、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)とともに又はそれを伴わずに、ワクチン接種法として自己又は同種異系癌細胞を使用することによって、それらの細胞によって発現される様々な細胞マーカーに応答するように免疫系を促す手法を主に必要とする。GM−CSFは、前記手法により用いられるとき、抗原提示において強い応答を引き起こし、特によく機能する。
化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、抗腫瘍ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、ACT療法、又はホルモン療法のための薬剤は、好ましくは、当該癌のための、化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、抗腫瘍ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、ACT療法、又はホルモン療法のための薬剤、すなわち、当該癌の治療に有効であることが示されている、化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、抗腫瘍ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、ACT療法、又はホルモン療法のための薬剤である。当該癌に有効であることが示されている、好適な化学療法剤、放射線療法、免疫療法剤、抗腫瘍ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、ACT療法、又はホルモン療法のための薬剤の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。
CD137の活性を促進する免疫応答を考慮して、CD137アゴニスト分子は、感染症の治療に利用されると予想される。したがって、別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子は、急性又は持続性感染症などの感染症を治療する方法に使用するためのものであり得る。
理論に制約されるのを望むものではないが、CD137アゴニスト分子は、好中球及び単球などの自然免疫細胞の急速浸透及び活性化を誘発し、それによって、急性感染症の原因となる病原体の除去を促進することによって、病原体によって引き起こされる急性感染症に対する免疫応答を促進し得ると考えられる。したがって、さらなる実施形態において、本明細書に記載される抗体分子は、急性細菌性疾患などの急性感染症を治療する方法において使用するためのものであり得る。好ましい実施形態において、急性感染症は、リステリア属(Listeria)の細菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などのグラム陽性菌による感染によって引き起こされる急性細菌性疾患である。
感染症は、通常、免疫系によって除去されるが、一部の感染症は、数か月又は数年などの長期間にわたって持続し、免疫系によって効果的に食い止められない。このような感染症は、持続性又は慢性感染症とも呼ばれる。
好ましくは、本明細書に記載される抗体分子は、持続性感染症、例えば、持続性ウイルス、細菌、真菌又は寄生虫感染、好ましくは、持続性ウイルス又は細菌感染を治療するのに使用される。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される持続性ウイルス感染は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、又は水痘帯状疱疹ウイルスの持続性感染症である。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される持続性細菌感染は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Hemophilus influenza)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae)、チフス菌(Salmonella typhi)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、エンテロコッカスフェカーリス(Enterococcus faecalis)、又は肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)の持続性感染症である。
CD137アゴニズムは、グラム陽性菌による感染症の治療に関して有益であることが記載されている。したがって、好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される持続性細菌感染は、グラム陽性菌による持続性感染症である。より好ましい実施形態において、持続性細菌感染は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、らい菌(Mycobacterium leprae)、エンテロコッカスフェカーリス(Enterococcus faecalis)、及び肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)からなる群から選択されるグラム陽性菌による持続性感染症である。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される持続性真菌感染は、カンジダ属(Candida)(例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans))、クリプトコッカス属(Cryptococcus)(例えばクリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)若しくはクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans))、タラロマイセス属(Talaromyces)(ペニシリウム属(Penicillium))(例えばタラロマイセス・マルネッフェイ(Talaromyces marneffe))、ミクロスポルム属(Microsporum)(例えばミクロスポルム・オーズアニー(Microsporum audouinii))、又はトリコフィトン・トンズランス(Trichophyton tonsurans)の持続性感染症である。
好ましい実施形態において、本明細書に記載される抗体分子を用いて治療される持続性寄生虫感染は、プラスモジウム属(Plasmodium)、例えば、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、又はリーシュマニア属(Leishmania)、例えば、ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani)の持続性感染症である。
持続性感染症の治療に関して、抗体分子は、当該病原体の治療のために、好適であることが示されているか、又は好適であると予想される第2の治療法又は治療剤と組み合わせて、個体に投与され得る。例えば、抗体分子は、免疫療法剤と組み合わせて個体に投与され得る。本明細書に記載される抗体分子と組み合わせた投与のための免疫療法剤は、治療用抗体分子であり得る。例えば、治療用抗体分子は、自然免疫系の受容体に結合し得る。治療用抗体分子が結合し得る自然免疫系の受容体の例としては、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR7、TLR9、RIG−I様受容体(例えばRIG−I及びMDA−5)、及びSTINGが挙げられる。
抗体分子が、感染症を予防するのに使用される場合、抗体分子は、当該病原体に対するワクチンと組み合わせて投与され得る。理論に制約されるのを望むものではないが、本明細書に記載される抗体分子が、ワクチン接種において補助剤として働き得ると考えられる。具体的には、ワクチンと組み合わせた、個体への抗体分子の投与は、ワクチン単独で達成されるより大きな、病原体に対する免疫応答を引き起こすと考えられる。
持続性感染症の治療に関して、治療は、感染症を取り除くこと、個体の病原性負荷を低減すること、感染症の再発を防止することを含み得る。例えば、治療は、持続性感染症の1つ以上の症状及び/又は兆候を予防、改善、遅延、抑制又は停止することを含み得る。或いは、治療は、感染症を予防することを含み得る。
本発明の抗体分子は、CD137の検出、特に、細胞表面にCD137を含む細胞、すなわち、細胞表面に結合されたCD137を発現する細胞の検出に有用であり得る。細胞は、免疫細胞、例えば、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、Treg細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、又はTILであり得るが、好ましくは、CD8+ T細胞又はTILである。
したがって、本発明は、試料におけるCD137の存在、好ましくは、細胞表面にCD137を含む細胞の存在を検出するための、抗体分子の使用に関する。抗体分子は、本明細書の他の箇所に記載される検出可能な標識にコンジュゲートされ得る。
CD137を検出するインビトロ方法も提供され、この方法は、抗体分子を、対象とする試料とともにインキュベートすること、及び試料への抗体分子の結合を検出することを含み、ここで、試料への抗体の結合は、CD137の存在を示す。試料への抗体分子の結合は、例えばELISAを用いて検出され得る。
好ましい実施形態において、本発明は、細胞表面にCD137を含む細胞を検出するインビトロ方法に関し、この方法は、抗体分子を、対象とする細胞試料とともにインキュベートすること、及び試料中に存在する細胞への抗体分子の結合を決定することを含み、ここで、試料中に存在する細胞への抗体の結合は、細胞表面にCD137を含む細胞の存在を示す。細胞への抗体分子の結合を検出するための方法は、当該技術分野において公知であり、ELISA、及びフローサイトメトリーを含む。
対象とする細胞試料は、例えば、個体から得られた腫瘍試料であり得る。腫瘍試料における細胞表面にCD137を含む、TILなどの細胞の検出は、腫瘍が、活性化されたTILを含むことを示し得る。
したがって、本発明の抗体分子は、疾患又は障害の検出又は診断、特に、癌の検出又は診断に有用であり得る。癌は、本明細書に記載される本発明の抗体分子で治療され得る癌であり得る。
したがって、本発明の関連する態様は、
(i)診断薬として使用するための本明細書に記載される抗体分子、
(ii)癌などの疾患又は障害を検出又は診断する方法に使用するための本明細書に記載される抗体分子、
(iii)疾患又は障害の検出又は診断に使用するための診断薬の製造における、本明細書に記載される抗体分子の使用;
(iv)個体における疾患又は障害を検出又は診断する方法;及び
(v)個体における疾患又は障害を検出又は診断する方法に使用するためのキットであって、本明細書に記載される抗体分子を含む、キット
を提供する。
本開示が以下の実験の例示を含むことを考えると、本発明のさらなる態様及び実施形態が、当業者に明らかであろう。
本明細書において言及される全ての文献は、全体が参照により本明細書に援用される。
本明細書において使用される際の「及び/又は」は、他のものを伴うか又は伴わない、2つの規定の特徴又は成分のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、それぞれが本明細書に個々に記載されているかのように、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、上記に記載される特徴の説明及び定義は、本発明のいずれかの特定の態様又は実施形態に限定されず、記載される全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
本発明の他の態様及び実施形態は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「からなる」又は「から本質的になる」という用語によって置き換えられる「を含む」という用語を用いて上述される態様及び実施形態を提供する。
本発明の特定の態様及び実施形態は、例として及び上述される図を参照して例示される。
実施例
実施例1−ヒト及びカニクイザルCD137抗原の産生、特徴付け及び選択
活性化T細胞は、それらの細胞表面においてCD137受容体を発現する。CD137受容体のクラスター化は、受容体シグナル伝達及びさらなるT細胞活性化を誘発するのに不可欠であることが知られている(Chester et al.,2018)。架橋時に、CD137受容体クラスター化及びその後のT細胞活性化を誘発する一方、架橋の非存在下でT細胞活性化を示さないか又は弱いT細胞活性化を示すモノクローナル抗体を単離することが望ましいであろう。この目的を達成するために、本発明者らは、抗CD137mAbは、細胞表面において発現される際、モノマーCD137に結合するはずであるが、二量体CD137抗原及びCD137を過剰発現する細胞によって模倣される、高レベルのCD137への優先的な結合を必要とする可能性があると仮説を立てた。したがって、組み換えモノマー及び二量体CD137、並びに細胞表面で発現されるCD137を、選択に使用するために産生した。
1.1 組み換え抗原
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーは、それらの同種リガンドに結合される場合に一緒にクラスター化する多量体を形成する傾向が知られている(Croft,2003)。それらの機能性のために集合するこの傾向により、ファージディスプレイなどのインビトロ選択に使用するため、並びに選択されたタンパク質の特徴付けのために溶液中に集合しない可溶性組み換えタンパク質を産生することが困難になる。
いくつかの市販の組み換え抗原は、存在する凝集体のレベルのため、選択に使用するのに適していないと見なされたため、以下の組み換えモノマー及び二量体CD137抗原(表1を参照)を、抗CD137 mAbの選択、スクリーニング及びさらなる特徴付けに使用するために社内で産生した。
Figure 2021525546
ヒトCD137の細胞外ドメインをコードするDNAを、Avi配列及び6つのC末端ヒスチジン残基とともに、EcoRI−HF及びBamHI−HF制限酵素を用いて、修飾されたpFUSEベクター(Invivogen、カタログ番号pfuse−mg2afc2)へとクローニングすることによって、ヒトCD137(配列番号112)の細胞外ドメインを含むモノマーヒトCD137抗原を産生した。ベクターを、HEK293−6E細胞(National Research Council of Canada)へとトランスフェクトし、発現されたCD137を、HisTrap(商標)エクセルニッケルカラム(GE Healthcare、29048586)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて精製して、抗原が単一の種であり、且つ集合体を含まないことを確実にした。
二量体抗原を産生するために、Avi配列とともにmIgG2a Fcドメインと融合されたヒトCD137(配列番号112)、カニクイザル(cyno)CD137(配列番号113)又はマウスCD137(配列番号114)の細胞外ドメインをコードするDNA構築物を、修飾されたpFUSEベクターへとクローニングし、HEK293−6E細胞へとトランスフェクトした。組み換えCD137を、MabSelect SuRe(商標)プロテインAカラム(GE Healthcare、11003494)及びSECを用いて精製して、抗原が単一の種であり、且つ集合体を含まないことを確実にした。
二量体及びモノマー抗原のそれぞれのビオチン化形態を、BirAビオチン−ビオチンタンパク質リガーゼ反応キット(Avidity LLC、BirA500)を用いて調製して、単一のビオチン分子で標識されたモノマーCD137抗原、及び2つのモノマーのそれぞれに1つずつ、2つのビオチン分子で標識された二量体CD137抗原を産生した。3mgの抗原を、1:50の酵素対基質のモル比になるまで、7.8μlのBirA酵素ミックスと混合した。次に、添加剤を、製造業者の推奨(142μlのBiomix A、142μlのBiomix B、142μlのビオチン)に従って加え、反応ミックスを室温で2時間インキュベートした。ビオチン化タンパク質の完全性を維持するために、反応ミックスを、直ぐに、Amicon 30μmフィルタ(Merck Millipore、UFC503096)を用いてDPBS(Life Technologies、14190−169)に緩衝液交換した。
タンパク質を、SECによってさらに精製して、BirA酵素の除去、及び高分子量の集合体を含まない最終的な高品質単分散タンパク質製剤の産生を確実にした。さらに詳細に、同じ生産ロットからの材料を、一緒に混合し、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、及びサイズ排除クロマトグラフィー/多角度光散乱(SEC−MALS)によって、安定性及び純度について分析した。タンパク質の完全なビオチン化を、ストレプトアビジンシフトSDS−PAGEゲルにおいて確認した。組み換えヒト及びマウス抗原は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって抗CD137陽性対照抗体(それぞれ、20H4.9(米国特許第7288638号)及びLob12.3(University of Southampton))にインビトロで結合すること、並びにフローサイトメトリーによって、ヒト又はマウスCD137リガンドを発現するDO11.10細胞に結合することが確認された。細胞を、1時間にわたってCD137抗原とともにインキュベートし、次に、蛍光標識された抗マウスFc断片抗体を用いて、細胞結合を検出した。組み換えカニクイザルCD137抗原は、上述されるようにフローサイトメトリーによって、カニクイザルCD137リガンドを発現するDO11.10細胞(National Jewish Health)に結合することが確認された。選択プロトコルに使用される材料についてできる限り高い純度を確実にするために、抗原の徹底的なタンパク質特徴付けを行って、タンパク質凝集体のパーセンテージが確実に2%を超えないようにした。
1.2 細胞表面で発現される抗原
完全長ヒトCD137(配列番号119)又はカニクイザルCD137(配列番号120)を発現するDO11.10細胞(National Jewish Health)(それぞれ、「DO11.10−hCD137」及び「DO11.10−cCD137」と示される)(表2を参照)を、選択された抗CD137 mAbの選択及びさらなる特徴付けのために、その天然形態に最も類似した膜結合構造で抗原を表すために産生した。
Lenti-X HTX Packaging System(Clontech、631249)を用いてヒト又はカニクイザルCD137受容体を過剰発現するDO11.10細胞を生成するのに、レンチウイルス形質導入を使用した。完全長ヒトCD137又はカニクイザルCD137をコードするDNAを含有するLenti-X発現ベクター(pLVX)(Clontech、631253)を、Lenti-X HTX Packaging Mixとともに、Lenti-X 293T細胞株(Clontech、632180)へと共トランスフェクトして、ウイルスを生成した。次に、DO11.10細胞株に、これらのレンチウイルスベクターを形質導入した。
これらの細胞におけるヒトCD137又はカニクイザルCD137の発現を、フローサイトメトリーを用いて、細胞への、20H4.9及びMOR7480.1(米国特許出願公開第2012/0237498号)陽性対照抗体のそれぞれの結合によって確認した。細胞を、1時間にわたってヒト又はカニクイザル陽性対照抗体とともにインキュベートし、次に、蛍光標識された抗ヒトFc検出抗体(Stratech Scientific Ltd、109−546−098−JIR)を用いて、細胞結合を検出した。
Figure 2021525546
実施例2−抗CD137抗体を同定するためのファージミドライブラリーの選択及びスクリーニング
2.1 抗CD137クローンの選択、スクリーニング及び発現
CDR1、CDR2及びCDR3におけるランダム化を伴うヒト生殖細胞系列のFabドメインを示す合成ナイーブファージミドライブラリー(MSM Technologies)を、実施例1に記載される組み換えCD137抗原及び細胞表面で発現されるCD137抗原を用いた選択に使用した。
Fabライブラリーを、ストレプトアビジンDynabeads(Thermo Fisher Scientific、11205D)及びDynabeadsに結合されたニュートラアビジン結合タンパク質(Thermo Fisher Scientific、31000)を用いて3回選択して、ビオチン化ヒトCD137−mFc−Avi又はヒトCD137−His−Aviに結合されたファージを単離した。並列選択法において、細胞表面で発現されるCD137へのFab結合を確実にするために、組み換えCD137抗原を用いた選択からの1回目の出力を、DO11.10−hCD137細胞を用いたさらに2回の選択及びDO11.10−cCD137細胞を用いた4回目の選択に供した。
簡潔に述べると、1×107個のDO11.10対照細胞又は5×106個のDO11.10−CD137細胞を、1×PBS+20%のウシ胎仔血清(FBS)で2回洗浄し、続いて、4℃で1時間にわたって4mlの1×PMF(1×PBS、4%のMarvel粉乳、20%のFBS)でブロックした。1回目の出力からのファージを、4℃で1時間にわたってブロッキング溶液(2mlの1×PMF)中でブロックした。非関連細胞表面タンパク質に対する結合剤を回避するために、DO11.10細胞のブロッキング溶液を除去し、4℃で1時間にわたって、ブロックされたファージを加えることによって、除外を行った。遠心分離の後、ファージを、DO11.10除外細胞から除去し、4℃で1時間にわたって、ブロックされたDO11.10−CD137選択細胞に加えた。次に、細胞をペレット化し、第1の洗浄の間にチューブを交換しながら、1%のBSAを含有する5mlのPBSで3回洗浄した。ファージを、室温で15分間にわたって300μlの1mg/mlのトリプシンとともにインキュベートすることによって、細胞から溶離した。
3及び4回目の出力からの約2200個のクローンを、ヒト及びカニクイザルCD137−mFc−Aviへの結合についてファージELISAによってスクリーニングした。ビオチン化mFcが、陰性対照として含まれていた。陽性クローン(mFcへの結合シグナルより少なくとも4倍高いCD137結合シグナルを有するクローン)の可変領域をシーケンシングして、それにより、36個の固有のVH/VL配列の組合せが同定された。同定された配列は、両方の選択手法から、すなわち、全ての回の選択において組み換えCD137抗原を用いて、又は1回目に組み換えCD137抗原、続いてその後の回に細胞表面で発現されるCD137抗原を用いて得られ、いくつかのクローンが、両方の選択手法を介して単離された。ファージELISAに基づいて、36個のうち22個のクローンがカニクイザル(cyno)交差反応性であったが、ファージELISAの感受性が、弱いカニクイザル交差反応性結合剤を検出するのに十分でなかった可能性があるため、36個全てのクローンを、IgG1分子へ再フォーマットするために進めた。各クローンについて、VH及びVLドメインを、CH1、CH2(CH2ドメイン中にLALA突然変異を有する(Bruhns et al.,2009;Hezareh et al.,2001)及びCH3ドメイン、又はCLドメインのいずれかをそれぞれ含有するpTT5発現ベクター(National Research Council of Canada)へと個別にクローニングした。LALA突然変異(AA)を有する得られたpTT5−FS30 VH及びpTT5−FS30 VLベクターを、HEK293−6E細胞へと一過性に共トランスフェクトした。28個のクローンが、可溶性IgG1分子として発現された。これらを、MabSelect SuReプロテインAカラム(GE Healthcare)によって精製し、後述されるようにさらなる試験に供した。
2.2 ヒト及びカニクイザルCD137へのmAbの結合
抗CD137 mAbの結合を、ヒト及びカニクイザルCD137−mFc−Aviを用いて、ELISAにおいて分析した。
簡潔に述べると、ストレプトアビジン(Thermo Scientific、15500)プレートを、10nMの組み換えビオチン化hCD137−mFc−Avi、cCD137−mFc−Avi又はヒトOX40−mFc(社内で産生され、ヒトOX40の細胞外ドメインを含み、そのアミノ酸配列が、配列番号116に記載される)、mFc−Avi(社内で産生された;配列番号115)又は陰性対照としての1×PBSで、4℃で一晩被覆した。翌日、プレートを、PBS中で3回洗浄し、続いて、室温で2時間にわたって、2%のTweenを含有する300μlのPBSでブロックした。ブロッキング溶液を廃棄し、抗CD137 mAb濃度の希釈系列(0.1から300nM、3倍希釈物)を加え、450rpmで振とうしながら室温で1時間インキュベートした。プレートを、300μlのPBS/Tween0.05%で3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma、A0170)にコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG(Fc断片)抗体を、PBS中で1:10000に希釈し、90μlをウェルに加えた。450rpmで振とうしながらの4℃で1時間にわたるインキュベーションの後、プレートを、300μlのPBS/Tween0.05%で3回洗浄した。100μlのTMB基質(eBioscience、00−4201−56)を各ウェルに加えた。反応を、50μlの1Mの硫酸溶液の添加によって、TMBの添加の2〜10分後に停止させた。光学密度(OD)を、硫酸添加の30分以内に96ウェルプレートリーダーにおいて450〜630nmで読み取り、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.)を用いて分析した。
試験される28個のクローンのうち、10個が、ヒトCD137−mFc−Aviへの用量依存性結合を示し、ヒトOX40−mFc−Avi、mFc又はストレプトアビジンへの結合を示さなかった。この群の中で、4つのクローン、FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16が、カニクイザルCD137−mFc−Aviに対して交差反応性であった。カニクイザル交差反応性は、抗体の前臨床開発中のカニクイザルにおける投与及び安全性試験を可能にするために必要とされる。得られたカニクイザル交差反応性クローンの数が少ないため、さらなるクローンをスクリーニングし、実施例2.1に記載されるように発現させた。これにより、1つのさらなるヒト/カニクイザル交差反応性結合剤FS30−35が単離された。FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16を、まず、mAbフォーマットにおいて特徴付けしたが(実施例2.3から2.4を参照)、FS30−35を、mAb2フォーマットのみにおいて特徴付けした(実施例3以降を参照)。
2.3 細胞結合
抗ヒトCD137 mAb FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16を、フローサイトメトリーを用いて、ヒト又はカニクイザルCD137(DO11.10−hCD137又はDO11.10−cCD137)を発現する細胞への結合について試験した。非特異的結合も、CD137発現を欠くDO11.10細胞及びHEK293細胞への結合を試験することによって評価した。結合親和性を、2つの陽性対照抗CD137 mAb、MOR7480.1(実施例1.2を参照及び20H4.9(米国特許第7288638号)の結合親和性と比較し、その可変ドメインをクローニングし、CH2ドメイン中にLALA突然変異を含むヒトIgG1フォーマット(G1AAフォーマット)において発現させて、抗体G1AA/MOR7480.1及びG1AA/20H4.9を得た。
簡潔に述べると、DO11.10、HEK293、DO11.10−hCD137又はDO11.10−cCD137懸濁液を、2%のBSA(Sigma、A7906)を含有するPBS中で調製し、V底96ウェルプレート(Costar、3897)において50μl/ウェルで、4×106個の細胞/mlで播種した。mAb希釈物(1.10−6〜100nM、10倍希釈物)を、1×DPBS(Gibco、14190−094)において3連で、2×最終濃度で調製した。50μlのFS30−5、FS30−10、FS30−15又はFS30−16 mAb又は対照mAb(G1AA/MOR7480.1又はG1AA/20H4.9)を、別個の細胞(最終体積100μl)に加え、1時間にわたって4℃でインキュベートした。細胞を、PBS中で1回洗浄し、次に、2%のBSAを含有するPBS中で1:1000に希釈された100μl/ウェルの二次抗体(抗ヒトFc−488抗体、Jackson Immunoresearch、109−546−098)を加え、暗所で、4℃で30分間にわたってインキュベートした。細胞を、PBS中で1回洗浄し、1μg/mlでDAPI(Biotium、40043)を含有する100μlのPBS中で再懸濁させた。細胞を、Canto IIフローサイトメーター(BD Bioscience)を用いて分析した。死細胞を取り除き、FITCチャネルにおける蛍光(488nm/530/30)を測定した。幾何平均蛍光強度(GMFI)値を、抗体のlog濃度に対してプロットし、得られた曲線を、GraphPad Prismにおいてlog(アゴニスト)対応答の式を用いてフィッティングした。
FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16クローンは、陽性対照mAbと同等の、0.15〜0.57nMの範囲のEC50値で、細胞表面で発現されるヒト及びカニクイザルCD137受容体に結合することが分かった(表3を参照)。親DO11.10又はHEK293細胞への結合は観察されず、したがって、結合の特異性を示す。カニクイザルCD137への20H4.9陽性対照抗CD137抗体の結合は、これらの細胞において観察されなかった。公開されたデータ(米国特許第7288638号)は、IgG1フォーマットにおける20H4.9抗体が、ホルボールミリステートアセテート(PMA)誘導性カニクイザルPMBCにおいてカニクイザルCD137に結合することを示す。本発明者らの手で、G1AAフォーマットにおける20H4.9抗体は、組み換えカニクイザルCD137に結合したが、親和性は、ヒトCD137(データは示されていない)に対するよりはるかに低く、これは、DO11.10−cCD137細胞への、この抗体で観察される結合の欠如を説明し得る。
Figure 2021525546
2.3 FS30 mAbの生物物理学的特性
選択されたmAbの生物物理学的特性の評価は、薬剤開発だけでなく、結合及び機能データの解釈のためにも重要である。具体的には、アゴニストT細胞活性化を分析する場合、集合体の存在が、抗体のクラスター化を模倣し、T細胞活性化を誘発し得る。したがって、FS30 mAbのモノマー割合のパーセンテージを、SECによって決定した。
簡潔に述べると、FS30 mAbを、TSKgel SuperSW3000カラム(Tosoh Bioscience、18675)を用いてHPLC機械(Agilent 1100 series)において注入した。これらの実験のための流量は、0.35mg/mlであり、移動相は、20mMのリン酸ナトリウム、200mMのNaCl、pH6.8であった。試料濃度は、1×PBS緩衝液中0.5〜1mg/mlであった。
4つ全てのFS30 mAbは、単一ピークプロフィールを示し、97%超のモノマーであった(表4)。この高いレベルのモノマータンパク質のため、機能活性試験が続行された。
Figure 2021525546
2.4 T細胞活性化アッセイ
次に、抗CD137 mAbの機能活性を、初代T細胞活性化アッセイにおいて分析した。インビボで、抗CD137 mAbは、Fcy受容体の動員によってアゴニズムを誘発し、それによって、mAbの架橋及びその後のCD137受容体のクラスター化を引き起こす。表面CD137受容体分子をクラスター化するmAbの最大能力を模倣するために、FS30 mAbを、アッセイの前に、抗ヒトCH2抗体(クローンMK1A6[Jefferis et al.,1985;Jefferis et al.,1992]、社内で産生される)を用いて架橋させた。T細胞活性化を、非架橋のmAbと比較した。FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16を、FS30−6(結合ELISA(実施例2.2)においてカニクイザルCD137に対して交差反応性でないことが分かり、したがって異なるエピトープに結合する可能性が高いヒトCD137結合剤である)、並びに陽性対照抗CD137 mAb G1AA/MOR7480.1及びG1AA/20H4.9とともに試験した。LALA突然変異を有するヒトIgG1骨格中の抗ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)抗体D1.3(Braden et al.,1996)(G1AA/HelD1.3と示される)を陰性対照として使用した。
2.4.1 初代ヒトCD8+ T細胞の単離及び活性化
ヒトCD8+ T細胞を単離するために、最初に末梢血単核細胞(PBMC)を、血小板成分献血の副産物である白血球除去錐体細胞から単離した。簡潔に述べると、白血球錐体細胞の内容物をPBSでフラッシュし、Ficoll(Sigma-Aldrich、1440−02)勾配上に重ね合わせた。PBMCを遠心分離によって単離し、Ficoll勾配を通過しなかった細胞を回収した。PBMCをPBSでさらに洗浄し、残っている赤血球を、製造業者の説明書に従って、10mlの1×赤血球溶解緩衝液(eBioscience、00−4300−54)の添加によって溶解させた。CD8+ T細胞を、製造業者の説明書に従って、CD8+ T細胞単離キット(ヒト)(Miltenyi Biotec、130−096−495)を用いて、溶離液中に存在するPBMCから単離した。
96ウェル平底組織培養プレートを、4℃で一晩、PBS中の8μg/mlの抗CD3抗体(Clone UCHT1、R&D Systems、MAB100−SP)で被覆した。次に、プレートを、200μlのPBSで3回洗浄した。10%のFBS(Life Technologies)、1×ペニシリンストレプトマイシン(Life Technologies、15140122)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco、11360−070)、10mMのHepes(Sigma-Aldrich、H0887)、2mMのL−グルタミン(Sigma-Aldrich、G7513)及び50μMの2−メルカプトエタノール(Gibco、M6250)を含むT細胞培地(RPMI培地(Life Technologies、61870−044)中で、5.0×105個の細胞/mlの濃度での必要量のT細胞を、100μlの培養培地中に5.0×104個の細胞/ウェルがあるように平板培養した。
2.4.2 T細胞活性化アッセイプロトコル
FS30抗体を、200nMから開始して2×最終濃度で、T細胞培地中で希釈し、架橋剤(抗ヒトCH2抗体MK1A6)を抗体試料に加えて、1:1のモル比で架橋させてから、1:3の滴定を行った。非架橋の抗体試料を、100nM及び25nMのみで試験した。100μlの希釈された抗体又は抗体/架橋剤混合物を、合計で200μlのアッセイ体積及び1倍濃度の抗体のために、プレートにおいてT細胞に加えた。アッセイを、72時間にわたって、37℃、5%のCO2でインキュベートした。上清を収集し、製造業者の説明書に従って、ヒトIL−2 ELISA Ready-SET-Go!キット(eBioscience、88−7025−88)を用いてアッセイした。プレートを、Gen5 Software、BioTekを用いて、プレートリーダーを用いて450nmで読み取った。630nmの吸光度値を、450nmの吸光度値から減算した(補正)。サイトカイン濃度の計算のための標準曲線は、4パラメータロジスティック曲線フィット(Gen5 Software、BioTek)に基づいていた。ヒトIL−2(hIL−2)の濃度を、抗体のlog濃度に対してプロットし、得られた曲線を、GraphPad Prismにおいてlog(アゴニスト)対応答の式を用いてフィッティングした。アッセイの結果は、表5及び図1に示される。
架橋される場合、FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16 mAbは、T細胞活性化アッセイにおいて強力な活性を示し、10nM未満のEC50値及び陽性対照抗CD137 mAbと同様の最大レベルのIL−2(Emax)を有していた(表5、図1A)。FS30−6 mAbのEmaxは、陽性対照及び他のFS30 mAbのEmaxより有意に低く、これは、より低い全体的レベルのT細胞活性化を示している。架橋の非存在下で活性を示した(3174pg/mlのhIL−2産生)陽性対照G1AA/20H4.9 mAbと異なり、FS30 mAbは、測定されたIL−2のバックグラウンド応答レベルによって示されるように、架橋されていない場合、活性を示さなかった(表5及び代表的な図1B)。
Figure 2021525546
2.5 ナイーブな選択手順の概要
ナイーブファージライブラリーの最初のスクリーンによって同定された36のmAbから、5つの抗ヒトCD137 mAbクローン(FS30−5、FS30−10、FS30−15、FS30−16及びFS30−35)が、組み換えヒト及びカニクイザルCD137の両方に結合することが分かった。FS30−5、FS30−10、FS30−15及びFS30−16 mAbクローンは、細胞表面CD137受容体に結合して、架橋時にT細胞活性化を誘発することが示された。これらのクローンは、FS30−35 mAbクローンと一緒に、実施例3に記載されるように、mAb2フォーマットにおける発現及び配列最適化のために選択された。
実施例3−mAb2フォーマットにおけるmAbの発現及び特徴付け
mAbのCDRベースの抗原結合部位は、Fc抗原結合又は「Fcab」ドメインとして知られている、定常ドメイン中で生成されるさらなる結合部位と組み合わされて、mAb2と呼ばれる二重特異的抗体が得られる。mAb2フォーマットにおける抗CD137結合部分の特徴付けを可能にするために、FS30−5、FS30−10、FS30−15、FS30−16又はFS30−35クローンのいずれかのCDRを含み、且つCH2ドメイン中にLALA突然変異、及びCH3ドメイン中にヒトOX40受容体結合部位を含むIgG1分子からなるmAb2分子を調製した。FS20−22−49AA/HelD1.3と示される抗ヒトOX40/抗HEL mAb2のVHドメインを、FS30クローンの対応するVHドメインで置換し、生成されたVHを、FS30 mAbの対応する軽鎖と共トランスフェクトすることによって、これらのmAb2分子を生成した。IgG1分子のCH2ドメイン中のLALA突然変異は、得られたmAb2分子中に保持されていた。得られたmAb2分子の重鎖及び軽鎖配列は、配列番号83及び13、103及び46、89及び88、92及び91、93及び68に示される。これらのmAb2分子は、FS20−22−49AA/FS30−5、FS20−22−49AA/FS30−10、FS20−22−49AA/FS30−15、FS20−22−49AA/FS30−16及びFS20−22−49AA/FS30−35と示された。mAb2を、HEK293−6E細胞中で一過性発現によって産生し、MabSelect SuReプロテインAカラム(GE Healthcare)を用いて精製した。
3.1 抗CD137 mAb2の結合特異性
CD137は、サイトカイン受容体の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)に属する(Moran et al.,2013)。5つのmAb2分子の抗CD137 Fab結合部位の特異性を分析するために、ヒトCD137及び5つの密接に関連するヒトTNFRSFメンバー(TNFRSF1A、TNFRSF1B、GITR、NGFR及びCD40)へのmAb2の結合を、SPRを用いて試験した。目的は、1μMの濃度で密接に関連する抗原へのmAb2の結合を示さないが、1nMの濃度でCD137受容体への結合を示すことによって、1000倍の特異性を実証することであった。
CM5チップにおけるフローセルを、約1000RUの、hCD137−mFc−Avi(表1)、TNFRSF1A−Fc(R&D Systems、372−RI−050/CF)、TNFRSF1B−Fc(R&D Systems、726−R2−050)、GITR−hFc−Avi(社内で産生され、配列番号117に記載されるヒトGITRの細胞外ドメインを含む)、NGFR−Fc(R&D Systems、367−NR−050/CF)又はCD40−mFc(社内で産生され、配列番号118に記載されるヒトCD40の細胞外ドメインを含む)のいずれかで固定した。フローセル1を、ブランク固定化として実行した。5つのFS20−22−49AA/FS30 mAb2を、1×HBS−EP緩衝液(GE Healthcare、製品コードBR100188)中で1μM及び1nMになるまで希釈し、3分間にわたってチップ上に流し、次に、4分間にわたって解離させた。10mMのグリシンpH1.5の30秒間の注入を、再生のために使用した。陽性対照mAbを、50〜100nMで注入して、各抗原のコーティングを確認した。結合レベルを、会合段階の最後に決定し、比較した。
FS20−22−49AA/FS30−5、FS20−22−49AA/FS30−10、FS20−22−49AA/FS30−16及びFS20−22−49AA/FS30−35 mAb2が、高いレベルの特異性(ほぼ1000倍)を示した一方、FS20−22−49AA/FS30−15 mAb2は、試験される5つ全ての密接に関連するTNFRSFメンバーへの非特異的結合を示した。このクローンによって示された非特異的結合は、同じ濃度でCD137受容体への結合より平均して約5〜10倍低く、mAb2分子のFab結合部位に起因すると結論付けられたが、これは、FS30−15 mAbが、CD137に密接に関連する同じ5つのTNFRSFメンバーへの結合について試験される際に同じ結合プロフィールを示したためである。このデータに基づいて、FS30−15クローンは、さらなる選択作業から除外された。
実施例4−配列最適化
FS30−5、FS30−10、FS30−16及びFS30−35抗CD137 mAbが、CD137に対する高い親和性及び特異性、並びにT細胞活性化アッセイにおける活性を示した一方、それらは、CDRループ内に1つ以上の潜在的な翻訳後修飾(PTM)部位を含有していた。結合及び活性を保持又は改善しながらこれらの部位において置換され得るアミノ酸残基を同定するために、これらのクローンをさらに操作することが決定された。同定された潜在的なPTM部位は、VH CDR3中のメチオニン残基(FS30−5中のKabat位置M100D及びM100H、FS30−10中のM97、FS30−16中のM100A、及びFS30−35中のM100F)、VH CDR2中の潜在的なアスパラギン酸塩異性化モチーフ(FS30−16中のKabat位置D54G55)及びVL CDR3中の潜在的な脱アミド化部位(FS30−16中のKabat位置Q90G91)を含んでいた。
部位特異的突然変異誘発を、テンプレートとしての5つのFS20−22−49AA/FS30 mAb2クローン、及び全ての可能なアミノ酸置換を可能にするためにメチオニン、アスパラギン酸塩又はグリシン残基をコードする部位に縮重コドンNNKを含むプライマーを用いて行った。新規な潜在的なPTMモチーフを生成することが可能なシステイン残基及びアミノ酸は除外された。クローンを発現させ、DO11.10−hCD137細胞への結合についてスクリーニングした。親mAb2クローンと比較して、10nMで同様(2倍以内)又は改善した結合を有するクローンを、30〜50ml規模での発現のために選択し、プロテインAカラムにおいて精製し、DO11.10−hCD137細胞及び架橋剤としての抗ヒトCH2抗体MK1A6を用いて、T細胞活性化アッセイにおいてスクリーニングした。
DO11.10−hCD137細胞を、PBS中で1回洗浄し、1.0×106個の細胞/mlの濃度で、10%のFBS(Life Technologies)及び5μg/mlのピューロマイシン(Life Technologies、A11113803))を含むDO11.10細胞培地(RPMI培地(Life Technologies)中で再懸濁させた。96ウェル平底プレートを、37℃、5%のCO2で2時間にわたってPBS中で希釈された0.1μg/mlの抗マウスCD3抗体とのインキュベーションによって抗マウスCD3抗体(Thermo Fisher Scientific、クローン17A2)で被覆し、次に、PBSで2回洗浄した。DO11.10−hCD137細胞を、1×105個の細胞/ウェルでプレートに加えた。各試験抗体の2μMの希釈物を、DPBS(Gibco)中で調製し、DO11.10細胞培地(30μl+270μl)中で1:10にさらに希釈して、200nMの希釈物を得た。MK1A6架橋剤を、架橋される試験抗体試料とともに1:1のモル比でウェルに加えた。96ウェルプレートにおいて、各抗体又は抗体/架橋剤混合物の連続希釈物を調製した。100μlの希釈された抗体又は抗体/架橋剤混合物を、プレートにおいてDO11.10−hCD137細胞に加えた。細胞を、72時間にわたって37℃、5%のCO2でインキュベートした。上清を収集し、製造業者の説明書に従って、マウスIL−2 ELISAキット(eBioscience又はR&D Systems)を用いてアッセイした。プレートを、Gen5 Software、BioTekを用いて、プレートリーダーを用いて450nmで読み取った。630nmの吸光度値を、450nmの吸光度値から減算した(補正)。サイトカイン濃度の計算のための標準曲線は、4パラメータロジスティック曲線フィット(Gen5 Software、BioTek)に基づいていた。マウスIL−2(mIL−2)の濃度を、抗体のlog濃度に対してプロットし、得られた曲線を、GraphPad Prismにおいてlog(アゴニスト)対応答の式を用いてフィッティングした。
クローンのそれぞれについて、細胞表面CD137への結合を保持又は改善した限られた数のアミノ酸を、重鎖CDR3中のメチオニン残基の置換のために同定した(表6を参照)。FS20−22−49AA/FS30−16 mAb2クローンは、3つの潜在的なPTM部位を含んでおり、それらのそれぞれの突然変異が、結合親和性のわずかな減少をもたらした。これらの突然変異を、1つの分子中で組み合わせた場合、結合の減少が相加的であったため(データは示されていない)、このクローンは、さらに進めなかった。関連する親クローンと比較して、CD137への結合及び機能活性を改善した少しの突然変異が見られた。全てFS20−22−49AA/FS30−10 mAb2クローンに由来する3つの突然変異体mAb2クローンは、改善した結合親和性及び機能活性を有することが分かった。これらのmAb2は、親FS20−22−49AA/FS30−10 mAb2における97位にメチオニン残基の代わりにアスパラギン、トレオニン又はロイシン残基のいずれかを含んでおり、それぞれFS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12及びFS20−22−49AA/FS30−10−16と示された。FS20−22−49AA/FS30−35親mAb2クローンに由来する突然変異体クローンについてのEC50値は、親クローンと比較して機能活性の改善を示さなかったが、親クローンにおける100F位にメチオニン残基の代わりにアラニン残基を含む、FS20−22−49AA/FS30−35−14と示される1つの突然変異体クローンは、改善した結合を示した。FS20−22−49AA/FS30−5親mAb2クローンの場合、100D位におけるメチオニン残基及び100H位におけるメチオニン残基の両方が、それぞれ、同じ分子中でイソロイシン残基及びロイシン残基に変化されて、FS20−22−49AA/FS30−5−37と示される突然変異体mAb2クローンをもたらした。FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16、FS20−22−49AA/FS30−35−14及びFS20−22−49AA/FS30−5−37クローンを、さらなる特徴付けのために選択した。
Figure 2021525546
実施例5−抗CD137 mAb2の結合親和性及び特異性
5.1 組み換えCD137への選択されたmAb2クローンの結合
組み換えヒト、カニクイザル及びマウスCD137−mFC−Avi抗原(表1を参照)及びラットCD137−mFc抗原(R&D Systems、7968−4B−050)への、FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14 mAb2クローンの結合を、Biacore 3000機器(GE Healthcare)を用いて、SPRによって測定した。IgG1フォーマット(G1/MOR7480.1;配列番号99及び101)における抗CD137 MOR7480.1 mAb及びG1AA/20H4.9を、陽性対照として使用した。
簡潔に述べると、25μg/mlの抗ヒトIgG(Fc)抗体(GE Healthcare、Human Antibody Capture Kit、BR100839)を、5μl/分で3分間にわたってBiacore sensor chip CM5(GE Healthcare、BR100012)のフローセル1、2、3及び4上に被覆し、約4300RUの最終的な応答を達成した。0.5μg/mlで、HBS−EP緩衝液(GE Healthcare、BR100188)中で希釈されたmAb2クローンを、30μl/分でフローセル2、3及び4において個別に注入して、約80RUの応答を達成した。HBS−EP緩衝液中で希釈された組み換えヒト、カニクイザル、マウス及びラットCD137−mFc抗原を、70μl/分で2分間にわたって、3倍希釈物で必要に応じて22nMから0.01nMの範囲の濃度でフローセル1、2、3又は4上に注入し、次に、8分間にわたって緩衝液中で解離させた。30μl/分の速度で30秒間にわたって3Mの塩化マグネシウム(GE Healthcare、Human Antibody Capture Kit、BR100839)を注入することによって、再生を行った。高レベルのmAbを捕捉し(270RU)、30μl/分の流量を使用したことを除いて同様の条件で、G1AA/20H4.9対照を試験した。これらのあまり厳しくない条件を用いて、この分子がカニクイザルCD137−mFcに結合することができたかどうかを評価した。減算されたデータ(フローセル2−フローセル1、フローセル3−フローセル1、又はフローセル4−フローセル1)を、BIAevaluation 3.2 Software(GE Healthcare)を用いて分析して、屈折率(RI)定数0で、質量移動を用いたモデル1:1結合を用いて結合を同定した。
結合データは、FS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14クローンが、低いナノモル親和性でヒトCD137−mFcに結合し、完全にカニクイザル交差反応性であったことを実証した(表7)。組み換えマウス又はラットCD137−mFc抗原への結合は観察されなかった。陽性対照G1/MOR7480.1 mAbと比較して、ヒトCD137に対するFS20−22−49AA/FS30−10−3及びFS20−22−49AA/FS30−10−16 mAb2の結合親和性は、約3倍高かった。G1AA/20H4.9対照と同様に、ヒトCD137−mFcへのmAb2クローンの高い親和性の結合が観察された。しかしながら、カニクイザルCD137−mFcへのこの対照mAbの結合は、mAb2クローンと比較して弱く、検出される最大結合レベル(Rmax)の10%未満であった。これは、G1AA/20H4.9対照mAbが、このアッセイにおいて試験される他のmAb/mAb2より、二量体CD137における異なる結合領域に結合する可能性があることを示す。
Figure 2021525546
5.2 抗CD137 mAb2の結合特異性
実施例4に記載される突然変異誘発作業において導入されたアミノ酸突然変異が結合特異性に影響を与えたかどうかを試験するために、選択されたmAb2クローンを、CD137受容体に密接に関連する他のTNFRSFメンバーへの結合について試験した。
特異性を、CD137に密接に関連する同じ5つのヒトTNFRSFメンバー(TNFRSF1A、TNFRSF1B、GITR、NGFR及びCD40)並びにさらなる密接に関連するTNFRSFメンバー、ヒトDR6(DR6−Fc;R&D Systems、144−DR−100)に対して、実施例3.1に記載されるSPRを用いて試験した。抗CD137 G1/MOR7480.1 mAbを、陽性対照として使用した。陽性対照mAbと同様に、選択されたmAb2の全ては、6つの密接に関連するTNFRSFメンバーへの結合を示さず、したがってヒトCD137に対する高いレベルの特異性を示し、これは、実施例4に記載される突然変異誘発作業によって導入されたアミノ酸置換が、得られるmAb2の結合特異性を変化させなかったことを示している。
実施例6−ヒトCD137リガンドブロッキングアッセイ
CD137−CD137L相互作用は、CD137受容体の活性化のために必要とされる。アゴニスト抗CD137抗体は、リガンド相互作用を模倣することによってCD137の活性化を引き起こし得、それによって潜在的にリガンド結合をブロックし、又はリガンド結合を妨げずに受容体のクラスター化及び活性化を引き起こす。抗体がCD137Lを潜在的に模倣する場合、それは、受容体及びリガンドの相互作用をブロックし得る。MOR7480.1が、リガンド/受容体相互作用をブロックすることは、当該技術分野において公知であるが(米国特許出願公開第2012/0237498号)、20H4.9抗体は、CD137とそのリガンドとの相互作用をブロックしないことが以前に報告されている(米国特許第7288638号)。
6.1 ELISAベースのヒトCD137リガンドブロッキングアッセイ
mAb2フォーマットにおける抗ヒトCD137 mAbクローンFS30−5−37、FS30−10−3、FS30−10−12、FS30−10−16及びFS30−35−14を(抗OX40 FcabクローンFS20−22−49AAとともに)、ELISAベースの方法を用いて、CD137−CD137L相互作用をブロックするそれらの能力について試験した。IgG1フォーマット(G1/11D4;配列番号110及び111)における抗OX40 mAb 11D4(欧州特許第2242771号)を、アイソタイプ/陰性対照として使用し;抗OX40 FcabクローンFS20−22−49AA及び抗FITC抗体4420のFab領域(Bedzyk et al.,1989;Bedzyk et al.,1990)を含むmAb2 FS20−22−49AA/4420(配列番号98及び97)を、OX40結合のための陰性対照mAb2として使用し;抗CD137 mAb G1/MOR7480.1(配列番号99及び101)並びにG1/20H4.9(配列番号104及び106)を、CD137結合及びリガンドブロッキング活性のための陽性対照として使用した。
具体的には、組み換えヒトCD137−mFc−Avi抗原を、PBS中1μg/mlの濃度で、Maxisorp 96ウェルプレートにおいて4℃で一晩被覆した。翌日、プレートを、PBST(PBS+0.05%のTween20(商標))で洗浄し、撹拌しながら室温で1時間にわたってPBS+1%のBSA(Sigma、A3059−500G)でブロックした。ブロックした後、プレートを、PBSTで再度洗浄した。各試験抗体の100nMの希釈物を、PBS+1%のBSA中で調製し、CD137被覆プレートに加え、撹拌しながら室温で1時間にわたってインキュベートした。このインキュベーションの後、プレートをPBSTで洗浄し、次に、撹拌しながら室温で1時間にわたって、PBS中の20ng/mlのCD137L−His(R&D Systems、2295−4L−025/CF)とともにインキュベートした。次に、プレートをPBSTで洗浄し、次に、撹拌しながら室温で1時間にわたって、PBS中1対1000の希釈で抗his二次抗体(R&D Systems、MAB050H)とともにインキュベートした。次に、プレートをPBSTで洗浄し、陽性対照ウェルが青色に変化するまでTMB検出試薬(Thermo Fisher Scientific、002023)とともにインキュベートし、次に、2NのH2SO4の添加により、反応を停止させた。プレートを、Gen5 Software、BioTekを用いて、プレートリーダーを用いて450nmで読み取った。630nmの吸光度値を、450nmの吸光度値から減算した(補正)。減算された吸光度値を、抗体のlog濃度に対してプロットし、得られた曲線を、GraphPad Prismにおいてlog(阻害剤)対応答の式を用いてフィッティングした。G1/11D4及びG1/MOR7480.1対照mAbをそれぞれ0及び100%のブロッキング値として設定することによって、値を正規化した。データを、GraphPad Prismを用いて、一元ANOVA検定及びHolm-Sidakの多重比較検定を用いて分析した。
試験される分子のリガンドブロッキング活性(n=2の平均)が、G1/MOR7480.1陽性対照のリガンドブロッキング活性におけるパーセンテージとして図2A及び表8に示される。両方の陽性対照mAb、G1/MOR7480.1及びG1/20H4.9は、CD137とそのリガンドとの間の相互作用を完全にブロックした。MOR7480.1対照についてのこの観察は、以前の報告と一致している。しかしながら、20H4.9抗体が、このアッセイにおいてリガンド結合をブロックしたことは意外であり、それは、20H4.9抗体が、異なるアッセイにおいてCD137とそのリガンドとの間の相互作用をブロックしないことが以前に報告されていたためである(米国特許第7288638号)。
ある範囲のブロッキング活性が、試験された5つの抗ヒトCD137 mAb2クローンについて観察された(図2A及び表8)。FS20−22−49AA/FS30−5−37は、陽性対照抗体と同様に、受容体−リガンド相互作用の完全な阻害を示した。FS30−10系統の抗CD137 mAbのFab領域を含有する全てのmAb2クローン(すなわち、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12及びFS20−22−49AA/FS30−10−16)は、CD137とCD137Lとの間の相互作用を48から54%阻害し、したがって部分的なブロッカーと見なされた。CD137とCD137Lとの間の相互作用を部分的にのみブロックすることによって、これらの抗体の1つが結合される場合でも、いくらかのCD137シグナル伝達がこの機構によってまだ起こり得るように、これらのmAbが、CD137Lとその受容体との天然の相互作用を完全に阻害することはないようにすることが可能である。FS20−22−49AA/FS30−35−14クローンは、陰性対照FS20−22−49AA/4420 mAb2分子と同様に、受容体−リガンド相互作用を実質的に阻害する能力を欠いており、したがって非ブロッカーであると見なされた。
要約すると、このアッセイの結果は、試験された一連の抗CD137 mAbが、完全なブロッキング活性、部分的なブロッキング活性及びブロッキング活性なしを含む、様々なリガンドブロッキング能力を示したことを示した。クローンFS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14はそれぞれ、陽性対照抗CD137 mAbのものと異なるブロッキング活性を示した。ある範囲のリガンドブロッキング活性が同定されたため、抗体のそれぞれの機能活性を試験した(実施例7を参照)。
Figure 2021525546
6.2 細胞ベースのヒトCD137リガンドブロッキングアッセイ
mAb2フォーマットにおける抗ヒトCD137 mAbクローンFS30−5−37、FS30−10−3、FS30−10−12及びFS30−10−16を(抗OX40 FcabクローンFS20−22−49AAとともに)、細胞ベースの方法を用いて、CD137−CD137L相互作用をブロックするそれらの能力について試験した。IgG1フォーマット(G1/11D4;配列番号110及び111)における抗OX40 mAb 11D4(欧州特許第2242771号)を、アイソタイプ/陰性対照として使用し;抗OX40 FcabクローンFS20−22−49AA及び抗FITC抗体4420のFab領域(Bedzyk et al.,1989;Bedzyk et al.,1990)を含むmAb2 FS20−22−49AA/4420(配列番号98及び97)を、OX40結合のための陰性対照mAb2として使用し;抗CD137 mAb G1/MOR7480.1(配列番号99及び101)を、CD137結合及びリガンドブロッキング活性のための陽性対照として使用した。
具体的には、100nMの組み換えヒトCD137−mFc−Aviタンパク質を、PBS中で調製された各試験抗体の200nMの希釈物とともに、37℃で30分間にわたってインキュベートした。インキュベーションの後、抗体及び抗原混合物を、ヒトCD137Lを発現する105個のDO11.10細胞に加え、37℃で30分間にわたってインキュベートした。細胞を、PBS中で1回洗浄し、次に、2%のBSAを含有するPBS中で1:1000に希釈された100μl/ウェルの二次抗体(抗マウスFc−488抗体、Jackson Immunoresearch、115−546−008)を加え、暗所で、4℃で30分間にわたってインキュベートした。細胞をPBSで1回洗浄し、1μg/mlでDAPI(Biotium、40043)を含有する100μlのPBS中で再懸濁させた。細胞を、Canto IIフローサイトメーター(BD Bioscience)を用いて分析した。死細胞を取り除き、FITCチャネルにおける蛍光(488nm/530/30)を測定した。G1/11D4及びG1/MOR7480.1対照mAbをそれぞれ0及び100%のブロッキング値として設定することによって、幾何平均蛍光強度(GMFI)値を正規化した。データを、GraphPad Prismを用いて、一元ANOVA検定及びテューキーの多重比較検定を用いて分析した。
試験される分子のリガンドブロッキング活性(n=2の平均)が、CD137とそのリガンドとの間の相互作用を完全にブロックした、G1/MOR7480.1陽性対照抗体のリガンドブロッキング活性におけるパーセンテージとして図2B及び表9に示される。G1/MOR7480.1対照についてのこの観察は、以前の報告と一致している。
ある範囲のブロッキング活性が、試験された4つの抗ヒトCD137 mAb2クローンについて観察された。FS20−22−49AA/FS30−5−37は、陽性対照抗体と同様に、受容体−リガンド相互作用の完全な阻害を示した。FS30−10系統の抗CD137 mAbのFab領域を含有する全てのmAb2クローン(すなわち、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12及びFS20−22−49AA/FS30−10−16)は、CD137とCD137Lとの間の相互作用を46〜76%阻害し、したがって部分的なブロッカーと見なされた。
要約すると、このアッセイの結果は、ELISAベースのブロッキングアッセイのものと同様であり、試験された一連の抗CD137 mAbが、完全なブロッキング活性から部分的なブロッキング活性までのある範囲のリガンドブロッキング能力を示したことを示した。クローンFS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12及びFS20−22−49AA/FS30−10−16はそれぞれ、陽性対照抗CD137 mAbのものと異なるブロッキング活性を示した。
Figure 2021525546
実施例7−ヒト及びカニクイザルCD137 T細胞活性化アッセイにおける抗CD137 mAb2クローンの機能活性
選択されたFS20−22−49AA/FS30−5−37、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14 mAb2クローンの機能活性を、実施例4に記載されるように、DO11.10−hCD137細胞を用いて、T細胞活性化アッセイにおいて試験した。IgG1フォーマット(G1/4420;配列番号96及び97)における抗FITC抗体4420を、アイソタイプ陰性対照として使用し;抗OX40 mAb G1/11D4(配列番号110及び111)及びmAb2クローンFS20−22−49AA/4420(配列番号98及び97)を、陰性対照として使用し;IgG1(G1/MOR7480.1;配列番号99及び101)及びIgG2(G2/MOR7480.1;配列番号102及び101)フォーマットの両方における抗CD137抗体MOR7480.1(IgG2フォーマットは、抗体が臨床試験において試験されているフォーマットである(Gopal et al.,2017;Tolcher et al.,2016))を、陽性対照として使用した。アッセイの前に、mAb及びmAb2分子を、抗ヒトCH2抗体、MK1A6(実施例2.4を参照)と架橋させ、1つの実験において、非架橋のmAb及びmAb2分子の活性を調べた。マウスIL−2産生を、T細胞活性化の尺度として使用した。
架橋される場合、5つ全ての選択されたmAb2クローンは、15nM未満の平均EC50値及び約16000〜20000pg/mlの範囲のIL−2の平均Emax値で、T細胞活性化アッセイにおいて強力な活性を示した(表10及び図3A中の代表的なグラフ)。試験されたmAb2クローンの活性は、架橋の非存在下で観察されなかった(図3B中の代表的なグラフ)。MOR7480.1陽性対照抗体は、架橋される場合にのみ活性であることが観察された(G1/MOR7480.1について3.3nMのEC50及び12575pg/mlのEmax、並びにG2/MOR7480.1について2.4nMのEC50及び8547pg/mlのEmax)。架橋された抗OX40 mAb(11D4)の活性の欠如及び非架橋の抗OX40 Fcab含有mAb2分子について観察される低いバックグラウンドシグナルの組合せは、このアッセイの結果が、CD137活性のみから読み取られたものであることを示し、これは、DO11.10細胞による高レベルのCD137受容体発現及び検出不可能なレベルのOX40受容体発現(データは示されていない)に起因する可能性が高い。
Figure 2021525546
実施例5.1に記載される結合実験において観察されるカニクイザル交差反応性が、機能活性に置き換えられ得るかどうかを決定するために、mAb2はまた、カニクイザルCD137(DO11.10−cCD137)を発現するDO11.10細胞を用いた以外はヒトCD137 T細胞活性化アッセイと本質的に同じプロトコルにおいてカニクイザルCD137を活性化するそれらの能力について分析された。アッセイの前に、mAb及びmAb2分子を、抗ヒトCH2抗体、MK1A6と架橋させた。マウスIL−2産生を、T細胞活性化の尺度として使用した。
バックグラウンド及びEmax活性化値は、ヒトCD137 DO11.10活性化アッセイよりこのアッセイにおいてより高く、これは、DO11.10細胞において発現されるより高いレベルのカニクイザルCD137受容体に起因する可能性が高い。MOR7480.1陽性対照抗体と同様に、5つ全ての選択された抗ヒトCD137 mAb2クローンは、7.5nM以下の平均EC50値及び約45000〜70000pg/mlの範囲のIL−2の平均Emax値で、カニクイザルT細胞活性化アッセイにおいて強力な活性を示した(表11)。
Figure 2021525546
ヒト及びカニクイザルCD137 DO11.10 T細胞アッセイ(n=2、表10及び11)の両方において最も高い平均アゴニスト活性を示したmAb2クローンは、FS20−22−49AA/FS30−10−3、FS20−22−49AA/FS30−10−12、FS20−22−49AA/FS30−10−16及びFS20−22−49AA/FS30−35−14であった。これらは全て、ヒトCD137 T細胞活性化アッセイにおいて10nM未満のEC50値及び16000pg/mlを超えるIL−2のEmax値、並びにカニクイザルCD137 T細胞活性化アッセイにおいて7nM未満のEC50及び46000pg/mlを超えるIL−2のEmax値を有していた。これらのクローンは、CD137リガンドブロッキングアッセイにおいて同定された部分的にブロックする又はブロックしないクローンであった(実施例6)。
配列表
完全な重鎖のアミノ酸配列において、可変ドメインが斜体で示され、IMGTスキームに従うCDRが太字斜体で示され、Kabatスキームに従うCDRが斜体及び下線で示され(したがって、重複するIMGT及びKabat CDR配列が、太字、斜体及び下線で示される)、該当する場合、LALA突然変異の位置が太字及び下線で示される。
完全な軽鎖のアミノ酸配列において、可変ドメインが斜体で示され、IMGTスキームに従うCDRが太字斜体で示され、Kabatスキームに従うCDRが斜体及び下線で示される(したがって、重複するIMGT及びKabat CDR配列が、太字、斜体及び下線で示される)。
可変ドメインのアミノ酸配列において、IMGTスキームに従うCDRが太字斜体で示され、Kabatスキームに従うCDRが斜体及び下線で示される(したがって、重複するIMGT及びKabat CDR配列が、太字、斜体及び下線で示される)。
FS30−5−37 mAbの重鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号1 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号2 重鎖DNA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号3 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号4 重鎖DNA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号5 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号6 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−5−37 mAbの軽鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号13 軽鎖AA
Figure 2021525546

配列番号14 軽鎖DNA
Figure 2021525546

配列番号15 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号16 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−3 mAbの重鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号24 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号25 重鎖DNA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号26 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号27 重鎖DNA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号28 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号29 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−3 mAbの軽鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖AA
Figure 2021525546

配列番号47 軽鎖DNA
Figure 2021525546

配列番号48 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号49 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−12 mAbの重鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列(プロジェクトファイル)
配列番号40 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号41 重鎖DNA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号42 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号43 重鎖DNA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号44 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号45 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−12 mAbの軽鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖AA
Figure 2021525546

配列番号47 軽鎖DNA
Figure 2021525546

配列番号48 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号49 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−16 mAbの重鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号50 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号51 重鎖DNA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号52 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号53 重鎖DNA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号54 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号55 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−10−16 mAbの軽鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖AA
Figure 2021525546

配列番号47 軽鎖DNA
Figure 2021525546

配列番号48 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号49 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546

FS30−35−14 mAbの重鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号56 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号57 重鎖DNA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号58 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号59 重鎖DNA(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号60 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号61 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

配列番号62 CDR1(AA)(IMGT) GFTFSAYN
配列番号63 CDR1(AA)(Kabat) AYNIH
配列番号64 CDR2(AA)(IMGT) ISPYGGAT
配列番号65 CDR2(AA)Kabat) DISPYGGATNYADSVKG
配列番号66 CDR3(AA)(IMGT) ARNLYELSAYSYGADY
配列番号67 CDR3(AA)(Kabat) NLYELSAYSYGADY
FS30−35−14 mAbの軽鎖及びその可変ドメインのアミノ酸及びcDNA配列並びにCDRのアミノ酸配列
配列番号68 軽鎖AA
Figure 2021525546

配列番号69 軽鎖DNA
Figure 2021525546

配列番号70 可変ドメインAA
Figure 2021525546

配列番号71 可変ドメインDNA
Figure 2021525546

Figure 2021525546
以下の配列において、重鎖配列可変ドメインが斜体で示され、該当する場合、LALA突然変異の位置が、太字及び下線で示される。
軽鎖配列において、可変ドメインが斜体で示される。
FS20−22−49AA/FS30−5−37 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号72 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号73 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−5−37 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号13 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−3 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号74 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号75 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−3 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−12 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号76 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号77 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−12 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−16 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号78 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号79 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10−16 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−35−14 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号80 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号81 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−35−14 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号68 軽鎖
Figure 2021525546

G1AA/FS30−5 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号82 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/FS30−5 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号13 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−5 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号83 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−5 mAb2)の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号13 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1AA/FS30−6 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号84 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/FS30−6 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号85 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1AA/FS30−10 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号86 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/FS30−10 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号103 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−10 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号46 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1AA/FS30−15 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号87 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/FS30−15 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号88 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−15 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号89 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−15 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号88 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1AA/FS30−16 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号90 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/FS30−16 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号91 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−16 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号92 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−16 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号91 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−35 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号93 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/FS30−35 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号68 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1AA/HelD1.3 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号94 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

G1AA/HelD1.3 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号95 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1/4420 mAbの重鎖のアミノ酸配列
配列番号96 重鎖AA(LALAを有さない)
Figure 2021525546

G1/4420 mAbの軽鎖のアミノ酸配列
配列番号97 軽鎖AA
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/4420 mAb2の重鎖のアミノ酸配列
配列番号98 重鎖AA(LALAを有する)
Figure 2021525546

FS20−22−49AA/4420 mAb2の軽鎖のアミノ酸配列
配列番号97 軽鎖AA
Figure 2021525546

G1/MOR7480.1及びG1AA/MOR7480.1 mAb
配列番号99 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号100 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号101 軽鎖
Figure 2021525546

G2/MOR7480.1 mAb
配列番号102 重鎖
Figure 2021525546

配列番号101 軽鎖
Figure 2021525546

G1/20H4.9及びG1AA/20H4.9 mAb
配列番号104 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号105 重鎖(LALAを有する)
Figure 2021525546

配列番号106 軽鎖
Figure 2021525546

CH2ドメイン
配列番号107 LALAを有する
Figure 2021525546

配列番号108 LALA PAを有する
Figure 2021525546

CH3ドメイン
配列番号109
Figure 2021525546

G1/11D4 mAb
配列番号110 重鎖(LALAを有さない)
Figure 2021525546

配列番号111 軽鎖
Figure 2021525546

CD137−mFc−Avi及びCD137−Avi−His
配列番号112 ヒト
Figure 2021525546

配列番号113 カニクイザル
Figure 2021525546

配列番号114 マウス
Figure 2021525546

mFc−Avi
配列番号115
マウスFcドメイン(斜体)
Aviタグ(太字)
Figure 2021525546

OX40−mFc
配列番号116
Figure 2021525546

GITR−hFc−Avi
配列番号117
Figure 2021525546

CD40−mFc
配列番号118
Figure 2021525546

CD137細胞で発現される抗原
細胞外ドメイン(斜体)
膜貫通及び細胞内ドメイン(太字)
配列番号119 ヒト
Figure 2021525546

配列番号120 カニクイザル
Figure 2021525546
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Claims (23)

  1. CD137に結合する抗体分子であって、前記抗体分子の抗原結合部位が、
    (i)配列番号30、32、38、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;
    (ii)配列番号30、32、34、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
    (iii)配列番号30、32、36、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
    (iv)配列番号62、64、66、17、19及び23のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
    (v)配列番号7、9、11、17、19及び21のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
    の相補性決定領域(CDR)1から6を含み;
    前記CDR配列が、ImMunoGeneTics(IMGT)番号付けスキームに従って定義される、抗体分子。
  2. 前記抗体分子が、
    (i)配列番号54及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16;
    (ii)配列番号28及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−3;
    (iii)配列番号44及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−12;
    (iv)配列番号60及び70のそれぞれに記載される抗体FS30−35−14;又は
    (v)配列番号5及び15のそれぞれに記載される抗体FS30−5−37
    の重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインを含む、請求項1に記載の抗体分子。
  3. 前記抗体分子の前記抗原結合部位が、配列番号30、32、38、17、19及び22のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16のCDR1〜6を含む、請求項1又は2に記載の抗体分子。
  4. 前記抗体分子が、配列番号54及び48のそれぞれに記載される抗体FS30−10−16のVH及びVLドメインを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の抗体分子。
  5. 前記抗体分子が、多重特異的抗体分子である、請求項1から4のいずれか1項に記載の抗体分子。
  6. 前記抗体分子が、前記抗体分子の定常ドメイン中に位置する第2の抗原に結合する第2の抗原結合部位を含む、請求項5に記載の抗体分子。
  7. 前記定常ドメインが、CH3ドメインである、請求項6に記載の抗体分子。
  8. 前記第2の抗原が、免疫細胞抗原、腫瘍抗原、又は病原性抗原である、請求項6又は7に記載の抗体分子。
  9. 前記第2の抗原結合部位が、第1の配列、第2の配列、及び/又は第3の配列を含み、前記第1の配列、第2の配列及び第3の配列がそれぞれ、前記定常ドメインのAB、CD、及びEF構造ループ中に位置する、請求項6から8のいずれか1項に記載の抗体分子。
  10. 前記抗体分子が、前記第2の抗原の存在下で、免疫細胞上のCD137を活性化することが可能である、請求項6から9のいずれか1項に記載の抗体分子。
  11. 前記免疫細胞が、T細胞である、請求項10に記載の抗体分子。
  12. 前記抗体分子が、1つ以上のFcγ受容体への前記抗体分子のCH2ドメインの結合を低減又は抑制するように修飾されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の抗体分子。
  13. 前記抗体分子が、1つ以上のFcγ受容体に結合しない、請求項1から12のいずれか1項に記載の抗体分子。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の抗体分子及び生物活性分子を含むコンジュゲート。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載の抗体分子をコードする1つ又は複数の核酸分子。
  16. 請求項15に記載の核酸分子を含むベクター又は一連のベクター。
  17. 請求項15に記載の核酸分子、又は請求項16に記載のベクターを含む組み換え宿主細胞。
  18. 請求項1から13のいずれか1項に記載の抗体分子を産生する方法であって、前記抗体分子の産生のための条件下で、請求項17に記載の組み換え宿主細胞を培養することを含む、方法。
  19. 請求項1から14のいずれか1項に記載の抗体分子又はコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
  20. 治療法によるヒト身体の治療のための方法に使用するための、請求項1から14のいずれか1項に記載の抗体分子又はコンジュゲート。
  21. 個体における癌又は感染症を治療する方法に使用するための、請求項1から14のいずれか1項に記載の抗体分子又はコンジュゲート。
  22. 試料におけるCD137の存在を検出するための、請求項1から13のいずれか1項に記載の抗体分子の使用。
  23. 個体における癌を検出又は診断するインビトロ方法であって、請求項1から13のいずれか1項に記載の抗体を用いて、前記個体から得られた腫瘍試料における細胞表面にCD137を含む細胞を検出することを含む、方法。
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