JP2021518405A - プロゲステロン膣内デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明は、特定の多形純度のプロゲステロンを含む膣内デバイス、特にリング、そのようなデバイスを作製するための方法、および前記デバイスの治療的使用に関する。特に、膣内デバイスは、大量のプロゲステロン多形体Iを含み、雌性対象における不妊症の治療において有用である。

Description

本発明は、プロゲステロンを含む膣内デバイス、そのようなデバイスを作製するための方法、および前記デバイスの使用に関する。
プロゲステロン(プレグナ−4−エン−3,20−ジオン;C2130)は、プロゲステロンと呼ばれるホルモンのクラスに属する。これは、主要な天然に存在するステロイドであり、他のステロイド、特に、グルココルチコイド、アンドロゲンおよびエストロゲンの生合成における前駆体である。
Figure 2021518405
プロゲステロンは、思春期の開始から閉経期まで、卵巣において(黄体によって)大量に生成され、雌雄の両方において、副腎皮質性思春期徴候の開始後に、副腎によっても少量が生成される。より低い程度で、プロゲステロンは、神経組織、特に、脳において、および脂肪組織において、生成される。ヒトの妊娠の間、プロゲステロンは、卵巣および胎盤によって、次第に大量に生成される。最初、月経周期の黄体期または分泌期の間、および妊娠初期において、起源は黄体であり、しかしながら、妊娠8週後、プロゲステロンの生成は胎盤に移る。
プロゲステロンは、胚の着床のために子宮を準備し、子宮内膜が厚くなり、より血管性になるのを助け、それが受精卵に適応するように整える。これは、妊婦の乳房肥大、子宮収縮の阻害、胚の免疫学的保護、およびプロスタグランジン合成の阻害を含む、妊娠期間におけるいくつかの役割も果たす。
プロゲステロンは、機能性子宮出血、子宮内膜症、子宮内膜癌、良性乳房疾患、切迫流産、子癇前症、更年期障害および黄体期欠損などの多数の臨床的障害の治療において使用されている。
プロゲステロンは、同様に、受胎補助としても公知の生殖補助医療における黄体期のサポートのために使用される。残念ながら、生殖年齢の女性のすべてが自然に妊娠することができるとは限らない。前記女性の多くは、妊娠を達成するために生殖補助技術(ART)を始める。少なくとも主に3種類のARTがある:体外受精(IVF)、これは、卵子を取り出すこと、実験室においてそれらを受精させること、および得られる胚を子宮頸部を通して子宮に移植することを含む;配偶子卵管内移植(GIFT)、これは、腹腔鏡を使用して、腹部切開を通して、未受精卵および精液を女性の卵管に配置することを含む;ならびに、卵子を取り出すこと、実験室においてそれらを受精させること、および腹腔鏡を使用して、受精卵(複数可)を女性の卵管に配置することを含む、接合子卵管内移植(ZIFT)。ART手順の中で、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、単一の精子を直接卵子に注入するIVF技法、および凍結胚移植(FET)も考慮され、ここで、凍結された(冷凍された)胚は、解凍され、次いで、女性の子宮/卵管に移植される。
多くの女性に対して、ARTと併せて、胚着床のために子宮を準備するための工程を行わなければならない。このプロセスを助けるために開発された多くのツールがあり、その中で、外因性プロゲステロン補充が注目される。
プロゲステロンは、多くの場合、黄体期の間、および時々黄体期をさらに超えて、外部から供給されるが、分泌期への子宮内膜の適切な変化を超えて継続するプロゲステロン補充は、厳密には必要ではない。プロゲステロン補充の目標は、ほとんどの症例において、ART手順において損なわれるようになり得る黄体を補助することであり、子宮内膜の分泌期への変化を達成するために十分な量のプロゲステロンを提供することはできない。
異なるプロゲステロン調製物が、本技術分野において公知である。
プロゲステロンは、経口で投与されてもよいが、しかしながら、肝臓によるその迅速なクリアランス(肝初回通過効果)に起因して、循環、特に、子宮におけるその生物学的利用率は低く、経口プロゲステロンの相当の無効力をもたらす。さらにまた、子宮内膜の増殖を確保する子宮内のプロゲステロンの十分なレベルを達成するために、高用量の経口プロゲステロンの投与が必要であり、これは、血液中のプロゲステロン代謝体の蓄積を不可避的にもたらし、次に、望ましくない副作用を生じさせ得る。
筋肉内(IM)プロゲステロンは幅広く使用されているが、高い血清レベルはIM投与により達成することができ、そのような方法で送達されるプロゲステロンは、その治療効果(子宮初回通過効果)を発揮する前に子宮の代謝に付され、したがって、その効力は、大幅に低減される。さらにまた、IM投与は、毎日の注射を必要とし、患者にとって、痛みを伴い、不快かつ不便である。
プロゲステロンの膣投与は、一般に、上記の投与経路と比較した場合に、より高い子宮内膜のプロゲステロンレベルをもたらし、IMで送達されたプロゲステロンと比較した場合に、より低い血清レベルをもたらし、したがって、より効率が良い治療と全身性副作用の低減を提供し得る。異なる種類のプロゲステロンの膣投与が公知である。
膣プロゲステロンゲルは、IMプロゲステロンよりも痛みが少なく、使用が容易であるが、毎日の投薬が必要であり、面倒である場合があり、潜在的な漏出に起因して、すべての適用でフルドーズを提供できない場合がある。
錠剤の送達のためのプロゲステロンの膣挿入物の使用も公知であるが、ここでも、毎日少なくとも1回、高用量のプロゲステロンを投与することが必要である。膣微粒子化プロゲステロンカプセルも公知であるが、複数回の毎日の投与を必要とし、それは患者にとって厄介であり得、治療の中止をもたらす場合がある。
別の公知の種類の膣製剤は膣内リングである。膣内リングは、プロゲステロンの持続放出を提供するように設計され、したがって、一般に、毎日または規則正しく頻繁な製剤の適用(すなわち、毎日または頻繁なリングの交換)は必要ではなく、患者の快適さの改善を提供する。
米国特許第5869081号は、一連の女性患者における胚着床のために子宮内膜を準備するためのプロゲステロンを含有する膣リングの使用を開示している。Zegers−Hochschildら(Human Reproduction,2000,15(10),2093−2097)は、早期卵巣機能不全または卵巣刺激への応答の欠如を患う一連の患者における妊娠を成功裏に達成するためにそのような膣リングの1つの臨床使用をさらに報告している。
Stadtmauerら(Fertility and Sterility,2013,99(6),1543−1549)は、同様に、毎週のプロゲステロン膣リングの投与が、不妊症の女性のためのART治療の一部として、黄体補充およびプロゲステロンのサポートに有効であることを報告している。
国際特許出願WO2009/099586号は、同じく、黄体期欠損を治療するための、プロゲステロンを脂肪酸の炭化水素またはグリセロールエステルとともに含む膣リングの使用を報告している。
十分な子宮内膜の増殖を確保するためにプロゲステロンリングを用いる臨床研究は、一般に、治療の期間中ずっと、特に、前記治療の第1週目の間、ある時点で、患者における膣出血を記録する。これは、上記で述べた膣リングについての症例である。出血は、一般に、低レベルの子宮内プロゲステロンと関連し、患者に追加のプロゲステロンを投与することによって、治療の間に時々対処される。しかしながら、プロゲステロンレベルの増加は、プロゲステロンの蓄積、またはそれらからの代謝体から生じ得る、可能性がある副作用に起因して、特に望ましい解決手段ではない。一方、それが妊娠合併症の徴候である可能性がなくても、出血は常に患者を心配させ、それが不必要な医師への相談をもたらし得ることを考慮に入れなければならない。したがって、妊娠初期の間の出血を回避または最小化する治療を提供することは、常に望ましい。
既存のプロゲステロンの剤形の欠点を克服する、新たな代替の製剤を開発するための不変の必要性が存在する。特に、治療効果を維持し、患者のための安全性/快適なプロファイルを改善し、かつ妊娠初期の間の出血を最小化しながら、プロゲステロンの低い血漿レベルを提供する製剤を開発することはかなり必要であると思われる。
本発明者らは、予想外にも、多形形態Iのプロゲステロン、または高いパーセンテージの多形形態Iを示すプロゲステロンを含む膣デバイスが、膣出血の危険性を最小化し、または増加させずに、子宮内膜の分泌期への変化において有効であることを見出した。結果として、プロゲステロンは、治療の間に、デバイスを交換する、または別のプロゲステロン製剤を追加する必要性なしに(少なくとも子宮内膜の分泌期への変化が報告されるまで)、患者に供給することができる。好ましくは、本発明の膣デバイスは、低いプロゲステロン血清レベルを提供する、少量のプロゲステロンを含む。
したがって、本発明は、プロゲステロンを含む膣内デバイスであって、前記プロゲステロンの少なくとも約75%が、多形形態Iである、膣内デバイスに対する。
本発明の別の態様は、本発明による膣デバイスを作製するための方法であって、
a)プロゲステロン(ここで、プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)を薬学的に許容されるポリマー組成物と混合する工程と;
b)工程a)から得られる混合物を120℃以下の温度で硬化させる工程と
を含む、方法に言及する。
本発明者らは、本発明のデバイス中のプロゲステロンの量を、以前の技術のデバイスにおいて一般に用いられるものよりも低いレベルに低減することで、子宮内膜を分泌期に成功裏に変化させるため、および妊娠中の女性における膣出血を最小化し、またはさらに回避しながら、妊娠を維持するために用いることができる膣内デバイスをもたらすことも発見した。
したがって、特定の実施形態において、本発明のデバイスは、デバイスの総重量に対して、17.4重量%〜2.9重量%のプロゲステロン、より好ましくは、11.6重量%〜2.9重量%のプロゲステロン、さらにより好ましくは、8.7重量%〜2.9重量%のプロゲステロンを含む。
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法により調製された膣デバイスが、通常(室温)および加速(30℃まで)の保存条件下で少なくとも3年の間安定であり、プロゲステロンの顕著に少ない「ブルーミング」(リングの表面への移動)を示し、プロゲステロンのより低い「バースト」効果(初期の過剰放出)に寄与し、インビトロでのプロゲステロンのより遅い放出を示すことを見出した。
本発明の異なる態様は、雌性対象における不妊症の治療における本発明の膣内デバイスの使用に言及する。
さらに別の態様は、閉経周辺期の症状の治療における本発明の膣内デバイスの使用に関する。
本発明の好ましい実施形態において、デバイスは膣内リングである。
本発明による膣内リングから得られた試料のX線ディフラクトグラム。 本発明による膣内リングから得られた試料についての示差走査熱量測定曲線。 本発明の膣リングの投与後の血漿血清レベル。 本発明の膣リングの投与後の血漿血清レベル。
有機化合物が、多形体として公知の異なる結晶型で存在する場合があることは十分に確立されている。特定の物質の異なる多形体または多形比は、著しく異なる治療挙動を提供することができる。
プロゲステロンは、異なる多形形態で存在し得る、水に難溶性の薬物であり、その中で、最も研究されているものは2つ:I(またはアルファ)型およびII(またはベータ)型である(Araya−Sibajaら,Scanning,2013,35(4),213−221)。
純粋な多形形態Iのプロゲステロン、または多形体−I富化型は、(例えば、Barrioら,Journal of Pharmaceutical Sciences,2009,98(5),1657−1670に記載されている)当技術分野において公知の方法によって調製され得る。プロゲステロン多形形態Iは、希アルコールから結晶化された場合に、特徴的なプリズム様結晶を形成する(O’Neilら,The Merck Index,第13版,2001,7866)。異なる分析技法、すなわち、示差走査熱量測定(DSC)、X線回折、赤外分光法またはラマン分光法が、プロゲステロン多形形態Iを検出および/または定量化するために当技術分野において用いられる(Wangら,Organic Process Research & Development,2000,4,391−395)。最も典型的に用いられる技法は、示差走査熱量測定であり、それによって、プロゲステロン多形形態Iは、その融点に相当する約128〜130℃で特徴的な吸熱を明らかにする。
本発明の文脈において、プロゲステロンは、その天然の形態、すなわち、卵巣によって生成される形態で用いられる。それにもかかわらず、プロゲステロンの薬学的な塩または溶媒和物も本発明の範囲内である。特に、プロゲステロン多形形態Iの薬学的な塩または溶媒和物は本発明の範囲内である。
本開示全体を通して、パーセンテージ、比などの表現はすべて、他に指示されない限り、「重量による」ものである。本明細書で使用される場合、「重量による」は、「質量による」という用語と同義であり、本明細書において定義される比またはパーセンテージは、体積、厚さ、または一部の他の尺度ではなく、重量によるものであることを示す。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、パーセンテージまたは他の数量と関連して使用される場合、そのパーセンテージまたは他の数量のプラスマイナス1%を意味する。例えば、「約80%」という用語は、80%プラスマイナス0.8%を包含するだろう。
好ましくは、本発明の膣内リングは、輪状の形状である。本明細書で使用される場合、「輪状」とは、リングの形状、リングに関連する形状、またはリングを形成する形状を指す。本発明による使用のために好適な輪状形状としては、リング、長円形、楕円、トロイドなどが挙げられる。本発明の膣内リングの形状は、一時的に、変更または変形することができ、すなわち、例えば、膣に挿入する時に、一時的に、非輪状の形状をとることができる。リングの直径の値は、非変形状態の本発明のリングに関して、下記に与えられる。
本発明の実施形態において、デバイス中の実質的にすべてのプロゲステロンは、多形形態Iである。本明細書で使用される「実質的にすべて」という用語は、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンが、最大で約5%、好ましくは、約2.5%、より好ましくは、約1.5%以下、好ましくは、約0.5%以下の他の多形形態、特に、多形形態IIを含有するか、または、他の多形形態、特に、多形形態IIの検出可能な量を含有しないことを意味する。
本発明の膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの少なくとも約75%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの少なくとも約80%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの少なくとも約85%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内リングに含まれるプロゲステロンの少なくとも約90%は、多形形態Iである。好ましい実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの少なくとも約95%は、多形形態Iである。
別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約75〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約80〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの85〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約90〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約95〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。好ましい実施形態において、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約100%は、多形形態Iである。
本発明者らは、驚くべきことに、プロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)を含む膣内デバイスを、不妊症のための治療、特に、生殖補助医療に関する治療において、前記ホルモンを成功裏に補充するために用いることができることを見出した。
本発明者らはまた、予想外にも、本発明のデバイス中のプロゲステロンの量を、以前の技術のデバイスにおいて一般に用いられるものよりも低いレベルに低減することで(これにより、膣出血がプロゲステロン補充期間の間に観察され得る)、子宮内膜を分泌期に成功裏に変化させるため、および妊娠中の女性における膣出血を最小化し、またはさらに回避しながら、妊娠を維持するために用いることができる膣内デバイスを依然としてもたらすことも発見した。
本発明の実施形態において、または上記の実施形態のいずれかにおいて、膣内デバイスは、約1.50g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.75g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.70g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.50g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.375g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.125g以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.100gのプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約1.50〜約0.100gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約1.50〜約0.125gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約1.50〜約0.25gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約1.5〜約0.375gのプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約0.75〜約0.100gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.75〜約0.125gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.75〜約0.25gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.75〜約0.375gのプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約0.70〜約0.100gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.70〜約0.125gのプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約0.70〜約0.25gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.70〜約0.375gのプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約0.50〜約0.100gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.50〜約0.125gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.5〜約0.25gのプロゲステロンを含む。より好ましい実施形態において、これは、約0.5〜約0.375gのプロゲステロンを含む。
好ましい実施形態において、これは、約0.375〜約0.100gのプロゲステロンを含む。より好ましい実施形態において、これは、約0.375〜約0.125gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.375〜約0.25gのプロゲステロンを含む。
特定の実施形態において、これは、約1.50gのプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約0.75gのプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約0.70gのプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約0.50gのプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約0.375gのプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約0.25gのプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約0.125gのプロゲステロンを含む。
本発明の実施形態において、膣内デバイスは、リングの総重量に対して、約34.8%以下の量のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約17.4%以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約16.2%以下のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約11.6%以下のプロゲステロンを含む。より好ましい実施形態において、これは、約8.7%以下のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約2.9%のプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約34.8%〜約2.9%のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約34.8%〜約5.8%のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約34.8%〜約8.7%のプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約17.4%〜約2.9%のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約17.4%〜約5.8%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約17.4%〜約8.7%のプロゲステロンを含む。
別の実施形態において、これは、約16.2%〜約2.9%のプロゲステロンを含む。別の実施形態において、これは、約16.2%〜約5.8%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約16.2%〜約8.7%のプロゲステロンを含む。
好ましい実施形態において、これは、約11.6%〜約2.9%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約11.6%〜約5.8%のプロゲステロンを含む。より好ましい実施形態において、これは、約11.6%〜約8.7%のプロゲステロンを含む。
より好ましい実施形態において、これは、約8.7%〜約2.9%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約8.7%〜約5.8%のプロゲステロンを含む。
特定の実施形態において、これは、約34.8%のプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約23.2%のプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約17.4%のプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約16.24%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約11.6%のプロゲステロンを含む。より好ましい実施形態において、これは、約8.7%のプロゲステロンを含む。好ましい実施形態において、これは、約5.8%のプロゲステロンを含む。特定の実施形態において、これは、約2.9%のプロゲステロンを含む。
特定の実施形態において、上記で述べた特定のパーセンテージの範囲もしくはパーセンテージ、および/または特定の重量の範囲または重量のいずれかおよびそれぞれにおいて、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの少なくとも約95%は、多形形態Iである。好ましい実施形態において、膣内デバイスは、リングの総重量に対して、約34%〜約3%の量のプロゲステロンを含み、膣内リングに含まれるプロゲステロンの約90〜約96、97、98、99または100%は、多形形態Iである。
別の好ましい実施形態において、膣内デバイスは、デバイスの総重量に対して、約17%〜約6%の量のプロゲステロンを含み、膣内デバイス中のプロゲステロンの少なくとも約95%は、多形形態Iである。
別の好ましい実施形態において、膣内デバイスは、デバイスの総重量に対して、約12%〜約7%の量のプロゲステロンを含み、膣内デバイス中のプロゲステロンの少なくとも約99%は、多形形態Iである。
別の好ましい実施形態において、膣内デバイスは、デバイスの総重量に対して、約9〜約8%の量のプロゲステロンを含み、膣内デバイスに含まれるプロゲステロンの約100%は、多形形態Iである。
本発明者らは、驚くべきことに、35重量%より低い量のプロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)を含む、本発明の膣内デバイス、好ましくはリングの形状の膣内デバイスを、不妊症のための治療、特に、生殖補助技術に関する治療において、より大量のプロゲステロンを含有する別のデバイスに交換する必要もなく、プロゲステロンの他の製剤を追加する必要もなく、少なくとも14日の間、前記ホルモンを成功裏に補充するために用いることができることを見出した。
実施形態において、または以前の実施形態のいずれかにおいて、デバイスは、薬学的に許容される担体として、薬学的に許容されるポリマー組成物をさらに含む。本発明の膣内デバイスにおいて使用される薬学的に許容される担体および任意の他の材料は、対象の膣管に配置するために好適であり、対象に対して非毒性である。材料はまた、膣内デバイス、好ましくは、リングまたは類似の形態に成形するために好適である。
本明細書に開示の膣内デバイスにおける使用のために好適な薬学的に許容されるポリマー組成物としては、限定されるものではないが、オレフィンおよびビニル型ポリマー、炭水化物型ポリマー、縮合型ポリマー、ゴム型ポリマーおよび/またはポリシロキサンが挙げられる。使用することができる他の例示的なポリマーとしては、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、可塑化ポリ(塩化ビニル)、可塑化ナイロン、可塑化ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、ポリ(4,4’−イソプロピレン−ジフェニレンカーボネート)、ポリ(エチレンビニルエステル)、ポリ(塩化ビニルジエチルフマレート)、ポリ(アクリレートおよびメタクリレートのエステル)、酢酸セルロース、セルロースアシレート、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルカーボネート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(オレフィン)、ポリ(スチレン)、ポリ(スチレン−ブタジエン)およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリマーおよびそれらの物理的性質、ならびに合成の方法は、当技術分野において公知である。
特定の実施形態において、薬学的に許容されるポリマー組成物は、少なくとも1種のエラストマーを含む。
「エラストマー」という用語は、当業者によって理解されるものである。特に、これは、ポリマーまたはポリマー混合物が架橋を受ける場合に形成される非晶質ポリマーネットワークを指す。それぞれのポリマーは、ポリマーを形成するために一緒になって連結されるモノマー単位で構成される。モノマー単位は、炭素、水素、酸素、ケイ素、ハロゲン、またはそれらの組み合わせを含む。エラストマーは、容易に、曲げ、伸ばし、ねじり、または変形させることができ、自由にすると、迅速にそれらのおよそ元の寸法および形状に戻ることができる。エラストマーは、治療的使用を確保するための十分な構造的完全性、および患者の身体に適合する十分な柔軟性を有する膣内デバイスを提供し、最大の患者の快適さを提供する。
好ましくは、薬学的に許容されるポリマー組成物は、少なくとも1種のシリコーン系エラストマー、例えば、ポリシロキサンを含む。本明細書で使用される場合、「ポリシロキサン」は、直鎖状または環状の配置のいずれかで、交互にケイ素および酸素原子を含有する任意の種々の化合物を指す。特定の実施形態において、ポリシロキサンは、ジアリールポリシロキサンおよびジアルキルポリシロキサンなどのジオルガノポリシロキサンである。特定の実施形態において、ポリシロキサンは、ビニルジメチル末端ブロック化される。より特定の実施形態において、ポリシロキサンは、ビニル末端ブロック化ジメチルポリシロキサンである。
他の実施形態において、薬学的に許容される担体は、少なくとも1種の非シリコーン系エラストマー、例えば、ポリ(スチレン−ブタジエン)などのスチレンコポリマーを含む。
好ましい実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的に許容されるポリマー組成物に加えて、他の材料を含まない。しかしながら、異なる実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的に許容されるポリマー組成物に加えて、他の材料を含んでいてもよい。
好ましい実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロン、薬学的に許容されるポリマー組成物、および任意の物質、またはデバイスの調製のために必要な物質もしくは複数の物質に由来し、かつその調製の後、本明細書で言及する任意のもの、例えば、架橋触媒もしくは触媒阻害剤などのデバイスの部分を形成する物質に加えて、他の材料を含まない。
好ましい実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的に許容されるポリマー組成物に加えて、薬学的に許容される賦形剤を含まない。しかしながら、異なる実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的に許容されるポリマー組成物に加えて、薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。膣使用のための薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、湿潤剤、界面活性剤、ポロクサマー(polaxomer)、カルボマー、ポリビニルアルコール、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、乳化剤、非イオン性界面活性剤、Tween、Tween 80、ポリソルベート80、α−リポ酸、α−トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、ベンジルアルコール、ビオチン、重亜硫酸塩、ホウ素、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、カロテノイド、クエン酸カルシウム、アセチル−L−カルニチン、キレート化剤、コンドロイチン、クロム、クエン酸、コエンザイムQ−10、システイン、システイン塩酸塩、3−デヒドロシキミ酸、EDTA、硫酸第一鉄、葉酸、フマル酸、没食子酸アルキル、ニンニク、グルコサミン、ブドウ種子抽出物、ググル、マグネシウム、リンゴ酸、メタ重亜硫酸塩、N−アセチルシステイン、ナイアシン、ニコチンアミド(nicotinomide)、イラクサ根、オルニチン、没食子酸プロピル、ピクノジェノール、ノコギリヤシ、セレン、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、酒石酸、チオ硫酸塩、チオグリセロール、チオソルビトール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、トコトリエナール、d−アルファ−酢酸トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、炭水化物、炭化水素もしくは脂肪酸のグリセロールエステル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンに加えて、他の医薬有効成分を含まない。しかしながら、異なる実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンに加えて、他の医薬有効成分を含んでいてもよい。特定の実施形態において、他の医薬有効成分は、排卵、胚着床および/または妊娠初期の持続のために有用な物質である。特定の実施形態において、他の医薬有効成分はエストロゲンである。
別の好ましい実施形態において、本発明の膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的に許容されるポリマー組成物、場合により任意の物質、またはデバイスの調製のために必要な物質に由来し、かつその調製の後、デバイスの部分を形成する物質に加えて、薬学的に許容される賦形剤も、他の医薬有効成分も含まない。
薬学的に許容される担体を含む実施形態において、デバイスの重量に対する上記の特定のプロゲステロンの重量のパーセンテージまたはパーセンテージの範囲のいずれかは、代わりに、プロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対するプロゲステロンの重量を指す。
上記の特定の重量または重量の範囲、および重量のパーセンテージまたはパーセンテージの範囲のいずれかを、個々に組み合わせて、新しい実施形態に達してもよい。好ましい実施形態において、0.375gのプロゲステロンは、リングの総重量に対して、またはプロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対して、約8.7%のプロゲステロンに相当し、上記に記載の他の特定の重量は、この比に基づいて、重量のパーセンテージに相当する。
実施形態において、または上記の実施形態のいずれかにおいて、プロゲステロンは、膣内デバイス中で、実質的に均一に分散される。
実施形態において、または上記の実施形態のいずれかにおいて、プロゲステロンは微粒子化することができる。本明細書で使用される場合、「微粒子化」とは、ミクロンサイズに小さくされた組成物の粒子を指す。好ましい実施形態において、または上記の好ましい実施形態のいずれかにおいて、プロゲステロンは微粒子化されない。有利には、微粒子化されていないプロゲステロンの使用は、プロゲステロンが最初に膣リングから過剰に放出されることによる「バースト」効果を防止することができる。
実施形態において、または上記の実施形態のいずれかにおいて、膣内デバイスは、リングの形態、またはリングにおよそ類似した形態である。好ましくは、リングは、約40〜約65mmの外側直径を有する。別の実施形態において、これは、約50〜約60mmの外側直径を有する。好ましい実施形態において、膣内リングは、約58mmの外側直径を有する。本明細書で使用される場合、「外側直径」とは、リングの中心を通過し、その終点がリングの外側周囲にある、任意の直線セグメントを指す。リングの外側直径が全周囲に沿って不変ではない場合、外側直径とは、リングの中心を通過し、その終点がリングの外側周囲にある、最も長い直線セグメントを指す。
実施形態において、または上記の実施形態のいずれかにおいて、膣内デバイス、好ましくは、リングは、約4〜約10mmの断面直径を有する。別の実施形態において、これは、約5〜約8mmの断面直径を有する。好ましい実施形態において、膣内リングは、約5.5mmの断面直径を有する。本明細書で使用される場合、「断面直径」とは、その終点がリングの内側および外側周囲にある、任意の直線セグメントを指す。
特定の実施形態において、膣内リングは、約50〜約60mmの外側直径、および約5〜約8mmの断面直径を有する。好ましい実施形態において、膣内リングは、約58mmの外側直径、および約5.5mmの断面直径を有する。
実施形態において、膣内デバイスは、約10mg以下または約10mgのプロゲステロン/日を、少なくとも7日間、(インビボで)放出する。別の実施形態において、膣内リングは、約10mg以下または約10mgのプロゲステロン/日を、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の期間、より好ましくは14日間、(インビボで)放出する。実施形態において、膣内デバイスは、4〜8mgのプロゲステロン/日を、少なくとも7日間、(インビボで)放出する。好ましい実施形態において、膣内デバイスは、4〜8mgのプロゲステロン/日を、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の間の期間、より好ましくは14日間、(インビボで)放出する。より好ましい実施形態において、膣内デバイスは、約6mgのプロゲステロン/日を、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の間の期間、より好ましくは14日間、(インビボで)放出する。放出速度は、治療の最後(例えば、14日目)にデバイス中に残ったプロゲステロンの量を、開始(0日目)の際のデバイス中のプロゲステロンの量から減算し、その結果を治療の日数(例えば14)で割ることによって、測定される。
実施形態において、膣内デバイスは、少なくとも7日間、1〜4ng/mlの間のプロゲステロンの平均血清レベルに達することを可能にする。実施形態において、膣内デバイスは、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の期間、より好ましくは14日間、1〜4ng/mlの間のプロゲステロンの平均血清レベルに達することを可能にする。特定の実施形態において、膣内デバイスは、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の期間、より好ましくは14日間、1.5〜3.5ng/mlの間のプロゲステロンの血清レベルに達することを可能にする。より特定の実施形態において、膣内デバイスは、少なくとも14日間、好ましくは、14〜18日の期間、より好ましくは14日間、約2〜3ng/mlのプロゲステロンの血清レベルに達することを可能にする。2〜3ng/mlのプロゲステロンは、約6.3〜9.5nmol/mlのプロゲステロンに相当する。
実施形態において、本発明の膣デバイスまたはリングによって提供されるプロゲステロンの血清レベルは、血清レベルが増大する間の使用の最初の24時間を除いて、前記リングの使用の期間にわたって、およそ一定である。特定の実施形態において、使用の期間は、少なくとも14日、好ましくは、14〜18日の期間、より好ましくは14日である。「一定」とは、プロゲステロンの血清レベルが、約3〜14nmol/L、より詳細には、約6〜約14nmol/L、好ましくは、約6〜12nmol/Lで維持されることを意味する。
別の好ましい実施形態において、膣内デバイスまたはリングは、デバイスの総重量に対して、またはプロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対して、約34.8%〜約2.9%のプロゲステロンに相当する、約1.50g〜約0.125gのプロゲステロンを含み、7〜18日、好ましくは、約14日、より好ましくは、14日の使用の期間の間、約3〜14nmol/Lの一定の血清レベル(血清レベルが増大する間の使用の最初の24時間を除く)を提供する。
特定の好ましい実施形態において、膣内デバイスは、デバイスの総重量に対して、またはプロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対して、約17.4〜2.9%のプロゲステロンに相当する、約0.75〜0.125gのプロゲステロンを含み、7〜18日、好ましくは、約14日、より好ましくは、14日の使用の期間の間、約3〜12nmol/Lの一定の血清レベル(血清レベルが増大する間の使用の最初の24時間を除く)を提供する。
特定の好ましい実施形態において、膣内デバイスは、デバイスの総重量に対して、またはプロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対して、約8.7%のプロゲステロンに相当する、約0.375gのプロゲステロンを含み、7〜18日、好ましくは、約14日、より好ましくは、14日の使用の期間の間、約6〜12nmol/Lの一定の血清レベル(血清レベルが増大する間の使用の最初の24時間を除く)を提供する。
別の特定の実施形態において、膣内デバイスは、プロゲステロンおよび薬学的担体の合計重量に対して、またはデバイスの総重量に対して、約17.4%〜約5.8%のプロゲステロンに相当する、約0.75〜約0.25gのプロゲステロンを含み、7〜18日、好ましくは、約14日、より好ましくは、14日の使用の期間の間、1.5〜3.5ng/mlの一定の血清レベル(血清レベルが増大する間の使用の最初の24時間を除く)を提供する。
まとめると、本発明者らは、驚くべきことに、35重量%より低い量のプロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)を含む、本発明の膣内デバイス、好ましくはリングの形状の膣内デバイスを、不妊症のための治療レジメン、特に、生殖補助技術に関する治療において、より大量のプロゲステロンを含有する別のデバイスに交換する必要もなく、プロゲステロンの他の製剤を追加する必要もなく、少なくとも14日の間、前記ホルモンを成功裏に補充するために用いることができることを見出した。さらにまた、本発明者らは、そのような膣内デバイスの使用が、10mg/日未満またはそれに等しい血清プロゲステロンレベルをさらに提供し、予想外にも、プロゲステロンの補充期間の間、膣出血を回避または最小化することを実証した。
図3および4は、本発明による膣リング、詳細には、約0.125gのプロゲステロン〜約1.50gのプロゲステロンを含む膣内リングについて観察された血清プロゲステロン濃度を表す。
上記で述べたように、本発明は、上記に記載の膣デバイスまたはリングを作製するための方法であって、
a)プロゲステロン(ここで、プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)を薬学的に許容されるポリマー形成組成物と混合する工程と;
b)工程a)から得られる混合物を120℃以下の温度で硬化させる工程と
を含む、方法にも言及する。
プロゲステロンの多形形態Iの融点は、一般に、128〜130℃であると報告されている。その融点よりも高い温度に付されると、プロゲステロンは、準安定融解物に変わり、多形形態は失われる(Barrioら,Journal of Pharmaceutical Sciences,2009,98(5),1657−1670)。したがって、工程a)から得られる混合物を120℃で硬化させることによって、デバイス中の多形形態Iのプロゲステロンのパーセンテージは、出発材料に対して維持され、すなわち、多形形態Iの喪失は最小化される。
その少なくとも75%が多形形態Iであるプロゲステロンは、当技術分野において公知の方法、例えば、Barrioらによって記載されている方法によって、得ることができる。実質的に純粋な多形形態Iのプロゲステロンは、商業的に入手することもできる。
本発明の実施形態において、工程a)における実質的にすべてのプロゲステロンは、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの少なくとも約75%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの少なくとも約80%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの少なくとも約85%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの少なくとも約90%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの少なくとも約95%は、多形形態Iである。
別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの約75〜約100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの約80〜約100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの約85〜約100%は、多形形態Iである。別の実施形態において、工程a)におけるプロゲステロンの約90〜約100%は、多形形態Iである。
好ましい実施形態において、工程a)における多形形態Iの純度は、上記に記載の膣内デバイスおよびリングの実施形態のいずれかにおける多形形態Iの純度に相当する。既に述べたように、本発明の方法は、工程a)において用いられるプロゲステロン出発材料に対して、膣デバイス中の多形体Iの多形純度の喪失を防止する。
同様に、用いられるプロゲステロンの重量、または用いられるプロゲステロンの重量のパーセンテージは、上記の膣デバイスの実施形態について記載されたもののいずれかであり得る。
本発明者らは、工程a)から得られる混合物中の(上記の膣デバイスの実施形態に記載の重量パーセンテージの)プロゲステロンの多形形態Iの存在が、工程b)におけるポリマー組成物の硬化を阻害しないことを見出した。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、工程b)の硬化は、型中で行われる。好ましい実施形態において、本発明の方法は、工程b)の型への工程a)から得られる混合物の射出成型を含む。特定の実施形態において、型は、上記に記載の寸法を有する膣内リングを作製するために好適な空洞を画定する。
また、本発明者らは、予想外にも、少なくとも75%の多形形態Iのプロゲステロンを含む、得られる膣デバイスまたはリングが、より少ない多形形態Iのプロゲステロンを含むデバイスまたはリングと比較して、以下の有利な性質:
− プロゲステロンの顕著に少ない「ブルーミング」(リングの表面への移動);
− プロゲステロンのより低い「バースト」効果(初期の過剰放出):
− プロゲステロンのより遅い放出
を有し得ることが分かった。
好ましい実施形態において、工程b)の硬化は、薬学的に許容されるポリマー形成組成物として、下記に記載のエラストマー形成組成物が用いられる場合、非常に短い期間で行うことができる。有利には、このような短時間で工程b)を行う可能性により、産業上の適用のために特に良く適した本発明のプロゲステロン膣デバイスを作製する方法を提供する。
したがって、特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、工程b)は、約10分以下の時間、約5分以下の時間、約3分以下の時間、約45秒以下の時間、約30秒以下の時間で行われる。特定の実施形態において、工程b)は、約10分〜約15秒の時間、約5分〜約30秒の時間、約3分の時間、約2分の時間、約90秒の時間、約1分の時間、約45秒の時間、約30秒の時間で行われる。好ましくは、工程b)は、約3分〜約45秒の時間で行われる。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、薬学的に許容されるポリマー形成組成物は、120℃以下の温度で、好ましくは10分以下で架橋して、上記の実施形態のいずれかに記載の薬学的に許容されるポリマー組成物を形成する、任意のポリマー形成材料である。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、薬学的に許容されるポリマー形成組成物は、エラストマー形成組成物である。特定の実施形態において、エラストマー形成組成物は、少なくとも1種のポリシロキサン、好ましくは、少なくとも1種のジオルガノポリシロキサン、好ましくは、ジメチルポリシロキサンを含み、このいずれかは、エラストマーに架橋し得る。好ましくは、ポリシロキサンは、1分子あたり、脂肪族の不飽和を有する少なくとも2つのシリコーン結合基、例えば、ビニル末端ブロック化ポリシロキサンを含む。好ましい実施形態において、ポリシロキサンは、ビニル末端ブロック化される。好ましくは、ポリシロキサンは、ビニルジメチル末端ブロック化される。好ましくは、ポリシロキサンは、ビニル末端ブロック化ジメチルポリシロキサンである。他の実施形態において、エラストマー形成組成物は、ポリ(スチレン−ブタジエン)などの非シリコーン系ポリマー材料を含む。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、適用可能な場合、エラストマー形成組成物は、架橋剤を含み、これは、例えば、HまたはOH、好ましくはHが末端ブロック化されたポリシロキサン、好ましくは、HまたはOH、好ましくはHが末端ブロック化されたジオルガノポリシロキサンであり得る。特定の実施形態において、ポリシロキサンは、水素ジメチル末端ブロック化される。より特定の実施形態において、架橋剤は、H末端ブロック化ジメチルポリシロキサンである。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、適用可能な場合、エラストマー形成組成物は、有機金属化合物、例えば、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、チタン酸アルキル、およびチタンキレートまたは白金錯体であり得る架橋触媒を含む。好ましい実施形態において、架橋触媒は、特に、不飽和基(例えば、上記で述べたビニル末端ブロックのもの)およびシリコーンに結合した水素基(例えば、上記で述べたH末端ブロックのもの)の間の反応を促進する白金触媒、例えば、塩化白金酸、白金アセチルアセトネート、ハロゲン化白金とエチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサンおよびスチレンなどの不飽和化合物との錯体、メチル二白金およびPt(CN)である。好ましくは、白金錯体は、ビニル二量体中の白金錯体である。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、適用可能な場合、エラストマー形成組成物は、触媒阻害剤、例えば、アセチレン性不飽和第2級または第3アルコール、例えば、エチニルシクロヘキサノールなどのアルキニル化合物を含む。脂肪族不飽和基は、好ましくは、オレフィン性不飽和である。
特定の実施形態において、または上記の方法の実施形態のいずれかにおいて、適用可能な場合、エラストマー形成組成物は、処理シリカなどのシリカフィラーを含む。
産業上の観点から、120℃以下の温度で、約10分以下の時間で架橋するエラストマー形成組成物、例えば、ビニルジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、水素ジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、ヒドロシリル化(hydrosililation)を促進する白金錯体触媒、および触媒阻害剤を含むエラストマー形成組成物が、特に好ましい。特定の実施形態において、エラストマー形成組成物は、ビニルジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、水素ジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、ビニル二量体中の白金錯体、およびエチニルシクロヘキサノールを含む。特定の実施形態において、エラストマー形成組成物は、DDR−4320またはDDU−4320(NuSil Technology LLCから市販)である。別の特定の実施形態において、エラストマー形成組成物は、LSR92またはLSR86(Bluestar/Elkemから入手可能)である。別の特定の実施形態において、エラストマー形成組成物は、Silbione Biomaterial LSR D140(Bluestar/Elkemから入手可能)である。
デバイス、好ましくは、リングが、それぞれの薬学的に許容される賦形剤の性質に応じて、1種以上の追加の薬学的に許容される賦形剤を含むためである場合、それぞれの薬学的に許容される賦形剤は、工程a)の間、工程b)の間、または工程b)の後のいずれかで添加される。当業者であれば、任意の賦形剤を、いつ、どのように添加することができるかを理解する。最も好ましい実施形態において、リングは、エラストマー以外の薬学的に許容される賦形剤を含まない。
本発明の方法の好ましい実施形態において、工程a)は、
a1)プロゲステロンを薬学的に許容されるポリマー形成組成物および架橋触媒と混合して、混合物Aを形成することと:
a2)プロゲステロンを薬学的に許容されるポリマー形成組成物および架橋剤および触媒阻害剤と混合して、混合物Bを形成することと;
a3)混合物AおよびBを混合することと
を含み、薬学的に許容されるポリマー形成組成物、架橋触媒、架橋剤、および架橋阻害剤は、上記の方法の実施形態のいずれかにおいて記載されたものである。
混合物A中のプロゲステロンの濃度は、最終濃度が、上記の膣デバイスの実施形態のいずれかについて記載された濃度である限り、混合物B中の濃度と同じであり得るか、または異なり得る。特定の実施形態において、混合物A中のプロゲステロンの濃度は、混合物B中の濃度と同じである。混合物A中のプロゲステロンの多形体Iの多形純度は、最終の多形体Iの多形純度が、上記の膣デバイスの実施形態のいずれかについて記載された多形純度である限り、混合物B中の多形純度と同じであり得るか、または異なり得る。特定の実施形態において、混合物A中のプロゲステロンの多形体Iの多形純度は、混合物B中の多形純度と同じである。
実施形態において、シリカフィラーが用いられる場合、これは、混合物Aの部分を形成する。
特定の実施形態において、工程a3)の混合は、混合物Aおよび混合物Bを高速ミキサーに添加すること、および混合することを意味する。より特定の実施形態において、混合物Aおよび混合物Bの高速ミキサーへの添加は、およそ1:1の比である。特定の実施形態において、前記添加は、混合物のミキサーへのポンプ注入による。特定の実施形態において、高速ミキサーは、静的インラインミキサーである。特定の実施形態において、混合物AおよびBの混合は、乱流によって行われる。
追加の態様において、本発明は、上記で述べた方法の実施形態のいずれかによって得られ得る、膣デバイス、好ましくは、リングを提供する。
本発明は、追加として、医薬における使用のための、膣内デバイス、好ましくは、リングであって、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングに言及する。
本発明はまた、不妊症の治療、特に、生殖補助技術における使用のための膣内デバイス、好ましくは、リングであって、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングを提供する。
本発明はまた、閉経周辺期の症状の治療における使用のための膣内デバイス、好ましくは、リングであって、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングを提供する。
本発明の文脈において、治療される対象は、雌性対象である。特定の実施形態において、雌性対象は、非ヒト雌性対象である。別の実施形態において、雌性対象は、動物である。別の実施形態において、雌性対象は、ヒトである。
本発明はまた、それを必要とする雌性対象における不妊症を治療するため、特に、生殖補助技術のための方法であって、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングを患者に投与することを含む、方法に関する。
本発明はまた、それを必要とする雌性対象における閉経周辺期の症状の治療のための方法であって、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングを患者に投与することを含む、方法に関する。
本発明はまた、不妊症の治療のため、特に、生殖補助技術における、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングの製造のための方法であって、膣内デバイスが、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、方法に関する。
本発明はまた、雌性対象における閉経周辺期の症状の治療のための、上記の実施形態のいずれかに記載の、膣内デバイス、好ましくは、リングの製造のための方法であって、膣内デバイスが、
・ 治療有効量のプロゲステロン;
・ 薬学的に許容される担体;
を含む、方法に関する。
本発明の文脈において、「治療有効量」という用語は、妊娠初期の確立および維持のための子宮内膜における適切なプロゲステロンの効果を発揮するために十分な子宮内のプロゲステロンのレベルを達成することを可能にする膣内デバイス中のプロゲステロンの量を指す。閉経周辺期の症状の治療に関して、「治療有効量」という用語は、更年期障害を治療または緩和することを成功裏に可能にする膣内デバイス中のプロゲステロンの量を指す。
本明細書で使用される場合、他に指示されない限り、「不妊症を治療する」、「不妊症の治療」という表現、および同様の表現は、胚着床を確立するため、および妊娠初期を持続するために雌性対象の自然もしくは誘導された不能を復帰させること、または防止することを意味し、特に、受胎補助とも呼ばれる生殖補助技術において、黄体期をサポートすることを指す。この用語はまた、閉経周辺期の症状を、緩和すること、進行を阻害すること、復帰させること、または防止することを指す。
不妊症の治療における黄体期のサポート
黄体期は、排卵の発生から、妊娠の確立まで、または2週間後の月経の再開までの期間として定義される。生殖補助医療の文脈において、黄体期のサポート(LPS)は、着床のプロセスをサポートするとの目的を伴った医薬品の投与を説明するために使用される用語である。
黄体の機能は、IVFサイクルにおいて損なわれることが良く確立されている。ARTにおける黄体期の異常についての理由は複数である。黄体の機能が、顆粒膜細胞が機械的に破壊および吸引されると、卵母細胞の回収のための卵胞の吸引のプロセスによって、損なわれることが示されている。黄体期欠損が、長いGnRhアゴニストのプロトコールにおいて起こること、および一般に生殖補助医療の帰結としての黄体の欠乏が、卵母細胞の回収のための卵胞の吸引のプロセス、排卵誘発およびの卵胞発達の刺激のための妊孕性医薬品、特に、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストの使用によって、部分的に引き起こされることが証明されている。黄体期のサポートの非存在下において、プロゲステロンについての曲線下面積は、最適以下であり、これは、早期の黄体退縮に付随して起こった。サポートなしのサイクルにおいて、黄体期の長さは、短縮され、早期の出血が起こった。多くのメタ分析は、黄体のサポートが、IVFの結果を改善することと一致した。プロゲステロンによる黄体期のサポートはまた、GnRHアゴニストおよび非GnRHアゴニストサイクルにおけるプラセボまたは無治療と比較して、臨床妊娠率と生児出生の顕著な増加をもたらした。
結果として、特に、プロゲステロン補充による、黄体期のサポートは、不可欠、かつ、一部の場合では、不妊症の治療の間に起こり得る任意の黄体機能不全を無効にするために必須であると考えられる。特に、プロゲステロンによる黄体期のサポートが、排卵誘発治療を受けている無排卵性の患者において、およびIVFなどのARTの前、または子宮内精子注入(IUI)などの他の不妊症の治療の前に、複数の卵胞発達の刺激を受けている排卵している患者において、妊娠の結果を改善することを証明した。
したがって、本発明の好ましい実施形態において、上記の実施形態のいずれかに記載の膣内デバイス、好ましくは、リングの使用は、黄体期のサポートのためである。本発明の文脈において、黄体期のサポートは、胚着床および初期の妊娠持続を助けるため、または改善するための、雌性対象へのプロゲステロンの補充または置き換えを指す。
好ましい実施形態において、上記の実施形態のいずれかにおいて、本発明の膣内デバイスの使用は、不妊症治療のプロトコールを受けている雌性対象においてである。特定の実施形態において、不妊症治療のプロトコールは、妊孕性医薬品の投与を含む。特定の実施形態において、不妊症治療のプロトコールは、排卵誘発、または複数の卵胞発達の刺激を含む。特定の実施形態において、不妊症の医薬は、排卵誘発、または複数の卵胞発達の刺激のために用いられる。
特定の実施形態において、不妊症治療のプロトコールは、ARTプロトコールである。さらにより特定の実施形態において、ARTプロトコールは、IVF、ICSI、GIFT、ZIFTまたはFETである。好ましい実施形態において、ARTプロトコールは、IVFまたはICSIである。特定の実施形態において、ARTプロトコールは、IVFである。特定の実施形態において、ARTプロトコールは、ICSIである。
別の特定の実施形態において、不妊症治療のプロトコールは、人工授精プロトコールである。より特定の実施形態において、人工授精プロトコールは、IUIである。「プロトコール」は、本発明において、「サイクル」などと同義で用いられることに留意すべきである。
特定の実施形態において、雌性対象は、無排卵性である。特定の実施形態において、雌性対象は、無排卵性であり、排卵誘発に付される。別の特定の実施形態において、雌性対象は、排卵性である。別の特定の実施形態において、雌性対象は、排卵性であり、複数の卵胞発達の刺激に付される。
別の実施形態において、雌性対象が、不妊症治療のプロトコールを受けているか、受ける予定であるか否かに関わらず、雌性対象は、黄体期欠損(LPD)を患っている。「黄体期欠損」(LPD)という用語は、正常な雌の月経周期における崩壊を指す。LPDは、黄体期の機能不全、不適切、不良または欠乏としても公知である。これは、視床下部/下垂体、卵巣または子宮内膜のレベルでの異常から生じ得、それによって、雌の身体は、十分なホルモンのプロゲステロンを生成しないか、またはホルモンの天然のレベルに完全に応答しない。これは、黄体期の間に子宮の内膜(子宮内膜)の発達の遅延をもたらす。LPDは、子宮内膜を分泌期に変化することができないという結果をもたらし得、それによって、子宮の内膜は、破壊が始まり、月経出血を起こし、流産を引き起こす。特定の実施形態において、LPDは、異常な卵胞形成、急激な黄体形成ホルモンのサージ、黄体によるプロゲステロンの不十分な分泌、原発性卵巣機能不全、卵巣の欠如、早期卵巣機能不全、卵巣準備の減少、性腺発育不全、特発性卵巣機能不全、性腺欠損機能によって引き起こされる。
前述から明らかであるように、本発明の膣デバイスは、生まれつきプロゲステロンが欠乏しているが、不妊症治療のプロトコールに付されていない雌性対象、生まれつきプロゲステロンが欠乏しているが、不妊症治療のプロトコールの結果としてそうなるか、またはそうなり得る雌性対象、または、生まれつきプロゲステロンが欠乏しているが、不妊症治療のプロトコールに付されている雌性対象における使用のために想定される。
特定の実施形態において、上記の実施形態のいずれかにおいて、本発明の膣内デバイスの使用は、妊娠の第一期における自然流産(流産)の危険性を低減する。別の特定の実施形態において、本発明の膣内デバイスの使用は、妊娠の最初の2か月における自然流産の危険性を低減する。さらにより特定の実施形態において、妊娠の初月における自然流産の危険性を低減する。
別の実施形態において、上記の実施形態のいずれかにおいて、不妊症の治療は、排卵、胚着床および/または妊娠初期の持続を可能にするために有用な少なくとも1種の他の活性物質の投与を含む。特定の実施形態において、少なくとも1種の他の活性物質は、エストロゲンであり、これは、当技術分野において公知の経路によって投与され得る。特定の実施形態において、少なくとも1種の他の活性物質およびプロゲステロンは、本発明の膣デバイスに含まれる。
本発明による膣デバイスは、黄体期のサポートを提供するのに有効であるが、有利には、膣出血の危険性を防止または低減する。本明細書で使用される場合、「膣出血」または「出血」という用語は、膣による任意の種類の血液の排出を指す。これは、スポッティング(数滴の血液)から大出血(多量の血液の流れ)までの範囲であり得る。好ましくは、これは、重度の出血および大出血を指す。
したがって、好ましい実施形態において、上記の実施形態のいずれかにおいて、本発明の膣デバイスは、不妊症の治療において、かつ同時に、膣出血の危険性の防止または低減において、有用である。特定の実施形態において、本発明の膣デバイスは、膣出血または過度の膣出血をもたらす黄体のサポートの治療を交換するために用いられる。
特定の実施形態において、上記の実施形態のいずれかにおいて、膣内デバイスは、少なくとも7日の期間(膣デバイスの挿入からカウントされる)、交換されない。好ましい実施形態において、膣内デバイスは、14日の期間、交換されない。特定の実施形態において、膣内デバイスは、15日、16日、17日または18日の期間、交換されない。
本発明者らは、本発明によるデバイス、好ましくはリングを、患者におけるどんな出血も観察することなく、子宮内膜を分泌期に成功裏に変化するためのこれらの期間の間、取り出すことなく、または交換することなく、使用し得ることを見出した。特定の実施形態において、膣内デバイスは、胚移植の1〜7日前、胚移植の2〜6日前、胚移植の3〜5日前、または胚移植の4日前に投与される。特定の実施形態において、これは、胚移植の1日前に投与される。
閉経周辺期
上で述べたように、本発明はまた、閉経周辺期の症状を治療するために有用である。本発明の文脈において、プロゲステロン欠乏は、閉経周辺期の症状の根底にあるか、またはそれらに寄与する。
閉経期は、雌性対象において、連続した12か月の期間、月経がないことと定義される。雌性対象における身体的変化は、最後の月経周期の数年前に始まる。この移行期は、閉経周辺期と呼ばれ、最大で6〜10年続き得る。これは、期間の間の時間の長さの変化により始まり、最後の月経期間の12か月後に終わる。閉経周辺期の間、より多くの卵子が、それぞれの月経周期の間に漸加および刺激され、通常より高いエストロゲンレベルおよび通常より低いプロゲステロンレベルをもたらす。
本発明の膣内デバイスは、閉経周辺期におけるプロゲステロン補充のために有用である。デバイスは、他のホルモン投与、プロゲステロン、またはエストロゲンなどの他のホルモンのいずれかによって、補充され得る。
本発明の膣デバイスにより治療することができる閉経周辺期の症状の例は、月経過多、不規則な周期、ホットフラッシュ、寝汗、尿失禁、骨粗しょう症、睡眠障害、気分変動、神経過敏、不安、動悸、記憶力および/もしくは集中力の喪失、性欲減退、疲労、泌尿生殖器の萎縮、乳房の萎縮、または心臓血管疾患である。好ましい実施形態において、閉経周辺期の症状は、月経過多、骨粗しょう症、睡眠障害または心臓血管疾患である。
以下の実施例は、本発明の説明の目的のためのものであり、本発明の範囲をいかなる方法においても限定することを意図するものではない。したがって、当業者には、さまざまな置換および改変を、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示の本発明に対して行うことができることは容易に明らかであろう。
実施例1:膣内リングの製造および特性評価のプロセス
DDR−4320(NuSil Technology LLCから市販)を本発明の膣リングの調製において用いる。DDR−4320の組成は以下の通りである。
部分A − ビニルジメチル末端ブロックシリコーンポリマー;ビニル二量体中の白金錯体。
部分B − ビニルジメチル末端ブロックシリコーンポリマー;水素ジメチル末端ブロックシリコーンポリマー、エチニルシクロヘキサノール。
1.9675gの部分Aを、0.1875gのプロゲステロン(ここで、リング中のプロゲステロンの実質的にすべてが多形形態Iである;商業的に入手)と混合する。別の容器において、1.9675gの部分Bを、0.1875gのプロゲステロン(部分Aと混合するために用いられるプロゲステロンと同じ)と混合する。
2つの混合物を、それらが乱流によって混合される静的インラインミキサーに、1:1の割合でポンプ注入する。この混合物を型に注入し、リングを120℃で45秒間硬化させることによって形成する。このようにして得られた膣内リングの重量は4.31gであり、以下で構成される。
Figure 2021518405
X線回折による膣内リングのプロゲステロン多形体Iの特定および定量化
機器および実験条件
得られたリングを切断して、約1ミリメートルの厚さのディスク形状の試料を得た。ディスク形状の試料を、3.6μメートルの厚さのポリエステルフィルムの間に挟んだ。
試料を、半径が240ミリメートルのPANalytical X’Pert PRO MPDθ/θ粉末回折計を用いて、合焦ミラーを備えた収束ビーム、および低吸収フィルムの間に挟まれた平らな試料を有する透過配置の構成で分析した。以下の条件を用いた:
Cu Kα線(λ=1.5418Å)。
作動出力:45kV − 40mA。
0.4ミリメートルのビーム高さを規定する入射ビームスリット。
入射および回折ビーム 0.02ラジアン ソラースリッド。
PIXcel検出器:有効長=3.347°。
2θ/θは、0.026°2θのステップサイズで2〜70°2θ走査し、かつステップあたり600秒の測定時間。
結果
観察された結晶ピークは、プロゲステロンの結晶型I(アルファ型)の存在を示し、他の多形体、特にII型は見られなかった。図1は、重ね合わせた(参照パターンは垂線として表し、分析された試料はピークとして表した)プロゲステロンI型(アルファ型)の参照パターンPDF#0−37−1690に相当するピークを有する試料のX線粉末ディフラクトグラムを表す。この機器の技法および試料の種類では、定量限界は1〜5%である。したがって、I型の多形純度は少なくとも95%であると保証することができる。
示差走査熱量測定による
機器および実験条件
本発明の文脈において、多形純度の値は、以下のDSC法によって得られるエンタルピーの測定値に基づいて計算される。
試料を40μLの容量のアルミニウムるつぼ中で調製した。試料をMettler Toledo DSC822eを用いて分析した。以下の条件を用いた:
ガス:乾燥窒素50mL/分。
方法:10℃/分の速度で30℃から200℃まで加熱。
結果
得られた曲線は、プロゲステロンの結晶型I(アルファ型)の存在を示し、他の多形体、特にII型の存在は見られなかった。図2は、5.83J/gの熱に関連する129℃からの吸熱現象を示すDSC曲線を表す。この吸熱は、プロゲステロンの多形形態I(アルファ型)の溶融の結果であると考えることができる。他の特徴的な吸熱は特定されなかった。
実施例2:健康な閉経前の女性ボランティアにおいて0.375g、0.125gおよび0.040gの天然プロゲステロンを含有する3つの膣リングを評価するための、薬物動態、薬力学および耐容性研究
これは、フェーズI〜IIの、単一施設、無作為化、実対照、パラレル群の用量反応臨床試験である。
目的:
1.それぞれ、0.375g、0.125gおよび0.040gのプロゲステロンを含有する3つの膣リングの薬物動態プロファイルを評価する
2.子宮内膜のゲスターゲン性変化の生成における3つの膣リングの効果を評価する
3.プロゲステロン膣リングの耐容性および許容性を評価する
対象の数:
合計で24人の対象、試験群あたり8人
検討下での病状または疾患:
研究集団は、健康なボランティアであるが、試験製品は、体外受精(IVF)/生殖補助医療(ART)の文脈における黄体期欠損(LPD)の治療のために設計されている。
組み入れ基準:
・ 出産の可能性がある健康な成人女性(18〜45歳を含む)。
・ 18〜25kg/m2(両方を含む)の肥満度指数(BMI)の範囲の制限。
・ 正常な膣の外観。
・ 正常な子宮頸部細胞診。
・ B型肝炎表面抗原(HBsAg)、C型肝炎ウイルス抗体(AbHCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)について血清反応陰性。
・ プロトコールの手順および評価に従う認識ならびに意向を示す書面によるインフォームドコンセント。
・ 試験期間の間、経口避妊薬を一時中断する意向。
除外基準:
・ 関連する婦人科病状(子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜の能力に影響を与える子宮の異常)。
・ 子宮内膜の組織診が禁忌もしくは禁止される、あらゆる最近の病状または随伴する病状。
・ 登録の1か月前内のあらゆる時点での関連する外陰腟炎(感染性または非感染性)。
・ エストロゲンの使用に対するあらゆる禁忌(新生物など)。
・子宮内避妊器具(IUD)および/またはホルモンインプラントの併用。
・ 能動喫煙者(35歳を超える場合)。
・ 研究のコンプライアンスを危険にさらすという研究者の見解があり得る、あらゆる併発疾患。
・本研究において使用される医薬(酢酸リュープロレリン、エストラジオール半水和物、プロゲステロン)の有効成分または賦形剤に対する過敏症、アレルギー、または既知の耐性。
・ 妊娠、妊娠するか、または授乳する意思。
・ 本研究における登録の3か月前以内に新たな化学物質を含む別の臨床研究への参加(本研究における登録の4週間前以内のジェネリックを含む場合)。
・ 遮断法の避妊を使用することに協力しないか、または使用できない。
・ 無傷の処女膜。
・静脈の血栓塞栓性障害(深部静脈血栓症、肺塞栓症)または動脈(アンギナ、心筋梗塞、脳卒中)。
・ 対象の凝固性亢進状態に影響を与え得る凝固障害またはあらゆる障害。
研究の治療:
試験製品および用量:
・ T3:0.375gの天然プロゲステロンを有する膣リング
・ T4:0.125gの天然プロゲステロンを有する膣リング
・ T5:0.040gの天然プロゲステロンを有する膣リング
投与様式:それぞれの対象において、1つのリングの単回挿入
研究の治療とは別に、それぞれの対象は以下の治療を受ける:
・ GnRH − 内因性ホルモンの生成を抑制するための注射
・ 子宮内膜の増殖期を生じさせるためのエストロゲンパッチ
・ 場合により、対象は、研究の最後に1サイクルの経口避妊薬を受ける場合がある
治療の期間:
18±1日
研究の手順および評価:
スクリーニング来診、2晩のフェーズI臨床ユニットにおける入院、追跡の来診、および最終の電話連絡を含んで、20回の来診がスケジュールされた。
それぞれの対象の参加は、5週間までのスクリーニング/準備段階、およそ18日の研究の治療期間、およそ10日の追跡期間、および3週間の最終観察期間:研究の来診は合計で9週間、および研究の参加は合計で12週間。
選択/スクリーニング:
それぞれの対象は、最初の来診(来診0)のために臨床ユニット(CU)を訪れ、その間に、研究は完全に詳細に説明され、正式な同意が要求される。同意する場合、対象は、一般的な健康診断、ならびに一般的なラボ試験(臨床化学、血液学、血清学、尿検査)および細胞学を受ける。
来診1は、婦人科検査、妊娠試験、適格性の再検討、膣超音波検査、採血(ホルモンレベルを決定するため)およびGnRH−a IM注射(Ginecrinデポー3.75mg)を含む。
来診2は、対象の月経が終了したときに行われなければならず、婦人科検査、ホルモン抑制の確認(子宮内膜の厚さが7mm未満を確認するための膣超音波検査、および60pg/ml未満の17−β−エストラジオールを決定するための採血による)を含む。次いで、対象は、エストロゲン治療(Estradot 75mcg/日のパッチ)を開始する。
来診3は、2回目および最後のGnRH−a IM注射(Ginecrinデポー3.75mg)を含む。
来診4は、婦人科検査、子宮内膜の厚さが>7mmを確認するための膣超音波検査、および1ng/ml未満でなければならないプロゲステロンレベルを決定するための採血を含む。
来診5は、対照が無作為化、試験薬物の治療、およびPK採血のためにCUにおいて入院しなければならないときである。来診6、7は、さらなるPK試料採取を含む。
来診8は、婦人科検査、膣超音波検査、およびホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診9、10は、ホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診11は、婦人科検査、膣超音波検査、およびホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診12は、ホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診13は、婦人科検査、膣超音波検査、およびホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診14は、ホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診15は、婦人科検査、膣超音波検査、ホルモンレベルを決定するための採血、および子宮内膜組織診を含む。
来診16は、ホルモンレベルを決定するための採血を含む。
来診17は、婦人科検査、膣超音波検査、およびホルモンレベルを決定するための採血を含む。研究治療は、ここで、膣リングの除去により終了し、エストロゲンパッチを停止する。
来診18(研究の最後)は、一般的な健康診断、婦人科検査、膣超音波検査、ホルモンレベルを決定するための採血、一般的なラボ試験(臨床化学、血液学、尿検査、血清妊娠検査)を含む。対象は1サイクルの経口避妊薬の申し出を受ける(強制ではない)。
来診19(安全性の追跡)は、安全性を評価するために、特定の研究治療の最後の4週間後に電話による。
評価のための基準:
1.薬物動態:
一次PKパラメーター
・ 投与から、時間tでの定量限界(0とは異なる)を上回るプロゲステロンの最後に観察された濃度までの曲線下面積:(AUC0−t)。
・ 投与から、408時間での最後の採血までの曲線下面積(AUC0−408h)。
・ プロゲステロンの血清濃度から得られた最大濃度:(Cmax)。
・ 408時間での最後の採血でのプロゲステロンの血清濃度から得られた濃度:(Cmin)。
・ AUC0−408h/投与間隔(t)の値として計算される平均濃度(Cav)。
二次PKパラメーター
・ 最大濃度までの時間(Tmax)
・ 無限時間まで推定した曲線下面積:AUC0−∞
・ FI=((Cmax−Cmin)/Cav)×100)として計算される%FI。
2.薬力学:
・ 治療の14日後の子宮内膜の組織学的変化
・ ホルモン治療への応答における超音波検査による子宮内膜の特徴
3.耐容性および安全性
・ 出血エピソードの発生率、強さ、期間および発展の評価
・ 局所症状および徴候の評価による膣リングの耐容性の評価
・ 膣リングの許容性の評価
・ 有害事象の説明
結果および結論
1.薬物動態の結果
プロゲステロンの血清濃度は、図4に示すように、治療あたりで一覧にし、薬物動態パラメーターを、それらから得るか、または計算した。
それぞれの製剤についての薬物動態パラメーターを下記の表に列挙する(平均値(SD))。
Figure 2021518405
2.薬力学の結果
子宮内膜の組織学的変化
研究の治療の間の差が認められた。子宮内膜の変化スケールおよびNoyesの日付決定システムの両方に従って、かなりの子宮内膜の変化が、T3およびT4の膣リングで観察されたが、最低用量のリングT5では弱かった。T3は、すべての症例において中程度または高度の子宮内膜の変化を生じた唯一の製剤であった。
T3およびT4対T5の間の差は、統計学的に有意(それぞれ、p=0.004;p=0.011)であるが、T3対T4を比較した場合、優位性には達しない。
それぞれの製剤についての子宮内膜の変化スケールの結果を下記の表に列挙する。
Figure 2021518405
3.耐容性および安全性の結果
膣出血
いくつかの出血エピソードが、治療の最初の14日の間に、膣リングを受けた女性において観察された。T3で観察されたすべての症例は、軽度の出血(スポッティング)から成ったが、この期間の間のすべての重度の出血エピソードは、T4およびT5治療を受けた女性において観察された。T4による治療下の2人のボランティア、およびT5による治療下の7人のボランティアにおいて、膣リングを、重度の膣出血を原因として、早期に除去した。これらの患者は研究を早期中止し、子宮内膜の変化を評価するための組織診を、治療の14日後のスケジュールされた来診の数日前に行った。これらの9人の患者のうち、T5による治療下の1人のみが、組織診が行われる時まで、血清エストラジオールのレベルが低かったが、9人の患者全員が、低レベルの血清プロゲステロンを示した。
研究の最終日(来診17および18)の間に、重度の消退出血が、すべての治療群において観察された。
耐容性
膣リングで治療されたすべての女性は、すべての来診において、正常な膣の外観を示した。女性のだれも、炎症、膣粘膜のびらん、熱傷、性交疼痛症、または他の局所的な徴候および症状を示さなかった。T3による治療下の1人のボランティアのみが、類のない来診において、中程度の疼痛を示した。T4およびT5で治療された女性のだれも、どの来診においても不快感または掻痒を述べなかった。いくつかの不快感が、T3を受けた女性において観察され(2人の女性が、1回の研究の来診で軽度の不快感を示し、1人の女性が、3回の研究の来診で中程度の強さの不快感を示した)、また、治療の間で臨床的に関連せず、統計学的にも有意ではない、いくつかの掻痒(中程度の強さ)が観察された。研究の参加者は、3つの膣リングに十分に耐容性であった。
許容性
3つの膣リングは、研究の参加者によって十分に許容可能であった。耐容性、衛生および利便性に関する研究の治療の間に有意差は観察されなかった。
有害事象
深刻な有害事象は、研究の間に記録されなかった。33の軽度の有害事象、および3の中程度の有害事象が、それらのうちの28件で、T3で報告された。
結論
T3、T4およびT5製剤の間の統計学的有意差は、分析された最も関連する薬物動態パラメーターにおいて示される。
線形分析は、漸増用量(0.040から0.375g)による薬物動態パラメーターにおいて比例未満の増加を示す。
すべての膣リング(0.375g、0.125gおよび0.04g)は、リングから放出されたプロゲステロンの効果に起因して、子宮内膜のゲスターゲン性変化を生じさせる。
組織学的に分析すると、子宮内膜のゲスターゲン性変化に関する用量反応効果がある。試験されたこれらの3用量のうち、T3(0.375g)は、最も高いゲスターゲン性効果を生じさせた。
0.375g用量(T3)によって生じたプロゲステロンの全身曝露は、以前の薬物動態および薬力学研究において観察されたものと同じ大きさである。この研究において、2つのより高い用量も分析され(1.5gおよび0.75g)、主な薬物動態パラメーターにおける差は、3つの用量の間で示されなかった。
両方の研究の結果を考慮すると、薬物動態の視点から、0.375gの用量が、最大のプロゲステロンの全身レベルを生じる最小の研究された用量であるという結論である。加えて、この研究において、0.375g用量(T3)の薬力学的効果は、以前の研究において観察されたものと同様の大きさであり、差は、子宮内膜のゲスターゲン性変化を生じるそれらの能力において、試験された3つの用量(1.5g、0.75gおよび0.375g)の間で示されなかった。両方の研究の結果を考慮すると、薬物動態の視点から、0.375g(T3)の用量が、最小有効用量に相当するという結論である。
出血パターンは、3つの試験された治療の間で相違した。重度の膣出血が、T4およびT5のよる治療の2週目の間に起こったが、少量のスポッティングのみがT3で観察された。早期の重度の出血が、T5を受けた女性において観察された。9人の女性(2人はT4を受け、7人はT5を受けている)は、重度の出血を原因として、研究を早期に中止した。
すべての治療は、良好な耐容性/安全性プロファイルを示し、いかなる予想外の有害事象も示さなかった。ほとんどの有害事象は、軽度であり、群の間の差は証明されなかった。
実施例3:健康な閉経前の女性ボランティアにおいて1.5g、0.75gおよび0.375gの天然プロゲステロンを含有する3つの膣リングを評価するための、薬物動態、薬力学および耐容性研究
臨床試験を、実施例2の同じ方法論に従って実施した。時間に対するプロゲステロンの血清濃度を図3に示す。
実施例4:プロゲステロンの放出プロファイル
本発明による膣リングについての経時的なプロゲステロンの放出を、プロゲステロンの他の多形形態を含む膣リングのものと比較した。
プロゲステロン多形体I(アルファ)は、約129℃の融点を有する。多形形態Iのプロゲステロンを本発明のリングの調製のために用い、かつその融点を上回る温度を硬化の間に用いる場合、重合プロセスの間にプロゲステロンが溶融し、プロゲステロン多形体II(ベータ)が現れることが検証された。
多形体IIの出現が、最終製品にどのように影響を与え得るかを検証するために、プロゲステロンの融点より下(120℃)および上(150℃)の温度で、リングを表Iに記載の組成で製造し、方法を下記に記載した。次いで、リングを特性評価し、インビトロでのプロゲステロンの放出プロファイルを決定した。
Figure 2021518405
製造のために、プロゲステロンの半分を、LSRのそれぞれの部分と混合し、次いで、両方の成分を混合し、型に注入し、その中で異なる温度を使用して硬化を行って、リングを得た:第1のリングは120℃で硬化され(本発明)、他のリングは150℃で硬化された(比較)。得られたリングを、SEM、XRDおよびDSCを使用して、特性評価した。これらの技法は、リングがプロゲステロンの融点の下で製造される場合に、多形体Iのみが現れ、対照的に、多形体I、IIおよび他の多形体は、融点を上回る場合に現れることを確認した。
また、プロゲステロンの融点を下回る温度で硬化したリングは、それらの表面にいくつかの結晶粒子を示すが、対照的に、プロゲステロンの融点を上回る温度で製造されたリングは、異なる形態および元のAPIよりも小さいサイズで、表面においてプロゲステロン結晶のはっきりとした増加を示すことをチェックした。
プロゲステロンのインビトロのプロファイルに関して、研究を、シンク条件を使用して、および連続撹拌を使用して、IPA/水(60/40)中、37℃にリングを置くことによって、行った。放出を11日にわたって研究した。プロゲステロンを、検証されたHPLC法を使用して測定した。150℃で硬化したリングは、120℃で硬化したリングと比較して、より高いバースト効果およびより高い放出率を有することが観察された(表IIを参照のこと)。
Figure 2021518405

Claims (20)

  1. プロゲステロンを含む膣内リングであって、前記プロゲステロンの少なくとも約75%が、多形形態Iである、膣内リング。
  2. 前記プロゲステロンの少なくとも約95%が、多形形態Iである、請求項1に記載の膣内リング。
  3. 前記リングの総重量に対して、17.4重量%〜2.9重量%のプロゲステロンを含む、請求項1または2に記載の膣内リング。
  4. 前記リングの総重量に対して、11.6重量%〜2.9重量%のプロゲステロンを含む、請求項3に記載の膣内リング。
  5. 前記リングの総重量に対して、8.7重量%〜2.9重量%のプロゲステロンを含む、請求項4に記載の膣内リング。
  6. 0.75〜0.100gのプロゲステロンを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の膣内リング。
  7. 0.50〜0.125gのプロゲステロンを含む、請求項6に記載の膣内リング。
  8. 0.375〜0.125gのプロゲステロンを含む、請求項7に記載の膣内リング。
  9. 薬学的に許容される担体としてポリマー組成物をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の膣内リング。
  10. 薬学的に許容される担体として少なくとも1種のシリコーン系エラストマーをさらに含む、請求項9に記載の膣内リング。
  11. 前記膣内リングが、約50〜約60mmの外側直径、および約5〜約8mmの断面直径を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の膣内リング。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の膣リングを作製するための方法であって、
    a)プロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は多形形態Iである)を薬学的に許容されるポリマー組成物と混合する工程と、
    b)工程a)から得られる混合物を120℃以下の温度で硬化させる工程と
    を含む、方法。
  13. 前記薬学的に許容されるポリマー組成物が、ビニルジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、水素ジメチル末端ブロック化ポリシロキサン、ヒドロシリル化(hydrosililation)を促進する触媒、および触媒阻害剤を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項12または13に記載の方法によって得られ得る膣内リング。
  15. 医薬における使用のための膣内リングであって、
    治療有効量のプロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は、多形形態Iである)と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む、膣内リング。
  16. 不妊症の治療における使用のための膣内リングであって、
    治療有効量のプロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は多形形態Iである)と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む、膣内リング。
  17. 前記不妊症の治療が、生殖補助医療である、請求項16に記載の使用のための膣内リング。
  18. 前記不妊症の治療が、黄体期のサポートを含む、請求項17に記載の使用のための膣内リング。
  19. 前記膣内リングが、少なくとも14日の期間、交換されない、請求項16〜18に記載の使用のための膣内リング。
  20. 閉経周辺期の1種以上の症状の治療における使用のための膣内リングであって、
    治療有効量のプロゲステロン(ここで、前記プロゲステロンの少なくとも75%は多形形態Iである)と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む、膣内リング。
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