JP2021519724A - トレッドを含むタイヤ - Google Patents
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Abstract
タイヤは、第1ゴム組成物(FC)でできている半径方向外側部分、第2ゴム組成物(SC)でできている半径方向中間部分及び第3ゴム組成物(TC)でできている半径方向内側部分を含む少なくとも3つの半径方向に重ね合わされた部分を含むトレッドを有し、ゴム組成物のそれぞれは、少なくとも、エラストマーマトリックス及び強化充填材をベースとしており、第1ゴム組成物(FC)及び第3ゴム組成物(TC)は、強化充填材が強化無機充填材を主に含むようなものであり、第2ゴム組成物(SC)は、強化充填材がカーボンブラックを主に含むようなものである。
Description
本発明の分野は、タイヤトレッドのためのゴム組成物、より正確には雪で覆われた地面上で回転することができるスノータイヤ又は冬タイヤに好適なタイヤトレッドのためのゴム組成物の分野である。
周知のように、それらの側壁に記された銘刻アルパインシンボル(「雪の結晶と共に3ピーク山」)で特定される、使用「雪」のカテゴリーに分類されるスノータイヤは、それらのトレッドパターン、トレッドコンパウンド及び/又は構造が、車両運動を開始、維持又は停止するそれらの能力に関して、道路使用上で標準を意図される普通のタイヤのものよりも良好な性能を雪条件において達成するように第一に設計されているタイヤを意味する。
特許文献1は、官能性ジエンエラストマー、強化無機充填材及び可塑剤をベースとするゴム組成物を含むタイヤトレッドであって、前記タイヤは、積雪地面上で向上したグリップを有する、タイヤトレッドを開示している。
積雪地面は、低い摩擦係数を有するという特徴を有し、タイヤ製造業者の持続的な目標は、タイヤの耐用年数中、雪で覆われた(積雪)地面上でのタイヤのグリップ性能の向上である。
その研究中、本発明者らは、特定のタイヤトレッド複合構造が、新しい状態でのグリップ性能を向上させるか又は維持しながら、摩耗状態における積雪地面上でのタイヤの意外にも向上したグリップ性能を可能にすることを発見した。
本説明において、特に明記しない限り、示される百分率(%)は、全て質量百分率(質量%)である。
表現「エラストマーマトリックス」は、所与の組成物において、前記ゴム組成物中に存在するエラストマーの全てを意味すると理解される。
略語「phr」は、考慮されるゴム組成物中のエラストマーマトリックスの百質量部当たりの質量部を意味する。
本説明において、特に明記しない限り、それぞれのTgDSC(ガラス転移温度)は、標準ASTM D3418−08に従ってDSC(示差走査熱量測定法)によって公知の方法で測定される。
表現「aとbとの間」によって示される値のいかなる間隔も「a」超の値及び「b」未満の値の範囲(すなわち限界a及びbが除外される)を表す一方、表現「a〜b」によって示される値のいかなる間隔も「a」〜「b」の値の範囲(すなわち厳格な限界a及びbを含む)を意味する。
表現「ベースとしている」は、本出願では、使用される様々な構成成分の混合物及び/又は構成成分の反応の生成物を含む組成物であって、構成成分のいくつかは、組成物の様々な製造段階中、特に加硫(硬化)中に少なくとも部分的に一緒に反応することができるか又は反応することを意図される、組成物を意味すると理解されるべきである。
タイヤは、回転の軸の周りに回転の幾何学的配置を有するため、タイヤの幾何学的配置は、一般に、タイヤの回転の軸を含む子午面内に記載され、タイヤの方向の以下の定義が本出願において理解される:
− 半径方向は、タイヤの回転の軸と垂直な方向であり、
− 軸方向は、タイヤの回転の軸と平行な方向であり、
− 周方向は、子午面と垂直な方向である。
− 半径方向は、タイヤの回転の軸と垂直な方向であり、
− 軸方向は、タイヤの回転の軸と平行な方向であり、
− 周方向は、子午面と垂直な方向である。
タイヤの回転の軸と垂直であり、且つタイヤのトレッド表面の中央を通過する平面は、タイヤの赤道面と言われる。
以下において、表現「半径方向に」、「軸方向に」及び「周方向に」は、それぞれ「半径方向において」、「軸方向において」及び「周方向において」を意味する。表現「半径方向に内側に(半径方向に内部の若しくは半径方向に内側の)又はそれぞれ半径方向に外側に(半径方向に外部の若しくは半径方向に外側の)」は、「それよりも半径方向にタイヤの回転の軸から近いか又はそれぞれさらに離れて」を意味する。表現「軸方向に内側に(軸方向に内部の若しくは軸方向に内側の)又はそれぞれ軸方向に外側に(軸方向に外部の若しくは軸方向に外側の)」は、「それよりも軸方向に赤道面から近いか又はそれぞれさらに離れて」を意味する。半径方向、軸方向及び周方向における所与の要素のそれぞれの寸法は、この要素の「半径方向の厚さ又は高さ」、「軸方向の幅」及び「周方向の長さ」でも示されるであろう。表現「横方向に」は、「周方向又は軸方向に」を意味する。
本発明の第1態様は、第1ゴム組成物(FC)でできている半径方向外側部分、第2ゴム組成物(SC)でできている半径方向中間部分及び第3ゴム組成物(TC)でできている半径方向内側部分を含む少なくとも3つの半径方向に重ね合わされた部分を含むトレッドを有するタイヤであって、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)は、少なくとも、エラストマーマトリックス及び強化充填材をベースとしており、第1ゴム組成物(FC)及び第3ゴム組成物(TC)は、強化充填材が強化無機充填材を主に含む、すなわち強化充填材が強化充填材の100%当たり50質量%超の強化無機充填材を含む、好ましくは強化充填材が強化充填材の100%当たり60質量%超、より好ましくは70質量%超、さらにより好ましくは80質量%超、特に90質量%超の強化無機充填材を含むようなものであり、第2ゴム組成物(SC)は、強化充填材がカーボンブラックを主に含む、すなわち強化充填材が強化充填材の100%当たり50質量%超のカーボンブラックを含む、好ましくは強化充填材が強化充填材の100%当たり60質量%超、より好ましくは70質量%超、さらにより好ましくは80質量%超、特に90質量%超、より特に100%のカーボンブラックを含むようなものである、タイヤである。
半径方向中間部分は、半径方向外側部分と半径方向内側部分との間に配置されている。
本発明の第2態様は、第2ゴム組成物(SC)が、カーボンブラックが110m2/g未満(例えば、0m2/gと110m2/gとの間)、好ましくは100m2/g未満(例えば、0m2/gと100m2/gとの間)、より好ましくは90m2/g未満(例えば、0m2/gと90m2/gとの間)、さらにより好ましくは80m2/g未満(例えば、0m2/gと80m2/gとの間)、特に70m2/g未満(例えば、5m2/gと70m2/gとの間)、より特に60m2/g未満(例えば、10m2/gと60m2/gとの間)、さらにより特に50m2/g未満(例えば、15m2/gと50m2/gとの間)、有利には最大で40m2/g(例えば、20〜40m2/g)のBET表面積(ASTM D6556−10に従う)を示すようなものである、第1態様に従ったタイヤである。
本発明の第3態様は、第2ゴム組成物(SC)が、カーボンブラックが90ml/100g未満(例えば、45ml/100gと90ml/100gとの間)、好ましくは87ml/100g未満(例えば、50ml/100gと87ml/100gとの間)、より好ましくは最大で85ml/100g(例えば、55〜85ml/100g)の圧縮試料の油吸収係数(COAN:圧縮油吸収係数)(ASTM D3493−16に従う)を示すようなものである、第1態様又は第2態様に従ったタイヤである。
本発明の第4態様は、第1ゴム組成物(FC)及び第3ゴム組成物(TC)が、強化無機充填材がシリカを主に含む、すなわち強化無機充填材が強化無機充填材の100%当たり50質量%超のシリカを含む、好ましくは強化無機充填材が強化無機充填材の100%当たり60質量%超、より好ましくは70質量%超、さらにより好ましくは80質量%超、特に90質量%超、より特に100質量%のシリカを含むようなものである、第1〜第3態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第5態様は、第1ゴム組成物(FC)が、強化充填材の量が60〜200phrであるようなものであり、第2ゴム組成物(SC)が、強化充填材の量が0phrと120phrとの間、好ましくは5phrと105phrとの間、より好ましくは10phrと90phrとの間、さらにより好ましくは15phrと75phrとの間であるようなものであり、第3ゴム組成物(TC)が、強化充填材の量が20〜200phr、好ましくは30〜200phr、より好ましくは40〜200phr、さらにより好ましくは50〜200phr、特に60〜200phrであるようなものである、第1〜第4態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第6態様は、第1ゴム組成物(FC)中の強化充填材のphrでの量が第2ゴム組成物(SC)中のものよりも高く、第2ゴム組成物(SC)中の強化充填材のphrでの量が第3ゴム組成物(TC)中のものよりも低い、第1〜第5態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第7態様は、第2ゴム組成物(SC)が、強化充填材の量が60phr未満(例えば、20phrと60phrとの間)、好ましくは55phr未満(例えば、20phrと55phrとの間)、より好ましくは50phr未満(例えば、20phrと50phrとの間)、さらにより好ましくは45phr未満(例えば、20phrと45phrとの間)、特に40phr未満(例えば、20phrと40phrとの間)であるようなものである、第6態様に従ったタイヤである。
第7態様の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)中の強化充填材の量は、少なくとも60phr(例えば、60〜200phr)、好ましくは少なくとも70phr(例えば、70〜190phr)、より好ましくは少なくとも80phr(例えば、80〜180phr)、さらにより好ましくは少なくとも90phr(例えば、90〜170phr)、特に少なくとも100phr(例えば、100〜160phr)、より特に少なくとも110phr(例えば、110〜150phr)、さらにより特に少なくとも120phr(例えば、120〜140phr)であり、第3ゴム組成物(TC)中の強化充填材の量は、少なくとも60phr(例えば、60〜200phr)、好ましくは60〜190phr、より好ましくは60〜180phr、さらにより好ましくは60〜170phr、特に60〜160phr、より特に60〜150phr、さらにより特に60〜140phrである。
本発明の第8態様は、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)が、硫黄及び加硫促進剤をベースとする架橋システムをさらにベースとしている、第1〜第7態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
加硫促進剤は、ゴム組成物における硫黄加硫反応を促進することができる。
本発明の第9態様は、第1ゴム組成物(FC)中の加硫促進剤のphrでの量が第2ゴム組成物(SC)中のものよりも低く、第2ゴム組成物(SC)中の加硫促進剤のphrでの量が第3ゴム組成物(TC)中のものよりも高い、第8態様に従ったタイヤである。
本発明の第10態様は、第2ゴム組成物(SC)が、加硫促進剤の量が2phr超(例えば、2phrと10phrとの間)、好ましくは3phr超(例えば、3phrと5phrとの間)であるようなものである、第9態様に従ったタイヤである。
第10態様の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)中の加硫促進剤の量は、最大で2phr(例えば、0.5〜2phr)であり、第3ゴム組成物(TC)中の加硫促進剤の量は、最大で2phr(例えば、0.5〜2phr)である。
本発明の第11態様は、第1ゴム組成物(FC)中の硫黄及び加硫促進剤のphrでの総量が第2ゴム組成物(SC)中のものよりも低く、第2ゴム組成物(SC)中の硫黄及び加硫促進剤のphrでの総量が第3ゴム組成物(TC)中のものよりも高い、第8〜第10態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
硫黄のphrでの量は、phrでの加硫硫黄分の量のことを言う。加硫硫黄は、硫黄、硫黄供与剤に由来する硫黄又はそれらの混合物であり得る。
本発明の第12態様は、第2ゴム組成物(SC)が、硫黄及び加硫促進剤のphrでの総量が4phr超(例えば、4phrと20phrとの間)、好ましくは4.5phr超(例えば、4.5phrと15phrとの間)、より好ましくは5phr超(例えば、5phrと10phrとの間)であるようなものである、第11態様に従ったタイヤである。
第12態様の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)中の硫黄及び加硫促進剤の総量は、最大で4phr(例えば、1〜4phr)であり、第3ゴム組成物(TC)中の硫黄及び加硫促進剤の総量は、最大で4phr(例えば、1〜4phr)である。
本発明の第13態様は、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)が、加硫促進剤が、スルフェンアミド型加硫促進剤(例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「CBS」と省略される)、N,N−ジシクロヘキシル−2ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「DCBS」)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(「TBBS」)、N−tert−ブチル−2ベンゾチアゾールスルフェンイミド(「TBSI」))、チアゾール型加硫促進剤(例えば、2−メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(「MBTS」と省略される))、チウラム型促進剤(例えば、テトラベンジルチウラムジスルフィド(「TBZTD」))、亜鉛ジチオカルバメート型加硫促進剤(例えば、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート(「ZBEC」))及びそれらの混合物からなる群から選択されるようなものである、第8〜第12態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第14態様は、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)が、加硫促進剤がスルフェンアミド型加硫促進剤を主に含む、すなわち加硫促進剤が加硫促進剤の100%当たり50質量%超のスルフェンアミド型加硫促進剤を含む、好ましくは加硫促進剤が加硫促進剤の100%当たり60質量%超、より好ましくは70質量%超、さらにより好ましくは80質量%超、特に90質量%超、より特に100質量%のスルフェンアミド型加硫促進剤を含むようなものである、第13態様に従ったタイヤである。
本発明の第15態様は、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)が、エラストマーマトリックスが、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらの混合物から選択される少なくともジエンエラストマーを含む、特にそれからなるようなものである、第1〜第14態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第16態様は、第3ゴム組成物(TC)が、−70℃未満(例えば、−140℃と−70℃との間)、好ましくは−80℃未満(例えば、−130℃と−80℃との間)、より好ましくは−90℃未満(例えば、−120℃と−90℃との間)、さらにより好ましくは−100℃未満(例えば、−110℃と−100℃との間)のガラス転移温度(TgDSC)を示す液体可塑剤を含む可塑剤をさらにベースとしている、第1〜第15態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第17態様は、第3ゴム組成物(TC)が、このガラス転移温度を示す液体可塑剤の量が5〜100phr、好ましくは10〜90phr、より好ましくは10〜80phr、さらにより好ましくは10〜70phr、特に10〜60phr、より特に10〜50phr、さらにより特に10〜40phrであるようなものである、第16態様に従ったタイヤである。
本発明の第18態様は、第3ゴム組成物(TC)が、このガラス転移温度(TgDSC)を示す液体可塑剤が、液体ホスフェート可塑剤及びそれらの混合物からなる群から選択されるようなものである、第16態様又は第17態様に従ったタイヤである。
本発明の第19態様は、第3ゴム組成物(TC)が、液体ホスフェート可塑剤が合計で12個と30個との間の炭素原子を有する、好ましくは、液体ホスフェート可塑剤が、合計で12個と30個との間の炭素原子を有するトリアルキルホスフェートであるようなものである、第18態様に従ったタイヤである。
トリアルキルホスフェートの炭素原子の数は、3つのアルキル基の炭素原子の総数を意味すると取られるべきである。トリアルキルホスフェートの3つのアルキル基は、互いに同じであるか又は異なり得る。本明細書で用いられる用語「アルキル」は、その鎖中に酸素原子などのヘテロ原子を含有し得るか、又はフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素などのハロゲン原子で置換され得る直鎖又は分岐のアルキル基を言う。トリアルキルホスフェートは、アルキル基の代わりに1つ又は2つのフェニル基を有し得る。
トリアルキルホスフェートの例として、トリス(2−ブトキシエチル)ホスフェート(C18H39O7P)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(C20H27O4P)、トリオクチルホスフェート(とりわけトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート)(C24H51O4P)及びそれらの混合物からなる群から選択されるオイルに言及され得る。
本発明の第20態様は、第3ゴム組成物(TC)が、液体ホスフェート可塑剤がトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートであるようなものである、第19態様に従ったタイヤである。
液体ホスフェート可塑剤は、商業的に入手可能であり、例えばLanxess co.,ltd.によって提供される製品名:Disflmoll TOF(TgDSC=−105℃)である。
本発明の第21態様は、半径方向外側部分が半径方向中間部分に隣接しており、半径方向中間部分が半径方向内側部分に隣接している、第1〜第20態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明の第22態様は、半径方向外側部分、半径方向中間部分及び半径方向内側部分がタイヤの耐用年数中に地面と接触することを意図される、第1〜第21態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
タイヤの耐用年数は、タイヤを使用するための継続時間(例えば、タイヤの新しい状態から最終状態までの期間であって、最終状態がタイヤのトレッドにおける摩耗インジケータバーに達した状態を意味する期間)を意味する。
本発明の第23態様は、スノータイヤである、第1〜第22態様のいずれか1つに従ったタイヤである。
本発明のタイヤは、4×4(四輪駆動)車両及びSUV(スポーツユーティティービークルズ)車両などの乗客動力車並びにバン及び大型車両(すなわちバス又は大型道路輸送車両(大型トラック、トラクター、トレーラー))から特に選択される産業車両に装備することを特に意図される。
半径方向外側部分、半径方向中間部分及び半径方向内側部分上に特有のゴム組成物のそれぞれを有するトレッド複合構造は、新しい状態でのグリップ性能を向上させるか又は維持しながら、摩耗状態における積雪地面上でのタイヤの意外にも向上したグリップ性能を可能にする。
以下の態様、実施形態、具体化並びに好ましい範囲及び/又は物質のそれぞれを含む変形形態のそれぞれは、特に明記しない限り、本発明の他の態様、他の実施形態、他の具体化及び他の変形形態のいずれか1つに適用され得る。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)は、それぞれのエラストマーマトリックスをベースとしている。
「ジエン」型のエラストマー(又は大まかに「ゴム」、これらの2つの用語は、同義語と見なされる)は、ジエンモノマー(2つの炭素−炭素二重結合を有するモノマー、共役又は非共役)に少なくとも部分的に由来する、ある(1つ以上を意味する)エラストマー(すなわちホモポリマー又はコポリマー)として公知の通りに理解されるべきである。
これらのジエンエラストマーは、2つのカテゴリー:「本質的に不飽和の」又は「本質的に飽和の」に分類することができる。一般に、表現「本質的に不飽和の」は、15%(モル%)超であるジエン起源(共役ジエン)の単位の含有量を有する共役ジエンモノマーから少なくとも一部分において生じるジエンエラストマーを意味すると理解され、したがって、ブチルゴム又はEPDM型のジエン/α−オレフィンコポリマーなどのジエンエラストマーが先行定義の下に入らず、「本質的に飽和の」ジエンエラストマー(常に15%未満の低い又は非常に低いジエン起源の単位の含有量)としてとりわけ記載され得る。「本質的に不飽和の」ジエンエラストマーのカテゴリーにおいて、表現「高度に不飽和の」ジエンエラストマーは、50%超であるジエン起源(共役ジエン)の単位の含有量を有するジエンエラストマーを特に意味すると理解される。
それは、いかなるタイプのジエンエラストマーにも適用されるが、タイヤの技術分野の当業者は、本発明が本質的に不飽和のジエンエラストマーと共に好ましくは用いられることを理解するであろう。
これらの定義を考慮すると、本発明に従った組成物に使用することができるジエンエラストマーという表現は、
(a)− 好ましくは4〜12個の炭素原子を有する、共役ジエンモノマーの重合によって得られる任意のホモポリマー、
(b)− 1種以上の共役ジエンモノマーと、互いとの又は好ましくは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー
を意味すると特に理解される。
(a)− 好ましくは4〜12個の炭素原子を有する、共役ジエンモノマーの重合によって得られる任意のホモポリマー、
(b)− 1種以上の共役ジエンモノマーと、互いとの又は好ましくは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー
を意味すると特に理解される。
以下が共役ジエンとして特に好適である:1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、例えば2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン若しくは2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエンなどの2,3−ジ(C1〜C5アルキル)−1,3−ブタジエン、アリール−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン又は2,4−ヘキサジエン。以下が例えばビニル芳香族化合物として好適である:スチレン、オルト−、メタ−若しくはパラ−メチルスチレン、「ビニルトルエン」市販混合物、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン又はビニルナフタレン。
第15態様の好ましい実施形態によれば、ゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)において、コポリマーは、好ましくは、ブタジエンコポリマー、それらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはスチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)、ブタジエン−イソプレンコポリマー(BIR)、スチレン−イソプレンコポリマー(SIR)、スチレン−ブタジエン−イソプレンコポリマー(SBIR)及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらにより好ましくはスチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
ジエンエラストマーは、用いられる重合条件、特に変性剤及び/又はランダム化剤の存在又は不在並びに用いられる変性剤及び/又はランダム化剤の量に依存する任意の微細構造を有し得る。このエラストマーは、例えば、ブロック、統計的、シーケンシャル又はマイクロシーケンシャルエラストマーであり得、分散系又は溶液で調製され得る。このエラストマーは、カップリング剤及び/若しくは星形分岐剤又は官能化剤でカップリングされ得、且つ/或いは星形分岐されるか又は官能化され得る。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、エラストマーマトリックスは、50phr超及び100phr以下、好ましくは55〜95phr、より好ましくは60〜90phr、さらにより好ましくは65〜85phr、特に70〜80phrの、スチレンブタジエンコポリマー、好ましくは溶液スチレンブタジエンコポリマーである第1ジエンエラストマーを含み、エラストマーマトリックスは、第2ジエンエラストマーを全く含まないか、又は50phr未満、好ましくは5〜45phr、より好ましくは10〜40phr、さらにより好ましくは15〜35phr、特に20〜30phrの、第1ジエンエラストマーと異なる第2ジエンエラストマーを含む。
上記のより好ましい実施形態のさらにより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、第1ジエンエラストマーは、−40℃未満(例えば、−40℃と−110℃との間)、好ましくは−45℃未満(例えば、−45℃と−105℃との間)、より好ましくは−50℃未満(例えば、−50℃と−100℃との間)、さらにより好ましくは−55℃未満(例えば、−55℃と−95℃との間)、特に最大で−60℃(例えば、−60℃〜−90℃)のガラス転移温度(TgDSC)を示す。
上記のより好ましい実施形態のさらにより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、第2ジエンエラストマーは、好ましくは、4%と80%との間の1,2−単位の含有量(モル%)を有するポリブタジエン(BR)又は80%超、より好ましくは90%(モル%)超、さらにより好ましくは96%(モル%)以上のシス−1,4−単位の含有量(モル%)を有するものである。
上記のより好ましい実施形態のさらにより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、スチレン−ブタジエンコポリマーは、スチレン−ブタジエンコポリマーの100質量%当たり30質量%未満(例えば、3質量%と30質量%との間)、好ましくは27質量%未満(例えば、5質量%と27質量%との間)、より好ましくは23質量%未満(例えば、7質量%と23質量%との間)、さらにより好ましくは20質量%未満(例えば、10質量%と20質量%との間)、特に最大で18質量%(例えば、12〜18質量%)のスチレン単位を示す。スチレン単位は、ISO 21561に従って1H NMR方法によって測定することができる。
第15態様の好ましい実施形態によれば、第2ゴム組成物(SC)及び/又は(有利には及び)第3ゴム組成物(TC)において、エラストマーマトリックスは、50phr超及び100phr以下、好ましくは60〜100phr、より好ましくは70〜100phr、さらにより好ましくは80〜100phr、特に90〜100phr、より特に100phrの、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは天然ゴム、90%超の、より好ましくは98%以上のシス−1,4−結合の含有量(モル%)を有する合成ポリイソプレン及びそれらの混合物からなる群から選択される、さらにより好ましくは天然ゴムから選択される第1ジエンエラストマーを含み、第2ジエンエラストマーを全く含まないか、又は50phr未満、好ましくは最大で40phr、より好ましくは最大で30phr、さらにより好ましくは最大で20phr、特に最大で10phrの、第1ジエンエラストマーと異なる第2ジエンエラストマーを含む、すなわちエラストマーマトリックスは、0〜50phr未満、好ましくは0〜40phr、より好ましくは0〜30phr、さらにより好ましくは0〜20phr、特に0〜10phrの第2ジエンエラストマーを含む。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)は、それぞれの強化充填材をベースとしている。
強化充填材は、ゴム組成物を強化することができる。
強化充填材は、強化有機充填材(例えば、カーボンブラック)、強化無機充填材(例えば、シリカ)又はそれらの混合物を含み得る。
本発明によるタイヤのトレッドの第1ゴム組成物(FC)及び第3ゴム組成物(TC)は、強化充填材が強化無機充填材を主に含むようなものである。
本発明によるタイヤのトレッドの第2ゴム組成物(SC)は、強化充填材がカーボンブラックを主に含むようなものである。
タイヤの製造のために使用することができるゴム組成物を強化するその能力で知られている任意のタイプの強化充填材、例えばカップリング剤が公知の方法で組み合わされる、カーボンブラックなどの強化有機充填材又はシリカなどの強化無機充填材が使用され得る。
カーボンブラックとして、例えばASTMグレードにおける100、200若しくは300シリーズの強化カーボンブラック(例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347若しくはN375ブラックなどの)又はカーボンブラック高級シリーズ、ASTMグレードにおける500、600、700若しくは800シリーズ(例えば、N550、N660、N683、N772、N774ブラックなどの)など、タイヤに従来使用されている全てのカーボンブラック(「タイヤグレード」ブラック)が好適である。カーボンブラックは、マスターバッチの形態でエラストマーマトリックス、例えばジエンエラストマー中に例えば事前に組み入れられ得る(例えば、出願国際公開第97/36724号パンフレット又は国際公開第99/16600号パンフレットを参照されたい)。
表現「強化無機充填材」は、中間カップリング剤、タイヤの製造のために意図されるゴム組成物以外の手段なしにそれ自体単独で強化することができる、換言すればその強化役割において従来のタイヤグレードカーボンブラックに置き換わることができる、カーボンブラックとは対照的に「白色充填材」、「無色透明充填材」又はさらに「非黒色充填材」と言われる、その色及びその起源(天然又は合成)を問わず、任意の無機又は鉱物充填剤を意味することがここで理解されるべきであり、そのような充填材は、公知のように、その表面でのヒドロキシル(OH)基の存在で一般に特徴付けられる。
この充填材の存在下での物理的状態は、それが粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズの形態又は任意の他の好適な高密度化形態であろうと重要ではない。当然のことながら、様々な強化無機充填材、好ましくは高分散性ケイ質及び/又はアルミナ質充填剤の混合物の強化無機充填材が本明細書で以下に記載される。
ケイ質タイプの鉱物充填材、好ましくはシリカ(SiO2)及び/又はアルミナ質タイプ、好ましくはアルミナ(Al2O3)が強化無機充填材として特に好適である。
強化無機充填材は、シリカであり得る。シリカは、あるタイプのシリカであるか又はいくつかのシリカのブレンド物であり得る。使用されるシリカは、当業者に公知の任意の強化シリカ、両方とも450m2/g未満、好ましくは20〜400m2/g、より好ましくは50〜350m2/g、さらにより好ましくは100〜300m2/g、特に150m2/gと250m2/gとの間であるBET表面積及びCTAB比表面積を有する特に任意の沈殿シリカ又は焼成シリカであり得、ここで、BET表面積は、公知の方法に従い、すなわち“The Journal of the American Chemical Society”,Vol.60,page 309,1938年2月に記載されているブルナウアー−エメット−テラー方法を用いて、ガス吸着により、より具体的には1996年12月の仏国標準NF ISO 9277(多点容積方法(5点);ここで、ガス:窒素、脱ガス:160℃で1時間、相対圧力範囲p/po:0.05〜0.17)に従って測定される。CTAB比表面積は、1987年11月の仏国標準NF T 45−007(方法B)に従って測定される。そのようなシリカは、覆われていてもいなくてもよい。低い比表面積シリカとして、Elkem Silicon Materials製のSidistar R300が言及されるであろう。高分散性沈殿シリカ(「HDSs」)として、例えばEvonik製の「Ultrasil 7000」及び「Ultrasil 7005」、Rhodia製の「Zeosil 1165 MP」、「Zeosil 1135 MP」及び「Zeosil 1115 MP」、PPG製の「Hi−Sil EZ150G」、Huber製の「Zeopol 8715」、「Zeopol 8745」及び「Zeopol 8755」又は特許出願国際公開第03/016387号パンフレットに記載されているような高い比表面積のシリカが言及されるであろう。焼成シリカとして、例えばCabot製の「CAB−O−SIL S−17D」、Wacker製の「HDK T40」、Evonik製の「Aeroperl 300/30」、「Aerosil 380」、「Aerosil 150」又は「Aerosil 90」が言及されるであろう。そのようなシリカは、覆われていることができ、例えばCabot製の、ヘキサメチルジシラゼンで覆われている「CAB−O−SIL TS−530」又はジメチルジクロロシランで覆われている「CAB−O−SIL TS−622」であり得る。
当業者は、別の性質、カーボンブラックなどの特に有機性質の強化充填剤が、この強化充填剤が、シリカなどの無機層で覆われているか、又は充填材とエラストマーとの間に結合を形成するためにカップリング剤の使用を必要とする官能性部位、特にヒドロキシルをその表面に含むことを条件として、本セクションに記載される強化無機充填剤と均等な充填剤として使用され得ることを理解するであろう。例として、特許出願国際公開第96/37547号パンフレット及び国際公開第99/28380号パンフレットに記載されているものなど、タイヤのためのカーボンブラックが言及され得る。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、強化充填材は、50phrと200phrとの間、好ましくは60phrと190phrとの間、より好ましくは70phrと180phrとの間、さらにより好ましくは80phrと170phrとの間、特に90phrと160phrとの間、より特に100phrと150phrとの間、さらにより特に110phrと140phrとの間、有利には120phrと130phrとの間の強化無機充填材(例えば、シリカ)を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、強化充填材は、45phr未満(例えば、0phrと45phrとの間)、好ましくは40phr未満(例えば、0.3phrと40phrとの間)、より好ましくは35phr未満(例えば、0.6phrと35phrとの間)、さらにより好ましくは30phr未満(例えば、0.9phrと30phrとの間)、特に25phr未満(例えば、1.2phrと25phrとの間)、より特に20phr未満(例えば、1.5phrと20phrとの間)、さらにより特に15phr未満(例えば、1.8phrと15phrとの間)、有利には10phr未満(例えば、2phrと10phrとの間)のカーボンブラックを含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、第2ゴム組成物(SC)において、強化充填材は、0phrと120phrとの間、好ましくは5phrと105phrとの間、より好ましくは10phrと90phrとの間、さらにより好ましくは15phrと75phrとの間、特に20phrと60phrとの間、より特に20phrと55phrとの間、さらにより特に20phrと50phrとの間、有利には20phrと45phrとの間、有利には20phrと40phrとの間のカーボンブラックを含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、第2ゴム組成物(SC)において、強化充填材は、20phrと200phrとの間、好ましくは30phrと190phrとの間、より好ましくは40phrと180phrとの間、さらにより好ましくは50phrと170phrとの間、特に60phrと160phrとの間、より特に70phrと150phrとの間、さらにより特に80phrと140phrとの間、有利には90phrと130phrとの間、有利には100phrと120phrとの間の強化無機充填材(例えば、シリカ)を含む。
本発明の好ましい実施形態によれば、第3ゴム組成物(TC)において、強化充填材は、45phr未満(例えば、0phrと45phrとの間)、好ましくは40phr未満(例えば、0.3phrと40phrとの間)、より好ましくは35phr未満(例えば、0.6phrと35phrとの間)、さらにより好ましくは30phr未満(例えば、0.9phrと30phrとの間)、特に25phr未満(例えば、1.2phrと25phrとの間)、より特に20phr未満(例えば、1.5phrと20phrとの間)、さらにより特に15phr未満(例えば、1.8phrと15phrとの間)、有利には10phr未満(例えば、2phrと10phrとの間)のカーボンブラックを含む。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第3ゴム組成物(TC)において、カーボンブラックは、110m2/g未満(例えば、0m2/gと110m2/gとの間)、好ましくは100m2/g未満(例えば、0m2/gと100m2/gとの間)、より好ましくは90m2/g未満(例えば、0m2/gと90m2/gとの間)、さらにより好ましくは80m2/g未満(例えば、0m2/gと80m2/gとの間)、特に70m2/g未満(例えば、5m2/gと70m2/gとの間)、より特に60m2/g未満(例えば、10m2/gと60m2/gとの間)、さらにより特に50m2/g未満(例えば、15m2/gと50m2/gとの間)、有利には最大で40m2/g(例えば、20〜40m2/g)のBET表面積(ASTM D6556−10に従う)を示す。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第3ゴム組成物(TC)において、カーボンブラックは、90ml/100g未満(例えば、45ml/100gと90ml/100gとの間)、好ましくは87ml/100g未満(例えば、50ml/100gと87ml/100gとの間)、より好ましくは最大で85ml/100g(例えば、55〜85ml/100g)の圧縮試料の油吸収係数(COAN:圧縮油吸収係数)(ASTM D3493−16に従う)を示す。
例えば、出願国際公開第03/002648号パンフレット、国際公開第03/002649号パンフレット及び国際公開第2004/033548号パンフレットに記載されているように、それらの特定の構造に依存して「対称」又は「非対称」と言われるシランポリスルフィドを特に使用することができる。
特に好適なシランポリスルフィドは、以下の一般式(I):
(I)Z−A−Sx−A−Z
(式中、
− xは、2〜8(好ましくは2〜5)の整数であり、
− Aは、二価炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基又はC6〜C12アリーレン基、より特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン、とりわけプロピレン)であり、
− Zは、以下の式:
(式中、
− 非置換であるか又は置換されており、且つ互いに同一であるか又は異なるR1基は、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキル又はC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシル又はフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、より特にメチル及び/若しくはエチル)を表し、
− 非置換であるか又は置換されており、且つ互いに同一であるか又は異なるR2基は、C1〜C18アルコキシル又はC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1〜C8アルコキシル及びC5〜C8シクロアルコキシルから選択される基、より好ましくはC1〜C4アルコキシル、特にメトキシル及びエトキシルから選択される基)を表し、特に上記の定義の制限なしに好適である)の1つに対応する)
に対応する。
(I)Z−A−Sx−A−Z
(式中、
− xは、2〜8(好ましくは2〜5)の整数であり、
− Aは、二価炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基又はC6〜C12アリーレン基、より特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン、とりわけプロピレン)であり、
− Zは、以下の式:
− 非置換であるか又は置換されており、且つ互いに同一であるか又は異なるR1基は、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキル又はC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシル又はフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、より特にメチル及び/若しくはエチル)を表し、
− 非置換であるか又は置換されており、且つ互いに同一であるか又は異なるR2基は、C1〜C18アルコキシル又はC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1〜C8アルコキシル及びC5〜C8シクロアルコキシルから選択される基、より好ましくはC1〜C4アルコキシル、特にメトキシル及びエトキシルから選択される基)を表し、特に上記の定義の制限なしに好適である)の1つに対応する)
に対応する。
上記の式(I)に対応するアルコキシシランポリスルフィドの混合物、特に普通の商業的に入手可能な混合物の場合、「x」添え字の平均値は、好ましくは、2と5との間、より好ましくはおよそ4の分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x=2)を用いても有利に実施することができる。
シランポリスルフィドの例として、例えばビス(3−トリメトキシシリルプロピル)又はビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドなどのビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)がより特に言及されるであろう。これらの化合物の中で、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2の、TESPTと省略されるビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド又は式[(C2HSO)3Si(CH2)3S]2の、TESPDと省略されるビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが特に使用される。好ましい例として、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィド又はテトラスルフィド)、より特に特許出願国際公開第02/083782号パンフレット(又は米国特許7,217,751号明細書)に記載されているようなビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドが言及されるであろう。
アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤として、二官能性POS(ポリオルガノシロキサン)、又は特許出願国際公開第02/30939号パンフレット(若しくは米国特許第6,774,255号明細書)及び国際公開第02/31041号パンフレット(若しくは米国特許出願公開第2004/051210号明細書)に記載されているものなどのヒドロキシシランポリスルフィド(上記の式(I)において、R2=OHである)、又は例えば特許出願国際公開第2006/125532号パンフレット、国際公開第2006/125533号パンフレット及び国際公開第2006/125534号パンフレットに記載されているものなど、アゾジカルボニル官能基を有するシラン若しくはPOSが特に言及されるであろう。
他のシランスルフィドの例として、例えば特許又は特許出願米国特許第6,849,754号明細書、国際公開第99/09036号パンフレット、国際公開第2006/023815号パンフレット、国際公開第2007/098080号パンフレット、国際公開第2008/055986号パンフレット及び国際公開第2010/072685号パンフレットに記載されているものなど、例えば少なくとも1つのチオール(−SH)官能基を有するシラン(メルカプトシランと言われる)及び/又は少なくとも1つのブロックされたチオール官能基を有するシランが言及されるであろう。
当然のことながら、特に前述の特許出願国際公開第2006/125534号パンフレットに記載されているような以前に記載されたカップリング剤の混合物を使用することができるであろう。
本発明の好ましい実施形態によれば、カップリング剤の含有量は、それぞれのゴム組成物が強化無機充填剤、好ましくはシリカをベースとしている場合、強化無機充填剤、好ましくはシリカの100質量%当たり0.5〜15質量%であり得る。
本発明の好ましい実施形態によれば、カップリング剤の量は、それぞれのゴム組成物が強化無機充填剤、好ましくはシリカをベースとしている場合、30phr未満(例えば、0.1phrと30phrとの間)、好ましくは25phr未満(例えば、0.5phrと25phrとの間)、より好ましくは20phr未満(例えば、1phrと20phrとの間)、さらにより好ましくは15phr未満(例えば、1.5phrと15phrとの間)である。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物(FC、SC及びTC)は、例えば、保護剤、例えば抗オゾンワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤など、可塑剤、粘着付与樹脂、メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)又はメチレン供与体(例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)若しくはヘキサメトキシメチルメラミン(H3M))、架橋システムなど、タイヤ、特にスノータイヤ又は冬タイヤのためのトレッドの製造のために意図されるエラストマー組成物に一般に使用される通常の添加剤の全て又は一部をベースとし得る。架橋システムは、硫黄、過酸化物、ビスマレイミド、加硫促進剤、加硫活性化剤又はそれらの混合物をベースとし得る。加硫活性化剤は、亜鉛(純亜鉛及び/又は亜鉛誘導体(例えば、亜鉛脂肪酸塩))、脂肪酸(特にステアリン酸)、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等をベースとし得る。
これらの組成物は、カップリング剤が使用される場合にはカップリング活性化剤、強化無機充填材を覆うための試剤又はより一般的にはゴムマトリックス中の充填材の分散の向上の及び組成物の粘度の低下のため、公知の方法でそれらの生の状態での加工の特性を向上させることができる加工助剤もベースとし得、これらの試剤は、例えば、アルキルアルコキシシランなどの加水分解性シラン、ポリオール、ポリエーテル、アミン又はヒドロキシル化若しくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)及び/又は(有利には及び)第3ゴム組成物(TC)は、エラストマー及び強化充填材を希釈することによってマトリックスを軟化させるために、可塑剤をベースとしている。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、可塑剤の量は、30phr超、好ましくは40phr超、より好ましくは50phr超、さらにより好ましくは60phr超、特に70phr超である。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第3ゴム組成物(TC)において、可塑剤の量は、5phr超、好ましくは10phr超、より好ましくは15phr超、さらにより好ましくは20phr超である。
可塑剤は、液体可塑剤、炭化水素樹脂又はそれらの混合物を含み得る。
芳香族性又は非芳香族性にかかわらず、任意の増量オイル、エラストマーマトリックス(例えば、ジエンエラストマー)に関してその可塑化特性で知られている任意の液体可塑剤を液体可塑剤として使用することができる。大気圧下で周囲温度(20℃)において多かれ少なかれ粘性のあるこれらの可塑剤又はこれらのオイルは、大気圧下で周囲温度(20℃)において生来固体である可塑化炭化水素樹脂とは対照的に、液体(すなわち留意点として最終的にそれらの容器の形状を取る能力を有する物質)である。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)及び/又は(有利には及び)第3ゴム組成物(TC)において、可塑剤は、液体可塑剤を全く含まないか、又は最大で100phr、好ましくは最大で90phr、より好ましくは最大で80phr、さらにより好ましくは最大で70phr、特に最大で60phr、より特に10〜60phrの液体可塑剤を含む。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、可塑剤は、液体ジエンポリマー、ポリオレフィン系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、蒸留芳香族抽出物(DAE)オイル、媒体抽出溶媒和物(MES)オイル、処理留出物芳香族抽出物(TDAE)オイル、残留芳香族抽出物(RAE)オイル、処理残留芳香族抽出物(TRAE)オイル、安全残留芳香族抽出物(SRAE)オイル、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、ホスフェート可塑剤、スルホネート可塑剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはMESオイル、TDAEオイル、ナフテン系オイル、植物油及びそれらの混合物からなる群から選択される、より好ましくはMESオイル、植物油及びそれらの混合物からなる群から選択される、さらにより好ましくは植物油及びそれらの混合物から選択される液体可塑剤を含む。植物油は、アマニ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油、綿実油、チューリップ種油、ヒマシ油、キリ油、パイン油、ヒマワリ油、パーム油、オリーブ油、ココナツ油、ピーナツ油及びグレープシード油並びにそれらの混合物、特にヒマワリ油、より特に60質量%超、さらにより特に70質量%超、とりわけ80質量%超、よりとりわけ90質量%超、さらによりとりわけ100質量%のオレイン酸を含有するヒマワリ油からなる群から選択されるオイルでできていてもよい。
一方、当業者に公知であるように、呼称「樹脂」は、オイルなどの液体可塑化化合物とは対照的に、周囲温度(大気圧下で20℃)で固体である化合物のために、定義により本出願において確保される。
炭化水素樹脂は、本質的に炭素及び水素をベースとしており、したがってゴム組成物、例えばジエンエラストマー組成物に生来混和性である、当業者に周知のポリマーである。それらは、脂肪族若しくは芳香族であり得るか、又は脂肪族/芳香族タイプのもの、すなわち脂肪族及び/若しくは芳香族モノマーをベースとし得る。それらは、天然又は合成であり得、石油ベース(その場合には石油樹脂という名称でも知られる)であってもなくてもよい。それらは、好ましくは、専ら炭化水素であり、すなわち、それらは、炭素原子及び水素原子のみを含む。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、可塑剤は、炭化水素樹脂を全く含まないか、又は最大で100phr、好ましくは最大で90phr、より好ましくは最大で80phr、さらにより好ましくは最大で70phr、特に最大で60phr、より特に10〜60phrの炭化水素樹脂を含む。
好ましくは、「可塑化する」ような炭化水素樹脂は、以下の特性:
− 20℃超(例えば、20℃と100℃との間)、好ましくは30℃超(例えば、30℃と100℃との間)、より好ましくは40℃超(例えば、40℃と100℃との間)のTgDSC、
− 400g/molと2000g/molとの間(より好ましくは500g/molと1500g/molとの間)の数平均分子量(Mn)、
− 3未満、より好ましくは2未満の多分散指数(PI)(PI=Mw/Mnであり、Mwが質量平均分子量であることに留意されたい)
の少なくとも1つ、より好ましくは全てを示す。
− 20℃超(例えば、20℃と100℃との間)、好ましくは30℃超(例えば、30℃と100℃との間)、より好ましくは40℃超(例えば、40℃と100℃との間)のTgDSC、
− 400g/molと2000g/molとの間(より好ましくは500g/molと1500g/molとの間)の数平均分子量(Mn)、
− 3未満、より好ましくは2未満の多分散指数(PI)(PI=Mw/Mnであり、Mwが質量平均分子量であることに留意されたい)
の少なくとも1つ、より好ましくは全てを示す。
炭化水素樹脂のマクロ構造(Mw、Mn及びPI)は、立体排除クロマトグラフィー(SEC):溶媒 テトラヒドロフラン;温度 35℃;濃度 1g/l;流量 1ml/分;注入前に0.45μmの気孔率のフィルターを通して濾過された溶液;ポリスチレン標準でのMoore較正;順番に3つの「Waters」カラム(「Styragel」HR4E、HR1及びHR0.5)のセット;示差屈折計(「Waters 2410」)及びその関連オペレーティングソフト(「Waters Empower」)による検出によって測定される。
上記の好ましい実施形態のより好ましい実施形態によれば、第1ゴム組成物(FC)において、可塑剤は、シクロペンタジエン(CPDと省略される)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPDと省略される)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、テルペンホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、C9留分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、アルファ−メチルスチレンホモポリマー又はコポリマー樹脂及びそれらの混合物からなる群から選択される炭化水素樹脂を含む。上記のコポリマー樹脂の中で、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、C9留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂及びそれらの混合物からなる群から選択されるものがより好ましくは使用される。
用語「テルペン」は、ここで、α−ピネン、β−ピネン及びリモネンモノマーを公知のように組み合わせるものであり、その化合物が、公知のように、3つの可能な異性体:L−リモネン(左旋性鏡像異性体)、D−リモネン(右旋性鏡像異性体)又はジペンテン、右旋性及び左旋性鏡像異性体のラセミ体の形態で存在するリモネンモノマーが好ましくは使用される。スチレン、α−メチルスチレン、オルト−、メタ−若しくはパラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン又はC9留分(若しくはより一般的にはC8〜C10留分)から得られる任意のビニル芳香族モノマーが例えばビニル芳香族モノマーとして好適である。好ましくは、ビニル芳香族化合物は、スチレン又はC9留分(若しくはより一般的にはC8〜C10留分)から得られるビニル芳香族モノマーである。好ましくは、ビニル芳香族化合物は、考慮中のコポリマーにおいてモル分率として表される少ないモノマーである。
上記の好ましい樹脂は、当業者に周知であり、商業的に入手可能であり、例えば、
− ポリリモネン樹脂:名称「Dercolyte L120」(Mn=625g/mol;Mw=1010g/mol;PI=1.6;TgDSC=72℃)でDRTによる又は名称「Sylvagum TR7125C」(Mn=630g/mol;Mw=950g/mol;PI=1.5;TgDSC=70℃)でArizona Chemical Companyによるもの、
− C5留分/ビニル芳香族、とりわけC5留分/スチレン又はC5留分/C9留分コポリマー樹脂:名称「Super Nevtac 78」、「Super Nevtac 85」若しくは「Super Nevtac 99」でNeville Chemical Companyによる、名称「Wingtack Extra」でGoodyear Chemicalsによる、名称「Hikorez T1095」及び「Hikorez T1100」でKolonによる又は名称「Escorez 2101」及び「ECR 373」でExxonによるもの、
− リモネン/スチレンコポリマー樹脂:名称「Dercolyte TS 105」でDRTによる又は名称「ZT115LT」及び「ZT5100」でArizona Chemical Companyによるもの
である。
− ポリリモネン樹脂:名称「Dercolyte L120」(Mn=625g/mol;Mw=1010g/mol;PI=1.6;TgDSC=72℃)でDRTによる又は名称「Sylvagum TR7125C」(Mn=630g/mol;Mw=950g/mol;PI=1.5;TgDSC=70℃)でArizona Chemical Companyによるもの、
− C5留分/ビニル芳香族、とりわけC5留分/スチレン又はC5留分/C9留分コポリマー樹脂:名称「Super Nevtac 78」、「Super Nevtac 85」若しくは「Super Nevtac 99」でNeville Chemical Companyによる、名称「Wingtack Extra」でGoodyear Chemicalsによる、名称「Hikorez T1095」及び「Hikorez T1100」でKolonによる又は名称「Escorez 2101」及び「ECR 373」でExxonによるもの、
− リモネン/スチレンコポリマー樹脂:名称「Dercolyte TS 105」でDRTによる又は名称「ZT115LT」及び「ZT5100」でArizona Chemical Companyによるもの
である。
他の好ましい樹脂の例として、フェノール変性α−メチルスチレン樹脂も言及され得る。これらのフェノール変性樹脂を特徴付けるために、「ヒドロキシル価」と言われる数(標準ISO 4326に従って測定され、mg KOH/gで表される)が公知のように使用されることに留意されたい。α−メチルスチレン樹脂、特にフェノールで変性されたものは、当業者に周知であり、商業的に入手可能であり、例えば名称「Sylvares SA 100」(Mn=660g/mol;PI=1.5;TgDSC=53℃);「Sylvares SA 120」(Mn=1030g/mol;PI=1.9;TgDSC=64℃);「Sylvares 540」(Mn=620g/mol;PI=1.3;TgDSC=36℃;ヒドロキシル価=56mg KOH/g);及び「Sylvares 600」(Mn=850g/mol;PI=1.4;TgDSC=50℃;ヒドロキシル価=31mg KOH/g)でArizona Chemical Companyによって販売されている。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)は、当業者に周知の2つの逐次調製段階:110℃と190℃との間、好ましくは130℃と180℃との間の最高温度以下の高温での熱機械加工又は混練の第1段階(「非生産」段階と言われる)、引き続く典型的には110℃未満、例えば40℃と100℃との間のより低い温度での機械加工の第2段階(「生産」段階と言われる)、(架橋システムが硫黄をベースとしている場合)架橋システムに硫黄又は(架橋システムが硫黄及び加硫促進剤をベースとしている場合)架橋システムに硫黄及び加硫促進剤が組み込まれる仕上げ段階を用いて適切なミキサーで製造され得る。
そのような組成物のそれぞれ(FC、SC及びTC)の製造のために用いることができる方法は、例えば及び好ましくは、以下の工程:
− 第1段階(「非生産」段階)中、エラストマーマトリックス、例えばジエンエラストマーにミキサーにおいて強化充填剤を組み込み、全てのものが、110℃と190℃との間の最高温度に達するまで熱機械的に(例えば、1つ以上の工程で)混練される工程、
− 組み合わされた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程、
− その後、第2段階(「生産」段階と言われる)中、架橋システム(架橋システムは、硫黄をベースとしている)に硫黄又は架橋システム(架橋システムは、硫黄及び加硫促進剤をベースとしている)に硫黄及び加硫促進剤を組み込む工程、
− 全てのものを110℃未満の最高温度以下で混練する工程、
− このようにして得られたゴム組成物を特にタイヤトレッドの形態で押し出すか又はカレンダー加工する工程
を含む。
− 第1段階(「非生産」段階)中、エラストマーマトリックス、例えばジエンエラストマーにミキサーにおいて強化充填剤を組み込み、全てのものが、110℃と190℃との間の最高温度に達するまで熱機械的に(例えば、1つ以上の工程で)混練される工程、
− 組み合わされた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程、
− その後、第2段階(「生産」段階と言われる)中、架橋システム(架橋システムは、硫黄をベースとしている)に硫黄又は架橋システム(架橋システムは、硫黄及び加硫促進剤をベースとしている)に硫黄及び加硫促進剤を組み込む工程、
− 全てのものを110℃未満の最高温度以下で混練する工程、
− このようにして得られたゴム組成物を特にタイヤトレッドの形態で押し出すか又はカレンダー加工する工程
を含む。
例として、第1(非生産)段階は、単一の熱機械段階で実施され、その段階中、必要な構成成分が全て標準的な内部ミキサーなどの適切なミキサー中に導入され、引き続き第2工程において、例えば1〜2分にわたって混練した後、(架橋システムが硫黄をベースとしている場合)架橋システムにおける硫黄を除いて又は(架橋システムが硫黄及び加硫促進剤をベースとしている場合)架橋システムにおける硫黄及び加硫促進剤を除いて、他の添加剤、任意選択の追加の充填材−被覆材又は加工助剤が導入される。この非生産段階における全混練時間は、好ましくは、1分と15分との間である。
このようにして得られた混合物を冷却した後、(架橋システムが硫黄をベースとしている場合)架橋システムにおける硫黄又は(架橋システムが硫黄及び加硫促進剤をベースとしている場合)架橋システムにおける硫黄及び加硫促進剤は、次に、オープンミルなどの一般に外部ミキサーにおいて低温(例えば、40℃と100℃との間)で組み込まれ、組み合わされた混合物は、次に、数分、例えば2分と15分との間にわたって混合される(第2(生産)段階)。
このようにして得られた最終組成物は、その後、特に実験室特性評価のために、例えばシート若しくはプラークの形態でカレンダー加工されるか、又はスノータイヤトレッド若しくは冬タイヤトレッドの各部分として直接使用することができるゴムプロファイルドエレメントの形態で押し出される。
本発明によるタイヤの製造に関して、第1ゴム組成物(FC)のような均質なゴム組成物の第1層と、第2ゴム組成物(SC)のような均質なゴム組成物の第2層と、第3ゴム組成物(TC)のような均質なゴム組成物の第3層とを構築し、次に第2層を第3層上に重ね合わせ、次に第1層を第2層上に重ね合わせるか、又は他の層若しくは部分をこれらの層間(第1層と第2層との間若しくは第2層と第3層との間)に挟み込んで生のトレッドバンドを得、次にタイヤを構築し、成形することが可能である。外側部分を形成する第1層は、中間部分に対して半径方向に外側に置かれる。好ましくは、第1層は、タイヤの新しい状態で地面と接触することを意図するように置かれる。中間部分を形成する第2層は、外側部分に対して半径方向に内側に置かれ、内側部分に対して半径方向に外側に置かれる。好ましくは、第2層は、外側部分に隣接している。内側部分を形成する第3層は、中間部分に対して半径方向に内側に置かれる。好ましくは、第3層は、中間部分に隣接している。
加硫(又は硬化)は、硬化温度、採用される加硫システム及び考慮中の組成物の加硫速度論に特に依存して、例えば5分と90分との間で変わることができる十分な時間にわたり、一般に110℃と190℃との間の温度で公知のように実施される。
本発明は、ゴム組成物、生の状態(すなわち硬化前)及び硬化状態(すなわち架橋又は加硫後)での両方での上に記載されたようなトレッド及びタイヤに関する。
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
試験において、3つのゴム組成物(C−1、C−2及びC−3)を使用した。3つのゴム組成物は、シリカ(強化無機充填材として)とカーボンブラックとのブレンド物で強化された又はカーボンブラックのみで強化されたジエンエラストマー(SBR/BR又はNR)をベースとしている。3つのゴム組成物の処方を、phrで表される様々な製品の含有率と共に表1に示す。
それぞれのゴム組成物を以下の通り製造した:架橋システムにおける硫黄及び(加硫促進剤としての)スルフェンアミド型加硫促進剤を除いて、強化充填材、エラストマーマトリックス及び様々な他の原料を、およそ60℃の初期容器温度を有する内部ミキサー中に引き続いて導入し、このミキサーは、こうしておよそ70%(容積%)満ちた。165℃の最高「落下」温度に達するまで、合計でおよそ3〜4分続く熱機械加工(非生産段階)を次に一段階で実施した。このようにして得られた混合物を回収して冷却し、次に硫黄及びスルフェンアミド型加硫促進剤を20〜30℃で外部ミキサー(ホモフィニッシャー)によって組み込み、全てのものを適切な時間(例えば、5分と12分との間)混合した(生産段階)。
このようにして得られたゴム組成物を、それらの物理的又は機械的特性の測定のために、ゴムのシート(2〜3mmの厚さ)若しくは微細シートの形態又は例えばタイヤ半完成品、特にタイヤトレッドのような所望の寸法への切断及び/若しくは組み立て後、直接使用することができるプロファイルドエレメントの形態のいずれかでその後カレンダー処理した。
本発明の効果を確認するために、表2に示されるように、ゴム組成物(C−1、C−2及びC−3)のシートの重ね合わせによって製造された、半径方向外側部分、半径方向中間部分及び半径方向内側部分を含むトレッドを有する2つのタイヤ(T−1:対照及びT−2:本発明による実施例)を比較する。
周方向及び/又は軸方向に伸びる溝を含むトレッドを有するスノータイヤのようなこれらのタイヤは、従来通り製造され、トレッドのゴム組成物を別として全ての点で同一であった。これらのタイヤは、ラジアルカーカス乗用車タイヤであり、それらのサイズは、205/55R16である。
スノーブレーキング試験として、6.5J×16リム上に取り付けられた220kPaのタイヤ空気圧下での同じ種類のこれらのタイヤ(新しい状態における)を4つの車輪の全てに備えた1,400cc乗用車を、−10℃の温度での雪で覆われた道路上を走らせ、アンチロックブレーキシステム(ABS)を駆動させながら突然の縦ブレーキング中の50から5km/hへの減速を測定した。上記のスノー試験を、標準ASTM F1805に従って約90のCTI硬度計読みの固まった雪上で行った。
さらに、タイヤの全てを名目タイヤ空気圧下において動力車の前車軸及び後車軸に備え付け、摩耗状態でのタイヤを再現するためにサーキット上での回転にかけた。次に、上記のスノーブレーキング試験を摩耗したタイヤで行った。摩耗したタイヤのそれぞれは、依然として耐用年数中にあり、それらのそれぞれにおいて、各第3ゴム組成物でできた各半径方向内側部分は、各トレッド表面上に少なくとも部分的に現れ、少なくとも部分的に地面と接触することができた。
雪道路上でのブレーキング試験の結果を、対照タイヤT−1についてベース100が選択される相対的な単位で表2に報告する(100よりも大きい値は、向上した性能を示すことに留意されたい)。
表2からの結果は、本発明による試験タイヤT−2が、新しい状態でのグリップ性能を向上しながら、摩耗状態での対照T−1のグリップ性能よりも確実に高い、雪上でのグリップ性能の値を有することを実証している。
結論として、本発明に従ったタイヤのトレッドは、新しい状態でのグリップ性能を向上させるか又は維持しながら、摩耗状態における雪上でのブレーキング性能の向上を可能にする。
Claims (23)
- 第1ゴム組成物(FC)でできている半径方向外側部分、第2ゴム組成物(SC)でできている半径方向中間部分及び第3ゴム組成物(TC)でできている半径方向内側部分を含む少なくとも3つの半径方向に重ね合わされた部分を含むトレッドを有するタイヤであって、
前記ゴム組成物のそれぞれは、少なくとも、
− エラストマーマトリックス、及び
− 強化充填材
をベースとしており、
前記第1ゴム組成物(FC)及び前記第3ゴム組成物(TC)は、前記強化充填材が強化無機充填材を主に含むようなものであり、前記第2ゴム組成物(SC)は、前記強化充填材がカーボンブラックを主に含むようなものである、タイヤ。 - 前記第2ゴム組成物(SC)は、カーボンブラックが110m2/g未満のBET表面積を示すようなものである、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記第2ゴム組成物(SC)は、カーボンブラックが90ml/100g未満の圧縮試料の油吸収係数を示すようなものである、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)及び前記第3ゴム組成物(TC)は、前記強化無機充填材がシリカを主に含むようなものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)は、前記強化充填材の量が60〜200phrであるようなものであり、前記第2ゴム組成物(SC)は、前記強化充填材の量が0phrと120phrとの間であるようなものであり、前記第3ゴム組成物(TC)は、前記強化充填材の量が20〜200phrであるようなものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)中の前記強化充填材のphrでの量は、前記第2ゴム組成物(SC)中のものよりも高く、前記第2ゴム組成物(SC)中の前記強化充填材のphrでの量は、前記第3ゴム組成物(TC)中のものよりも低い、請求項1〜5のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第2ゴム組成物(SC)は、前記強化充填材の前記量が60phr未満であるようなものである、請求項6に記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物のそれぞれは、硫黄及び加硫促進剤をベースとする架橋システムをさらにベースとしている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)中の前記加硫促進剤のphrでの量は、前記第2ゴム組成物(SC)中のものよりも低く、前記第2ゴム組成物(FC)中の前記加硫促進剤のphrでの量は、前記第3ゴム組成物(TC)中のものよりも高い、請求項8に記載のタイヤ。
- 前記第2ゴム組成物(SC)は、前記加硫促進剤の前記量が2phr超であるようなものである、請求項9に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)中の硫黄及び前記加硫促進剤のphrでの総量は、前記第2ゴム組成物(SC)中のものよりも低く、前記第2ゴム組成物(SC)中の硫黄及び前記加硫促進剤のphrでの総量は、前記第3ゴム組成物(TC)中のものよりも高い、請求項8〜10のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第2ゴム組成物(SC)は、前記硫黄及び前記加硫促進剤のphrでの総量が4phr超であるようなものである、請求項11に記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物のそれぞれは、前記加硫促進剤が、スルフェンアミド型加硫促進剤、チウラム型促進剤、亜鉛ジチオカルバメート型加硫促進剤及びそれらの混合物からなる群から選択されるようなものである、請求項8〜12のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物のそれぞれは、前記加硫促進剤がスルフェンアミド型加硫促進剤を主に含むようなものである、請求項13に記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物のそれぞれは、前記エラストマーマトリックスが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくともジエンエラストマーを含むようなものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第3ゴム組成物(TC)は、−70℃未満のガラス転移温度を示す液体可塑剤を含む可塑剤をさらにベースとしている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記第3ゴム組成物(TC)は、前記ガラス転移温度を示す前記液体可塑剤の量が5〜100phrであるようなものである、請求項16に記載のタイヤ。
- 前記第3ゴム組成物(TC)は、前記ガラス転移温度を示す前記液体可塑剤が、液体ホスフェート可塑剤及びそれらの混合物からなる群から選択されるようなものである、請求項16又は17に記載のタイヤ。
- 前記第3ゴム組成物(TC)は、前記液体ホスフェート可塑剤が合計で12個と30個との間の炭素原子を有するようなものである、請求項18に記載のタイヤ。
- 前記第3ゴム組成物(TC)は、前記液体ホスフェート可塑剤がトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェートであるようなものである、請求項19に記載のタイヤ。
- 前記第1ゴム組成物(FC)でできた前記半径方向外側部分は、前記第2ゴム組成物(SC)でできた前記半径方向中間部分に隣接しており、前記第2ゴム組成物(SC)でできた前記半径方向中間部分は、前記第3ゴム組成物(TC)でできた前記半径方向内側部分に隣接している、請求項1〜20のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記半径方向外側部分、前記半径方向中間部分及び前記半径方向内側部分は、前記タイヤの耐用年数中に地面と接触することを意図される、請求項1〜21のいずれか一項に記載のタイヤ。
- スノータイヤである、請求項1〜22のいずれか一項に記載のタイヤ。
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