JP2021519071A - シュードウリジン化のための核酸分子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、哺乳動物細胞における標的RNAの標的ウリジンのシュードウリジン化のための核酸分子であって、核酸分子が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含み、部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージすることができ、ガイド領域が、部分的二本鎖核酸複合体において標的ウリジンを、それが哺乳動物シュードウリジン化酵素によってシュードウリジンに変換されるように位置させる補助となる、核酸分子に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月27日出願の米国仮特許出願第62/648648号明細書の優先権および利益を主張し、当該明細書はその全体を参照により本明細書に組み込む。
配列リスト
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、全体を参照により本明細書に組み込む配列リストを含有する。2019年3月21日に創出された前記ASCII複製は、PQR_021WO_SL25.txtと命名され、32,768バイトのサイズである。
本発明は、医薬の分野に関する。特に、本発明は、細胞内のRNA分子を、オリゴヌクレオチド等の核酸分子によってターゲティングして、RNA配列に存在する特定のウリジンをシュードウリジンに変換するシュードウリジンシンターゼを動員する、シュードウリジン化の分野に関する。より詳細には、本発明は、標的RNAのウリジンのシュードウリジン化を促進するオリゴヌクレオチドおよびイントロンに埋め込まれたsnoRNA、ならびにその使用方法に関する。
シュードウリジン(ψ:プサイ)は、tRNA、rRNA、snRNAおよびmRNAを含む安定なRNAにおいて最も豊富な転写後修飾ヌクレオチドであり、全リボヌクレオチドの約5%を構成する。ウリジンのψへの変換(シュードウリジン化)は、2つの別個の化学反応:C1’−N1グリコシド結合の破壊、および塩基を糖に再連結する新しい炭素(C1’−C5)結合の生成を必要とする。シュードウリジン化は、真の異性化反応であり、これは余分の水素結合ドナーを創出し、それによって、ψを有するRNAの種類およびRNA配列内の位置によって広範な機能的側面、例として、タンパク質合成、終止コドンリードスルーおよびフレームシフトの増大に影響を及ぼす(Yu and Meier, 2014, RNA Biology 11:1483-1494)。図1は、ウリジンおよびψの構造を示す。mRNA ψの多くはコード領域に内在し、それらの大多数は環境ストレスに応答し、機能的意義を示す(Carlile et al. 2014, Nature 515:143-146)。
真核生物および古細菌では、シュードウリジン化は、他のタンパク質によっても導入されるが、中でもbox H/ACAリボ核タンパク質(RNP:ribonucleoprotein)によって導入され、そのそれぞれは、独特な低分子RNA(box H/ACA RNA、2つの主要なクラスの核小体低分子RNAのうちの1つまたは「snoRNA」)および4つのコアタンパク質(NAP75/dyskerin/Cbf5、Nhp2、Nop10およびGar1)を含有する。NAP75/dyskerin/Cbf5は、標的ウリジンをψに変換する化学反応を触媒する。RNA成分は、その基質RNAとの塩基対形成相互作用を通して、シュードウリジン化のための標的ウリジンを特定するガイドとして働く(Ge and Yu, 2013, Trends Biochem Sci 38(4):210-218)。このガイド−基質塩基対形成スキームに基づいて、Karijolich and Yu (2011, Nature 474:395-398)は、出芽酵母(S. cerevisiae)においてmRNAの中途終止コドン(PTC:Premature Termination Codon)にψを導入するための人工box H/ACA RNAを設計した。彼らは、ψが実際に、TRM4 mRNAのPTCに組み込まれたことを実証した。注目すべきことに、シュードウリジン化PTCは、リボソーム解読を変更することによってナンセンス抑制を促進した(Fernandez et al. 2013, Nature 500:107-110;Wu et al. 2015, Methods in Enzymology 560:187-217;米国特許第8603457号明細書)。同様の方法を使用して、人工H/ACA RNAは、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞へのマイクロインジェクション後、プレmRNAを部位特異的にシュードウリジン化することができることが、他の研究者らによって示された(Chen et al. 2010, Mol Cell Biol 30:4108-4119)。両方の例において、人工H/ACA RNAは、ガイド配列として働くループを変更するように改変されたが、それ以外の点では、これらのsnoRNAは変更されず、全長のままであった。
哺乳動物H/ACA snoRNAは一般的に、タンパク質コード遺伝子のプレmRNAイントロン領域内に埋め込まれている(位置する)。転写伸長中、シュードウリジン化において機能的役割を有するいくつかのタンパク質、例としてNop10、dyskerinまたはNhp2は、新生H/ACA snoRNA配列に、特にそれらの構造コアモチーフに結合する。スプライシング後、ガイドRNAは、脱分枝およびエキソヌクレアーゼプロセシングを通してプロセスされ、「核内低分子リボ核タンパク質」(snRNP:small nuclear ribonucleoproteinまたはsnRNP複合体)と呼ばれるRNA−タンパク質複合体をもたらす。成熟型になると、これらの粒子は、転写部位から、それらが機能的に活性であるシュードウリジン化のための部位まで核内輸送され、それはほとんどが核小体内であるが、カハール体内の場合もある。スプライソソームアセンブリ中、これらのsnRNPがプレmRNA基質に逐次的に動員され、これに短鎖RNA−RNAハイブリッドが形成され、シュードウリジン化部位の特定を可能にする。通常3’スプライス部位の60〜90ヌクレオチド上流に局在化し、比較的小イントロンにコードされるbox C/D snoRNAとは反対に、box H/ACA snoRNAは、イントロンの5’または3’末端に対して局在化の優先性を有さず、小イントロンまたは非常に大きなイントロン内に存在し得る。Leverette et al. (1992, Cell 71(7):1215-1221)は、一部のsnoRNAがプレmRNAのイントロン領域内に存在し得ることを提唱した。Kiss and Filipowicz (1995, Genes Dev 9(11):1411-1424)は、所与のsnoRNA配列は、任意の所与の能動的スプライシング済みmRNAのイントロン領域から切除され、完全にプロセスされ得ることを示唆した。この手法の実行可能性を示すために、彼らは、いくつかのsnoRNA(U17a、U17bおよびU19)をヒトβ−グロビン遺伝子の第2のイントロンに人工的に埋め込み、得られるベクターを線維芽細胞様細胞において発現させた。トランスフェクション後、彼らは、イントロンにより送達された人工snoRNAは、ヒトβ−グロビンイントロンから適切にプロセスされ、グロビンプレmRNAは、正確にスプライシングされたことを発見した。注目すべきことに、これは、ガイドRNA配列をエクソンに人工的に埋め込んだ場合は起こらなかった。Darzacq et al. (2002, EMBO J 21(11);2746-2756)は、他のガイドRNAを、サイトメガロウイルス(CMV:cytomegalovirus)プロモーターの制御下の発現ベクターを使用してヒトβ−グロビン遺伝子の第2のイントロンに挿入し、トランスフェクションにより哺乳動物細胞に送達することができることを確証した。
上記、およびsnoRNAが細胞に送達され、イントロン領域からプロセスされ得るという事実にもかかわらず、本発明の発明者らの知る限りでは、哺乳動物系においてsnoRNAを使用するターゲティングされたシュードウリジン化を示した者はこれまでにいない。先行技術において説明されている人工H/ACA snoRNAは典型的に約140ntの範囲内であり、それらはRNAからなり、そのため、それらはin vivoでかなり不安定である傾向がある。それゆえ、治療環境におけるそのような分子の製造および送達は、困難なままである。
本発明は、哺乳動物細胞における標的RNAの標的ウリジンのシュードウリジン化のための核酸分子であって、核酸分子が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含み、部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージすることができ、ガイド領域が、部分的二本鎖核酸複合体において標的ウリジンを、それが哺乳動物シュードウリジン化酵素によってシュードウリジンに変換されるように位置させる補助となる、核酸分子に関する。好ましくは、シュードウリジン化酵素は、H/ACA−snoRNAに作用することができるリボ核タンパク質(RNP)複合体の一部である。本発明の一実施形態では、核酸分子は、野生型H/ACA snoRNAよりも短く、野生型H/ACA snoRNAと比較して非天然修飾された1つまたは複数のヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド間連結を含む。特に好ましい一態様では、核酸分子は、野生型H/ACA snoRNAの2つのヘアピン構造のうちの1つ、好ましくは野生型H/ACA snoRNAの3’末端部分のヘアピン構造に対応する単一のガイド領域を含み、より好ましくは、5’末端ヌクレオチドは、野生型H/ACA snoRNAの2つのヘアピン構造間の領域からのヌクレオチドに対応する。
別の実施形態では、本発明は、核酸分子がそこから発現されるイントロン配列に核酸分子が位置させられており、イントロン配列が、上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置する、本発明による核酸分子に関する。好ましくは、エクソンA/イントロン/エクソンB配列は、ベクター、好ましくはプラスミドまたはウイルスベクターに存在する。
また別の実施形態では、本発明は、ベクター、例としてプラスミドに存在し、CMVまたはpol−IIIプロモーター、好ましくはU6またはH1プロモーターから転写される本発明による核酸分子に関する。
特に好ましい態様では、本発明は、ガイド領域が、遺伝性障害と関連付けられる変異を含む標的RNAと部分的二本鎖複合体を形成することができ、好ましくは、変異が、中途終止コドン(PTC)をもたらし、PTCが、遺伝性障害の原因であり、標的ウリジンが、PTCに存在する、本発明による核酸分子に関する。
別の実施形態では、本発明は、標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、標的ウリジンを含む標的RNAをシュードウリジン化酵素またはRNP複合体の存在下で本発明による核酸分子と接触させるステップと、それによって、ウリジンの変換を可能にするステップとを含み、好ましくは、シュードウリジン化酵素またはRNP複合体が、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞に存在する、方法に関する。
また、本発明は、上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置するイントロン配列を含むベクターであって、エクソンA配列およびエクソンB配列が、イントロン配列にとって天然遺伝子ではない遺伝子のエクソン配列であり、イントロン配列が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含む核酸分子をコードするsnoRNA配列を含み、部分的二本鎖核酸複合体が、細胞において、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして、機能的RNP複合体を形成することができ、ガイド領域が、標的ウリジンを、それがRNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、標的ウリジンが、RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、ベクターに関する。好ましくは、ベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターである。
本発明は、細胞、好ましくはヒト細胞において、標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、本発明によるベクターを細胞に投与するステップと;エクソンA/イントロン/エクソンB配列の転写を可能にするステップと;イントロンに位置させたsnoRNAのスプライシングおよび形成を可能にするステップと;snoRNAが標的RNA分子と部分的二本鎖核酸複合体を形成することを可能にするステップとを含み、部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして機能的RNP複合体を形成することができ、snoRNAが、標的ウリジンを、それがRNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、標的ウリジンが、RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、方法にさらに関する。
図1は、ウリジンおよびシュードウリジン(ψ)構造を示す。水素結合アクセプター(a)および水素結合ドナー(d)部位を示す。 図2は、ガイドRNA付着に参加する残基のリストを示す。一文字表記アミノ酸コードに続いて、H/ACA box RNP粒子構造(PDB ID 2HVY)で報告される残基数を示す。水素結合形成に潜在的に関与する原子を、残基数の後に示す。RNA酸素−リン酸骨格および塩基との水素結合接触を生成する能力を有する古細菌種パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(P. furiosus)H/ACA box RNPのアミノ酸を、それぞれ、左右のパネルで報告する。白丸は、RNA糖−リン酸骨格への潜在的水素結合を表し、一方で、黒丸は、RNA塩基への潜在的水素結合を示す。Cbf5ホモログタンパク質、Nop10およびL7aeに属する残基を、それぞれ、アステリスク、アンパサンドおよびハッシュで示す。ヒト由来ガイド領域の配列は、ここで左右のパネルの両方にて示される通り、5’−GGGUCCGCCUUGAGUGCCCGGGUGAGAAGCAUGAUCCCGGGUAAUUAUGGCGGACCCACAG−3’(配列番号4)である。 図3は、水素結合相互作用ネットワークの保存に対して調べたH/ACAパイロコッカス・フリオサス(P. furiosus)snoRNA内の位置を示す。配列は、図2の配列と同じである。白丸(左パネル)および黒丸(右パネル)は、それぞれ、PS連結および2’−OMe修飾が(潜在的分子間接続を破壊することなく)許容されるRNA骨格位置を特定する。白丸は、丸の隣のヌクレオチドの3’側で許容されるPS連結を指す。 図4は、ヒトH/ACA ACA19 snoRNA(A)の、28S rRNAのその天然標的配列に結合した基本構造、およびシュードウリジン化型(ψ)で示された標的ヌクレオチドを示す。snoRNAは、2つのヘアピン構造を含み、2つのヘアピン構造内に内部標的結合ループが位置し、ヘアピン間にH boxおよび3’末端にACA boxが位置する。この全長野生型ACA19 snoRNAの配列は、5’−GUGCACAUUUCAUUGACCUGCUUUCUUUUAUGUGAGUAGUGUUAUUUCUUAUGUGCUAUACAAAUAAUUGAAGGCUAAUUAGCAGUAUAACUAUAAAUAGUAAUGCUGCCUGUGUCCUUCAGACAAAA−3’(配列番号5)であり、H−boxに下線を引き(図では四角で囲み)、ACA boxを太字で示す(これも図では四角で囲んだ)。 2つの28s rRNA配列は、以下の通り:5’−aaagugaagaaaucaaugaagcgcggg−3’(配列番号6;U3709;左ガイド領域)および5’−gaauccgacuguuaauuaaaaca−3’(配列番号7;U3618;右ガイド領域)である。両方の28s rRNAで、シュード−Uに変換されるウリジンに下線を引いた。 本明細書で説明される短鎖化シュードウリジン化ガイドRNAの基本構造は、右(B)に示され、以下の配列:5’−GGAAUUGAAGGCUGGUUCGCAGUAUAACUAUAAAUAGUAAUGCUGCCUGUGUCCUUCAGACAAAA−3’(配列番号8)を有し、これは、転写からの残留ヌクレオチドのために5’末端で異なり、標的mRNAの配列が28s rRNA配列(配列番号7)とは異なるので標的ループで異なる。 図5は、ガイドなし(陰性対照として)、短鎖化シュードウリジン化ガイドRNAまたは全長ACA19 snoRNAのいずれかを示される量で使用した、放射性標識基質RNAのシュードウリジン化アッセイからの結果を示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。 図6は、全て配列番号8の配列を有する4つのACA19シュードウリジン化編集オリゴヌクレオチド(psEON)、および導入された化学修飾の位置を示し、黒点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白点は、ヌクレオシド間連結のPS修飾を示す。 図7は、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照(ガイドRNAなし)と共に4つのACA19 psEONを使用したシュードウリジン化の結果を示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。 図8は、4つのCFTR−G542X psEON(同じACA19骨格において、ガイドポケット配列がCFTR基質をターゲティングするように変えられている)、および導入された化学修飾の位置を示し、黒点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白点は、ヌクレオシド間連結のホスホロチオエート修飾を示す。全てのこれらの4つのpsEONの配列は、5’−GGAAUUGAAGGCCCUUCUGCAGUAUAACUAUAAAUAGUAAUGCUGCAAGAACCCUUCAGACAAAA−3’(配列番号9)である。 図9は、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照としてのガイドRNAなしと並行して4つのCFTR−G542X psEONを使用したシュードウリジン化の結果を示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。 図10は、4つのIdua−W392X psEON(左から右へIdua−A、−B、−Cおよび−D)、および導入された化学修飾の位置を示し、黒点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白点は、ヌクレオシド間結合連結のPS修飾を示す。全てのこれらの4つのpsEONの配列は、5’−GGAAUUGAAGGCUCUGCCGCAGUAUAACUAUAAAUAGUAAUGCUGCGAGUUGUCCUUCAGACAAAA−3’(配列番号10)である。 図11は、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照としてのガイドRNAなしと並行して4つのIdua−W392X psEON(Idua−A、−B、−Cおよび−D)を使用したシュードウリジン化の結果を示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。 図12は、5’末端のSalI部位と3’末端のPstI部位との間に位置する131nt pugIntronインサートの導入、ならびにそれぞれ、その上流および下流のヒトβ−グロビン遺伝子の92ntエクソン1(E1)および223ntエクソン2(E2)を示すpugIntron−IDUA構築物の模式図を示す。転写は、CMVプロモーターによって駆動される。 図13は、スプライスアウトされるべきガイドRNAを有する、図12で模式的に示されるpugIntron−mIDUAプラスミドの全ヌクレオチド配列(配列番号11)を示す。プラスミド配列は、小文字で示す。131ntガイドRNAは、大きなフォントで示す。ガイドRNAは、上流10ntおよび下流23ntと共にスプライスアウトされる。上流92ntエクソン1(図12のE1)および下流223ntエクソン2(図12のE2)は、太い大文字で示す。SalIおよびPstI制限酵素認識部位に下線を引いた。 この図は、図13−1の続きである。 図14は、標的pFLAG−GL39−IDUAスワップ発現ベクターの全配列(配列番号12;pFLAG2CMV2−HBBに由来する)を示す。33nt mIDUA PTC領域は太字で示し、TAG中途終止コドンに下線を引いた。 この図は、図14−1の続きである。 図15は、pugIntronOpt−IDUAを伴って、または伴わずに、基質プラスミド「GL39−IDUAスワップ」をトランスフェクトしたHEK293細胞からのβ−グロビンmRNAのRT PCR分析を示す。GL39の矢印は、RT−PCR後に観察された産物を示す。レーン1および3は、15PCRサイクルを表し、レーン2および4は、18PCRサイクルを表す。グロビンmRNAレベルは、5S対照(下部の矢印)によって正規化し、レーン2で0.00437、およびレーン4で0.1617であることが分かった。ガイド誘導RNA修飾(ここでは、シュードウリジン化)は、NMDを抑制し、インタクトなmRNAレベルを37倍アップレギュレートした。 図16は、基質FLAG−GL39−IDUAスワッププラスミドおよびガイドpug−Intron−IDUAプラスミドをトランスフェクトしたHEK293細胞からのフラグタグ付きグロビンタンパク質のウェスタンブロット分析を示す。細胞に、100%コンフルエントでPEIを使用して、250ngの基質および2.5μgのガイドをトランスフェクトした。 図17は、ガイドRNA発現プラスミドとしてpugIntron−IDUA、または陰性対照プラスミドとしてpug−CFTRを伴って、基質GL39−IDUAスワッププラスミドをトランスフェクトしたHEK293T細胞から得たトータルRNAを使用したプライマー伸長実験の結果を示す。RNAをCMCで処理し、グロビン特異的プライマーにより、および対照としてU6特異的プライマーによりプライマー伸長を行った。ψ−CMC残基で終止した92nt産物の位置を矢印により示す。この領域を再度、拡大パネルで表す。GL39+72は、hGl193−209ASグロビン特異的プライマーである。90、76および67は、pBR322−MspI消化(NEB#N3032)からのサイズ参照である。 図18は、GL39−IDUAスワップ基質プラスミドおよびpugIntron−IDUAガイドRNA発現プラスミドを、またはCy3−IDUA−A psEON(ガイドRNAがイントロンに埋め込まれていない)をトランスフェクトした細胞から得たトータルRNAからのRT−PCR産物を示す。GL39−IDUA矢印は、RT−PCR後に観察された産物を示す。5S対照も矢印で示される。トランスフェクション後に細胞を洗浄した場合(洗浄)または培地を細胞に維持した場合(維持)、差は観察されなかった。RTは、逆転写酵素を意味する(+あり、または−なし)。 図19は、CFTR−G542X変異を有する基質プラスミドを、ガイドなし(ラダーの右のレーン2および3)、陰性対照pugCFTR(ラダーの右のレーン6および7)およびガイドsnoRNA保有プラスミドpugIntCFTR(ラダーの右のレーン4および5)のいずれかを伴って、トランスフェクトしたHEK293細胞からのCFTR mRNAのRT−PCR分析を示す。矢印は、RT−PCR後に観察された産物を示す。ラダーの後のレーン1は、RTを伴わないPCRを表す。レーン2、4および6は、20PCRサイクル後の産物を表し、一方で、レーン1、3、5および7は、23サイクル後に得られた産物を表す。下部のパネルは、それぞれ、15および18PCRサイクル(20および23ではなく)後の5S対照を示す。pugIntCFTRから発現したガイドRNAの存在は、より強いPCR産物シグナルが観察される通り、NMD抑制を明らかに引き起こす。
全長H/ACA RNA(snoRNA)は、標的ウリジンをシュードウリジン(ψ)に部位特異的に変換するために使用され得ることが当該技術分野で公知である。天然基質RNAのためのガイドとして働く2つの主要なループの核酸配列を変えることによって、酵母およびアフリカツメガエル系において天然配列以外の配列が、シュードウリジン化され得ることが示された。本発明の発明者らは、潜在的な治療標的である標的RNAを有する哺乳動物系においてターゲティングされたシュードウリジン化を行いたいと考え、小さくても触媒的に活性であり、ことによるとシュードウリジン化効果の増大さえ有し得る、より小さいシュードウリジン化ガイドRNAを生成することが可能であり得るのか、知りたいと考えた。なおその上に、本発明者らは、化学修飾を通してそのようなより小さいオリゴヌクレオチドの安定性および/または特異性を増大させることが可能であり得るかどうかに関心を持った。そのようなことが達成され得る場合、これらは、治療環境において適用される薬学的に活性な化合物としてin vivoで潜在的に使用することができる。そして、そのようなガイドは、任意の遺伝性障害の処置において潜在的に使用することができ、ここでは、ウリジン(変異を表し得る)がψに変換され、それによって、翻訳されるタンパク質の含有量に影響を及ぼすか、またはスプライシングに影響を及ぼすか、または得られるmRNAからのタンパク質翻訳を増大(または減少)させ得る。当該技術分野において今までのところ示されているシュードウリジン化におけるH/ACA snoRNAの比較的低い効率を考慮すると、シュードウリジン化ガイドの効力および薬物動態特性を改善することが依然として必要とされている。本発明は、今までのところ当該技術分野で使用されているものよりも短い(ヌクレオチド長の点で)か、シュードウリジン化の効率に影響を及ぼす1つまたは複数の化学修飾を有するか、または哺乳動物細胞への効率的な送達を可能にするためにイントロン領域に埋め込まれている、そのようなシュードウリジン化ガイド化合物(本明細書でシュードウリジン化編集オリゴヌクレオチドまたはpsEONとも呼ばれる)に関する。また別の実施形態により、U6またはH1等のpol−IIIプロモーターを使用するpol−III発現構築物として発現されるターゲティングされたシュードウリジン化のためのガイドであるか、またはそれを含む核酸配列が提供される。そのような核酸分子は、AAVベクターその他等のプラスミドまたはウイルスベクターにおいて発現構築物として提供され得る。
最初に特定された(「全長」)H/ACA RNAは、133ヌクレオチドの長さ中央値を有し、ヒンジ領域のコンセンサスANANNA配列(H box)および3’末端から正確に3つの位置のACAトリプレット(ACA box)を有する進化的に保存されているヘアピン−ヒンジ−ヘアピン−尾部二次構造を形成する。標的ウリジンの特定は、上方ステムのすぐ5’および3’の1つまたは両方のヘアピンのバルジの2つの3〜10ヌクレオチド長アンチセンスエレメント(シュードウリジン化ポケット)によって達成される。これらの2つのエレメントは、標的ウリジンのすぐ5’の配列および3’の1つのヌクレオチドにハイブリダイズし、それによって、標的ウリジンを囲む。これが標的ウリジンを、HまたはACA boxから14〜15ヌクレオチドに位置させる。
組換えオリゴヌクレオチド(一本鎖および/またはアンチセンス)の生成において、多くの化学修飾が存在する。特性の改善のための探索において、本発明の発明者らは、ヌクレオチドのリボース部分の2’−O−メチル(2’−OMe)修飾が、ターゲティングされたシュードウリジン化と適合性であるのみでなく、驚くべきことに、標的mRNA分子のより効率的な部位特異的シュードウリジン化をもたらすことを発見した。別の驚くべき発見は、ホスホロチオエート(PS:phosphorothioate)ヌクレオシド間連結もまた、ターゲティングされたシュードウリジン化と適合性であることであった。2’−OMeリボースおよびPSヌクレオシド間連結等の化学修飾(非天然)の組合せもまた、酵素エンゲージメントまたは触媒(シュードウリジン化)活性を消滅させることなく、使用することができる。本発明者らは、好ましい部位を特定した。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAにおける2’−OMeおよびPSならびに多くのさらなる化学修飾のある特定の有益な特性、例えばヌクレアーゼ安定性の増大または他の薬物動態特性は、それ自体は公知であるが、触媒作用に対する向上効果はおろか、それらのシュードウリジン化との適合性は未知であり、予測することができていなかった。それゆえ、これらの人工ガイドRNAを短鎖化する方法を発見したことに加えて、本発明者らは、薬物動態特性および薬力学特性の改善を課すためにそれらを化学修飾する方法を解明した。これらおよび他の利点は、本発明の開示から明らかになる。
本発明は、系(例えば細胞抽出物、細胞、組織または器官(例えばチップ上)、生物、好ましくは哺乳動物起源のそれら)において標的RNA分子と二本鎖複合体を形成することができ、かつ機能的(すなわち、シュードウリジン化を行うことができる)RNAタンパク質(RNP)複合体を形成することができる核酸分子であって、標的RNA分子が、ψへの変換のための標的ウリジンを含み、核酸分子が、(a)天然H/ACA snoRNAよりも短い(好ましくは天然H/ACA snoRNAの長さのおよそ半分またはそれよりも短い)核酸分子、および/または(b)1つまたは複数のヌクレオチドまたはヌクレオシド間連結の化学修飾(非天然)を含む核酸分子である、核酸分子に関する。本発明によるそのような核酸配列は、「シュードウリジン化編集オリゴヌクレオチド(pseudouridylating diting ligoucleotide)」または省略して「psEON」とも本明細書で呼ばれる。
好ましい一実施形態は、ガイドループを伴う1つのヘアピン構造のみを含むH/ACA snoRNAの短鎖化型である(天然H/ACA RNA構造および当該技術分野で説明される人工snoRNAで典型的に見られる2つのそのようなヘアピン構造とは対照的に)。別の好ましい実施形態は、2’−OMeリボース修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチドおよび少なくとも1つのPSヌクレオシド間連結修飾を含む核酸分子である。さらにより好ましいものは、短鎖化され、かつ非天然リボースおよび/または非天然ヌクレオシド間連結修飾を有する核酸分子である。
本発明によるpsEONは、好ましくは合成オリゴヌクレオチドである。本発明によるpsEONは、好ましくはオリゴリボヌクレオチド(全長RNA)であるが、DNAを含んでもよい。あるいは、とりわけ生体系で発現され得るヌクレオチドまたは連結から排他的に構成される場合、psEONは、in situで、例えばプラスミドまたはウイルスベクターから発現され得る。加えて、psEONは、生体により発現される成分と、タグまたはリンカー等の合成成分との混合物であってもよい。psEONは、そのまま(「ネイキッド」)、またはターゲティングのため、取り込みのためおよび/または細胞内輸送のためにリガンド等の他の成分にコンジュゲートして使用してもよい。psEONは、水溶液(一般的に薬学的に許容される担体および/または溶媒)中で使用しても、トランスフェクション剤、リポソームまたはナノ微粒子形態(例えばSNALP、LNP等)を使用して調合してもよい。そのような製剤は、バイオアベイラビリティ等を向上させるための機能的リガンドを含んでもよい。
種類豊富な非コードRNAの中で、核小体低分子RNAは、2つのカテゴリー:box C/Dおよびbox H/ACA snoRNAに分けられる。両方とも、転写後リボソームRNA修飾に寄与する。内因性RNP酵素を使用して、合成オリゴヌクレオチドは、ガイドH/ACA snoRNAを潜在的に模倣し、RNA標的に結合し、部位特異的様式でウリジンのψへの変換を可能にすることができる。RNA標的においてウリジンをψに変換するために、H/ACA snoRNAに似た化学修飾オリゴヌクレオチドは、本明細書で初めて示される通り、内因性RNP酵素を動員することができる。そのようなpsEONを設計するために、実験データ、構造分析および原子スケールモデルのエネルギー最小化法に基づく組合せ手法がどのように採用されたかが本明細書で説明される。ACA19 RNA配列長を最小化し、in vitro酵素アッセイ(以下に説明する)により機能性をチェックした。構造分析は、Li and Ye (2006, Nature 443:302-307)により公開された情報に基づいた。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(P. furiosus;古細菌種)からのH/ACA box RNPにおいて、3つのタンパク質のみが、ステムループ構造をとるガイドRNAと直接相互作用する。これらのタンパク質はおそらく、tRNAシュードウリジンシンターゼB、リボソーム生合成タンパク質Nop10および50Sリボソームタンパク質L7aeである。本発明で使用される構造ベースのオリゴヌクレオチド設計は、様々な部分:水素結合ネットワークの概観、異なる古細菌−真核生物におけるタンパク質構造保存の段階的分析、H/ACA box snoRNA内の化学修飾の挿入(それによって、潜在的立体衝突をモニターすること)、および2’−OMeおよびPS連結を含む原子スケールモデルのエネルギー最小化法に分けられる。
水素結合の2つのカテゴリーが区別される。第1の群は、RNAの酸素−リン酸骨格をタンパク質と接続する。第2の群は、残基をオリゴヌクレオチド塩基に連結する。一般的に、これらの2つの相互作用の組は、当該技術分野で、それぞれ、非特異的および特異的と考えられる。パイロコッカス・フリオサス(P. furiosus)からのH/ACA box RNPの結晶構造は、当該技術分野で現在入手可能な唯一のRNA結合シュードウリジン化タンパク質アセンブリの構造である。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)からのCbf5−Nop10−Gar1複合体の遊離構造(Li et al. 2011, Genes Dev 25:2409-2421)は、両方の系のタンパク質配置についての重要な構造的類似性を強調する。様々なH/ACA box RNPタンパク質構造の重ね合わせを、TINKER重ねルーチン(Pappu et al. 1998, J Phys Chem B 102:9725-9742)を使用して行った。この保存された構造配置は、RNA結合が類似する相互作用によって支持され得ることを示唆する。古細菌から真核生物への構造的要求(ガイドRNA付着のための)の置き換えはわずかではないが、この分析の外挿は、一次配列整列、二次および三次構造比較の支持を伴ってやはり有用である。H/ACA box RNPの結晶構造では、ガイドRNAは、3つのタンパク質Cbf5、Nop10およびL7aeと主に接触する。これらの3つのタンパク質とそれらの対応するヒト、酵母および古細菌からのホモログとの一次配列整列は、高レベルの類似性を示した(データは示さず)。加えて、酵母および古細菌からの全ての3つのタンパク質の二次構造は、一次配列整列で見られる通り、類似点があるように見えた。ヒトCbf5、Nop10およびNhp2(古細菌L7aeのホモログ)タンパク質の構造情報は入手可能でなかったので、タンパク質二次構造予測サーバー(JPred)を使用してそれらの二次構造を予測し、酵母および古細菌の対応するタンパク質の予測される二次構造と比較した。比較により、全ての3つのタンパク質は、非常に類似する二次構造を有することが明らかになった。加えて、H/ACA box RNPにおいてガイドRNAと接触する全ての3つのタンパク質の特定されたアミノ酸残基は、それらのヒトおよび酵母ホモログ全体を通して非常によく保存されているように見え、全ての3つのタンパク質は、それらのガイドRNAを非常に類似する様式で認識し得ることを示唆した。
ガイドRNAとタンパク質との間の重要な固定点を画定するために、結合したRNAの三次元特徴を調査した。したがって、治療用RNA設計に選択した一次配列とは独立して、古細菌系について示された構造と同一の三次元構造をとることが必要とされる。この記述は、両方の系で観察される相同タンパク質、すなわち、Cbf5およびNop10によって被覆される共通のRNA部分について主に妥当である。分析の妥当性を拡張するために、パイロコッカス・フリオサス(P. furiosus)のL7aeタンパク質に相当するポリペプチド鎖を、様々な真核生物で特定した(酵母およびヒトの相同タンパク質)。明らかに、古細菌から酵母生物への構造情報の直接的置き換えは、いくらか推測上のものであり、局所的変動が起こり得る。特異的接触の密度は、ACAモチーフの付近および上方ステムと最小ループとの間の接合部でより高い。この最後の要素は、酵母におけるテトラループに対応する。興味深いことに、短鎖化ACA19ガイドRNAについて提案された二次構造配置は、古細菌H/ACA box RNPで検出された三次元特徴および制約に適合していない。しかしながら、オリゴヌクレオチドの柔軟性が、固定に決定的なパラメータのようであり、ACA19ガイドRNAはおそらく、タンパク質複合体に適応するようにコンフォメーション調節を受ける。
構造ベースのオリゴヌクレオチド設計を支持するため、および分子間水素結合マップの真核生物への移行を促進するために、ガイドRNA付着に参加する残基のリストを図2に示す。RNA酸素−リン酸骨格および塩基と相互作用する古細菌H/ACA box RNPのアミノ酸を、それぞれ、左および右のパネルで報告する。塩基とタンパク質との間の接触の70%が、残基のアミド基およびカルボキシル基を含み、限定的な保存された残基の組が塩基認識を駆動し得ることを示唆する。しかしながら、RNA骨格結合は、アミノ酸側鎖によって85%媒介される。注目すべきことに、Nop10ユニットは、ガイドオリゴヌクレオチドと非特異的にのみ(それゆえ、塩基とではなく)相互作用する。分析は、様々な生物の相同タンパク質間のさらなる一次配列整列を考慮しなければならない。一部の保存された残基は、治療用オリゴヌクレオチド機能に決定的なヌクレオチド−タンパク質接触を支持し得る。加えて、予測された二次構造エレメントは、局所RNAコンフォメーションの一部の潜在的な変形を考慮する助けとなり得る。
初期の構造研究により、in vivoでのオリゴヌクレオチド機能を支持する関連する化学修飾の実行のための道筋が敷かれた。古典的に、治療用オリゴヌクレオチド設計の第1段階において、これは当該技術分野で示されているが、2’−OMe修飾糖部分およびPS連結は、RNA分解酵素活性に対する抵抗性を改善し、タンパク質結合を支持し、かつ取り込みを促進することに寄与する。しかしながら、シュードウリジン化酵素複合体に関しては、そのような修飾が、使用することができ、タンパク質エンゲージメントおよび触媒活性と適合性であり得ることは、示唆されたことも示されたこともない。図3に従って、H/ACAパイロコッカス・フリオサス(P. furiosus)RNA内の位置を、水素結合相互作用ネットワークの保存に関して調べた。治療用オリゴヌクレオチドの機能化に参加すると考えられたH/ACA RNAモデルの化学修飾を導入した。古細菌ステムループRNA内の化学修飾の挿入による原子スケールモデルの生成を、Avogadroソフトウェアを使用して実現した。得られたH/ACA box RNPモデルを、TINKERパッケージで実行されるAmber99 plus GBSA力場でエネルギー最小限化した(Pappu et al. 1998)。図3の左パネルで、白丸は、タンパク質−RNA水素結合ネットワークを破壊することなく、PS連結が許容されるところを示す。右パネルで、黒丸は、2’−OMe基の挿入がRNA認識を妨害しないはずの位置(立体障害なし)を示す。RNA内水素結合ネットワークは、オリゴヌクレオチド安定化を支持し得るが、この検討においては考慮されなかったことに留意するべきである。
本発明は、哺乳動物細胞における標的RNAの標的ウリジンのシュードウリジン化のための核酸分子であって、核酸分子が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含み、部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージすることができ、ガイド領域が、部分的二本鎖核酸複合体において標的ウリジンを、それが哺乳動物シュードウリジン化酵素によってシュードウリジンに変換されるように位置させる補助となる、核酸分子に関する。部分的二本鎖核酸複合体は、好ましくはRNA/RNAである。RNA/RNA複合体は、好ましくは哺乳動物細胞に天然に存在するが、別の実施形態では、核酸分子と共に哺乳動物細胞に共導入され得るシュードウリジン化酵素を動員するか、またはそれに関与することができる。好ましくは、シュードウリジン化が起こる哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。好ましい態様では、シュードウリジン化酵素は、H/ACA−snoRNAに作用することができるリボ核タンパク質(RNP)複合体の一部である。特に好ましい態様では、核酸分子は、野生型H/ACA snoRNAよりも短く、野生型H/ACA snoRNAと比較して非天然修飾された1つまたは複数のヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド間連結を含む。非天然とは、修飾が天然では野生型snoRNAに存在しないことを意味する。修飾は、好ましくはRNA分解酵素による破壊に対して核酸分子をより安定にするために導入される。さらなる好ましい態様では、本発明の核酸分子は、野生型H/ACA snoRNAの2つのヘアピン構造のうちの1つ、好ましくは野生型H/ACA snoRNAの3’末端部分のヘアピン構造に対応する単一のガイド領域を含み、より好ましくは5’末端のヌクレオチドは、野生型H/ACA snoRNAの2つのヘアピン構造間の領域からのヌクレオチドに対応する。本発明による核酸分子、より好ましくは単一のガイド領域を含む核酸は、好ましくは50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79または80ヌクレオチドからなる。本発明による核酸分子が、非天然修飾を含む場合、非天然修飾は、一実施形態では、リボース部分の修飾を含み、好ましくは、糖部分の2’−OHが、置換されている。特に好ましいリボース部分の修飾は、2’−OMeおよび/または2’−MOE置換である。当業者は、本発明の核酸分子が特定の細胞におけるシュードウリジン化および/または特定のシュードウリジン化酵素に関するシュードウリジン化を与えることができる効率によって様々な修飾を適用し得る。別の態様では、核酸分子は、1つまたは複数の非天然ヌクレオシド間連結、例としてホスホロチオエート(PS)連結を含む。
また、本発明は、核酸分子がそこから発現されるイントロン配列に核酸分子が位置させられており、イントロン配列が、上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置する、本発明による核酸分子に関する。イントロンは、追加のヌクレオチドを(ガイド領域を含む、本発明の核酸分子に加えて)含み得る。ガイド領域は、イントロン配列から発現するので、そのような追加のヌクレオチドは、イントロンからの最も効率的な発現を与えるように選択され得る。好ましくは、エクソンA/イントロン/エクソンB配列は、ベクター、好ましくはプラスミドまたはウイルスベクターに存在する。そのようなベクターは、エクソン−イントロン−エクソン配列を細胞に送達するために使用することができる。追加のイントロンおよびエクソンは、そのようなベクターに存在し得る。特に好ましい実施形態では、エクソンA配列(核酸分子(転写後に発現する)をコードする核酸を有するイントロンの上流)は、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン1を含むか、またはこれからなり、エクソンB配列(核酸分子(転写後に発現する)をコードする核酸を有するイントロンの下流)は、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン2を含むか、またはこれからなる。当業者は、ベクターはDNAまたはRNAを有してもよく、一般的にベクターが、それが導入された細胞内でプロセスされた後に本発明の核酸分子を発現するために使用されることを知っている。そのようなことは、一般的にベクターに存在するDNAまたはRNAの転写を通してなされる。好ましいベクターは、当業者に公知の、様々な方法で細胞に導入され得るウイルスベクター(処置されるべき標的細胞に感染するために使用され得る)またはプラスミドである。好ましい実施形態では、イントロンに位置させた核酸分子は、実質的全長pugU2−34/44 snoRNAである。実質的とは、1つまたは複数のヌクレオチドが正確な野生型pugU2−34/44配列とは異なっていてもよいが、snoRNAが活性であることを意味する。本開示の教示を使用して、当業者は、実質的全長snoRNAがシュードウリジン化において活性であるかどうかを決定することができる。snoRNAを、本明細書で開示される通り、イントロンに位置させる場合、核酸分子は、好ましくはベクター、例としてプラスミドに存在し、核酸分子は、CMVまたはpol−IIIプロモーター、好ましくはU6またはH1プロモーターから転写される。核酸が、単一のガイド領域を含む場合、それはまた、遊離形態(または「ネイキッド」、ベクターの関係を伴わない)で投与され得るか、またはリポソームまたはナノ粒子等の他の手段によって、またはイオン導入を使用することによって細胞に送達される。
特に好ましい実施形態では、本発明の核酸分子に存在するガイド領域は、遺伝性障害と関連付けられる変異を含む標的RNAと部分的二本鎖(RNA/RNA)複合体を形成することができる。そのような変異の非限定的であるが、好ましい例は、中途終止コドン(PTC)をもたらし、PTCは、遺伝性障害の原因であり、標的ウリジンはPTCに存在する。本発明の手段および方法を使用することによって、そのようなPTCの標的ウリジンをシュードウリジンに変換することは、翻訳中のリーディングフレームの適切なリードスルーをもたらし、それによって、機能的(部分または完全)全長タンパク質を提供する。
本発明による核酸分子は、本発明の一実施形態では、嚢胞性線維症、ハーラー症候群、アルファ−1−抗トリプシン(A1AT)欠損症、パーキンソン病、アルツハイマー病、白皮症、筋萎縮性側索硬化症、喘息、β−地中海貧血症、カダシル症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA:Distal Spinal Muscular Atrophy)、デュシェンヌ/ベッカー筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性腺腫性ポリポーシス、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィーIおよびII型、神経線維腫症、ニーマン・ピック病A、BおよびC型、NY−eso1関連がん、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患(Primary Ciliary Disease)、プロトロンビンG20210A変異等のプロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症(常染色体優性の)、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群(SCID:Severe Combined Immune Deficiency Syndrome)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、伴性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群またはがんの処置、予防、遅延または改善における使用のためである。
また別の実施形態では、本発明は、標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、標的ウリジンを含む標的RNAをシュードウリジン化酵素またはRNP複合体の存在下で本発明による核酸分子と接触させるステップと、それによって、ウリジンの変換を可能にするステップとを含み、好ましくは、シュードウリジン化酵素またはRNP複合体が、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞内に存在する、方法に関する。本発明による好ましい方法では、シュードウリジン化酵素またはRNP複合体は、哺乳動物細胞内に天然に存在する。
また別の実施形態では、本発明は、上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置するイントロン配列を含むベクターであって、エクソンA配列およびエクソンB配列が、イントロン配列にとって天然遺伝子ではない遺伝子のエクソン配列であり、イントロン配列が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体(RNA/RNA)を形成することができるガイド領域を含む核酸分子をコードするsnoRNA配列を含み、部分的二本鎖核酸複合体が、細胞において、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして、機能的RNP複合体を形成することができ、ガイド領域が、標的ウリジンを、それがRNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、標的ウリジンが、RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、ベクターに関する。好ましいベクターでは、snoRNAは、実質的全長pugU2−34/44 snoRNAである。また、エクソンA配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン1を含むか、またはこれからなり、エクソンB配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン2を含むか、またはこれからなる、ベクターは好ましい。好ましいベクターは、プラスミドおよびウイルスベクターである。本発明によるベクターは、好ましくは本明細書で列挙される疾患のうちの任意の1つまたは複数の処置、予防または改善のために使用される。
また、本発明は、本発明による核酸分子または本発明によるベクター、および薬学的に許容される担体、安定剤または溶媒のうちの1つまたは複数を含む医薬組成物に関する。好適な薬学的に許容される担体は、当業者に周知である。
また別の実施形態では、本発明は、細胞、好ましくはヒト細胞において、標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、本発明によるベクターを細胞に投与するステップと;エクソンA/イントロン/エクソンB配列の転写を可能にするステップと;イントロンに位置させたsnoRNAのスプライシングおよび形成を可能にするステップと;snoRNAが標的RNA分子と部分的二本鎖核酸複合体を形成することを可能にするステップとを含み、部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして機能的RNP複合体を形成することができ、snoRNAが、標的ウリジンを、それがRNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、標的ウリジンが、RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、方法に関する。また、本発明は、本発明による核酸分子または本発明によるベクターを含む哺乳動物細胞に関する。また別の実施形態では、本発明は、本明細書で列挙される疾患のうちの1つまたは複数の処置のための医薬の製造における本発明の核酸分子の使用に関する。
特に好ましいが、非限定的な一実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症(CF:cystic fibrosis)の処置における使用のための本発明による核酸分子に関し、またさらに好ましい実施形態では、本発明は、表1に列挙されるPTC等のPTC、より好ましくはG542X(UGA)、W1282X(UGA)、R553X(UGA)、R1162X(UGA)、Y122X(UAA)、W1089X、W846XおよびW401X変異が、シュードウリジン化を通してアミノ酸をコードするコドンに改変され、かつそれによって、全長タンパク質への翻訳を可能にする、CFの処置における使用のための本発明による核酸分子に関する。例えば、終止コドンとみなされる代わりに、ψAAおよびψAGコドンは、両方ともセリンまたはトレオニンに翻訳され、ψGAは、チロシンまたはフェニルアラニンに翻訳されることが当該技術分野で十分に確立されている(Karijolich and Yu, 2011)。それゆえ、PTCのこれらのψ含有コドンのいずれかへのシュードウリジン化は、翻訳中のリードスルーを生成するか、または換言すれば、タンパク質翻訳の停止および/またはナンセンス変異依存分解機構によるmRNAの潜在的分解を抑制する。それゆえ、好ましい一態様では、本発明は、CFの処置における使用のための、本明細書で概略されるpsEON等の本発明による核酸分子であって、CFTR(プレ)mRNAに存在するPTCに存在するウリジンのψへの変換を可能にし、PTCが、最終的に疾患を引き起こす早期翻訳停止をもたらす、核酸分子に関する。それゆえ、別の態様では、本発明は、疾患、好ましくはCFの処置または予防のための医薬の製造における本発明による核酸分子の使用に関する。本発明のまた別の実施形態では、それは、細胞内の標的RNAのPTCに存在する少なくとも1つの標的ウリジンのシュードウリジン化のための方法であって、細胞に本発明による核酸分子を提供するステップと;細胞による核酸分子の取り込みを可能にする(例えば、送達ベクターによって運搬されて)ステップと;本発明による核酸分子の標的RNAへのアニーリングを可能にするステップと;ガイドRNAによりガイドされるRNPが標的RNAの標的ウリジンをψにシュードウリジン化することを可能にするステップと;場合により、ターゲティングされたRNAにおけるψの存在を特定するステップであって、好ましくは最後のステップが、標的ウリジンがPTCに位置する場合、機能的、延長、全長および/または野生型タンパク質の存在を評価することを含む、ステップと;プレmRNAのスプライシングがシュードウリジン化によって変更されたかどうかを評価するステップ;または機能的リードアウトを使用するステップであって、シュードウリジン化標的分子後の標的RNAが、機能的、全長、延長および/または野生型タンパク質をコードする、ステップとを含む方法に関する。好ましくは、本発明の方法および手段を使用してシュードウリジン化が起こる細胞は、ヒト細胞である。好ましい一実施形態では、本発明によるpsEON(とりわけ、「ネイキッド」形態で適用される場合)は、少なくとも50ヌクレオチドを含み、100ヌクレオチドよりも短く、より好ましくは60ヌクレオチドよりも短い。
熟練した読者には容易に明らかである通り、本発明は、1つの同じ、または異なる標的RNA標的の異なる標的ウリジンについて設計した本発明による異なる核酸分子を組み合わせることを可能にする。本発明による異なる核酸分子は、単一の組成物において、または別々の組成物において同時に、または連続的に使用され得る。本発明によるpsEON等の核酸分子は、他の形態のオリゴヌクレオチド処置を含む他の形態の処置と組み合わせてもよい。本明細書で提供される実施例は、本発明を例示するように働き、決していかなるようにも本発明を限定するとは解釈されるべきでない。
Figure 2021519071
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psEONが、イントロン配列に埋め込まれない一方で、糖または核酸塩基部分の1つまたは複数の修飾を伴う1つまたは複数のヌクレオチド、または修飾を伴う1つまたは複数のヌクレオチド間連結を含むことは本発明の重要な態様である。それによって、psEONの単一のヌクレオチドは、1つまたは1つを超える糖または塩基修飾を有し得る。psEON内で、1つまたは複数のヌクレオチド(複数可)は、そのような糖または塩基修飾(複数可)を有する場合があり、1つまたは複数のヌクレオチド間連結(複数可)は、修飾を有し得る。例として、糖修飾は、2’−O−アルキル修飾(例として2’−OMe修飾)を含む場合があり、塩基修飾は、シチジン塩基を5−メチルシチジンで置換することを含む場合があり、ヌクレオチド間連結修飾は、ホスホジエステル結合をPS連結(非天然)で置換することを含み得る。
本発明のpsEONは、好ましくは単一のガイド領域、より好ましくはwt H/ACA snoRNAの3’末端部分に位置するガイド領域を含む。それゆえ、psEONが、単一のヘアピン構造を含み(snoRNAが2つのヘアピン構造を含有する野生型の状況とは対照的に)、psEONのヘアピン構造が、wt H/ACA snoRNAの3’部分のヘアピンを表し、psEONの5’末端が、wt H/ACA snoRNAに見られる2つのステム間の任意の位置で開始し、好ましくはステム構造に存在しない数個の追加のヌクレオチドを含むことは、本発明の好ましい態様である。好ましくは、一態様では、本発明のpsEONは、その5’末端に全長H boxを含まないが、その3’末端に野生型ACA boxを含む。別の好ましい態様では、それは5’末端に全長H boxを含むが、3’末端に全長ACA boxを欠く。これは、シュードウリジンシンターゼ、dyskerinの公知の相互作用に従い、そのうちの2つは、1つが5’ヘアピンおよびH boxに結合し、一方で、他方が、3’ヘアピンおよびACA boxに結合するように、天然H/ACA snoRNAに結合する。
本発明のpsEONの改善した特徴は、安定性ならびに適切なタンパク質結合およびシュードウリジン化活性を確実にするための事前に規定されたスポットにおける特定のヌクレオチド修飾の使用である。これらの変化は、変動してもよく、psEONの骨格における、ヌクレオチドの糖部分における、および核酸塩基における修飾を含んでもよい。また、それらは、標的によって、および二次構造によって、psEONの配列全体を通して可変的に分布してもよい。特定の化学修飾は、RNA結合ドメイン内の様々なアミノ酸残基の相互作用を支持するために必要とされ得る。例えば、ヌクレオチド間PS連結、および/または2’−OMe修飾は、psEONの一部の部分において許容され得るが、一方で他の部分では、それらは、酵素のリン酸および/または2’−OH基との決定的な相互作用を破壊しないように避けるべきである。当業者は、当該技術分野から入手可能な知識により、かつ本開示の教示に基づいて、psEON内のある特定の位置が2’−OMe修飾に好適であるかどうか、およびまたはある特定のヌクレオシド間連結がPS修飾を有するべきか、有するべきでないかを決定することができる。また、修飾は、それらがpsEONの分解を防ぐように選択されるべきである。また、特定のヌクレオチド修飾は、標的配列が編集のために最適ではない基質RNAのシュードウリジン化活性を向上させるために必要であり得る。
一態様では、本発明は、特定の遺伝子および/または特に選択した遺伝子のエクソンが隣接する人工イントロンに埋め込まれて送達され得るシュードウリジン化編集ガイドRNAに関する。これを通して、ガイドRNAは、このエクソン−イントロン−エクソン配列を有するプラスミドまたはウイルスベクターのようなベクターから、哺乳動物細胞で発現することができる。本発明の発明者らによって初めて示される通り、イントロンに埋め込まれたガイドRNAを使用して配列特異的様式でターゲティングされたシュードウリジン化を得ることが可能であった。これでこの手法は、例えば、PTC変異によって引き起こされる遺伝性疾患の新規療法としてPTC抑制を促進するように潜在的に適用することができる。
本発明は、非限定的に、通常、翻訳停止およびmRNA分解(ナンセンス変異依存分解機構により、以下を参照のこと)を引き起こすナンセンス終止変異の効果を覆すことによって例示される。別の態様では、ターゲティングされたシュードウリジン化は、例えばタンパク質キナーゼ活性中心等の決定的なタンパク質領域において、アミノ酸置換によりタンパク質機能を調節するための手段として、ウリジン含有コドンをコードし直すための手段として働き得る。
哺乳動物細胞において天然に発現するシュードウリジン化ガイドRNA配列(box H/ACA snoRNA)は多くの場合、プレmRNAイントロンからプロセスされることが当該技術分野から公知である。アセンブリプロセスは、シュードウリジン化において機能を有するいくつかのタンパク質の、box H/ACAガイドRNAへのsnRNPを形成する結合によって起こる。このプロセスは、転写中およびスプライシング前に起こる。ガイドRNA含有イントロンがスプライスアウトされ、脱分枝された後、プロセシングエキソヌクレアーゼは、それらの5’および3’末端でイントロンを分解する。しかしながら、随伴のsnRNPタンパク質は、box H/ACAガイドRNA配列を分解から保護し、成熟snRNP複合体の形成を可能にする。snoRNA配列は、ヒトβ−グロビン等のその天然環境ではない(またはその天然環境であってもよい)遺伝子のイントロンに挿入することができ(Kiss and Filipowicz. 1995)、一方でそれでも全長成熟snRNPをもたらす。本発明により、シュードウリジン化編集ガイドRNAは、遺伝子のエクソンが隣接する非宿主イントロンに埋め込まれ得る。この目的に役立つヒト遺伝子の非限定的な例は、β−グロビン遺伝子である。そのような構築物は、治療環境において、例えば、シュードウリジン化ポケットに配列特異的様式で標的RNA領域に相補的なヌクレオチド配列を有する完全に機能的なbox H/ACA snoRNAを発現するプラスミドまたはウイルスベクターを使用することによって、哺乳動物細胞に投与され、哺乳動物細胞で発現することができる。
遺伝子のコード配列においてPTCをもたらす変異の結果の1つは、mRNAレベルの減少である。これは、ナンセンス変異依存分解機構(NMD:Nonsense−Mediated Decay)として公知の機構のためであり、これは、正確にプロセスされなかった転写産物が翻訳されることを防ぐ哺乳動物における細胞の監視機構である。遺伝性障害の3分の1がPTC(例えばCF、網膜色素変性症(RP:retinitis pigmentosa)およびベータ−地中海貧血症におけるようなPTC)をもたらす変異の結果であると見積もられている。正常な筋書きでは、エクソン接合複合体(EJC:exon−junction complex)が、スプライシング中に形成される。その後、第1の翻訳ラウンド中に、リボソームがこれらのEJCを置換する。他方で、PTCが、最後のEJCの50〜54ヌクレオチドを超える上流に位置する場合、EJC関連NMD因子からなる終止複合体の形成によってNMD経路が誘発される。これが第1のパイオニアラウンドの翻訳中に起こり、リボソームがそれらの位置の下流の少なくとも1つのEJCと共に共存する場合、これは、キャップ除去および5’〜3’エキソヌクレアーゼ活性ならびにまた尾部の脱アデニル化および3’〜5’エキソヌクレアーゼ依存転写産物分解機構を誘発する。それゆえ、上記に挙げる遺伝性障害または同様の変異のための任意の障害に取り組むためには、遺伝子特異的および配列特異的様式でのこの経路の阻害は、決定的である。本発明は、PTCをコードし直すことによって例示され、これは、mRNAレベルの増大およびコードし直したmRNAの全長タンパク質への翻訳リードスルーをもたらす。NMD抑制を評価するために、公知のNMD阻害レポーターアッセイ(Zhang et al. 1998, RNA 4(7):801-815)を使用することができ、PTCを有する遺伝子の翻訳リードスルーもまた評価することができる。本明細書で例示される通り、エクソン2の39番目のコドンでナンセンス変異を有するヒトβ−グロビン遺伝子を、標的配列として使用した。修正なしでは、このナンセンス変異は、より少ない量のmRNA(NMDの結果として)および切断型タンパク質をもたらす。本明細書で示される通り、ターゲティングされたシュードウリジン化による変異の修正は、mRNAレベルを増大するので、全長タンパク質がmRNAから翻訳されることを可能にし、NMD経路を阻害する。本発明の発明者らは、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン1とエクソン2との間である元の130ntイントロン1〜2の位置に131ntシュードウリジン化編集オリゴヌクレオチド配列を導入した。イントロンに埋め込まれたガイドRNA配列は、上流に位置するスプライスドナー部位(エクソン1のすぐ下流)、分枝部位、ポリピリミジントラクト(Pyリッチ領域)およびエクソン2のすぐ上流に位置するスプライスアクセプターを有する(図12)。当業者は、ヒトβ−グロビン構築物のPTC領域は、他の任意のモデルまたは目的の治療関連標的RNAによって交換され得ることを理解する。本明細書で示される通り、純粋に例として、標的として働く、mmIDUA−W392X終止変異を、ヒトβ−グロビン遺伝子の39番目のコドンに導入した。このPTCは、配列特異的様式で、非天然宿主遺伝子のイントロンに埋め込まれた編集ガイドRNAによりうまくシュードウリジン化することができたことが示される。ターゲティングされたシュードウリジン化は、mRNAレベルの増大(すなわち、NMD阻害)および全長タンパク質の合成をもたらした。
snoRNAは、イントロン配列に埋め込まれた場合、エクソン−イントロン−エクソン配列を細胞に投与した後に細胞におけるシュードウリジン化に適用され得る。そのようなものは、ネイキッド核酸の形態であってもよい。そのような構築物(エクソン−イントロン−エクソン配列)を細胞に送達し得る1つの他の方法(in vitro、ex vivoまたはin vivoのいずれかで)は、ウイルスベクター等の送達媒体を使用することによる。1つの好ましいウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV:Adeno−Associated Virus)に基づく。別の好ましいウイルスベクターは、例えば、レンチウイルスベクター等のレトロウイルスベクターである。また、プラスミド、人工染色体、およびヒト細胞ゲノムにおけるターゲティングされた相同組換えおよび統合に使用可能なプラスミドは、本明細書で定義されるsnoRNAの送達に好適に適用され得る。
典型的に、snoRNAがウイルスベクターによって送達される場合、それは、転写産物の一部分において本発明によるオリゴヌクレオチドの配列を含むRNA転写産物の形態である。本発明によるAAVベクターは、組換えAAVベクターであり、AAV血清型に由来するキャプシドタンパク質のタンパク質殻内にキャプシド化された本発明によるエクソン−イントロン−エクソン配列を含む、AAVゲノムの一部を含むAAVベクターを指す。AAVゲノムの一部は、アデノ随伴ウイルス血清型、例としてAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9その他に由来する末端逆位配列(ITR:inverted terminal repeat)を含有し得る。キャプシドタンパク質からなるタンパク質殻は、AAV1、2、3、4、5、6、7、8、9その他等のAAV血清型に由来し得る。タンパク質殻は、キャプシドタンパク質殻とも呼ばれ得る。AAVベクターは、1つ、または好ましくは全ての野生型AAV遺伝子が欠失している場合があるが、それでも機能的ITR核酸配列を含み得る。機能的ITR配列は、AAVウイルス粒子の複製、レスキューおよびパッケージングに必要である。ITR配列は、野生型配列であっても、野生型配列と少なくとも80%、85%、90%、95または100%配列同一性を有しても、それらが機能的なままである限り、例えばヌクレオチドの挿入、変異、欠失または置換により変更されていてもよい。この関係において、機能性とは、ゲノムをキャプシド殻内に直接パッケージングし、その後、感染細胞または標的細胞である宿主細胞において発現させる能力を指す。本発明に関係して、キャプシドタンパク質殻は、AAVベクターゲノムITRとは異なる血清型の殻であり得る。したがって、本発明によるAAVベクターは、1つのAAV血清型、例えばAAV血清型2のキャプシドタンパク質(VP1、VP2および/またはVP3)を含むキャプシドタンパク質殻、すなわち、正二十面体キャプシドから構成され得るが、一方で、そのAAV2ベクターに含有されるITR配列は、AAV2ベクターを含む上記に説明されるAAV血清型のいずれかのITR配列であってもよい。したがって、「AAV2ベクター」は、AAV血清型2のキャプシドタンパク質殻を含み、一方で、例えば「AAV5ベクター」は、AAV血清型5のキャプシドタンパク質殻を含み、それによって、いずれかが、本発明による任意のAAVベクターゲノムITRをキャプシド化し得る。好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2、5、8またはAAV血清型9のキャプシドタンパク質殻を含み、前記AAVベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型2、5、8またはAAV血清型9に由来し;そのようなAAVベクターは、AAV2/2、AAV2/5、AAV2/8、AAV2/9、AAV5/2、AAV5/5、AAV5/8、AAV5/9、AAV8/2、AAV8/5、AAV8/8、AAV8/9、AAV9/2、AAV9/5、AAV9/8またはAAV9/9ベクターと呼ばれる。
より好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2のキャプシドタンパク質殻を含み、前記ベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型5に由来し;そのようなベクターはAAV2/5ベクターと呼ばれる。より好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2のキャプシドタンパク質殻を含み、前記ベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型8に由来し;そのようなベクターはAAV2/8ベクターと呼ばれる。より好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2のキャプシドタンパク質殻を含み、前記ベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型9に由来し;そのようなベクターはAAV2/9ベクターと呼ばれる。より好ましくは、本発明による組換えAAVベクターは、AAV血清型2のキャプシドタンパク質殻を含み、前記ベクターに存在するAAVゲノムまたはITRは、AAV血清型2に由来し;そのようなベクターはAAV2/2ベクターと呼ばれる。選択の核酸配列によって表される本発明によるエクソン−イントロン−ガイドRNA−イントロン−エクソン配列を有する核酸分子は好ましくは、上記に特定されるAAVゲノムまたはITR配列、例えば、コード配列および3’終止配列に作動可能に連結された発現調節エレメントを含む発現構築物間に挿入される。「AAVヘルパー機能」とは一般的に、トランスでAAVベクターに供給される、AAV複製およびパッケージングに必要とされる対応するAAV機能を指す。AAVヘルパー機能は、AAVベクターで失われているAAV機能を補足するが、それらは、AAV ITR(AAVベクターゲノムによって提供される)を欠く。AAVヘルパー機能は、AAVの2つの主要なORF、つまり、repコード領域およびcapコード領域またはそれらの機能的な実質的に同一の配列を含む。RepおよびCap領域は、当該技術分野で周知である。AAVヘルパー機能は、プラスミドであり得るAAVヘルパー構築物で供給され得る。
ヘルパー構築物の宿主細胞への導入は、本明細書で特定されるAAVベクターに存在するAAVゲノムの導入前またはこれと同時に例えば、形質転換、トランスフェクションまたは形質導入によって起こり得る。したがって、本発明のAAVヘルパー構築物は、それらが、一方のAAVベクターのキャプシドタンパク質殻についての血清型と、他方の前記AAVベクター複製およびパッケージングに存在するAAVゲノムについての血清型との所望の組合せを産生するように選択され得る。「AAVヘルパーウイルス」は、AAV複製およびパッケージングに必要な追加の機能を提供する。
好適なAAVヘルパーウイルスは、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(例としてHSV1および2型)およびワクシニアウイルスを含む。また、ヘルパーウイルスによって提供される追加の機能は、米国特許第6531456号明細書で説明される通り、ベクターにより宿主細胞に導入され得る。好ましくは、本発明による組換えAAVベクターに存在するAAVゲノムは、ウイルスタンパク質をコードする任意のヌクレオチド配列、例としてAAVのrep(複製)またはcap(キャプシド)遺伝子を含まない。AAVゲノムは、当該技術分野で公知のマーカーまたはレポーター遺伝子、例として、例えば抗生物質抵抗性遺伝子、蛍光タンパク質をコードする遺伝子(例えばgfp)、または化学的、酵素的または別の方法で検出可能および/または選択可能な生成物をコードする遺伝子(例えばlacZ、aph等)をさらに含み得る。本発明による好ましいAAVベクターは、AAVベクター、好ましくはAAV2/5、AAV2/8、AAV2/9またはAAV2/2ベクターである。
本明細書で使用される用語の定義
「アデニン」、「グアニン」、「シトシン」、「チミン」、「ウラシル」および「ヒポキサンチン」(イノシンの核酸塩基)という用語は、本明細書で使用されるとき、その語の通りの核酸塩基を指す。
「アデノシン」、「グアノシン」、「シチジン」、「チミジン」、「ウリジン」、「シュードウリジン」および「イノシン」という用語は、(デオキシ)リボシル糖に連結した核酸塩基を指す。
「ヌクレオシド」という用語は、(デオキシ)リボシル糖に連結した核酸塩基を指す。
「ヌクレオチド」という用語は、各々の核酸塩基−(デオキシ)リボシル−ホスホリンカー、およびリボース部分またはホスホ基の任意の化学修飾を指す。したがって、この用語は、ロックドリボシル部分(当該技術分野で周知の、メチレン基または他の任意の基を含む2’−4’架橋を含む)を含むヌクレオチド;ホスホジエステル、ホスホトリエステル、ホスホロ(ジ)チオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデートリンカー等を含むリンカーを含むヌクレオチドを含み得る。
ときには、アデノシンおよびアデニン、グアノシンおよびグアニン、シトシンおよびシチジン、ウラシルおよびウリジン、チミンおよびチミジン、イノシンおよびヒポキサンチンという用語は、互換的に使用されて、対応する核酸塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを指す。シュードウリジンは多くの場合、ψまたは5−リボシルウラシルと呼ばれる。
ときには、核酸塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドという用語は、文脈が明らかに異なって要求しない限り、互換的に使用される。「リボヌクレオシド」および「デオキシリボヌクレオシド」または「リボース」および「デオキシリボース」という用語は、当該技術分野で使用される通りである。
「オリゴヌクレオチド」について言及がなされるときは常に、文脈が別に規定しない限り、オリゴリボヌクレオチドおよびデオキシオリゴリボヌクレオチドの両方を意味する。「オリゴリボヌクレオチド」について言及がなされるときは常に、それは、塩基A、G、C、UまたはIを含み得る。「デオキシオリゴリボヌクレオチド」について言及がなされるときは常に、それは、塩基A、G、C、TまたはIを含み得る。好ましい態様では、本発明のEONは、化学修飾を含み得るオリゴリボヌクレオチドであり、ある特定の位置においてデオキシヌクレオチド(DNA)を含み得る。
シトシン等のオリゴヌクレオチドのヌクレオチドについて言及がなされるときは常に、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、ピロロシチジンおよびβ−D−グルコシル−5−ヒドロキシ−メチルシトシンが含まれ;アデニンについて言及がなされる場合、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、3−デアザアデノシン、7−デアザアデノシン、8−アジドアデノシン、8−メチルアデノシン、7−アミノメチル−7−デアザグアノシン、7−デアザグアノシン、N6−メチルアデニンおよび7−メチルアデニンが含まれ;ウラシルについて言及がなされる場合、5−メトキシウラシル、5−メチルウラシル、ジヒドロウラシル、シュードウラシルおよびチエノウラシル、ジヒドロウラシル、4−チオウラシルならびに5−ヒドロキシメチルウラシルが含まれ;グアノシンについて言及がなされる場合、7−メチルグアノシン、8−アザ−7−デアザグアノシン、チエノグアノシンおよび1−メチルグアノシンが含まれる。
ヌクレオシドまたはヌクレオチドについて言及がなされる場合、リボフラノース誘導体、例として2’−デオキシ、2’−ヒドロキシおよび2’−O−置換バリアント、例として2’−O−メチル(2’−OMe)、ならびに2’−4’架橋バリアントを含む他の修飾が含まれる。
オリゴヌクレオチドについて言及がなされるときは常に、2つのモノヌクレオチド間の連結は、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、ホスホロ(ジ)チオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデートリンカー等を含む、ホスホジエステル連結およびその改変であり得る。
「〜を含む(comprising)」という用語は、「〜を含む(including)」および「〜からなる(consisting)」を包含し、例えば、「Xを含む(comprising X)」組成物は、排他的にXからなってもよく、何か追加のもの、例えばX+Yを含んでもよい。
数値xに関する「約」という用語は、任意選択であり、例えばx±10%を意味する。
「実質的に」という語は、「完全に」を除外せず、例えば、「実質的にYを含まない」組成物は、完全にYを含まない場合がある。関連する場合、「実質的に」という語は、本発明の定義から省略され得る。
「相補的」という用語は、本明細書で使用されるとき、本発明による核酸分子が、生理学的条件下で標的RNA配列および/またはとりわけ、ヘアピン構造内のそれ自体の内部配列にハイブリダイズするという事実を指す。この用語は、核酸分子のどのヌクレオチドも、標的配列の、またはヘアピン構造内のその反対側のヌクレオチドと完全な対形成を有することを意味しない。換言すれば、本発明による核酸分子は標的配列に相補的であり得るが、細胞酵素が標的ウリジンをψに変換することができるような、核酸分子が標的配列になおもハイブリダイズする生理学的条件下において、本発明の核酸分子と標的配列との間にはミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジが存在する場合がある。それゆえまた、「実質的に相補的な」という用語は、ミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジの存在にもかかわらず、本発明による核酸分子が、生理学的条件下で核酸分子が標的RNAにハイブリダイズする、標的配列と十分に適合するヌクレオチドを有することを意味する。本明細書で示される通り、核酸分子は標的配列と相補的であり得るが、また、生理学的条件下で本発明の核酸分子がその標的にハイブリダイズすることができる限り、標的配列との1つまたは複数のミスマッチ、ゆらぎおよび/またはバルジを含み得る。
核酸配列に関する「下流」という用語は、3’方向の配列に沿った先を意味し;「上流」という用語は、逆を意味する。したがって、ポリペプチドをコードする任意の配列では、開始コドンは、センス鎖において終止コドンの上流にあるが、アンチセンス鎖においては終止コドンの下流にある。
「ハイブリダイゼーション」についての言及は典型的に、特異的ハイブリダイゼーションを指し、非特異的ハイブリダイゼーションを除外する。特異的ハイブリダイゼーションは、プローブおよび標的が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する、プローブと標的との間の多数の安定な相互作用が存在することを確実にするために、当該技術分野で周知の技術を使用して、選択される実験条件下で起こり得る。
「ミスマッチ」という用語は、ワトソン・クリック塩基対形成規則に従う完全な塩基対を形成しない二本鎖RNA複合体における対向するヌクレオチドを指すために本明細書で使用される。ミスマッチヌクレオチドは、G−A、C−A、U−C、A−A、G−G、C−C、U−U対である。一部の実施形態では、本発明による核酸分子は、4つよりも少ないミスマッチ、例えば0、1または2つのミスマッチを含む。ゆらぎ塩基対は、G−U、I−U、I−AおよびI−C塩基対である。
「スプライス変異」という用語は、スプライシング機構が、プレmRNAからのイントロンの除去が妨害されているという意味で機能障害性であり、異常なスプライシングのために、機能障害性タンパク質の形成またはタンパク質の非存在のいずれかによって、例えば完全に機能的なタンパク質の翻訳が妨げられている、プレmRNAをコードする遺伝子における変異に関する。本明細書で説明される通り、多くの場合、そのような機能障害性タンパク質は、迅速に分解され、任意の機能活性を有さず、異常にスプライシングされたmRNAもまた迅速に分解され得る。好ましい態様では、本発明の核酸分子によって、および本発明の方法を通してターゲティングされるスプライス変異は、ヒトCFTR遺伝子に存在する。当業者は、正常なスプライシングが回復したかどうかを決定するための方法を知っている。
本発明による遊離(またはネイキッド)psEONは、例えば、ヌクレオチドに2’−O−メチル化糖部分(2’−OMe)および/または2’−O−メトキシエチル糖部分(2’−MOE)を提供することによって、ほとんどその全体を化学修飾してもよい。
本発明に従って容易に使用することができる様々な化学および修飾は、オリゴヌクレオチドの分野において公知である。ヌクレオチド間の規則的なヌクレオシド間連結は、ホスホジエステル結合のモノまたはジチオエート化によって変更されて、それぞれ、ホスホロチオエートエステルまたはホスホロジチオエートエステルを産出し得る。アミド化およびペプチドリンカーを含むヌクレオシド間連結の他の修飾は可能である。好ましい態様では、本発明のpsEONは、psEONの最も末端のヌクレオチド間に(それゆえ、好ましくは5’および3’末端の両方に)1、2、3、4、5、6つまたはそれよりも多いホスホロチオエート連結を有し、このことは、3つのホスホロチオエート連結の場合、したがって最終的な4つのヌクレオチドが連結されることを意味する。標的配列によって、または毒性等の他の態様に基づいて、そのような連結の数は、各末端で変動し得ることが当業者によって理解される。しかしながら、psEONが、その末端の7つのヌクレオチドの任意の位置の間に1つまたは複数のPS連結を含むことが本発明の態様である。
リボース糖は、2’−O部分の低級アルキル(2’−OMe等のC1〜4)、アルケニル(C2〜4)、アルキニル(C2〜4)、メトキシエチル(2’−メトキシエトキシ;または2’−O−メトキシエチル;または2’−MOE)または他の置換基による置換によって修飾され得る。2’OH基の好ましい置換基は、メチル、メトキシエチルまたは3,3’−ジメチルアリル基である。後者は、ハイブリダイゼーション効率を改善する一方で、その嵩高さのためにヌクレアーゼ感受性を阻害するその特性について公知である。あるいは、リボース環内の2’−4’分子内架橋(通常、2’酸素と4’炭素との間のメチレン架橋)連結を含むロックド核酸(LNA:locked nucleic acid)配列が適用され得る。プリン核酸塩基および/またはピリミジン核酸塩基は、例えば、複素環のアミノ化または脱アミノ化によって、それらの特性を変更するために修飾され得る。本発明のpsEONに存在し得る他の修飾は、2’−F修飾糖、BNAおよびcEtである。正確な化学および形式は、オリゴヌクレオチド構築物毎、および適用毎に依存する場合があり、当業者の希望および好みに従って成し遂げられ得る。
好ましい態様において、本発明のpsEONは、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79または80ヌクレオチドを含む。
本発明のpsEONの化学修飾の例は、糖(リボース)部分内の架橋連結置換基(例えば、LNAまたはロックド核酸、BNA、cEt等において)によるもの、2’−O原子の上記に特定される長さを有するアルキル(例えば2’−O−メチル)、アルキニル(2’−O−アルキニル)、アルケニル(2’−O−アルケニル)、アルコキシアルキル(例えば2’−O−メトキシエチル、2’−MOE)基による置換によるもの等を含む、糖部分の修飾である。本発明に関して、また、糖「修飾」は、2’デオキシリボース(DNAにおいて)を含む。加えて、骨格のホスホジエステル基は、チオエート化、ジチオエート化、アミド化等によって修飾して、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミデート等のヌクレオシド間連結を産出してもよい。ヌクレオシド間連結は、ペプチド連結によって全てまたは部分で置換して、ペプチド核酸配列等で産出してもよい。あるいは、または加えて、核酸塩基は、(脱)アミノ化によって修飾して、イノシンまたは2’6’−ジアミノプリン等を産出してもよい。さらなる修飾は、CpG配列と関連付けられることが公知の潜在的免疫原性特性を低減するための、ヌクレオチドのシチジン部分のC5のメチル化であり得る。
細胞に内在するシュードウリジン化の実体を動員および再方向付けする程度は、snoRNAの投与および投与レジメンによって調節され得る。これは、通常フェーズIおよび/またはフェーズII臨床治験において、実験者(in vitro)または臨床医によって決定されるべきものである。
本発明は、真核生物、好ましくは後生動物、より好ましくは哺乳動物細胞における標的RNA配列の改変に関する。原理的には、本発明は、任意の哺乳動物種からの細胞で使用することができるが、それは好ましくはヒト細胞で使用される。本発明は、任意の器官、例えば皮膚、肺、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、消化管、筋肉、腺、眼、脳、血液等からの細胞で使用することができる。本発明は、例えばヒト対象がCFを患っている場合、対象(ヒト)の疾患状態に関係付けられる細胞、組織または器官において配列を改変するために特に好適である。そのような細胞は、肺の上皮細胞を含むが、これに限定されない。細胞は、in vitroまたはin vivoで位置することができる。本発明の1つの利点は、それが、生物においてin situで細胞にて使用することができるが、それは、培養中の細胞でも使用することができることである。一部の実施形態では、細胞は、ex vivoで処理され、その後、生物に導入される(例えばそれらが元々由来する生物に再導入される)。また、本発明は、いわゆるオルガノイド内の細胞の標的RNA配列を編集するために使用することができる。オルガノイドは、三次元in vitro由来組織と考えることができるが、個々の単離された組織を生成するために特定の条件を使用して駆動される(例えば、Lancaster and Knoblich. 2014, Science 345 (6194):1247125を参照のこと)。治療環境において、それらは患者の細胞からin vitroで派生させることができるので、それらは有用であり、その後、オルガノイドは、通常の移植よりも拒絶されことが少ないようである自家材料として患者に再導入され得る。処置されるべき細胞は一般的に、遺伝性変異を有する。変異は、ヘテロ接合でも、ホモ接合でもよい。本発明は典型的に、点変異を改変するために使用される。
本発明は、編集されるべき部位をターゲティングし、細胞に内在するRNA編集実体を動員して編集反応(複数可)をもたらすことができるオリゴヌクレオチドの使用を通して、真核細胞の標的RNA配列において変化を作出するために使用される。標的RNA配列は、点変異(転移または塩基転換)等の修正または変更することを希望され得る変異を含み得る。標的RNAは、任意の細胞またはウイルスRNA配列であり得るが、より通常にはタンパク質コード機能を有するプレmRNAまたはmRNAである。標的配列は、真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞に内因的である。
投与されるべき核酸の量、投与量および投与レジメンは、細胞種毎に、処置されるべき疾患、標的集団、投与様式(例えば体系対局所)、疾患の重症度および許容される副作用のレベルで変化し得るが、これらは、in vitro研究中、前臨床および臨床治験において、試行錯誤により評価することができ、かつ評価するべきである。試験は、改変した配列が容易に検出される表現型変化をもたらす場合、特に簡単である。より高い用量の核酸が細胞内の核酸編集実体への結合について競合し、それによって、シュードウリジン化に自由に参加する実体の量を枯渇させ得る可能性があるが、ルーチンの投与試験は、所与の核酸分子および所与の標的についての任意のそのような効果を明らかにする。
1つの好適な試験技術は、本発明による核酸分子を細胞抽出物、細胞株または試験生物に送達すること、およびその後、その後の様々な時点で生検試料を採取することを含む。標的RNAの配列は、生検試料において評価することができ、改変を有する細胞の割合は容易に追跡することができる。この試験を1回行った後は、知識を保持することができ、将来的な送達は生検試料を採取する必要なく行うことができる。したがって、本発明の方法は、細胞の標的RNA配列の所望の変化の存在を特定し、それによって、標的RNA配列が改変されていることを確証するステップを含み得る。変化は、タンパク質のレベル(長さ、糖鎖付加、機能その他)について、または例えば、標的RNA配列によってコードされるタンパク質がイオンチャネルである場合(誘導性)電流等の一部の機能的リードアウトによって、評価され得る。CFTR機能の場合、機能の回復または取得を評価するために、ヒトを含む哺乳動物においてチャンバーアッセイまたはNPD試験を使用することは、当業者に周知である。
シュードウリジン化が細胞内で起こった後、修飾されたRNAは、例えば細胞分裂、編集されたRNAの限定的な半減期等のために、経時的に希釈され得る。したがって、実際の治療期間では、本発明の方法は、患者に有形の利益を提供するためおよび/または経時的に利益を維持するために十分な標的RNAが修飾されるまでの、オリゴヌクレオチドの反復送達を含み得る。
本発明の核酸配列(オリゴヌクレオチド、修飾snoRNA;psEON;エクソン−イントロン−エクソン配列を有する本明細書で説明されるベクター等のベクター、pol−IIまたはpol−III駆動発現構築物)は、治療的使用に特に好適であり、そのため、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドまたは担体ベクターおよび薬学的に許容される担体または溶媒を含む医薬組成物を提供する。本発明の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体または溶媒は、単純に生理食塩水であり得る。これは、特に肺送達のために、有用に等張性または低張性であり得る。また、本発明は、本発明の医薬組成物を含む送達デバイス(例えばシリンジ、吸入器、噴霧器)を提供する。
また、本発明は、本明細書で説明される通り、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞において標的RNA配列における変化を作出するための方法における使用のための本発明のオリゴヌクレオチドを提供する。同様に、本発明は、本明細書で説明される通り、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞において標的RNA配列における変化を作出するための医薬の製造における本発明のオリゴヌクレオチドまたは発現構築物またはベクター等の核酸分子の使用を提供する。
また、本発明は、細胞における標的RNA配列に存在する少なくとも1つの特異的標的ウリジンのシュードウリジン化のための方法であって、細胞に本発明による核酸分子を提供するステップと、細胞による核酸分子(または核酸分子をコードする配列を有するベクター)の取り込みを可能にするステップと、核酸分子の標的RNA配列へのアニーリングを可能にするステップと、組み込まれた導入されたガイドRNAとのシュードウリジン化コンピテントRNPの形成を可能にして標的RNA配列の標的ウリジンをψにシュードウリジン化するステップと、任意選択でRNA配列におけるψの存在を特定するステップとを含む方法に関する。核酸分子(例えばpsEON)は、それ自体、製造および送達され得るが、また、それは、本明細書で開示される通り、イントロン配列に埋め込まれていてもよく、それはそこから細胞においてスプライスアウトされて、シュードウリジン化において機能する。
本発明による核酸分子の細胞への導入は、当業者に公知の一般的方法によって行われる。シュードウリジン化後、効果(標的RNA配列の変更)のリードアウトは、様々な方法を通してモニターすることができる。それゆえ、標的ウリジンの所望のシュードウリジン化が実際に起こったかどうかを特定するステップは一般的に、標的RNA配列の標的ウリジンの位置、およびウリジンの存在によって受ける効果(点変異、PTC)に依存する。それゆえ、好ましい態様では、Uのψへの変換の最終的な効果に依存して、特定ステップは、機能的、延長、全長および/または野生型タンパク質の存在を評価すること;プレmRNAのスプライシングがシュードウリジン化によって変更されたかどうかを評価すること;または機能的リードアウトを使用することであって、シュードウリジン化後の標的RNAが、機能的、全長、延長および/または野生型タンパク質をコードする、使用することを含む。本明細書で挙げられる疾患の各々についての機能的評価は一般的に、当業者に公知の方法による。
本発明によるシュードウリジン化編集オリゴヌクレオチド(psEON)発現構築物またはベクター等の核酸分子は、1ng/ml〜1g/ml、好ましくは10ng/ml〜500mg/ml、より好ましくは100ng/ml〜100mg/mlの範囲の濃度で、薬学的使用に適合性の、任意選択で添加物、賦形剤および他の成分を含む、水溶液、例えば食塩水にて、または懸濁液にて好適に投与される。投与量は、約1μg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約10mg/kg、より好ましくは約100μg/kg〜約1mg/kgに好適に及び得る。投与は、吸入によって(例えば噴霧を通して)、鼻内、経口、注射または点滴によって、静脈内、皮下、皮内、頭蓋内、硝子体内、筋内、気管内、腹腔内、直腸内等であり得る。投与は、固形で、粉末、ピルの形態で、またはヒトにおける薬学的使用と適合性の他の任意の形態であり得る。本発明は、CF等の遺伝性疾患を処置するために特に好適である。
一部の実施形態では、psEON、発現構築物またはベクター等の核酸分子は、体系的に送達することができるが、オリゴヌクレオチドを、標的配列の表現型が見られる細胞に送達することがより典型的である。例えば、CFTRにおける変異は、主に肺上皮組織で見られるCFを引き起こし、そのため、CFTR標的配列については、オリゴヌクレオチド構築物を肺に特異的および直接的に送達することが好ましい。これは、典型的に噴霧器の使用により、例えば粉末またはエアロゾルの、吸入によって便利に達成され得る。PARI eFlow(Rapid)またはRespironicsからのi−nebを含むいわゆる振動メッシュを使用する噴霧器は、とりわけ好ましい。また、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物の吸入送達はこれらの細胞を効率的にターゲティングし得ることが期待されるものであり、CFTR遺伝子の場合、ターゲティングは、これもまたCFと関連付けられる胃腸症状の改善をもたらし得る。一部の疾患では、粘液層が厚さの増大を示し、肺による医薬の吸収の減少を引き起こす。1つのそのような疾患は慢性気管支炎であり、別の例はCFである。DNA分解酵素、高張食塩水、またはBronchitolの名称で市販されているマンニトール等の様々な粘液正常化剤が使用可能である。本発明によるpsEON構築物等のシュードウリジン化オリゴヌクレオチド構築物と組み合わせて粘液正常化剤が使用される場合、それらは、それらの医薬の有効性を増大し得る。したがって、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物の対象、好ましくはヒト対象への投与は好ましくは、粘液正常化剤、好ましくは本明細書で説明される粘液正常化剤と組み合わせられる。加えて、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物の投与は、CFの処置のための小分子、例として増強化合物、例えばKalydeco(アイバカフトール;VX−770)、または修正化合物、例えばVX−809(ルマカフトール)および/またはVX−661の投与と組み合わせてもよい。あるいは、または粘液正常化剤と組み合わせて、シュードウリジン化分子の例えば肺および腸の上皮細胞への効率的な送達のために、粘液穿通性粒子またはナノ粒子での送達を適用してもよい。したがって、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物の対象、好ましくはヒト対象への投与は好ましくは、粘液穿通性粒子またはナノ粒子での送達を使用する。慢性および急性肺感染は多くの場合、嚢胞性線維症等の疾患を有する患者において存在する。抗生物質処置は、細菌感染、および粘液肥厚化および/またはバイオフィルム形成等のそれらの症状を低減する。本発明によるオリゴヌクレオチド構築物との組合せの抗生物質の使用は、標的細胞のオリゴヌクレオチド構築物へのより容易なアクセスのためにシュードウリジン化の有効性を増大し得る。したがって、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物の対象、好ましくはヒト対象への投与は好ましくは、細菌感染、および粘液肥厚化および/またはバイオフィルム形成等のそれらの症状を低減するための抗生物質処置と組み合わせられる。抗生物質は、体系的もしくは局所的に、またはその両方で投与することができる。CF患者における適用のために、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物、または包装または複合体化された本発明によるオリゴヌクレオチド構築物は、任意の粘液正常化剤、例としてDNA分解酵素、マンニトール、高張食塩水および/もしくは抗生物質ならびに/またはCFの処置のための小分子、例として増強化合物、例えばアイバカフトール、または修正化合物、例えばルマカフトールおよび/またはVX−661と組み合わせてもよい。標的細胞へのアクセスを増大させるために、本発明によるオリゴヌクレオチドの投与前に気管支肺胞洗浄(BAL:Broncho−Alveolar Lavage)を適用して肺を浄化してもよい。
[実施例1]
ACA19標的RNAの特定のウリジンのψへの変換のための、核小体低分子RNA(snoRNA)の構造に由来するシュードウリジン化ガイドオリゴヌクレオチドの設計
本発明の発明者らは、短鎖化box H/ACA snoRNAを使用してシュードウリジン化を誘導することが可能であり得るかどうかを知ろうとした。このために、全長ACA19 snoRNAの5’ヘアピン、およびH boxのほとんどが除去されたシュードウリジン化ガイドRNAを設計した(図4)。T7 RNAポリメラーゼを使用するin vitro転写によって、短鎖化ガイドRNAおよび全長snoRNAを産生した。細胞溶解物における試験のために、T7 RNAポリメラーゼを使用するin vitro転写([α−32P]UTPの存在下で)によって、または2ピースライゲーションによって、これらのガイドについての短鎖基質RNAを産生した。後者については、最初に、5’末端においてシュードウリジン化されるべきウリジンで終結する合成RNAオリゴヌクレオチドを、T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して[γ−32P]リン酸により5’ヒドロキシル基で放射性標識した。その後、放射性標識RNAオリゴヌクレオチドを、その5’末端で別のRNAオリゴヌクレオチドの3’ヒドロキシル基にライゲートして、基質RNAを形成した。架橋DNAオリゴの5’半分(15nt)が3’RNA断片と塩基対形成し、架橋DNAオリゴの3’半分(15nt)が5’RNA断片と塩基対形成するように、RNAオリゴヌクレオチドを30ntの架橋DNAオリゴヌクレオチドとアニーリングし、その後、それらにT4 DNAリガーゼを提供してRNAオリゴヌクレオチドを共有連結することによって、これを行った。その後、ライゲートした放射性標識RNA基質は、5’−AGGGGAACCCCACAGCGAACCAAAACAAA−3’(配列番号1)の配列を有し、ここで、標的ウリジン(その5’側に放射性リン酸を含有する)に下線を引いた。その後、この基質RNAを分離し、変性ポリアクリルアミドゲルからそれを切除し、ゲルからそれを溶離し、最後にエタノール沈殿によってそれを濃縮することによって、この基質RNAを他の核酸から精製した。
シュードウリジン化を試験するための細胞溶解物を調製するために、HeLa細胞を、標準10cm細胞培養皿で10%FBSを含むDMEM中にて、80〜100%コンフルエントまで増殖させ、その後、それらをスクレーピングにより収集し、リン酸緩衝食塩水で洗浄した。その後、200μlの抽出緩衝液(25%グリセロール、0.42M NaCl、1.5mM MgCl、0.2mM EDTA、20mM HEPES(pH7.9)、0.5mM DTTおよび0.5mMフェニルメタンスルホニルフルオリド)を細胞に添加し、その後、それを滅菌ガラスビーズの存在下で30秒間3回ボルテックスし、その度に氷上での30秒間のインキュベーションを伴った。遠心分離によって細胞片を除去し、上清を収集して、シュードウリジン化アッセイにおいて使用した。
シュードウリジン化アッセイのために、200mM Tris−HCl、pH8.0、200mM酢酸アンモニウム、10mM MgCl、4mM DTTおよび0.2mM EDTAを含有するインキュベーション緩衝液を、200ngの全長H/ACA snoRNAまたは短鎖化ガイドRNA、相対的放射活性(5000カウント毎分)による基質RNA、250ng酵母tRNAおよびHeLa細胞抽出物(最終濃度20%)で補充して、混合し、37℃で40分間インキュベートした。その後、フェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈殿によって、反応からRNAを単離した。その後、RNAを、20mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.2中のP1ヌクレアーゼ(約300ng)と37℃で1時間インキュベートしてRNAを分解し、個々のヌクレオチドを放出した。その後、薄層クロマトグラフィー(イソプロピルアルコール:HCl:水について、それぞれ、溶媒体積比70:15:15)によってこれらを分離し、その後、オートラジオグラフィーによって放射活性ヌクレオチドを画像化した。標識ウリジンおよびシュードウリジン由来物の異なる移動のために、標識基質ウリジンのシュードウリジンへの変換は、全長H/ACA snoRNAおよび短鎖化ガイドRNAの両方で明確に観察することができる。図5は、短鎖化シュードウリジン化ガイドオリゴヌクレオチドが使用された場合、シュードウリジン化の効率は全長型ガイドRNAで見られる効率に少なくとも匹敵することを示す。
その後、短鎖化ACA19ガイドRNAにおいて施された化学修飾が、標的RNAエンゲージメントおよび触媒活性シュードウリジン化複合体の形成と適合性であり得るかどうかを調査した。化学修飾の位置を、本明細書で説明される通りに選択した。使用した基質RNAおよび実験アッセイは、全長H/ACA snoRNAまたは短鎖化ガイドRNAの上記の比較についてと同じであった。図6は、4つのACA19シュードウリジン化編集オリゴヌクレオチド(psEON)および導入された化学修飾の位置を示し、黒色の点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白色の点は、2つのリボース間の連結のPS修飾を示す。図7は、4つのACA19 psEONを使用したシュードウリジン化の結果を、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照としてのガイドRNAなしと並行して示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。明らかに、化学修飾psEONは、ウリジンのシュードウリジンへの変換を支持することができ、第1のpsEONは、陽性対照と比較してかなり強いシュードウリジン化シグナルをさらに与える。向上した効果は、酵素活性複合体内のpsEONの化学修飾の特異的相互作用のため、または細胞溶解物におけるヌクレアーゼへの抵抗性の増大等の他の効果のためである場合があり、それらのそれぞれは、シュードウリジン化効率および/または速度に寄与し得る。
[実施例2]
ヒトCFTRの中途終止コドンの特定のウリジンの変換のためのpsEONの設計
ヒトCFTR遺伝子の中途終止コドン(PTC)のウリジンがψに変換され得るかどうかを調査した。例として、CFTR−G542X変異を選択した。これを試験する手技は、実施例1で説明される通りであった。
基質RNAを実施例1と同様に構築し(2ピースライゲーション)、最終標的配列は、5’−GACAAUAUAGUUCUUGAGAAGGUGGAAUC−3’(標識した標的ウリジンに下線;配列番号2)であった。
図8は、4つCFTR−G542X psEONおよび導入された化学修飾の位置を示し、黒色の点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白色の点は、2つのリボース間の結合のPS修飾を示す。図9は、4つのCFTR−G542X psEONを使用したシュードウリジン化の結果を、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照としてのガイドRNAなしと並行して示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。結果は、4つのpsEONのうちの3つが、陽性対照よりも優れていることを明らかに示し、示される位置における化学修飾が哺乳動物細胞溶解物におけるシュードウリジン化の速度および/または効率を増大することを再び示した。
[実施例3]
マウスIdua RNAの中途終止コドンの特定のウリジンの変換のためのsnoRNAの設計
マウスIdua RNAのPTCのウリジンがψに変換され得るかどうかを調査した。例として、ハーラー症候群を引き起こすことが公知のヒトIDUA W402X変異に対応する、マウスRNAのIdua−W392X変異を選択した。このために、基質RNAを実施例1と同様に構築し(2ピースライゲーション)、最終配列は、5’−GAUGGAGAACAACUCAGGCAGAGGUCUCA−3’(標識した標的ウリジンに下線;配列番号3)であった。
図10は、4つのIdua−W392X psEONおよび導入された化学修飾の位置を示し、黒色の点は、そのヌクレオチドのリボース部分の2’−OMe修飾を示し、白色の点は、2つのリボース間の連結のPS修飾を示す。図11は、4つのIdua−W392X psEONを使用したシュードウリジン化の結果を、陽性対照としての対応するガイドRNA(化学修飾を欠く)および陰性対照としてのガイドRNAなしと並行して示す。Uおよびψは、それぞれ、薄層クロマトグラフィーにおけるウリジンおよびシュードウリジンの移動を示す。ここで、陰性対照の強度は、シュードウリジン化反応後の沈殿ステップ中の試料の損失のために非常に低い。それにもかかわらず、結果は、全てのpsEONが、ウリジンのシュードウリジンへの変換を支持することができ、陽性対照よりもさらに優れていることを明らかに示し、示される位置における化学修飾が哺乳動物細胞溶解物におけるシュードウリジン化の速度および/または効率を増大することを再び示した。
[実施例4]
イントロンに埋め込まれたガイドRNAを使用した、中途終止コドン含有ベクターのターゲティングされたシュードウリジン化
エクソン1/イントロン−ガイドRNA−イントロン/エクソン2構築物「pugIntron−IDUA」および「pugIntronOpt−IDUA」のクローニング:
pugIntron−IDUAプラスミド構築物を、元の骨格pdRLuc−Glに基づき(Woeller et al. 2008. EMBO Reports 9(5):446-451)、AgilentのPfuUltra II融合HS DNAポリメラーゼを使用して、PCR増幅および部位特異的変異誘発によって生成した。最初に、制限酵素部位SalIおよびPstIを親pdRLuc−Glベクターのヒトβ−グロビンの第1のイントロンに挿入することによって、pugIntronプラスミドを生成した。以下のプライマー:SDM1−GLintron1−Sal−Pst:5’−GTAAGTCGACGAATTCTGCAGGCTGCTGGTGG−3’(配列番号13)およびSDM2−GLintron1−Sal−Pst:5’−GCCTGCAGAATTCGTCGACTTACCTGCCCAGG−3’(配列番号14)を使用した。その後、ガイドRNAを、以下のSalI/PstI含有プライマー(スプライシングのための余分のPyリッチ配列もまた含まれた):pug−intron−FwdSalI:5’−GTTGTCGACGTGGGAGATTCT−3’(配列番号15)およびpug−intron−RevExPstI:5’−AATCTGCAGGGGAAAAGAGAGAGTCAACCTGTCTGCCTCGT−3’(配列番号16)を使用してPCRによって生成した。最初に、PstI制限酵素部位の下流であるが、それでもイントロン領域内に位置するHindIII部位を使用して、親ベクターのSalI−HindIII断片を中間ベクター(pEGFP−C3)に貼り付けた。その後、SalI−PstIで消化したガイドRNA PCR産物を、この中間ベクターに挿入した。最後に、SalI−HindIII断片をpugIntron発現親ベクターにクローニングし戻した。図12Aは、上流CMVプロモーター、エクソン1(E1)およびエクソン2(E2)ならびにイントロン部分にpugIntron−IDUAインサートを有する構築物を示し、SalIおよびPstI部位を示す。図13は、全pugIntron−IDUAプラスミドの配列(配列番号11)を示す。フォワードプライマーとしてpug−intron−FwdSalI(上記を参照のこと)およびリバースプライマーとして以下のプライマー(3’スプライス部位において追加の5’−AC−3’配列を創出する、pug−intron−RevExPstIリバースプライマーと比較して追加の2つのヌクレオチド(上記を参照のこと)に下線を引いた):pug−intronOPT−RevExPstI:5’−AATCTGCAGGGGAAAAGAGAGAGTCAGTACCTGTCTGCCTC−3’(配列番号21)を使用するPCRを行うことによって、この構築物のさらなる最適化型(より好適な3’スプライス部位配列を創出する)を作出した。上記に示されるクローニングステップを反復して、最適化プラスミドpugIntronOpt−IDUAを生成し、その全配列を配列番号22(配列番号11と比較して、イントロンのすぐ下流の追加の5’−AC−3’を含む)に示す。陰性対照pugCFTRは、pugIntronのPCR鋳型に使用したガイドRNAの原型であった。この構築物を、骨格がpugU2−34/44に由来する3つの重複DNAオリゴ(CFTRについて:pug−NBD1−F1HindIII 5’−ATTAAGCTTGT GTGGGAGATTCTTCTTCGGACAGAGAGAAACTCTGCTGTG−3’(配列番号27)、pug−NBD1−R1 5’−CTGCTGTGTCTGAAAGAAGATCTCCCTATAGTGACCCTGCCTTACCTTCTCCGGGACGAA−3’(配列番号28)およびpug−NBD1−R2BamHI 5’−ATGGATCCACCTGTCTGCCTCGTATTCTTCCGTTACGATTTCTCTCATTTCGTCCCGG−3’(配列番号29)、およびIDUAについて:pug−mmidua−F1HindIII 5’−ATTAAGCTTGTGTGGGAGATTCTGCCTCGGACAGAGAGAAACTCT GCTGTG−3’(配列番号30)、pug−mmidua−R1 5’−TTCGTCCCGGGGCAGAGAAGGCAGGGTCACTATAGGGAGATCAACTCTCAGACACAGCAG−3’(配列番号31)およびpug−mmidua−R2BamHI 5’−ATGGATCCACCTGTCTGCCTCgtaAACTCCCGTTACGATTTCTCTCATTTC GTCCCGG−3’(配列番号32)から作出した。その後、3ピースPCR産物を、HindIIIおよびBamHIで消化し、pcDNA3.1/Zeo(+)にクローニングした。
mmIDUA−W392X PTC変異を有するヒトβ−グロビン遺伝子を含む標的プラスミド「GL−IDUAスワップ」のクローニング:
シュードウリジン化の標的配列として、ヒトβ−グロビン遺伝子を発現する構築物を使用した(WTおよびTER;Woeller et al. 2008)。グロビンコドン39においてPTCを含有するプラスミドのTER型において、標的配列(ガイドRNAの基質である)を、PfuUltra II融合HS DNAポリメラーゼを使用する部位特異的変異誘発によって製造業者(Agilent technologies)のプロトコールに従って、CFTR−G542X変異(陰性対照標的プラスミドとして働く)およびmmIDUA−W392X変異(pugIntron−IDUAプラスミドの標的)により交換した。元のpFLAG2CMV2−HBB構築物の33ntナンセンス領域(位置−15〜PTC(3nt)〜位置+15)を33nt mmIDUA−W392X標的配列(図14において太字で示される)と交換するために、以下のプライマー:SDM−GL39−SWAPto−mmidua−1:5’−TGGTGGATGGAGAACAACTCTAGGCAGAGGTCTCAAAGTT TGGGGATCTGTCCACTCC−3’(配列番号17)およびSDM−GL39−SWAPto−mmidua−2:5’−CCAAACTTTGAGACCTCTGCCTAGAGTTGTT CTCCATCCACCAGCAGCCTAAGGGTGG−3’(配列番号18)を増幅に使用した。CFTR−G542X変異を含有する交換したプラスミド(GL−CFTRスワップ)の生成のために、以下のプライマー:SDM−GL39−SWAPto−NBD1−1 5’−TGGTGGACAATATAGTTCTTTGAGAAGGTGGAATCACATTTGGGGATCTGTCCACTCC−3’(配列番号33)およびSDM−GL39−SWAPto−NBD1−2 5’−CCAAATGTGATTCCACCTTCTC AAAGAACTATATTGTCCACCAGCAGCCTAAGGGTGG−3’(配列番号34)を使用した。
細胞培養およびトランスフェクションプロトコール:
HEK293TおよびHeLa細胞を、DMEM+10%FBS中で培養した。1mg/mLのストック溶液(pH7)としてのポリエチレンイミンHCl PEI MAX 40000(PolySciences)を使用して一過性トランスフェクションを行った。6ウェル皿で細胞を高コンフルエント(90〜100%)まで増殖させた。トランスフェクション溶液を調製するために、150μLのOpti−MEM(血清非含有)を、9μLのPEIストック溶液と混合し、得られた混合物を室温で5分間インキュベートした。この後、100ngの基質プラスミドDNA(野生型またはPTC含有)および2μgのガイドRNA発現プラスミドDNAを、上記に挙げたPEI/培地混合物に添加した。得られた溶液を室温で15分間インキュベートし、その後、混合物を各ウェルに直接添加した。
RT−PCR:
HEK293T細胞にGL39−IDUAスワップ基質プラスミドを、上記に示されるpugIntronOpt−IDUAガイド発現プラスミドを伴って、または伴わずにトランスフェクトした。TRIzol(商標)試薬(Invitrogen)を使用してトータルRNAを単離した。AMV逆転写酵素(Promega)により逆転写を行い、その後、RT産物を、GoTaq(登録商標)Green Master Mix(Promega)によるPCRによって15〜23サイクルを使用して増幅した。シュードウリジン化の標的mRNAを、以下のプライマー対:フォワードプライマー:RLuc−Gl ex1 S4:5’−TCTGCCGTTACTGCCCTGTG−3’(配列番号19)およびリバースプライマー:PE−mmiduaPTC+16:5’−CTTTGAGACCTCTGCC−3’(配列番号20)によるRT−PCRを使用して検出した。5S rRNAを以下のプライマー対:5SFwd:5’−GCCATACCACCCTGAACG−3’(配列番号23)および5SRev:5’−AGCTTCCGAGAT CAGACGAG−3’(配列番号24)により正規化目的のために検出した。ゲル電気泳動によってRT−PCR産物を分離し、Image Studio Lite(LI−COR)によって定量した。結果を図15に示し、HEK293T細胞にpugIntronOpt−IDUAプラスミド(ここではpugIntOptIDUA)を、標的プラスミドGL39−IDUAスワップ(ここではGL39IDUA)と共にトランスフェクトした場合、上記に示されるプライマーを使用したRT−PCR産物は、18サイクル後に検出することができた(矢印GL39により示される)が、15サイクル後ではまだ検出することができなかったことを示す。GL39−IDUAスワッププラスミドを、イントロン内保有ガイドRNA発現プラスミドを伴わずにトランスフェクトした場合、産物はほとんど検出することができなかった。このことは、GL39−IDUAスワッププラスミドからのmRNAの量は、ガイドRNAが導入されなかった場合よりもこれらの細胞において高かったことを示す。実際に、ガイド誘導RNAシュードウリジン化はNMDを抑制し、インタクトなmRNAレベルを37倍アップレギュレートした(レーン2で0.00437;レーン4で0.1617、5S対照によって正規化)。それゆえ、ガイドRNA(pugIntronOpt−IDUAプラスミドからの)は、リードスルーを与え、それによって、NMDを抑制することができること、およびシュードウリジン化が起こったことが結論付けられる。20〜23PCRサイクルを行った後に、および基質としてCFTR−G542X変異を有するプラスミドを使用し、ガイドRNA発現送達ベクターとしてpugIntCFTRを使用した場合、同様の結果が得られた(図19を参照のこと)。ここで、以下のプライマー:NBD1PSU−202Fwd:5’−CTGGAGCCTTCAGAGG−3’(配列番号35)およびNBD1PSU+40(491〜509)Rev:5’−GCTCTTGCTAAAGAAATTC−3’(配列番号36)を使用した。
ウェスタンブロットによる全長タンパク質の検出:
NMD抑制を決定するためのRNA抽出および次のRT−PCR(上記に示される)に使用したものと同じトランスフェクトしたHEK293T細胞を使用して、細胞全体溶解物を生成した。これらを、0.02%SDSを補充した500μL NET2緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.05%Nonidet(商標)P40)中に調製した。細胞溶解物を超音波処理(レベル2で10秒間)に供し、続いて遠心分離(17,000xg、4℃で20分間)して、細胞片を除去した。上清をトータルタンパク質として使用し、タンパク質分析に供した。抗DYKDDDDK磁気アガロース(Thermo Scientific)を使用して、異所的に発現したFLAGタグ付きタンパク質を、トータルタンパク質から免疫沈降した。プルダウンし、免疫沈降したタンパク質を15%SDS−PAGEで分離し、免疫ブロットし、抗体をSuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(Thermo Scientific)によって検出した。一次抗体としてのモノクローナル抗FLAG M2、クローンM2(F1804、SIGMA)および二次抗体としてのヤギ抗マウスIgG(H&L)[HRP]、pAb(A10093、Genscript)により、FLAGタグ付きタンパク質を検出した。正規化目的のためにチューブリンハウスキーピング遺伝子を検出した(一次抗体:チューブリン−ベータ、ウサギポリクローナル抗体#RB−9249−P0(Thermo Scientific);二次抗体:抗ウサギIgG、HRP連結抗体#7074S(Cell Signaling))。
結果を図16に示す。全長タンパク質FLAG−GL39−IDUAスワップの位置を、矢印によって示す。レーン1は、基質FLAG−GL39−IDUAスワッププラスミドのみをトランスフェクトしたHEK293T細胞を表す。レーン2は、基質FLAG−GL39−IDUAスワッププラスミド+ガイドRNA提供ベクターとしてのpugIntronOpt−IDUAプラスミドをトランスフェクトしたHEK293T細胞を表す。明らかに、FLAG−GL39−IDUA量の有意な増大があり、これは、基質プラスミドから転写されたRNAに存在するUAG終止コドンでシュードウリジン化が起こったこと、および翻訳中のリードスルーが起こったことを示す。これは、本発明の発明者らが、in vivoで、内因性(天然に存在する)RNA編集(シュードウリジン化)酵素を使用して、かつガイドRNAの天然環境:イントロン配列に由来するガイドRNAを有する細胞を提供した後、細胞において標的配列をシュードウリジン化することができたことを示す。
シュードウリジン化の検出
NMD抑制(RT−PCRを通して検出される、上記および図15を参照のこと)および全長FLAGタグ付きタンパク質の出現(ウェスタンブロットによって検出される、上記および図16を参照のこと)が、中途終止コドンを含有する標的プラスミドおよびシュードウリジン化のためのイントロン内保有ガイドRNAを使用することにより得られた実際のシュードウリジン化の結果であったことを確認するために、Adachi et al. (2019, Methods Mol Biol 1870:219-235)によって初期に説明されたCMC修飾プライマー伸長法を使用した。この多ステップ法は、シュードウリジン塩基を優先的に修飾する試薬、CMC(またはCMCT:N−シクロヘキシル−N’−(2−モルフォリノエチル)カルボジイミドメチル−p−トルエンスルホネート)を使用するシュードウリジン特異的アシル化に基づく。ウリジン、イノシンおよびグアノシン残基等の塩基もまた初期に誘導体化されるが、これらの誘導体化された塩基は、弱アルカリ処理ステップ後にそれらの天然の化学形態に加水分解し戻される一方で、シュードウリジンのみがアセチル化されたまま残るので、シュードウリジンを検出することが可能である。シュードウリジンの位置をマッピングする方法は、プライマー伸長反応を通してなされ、この反応では、シュードウリジン残基におけるCMCの嵩高さは、逆転写を封鎖し、CMC−シュードウリジン部位の1ヌクレオチド前にプライマー伸長についての終止を生成し得る。天然RT終止は、強い二次構造によって生成された人為的結果としても起こるので、これらを特定するために並行して陰性対照(CMC誘導体化を伴わない)を調べる。この試薬を、ヒト細胞のトランスクリプトームの全ての公知のシュードウリジン残基の位置をマッピングするために使用した(Carlile et al, 2014. Nature 515(7525):143-146)。このために、HEK293T細胞に、基質FLAG−GL39−IDUAスワッププラスミドを、pugIntron−IDUAプラスミドを伴って、またはpug−CFTR(CFTR特異的ガイドRNAは終止コドンのIDUA標的Uをシュードウリジン化することができないはずであるので陰性対照として働く)を伴って、トランスフェクトした。上記に説明される通りに、トータルRNAを抽出した。20μgのトータルRNAを、CMC処理、およびグロビン特異的プライマー:hGl193−209AS:5’−CCGAGCACTTTCTTGCC−3’(配列番号25)による後続のプライマー伸長に使用した。10μgのトータルRNAを、U6特異的プライマー:hU6−86−105AS:5’−AATATGGAACGCTTCACGAA−3’(配列番号26)によるU6 snRNA対照のプライマー伸長に使用した。結果を図17に示す。矢印は、ψ−CMC残基の存在のためにプライマー伸長が終止した産物の位置を示す。CMCで処理し、GL39−IDUAスワップ基質プラスミドおよびpugIntron−IDUAガイドRNA発現プラスミドをトランスフェクトした細胞のみで、これが起こった(パネルで拡大される)。GL−IDUAスワップを、陰性対照ガイドRNA発現pug−CFTRプラスミドと共にトランスフェクトした細胞からの試料では、バンドを検出することができなかった。プライマー伸長に使用したプライマーに関連するψ残基の位置は、正確に分かっている(92塩基)。これらの結果は、IDUA関連の中途終止コドンを有する標的プラスミドをトランスフェクトし、かつイントロン内に、イントロン配列からスプライスアウトされると基質配列をターゲティングすることができ、かつUAG終止コドンのUを特異的にシュードウリジン化することができるsnoRNAを有するプラスミドをコトランスフェクトしたHEK293T細胞において、シュードウリジン化が起こったことを明らかに実証する。
[実施例5]
イントロンに埋め込まれたガイドRNAおよびpsEONによる処理に際してのmRNAレベルの増大
実施例4で示されたことにさらに付け加えて、その後、本明細書で詳細に概略されるpsEONもまた、基質GL−IDUAスワッププラスミドを使用して細胞へのトランスフェクション後にシュードウリジン化を産出し得るかどうかを試験した。このために、HEK293T細胞に、6ウェル皿でPEIを使用して、90〜100%コンフルエントにて、500ngのGL−IDUAスワップ基質プラスミドおよび2.5μgのpugIntron−IDUAガイドRNA発現プラスミドをトランスフェクトするか、または100pmol Cy3−IDUA−A psEONオリゴヌクレオチドをトランスフェクトした。トランスフェクションの4日後、細胞を洗浄し、24時間インキュベートした。トータルRNAを説明される通りに単離し、RT−PCRを、全ての試料について21サイクル行ったことを除いては上記に概略される通りに行った。RT−PCR産物をゲル電気泳動によって分離した。結果を図18に示す。これらは、DNAをトランスフェクトしなかった場合(トランスフェクトされた基質プラスミドに加えての、プラスミドまたはpsEONなしを意味する)、5S対照は豊富であったが、GL39 RT−PCR産物は検出可能でなかったことを示す。しかしながら、pugIntron−IDUAガイドRNA発現プラスミドのコトランスフェクション後、およびまたCy3−iDUA−A psEONのコトランスフェクション後、産物は検出可能であり、mRNAのリードスルーが起こったこと、およびNMDが阻害されたことを示した。これは、本発明の発明者らが、イントロンに埋め込まれたガイドRNAを使用することによってのみならず、本発明の短鎖psEONによってもシュードウリジン化を得ることができたことを示す。
参照による組込み
本明細書で参照される特許および科学文献の各々の全開示は、全ての目的について参照により組み込む。
均等物
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実現され得る。それゆえ、上記実施形態は、本明細書で説明される本発明に対する限定ではなく、全ての点において例示であると考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく、附属の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲内に入る全ての変化は、本発明の範囲に包含されると意図される。

Claims (26)

  1. 哺乳動物細胞における標的RNAの標的ウリジンのシュードウリジン化のための核酸分子であって、前記核酸分子が、前記標的ウリジンを含む前記標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含み、前記部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージすることができ、前記ガイド領域が、前記部分的二本鎖核酸複合体において前記標的ウリジンを、それが前記哺乳動物シュードウリジン化酵素によってシュードウリジンに変換されるように位置させる補助となる、核酸分子。
  2. 前記シュードウリジン化酵素が、H/ACA−snoRNAに作用することができるリボ核タンパク質(RNP)複合体の一部である、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 野生型H/ACA snoRNAよりも短く、前記野生型H/ACA snoRNAと比較して非天然修飾された1つまたは複数のヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド間連結を含む、請求項1または2に記載の核酸分子。
  4. 前記野生型H/ACA snoRNAの2つのヘアピン構造のうちの1つ、好ましくは前記野生型H/ACA snoRNAの3’末端部分のヘアピン構造に対応する単一のガイド領域を含み、より好ましくは、5’末端ヌクレオチドが、前記野生型H/ACA snoRNAの前記2つのヘアピン構造間の領域からのヌクレオチドに対応する、請求項3に記載の核酸分子。
  5. 50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79または80ヌクレオチドからなる、請求項3または4に記載の核酸分子。
  6. 前記非天然修飾が、リボース部分の修飾を含み、好ましくは、糖部分の2’−OHが、置換されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の核酸分子。
  7. 前記置換が、2’−OMeまたは2’−MOEである、請求項6に記載の核酸分子。
  8. 1つまたは複数の非天然ヌクレオシド間連結、例としてホスホロチオエート連結を含む、請求項3〜7のいずれか一項に記載の核酸分子。
  9. 前記核酸分子がそこから発現されるイントロン配列に前記核酸分子が位置させられており、前記イントロン配列が、上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置する、請求項1に記載の核酸分子。
  10. 前記エクソンA/イントロン/エクソンB配列が、ベクター、好ましくはプラスミドまたはウイルスベクターに存在する、請求項9に記載の核酸分子。
  11. 前記エクソンA配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン1であり、前記エクソンB配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン2である、請求項9または10に記載の核酸分子。
  12. 実質的全長pugU2−34/44 snoRNAである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の核酸分子。
  13. ベクター、例としてプラスミドに存在し、CMVまたはpol−IIIプロモーター、好ましくはU6またはH1プロモーターから転写される、請求項1に記載の核酸分子。
  14. 前記ガイド領域が、遺伝性障害と関連付けられる変異を含む標的RNAと部分的二本鎖複合体を形成することができる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の核酸分子。
  15. 前記変異が、中途終止コドン(PTC)をもたらし、前記PTCが、前記遺伝性障害の原因であり、前記標的ウリジンが、前記PTCに存在する、請求項14に記載の核酸分子。
  16. 嚢胞性線維症、ハーラー症候群、アルファ−1−抗トリプシン(A1AT)欠損症、パーキンソン病、アルツハイマー病、白皮症、筋萎縮性側索硬化症、喘息、β−地中海貧血症、カダシル症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA)、デュシェンヌ/ベッカー筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性腺腫性ポリポーシス、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、炎症性腸疾患(IBD)、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィーIおよびII型、神経線維腫症、ニーマン・ピック病A、BおよびC型、NY−eso1関連がん、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患、プロトロンビンG20210A変異等のプロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症(常染色体優性の)、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群(SCID)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、伴性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群またはがんの処置、予防、遅延または改善における使用のための請求項1〜15のいずれか一項に記載の核酸分子。
  17. 標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、標的ウリジンを含む標的RNAをシュードウリジン化酵素またはRNP複合体の存在下で請求項1〜16のいずれか一項に記載の核酸分子と接触させるステップと、それによって、前記ウリジンの変換を可能にするステップとを含み、好ましくは、前記シュードウリジン化酵素またはRNP複合体が、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞に存在する、方法。
  18. 前記シュードウリジン化酵素またはRNP複合体が、前記哺乳動物細胞に天然に存在する、請求項17に記載の方法。
  19. 上流エクソンA配列と下流エクソンB配列との間に位置するイントロン配列を含むベクターであって、前記エクソンA配列および前記エクソンB配列が、前記イントロン配列にとって天然遺伝子ではない遺伝子のエクソン配列であり、前記イントロン配列が、標的ウリジンを含む標的RNAと部分的二本鎖核酸複合体を形成することができるガイド領域を含む核酸分子をコードするsnoRNA配列を含み、前記部分的二本鎖核酸複合体が、細胞において、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして、機能的RNP複合体を形成することができ、前記ガイド領域が、前記標的ウリジンを、それが前記RNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、前記標的ウリジンが、前記RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、ベクター。
  20. 前記snoRNAが、実質的全長pugU2−34/44 snoRNAである、請求項19に記載のベクター。
  21. 前記エクソンA配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン1であり、前記エクソンB配列が、ヒトβ−グロビン遺伝子のエクソン2である、請求項19または20に記載のベクター。
  22. プラスミドまたはウイルスベクターである、請求項19〜21のいずれか一項に記載のベクター。
  23. 嚢胞性線維症、ハーラー症候群、アルファ−1−抗トリプシン(A1AT)欠損症、パーキンソン病、アルツハイマー病、白皮症、筋萎縮性側索硬化症、喘息、β−地中海貧血症、カダシル症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA)、デュシェンヌ/ベッカー筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性腺腫性ポリポーシス、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、炎症性腸疾患(IBD)、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィーIおよびII型、神経線維腫症、ニーマン・ピック病A、BおよびC型、NY−eso1関連がん、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患、プロトロンビンG20210A変異等のプロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症(常染色体優性の)、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群(SCID)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、伴性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群またはがんの処置、予防または改善における使用のための請求項19〜22のいずれか一項に記載のベクター。
  24. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項19〜23のいずれか一項に記載のベクター、および薬学的に許容される担体、安定剤または溶媒のうちの1つまたは複数を含む医薬組成物。
  25. 細胞、好ましくはヒト細胞において、標的RNA分子のウリジンをシュードウリジンに変換するための方法であって、
    − 請求項19〜23のいずれか一項に記載のベクターを前記細胞に投与するステップと;
    − エクソンA/イントロン/エクソンB配列の転写を可能にするステップと;
    − 前記イントロンに位置させたsnoRNAのスプライシングおよび形成を可能にするステップと;
    − 前記snoRNAが前記標的RNA分子と部分的二本鎖核酸複合体を形成することを可能にするステップと
    を含み、前記部分的二本鎖核酸複合体が、哺乳動物シュードウリジン化酵素をエンゲージして機能的RNP複合体を形成することができ、前記snoRNAが、標的ウリジンを、それが前記RNP複合体によって変換されるように正確に位置させ、前記標的ウリジンが、前記RNP複合体によってシュードウリジンに変換される、方法。
  26. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の核酸分子または請求項19〜23のいずれか一項に記載のベクターを含む哺乳動物細胞。
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