JP2021519747A - 腫瘍を治療するための仮性狂犬病ウイルス - Google Patents

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Abstract

被験体の腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための、並びに被験体の腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のために使用される医薬組成物の製造のための、仮性狂犬病ウイルス(PRV)若しくはその改変形又は上記PRV若しくはその改変形を含むゲノム配列若しくはcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列の核酸分子。腫瘍を治療する及び/又は腫瘍再発を減少させる若しくは抑制する方法であって、治療及び/又は減少若しくは抑制の必要性を有する被験体に上記PRV若しくはその改変形又は上記PRV若しくはその改変形を含むゲノム配列の核酸分子を投与する工程を含む、方法。

Description

本発明は、ウイルス療法及び腫瘍療法の分野に関する。特に、本発明は、被験体(例えば、ヒト)における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための、仮性狂犬病ウイルス(PRV)若しくはその改変形又はPRV若しくはその改変形のゲノム配列を含む核酸分子の使用、並びに被験体(例えば、ヒト)における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための医薬の製造におけるその使用に関する。本発明はまた、腫瘍を治療する及び/又は腫瘍再発を減少させる若しくは抑制する方法であって、治療及び/又は減少若しくは抑制を必要とする被験体にPRV若しくはその改変形又はPRV若しくはその改変形のゲノム配列を含む核酸分子を投与する工程を含む、方法に関する。
悪性腫瘍の現在の治療手段には、主として外科的治療、化学療法及び放射線療法が含まれる。これらの従来の療法は転移した腫瘍の治療には満足いくものではなく、更に患者の健康に大きな害を及ぼす場合がある。
腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞内で自己複製し得ることで、腫瘍細胞を死滅若しくは溶解させる又は腫瘍細胞の成長を停止させるウイルスである。in vivo治療が行われる場合に、腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍細胞に対して特異的な選択性を示し、直接的に腫瘍細胞死を誘導することができるが、正常細胞にはほとんど効果を有しないか又は全く効果を有さず、一方で、腫瘍溶解性ウイルスは免疫系でBリンパ球及びTリンパ球の応答を刺激することにより、間接的に腫瘍細胞を死滅させることもできる。したがって、腫瘍溶解性ウイルスは有望な腫瘍治療法であると考えられる。
仮性狂犬病ウイルス(PRV)は、豚ヘルペスウイルスI型、伝染性球麻痺ウイルス、「狂掻痒症」ウイルス、オーエスキー病ウイルスとしても知られ、α−ヘルペスウイルス亜科のバリセロウイルス属に属している。仮性狂犬病ウイルスは、牛、羊、豚、犬及び猫等の様々な家畜及び野生動物において、主な症状として発熱、重度の掻痒(豚を除く)及び脳脊髄炎を引き起こすヘルペスウイルスである。豚は仮性狂犬病ウイルスの自然宿主であり、感染後に発熱、下痢、呼吸困難、脳脊髄炎及び生殖障害等の急性感染症の症状を呈する。仮性狂犬病ウイルスは以下の特徴を有する:1つ目に、二本鎖DNAウイルスとして、そのゲノムを宿主における宿主染色体に組み込むプロセスは存在せず、2つ目に、仮性狂犬病ウイルスは一部の下等哺乳動物に固有であったが、該ウイルスがヒトに感染して疾患を引き起こし得ることは公式の文献によって報告されておらず、さらに、仮性狂犬病ウイルスは癌遺伝子を含まない。現在、仮性狂犬病ウイルスは獣医ワクチン等として広く使用されているが、当該技術分野において腫瘍溶解活性を有する仮性狂犬病ウイルスについての報告はない。
本発明においては、特段の定めがない限り、本明細書で使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有する。さらに、本明細書で使用される細胞培養、ウイルス学、生化学、細胞生物学、核酸化学等のための作業工程は、対応する分野で広く使用されている慣用の工程である。一方で、本発明をより良く理解するために、関連する用語の定義及び説明を以下に示す。
本明細書で使用される場合に、「仮性狂犬病ウイルス(PRV)」という用語は、α−ヘルペスウイルス亜科(アルファヘルペスウイルス亜科)のバリセロウイルス(水痘ウイルス)属のウイルスを指す。該ウイルスのゲノムは130kd〜150kdのサイズを有する線状二本鎖DNAである。該ウイルスのゲノムには、ユニークな長領域配列(UL)及びユニークな短領域配列(US)が含まれており、USの両側には末端リピート配列(TRR)及び内部リピート配列(IRS)が存在する。PRVの遺伝子は、それらの領域及び発見の順番に従って命名されているが、遺伝子がコードするタンパク質によって命名される場合もある。構造タンパク質をコードする遺伝子には、US2(28K)、US3(PK)、US4(gG)、US6(gD)、US7(gI)、US8(gE)、US9(11K)及びUS領域における他の遺伝子、並びにUL9(OBP)、UL27(gB)、UL(gH)、UL(TK)、UL(gC)のキャプシドタンパク質遺伝子、DNAポリメラーゼ遺伝子及びUL領域における他の遺伝子が含まれる。UL領域に位置する非構造タンパク質遺伝子には、転写調節に関与するUL54が含まれる。本発明において、「仮性狂犬病ウイルス(PRV)」という表現は、天然源から分離することができ、意図的に人工的に改変されていない野生型PRVを指し、その例には、野生株Bartha−K61(BK61)及びHB−98並びに検体からの様々な分離株(例えば、本発明の実施例1に記載される分離株)が含まれる。野生型PRVゲノム配列は、当該技術分野においてよく知られており、様々な公共データベース(例えば、GenBankデータベース、アクセッション番号:JF797217.1)において見出すことができる。
本明細書で使用される場合に、「腫瘍溶解性ウイルス」という用語は、腫瘍細胞に感染し、腫瘍細胞内で複製し、腫瘍細胞死及び溶解を引き起こし、又は腫瘍細胞成長を妨げることができるウイルスを指す。このウイルスは、非腫瘍細胞に対して最小限の毒性効果を有することが好ましい。
本明細書で使用される場合に、「腫瘍特異性」という用語は、腫瘍細胞内で生物学的機能又は生物学的活性を選択的に示すことを指す。例えば、本発明において「腫瘍特異性」という用語がウイルスの死滅選択性を説明するために使用される場合に、その用語は、ウイルスが非腫瘍細胞を死滅させることなく若しくはほとんど死滅させることなく、腫瘍細胞を選択的に死滅させることができること又はウイルスが非腫瘍細胞を死滅させるよりも腫瘍細胞を死滅させることに有効であることを意味する。
本明細書で使用される場合に、「腫瘍溶解活性」という用語は、主に腫瘍死滅活性を含む。ウイルスの腫瘍溶解活性を説明する場合に、ウイルスの腫瘍溶解活性は、典型的には、ウイルスが腫瘍細胞に感染する能力、腫瘍細胞内で複製する能力、及び/又は腫瘍細胞を死滅させる能力等の指標によって測定することができる。ウイルスの腫瘍溶解活性は、当該技術分野において知られる任意の方法を用いて測定され得る。例えば、ウイルスが腫瘍細胞に感染する能力は、所与の割合の腫瘍細胞(例えば、細胞の50%)に感染するのに必要なウイルス量を測定することによって評価することができ、腫瘍細胞内で複製する能力は、腫瘍細胞内でのウイルスの増殖を測定することにより評価することができ、腫瘍細胞を死滅させる能力は、細胞変性効果(CPE)を観察する又は腫瘍細胞活性を測定することにより評価することができる。
本明細書で使用される場合に、ウイルスの「改変形」という用語は、野生型ウイルスを改変することにより得られる、野生型ウイルスの所望の活性(例えば、腫瘍溶解活性)を保持する改変ウイルスを指す。本発明において、PRVの「改変形」には、限定されるものではないが、野生型PRVのゲノム配列と比較して1つ以上のヌクレオチドの置換、挿入又は欠失を有し、少なくともPRVの腫瘍溶解活性を保持する改変PRVウイルスが含まれる。本発明のPRVの改変形又は改変PRVは、製造方法によって限定されないと理解されるべきである。例えば、本発明のPRVの改変形又は改変PRVは、相同組換えによって産生させることができる又は改変形若しくは改変PRVを感染させた宿主細胞を培養することによって作製することができる。
本明細書で使用される場合に、「EP0タンパク質」という用語は、EP0遺伝子によってコードされ、PRVウイルスによって初期に発現される転写活性化因子であるPRVウイルスの初期タンパク質0を指す。EP0タンパク質のアミノ酸配列は既知であり、例えば、公共のデータベース(例えば、EM64001.1)において見出すことができる。
本明細書で使用される場合に、「機能的EP0タンパク質を発現しない」という表現は、ウイルス又はウイルスゲノムが細胞に感染した場合に、ウイルス又はウイルスゲノムが、生物学的機能又は生物学的活性を有するEP0タンパク質を産生又は発現することができないことを意味する。例えば、ウイルス又はウイルスゲノムは、遺伝子欠失のためにEP0タンパク質を全く産生若しくは発現し得ない又は機能喪失型突然変異のために生物学的機能及び生物学的活性を有しないEP0タンパク質を産生若しくは発現し得る。
本明細書で使用される場合に、「機能喪失型突然変異」という用語は、突然変異遺伝子によってコードされ発現されるタンパク質がその生物学的機能及び生物学的活性を喪失する原因となる突然変異を指す。機能喪失型突然変異には、限定されるものではないが、機能喪失型突然変異を含む遺伝子が生物学的機能又は生物学的活性を有するタンパク質を産生又は発現することができない限り、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、塩基欠失、塩基置換、塩基付加及びそれらの任意の組合せ(例えば、遺伝子断片の欠失又は置換又は付加)が含まれる。
本明細書で使用される場合に、「PRVのcDNA配列」という表現は、ウイルスゲノムから転写されたmRNAを鋳型として使用して逆転写によって得られる、cDNA配列がゲノム配列内のイントロン配列を含まない点でのみゲノム配列と異なるDNA配列を指す。
本明細書で使用される場合に、「外因性ヌクレオチド配列」という用語は、元の配列に対して外来である人工的に導入されたヌクレオチド配列を指す。外因性ヌクレオチド配列には、限定されるものではないが、ウイルスゲノムには見られない任意の遺伝子又はヌクレオチド配列が含まれる。しかしながら、幾つかの場合では、外因性ヌクレオチド配列は、免疫調節ポリペプチド、サイトカイン、ケモカイン、抗腫瘍タンパク質又はポリペプチド等のような治療用途を有するポリペプチドをコードすることが好ましい。
本明細書で使用される場合に、「免疫調節ポリペプチド」という用語は、免疫細胞の機能を調節することができるポリペプチドを指し、その例には、限定されるものではないが、CD40L、OX40L、誘導性共刺激分子(ICOS)、FTL3L、LIGHT、CD137L、CD70、4−1BB、GITR及びCD28が含まれる(例えば、Khalil DN, Smith EL, Brentjens RJ, et al. The future of cancer treatment: immunomodulation, CARs and combination immunotherapy [J]. Nat Rev Clin Oncol, 2016, 13 (5): 273-290を参照)。
本明細書で使用される場合に、「サイトカイン」という用語は、当業者によく知られる意味を有する。しかしながら、本発明において、本発明の腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍の治療に使用される場合に、サイトカインは腫瘍治療のために使用することができるサイトカインであることが特に好ましい。「サイトカイン」の例には、限定されるものではないが、インターロイキン類(例えば、IL−2、IL−12及びIL−15)、インターフェロン類(例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα)、コロニー刺激因子(例えば、GM−CSF)並びにそれらの任意の組合せが含まれる(例えば、Ardolino M, Hsu J, Raulet D H. Cytokine treatment in cancer immunotherapy [J]. Oncotarget, 2015, 6 (23): 19346-19347を参照)。
本明細書で使用される場合に、「ケモカイン」という用語は、当業者によく知られる意味を有する。しかしながら、本発明の方法において、本発明の腫瘍溶解性ウイルスが腫瘍の治療に使用される場合に、このサイトカインは腫瘍治療のために使用することができるケモカインであることが特に好ましい。「ケモカイン」の例には、限定されるものではないが、CCL2、RANTES、CCL7、CCL9、CCL10、CCL12、CCL15、CCL19、CCL21、CCL20、XCL−1及びそれらの組合せが含まれる(Homey B, Muller A, Zlotnik A. CHEMOKINES: AGENTS FOR THE IMMUNOTHERAPY OF CANCER [J]. Nat Rev Immunol, 2002, 2: 175-184)。
本明細書で使用される場合に、「抗腫瘍タンパク質又はポリペプチド」という用語は、限定されるものではないが、(1)細胞に対して毒性であり、細胞増殖を阻害する又はアポトーシスを誘導することができるタンパク質又はポリペプチド(それらの例には、限定されるものではないが、チミジンキナーゼTK(TK/GCV)、TRAIL及びFasLが含まれる)(例えば、Candolfi M, King GD, Muhammad AG, et al. Evaluation of proapototic transgenes to use in combination with Flt3L in an immune-stimulatory gene therapy approach for Glioblastoma multiforme (GBM) [J]. FASEB J, 2008, 22: 1077.13を参照)、(2)免疫チェックポイント阻害薬等の免疫療法効果を有するタンパク質又はポリペプチド(それらの例には、限定されるものではないが、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗TIGIT抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA−4抗体、抗Tim−3抗体、抗Lag−3抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗GITR抗体、抗CD73抗体、抗KIR抗体、抗ICOS抗体、抗CSF1R抗体が含まれる)(例えば、Nolan E, Savas P, Policheni AN, et al. Combined immune checkpoint blockade as a therapeutic strategy for BRCA1-mutated breast cancer [J]. Science Trans Med, 2017, 9: eaal4922を参照;全ては、引用することにより本明細書の一部をなす)、(3)腫瘍特異的標的化抗体(その例には、限定されるものではないが、抗HER2抗体(例えば、ハーセプチン)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ)又はそれらの任意の組合せが含まれる)、(4)腫瘍血管新生を阻害するタンパク質又はポリペプチド(それらの例には、限定されるものではないが、抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)一本鎖抗体(scFv)、VEGF由来ポリペプチド(例えば、(LPR)、KSRVRKGKGQKRKRKKSRYK等)及びATN−161が含まれる)(例えば、Rosca EV, Koskimaki JE, Rivera CG, et al. Anti-angiogenic peptides for cancer therapeutics [J]. Curr Pharm Biotechnol, 2011, 12 (8): 1101-1116を参照;全ては、引用することにより本明細書の一部をなす)を含む腫瘍治療活性を有するタンパク質又はポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合に、「同一性」という用語は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸間の一致度を指す。比較される2つの配列が或る特定の部位に同じ単量体サブユニットの塩基又はアミノ酸を有する(例えば、2つのDNA分子の各々が或る特定の部位にアデニンを有する又は2つのタンパク質/ポリペプチドの各々が或る特定の部位にリジンを有する)場合に、2つの分子はその部位で同一である。2つの配列間の同一性のパーセントは、比較される部位の総数に対する、2つの配列が共有する同一の部位の数に100を掛けた関数である。例えば、2つの配列の10個の部位の6個が一致している場合に、これらの2つの配列は60%の同一性を有する。例えば、DNA配列:CTGACTとCAGGTTとは、50%の同一性を共有する(6個の部位の3個が一致している)。一般的に、2つの配列の比較は、最大の同一性が得られるように行われる。そのようなアラインメントは、例えばNeedlemanらの方法(J. Mol. Biol. 48:443-453, 1970)に基づくAlignプログラム(DNAstar, Inc.社)等のコンピュータープログラムを使用することにより実施することができる。2つのアミノ酸配列間の同一性のパーセントはまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers及びW. Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))を使用して、PAM120残基重み付け表を使用して、12のギャップ長ペナルティー及び4のギャップペナルティーで決定することもできる。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性のパーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))によって、Blossum 62行列又はPAM250行列のいずれかを使用して、16、14、12、10、8、6又は4のギャップ重み付け及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重み付けで決定することができる。
本明細書で使用される場合に、「ベクター」という用語は、ポリヌクレオチドがその中に挿入され得る核酸の送達運搬体を指す。ベクターが、挿入されたポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の発現を可能にする場合に、そのベクターは発現ベクターと呼ばれる。ベクターを形質転換、形質導入又はトランスフェクションによって宿主細胞へと導入することができるので、ベクターによって運ばれる遺伝物質エレメントは宿主細胞において発現され得る。ベクターは当業者によく知られており、限定されるものではないが、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)又はP1由来人工染色体(PAC)等の人工染色体、λファージ又はM13ファージ等のファージ及び動物ウイルスが含まれる。ベクターとして使用され得る動物ウイルスには、限定されるものではないが、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス及びパポバウイルス(例えば、SV40)が含まれる。ベクターは、限定されるものではないが、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択用のエレメント及びレポーター遺伝子を含む発現を制御する様々なエレメントを含み得る。さらに、ベクターは複製開始部位を含み得る。
本明細書で使用される場合に、「プロモーター」という用語は、当業者によく知られた意味を有し、下流遺伝子の発現を活性化し得る遺伝子の上流に位置する非コーディングヌクレオチド配列を指す。
本明細書で使用される場合に、「薬学的に許容可能な担体及び/又は添加剤」という用語は、被験体及び活性成分と薬理学的及び/又は生理学的に適合可能な担体及び/又は添加剤を指し、その担体及び/又は添加剤は、当該技術分野においてよく知られており(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences. Edited by Gennaro AR, 19th ed. Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1995を参照)、限定されるものではないが、pH調整剤、界面活性剤、イオン強度増強剤、浸透圧維持剤、吸収遅延剤、希釈剤、アジュバント、防腐剤、安定剤等が含まれる。例えば、pH調整剤には、限定されるものではないが、リン酸緩衝生理食塩水が含まれる。界面活性剤には、限定されるものではないが、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤、例えばTween−80が含まれる。イオン強度増強剤には、限定されるものではないが、塩化ナトリウムが含まれる。浸透圧維持剤には、限定されるものではないが、糖、NaCl等が含まれる。吸収遅延剤には、限定されるものではないが、モノステアレート及びゼラチンが含まれる。希釈剤には、限定されるものではないが、水、水性緩衝液(例えば、緩衝生理食塩水)、アルコール類及びポリオール類(例えば、グリセロール)等が含まれる。アジュバントには、限定されるものではないが、アルミニウムアジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、フロイントアジュバント(例えば、フロイント完全アジュバント)等が含まれる。防腐剤には、限定されるものではないが、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、チメロサール、2−フェノキシエタノール、パラベン類、トリクロロ−t−ブタノール、フェノール、ソルビン酸等が含まれる。安定剤は、当業者により一般的に理解される意味を有し、薬物中の活性成分の所望の活性(例えば、腫瘍溶解活性)を安定化することができ、限定されるものではないが、グルタミン酸ナトリウム、ゼラチン、SPGA、糖類(例えば、ソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、ラクトース、デキストラン又はグルコース)、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、グリシン)、タンパク質(例えば、乾燥ホエー、アルブミン又はカゼイン)又はそれらの分解産物(例えば、ラクトアルブミン加水分解物)が含まれる。
本明細書で使用される場合に、「治療」という用語は、疾患(例えば、腫瘍)の治療若しくは治癒、疾患(例えば、腫瘍)の症状の発症の遅延、及び/又は疾患(例えば、腫瘍)の進行の遅延を指す。
本明細書で使用される場合に、「有効量」という用語は、意図される目的を有効的に達成することができる量を指す。例えば、治療的有効量は、疾患(例えば、腫瘍)を治療若しくは治癒する、疾患(例えば、腫瘍)の症状の発症を遅延させる、及び/又は疾患(例えば、腫瘍)の進行を遅延させるのに有効な又は十分な量であり得る。そのような有効量は、当業者又は医師によって容易に決定することができ、意図される目的(例えば、治療)、全体的健康感、年齢、性別、被験者の体重、治療されるべき疾患の重症度、合併症、投与経路等に関連し得る。そのような有効量の決定は、完全に当業者の能力の範囲内である。
本明細書で使用される場合に、「被験体」という用語は、哺乳動物、例えば霊長類哺乳動物、例えばヒトを指す。或る特定の実施の形態では、被験体(例えば、ヒト)は腫瘍を有する、又は腫瘍を有するリスクがある。
広範な実験を行うとともに探求を繰り返した末に、本出願の発明者らは、予想外にも、仮性狂犬病ウイルス(PRV)が幅広いスペクトルと顕著な腫瘍細胞死滅能力とを有することを見出した。この発見に基づいて、本発明者らは、腫瘍を治療するための新しい腫瘍溶解性ウイルス及び該ウイルスに基づく腫瘍治療方法を開発した。
したがって、第1の態様では、本発明は、被験体における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための、又は被験体における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための医薬を製造するための、仮性狂犬病ウイルス(PRV)若しくはその改変形又は核酸分子の使用であって、前記核酸分子は、以下:
(1)PRV又はその改変形のゲノム配列又はcDNA配列、
(2)前記cDNA配列の相補的配列、
から選択される配列を含む、使用を提供する。
或る特定の好ましい実施の形態では、PRVは野生型PRVである。或る特定の好ましい実施の形態では、PRVは仮性狂犬病ウイルス(PRV)に感染した動物から分離された株であり得る。
或る特定の好ましい実施の形態では、PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列である。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変形は、野生型PRVと比較してゲノム中に1つ以上のヌクレオチドの置換、挿入又は欠失を有する改変PRVである。
或る特定の好ましい実施の形態では、野生型PRVと比較して、前記改変PRVは、以下:
(1)1つ以上の内因性遺伝子の欠失又は突然変異、
(2)非翻訳領域(例えば、プロモーター)における1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入と、
(3)1つ以上の外因性ヌクレオチド配列の挿入と、
(4)前記3つの項目の任意の組合せと、
から選択される1つ以上の改変を有する。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、機能的EP0タンパク質を発現しない。当業者に十分に知られているように、EP0タンパク質をコードする遺伝子(EP0遺伝子)を改変することで、タンパク質の機能的発現を妨げることができる。例えば、EP0タンパク質をコードする遺伝子に機能喪失型突然変異を導入することで、又はEP0タンパク質をコードする遺伝子を欠失させることで、又は外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)と置き換えることで、標的タンパク質の機能的発現を妨げることができる。
したがって、或る特定の好ましい実施の形態では、本発明の改変PRVのゲノムは、以下のように改変される:EP0遺伝子は、機能喪失型突然変異(例えば、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失及び/又は置換)を含む、又は欠失される、又は外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)と置き換えられる。或る特定の好ましい実施の形態では、機能喪失型突然変異は、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、塩基欠失、塩基置換、塩基付加及びそれらの任意の組合せ(例えば、遺伝子断片の欠失又は置換又は付加)から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、EP0遺伝子は欠失される。そのような実施の形態では、改変PRVはEP0タンパク質を発現しない。或る特定の好ましい実施の形態では、EP0遺伝子は、外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)と置き換えられる。或る特定の例示的な実施の形態では、外因性タンパク質は蛍光タンパク質である。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示される。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVは、非コーディング領域(例えば、プロモーター)に位置する1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:1つ以上のPRV遺伝子の本来のプロモーターは、腫瘍特異的プロモーターと置き換えられる。本発明では、任意のPRV遺伝子の本来のプロモーターを腫瘍特異的プロモーターと置き換えることができる。或る特定の好ましい実施の形態では、腫瘍特異的プロモーターは、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)プロモーター、α−フェトプロテインプロモーター、癌胎児性抗原プロモーター、前立腺特異抗原プロモーター、サバイビンプロモーター及びシクロオキシゲナーゼCOX−2プロモーターからなる群から選択される。
本発明では、腫瘍特異的プロモーターの使用は、或る特定の状況下では有利であり、例えば、腫瘍溶解性ウイルスの腫瘍特異性の改善に資する。正常細胞では、腫瘍特異的プロモーターの活性は通常は低レベルであるが、腫瘍細胞ではその活性は高レベルである。したがって、PRVの幾つかの主要なタンパク質の転写発現を調節するための腫瘍特異的プロモーターの使用は、ウイルスが腫瘍特異的死滅能力を獲得することを可能にし得る。したがって、幾つかの場合には、PRVの主要なタンパク質の本来のプロモーターを腫瘍特異的プロモーターと置き換えることで、ウイルスが正常細胞を死滅させる能力を低下させることにより、腫瘍細胞を死滅させる能力に影響を与えずに毒性作用及び副作用を減らすことができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVは、外因性ヌクレオチド配列を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記外因性ヌクレオチド配列は、蛍光タンパク質、免疫調節ポリペプチド、サイトカイン、ケモカイン、抗腫瘍タンパク質又はポリペプチドからなる群から選択される外因性タンパク質をコードする。
或る特定の好ましい実施の形態では、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、免疫調節ポリペプチドは、CD40L、OX40L、誘導性共刺激分子(ICOS)、FTL3L、LIGHT、CD137L、CD70、4−1BB、GITR、CD28及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、サイトカインは、インターロイキン類(例えば、IL−2、IL−12及びIL−15)、インターフェロン類(例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα)、コロニー刺激因子(例えば、GM−CSF)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、ケモカインは、CCL2、RANTES、CCL7、CCL9、CCL10、CCL12、CCL15、CCL19、CCL21、CCL20、XCL−1及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施態様では、抗腫瘍タンパク質又はポリペプチドは、細胞毒性ペプチド、例えば、チミジンキナーゼTK(TK/GCV)、TRAIL、FasL又はそれらの任意の組合せ、免疫チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗TIGIT抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA−4抗体、抗Tim−3抗体、抗Lag−3抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗GITR抗体、抗CD73抗体、抗KIR抗体、抗ICOS抗体、抗CSF1R抗体又はそれらの任意の組合せ、腫瘍特異的標的化抗体、例えば、抗HER2抗体(例えば、ハーセプチン)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ)又はそれらの任意の組合せ、腫瘍血管新生を阻害するタンパク質又はポリペプチド、例えば、抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体、VEGF由来のポリペプチド(例えば、(LPR)、KSRVRKGKGQQRKRKRKKSRYK等)、ATN−161又はそれらの任意の組合せ、及び上記タンパク質又はポリペプチドの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、上記の外因性ヌクレオチド配列の少なくとも1つの挿入及び/又は上記の非翻訳領域(例えば、プロモーター)における少なくとも1つの突然変異、欠失若しくは挿入を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、機能的EP0タンパク質を発現せず、上記の外因性ヌクレオチド配列の少なくとも1つの挿入及び/又は上記の非翻訳領域(例えば、プロモーター)における少なくとも1つの突然変異、欠失若しくは挿入を含む。
本出願では、本発明の改変PRVは、当該技術分野でよく知られる技術によって得ることができる。例えば、機能喪失型突然変異を塩基の欠失、置換又は挿入によってウイルス遺伝子へと導入することで、ウイルス遺伝子を機能的に不活化させることができる。或る特定の例示的な実施の形態では、ウイルス遺伝子は、欠失(例えば、遺伝子全体又はその一部の欠失)によって機能的に不活性化される。そのような実施の形態では、対象のウイルス遺伝子配列の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%若しくは100%が欠失され得る又は対象のウイルス遺伝子配列の少なくとも10bp、少なくとも100bp若しくは少なくとも1000bpが欠失され得る。或る特定の例示的な実施の形態では、塩基の挿入又は欠失によってフレームシフト突然変異を導入することにより、ウイルス遺伝子を機能的に不活性化させることができる。或る特定の例示的な実施の形態では、ウイルス遺伝子は、対象の遺伝子全体又はその一部を外因性ヌクレオチド配列と置き換えることによって機能的に不活性化される。
或る特定の好ましい実施の形態では、本発明の改変PRVは、CRISPR/Cas9技術によって得ることができる。CRISPR/Cas9技術は当該技術分野で既知であり、例えばRan FA, Feng Zhang et al. Nature, 2013, 2281-2308(これは、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照のこと。そのような実施の形態では、野生型PRVのウイルスゲノムを典型的には改変させることで(例えば、外因性ヌクレオチド配列の挿入、内因性遺伝子の欠失若しくは突然変異、又は非翻訳領域における突然変異によって)、改変PRVが得られる。
本発明によるPRV又はその改変形を前処理することで、被験体におけるウイルスに対する免疫応答を低減させる又は排除することができ、ここで、上記前処理は、リポソーム若しくはミセル中にPRVをパッケージングすること及び/又はプロテアーゼ(例えば、キモトリプシン又はトリプシン)を使用してウイルスのキャプシドタンパク質を除去し、宿主のウイルスに対する体液性免疫及び/又は細胞性免疫を低下させることを含み得る。
本発明において、本明細書に記載されるPRV又はその改変形は、腫瘍細胞における馴化のために連続継代され得る。或る特定の好ましい実施の形態では、腫瘍細胞は、当該技術分野において知られる腫瘍細胞系統若しくは腫瘍細胞株であり得る又は腫瘍を有する個体(例えば、被験体)の身体から外科的に切除された若しくは臨床的に分離された腫瘍細胞であり得る。或る特定の好ましい実施の形態では、PRV又はその改変形は、腫瘍を有する個体(例えば、被験体)から得られた腫瘍細胞における馴化のために連続継代される。或る特定の好ましい実施の形態では、腫瘍細胞は、腫瘍を有する個体(例えば、被験体)の身体から外科的に切除される又は臨床的に分離される。或る特定の好ましい実施の形態では、馴化のための連続継代法は、以下の過程、すなわち1)標的腫瘍細胞にウイルスを感染させる過程と、2)上清中のウイルスを採取する過程と、3)新たな標的腫瘍細胞に得られたウイルスを再感染させる過程とからなる複数のサイクル(例えば、少なくとも5サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも15サイクル、少なくとも20サイクル)を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、上記のPRV及びその改変形は、組み合わせて使用され得る。したがって、医薬はPRV及びその改変形の1つ以上を含み得る。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は、本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列からなる。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV又はその改変形のゲノム配列を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は以下:
(1)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列、
(2)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
から選択されるヌクレオチド配列を有する。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)である。或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)である。
本発明の核酸分子は、当該技術分野において知られる任意の手段によって、例えば、ネイキッド核酸分子(例えば、ネイキッドRNA)の直接的な注入によって又は非ウイルス送達システムの使用によって送達することができる。非ウイルス送達システムは、限定されるものではないが、"Yin H, et al. Nat Rev Genet. 2014 Aug; 15(8): 541-55."及び"Riley MK, Vermerris W. Nanomaterials (Basel). 2017 Apr 28; 7(5). Pii: E94."(全ては、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に詳細に記載される材料、例えばリポソーム、無機ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)、ポリマー(例えば、PEG)等を含む当該技術分野においてよく知られる様々な材料を用いて作製及び取得することができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記医薬は、治療的有効量の本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は治療的有効量の核酸分子を含む。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は、医療技術分野で知られる任意の形で存在し得る。例えば、医薬は、錠剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ゲル剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤、坐剤、注射剤(注射液、凍結乾燥粉末を含む)及び他の形態であり得る。幾つかの実施の形態では、医薬は、注射液又は凍結乾燥粉末である。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は薬学的に許容可能な担体又は添加剤を更に含む。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は安定剤を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は、任意に、追加の薬学的活性剤を更に含む。好ましい実施の形態では、追加の薬学的活性剤は追加の腫瘍溶解性ウイルス、化学療法剤又は免疫療法剤等の抗腫瘍活性を有する薬剤である。
本発明において、追加の腫瘍溶解性ウイルスには、限定されるものではないが、アデノウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、麻疹ウイルス又はそれらの任意の組合せが含まれる。化学療法剤には、限定されるものではないが、5−フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ヒドロキシ尿素、シクロホスファミド、ダカルバジン、ミトキサントロン、アントラサイクリン類(例えば、エピルビシン又はドキソルビシン)、エトポシド、白金化合物(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)、タキサン類(例えば、パクリタキセル又はタキソテール)又はそれらの任意の組合せが含まれる。免疫療法剤には、限定されるものではないが、免疫チェックポイント阻害薬(例えば、PD−L1/PD−1阻害薬又はCTLA−4阻害薬)、腫瘍特異的標的化抗体(例えば、リツキシマブ又はハーセプチン)又はそれらの任意の組合せが含まれる。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬はPRV及び/又はその改変形の単位用量、例えば、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、1×10pfu、1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×1010pfu、少なくとも1×1011pfu、少なくとも1×1012pfu、少なくとも1×1013pfu、少なくとも1×1014pfu又は少なくとも1×1016pfuのPRV及び/又はその改変形を含む。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は1×10pfu〜1×1017pfuのPRV及び/又はその改変形を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は本明細書に記載される核酸分子の単位用量、例えば1×1010〜5×1014(例えば、3×1010〜3×1014)のウイルスゲノムコピーの核酸分子を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬は追加療法と組み合わせて投与され得る。この追加療法は、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法又は遺伝子療法等の腫瘍に関して知られている任意の療法であり得る。この追加療法は医薬の投与前に、その投与と同時に又はその投与後に施すことができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記腫瘍は、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、骨肉腫、前立腺癌、鼻咽頭癌、鼻中隔扁平上皮癌、喉頭癌、甲状腺癌、甲状腺の腺管癌、膀胱癌等から選択される。或る特定の例示的な実施の形態では、腫瘍再発は肝臓癌の再発である。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記被験体は、ヒト等の哺乳動物である。
第2の態様では、本発明は、腫瘍を治療する及び/又は腫瘍再発を減少させる若しくは抑制する方法であって、治療及び/又は減少若しくは抑制を必要とする被験体に、有効量のPRV若しくはその改変形又は有効量の核酸分子を投与する工程を含み、上記核酸分子は、以下:
(1)上記PRV又はその改変形のゲノム配列又はcDNA配列と、
(2)上記cDNA配列の相補的配列と、
から選択される配列を含む、方法を提供する。
或る特定の好ましい実施の形態では、被験体にPRVが投与される。或る特定の好ましい実施の形態では、PRVは野生型PRVである。或る特定の好ましい実施の形態では、PRVは仮性狂犬病ウイルス(PRV)に感染した動物から分離された株であり得る。
或る特定の好ましい実施の形態では、PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列である。
或る特定の好ましい実施の形態では、被験体にPRVの改変形が投与される。或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変形は、野生型PRVと比較してゲノム中に1つ以上のヌクレオチドの置換、挿入又は欠失を有する改変PRVである。
或る特定の好ましい実施の形態では、野生型PRVと比較して、前記改変PRVは、以下:
(1)1つ以上の内因性遺伝子の欠失又は突然変異、
(2)非翻訳領域(例えば、プロモーター)における1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入と、
(3)1つ以上の外因性ヌクレオチド配列の挿入と、
(4)前記3つの項目の任意の組合せと、
から選択される1つ以上の改変を有する。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、機能的EP0タンパク質を発現しない。
或る特定の好ましい実施の形態では、本発明の改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:EP0遺伝子は、機能喪失型突然変異(例えば、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失及び/又は置換)を含む、又は欠失される、又は外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)と置き換えられる。或る特定の好ましい実施の形態では、機能喪失型突然変異は、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、塩基欠失、塩基置換、塩基付加及びそれらの任意の組合せ(例えば、遺伝子断片の欠失又は置換又は付加)から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、EP0遺伝子は欠失される。そのような実施の形態では、改変PRVはEP0タンパク質を発現しない。或る特定の好ましい実施の形態では、EP0遺伝子は、外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)で置換される。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示される。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVは、非コーディング領域(例えば、プロモーター)における1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:1つ以上のPRV遺伝子の本来のプロモーターは、腫瘍特異的プロモーターで置換される。本発明では、任意のPRV遺伝子の本来のプロモーターを腫瘍特異的プロモーターと置き換えることができる。或る特定の好ましい実施の形態では、腫瘍特異的プロモーターは、hTERTプロモーター、α−フェトプロテインプロモーター、癌胎児性抗原プロモーター、前立腺特異抗原プロモーター、サバイビンプロモーター及びシクロオキシゲナーゼCOX−2プロモーターからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記改変PRVは、外因性ヌクレオチド配列を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記外因性ヌクレオチド配列は、蛍光タンパク質、免疫調節ポリペプチド、サイトカイン、ケモカイン及び抗腫瘍タンパク質又はポリペプチドからなる群から選択される外因性タンパク質をコードする。
或る特定の好ましい実施の形態では、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、免疫調節ポリペプチドは、CD40L、OX40L、誘導性共刺激分子(ICOS)、FTL3L、LIGHT、CD137L、CD70、4−1BB、GITR、CD28及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、サイトカインは、インターロイキン類(例えば、IL−2、IL−12及びIL−15)、インターフェロン類(例えば、IFNα、IFNβ、IFNγ)、腫瘍壊死因子(例えば、TNFα)、コロニー刺激因子(例えば、GM−CSF)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、ケモカインは、CCL2、RANTES、CCL7、CCL9、CCL10、CCL12、CCL15、CCL19、CCL21、CCL20、XCL−1及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施態様では、抗腫瘍タンパク質又はポリペプチドは、細胞毒性ペプチド、例えば、チミジンキナーゼTK(TK/GCV)、TRAIL、FasL又はそれらの任意の組合せ、免疫チェックポイント阻害薬、例えば、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗TIGIT抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA−4抗体、抗Tim−3抗体、抗Lag−3抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗GITR抗体、抗CD73抗体、抗KIR抗体、抗ICOS抗体、抗CSF1R抗体又はそれらの任意の組合せ、腫瘍特異的標的化抗体、例えば、抗HER2抗体(例えば、ハーセプチン)、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ)又はそれらの任意の組合せ、腫瘍血管新生を阻害するタンパク質又はポリペプチド、例えば、抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)抗体、VEGF由来のポリペプチド(例えば、(LPR)、KSRVRKGKGQQRKRKRKKSRYK等)、ATN−161又はそれらの任意の組合せ、及び上記タンパク質又はポリペプチドの任意の組合せからなる群から選択される。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、上記の外因性ヌクレオチド配列の少なくとも1つの挿入及び/又は上記の非翻訳領域(例えば、プロモーター)における突然変異、欠失若しくは挿入の少なくとも1つを含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、改変PRVは、機能的EP0タンパク質を発現せず、上記の外因性ヌクレオチド配列の少なくとも1つの挿入及び/又は上記の非翻訳領域(例えば、プロモーター)における突然変異、欠失若しくは挿入の少なくとも1つを含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、上記のPRV及びその改変形は、組み合わせて使用され得る。したがって、PRV及びその改変形の1つ以上を被験体に投与することができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、本明細書に記載される核酸分子が被験体に投与される。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は、本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列からなる。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV又はその改変形のゲノム配列を有する。或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は以下:
(1)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列、
(2)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
から選択されるヌクレオチド配列を有する。
或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)である。或る特定の好ましい実施の形態では、核酸分子は本明細書に記載されるPRV若しくはその改変形のcDNA配列又は上記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)である。
本発明において、本明細書に記載される核酸分子は、当該技術分野において知られる任意の手段によって、例えば、ネイキッド核酸分子(例えば、ネイキッドRNA)の直接的な注入によって又は非ウイルス送達システムの使用によって送達することができる。非ウイルス送達システムは、限定されるものではないが、"Yin H, et al. Nat Rev Genet. 2014 Aug; 15(8): 541-55."及び"Riley MK, Vermerris W. Nanomaterials (Basel). 2017 Apr 28; 7(5). Pii: E94."(全ては、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に詳細に記載される材料、例えばリポソーム、無機ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)、ポリマー(例えば、PEG)等を含む当該技術分野においてよく知られる様々な材料を用いて作製及び取得することができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子を、医薬組成物として製剤化して投与することができる。このような医薬組成物は、治療的有効量の本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は治療的有効量の核酸分子を含み得る。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は、医療技術分野で知られる任意の形で存在し得る。例えば、医薬組成物は、錠剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ゲル剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤、坐剤、注射剤(注射液、凍結乾燥粉末を含む)及び他の形態であり得る。幾つかの実施の形態では、医薬組成物は、注射液又は凍結乾燥粉末である。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体又は添加剤を更に含む。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は安定剤を含む。
本発明において、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子は様々な適切な手段により被験体に投与され得る。幾つかの場合には、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子の投与経路は腫瘍の位置及び種類に依存する。例えば、容易にアクセス可能な固形腫瘍の場合に、ウイルス又は核酸分子は任意に腫瘍への直接注射(例えば、腫瘍内注射)により投与され、造血系の腫瘍の場合に、ウイルス又は核酸分子は静脈内又は他の血管内経路で投与することができ、体内の容易にアクセス可能でない腫瘍(例えば、転移)の場合に、ウイルス又は核酸分子は全身を駆け巡ることで腫瘍に到達することができるように全身投与することができる(例えば、静脈内注射又は筋肉内注射)。任意に、本発明のウイルス又は核酸分子は、皮下経路、腹腔内経路、くも膜下経路(例えば、脳腫瘍の場合)、局所経路(例えば、黒色腫の場合)、経口経路(例えば、口腔癌用又は食道癌の場合)、鼻腔内経路又は吸入スプレー経路(例えば、肺癌の場合)等を介して投与され得る。或る特定の好ましい実施の形態では、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子は、皮内経路、皮下経路、筋肉内経路、静脈内経路、経口経路等を介して投与され得る。
或る特定の好ましい実施の形態では、上記方法は、抗腫瘍活性を有する追加の薬学的活性剤を投与することを更に含む。そのような追加の薬学的活性剤は、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子の投与の前に、その投与と同時に又はその投与の後に投与され得る。
或る特定の好ましい実施の形態では、追加の薬学活性剤には、追加の腫瘍溶解性ウイルス、化学療法剤又は免疫療法剤が含まれる。
本発明において、追加の腫瘍溶解性ウイルスには、限定されるものではないが、アデノウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、麻疹ウイルス又はそれらの任意の組合せが含まれる。化学療法剤には、限定されるものではないが、5−フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ヒドロキシ尿素、シクロホスファミド、ダカルバジン、ミトキサントロン、アントラサイクリン類(例えば、エピルビシン又はドキソルビシン)、エトポシド、白金化合物(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)、タキサン類(例えば、パクリタキセル又はタキソテール)又はそれらの任意の組合せが含まれる。免疫療法剤には、限定されるものではないが、免疫チェックポイント阻害薬(例えば、PD−L1/PD−1阻害薬又はCTLA−4阻害薬)、腫瘍特異的標的化抗体(例えば、リツキシマブ又はハーセプチン)又はそれらの任意の組合せが含まれる。
或る特定の好ましい実施の形態では、PRV及び/又はその改変形は被験体の体重1kg当たり1pfu〜1×1015pfuの任意の量で投与することができ、例えば、PRV及び/又はその改変形は被験体の体重1kg当たり少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、1×10pfu、1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×10pfu、少なくとも1×1010pfu、少なくとも1×1011pfu、又は少なくとも1×1012pfuの量で投与され得る。或る特定の好ましい実施の形態では、本明細書に記載される核酸分子は被験体の体重1kg当たり1×1010〜5×1014(例えば、3×1010〜3×1014)のウイルスゲノムコピーのいずれかの量で投与され得る。或る特定の好ましい実施の形態では、本明細書に記載されるPRV及び/又はその改変形又は核酸分子は1日3回、1日2回、1日1回、2日毎に1回又は週に1回投与することができ、任意に上述の投与計画は、必要に応じて毎週又は毎月繰り返すことができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、上記方法は追加療法を施すことを更に含む。この追加療法は外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法又は遺伝子療法等の腫瘍に関して知られている任意の療法であり得る。この追加療法は上記方法を施す前に、それと同時に又はその後に施すことができる。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記被験体は、ヒト等の哺乳動物である。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記腫瘍は、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、骨肉腫、前立腺癌、鼻咽頭癌、鼻中隔扁平上皮癌、喉頭癌、甲状腺癌、甲状腺の腺管癌、膀胱癌等から選択される。或る特定の例示的な実施の形態では、腫瘍再発は肝臓癌の再発である。
第3の態様では、本発明はまた、第1の態様若しくは第2の態様で規定されるPRV及び/又はその改変形、又は第1の態様若しくは第2の態様で規定される核酸分子を含む医薬組成物に関する。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は、医療技術分野で知られる任意の形で存在し得る。例えば、医薬組成物は、錠剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ゲル剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ロゼンジ剤、坐剤、注射剤(注射液、凍結乾燥粉末を含む)及び他の形態であり得る。幾つかの実施の形態では、医薬組成物は、注射液又は凍結乾燥粉末である。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体又は添加剤を更に含む。或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は安定剤を含む。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は、任意に、追加の薬学的活性剤を更に含む。好ましい実施の形態では、追加の薬学的活性剤は追加の腫瘍溶解性ウイルス、化学療法剤又は免疫療法剤等の抗腫瘍活性を有する薬剤である。
或る特定の好ましい実施の形態では、医薬組成物は被験体における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のために使用される。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記被験体は、ヒト等の哺乳動物である。
或る特定の好ましい実施の形態では、前記腫瘍は、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、骨肉腫、前立腺癌、鼻咽頭癌、鼻中隔扁平上皮癌、喉頭癌、甲状腺癌、甲状腺の腺管癌、膀胱癌等から選択される。或る特定の例示的な実施の形態では、腫瘍再発は肝臓癌の再発である。
第4の態様では、本発明はまた、薬剤として使用される、第1の態様若しくは第2の態様で規定されるPRV及び/又はその改変形、又は第1の態様若しくは第2の態様で規定される核酸分子に関する。
従来技術と比較して、本発明の技術的解決策は少なくとも以下の有益な効果を有する。
本出願の発明者らは、仮性狂犬病ウイルス(PRV)が幅広いスペクトルの腫瘍死滅活性を有することを初めて発見した。この発見に基づき、本発明は更にPRVに基づく腫瘍溶解性ウイルスを提供する。本発明の腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍の治療において単独で使用することができ、また従来の腫瘍治療の補助的方法として又は他の治療方法なしでの治療方法として使用することもでき、それにより大きな臨床的価値を有する。
本発明の実施形態を図面及び以下の実施例と併せて詳細に説明するが、当業者であれば、図面及び以下の実施例は本発明の範囲を限定するのではなく、本発明を例示するためにのみ使用されることを理解するであろう。本発明の様々な対象及び有利な態様は、当業者には以下の図面の詳細な説明及び好ましい実施形態から明らかになるであろう。
図1A〜図1Cは、実施例2におけるヒト肺癌細胞系統H1299、ヒト肝臓癌細胞系統BEL7402、ヒト胃癌細胞系統BGC823、ヒト結腸癌細胞系統HCT−116、マウス乳癌細胞系統4T1、ヒト黒色腫細胞系統MPWO、ヒト子宮頸癌細胞系統SIHA、マウス腎臓癌細胞系統Renca、ヒト卵巣癌細胞系統A2780、ヒト鼻咽頭癌細胞系統CNE1、神経膠腫細胞系統GBM、ヒト喉頭癌細胞系統Hep−2、ヒト膵臓癌細胞系統Panc−1、ヒトリンパ腫細胞系統A20、マウス前立腺癌細胞系統Tramp C2及びヒト胎児肺線維芽細胞MRC5に対する野生型PRVのin vitro死滅実験の結果の顕微鏡写真を示す図であり、ここで、MOCKは、ウイルスに感染していない細胞を表す。これらの結果は、PRVがヒト腫瘍細胞系統及びマウス腫瘍細胞系統に対して顕著な腫瘍溶解性効果を示したが、感染多重度(MOI)1での感染の72時間後にヒト非腫瘍細胞のMRC5に対してはほとんど死滅効果を有しなかったことを示している。 図1A〜図1Cは、実施例2におけるヒト肺癌細胞系統H1299、ヒト肝臓癌細胞系統BEL7402、ヒト胃癌細胞系統BGC823、ヒト結腸癌細胞系統HCT−116、マウス乳癌細胞系統4T1、ヒト黒色腫細胞系統MPWO、ヒト子宮頸癌細胞系統SIHA、マウス腎臓癌細胞系統Renca、ヒト卵巣癌細胞系統A2780、ヒト鼻咽頭癌細胞系統CNE1、神経膠腫細胞系統GBM、ヒト喉頭癌細胞系統Hep−2、ヒト膵臓癌細胞系統Panc−1、ヒトリンパ腫細胞系統A20、マウス前立腺癌細胞系統Tramp C2及びヒト胎児肺線維芽細胞MRC5に対する野生型PRVのin vitro死滅実験の結果の顕微鏡写真を示す図であり、ここで、MOCKは、ウイルスに感染していない細胞を表す。これらの結果は、PRVがヒト腫瘍細胞系統及びマウス腫瘍細胞系統に対して顕著な腫瘍溶解性効果を示したが、感染多重度(MOI)1での感染の72時間後にヒト非腫瘍細胞のMRC5に対してはほとんど死滅効果を有しなかったことを示している。 図1A〜図1Cは、実施例2におけるヒト肺癌細胞系統H1299、ヒト肝臓癌細胞系統BEL7402、ヒト胃癌細胞系統BGC823、ヒト結腸癌細胞系統HCT−116、マウス乳癌細胞系統4T1、ヒト黒色腫細胞系統MPWO、ヒト子宮頸癌細胞系統SIHA、マウス腎臓癌細胞系統Renca、ヒト卵巣癌細胞系統A2780、ヒト鼻咽頭癌細胞系統CNE1、神経膠腫細胞系統GBM、ヒト喉頭癌細胞系統Hep−2、ヒト膵臓癌細胞系統Panc−1、ヒトリンパ腫細胞系統A20、マウス前立腺癌細胞系統Tramp C2及びヒト胎児肺線維芽細胞MRC5に対する野生型PRVのin vitro死滅実験の結果の顕微鏡写真を示す図であり、ここで、MOCKは、ウイルスに感染していない細胞を表す。これらの結果は、PRVがヒト腫瘍細胞系統及びマウス腫瘍細胞系統に対して顕著な腫瘍溶解性効果を示したが、感染多重度(MOI)1での感染の72時間後にヒト非腫瘍細胞のMRC5に対してはほとんど死滅効果を有しなかったことを示している。 実施例2におけるマウス腎臓癌細胞系統Rencaに対する野生型PRVウイルスの死滅効果を示す図である。これらの結果は、PRVを感染させたRenca細胞が24時間で非常に明らかなCPEを示し、それらの細胞が48時間までにほとんど全てが溶解されて死に至ったことを示している。 実施例3におけるヒト鼻咽頭癌モデルCNE1(A)、ヒトバーキットリンパ腫モデルRaji(B)及びヒト神経膠腫モデルGBM(C)に対するPRV−WTのin vivo抗腫瘍実験の結果を示す図である。これらの結果は、チャレンジ群において、SCIDマウスにおけるCNE1細胞、Raji細胞又はGBM細胞の皮下接種によって形成される腫瘍の成長が大幅に遅くなって停止し、更に腫瘍は溶解して消失するが、それに対して、腫瘍溶解性ウイルスで処理されていないネガティブ群(Mock)における腫瘍は正常な成長を維持し、その腫瘍容積はチャレンジ群の腫瘍容積よりも有意に大きいことを示している。 実施例3におけるマウス結腸癌モデルCT26(図4A)、マウス肝臓癌モデルHep1−6(図4B)、マウス腎臓癌モデルRenca(図4C)、マウス乳癌モデル4T1(図4D)に対するPRV−WTのin vivo抗腫瘍実験の結果を示す図である。これらの結果は、PRV−WTが上記のマウス腫瘍モデルにおいて有意な治療効果を有したことを示している。 実施例4におけるマウス静脈内注射モデルにおけるPRV−WTの安全性評価の結果を示す図である。PBS(A)又は1×10PFUのウイルス(B)をBab/cマウスに静脈内注射することにより、マウスの体重及び生存率を観察した。これらの結果は、PRV−WT群及びPBS群のマウスの体重が同じ傾向を示し、どのマウスも死に至らなかったことを示していることから、野生型PRV−WTがマウスの静脈内モデルにおいて非常に優れた安全性を有したことが確認される。 実施例4におけるマウス頭蓋内注射モデルにおける野生型PRV−WTの安全性評価の結果を示す図である。2×10PFU、2×10PFU及び2×10PFUのPRV−WTをBab/cマウスに頭蓋内注射することにより、マウスの生存率を観察した。これらの結果は、ウイルスを注射したマウスが全て次々に死に至り、或る特定の用量依存性を示したことを示している。そのような結果は、PRV−WTが或る特定の神経毒性を有し得ることを示唆している。 実施例5における腫瘍細胞系統及び二倍体細胞系統(正常細胞系統と同様)に対するPRV−del−EP0のin vitro死滅活性評価の結果を示す図である。図7Aは様々な腫瘍細胞系統に対するPRV−del−EP0(BK61−dEP0)の死滅結果を示し、図7Bは様々な二倍体細胞系統(正常細胞系統と同様)に対するPRV−del−EP0(BK61−dEP0)の死滅結果を示す。これらの結果は、PRV−del−EP0がPRV−WTに匹敵する腫瘍死滅活性を有し、正常細胞に対するその死滅活性が低下したことを示している。 実施例5におけるマウス頭蓋内注射モデルにおけるPRV−del−EP0の安全性評価の結果を示す図である。1×10PFU、1×10PFU、1×10PFU、1×10PFU、1×10PFU、1×10PFUのPRV−WT(A)又はPRV−del−EP0(B)をマウスに頭蓋内注射することにより、マウスの生存率を観察した。これらの結果は、PRV−del−EP0が野生型PRVと比べてin vivo安全性を大幅に改善したことを示している。 実施例5におけるマウス肝臓癌モデルに対するPRV−del−EP0の治療効果を示す図である。その中で、図9はマウス肝臓癌モデルの腫瘍サイズに対するPRV−del−EP0の効果を示し、図10はマウス肝臓癌モデルの生存率に対するPRV−del−EP0の効果を示す。これらの結果は、PRV−del−EP0がPRV−WTと同等の顕著な抗腫瘍活性を有したことを示している。 実施例5におけるマウス肝臓癌モデルに対するPRV−del−EP0の治療効果を示す図である。その中で、図9はマウス肝臓癌モデルの腫瘍サイズに対するPRV−del−EP0の効果を示し、図10はマウス肝臓癌モデルの生存率に対するPRV−del−EP0の効果を示す。これらの結果は、PRV−del−EP0がPRV−WTと同等の顕著な抗腫瘍活性を有したことを示している。 実施例5におけるPRV−WT及びPRV−del−EP0により治癒したマウスの腫瘍再発率の評価結果を示す図である。これらの結果は、PRV−WT及びPRV−del−EP0が腫瘍再発を防ぐことができたことを示している。
配列情報
本発明に関係する配列の一部の情報を以下の表1に示す。
Figure 2021519747
ここで、以下の実施例を参照して本発明を説明するが、これらの実施例は、本発明を例示することを意図するものである(本発明を限定することを意図するものではない)。
特段の指示がない限り、本発明で使用される分子生物学実験方法及びイムノアッセイは、基本的にJ. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989及びFM Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Edition, John Wiley & Sons, Inc., 1995を参照した。制限酵素の使用は、製品の製造業者により推奨される条件に従った。実施例に具体的な条件が示されていない場合には、慣用の条件又は製造業者により推奨される条件に従うべきである。製造業者が示されていない使用される試薬又は機器は全て、市販される慣用の製品であった。当業者は、実施例が本発明を例として説明し、本発明の特許請求の範囲を限定することを意図しないことを認識している。本明細書で挙げられる全ての刊行物及び他の参考文献は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
実施例1:PRV及びその改変形の取得及び準備
1.1 検体からの仮性狂犬病ウイルス(PRV)の分離
(1)病気の豚の咽頭スワブ及び肛門スワブは、中国廈門市の疾病管理予防センター(Center for Disease Control and Prevention)に由来し、豚胎児腎臓細胞(PK−15;ATCC番号CCL−33(商標))は、中国国立感染病診断試薬ワクチン開発研究センター(National Engineering Research Center for Diagnostic Reagents and Vaccines for Infectious Diseases)(廈門大学、中国)によって保管され、それらは10%ウシ胎児血清、グルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンが補充されたDMEM培地中で培養された。
(2)検体の処理:咽頭スワブ及び肛門スワブを検体保存溶液中に入れて十分に撹拌することで、スワブに付着したウイルス及びウイルス含有細胞を洗い落とした後に、検体保存溶液を4000rpm、4℃で30分間にわたり高速遠心分離にかけた。
(3)接種及び観察:
A.PK−15細胞を24ウェルプレート上に1×10細胞/ウェルで播種した。成長溶液(DMEM培地、10%ウシ胎児血清と、グルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンと)を吸引した後に、各ウェルに1mLの維持溶液(DMEM培地、2%ウシ胎児血清と、グルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンと)を加えた。次いで、ネガティブコントロールウェルを除き、各ウェルに50μLの試料上清を接種し、インキュベーターにおいて37℃、5%COで培養した。
B.細胞を顕微鏡下で1週間にわたり毎日観察し、接種されたウェルにおける特異的な細胞変性効果(CPE)の発生を記録した。
C.接種されたウェルの細胞に仮性狂犬病ウイルスに特異的なCPEが7日以内に現れたら、細胞及び上清を回収して−80℃で凍結保存した。CPEが7日後に現れなかったら、それらの細胞を盲継代した。
D.細胞においてCPEが6回の盲継代の間に現れたら、細胞及び上清を回収して−80℃で凍結保存した。6回の盲継代後にCPEが現れなかったら、それらの細胞は陰性と決定した。
(4)ウイルスの分離及びクローニング
臨床検体から分離されたウイルスをPCRによって特定し、仮性狂犬病ウイルス陽性培養物を選択し、少なくとも3回のウイルスプラーク精製実験に供し、各回にウイルスプラークから得られたクローン株もPCRによって特定し、仮性狂犬病ウイルス陽性クローン株を選択し、後続回のクローニングにかけ、増殖生存性の強い単一の仮性狂犬病ウイルス株を、腫瘍溶解性ウイルスの候補株として選択した。
1.2 CRISPER/CAS9技術に基づくPRVの遺伝子編集及びその改変形の取得
この実施例は、遺伝子編集により本発明のためのPRV及びその改変形をどのようにして得るかを示すために、一例としてBK61−WTとも呼ばれる野生型PRV株(配列番号1)を使用した。具体的な方法は以下の通りである。
(1)CRISPER/CAS9技術に基づくsgRNA設計:外因性遺伝子が挿入されるべき部位の近くのPAM部位をウイルスゲノム解析により見出して、PAMの近くの配列に従ってsgRNAを設計したため、CAS9タンパク質はウイルスゲノムを切断することができ、その後に相同組換えが行われ、新しい改変ウイルスが得られた。
(2)ドナー標的断片の構築:合成のために標的断片をShanghai Shengong社に送った。相同組換えが行われた場合に、標的遺伝子断片の取得も改変の成功の鍵であった。
改変形:野生型PRVの主要タンパク質EP0の遺伝子配列(そのDNA配列は配列番号2に示されている)を緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子配列(そのDNA配列は配列番号3に示されている)によって置き換えることで、組換えウイルス(PRV−del−EP0と命名され、BK61−dEP0とも呼ばれる)のゲノム(そのDNA配列は配列番号4に示されている)を得た。
(3)上記で構築されたsgRNAを293T細胞に移入して、安定した細胞株を形成した後に、標的断片を細胞に移入し、引き続きPRVウイルスを感染させた。そして、細胞内相同組換え技術を使用することによって、新しい組換えウイルスを形成した。
(4)293Tを感染させた後に形成された子孫ウイルスを使用して、PK−15細胞に感染させた。組換えに成功した子孫ウイルスは蛍光シグナルを有し、子孫ウイルスのスクリーニング及び分離のために使用することができた。
実施例2:野生型PRVの抗腫瘍活性のin vitro評価
2.1 使用されるウイルス及び細胞系統
(1)ウイルス:この実施例では、実施例1に示されるPRV−WT(配列番号1)を使用した。
(2)細胞系統:ヒト横紋筋肉腫細胞RD(ATCC(商標)番号:CCL−136(商標))、ヒト結腸直腸癌細胞系統SW1116(ATCC(商標)番号:CCL−233(商標))、SW480(ATCC(商標)番号:CCL−228(商標))及びHT−29(ATCC(商標)番号:HTB−38(商標))、ヒト胃癌細胞系統AGS(ATCC(商標)番号:CRL−1739(商標))、SGC7901(CCTCC寄託番号:GDC150)、BGC823(CCTCC寄託番号:GDC151)及びNCI−N87(ATCC(商標)番号:CRL−5822(商標))、ヒト食道癌細胞系統TE−1(中国科学院上海生物科学研究所細胞資源センター(Cell Resource Center, Shanghai Institute for Biological Sciences, Chinese Academy of Sciences)から購入、番号3131C0001000700089)、ヒト小細胞肺癌細胞系統DMS114(ATCC(商標)番号:CRL−2066(商標))、ヒト非小細胞肺癌細胞系統SPC−A−1(CCTCC寄託番号:GDC050)、NCI−H1975(ATCC(商標)番号:CRL−5908(商標))、NCI−H1299(ATCC(商標)番号:CRL−5803(商標))、A549(ATCC(商標)番号:CCL−185(商標))、NCI−H661(ATCC(商標)番号:HTB−183(商標))、EBC−1(Thermo Fisher Scientific社、カタログ番号:11875101)及びNCI−H1703(ATCC(商標)番号:CRL−5889(商標))、ヒト肝臓癌細胞系統C3A(ATCC(商標)番号:CRL−10741(商標))、HepG2(ATCC(商標)番号:HB−8065(商標))、SMMC7721(中国医学科学院基礎医学研究所基礎医学細胞センター(Basic Medical Cell Center, Institute of Basic Medical Sciences, Chinese Academy of Medical Sciences)から購入、番号:3111C0001CCC000087)、BEL7402(CCTCC寄託番号:GDC035)、BEL7404(中国科学院上海生物科学研究所細胞資源センターから購入、番号:3131C0001000700064)、Huh7(CCTCC寄託番号:GDC134)及びPLC/PRF/5(ATCC(商標)番号:CRL−8024(商標))、ヒト卵巣癌細胞系統SKOV3(ATCC(商標)番号:HTB−77(商標))及びCaov3(ATCC(商標)番号:HTB−75(商標))、ヒト子宮内膜癌細胞系統Hec−1−A(ATCC(商標)番号:HTB−112(商標))、Hec−1−B(ATCC(商標)番号:HTB−113(商標))及びIshikawa(ECACC番号99040201)、ヒト子宮頸癌細胞系統Hela(ATCC(商標)番号:CCL−2(商標))、Caski(ATCC(商標)番号:CRL−1550(商標))及びC−33A(ATCC(商標)番号:HTB−31(商標))、ヒト黒色腫細胞系統SK−MEL−1(ATCC(商標)番号:HTB−67(商標))及びMeWo(ATCC(商標)番号:HTB−65(商標))、ヒト乳癌細胞系統BcaP37(CCTCC寄託番号:GDC206)、BT−474(ATCC(商標)番号:HTB−20(商標))及びMDA−MB−231(ATCC(商標)番号:HTB−26(商標))、ヒト腎臓癌細胞系統A−498(ATCC(商標)番号:HTB−44(商標))及び786−O(ATCC(商標)番号:CRL−1932(商標))、ヒト膵臓癌細胞系統Capan−2(ATCC(商標)番号:HTB−80(商標))及びHPAF−2(ATCC(商標)番号:CRL−1997(商標))、ヒト骨肉腫細胞系統U2OS(ATCC(商標)番号:HTB−96(商標))、ヒト前立腺癌細胞系統DU145(ATCC(商標)番号:HTB−81(商標))及びLNCap(ATCC(商標)番号:CRL−1740(商標))、ヒト神経膠腫細胞系統GBM(患者の腫瘍組織から分離された原発腫瘍細胞系統)、ヒト神経芽腫細胞系統SH−SY5Y(ATCC(商標)番号:CRL−2266(商標))、ヒト鼻咽頭癌細胞系統CNE(中国医学科学院基礎医学研究所基礎医学細胞センター(Center for Basic Medical Cells, Institute of Basic Medical Sciences, Chinese Academy of Medical Sciences)から購入、番号:3131C0001000700013)、ヒト鼻中隔扁平上皮癌細胞系統RPMI 2650(ATCC(商標)番号:CCL−30(商標))、ヒト喉頭癌細胞系統HEp−2(ATCC(商標)番号:CCL−23(商標))、ヒト甲状腺癌細胞系統SW579(中国国立感染病診断試薬ワクチン開発研究センターによって保管されている)及び甲状腺細胞系統TTのヒト腺管癌(ATCC(商標)番号:CRL−1803(商標))、ヒト膀胱癌細胞系統J82(ATCC(商標)番号:HTB−1(商標))及び5637(ATCC(商標)番号:HTB−9(商標))、ヒトバーキットリンパ腫細胞系統Daudi(ATCC(商標)番号:CCL−213(商標))及びRaji(ATCC(商標)番号:CCL−86(商標));ヒト皮膚ケラチノサイト細胞系統HaCat(CCTCC、寄託番号:GDC106)、ヒト胎児肺線維芽細胞系統MRC−5(ATCC(商標)番号:CCL−171(商標))、ヒト包皮線維芽細胞系統HFF−1(ATCC(商標)番号:SCRC−1041(商標))、ヒト前立腺間質細胞系統WPMY−1(ATCC(商標)番号:CRL−2854(商標))、ヒト臍帯静脈内皮細胞系統HUVEC(Thermo Fisher Scientific社、カタログ番号:C01510C)及び分化したヒト肝前駆細胞系統HepaRG(初代肝細胞の特徴を有する;Thermo Fisher Scientific社、カタログ番号:HPRGC10)を含むヒト正常細胞系統。上記の細胞は全て中国国立感染病診断試薬ワクチン開発研究センター(廈門大学、中国)によって保管された。HepaRG細胞はWME培地(1.5%DMSOを添加)中で培養され、AGS及びTTはF−12K培地中で培養され、SH−SY5YはDMEM:F12(1:1)培地中で培養され、RD、C−33A、EBC−1、SK−MEL−1、J82及びDU145はMEM培地中で培養され、Raji、Daudi、5637、786−O、TE−1、Caski、NCI−H1299、NCI−H1703、NCI−H1975、NCI−H661、SGC7901、BGC823、SW1116、HEp−2及びLNCapはRPMI−1640培地中で培養され、その他の細胞はDMEM培地中で培養された。上記の全ての培地には10%ウシ胎児血清、グルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを補充した。上記の全ての細胞は37℃及び5%COの標準条件下で培養した。
2.2 ウイルスの培養
RD細胞を10cmの細胞培養プレート上に均等に播種し、培養条件は10%ウシ胎児血清、グルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンを含有するDMEM培地、37℃、5%のCO並びに飽和湿度であり、細胞コンフルエンスが90%以上に達したら、細胞培養培地を、2%血清を含有するDMEM培地と交換し、各プレートに10PFUのPRV−WTを接種した。
24時間の連続培養後にPRV−WTはRD細胞内で増殖し、細胞内でCPEを生じた。90%を超える細胞が収縮して丸くなり、粒状性の増加を示し、剥離して溶解されたら、細胞及びその培養上清を採取した。3回のサイクルの凍結及び融解の後に、培養上清を回収して遠心分離をすることで、細胞片を除去した。その際、遠心分離条件は4000rpm、10分及び4℃であった。最後に上清を0.22μmの使い捨てフィルター(Millipore社)で濾過して、細胞片等の不純物を除去した。
2.3 ウイルス力価の決定
RD細胞を、6ウェルプレート上に10細胞/ウェルの細胞密度で播種した。細胞が接着した後に、ウイルスを10倍に希釈した。100μlのウイルスの希釈液を各ウェルに加えて細胞に感染させ、引き続き15分毎に1回振盪及び混合を行った。5回の振盪及び混合の後に、上清を除去した。pbsを用いて調製した2%アガロース溶液を加熱により溶解させた後に、10%血清を含むDMEM培地と1:1の容量比で混合し、細胞に加えた。冷やして固まったら、それを裏返してインキュベーターに入れた。3日間培養した後に、10%ホルムアルデヒド溶液を加えて1時間固定し、次いでゲルを反転させて取り出して、クリスタルバイオレット染色溶液で15分間染色した。形成されたプラークの数を計数することにより、ウイルスの力価を決定した。
2.4 ウイルスのin vitro抗腫瘍実験
ヒト腫瘍細胞及び正常細胞を96ウェルプレートへと1ウェル当たり10個で接種した。細胞が接着した後に、各ウェルを対応する無血清の細胞培養培地と置き換え、ウイルスをそれぞれ10、1、0.1及び0.01のMOIで接種した。引き続き、細胞のCPEを顕微鏡により毎日観察した。
顕微鏡写真を図1A〜図1Cに示す。これらの結果は、感染多重度(MOI)1での感染の72時間後に、ウイルス感染群において腫瘍細胞数の大幅な減少、顕著な収縮及び溶解等が検出されたが、Mock群の非腫瘍細胞と比較すると、ウイルスに感染した非腫瘍細胞は細胞形態にほとんど変化を示さなかったことを示している。上記の結果は、PRVが様々なヒト腫瘍細胞系統及びマウス腫瘍細胞系統に対して顕著な腫瘍溶解効果を有するが、非腫瘍細胞のヒト胎児肺線維芽細胞MRC5に対してはほとんど効果を有しないことを指摘している。さらに、1のMOIでの感染の24時間後に、Renca細胞のCPEは非常に明らかであり、ほとんど全ての細胞が48時間までに溶解されて死に至った(図2)。
Cell Counting Kit−8(CCK−8キット;Shanghai Biyuntian Biotechnology Co., Ltd.社)を使用して、72時間のウイルス感染及び培養後の細胞生存率を検出した。具体的な方法は以下の通りであった。
接着細胞については、96ウェル細胞培養プレート中の元の培地を直接廃棄し、懸濁細胞については、96ウェル細胞培養プレート中の元の培地は遠心分離後に慎重に廃棄し、その後に、ウェル毎に100μlの新鮮な無血清培地を加えた。10μlのCCK−8溶液を、細胞が接種された各ウェルに添加し、また等量のCCK−8溶液をネガティブコントロールとしてブランク培養培地に添加し、引き続き細胞培養インキュベーター中、37℃で0.5時間〜3時間インキュベートした。マイクロプレートリーダーを使用して吸光度を450nmで、それぞれ0.5時間、1時間、2時間、3時間で検出し、吸光度が適切な範囲内であった時点を細胞生存率のための参照として選択した。PRV−WTに対する細胞のCCK−8検出結果を表2に示す。ここで、「−」は、ウイルス処理後の細胞生存率がMOCK群の細胞生存率と有意に異ならないことを示し、「+」は、ウイルス処理後に、細胞数が減少し、生存率が依然として50%を超えているが、MOCK群の生存率とは有意に異なることを示し、「++」は、ウイルス処理後の細胞生存率が50%未満であり、MOCK群の細胞生存率とは有意に異なることを示した。
細胞生存率の計算は、
生存率(%)=(試験群の読取値−ネガティブコントロール群の読取値)/(ポジティブコントロール群の読取値−ネガティブコントロール群の読取値)×100%
である。
Figure 2021519747
備考:「−」は、ウイルス処理群とMOCK群との間の細胞生存率に有意差がないことを示し、「+」は、ウイルス処理後に、細胞数が減少し、生存率が50%を超えているが、MOCK群の生存率とは有意に異なることを示し、「++」は、ウイルス処理後の細胞生存率が50%未満であり、MOCK群の細胞生存率とは有意に異なることを示した。
表2から、PRV−WTがほとんどの検出された腫瘍細胞に対して良好な死滅効果を有したことが分かる。特に、該ウイルスは肺癌、肝臓癌、卵巣癌、神経芽細胞腫、子宮頸癌、リンパ腫及び腎臓癌に対して非常に顕著な死滅効果を有した。一方で、PRV−WTはヒト胎児肺線維芽細胞系統MRC−5を含む非腫瘍細胞系統に対して或る一定の死滅効果を有した。
実施例3:野生型PRVのin vivo抗腫瘍実験
3.1 ウイルス、細胞系統及び実験動物
(1)ウイルス:この実施例では、実施例1に示されるPRV−WTを使用した。ウイルス培養及びウイルス力価の決定方法については、それぞれ実施例2.2及び実施例2.3を参照のこと。
(2)細胞系統:ヒト鼻咽頭癌細胞系統CNE1、ヒトバーキットリンパ腫細胞Raji(ATCC(商標)番号:CCL−86(商標))、ヒト神経膠腫細胞系統GBM(患者の腫瘍組織から分離された原発腫瘍細胞系統)、マウス結腸癌細胞CT26、マウス肝臓癌細胞Hep1−6、マウス腎臓癌細胞Renca及びマウス乳癌細胞4T1。Rajiを除いて、上記細胞はRPMI−1640培地中で培養され、その他の全ての細胞はDMEM培地中で培養され、上記培地には全て10%ウシ胎児血清、グルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを加えた。上記の全ての細胞は37℃及び5%COの標準条件下で培養した。
(3)実験動物:6週齢〜8週齢の雌のC.B17 SCIDマウス又はBab/cマウスは、Shanghai Silaike Experimental Animal Co., Ltd.社から得られ、これらのマウスは廈門大学の実験動物センター及び倫理委員会により承認された計画に従ってSPF条件下で飼育された。
3.2 ウイルスのin vivo抗腫瘍実験
ヒト腫瘍移植モデルのために、SCIDマウスを使用した。皮下腫瘍形成のために使用された腫瘍細胞を0.01%のトリプシンで消化し、次いで10%のウシ胎児血清を含む細胞培養培地を使用して再懸濁して、単一細胞懸濁液にした。その懸濁液の細胞密度を計数した。細胞を1000gで3分間の遠心分離により沈殿させた後に、細胞を適切な容量のPBSで再懸濁して、約10細胞/100μl(PBS)〜10細胞/100μl(PBS)の濃度に到達させた。腫瘍細胞を注射器でSCIDマウスの背部に10細胞/100μl(PBS)/部位〜10細胞/100μl(PBS)/部位で皮下接種した。腫瘍細胞が約14日〜21日後にSCIDマウスの皮下で約100mmの腫瘍量に成長したら、担癌のSCIDマウスをPRV−WTで処理された実験群(BK61)及びネガティブコントロール群(Mock)に無作為に分けた。マウス腫瘍モデルのために、Bab/cマウスを使用し、腫瘍細胞を皮下接種した。7日〜14日後に、治療のために約100mmの腫瘍量を有するマウスを選択した。
10のTCID50/100μl(無血清培地)/腫瘍量の用量での腫瘍溶解性ウイルスPRV−WT及び等量の無血清培地をそれぞれ2日毎に1回、合計5回の処理にわたり腫瘍内注射した。
腫瘍サイズをノギスで計測し、2日毎に記録した。腫瘍サイズの計算方法は以下の通りである。
腫瘍サイズ(mm)=腫瘍の長さの値×(腫瘍の幅の値)/2
ヒト腫瘍移植モデル及びマウス腫瘍モデルに対するPRV−WTの治療結果をそれぞれ図3及び図4に示す。これらの結果は、PRV−WTでの処理後に、CNE1(図3A)、GBM(図3B)、Raji(図3C)及びCT26(図4A)、Hep1−6(図4B)、Renca(図4C)及び4T1(図4D)の腫瘍の成長が徐々に遅くなって停止し、更に腫瘍は溶解して消失するのに対して、ネガティブ群(Mock)の腫瘍は正常な成長を維持し、その腫瘍サイズは実験群の腫瘍サイズよりも有意に大きいことを示している。
上記結果は、PRV−WTがin vivoで有意に好ましい抗腫瘍活性を示したことを指摘している。
実施例4:腫瘍溶解性ウイルスの安全性評価
4.1 使用されるウイルス及び実験動物
(1)ウイルス:この実施例では、実施例1に示されるPRV−WTを使用した。ウイルス培養及びウイルス力価の決定方法については、それぞれ実施例2.2及び実施例2.3を参照した。
(2)実験動物:6週齢〜8週齢のBab/cマウスは、Shanghai Silaike Experimental Animal Co., Ltd.社から得られ、これらのマウスは、廈門大学の実験動物センター及び倫理委員会により承認されたプロトコルに従ってクリーングレード条件下で飼育され、引き続き、仮性狂犬病ウイルスのin vivo病原性評価のために使用した。
4.2 マウスにおけるウイルスの安全性評価
(1)Bab/cマウスを選択し、PRV−WT又はPBSの単回の静脈内注射に供し、チャレンジ力価用量は10のTCID50/マウス(1群当たり6匹のマウス)であり、更にチャレンジ群のBab/cマウスの生存率及び体重を毎日観察して記録した。PBS又はPRV−WTの注射後のマウスの体重の統計結果を図5A及び図5Bに示す。ここでは、チャレンジ後15日以内に、チャレンジ群のどのマウスも死に至らず、チャレンジ群の動物の体重増加の傾向はコントロール群の傾向と一致しており、すなわち、統計的差異はなかった(P>0.05)ことが示された。この結果は、PRV−WTがマウスの静脈内モデルにおいて非常に良好な安全性を有したことを示している。
(2)Bab/cマウスを選択し、種々の用量のPRV−WTを2×10PFU/マウス、2×10PFU/マウス、2×10PFU/マウス(1群当たり4匹のマウス)のチャレンジ力価で頭蓋内注射した。引き続き、種々の用量のチャレンジ群におけるBab/cマウスの生存率を毎日記録した。結果を図6に示す。ここでは、マウスの死亡が次々と起こり、この現象が用量依存的であることが示されたことから、PRV−WTが或る特定の神経毒性を有することが指摘される。
実施例5:PRVの改変形の抗腫瘍活性及び安全性評価
5.1 使用されるウイルス
この実施例では、実施例1に示されるPRV−del−EP0(配列番号4)を使用した。ウイルス培養及びウイルス力価の決定方法については、それぞれ実施例2.2及び実施例2.3を参照した。
5.2 PRV−del−EP0のin vitro腫瘍溶解活性の評価
標的細胞を、実施例2に記載された方法に従ってMOI=1でPRV−del−EP0(BK61−dEP0)により処理し、PRV−del−EP0(BK61−dEP0)で処理した後の細胞の生存率を、CCK8法を使用して検出した。図7Aは様々な腫瘍細胞系統に対するPRV−del−EP0(BK61−dEP0)の死滅結果を示しており、これらの結果は、PRV−del−EP0が親株の野生型PRVに匹敵する死滅効果を実質的に維持したことを指摘している。図7Bは様々な非腫瘍細胞系統に対するPRV−del−EP0(BK61−dEP0)の死滅結果を示しており、これらの結果は、PRV−del−EP0が親株の野生型PRVと比べて、二倍体細胞系統(正常細胞系統と同様)に対する死滅活性の大幅な低下を示したことを指摘している。上記結果は、PRV−del−EP0が野生型PRVの有意な腫瘍死滅活性を維持しただけでなく、或る程度まで改善された安全性を有したことを指摘している。
5.3 PRV−del−EP0のin vivo安全性評価
ICRマウスを選択し、種々の用量のPRV−WT及びPRV−del−EP0を1×10PFU/マウス、1×10PFU/マウス、1×10PFU/マウス、1×10PFU/マウス、1×10PFU/マウス、1×10PFU/マウス(1群当たり4匹のマウス)のチャレンジ力価用量で頭蓋内注射し、その後に、種々の用量のチャレンジ群におけるICRマウスの生存率を毎日記録した。PRV−WT(BK61−WT)群の結果を図8Aに示し、PRV−del−EP0(BK61−dEP0)群の結果を図8Bに示す。これらの結果は、PRV−WT群のマウスが次々と死に至り、1×10群及び1×10群における全てのマウスが死に至り、1×10PFU群におけるマウスの生存率がたった25%であるのに対して、PRV−del−EP0群では、マウスの死亡は1×10群でのみ起こり、生存率は50%であったことを示している。上記結果は、PRV−del−EP0が野生型PRVと比べてin vivo安全性を大幅に改善したことを指摘している。
5.4 PRV−del−EP0のin vivo治療効果の評価
C57/B6免疫マウスにおいて皮下腫瘍形成のために使用された腫瘍細胞Hep1−6を0.01%のトリプシンで消化し、次いで10%のウシ胎児血清を含む細胞培養培地を使用して再懸濁して、単一細胞懸濁液にした。その懸濁液の細胞密度を計数した。細胞を1000gで3分間の遠心分離により沈殿させた後に、細胞を適切な容量のPBSで再懸濁して、約10細胞/100μl(PBS)〜10細胞/100μl(PBS)の濃度に到達させた。腫瘍細胞を注射器でC57/B6マウスの背部に10細胞/100μl(PBS)/部位〜10細胞/100μl(PBS)/部位で皮下接種した。腫瘍細胞が約7日〜14日後にSCIDマウスの皮下で約100mmの腫瘍量に成長したら、担癌のSCIDマウスを3つの群に無作為に分けて、それらの群にそれぞれPRV−WT(BK61−WT)、PRV−del−EP0(BK61−dEP0)及びPBSを2日毎に1回、合計3回の処理にわたり腫瘍内注射した。腫瘍サイズをノギスで測定し、2日毎に記録した。腫瘍サイズの計算方法は以下の通りであった。
腫瘍サイズ(mm)=腫瘍の長さの値×(腫瘍の幅の値)/2
結果を図9に示す。PRV−WT群及びPRV−del−EP0群のマウスにおいて腫瘍が完全に無くなったことから、PRV−del−EP0が野生株と同じ有意なin vivo治療効果を示したことが指摘される。
同時に、マウスの生存率を決定した。動物倫理に従って、腫瘍サイズが2000mmに達したらマウスを屠殺した。結果を図10に示す。ここでは、PRV−WT及びPRV−del−EP0の両方の処理により、マウスの生存率が大幅に改善され得たことを指摘している。
さらに、マウスの腫瘍再発率を評価した。具体的には、上述のPRV−WT群及びPRV−del−EP0群において治癒したマウスに再度腫瘍を接種し、接種した細胞数は最初に接種した細胞数の10倍であり、PRV−WT及びPRV−del−EP0で処理されなかったマウスをコントロール群(NC)として使用し、同量の腫瘍細胞を接種した。マウスの腫瘍成長を観察し、腫瘍が再発したマウスの数を計数し、腫瘍再発率を以下のように計算した:腫瘍再発率=(腫瘍が再発したマウスの数/腫瘍を接種したマウスの総数)×100%。結果を図11に示す。ここでは、PRV−WT群及びPRV−del−EP0群におけるどのマウスも再発腫瘍を有しなかったのに対して、PRV−WT及びPRV−del−EP0で処理されていないコントロール群の全てのマウスで腫瘍が観察されたことが示された。この結果は、PRV−WT及びPRV−del−EP0によって治癒したマウスが良好な抗腫瘍免疫を有し、腫瘍再発を防ぐことができたことを示唆している。
本発明の具体的な実施形態を詳細に説明したが、当業者は、公開されているあらゆる教示に基づいて、その詳細に対して様々な変更及び変化を加えることができ、これらの変化が本発明の保護範囲内であることを理解するであろう。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらのあらゆる等価物によって与えられる。

Claims (14)

  1. 被験体における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための、又は被験体における腫瘍の治療及び/又は腫瘍再発の減少若しくは抑制のための医薬を製造するための、仮性狂犬病ウイルス(PRV)若しくはその改変形又は核酸分子の使用であって、前記核酸分子は、
    (1)前記PRV又はその改変形のゲノム配列又はcDNA配列、
    (2)前記cDNA配列の相補的配列、
    からなる群から選択される配列を含む、使用。
  2. 前記PRVは、野生型PRVであり、
    好ましくは、前記PRVは、仮性狂犬病ウイルス(PRV)に感染した動物から分離された株であり、
    好ましくは、前記PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、より好ましくは、前記PRV又はその改変形のゲノム配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列である、請求項1に記載の使用。
  3. 前記改変形は、野生型PRVと比較してゲノム中に1つ以上のヌクレオチドの置換、挿入又は欠失を有する改変PRVであり、
    好ましくは、野生型PRVと比較して、前記改変PRVは、以下:
    (1)1つ以上の内因性遺伝子の欠失又は突然変異、
    (2)非翻訳領域(例えば、プロモーター)における1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入と、
    (3)1つ以上の外因性ヌクレオチド配列の挿入と、
    (4)前記3つの項目の任意の組合せと、
    から選択される1つ以上の改変を有する、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記改変PRVは、機能的EP0タンパク質を発現せず、
    好ましくは、前記改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:前記EP0遺伝子は、機能喪失型突然変異(例えば、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失及び/又は置換)を含む、又は欠失される、又は外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)によって置き換えられる、
    好ましくは、前記機能喪失型突然変異は、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、塩基欠失、塩基置換、塩基付加及びそれらの任意の組合せ(例えば、遺伝子断片の欠失又は置換又は付加)からなる群から選択され、
    好ましくは、前記改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:前記EP0遺伝子は、欠失される、又は外因性ヌクレオチド配列(例えば、外因性タンパク質をコードするヌクレオチド配列)と置換される、
    好ましくは、前記改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、
    好ましくは、前記改変PRVのゲノム配列は、配列番号4に示される、請求項3に記載の使用。
  5. 前記改変PRVは、非コーディング領域(例えば、プロモーター)における1つ以上のヌクレオチドの突然変異、欠失又は挿入を含み、
    好ましくは、前記改変PRVのゲノムは、以下の改変を含む:1つ以上のPRV遺伝子の本来のプロモーターは、腫瘍特異的プロモーターと置き換えられる、請求項3又は4に記載の使用。
  6. 前記改変PRVは、外因性ヌクレオチド配列を含み、
    好ましくは、前記外因性ヌクレオチド配列は、蛍光タンパク質、免疫調節ポリペプチド、サイトカイン、ケモカイン及び抗腫瘍タンパク質又はポリペプチドからなる群から選択される外因性タンパク質をコードする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の使用。
  7. 前記医薬は、PRV及びその改変形の1つ以上を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 前記核酸分子は、前記PRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は前記cDNA配列の相補的配列からなり、
    好ましくは、前記核酸分子は、前記PRV又はその改変形のゲノム配列を有し、
    好ましくは、前記核酸分子は、以下:
    (1)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列、
    (2)配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
    から選択されるヌクレオチド配列を有し、
    好ましくは、前記核酸分子は、配列番号1又は配列番号4に示されるヌクレオチド配列を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 前記核酸分子は、前記PRV若しくはその改変形のゲノム配列若しくはcDNA配列又は前記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)であり、
    好ましくは、前記核酸分子は、前記PRV若しくはその改変形のcDNA配列又は前記cDNA配列の相補的配列を含むベクター(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
  10. 前記医薬は、治療的有効量の前記PRV及び/又はその改変形又は治療的有効量の前記核酸分子を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
  11. 前記医薬は、抗腫瘍活性を有する追加の薬学的活性剤、例えば、追加の腫瘍溶解性ウイルス、化学療法剤又は免疫療法剤を更に含み、
    好ましくは、前記追加の腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、パルボウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、麻疹ウイルス又はそれらの任意の組合せから選択され、
    好ましくは、前記化学療法剤は、5−フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ヒドロキシ尿素、シクロホスファミド、ダカルバジン、ミトキサントロン、アントラサイクリン類、エトポシド、白金化合物、タキサン類又はそれらの任意の組合せから選択され、
    好ましくは、前記免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害薬、腫瘍特異的標的化抗体又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
  12. 前記腫瘍は、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、骨肉腫、前立腺癌、鼻咽頭癌、鼻中隔扁平上皮癌、喉頭癌、甲状腺癌、甲状腺の腺管癌及び膀胱癌からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
  13. 前記被験体は、ヒト等の哺乳動物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
  14. 腫瘍を治療する及び/又は腫瘍再発を減少させる若しくは抑制する方法であって、治療及び/又は減少若しくは抑制を必要とする被験体に、有効量の請求項1〜13のいずれか一項に規定されるPRV若しくはその改変形又は有効量の請求項1〜13のいずれか一項に規定される核酸分子を投与する工程を含み、
    好ましくは、前記腫瘍は、神経膠腫、神経芽細胞腫、胃癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、結腸癌、リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、骨肉腫、前立腺癌、鼻咽頭癌、鼻中隔扁平上皮癌、喉頭癌、甲状腺癌、甲状腺の腺管癌及び膀胱癌から選択され、
    好ましくは、前記被験体は、ヒト等の哺乳動物である、方法。
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