JP2021521453A - 材料層の厚さを決定するための測定装置 - Google Patents

材料層の厚さを決定するための測定装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、材料層(2)の厚さを決定するための測定装置に関し、この装置は、光ビームが第1の伝送経路に沿って材料層まで伝送される光ビーム(121A)の送信手段と、上記光ビームにより加熱された上記材料層による放射熱フロー(131A)を検知して測定信号(133A)を送るように構成された光熱検知手段であって、上記放射熱フローが第2の伝送経路に沿って光熱検知手段まで伝送される光熱検知手段と、送られた測定信号から上記材料層の厚さを決定するためにプログラムされた計算手段とを含む。本発明によれば、測定装置は同様に、光ビームの偏光素子(181)であって、上記偏光素子と上記材料層との間で光ビームの第1の伝送経路が放射熱フローの第2の伝送経路と重なるように上記光ビームを偏光させるように構成された偏光素子と、一方の部分(255)が他方の部分(254)に対して回転する2つの部分(254,255)を備えた、オフセットされた測定ヘッド(250)とを含み、この可動部分が少なくとも1つの反射素子(182)を収容し、測定ヘッドの他方の部分が偏光素子を収容する。【選択図】 図2

Description

本発明は、一般に、コーティングの厚さの測定に関する。
特に有利には、本発明は、自動車エンジンのシリンダ内のコーティングの厚さの測定に用いられる。
本発明は、特に、材料層の厚さを決定するための測定装置に関する。測定装置は、
−変調周波数と制御位相とを有する正弦波制御信号を送るように構成された電気制御手段と、
−制御信号の上記変調周波数に正弦波で変調された光電力を光ビームが有するように上記電気制御手段により電気的に制御される光ビームの送信手段であって、上記光ビームが第1の伝送経路に沿って上記材料層まで伝送される、光ビームの送信手段と、
−上記光ビームにより加熱された上記材料層による放射熱フローを検知して、上記材料層により放射された上記放射熱フローを示す測定信号を送るように構成された光熱検知手段であって、上記放射熱フローが第2の伝送経路に沿って光熱検知手段まで伝送される、光熱検知手段と、
−制御信号の上記変調周波数に変調された正弦波成分を上記測定信号からサンプリングして、上記測定信号の正弦波成分の測定位相を決定するように構成された、デジタルフィルタリング手段と、
−制御信号の変調周波数に対して、上記放射熱フローの正弦波成分と上記光ビームの変調された光電力との間の位相差を計算するために、また、
−上記放射熱フローの上記正弦波成分と光ビームの変調された上記光電力との間の位相差に応じて上記材料層の厚さを決定するためにプログラムされた計算手段とを含む。
本発明は、同様に、エンジンの複数のシリンダのうちの1つのシリンダの内部にそれぞれが配置された複数の材料層の各材料層の厚さを同時に測定するアセンブリに関する。
今日では、たとえば自動車のエンジン内にある鋳鉄製のシリンダケース(またはエンジンブロック)の代わりにアルミニウム製のシリンダケースがしばしば用いられ、その場合、シリンダケースのボア(またはシリンダ)は、熱による吹き付けまたは電気化学手段(使用されているオリジナルの英語表現では「Bore Spray Coating」という名称でも知られる)により堆積される鋼コーティングで被覆することができる。熱による吹き付け処理を実施するためのシリンダボアの調製方法はたとえば仏国特許第2873946号明細書から知られている。
しかしながら、エンジンの耐久性を保証するには、鋼コーティングの厚さが、(特にすり合わせ加工によるシリンダの仕上げ段階の後で)たとえば閾値よりも約10マイクロメートル大きくなければならない。したがって、このコーティングの厚さは、特に製造プロセス中のドリフトを検知するために定期的にチェックできるようにすることが必要である。
現在、鋼コーティングの厚さは試験所での破壊分析により検査されている。この分析は時間がかかり、費用も高く、有効な品質検査を実施することができない(なぜなら、この分析では製造プロセス中の異常を検知できないので、この異常をリアルタイムで修正できないからである)。
仏国特許出願第1356404号明細書は、基板に堆積された材料層の厚さを決定可能なレーザによる熱放射測定方法が知られている。この方法では、検討される材料層を加熱するように光ビームが送信され、それにより放射熱フローが発生する。このような放射熱フローの研究により材料層の厚さを薄くすることができる。その場合、この方法は、厚さ測定をすみやかに提供しながら非破壊的でかつ無接触であるという長所を有する。
仏国特許第2873946号明細書 仏国特許出願第1356404号明細書
しかし、仏国特許出願第1356404号明細書に記載された装置は特に大型であって、エンジンのシリンダ内部の測定をすることができない。
従来技術の上記の不都合を解消するために、本発明は、たとえば自動車エンジンのシリンダケースのシリンダのような機械部品で、これらの機械部品の内部に面した表面についての測定を実施できるように、小型化した厚さ測定装置を提案する。
特に、本発明によれば、冒頭で定義したような材料層の厚さを決定するための測定装置を提案し、この測定装置は、光ビームを偏光させ、偏光素子と上記材料層との間で光ビームの第1の伝送経路が放射熱フローの第2の伝送経路と重なるように構成された、光ビームの偏光素子と、可動部分が他方の部分に対して回転する2つの部分を備えた、オフセットされた測定ヘッドを含み、この可動部分が少なくとも1つの反射素子を収容し、測定ヘッドの他方の部分が偏光素子を収容し、上記反射素子は、光ビームを反射して、偏光素子から反射素子に延びる上記光ビームの第1の伝送経路の第1の部分と、反射素子から材料層に延びる上記光ビームの第1の伝送経路の第2の部分とがゼロでない角度をなすように構成される。
そのため、本発明によれば偏光素子の存在によって、材料層を加熱可能な光ビームと材料層により放射される放射熱フローとが装置の一部分で重なるので、この部分の外形寸法が小さくなる。実際、装置のこの部分に存在する素子の構成は一段とコンパクトである。測定装置の一部分の外形寸法を小さくすることによって、シリンダの内部コーティングの厚さ測定のためにエンジンのシリンダ内部に装置を導入できる。
個々にまたは技術的に可能なあらゆる組み合わせに従った、本発明による測定装置の限定的ではない他の特徴および長所は以下の通りである。
−送信手段は、波長100〜1800ナノメートル、周波数1〜10000ヘルツ、光電力1〜500ワットの光源を含み、光ビームの直径が1500〜20000マイクロメートルである。
−偏光素子が、第2の伝送経路に沿って光熱検知手段まで放射熱フローを偏光せずに伝送するように構成されている。
−偏光素子が、菱面体プリズムまたは互いに平行に配置された少なくとも2個の平面ミラーの組み合わせを含む。
−反射素子は、放射熱フローを反射して、材料層からこの反射素子に延びる放射熱フローの第2の伝送経路の第1の部分が光ビームの第1の伝送経路の上記第2の部分に重なるように、また、反射素子から偏光素子まで延びる放射熱フローの第2の伝送経路の第2の部分が光ビームの第1の伝送経路の上記第1の部分に重なるように同様に構成される。
−反射素子に放射熱フローを集束させるように構成された光学収集手段が同様に設けられ、上記光学収集手段が、反射素子と材料層との間に配置される。
−光学収集手段が、光ビームを通過可能にする少なくとも1つの貫通穴を含む。
−貫通穴は、開放されたままにすることもできるし、あるいは光ビームの波長に対して透過性の閉塞手段によって塞ぐこともできる。
−測定ヘッドの可動部分が、光ビームの第1の伝送経路の第1の部分にほぼ平行な軸を中心として回転移動する。
−測定ヘッドが、この測定ヘッドの可動部分を、測定ヘッドの他方の部分に対して回転させるように構成された作動装置を同様に含む。
本発明は、同様に、上記測定装置の使用に関する。この使用によれば、測定ヘッドは、測定ヘッドからの光ビームの出力と材料層との間の距離が4センチメートル未満になるように配置される。
本発明は、同様に、複数の材料層の各材料層の厚さを同時に測定するアセンブリを提案し、各材料層が、エンジンの複数のシリンダのうちの1つのシリンダの内部に配置され、上記のような測定装置を含んでおり、
−上記送信手段は、電気制御手段により電気的に制御される複数の光ビームを送信して、制御信号の上記変調周波数に正弦波で変調された光電力を各光ビームが有するように構成され、各光ビームが、この光ビームに組み合わされる上記材料層のうちの1つの材料層まで第1の伝送経路に沿って伝送され、
−光熱検知手段は、この材料層が組み合わされる光ビームにより加熱される各材料層による放射熱フローを検知して複数の測定信号を送るように構成され、各測定信号が、対応する上記材料層による放射熱フローを示し、各放射熱フローが、光熱検知手段まで第2の伝送経路に沿って伝送され、
−複数の偏光素子が設けられ、各偏光素子が、複数の光ビームのうちの1つの光ビームを偏光させて、各光ビームの第1の伝送経路が、この光ビームを偏光させる偏光素子とこの光ビームに組み合わされる材料層との間で、対応する放射熱フローの第2の伝送経路と重なるように構成され、
−デジタルフィルタリング手段は、制御信号の上記変調周波数に変調された正弦波成分を各測定信号からサンプリングして、この正弦波成分の測定位相を決定するように構成され、
−計算手段は、制御信号の上記変調周波数に対して、各材料層による放射熱フローの上記正弦波成分と、この材料層が組み合わされる光ビームの上記変調光電力との間の位相差を計算するために、また、
−この材料層による上記放射熱フローの上記正弦波成分と、この材料層が組み合わされる光ビームの上記変調光電力との間の位相差に応じて各材料層の厚さを決定するために、プログラムされている。
添付図面に関して限定的ではなく例として挙げられた以下の説明から、本発明の構成内容と実施方式がよりよく理解されるであろう。
添付図において、
本発明による測定装置の概略図である。 本発明によるオフセットされた測定ヘッドの概略図である。 本発明による測定方法を示す概略的なフローチャートである。 制御信号、変調光電力、および放射熱フローの正弦波成分の各曲線を示すグラフである。 測定パラメータの調整後に得られた変調周波数に応じた、放射熱フローの正弦波成分と光ビームの変調光電力との間の位相差の理論上の曲線を示すグラフである。
図1では、材料層2の厚さを測定するための測定装置100の1つの実施形態を示した。
図1に示した実施形態では、材料層2は基板1を被覆している。
変形実施形態では、プレートまたは薄膜の形状を呈して単独であるような材料層の厚さを測定するために本発明の測定装置100を使用可能である。ここで、プレートまたは薄膜とは、その長さおよび幅をずっと下回る厚さを有するプレートまたはフィルムを意味する。
ここで詳しく述べる実施例では、材料層2がたとえば、アルミニウム製の金属基板1に堆積された鋼の層である。基板1は、特に自動車エンジンのシリンダケース内のシリンダの壁から構成可能である。層2は、たとえばこのシリンダの内面に堆積される。
図1に示したように、測定装置100は、
−変調周波数fと制御位相Φcomとを有する正弦波制御信号11を送ることが可能な電気制御手段110と、
−上記電気制御手段110により電気的に制御される、光ビーム121Aの送信手段120と、
−上記光ビーム121Aにより加熱された上記材料層2による放射熱フロー131Aを検知し、上記材料層2による放射熱フロー131Aを示す測定信号133Aを送るように構成された光熱検知手段130と、
−デジタルフィルタリング手段141と、
−計算手段142と、を含む。
電気制御手段110は制御信号111Aを送る。
電気制御手段110は、ここでは、低周波数電流発生器111に接続された電源112を含む(図1参照)。この低周波数電流発生器111は、ここでは、低周波数正弦波電圧源と、正弦波電圧の変動を電流変動に変換する電流調整器とを含む。
そのため、電流発生器111は、電流強度(アンペア(符号A)で表す)が経時的に変調される電流を周波数設定値に応じて発生する。
ここでは特に、電流発生器111は、変調周波数fの正弦波電流を時間tに応じて発生する。
電流発生器111が発生する正弦波電流は、電気制御手段110により送られる制御信号を形成する。
一般に、この制御信号(以下icom(t)と記す)は、icom(t)=i cos(2π t+Φcom)の形で表され、ここで、iおよびΦcomは、それぞれ、制御信号の制御振幅(単位:アンペア(A))と制御位相(単位:ラジアン(rad))を示す。
図4では、変調周波数fが1000Hz、制御振幅が1アンペア、制御位相Φcomが0ラジアンの場合の制御信号を経時的に示す曲線11の1例を示した。
送信手段120は、ここではレーザダイオードである光源121を含む。
ここで使用されるレーザダイオードは、送信波長λの光を送信するダイオードである。波長λは、100〜1800ナノメートル(nm)である。レーザダイオードの周波数は1〜10000ヘルツ(Hz)である。レーザダイオードの最大光電力Pmaxは1〜500ワット(W)である。
変形実施形態では、送信手段120の光源は、たとえばガスレーザ、固体レーザまたはドープファイバレーザ等のレーザとすることができる。
電気制御手段110による制御のもと、レーザダイオードは送信波長λの光ビーム121Aを送信する。
光ビーム121Aの直径(ここでは「スポット径とも呼ばれる」は、光ビーム121Aと、測定されるコーティング部品の外面に接する面(ここでは基板1と材料層2)との交点にある面の直径として定義される。光ビーム121Aの直径は1500〜20000マイクロメートル(μm)である。
励起時間は、1点で測定を実施するために光ビーム121Aが材料層2を加熱する持続時間に対応する。この励起時間は、測定の実現可能性を左右しない。その値は、所望の精度と、個別の各測定に必要な受入時間との釣り合いに基づいて決定しなければならない(特に工業生産速度の場合)。
図1に示した実施形態では、レーザダイオードは、制御信号111Aを送る電流発生器111によって直接電流制御される。
このように制御されることによって、レーザダイオードから送信される光ビーム121Aは、時間tの関数として光電力Popt(t)(単位ワット(W))を有し、光電力は、制御信号111Aの変調周波数fに正弦波で変調される。
一般に、光源121から送信される光ビーム121Aの光電力Popt(t)は次のような形で表すことができる:Popt(t)=P cos(2π t+Φopt)。ここで、PおよびΦoptは、それぞれ、最大変調光電力(単位:ワット(W))と光ビーム121Aの位相(単位:ラジアン(rad))である。以下、光ビーム121Aのこの位相Φoptを「光学位相」と呼ぶ。
図4では、曲線21によって、時間tの関数として光ビーム121Aの変調光電力Popt(t)の1例を示した。
この図4では、変調光電力Popt(t)を示す曲線21と制御信号icom(t)を示す曲線11とは、変調周波数fに対して互いに時間的なずれを有する。
以下、制御信号と変調光電力を一般に参照符号11と21とによってそれぞれ示す。
こうした時間的なずれは、光源121の応答時間によるものであり、光源は、電流発生器111による電気的な制御のもと、光ビーム121Aを送信する際に制御信号111Aにすぐには反応しない。
換言すれば、変調光電力Popt(t)と制御信号icom(t)は、変調周波数fにおいて相対的に位相差がある:これらの2つの物理的な値は、互いに位相差ΔΦopt/comを有する。
この位相差ΔΦopt/comは、変調光電力21の光学位相Φoptと制御信号11の制御位相Φcomとの差に等しく(図4参照)、すなわちΔΦopt/com=Φopt−Φcomに等しい。
以下の説明では、本発明による測定方法のキャリブレーション工程の際に、変調周波数fにおいてキャリブレーション位相差ΔΦcalが決定され、このキャリブレーション位相差ΔΦcalが、光ビーム121Aの変調光電力Poptと制御信号11との位相差ΔΦopt/comによって決定される。
送信手段120は、光ビーム121Aにより材料層2を照射するように構成され、該光ビームは、加熱点2Aでこの材料層2に入射される(図1参照)。
有利には、ここでは送信手段120が材料層2から離れて配置されている。実際には、たとえば、送信手段は、試験対象のシリンダから離れて配置される。
これは、好ましくは、上記電気制御手段110ならびにデジタルフィルタリング手段141および計算手段142に対しても該当する。
ここで図示した実施例では、測定装置100が、有利には、オフセットされた小型の測定ヘッド250を含む。オフセットされた測定ヘッド250は、上記送信手段120から離れて配置される。
特に、この測定ヘッド250は、シリンダ内部に配置された材料層の厚さを測定するために、エンジンのシリンダ内部に導入されるように構成される。この距離は、測定ヘッド250の外形寸法を考慮してシリンダケースの大部分のシリンダ内で使用可能であり、特にシリンダの内部に入れるようにされる。
測定装置100の使用に応じて、測定ヘッド250は、測定ヘッド250からの光ビーム121Aの出力と材料層2との間の距離が4センチメートル(cm)未満となるように配置される。
この測定ヘッド250は、特に、測定装置100の様々な光学的および機械的構成要素を収容する本体を含む。
オフセットされたこの測定ヘッド250は、第1の光ファイバ252Aを用いて送信手段120に接続される。上記送信手段120から測定ヘッド250に向けて送信される光ビーム121Aは、この第1の光ファイバ252Aを介して前進する。
第1の光ファイバ252Aは、レーザダイオードから送信された光ビーム121Aが第1の光ファイバ252Aの内部に結合されて、オフセット測定ヘッド250まで搬送されるように、レーザダイオードの出力に接続される(図1参照)。
第1の光ファイバ252Aは、測定ヘッド250の本体の内部に通じる。
図2は、測定ヘッド250と、この測定ヘッドが含む様々な構成要素を示す。
オフセットされた測定ヘッド250は、まず、光ビーム121Aを第1の光ファイバ252Aの出力にコリメートするための光学コリメーション手段122を含む。
実際、レーザダイオードから送信された光ビーム121Aは、第1の光ファイバ252Aの出力で、たとえば10°〜40°の大きい開口角度を有する。
光学コリメーション手段122は、ここでは、レーザダイオードの送信波長範囲における光学収差を補正されるダブレットレンズから形成される。
変形実施形態では、光学コリメーション手段122は、たとえば非球面レンズを含むことができる。
光ビーム121Aの行程に光学コリメーション手段122を挿入することによって、光ビームの発散角はいっそう小さくなり、一般には5°未満である。そのため、光ビーム121Aがより細くなり、すなわちその半径rが1/e(単位:メートル(m)またはミリメートル(mm))が小さく、たとえば0.5mm〜3mmである。
このようにして、材料層2により吸収される光ビーム121Aによって堆積される表面エネルギー量がより大きくなり、特定された加熱点2Aにおける温度上昇が一段と大きくなる。
発散角がいっそう小さい光ビーム121Aは、測定ヘッド250内で第1の伝送経路に沿って伝送される。この第1の伝送経路は、コリメーション手段122から材料層2まで延びる。
本説明において、「伝送経路」とは、信号が、この信号のあらかじめ決められた送信領域と受信領域との間で伝送されるスペースの領域を意味する。たとえば、第1の伝送経路は、光ビーム121Aが通過する進路に対応する。
意外なことに、測定装置100は、図2に示したように、光ビーム121Aの偏光素子181を同様に含む。偏光素子181は、光ビーム121Aを偏光させるように構成される。
より詳しくは、ここでは、偏向素子181が、光ファイバの外に伝送される光ビーム121Aを偏光させるように構成される。この偏光素子181は、光ファイバとは異なる。
より詳しくは、この偏光素子181は測定ヘッド250内に配置され、上記光学コリメーション手段122の出力で光ビーム121Aを偏光させるように構成される。
ここで、光ビーム121Aの偏光とは、光ビーム121Aの伝送軸の変更を意味する。光ビームは、あらゆる光ファイバまたは他の光学素子の外で、1つの伝送方向を有する伝送軸に沿って全体として直線状に伝送される。
偏光素子181は、光ビーム121Aの第1の伝送経路に少なくとも1つの方向変換を導入する。
実際、ここでは、偏光素子181は、光ビーム121Aの第1の伝送経路に2つの方向変換を導入し、その結果、光ビーム121Aの伝送軸は、この偏光素子181を介して通路からずらされている:偏光素子181の出力における光ビーム121Aの伝送軸は、この偏光素子181の入力における光ビーム121Aの伝送軸に平行に延びている。伝送方向は偏光素子181によって修正されない。ここでは、伝送軸の位置だけが修正されている。
そのため、偏光素子181は、この偏光素子181の上流に延びているために偏光素子181への入射光ビーム121Aの経路に対応する、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第1の部分と、偏光素子181の下流に延びているために偏光素子181から出る光ビーム121Aの経路に対応する、第1の伝送経路の第2の部分との間にオフセットを導入している。
光ビーム121Aの伝送経路の第1の部分は、ここでは、光学コリメーション手段122と偏光素子181との間に延びている。
図2に示したように、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第1の部分と第2の部分とはここでは平行である。
変形実施形態では、偏光素子181内の通過によって光ビーム121Aの伝送方向を修正することも検討可能である。
この偏光を可能にするために、偏光素子181は、光ビーム121Aの波長λを反射する少なくとも1つの反射面、好ましくは、光ビーム121Aの波長λを反射する少なくとも2つの反射面を含む。
実際には、偏光素子181は、内面が光ビーム121Aの波長λを反射する菱面体プリズムである。
変形実施形態では、偏光素子181は、互いに平行に配置された2個の平面ミラーを平行に組み合わせて形成可能である。この場合、ミラーの反射面は、光ビーム121Aの波長λを反射するために処理される。
図2に示したように、測定ヘッド250は反射素子182を同様に含む。反射素子182は、光ビーム121Aを反射して、光ビーム121Aの第1の伝送経路に1つの方向変換を導入するように構成される。
反射素子182は、偏光素子181の出力で光ビーム121Aの行程に配置される。
その場合、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第2の部分は、偏光素子181と反射素子182との間に延びる。
光ビーム121Aのこの第1の伝送経路の第3の部分は、反射素子182と材料層2との間に延びる。
その場合、反射素子182は、光ビーム121Aの第1の伝送経路を、この光ビーム121Aの第1の伝送経路の第2の部分と第3の部分が互いにゼロでない角度をなすように、配向することができる。
実際には、この角度を45°〜100°とすることができる。必要に応じて、この角度を180°の値に近づけることが可能である。たとえば、エンジンの円筒形のシリンダ内部のコーティングの厚さ測定の場合、この角度は通常90°である。
ここで記載した実施例では、光ビーム121Aは、試験されるシリンダの軸にほぼ平行な入力方向に沿って測定ヘッド250内に入る。そのため、測定ヘッド250内の偏光素子181と反射素子182との上記構成によって、光ビーム121Aは、入力方向と上記角度を形成しながら、測定ヘッド250から出る。
有利には、ここでは、光ビーム121Aが入射角度90°で材料層2に入射する。
図2に示したように、その場合、反射素子182は、光ビーム121Aを材料層2に向けて配向可能である。実際には、反射素子182は、光ビーム121Aの波長λを反射する平面ミラーである。
光ビーム121Aによる材料層2の照射の結果、材料層2の加熱点2Aの位置とその周囲で光ビーム121Aが吸収されて材料層2が温められたことで、材料層2が加熱される。
この加熱の結果、加熱点2Aの位置で材料層2の温度が変化していき、局部的に加熱された材料層2は、その場合、スペース全体への熱放射によって放射熱フロー131Aを放射する(図1および図2参照)。
この放射熱フロー131A(単位:ワット(W))は、特に加熱点2Aで材料層2が到達する局部的な温度に関係する。
一般に、局部的な温度に到達すると、赤外線波長範囲で放射熱フロー131Aが放射される。
光ビーム121Aの光電力21が変調されるので、材料層2により吸収される光電力の部分が経時的に同様に変化し、加熱点2Aの位置におけるこの材料層2の局部的な加熱は同様に経時的に変動する。
その結果、加熱点2Aにおける材料層2の温度は、光ビーム121Aと同じ変調周波数で同様に経時的に変動する。
そのため、材料層2による放射熱フロー131Aは経時的に変化する。測定装置100によるこの放射熱フロー131Aの変動測定によって、材料層2の厚さを決定することができる。
図1と図2に示したように、材料層2による放射熱フロー131Aは、第2の伝送経路に沿って測定ヘッド250に向けて伝送され、また測定ヘッド内で伝送される。
第2の伝送経路は、材料層2と上記光熱検知手段130との間で放射熱フロー131Aが通る進路に対応する。
測定ヘッド250は光学収集手段132を含む。これらの光学収集手段132は、放射熱フロー131Aの行程において材料層2と反射素子182との間に配置される。光学収集手段は、放射熱フロー131Aを収集して、これを反射素子182に集束させるように構成される。
光学収集手段132は、ここでは貫通穴132Aを含む。この貫通穴132Aは、反射素子182から材料層2までの光ビーム121Aの伝送時に、光ビーム121Aを通過可能にする。
変形実施形態(図示せず)では、貫通穴132Aが、少なくとも光ビーム121Aの波長λに対して透過性の閉塞手段により塞がれる。これにより、特に、埃、湿気または他の異物の侵入から測定ヘッド250を保護することができる。
貫通穴132Aは、たとえば、光ビーム121Aを集束させることが可能な凸レンズで塞ぐことができ、それによって、たとえば0.1〜1ミリメートル(mm)の非常に小径の光ビーム121Aを得られる。
別の実施形態によれば、貫通穴132Aは発散レンズで塞がれる。これにより、たとえば直径1〜15mmの、より大径の光ビーム121Aを材料層2の表面に得られる。
さらに別の変形実施形態によれば、貫通穴132Aは、光ビーム121Aの波長λを少なくとも通す窓によって塞がれる。この窓は、たとえばフッ化カルシウム(CaF)から形成可能である。
材料層2への光ビーム121Aの入射角度が90°であるので、放射熱フロー131Aの大部分が、材料層2から90°に配向された方向に測定ヘッド250に向かって放射される。
さらに、光学収集手段132は、好ましくは、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第3の部分にセンタリングされる。
そのため、材料層2から放射されて反射素子182まで進む放射熱フロー131Aの全体的な方向は、ここでは、材料層2への光ビーム121Aの入射方向と同じである。放射熱フロー131Aと、対応する光ビーム121Aとの伝送軸は一致する。
換言すれば、ここでは、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第3の部分は、材料層2と反射素子182との間に延びる、放射熱フロー131Aの第2の伝送経路の第1の部分に重なる。
反射素子182は、放射熱フロー131Aを反射するように同様に構成される。したがって、実際には、反射素子182の反射面は、光ビーム121Aと放射熱フロー131Aとを反射するように処理される。
放射熱フロー131Aの第2の伝送経路の第2の部分は、反射素子182と偏光素子181との間に延びる。
その場合、反射素子182は、放射熱フロー131Aのこの第2の伝送経路の第1の部分と第2の部分とが互いにゼロでない角度をなすように、放射熱フロー131Aの第2の伝送経路を配向することができる。この角度は、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第2の部分と第3の部分との間に反射素子182により導入される角度と明らかに同じである。
実際には、先に述べたように、この角度は45°〜100°とすることができる(さらに、特定の場合には180°よりやや狭くすることができる)。たとえば、エンジンのシリンダ内部のコーティングの厚さ測定の場合、角度は通常90°である。
そのため、放射熱フロー131Aの第2の伝送経路の第2の部分と光ビーム121Aの第1の伝送経路の第2の部分とが同様に重なる。
図2に示したように、放射熱フロー131Aは、その後、偏光素子181に向かって伝送される。偏光素子181は、放射熱フロー131Aの第2の伝送経路に沿って放射熱フロー131Aを偏光せずに伝送するように構成される。実際には、偏光素子181の表面は光ビーム121Aを反射するが、放射熱フロー131Aを反射することはない。したがって、放射熱フロー131Aの伝送方向は、偏光素子181を介した通過によって修正されない。
偏光素子181の存在によって、偏光素子181と材料層2との間で光ビーム121Aの第1の伝送経路と放射熱フロー131Aの第2の伝送経路とを重ねることができる。その結果、測定ヘッド250はいっそうコンパクトになる。
より詳しくは、ここでは、偏光素子181と材料層2との間で光ビーム121Aの第1の伝送経路と放射熱フロー131Aの第2の伝送経路とが完全に重なる。
偏光素子181の下流すなわち、この偏光素子181からの放射熱フロー131Aの出力で、放射熱フロー131Aの第2の伝送経路は、測定ヘッド250の光熱検知手段130まで延びる第3の部分を含む。
同様に測定ヘッド250に含まれる光学フィルタ135は、放射熱フロー131Aの行程において放射熱フロー131Aの第2の伝送経路のこの第3の部分に沿って配置される。光学フィルタ135は、偏光素子181と光熱検知手段130との間に配置される。
これらの光熱検知手段130は、光ビーム121Aにより加熱される材料層2による放射熱フロー131Aを検知するように構成される。
特にここでは、これらの光熱検知手段130が、材料層2による放射熱フロー131Aを集めるための赤外線光熱検知器131を含む。
光学フィルタ135は、光源121の放射波長λに近い波長に対して光透過率が低くなるように構成される。
このような光学フィルタ135は、たとえば10以上、好ましくは20以上の光学密度を有するゲルマニウム製のフィルタとすることができる。
この光学フィルタ135は、材料層2の表面で反射される光ビーム(図示せず)による光熱検知器131の照射を阻止することができる。
その反対に、光学フィルタ135は、赤外線領域で光透過率が高く、光熱検知器131に向かって放射熱フロー131Aの大部分を透過する。
光学フィルタ135による透過後、放射熱フロー131Aは、光熱検知手段130に含まれる光熱検知器131により収集される。実際には、他の光学集束手段(図示せず)が、放射熱フロー131Aを集束可能である。これらの他の集束手段は、たとえば、ゲルマニウム製のレンズタイプである。
その場合、これらの光熱検知手段130は放射熱フロー131Aを検知可能である。
光熱検知器131は、たとえば、セレン化鉛セルや、アンチモン化インジウムC.I.Dすなわち「Charge−Injection Device(電荷注入装置)」タイプの冷却型センサ、またはテルル化カドミウム水銀の冷却型センサ等の単一の赤外線検知器とすることができる。
光熱検知器131は、光ビーム121Aにより照射される材料層2の局部的な加熱点2Aによる放射熱フロー131Aに応じて決定されるアナログ電気信号131Bを発生する(図2参照)。
検知手段130は、アナログ信号131Bが伝達されるアナログ/デジタル変換器133を同様に含む。
このアナログ/デジタル変換器133は、その場合、材料層2による放射熱フロー131Aを示すデジタル信号の測定信号133Aを送る(図2参照)。
図1に示したように、測定装置100は、さらに、電子情報処理ユニット140(以下、UEIと示す)を含む。このUEI140は、測定ヘッド250から離れて配置される。
測定ヘッド250は、第2の光ファイバ252BによってこのUEI140に接続される。放射熱フロー131Aを示す測定信号133Aは、この第2の光ファイバ252Bを介して光熱検知手段130からUEI140まで進む。
変形実施形態では、第2の光ファイバ252Bの代わりに、測定信号133Aの伝送ケーブルを用いることができる。
第1の光ファイバ252Aと第2の光ファイバ252Bとからなる光ファイバビーム252により送信手段120とUEI140に接続される測定ヘッド250の存在によって、送信手段120とUEI140は、厚さを決定すべき材料層2から離れて配置可能である。
これは、この材料層2が小型の半閉鎖システムの内部にある場合に特に有利である。
たとえば長さが数メートルを上回り、さらには数十メートルを上回る適切な長さの光ファイバ(および/またはケーブル)を用いることによって、利用可能なスペースがどちらかといえば狭くても測定を実施することができる。このような構成は、たとえば、エンジンのシリンダケース内で直径約数センチメートルのシリンダの内部コーティングの厚さを測定するのに特に適している。
さらに、図2に示したように、測定ヘッド250は、好ましくは、第1の部分254と第2の部分255との2つの部分を含む。
第2の部分255は、第1の部分254に対して回転移動する。実際、測定ヘッド250は、第2の部分255を回転させるように構成された作動装置300を含む。作動装置300は専用モータを含む。回転は、光ビーム121Aの第1の伝送経路の第1の部分にほぼ平行な回転軸305を中心として実施される。
測定ヘッド250の第1の部分254は、少なくとも偏光素子181を含む。図2に示した実施例によれば、測定ヘッド250の第1の部分254が、光学コリメーション手段122、光学フィルタ135、および光熱検知手段130を同様に含む。
測定ヘッド250の第2の部分255は、少なくとも反射素子182を含む。図2に示した実施例では、測定ヘッド250の第2の部分255が、光学収集手段132を同様に含む。
反射素子182の回転によって、新たに調整を実施する必要なしに、コーティングの厚さを知りたい表面の内部の掃引が可能になる。エンジンのシリンダの場合、回転軸305を中心とする第2の部分255の回転によってシリンダ内部を掃引し、それによって、シリンダの断面の周囲の様々な場所でこのシリンダの内部コーティングの厚さを簡単かつ迅速に測定できる。
変形実施形態では、測定ヘッド250全体の移動システムを、測定ヘッド250の第2の部分255の回転軸305に平行な方向に沿って測定装置100に設けることを同様に検討してもよい。その場合、測定ヘッド250は、回転軸305に沿って並進移動するように構成され、これによりシリンダの軸に沿って様々な高さで材料層2の厚さを容易かつ迅速に制御することができる。
変形実施形態では、光熱検知手段130を測定ヘッド250の外に配置してもよい。この場合、第2の光ファイバ252Bは、オフセットされた測定ヘッド250から光熱検知手段130に向けて放射熱フロー131Aを前進することができる。これにより、測定ヘッド250の外形寸法をさらに小型化できる。
図1に示したように、上記で導入されたUEI140は、まず、検知手段130のアナログ/デジタル変換器133によりデジタル化された測定信号133Aを入力で受信するデジタルフィルタリング手段141を含む。
先に説明したように、材料層2による放射熱フロー131Aは、光電力21が経時的に変化する光ビーム121Aを吸収する材料層2の温度変動に関連する揺れ幅を有する(図4参照)。
図4では、放射熱フロー131Aの正弦波成分を経時的に示す曲線31の1例を示した。
材料層2の放射熱フロー131Aに応じて決められる測定信号133Aは、変調周波数fに変調される正弦波成分を同様に含む。
測定信号133Aのこの正弦波成分は、制御信号を示す曲線11に対して位相をずらされている。測定信号133Aのこの正弦波成分の位相を測定位相Φmesと呼ぶ。
測定信号133Aは光検知器131により検知された材料層2による放射熱フロー131Aを示すので、この測定位相Φmesは、放射熱フロー131Aの正弦波成分31に対応する「熱」位相Φthと、光検知器131およびデータ収集装置の電子手段の内部位相Φintとの和であり、すなわちΦmes=Φth+Φintである。
以下、一般に、測定信号133Aの正弦波成分を参照符号31Aで示す。
UEI140のデジタルフィルタリング手段141は、測定信号133Aの正弦波成分31Aをサンプリングして、制御手段11の変調周波数fにおける当該正弦波成分31Aの測定位相Φmesを決定するようにプログラムされている。
より詳しくは、デジタルフィルタリング手段141は、ここでは、次のような従来の演算を実施する:
i)測定信号133Aをフーリエ変換により計算する。
ii)たとえば変調周波数fを中心とする帯域幅10ヘルツの非常に狭くかつ非常に選択的なバンドパスフィルタを用いて、測定信号133Aの正弦波成分31Aをフーリエ領域でサンプリングする。
変形実施形態では、上記演算ii)の後に、フィルタリングされた測定信号のフーリエ変換の逆フーリエ変換を計算し、次いで、制御信号11との比較により測定位相を直接決定することによって、測定位相を決定することができる。
変形実施形態ではさらに、デジタルフィルタリング手段が、測定信号と制御信号との間で交差共分散とも呼ばれる交差相関を計算し、これにより、フーリエ領域で、これらの2つの信号間の類似ピークをサンプリングすることができる。この類似ピークは、複雑な表れ方をし、それについては2つの信号間の位相差のところで説明する。
UEI140は、測定位相Φmesを決定するために正弦波成分31Aの実部と虚部とを分離する計算手段142を同様に含む。
より詳しくは、これらの計算手段142は、測定信号133Aの正弦波成分31Aをフーリエ変換の逆フーリエ変換により実部と虚部とに分離するが、このフーリエ変換は複雑な関数である。
その後、計算手段142は、制御信号11の変調周波数fに対して、放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間で位相差ΔΦth/optを計算する。
そのため、計算手段142は、以下すなわち:
−測定信号133Aのデジタルフィルタリング後に得られる測定位相Φmesを計算手段142に伝達するデジタルフィルタリング手段141と、
−制御信号11の制御位相Φcomを結合線111Bを介して計算手段141に伝達する電流発生器111と、
−本発明による測定方法のキャリブレーション工程の際に変調周波数fにおける所定のキャリブレーション位相差ΔΦcalをあらかじめ記録された記憶手段143と、
に接続される。
計算手段142は、放射熱フロー131Aの正弦波成分31と、光ビーム121Aの変調光電力21との間で位相差ΔΦth/optを計算するようにプログラムされ、これは以下すなわち:
−測定位相Φmesと制御位相Φcomとの間の測定位相差ΔΦmes(したがって、この測定位相差ΔΦmesは:ΔΦmes=Φmes−Φcomである)と、
−記憶手段143にあらかじめ記録されたキャリブレーション位相差ΔΦcalと、
に基づいて行われる。
計算手段142は、材料層2による放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間の位相差ΔΦth/optに応じて材料層2の厚さを決定するように同様にプログラムされる。
以下の説明では、この決定を実施するために、これらの測定手段が本発明による測定方法でどのように使用されるかについて述べる。
図1と図2に示した測定装置100の実施形態では、UEI140は、電流発生器111の変調周波数fを調整するために結合線111Bによって制御手段110を同様に制御可能である。
有利には、測定装置100は、複数の材料層のうちの各材料層の厚さを同時に測定するアセンブリに組み込み可能であり、各材料層は、エンジンの複数のシリンダのうちの1つのシリンダの内部に配置される。
この測定アセンブリでは、
−上記送信手段は、上記電気制御手段により電気的に制御される複数の光ビームを送信して、制御信号の上記変調周波数fに正弦波で変調された光電力を各光ビームが有するように構成され、各光ビームが、この光ビームに組み合わされる上記材料層のうちの1つの材料層まで第1の伝送経路に沿って伝送され、
−光熱検知手段は、この材料層が組み合わされる光ビームにより加熱される各材料層による放射熱フローを検知して複数の測定信号を送るように構成され、各測定信号が、対応する上記材料層による放射熱フローを示し、各放射熱フローが、光熱検知手段まで第2の伝送経路に沿って伝送され、
−複数の偏光素子が設けられ、各偏光素子が、複数の光ビームのうちの1つの光ビームを偏光させて、各光ビームの第1の伝送経路が、この光ビームを偏光させる偏光素子とこの光ビームに組み合わされる材料層との間で、対応する放射熱フローの第2の伝送経路と重なるように構成され、
−デジタルフィルタリング手段は、上記制御信号の変調周波数fに変調された正弦波成分を各測定信号からサンプリングして、この正弦波成分の測定位相Φmesを決定するように構成され、
−計算手段は、制御信号の上記変調周波数fに対して、各材料層による放射熱フローの正弦波成分と、この材料層が組み合わされる上記光ビームの変調光電力との間の位相差ΔΦth/optを計算するために、また、
−この材料層による上記放射熱フローの正弦波成分と、この材料層が組み合わされる光ビームの変調光電力との間の位相差ΔΦth/optに応じて各材料層の厚さを決定するために、プログラムされている。
上記複数のシリンダにおけるシリンダは、たとえばアラインメントしておくことができる。
測定アセンブリは、たとえば、上記のような複数の制御手段と複数の送信手段とを含む。各制御手段は、1つの送信手段に組み合わされる。これにより、上記複数の光ビームを発生可能である。実際には、エンジン内のシリンダと同数の光ビームが発生される。したがって、好ましくは、同時制御されるシリンダと同数の制御手段および送信手段が設けられる。
測定アセンブリは同様に、すべてのシリンダにおいて同時に厚さ測定できるようにするために、制御されるシリンダと同数の、先に述べたような測定ヘッドを含む。各測定ヘッドは、上記複数の送信手段のうちの1つの送信手段から送られる単一の放射ビームを受け取る。
オフセットされた各測定ヘッドは、その後、対応するシリンダ内で実施される測定に対応する測定信号を発生する。したがって、複数の測定信号が生まれる。そのため、実際には、エンジン内に含まれるシリンダと同数の測定信号がある。
測定アセンブリは、さらに、好ましくは、すべてのシリンダに対して発生した測定信号全体を分析し、したがって、エンジンのシリンダケースの各シリンダの内部でコーティングの厚さを同時に決定可能な、単一のUEIを含む。
以下、図3を参照しながら、図1と図2に示した測定装置100を用いた本発明による材料層2の厚さ測定方法について説明する。
ここで記載した実施例では、それぞれfm,1、fm,2、...fm,22まで示した22個の変調周波数の集合を使用し、これらの変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22はすべて互いに異なっている。
この特定の実施形態によれば、測定方法は、ここでは次の3つの連続期間を含む:
−使用される各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22で電気制御手段110に対して送信手段120をキャリブレーションする手段(図3のブロックA)を含む第1の期間(P1)(図3参照)、
−各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22に対して、以下すなわち:
−光ビーム121Aを用いた材料層2の加熱工程(図3のブロックB)
−光熱検知器131による放射熱フロー131Aの検知工程(図3のブロックC)
−UEI140による測定信号133Aのデジタルフィルタリング工程(図3のブロックD)、および
−UEI140による測定位相差ΔΦmesの計算工程(図3のブロックE)
を含む第2の期間P2(図3参照)、
−UEI140による材料層2の厚さ決定(図3のブロックF)を含む第3の期間P3(図3参照)。
次に、これらの各位相について説明する。
第1の期間P1
この第1の期間P1のとき、各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22に対して送信手段120のキャリブレーション工程(図3のブロックA参照)を実施し、考慮された変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22で、光熱検知手段130により変調光電力21と制御信号11との間のキャリブレーション位相差ΔΦcal,1、ΔΦcal,2、...、ΔΦcal,22を決定する(図4参照)。
このキャリブレーション工程は、材料層2と基板1に代わって配置かつ配向された平面ミラーを用い、また、光熱検知手段130によってミラーにより反射される光ビームを測定するために毎回光学フィルタ135を除去しさえすれば、図1と図2に示した測定装置100により簡単に実施可能である。
この構成では、検知手段130から送られる測定信号133Aが正弦波であり、この測定信号133Aのデジタルフィルタリングが一切不要である。その場合、UEI140は、各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22に対して、レーザダイオードと電流発生器111との間でキャリブレーション位相差ΔΦcal,1、ΔΦcal,2、...、ΔΦcal,22を決定し、これをUEI140の記憶手段143に記録する。
光検知器131により測定されたこのキャリブレーション位相差ΔΦcal,は、変調光電力21と制御信号11との間の位相差ΔΦopt/comに応じて決定される。より詳しくは、ここでは、キャリブレーション位相差ΔΦcalは、光検知器131の内部位相Φintに関連して必ずバイアスを含むので、キャリブレーション位相差ΔΦcalは、位相差ΔΦopt/comと、光検知器131およびデータ収集装置の電子手段の内部位相Φintとの和である。そのため、以下の関係式が得られる:
ΔΦcal=ΔΦopt/com+Φint=(Φopt−Φcom)+Φint=(Φopt+Φint)−Φcom。
第1の期間P1の終わりに、22個の変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22の集合に対してそれぞれ決定された様々なキャリブレーション位相差ΔΦcal,1、ΔΦcal,2、...、ΔΦcal,22が決定され、UEI140の記憶手段143に記録される。
好ましくは、この第1の位相が、第2の位相P2、第3の位相P3の前に実施される。
第2の期間P2
測定方法の第2の期間P2は、測定装置100の送信手段120からの光ビーム121Aによる材料層2の照射によって材料層2を加熱する工程(図3のブロックB)から開始される(図1および図2参照)。
第1の加熱工程は、たとえば第1の変調周波数fm,1に対して実施される。
次に、光ビーム121Aにより加熱された材料層2による放射熱フロー131Aを光熱検知手段130によって検知する第1の検知工程(図3のブロックC)が実施され、したがって、光ビームの光電力21は第1の変調周波数fm,1に正弦波で変調される。
放射熱フロー131Aは、光熱検知器131によって収集され、その場合、光熱検知手段130は、材料層2による放射熱フロー131Aを示す第1の測定信号133Aを送る。
その後、第1のデジタルフィルタリング工程(図3のブロックC)の際に、この第1の測定信号133AがUEI140のデジタルフィルタリング手段141によりデジタル的にフィルタリングされ、第1の変調周波数fm,1に変調された第1の正弦波成分31Aをそこからサンプリングする。
第1の正弦波成分31Aは、この第1の正弦波成分31Aの第1の測定位相Φmes,1を決定するUEI140の計算手段142に伝送される。
さらに、第1の計算工程(図3のブロックE)の際に、計算手段142は、第1の変調周波数fm,1に対して、放射熱フロー131Aの第1の正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間の第1の位相差ΔΦth/opt,1を計算する。
この第1の位相差ΔΦth/opt,1は、第1の正弦波成分31Aの第1の測定位相Φmes,1と制御信号11の第1の制御位相Φcom,1との間の第1の測定位相差ΔΦmes,1と、第1の期間P1の第1のキャリブレーション工程の際にあらかじめ決定された第1のキャリブレーション位相差ΔΦcal,1とに基づいて計算される(図3のブロックAとブロックEとの間の実線の矢印参照)。
特に以下の関係式が得られる:
ΔΦth/opt,1=ΔΦmes,1−ΔΦcal,1、ここでΔΦmes,1=Φmes−ΦcomおよびΔΦcal,1=(Φopt+Φint)−Φcom
したがって、ΔΦth/opt,1=(Φmes−Φcom)−[(Φopt+Φint)−Φcom
すなわちΔΦth/opt,1=[(Φth+Φint)−Φcom]−[(Φopt+Φint)−Φcom]、次のように表せる。
ΔΦth/opt,1=(Φth+Φint)−(Φopt+Φint)。
これにより最終的に以下が得られる:ΔΦth/opt,1=Δth−Δopt
そのため、キャリブレーション工程と検知工程との両方に光熱検知手段130を用いることによって、制御信号11の変調周波数fがどうであろうと光熱検知器131の内部位相の問題を乗り越え、本発明による測定方法により放射熱フロー131Aと光ビーム121Aとの位相差ΔΦth/optの非常に正確な測定が得られる。
ここで説明した測定方法の実施例では22個の変調周波数が用いられている。
しかし、本発明による測定方法は、制御信号の変調周波数がたった1つだけでも、あるいは、1つ以上のあらゆる数の変調周波数に対しても実施可能である。
複数の変調周波数を用いる場合、測定方法の精度がよくなる。
第2の期間P2では、他の変調周波数fm,2..、fm,22の各々に対してキャリブレーション工程、加熱工程、検知工程を繰り返す。
他の計算工程では、これらの他の変調周波数fm,2..、fm,22に対して、放射熱フロー131Aの他の変調周波数fm,2..、fm,22における他の正弦波成分と、これらの変調周波数fm,2..、fm,22における光ビーム121Aの変調光電力21との間の他の位相差ΔΦth/opt,2、...ΔΦth/opt,22を同様に計算する。
有利には、連続して検討される2つの個々の変調周波数fとf’に対して、後で検討される変調周波数f’mに対して実施される加熱工程(図3のブロックB)と検知工程(図3のブロックC)が、直前に検討された変調周波数fに対して実施されるデジタルフィルタリング工程(図3のブロックD)と計算工程(図3のブロックE)と並行して実施される(図3のブロックCとブロックBとの間の破線の矢印G参照)。
このようにして、第2の期間P2の持続時間が短縮され、各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22に対して計算される位相差ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2、...ΔΦth/opt,22の集合をより迅速に得られる。
そのため、第2の期間P2の終わりには、放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間の様々な変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22において、測定された位相差の実験値ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2...ΔΦth/opt,22の集合が得られる。
第3の期間P3
第3の期間P3では、材料層2による放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間で各変調周波数fm,1、fm,2..、fm,22に対して計算された位相差ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2...ΔΦth/opt,22に応じて材料層2の厚さの決定工程(図3のブロックF)を実施する。
このため、測定された位相差の実験値ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2...ΔΦth/opt,22について統計的回帰を用いて処理することができる。
より詳しくは、第2の期間P2の際に計算された位相差ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2...ΔΦth/opt,22の実験値と、正弦波成分31と変調周波数に応じて変調される光電力21との間の理論上の位相差ΔΦth/opt,theoを示す理論上の曲線を用いて得られた理論上の値とを比較することによって曲線を調整する。
実際、特定の変調周波数fに対して、理論上の位相差ΔΦth/opt,theoは、材料層2の厚さdにおいて、たとえば数学的な関係式(関係式R1)により次のように表されることを示す。:
Figure 2021521453
ここで
Figure 2021521453
および
Figure 2021521453
上記の式では、材料に依存する様々な物理的定数と複数の幾何学的パラメータとが介在する。特に:
−ρおよびρは、それぞれ、材料層2と基板1の単位体積当たりの熱容量(単位:ジュール毎ケルビンおよびジュール毎立方メートル(J.K−1.m)、
−kおよびkは、それぞれ、材料層2と基板1の熱伝導率(単位:ワット毎メートルおよびワット毎ケルビン(W.m−1.K−1))、
−dは、材料層2の厚さ(単位:メートル(m))、
−rは、レーザの光ビーム121Aの1/eにおける半径(単位メートル)(eは、expが指数関数であるときe=exp(1)に等しい定数である)、
−Rcontは、材料層2と基板1の間の境界における熱抵抗(単位:平方メートルケルビン毎ワット(m.K.W−1)、
−αは、光源121から送信された光ビーム121Aの放射波長λにおける材料層2の吸収計数(単位:メートル(m−1)である。
そのため、理論上の位相差ΔΦth/opt,theoを示す曲線は、一方では材料層2の厚さdに、他方ではこれらの物理的な定数(図3のブロックF1)に依存し、厚さdとこれらの物理的な定数は、曲線を調整するための調整パラメータとみなされる。
換言すれば、決定工程(図3のブロックF)では、検討された上記変調周波数f、f’に対して計算された上記位相差ΔΦth/opt,、ΔΦ’th/optを考慮しながら、変調光電力21と正弦波成分31との間の理論上の位相差ΔΦth/opt,theoを変調周波数に応じて示す曲線をこれらの調整パラメータに応じて調整し、それによって、理論上の位相差ΔΦth/opt,theoを示す曲線が、決定された位相差の実験値ΔΦth/opt,1、ΔΦth/opt,2...ΔΦth/opt,22を最もよく描くようにする。
このような回帰は、たとえばレーベンバーグ・マルカート法を用いて実施可能である。
こうした調整を図5に示し、この図では:
−横座標:対数スケールによる変調周波数f(単位:ヘルツ(Hz))
−縦座標:放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間の位相差
を示した。
上記の図5には、
−第2の期間P2の際に計算された、位相差ΔΦth/optの22個の実験値と、
−レーベンバーグ・マルカートタイプの逆の方法を用いて得られた変調周波数に応じた、放射熱フロー131Aの正弦波成分31と光ビーム121Aの変調光電力21との間の理論上の位相差ΔΦth/opt,theoの曲線と、
を記した。
レーベンバーグ・マルカート法の意味で最適なこの曲線は、調整パラメータの集合に対して得られる。
その場合、調整された代表的なこの理論上の最適曲線のこれらの調整パラメータの1つとして、材料層2の厚さdを決定する。
1つの変形実施形態によれば、測定方法は、制御信号の単一の変調周波数を用いて実施される。
材料層2の厚さは、上記と同じ関係式R1を用いて、放射熱フロー131Aの正弦波成分と光ビームの変調光電力21との間の位相差ΔΦth/optに応じて決定される。
この関係式では、材料層2の材料の種類、基板1の種類および、たとえば温度等の実験条件に応じてあらかじめ決められた値を様々な熱的−物理的値に割り当てる。
変形実施形態では、公知の様々な厚さのコーティング層を有する複数のコーティングサンプルを同様に使用可能である(他の技術によりあらかじめ測定を実施されている)。これにより、放射熱フロー131Aの正弦波成分と光ビーム121Aの変調光電力21との位相差ΔΦth/optと、材料層の厚さdとの間の関係を経験に基づいて再構築することができる。
割当てに際しては、様々な熱的−物理的値に対して考えられる値の範囲を決定可能である。
上記のような測定装置100によって、たとえば多孔質巣またはコーティングの凝集力不足等の、コーティングに存在する欠陥を同様に測定可能である。
以上、測定装置の全体の外形寸法を小さくできる偏光素子を、測定装置の諸素子の一部分を遠隔化可能なオフセット測定ヘッドと組み合わせて使用することで狭いスペース内の材料層の厚さを測定可能な、本発明による測定装置の特に有利な実施形態について説明した。
さらに、オフセット測定ヘッドを使用せずに本発明による測定装置を用いることも同様に可能である。この別の実施形態を実施するには、記載した各素子を維持し、測定装置の他の部分に測定ヘッドを接続する光ファイバ(および/またはケーブル)だけを除去する。

Claims (11)

  1. 材料層(2)の厚さ(d)を決定するための測定装置(100)であって、
    −変調周波数fと制御位相Φcomとを有する正弦波制御信号(11)を送るように構成された電気制御手段(110)と、
    −前記制御信号(11)の変調周波数fに正弦波で変調された光電力(21)を光ビーム(121A)が有するように前記電気制御手段(110)により電気的に制御され、前記光ビーム(121A)が第1の伝送経路に沿って前記材料層(2)まで伝送される、光ビーム(121A)の送信手段(120)と、
    −前記光ビーム(121A)により加熱された前記材料層(2)により放射された放射熱フロー(131A)を検知して、前記材料層(2)による前記放射熱フロー(131A)を示す測定信号(133A)を送るように構成され、前記放射熱フロー(131A)が第2の伝送経路に沿って光熱検知手段(130)まで伝送される、光熱検知手段(130)と、
    −制御信号(11)の前記変調周波数fに変調された正弦波成分(31A)を前記測定信号(133A)からサンプリングして、前記測定信号(133A)のこの正弦波成分(31A)の測定位相Φmesを決定するように構成された、デジタルフィルタリング手段(141)と、
    −制御信号(11)の前記変調周波数fに対して、前記放射熱フロー(131A)の正弦波成分(31)と前記光ビーム(121A)の前記変調された光電力(21)との間の位相差ΔΦth/optを計算するために、また、
    −前記放射熱フロー(131A)の正弦波成分(31)と前記光ビーム(121A)の前記変調された光電力(21)との間の位相差ΔΦth/optに応じて前記材料層(2)の厚さ(d)を決定するために、プログラムされた計算手段(142)と、を含み、
    前記測定装置(100)は、前記光ビーム(121A)を偏光させ、偏光素子(181)と前記材料層(2)との間で光ビーム(121A)の第1の伝送経路が放射熱フロー(131A)の第2の伝送経路と重なるように構成された、光ビーム(121A)の偏光素子(181)を同様に含み、
    前記測定装置(100)は、可動部分(255)が他方の部分(254)に対して回転する2つの部分(254,255)を備えた、オフセットされた測定ヘッド(250)を含み、その前記可動部分(255)が少なくとも1つの反射素子(182)を収容し、前記測定ヘッド(250)の他方の部分(254)が前記偏光素子(181)を収容し、前記反射素子(182)は、光ビーム(121A)を反射して、前記偏光素子(181)から前記反射素子(182)に延びる前記光ビーム(121A)の第1の伝送波経路の第1の部分と、前記反射素子(182)から前記材料層(2)に延びる前記光ビーム(121A)の第1の伝送経路の第2の部分とがゼロでない角度をなすように構成されることを特徴とする測定装置。
  2. 前記送信手段(120)は、波長100〜1800ナノメートル、周波数1〜10000ヘルツ、光電力1〜500ワットの光源を含み、前記光ビーム(121A)の直径が1500〜20000マイクロメートルである、請求項1に記載の測定装置(100)。
  3. 前記偏光素子(181)が、第2の伝送経路に沿って前記光熱検知手段(130)まで前記放射熱フロー(131A)を偏光せずに伝送するように構成されている、請求項2に記載の測定装置(100)。
  4. 前記偏光素子(181)が菱面体プリズムまたは互いに平行に配置された少なくとも2個の平面ミラーの組み合わせを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
  5. 前記反射素子(182)が前記放射熱フロー(131A)を反射して、前記材料層(2)から前記反射素子(182)に延びる前記放射熱フロー(131A)の第2の伝送経路の第1の部分が前記光ビーム(121A)の第1の伝送経路の前記第2の部分に重なるように、また、前記反射素子(182)から前記偏光素子(181)まで延びる前記放射熱フロー(131A)の第2の伝送経路の第2の部分が前記光ビーム(121A)の第1の伝送経路の前記第1の部分に重なるように同様に構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
  6. 前記反射素子(182)に前記放射熱フロー(131A)を集束させるように構成された光学収集手段(132)を同様に含み、前記光学収集手段(132)が、前記反射素子(182)と前記材料層(2)との間に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
  7. 前記光学収集手段(132)が、前記光ビーム(121A)を通過可能にする少なくとも1つの貫通穴(132A)を含む、請求項6に記載の測定装置(100)。
  8. 前記測定ヘッド(250)の可動部分(255)が、前記光ビーム(121A)の第1の伝送経路の第1の部分にほぼ平行な軸を中心として回転移動する、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
  9. 前記測定ヘッド(250)が、この測定ヘッド(250)の可動部分(255)を前記測定ヘッド(250)の他方の部分(254)に対して回転させるように構成された作動装置(300)を同様に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
  10. 前記測定ヘッド(250)は、この測定ヘッド(250)からの前記光ビーム(121A)の出力と前記材料層(2)との間の距離が4センチメートル未満になるように配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載の測定装置(100)の使用。
  11. 複数の材料層の各材料層の厚さを同時に測定するアセンブリであって、各材料層が、エンジンの複数のシリンダのうちの1つのシリンダの内部に配置され、請求項1から10のいずれか一項に記載の測定装置を含んでおり、
    −前記送信手段は、前記電気制御手段により電気的に制御される複数の光ビームを送って、制御信号の前記変調周波数fに正弦波で変調された光電力を各光ビームが有するように構成され、各光ビームが、この光ビームに組み合わされる前記材料層のうちの1つの材料層まで第1の伝送経路に沿って伝送され、
    −前記光熱検知手段は、この材料層が組み合わされる光ビームにより加熱される各材料層による放射熱フローを検知して複数の測定信号を送るように構成され、各測定信号が、対応する前記材料層による放射熱フローを示し、各放射熱フローが、前記光熱検知手段まで第2の伝送経路に沿って伝送され、
    −複数の偏光素子が設けられ、各偏光素子が、複数の光ビームのうちの1つの光ビームを偏光させて、各光ビームの第1の伝送経路が、この光ビームを偏光させる偏光素子とこの光ビームに組み合わされる材料層との間で、対応する放射熱フローの第2の伝送経路と重なるように構成され、
    −前記デジタルフィルタリング手段は、前記制御信号の前記変調周波数fに変調された正弦波成分を各測定信号からサンプリングして、この正弦波成分の測定位相Φmesを決定するように構成され、
    −前記計算手段は、前記制御信号の前記変調周波数fに対して、各材料層による放射熱フローの前記正弦波成分と、この材料層が組み合わされる光ビームの前記変調光電力との間の位相差ΔΦth/optを計算するために、また、
    −この材料層による前記放射熱フローの前記正弦波成分と、この材料層が組み合わされる光ビームの前記変調光電力との間の位相差ΔΦth/optに応じて各材料層の厚さを決定するために、プログラムされている、同時測定アセンブリ。
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