JP2021518161A6 - 免疫療法の改善のための遺伝子調節組成物及び遺伝子調節方法 - Google Patents

免疫療法の改善のための遺伝子調節組成物及び遺伝子調節方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、免疫エフェクター細胞を改変して、治療有効性を向上させることに関する方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させるか、または内在性タンパク質の1つ以上の機能を低下させて、免疫細胞のエフェクター機能が増強されるように改変した免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、外因性T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)のように、抗原特異性を付与する導入遺伝子を導入することによってさらに改変した免疫エフェクター細胞を提供する。本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞を用いて、がんのような細胞増殖性障害を治療する方法も提供する。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2018年3月15日に出願された米国特許仮出願第62/643,578号、2018年6月29日に出願された米国特許仮出願第62/692,010号、2018年11月16日に出願された米国特許仮出願第62/768,428号、2018年3月15日に出願された米国特許仮出願第62/643,587号、2018年6月29日に出願された米国特許仮出願第62/692,019号、2018年11月16日に出願された米国特許仮出願第62/768,443号、2019年2月12日に出願された米国特許仮出願第62/804,265号、2018年3月15日に出願された米国特許仮出願第62/643,597号、2018年6月29日に出願された米国特許仮出願第62/692,100号、2018年11月16日に出願された米国特許仮出願第62/768,448号、2018年3月15日に出願された米国特許仮出願第62/643,598号、2018年6月29日に出願された米国特許仮出願第62/692,110号、及び2018年11月16日に出願された米国特許仮出願第62/768,458号に基づく優先権を主張するものであり、これらの仮出願はそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される。
電子的に提出したテキストファイルの説明
本明細書とともに電子的に提出したテキストファイル、すなわち、配列表のコンピューター可読形式のコピー(ファイル名:KSQT_007_04WO_SeqList_ST25.txt、記録日:2019年3月14日、ファイルサイズ308キロバイト)の内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
分野
本開示は、標的核酸配列を編集するか、または標的核酸配列の発現を調節するための方法、組成物及び構成成分、ならびに、細胞増殖性疾患、炎症性疾患及び/または感染症の治療において、受容体導入免疫エフェクター細胞とともに使用する用途を含め、それらの免疫療法関連用途に関するものである。
遺伝子改変T細胞、特にCAR−T細胞を利用する養子細胞移入は、固形悪性腫瘍及び血液悪性腫瘍に対する療法として、臨床試験段階に入っている。これまでの成果は、まちまちである。血液悪性腫瘍(特に、リンパ腫、CLL及びALL)では、いくつかの第1相試験及び第2相試験の患者の大半で、少なくとも部分奏効が見られ、一部では、完全奏効が見られた(Kochenderfer et al.,2012 Blood 1 19,2709−2720)。2017年には、FDAは、Kymriah(商標)及びYescarta(商標)という2つのCAR−T療法剤を認可し、両方とも、血液癌の治療用であった。しかしながら、大半の種類の腫瘍(メラノーマ、腎細胞癌及び大腸癌を含む)では、血液悪性腫瘍よりも低い奏効が観察された(Johnson et al.,2009 Blood 1 14,535−546、Lamers et al.,2013 Mol.Ther.21,904−912、Warren et al.,1998 Cancer Gene Ther.5,S1−S2)。したがって、成果は大方、B細胞系の血液悪性腫瘍を標的とするCAR−T細胞のアプローチに限定されているので、養子T細胞療法には、改良の余地がかなりある。
Kochenderfer et al.,2012 Blood 1 19,2709−2720 Johnson et al.,2009 Blood 1 14,535−546 Lamers et al.,2013 Mol.Ther.21,904−912 Warren et al.,1998 Cancer Gene Ther.5,S1−S2
上記の種類の腫瘍(メラノーマ、腎細胞癌及び大腸癌、Yong,2017,Imm Cell Biol.,95:356−363)では、奏効の低下が観察されたことから、がん治療での改変免疫細胞の養子移入の有効性を向上させるニーズ、特に、固形悪性腫瘍に対する養子細胞療法の有効性を向上させるニーズが存在する。加えて、養子移入の有益性が観察された血液悪性腫瘍でも、すべての患者が奏効を示すわけではなく、おそらくは、養子移入T細胞の機能の低下により、望ましい頻度を上回る頻度で再発が見られる。
がん治療剤としての遺伝子改変免疫細胞の有効性を制限する要因としては、(1)細胞の増殖性、例えば、養子移入後のT細胞の限られた増殖、(2)細胞の生存性、例えば、腫瘍環境における因子によるT細胞のアポトーシスの誘発、ならびに(3)細胞の機能、例えば、宿主免疫細胞及びがん細胞によって分泌される抑制因子による、細胞傷害性T細胞の機能の阻害と、製造プロセス中及び/または移入後における免疫細胞の疲弊が挙げられる。
免疫細胞の抗腫瘍作用を向上させると考えられる具体的な特徴としては、細胞が、1)養子移入後に、宿主内で増殖する能力、2)腫瘍に浸潤する能力、3)宿主内に存続し、及び/または免疫細胞の疲弊に対する耐性を示す能力、ならびに4)腫瘍細胞を殺傷できる形で機能する能力が挙げられる。本開示は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された免疫細胞を提供し、その改変免疫細胞では、増殖性の向上、腫瘍への浸潤性の向上、対象における免疫細胞の存続、及び/または免疫細胞の疲弊に対する耐性の向上を含め、1つ以上のエフェクター機能の増強が見られる。本開示は、免疫エフェクター細胞を改変して、腫瘍細胞に対する免疫細胞活性の増強を誘導するための方法及び組成物、ならびに養子免疫細胞移入療法との関連で使用するのに適する方法及び組成物も提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、ZC3H12A核酸またはZC3H12Aタンパク質(Regnase−1としても知られている)の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞を提供する。本開示には、CRISPR/Casシステム、ジンクフィンガーシステム及びsiRNA/shRNAシステムを含む複数の方式によってZC3H12Aを阻害することが記載及び実証されている。いくつかの実施形態では、ZC3H12Aの発現/機能の低下は、抗体、小分子またはペプチドによって媒介される。いくつかの実施形態では、本開示は、がん細胞の殺傷方法であって、そのがん細胞を、ZC3H12Aタンパク質阻害剤に暴露することを含み、前記阻害剤が、ZC3H12Aに結合して、ZC3H12Aの機能を低下させる抗体、小分子またはペプチドであり、前記阻害剤が、前記がん細胞を殺傷するのに有効な量である方法を提供する。いくつかの実施形態では、その暴露は、in vitro、in vivoまたはex vivoでの暴露である。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される。
いくつかの実施形態では、本開示は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群から選択され、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ZC3H12A、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ZC3H12A及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ZC3H12A及びTNFAIP3の発現及び/または機能を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、MAP4K1、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、MAP4K1及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、MAP4K1及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、MAP4K1及びTNFAPI3の発現及び/または機能を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、NR4A3、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、NR4A3及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、NR4A3及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、NR4A3及びTNFAPI3の発現及び/または機能を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、(i)1つ以上の核酸分子、(ii)1つ以上の酵素タンパク質、または(iii)1つ以上のガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の核酸分子は、siRNA、shRNA、マイクロRNA(miR)、アンタゴmiRまたはアンチセンスRNAから選択されている。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのsiRNAまたはshRNAは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、そのsiRNAまたはshRNAは、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、そのsiRNAまたはshRNAは、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、そのsiRNAまたはshRNAは、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、そのsiRNAまたはshRNAは、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、複数のsiRNA分子またはshRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択され、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、複数のsiRNA分子またはshRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aであり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aからなる群から選択され、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、複数のsiRNA分子またはshRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、複数のsiRNA分子またはshRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、酵素タンパク質を含み、その酵素タンパク質が、その内在性遺伝子のうちの1つ以上における標的配列に特異的に結合するように操作されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのタンパク質は、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼである。
いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含み、その核酸分子が、ガイドRNA(gRNA)分子であり、その酵素タンパク質が、Casタンパク質またはCasオルソログである改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイドRNA(gRNA)分子、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、そのgRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイドRNA(gRNA)分子、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、そのgRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイドRNA(gRNA)分子、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、そのgRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイドRNA(gRNA)分子、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1であり、そのgRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、ガイドRNA(gRNA)分子、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3であり、そのgRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、複数のgRNA、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、複数のgRNA、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、複数のgRNA、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aであり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、複数のgRNA、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、その遺伝子調節システムが、複数のgRNA、及びCasタンパク質またはCasオルソログを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つは、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、Casタンパク質またはCasオルソログを含む改変免疫エフェクター細胞であって、(a)そのCasタンパク質が、酵素活性ドメインを2つ含む野生型Casタンパク質であり、二本鎖DNA切断を誘導することができるか、(b)そのCasタンパク質が、酵素活性ドメインを1つ含むCasニッカーゼ変異体であり、一本鎖DNA切断を誘導することができるか、または(c)そのCasタンパク質は、不活性型Casタンパク質(dCas)であり、その1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を調節できる異種タンパク質と結合している改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、Cas9タンパク質である。いくつかの実施形態では、その異種タンパク質は、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、Kruppel関連ボックス(KRAB)ドメイン、メチル−CpG結合タンパク質2(MECP2)及びmSin3 4連結ドメイン(SID4X)からなる群から選択されている。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、その1つ以上の内在性標的遺伝子に不活性化変異を導入する。いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、その2つ以上の内在性遺伝子のゲノム配列内の1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換または挿入を含む。いくつかの実施形態では、その欠失は、その2つ以上の内在性標的遺伝子の部分欠失または完全欠失である。いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、フレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、その2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーション、またはマイクロフルイディクスデバイスによる細胞膜の物理的破壊によって、免疫エフェクター細胞に導入されている。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、そのシステムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド、タンパク質またはリボ核タンパク質(RNP)複合体として導入されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、その1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、(a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、その1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、その1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、その2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、CBLB及びBCORの発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、その2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、その2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A及びBCORの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、MAP4K1であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、その2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1及びBCORの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、NR4A3であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、その2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、その改変免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、NR4A3及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、NR4A3及びBCORの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、NR4A3及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、(a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、CBLB遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、ZC3H12A遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、MAP4K1であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、MAP4K1遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、NR4A3であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、NR4A3遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクターは、NR4A3遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、NR4A3遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、その2つ以上の内在性遺伝子のゲノム配列内の1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換または挿入を含む。いくつかの実施形態では、その欠失は、その2つ以上の内在性標的遺伝子の部分欠失または完全欠失である。いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、フレームシフト変異である。いくつかの実施形態では、その不活性化変異は、その2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる。
いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子の発現は、非改変免疫エフェクター細胞またはコントロールの免疫エフェクター細胞と比べて、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低下する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子の機能は、非改変免疫エフェクター細胞またはコントロールの免疫エフェクター細胞と比べて、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低下する。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、その細胞表面に提示された操作免疫受容体をさらに含む。いくつかの実施形態では、その操作免疫受容体は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態では、その操作免疫受容体は、操作TCRである。いくつかの実施形態では、その操作免疫受容体は、標的細胞上に発現した抗原に特異的に結合し、その抗原は、腫瘍関連抗原である。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、免疫活性化分子を発現する外来性導入遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、その免疫活性化分子は、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、活性化ペプチド、抗体またはその抗原結合断片からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その抗体またはその結合断片は、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4またはPDCD1によってコードされるタンパク質に特異的に結合して、そのタンパク質の機能を阻害する。
いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞から選択したリンパ球である。いくつかの実施形態では、そのリンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。
いくつかの実施形態では、そのエフェクター機能は、細胞増殖性、細胞生存能、腫瘍への浸潤性、細胞傷害性、抗腫瘍免疫応答性及び/または疲弊耐性から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、その組成物は、薬学的に許容可能な担体または希釈剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、その組成物は、改変免疫エフェクター細胞を少なくとも1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×1010個または1×1011個含む。いくつかの実施形態では、その組成物は、その組成物が必要な対象に投与するのに適している。いくつかの実施形態では、その組成物は、その組成物が必要な対象に由来する自己免疫エフェクター細胞を含む。いくつかの実施形態では、その組成物は、ドナー対象に由来する同種異系免疫エフェクター細胞を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、(i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、(i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されているか、またはCBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、そのgRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、gRNA分子及びCasエンドヌクレアーゼを含むとともに、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができ、その1つ以上の内在性標的遺伝子は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されており、そのgRNA分子は、配列番号154〜498からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号154〜498からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、そのgRNA分子が、配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号499〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択されており、そのgRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、そのgRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1を含み、そのgRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3を含み、そのgRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されているか、またはCBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されており、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号154〜498から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子は、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号499〜813から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択されており、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号814〜1064から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号1065〜1509から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号510〜1538から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含み、その1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3を含み、そのsiRNA分子またはshRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、そのsiRNA分子またはshRNA分子は、配列番号1539〜1566から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、(e)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(f)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、そのシステムが、(i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2R、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、Casタンパク質を含み、そのCasタンパク質は、(a)酵素活性ドメインを2つ含み、二本鎖DNA切断を誘導することができる野生型Casタンパク質、(b)酵素活性ドメインを1つ含み、一本鎖DNA切断を誘導することができるCasニッカーゼ変異体、(c)その1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を調節することができる異種タンパク質と結合している不活性型Casタンパク質(dCas)である。いくつかの実施形態では、その異種タンパク質は、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、Kruppel関連ボックス(KRAB)ドメイン及びmSin3 4連結ドメイン(SID4X)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、Cas9タンパク質である。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、核酸分子を含み、その核酸分子は、siRNA、shRNA、マイクロRNA(miR)、アンタゴmiRまたはアンチセンスRNAである。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含み、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、その内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている遺伝子調節システムを提供する。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、その複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、DNA結合ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含み、そのタンパク質は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及び転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)から選択されている。
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするベクターを含む遺伝子調節システムであって、その1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、複数のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするベクターを含む遺伝子調節システムであって、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするmRNA分子を含む遺伝子調節システムであって、その1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、複数のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするmRNA分子を含む遺伝子調節システムであって、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のgRNA及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質を含む遺伝子調節システムであって、その1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その1つ以上のgRNAと、そのCasエンドヌクレアーゼタンパク質が複合化して、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、複数のgRNA及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質を含む遺伝子調節システムであって、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、その1つ以上のgRNAと、そのCasエンドヌクレアーゼタンパク質が複合化して、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する遺伝子調節システムを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている遺伝子調節システムを含むキットを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、(d)NR4A3、(e)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2、または(f)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した内在性標的遺伝子内の標的配列に結合するターゲティングドメイン核酸配列を含むgRNA核酸分子を提供する。いくつかの実施形態では、(a)その内在性遺伝子は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、そのgRNAは、表6A及び6Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、(b)その内在性遺伝子は、ZC3H12Aであり、そのgRNAは、表6C及び表6Dに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、(c)その内在性遺伝子は、MAP4K1であり、そのgRNAは、表6E及び表6Fに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、(d)その内在性遺伝子は、NR4A3であり、そのgRNAは、表6G及び表6Hに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、(e)その内在性遺伝子は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群から選択されており、そのgRNAは、表5A及び表5Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、または(f)その内在性遺伝子は、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、そのgRNAは、表5A及び表5Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態では、そのgRNAは、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAは、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その標的配列は、PAM配列を含む。
いくつかの実施形態では、そのgRNAは、モジュラーgRNA分子である。いくつかの実施形態では、そのgRNAは、デュアルgRNA分子である。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメインは、16ヌクレオチド長、17ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長またはそれを上回るヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのgRNA分子は、その5’末端またはその5’末端近傍(例えば、その5’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドもしくは1〜2ヌクレオチド以内)に改変を含み、及び/またはその3’末端またはその3’末端近傍(例えば、その3’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドまたは1〜2ヌクレオチド以内)に改変を含む。いくつかの実施形態では、その改変gRNAは、T細胞に導入すると、ヌクレアーゼに対する安定性が向上する。いくつかの実施形態では、その改変gRNAは、T細胞に導入すると、自然免疫応答が軽減される。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されているgRNA分子をコードするポリヌクレオチド分子を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている1つ以上のgRNA分子、またはそのgRNA分子をコードするポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている1つ以上のgRNA分子、またはそのgRNA分子をコードするポリヌクレオチドを含むキットを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、(a)免疫エフェクター細胞を対象から採取すること、(b)請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞に導入すること、及び(c)その免疫エフェクター細胞を培養して、改変していない免疫エフェクター細胞と比べて、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下するようにすることを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、本明細書に記載されている遺伝子調節システムを免疫エフェクター細胞に導入することを含む方法を提供するいくつかの実施形態では、その方法は、CAR及びTCRから選択した操作免疫受容体をコードするポリヌクレオチド配列を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システム及び/またはその操作免疫受容体をコードするポリヌクレオチドは、免疫エフェクター細胞に、トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーションまたはマイクロフルイディクスデバイスによる細胞膜の物理的破壊によって導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、そのシステムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列として、タンパク質として、またはリボ核タンパク質(RNP)複合体として導入する。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、(a)免疫エフェクター細胞集団を培養液で増殖させること、及び(b)請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞集団に導入することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その方法は、免疫エフェクター細胞集団を対象から採取することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、増殖前、増殖中または増殖後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞集団の増殖は、第1ラウンドの増殖及び第2ラウンドの増殖を含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンドの増殖前、第1ラウンドの増殖中または第1ラウンドの増殖後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第2ラウンドの増殖前、第2ラウンドの増殖中または第2ラウンドの増殖後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の前に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンドの増殖後、かつ第2ラウンドの増殖前に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。
いくつかの実施形態では、本開示は、治療の必要な対象の疾患または障害の治療方法であって、本明細書に記載されている改変免疫エフェクターまたはその組成物を有効量投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その疾患または障害は、細胞増殖性障害、炎症性障害または感染症である。いくつかの実施形態では、その疾患または障害は、がんまたはウイルス感染症である。いくつかの実施形態では、そのがんは、白血病、リンパ腫または固形腫瘍から選択される。いくつかの実施形態では、その固形腫瘍は、メラノーマ、膵臓腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍もしくは肺転移、大腸癌、または頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、そのがんは、PD1耐性またはPD1非感受性のがんである。いくつかの実施形態では、その対象は以前に、PD1阻害剤またはPDL1阻害剤による治療を受けたことがある。いくつかの実施形態では、その方法は、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4またはPDCD1によってコードされるタンパク質に特異的に結合して、そのタンパク質の機能を阻害する抗体またはその結合断片をその対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、その対象に対して自家である。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、その対象に対して同種異系である。いくつかの実施形態では、その対象には、その改変免疫エフェクター細胞またはその組成物の投与前に、リンパ球除去を行ったことがない。いくつかの実施形態では、その対象には、その改変免疫エフェクター細胞もしくはその組成物の投与とともに、またはその投与の後に、高用量IL−2治療を行わない。いくつかの実施形態では、その対象には、その改変免疫エフェクター細胞もしくはその組成物の投与とともに、またはその投与の後に、低用量IL−2治療を行う。いくつかの実施形態では、その対象には、その改変免疫エフェクター細胞もしくはその組成物の投与とともに、またはその投与の後に、IL−2治療を行わない。
いくつかの実施形態では、本開示は、がん細胞の殺傷方法であって、そのがん細胞を、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞またはその組成物に暴露することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、その暴露は、in vitro、in vivoまたはex vivoでの暴露である。
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫エフェクター細胞の1つ以上のエフェクター機能の増強方法であって、本明細書に記載されている遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞に導入することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫エフェクター細胞の1つ以上のエフェクター機能の増強方法であって、本明細書に記載されている遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞に導入することを含み、その改変免疫エフェクター細胞において、1つ以上のエフェクター機能が、改変していないその免疫エフェクター細胞と比べて増強される方法を提供する。いくつかの実施形態では、その1つ以上のエフェクター機能は、細胞増殖性、細胞生存能、細胞傷害性、腫瘍への浸潤性、サイトカイン産生の増加、抗腫瘍免疫応答性及び/または疲弊耐性から選択される。
本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 本明細書に記載されている方法によって改変できる内在性標的遺伝子の組み合わせを示している。 A〜Dは、本明細書に記載されている方法を用いて、TRAC遺伝子及びB2M遺伝子を編集した結果を示している。 Aは、初代ヒトT細胞におけるCBLBの編集に関するTIDE解析データを示している。Bは、初代ヒトT細胞におけるCBLBの編集に関するTIDE解析データを示している。 CBLB gRNAを用いて編集した初代ヒトT細胞(D6551−CBLB)内のCBLBタンパク質のウエスタンブロット結果を未編集のコントロール(D6551−WT)と比較したもの示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。CBLB編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の成長を未編集のOT1 T細胞の場合と比較したものを示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。ZC3H12A編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の成長を未編集のOT1 T細胞の場合と比較したものを示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。ZC3H12A編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の成長を未編集のOT1 T細胞の場合と比較したものを示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。MAP4K1編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の成長を未編集のOT1 T細胞の場合と比較したものを示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。NR4A3編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の成長を未編集のOT1 T細胞の場合と比較したものを示している。 A〜Bは、マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおいて、単一編集型T細胞で及び/または抗PD1療法と組み合わせて処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。Aは、MAP4K1編集OT1 T細胞と抗PD1療法を組み合わせて処置したマウスの腫瘍の成長をコントロールのOT1細胞及びMAP4K1編集OT1細胞のみの場合と比較したもの示している。Bは、NR4A3編集OT1 T細胞及び抗PD1療法を組み合わせて処置したマウスの腫瘍の成長をコントロールのOT1細胞及びNR4A3編集OT1細胞のみの場合と比較したものを示している。 マウスMC38/gp100同系腫瘍モデルにおいて、Zc3h12a編集PMEL T細胞で処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。 B16F10肺転移モデルにおいて、Zc3h12a編集PMEL T細胞及びPD1編集PMEL T細胞で処置したマウスの生存曲線を示している。 マウスEg7 Ova同系腫瘍モデルにおいて、Zc3h12a編集T細胞で処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。 A〜Bは、マウスについて、マウスA375異種移植モデルにおける腫瘍の経時的成長を示している。Aは、CBLB編集型のNY−ESO−1特異的TCRトランスジェニックT細胞で処置したマウスについて、マウスA375異種移植モデルにおける腫瘍の経時的成長を未編集のNY−ESO−1特異的TCRトランスジェニックT細胞の場合と比較したものを示している。Bは、ZC3H12A編集NY−ESO−1特異的TCRトランスジェニックT細胞で処置したマウスについて、マウスA375異種移植モデルにおける腫瘍の経時的成長をコントロールの編集T細胞の場合と比較したものを示している。 A〜Bは、Raji細胞を用いたバーキットリンパ腫の皮下モデルにおいて、単一編集型CD19 CAR T細胞で処置した後の腫瘍の成長を示している。Aは、MAP4K1編集CD19 CAR T細胞で処置した後の腫瘍の成長を未編集のCD19 CAR T細胞の場合と比較したものを示している。Bは、NR4A3編集CD19 CAR T細胞で処置した後の腫瘍の成長を未編集のCD19 CAR T細胞の場合と比較したものを示している。 BCOR編集型の抗CD19 CAR T細胞、CBLB編集抗CD19 CAR T細胞、またはBCOR/CBLBデュアル編集抗CD19 CAR T細胞で処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。腫瘍の成長は、非CAR T細胞または未編集の抗CD19 CAR T細胞で処置したマウスと比較されている。 in vitro培養系における、BCOR編集型のCD19 CAR T細胞またはBCOR/CBLB編集型のCD19 CAR T細胞の集積を示している。 in vitro培養系における、BCOR編集CD19 CAR T細胞またはBCOR/CBLB編集CD19 CAR T細胞によるIL−2の産生を示している。 in vitro培養系における、BCOR編集CD19 CAR T細胞またはBCOR/CBLB編集CD19 CAR T細胞によるIFNγの産生を示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおいて、Zc3h12a/Cblbデュアル編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。 マウスB16/Ova同系腫瘍モデルにおいて、Pd1/Lag3デュアル編集OT1 T細胞で処置したマウスの腫瘍の経時的成長を示している。 抗腫瘍記憶及びエピトープ拡大をもたらす標的としてのZc3h12aの検証結果を示している。 MAP4K1編集PBMCにおけるIFNγ、IL−2及びTNFαの産生を示している。 Zc3h12a編集マウスCD8 T細胞におけるIcos、Il6、Il2、Ifng及びNfkbizのmRNAの発現を示している。 Zc3h12a編集マウスCD8 T細胞におけるICOSの細胞表面での発現を示している。 抗CD3/CD28での刺激後のZc3h12a編集マウスCD8 T細胞によるIL−2及びIFNγの産生を示している。 A〜Bは、ZC3H12A編集初代ヒトT細胞におけるIL6の発現の増加を示している。Aは、ドナーから採取したZC3H12A編集PBMCからのIL−6タンパク質の産生を示している。Bは、ZC3H12A編集PBMCにおけるIL6 mRNAの発現を示している。
本開示は、免疫エフェクター細胞を改変して、免疫療法との関連において、その細胞の治療有効性を向上させることに関する方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞を本開示の方法によって改変して、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させるか、または内在性タンパク質の1つ以上の機能を低下させて、その免疫細胞の1つ以上のエフェクター機能が増強されるようにする。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、T細胞受容体(TCR)発現コンストラクトまたはキメラ抗原受容体(CAR)発現コンストラクトの導入のように、抗原特異性を付与する導入遺伝子の導入によって、さらに改変する。いくつかの実施形態では、本開示は、遺伝子調節システムの組成物のように、免疫エフェクター細胞を改変するための組成物及び方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、がんのような細胞増殖性障害の治療方法であって、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞を、治療の必要な対象に投与することを含む方法を提供する。
I.定義
本明細書及び添付の請求項で使用する場合、「a」、「an」及び「the」という単数形には、文脈上明らかに別段に示されていない限り、複数の言及物が含まれる。
本明細書で使用する場合、「及び/または」という用語は、本開示では、別段に示されていない限り、「及び」または「または」のいずれかを意味する目的で使用する。
本明細書の全体を通じて、文脈上別段に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変形表現は、示されている要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群が含まれるが、いずれの他の要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群も排除されないことを示唆していると理解するものとする。
本願で使用する場合、「約」及び「およそ」という用語は、同義語として使用する。本願で用いられている数字であって、約/およそが付されているかまたは付されていないいずれの数字も、当業者によって認識されるあらゆる通常の変動を網羅するように意図されている。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載のない限り、または文脈から別段に明らかでない限り、いずれかの方向(示されている言及値を上回るかまたは下回る方向)で、示されている言及値から25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれらを下回る割合以内に入る値の範囲を指す(ただし、その数が、考え得る値の100%を上回る場合を除く)。
「減少する」または「低下する」とは、特定の値が少なくとも5%減少または低下すること、例えば、参照値と比べて、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%減少することを指す。特定の値の減少または低下は、その値を参照値と比較した場合の変化倍率として、例えば、参照値と比べて、少なくとも1.1分の1、1.2分の1、1.3分の1、1.4分の1、1.5分の1、1.6分の1、1.7分の1、1.8分の1、1.9分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、15分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1、60分の1、70分の1、80分の1、90分の1、100分の1、200分の1、500分の1、1000分の1またはそれを上回る割合に減少するとして表されることもある。
「増加する」とは、特定の値が少なくとも5%増加すること、例えば、参照値と比べて、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、100%、200%、300%、400%、500%またはそれを上回る割合増加することを指す。特定の値の増加は、その値を参照値と比較した場合の変化倍率として、例えば、参照値のレベルと比べて、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、またはそれを上回る割合で増加するとして表されることもある。
「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では同義的に用いられており、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、その形態としては、コードアミノ酸、非コードアミノ酸、化学的または生化学的に改変または誘導体化されたアミノ酸、及び改変されたペプチド骨格を有するポリペプチドを挙げることができる。
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書では同義的に用いられており、任意の長さのヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)のポリマー形態を指す。したがって、この用語には、一本鎖、二本鎖もしくは多重鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、またはプリン塩基及びピリミジン塩基、その他の天然の塩基、化学的に改変された塩基、生化学的に改変された塩基、非天然塩基もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限らない。「オリゴヌクレオチド」とは概して、一本鎖または二本鎖DNAの約5〜約100ヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを指す。しかしながら、本開示の目的では、オリゴヌクレオチドの長さに上限はない。オリゴヌクレオチドは、「オリゴマー」または「オリゴ」としても知られており、遺伝子から単離しても、当該技術分野において知られている方法によって化学的に合成してもよい。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語には、記載されている実施形態に適用可能なように、一本鎖ポリヌクレオチド(センス鎖またはアンチセンス鎖など)及び二本鎖ポリヌクレオチドが含まれると理解すべきである。
「断片」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の全体よりも少ない配列を含むポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子の部分を指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの断片は、参照ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド断片またはポリヌクレオチド断片は、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個またはこれを上回る数のヌクレオチドまたはアミノ酸を含み得る。
「配列同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチド配列間またはポリペプチド配列間で、同じであるとともに、同じ相対的位置にある塩基またはアミノ酸の割合(%)を指す。したがって、一方のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、別のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に対する配列同一性が、ある特定の割合(%)である。配列比較の際には、典型的には、1つの配列が、試験配列と比較する参照配列としての役割を果たす。「参照配列」という用語は、試験配列と比較する分子を指す。
「相補的」とは、天然の塩基もしくは非天然の塩基、またはそのアナログを含む2つの配列間で、塩基スタッキング及び特異的水素結合を通じて対合する能力を指す。例えば、核酸のある1つの位置の塩基が、標的の対応する位置の塩基と水素結合できる場合には、それらの塩基は、その位置において、互いに相補的であるとみなす。核酸は、ユニバーサル塩基、または水素結合に対してプラスまたはマイナスに寄与しない不活性な無塩基スペーサーを含むことができる。塩基対形成には、カノニカルなワトソン−クリック塩基対形成及び非ワトソン−クリック型塩基対形成(例えば、ゆらぎ塩基対形成及びフーグスティーン塩基対形成)の両方を含めてよい。相補的塩基対合では、アデノシン型塩基(A)は、チミジン型塩基(T)またはウラシル型塩基(U)と相補的であり、シトシン型塩基(C)は、グアノシン型塩基(G)と相補的であり、3−ニトロピロールまたは5−ニトロインドールのようなユニバーサル塩基は、A、C、UまたはTのいずれともハイブリダイズでき、これらと相補的であるとみなすことができることが分かる。Nichols et al.,Nature,1994;369:492−493及びLoakes et al.,Nucleic Acids Res.,1994;22:4039−4043。イノシン(I)も、当該技術分野において、ユニバーサル塩基であるとみなされてきており、A、C、UまたはTのいずれとも相補的であるとみなされている。Watkins and SantaLucia,Nucl.Acids Research,2005;33(19):6258−6267を参照されたい。
本明細書で言及されている場合、「相補的核酸配列」は、in vitro及び/またはin vivoでの適切な温度条件及び溶液イオン強度条件下で、配列特異的かつ逆平行な形で、その配列が別の核酸に非共有結合する(すなわち、核酸が相補的核酸に特異的に結合する)ようにできるヌクレオチド配列を含む核酸配列である。
比較するとともに、配列同一性パーセント及び相補性パーセントを求めるための配列アラインメントの方法は、当該技術分野において周知である。比較のために、配列を最適にアラインメントするのは、例えば、Needleman and Wunsch,(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索法によって、コンピューターによる、これらのアルゴリズムの実施(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI)内のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)によって、マニュアルアラインメント及び目視確認(例えば、Brent et al.,(2003)Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)によって、Altschul et al.,(1977)Nuc.Acids Res.25:3389−3402に記載されているBLAST、及びAltschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載されているBLAST2.0アルゴリズムを含め、当該技術分野において知られているアルゴリズムを用いることによって行うことができる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて、公的に入手可能である。
本明細書では、「ハイブリダイズする」という用語は、相補的ヌクレオチド塩基間が対合して(例えば、アデニン(A)は、DNA分子ではチミン(T)と、RNA分子ではウラシル(U)と塩基対を形成し、グアニン(G)は、DNA分子及びRNA分子の両方で、シトシン(C)と塩基対を形成する)、二本鎖核酸分子を形成することを指す(例えば、Wahl and Berger(1987)Methods Enzymol.152:399、Kimmel,(1987)Methods Enzymol.152:507を参照されたい)。加えて、当該技術分野においては、2つのRNA分子のハイブリダイゼーション(例えばdsRNA)では、グアニン(G)が、ウラシル(U)と塩基対を形成することも知られている。例えば、G/Uという塩基対の形成は、mRNA内のコドンとのtRNAのアンチコドンの塩基対の形成に関しては、遺伝暗号の縮退(すなわち冗長性)の部分的な要因となっている。本開示との関連においては、ガイドRNA分子のタンパク質結合セグメント(二本鎖dsRNA)のグアニン(G)は、ウラシル(U)と相補的であるとみなされ、Uは、そのGと相補的であるとみなされる。したがって、ガイドRNA分子のタンパク質結合セグメント(二本鎖dsRNA)の所定のヌクレオチド位置で、G/U塩基対を形成できるときには、その位置は、非相補的であるとはみなされず、むしろ相補的であるとみなされる。当該技術分野では、ポリヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイズ可能となるには、その標的核酸の配列と100%相補的である必要はないと理解されている。さらに、ポリヌクレオチドは、1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズして、介在セグメントまたは隣接セグメントが、ハイブリダイゼーション事象に関与しないようにし得る(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)。ポリヌクレオチドは、その標的となる標的核酸配列内の標的領域との配列相補性が、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%であることができる。
「改変」という用語は、対応する非改変物質または化合物と比べて、変質または変更された物質または化合物(例えば、細胞、ポリヌクレオチド配列及び/またはポリペプチド配列)を指す。
「天然の」という用語は、本明細書で使用する場合、核酸、ポリペプチド、細胞または生物に適用されている際には、自然界で見られる核酸、ポリペプチド、細胞または生物を指す。例えば、天然の供給源から単離できる生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列であって、実験室において人間が意図的に改変していないポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然のものである。
「単離」とは、天然の状態で見られる場合には通常、その物質に付随している構成成分から、様々な程度で遊離されている物質を指す。
「発現カセット」または「発現コンストラクト」とは、プロモーターに機能可能に連結されたDNAポリヌクレオチド配列を指す。「機能可能に連結された」とは、機能可能に連結されていると記載されている構成成分が、意図した形で機能できる関係にある並置状態を指す。例えば、プロモーターが、ポリヌクレオチド配列の転写または発現に影響を及ぼす場合には、そのプロモーターは、そのポリヌクレオチド配列に機能可能に連結されている。
「組み換えベクター」という用語は、本明細書で使用する場合、そのベクターに挿入された別のポリヌクレオチドを移入または輸送できるポリヌクレオチド分子を指す。その挿入されたポリヌクレオチドは、発現カセットであってよい。いくつかの実施形態では、組み換えベクターは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクター(例えばプラスミド)であってよい。
「試料」という用語は、解析及び/または遺伝子改変を行う生物学的組成物(例えば、細胞、または組織の一部)を指す。いくつかの実施形態では、試料は、対象から直接採取するという点で、「一次試料」であり、いくつかの実施形態では、「試料」は、例えば、ある特定の構成成分を除去し、及び/または対象とする、ある特定の構成成分を単離もしくは精製する目的で、一次試料を処理して得られたものである。
「対象」という用語には、例えば哺乳動物のような動物が含まれる。いくつかの実施形態では、その哺乳動物は、霊長類動物である。いくつかの実施形態では、その哺乳動物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、乳牛、ブタなどのような家畜、またはイヌ及びネコのような飼育動物である。いくつかの実施形態では(例えば、特に研究環境では)、対象は、齧歯類動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類動物、または近交系ブタのようなブタなどである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では同義的に用いられている。
「投与」とは、本明細書では、薬剤または組成物を対象に導入することを指す。
「治療」とは、本明細書で使用する場合、生理学的転帰に影響を及ぼすために、薬剤または組成物を対象に送達することを指す。
本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、特定の生理作用をもたらすのに必要な薬剤または組成物の最小量を指す。特定の薬剤の有効量は、その薬剤の性質に基づき、質量/体積、細胞数/体積、粒子/体積、(薬剤の質量)/(対象の質量)、細胞数/(対象の質量)、または粒子/(対象の質量)といった様々な方法で表してよい。特定の薬剤の有効量は、半最大効果濃度(EC50)として表してもよく、この値は、基準レベルと最大応答レベルの中間の、特定の生理応答をもたらす薬剤濃度を指す。
細胞の「集団」は、2個以上のいずれの数の細胞も指すが、好ましくは、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも1×1010個の細胞、少なくとも1×1011個以上の細胞である。細胞集団とは、in vitro集団(例えば、培養液中の細胞集団)またはin vivo集団(例えば、特定の組織に存在する細胞集団)を指してよい。
分子細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley & Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors(Kaplift & Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997)及びCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths,John Wiley & Sons 1998)のような標準的な教科書に見ることができ、その開示内容は、参照により、本明細書に援用される。
II.改変免疫エフェクター細胞
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞を提供する。本明細書では、「改変免疫エフェクター細胞」という用語には、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる1つ以上のゲノム改変を含む免疫エフェクター細胞、ならびに1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む免疫エフェクター細胞が含まれる。本明細書では、「非改変免疫エフェクター細胞」または「コントロールの免疫エフェクター細胞」は、ゲノムが改変されておらず、遺伝子調節システムを含まないか、またはコントロール遺伝子調節システム(例えば、空ベクターコントロール、非ターゲティングgRNA、スクランブルsiRNAなど)を含む細胞または細胞集団を指す。
「免疫エフェクター細胞」という用語は、自然免疫応答及び適応免疫応答の惹起に関与する細胞を指し、リンパ球(T細胞(胸腺細胞を含む)及びB細胞など)、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好塩基球、好中球、樹状細胞、ならびにマスト細胞が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞(細胞傷害性T細胞もしくはCTLともいう)、調節性T細胞(Treg)、Th1細胞、Th2細胞またはTh17細胞のようなT細胞である。
いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、腫瘍試料から単離したT細胞(本明細書では、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」という)である。理論に束縛されることを望まないが、TILは、腫瘍抗原に対する特異性が向上しており(Radvanyi et al.,2012 Clin Canc Res 18:6758−6770)、したがって、外因性の操作受容体の導入なしに、腫瘍抗原特異的免疫応答(例えば、活性化、増殖及びがん細胞に対する細胞傷害活性)を媒介して、がん細胞を破壊させることができる(Brudno et al.,2018 Nat Rev Clin Onc 15:31−46)と考えられる。すなわち、いくつかの実施形態では、TILは、対象の腫瘍から単離し、ex vivoで増殖させ、対象に再注入する。いくつかの実施形態では、TILは、自己腫瘍抗原に対して特異的な1つ以上の外因性受容体を発現するように改変し、ex vivoで増殖させ、対象に再注入する。このような実施形態は、in vivoマウスモデルを用いてモデル化でき、そのマウスには、がん抗原(例えばCD19)を発現するがん細胞株が移植されており、そのがん抗原に特異的である外因性受容体を発現する改変T細胞でそのマウスを処置する(例えば、実施例10及び11を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、動物細胞であるか、または、無脊椎動物及び脊椎動物を含む動物(例えば、魚、両生類、爬虫類、鳥または哺乳動物)の細胞に由来するものである。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、哺乳動物細胞であるか、または哺乳動物細胞に由来するものである(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類動物、ヒト以外の霊長類動物、ヒトなど)。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、齧歯類動物細胞であるか、または齧歯類動物細胞に由来するものである(例えば、ラットまたはマウス)。いくつかの実施形態では、修飾免疫エフェクター細胞は、ヒト細胞であるか、またはヒト細胞に由来するものである。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、内在性標的遺伝子のゲノムDNA配列に、その内在性遺伝子の発現及び/または機能を低下させる1つ以上の改変(例えば、1つ以上の核酸の挿入、欠失または変異)を含む。このような改変は、本明細書では「不活性化変異」といい、不活性化変異を含む内在性遺伝子は、「改変内在性標的遺伝子」という。いくつかの実施形態では、不活性化変異は、mRNAの転写を減少させるかまたは阻害することによって、コードされるmRNA転写物及びタンパク質の発現レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、不活性化変異は、mRNAの翻訳を減少させるかまたは阻害することによって、コードされるタンパク質の発現レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、不活性化変異は、非改変型(すなわち野生型)の内在性タンパク質と比べて、機能が低下または変更された改変内在性タンパク質(例えば、下記のドミナントネガティブ変異体)をコードする。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、内在性標的遺伝子以外のゲノム位置に、内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させるか、あるいは改変型の内在性タンパク質を発現させる1つ以上のゲノム改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子調節システムをコードするポリヌクレオチド配列をゲノム内の1つ以上の位置に挿入することによって、その遺伝子調節システムの発現の際に、内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる。いくつかの実施形態では、改変型の内在性タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が、ゲノム内の1つ以上の位置に挿入されており、その改変型のタンパク質の機能が、非改変型または野生型のタンパク質と比べて低下する(例えば、下記のドミナントネガティブ変異体)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、改変された内在性標的遺伝子を1つ以上含み、その1つ以上の改変によって、その内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物(すなわち、mRNA転写物またはタンパク質)の発現及び/または機能が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて低下する。例えば、いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、mRNA転写物の発現が低下し、及び/またはタンパク質の発現が低下する。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現は、非改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現と比べて、少なくとも5%低下する。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現は、非改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現と比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを上回る程度低下する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、複数(例えば2つ以上)の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現及び/または機能が、非改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現と比べて低下する。例えば、いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれを上回る数の内在性標的遺伝子に由来する遺伝子産物の発現及び/または機能が、非改変免疫エフェクター細胞におけるその遺伝子産物の発現と比べて低下する。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞であって、1つ以上の内在性標的遺伝子またはその一部が欠失(すなわち「ノックアウト」)されており、そのmRNA転写物またはタンパク質を発現しないようになっている改変免疫エフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、複数の内在性標的遺伝子またはその一部の欠失を含む。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の内在性標的遺伝子の欠失を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、1つ以上の改変内在性標的遺伝子を含み、その標的DNA配列に対する1つ以上の改変によって、非改変免疫エフェクター細胞で発現する対応するタンパク質(例えば「非改変内在性タンパク質」)の機能と比べて、機能が低下または変更されたタンパク質(例えば「改変内在性タンパク質」)が発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の改変内在性タンパク質をコードする2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の改変内在性標的遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、その改変内在性タンパク質では、その改変免疫エフェクター細胞によって発現されるかもしくは別の細胞によって発現される別のタンパク質に対する結合親和性が低下もしくは変化するか、シグナル伝達能が低下もしくは変化するか、酵素活性が低下もしくは変化するか、DNA結合活性が低下もしくは変化するか、または足場タンパク質として機能する能力が低下もしくは変化する。
いくつかの実施形態では、その改変内在性標的遺伝子は、1つ以上のドミナントネガティブ変異を含む。本明細書で使用する場合、「ドミナントネガティブ変異」とは、標的遺伝子の1つ以上のヌクレオチドが置換、欠失または挿入されていて、そのコードされたタンパク質が、非改変標的遺伝子によってコードされるタンパク質に対して拮抗的に作用するようになっていることを指す。このネガティブな表現型は、対応する非改変遺伝子のポジティブな表現型に対して、遺伝的に優位となるので、その変異は、ドミナントネガティブである。1つ以上のドミナントネガティブ変異を含む遺伝子、及びその遺伝子によってコードされるタンパク質は、「ドミナントネガティブ変異体」、例えば、ドミナントネガティブ遺伝子及びドミナントネガティブタンパク質という。いくつかの実施形態では、そのドミナントネガティブ変異体タンパク質は、その免疫エフェクター細胞のゲノム内の1つ以上の位置に挿入した外来性導入遺伝子によってコードされる。
ドミナントネガティブの機序は、様々なものが知られている。典型的には、ドミナントネガティブ変異体の遺伝子産物は、非改変遺伝子産物の機能をいくつか保持しているが、非改変遺伝子産物の他の重要な機能を1つ以上欠損している。これにより、ドミナントネガティブ変異体は、非改変遺伝子産物を拮抗阻害する。例えば、例示的な実施形態として、転写因子のドミナントネガティブ変異体は、機能活性化ドメインを欠損しているが、機能性DNA結合ドメインを保持し得る。この例では、ドミナントネガティブ転写因子は、非改変転写因子のようにDNAの転写を活性化することはできず、ドミナントネガティブ転写因子は、非改変転写因子の転写因子結合部位への結合を阻止することによって、遺伝子の発現を間接的に阻害できる。別の例示的な実施形態として、二量体として機能するタンパク質のドミナントネガティブ変異が知られている。このような二量体タンパク質のドミナントネガティブ変異体は、非改変タンパク質と二量体を形成する能力を保持し得るが、それ以外は機能できないことがある。ドミナントネガティブ単量体は、非改変単量体と二量体を形成することによって、ヘテロ二量体を形成し、非改変単量体の機能的なホモ二量体の形成を阻止する。
いくつかの実施形態では、本発明の改変免疫エフェクター細胞は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む。その遺伝子調節システムは、(例えば、ゲノムDNA配列内の1つ以上の核酸の挿入、欠失もしくは変異によって)内在性標的遺伝子のゲノムDNA配列を改変すること、内在性標的遺伝子の転写を調節すること(例えば、mRNAの転写の阻害もしくは抑制)、及び/または(例えば、mRNAの分解によって)内在性標的遺伝子の翻訳を調節することによる機序を含む様々な機序によって、内在性標的遺伝子改変部の発現及び/または機能を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、遺伝子調節システム(例えば、核酸ベースの遺伝子調節システム、タンパク質ベースの遺伝子調節システム、またはタンパク質/核酸複合ベースの遺伝子調節システム)を含む。このような実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞に含まれる遺伝子調節システムは、1つ以上の内在性標的遺伝子を改変することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、
(a)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる1つ以上の核酸分子、
(b)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる核酸分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(c)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる1つ以上のタンパク質、
(d)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができるタンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(e)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のガイドRNA(gRNA)、
(f)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(g)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(h)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することできる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(i)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のガイドDNA(gDNA)、
(j)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のgDNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(k)gDNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(l)gDNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することできる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(m)内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合できる1つ以上のgRNA、
(n)内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合できる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(o)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(p)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、または
(q)上記をいずれかに組み合わせたものを含む遺伝子調節システム、
を含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムをコードする1つ以上のポリヌクレオチドは、その免疫エフェクター細胞のゲノムに挿入されている。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムをコードする1つ以上のポリヌクレオチドは、エピソーマルに発現され、その免疫エフェクター細胞のゲノムに挿入されていない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されており、1つ以上のゲノム遺伝子座に挿入された1つ以上の外因性導入遺伝子をさらに含む(例えば遺伝子「ノックイン」)。いくつかの実施形態では、その1つ以上の外因性導入遺伝子は、検出可能なタグ、安全スイッチシステム、キメラスイッチ受容体及び/または操作型抗原特異的受容体をコードする。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、検出可能なタグをコードする外来性導入遺伝子さらに含む。検出可能なタグの例としては、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ(例えば6×His)、SNAPタグ、Haloタグ、cMycタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼタグ、アビジン、酵素、蛍光タンパク質、発光タンパク質、化学発光タンパク質、生物発光タンパク質及びリン光タンパク質が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、その蛍光タンパク質は、青色/UVタンパク質(BFP、TagBFP、mTagBFP2、Azurite、EBFP2、mKalama1、Sirius、Sapphire及びT−Sapphireなど)、シアンタンパク質(CFP、eCFP、Cerulean、SCFP3A、mTurquoise、mTurquoise2、Monomeric Midoriishi−Cyan、TagCFP及びmTFP1など)、緑色タンパク質(GFP、eGFP、meGFP(A208K変異)、Emerald、Superfolder GFP、Monomeric Azami Green、TagGFP2、mUKG、mWasabi、Clover及びmNeonGreenなど)、黄色タンパク質(YFP、eYFP、Citrine、Venus、SYFP2及びTagYFPなど)、オレンジ色タンパク質(Monomeric Kusabira−Orange、mKOκ、mKO2、mOrange及びmOrange2など)、赤色タンパク質(RFP、mRaspberry、mCherry、mStrawberry、mTangerine、tdTomato、TagRFP、TagRFP−T、mApple、mRuby及びmRuby2など)、遠赤色タンパク質(mPlum、HcRed−Tandem、mKate2、mNeptune及びNirFPなど)、近赤外蛍光タンパク質(TagRFP657、IFP1.4及びiRFPなど)、ストークスシフトの長いタンパク質(mKeima Red、LSS−mKate1、LSS−mKate2及びmBeRFPなど)、光活性化可能なタンパク質(PA−GFP、PAmCherry1及びPATagRFPなど)、光変換可能なタンパク質(Kaede(green)、Kaede(red)、KikGR1(green)、KikGR1(red)、PS−CFP2、PS−CFP2、mEos2(green)、mEos2(red)、mEos3.2(green)、mEos3.2(red)、PSmOrange及びPSmOrangeなど)、ならびに光で切り替え可能なタンパク質(Dronpaなど)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、その検出可能なタグは、AmCyan、AsRed、DsRed2、DsRed Express、E2−Crimson、HcRed、ZsGreen、ZsYellow、mCherry、mStrawberry、mOrange、mBanana、mPlum、mRasberry、tdTomato、DsRed Monomer及び/またはAcGFPから選択でき、これらはいずれも、Clontechから入手可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、安全スイッチシステムをコードする外来性導入遺伝子をさらに含む。安全スイッチシステム(当該技術分野においては、自殺遺伝子システムともいう)は、改変免疫エフェクター細胞を対象に投与した後に、その細胞を除去可能にする1つ以上のタンパク質をコードする外因性導入遺伝子を含む。安全スイッチシステムの例は、当該技術分野において知られている。例えば、安全スイッチシステムは、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(Hsv−tk)及びガンシクロビル(GCV)システム(Hsv−tk/GCV)のような、非傷害性のプロドラッグを傷害性化合物に変換するタンパク質をコードする遺伝子を含む。Hsv−tkは、非傷害性のGCVを、細胞アポトーシスに導く傷害性化合物に変換する。したがって、Hsv−tkタンパク質をコードする導入遺伝子を含む改変免疫エフェクター細胞で治療した対象にGCVを投与すると、その改変免疫エフェクター細胞を選択的に除去できる一方で、内在性免疫エフェクター細胞は影響を受けない。(例えば、Bonini et al.,Science,1997,276(5319):1719−1724、Ciceri et al.,Blood,2007,109(11):1828−1836、Bondanza et al.,Blood 2006,107(5):1828−1836を参照されたい)。
追加の安全スイッチシステムは、細胞表面マーカーをコードする遺伝子を含み、その細胞表面マーカーに特異的なモノクローナル抗体の投与によって、ADCCを介して、改変免疫エフェクター細胞を除去できるようになっている。いくつかの実施形態では、その細胞表面マーカーは、CD20であり、その改変免疫エフェクター細胞は、リツキシマブのような抗CD20モノクローナル抗体の投与によって除去できる(例えば、Introna et al.,Hum Gene Ther,2000,11(4):611−620、Serafini et al.,Hum Gene Ther,2004,14,63−76、van Meerten et al.,Gene Ther,2006,13,789−797を参照されたい)。EGF−R及びセツキシマブまたはパニツムマブを用いる同様のシステムが、国際PCT公開第WO2018006880号に記載されている。追加の安全スイッチシステムは、二量化の化学誘導物質(CID)に対する結合部位を1つ以上含むプロアポトーシス分子をコードする導入遺伝子を含み、そのプロアポトーシス分子のオリゴマー化及びアポトーシス経路の活性化を誘導するCIDの投与によって、改変免疫エフェクター細胞を除去できるようになっている。いくつかの実施形態では、そのプロアポトーシス分子は、Fas(CD95としても知られている)である(Thomis et al.,Blood,2001,97(5),1249−1257)。いくつかの実施形態では、そのプロアポトーシス分子は、カスパーゼ−9である(Straathof et al.,Blood,2005,105(11),4247−4254)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、キメラスイッチ受容体をコードする外来性導入遺伝子をさらに含む。キメラスイッチ受容体は、内在性細胞表面受容体に由来する細胞外ドメイン、及び異種の細胞内シグナル伝達ドメインを含む操作型細胞表面受容体であり、その細胞外ドメインによってリガンドが認識されると、野生型の細胞表面受容体によって活性化されるシグナル伝達カスケードとは異なるシグナル伝達カスケードが活性化されるようになっている。いくつかの実施形態では、そのキメラスイッチ受容体は、細胞内ドメインに融合された抑制性の細胞表面受容体の細胞外ドメインを含み、その細胞内ドメインは、その抑制性の細胞表面受容体によって通常伝達される阻害シグナルではなく、活性化シグナルを伝達させるものである。特定の実施形態では、免疫エフェクター細胞の活性化を阻害することが知られている細胞表面受容体に由来する細胞外ドメインは、細胞内の活性化ドメインに融合できる。そして、対応するリガンドが結合すると、その免疫エフェクター細胞の活性化を阻害するのではなく、その活性化を増大させるシグナル伝達カスケードが活性化することになる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、PD1−CD28スイッチ受容体をコードする導入遺伝子を含み、PD1の細胞外ドメインが、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインに融合されている(例えば、Liu et al.,Cancer Res 76:6(2016),1578−1590及びMoon et al.,Molecular Therapy 22(2014),S201を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、CD200Rの細胞外ドメイン及びCD28の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする導入遺伝子を含む(Oda et al.,Blood 130:22(2017),2410−2419を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、腫瘍細胞または抗原提示細胞(APC)のような標的細胞によって発現されるタンパク質標的を認識する操作型抗原特異的受容体をさらに含む(本明細書では「改変受容体導入細胞」または「改変RE細胞」という)。「操作抗原受容体」という用語は、キメラ抗原受容体(CAR)または組み換えT細胞受容体(TCR)のような非天然の抗原特異的受容体を指す。いくつかの実施形態では、その操作抗原受容体は、ヒンジドメイン及び膜貫通ドメインを介して、シグナル伝達ドメインを含む細胞質ドメインに融合された細胞外抗原結合ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態では、CARの細胞外ドメインは、標的細胞によって発現される抗原に、MHCに依存しない形で結合し、RE細胞を活性化及び増殖させる。いくつかの実施形態では、CARの細胞外ドメインは、抗体またはその抗原結合断片に融合されたタグを認識する。このような実施形態では、CARの抗原特異性は、標識抗体の抗原特異性に依存しており、その結果、ある1つの抗体を別の抗体に置き換えることによって、単一のCARコンストラクトを用いて、複数の異なる抗原を標的とすることができる(例えば、米国特許第9,233,125号及び同第9,624,279号、米国特許出願公開第20150238631号及び同第20180104354号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、CARの細胞外ドメインは、抗体に由来する抗原結合断片を含んでよい。本開示において有用である抗原結合ドメインとしては、例えば、scFv、抗体、抗体の抗原結合領域、重鎖/軽鎖の可変領域、及び一本鎖抗体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR複合体ζ鎖ドメイン(CD3ξシグナル伝達ドメインなど)、FcγRIIIドメイン、FcεRIドメインまたはTリンパ球活性化ドメインに由来してよい。いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメイン、例えば、4−1BBドメイン、CD28ドメイン、CD40ドメイン、MyD88ドメインまたはCD70ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激ドメイン、例えば、4−1BBドメイン、CD28ドメイン、CD40ドメイン、MyD88ドメインまたはCD70ドメインのうちのいずれか2つを含む。例示的なCARの構造及び細胞内シグナル伝達ドメインは、当該技術分野において知られている(例えば、WO2009/091826、US20130287748、WO2015/142675、WO2014/055657及びWO2015/090229(参照により、本明細書に援用される)を参照されたい)。
様々な腫瘍抗原に特異的なCARが、当該技術分野において知られており、例えば、CD171特異的CAR(Park et al.,Mol Ther(2007)15(4):825−833)、EGFRvIII特異的CAR(Morgan et al.,Hum Gene Ther(2012)23(10):1043−1053)、EGF−R特異的CAR(Kobold et al.,J Natl Cancer Inst(2014)107(1):364)、炭酸脱水酵素K特異的CAR(Lamers et al.,Biochem Soc Trans(2016)44(3):951−959)、FR−α特異的CAR(Kershaw et al.,Clin Cancer Res(2006)12(20):6106−6015)、HER2特異的CAR(Ahmed et al.,J Clin Oncol(2015)33(15)1688−1696、Nakazawa et al.,Mol Ther(2011)19(12):2133−2143、Ahmed et al.,Mol Ther(2009)17(10):1779−1787、Luo et al.,Cell Res(2016)26(7):850−853、Morgan et al.,Mol Ther(2010)18(4):843−851、Grada et al.,Mol Ther Nucleic Acids(2013)9(2):32)、CEA特異的CAR(Katz et al.,Clin Cancer Res(2015)21(14):3149−3159)、IL13Rα2特異的CAR(Brown et al.,Clin Cacner Res(2015)21(18):4062−4072)、GD2特異的CAR(Louis et al.,Blood(2011)118(23):6050−6056、Caruana et al.,Nat Med(2015)21(5):524−529)、ErbB2特異的CAR(Wilkie et al.,J Clin Immunol(2012)32(5):1059−1070)、VEGFF−R特異的CAR(Chinnasamy et al.,Cancer Res(2016)22(2):436−447)、FAP特異的CAR(Wang et al.,Cancer Immunol Res(2014)2(2):154−166)、MSLN特異的CAR(Moon et al,Clin Cancer Res(2011)17(14):4719−30)、NKG2D特異的CAR(VanSeggelen et al.,Mol Ther(2015)23(10):1600−1610)、CD19特異的CAR(アキシカブタジンシロルーセル(Yescarta(登録商標))及びチサゲンレクルユーセル(Kymriah(登録商標))である。腫瘍特異的CARの臨床試験について論評しているLi et al.,J Hematol and Oncol(2018)11(22)も参照されたい。
いくつかの実施形態では、操作抗原受容体は、操作TCRである。操作TCRは、特定の標的抗原を認識するT細胞集団から単離及びクローニングしたTCRα鎖及び/またはTCRβ鎖を含む。例えば、TCRα遺伝子及び/またはTCRβ遺伝子(すなわち、TRAC及びTRBC)は、特定の悪性腫瘍を有する個体から単離したT細胞集団、または所定の腫瘍抗原もしくは腫瘍細胞で免疫したヒト化マウスから単離したT細胞集団からクローニングできる。操作TCRは、その内在性対応物と同じ機序を通じて(例えば、標的細胞の表面に発現した主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質との関連において提示されたその同種抗原を認識することによって)、抗原を認識する。この抗原と結合すると、内在性シグナル伝達経路が刺激され、それにより、TCR操作細胞が活性化及び増殖する。
腫瘍抗原に特異的な操作TCRは、当該技術分野において知られており、例えば、WT1特異的TCR(JTCR016(Juno Therapeutics)、米国特許出願公開第20160083449号に記載されているWT1−TCRc4)、MART−1特異的TCR(Morgan et al.,Science 314(2006)126−129に記載されているDMF4Tクローン、Johnson et al.,Blood 114(2009)535−546に記載されているDMF5Tクローン、及びvan den Berg et al.,Mol.Ther.23(2015)1541−1550に記載されているID3Tクローンを含む)、gp100特異的TCR(Johnson et al.,Blood 114(2009)535−546)、CEA特異的TCR(Parkhurst et al.,Mol Ther.19(2011)620−626)、NY−ESO及びLAGE−1特異的TCR(Robbins et al.,J Clin Oncol 26(2011)917−924、Robbins et al.,Clin Cancer Res 21(2015)1019−1027及びRapoport et al.,Nature Medicine 21(2015)914−921に記載されている1G4Tクローン)、ならびにMAGE−A3特異的TCR(Morgan et al.,J Immunother 36(2013)133−151及びLinette et al.,Blood 122(2013)227−242)である。(Debets et al.,Seminars in Immunology 23(2016)10−21も参照されたい。)
いくつかの実施形態では、その操作抗原受容体は、CD3、CD4、CD8、CD16、CD24、CD25、CD33、CD34、CD45、CD64、CD71、CD78、CD80(B7−1としても知られている)、CD86(B7−2としても知られている)、CD96、CD116、CD117、CD123、CD133、CD138、CD371(CLL1としても知られている)のような分化クラスター分子、5T4、BCMA(CD269及びTNFRSF17としても知られている。UniProt番号Q02223)、癌胎児性抗原(CEA)、炭酸脱水酵素9(CAIXまたはMN/CAIX)、CD19、CD20、CD22、CD30、CD40、ジシアロガングリオシド(GD2など)、ELF2M、導管上皮ムチン、エフリンB2、上皮細胞接着分子(EpCAM)、ErbB2(HER2/neu)、FCRL5(UniProt番号Q68SN8)、FKBP11(UniProt番号Q9NYL4)、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、GPRC5D(UniProt番号Q9NZD1)、mut hsp70−2、腸カルボキシルエステラーゼ、IGF−I受容体、ITGA8(UniProt番号P53708)、KAMP3、LAGE−1a、MAGE、メソセリン、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY−ESO−1、PAP、プロスターゼ、前立腺癌腫瘍抗原−1(PCTA−1)、前立腺特異的抗原(PSA)、PSMA、プロステイン、RAGE−1、ROR1、RU1(SFMBT1)、RU2(DCDC2)、SLAMF7(UniProt番号Q9NQ25)、サバイビン、タグ−72及びテロメラーゼのような腫瘍関連表面抗原、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)のような腫瘍間質抗原、テネイシン−CのA1ドメイン(TnC A1)及び線維芽細胞関連タンパク質(FAP)、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)、TFGβ−Rまたはその構成成分(エンドグリンなど)のようなサイトカイン受容体、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子、HIV特異的抗原(HIV gp120など)、EBV特異的抗原、CMV特異的抗原、HPV特異的抗原、ラッサウイルス特異的抗原、インフルエンザウイルス特異的抗原のようなウイルス特異的表面抗原、及びこれらの表面抗原のいずれかの誘導体またはバリアントから選択した標的抗原に対するものである。
A.エフェクター機能
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、1つ以上の免疫細胞エフェクター機能が上昇する。本明細書では、「エフェクター機能」という用語は、免疫細胞の機能のうち、標的細胞または標的抗原に対する免疫応答の発生、維持及び/または増強に関連する機能を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞では、非改変免疫エフェクター細胞と比べて、腫瘍への浸潤性もしくは遊走性が向上する特徴、増殖性が向上する特徴、細胞生存能が向上もしくは延長する特徴、周囲の微小環境における抑制因子耐性が向上して、その細胞の活性化状態が延長または増大するようになる特徴、炎症誘発性免疫因子(例えば、炎症誘発性サイトカイン、ケモカイン及び/または酵素)の産生が増加する特徴、細胞傷害性が向上する特徴、及び/または疲弊耐性が向上する特徴のうちの1つ以上が見られる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、非改変免疫エフェクター細胞と比べて、腫瘍への浸潤性が向上する。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞による腫瘍への浸潤性の向上とは、所定の期間において腫瘍に浸潤する改変免疫エフェクター細胞の数が、同じ期間において腫瘍に浸潤する非改変免疫エフェクター細胞の数と比べて増加することを指す。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、腫瘍への浸潤性が、非改変免疫細胞と比べて1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度向上する。腫瘍への浸潤性は、対象から1つ以上の腫瘍を単離し、フローサイトメトリー、免疫組織化学及び/または免疫蛍光法によって、その試料中の改変免疫細胞の数を評価することによって測定できる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、細胞増殖性が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて向上する。これらの実施形態では、その結果は、所定の期間の経過後、存在する改変免疫エフェクター細胞の数が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて増加することである。例えば、いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、増殖速度が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて上昇し、この場合、改変免疫エフェクター細胞は、非改変免疫エフェクター細胞よりも速い速度で分裂する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、増殖速度が、非改変免疫細胞と比べて1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度上昇する。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞は、増殖期間が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて長く、この場合、その改変免疫エフェクター細胞及び非改変免疫エフェクター細胞は、同じ速度で分裂するが、改変免疫エフェクター細胞の方が、長い期間にわたって増殖状態を維持する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、非改変免疫細胞よりも、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度長い時間、増殖状態を維持する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、細胞生存能が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて向上するかまたは延長される。このような実施形態では、その結果は、所定の期間の経過後、存在する改変免疫エフェクター細胞の数が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて増加することである。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、非改変免疫細胞よりも、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度長い時間、生存状態を維持して存続する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、抑制因子耐性が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて向上する。例示的な抑制因子としては、免疫チェックポイント分子(例えば、PD1、PDL1、CTLA4、LAG3、IDO)及び/または抑制性サイトカイン(例えば、IL−10、TGFβ)によるシグナル伝達が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変T細胞は、T細胞疲弊に対する耐性が、非改変T細胞と比べて向上する。T細胞疲弊は、エフェクター機能が低下し、その後、抗原特異的T細胞が枯渇することによって特徴付けられる抗原特異的T細胞機能障害の状態である。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、抗原に応答して増殖する能力が欠損し、サイトカインの産生が減少し、及び/または腫瘍細胞のような標的細胞に対する細胞傷害性が低下する。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、CD122及びCD127の細胞表面での発現の減少、PD1、Lag3、CD244、CD160、TIM3及び/またはCTLA4のような抑制性細胞表面マーカーの発現の増加、及び/またはBlimp1、NFAT及び/またはBATFのような転写因子の発現の増加のような、細胞表面マーカー及び転写因子の発現の変化によって特定する。いくつかの実施形態では、疲弊T細胞は、TGFβのシグナル伝達に対する感受性の上昇及び/またはIL−7及びIL−15のシグナル伝達に対する感受性の低下のような、サイトカインのシグナル伝達に対する感受性の変化が見られる。T細胞疲弊は、例えば、そのT細胞を標的細胞集団と共培養し、T細胞の増殖、サイトカインの産生及び/または標的細胞の溶解を測定することによって判断することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞を標的細胞(例えば、標的腫瘍抗原を発現するように操作した自己腫瘍細胞または自己腫瘍細胞株)の集団と共培養し、エフェクター細胞の増殖、サイトカインの産生及び/または標的細胞の溶解を測定する。続いて、これらの結果と、標的細胞をコントロールの免疫細胞(非改変免疫エフェクター細胞、またはコントロールの改変が施された免疫エフェクター細胞)集団と共培養することによって得られた結果を比較する。
いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、改変免疫エフェクター細胞による1つ以上のサイトカイン(例えば、IFNγ、TNFαまたはIL−2)の産生が、コントロールの免疫細胞集団で観察されるサイトカインの産生と比べて増加することによって示される。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞によるサイトカインの産生が、コントロールの免疫細胞集団によるサイトカインの産生と比べて、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度増加することによって、T細胞疲弊に対する耐性の向上が示される。いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、改変免疫エフェクター細胞の増殖性が、コントロールの免疫細胞集団で観察される増殖性と比べて向上することによって示される。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の増殖性が、コントロールの免疫細胞集団の増殖性と比べて、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度向上したことによって、T細胞疲弊に対する耐性の向上が示される。いくつかの実施形態では、T細胞疲弊に対する耐性は、改変免疫エフェクター細胞による標的細胞の溶解が、コントロールの免疫細胞集団で観察される標的細胞の溶解と比べて増大することによって示される。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞による標的細胞の溶解が、コントロールの免疫細胞集団による標的細胞の溶解と比べて、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを超える程度増大することによって、T細胞疲弊に対する耐性の向上が示される。
いくつかの実施形態では、コントロールの免疫細胞集団と比較した場合の改変免疫エフェクター細胞の疲弊は、in vitroまたはex vivoでの製造プロセス中に測定する。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍断片から単離したTILを、本明細書に記載されている方法に従って改変してから、1ラウンド以上増殖させて、改変TIL集団を作製する。このような実施形態では、その改変TILの疲弊は、回収直後及び第1ラウンドの増殖の前、第1ラウンドの増殖後かつ第2ラウンドの増殖の前、及び/または第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の後に判断することができる。いくつかの実施形態では、コントロールの免疫細胞集団と比べた場合の改変免疫エフェクター細胞の疲弊は、改変免疫エフェクター細胞を対象に移入した後、1つ以上の時点に測定する。例えば、いくつかの実施形態では、その改変細胞を、本明細書に記載されている方法に従って作製し、対象に投与する。続いて、移入後、様々な時点に、試料を対象から採取して、in vivoでの改変免疫エフェクター細胞の経時的な疲弊を判断することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、炎症誘発性免疫因子の発現または産生が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて増加する。炎症誘発性免疫因子の例としては、グランザイムB、パーフォリン及びグラニュライシンのような細胞溶解因子、ならびにインターフェロン(IFNα、IFNβ、IFNγ)、TNFα、IL−1β、IL−12、IL−2、IL−17、CXCL8及び/またはIL−6のような炎症誘発性サイトカインが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、標的細胞に対する細胞傷害性が、非改変免疫エフェクター細胞と比べて上昇する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、標的細胞に対する細胞傷害性が、非改変免疫細胞と比べて、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る程度上昇する。
免疫エフェクター機能を測定するためのアッセイは、当該技術分野において知られている。例えば、腫瘍への浸潤性は、対象から腫瘍を単離し、その腫瘍に存在するリンパ球の総数及び/または表現型をフローサイトメトリー、免疫組織化学及び/または免疫蛍光法によって求めることによって測定できる。細胞表面受容体の発現は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫蛍光法、ウエスタンブロット及び/またはqPCRによって求めることができる。サイトカイン及びケモカインの発現及び産生は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、免疫蛍光法、ウエスタンブロット、ELISA及び/またはqPCRによって測定できる。細胞外の刺激(例えば、サイトカイン、抑制性リガンドまたは抗原)に対する応答性または感受性は、その刺激に応答する細胞増殖及び/または下流のシグナル伝達経路の活性化(例えば、下流のシグナル伝達中間体のリン酸化)をアッセイすることによって測定できる。細胞傷害性は、実施例全体を通じて説明されているような改変免疫エフェクター細胞と標的細胞とのin vitroまたはex vivoでの共培養及びin vivoマウス腫瘍モデルを含め、当該技術分野において知られている標的細胞溶解アッセイによって測定できる。
B.内在性の経路及び遺伝子の調節
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現もしくは機能が低下され、及び/または1つ以上の内在性標的遺伝子(下に記載されている)の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む。いくつかの実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子は、エフェクター細胞応答の活性化及び調節に関連する経路に存在する。このような実施形態では、その1つ以上の内在性標的遺伝子の発現または機能の低下により、その免疫細胞の1つ以上のエフェクター機能が増強される。
本明細書に記載されている方法によって調節するのに適する例示的な経路は、表1に示されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞において、特定の経路内の内在性標的遺伝子の発現が低下する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞において、特定の経路内の複数(例えば2つ以上)の内在性標的遺伝子の発現が低下する。例えば、特定の経路における2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の内在性標的遺伝子の発現が低下し得る。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞において、ある1つの経路内の内在性標的遺伝子の発現、及び別の経路内の内在性標的遺伝子の発現が低下する。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞において、ある1つの経路内の複数の内在性標的遺伝子の発現、及び別の経路内の複数の内在性標的遺伝子の発現が低下する。例えば、ある1つの経路内の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の内在性標的遺伝子の発現が低下してよく、別の特定の経路内の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の内在性標的遺伝子の発現が低下してよい。
いくつかの実施形態では、複数の経路内の複数の内在性標的遺伝子の発現が低下する。例えば、複数の経路(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の経路)のそれぞれに由来する1つの内在性遺伝子が低下してよい。追加の態様では、複数の経路(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の経路)のそれぞれに由来する複数の内在性遺伝子(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の遺伝子)が低下してよい。
表1:例示的な内在性経路
Figure 2021518161
例示的な内在性標的遺伝子は、下記の表2及び3に示されている。
いくつかの実施形態では、本発明の改変エフェクター細胞は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORのうちの1つ以上(例えば、表2から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、TNFAIP3、CBLBまたはBCORのうちの1つ以上の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した少なくとも2つの遺伝子(例えば、表2から選択した少なくとも2つの遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。例えば、いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されているような1〜600番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、BCORの発現及び/または機能の低下、ならびにCBLBの発現及び/または機能が低下されている。IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及び/またはBCORの発現を改変するための例示的な方法は、本明細書に記載されているが、これらの内在性標的遺伝子の発現は、当該技術分野において知られている方法によって改変してもよい。例えば、PD1(PDCD1によってコードされる)、NRP1、HACR2、LAG3、TIGIT及びCTLA4に対する阻害抗体が、当該技術分野において知られており、腫瘍の適応症で、FDAの承認を受けているものもある(例えば、PD1に対するニボルマブ及びペムブロリズマブ)。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3のうちの1つ以上(例えば、表3から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、CD108としても知られているセマフォリン7A(SEMA7A)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、SEMA7A遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、RNA結合タンパク質39(RBM39)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。RBM39タンパク質は、核に存在し、核内で、コアスプライセオソームタンパク質と共局在する。このタンパク質との配列類似性が高いマウスタンパク質の研究により、このタンパク質が、JUN/AP−1及びエストロゲン受容体に対する転写コアクチベーターとして機能し得ることが示唆されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、RBM39遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、一般的にはBIMとも呼ばれているBcl−2様タンパク質11(BCL2L11)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、BCL2L11遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、転写因子ERGBとしても知られているフレンド白血病インテグレーション1転写因子(FLI1)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、FLI1遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、カルモジュリン2(CALM2)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、CALM2遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(DHODH)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。DHODHタンパク質は、ミトコンドリア内膜の外面にあるミトコンドリアタンパク質であり、de novoピリミジン生合成において、ユビキノンの媒介によるジヒドロオロト酸塩のオロト酸塩への酸化を触媒する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、DHODH遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、オロチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼまたはオロチジン−5’−デカルボキシラーゼともいうウリジンモノリン酸シンターゼ(UMPS)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。UMPSタンパク質は、多くの重要な生合成経路において、エネルギーを運ぶ分子であるウリジンモノリン酸(UMP)の形成を触媒する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、UMPS遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、システインリッチ疎水性ドメイン2(CHIC2)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。コードされたCHIC2タンパク質は、システインリッチ疎水性(CHIC)モチーフを含み、小胞構造及び細胞膜に局在するとともに、急性骨髄性白血病の一部の症例と関連付けられている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、CHIC2遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、ポリ(rC)結合タンパク質1(PCBP1)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、PCBP1遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、BRG1関連因子180(BAF180)としても知られているタンパク質ポリブロモ−1(PBRM1)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。PBRM1は、クロマチン再構築複合体SWI/SNF−Bの構成成分であり、多くのサブタイプのがんにおける腫瘍抑制因子遺伝子である。変異は特に、明細胞腎細胞癌で多く見られる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、PBRM1遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、成体組織及び胎児組織で遍在して発現するWDリピートタンパク質ファミリーのメンバーであるWDリピート含有タンパク質6(WDR6)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。WDリピートは、最小限に保存された領域であって、典型的にはgly−his及びtrp−asp(GH−WD)をひとまとまりとする、およそ40アミノ酸の領域であり、ヘテロ三量体複合体または複数タンパク質の複合体の形成を促進し得る。このファミリーのメンバーは、細胞周期の進行、シグナル伝達、アポトーシス及び遺伝子の調節を含む様々な細胞プロセスに関与する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、WDR6遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、E2F転写因子8(E2F8)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。コードされたE2F8タンパク質は、核が適切な時点に分裂するようにすることによって、G1期からS期への進行を調節する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、E2F8遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。SERPINA3は、α1−アンチキモトリプシン(α1AC、A1ACまたはa1ACT)タンパク質をコードし、このタンパク質は、カテプシンG及びキマーゼのような特定のプロテアーゼの活性を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、SERPINA3遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、GNAS複合遺伝子座(GNAS)遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。これは、多くのシグナル伝達経路の重要な構成成分である刺激性Gタンパク質αサブユニット(Gs−α)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、GNAS遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、ZC3H12A遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。Zc3h12a(MCPIP1及びRegnase−1とも称する)は、CCCH型ジンクフィンガーモチーフのすぐ上流にRNaseドメインを有するRNaseである。Zc3h12aは、IL−6のような転写産物の遺伝子の3’UTR内の保存されたステムループ構造と結合することによって、そのヌクレアーゼ活性を通じて、IL−6のような転写産物のmRNAを標的として、不安定化する。T細胞では、Zc3h12aは、c−Rel、Ox40及びIL−2を含むいくつかの炎症誘発性遺伝子の転写レベルを制御する。単球では、Zc3h12aは、IL−6及びIL−12BのmRNAをダウンレギュレートし、それによって炎症を緩和する。がん細胞では、Zc3h12aは、Bcl2L1、Bcl2A1、RelB及びBcl3を含む抗アポトーシス遺伝子を阻害することによって、アポトーシスを促進する。Zc3h12aの活性化は一過性のものであり、プロテアソーム媒介性分解または粘膜関連リンパ組織1(MALT1)媒介性切断を含むネガティブフィードバック機構の作用を受ける。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、ZC3H12A遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、MAP4K1遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。MAP4K1(HPK1とも称する)は、哺乳動物Ste20関連タンパク質キナーゼのMAP4Kファミリーのメンバーであり、造血器官で主に発現するタンパク質セリン−トレオニンキナーゼである。MAP4K1タンパク質は、N末端キナーゼドメインの後に、Src相同3ドメインを含むタンパク質に結合できる4つのプロリンリッチモチーフを含む。MAP4K1は、Lck及びZap70のようなキナーゼによってリン酸化され、かつATPの存在下にあると、触媒活性を有し、自己リン酸化、ならびにSLP−76及びMAP3Kタンパク質のような下流の基質タンパク質のリン酸化を媒介する。SLP−76がSer−376においてリン酸化されると、SLP−76のユビキチン化及びプロテアソームによる分解の両方が行われるとともに、SLP−76と14−3−3τとの相互作用が増大し、この相互作用により、TCRシグナル伝達が負に調節される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、MAP4K1遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、NR4A3遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。NR4A3は、誘導性オーファン受容体であり、ステロイド−甲状腺ホルモン−レチノイド受容体スーパーファミリーのメンバーであり、転写活性化因子である。NR4A3は、様々な刺激によって発現が誘導されると、細胞質から核に移行して、NR4A1応答エレメント(NBRE)に単量体として、Nur応答エレメント(NurRE)にホモ二量体として結合することによって、リガンド非依存的に遺伝子発現を駆動する。続いて、NR4A3は、免疫系の内外の両方で、細胞の生存及び分化を制御する別個の遺伝子セットの転写を駆動する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変エフェクター細胞は、NR4A3遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の改変免疫エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した少なくとも2つの遺伝子(例えば、表3から選択した2つ以上遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。例えば、いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3A〜図3Bに示されているような1176〜1681番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3Aに示されているような1176〜1483番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3Bに示されているような1250〜1265番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3Bに示されているような1266〜1281番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3Bに示されているような1282〜1297番の組み合わせから選択した少なくとも2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3のうちの1つ以上(例えば、表3から選択した1つ以上の遺伝子)、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORのうちの1つ以上(例えば、表2から選択した1つ以上の遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。例えば、その改変免疫エフェクター細胞は、601〜1025番の組み合わせから選択した組み合わせの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されていてよい。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、601〜950番の組み合わせ(図2Aに示されているような組み合わせ)から選択した組み合わせの2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されていてよい。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、951〜975番の組み合わせ(図2Bに示されているような組み合わせ)から選択した組み合わせの2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されていてよい。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、976〜1000番の組み合わせ(図2Bに示されているような組み合わせ)から選択した組み合わせの2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されていてよい。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、1001〜1025番の組み合わせ(図2Bに示されているような組み合わせ)から選択した組み合わせの2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下されていてよい。
いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能の低下が低下され、TNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、ZC3H12A、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、ZC3H12A、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、MAP4K1、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、MAP4K1、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、NR4A3、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、NR4A3、及びTNFAIP3、CBLBまたはBCORから選択した少なくとも1つ遺伝子に不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下され、CBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した少なくとも1つ遺伝子の発現及び/または機能が低下され、CBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、ZC3H12A及びCBLBに不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、MAP4K1及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、MAP4K1及びCBLBに不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、NR4A3及びCBLBの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変エフェクター細胞は、NR4A3及びCBLBに不活性化変異を含む。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した遺伝子(例えば、表2から選択した1つ以上の遺伝子)の発現及び/または機能が低下され、ならびにBCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した2つの遺伝子(例えば、表3から選択した1つ以上の遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。例えば、いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、1026〜1297番の組み合わせ(図3A〜図3Bに示されているような組み合わせ)から選択した組み合わせの2つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能の低下に加えて、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)の発現及び/または機能が低下され、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した2つの遺伝子(例えば、表2から選択した1つ以上の遺伝子)の発現及び/または機能が低下されている。例えば、いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されている1〜600番の組み合わせから選択した2つの内在性標的遺伝子の組み合わせの発現及び/または機能の低下に加えて、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3のうちのいずれか1つの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されている1〜600番の組み合わせから選択した2つの内在性標的遺伝子の組み合わせの発現及び/または機能の低下に加えて、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されている1〜600番の組み合わせから選択した2つの内在性標的遺伝子の組み合わせの発現及び/または機能の低下に加えて、ZC3H12Aの発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されている1〜600番の組み合わせから選択した2つの内在性標的遺伝子の組み合わせの発現及び/または機能の低下に加えて、MAP4K1の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図1A〜図1Bに示されている1〜600番の組み合わせから選択した2つの内在性標的遺伝子の組み合わせの発現及び/または機能の低下に加えて、NR4A3の発現及び/または機能が低下されている。
いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、表2から選択した複数の遺伝子の発現及び/または機能の低下、ならびに表3から選択した複数の遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、表2から選択した2つの遺伝子の発現及び/または機能の低下、ならびに表3から選択した2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。例えば、いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、図3A〜図3Bに示されているような1026〜1297番の組み合わせから選択した組み合わせの2つの遺伝子、ならびに図1A〜図1Bに示されているような1〜600番の組み合わせから選択した組み合わせの2つの遺伝子の発現及び/または機能が低下されている。いくつかの実施形態では、その改変免疫エフェクター細胞は、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORのうちの3つ以上の発現及び/または機能が低下され、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3のうちの3つ以上の発現及び/または機能が低下されていてよい。
表2:例示的な内在性遺伝子
Figure 2021518161
Figure 2021518161
表3:新規調節のための例示的な遺伝子
Figure 2021518161
Figure 2021518161
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III.遺伝子調節システム
本明細書では、「遺伝子調節システム」という用語は、細胞に導入したときに、内在性標的DNA配列を改変することによって、コードされる遺伝子産物の発現または機能を調節することができるタンパク質、核酸またはそれらを組み合わせたものを指す。本開示の方法で使用するのに適する多くの遺伝子編集システムが、当該技術分野において知られており、そのシステムとしては、shRNA、siRNA、ジンクフィンガーヌクレアーゼシステム、TALENシステム及びCRISPR/Casシステムが挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、遺伝子調節システムが内在性標的遺伝子に及ぼす作用に関連して「調節する」を使用するときには、「調節する」には、その内在性標的遺伝子の配列のいずれの変化、その内在性標的遺伝子のエピジェネティックな状態のいずれの変化、及び/またはその内在性標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現もしくは機能のいずれの変化も含まれる。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、例えば、内在性標的配列において1つ以上の核酸を挿入するかまたは欠失させることによるなど、1つ以上の変異をその内在性標的配列に導入することによって、その内在性標的遺伝子の配列の変化を媒介し得る。その内在性標的配列の変化を媒介できる例示的な機序としては、非相同末端結合(NHEJ)(例えば古典的または代替的)、マイクロホモロジー媒介性末端結合(MMEJ)、相同配向型修復(例えば内在性ドナーテンプレート媒介性)、SDSA(合成依存的一本鎖アニーリング)、一本鎖アニーリングまたは一本鎖侵入が挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、その内在性標的配列のエピジェネティックな状態の変化を媒介し得る。例えば、いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、その内在性標的遺伝子のDNAの共有結合の改変(例えば、シトシンのメチル化及びヒドロキシメチル化)、または関連ヒストンタンパク質の改変(例えば、リシンのアセチル化、リシン及びアルギニンのメチル化、セリン及びトレオニンのリン酸化、ならびにリシンのユビキチン化及びSUMO化)を媒介し得る。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、その内在性標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現の変化を媒介し得る。このような実施形態では、その遺伝子調節システムは、その内在性標的DNA配列を改変することによって、またはそのDNA配列によってコードされるmRNA産物に作用することによって、そのコードタンパク質の発現を調節し得る。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムによって、改変内在性タンパク質を発現させ得る。このような実施形態では、その遺伝子調節システムの媒介により、内在性DNA配列が改変されると、非改変免疫エフェクター細胞における対応する内在性タンパク質と比べて機能が低下した内在性タンパク質が発現される。このような実施形態では、その改変内在性タンパク質の発現レベルは、非改変免疫細胞における対応する内在性タンパク質の発現レベルよりも上昇しても低下してもよく、あるいは、その対応する内在性タンパク質の発現レベルと同じであっても実質的に同程度であってもよい。
A.核酸ベースの遺伝子調節システム
本明細書で使用する場合、核酸ベースの遺伝子調節システムは、外因性タンパク質を必要とせずに、内在性標的遺伝子の発現を調節できる1つ以上の核酸分子を含むシステムである。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、標的核酸配列と相補的であるRNA干渉分子またはアンチセンスRNA分子を含む。
「アンチセンスRNA分子」とは、長さを問わず、mRNA転写物と相補的であるRNA分子を指す。アンチセンスRNA分子とは、細胞、組織または対象に導入でき、内在性遺伝子のサイレンシング経路に依存するのではなく、RNaseHの媒介による、標的mRNA転写物の分解に依存する機序を通じて、内在性標的遺伝子産物の発現を低下させる、一本鎖RNA分子を指す。いくつかの実施形態では、アンチセンス核酸は、改変された主鎖、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたは当該技術分野において知られているその他の主鎖を含み、あるいは、非天然のヌクレオシド間結合を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンチセンス核酸は、ロックト核酸(LNA)を含むことができる。
「RNA干渉分子」とは、本明細書で使用する場合、内在性遺伝子のサイレンシング経路(例えば、ダイサー及びRNA誘導サイレンシング複合体(RISC))を通じて、標的mRNAを分解することによって、内在性標的遺伝子産物の発現の低下を媒介するRNAポリヌクレオチドを指す。例示的なRNA干渉剤としては、マイクロRNA(本明細書では「miRNA」ともいう)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、RNAアプタマー及びモルホリノが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、1つ以上のmiRNAを含む。miRNAとは、約21〜25ヌクレオチド長で天然の、小分子の非コードRNA分子を指す。miRNAは、1つ以上の標的mRNA分子と少なくとも部分的に相補的である。miRNAは、翻訳の抑制、mRNAの切断及び/または脱アデニル化を通じて、内在性標的遺伝子産物の発現をダウンレギュレートする(例えば低下させる)ことができる。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、1つ以上のshRNAを含む。shRNAは、ステムループ構造を形成するとともに、相補的なmRNA配列を分解させる約50〜70ヌクレオチド長の一本鎖RNA分子である。shRNAは、細胞内に導入されるプラスミドまたは非複製型の組み換えウイルスベクターにクローニングして、shRNAコード配列がゲノムに組み込まれるようにできる。したがって、shRNAは、内在性標的遺伝子の翻訳及び発現を安定的かつ着実に抑制させることができる。
いくつかの実施形態では、核酸ベースの遺伝子調節システムは、1つ以上のsiRNAを含む。siRNAとは、典型的には約21〜23ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を指す。siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)という複数タンパク質複合体と会合し、その会合の際に、「パッセンジャー」センス鎖が酵素的に切断される。そして、活性化RISCに含まれるアンチセンス「ガイド」鎖が、配列相同性によって、対応するmRNAにRISCを導き、同じヌクレアーゼが標的mRNAを切断し、その結果、特異的な遺伝子サイレンシングが行われる。最適には、siRNAは、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長または24ヌクレオチド長であり、その3’末端に、2塩基のオーバーハングを有する。siRNAは、個々の細胞及び/または培養系に導入して、標的mRNA配列を分解させることができる。siRNA及びshRNAについては、Fire et al.,Nature,391:19,1998、ならびに米国特許第7,732,417号、同第8,202,846号及び同第8,383,599号にさらに記載されている。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、1つ以上のモルホリノを含む。「モルホリノ」は、本明細書で使用する場合、標準的な核酸塩基がモルホリン環に結合しているとともに、ホスホロジアミデート結合を通じて連結されている改変核酸オリゴマーを指す。siRNA及びshRNAと同様に、モルホリノは、相補的なmRNA配列に結合する。しかしながら、モルホリノは、相補的なmRNA配列を分解させるために標的とするのではなく、mRNAの翻訳を立体的に阻害し、mRNAスプライシングを変化させることを通じて機能する。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCOR(すなわち、表2に列挙されている遺伝子)から選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされるRNAと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。本願の全体を通じて、参照ゲノム座標は、Genome Reference Consortiumから得たヒトゲノムのGRCh38(hg38ともいう)アセンブリーのゲノムアノテーションに基づくものであり、このアセンブリーは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトで入手可能である。ある1つのアセンブリーと別のアセンブリーとの間でゲノム座標を変換するツール及び方法は、当該技術分野において知られており、そのツール及び方法を用いて、本明細書に示されているゲノム座標を、ヒトゲノムの別のアセンブリーにおける対応する座標に変換できる(同じ機関によってまたは同じアルゴリズムを用いて作製された以前のアセンブリーに変換すること(例えば、GRCh38からGRCh37に変換すること)、及び異なる機関またはアルゴリズムによって作製されたアセンブリーを変換すること(例えば、GRCh38から、International Human Genome Sequencing Consortiumによって作製されたNCBI33に変換すること)を含む)。当該技術分野において知られている利用可能な方法及びツールとしては、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトで利用可能なNCBI Genome Remapping Service、UCSC Genome Browerのウェブサイトで利用可能なUCSC LiftOver、及びEnsembl.orgのウェブサイトで利用可能なAssembly Converterが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、CBLBの発現及び/または機能を低下させることができ、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、BCORの発現及び/または機能を低下させることができ、配列番号708〜772または配列番号708〜764のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、TNFAIP3の発現及び/または機能を低下させることができ、配列番号348〜396または配列番号348〜386のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、Sigma Aldrich、Dharmacon、ThermoFisherなどのような市販業者から入手可能なsiRNAコンストラクト及びshRNAコンストラクトなど、当該技術分野において知られているsiRNA分子またはshRNA分子から選択したsiRNA分子またはshRNA分子を含む。
いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、CBLBであり、その核酸分子は、配列番号41〜44から選択した核酸配列によってコードされるshRNA(国際PCT公開第2018156886号を参照されたい)または配列番号45〜53から選択した核酸配列によってコードされるshRNA(国際PCT公開WO2017120998号を参照されたい)である。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、CBLBであり、その核酸分子は、配列番号54〜63から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2018006880号を参照されたい)または配列番号64〜73から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2018120998号及び同第WO2018137293号を参照されたい)である。
いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、TNFAIP3であり、その核酸分子は、配列番号74〜95から選択した核酸配列によってコードされるshRNA(米国特許第8,324,369号を参照されたい)である。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、TNFAIP3であり、その核酸分子は、配列番号96〜105から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2018006880号を参照されたい)である。
いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、CTLA4であり、その核酸分子は、配列番号128〜133から選択した核酸配列によってコードされるshRNA(国際PCT公開第WO2017120996号を参照されたい)である。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、CTLA4であり、その核酸分子は、配列番号134〜143から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2017120996号、同第WO2017120998号、同第WO2018137295号及び同第WO2018137293号を参照されたい)または配列番号144〜153から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2018006880号を参照されたい)である。
いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、PDCD1であり、その核酸分子は、配列番号106〜107から選択した核酸配列によってコードされるshRNA(国際PCT公開第WO2017120996号を参照されたい)である。いくつかの実施形態では、その内在性標的遺伝子は、PDCD1であり、その核酸分子は、配列番号108〜117から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2017120996号、同第WO201712998号、同第WO2018137295号及び同第WO2018137293号を参照されたい)または配列番号118〜127から選択した核酸配列を含むsiRNA(国際PCT公開第WO2018006880号を参照されたい)である。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3(すなわち、表3に列挙されている遺伝子)から選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、表6A〜表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号814〜1566のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表6Aまたは表6Bのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号814〜1064のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、ZC3H12Aの発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表6Cまたは表6Dのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号1065〜1509のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号1065〜1264のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、MAP4K1の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表6Eまたは表6Fのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号510〜1538のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、NR4A3の発現及び/または機能を低下させることができる。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表6Gまたは表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、配列番号1539〜1566のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である標的RNA配列に結合する核酸分子(例えば、siRNA、shRNA、RNAアプタマーまたはモルホリノ)を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の核酸ベースの遺伝子調節システムは、Sigma Aldrich、Dharmacon、ThermoFisherなどのような市販業者から入手可能なsiRNA分子またはshRNA分子など、当該技術分野において知られているsiRNA分子またはshRNA分子から選択したsiRNA分子またはshRNA分子を含む。例示的なsiRNAコンストラクト及びshRNAコンストラクトは、下記の表4A及び表4Bに記載されている。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表4Aに記載されているsiRNAコンストラクトなど、当該技術分野において知られているsiRNA分子から選択した2つ以上のsiRNA分子を含む。いくつかの実施形態では、その核酸ベースの遺伝子調節システムは、表4Bに記載されているshRNAコンストラクトなど、当該技術分野において知られているshRNA分子から選択した2つ以上のshRNA分子を含む。
表4A:例示的なsiRNAコンストラクト
Figure 2021518161
Figure 2021518161
Figure 2021518161
Figure 2021518161
表4B:例示的なshRNAコンストラクト
Figure 2021518161
Figure 2021518161
Figure 2021518161
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子(例えば、2つ以上のsiRNA、2つ以上のshRNA、2つ以上のRNAアプタマーまたは2つ以上のモルホリノ)を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2R、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子(例えば、表2から選択した遺伝子)のDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)のDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表6A〜表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1566のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、CBLBのDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、ZC3H12AのDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、ZC3H12A遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1264のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、MAP4K1のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表6Eまたは表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、MAP4K1のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、NR4A3のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、表6Gまたは表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上の核酸分子を含み、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合し、その核酸分子のうちの少なくとも1つは、NR4A3のDNA配列によってコードされる標的RNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合し、その2つ以上の核酸分子のうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つによってコードされるRNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的RNA配列に結合する。
B.タンパク質ベースの遺伝子調節システム
いくつかの実施形態では、タンパク質ベースの遺伝子調節システムは、核酸ガイド分子を必要とせずに、内在性標的遺伝子の発現を配列特異的な形で調節することができる1つ以上のタンパク質を含むシステムである。いくつかの実施形態では、そのタンパク質ベースの遺伝子調節システムは、1つ以上のジンクフィンガー結合ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、そのタンパク質ベースの遺伝子調節システムは、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含む。このような実施形態は、本明細書では「TALEN」という。
1.ジンクフィンガーシステム
ジンクフィンガーベースのシステムは、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン及び酵素ドメインという2つのタンパク質ドメインを含む融合タンパク質を含む。「ジンクフィンガーDNA結合ドメイン」、「ジンクフィンガータンパク質」または「ZFP」は、1つ以上のジンクフィンガーを通じて、DNAと配列特異的な形で結合するタンパク質、またはより巨大なタンパク質内のドメインであり、その結合ドメイン内のアミノ酸配列領域のうち、亜鉛イオンへの配位を通じて構造が安定化している領域である。ジンクフィンガードメインは、標的DNA配列に結合することによって、その配列近傍の酵素ドメインの活性を誘導し、その結果、標的配列近傍の内在性標的遺伝子の改変を誘導する。ジンクフィンガードメインは、実質的にいずれの所望の配列にも結合するように操作できる。したがって、切断または組み換えを行いたい標的DNA配列を含む標的遺伝子座(例えば、表2または3で言及されている標的遺伝子内の標的座位)を特定した後、1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを操作して、その標的遺伝子座内の1つ以上の標的DNA配列に結合するようにできる。ジンクフィンガー結合ドメイン及び酵素ドメインを含む融合タンパク質が細胞内で発現すると、その標的遺伝子座で改変が行われる。
いくつかの実施形態では、ジンクフィンガー結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガーを含む。Miller et al.(1985)EMBO J.4:1609−1614、Rhodes(1993)Scientific American Febuary:56−65、米国特許第6,453,242号。典型的には、単一のジンクフィンガードメインは、約30個のアミノ酸の長さである。個々のジンクフィンガーは、3つのヌクレオチド(すなわちトリプレット)配列(または隣接するジンクフィンガーの4つのヌクレオチド結合部位と、1つのヌクレオチドが重複し得る4つのヌクレオチド配列)に結合する。したがって、ジンクフィンガー結合ドメインを操作して、結合するようにする配列(例えば標的配列)の長さによって、操作ジンクフィンガー結合ドメイン内のジンクフィンガーの数が決まることになる。例えば、フィンガーモチーフが、重複するサブ部位には結合しないZFPの場合には、6個のヌクレオチド標的配列には、2つのフィンガー結合ドメインが結合し、9個のヌクレオチド標的配列には、3つの結合ドメインが結合するなどである。標的部位における、個々のジンクフィンガーの結合部位(すなわちサブ部位)は、マルチフィンガー結合ドメイン内のジンクフィンガー間(すなわち、フィンガー間のリンカー)のアミノ酸配列の長さ及び性質に応じて、連続している必要はなく、1つまたは数個のヌクレオチドによって隔てられていることができる。いくつかの実施形態では、個々のZFNのDNA結合ドメインは、個別のジンクフィンガーリピートを3〜6個含み、それぞれ、9〜18塩基対を認識できる。
ジンクフィンガー結合ドメインは、所定の配列に結合するように操作できる。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416を参照されたい。操作ジンクフィンガー結合ドメインは、天然のジンクフィンガータンパク質と比べて、新規な結合特異性を有することができる。操作方法としては、合理的設計及び様々な種類の選択が挙げられるが、これらに限らない。
ジンクフィンガードメインによる結合について標的DNA配列を選択することは、例えば、米国特許第6,453,242号に開示されている方法に従って行うことができる。標的DNA配列の選択を行うために、ヌクレオチド配列を単に目視確認することも利用できることは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載されている方法では、標的DNA配列を選択するためのいずれの手段も用いることができる。標的部位は概して、少なくとも9ヌクレオチドの長さであるので、少なくとも3つのジンクフィンガーを含むジンクフィンガー結合ドメインと結合する。しかしながら、例えば、4つのフィンガーの結合ドメインと12ヌクレオチドの標的部位との結合、5つのフィンガーの結合ドメインと15ヌクレオチドの標的部位との結合、または6つのフィンガーの結合ドメインと18ヌクレオチドの標的部位との結合も可能である。明らかなように、上記よりも大きい結合ドメイン(例えば、7個、8個、9個以上のフィンガー)と、上記よりも長い標的部位との結合も可能である。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子(例えば、表2から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、CBLBの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、BCORの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号708〜772または配列番号708〜764のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、TNFAIP3の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号348〜396または配列番号348〜386のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表6A〜表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、ZC3H12Aの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表6Eまたは表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、表6Gまたは表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガーシステムは、Sigma Aldrichのような市販業者から入手可能なジンクフィンガーシステムなど、当該技術分野において知られているジンクフィンガーシステムから選択する。例えば、いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガーシステムは、下記の表7に記載されているジンクフィンガーシステムなど、当該技術分野において知られているジンクフィンガーシステムから選択する。
表7:例示的なジンクフィンガーシステム
Figure 2021518161
Figure 2021518161
Figure 2021518161
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表6A〜表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aの標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番頭499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、ZC3H12A遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、選択したCBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、表6Fまたは表6Gに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、ジンクフィンガー結合ドメインをそれぞれ含む2つ以上のZFP融合タンパク質を含み、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、選択したCBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のジンクフィンガー結合ドメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
そのジンクフィンガー融合タンパク質の酵素ドメイン部分は、いずれのエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼからも得ることができる。酵素ドメインの由来元とし得る例示的なエンドヌクレアーゼとしては、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限らない。例えば、2002−2003 Catalogue,New England Biolabs,Beverly,Mass.及びBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素が知られている(例えば、51ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNaseI、ミクロコッカスヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ。Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはそれらの機能的断片)のうちの1つ以上を切断ドメインの供給源として用いることができる。
本明細書に記載されているZFPの酵素ドメインとして用いるのに適する例示的な制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、DNAに(認識部位で)配列特異的に結合して、結合部位でまたは結合部位の近傍でDNAを切断することができる。ある特定の制限酵素(例えばタイプIIS)は、認識部位から離れた部位でDNAを切断し、離れていることのできる結合ドメイン及び切断ドメインを有する。例えば、タイプIIS酵素であるFokIは、一方の鎖では、その認識部位から9ヌクレオチドの位置で、もう一方の鎖では、その認識部位から13ヌクレオチドの位置で、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号及び同第5,487,994号、ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275−4279、Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764−2768、Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883−887、Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978−31,982を参照されたい。したがって、一実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも1つのタイプIIS制限酵素に由来する酵素ドメイン、及び1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。
切断ドメインが結合ドメインから離れていることのできる例示的なタイプIIS制限酵素は、FokIである。この特有の酵素は、二量体として活性を有する。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570−10,575。したがって、ジンクフィンガー−FokI融合体を用いて、二本鎖DNAの標的切断を行うには、FokI酵素ドメインをそれぞれ含む2つの融合タンパク質を用いて、触媒活性を持つ切断ドメインを再構成できる。あるいは、ジンクフィンガー結合ドメイン及び2つのFokI酵素ドメインを含む単一のポリペプチド分子を用いることもできる。FokI酵素ドメインを含む例示的なZFPは、米国特許第9,782,437号に記載されている。
2.TALENシステム
TALENベースのシステムは、TALエフェクターDNA結合ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含む。このシステムは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメイン(DNA鎖を切断するヌクレアーゼ)に融合することによって作製する。上記のFokI制限酵素は、TALENベースの遺伝子調節システムで用いるのに適する例示的な酵素ドメインである。
TALエフェクターは、Xanthomonas菌が植物に感染する時に、Xanthomonas菌によって、そのタイプIII分泌システムを介して分泌されるタンパク質である。上記のDNA結合ドメインは、高度に保存された33〜34個のアミノ酸の反復配列を含むが、12番目と13番目のアミノ酸は異なる。これらの2つの位置は、反復可変二残基(RVD)といい、可変性が高く、特異的なヌクレオチドの認識と密接に相関する。したがって、適切なRVDを含む反復セグメントの組み合わせを選択することによって、TALエフェクタードメインを操作して、特定の標的DNA配列と結合するようにできる。RVDの組み合わせの核酸特異性は、以下のとおりである。すなわち、HDは、シトシンを標的とし、NIは、アデニンを標的とし、NGは、チミンを標的とし、NNは、グアニンを標的とする(ただし、いくつかの実施形態では、NNは、グアニンよりも低い特異性で、アデニンとも結合し得る)。
いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子(例えば、表2から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、CBLB遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、BCOR遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、配列番号708〜772または配列番号708〜764のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、TNFAIP3の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、配列番号348〜396または配列番号348〜386のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表6A〜表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、ZC3H12Aの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表6Eまたは表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、表6Gまたは表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表6A〜表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、CBLBの標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aの標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、ZC3H12A遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表6Dまたは表6Eに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、選択したCBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、表6Fまたは表6Gに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、TALエフェクタードメインをそれぞれ含む2つ以上のTALエフェクター融合タンパク質を含み、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、選択したCBLB遺伝子の標的DNA配列に結合し、そのTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合し、その2つ以上のTALエフェクタードメインのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
TALエフェクターリピートをアセンブルするための方法及び組成物は、当該技術分野において知られている。例えば、Cermak et al,Nucleic Acids Research,39:12,2011,e82を参照されたい。TALエフェクターリピートを構築するためのプラスミドは、Addgeneから市販されている。
C.核酸/タンパク質複合体ベースの遺伝子調節システム
複合型遺伝子調節システムは、部位特異的改変ポリペプチド及び核酸ガイド分子を含む。本明細書では、「部位特異的改変ポリペプチド」とは、核酸ガイド分子に結合し、標的核酸配列(例えば、内在性標的DNA配列または内在性標的RNA配列)に結合するその核酸ガイド分子によってその標的核酸配列に導かれ、(例えば、その標的核酸配列の切断、変異またはメチル化によって)その標的核酸配列を改変するポリペプチドを指す。
部位特異的改変ポリペプチドは、核酸ガイドと結合する部分及び活性部分という2つの部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、部位特異的な酵素活性(例えば、DNAのメチル化、DNAまたはRNAの切断、ヒストンのアセチル化、ヒストンのメチル化など)を呈する活性部分を含み、その酵素活性の部位は、ガイド核酸によって決定される。いくつかの場合では、部位特異的改変ポリペプチドは、内在性標的核酸配列を改変する酵素活性(例えば、ヌクレアーゼ活性、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、DNA修復活性、DNA損傷活性、脱アミノ化活性、ジスムターゼ活性、アルキル化活性、脱プリン化活性、酸化活性、ピリミジン二量体形成活性、インテグラーゼ活性、トランスポザーゼ活性、リコンビナーゼ活性、ポリメラーゼ活性、リガーゼ活性、ヘリカーゼ活性、フォトリアーゼ活性またはグリコシラーゼ活性)を有する活性部分を含む。別の場合では、部位特異的改変ポリペプチドは、内在性標的核酸配列と関連するポリペプチド(例えばヒストン)を改変する酵素活性(例えば、メチルトランスフェラーゼ活性、デメチラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、デアセチラーゼ活性、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、ユビキチンリガーゼ活性、脱ユビキチン化活性、アデニル化活性、脱アデニル化活性、SUMO化活性、脱SUMO化活性、リボース化活性、脱リボース化活性、ミリストイル化活性または脱ミリストイル化活性)を有する活性部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、標的DNA配列の転写を調節する(例えば、転写を増減させる)活性部分を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドは、標的RNA配列の発現または翻訳を調節する(例えば、転写を増減させる)活性部分を含む。
その核酸ガイドは、内在性標的核酸配列と相補的であり、内在性標的核酸配列と結合できる第1の部分(本明細書では「核酸結合セグメント」という)、及び部位特異的改変ポリペプチドと相互作用できる第2の部分(本明細書では「タンパク質結合セグメント」という)という2つの部分を含む。いくつかの実施形態では、核酸ガイドの核酸結合セグメント及びタンパク質結合セグメントは、単一のポリヌクレオチド分子内に含まれている。いくつかの実施形態では、核酸ガイドの核酸結合セグメント及びタンパク質結合セグメントはそれぞれ、別々のポリヌクレオチド分子内に含まれており、その核酸ガイドは、会合し合って機能的ガイドを形成する2つのポリヌクレオチド分子を含むようになっている。
その核酸ガイドは、標的核酸配列と特異的にハイブリダイズすることによって、タンパク質/核酸複合型の遺伝子調節システムの標的特異性を媒介する。いくつかの実施形態では、その標的核酸配列は、標的遺伝子のmRNA転写物内に含まれるRNA配列のようなRNA配列である。いくつかの実施形態では、その標的核酸配列は、標的遺伝子のDNA配列内に含まれるDNA配列である。本明細書で標的遺伝子に言及する場合には、複数の標的遺伝子座(すなわち、特定の標的遺伝子配列の一部(例えば、エキソンまたはイントロン))を含むその特定の遺伝子の完全長DNA配列が含まれる。各標的遺伝子座内にあるのは、本明細書に記載されている遺伝子調節システムによって改変できる、より短い領域のDNA配列(本明細書では「標的DNA配列」という)である。さらに、各標的遺伝子座は、「標的改変部位」を含み、その標的改変部位とは、遺伝子調節システムによって誘導される改変の正確な位置(例えば、挿入、欠失もしくは変異の位置、DNA切断の位置、またはエピジェネティックな改変の位置)を指す。
本明細書に記載されている遺伝子調節システムは、単一の核酸ガイドを含んでも、複数の核酸ガイド(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る数の核酸ガイド)を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、タンパク質/核酸複合型の遺伝子調節システムは、アルゴノート(Ago)タンパク質(例えば、T.thermophiles Ago、すなわちTtAgo)に由来する部位特異的改変ポリペプチドを含む。このような実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドは、T.thermophiles Ago DNAエンドヌクレアーゼであり、その核酸ガイドは、ガイドDNA(gDNA)である(Swarts et al.,Nature 507(2014),258−261を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本開示は、gDNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、gDNAをコードする核酸は、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれている。いくつかの実施形態では、本開示は、部位特異的改変ポリペプチドTtAgoまたはそのバリアントをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、部位特異的改変ポリペプチドTtAgoをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子編集システムは、CRISPR(クラスター化した規則的な配置の短い回文反復配列)/Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼシステムである。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、クラス2システムである。クラス2 CRISPR/Casシステムは、II型システム、V型システム及びVI型システムという3つの型に分類される。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、Cas9タンパク質を用いるクラス2 II型システムである。このような実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼであるCas9(またはそのバリアント)であり、その核酸ガイド分子は、ガイドRNA(gRNA)である。いくつかの実施形態では、そのCRISPR/Casシステムは、Cas12タンパク質(例えば、Cas12a(Cpf1としても知られている)、Cas12b(C2c1としても知られている)、Cas12c(C2c3としても知られている)、Cas12d(CasYとしても知られている)及びCas12e(CasXとしても知られている))を用いるクラス2 V型システムである。このような実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼであるCas12(またはそのバリアント)であり、その核酸ガイド分子は、gRNAである。いくつかの実施形態では、そのCRISPR/Casシステムは、Cas13タンパク質(例えば、Cas13a(C2c2としても知られている)、Cas13b及びCas13c)を用いるクラス2のVI型システムである。(Pyzocha et al.,ACS Chemical Biology,13(2),347−356を参照されたい。)このような実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドは、RNAリボエンドヌクレアーゼであるCas13であり、その核酸ガイド分子は、gRNAである。
Casポリペプチドとは、gRNA分子と相互作用するとともに、gRNA分子に呼応して、標的DNA配列または標的RNA配列に誘導または局在化されることができるポリペプチドを指す。Casポリペプチドには、天然のCasタンパク質、及び操作、変更または別段に改変されたCasタンパク質であって、天然のCas配列とは1つ以上のアミノ酸残基が異なるCasタンパク質が含まれる。
ガイドRNA(gRNA)は、DNA結合セグメント及びタンパク質結合セグメントという2つのセグメントを含む。いくつかの実施形態では、gRNAのタンパク質結合セグメントは、1つのRNA分子に含まれ、そのDNA結合セグメントは、別の異なるRNA分子に含まれる。このような実施形態は、本明細書では、「二重分子gRNA」、「二分子gRNA」または「デュアルgRNA」という。いくつかの実施形態では、そのgRNAは、単一のRNA分子であり、本明細書では、「シングルガイドRNA」または「sgRNA」という。「ガイドRNA」または「gRNA」という用語は、包括的な用語であり、二分子ガイドRNA及びsgRNAの両方を指す。
gRNAのタンパク質結合セグメントは、部分的に、ハイブリダイズし合って二本鎖RNA(dsRNA)を形成する2つの相補的ヌクレオチド領域を含み、そのdsRNAが、Casタンパク質への結合を促す。gRNAの核酸結合セグメント(または「核酸結合配列」)は、特異的な標的核酸配列と相補的であり、その配列に結合できるヌクレオチド配列を含む。gRNAのタンパク質結合セグメントはCasポリペプチドと相互作用し、gRNA分子と部位特異的改変ポリペプチドとの相互作用によって、Casが内在性核酸配列に結合し、標的核酸配列内または標的核酸配列内周辺で、1つ以上の改変が行われる。標的改変部位の正確な位置は、(i)gRNAと標的核酸配列との塩基対形成の相補性、及び(ii)標的DNA配列内にあるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)という短いモチーフの位置(標的RNA配列内では、プロトスペーサー隣接配列(PFS)という)の両方によって決定される。Casが標的核酸配列に結合するには、PAM/PFS配列が必要となる。様々なPAM/PFS配列が当該技術分野において知られており、特定のCasエンドヌクレアーゼ(例えばCas9エンドヌクレアーゼ)とともに使用するのに適する(例えば、Nat Methods.2013 Nov;10(11):1116−1121及びSci Rep.2014;4:5405を参照されたい)。いくつかの実施形態では、そのPAM配列は、標的DNA配列内の標的改変部位から50塩基対以内に位置する。いくつかの実施形態では、そのPAM配列は、標的DNA配列内の標的改変部位から10塩基対以内に位置する。本発明の方法によって標的にすることができるDNA配列は、PAM配列と標的改変部位との相対的な距離、及び配列特異的かつgRNA媒介性のCas結合を媒介するための特有の20塩基対の配列の存在によってのみ制限される。いくつかの実施形態では、そのPFS配列は、標的RNA配列の3’末端に位置する。いくつかの実施形態では、その標的改変部位は、標的座位の5’末端に位置する。いくつかの実施形態では、その標的改変部位は、標的座位の3’末端に位置する。いくつかの実施形態では、その標的改変部位は、標的座位のイントロンまたはエキソン内に位置する。
いくつかの実施形態では、本開示は、gRNAをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、gRNAをコードする核酸は、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれている。いくつかの実施形態では、本開示は、部位特異的改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターに含まれている。
1.Casタンパク質
いくつかの実施形態では、その部位特異的改変ポリペプチドは、Casタンパク質である。本明細書に記載されている方法及び組成物では、様々な種のCas分子を使用でき、S.pyogenes、S.aureus、N.meningitidis、S.thermophiles、Acidovorax avenae、Actinobacillus pleuropneumoniae、Actinobacillus succinogenes、Actinobacillus suis、Actinomyces sp.、Cycliphilusdenitrificans、Aminomonas paucivorans、Bacillus cereus、Bacillus smithii、Bacillus thuringiensis、Bacteroides sp.、Blastopirellula marina、Bradyrhizobium sp.、Brevibacillus laterospoxus、Campylobacter coli、Campylobacter jejuni、Campylobacter lari、Candidatus puniceispirillum、Clostridium cellulolyticum、Clostridium perfringens、Corynebacterium accolens、Corynebacterium diphtheria、Corynebacterium matruchotii、Dinoroseobacter shibae、Eubacterium dolichum、Gammaproteobacterium、Gluconacetobacter diazotrophicus、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus sputomm、Helicobacter canadensis、Helicobacter cinaedi、Helicobacter mustelae、Ilyobacter polytropus、Kingella kingae、Lactobacillus crispatus、Listeria ivanovii、Listeria monocytogenes、Listeriaceae bacterium、Methylocystis sp.、Methylosinus trichosporium、Mobiluncus mulieris、Neisseria bacilliformis、Neisseria cinerea、Neisseria flavescens、Neisseria lactamica、Neisseria meningitidis、Neisseria sp.、Neisseria wadsworthii、Nitrosomonas sp.、Parvibaculum lavamentivorans、Pasteurella multocida、Phascolarctobacterium succinatutens、Ralstonia syzygii、Rhodopseudomonas palustris、Rhodovulum sp.、Simonsiella muelleri、Sphingomonas sp.、Sporolactobacillus vineae、Staphylococcus aureus、Staphylococcus lugdunensis、Streptococcus sp.、Subdoligranulum sp.、Tistrella mobilis、Treponema sp.またはVerminephrobacter eiseniaeに由来するCas分子が挙げられる。
いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、天然のCasタンパク質である。いくつかの実施形態では、そのCasエンドヌクレアーゼは、C2C1、C2C3、Cpf1(Cas12aともいう)、Cas12b、Cas12c、Cas12d、Cas12e、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られている)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3及びCsf4からなる群から選択する。
いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、Cas13タンパク質のようなエンドリボヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、そのCas13タンパク質は、Cas13aタンパク質(Abudayyeh et al.,Nature 550 (2017),280−284)、Cas13bタンパク質(Cox et al.,Science(2017)358:6336,1019−1027)、Cas13cタンパク質(Cox et al.,Science(2017)358:6336,1019−1027)またはCas13dタンパク質(Zhang et al.,Cell 175(2018),212−223)である。
いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、野生型または天然のCas9タンパク質またはCas9オルソログである。野生型Cas9は、DNAの標的鎖を切断するためのHNHヌクレアーゼドメイン、及び非標的鎖を切断するためのRuvC様ドメインを用いるマルチドメイン酵素である。gRNAの特異性に基づき、野生型Cas9がDNAに結合すると、二本鎖DNAが切断され、この切断部は、非相同末端結合(NHEJ)または相同配向型修復(HDR)によって修復できる。例示的な天然のCas9分子は、Chylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727−737に記載されており、追加のCas9オルソログは、国際PCT公開第WO2015/071474号に記載されている。このようなCas9分子としては、クラスター1細菌ファミリー、クラスター2細菌ファミリー、クラスター3細菌ファミリー、クラスター4細菌ファミリー、クラスター5細菌ファミリー、クラスター6細菌ファミリー、クラスター7細菌ファミリー、クラスター8細菌ファミリー、クラスター9細菌ファミリー、クラスター10細菌ファミリー、クラスター11細菌ファミリー、クラスター12細菌ファミリー、クラスター13細菌ファミリー、クラスター14細菌ファミリー、クラスター15細菌ファミリー、クラスター16細菌ファミリー、クラスター17細菌ファミリー、クラスター18細菌ファミリー、クラスター19細菌ファミリー、クラスター20細菌ファミリー、クラスター21細菌ファミリー、クラスター22細菌ファミリー、クラスター23細菌ファミリー、クラスター24細菌ファミリー、クラスター25細菌ファミリー、クラスター26細菌ファミリー、クラスター27細菌ファミリー、クラスター28細菌ファミリー、クラスター29細菌ファミリー、クラスター30細菌ファミリー、クラスター31細菌ファミリー、クラスター32細菌ファミリー、クラスター33細菌ファミリー、クラスター34細菌ファミリー、クラスター35細菌ファミリー、クラスター36細菌ファミリー、クラスター37細菌ファミリー、クラスター38細菌ファミリー、クラスター39細菌ファミリー、クラスター40細菌ファミリー、クラスター41細菌ファミリー、クラスター42細菌ファミリー、クラスター43細菌ファミリー、クラスター44細菌ファミリー、クラスター45細菌ファミリー、クラスター46細菌ファミリー、クラスター47細菌ファミリー、クラスター48細菌ファミリー、クラスター49細菌ファミリー、クラスター50細菌ファミリー、クラスター51細菌ファミリー、クラスター52細菌ファミリー、クラスター53細菌ファミリー、クラスター54細菌ファミリー、クラスター55細菌ファミリー、クラスター56細菌ファミリー、クラスター57細菌ファミリー、クラスター58細菌ファミリー、クラスター59細菌ファミリー、クラスター60細菌ファミリー、クラスター61細菌ファミリー、クラスター62細菌ファミリー、クラスター63細菌ファミリー、クラスター64細菌ファミリー、クラスター65細菌ファミリー、クラスター66細菌ファミリー、クラスター67細菌ファミリー、クラスター68細菌ファミリー、クラスター69細菌ファミリー、クラスター70細菌ファミリー、クラスター71細菌ファミリー、クラスター72細菌ファミリー、クラスター73細菌ファミリー、クラスター74細菌ファミリー、クラスター75細菌ファミリー、クラスター76細菌ファミリー、クラスター77細菌ファミリーまたはクラスター78細菌ファミリーのCas9分子が挙げられる。
いくつかの実施形態では、天然のCas9ポリペプチドは、SpCas9、SpCas9−HF1、SpCas9−HF2、SpCas9−HF3、SpCas9−HF4、SaCas9、FnCpf、FnCas9、eSpCas9及びNmeCas9からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、そのCas9タンパク質は、Chylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727−737、Hou et al.,PNAS Early Edition 2013,1−6に記載されているCas9アミノ酸配列との配列同一性が少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、そのCasポリペプチドは、
(a)ニッカーゼ活性、すなわち、一本鎖、例えば、核酸分子の非相補鎖または相補鎖を切断する能力、
(b)二本鎖ヌクレアーゼ活性、すなわち、二本鎖核酸の両方の鎖を切断し、二本鎖切断を起こす能力(一実施形態では、2つのニッカーゼ活性の存在である)、
(c)エンドヌクレアーゼ活性、
(d)エキソヌクレアーゼ活性及び/または
(e)ヘリカーゼ活性、すなわち、二本鎖核酸のらせん構造をほどく能力、
という活性のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、そのCasポリペプチドは、様々な修復機序による、標的配列の修復の可能性または修復率をさらに向上させるために、DNA損傷シグナル伝達タンパク質、エキソヌクレアーゼまたはホスファターゼを動員する異種タンパク質に融合されている。いくつかの実施形態では、相同配向型修復による外因性核酸配列の導入を促すために、野生型Casポリペプチドを核酸修復鋳型と共発現させる。
いくつかの実施形態では、(例えば、それぞれに異なるPAM配列選択性、酵素活性の向上または低下、細胞傷害性レベルの上昇または低下、NHEJ、相同配向型修復、一本鎖切断、二本鎖切断などのバランスの変更のために)それぞれに異なるCasタンパク質の様々な酵素特性を活用するためには、それぞれに異なるCasタンパク質(すなわち、様々な種に由来するCas9タンパク質)が、提供する各種方法で用いるものとして有益である場合がある。
いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.pyogenesに由来するCas9タンパク質であり、NGG、NAG、NGAというPAM配列モチーフを認識する(Mali et al,Science 2013;339(6121):823−826)。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.thermophilesに由来するCas9タンパク質であり、NGGNG及び/またはNNAGAAW(W=AまたはT)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Horvath et al,Science,2010;327(5962):167−170及びDeveau et al,J Bacteriol 2008;190(4):1390−1400を参照されたい)。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.mutansに由来するCas9タンパク質であり、NGG及び/またはNAAR(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Deveau et al,J BACTERIOL 2008;190(4):1390−1400を参照されたい)。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NNGRR(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NGRRT(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、S.aureusに由来するCas9タンパク質であり、NGRRV(R=AまたはG)というPAM配列モチーフを認識する。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、N.meningitidisに由来するCas9タンパク質であり、NGATTまたはNGCTT(R=AまたはG、V=A、GまたはC)というPAM配列モチーフを認識する(例えば、Hou et ah,PNAS 2013,1−6を参照されたい)。上記の実施形態では、Nは、いずれのヌクレオチド残基、例えば、A、G、CまたはTのいずれであることもできる。いくつかの実施形態では、そのCasタンパク質は、Leptotrichia shahiiに由来するCas13タンパク質であり、3’の単一のA、UまたはCというPFS配列モチーフを認識する。
いくつかの実施形態では、Casタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、そのポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727−737に記載されているCasタンパク質と少なくとも90%同一であるCasタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、そのポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski et al.,RNA Biology 2013 10:5,727−737に記載されているCasタンパク質と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるCasタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、そのポリヌクレオチドは、国際PCT公開第WO2015/071474号またはChylinski,RNA Biology 2013 10:5,727−737に記載されているCasタンパク質と100%同一であるCasタンパク質をコードする。
2.Cas変異体
いくつかの実施形態では、そのCasポリペプチドは、Casポリペプチドの1つ以上の特性を改変させるために操作されている。例えば、いくつかの実施形態では、そのCasポリペプチドは、酵素特性が改変されており、例えば、(天然のCas分子もしくは他の参照Cas分子と比べて)ヌクレアーゼ活性が改変されているか、またはヘリカーゼ活性が改変されている。いくつかの実施形態では、操作Casポリペプチドは、その大きさを改変させる改変、例えば、そのCasポリペプチドの別の特性に有意な影響を及ぼさずに、その大きさを縮小させる、アミノ酸配列の欠失を有することができる。いくつかの実施形態では、操作Casポリペプチドは、PAM認識に影響を及ぼす改変を含む。例えば、操作Casポリペプチドは、対応する野生型Casタンパク質によって認識されるPAM配列以外のPAM配列を認識するように改変させることができる。
所望の特性を有するCasポリペプチドは、いくつかの方法で作製することができ、その方法としては、所望の特性を有する変異体または改変型のCasポリペプチドを得られるように、天然のCasポリペプチドまたは親Casポリペプチドを改変することが挙げられる。例えば、1つ以上の変異を親Casポリペプチド(例えば、天然のCasポリペプチドまたは操作Casポリペプチド)の配列に導入できる。このような変異及び相違は、置換(例えば、保存的置換もしくは重要ではないアミノ酸の置換)、挿入または欠失を含んでよい。いくつかの実施形態では、変異体のCasポリペプチドは、親Casポリペプチドに対して1個以上の変異(例えば、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、30個、40個または50個の変異)を含む。
一実施形態では、変異体のCasポリペプチドは、天然のCasポリペプチドとは異なる切断特性を含む。いくつかの実施形態では、そのCasは、不活性型Cas(dCas)変異体である。このような実施形態では、そのCasポリペプチドは、いずれの内在性酵素活性も含まず、標的核酸切断を媒介できない。このような実施形態では、そのdCasは、非切断ベースの形式で標的核酸を改変できる異種タンパク質と融合してよい。例えば、いくつかの実施形態では、dCasタンパク質は、転写活性化因子または転写抑制因子のドメイン(例えば、Kruppel関連ボックス(KRABまたはSKD)、Mad mSIN3相互作用ドメイン(SIDまたはSID4X)、ERF抑制ドメイン(ERD)、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、メチル−CpG結合タンパク質2(MECP2)など)に融合されている。いくつかのこのような場合では、そのdCas融合タンパク質は、gRNAによって、標的核酸における所定の位置(すなわち配列)に導かれて、座位特異的な調節(RNAポリメラーゼのプロモーターへの結合のブロック(それにより、転写活性化因子の機能を選択的に阻害する)及び/または局在的なクロマチンの状態の改変(例えば、標的DNAを改変するか、もしくは標的DNAと関連するポリペプチドを改変する融合配列を用いる場合)など)を行う。いくつかのケースでは、その変化は、一過性である(例えば、転写の抑制または活性化)。いくつかのケースでは、その変化は、遺伝性である(例えば、標的DNAまたは標的DNAと関連するタンパク質、例えばヌクレオソームヒストンに、エピジェネティックな改変を加える場合)。
いくつかの実施形態では、そのdCasは、dCas13変異体である(Konermann et al.,Cell 173(2018),665−676)。そして、これらのdCas13変異体は、RNAを改変する酵素に融合でき、その酵素としては、アデノシンデアミナーゼ(例えば、ADAR1及びADAR2)が挙げられる。アデノシンデアミナーゼは、アデニンをイノシンに変換し、そのイノシンを翻訳機構がグアニンのように扱うことにより、RNA配列において、機能上はA→Gという変更が行われる。いくつかの実施形態では、そのdCasは、dCas9変異体である。
いくつかの実施形態では、その変異体のCas9は、Cas9ニッカーゼ変異体である。Cas9ニッカーゼ変異体は、触媒活性を持つドメインを1つだけ含む(HNHドメインまたはRuvCドメインのいずれか)。このCas9ニッカーゼ変異体は、gRNA特異性に基づくDNA結合性を保持するが、切断できるのは、DNAの一方の鎖のみであることから、一本鎖切断(例えば「ニック」)が生じる。いくつかの実施形態では、同じ細胞内で、2つの相補的Cas9ニッカーゼ変異体(例えば、RuvCドメインが不活化された1つのCas9ニッカーゼ変異体、及びHNHドメインが不活化された1つのCas9ニッカーゼ変異体)が、2つのそれぞれの標的配列(DNAセンス鎖上の1つの標的配列、及びDNAアンチセンス鎖上の1つの標的配列)に対応する2つのgRNAとともに発現する。このデュアルニッカーゼシステムにより、ずれた位置で二本鎖切断が行われ、二本鎖切断を起こすのに充分なほど近くで2つのオフターゲットニックが生じる可能性が低くなるので、標的特異性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、相同配向型修復による外因性核酸配列の導入を促すために、Cas9ニッカーゼ変異体を核酸修復鋳型と共発現させる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているCasポリペプチドを操作して、そのCasポリペプチドのPAM/PFS特異性を改変できる。いくつかの実施形態では、変異体のCasポリペプチドは、PAM/PFS特異性が、親CasポリペプチドのPAM/PFS特異性とは異なる。例えば、オフターゲット部位を減少させるか、特異性を向上させるか、またはPAM/PFS認識要件を排除するために、天然のCasタンパク質を改変して、その変異体Casポリペプチドが認識するPAM/PFS配列を改変できる。いくつかの実施形態では、Casタンパク質を改変して、PAM/PFS認識配列の長さを長くできる。いくつかの実施形態では、そのPAM認識配列の長さは、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または15個のアミノ酸の長さである。指向性進化法を用いて、異なるPAM/PFS配列を認識する、及び/またはオフターゲット活性が低減されたCasポリペプチドを作製できる。Casポリペプチドの指向性進化法で使用できる例示的な方法及びシステムは、例えば、Esvelt et al.Nature 2011,472(7344):499−503に記載されている。
例示的なCas変異体は、国際PCT公開第WO2015/161276号及びKonermann et al.,Cell 173(2018),665−676に記載されており、これらは、参照により、その全体が本明細書に援用される。
3.gRNA
本開示は、部位特異的改変ポリペプチドを所定の標的核酸配列に誘導するガイドRNA(gRNA)を提供する。gRNAは、「核酸ターゲティングドメイン」または「ターゲティングドメイン」、及びタンパク質結合セグメントを含む。そのターゲティングドメインは、「スペーサー」配列と称することもあり、標的核酸配列と相補的であるヌクレオチド配列を含む。したがって、gRNAのターゲティングドメインセグメントは、配列特異的な形で、ハイブリダイゼーション(すなわち塩基対形成)によって標的核酸と相互作用し、gRNAが結合する、標的核酸内の位置を決定する。gRNAのターゲティングドメインセグメントを(例えば遺伝子操作によって)改変して、標的核酸配列内の所望の配列にハイブリダイズさせることができる。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、約13〜約22ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、約13ヌクレオチド長、14ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、16ヌクレオチド長、17ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21または22ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、約20ヌクレオチド長である。
gRNAのタンパク質結合セグメントは、部位特異的改変ポリペプチド(例えばCasタンパク質)と相互作用して、そのgRNA及びその部位特異的改変ポリペプチドを含むリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する。そして、gRNAのターゲティングドメインセグメントが、結合した部位特異的改変ポリペプチドを、上記のスペーサー配列によって、標的核酸内の所定のヌクレオチド配列に導く。gRNAのタンパク質結合セグメントは、互いに相補的であるとともに、二本鎖RNAを形成する少なくとも2つのヌクレオチド領域を含む。gRNAのタンパク質結合セグメントは、「足場」セグメントまたは「tracrRNA」と称することもある。いくつかの実施形態では、そのtracrRNA配列は、約30〜約180ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのtracrRNA配列は、約40〜約90ヌクレオチド長、約50〜約90ヌクレオチド長、約60〜約90ヌクレオチド長、約65〜約85ヌクレオチド長、約70〜約80ヌクレオチド長、約65〜約75ヌクレオチド長または約75〜約85ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのtracrRNA配列は、約70ヌクレオチド長、71ヌクレオチド長、72ヌクレオチド長、73ヌクレオチド長、74ヌクレオチド長、75ヌクレオチド長、76ヌクレオチド長、77ヌクレオチド長、78ヌクレオチド長、79ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、81ヌクレオチド長、82ヌクレオチド長、83ヌクレオチド長、84ヌクレオチド長、85ヌクレオチド長、86ヌクレオチド長、87ヌクレオチド長、88ヌクレオチド長または約90ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのtracrRNAは、配列番号34(Mali et al.,Science(2013)339(6121):823−826を参照されたい)、配列番号35〜36(PCT公開第WO2016/106236号を参照されたい)、配列番号37〜39(Deltcheva et al.,Nature.2011 Mar 31;471(7340):602−607を参照されたい)または配列番号40(Chen et al.,Cell.2013;155(7);1479−1491を参照されたい)のDNA配列によってコードされる核酸配列を含む。上記のtracr配列のいずれも、本明細書に記載されているgRNAターゲティングドメインの実施形態のいずれかと組み合わせて用いるのに適している。
いくつかの実施形態では、gRNAは、2つの別個のRNA分子を含む(すなわち、「デュアルgRNA」)。いくつかの実施形態では、gRNAは、単一のRNA分子を含む(すなわち、「シングルガイドRNA」または「sgRNA」)。本明細書では、「ガイドRNA」または「gRNA」という用語を使用する際には、デュアルgRNA及びsgRNAの両方が含まれる。デュアルgRNAは、「crisprRNA」(または「crRNA」)及び「tracrRNA」という2つの別個のRNA分子を含む。crRNA分子は、「tracrメイト」配列に共有結合したスペーサー配列を含む。そのトレーサーメイト配列は、tracrRNA分子内の対応する配列と相補的であるヌクレオチド領域を含む。このcrRNA分子及びtracrRNA分子は、tracr配列とトレーサーメイト配列の相補性によって、互いにハイブリダイズする。
いくつかの実施形態では、そのgRNAは、sgRNAである。このような実施形態では、その核酸ターゲティング配列及びタンパク質結合配列は、スペーサー配列がtracrRNA配列に融合されていることによって、単一のRNA分子に存在する。いくつかの実施形態では、そのsgRNAは、約50〜約200ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのsgRNAは、約75〜約150または約100〜約125ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、そのsgRNAは、約100ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態では、本開示のgRNAは、標的座位内の標的核酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%相補的であるか、または100%相補的であるターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、その標的核酸配列は、RNA標的配列である。いくつかの実施形態では、その標的核酸配列は、DNA標的配列である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子(例えば、表2から選択した遺伝子)の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、CBLB遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA配列の核酸結合セグメントは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。CBLBを標的とするのに適する追加のgRNAは、米国特許出願公開第2017/0175128号に記載されている。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、TNFAIP3遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA配列の核酸結合セグメントは、配列番号348〜396または配列番号348〜3486のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、BCOR遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのgRNA配列の核酸結合セグメントは、配列番号708〜772または配列番号708〜764のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表6A〜表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表6Aまたは表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、ZC3H12Aの配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表6Cまたは表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、MAP4K1遺伝子の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表6Eまたは表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、本発明で提供するgRNAは、NR4A3遺伝子の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、表6Gまたは表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。いくつかの実施形態では、そのターゲティングドメイン配列は、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合する。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子(例えば、表2から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及びNR4A3から選択した標的遺伝子(例えば、表3から選択した遺伝子)の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表6A〜6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表6Aまたは表6Bのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、gRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、CBLBの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号814〜1064のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、ZC3H12Aの標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表6Cまたは表6Dのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、ZC3H12A遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1509のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1065〜1264のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表6Eまたは表6Fのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、MAP4K1遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの少なくとも1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1510〜1538のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1またはBCORから選択した標的遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表5Aまたは表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、表6Gまたは表6Hのうちの1つに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号154〜498または配列番号499〜813のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、2つ以上のgRNA分子を含み、そのgRNAのうちの少なくとも1つは、CBLB遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAうちの少なくとも1つは、NR4A3遺伝子の標的DNA配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含み、そのgRNAうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である標的DNA配列に結合するターゲティングドメインを含む。いくつかの実施形態では、そのgRNAうちの少なくとも1つは、配列番号499〜524のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含み、そのgRNAうちの少なくとも1つは、配列番号1539〜1566のうちの1つと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一である核酸配列によってコードされるターゲティングドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているgRNA配列の核酸結合セグメントは、特定の標的座位または標的遺伝子に特有である標的配列を特定するための、当該技術分野において知られているアルゴリズム(例えばCas−OFF finder)を用いて、オフターゲット結合を最小限にするように設計されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているgRNAは、ヌクレアーゼに対する安定性を付与する1つ以上の改変ヌクレオシドまたは改変ヌクレオチドを含むことができる。このような実施形態では、これらの改変gRNAは、非改変gRNAと比べて、自然免疫の低下を誘発し得る。「自然免疫応答」という用語には、概ねウイルスまたは細菌由来の一本鎖核酸を含む外因性核酸に対する細胞応答が含まれ、その応答には、サイトカイン、特にインターフェロンの発現及び放出、ならびに細胞死の誘導が伴う。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているgRNAは、5’末端または5’末端近傍(例えば、その5’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドまたは1〜2ヌクレオチド以内)が改変されている。いくつかの実施形態では、gRNAの5’末端は、真核mRNAのキャップ構造またはキャップアナログ(例えば、G(5’)ppp(5’)Gというキャップアナログ、m7G(5’)ppp(5’)Gというキャップアナログまたは3’−O−Me−m7G(5’)ppp(5’)Gというアンチリバースキャップアナログ(ARCA))を含めることによって改変されている。いくつかの実施形態では、in vitroで転写させたgRNAが、ホスファターゼ(例えば仔ウシ腸アルカリホスファターゼ)で処理して5’三リン酸基を除去することによって改変されている。いくつかの実施形態では、gRNAは、その3’末端またはその3’末端近傍(例えば、その3’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドまたは1〜2ヌクレオチド以内)に改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、gRNAの3’末端は、1つ以上(例えば、25〜200個)のアデニン(A)残基を付加することによって改変されている。
いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドは、gRNAに存在できるが、他の遺伝子調節システム、例えば、mRNA、RNAiまたはsiRNAベースのシステムにも存在し得る。いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドは、
(a)結合していないリン酸酸素及び/またはホスホジエステル骨格結合において結合しているリン酸酸素のうちの1つ以上のうちの一方または両方の改変、例えば置換、
(b)リボース糖の構成要素、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの改変、例えば置換、
(c)リン酸部分の「デホスホ」リンカーへの大幅な置換、
(d)天然の核酸塩基の改変または置換、
(e)リボース−リン酸骨格の置換または改変、
(f)オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端の改変、例えば、末端のリン酸基の除去、改変もしくは置換、またはある部分のコジュゲーション、ならびに
(g)糖の改変、
のうちの1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態では、上に列挙した改変を組み合わせて、改変を2個、3個、4個または5個以上有し得る改変ヌクレオシド及び改変ヌクレオチドをもたらすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、改変ヌクレオシドまたは改変ヌクレオチドは、改変糖及び改変核酸塩基を有することができる。いくつかの実施形態では、gRNAのすべての塩基が改変されている。いくつかの実施形態では、gRNA分子のリン酸基のすべてが、それぞれホスホロチオエート基に置き換わっている。
いくつかの実施形態では、例えば、ゲノム全体における総オフターゲット活性を最小限にするために、ソフトウェアツールを用いて、ユーザーの標的配列内におけるgRNAの選択を最適化することができる。オフターゲット活性は、切断以外であってもよい。例えば、S.pyogenes Cas9を用いる場合の考え得る各gRNAの選択を行う際には、ソフトウェアツールによって、ゲノム全体において、ある特定の数(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)以下のミスマッチ塩基対を含むすべての潜在的オフターゲット配列(NAGまたはNGGのいずれかのPAMの直前に位置する)を特定できる。各オフターゲット配列における切断効率は、例えば、実験によって導出した重み付けスキームを用いて予測することができる。そして、考え得る各gRNAをオフターゲット切断の総予測数によってランク付けし、上位のgRNAは、オンターゲット切断の可能性が最も高く、オフターゲット切断の可能性が最も低いgRNAとなる。そのツールには、他の機能、例えば、gRNAベクターの構築用試薬の自動設計、オンターゲットSurveyorアッセイ用プライマーの設計、次世代シーケンシングによってオフターゲット切断のハイスループットの検出及び定量を行うためのプライマーの設計の機能も含まれていることがある。
IV.ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている遺伝子調節システムをコードするポリヌクレオチドまたは核酸分子を提供する。本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」または「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)及びDNA/RNAハイブリッドを指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってよく、組み換えたもの、合成したもの、単離したもののいずれかであってよい。ポリヌクレオチドとしては、プレメッセンジャーRNA(pre−mRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、RNA、ゲノムDNA(gDNA)、PCRで増幅したDNA、相補的DNA(cDNA)、合成DNAまたは組み換えDNAが挙げられるが、これらに限らない。ポリヌクレオチドとは、少なくとも5ヌクレオチド長、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド長、少なくとも20ヌクレオチド長、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも30ヌクレオチド長、少なくとも40ヌクレオチド長、少なくとも50ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも200ヌクレオチド長、少なくとも300ヌクレオチド長、少なくとも400ヌクレオチド長、少なくとも500ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、少なくとも5000ヌクレオチド長、少なくとも10000ヌクレオチド長、少なくとも15000ヌクレオチド長、またはこれを上回るヌクレオチド長のヌクレオチドポリマー形態(リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの改変形態のいずれか)、ならびにあらゆる中間の長さのものを指す。この文脈においては、「中間の長さ」とは、示されている値の間のいずれの長さ(6ヌクレオチド長、7ヌクレオチド長、8ヌクレオチド長、9ヌクレオチド長など、101ヌクレオチド長、102ヌクレオチド長、103ヌクレオチド長など、151ヌクレオチド長、152ヌクレオチド長、153ヌクレオチド長など、201ヌクレオチド長、202ヌクレオチド長、203ヌクレオチド長など)も意味することは容易にわかるであろう。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、コドン最適化されていてよい。本明細書で使用する場合、「コドン最適化」という用語は、ポリペプチドの発現、安定性及び/または活性を向上させるために、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド内のコドンを置換することを指す。コドン最適化に影響を及ぼす要因としては、(i)2つ以上の生物もしくは遺伝子間または合成的に構築したバイアス表間におけるコドンバイアスのばらつき、(ii)生物、遺伝子または遺伝子セットにおけるコドンバイアスの程度のばらつき、(iii)コドンコンテクストを含むコドンの系統的なばらつき、(iv)コドンをデコードするtRNAによる、コドンのばらつき、(v)トリプレット全体またはトリプレットの1つの位置のいずれかのGC%による、コドンのばらつき、(vi)参照配列、例えば天然の配列との類似性の程度のばらつき、(vii)コドン頻度カットオフのばらつき、(viii)そのDNA配列から転写されるmRNAの構造的特性、(ix)コドン置換セットの設計のベースとなるDNA配列の機能に関する予備知識、(x)各アミノ酸に対するコドンセットの系統的なばらつき、(xi)偽翻訳開始部位の単離除去、及び/または(xii)偶発性のポリアデニル化部位の除去(除去しなければ、短縮型RNA転写産物が合成される)のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限らない。
「配列同一性」という記載、または例えば、「〜と50%同一である配列」を含む記載は、本明細書で使用する場合、配列が、比較ウィンドウにわたって、ヌクレオチドベースまたはアミノ酸ベースで同一である程度を指す。「比較ウィンドウ」とは、ある配列と、連続した位置が同じ数である参照配列とを最適にアラインメントした後に、その2つの配列を比較する際の概念上のセグメントであって、連続した位置が少なくとも6個、一般的には約50〜約100個、より一般的には約100〜約150個である概念上のセグメントを指す。したがって、「配列同一性(%)」は、最適にアラインメントした2つの配列を比較ウィンドウにわたって比較し、両方の配列において、核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)が同一であるかまたはアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys及びMet)が同一である位置の数を決定して、一致した位置の数を求め、その一致した位置の数を、比較ウィンドウ内の位置の総数(すなわちウィンドウサイズ)で除し、その結果に100を乗じて、配列同一性(%)を求めることによって算出し得る。
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチドバリアント」及び「バリアント」などの用語は、参照ポリヌクレオチド配列との配列同一性が充分な値であるポリヌクレオチド、または下に定義されているストリンジェントな条件で参照配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。これらの用語には、参照ポリヌクレオチドと比べて、1つ以上のヌクレオチドを付加もしくは欠失させたか、または異なるヌクレオチドに置換したポリヌクレオチドが含まれる。これに関しては、変異、付加、欠失及び置換を含む、ある特定の改変を参照ポリヌクレオチドに加えることによって、その改変ポリヌクレオチドが、参照ポリヌクレオチドの生物学的な機能または活性を保持するようにできることは、当該技術分野において充分に理解されているであろう。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドまたはバリアントは、参照配列との配列同一性が、少なくともまたは約50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%,76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%,85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。
さらに、本明細書に記載されているように、遺伝暗号の縮退により、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、またはその断片もしくはバリアントが数多く存在することは、当業者には明らかであろう。これらのポリヌクレオチドには、いずれの天然型遺伝子のヌクレオチド配列との相同性も最小限であるものもある。それにもかかわらず、特定の実施形態では、コドン使用頻度の違いにより様々であるポリヌクレオチド、例えば、ヒトコドン及び/または霊長類動物コドンの選択のために最適化されているポリヌクレオチドが具体的に企図されている。さらに、本発明で提供するポリヌクレオチド配列を含む対立遺伝子を用いてもよい。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加及び/または置換のような1つ以上の変異によって改変されている内在性遺伝子である。
本発明で企図されているポリヌクレオチドは、コード配列自体の長さにかかわらず、本明細書の別の箇所に開示されているか、または当該技術分野において知られているように、プロモーター及び/またはエンハンサー、非翻訳領域(UTR)、シグナル配列、Kozak配列、ポリアデニル化シグナル、追加の制限酵素部位、マルチクローニング部位、内部リボソーム侵入部位(IRES)、リコンビナーゼ認識部位(例えば、LoxP、FRT及びAtt部位)、終止コドン、転写終結シグナル、ならびに自己切断ポリペプチド、エピトープタグをコードするポリヌクレオチドといった他のDNA配列と組み合わせてよく、そのため、全体の長さは、かなり異なることがある。したがって、特定の実施形態では、ほぼあらゆる長さのポリヌクレオチド断片を使用し得るが、好ましくは、全長は、意図されている組み換えDNAのプロトコールでの調製及び使用のしやすさによって制限されることが想定される。
ポリヌクレオチドは、充分に確立され、当該技術分野において知られているとともに利用可能である様々な技法のうちのいずれかを用いて、調製、操作及び/または発現できる。
ベクター
本明細書に記載されている遺伝子調節システムを細胞内で発現させるために、その遺伝子調節システムをコードする発現カセットを適切なベクターに挿入できる。「核酸ベクター」という用語は、本明細書では、別の核酸分子を移入または輸送できる核酸分子を指す目的で用いられている。移入される核酸は概して、ベクター核酸分子に連結、例えば挿入されている。核酸ベクターは、細胞内での自己複製を誘導する配列を含んでも、宿主細胞のDNAへの組み込みを可能にするのに充分な配列を含んでもよい。
「発現カセット」という用語は、本明細書で使用する場合、RNAを発現させた後に、タンパク質を発現させることができる、ベクター内の遺伝子配列を指す。その核酸カセットは、対象とする遺伝子、例えば遺伝子調節システムを含む。その核酸カセットは、ベクター内に位置的かつ順次的に配置されており、そのカセット内の核酸がRNAに転写され、必要な場合には、タンパク質またはポリペプチドに翻訳され、その形質転換細胞内での活性のために必要となる適切な翻訳後修飾が施され、適切な細胞内区画に誘導されるか、または細胞外区画に分泌されることによって、生物学的活性のために適切な区画に移行することができるようになっている。好ましくは、そのカセットは、ベクターに挿入しやすいように適合された3’末端及び5’末端を有し、例えば、それぞれの末端に制限エンドヌクレアーゼ部位を有する。そのカセットは、単一のユニットとして取り出して、プラスミドまたはウイルスベクターに挿入することができる。
特定の実施形態では、ベクターとしては、プラスミド、ファージミド、コスミド、トランスポゾン、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来人工染色体(PAC)のような人工染色体、ラムダファージまたはM13ファージのようなバクテリオファージ、及び動物ウイルスが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、本発明で開示する遺伝子調節システムを哺乳動物細胞内で発現させるために、その遺伝子調節システムのコード配列を上記のようなベクターにライゲーションできる。
いくつかの実施形態では、非ウイルスベクターを用いて、本発明で企図されている1つ以上のポリヌクレオチドを免疫エフェクター細胞、例えばT細胞に送達する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターは、プラスミドである。数多くの好適なプラスミド発現ベクターが当業者に知られており、多くは市販されている。例えば、真核宿主細胞用では、pXT1、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVLSV40(Pharmacia)というベクターが供給されている。しかしながら、宿主細胞と適合するものであれば、いずれの他のプラスミドベクターも使用し得る。使用する細胞の種類及び遺伝子調節システムに応じて、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含め、多くの好適な転写調節エレメント及び翻訳調節エレメントのうちのいずれかを発現ベクターで用いてよい(例えば、Bitter et al.(1987)Methods in Enzymology,153:516−544を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターは、ウイルスベクターである。好適なウイルスベクターとしては、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994、Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999、Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995、Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999、WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984及びWO95/00655を参照されたい)、アデノ随伴ウイルス(例えば、米国特許第7,078,387号、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998、Flannery et al.,PNAS 94:6916 6921,1997、Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997、Jomary et al.,Gene Ther 4:683 690,1997、Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999、Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996、SrivastavaによるWO93/09239、Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822−3828、Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154−165及びFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613−10617を参照されたい)、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997、Takahashi et al.,J Virol 73:7812 7816,1999を参照されたい)をベースとするウイルスベクター、レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス及び乳癌ウイルスのようなレトロウイルスに由来するベクター)などが挙げられるが、これらに限らない。ベクターの例は、哺乳動物細胞での発現用のpClneoベクター(Promega)、哺乳動物細胞内でレンチウイルスの媒介によって遺伝子の移入及び発現を行うためのpLenti4/V5−DEST(商標)、pLenti6/V5−DEST(商標)及びpLenti6.2/V5−GW/lacZ(Invitrogen)である。
いくつかの実施形態では、そのベクターは、非組み込み型ベクターであり、そのベクターとしては、エピソーマルベクター、または染色体外に保持されるベクターが挙げられるが、これらに限らない。本明細書で使用する場合、「エピソーマル」という用語は、宿主の染色体DNAに組み込まれなくても、分裂宿主細胞から徐々に喪失することなく複製できるベクターを指し、前記ベクターが、染色体外でまたはエピソーマルに複製することも意味する。このベクターは、リンパ指向性ヘルペスウイルスもしくはガンマヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母に由来するDNA複製開始点、すなわち「ori」、特には、リンパ指向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルスの複製開始点であって、EBVのoriPに対応する複製開始点をコードする配列を有するように操作されている。特定の態様では、そのリンパ指向性ヘルペスウイルスは、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)またはマレック病ウイルス(MDV)であってよい。エプスタインバーウイルス(EBV)及びカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)は、ガンマヘルペスウイルスの例でもある。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、トランスポゾンベクターシステムを用いて、標的細胞または宿主細胞に導入する。ある特定の実施形態では、そのトランスポゾンベクターシステムは、転移因子、及び本発明で企図されているポリヌクレオチド、ならびにトランスポザーゼを含むベクターを含む。一実施形態では、そのトランスポゾンベクターシステムは、単一のトランスポザーゼベクターシステムであり、例えば、WO2008/027384を参照されたい。例示的なトランスポザーゼとしては、piggyBac、Sleeping Beauty、Mos1、Tc1/mariner、Tol2、mini−Tol2、Tc3、MuA、Himar I、Frog Prince及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限らない。piggyBacのトランスポゾン及びトランスポザーゼは、例えば米国特許第6,962,810号に記載されており、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。Sleeping Beautyのトランスポゾン及びトランスポザーゼは、例えばIzsvak et al.,J.Mol.Biol.302:93−102(2000)に記載されており、この文献は、参照により、その全体が本明細書に援用される。Tol2のトランスポゾンは、メダカであるOryzias latipesから初めて単離されたものであり、トランスポゾンのhATファミリーに属するが、このトランスポゾンは、Kawakami et al.(2000)に記載されている。mini−Tol2は、Tol2のバリアントであり、Balciunas et al.(2006)に記載されている。Tol2及びmini−Tol2のトランスポゾンは、Tol2のトランスポザーゼと共作用すると、導入遺伝子が生物のゲノムに組み込まれるように促す。Frog Princeのトランスポゾン及びトランスポザーゼは、例えばMiskey et al.,Nucleic Acids Res.31:6873−6881(2003)に記載されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、調節エレメント、例えば、プロモーターのような転写調節エレメントに機能可能に連結されている。「調節エレメント」とは、ベクターの非翻訳領域のうち、転写及び翻訳を行うために宿主細胞タンパク質と相互作用する非翻訳領域(例えば、複製開始点、選択カセット、プロモーター、エンハンサー、翻訳開始シグナル(Shine Dalgarno配列またはKozak配列)イントロン、ポリアデニル化配列、5’及び3’の非翻訳領域)を指す。このようなエレメントは、強度及び特異性が様々であり得る。この転写調節エレメントは、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)または原核細胞(例えば、細菌細胞もしくは古細菌細胞)のいずれかで機能するものであってよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、原核細胞及び真核細胞の両方でポリヌクレオチドの発現を可能にする複数の調節エレメントに機能可能に連結されている。
使用する細胞の種類及び遺伝子調節システムに応じて、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含め、多くの好適な転写調節エレメント及び翻訳調節エレメントのうちのいずれかを発現ベクターで用いてよい(例えば、Bitter et al.(1987)Methods in Enzymology,153:516−544を参照されたい)。「プロモーター」という用語は、本明細書で使用する場合、ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)の部位のうち、RNAポリメラーゼが結合する認識部位を指す。RNAポリメラーゼは、プロモーターに機能可能に連結されたポリヌクレオチドを開始させ、転写する。特定の実施形態では、哺乳動物細胞で機能するプロモーターは、転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するATリッチな領域、及び/または転写開始部位から70〜80塩基上流に見られる別の配列、すなわちCNCAAT領域(Nは、いずれのヌクレオチドであってもよい)を含む。「エンハンサー」という用語は、転写を増大させることができる配列を含むとともに、いくつかの場合では、別のコントロール配列に対するその配向とは無関係に機能し得るDNAセグメントを指す。エンハンサーは、プロモーター及び/または他のエンハンサーエレメントと連携する形、あるいはプロモーター及び/または他のエンハンサーエレメントに付加される形で機能し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドは、プロモーターに機能可能に連結されている。「機能可能に連結された」という用語は、記載されている構成成分が、意図されてとおりに機能できる関係で並置されていることを指す。一実施形態では、この用語は、核酸発現コントロール配列(プロモーター及び/またはエンハンサーなど)と、第2のポリヌクレオチド配列、例えば、遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドが機能的に連結されていることを指し、その発現コントロール配列は、その第2の配列に対応する核酸の転写を誘導する。
好適な真核生物プロモーター(真核細胞で機能するプロモーターを含む)の非限定的な例としては、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼプロモーター、ウイルスシミアンウイルス40(SV40)プロモーター(例えば、初期SV40プロモーター及び後期SV40プロモーター)、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、レトロウイルスに由来する長鎖末端反復配列(LTR)プロモーター(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)LTRプロモーターまたはラウス肉腫ウイルス(RAV)LTRプロモーター)、単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーター、ワクシニアウイルスに由来するH5、P7.5及びP11プロモーター、伸長因子1−α(EF1α)プロモーター、初期成長応答1(EGR1)プロモーター、フェリチンH(FerH)プロモーター、フェリチンL(FerL)プロモーター、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)プロモーター、ヒートショック70kDaタンパク質5(HSPA5)プロモーター、ヒートショックタンパク質90kDa βメンバー1(HSP90B1)プロモーター、ヒートショックタンパク質70kDa(HSP70)プロモーター、β−キネシン(β−KIN)プロモーター、ヒトROSA26座プロモーター(Irions et al.,Nature Biotechnology 25,1477−1482(2007))、ユビキチンC(UBC)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ−1(PGK)プロモーター、サイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ−アクチン(CAG)プロモーター、β−アクチンプロモーター及び骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサー(ネガティブコントロール領域欠失、dl587revプライマー結合部位置換)(MND)プロモーター、ならびにマウスメタロチオネイン−Iプロモーターが挙げられる。適切なベクター及びプロモーターの選択は充分に、当業者のレベルの範囲内である。その発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び転写ターミネーターも含んでよい。その発現ベクターは、発現を増幅させるための適切な配列も含んでよい。その発現ベクターは、部位特異的改変ポリペプチドに融合されるタンパク質タグ(例えば、6×Hisタグ、ヘマグルチニンタグ、緑色蛍光タンパク質など)をコードするヌクレオチド配列も含み、それにより、キメラポリペプチドが得られるようになっていてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、構成的プロモーターに機能可能に連結されている。このような実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするそのポリヌクレオチドは、細胞内で構成的に及び/または遍在的に発現する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに機能可能に連結されている。このような実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドは、条件的に発現する。本明細書で使用する場合、「条件的発現」とは、いずれの種類の条件的発現も指してよく、条件的発現としては、誘導性発現、抑制的発現、特定の生理学的状態、生物学的状態または病態を有する細胞または組織内での発現(例えば、細胞の種類または組織に特異的な発現)などが挙げられるが、これらに限らない。誘導性プロモーター/誘導性システムの実例的な例としては、ステロイド誘導性プロモーター(グルココルチコイド受容体またはエストロゲン受容体をコードする遺伝子のプロモーター(対応するホルモンによる処理によって誘導可能)など)、メタロチオネインプロモーター(様々な重金属による処理によって誘導可能)、MX−1プロモーター(インターフェロンによって誘導可能)、ミフェプリストン調節性システム「GeneSwitch」(Sirin et al.,2003,Genes,323:67)、キュメート誘導性遺伝子スイッチ(WO2002/088346)、テトラサイクリン依存性調節システムなどが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているベクターは、転写終結シグナルをさらに含む。異種の核酸転写産物の効率的な終結及びポリアデニル化を誘導するエレメントが、異種の遺伝子の発現を増加させる。転写終結シグナルは概して、ポリアデニル化シグナルの下流に見られる。特定の実施形態では、ベクターは、発現させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3’側に、ポリアデニル化配列を含む。「ポリA部位」または「ポリA配列」という用語は、本明細書で使用する場合、RNAポリメラーゼIIによる新生RNA転写物の終結及びポリアデニル化の両方を誘導するDNA配列を示す。ポリアデニル化配列は、ポリAテールをコード配列の3’末端に付加することによって、mRNAの安定性を促進することで、翻訳効率の向上に寄与することができる。切断及びポリアデニル化は、RNA内のポリ(A)配列によって誘導される。哺乳動物pre−mRNAのコアポリ(A)配列は、切断−ポリアデニル化部位を挟み込んでいる2つの認識エレメントを有する。典型的には、ほぼ不変のAAUAAAという六量体が、U残基またはGU残基に富む、より可変性の高いエレメントから20〜50ヌクレオチド上流に存在する。新生転写物の切断は、これらの2つのエレメントの間で行われ、最大で250個のアデノシンを5’切断産物に付加することと共役している。特定の実施形態では、コアポリ(A)配列は、理想的なポリA配列(例えば、AATAAA、ATTAAA、AGTAAA)である。特定の実施形態では、ポリ(A)配列は、SV40ポリA配列、ウシ成長ホルモンポリA配列(BGHpA)、ウサギβ−グロビンポリA配列(rβgpA)、これらのバリアント、または当該技術分野において知られている別の好適な異種もしくは内在性のポリA配列である。
いくつかの実施形態では、ベクターは、シグナルペプチド(例えば、核局在化、核小体局在化、ミトコンドリア局在化のためのシグナルペプチド)をコードする配列が、本発明のシステムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドに融合されたものも含んでよい。例えば、ベクターは、本発明のシステムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドに融合された核局在化配列(例えば、SV40に由来する核局在化配列)を含んでよい。
ポリヌクレオチド及び組み換えベクターを宿主細胞に導入する方法は、当該技術分野において知られており、いずれかの既知の方法を用いて、遺伝子調節システムの構成成分を細胞に導入できる。好適な方法としては、例えば、ウイルス感染、バクテリオファージ感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)仲介トランスフェクション、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、リポソーム仲介トランスフェクション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ナノ粒子仲介核酸送達(例えば、Panyam et al.,Adv Drug Deliv Rev.2012 Sep 13.pii:S0169−409X(12)00283−9を参照されたい)、マイクロフルイディクス送達方法(例えば、国際PCT公開第WO2013/059343号を参照されたい)などが挙げられる。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションによる送達は、細胞と、遺伝子調節システムの構成成分とをカートリッジ、チャンバーまたはキュベット内で混合すること、ならびに電気的刺激を所定の期間及び振幅で1回以上加えることを含む。いくつかの実施形態では、細胞と、遺伝子調節システムの構成成分との混合物をカートリッジ、チャンバーまたはキュベットに送る装置(例えばポンプ)に連結した反応容器で、細胞を遺伝子調節システムの構成成分と混合し、電気的刺激を1回以上、所定の期間及び振幅で加えた後、その細胞を第2の反応容器に送る。特定の実施形態で想定されている特定の実施形態で用いるのに適するポリヌクレオチド送達システムの実例的な例としては、Amaxa Biosystems、Maxcyte,Inc.、BTX Molecular Delivery Systems、Neon(商標)Transfection Systems及びCopernicus Therapeutics Inc.によって供給されているものが挙げられるが、これらに限らない。リポフェクション試薬は、市販されている(例えば、Transfectam(商標)及びLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的なリポフェクションに適するカチオン性脂質及び中性脂質は、文献に記載されている。例えば、Liu et al.(2003)Gene Therapy.10:180−187及びBalazs et al.(2011)Journal of Drug Delivery.2011:1−12を参照されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、ウイルスによる送達方法、例えばウイルストランスダクションによって、細胞に導入する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、ウイルス以外による送達方法によって、細胞に導入する。特定の実施形態で想定されている、ウイルス以外によってポリヌクレオチドを送達する実例的な方法としては、エレクトロポレーション、ソノポレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、遺伝子銃(biolistic)、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ナノ粒子、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNA、人工ビリオン、DEAE−デキストラン仲介移入、遺伝子銃(gene gun)及びヒートショックが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分または遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、トランスポゾン、ナノ粒子(例えば脂質ナノ粒子)、リポソーム、エクソソーム、弱毒化細菌またはウイルス様粒子のようなウイルス以外の送達ビヒクルで、細胞に導入する。いくつかの実施形態では、そのビヒクルは、弱毒化細菌(例えば、Listeria monocytogenes、ある特定のSalmonella株、Bifidobacterium longum及び改変Escherichia coliを含め、天然の細菌または人工的に操作されて、侵襲性であるが、発病を防ぐように弱毒化されている細菌)、標的特異的な細胞に対して栄養特異的及び組織特異的なトロピズムを有する細菌、標的細胞特異性を変化させるために、表面タンパク質が改変された細菌である。いくつかの実施形態では、そのビヒクルは、遺伝子改変バクテリオファージ(例えば、パッケージング能が大きく、免疫原性が小さめであり、哺乳動物のプラスミド保持配列を含み、ターゲティングリガンドが組み込まれた操作ファージ)である。いくつかの実施形態では、そのビヒクルは、哺乳動物のウイルス様粒子である。例えば、(例えば、「空の」粒子を精製してから、ex vivoでウイルスを所望のカーゴとともにアセンブルすることによって)改変ウイルス粒子を作製できる。そのビヒクルを操作して、ターゲティングリガンドを組み込んで、標的組織特異性を改変することもできる。いくつかの実施形態では、そのビヒクルは、生体リポソームである。例えば、その生体リポソームは、ヒト細胞に由来するリン脂質ベースの粒子(例えば、赤血球ゴースト(対象に由来する赤血球を溶血させ、球体構造にしたものであり、組織ターゲティングは、様々な組織特異的または細胞特異的リガンドの結合によって実現できる))、分泌エクソソーム、すなわち、対象から得られる、エンドサイトーシス由来の膜結合型ナノベシクル(30〜100nm)(例えば、様々な種類の細胞から産生され得るので、ターゲティングリガンドを必要とすることなく、細胞に取り込ませることができる)である。
V.改変免疫エフェクター細胞の作製方法
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞の作製方法を提供する。いくつかの実施形態では、その方法は、遺伝子調節システムを免疫エフェクター細胞集団に導入することを含み、その遺伝子調節システムは、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる。
本明細書に記載されている遺伝子調節システム、例えば、核酸ベース、タンパク質ベースまたは核酸/タンパク質ベースのシステムの構成成分は、様々な送達方法及び製剤を用いて、様々な形態で標的細胞に導入できる。いくつかの実施形態では、そのシステムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチドを組み換えベクター(例えば、上記のウイルスベクターまたはプラスミド)によって送達する。いくつかの実施形態では、そのシステムが、2つ以上の構成成分を含む場合には、ベクターは、そのシステムの構成成分をそれぞれコードする複数のポリヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、そのシステムが、2つ以上の構成成分を含む場合には、複数のベクターを用いてもよく、その各ベクターは、そのシステムの特定の構成成分をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムの細胞への導入は、in vitroで行う。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムの細胞への導入は、in vivoで行う。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムの細胞への導入は、ex vivoで行う。
特定の実施形態では、その遺伝子調節システムの細胞への導入は、in vitroまたはex vivoで行う。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、培養でさらなる操作を行わずに、in vitroまたはex vivoで改変する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞の作製方法は、さらなる活性化ステップ及び/または増殖ステップなしに、in vitroまたはex vivoで遺伝子調節システムを導入することを含む。いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞には、in vitroまたはex vivoで、改変及びさらなる操作を行う。例えば、いくつかの実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、遺伝子調節システムの導入前に、in vitroまたはex vivoで活性化及び/または増殖させる。いくつかの実施形態では、遺伝子調節システムを免疫エフェクター細胞に導入してから、in vitroまたはex vivoで、活性化及び/または増殖させる。いくつかの実施形態では、改変に成功した細胞を、改変に失敗した細胞から(例えばフローサイトメトリーによって)選別及び/または単離して、改変免疫エフェクター細胞の精製集団を作製できる。続いて、改変に成功したこれらの細胞をさらに増殖させて、改変細胞数を増加させ、及び/または将来使用するために凍結保存することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、免疫エフェクター細胞集団を得ることを含む方法を提供する。免疫エフェクター細胞集団をin vitroにおいて、成長を支えるのに必要な様々な培養条件下、例えば、適切な温度(例えば37℃)及び雰囲気(例えば、空気+5%CO)、ならびに適切な培養培地で培養してよい。培養培地は、液体または半固体、例えば、寒天、メチルセルロースなどを含むものであってよい。細胞培養培地の実例的な例としては、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム及びビタミンが添加されており、無血清であるか、あるいは適切な量の血清(もしくは血漿)または所定のホルモン群、及び/またはその免疫エフェクター細胞を成長及び増殖させるのに十分な量のサイトカイン(複数可)が添加されている最小必須培地(MEM)、イスコブ改変DMEM、RPMI1640、クリック培地、AIM−V、F−12、X−Vivo15、X−Vivo20及びOptimizerが挙げられる。
培養培地には、増殖及び生存能に必要な1つ以上の因子を添加してもよく、その因子としては、血清(例えば、約5%〜10%のウシ胎児血清またはヒト血清)、インターロイキン−2(IL−2)、インスリン、IFN−γ、IL−4、IL−7、IL−21、GM−CSF、IL−10、IL−12、IL−15、TGFβ及びTNF−αのような成長因子が挙げられるが、これらに限らない。T細胞を増殖させるための他の添加剤の実例的な例としては、界面活性剤、プラスマネート、HEPESのようなpH緩衝剤、ならびにN−アセチル−システイン及び2−メルカプトエタノールのような還元剤、あるいはL−グルタミン、チオール、特に2−メルカプトエタノールなど、細胞を成長させるのに適するいずれかの他の添加剤であって、当業者に知られているいずれかの他の添加剤、及び/または抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンが挙げられるが、これらに限らない。典型的には、抗生物質は、実験培養液のみに含め、対象に注入することになる細胞の培養液には含めない。
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、対象に由来する試料から得る。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団を第1の対象から得て、本明細書に記載されている方法によって作製した改変免疫エフェクター細胞集団を第2の異なる対象に投与する。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団を対象から得て、本明細書に記載されている方法によって作製した改変免疫エフェクター細胞集団を同じ対象に投与する。いくつかの実施形態では、その試料は、組織試料、流体試料、細胞試料、タンパク質試料、DNA試料またはRNA試料である。いくつかの実施形態では、組織試料は、いずれの種類の組織に由来してもよく、その組織としては、皮膚、毛髪(毛根を含む)、骨髄、骨、筋肉、唾液腺、食道、胃、小腸(例えば、十二指腸、空腸もしくは回腸の組織)、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓、肺、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、膣、胎盤、精巣、甲状腺、副腎、心臓組織、胸腺、脾臓、リンパ節、脊髄、脳、眼、耳、舌、軟骨、白色脂肪組織または褐色脂肪組織が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、組織試料は、がん性腫瘍、前がん性腫瘍または非がん性腫瘍に由来してもよい。いくつかの実施形態では、流体試料は、口腔スワブ、血液、血漿、口腔粘膜、膣粘膜、末梢血、臍帯血、唾液、精液(semen)、尿、腹水、胸膜液、髄液、肺洗浄液、涙、汗、精液(semen)、精液(seminal fluid)、精漿、前立腺液、射精前液(クーパー液)、排泄物、脳脊髄液、リンパ、1つ以上の細胞集団を含む細胞培養培地、1つ以上の細胞集団を含む緩衝化液などを含む。
いくつかの実施形態では、その試料を処理して、免疫エフェクター細胞集団をその試料の残部から濃縮または単離する。ある特定の実施形態では、その試料は末梢血試料であり、その末梢血試料に対しては、後で白血球アフェレーシスを行って、赤血球及び血小板を分離するとともに、リンパ球を単離する。いくつかの実施形態では、その試料は、免疫エフェクター細胞を単離または濃縮できるロイコパックである。いくつかの実施形態では、その試料は、腫瘍試料であって、さらに処理して(すなわち、その腫瘍を断片化し、酵素によって消化して、腫瘍浸潤リンパ球の細胞懸濁液を得ることによってさらに処理して)、その腫瘍に存在するリンパ球を単離する腫瘍試料である。
いくつかの実施形態では、本発明で企図されている改変免疫エフェクター細胞の製造方法は、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、ならびに米国特許出願公開第20060121005号に記載されているように、免疫エフェクター細胞集団を活性化及び/または増殖させることを含む。
各種実施形態では、本発明で企図されている改変免疫エフェクター細胞の製造方法は、免疫エフェクター細胞を含む細胞集団を活性化させることを含む。特定の実施形態では、その免疫エフェクター細胞は、T細胞である。T細胞の活性化は、(例えば、T細胞のTCR/CD3複合体を介するか、または表面タンパク質CD2の刺激を介して)第1の刺激シグナルを供給すること、及びアクセサリー分子を介して第2の共刺激シグナルを供給することによって行うことができる。
いくつかの実施形態では、TCR/CD3複合体は、T細胞と、好適なCD3結合剤、例えば、CD3リガンドまたは抗CD3モノクローナル抗体とを接触させることによって刺激してよい。CD3抗体の実例的な例としては、OKT3、G19−4、BC3、CRIS−7及び64.1が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、CD2結合剤を用いて、第1の刺激シグナルをT細胞に供給してもよい。CD2結合剤の実例的な例としては、CD2リガンド及び抗CD2抗体、例えば、T11.1またはT11.2抗体と組み合わせたT11.3抗体(Meuer,S.C.et al.(1984)Cell 36:897−906)、及び9−1抗体と組み合わせた9.6抗体(T11.1と同じエピトープを認識する)(Yang,S.Y.et al.(1986)J.Immunol.137:1097−1100)が挙げられるが、これらに限らない。
T細胞応答の誘導には、TCR/CD3複合体またはCD2を介して供給される刺激シグナルに加えて、典型的には、T細胞上の共刺激分子と特異的に結合するリガンドによって供給される第2の共刺激シグナルが必要とされ、例えばTCR/CD3複合体の結合によって供給される第1のシグナルに加えて、その第2のシグナルによって、共刺激シグナルが供給され、その共刺激シグナルが、所望のT細胞応答を媒介する。好適な共刺激リガンドとしては、CD7、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、4−1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS−L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA−G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、ILT3、ILT4、Tollリガンド受容体と結合するアゴニストまたは抗体、及びB7−H3と特異的に結合するリガンドが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、共刺激リガンドは、T細胞に存在する共刺激分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含み、その分子としては、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、CD28結合剤を用いて、共刺激シグナルを供給できる。CD28結合剤の実例的な例としては、天然のCD28リガンド、例えば、CD28の天然のリガンド(例えば、B7−1(CD80)及びB7−2(CD86)のような、B7ファミリータンパク質のメンバー、CD28分子と架橋できる抗CD28モノクローナル抗体またはその断片、例えば、モノクローナル抗体9.3、B−T3、XR−CD28、KOLT−2、15E8、248.23.2及びEX5.3D10が挙げられるが、これらに限らない。
ある特定の実施形態では、刺激シグナル及び共刺激シグナルを供給する結合剤は、細胞の表面に局在化させる。この局在化は、その細胞表面でその結合剤を発現させるのに適する形で、その結合剤をコードする核酸を細胞にトランスフェクションもしくはトランスダクションすることによって、あるいは、結合剤をその細胞表面に結合させることによって行うことができる。いくつかの実施形態では、共刺激シグナルは、人工APC(aAPC)のような抗原提示細胞上に提示させた共刺激リガンドによって供給する。K562細胞、U937細胞、721.221細胞、T2細胞またはC1R細胞を操作して、様々な共刺激分子及びサイトカインを安定的に発現及び/または分泌するようにすることによって人工APCを作製して、遺伝子改変T細胞のex vivoでの成長及び長期的な増殖を補佐することができる。特定の実施形態では、K32 aAPCまたはU32 aAPCを用いて、抗体ベースの刺激分子が1つ以上、aAPC細胞表面上に提示されるように誘導する。様々な共刺激分子を発現するaAPCによって、T細胞集団を増殖でき、その分子としては、CD137L(4−1BBL)、CD134L(OX40L)及び/またはCD80もしくはCD86が挙げられるが、これらに限らない。例示的なaAPCは、WO03/057171及びUS2003/0147869で提供されており、これらの特許は、参照により、その全体が援用される。
いくつかの実施形態では、活性化シグナル及び共刺激シグナルを供給する結合剤は、固体表面(例えば、ビーズまたはプレート)に局在化させる。いくつかの実施形態では、活性化シグナル及び共刺激シグナルを供給する結合剤は両方とも、可溶性の形態で供給する(溶液で供給する)。
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、1つ以上の増殖フェーズに培養増殖させる。「増殖」とは、免疫エフェクター細胞の数を増加させるために、免疫エフェクター細胞集団を所定の期間にわたって培養することを指す。免疫エフェクター細胞の増殖は、上記の活性化因子のうちの1つ以上を加える、及び/またはサイトカイン(例えば、IL−2、IL−15、IL−21及び/またはIL−7)のような1つ以上の成長因子を加えて、細胞の増殖及び/または生存を増強または促進することを含んでよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の増殖フェーズの間に、IL−2、IL−15及び/またはIL−21を組み合わせたものを培養液に加えることができる。いくつかの実施形態では、その1つ以上の増殖フェーズの間にIL−2を加える量は、6000U/mL未満である。いくつかの実施形態では、その1つ以上の増殖フェーズの間にIL−2を加える量は、約5500U/mL、約5000U/mL、約4500U/mL、約4000U/mL、約3500U/mL、約3000U/mL、約2500U/mL、約2000U/mL、約1500U/mL、約1000U/mLまたは約500U/mLである。いくつかの実施形態では、その1つ以上の増殖フェーズの間にIL−2を加える量は、約500U/mL〜約5500U/mLである。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、増殖プロセスの際に、フィーダー細胞と共培養してよい。
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、所定の期間にわたって増殖させ、その所定の期間は、約30日未満である。いくつかの実施形態では、その所定の期間は、30日未満、25日未満、20日未満、18日未満、15日未満または10日未満である。いくつかの実施形態では、その所定の期間は、4週間未満、3週間未満、2週間未満、または1週間未満である。いくつかの実施形態では、その所定の期間は、約7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日または21日である。いくつかの実施形態では、その所定の期間は、約5日〜約25日、約10〜約28日、約10〜約25日、約10〜約21日、約10〜約20日、約10〜約19日、約11〜約28日、約11〜約25日、約11〜約21日、約11〜約20日、約11〜約19日、約12〜約28日、約12〜約25日、約12〜約21日、約12〜約20日、約12〜約19日、約15〜約28日、約15〜約25日、約15〜約21日、約15〜約20日または約15〜約19日である。いくつかの実施形態では、その所定の期間は、約5日〜約10日、約10日〜約15日、約15日〜約20日または約20日〜約25日である。
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、細胞数が所定の閾値に達するまで増殖させる。例えば、いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、培養物に少なくとも5×10個、1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、1×1010個、5×1010個、1×1011個、5×1011個、1×1012個、5×1012個、1×1013個または少なくとも5×1013個の総細胞数が含まれるようになるまで増殖させる。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、培養物に約1×10〜約1×1011個の総細胞数が含まれるようになるまで増殖させる。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、少なくとも2つの増殖フェーズを含む。例えば、いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞集団は、試料から単離した後に増殖させ、増殖を休止させてから、再び増殖させることができる。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、ある一連の増殖条件で増殖させた後に、第2の異なる一連の増殖条件で、第2ラウンドの増殖を行う。免疫細胞のex vivo増殖方法は、例えば、米国特許出願公開第2018−0207201号、同第20180282694号及び同第20170152478号、ならびに米国特許第8,383,099号及び同第8,034,334号に記載されているように、当該技術分野において知られており、これらの特許は、参照により本明細書に援用される。
活性化プロセス及び/または増殖プロセスのいずれかの時点に、本明細書に記載されている遺伝子調節システムを免疫エフェクター細胞に導入して、改変免疫エフェクター細胞集団を作製できる。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、試料から免疫エフェクター細胞を濃縮した直後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、1つ以上の増殖プロセスの前、そのプロセスの最中またはそのプロセスの後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、免疫エフェクター細胞を試料から濃縮するかまたは対象から採取するかした直後、かつあらゆる増殖ラウンドの前に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンドの増殖の後、かつ第2ラウンドの増殖の前に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。いくつかの実施形態では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の後に、免疫エフェクター細胞集団に導入する。
いくつかの実施形態では、本開示は、改変免疫エフェクター細胞集団の製造方法であって、免疫エフェクター細胞集団を得ること、本明細書に記載されている遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞集団に導入すること、及びその免疫エフェクター細胞集団を1ラウンド以上の増殖で増殖させることを含む方法を提供する。この実施形態のいくつかの態様では、その免疫エフェクター細胞集団は、遺伝子調節システムの導入前に、第1ラウンドの増殖で増殖させ、遺伝子調節システムの導入後に、第2ラウンドの増殖で増殖させる。この実施形態のいくつかの態様では、その免疫エフェクター細胞集団は、遺伝子調節システムの導入前に、第1ラウンドの増殖及び第2ラウンドの増殖で増殖させる。この実施形態のいくつかの態様では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の前に、その免疫エフェクター細胞集団に導入する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、対象から腫瘍を取り出し、その腫瘍試料を処理して、(例えば、その腫瘍を断片化し、酵素によって消化して、細胞懸濁液を得ることによって)腫瘍浸潤リンパ球集団を得ること、本明細書に記載されている遺伝子調節システムをその免疫エフェクター細胞集団に導入すること、及びその免疫エフェクター細胞集団を1ラウンド以上の増殖で増殖させることを含む。この実施形態のいくつかの態様では、その腫瘍浸潤リンパ球集団は、遺伝子調節システムの導入前に、第1ラウンドの増殖で増殖させ、遺伝子調節システムの導入後に、第2ラウンドの増殖で増殖させる。この実施形態のいくつかの態様では、その腫瘍浸潤リンパ球集団は、遺伝子調節システムの導入前に、第1ラウンドの増殖及び第2ラウンドの増殖で増殖させる。この実施形態のいくつかの態様では、その遺伝子調節システムは、第1ラウンド及び第2ラウンドの増殖の前に、その腫瘍浸潤リンパ球集団に導入する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法によって作製した改変免疫エフェクター細胞は、直ちに使用してよい。いくつかの実施形態では、本発明で企図されている製造方法は、保存及び/または対象に使用する際の調製のために、改変免疫細胞を凍結保存することをさらに含んでもよい。本明細書で使用する場合、「凍結保存」とは、(典型的には)77K、すなわち−196℃(液体窒素の沸点)のような氷点下の温度まで冷却することによって、細胞を保存することを指す。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の保存方法は、解凍時に免疫エフェクター細胞が生存し続けているように、免疫エフェクター細胞を凍結保存することを含む。必要な場合には、凍結保存した改変免疫エフェクター細胞を解凍し、さらなる改変免疫エフェクター細胞を得るために、成長及び増殖させることができる。保存される細胞が、低温での凍結または室温への昇温により損傷するのを防ぐために、凍結保護剤を氷点下の温度で用いる場合が多い。凍結保存剤及び最適な冷却速度によって、細胞の損傷から保護することができる。使用できる凍結保護剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock and Bishop,Nature,1959;183:1394−1395、Ashwood−Smith,Nature,1961;190:1204−1205)、グリセロール、ポリビニルピロリジン(Rinfret,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1960;85:576)及びポリエチレングリコール(Sloviter and Ravdin,Nature,1962;196:48)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、その細胞は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)、50%血清、40%緩衝化媒体、または細胞を同様の凍結温度で保存する目的で当該技術分野において一般的に用いられているような何らかの他の同様の溶液で凍結させ、凍結した培養細胞を解凍するためのものとして当該技術分野において一般的に知られている方式で解凍する。
A.CRISPR/Casシステムを用いた、改変免疫エフェクター細胞の作製
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の作製方法は、標的DNA配列と、gRNA及びCasポリペプチドを含む複合体とを接触させることを伴う。上で論じたように、gRNA及びCasポリペプチドが複合体を形成し、そのgRNAのDNA結合ドメインが、その複合体を標的DNA配列に導き、そのCasタンパク質(または酵素活性が不活性なCasタンパク質に融合された異種タンパク質)が、標的DNA配列を改変する。いくつかの実施形態では、この複合体は、gRNA及びCasタンパク質(またはgRNA及びCasタンパク質をコードするポリヌクレオチド)を細胞に導入した後に、細胞内で形成される。いくつかの実施形態では、Casタンパク質をコードする核酸は、DNA核酸であり、細胞にトランスダクションによって導入する。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas遺伝子編集システムのCas9及びgRNAの構成成分は、単一のポリヌクレオチド分子によってコードされる。いくつかの実施形態では、Casタンパク質及びgRNAの構成成分をコードするポリヌクレオチドは、ウイルスベクターに含まれており、ウイルストランスダクションによって細胞に導入する。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas遺伝子編集システムのCas9及びgRNAの構成成分は、異なるポリヌクレオチド分子によってコードされる。いくつかの実施形態では、Casタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、第1のウイルスベクターに含まれ、gRNAをコードするポリヌクレオチドは、第2のウイルスベクターに含まれる。この実施形態のいくつかの態様では、第2のウイルスベクターよりも前に、第1のウイルスベクターを細胞に導入する。この実施形態のいくつかの態様では、第1のウイルスベクターよりも前に、第2のウイルスベクターを細胞に導入する。このような実施形態では、それらのベクターが組み込まれることにより、Cas9及びgRNAの構成成分の発現が持続する。しかしながら、一部の種類の細胞では、Cas9の発現の持続により、オフターゲット変異及びオフターゲット切断が増加し得る。したがって、いくつかの実施形態では、トランスフェクションによって、Casタンパク質をコードするmRNA核酸配列を細胞集団に導入してもよい。このような実施形態では、Cas9の発現は、時間とともに減少することになり、オフターゲット変異部位またはオフターゲット切断部位の数を減少し得る。いくつかの実施形態では、gRNA及びCasタンパク質は、エレクトロポレーションによって別々に導入する。
いくつかの実施形態では、この複合体は、gRNA分子及びCasタンパク質を一緒に混合し、複合体を形成させるのに充分な期間にわたってインキュベートすることによって、無細胞システムで形成させる。続いて、標的DNA配列を改変する目的で、予め形成したこの複合体であって、gRNA及びCasタンパク質を含む複合体(本明細書では、CRISPR−リボ核タンパク質(CRISPR−RNP)という)を細胞に導入できる。いくつかの実施形態では、このCRISPR−RNPは、細胞にエレクトロポレーションによって導入する。
CRISPR/Casシステムを用いて、改変免疫エフェクター細胞を作製する上記の実施形態のいずれにおいても、そのシステムは、例えば単一編集型の改変免疫エフェクター細胞を作製するために、単一の内在性標的遺伝子を標的とする1つ以上のgRNAを含んでよい。あるいは、CRISPR/Casシステムを用いて、改変免疫エフェクター細胞を作製する上記の実施形態のいずれにおいても、そのシステムは、例えばデュアル編集型の改変免疫エフェクター細胞を作製するために、2つ以上の内在性標的遺伝子を標的とする2つ以上のgRNAを含んでよい。
B.shRNAシステムを用いた、改変免疫エフェクター細胞の作製
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の作製方法は、標的遺伝子のmRNA転写物と相補的である配列を有する1つ以上のshRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドを細胞に導入することを含む。小さな遺伝子カセットを介して、所定のDNA配列を細胞核に導入することによって、免疫エフェクター細胞を改変して、shRNAを作製することができる。レトロウイルス及びレンチウイルスの両方を用いて、shRNAをコードするDNAを免疫エフェクター細胞に導入することができる。導入されたDNAは、細胞自体のDNAの一部となることも、または核内に存続することもでき、その細胞機構に対して、shRNAを産生するように命令する。shRNAは、その細胞内のダイサーまたはAgo2の媒介によるスライサー活性によって処理して、RNAiの媒介による遺伝子ノックダウンを誘導し得る。
VI.組成物及びキット
「組成物」という用語は、本明細書で使用する場合、本明細書に記載されている遺伝子調節システムまたは改変免疫エフェクター細胞の製剤であって、対象または細胞に投与または送達できる製剤を指す。典型的には、製剤は、あらゆる生理学的に許容可能な組成物(その誘導体及び/またはプロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ体もしくは互変異性体を含む)を、いずれかの生理学的に許容可能な担体、希釈剤及び/または賦形剤とともに含む。「治療用組成物」または「医薬組成物」(本明細書では同義的に用いられている)は、特定の疾患もしくは障害を治療するために、対象に投与するか、または1つ以上の内在性標的遺伝子を改変するために、細胞と接触させることができる、遺伝子調節システムまたは改変免疫エフェクター細胞の組成物である。
「薬学的に許容可能な」という表現は、本明細書では、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応またはその他の問題もしくは合併症を引き起こさずに、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適するとともに、合理的な効果/リスク比に釣り合う化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す目的で使用する。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤」には、ヒト及び/または飼育動物での使用が認められるものとして、米国食品医薬品局から認可されているいずれのアジュバント、担体、賦形剤、流動化剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒、界面活性剤及び/または乳化剤も含まれるが、これらに限らない。例示的な薬学的に許容可能な担体としては、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖、コーンスターチ及びバレイショデンプンのようなデンプン、セルロース、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースのようなその誘導体、トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂、ワックス、動物性油脂及び植物性油脂、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油のような油、プロピレングリコールのようなグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、ならびに医薬製剤で用いられるいずれかの他の適合物質が挙げられるが、これらに限らない。いずれの従来の媒体及び/または作用剤も、本開示の薬剤と適合性がない場合を除き、治療用組成物で用いることが企図されている。補助的な有効成分も、その組成物に組み込むことができる。
「薬学的に許容可能な塩」には、酸付加塩と塩基付加塩の両方が含まれる。薬学的に許容可能な塩には酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成されるもの)が含まれ、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸、及び酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、pトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸など(これらに限らない)のような有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などのような無機塩基から誘導することもできる。有機塩基から誘導される塩としては、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などのような一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂の塩が挙げられるが、これらに限らない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
湿潤剤、乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような潤沢剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、矯臭剤、保存剤、ならびに抗酸化剤も、その組成物に存在し得る。
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどのような油溶性抗酸化剤、及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート化剤が挙げられる。
様々な種類の投与に適する製剤に関するさらなる手引きは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)に見ることができる。薬物送達法の簡潔な論評については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている方法を行うためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、
(a)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる1つ以上の核酸分子、
(b)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる核酸分子をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(c)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる1つ以上のタンパク質、
(d)1つ以上の内在性標的遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現を低下させるか、もしくはその機能を改変することができる改変タンパク質をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(e)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のgRNA、
(f)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(g)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(h)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することできる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(i)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のガイドDNA(gDNA)、
(j)内在性遺伝子内の標的DNA配列に結合できる1つ以上のgDNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(k)gDNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(l)gDNAと相互作用して、内在性遺伝子内の標的DNA配列を改変することできる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(m)内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合できる1つ以上のgRNA、
(n)内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列に結合できる1つ以上のgRNAをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(o)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる1つ以上の部位特異的改変ポリペプチド、
(p)gRNAと相互作用して、内在性遺伝子によってコードされる標的mRNA配列を改変することができる部位特異的改変ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド、
(q)本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞、または
(r)上記をいずれかに組み合わせたもの
を含むことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているキットは、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤をさらに含む。いくつかの免疫チェックポイント阻害剤が当該技術分野において知られており、1つ以上のがんの治療用として、FDAから認可を受けている。例えば、FDAから認可されたPD−L1阻害剤としては、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、Genentech)、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、Pfizer)及びデュルバルマブ(Imfinzi(登録商標)、AstraZeneca)が挙げられ、FDAから認可されたPD−1阻害剤としては、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標)、Merck)及びニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)が挙げられ、FDAから認可されたCTLA4阻害剤としては、イピリムマブ(Yervoy(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)が挙げられる。今後、治療標的となり得る追加の抑制性免疫チェックポイント分子としては、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、IDO、LAG3(例えば、BSMによって開発中であるBMS−986016)、KIR(例えば、BSMによって開発中であるリリルマブ)、TIM3、Tigit及びVISTAが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているキットは、遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分(またはその1つ以上の構成成分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド)、及び当該技術分野において知られている1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1阻害剤、CTLA4阻害剤、PDL1阻害剤など)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているキットは、遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分(またはその1つ以上の構成成分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド)、及び抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているキットは、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞(またはその集団)、及び当該技術分野において知られている1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD1阻害剤、CTLA4阻害剤、PDL1阻害剤など)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているキットは、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞(またはその集団)、及び抗PD1抗体(例えば、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)を含む。
いくつかの実施形態では、そのキットは、遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分(またはその1つ以上の構成成分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド)、ならびにその構成成分を再構成及び/または希釈するための試薬を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分(またはその1つ以上の構成成分をコードする1つ以上のポリヌクレオチド)を含むキットは、1つ以上の追加の試薬をさらに含み、その追加の試薬は、その遺伝子調節システムを細胞に導入するための緩衝剤、洗浄緩衝液、コントロール試薬、コントロールの発現ベクターまたはRNAポリヌクレオチド、その遺伝子調節システムをDNAからin vitroで作製するための試薬などから選択できる。キットの構成成分は、別々の容器に入れることも、単一の容器内で組み合わせることもできる。
上記の構成成分に加えて、いくつかの実施形態では、キットは、そのキットの構成成分を用いて、本開示の方法を実施するための説明書をさらに含む。本開示の方法を実施するための説明書は概して、好適な記録媒体に記録されている。例えば、その説明書は、紙またはプラスチックなどのような基材に印刷されていてもよい。したがって、その説明書は、添付文書としてキット内に存在しても、キットまたはその構成成分の容器のラベルに存在してもよい(すなわち、パッケージまたはサブパッケージに付随していてもよい)。別の実施形態では、その説明書は、好適なコンピューター可読記憶媒体、例えばCR−ROM、ディスケット、フラッシュドライブなどに存在する電子記憶データファイルとして存在する。さらに別の実施形態では、実際の説明書は、キット内には存在しないが、その説明書をリモートソース、例えばインターネットから得る手段が供給されている。この実施形態の例は、その説明書を閲覧でき及び/またはその説明書をダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。説明書に関しては、説明書を得るためのこの手段は、好適な基材に記録されている。
VII.治療方法及び用途
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞及び遺伝子調節システムは、様々な治療用途で用いてよい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞及び/または遺伝子調節システムは、例えば疾患を治療するための遺伝子療法を目的として、抗ウイルス剤として使用するため、抗病原体剤として使用するため、抗がん剤として使用するため、または生物学的研究のために、対象に投与してよい。
いくつかの実施形態では、その対象は、新生体、幼若体または成体であってよい。特に対象となるのは、哺乳動物の対象である。本発明の方法で治療し得る哺乳動物種としては、イヌ科及びネコ科の動物、ウマ科の動物、ウシ亜科の動物、ヒツジなど、ならびに霊長類動物、特にヒトが挙げられる。動物モデル、特に、小型の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギなど)を実験的研究に用いてよい。
本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞、その集団及びその組成物の投与は、注射、灌注、吸入、摂食、電気浸透、血液透析、イオントフォレシス、及び当該技術分野において知られているその他の方法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、投与経路は、局所経路または全身経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は、動脈内経路、頭蓋内経路、皮内経路、十二指腸内経路、乳房内経路、髄膜内経路、腹腔内経路、髄腔内経路、腫瘍内経路、静脈内経路、硝子体内経路、眼内経路、非経口経路、脊髄経路、皮下経路、尿管経路、尿道経路、膣経路または子宮内経路である。
いくつかの実施形態では、投与経路は、注入(例えば、持続注入またはボーラス)による経路である。局所投与の方法、すなわち、損傷部位または疾患部位への送達方法の例としては、例えば髄腔内送達用のオンマイヤーリザーバーによる方法(例えば、米国特許第5,222,982号、同第5,385,582号(参照により、本明細書に援用される)を参照されたい)、例えばシリンジによって、例えば関節にボーラス注射する方法、持続注入、例えば、対流を伴うような挿管による方法(例えば、米国特許出願公開第2007−0254842号(参照により、本明細書に援用される)を参照されたい)、またはその細胞が可逆的に添加されたデバイスを埋め込むことによる方法(例えば米国特許出願公開第2008−0081064号及び同第2009−0196903号(参照により、本明細書に援用される)を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態では、その投与経路は、局所投与または直接注射による経路である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、単独で、あるいは例えば、それらの細胞が移植される組織内でのその細胞の成長及び/または組織化を補助するための好適な基材またはマトリックスとともに、対象に供給してよい。
いくつかの実施形態では、少なくとも1×10個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、少なくとも5×10個の細胞、1×10個の細胞、5×10個の細胞、1×10個の細胞、5×10個の細胞、1×10個、2×10個、3×10個、4×10個、5×10個、1×10個、1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、1×1010個、5×1010個、1×1011個、5×1011個、1×1012個、5×1012個、またはこれを超える数の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×1012個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×1012個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×1012個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×1010〜約1×1012個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×1011〜約1×1012個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×1011個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×1010個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×10個の細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、約1×10〜約1×10個の細胞を対象に投与する。対象に対する、治療のための投与数は、変動し得る。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の対象への導入は、1回限りであってよい。いくつかの実施形態では、このような治療には、継続的な一連の反復処置が必要となり得る。いくつかの実施形態では、効果が観察されるまでには、改変免疫エフェクター細胞の投与が複数回必要となり得る。厳密なプロトコールは、治療を受ける個々の対象の疾患または状態、病期、及びパラメーターに左右される。
いくつかの実施形態では、遺伝子療法または生物学的研究などのために、本明細書に記載されている遺伝子調節システムを用いて、細胞のDNAまたはRNAをin vivoで改変する。このような実施形態では、遺伝子調節システムは、上記の方法によるなどして、対象に直接投与してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムは、免疫エフェクター細胞集団のex vivoまたはin vitroでの改変に用いる。このような実施形態では、本明細書に記載されている遺伝子調節システムは、免疫エフェクター細胞を含む試料に投与する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞を対象に投与する。いくつかの実施形態では、対象に投与する、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、自己免疫エフェクター細胞である。この関連における「自己」という用語は、投与される同じ対象から得た細胞を指す。例えば、免疫エフェクター細胞は、対象から採取して、本明細書に記載されている方法に従って、ex vivoで改変してから、疾患を治療する目的で同じ対象に投与し得る。このような実施形態では、その対象に投与する細胞は、自己免疫エフェクター細胞である。いくつかの実施形態では、対象に投与する改変免疫エフェクター細胞またはその組成物は、同種異系免疫エフェクター細胞である。この関連における「同種異系」という用語は、ある対象から採取して、別の対象に投与する細胞を指す。例えば、免疫エフェクター細胞は、第1の対象から採取して、本明細書に記載されている方法に従って、ex vivoで改変してから、疾患を治療する目的で第2の対象に投与し得る。このような実施形態では、その対象に投与する細胞は、同種異系免疫エフェクター細胞である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞は、疾患を治療する目的で、対象に投与する。いくつかの実施形態では、治療は、細胞集団(例えば、改変免疫エフェクター細胞集団)またはその組成物を有効量、治療の必要な対象に送達することを含む。いくつかの実施形態では、治療とは、哺乳動物、例えばヒトの疾患の治療を指し、その治療には、(a)疾患を抑制すること、すなわち、疾患の発症を抑止するか、または疾患の進行を防止すること、(b)疾患を軽減させること、すなわち、病態を好転させるか、または疾患の1つ以上の症状を軽減させること、及び(c)疾患を治癒させること、すなわち、1つ以上の疾患症状を寛解させることが含まれる。いくつかの実施形態では、治療とは、1つ以上の疾患症状を短期的に(例えば、一時的に及び/または短時間)、及び/または長期的に(例えば持続的に)軽減することを指してよい。いくつかの実施形態では、治療によって、疾患の症状が改善または軽快する。この改善は、観察可能もしくは測定可能な改善であり得、または対象の体調的な感覚の改善であってもよい。
特定の対象に投与する改変免疫エフェクター細胞の有効量は、様々な要因によって決定されることになり、その要因のうちのいくつかは、患者によって異なり、その要因としては、治療する障害及びその障害の重症度、用いる具体的な薬剤(複数可)の活性、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食生活、投与のタイミング、投与経路、治療期間、併用する薬物、処方医の判断、ならびに医療技術分野において知られている類似の要因が挙げられる。
いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の有効量は、腫瘍の質量もしくは体積、腫瘍細胞数、または転移数を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍またはこれを上回る割合減少させるのに必要な細胞数であってよい。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の有効量は、平均余命の延長、無増悪生存期間もしくは無病生存期間の延長、または治療する疾患と関連する様々な生理学的な症状の改善をもたらすのに必要な細胞数であってよい。いくつかの実施形態では、改変免疫エフェクター細胞の有効量は、少なくとも1×10個の細胞、例えば、5×10個の細胞、1×10個の細胞、5×10個の細胞、1×10個の細胞、5×10個の細胞、1×10個、2×10個、3×10個、4×10個、5×10個、1×10個、1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、1×1010個、5×1010個、1×1011個、5×1011個、1×1012個、5×1012個またはこれを上回る数の細胞となる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞及び遺伝子調節システムは、がんのような細胞増殖性障害の治療で用いてよい。本発明で開示する組成物及び方法を用いて治療し得るがんとしては、血液のがん及び固形腫瘍が挙げられる。例えば、本発明で開示する組成物及び方法を用いて治療し得るがんとしては、腺腫、癌腫、肉腫、白血病またはリンパ腫が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、そのがんは、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞急性リンパ性白血病(B−ALL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎細胞癌(RCC)、神経芽腫、大腸癌、膀胱癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、メラノーマ、肉腫、前立腺癌、肺癌、食道癌、肝細胞癌、膵臓癌、星状細胞腫、中皮腫、頭頸部癌、髄芽腫及び肝臓癌である。いくつかの実施形態では、そのがんは、メラノーマ、頭頸部癌、膀胱癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、乳癌及び大腸癌から選択される。いくつかの実施形態では、そのがんは、PD1阻害剤による治療に対して非感受性または耐性のがんである。いくつかの実施形態では、そのがんは、PD1阻害剤による治療に対して非感受性または耐性のがんであり、メラノーマ、頭頸部癌、膀胱癌、肺癌、子宮頸癌、膵臓癌、乳癌及び大腸癌から選択される。
上記のように、様々な腫瘍の適応症で使用するものとして、現在、いくつかの免疫チェックポイント阻害剤が認可されている(例えば、CTLA4阻害剤、PD1阻害剤、PDL1阻害剤など)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている、内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞を投与すると、治療効果が、免疫チェックポイント阻害剤による治療後に観察される効果よりも増強される(例えば、腫瘍の成長がさらに有意に低下する、リンパ球の腫瘍への浸潤性が向上する、無増悪生存期間が長くなるなど)。
さらに、一部の腫瘍適応症は、免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して不応性(すなわち非感受性)のものである。さらに、最初は、免疫チェックポイント阻害剤による治療に応答する(すなわち、感受性を示す)腫瘍適応症の一部は、治療の過程で阻害剤耐性表現型を発現する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞またはその組成物は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して耐性(もしくは部分的に耐性)または非感受性(もしくは部分的に非感受性)であるがんを治療する目的で投与する。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して耐性(もしくは部分的に耐性)または非感受性(もしくは部分的に非感受性)であるがんを罹患している対象に、その改変免疫エフェクター細胞またはその組成物を投与することによって、そのがんを治療する(例えば、腫瘍の成長を低下させる、無増悪生存期間を延長するなど)。いくつかの実施形態では、そのがんは、PD1阻害剤による治療に対して耐性(もしくは部分的に耐性)または非感受性(もしくは部分的に非感受性)のがんである。
いくつかの実施形態では、本発明の改変免疫エフェクター細胞またはその組成物は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、本発明の改変免疫エフェクター細胞を免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与すると、免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して耐性、抵抗性または非感受性であるがんでの治療効果が、その改変免疫エフェクター細胞または免疫チェックポイント阻害剤のいずれかのみによる治療によって観察される効果よりも増強される。いくつかの実施形態では、本発明の改変免疫エフェクター細胞を免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与すると、免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して部分的に耐性、部分的に抵抗性または部分的に非感受性であるがんでの治療効果が、その改変免疫エフェクター細胞または免疫チェックポイント阻害剤のいずれかのみによる治療によって観察される効果よりも増強される。いくつかの実施形態では、そのがんは、PD1阻害剤による治療に対して耐性(もしくは部分的に耐性)、抵抗性(もしくは部分的に抵抗性)、または非感受性(もしくは部分的に非感受性)のがんである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞またはその組成物を抗PD1抗体と組み合わせて投与すると、抗PD1抗体のみによる治療に対して耐性または非感受性であるがんでの治療効果が増強される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞またはその組成物を抗PD1抗体と組み合わせて投与すると、抗PD1抗体のみによる治療に対して部分的に耐性または部分的に非感受性であるがんでの治療効果が増強される。
免疫チェックポイント阻害剤に対して耐性または感受性を示すがんは、当該技術分野において知られており、様々なin vivoモデル及びin vitroモデルで試験できる。例えば、いくつかのメラノーマは、抗PD1抗体のような免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して感受性があり、in vivo B16−Ova腫瘍モデルでモデル化できる(実施例6、7、16及び19を参照されたい)。さらに、いくつかの大腸癌は、抗PD1抗体のような免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して耐性があることが知られており、PMEL/MC38−gp100モデルでモデル化できる(実施例8及び17を参照されたい)。さらにまた、いくつかのリンパ腫は、抗PD1抗体のような免疫チェックポイント阻害剤による治療に対して非感受性があることが知られており、Raji細胞のようなリンパ腫細胞株の養子移入または皮下投与によって、様々なモデルでモデル化できる(実施例12、14、15、21及び22を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている改変免疫エフェクター細胞及び遺伝子調節システムは、ウイルス感染症の治療で用いてよい。いくつかの実施形態では、そのウイルスは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス及び帯状疱疹ウイルスを含む)、ポックスウイルス、パポバウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスを含む)、パピローマウイルス、オルトミクソウイルス(例えば、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ及びC型インフルエンザを含む)、パラミクソウイルス、コロナウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、ブニヤウイルス、ラブドウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスまたはレトロウイルスのうちの1つから選択する。
参照による援用
本明細書に引用されている参照文献、論文、刊行物、特許、特許公報及び特許出願はいずれも、参照により、あらゆる目的でその全体が本明細書に援用される。しかしながら、本明細書に引用されているいずれの参照文献、論文、刊行物、特許、特許公報及び特許出願に言及する際も、それらが、世界のいずれの国においても、正当な先行技術を構成したり、または技術常識の一部を形成すると解釈したり、認めたりまたはいずれかの形で示唆したりするものでないとともに、そのように解釈したり、認めたりまたはいずれかの形で示唆したりすべきでもない。
実施例1:材料及び方法
本明細書に記載されている実験では、CRISPR/Cas9システムを用いて、それぞれ異なるT細胞集団における1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を調節する。
I.材料
gRNA:別段に示されていない限り、いずれの実験でも、単分子gRNA(sgRNA)を使用する。示されているように、デュアルgRNA分子を使用したが、そのデュアルgRNA分子は、200μMのtracrRNA(IDTカタログ番号1072534)と200μMの標的特異的crRNA(IDT)をNuclease Free Duplex Buffer(IDTカタログ番号11−01−03−01)中で5分、95℃で複合化して、100μMのtracrRNA:crRNA複合体(tracrRNAとcrRNAが1:1の比率で存在する)を形成することによって形成した。下記の実験で使用したgRNAのターゲティング配列は、下記の表10に示されている。
表10:実験gRNAのターゲティングドメインコード配列
Figure 2021518161
Cas9:Cas9は、Cas9 mRNAまたはCas9タンパク質のいずれかを導入することによって、標的細胞内で発現させた。別段に示されていない限り、下記の実験では、S.pyogenesに由来する、核局在化配列を含むCas9コードmRNA(Cas9−NLS mRNA)(Trilink L−7206)、またはS.pyogenesに由来するCas9タンパク質(IDTカタログ番号1074182)を使用した。
RNP:ヒトgRNA−Cas9リボ核タンパク質(RNP)は、100μMのtracrRNA:crRNA複合体1.2μLと、20μMのCas9タンパク質1μL及びPBS0.8μLとを混ぜ合わせることによって形成した。混合物を室温で20分インキュベートして、RNP複合体を形成した。マウスRNPは、44μMのtracrRNA:crRNA複合体1容量と、36μMのCas9 1容量とを混ぜ合わせることによって形成した。混合物を室温で20分インキュベートして、RNP複合体を形成した。
マウス:野生型CD8 T細胞をC57BL/6Jマウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor ME)から採取した。オボアルブミン(Ova)特異的CD8 T細胞をOT1マウス(C57BL/6−Tg(TcraTcrb)1100Mjb/J、Jackson Laboratory)から採取した。OT1マウスは、オボアルブミン(Ova)タンパク質の257〜264位の残基を認識するトランスジェニックTCRを有する。gp100特異的CD8+ T細胞をPMELマウス(B6.Cg−Thy1<a>/CyTg(TcraTcrb)8Rest/J、The Jackson Laboratory,Bar Harbor MEカタログ番号005023)から採取した。Cas9タンパク質を構成的に発現するマウスは、Jackson labsから入手し(B6J.129(Cg)−Gt(ROSA)26Sortm1.1(CAG−cas9,−EGFP)Fezh/J、The Jackson Laboratory,Bar Harbor ME系統番号026179)、Cas9を構成的に発現するTCRトランスジェニックマウスは、OT1マウス及びPMELマウスをCas9マウスと交配させることによって得た。
CAR発現コンストラクト:ヒトCD19、HER2/ErbB2及びEGFRタンパク質に特異的なCARを作製した。簡潔に述べると、CD19、HER2/Erbb2またはEGFRのうちの1つに特異的に結合する抗原特異的scFvドメインに、ヒト顆粒球−マイクロファージコロニー刺激因子受容体サブユニットα(GMSCF−Rα)の22個のアミノ酸シグナルペプチドを融合した。ヒトCD8αストークを膜貫通ドメインとして使用した。CD3ξ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインをそのCD8αストークの細胞質末端に融合した。抗CD19 CARでは、scFvを抗ヒトCD19クローンFMC63から得た。ヒトHER2/ERBB2に特異的なCARを作製するのには、トラスツズマブに由来する抗ヒトHER2 scFvを用いた。同様に、EGFRに特異的なCARを作製するのには、セツキシマブに由来する抗EGFR scFvを用いた。例示的なCARコンストラクトの概要は、下に示されており、完全長CARコンストラクトのアミノ酸配列は、配列番号26、28及び30に示されており、完全長CARコンストラクトの核酸配列は、配列番号27、29及び31に示されている。
表11:例示的なCARコンストラクト
Figure 2021518161
操作TCR発現コンストラクト:NY−ESO1、MART−1及びWT−1に特異的な組み換えTCRを作製した。TCR−α:TCR−βが対になった可変領域タンパク質の配列であって、NY−ESO−1ペプチドSLLMWITQC(配列番号2)に特異的な1G4 TCR、MART−1ペプチドAAGIGILTV(配列番号3)に特異的なDMF4 TCR及びDMF5 TCR、ならびにWT−1ペプチドに特異的なDLT TCR及び高親和性DLT TCR(各ペプチドは、HLA−A*02:01によって提示される)をコードする可変領域タンパク質配列を文献(Robbins et al,Journal of Immunology 2008 180:6116−6131)から特定した。TCRα鎖は、V遺伝子セグメント及びJ遺伝子セグメント、ならびにCDR3α配列で構成させ、TCRβ鎖は、V遺伝子セグメント、D遺伝子セグメント及びJ遺伝子セグメント、ならびにCDR3−β配列で構成させた。天然型のTRACタンパク質配列(配列番号22)をα鎖可変領域のC末端に、TRBCタンパク質配列(配列番号24)をβ鎖可変領域のC末端に融合して、1G4−TCRα鎖(配列番号11)/1G4−TCRβ鎖(配列番号12)、95:LY 1G4−TCRα鎖(配列番号14)/95:LY 1G4−TCRβ鎖(配列番号13)、DLT−TCRα鎖(配列番号5)/DLT−TCRβ鎖(配列番号4)、高親和性DLT−TCRα鎖(配列番号8)/高親和性DLT−TCRβ鎖(配列番号7)、DMF4−TCRα鎖(配列番号17)/DMF4−TCRβ鎖(配列番号16)、及びDMF5−TCRα鎖(配列番号20)/DMF5−TCRβ鎖(配列番号19)を作製した。
これらの操作TCRα鎖タンパク質及びTCRβ鎖タンパク質をコードするコドン最適化DNA配列を作製し、その際には、TCRβ鎖及びTCRα鎖をコードするDNA配列の間に、P2A配列(配列番号1)を挿入して、両方のTCR鎖の発現を化学量論的に単一のプロモーターから駆動させるようにした。したがって、これらの操作TCR鎖をコードする発現カセットは、TCRβ−P2A−TCRαという形態を含んでいた。各TCRコンストラクトの最終的なタンパク質配列は、配列番号12(1G4)、配列番号15(95:LY 1G4)、配列番号6(DLT)、配列番号9(高親和性DLT)、配列番号18(DMF4)及び配列番号21(DMF5)に示されている。
CARコンストラクト及びTCRコンストラクトのレンチウイルスによる発現:続いて、上記の操作受容体の発現を駆動するSFFVプロモーター、T2A配列及びピューロマイシン耐性カセットを含むプラスミドに、上記のCAR発現コンストラクト及び操作TCR発現コンストラクトを挿入した。別段に示されていない限り、これらのプラスミドは、1つ以上のsgRNAの発現を駆動する、ヒトまたはマウス(T細胞の由来元である種による)のU6プロモーターをさらに含むものであった。操作TCR発現コンストラクトを含むレンチウイルスコンストラクトは、上記のT細胞受容体のα鎖の定常領域をコードする内在性TRAC遺伝子を標的とするsgRNAをさらに含んでよい。上記の操作受容体をコードするレンチウイルスは、以下のようにして作製した。簡潔に述べると、トランスフェクションの24時間前に、289×10個のLentiX−293T細胞を5段CellSTACKに播種した。無血清OptiMEM及びTransIT−293を合わせ、5分インキュベートしてから、ヘルパープラスミド(VSVGを58μg及びPAX2−Gag−Polを115μg)と、上記の操作受容体及びsgRNA発現プラスミド231μgを合わせた。20分後、この混合物を上記のLentiX−293T細胞に、新鮮な培地とともに加えた。トランスフェクションの18時間後に、培地を交換し、トランスフェクションの48時間後に、ウイルス上清を回収した。上清をヌクレアーゼBenzonase(登録商標)で処理し、0.45μmのフィルターにかけて、ウイルス粒子を単離した。続いて、ウイルス粒子をタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって濃縮し、小分けし、力価の測定を行い、−80℃で保存した。
レトロウイルスsgRNA発現コンストラクト及び作製:sgRNA配列をプラスミドに、マウスU6プロモーターの下流で挿入した。ヒトCD2をUbiCプロモーター下で、sgRNAの下流に、選択可能なマーカーとして挿入した。レスキュー実験を行う際には、プラスミドに、上記のエレメントと、野生型マウスZc3h12aをコードするコドン最適化gRNA耐性cDNAを含めた。レトロウイルスは、以下のように作製した。Phoenix−GP細胞(ATCC(登録商標)CRL−3215(商標))をプロデューサー細胞として使用した。80%コンフルエントになったら、TransIT(登録商標)−293 Transfection Reagent(Mirusbio、カタログ番号2706)を用いて、プロデューサー細胞にpCL−Eco Retrovirus Packaging Vector、ならびにsgRNA及び上記の表面選択マーカーをコードするプラスミドをトランスフェクションした。トランスフェクションの18時間後、培地を完全T細胞培地(RPMI+10%熱不活化FBS、20mMのHEPES、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、50μMのβ−メルカプトエタノール)に交換した。12時間ごとに、合わせて3回、ウイルス上清を回収し、−80℃で凍結した。
II.方法
ヒトT細胞の単離及び活性化:ヒト全PBMCを新鮮なロイコパックから、フィコール勾配遠心分離によって単離した。続いて、CD8+ T細胞単離キット(Stemcell Technologiesカタログ番号17953)を用いて、CD8+ T細胞を全PBMCから精製した。T細胞の活性化のために、CD8+ T細胞を2×10細胞/mLで、T175フラスコ内のX−VIVO15T細胞増殖培地(Lonza、カタログ番号04−418Q)に、6.25μL/mLのT細胞活性化因子ImmunoCult(抗CD3/CD28/CD2、StemCell Technologies,Vancouver BC,Canada)及び10ng/mLのヒトIL2とともに播種した。レンチウイルスコンストラクトによるトランスダクションの前に、T細胞を18時間活性化させた。
ヒトTILの単離及び活性化:本明細書に記載されている方法によって、腫瘍浸潤リンパ球も改変することができる。このような場合では、腫瘍をヒト患者から手術により切除し、外科用メスで1mmの切片に裁断し、一片の腫瘍を24プレートの各ウェルに入れる。6000U/mLの組み換えヒトIL−2を添加した2mLの完全TIL培地(RPMI+10%熱不活化男性ヒトAB血清、1mMのピルビン酸塩、20μg/mLのゲンタマイシン、1×グルタマックス)を単離TILの各ウェルに加える。1mLの培地をウェルから除去し、必要に応じて、最大で週に3回、新鮮な培地及びIL−2と交換する。ウェルがコンフルエントになったら、1:1で、新たな培地+IL−2に分ける。4〜5週間の培養後、急速増殖のために、それらの細胞を回収する。
TILの急速増殖:20mLのTIL培地+20mLのAim−V培地(Invitrogen)+30ng/mLのOKT3 mAbにおいて、500,000個のTILを26×10個の同種異系の照射(5000cGy)PBMCフィーダー細胞で活性化させることによって、TILを急速に増殖させる。48時間後(2日目)、その培養液に6000U/mLのIL−2を加える。5日目に、20mLの培地を除去し、20mLの新鮮な培地(+30ng/mlのOKT3)を加える。7日目に、細胞を計数し、利用可能な細胞数に応じて、60×10細胞/Lで、G−Rex6Mウェルプレート(Wilson Wolf、カタログ番号80660M)またはG−Rex100M(Wilson Wolf、カタログ番号81100S)に播き直す。9日目に、6000U/mLの新鮮なIL−2を加え、12日目に、3000U/mLの新鮮なIL−2を加える。14日目に、TILを回収する。続いて、Coolcell凍結容器(Corning)を用いて、増殖細胞をCryostor CS−10(Stemcell Technologiesカタログ番号07930)で低速凍結し、液体窒素中で長期保存する。
マウスT細胞の単離及び活性化:WTマウスまたはトランスジェニックマウスの脾臓を摘出し、GentleMACSシステムをメーカーの推奨に従って用いて、単細胞懸濁液まで解離させた。EasySep Mouse CD8 T Cell Isolation Kit(StemCellカタログ番号19853)を用いて、精製CD8 T細胞を得た。2ng/mLの組み換えマウスIL−2(Biolegendカタログ番号575406)を添加した完全T細胞培地(RPMI+10%熱不活化FBS、20mMのHEPES、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、50μMのβ−メルカプトエタノール)で、CD8 T細胞を1×10細胞/mLで培養し、抗CD3/抗CD28ビーズ(Dynabeads(商標)Mouse T−Activator CD3/CD28 for T−Cell Expansion and Activation、カタログ番号11456D)で活性化させた。
ヒトT細胞のレンチウイルストランスダクション:事前に18時間活性化させたT細胞を6ウェルプレートに、1ウェル当たり5×10細胞で、体積1.5mLのX−VIVO15培地、ならびに10ng/mLのヒトIL−2及び12.5μLのヒトCD3/CD28/CD2 T細胞活性化因子ImmunoCult中に播種した。上記の操作受容体を発現するレンチウイルスを、全細胞の80%に感染できるMOIで加えた。25μLのレトロネクチン(1mg/mL)を各ウェルに加えた。XVIVO−15培地を、1ウェル当たりの最終体積が2.0mLまで加えた。別段に示されていない限り、レンチウイルスは、sgRNAも発現するものであった。プレートを600×gで1.5時間、室温で回転させた。18時間後(2日目)に、細胞を洗浄し、1×10細胞/mLで、X−VIVO15、10ng/mLのIL2+T細胞活性化因子中に播種した。
マウスT細胞のレンチウイルストランスダクション:示されている場合、レンチウイルストランスダクションによって、gRNAをCas9トランスジェニックT細胞に導入した。5μg/mLのRetroNectin(Takara Clontechカタログ番号T100B)をコーティングした6ウェルプレートにおいて、5μg/mLの硫酸プロタミン及び2ng/mLの組み換えマウスIL−2を添加した2mLのレトロウイルス中に、24時間前に活性化させたマウスT細胞を1ウェル当たり3×10細胞で播種した。レトロウイルスは、gRNA及び表面選択マーカー(hCD2またはCD90.1)を発現するものである。プレートを600×gで1.5時間、室温で回転させた。18時間後(2日目)に、細胞を洗浄し、2ng/mLの組み換えマウスIL−2を添加した完全T細胞培地で、その細胞を1×10細胞/mLで培養した。感染の24時間後に、細胞を洗浄し、IL−2を添加した完全T細胞培地で、その細胞を培養した。24時間後、活性化ビーズを除去し、EasySep Human CD2 Positive Selection Kit(StemCellカタログ番号18657)またはEasySep Mouse CD90.1 Positive Selection Kit(StemCellカタログ番号18958)を用いて、感染細胞を精製した。IL−2を添加した完全T細胞培地で、編集されたマウスCD8 Tを1×10細胞/mLで、新たに1〜4日間培養した。
ヒトT細胞へのエレクトロポレーション:T細胞の活性化から3日後に、T細胞を回収し、ヌクレオフェクション緩衝液(Amaxa P3初代細胞4D−Nucleofector XキットSの助剤1を18%、P3緩衝液を82%)に、100×10細胞/mLの濃度で再懸濁させた。細胞溶液20μL当たりに、1.5μLのsgRNA/Cas9 RNP複合体(120ピコモルのcrRNA:tracrRNA複合体及び20ピコモルのCas9ヌクレアーゼを含む)、ならびに2.1μL(100ピコモル)のエレクトロポレーション促進剤を加えた。続いて、細胞/RNP/促進剤の混合物25μLを各エレクトロポレーションウェルに加えた。「EO−115」というプログラムによって、Lonzaのエレクトロポレーターを用いて、細胞にエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーション後、温めたX−VIVO15培地80μLを各ウェルに加え、IL−2(10ng/mL)を含むX−VIVO15培地中で、細胞を培養フラスコに、2×10細胞/mLの密度でプールした。4日目に、細胞を洗浄、計数し、利用可能な細胞数に応じて、G−Rex6MウェルプレートまたはG−Rex100M内のIL−2(10ng/mL)を含むX−VIVO15培地に、50〜100×10細胞/Lの密度で播種した。6日目及び8日目に、その培養液に、10ng/mLの新鮮な組み換えヒトIL−2を加えた。
マウスT細胞へのエレクトロポレーション:事前に48時間活性化させたマウスT細胞を回収し、活性化ビーズを除去し、細胞を洗浄し、Neonのヌクレオフェクション緩衝液Tに再懸濁させた。Neon(商標)の10μL用チップを用いて、9μLの緩衝液Tに再懸濁させた最大2×10個の細胞をエレクトロポレーションでき、Neon(商標)の100μL用チップを用いて、90μLの緩衝液Tに再懸濁させた20×10個の細胞をエレクトロポレーションできる。gRNA/Cas9 RNP複合体またはZFN mRNA(10μL用チップ当たり1μL、または100μL用チップ当たり10μL)、及び10.8μMのエレクトロポレーション促進剤(10μL用チップ当たり2μL、または100μL用チップ当たり20μL)を細胞に加えた。gRNA/Cas9 RNP複合体またはZFN mRNAと混合したT細胞をピペットでNeon(商標)チップに入れ、Neon Transfection System(1700V/20ms/1パルス)を用いて、エレクトロポレーションした。エレクトロポレーション直後に、2ng/mLの組み換えマウスIL−2を添加した温めた完全T細胞培地の入った培養フラスコに、細胞を1.6×10細胞/mLの密度で移した。IL−2を添加した完全T細胞培地中で、編集されたマウスCD8 T細胞をさらに、1×10細胞/mLで、新たに1〜4日間培養した。
操作T細胞の精製及び特徴付け:T細胞の活性化から10日後、細胞を培養フラスコから取り出し、編集された操作受容体発現CD8 T細胞を精製した。操作受容体の発現は、抗体染色(例えば、DMF4 TCRではVβ12、またはNY−ESO−1もしくは1G4ではVβ13/13.1に対する抗体)によって判断できる。標的遺伝子の編集のさらなる判断は、表面タンパク質(例えばCD3)のFACS解析、標的タンパク質のウエスタンブロット、及び/またはゲノムの切断部位のTIDE/NGS解析によって評価できる。続いて、Coolcell凍結容器(Corning)を用いて、精製細胞をCryostor CS−10(Stemcell Technologiesカタログ番号07930)で低速凍結して、将来使用するために、液体窒素中で長期保存することができる。
実施例2:編集された受容体導入T細胞の特徴付け
編集された受容体発現細胞を、細胞表面でのCD3の発現に基づき精製する実験を行った。操作前には、CD8+ T細胞は、TCRα鎖/TCRβ鎖を含む複合体の一部として、細胞表面にCD3分子を発現する(図4A)。そのT細胞に、CAR、TRAC遺伝子を標的とするガイドRNA、及びB2M遺伝子を標的とするガイドRNA(B2M遺伝子を用いて、標的遺伝子の編集の代わりに、非TCR遺伝子の編集を評価した)を発現するレンチウイルスをトランスダクションした。レンチウイルスのトランスダクション及びCas9 mRNAのエレクトロポレーション後、トランスダクションが成功して編集されたT細胞では、TRAC遺伝子の編集により、表面CD3の発現が欠損し、B2M遺伝子の編集により、HLA−ABCの発現が欠損する(図4B)。EasySep Human CD3−Positive Selection Kit(StemCell Techカタログ番号18051)を用いて、そのバルク集団(図4B)からCD3発現細胞を除去した。続いて、細胞に対して、CD3について磁気による陰性選択を2ラウンド行った。このプロセスにより、高精製のCD3陰性T細胞が得られた(図4C)。組み換えCD19−Fc試薬(CD19 CARと結合する)で染色したところ、編集された細胞では、CD19 CARの表面発現が見られるが、非編集細胞では見られないことが示された(図4D)。CD45及びB2Mを標的とするsgRNAの場合でも、同様の実験を行った。96時間後に、CD45及びB2Mの発現をフローサイトメトリーによって評価することによって、T細胞におけるCas9の編集活性を確認し、効率的なCas9機能は、FACSによって求めた場合の、T細胞表面でのCD45の発現の欠損によって示される。Cas9 mRNA及びCas9 RNPの共エレクトロポレーションによって、CD45座及びB2M座で大幅な編集が行われ、細胞の66.3%で、デュアル編集が見られた。
上記実施例に記載されているようにして、標的の編集を行い、Tracking of Indels by Decomposition(TIDE)解析法及びウエスタンブロット解析の両方を用いて、単一の例示的遺伝子CBLBの編集を確認した。TIDEは、標的とする細胞プールのDNAにおいて、編集有効性を定量し、主要なタイプの挿入及び欠失(インデル)を特定する。
Qiagen Blood and Cell Culture DNA Mini Kit(カタログ番号13323)を業者推奨のプロトコールに従って用いて、ゲノムDNA(gDNA)を、編集されたT細胞から単離し、定量した。gDNAの単離後、遺伝子座特異的PCRプライマー(F:5’−CCACCTCCAGTTGTTGCATT−3’(配列番号32)、R:5’−TGCTGCTTCAAAGGGAGGTA−3’(配列番号33))を用いてPCRを行って、編集されたDNAの領域を増幅した。得られたPCR産物を1%アガロースゲルに流し、QIAquick Gel Extraction Kit(カタログ番号:28706)を用いて、抽出及び精製した。抽出産物をサンガーシーケンシングによってシーケンシングし、サンガーシーケンシングクロマトグラム配列ファイルをTIDEによって解析した。gRNA発現レンチウイルスによって導入したgRNA/Cas9 RNP複合体またはCas9 mRNAのいずれかを用いた方法(いずれの場合も、使用したCBLB gRNAは配列番号288である)によって編集したCBLB編集T細胞では、得られたTIDE解析結果によって、CBLB標的遺伝子の編集が確認された。TIDEに加えて、抗CBLB抗体(SCTカタログ番号9498)を用いたウエスタンブロットによって、CBLBタンパク質レベルの消失が確認された。そのデータは、図5A及び5B、ならびに図6に示されている。
遺伝子の編集を評価する別の方法は、次世代シーケンシングによるものである。この方法では、Qiagen Blood and Cell Culture DNA Mini Kit(カタログ番号13323)を業者推奨のプロトコールに従って用いて、ゲノムDNA(gDNA)を、編集されたT細胞から単離し、定量した。gDNAの単離後、Illumina次世代シーケンシングアダプターの付加に必要なオーバーハングを含む遺伝子座特異的PCRプライマーを用いて、PCRを行って、編集されたゲノムDNAの領域を増幅した。得られたPCR産物を1%アガロースゲルに流して、ゲノム座位の特異的かつ充分な増幅が行われるようにしてから、業者推奨のプロトコールに従ってMonarch PCR & DNA Cleanup Kit(カタログ番号:T1030S)を用いて、PCRクリーンアップを行った。続いて、精製PCR産物を定量し、2回目のPCRを行って、Illuminaシーケンシングアダプター、及びマルチプレックスに必要な試料特異的なインデックス付与配列をアニールした。この後、PCR産物を1%アガロースゲルに流し、サイズを評価してから、AMPure XPビーズ(内部で作製)を用いて精製した。続いて、Kapa Illumina Library Quantification Kit(カタログ番号:KK4923)及びKapa Illumina Library Quantification DNA Standards(カタログ番号:KK4903)を用いたqPCRによって、精製PCR産物を定量した。続いて、Illumina NextSeq 500/550 Mid Output Reagent Cartridge v2(カタログ番号:FC−404−2003)を用いるIllumina NextSeq 500システムに、定量した産物を充填した。生成されたシーケンシングデータの解析を行って、編集されたT細胞のプールのDNAにおいて、予測切断部位での挿入及び欠失(インデル)を評価した。
実施例3:OT1/B16−Ova CRISPR/Cas9の機能的ゲノムスクリーニングによる、養子T細胞移入療法の標的の特定
腫瘍におけるT細胞の集積を調節する標的を特定するために、実験を行った。プールCRISPRのスクリーニングを行い、その際には、それぞれ単一の遺伝子を標的とするsgRNAのプールを腫瘍特異的T細胞集団に導入して、その集団内の各細胞に、単一の遺伝子を標的とする単一のsgRNAが含まれるようにした。腫瘍試料において、特定の遺伝子がT細胞の集積に及ぼす作用を明らかにするために、実験の開始時に、T細胞集団内の各sgRNAの頻度を求め、その実験の事後の時点における同じsgRNAの頻度と比較した。腫瘍試料におけるT細胞集積を正に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を正に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに上昇すると予測されるが、腫瘍試料におけるT細胞集積を負に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を負に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに低下すると予測される。
実施例1に記載されている方法に従って、Cas9を発現するOT1マウスから得たCD8 T細胞を用いて、プールCRISPRのスクリーニングを行った。in vitroで培養した精製OTI CD8 T細胞に、プールsgRNAライブラリーを導入して、編集されたCD8 T細胞の集団を作製した。in vitroで操作後、B16/Ova腫瘍を担持するC56BL/6マウスに、その編集されたOT1 CD8 T細胞を静脈内(iv)投与した。in vivoで増殖後、臓器を摘出し、CD45+細胞を濃縮した。Qiagen DNA extraction kitを用いて、その単離CD45+細胞のゲノムDNAを単離した。続いて、sgRNAライブラリーをPCRによって増幅し、Illumina次世代シーケンシング(NGS)を用いてシーケンシングした。
腫瘍担持マウスから摘出した試料中の各sgRNAの分布及び/または頻度を解析し、最初のT細胞集団における各sgRNAの分布及び/または頻度と比較した。個々のsgRNAのそれぞれにおいて、統計解析を行って、腫瘍担持マウスから採取したT細胞集団において有意に濃縮されたガイドを特定したとともに、各ガイドに濃縮スコアを割り当てた。同じ遺伝子を標的とする個々のsgRNAの濃縮スコアを集約して、複数のsgRNA及び複数のOT1ドナーマウスにわたって、T細胞集積に対して一定かつ再現性のある作用を及した標的遺伝子を特定した。これらの実験の結果は、下記の表12に示されている。表12のパーセンタイルは、パーセンタイルスコア=1−(遺伝子濃縮順位/スクリーニングした遺伝子の総数)という式を用いて算出した。
表12:標的遺伝子パーセンタイルスコア
Figure 2021518161
Figure 2021518161
実施例4:in vitroでのCAR−T及びCRISPR/Cas9の機能的ゲノムスクリーニングによる、養子T細胞移入療法の標的の特定
CAR−T細胞腫瘍試料の集積を調節する標的を特定するために、実験を行った。ゲノムワイドなプールCRISPRのスクリーニングを行い、その際には、それぞれ単一の遺伝子を標的とするsgRNAのプールを腫瘍特異的ヒトCAR−T細胞集団に導入して、その集団内の各細胞に、単一の遺伝子を標的とする単一のsgRNAが含まれるようにした。特定の遺伝子が、腫瘍試料におけるCAR−T細胞の集積に及ぼす作用を明らかにするために、実験の開始時に、CAR−T細胞集団内の各sgRNAの頻度を求め、その実験の事後の時点における同じsgRNAの頻度と比較した。腫瘍試料におけるCAR−T細胞集積を正に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を正に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに上昇すると予測されるが、腫瘍試料におけるCAR−T細胞集積を負に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を負に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに低下すると予測される。
ヒトCD19に特異的なCAR−T細胞を用いて、in vitroスクリーニングを行った。プールsgRNAライブラリーを上記のCD19 CARTに導入し、実施例1に記載されているように、Cas9 mRNAを細胞にエレクトロポレーションして、Cas9で編集されたCD19 CARTの集団を作製した。続いて、CD19を発現するように操作した付着大腸癌(CRC)細胞株、または内在性CD19を発現するバーキットリンパ腫細胞株とともに、その編集されたCD19 CARTを共培養した。共培養期間の全体を通じて、様々な時点にCARTを回収し、細胞ペレットを凍結した。Qiagen DNA extraction kitを用いて、これらの細胞ペレットからゲノムDNA(gDNA)を単離し、Illumina次世代シーケンシングを用いてシーケンシングした。
CART/腫瘍細胞共培養液から得たアリコートにおける各sgRNAの分布及び/または頻度を解析し、最初の編集CAR−T細胞集団における各sgRNAの分布及び/または頻度と比較した。個々のsgRNAのそれぞれにおいて、統計解析を行って、腫瘍細胞の共培養後に、CAR−T細胞集団において有意に濃縮されたsgRNAを特定したとともに、各ガイドに濃縮スコアを割り当てた。同じ遺伝子を標的とする個々のsgRNAの濃縮スコアを集約して、複数のsgRNA及びCAR−T細胞集団にわたって、腫瘍試料におけるCAR−T細胞集積に対して一定かつ再現性のある作用を及ぼす標的遺伝子を特定した。標的をランク付けし、パーセンタイルに基づき、さらなる調査の対象とした。これらの実験の結果は、下記の表13に示されている。表13のパーセンタイルは、パーセンタイルスコア=1−(遺伝子濃縮順位/スクリーニングした遺伝子の総数)という式を用いて算出した。
表13:標的遺伝子パーセンタイルスコア
Figure 2021518161
Figure 2021518161
実施例5:in vivoでのCAR−T/腫瘍CRISPR/Cas9の機能的ゲノムスクリーニングによる、養子T細胞移入療法の標的の特定
腫瘍の存在下で、CAR−T細胞の集積を調節する標的を特定するために、実験を行った。プールCRISPRのスクリーニングを行い、その際には、それぞれ単一の遺伝子を標的とするsgRNAのプールを腫瘍特異的ヒトCAR−T細胞集団に導入して、その集団内の各細胞に、単一の遺伝子を標的とする単一のsgRNAが含まれるようにした。特定の遺伝子が、腫瘍試料におけるCAR−T細胞の集積に及ぼす作用を明らかにするために、実験の開始時に、CAR−T細胞集団内の各sgRNAの頻度を求め、その実験の事後の時点における同じsgRNAの頻度と比較した。腫瘍試料におけるCAR−T細胞集積を正に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を正に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに上昇すると予測されるが、腫瘍試料におけるCAR−T細胞集積を負に調節する遺伝子(例えば、T細胞の増殖性、生存能及び/または腫瘍浸潤性を負に調節する遺伝子)を標的とするsgRNAの頻度は、時間とともに低下すると予測される。
バーキットリンパ腫モデル及び大腸癌(CRC)モデルという2つの別々の皮下異種移植モデルで、in vivoスクリーニングを行った。バーキットモデルでは、マトリゲル中の1×10個のバーキットリンパ腫腫瘍細胞を6〜8週齢のNOD/SCIDγ(NSG)マウスの右側腹部に皮下注射した。接種から13日目、腫瘍がおよそ200mmの体積に達したら、マウスをモニタリングし、無作為に分けて、試験に登録した。CRCモデルでは、CRC細胞を操作して、CD19を発現するようにし、マトリゲル中の5×10個の腫瘍細胞を6〜8週齢のNSGマウスの右側腹部に皮下注射した。接種から12日目に、腫瘍がおよそ200mmの体積に達したら、マウスをモニタリングし、無作為に分け、試験に登録した。Cas9で操作したCD19 CAR−T細胞を尾静脈から3×10個及び10×10個/マウス(3M及び10M)で静脈内投与した。CAR−Tの注射から8〜10日後に、腫瘍を回収し、液体窒素で凍結した。その後、ゲノムDNAの抽出のために、これらの組織を解離及び処理した。
試験の最後に得られたゲノムDNA試料における各sgRNAの分布及び/または頻度を解析し、最初の編集CAR−T細胞集団における各sgRNAの分布及び/または頻度と比較した。個々のsgRNAのそれぞれにおいて、統計解析を行って、試験の最後に得られたゲノムDNA試料において有意に濃縮されたsgRNAを特定したとともに、各ガイドに濃縮スコアを割り当てた。同じ遺伝子を標的とする個々のsgRNAの濃縮スコアを集約して、複数のsgRNA及びCAR−T細胞集団にわたって、CAR−T細胞存在量に対して一定かつ再現性のある作用を及した標的遺伝子を特定した。標的をランク付けし、パーセンタイルに基づき、さらなる調査の対象とした。これらの実験の結果は、下記の表14に示されている。表14のパーセンタイルは、パーセンタイルスコア=1−(遺伝子濃縮順位/スクリーニングした遺伝子の総数)という式を用いて算出した。
表14:標的遺伝子パーセンタイルスコア
Figure 2021518161
実施例6:マウスOT1/B16 Ova同系腫瘍モデルにおける単一編集型養子移入T細胞の検証
マウスOT1/B16−Ova皮下腫瘍モデルにおいて、単一ガイドの形態でさらに評価を行って、腫瘍特異的T細胞において標的遺伝子を編集すると、抗腫瘍有効性が向上するか判断するために、実施例3〜5においてパーセンタイルスコアが0.6以上であった標的を選択した。
抗PD1抗体による治療に対する感受性があるB16−Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、単一編集型T細胞の抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価した。簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−Ova腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集マウスOT1 CD8+T細胞を尾静脈から静脈内注射した。OT1 T細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)Map4k1を標的とする単一のgRNA、(iii)Zc3h12aを標的とする単一のgRNA、(iv)Cblbを標的とする単一のgRNA、(v)Nr4a3を標的とする単一のgRNA、または(vi)PD1を標的とする単一のgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。標的遺伝子が編集された腫瘍特異的CD8 T細胞集団を作製するために、実施例1に記載されているように、雌のOT1マウスの脾臓を回収し、CD8 T細胞を単離し、編集した。続いて、その編集OT1 CD8 T細胞をB16−Ova腫瘍担持C56BL/6マウスに静脈内投与した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。下記の式に従って、平均腫瘍体積(TV)を用いて腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。
%TGI=(標的TV最終−標的TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、Cblb TGIにおける最終は、T細胞の移入から18日目であり、Zc3h12a、Nr4a3及びMap4k1における最終は、T細胞の移入から14日目であり、初期は、0日目(すなわちT細胞の移入日)である。
Cblb編集T細胞の結果は、図7Aに示されている。これらのデータにより、T細胞においてCblb遺伝子を編集すると、抗腫瘍有効性が得られ、18日目にTGIが85%になったことが示されている。Zc3h12a編集T細胞の結果は、図7Bに示されている。これらのデータにより、T細胞においてZc3h12a遺伝子を編集すると、そのT細胞の抗腫瘍有効性が向上し、14日目にTGIが106%になったことが示されている。Zc3h12a編集細胞による追加実験のデータは、図7Cに示されている。Map4k1編集T細胞の結果は、図7Dに示されている。これらのデータにより、T細胞においてMap4k1遺伝子を編集すると、そのT細胞の抗腫瘍有効性が向上し、14日目にTGIが72%になったことが示されている。Nr4a3編集T細胞の結果は、図7Eに示されている。これらのデータにより、T細胞においてNr4a3遺伝子を編集すると、そのT細胞の抗腫瘍有効性が向上し、14日目にTGIが56%になったことが示されている。
実施例7:マウスOT1/B16−Ova同系腫瘍モデルにおける、抗PD1療法と組み合わせた単一編集型養子移入T細胞の検証
抗PD1療法と組み合わせたMap4k1編集細胞の作用を評価するために、さらなる実験を行った。Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−Ova腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集マウスOT1 CD8+T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、コントロールのガイド、またはMap4k1遺伝子を編集する単一のガイドのいずれかによって編集した。NGS法を用いて、Map4k1遺伝子を標的とするgRNA/Cas9複合体の編集効率を求めたところ、82%であった。T細胞の移入時に、指定のコホートでは、2.5mg/kgの抗マウスPD1抗体(クローンRMP1−14、BioXcell)による処置も開始し、試験期間中、週に3回注射した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。14日目〜1日目におけるMap4k1群の平均腫瘍体積/14日目〜1日目におけるコントロール処置群の平均腫瘍体積(1日目は、編集マウスOT1 CD8+T細胞の移入日である)を用いて、腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。この実験の結果は、図8Aに示されている。
Nr4a3編集細胞を用いて、同様の実験を行った。NGS法を用いて、Nr4a3遺伝子を標的とするgRNA/Cas9複合体の編集効率を求めたところ、28%であった。14日目〜1日目におけるNr4a3群の平均腫瘍体積/14日目〜1日目におけるコントロール処置群の平均腫瘍体積(1日目は、編集マウスOT1 CD8+T細胞の移入日である)を用いて、腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。この実験の結果は、図8Bに示されている。
抗PD1療法と組み合わせたZc3h12a編集細胞が抗腫瘍有効性に及ぼす作用を評価するには、同様の実験を行う。
実施例8:マウスPMEL及びMC38/gp100同系腫瘍モデルにおける単一編集型養子移入T細胞の検証
単一ガイドの形態でさらに評価を行って、腫瘍特異的T細胞において標的遺伝子を編集すると、大腸癌のマウスMC38gp100皮下同系腫瘍モデル(抗PD1抗体による治療に対して非感受性である)において抗腫瘍有効性が向上するか判断するために、実施例3〜5においてパーセンタイルスコアが0.6以上であった標的を選択した。本明細書には、例示的な標的の評価が記載されているが、これらの方法を用いて、上記の標的候補のうちのいずれも評価することができる。
簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、1×10個のMC38gp100腫瘍細胞を皮下注射した。そのT細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、または(ii)Zc3h12aを標的とする単一のgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。腫瘍がおよそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、Zc3h12a編集マウスPMEL CD8 T細胞を尾静脈から静脈内注射した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。
Zc3h12a編集T細胞の結果は、図9に示されている。これらのデータにより、T細胞においてZc3h12a遺伝子を編集すると、そのT細胞の抗腫瘍有効性が向上し、TGIが20日目に77%になったことが示されている。PMEL/MC38同系腫瘍モデルにおいてNr4a3編集細胞及びMap4k1編集細胞が抗腫瘍有効性に及ぼす作用を評価するには、同様の実験を行う。
実施例9:マウスB16−F10同系腫瘍モデルにおける単一編集型養子移入T細胞の検証
肺転移として顕在化する疾患を伴う侵襲性転移性B16−F10同系腫瘍モデルにおいてZc3h12aを編集する作用を評価するには、追加の実験を行う。
簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−F10腫瘍細胞を静脈内注射する。マウスの体重を測定し、接種の前に、無作為化手順を用いてマウスを処置群に割り当てた。腫瘍の接種から3日目に、マウスに、マウスPMEL CD8+ T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)PD−1遺伝子を標的とする単一のgRNA、または(iii)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。体重を少なくとも週に2回モニタリングする。腫瘍の接種から15日目(編集PMELの移入から12日目)に、マウス肺を10%パラホルムアルデヒドで灌流及び固定する。一晩固定後、肺をさらに保存するために70%EtOHに移す。肺においてがん細胞の黒色コロニーとして見ることができるB16−F10腫瘍量を目視で評価することによって、抗腫瘍有効性を評価できる。
生存率が、パーセントでグラフ化されている(図10)。図10Aに示されているように、Zc3h12a編集PMEL T細胞は、B16F10肺転移モデルにおいて、コントロールのPMEL T細胞及びPD1編集PMEL T細胞と比べて生存率を上昇させることができた。B16−F10同系腫瘍モデルにおけるNr4a3編集細胞及びMap4k1編集細胞の作用を評価するには、同様の実験を行う。
実施例10:マウスOT1/EG7−Ova皮下同系腫瘍モデルにおける単一編集型養子移入T細胞の検証
EG7−Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、マウスにおいて、Zc3h12aの抗腫瘍有効性をさらに評価した。Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、1×10個のEG7−Ova腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集マウスOT1 CD8+ T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、コントロールのガイド、またはZc3h12a遺伝子を編集する単一のガイドのいずれかによって編集した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。
下記の式に従って、平均腫瘍体積(TV)を用いて腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。
%TGI=(標的TV最終−標的TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、最終TGIは、T細胞の移入から14日目であり、初期は、0日目(すなわちT細胞の移入日)である。
これらのデータにより、T細胞においてZc3h12aを編集すると、図11に示されているように、そのT細胞の抗腫瘍有効性が向上し、TGIが88%になったことが示されている。OT1/EG7OVA皮下同系腫瘍モデルにおいて、Nr4a3編集細胞及びMap4k1編集細胞が抗腫瘍有効性に及ぼす作用を評価するには、同様の実験を行う。
実施例11:A375異種移植腫瘍モデルにおける単一編集型養子移入T細胞の検証
単一ガイドの形態でさらに評価を行って、腫瘍特異的T細胞において標的遺伝子を編集すると、A375異種移植腫瘍モデルにおいて、抗腫瘍有効性が向上するか判断するために、実施例3〜5においてパーセンタイルスコアが0.6以上であった標的を選択した。本明細書には、例示的な標的の評価が記載されているが、これらの方法を用いて、上記の標的候補のうちのいずれも評価することができる。
簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜12週齢のNSGマウスに、5×10個のA375細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ200mmの体積に達したら、マウスを8頭からなる群に無作為に分け、18.87×10個のCBLB編集NY−ESO−1特異的TCRトランスジェニックT細胞または5.77×10個のZC3H12A編集NY−ESO−1特異的TCRトランスジェニックT細胞を尾静脈から静脈内注射した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積を各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出し、コントロールの編集細胞と比べて平均腫瘍体積が縮小し、生存率が上昇したこととして、有効性を評価した。19日目〜0日目におけるZC3H12A群の平均腫瘍体積/19日目〜0日目におけるコントロール処置群の平均腫瘍体積(0日目は、ヒトTCRトランスジェニックT細胞の移入日である)を用いて、腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。
これらの実験の結果は、図12に示されている。これらのデータにより、T細胞においてCBLB遺伝子(図12A)及びZC3H12A遺伝子(図12B)を編集すると、A375 異種移植モデルにおいて抗腫瘍有効性が向上することが示されている。A375異種移植モデルにおけるMAP4K1編集T細胞及びNR4A3編集T細胞の有効性を評価するには、同様の実験を行う。
実施例12:Raji異種移植モデルにおける単一編集型養子移入CD19 CAR−T細胞の検証
Raji皮下細胞由来の異種移植腫瘍モデルを用いて、初代CD19 CAR−T細胞においてMAP4K1及びNR4A3を編集することの抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価した。Raji細胞は、抗PD1抗体による治療に対して非感受性であることが知られているヒトリンパ腫細胞株である。
簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のNSGマウスに、3×10個のRaji腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ200mmの体積に達したら、マウスを5頭からなる群に無作為に分け、編集ヒトCD19 CAR T細胞を尾静脈から静脈内注射した。その養子移入細胞は、注射の前に、コントロールのガイド、またはMAP4K1もしくはNR4A3を編集するガイドのいずれかによって編集した。NGS法を用いて、MAP4K1遺伝子及びNR4A3を標的とするgRNA/Cas9複合体の編集効率を求めたところ、MAP4K1遺伝子のものでは83%、NR4A3遺伝子のものでは71%であった。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積を各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。その結果により、養子T細胞移入モデルにおいてMAP4K1及びNR4A3を編集すると、有効性が向上し、MAP4K1の場合(図13A)にはTGIが65%に、NR4A3の場合(図13B)にはTGIが81%になったことが示されている。Raji細胞由来の異種移植皮下腫瘍モデルにおいて、ZC3H12A編集初代CD19 CAR−T細胞(ヒト)の抗腫瘍有効性を評価するには、同様の実験を行うことになる。
実施例13:デュアル編集の組み合わせに関するスクリーニング
ダブルsgRNAライブラリーをレトロウイルス骨格で構築した。そのライブラリーは、単一のガイドRNA(ガイド+tracr、sgRNA)の発現をそれぞれ駆動する2つのU6プロモーター(1つのヒトU6プロモーター及び1つのマウスU6プロモーター)で構成させた。それらのガイドをプールとしてクローニングして、すべてのsgRNAそれぞれが、他のすべてのsgRNAそれぞれのと対になるように、ガイドをランダムに組み合わせた。最終的なダブルガイドライブラリーをPhoenix−Eco293T細胞にトランスフェクションして、マウスエコトロピックレトロウイルスを作製した。Cas9を発現するTCRトランスジェニックOT1細胞を、sgRNA発現ウイルスに感染させて、各sgRNAの標的となる2つの遺伝子座を編集した。続いて、400mm超のB16−Ova腫瘍同種移植片を担持するマウスに、編集されたトランスジェニックT細胞を移入した。2週間後、その腫瘍を切り出し、その腫瘍を消化して、その腫瘍に存在するCD45+細胞を濃縮することによって、腫瘍浸潤T細胞を精製した。Qiagen QUIAamp DNA blood kitを用いて、ゲノムDNAをCD45+細胞から抽出し、レトロウイルス骨格配列に対応するプライマーを用いたPCRによって、レトロウイルスインサートをPCRによって回収した。続いて、得られたPCR産物をシーケンシングして、移入の2週間後に腫瘍に存在するsgRNAを特定した。最終単離細胞集団内のガイドペアの内容を、最初のプラスミド集団、及びマウスに注射する前の感染トランスジェニックT細胞集団と比較した。T細胞の適応性及び/または腫瘍浸潤性を向上させるsgRNAペアの頻度は、時間とともに上昇すると予測され、一方適応性を損なう組み合わせは、時間とともに減少すると予測された。下記の表15には、最終細胞集団におけるsgRNA頻度を、in vivo移入した最初の細胞集団におけるsgRNA頻度と比較した変化倍率の中央値が示されている。
表15:組み合わせのスクリーニングにおけるsgRNA頻度
Figure 2021518161
Figure 2021518161
実施例14:Raji異種移植モデルにおけるデュアル編集型CD19 CAR−T細胞の検証
異種移植腫瘍モデルにおいてT細胞の抗腫瘍有効性を向上させる編集遺伝子の組み合わせを求めるための併用試験で、標的をさらに評価した。本明細書には、例示的な標的の評価が記載されているが、これらの方法を用いて、上記の標的候補のうちのいずれも評価することができる。
編集の抗腫瘍有効性に関する併用作用の例として、初代CD19 CAR−T細胞において、CBLB及びBCORを単独でまたは組み合わせて編集し、Raji皮下細胞由来の異種移植腫瘍モデルを用いて、マウスにおいて評価した。Raji細胞は、抗PD1抗体による治療に対して非感受性であることが知られているリンパ腫細胞株である。Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のNSGマウスに、3×10個のRaji腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ200mmの体積に達したら、マウスを5頭からなる群に無作為に分け、編集ヒトCD19 CAR T細胞を尾静脈から静脈内注射した。その養子移入細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)CBLBを標的とする単一のgRNA、(iii)BCORを標的とする単一のgRNA、または(iv)CBLB及びBCORを標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。図14に示されているように、コントロールのガイドと比較したところ、皮下バーキットリンパ腫Rajiマウスモデルにおいて、示されているように標的遺伝子を単独でまたは組み合わせて編集したBCOR/CBLBデュアル編集型ヒトCD19 CAR T細胞の養子移入によって、抗腫瘍応答が得られた。両方の標的を組み合わせて編集した時の方が、いずれかの標的を単独で編集した場合またはコントロールのガイドの場合よりも、抗腫瘍有効性が高かった。CD19 CAR−T Raji細胞異種移植モデルにおいて、ZC3H12A/CBLBデュアル編集型T細胞、MAP4K1/CBLBデュアル編集型T細胞、及びNR4A3/CBLBデュアル編集型T細胞の有効性を評価するには、同様の実験を行う。
実施例15:CAR−TにおいてBCOR及びCBLBを二重編集すると、腫瘍の存在下における集積及びサイトカインの産生が増大する。
初代CD19 CAR−TをヒトCD8 T細胞から作製し、RNPの形態でCas9と複合化させたガイドRNAを用いたエレクトロポレーションによって、ネガティブコントロール遺伝子、BCOR、CBLB、またはBCOR及びCBLBの両方を編集した。CD19 CAR−TをRajiバーキットリンパ腫細胞と、in vitroにおいて、1:0、0.3:1、1:1、3:1及び10:1の比率で共培養した。24時間後、CAR−T細胞の総細胞数を求め、サイトカインの解析のために、上清を保存した。図15に示されているように、BCOR編集CART及びBCOR+CBLB編集CARTでは、集積性が、コントロールまたはCBLB編集CARTのいずれよりも30%高く、BCORを編集すると、腫瘍の存在下でCAR−T細胞が集積する能力が向上することが示された。さらに、CBLB編集CART及びCBLB+BCOR編集CARTでは、いずれのコントロール編集CARTと比べても、10倍以上のIL−2(図16)及びIFNγ(図17)が産生されたことから、CBLBの編集により、CAR−T細胞によるサイトカイン(T細胞の全体的な適応性及び機能的能力を向上させることが知られている)の産生が増大することが示された。CD8 T細胞は典型的にはIL−2を産生しないので、CD8 T細胞によるIL−2産生の増加は、驚くべきことである。これらのデータにより、いくつかのケースでは、エフェクター機能が増強されたCAR−T細胞の作製には、複数の遺伝子の編集が必要であることが示されている。例えば、この例では、腫瘍の存在下で集積が増大するとともに、サイトカインであるIL−2及びIFNγの産生が増加するCAR−T細胞の作製には、BCOR遺伝子及びCBLB遺伝子の両方の編集が必要であった。
実施例16:マウスOT1/B16−Ova同系腫瘍モデルにおけるデュアル編集型養子移入T細胞の検証
マウスOT1/B16−Ova皮下同系腫瘍モデルにおいてT細胞の抗腫瘍有効性を向上させる編集遺伝子の組み合わせを求めるための併用試験で、標的をさらに評価した。本明細書には、例示的な標的の評価が記載されているが、これらの方法を用いて、上記の標的候補のうちのいずれも評価することができる。
B16Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、Zc3h12a/Cblbデュアル編集型T細胞の抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価した。簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16Ova腫瘍細胞を皮下注射した。全コホートのマウスにおける腫瘍の平均体積がおよそ378.3mmに達したら、マウスを無作為に群分けし、編集マウスOT1 CD8+ T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)Cblb遺伝子を標的とする単一のgRNA、(iii)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNA、または(iv)Cblb遺伝子及びZc3h12a遺伝子を標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。Cblb遺伝子及びZc3h12a遺伝子を標的とするgRNA/Cas9複合体の編集効率を求めたところ、Cblb遺伝子のものでは82%、Zc3h12a遺伝子のものでは80%であった(NGS法を用いて評価した)。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。下記の式に従って、平均腫瘍体積を用いて腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。
%TGI=(標的TV最終−標的TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期)×100
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、最終は、T細胞の移入から7日目であり、初期は、0日目(すなわちT細胞の移入日)である。
図18に示されているように、Zc3h12a/Cblbデュアル編集型T細胞を移入したところ、TGIが、Cblb単一編集型T細胞またはZc3h12a単一編集型T細胞を移入した場合と比べて上昇した(Zc3h12a/Cblb TGIが107%であったのに対して、Cblb単一の編集では46%、Zc3h12a単一の編集では99%であった)。
OT1/B16 Ova同系腫瘍モデルにおいてMap4k1/Cblbデュアル編集型T細胞及びNr4a3/Cblbデュアル編集型T細胞の有効性を評価するには、同様の実験を行う。
実施例17:マウスPMEL/MC38−gp100腫瘍モデルにおけるデュアル編集型養子移入T細胞の検証
MC38gp100皮下同系腫瘍モデルを用いて、Zc3h12a/Cblbデュアル編集型T細胞、Map4k1/Cblbデュアル編集型T細胞及びNr4a3/Cblbデュアル編集型T細胞の抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価する。簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、1×10個のMC38gp100腫瘍細胞を皮下注射する。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集型マウスPMEL CD8+ T細胞を尾静脈から静脈内注射する。T細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)PD1遺伝子を標的とする単一のgRNA、(iii)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNA、(iv)Cblb遺伝子を標的とする単一のgRNA、(v)Map4k1遺伝子を標的とする単一のgRNA、(vi)Nr4a3遺伝子を標的とする単一のgRNA、(vii)Zc3h12a遺伝子及びCblb遺伝子の両方を標的とする2つのgRNA、(viii)Nr4a3遺伝子及びCblb遺伝子の両方を標的とする2つのgRNA、または(ix)Map4k1遺伝子及びCblb遺伝子の両方を標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集する。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定する。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出する。下記の式に従って、平均腫瘍体積を用いて腫瘍成長抑制率(TGI)を算出する。
(標的TV最終−標的TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、最終は、T細胞の移入から21日目であり、初期は、0日目(すなわちT細胞の移入日)である。
これらの実験では、Zc3h12a/Cblbデュアル編集型T細胞、Map4k1/Cblbデュアル編集型T細胞またはNr4a3/Cblbデュアル編集型T細胞の移入後に、TGIが、PD1単一編集型T細胞、Zc3h12a単一編集型T細胞、Map4k1単一編集型T細胞またはNr4a3単一編集型T細胞の移入時と比べて上昇することが予測される。
実施例18:マウスB16−F10同系腫瘍モデルにおけるデュアル編集型養子移入T細胞の検証
肺転移として顕在化する疾患を伴う侵襲性転移性B16−F10同系腫瘍モデルを用いて、Zc3h12a/Cblbデュアル編集型T細胞の抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価する。簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−F10腫瘍細胞を静脈内注射する。接種の前に、マウスの体重を測定し、無作為化手順を用いてマウスを処置群に割り当てる。腫瘍の接種から3日目に、マウスに、編集型マウスPMEL CD8+ T細胞を尾静脈から静脈内注射する。これらの細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、(ii)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNA、(iii)Cblb遺伝子を標的とする単一のgRNA、(iv)Map4k1遺伝子を標的とする単一のgRNA、(v)Nr4a3遺伝子を標的とする単一のgRNA、(vi)Map4k1遺伝子及びCblb遺伝子のそれぞれを標的とする2つのgRNA、(vii)Nr4a3遺伝子及びCblb遺伝子のそれぞれを標的とする2つのgRNA、または(viii)Zc3h12a遺伝子及びCblb遺伝子のそれぞれを標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集する。NGS法を用いて、上記の遺伝子を標的とするgRNA/Cas9複合体の編集効率を評価する。体重を少なくとも週に2回モニタリングする。腫瘍の接種から15日目(編集型PMELの移入から12日目)に、マウス肺を10%パラホルムアルデヒドで灌流及び固定する。一晩固定後、肺をさらに保存するために70%EtOHに移す。肺においてがん細胞の黒色コロニーとして見られるB16−F10腫瘍量を目視で評価することによって、腫瘍有効性を評価する。
これらの実験では、デュアル編集型細胞の抗腫瘍有効性が、コントロール及び単一編集型細胞と比べて上昇することが予測される。
実施例19:B16−Ovaマウス腫瘍モデルにおけるPD1/LAG3デュアル編集型トランスジェニックT細胞の有効性
B16Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、PD−1/Lag3デュアル編集型T細胞の抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価した。Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16Ova腫瘍細胞を皮下注射した。全コホートのマウスにおける腫瘍の平均体積がおよそ485mmに達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集型マウスOT1 CD8+T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、(1)非標的化型コントロールのgRNA、(2)PD1遺伝子を標的とする単一のgRNA、(3)Lag3遺伝子を標的とする単一のgRNA、(4)一方はPD1遺伝子を標的とし、もう一方はLag3遺伝子を標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。下記の式を用いて、腫瘍成長抑制率(TGI)を算出した。
%TGI=(PD1/Lag3 TV最終)−PD1/Lag3 TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、最終は、10日目であり、初期は、編集型マウスOT1 CD8+T細胞の移入日である。
図19のデータには、PD1単一編集型T細胞の養子移入によって、TGIが70%となり、Lag3単一編集型T細胞の養子移入により、TGIが36%となったことが示されている。驚くべきことに、PD1とLag3を組み合わせて編集したところ、腫瘍成長抑制率が上昇せず、TGIは38%となった。
実施例20:腫瘍浸潤リンパ球の養子T細胞移入のための標的の検証
B16Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、Zc3h12、Map4k1及びNr4a3/Cblbの単一編集型腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及びデュアル編集型TILの抗腫瘍有効性をマウスにおいて評価する。この実験では、ドナーコホートのCD45.1Pep Boyマウス(B6.SJL−PtprcPepc/BoyJ)及びレシピエントコホートのCD45.2 C57BL/6Jマウス(Jackson labs)という2つのマウスコホートを使用し、それぞれ、6〜8週齢の雌マウスで構成される。
TILを作製するために、ドナーであるCD45.1Pep Boyマウス(B6.SJL−PtprcPepc/BoyJ)に、0.5×10個のB16−Ova細胞を皮下注射する。腫瘍細胞の接種から14日目に、腫瘍を摘出して、第2のコホートのマウスに注入するための編集型CD45.1腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を作製した。B16−Ova腫瘍(200〜600mm)を摘出し、裁断し、GentleMACSシステム及びmouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi Biotechカタログ番号130−096−730)をメーカーの推奨に従って用いて、単細胞懸濁液まで解離させた。腫瘍懸濁液を70μMの細胞ストレーナーで濾過し、CD4/CD8(TIL)Microbeads(Miltenyi Biotechカタログ番号130−116−480)を用いて、TILを濃縮する。3000U/mLの組み換えヒトIL−2(Peprotechカタログ番号200−02)を添加した完全mTIL培地(RPMI+10%熱不活化FBS、20mMのHEPES、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、50μMのβ−メルカプトエタノール、1×Glutamax)で、単離TILを6ウェルプレートにおいて、1.5×10細胞/mLで培養する。3日目に、細胞を回収し、洗浄し、ヌクレオフェクション緩衝液Tに再懸濁させ、実施例1に記載されているように、Neon Transfection Systemを用いて、gRNA/Cas9 RNPをエレクトロポレーションする。エレクトロポレーション後、3000U/mLの組み換えヒトIL−2を添加した完全mTIL培地で、TILを6ウェルプレートにおいて、1.5×10細胞/mLで培養する。5日目及び7日目に、3000U/mLの組み換えヒトIL−2を添加した新鮮な完全mTIL培地に細胞を再懸濁させ、1×10細胞/mLの密度でフラスコに播種した。8日目に、細胞を回収し、計数し、in vivo注射のために、PBSに再懸濁させ、qRT−PCRによる遺伝子発現解析のために、ペレットを調製した。
これらのTIL細胞は、(1)非標的化型コントロールのgRNA、(2)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNA、(3)Map4k1遺伝子を標的とする単一のgRNA、(4)Nr4a3遺伝子を標的とする単一のgRNA、(5)Cblbを標的とする単一のgRNA、(6)Zc3h12a遺伝子及びCblb遺伝子を標的とする2つのgRNA、(7)Map4k1遺伝子及びCblb遺伝子を標的とする2つのgRNA、または(8)Nr4a3遺伝子及びCblb遺伝子を標的とする2つのgRNAを含むgRNA/Cas9複合体をエレクトロポレーションすることによって編集する。
レシピエントであるCD45.2 C57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−Ova腫瘍細胞を皮下注射する。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集型CD45.1 TILを尾静脈から静脈内注射する。任意に、T細胞の移入前に、マウスにシクロホスファミド(200mg/kg)を腹腔内注射して、リンパ球除去を誘導でき、編集したTILは、最長で4日間、1日に2回、組み換えヒトIL−2(720,000IU/Kg)の腹腔内処置と組み合わせて静脈内投与できる。
体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定する。腫瘍体積を各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出し、下記の式に従って、%TGIを算出する。
%TGI=(標的TV最終−標的TV初期)/(コントロールTV最終−コントロールTV初期
式中、TVは、平均腫瘍体積であり、最終は、17日目であり、初期は、編集TILの移入日である。
これらの結果によって、コントロールのガイドと比べて、B16Ova皮下マウスモデルにおいて、単一編集型またはデュアル編集型のマウスTILを養子移入すると、コントロールの編集細胞による処置と比べて、抗腫瘍応答が増強することが示されることが予測される。
実施例21:操作T細胞療法の標的の検証
BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3の編集が、CAR T細胞及び人工TCRを発現するように操作したT細胞の抗腫瘍有効性に及ぼす作用を検証するために、実験を行う。表17に記載されている操作T細胞を、実施例1に記載されているようにして編集して、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3の発現を低下させる。続いて、示されている種類の細胞を用いて、皮下マウス異種移植モデルにおいて、これらの操作T細胞を評価する。例えば、CD19特異的なCARまたは人工TCRを有するように操作したT細胞は、実施例12で上記したように、Raji細胞モデルにおいて、または表16に示されている他の細胞株のうちのいずれかにおいて評価でき、MART1特異的なCARまたは人工TCRを有するように操作したT細胞は、SKMEL5、WM2664またはIGR1細胞モデルなどで評価できる。
表16:操作受容体の特異性及び標的細胞株
Figure 2021518161
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簡潔に述べると、Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のNSGマウスに、3×10個の標的細胞を皮下注射する。腫瘍が、およそ200mmの体積に達したら、マウスを5頭からなる群に無作為に分け、編集した操作T細胞を尾静脈から静脈内注射する。その養子移入細胞は、注射の前に、コントロールのガイド、あるいはBCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3を編集するガイドのいずれかによって編集する。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定する。腫瘍体積を各処置群において平均及び平均の標準誤差として算出する。これらの実験の結果によって、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3編集型の操作T細胞の抗腫瘍有効性が、生存性及びまたは腫瘍サイズの縮小によって測定した場合に、コントロールのガイドの場合と比べて向上することが示されることが予測される。
実施例22:受容体導入Tの機能に対する標的編集の検証
BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3の編集が、操作T細胞によるサイトカインの産生に及ぼす作用を検証するために、実験を行う。簡潔に述べると、上記の表16に記載されている操作T細胞をヒトCD8 T細胞から作製し、RNPの形態でCas9と複合化したガイドRNAを用いて、エレクトロポレーションによって、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3、GNAS、ZC3H12A、MAP4K1及び/またはNR4A3のうちの1つ以上を編集する。CAR−Tを、表18に示されている対応する細胞株とin vitroにおいて、1:0、0.3:1、1:1、3:1及び10:1の比率で共培養する。24時間後、操作T細胞の総細胞数を求め、サイトカインの解析のために上清を保存する。これらの実験の結果によって、コントロールの編集細胞と比べて、集積が増大し、編集CAR T細胞からのサイトカインの産生のレベルが上昇することが示されることが予測される。
実施例23:デュアル編集型腫瘍浸潤リンパ球の作製
編集TILは、TILを単離及び増殖するために、FDAから認可された臨床試験で以前用いられた確立済みのプロトコールに従って作製する。腫瘍組織を取り出した後、腫瘍を断片化して2mmの切片にし、機械的/酵素的にホモジナイズし、最長で6週間、または細胞数が1×10個以上になるまで、6,000IU/mLの組み換えヒトIL−2で培養する(これをTIL作製の急速増殖前フェーズ(pre−REP)とする)。pre−REPの段階が完了したら、TILに、cGMPの条件下で、BCL2L11遺伝子、FLI1遺伝子、CALM2遺伝子、DHODH遺伝子、UMPS遺伝子、RBM39遺伝子、SEMA7A遺伝子、CHIC2遺伝子、PCBP1遺伝子、PBRM1遺伝子、WDR6遺伝子、E2F8遺伝子、SERPINA3遺伝子、GNAS遺伝子、ZC3H12A遺伝子、MAP4K1遺伝子及び/またはNR4A3遺伝子を標的とするgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションする。細胞には、pre−REPプロセスの前またはその最中にエレクトロポレーションしてもよい。エレクトロポレーション後、1:100の比率のTIL及び照射フィーダー細胞で、50×10個の細胞を1LのG−Rex(商標)培養フラスコに、およそ2週間かけて移す。この作製部分は、急速増殖フェーズ(REP)とする。REPフェーズの後、TILを回収し、洗浄し、患者に即時注入するために溶液に懸濁させる。
実施例24:編集免疫エフェクター細胞の第I相試験
再発性であるかまたは抗PD−1療法に対して抵抗性である転移性メラノーマの患者を、本明細書に記載されている改変細胞で処置する第1相、オープンラベル、単一施設試験を行う。患者に細胞を1回注入し、疾患の進行または療法不耐性が見られるまで、試験を続ける。試験への参加を中止する前に、現場の放射線科医が放射線学的PDを定める。
試験の目的:試験の主目的は、(1)最大耐用量(MTD)、用量制限毒性(DLT)、ならびに進行固形腫瘍を有する患者において将来試験する際に推奨することになる、細胞組成物(及び必要とされる関連併用薬)の用量を求めることと、(2)患者において、移入した編集細胞の抗がん活性のいずれかのエビデンスを観察することである。試験の二次目的は、(1)その細胞組成物の薬物動態を求めることと、(2)生体試料中の薬力学的バイオマーカーの変化によって求めた場合において、その細胞組成物のオンターゲット活性を評価することと、(3)処置後の操作TILの存続性によって求めた場合において、その改変細胞の増殖を評価することである。試験の探査的目的は、(1)いずれかの根本的な遺伝子変異(複数可)を臨床応答と相関付けることである。
試験の評価項目:この試験の主要評価項目は、有害事象(AE)の発生率及び重症度(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI CTCAE)バージョン4.3に従って格付け)、臨床検査値異常、12誘導心電図(ECG)パラメーターの変化、RECIST v1.1による客観的奏効率(ORR)、CNSの応答(活動性の脳転移を有する患者における、RECIST v1.1によるORR及び無増悪生存期間[PFS])である。この試験の副次評価項目は、患者申告の症状及び健康関連クオリティオブライフ(HRQoL)スコア、奏効までの期間、奏効期間、RECIST v1.1による病勢コントロール率(完全奏効[CR]、PRまたはSDのうちの最良の奏効が認められた患者の割合)、治療期間、免疫表現型分析結果、遺伝子操作TILの存続性、トラフィキング及び機能、投与前及び投与後の試料中の薬力学的バイオマーカーである。この試験の探査的評価項目は、投与前の腫瘍生検標本及び/または末梢血において、FoundationOne(登録商標)Cancer Gene Panelまたは類似の代替策を用いて、がん関連変異及び/または遺伝子改変を評価した結果である。
治療レジメン:治療レジメンの概要は、以下のとおりである。
(a)7日前及び6日前:シクロホスファミド60mg/kg(静脈内)
(b)5日前〜1日前:フルダラビン25mg/m(静脈内)
(c)1日目:細胞注入
(d)1日目〜15日目:IL−2(125,000IU/kg/日)、最大14回投与
細胞の1回目の投与量は、1×10細胞以下の総用量となる。万が一、その患者において用量制限毒性(DLT)が認められた場合には、2人の追加の患者を同じ用量レベルで処置する。1人目の患者において、DLTが認められることなく、DLTモニタリング期間(21日)が経過したら、それ以降の患者は、1×1011個未満のTILという用量で処置することになる。
併用処置:その試験中に発現し得る症状及び基礎病態の管理のために、その試験中に、緩和及び支持療法が認められる。
有効性評価:RECIST v1.1に従い、現場の放射線科医及び/または治験責任医師が腫瘍の応答性を求めることになる。腫瘍の評価は、疾患が進行するまで6週間おきに行い、その評価は、疾患の進行以外の理由で中止となった患者では、疾患が進行するまで、または別の抗がん療法の開始まで継続することになる。その試験に最後の患者を登録してから最長で3年間、生存についても追跡することになる。
安全性評価:安全性評価には、身体診察、検査室での検査、バイタルサイン及びECGが含まれることになる。有害事象は、NCI CTCAE v4.03に従って格付けする。試験の各コホートについて、有害事象発生率、及び総体的毒性(毒性グレード(重症度)によって分類)の発生頻度を明らかにする。検体検査結果のリストも作成し、検体検査の経時的変化を概括する記述統計結果も提示する。
分子遺伝学的評価:腫瘍組織及び血漿試料の分子解析を通じて、腫瘍の生物学的作用に関与する遺伝子の変異状態を判断する。これらの試験結果は、試験手順に従って、解析後直ちに、治験責任医師及び治験依頼者に提供される。分子解析法としては、ダイレクトシーケンシング及び/またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられるが、これらに限らない。
患者申告の症状及びクオリティオブライフの評価:有効なEuropean Organisation for Research and Treatment of Cancer(EORTC)Quality of Life Questionnaire(QLQ)−C30(v.3.0)(世界的な臨床試験で広範囲に研究されている)を実施することによって、患者申告の症状及びHRQoLを調べる。EORTC QLQ−C30は、5つの機能の尺度(身体的機能、役割的機能、認知的機能、情緒的機能及び社会的機能)、3つの症状の尺度(倦怠感、痛み及び悪心/嘔吐)、ならびに全般的な健康状態/QoLスケールについてスコア化する。6つの単一項目の尺度も含める(呼吸困難、不眠、食欲不振、便秘、下痢及び経済的困難)。
試験評価:これらの試験の評価パラメーターには、投与前及び奇数サイクルごとの1日目に腫瘍の放射線画像診断を行った後に、PK解析のための血液試料の採取(1日目、2日目、3日目、週に1回×4、月に1回×6)及び薬力学的解析を行い、サイトカインパネル解析(1日目、2日目、3日目、週に1回×4、月に1回×6)を行うことが含まれる。
実施例25:抗腫瘍記憶及びエピトープ拡大をもたらす標的としてのZc3h12aの検証
B16−Ova皮下同系腫瘍モデルを用いて、T細胞におけるZc3h12aの阻害または欠失によって駆動される抗腫瘍記憶及びエピトープ拡大をマウスにおいて評価した。Jackson labsから得た6〜8週齢の雌のC57BL/6Jマウスに、0.5×10個のB16−Ova腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が、およそ100mmの体積に達したら、マウスを10頭からなる群に無作為に分け、編集マウスOT1 CD8+T細胞を尾静脈から静脈内注射した。これらの細胞は、注射の前に、(i)コントロールのgRNA、または(ii)Zc3h12a遺伝子を標的とする単一のgRNAを含むgRNA/Cas9 RNP複合体をエレクトロポレーションすることによって編集した。体重及び腫瘍体積を少なくとも週に2回測定した。腫瘍体積は、各処置群における平均及び平均の標準誤差として算出した。
図20に示されているように、Zc3h12a編集T細胞を投与された10頭のマウスのうちの9頭が評価可能であったとともに、OT1 CD8+ T細胞の移入から55日後(または最初のB16−Ova腫瘍の接種から65日後)までに腫瘍を完全に拒絶した。これらのマウスは、完全奏効マウス(CR)とみなした。CRマウスのうちの4頭を2回目のB16−Ovaの接種によって再感作し、別の4頭のCRマウスをB16F10の接種によって感作した。B16−Ovaは、OT1細胞に特異的であるOva抗原を含むように操作した、B16F10の誘導体である。加えて、10頭のナイーブマウスにB16−Ovaを接種し、別の10頭のナイーブマウスにB16F10腫瘍細胞を接種した。B16−Ova CRマウスは、これらの接種後、B16−Ovaによる再感作及びB16F10による感作の両方とも拒絶したことがわかった。B16−Ovaの拒絶により、Zc3h12aの駆動による抗腫瘍記憶応答が示されている。B16F10の拒絶により、Zc3h12a編集T細胞が、宿主内の他のT細胞に対して、「エピトープ拡大」として知られる現象を通じて、非Ova腫瘍抗原に対する増殖性抗腫瘍応答を起こすように命令することが示されている。エピトープ拡大は、決定基拡大としても知られており、初期免疫応答に関与しないT細胞が、初期免疫応答に組織特異的に関連付けられたエピトープに対して活性化すると、免疫応答に漸次的に寄与することである。
実施例26:ナイーブヒトT細胞におけるMAP4K1の編集により、サイトカインの産生が増加する。
解凍したドナーPBMCから初代ヒトT細胞を単離し、Immunocult+10ng/mLのIL−2中で一晩培養した。翌日、T細胞に、単一のガイドコントロール遺伝子またはMAP4K1に対するRNPをエレクトロポレーションした。遺伝子編集が行われるように培養液(Immunocult+10ng/mLのIL−2)中で4日経過後、活性化のために、細胞を24時間、Immunocult+CD3/28/2中で培養した。活性化してから24時間後、上清を回収し、分泌されたサイトカインのレベルをMesoScale Discovery(MSD)のプラットフォームによって測定した。図21に示されているように、MAP4K1編集T細胞では、IFNγ、IL−2及びTNFαの産生増加が見られた。ZC3H12a編集PBMC及びNR4A3編集PBMCのサイトカイン産生を評価するためには、同様の実験を行うことができる。
実施例27:Zc3h12a編集マウスCD8 T細胞におけるT細胞活性化マーカーの発現
雌のOT1マウスまたはpMELマウスの膵臓を摘出し、実施例1に記載されているようにして、CD8 T細胞を単離した。実施例1に記載されている方法に従って、CD8 T細胞に、Cas9タンパク質、及びZc3h12aまたはコントロール遺伝子のいずれかを標的とするsgRNAを含むRNPをエレクトロポレーションした。複数のガイドにわたって、Zc3h12a編集効率を測定したところ、36〜69%であった。
Ifng、Gzma及びIcosの発現をRNA−seqによって測定した。300万個の編集細胞のペレットのRNAの抽出及びシーケンシング(RNA−seq)をWuxi NextCodeが行った。Salmon(バージョン0.11.2、Patro et al.,Nat.Methods (2017))及びGencodeのマウス遺伝子アノテーション(バージョンM15)を用いて、遺伝子発現レベルをTPMとして定量する(Li et al.,in Bioinformatics:The Impact of Accurate Quantification on Proteomic and Genetic Analysis and Research(2014))。Rパッケージlimma(バージョン3.38.0、Ritchie et al.,Nucleic Acids Res.(2015))を用いて、差次的に発現した遺伝子(DEG)を解析した。複数のガイドを用いて標的を阻害した場合には、その解析には、各ガイドの影響を組み込み、すべてのガイドから影響を受けた遺伝子のみを、差次的発現が有意であるとみなした。
これらの実験によって、Zc3h12aが編集されたマウスOT−1細胞またはマウスPMEL細胞において、Ifng mRNAの発現(コントロールのsgRNAの場合に対して、OT−1では144.5倍、PMELでは119.2倍)、ならびにGzma mRNAの発現(コントロールのsgRNAの場合に比べて、OT−1では7.2倍、及びpMELでは3.1倍)が有意に増加したことが示された。Zc3h12a編集細胞では、既知のZC3H12A基質であるIcosのmRNAの発現も、OT−1細胞では11倍、PMEL細胞では9.1倍アップレギュレートされた。これらのデータを勘案すると、Zc3h12aが編集されたマウスOT−1細胞またはマウスPMEL細胞では、mRNAの発現によって測定したところ、T細胞活性化マーカーのIfng、Gzma及びIcosの発現が増加したことが示されている。
実施例28:Zc3h12a siRNAにより改変されたマウスT細胞によるICOSの発現
追加の阻害機序によってZc3h12aの発現を改変することの作用を示すために、Zc3h12a mRNAを標的とするsiRNAを使用した。コントロール(カタログ番号:K−005000−G1−02)またはZc3h12aを標的とする(カタログ番号:E−052076−00−0005)自己送達Accell siRNAをメーカーの指示に従って調製した。抗CD3/抗CD28ビーズ(Dynabeads(商標)Mouse T−Activator CD3/CD28 for T−Cell Expansion and Activation、カタログ番号11456D)を用いて、10ng/mLの組み換えマウスIL−2(Biolegendカタログ番号575406)を添加した2.5%熱不活化FBS及び終濃度1μMの自己送達Accell siRNAを含むsiRNA送達培地(Dharmaconカタログ番号B−005000−500)において、精製マウスCD8 T細胞を活性化させた。72時間後、活性化ビーズを除去し、フローサイトメトリー、またはqRT−PCRによる遺伝子発現解析によって、表面のICOSの発現について細胞を評価した。
qRT−PCR解析では、Qiagen RNeasy miniprepキット(カタログ番号:74104)を用いて、RNAをT細胞から精製し、SuperScript IV VILO(カタログ番号:11755−050、Life Technologies)をメーカーの指示に従って用いて、cDNAを調製した。下に列挙されているのは、マウス転写産物またはヒト転写産物の検出の際に用いたTaqManプローブ(Life Technologies)である。GAPDHをコントロール遺伝子として使用し、ΔΔCt法を用いて、相対的な発現を定量した。細胞をZc3h12a特異的siRNAで処理したところ、Zc3h12a mRNAレベルがコントロールと比べて30%低下した。
Figure 2021518161
ICOSの表面発現では、マウスCD8細胞を蛍光標識抗ICOS抗体(Biolegendカタログ番号:313524)によって、1:100の希釈率で、メーカーの指示に従って染色した。FlowJo v10.1というソフトウェア(Treestar)を用いて、蛍光抗ICOS抗体で染色した細胞の平均蛍光強度を算出することによって、細胞表面のICOSの発現の相対量を測定した。sgRNAの媒介によってZc3h12aを阻害した場合と整合して、Zc3h12aを標的とするsiRNAで処理した細胞において、ICOSレベルは1.8倍高かった。
実施例29:Zc3h12aジンクフィンガーによって編集したマウスT細胞におけるT細胞活性化マーカーの発現
追加の阻害機序によってZc3h12aの発現を改変することの作用を示すために、ZFNの媒介によってZc3h12a遺伝子を編集した。
操作ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ドメインは、Sigma Aldrichがプラスミドペア(CSTZFN−1KT COMPOZR(登録商標)Custom Zinc Finger Nuclease(ZFN)R−3257609)で作製した。それらのドメインは、マウスZc3h12a遺伝子のChr4:125122398−125122394及びChr4:125121087−125121084という位置、ならびにコントロールのマウス遺伝子Olfr455のChr6:42538446−42538447という位置を認識するようにカスタマイズした。プラスミドは、市販のNEB Monarch Miniprepシステム(カタログ番号T1010)をメーカーのプロトコールに従って用いて調製した。全インプット量10μgを用いて、鋳型DNAを直鎖状にし、NEB Monarch PCR and DNA Cleanup kit(カタログ番号T1030)を用いて精製した。精製した鋳型DNA6μg及びPromega T7 RiboMAX Large Scale RNA Production System(P1300及びP1712)をメーカーの条件に従って用いて、5’にキャップを有するRNA転写産物を作製するためのin vitro転写反応を行った。精製キットのQiagen RNeasy Mini(カタログ番号74104)を用いて、転写産物を精製した。Agilent 4200 TapeStationシステムを用いて、各ZFNドメイン転写物の完全性及び濃度を確認した。NEB E.coli Poly(A)Polymerase(M0276)を用いて(反応ごとに10ユニット使用した)、精製転写産物をポリアデニル化した。Agilent 4200 TapeStationシステムを用いて、サイズシフトによって、ポリアデニル化テールの付加を確認した。成熟ZFNドメインmRNA転写物のそれぞれを、その対応するペアと組み合わせ、各ペア10μgを500万個のマウスCD8 T細胞と混合して、マウスT細胞のエレクトロポレーションについて上記されている方法に従ってエレクトロポレーションした。
Zc3h12aの2つの遺伝子座を3つのZFNによってそれぞれ標的とし、編集効率をNGSによって測定した。ZFNの媒介によってZC3H12Aを不活性化する作用を追跡するために、ZC3H12A基質であるIl6及びIcos、ならびにT細胞活性化マーカーであるIfngのmRNAレベルをqRT−PCRによって評価した。遺伝子座Chr4:125121088−125121085を標的とする3つのすべてのZFNによって、コントロールのZFN標的Olfr455と比べて、Icos mRNAの発現増加(1.2〜2倍の範囲)、Il6 mRNAの発現増加(2.3〜62.8倍の範囲)及びIfng mRNAの発現増加(2.9〜12.8倍の範囲)が見られたことから、ZFNの媒介によってZc3h12aを編集すると、T細胞に対して、CRISPRの媒介による阻害と同様の作用が誘導されることが確認された。
実施例30:Zc3h12a編集マウスTILにおけるT細胞活性化マーカーの発現
実施例1に記載されているように、マウスCD8 TILを単離し、Zc3h12aを標的とするgRNA/Cas9 RNPで編集した。Zc3h12a特異的sgRNAによって、Zc3h12aが86%阻害される。FACS解析により、Zc3h12aをsgRNAで阻害したところ、細胞表面でICOSの発現が2.7倍増加したことが確認された。RNA−seq解析により、Icos mRNAが有意に2.7倍増加したとともに(p=1.6×10−71)、Ifng mRNAの有意な増加(コントロールsgRNAに対して9.3倍、p=0)及びGzma mRNAの有意な増加(コントロールのsgRNAに対して1.2倍、p=6.3×10−6)が見られたことが確認されたことから、マウスTILにおけるZc3h12aの編集により、T細胞が活性化することが確認された。
実施例31:CRISPRの媒介によってマウスCD8 T細胞におけるZc3h12aを編集することによる、ZC3H12A活性の不活化
Zc3h12aの遺伝子不活化が、マウスCD8 T細胞の機能及び炎症性表現型に及ぼす作用を評価した。実施例30に記載されている方法を用いて、マウスOT−I CD8 T細胞を活性化させ、3つの異なるレトロウイルス上清のうちの1つに感染させた。レトロウイルスは、1)嗅覚受容体遺伝子を標的とするsgRNA(ネガティブコントロール)、2)Zc3h12aを標的とするsgRNA(Zc3h12a編集条件)、または3)Zc3h12a及びZc3h12aのタンパク質産物をコードする遺伝子を標的とするsgRNA、(Zc3h12a編集WT ZC3H12Aレスキュー条件)のいずれかをコードするものであった。選択後、トランスダクション率は、いずれの場合にも91%を超えており、次世代シーケンシングによって、ゲノム編集率が、いずれの場合にも80%を超えていたことが確認された。
続いて、CD8 T細胞をPMA及びイオノマイシンで6時間刺激して、炎症性転写産物の発現を誘導し、定量RT−PCRを行って、mRNAレベルを評価した。転写産物の発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子Gapdhの発現と比較して評価した。Zc3h12a遺伝子座の編集により、Icos、Il6、Il2、Ifng及びNfkbizの転写産物のレベルが、Olf421遺伝子座を編集したネガティブコントロール細胞と比べて著しく上昇した(図22)。コドン最適化Zc3h12a遺伝子を内在性Zc3h12a編集細胞にレンチウイルスによって共送達することによって、ZC3H12Aタンパク質を発現させたところ、炎症性mRNAレベルが低下し(図22)、観察された上記の表現型が、機能性ZC3H12Aタンパク質の欠損に依存することが示された。
観察されたZC3H12A依存性の転写変化が、細胞表面での変化に反映されるのか判断するために、細胞を蛍光抗ICOS抗体で染色し、フローサイトメトリーを用いて、細胞表面のICOSレベルを求めた。Zc3h12a遺伝子座の編集により、細胞表面のIcosの発現が増加し、この増加は、レトロウイルスによって誘導したZC3H12Aの過剰発現によって反転した(図23)。
Zc3h12a遺伝子の不活化が、CD8 T細胞によるサイトカインの分泌に及ぼす作用も測定した。IL−2のみ、またはIL−2及び抗CD3/CD28 Dynabeadsのいずれかを含む培地の入ったウェルに、細胞を48時間かけて播種した。細胞上清を回収し、MesoScale Discovery MSDのプラットフォームを用いて、分泌されたIFNγ及びIL−6のレベルを測定した。刺激した場合には、Zc3h12a編集CD8 T細胞は、Olf421編集細胞よりもIL−6及びIFNγの産生量が多かった。さらに、Zc3h12a編集細胞は、外因性抗CD3/CD28による刺激のない状態では、Olf421編集細胞と比べて、IFNγの産生量もかなりの量であった(図24)。
実施例32:CRISPRの媒介によって初代ヒトT細胞におけるZC3H12Aを編集することによる、ZC3H12Aの不活化
ZC3H12Aの不活化が、初代ヒトT細胞に及ぼす作用を判断するために、ゲノム編集型ヒトT細胞によるIL6 mRNA転写産物及びIL−6タンパク質の産生を評価した。簡潔に述べると、初代ヒトT細胞を末梢血単核球(PBMC)から単離し、実施例1に概説されているような方法に従って、ZC3H12AまたはOR1A2の遺伝子座のいずれかを標的とするRNPを用いて、ゲノム編集を行った。編集効率は、次世代シーケンシングによって求めたところ、30〜72%の範囲であった。
細胞を等しい濃度で播種し、抗CD3/CD2/CD28テトラマー試薬(Stemcell Technologies)を含む培養培地で培養した。24時間後、細胞上清を回収し、Mesoscale discovery V−plex human proinflammatory panel 1を用いて、IL−6レベルを求めた。ZC3H12A遺伝子座を編集したT細胞は、複数のドナーにわたって、24時間の期間において、OR1A2遺伝子座を編集したT細胞よりもIL−6を培養培地に多く分泌した(図25A)。抗CD3/CD28で24時間刺激後、IL−6 mRNAの産生が有意に増加した(ドナー3835では12.3倍、ドナー6915では5.9倍)ことも観察された(図25B)。
実施例33:ZC3H12Aタイリングスクリーニング及び検証アッセイ
CRISPR−Cas9タイリングスクリーニングを行って、ZC3H12A遺伝子にまたがる標的座位内の阻害剤標的位置の候補を定めた。実施例1に記載されているようにして、初代ヒトCD8+ T細胞を単離し、完全長のZC3H12A遺伝子にわたるゲノム位置を標的とするように設計したsgRNAを発現するレンチウイルスライブラリーをトランスダクションした。レンチウイルスライブラリーのトランスダクションから2日後に、トランスダクションしたCD8+細胞に、Cas9 mRNAをエレクトロポレーションし、さらに10日間、培養した。Cas9 mRNAのエレクトロポレーション後に培養してから10日後、下記のようにスクリーニングを行った。追加のアッセイを行って、タイリングスクリーンで特定されたgRNAを検証した。ZC3H12Aを標的とする別個のgRNAを437個、下記のパラメーターに従ってアッセイした。
タイリングスクリーン
増殖のリードアウト:Cas9 mRNAのエレクトロポレーションから10日目に、第1のアームの細胞を回収した。DNAを抽出し、そのライブラリーにおける各種sgRNAの認識部位にまたがるアンプリコンをPCRによって増幅し、次世代シーケンシング(NGS)によってシーケンシングした。最終カウント数を参照カウント数で除したもののlog比によって、その各sgRNAの濃縮または枯渇を求めた。
ガイドを検証するための追加のアッセイ
追加のアッセイを開発して、上記のタイリングスクリーンで特定されたgRNAの有効性及びオンターゲット活性をさらに特徴付けた。細胞を単離し、タイリングスクリーンで特定されたZC3H12A特異的gRNAを含むCas9:gRNA RNPをエレクトロポレーションした。細胞をおよそ10日間培養し、10日の時点に、下記のアッセイを行った。
DNA編集アッセイ:DNA編集アッセイを開発して、個々のガイドが、そのそれぞれの標的の編集をDNAレベルで誘導する能力を比較した。Cas9:gRNA RNPをエレクトロポレーションした後、細胞をおよそ10日間培養し、10日目の時点に、ペレットを回収し、DNAを抽出した。ガイド特異的なプライマーセットを用いて、各種sgRNAにおいてゲノムの標的座にまたがるアンプリコンをPCRによって増幅し、NGSによってシーケンシングした。予測されるガイド切断部位に、シーケンシングリードをアラインメントし、DNA配列が編集されたリードの割合(%)を求めた。1)オフターゲット編集の全体的割合(%)、及び2)オフターゲット編集遺伝子の識別という2つの基準に基づき、結果を評価した。最適なガイドは、オフターゲット編集率(%)のレベルが最低であり及び/またはオフターゲット編集遺伝子プロファイルが最も無害であると特定されたガイドであった。例えば、遺伝子内領域の遺伝子編集は、無害な作用とみなし、その一方で、既知のがん遺伝子または腫瘍抑制因子の編集は、望ましくないオフターゲットプロファイルとみなした。
ウエスタンブロットアッセイ:ウエスタンブロットアッセイを用いて、個々のガイドが、そのそれぞれの標的のタンパク質の発現を減少させる能力を比較した。Cas9:gRNA RNPをエレクトロポレーションした後、細胞をおよそ10日間培養してから、細胞ペレットを回収し、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤を含むRIPA緩衝液で溶解した。抽出されたタンパク質をブラッドフォードアッセイによって定量し、自動ウエスタンブロッティング装置(Protein SimpleのWes Separation Module)に、機械の標準的な12−230kD Wes Separation Moduleのプロトコールを用いて、1μg充填した。市販の標的特異的一次抗体を用いた後、HRPコンジュゲート二次抗体とインキュベートした。標的ガイドごとに検出されたシグナルを、ネガティブコントロールのガイド試料で見られたそれぞれのシグナルに対して正規化した。
タイリング及び検証結果:上記のアッセイに基づき、ZC3H12Aを標的とする200個のgRNA(配列番号1065〜1264)を最適なガイドとして特定した。BCOR及びTNFAIP3についても同様の実験を行い、57個のBCOR gRNA(配列番号708〜764)及び39個のTNFAIP3 gRNA(配列番号348〜386)が、最適なガイドの候補として特定された。
表5A:ヒトゲノム座標
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表5B:マウスゲノム座標
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表6A:ヒトゲノム座標
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表6B:マウスゲノム座標
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表6C:ヒトゲノム座標
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表6D:マウスゲノム座標
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表6E:ヒトゲノム座標
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表6F:マウスゲノム座標
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表6G:ヒトゲノム座標
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表6H:マウスゲノム座標
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Claims (283)

  1. (a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、
    前記1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、前記免疫エフェクター細胞のエフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  2. 前記遺伝子調節システムが、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した内在性標的遺伝子のうちの2つ以上の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項1に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  3. IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムを含む改変免疫エフェクター細胞であって、前記1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  4. 前記遺伝子調節システムが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した内在性標的遺伝子のうちの2つ以上の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項3に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  5. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項4に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  6. 前記遺伝子調節システムがさらに、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項1または請求項2に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  7. 前記遺伝子調節システムが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項6に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  8. 前記遺伝子調節システムが、ZC3H12A、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項6に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  9. 前記遺伝子調節システムが、ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項8に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  10. 前記遺伝子調節システムが、ZC3H12A及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項8に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  11. 前記遺伝子調節システムが、ZC3H12A及びTNFAIP3の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項8に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  12. 前記遺伝子調節システムが、MAP4K1、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項6に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  13. 前記遺伝子調節システムが、MAP4K1及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項12に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  14. 前記遺伝子調節システムが、MAP4K1及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項12に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  15. 前記遺伝子調節システムが、MAP4K1及びTNFAPI3の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項12に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  16. 前記遺伝子調節システムが、NR4A3、ならびにIKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した少なくとも1つの内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項6に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  17. 前記遺伝子調節システムが、NR4A3及びCBLBの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項16に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  18. 前記遺伝子調節システムが、NR4A3及びBCORの発現及び/または機能を低下させることができる、請求項16に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  19. 前記遺伝子調節システムが、NR4A3及びTNFAPI3の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項16に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  20. 前記遺伝子調節システムが、(i)1つ以上の核酸分子、(ii)1つ以上の酵素タンパク質または(iii)1つ以上のガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  21. 前記1つ以上の核酸分子が、siRNA、shRNA、マイクロRNA(miR)、アンタゴmiRまたはアンチセンスRNAから選択されている、請求項20に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  22. 前記遺伝子調節システムが、siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含む、請求項20に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  23. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項22に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  24. 前記siRNAまたはshRNAが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項23に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  25. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項22に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  26. 前記siRNAまたはshRNAが、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項25に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  27. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項22に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  28. 前記siRNAまたはshRNAが、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項27に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  29. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1であり、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項22に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  30. 前記siRNAまたはshRNAが、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項29に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  31. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3であり、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項22に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  32. 前記siRNAまたはshRNAが、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項31に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  33. 前記遺伝子調節システムが、複数のsiRNA分子またはshRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項20に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  34. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  35. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項34に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  36. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項34または35に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  37. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  38. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  39. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項38に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  40. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項39に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  41. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  42. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  43. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項42に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  44. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項42または請求項43に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  45. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  46. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  47. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項46に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  48. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項46または請求項47に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  49. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項33に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  50. 前記遺伝子調節システムが、酵素タンパク質を含み、前記酵素タンパク質が、前記内在性遺伝子のうちの1つ以上における標的配列に特異的に結合するように操作されている、請求項20に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  51. 前記タンパク質が、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼである、請求項50に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  52. 前記遺伝子調節システムが、ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含み、前記核酸分子が、ガイドRNA(gRNA)分子であり、前記酵素タンパク質が、Casタンパク質またはCasオルソログである、請求項20に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  53. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記gRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  54. 前記gRNA分子が、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項53に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  55. 前記gRNA分子が、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項53に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  56. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記gRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  57. 前記gRNA分子が、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項56に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  58. 前記gRNA分子が、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項56に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  59. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aからなる群から選択されており、前記gRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  60. 前記gRNA分子が、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項59に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  61. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1であり、前記gRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  62. 前記gRNA分子が、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項61に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  63. 前記gRNA分子が、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項61に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  64. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3であり、前記gRNA分子が、表6G及び6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  65. 前記gRNA分子が、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項64に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  66. 前記gRNA分子が、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項64に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  67. 前記遺伝子調節システムが、複数のgRNA分子を含むとともに、2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる、請求項52に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  68. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCB1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  69. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項68に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  70. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項69に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  71. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項69に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  72. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  73. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  74. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項73に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  75. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項74に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  76. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項74に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  77. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  78. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  79. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項78に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  80. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項79に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  81. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項79に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  82. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  83. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  84. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される核酸配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項83に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  85. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項84に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  86. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項84に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  87. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、TNFAIP3、CBLB及びBCORからなる群から選択されている、請求項67に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  88. a.前記Casタンパク質が、酵素活性ドメインを2つ含むとともに、二本鎖DNA切断を誘導することができる野生型Casタンパク質であるか、
    b.前記Casタンパク質が、酵素活性ドメインを1つ含むとともに、一本鎖DNA切断を誘導することができるCasニッカーゼ変異体であるか、または
    c.前記Casタンパク質が、不活性型Casタンパク質(dCas)であり、前記1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を調節することができる異種タンパク質と結合している、
    請求項52〜87のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  89. 前記Casタンパク質が、Cas9タンパク質である、請求項52〜88のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  90. 前記異種タンパク質が、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、Kruppel関連ボックス(KRAB)ドメイン、メチル−CpG結合タンパク質2(MECP2)及びmSin3 4連結ドメイン(SID4X)からなる群から選択されている、請求項88に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  91. 前記遺伝子調節システムが、前記1つ以上の内在性標的遺伝子に不活性化変異を導入する、請求項50〜90のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  92. 前記不活性化変異が、前記2つ以上の内在性遺伝子のゲノム配列内の1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換または挿入を含む、請求項91に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  93. 前記欠失が、前記2つ以上の内在性標的遺伝子の部分欠失または完全欠失である、請求項92に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  94. 前記不活性化変異が、フレームシフト変異である、請求項92に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  95. 前記不活性化変異が、前記2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させる、請求項91〜94のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  96. 前記遺伝子調節システムが、前記免疫エフェクター細胞に、トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーションまたはマイクロフルイディクスデバイスによる細胞膜の物理的破壊によって導入されている、請求項1〜95のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  97. 前記遺伝子調節システムが、前記システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド、タンパク質またはリボ核タンパク質(RNP)複合体として導入されている、請求項96に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  98. IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、前記1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  99. (a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、
    前記1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  100. (a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、
    前記1つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  101. IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、前記2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  102. CBLB及びBCORの発現及び/または機能が低下された、請求項101に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  103. 2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  104. 2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  105. ZC3H12A及びCBLBの発現及び/または機能が低下された、請求項104に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  106. ZC3H12A及びBCORの発現及び/または機能が低下された、請求項104に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  107. ZC3H12A及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下された、請求項104に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  108. 2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、MAP4K1であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  109. MAP4K1及びCBLBの発現及び/または機能が低下された、請求項108に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  110. MAP4K1及びBCORの発現及び/または機能が低下された、請求項108に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  111. MAP4K1及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下された、請求項108に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  112. 2つ以上の標的遺伝子の発現及び/または機能が低下された改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、NR4A3であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記2つ以上の内在性遺伝子の発現及び/または機能の低下によって、エフェクター機能が増強される、前記改変免疫エフェクター細胞。
  113. NR4A3及びCBLBの発現及び/または機能が低下された、請求項112に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  114. NR4A3及びBCORの発現及び/または機能が低下された、請求項112に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  115. NR4A3及びTNFAIP3の発現及び/または機能が低下された、請求項112に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  116. IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞。
  117. (a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞。
  118. (a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した1つ以上の内在性遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞。
  119. IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞。
  120. 前記CBLB遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む、請求項119に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  121. 2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、前記改変免疫エフェクター細胞。
  122. 2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、前記改変免疫エフェクター細胞。
  123. 前記ZC3H12A遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む、請求項122に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  124. 前記ZC3H12A遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む、請求項122に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  125. 前記ZC3H12A遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む、請求項122に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  126. 2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、MAP4K1であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、前記改変免疫エフェクター細胞。
  127. 前記MAP4K1遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む、請求項126に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  128. 前記MAP4K1遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む、請求項126に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  129. 前記MAP4K1遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む、請求項126に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  130. 2つ以上の標的遺伝子に不活性化変異を含む改変免疫エフェクター細胞であって、少なくとも1つの標的遺伝子が、NR4A3であり、少なくとも1つの標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、前記改変免疫エフェクター細胞。
  131. 前記NR4A3遺伝子及びCBLB遺伝子に不活性化変異を含む、請求項130に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  132. 前記NR4A3遺伝子及びBCOR遺伝子に不活性化変異を含む、請求項130に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  133. 前記NR4A3遺伝子及びTNFAIP3遺伝子に不活性化変異を含む、請求項130に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  134. 前記不活性化変異が、前記2つ以上の内在性遺伝子のゲノム配列内の1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換または挿入を含む、請求項116〜133のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  135. 前記欠失が、前記2つ以上の内在性標的遺伝子の部分欠失または完全欠失である、請求項134に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  136. 前記不活性化変異が、フレームシフト変異である、請求項134に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  137. 前記不活性化変異によって、前記2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が低下する、請求項116〜136のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  138. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子の発現が、非改変免疫エフェクター細胞またはコントロールの免疫エフェクター細胞と比べて、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低下する、請求項1〜137のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  139. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子の機能が、非改変免疫エフェクター細胞またはコントロールの免疫エフェクター細胞と比べて、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低下する、請求項1〜137のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  140. 細胞表面に提示された操作免疫受容体をさらに含む、請求項1〜139のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  141. 前記操作免疫受容体が、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである、請求項140に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  142. 前記操作免疫受容体が、操作TCRである、請求項140に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  143. 前記操作免疫受容体が、標的細胞上に発現する抗原に特異的に結合し、前記抗原が、腫瘍関連抗原である、請求項140〜142のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  144. 免疫活性化分子を発現する外来性導入遺伝子をさらに含む、請求項1〜143のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  145. 前記免疫活性化分子が、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、活性化ペプチド、抗体またはその抗原結合断片からなる群から選択されている、請求項144に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  146. 前記抗体またはその結合断片が、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4またはPDCD1によってコードされるタンパク質に特異的に結合し、前記タンパク質の機能を阻害する、請求項145に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  147. 前記免疫エフェクター細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞から選択したリンパ球である、請求項1〜146のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  148. 前記リンパ球が、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である、請求項147に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  149. 前記エフェクター機能が、細胞増殖性、細胞生存能、腫瘍への浸潤性、細胞傷害性、抗腫瘍免疫応答性及び/または疲弊耐性から選択されている、請求項1〜148のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞。
  150. 請求項1〜149のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞を含む組成物。
  151. 薬学的に許容可能な担体または希釈剤をさらに含む、請求項150に記載の組成物。
  152. 少なくとも1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×10個、1×1010個または1×1011個の改変免疫エフェクター細胞を含む、請求項150または151に記載の組成物。
  153. 前記組成物が必要な対象に投与するのに適する、請求項150〜152のいずれか1項に記載の組成物。
  154. 前記組成物が必要な前記対象に由来する自己免疫エフェクター細胞を含む、請求項150〜153のいずれか1項に記載の組成物。
  155. ドナー対象に由来する同種異系免疫エフェクター細胞を含む、請求項150〜153のいずれか1項に記載の組成物。
  156. (a)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(b)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択した、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、
    (i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む、前記システム。
  157. (a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択した、細胞内の1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を低下させることができる遺伝子調節システムであって、
    (i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む、前記システム。
  158. ガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含む、請求項156または請求項157に記載の遺伝子調節システム。
  159. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されているか、またはCBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、前記gRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項158に記載の遺伝子調節システム。
  160. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されており、前記gRNA分子が、配列番号154〜498からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項159に記載の遺伝子調節システム。
  161. 前記gRNA分子が、配列番号154〜498からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項159または請求項160に記載の遺伝子調節システム。
  162. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、前記gRNA分子が、配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項159に記載の遺伝子調節システム。
  163. 前記gRNA分子が、配列番号499〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項159または請求項162に記載の遺伝子調節システム。
  164. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択されており、前記gRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項158に記載の遺伝子調節システム。
  165. 前記gRNA分子が、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項164に記載の遺伝子調節システム。
  166. 前記gRNA分子が、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項164または請求項165に記載の遺伝子調節システム。
  167. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、前記gRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項158に記載の遺伝子調節システム。
  168. 前記gRNA分子が、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項167に記載の遺伝子調節システム。
  169. 前記gRNA分子が、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項167または請求項168に記載の遺伝子調節システム。
  170. 前記gRNA分子が、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項169に記載の遺伝子調節システム。
  171. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1を含み、前記gRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項158に記載の遺伝子調節システム。
  172. 前記gRNA分子が、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項171に記載の遺伝子調節システム。
  173. 前記gRNA分子が、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項171または請求項172に記載の遺伝子調節システム。
  174. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3を含み、前記gRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項158に記載の遺伝子調節システム。
  175. 前記gRNA分子が、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項174に記載の遺伝子調節システム。
  176. 前記gRNA分子が、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項174または請求項175に記載の遺伝子調節システム。
  177. siRNA核酸分子またはshRNA核酸分子を含む、請求項156または請求項157に記載の遺伝子調節システム。
  178. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されているか、またはCBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項177に記載の遺伝子調節システム。
  179. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2から選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号154〜498から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項178に記載の遺伝子調節システム。
  180. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号499〜813から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項178に記載の遺伝子調節システム。
  181. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASから選択されており、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項177に記載の遺伝子調節システム。
  182. 前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号814〜1064から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項181に記載の遺伝子調節システム。
  183. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、ZC3H12Aであり、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項177に記載の遺伝子調節システム。
  184. 前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号1065〜1509から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項183に記載の遺伝子調節システム。
  185. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、MAP4K1を含み、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項177に記載の遺伝子調節システム。
  186. 前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号510〜1538から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項185に記載の遺伝子調節システム。
  187. 前記1つ以上の内在性標的遺伝子が、NR4A3を含み、前記siRNA分子またはshRNA分子が、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項177に記載の遺伝子調節システム。
  188. 前記siRNA分子またはshRNA分子が、配列番号1539〜1566から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項187に記載の遺伝子調節システム。
  189. 細胞内の2つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能を低下させることができる遺伝子調節システムであって、
    前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、(a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、または(d)NR4A3から選択されており、
    前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、(e)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群、または(f)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、
    前記システムが、(i)核酸分子、(ii)酵素分子、または(iii)ガイド核酸分子及び酵素タンパク質を含む、前記システム。
  190. 複数のガイドRNA(gRNA)核酸分子及びCasエンドヌクレアーゼを含む、請求項189に記載の遺伝子調節システム。
  191. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項190に記載の遺伝子調節システム。
  192. 前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する、請求項191に記載の遺伝子調節システム。
  193. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項191または請求項192に記載の遺伝子調節システム。
  194. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項191または請求項192に記載の遺伝子調節システム。
  195. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項190に記載の遺伝子調節システム。
  196. 前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する、請求項195に記載の遺伝子調節システム。
  197. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項195または請求項196に記載の遺伝子調節システム。
  198. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項195または請求項196に記載の遺伝子調節システム。
  199. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項195または請求項196に記載の遺伝子調節システム。
  200. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項195または請求項196に記載の遺伝子調節システム。
  201. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項190に記載の遺伝子調節システム。
  202. 前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する、請求項201に記載の遺伝子調節システム。
  203. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項201または請求項202に記載の遺伝子調節システム。
  204. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項201または請求項202に記載の遺伝子調節システム。
  205. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項201または請求項202に記載の遺伝子調節システム。
  206. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項201または請求項202に記載の遺伝子調節システム。
  207. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項190に記載の遺伝子調節システム。
  208. 前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合し、前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義される標的DNA配列に結合する、請求項207に記載の遺伝子調節システム。
  209. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項207または請求項208に記載の遺伝子調節システム。
  210. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項207または請求項208に記載の遺伝子調節システム。
  211. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項207または請求項208に記載の遺伝子調節システム。
  212. 前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、前記複数のgRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項207または請求項208に記載の遺伝子調節システム。
  213. 前記Casタンパク質が、
    a.酵素活性ドメインを2つ含み、二本鎖DNA切断を誘導することができる野生型Casタンパク質、
    b.酵素活性ドメインを1つ含み、一本鎖DNA切断を誘導することができるCasニッカーゼ変異体、
    c.前記1つ以上の内在性標的遺伝子の発現を調節することができる異種タンパク質と結合している不活性型Casタンパク質(dCas)である、
    請求項156〜212のいずれか1項に記載の遺伝子調節システム。
  214. 前記異種タンパク質が、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)、Kruppel関連ボックス(KRAB)ドメイン及びmSin3 4連結ドメイン(SID4X)からなる群から選択されている、請求項213に記載の遺伝子調節システム。
  215. 前記Casタンパク質が、Cas9タンパク質である、請求項213または請求項214に記載の遺伝子調節システム。
  216. 前記システムが、核酸分子を含み、前記核酸分子が、siRNA、shRNA、マイクロRNA(miR)、アンタゴmiRまたはアンチセンスRNAである、請求項189に記載の遺伝子調節システム。
  217. 複数のshRNA分子またはsiRNA分子を含む、請求項216に記載の遺伝子調節システム。
  218. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項217に記載の遺伝子調節システム。
  219. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6A及び表6Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項218に記載の遺伝子調節システム。
  220. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項218または請求項219に記載の遺伝子調節システム。
  221. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、ZC3H12Aであり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項217に記載の遺伝子調節システム。
  222. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6C及び表6Dに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項221に記載の遺伝子調節システム。
  223. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項221または請求項222に記載の遺伝子調節システム。
  224. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1065〜1509からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項221または請求項222に記載の遺伝子調節システム。
  225. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、MAP4K1であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項217に記載の遺伝子調節システム。
  226. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6E及び表6Fに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項225に記載の遺伝子調節システム。
  227. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項225または請求項226に記載の遺伝子調節システム。
  228. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号510〜1538からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項225または請求項226に記載の遺伝子調節システム。
  229. 前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、NR4A3であり、前記内在性標的遺伝子のうちの少なくとも1つが、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6、IKZF2、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されている、請求項217に記載の遺伝子調節システム。
  230. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表6G及び表6Hに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、表5A及び表5Bに示されている一連のゲノム座標によって定義されるDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項229に記載の遺伝子調節システム。
  231. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項229または230に記載の遺伝子調節システム。
  232. 前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号1539〜1566からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含み、前記複数のsiRNA分子またはshRNA分子のうちの少なくとも1つが、配列番号499〜524からなる群から選択したDNA配列によってコードされるRNA配列に結合する約19〜30個のヌクレオチドを含む、請求項229または230に記載の遺伝子調節システム。
  233. 前記システムが、DNA結合ドメイン及び酵素ドメインを含むタンパク質を含み、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及び転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)から選択されている、請求項156、157または189に記載の遺伝子調節システム。
  234. 1つ以上のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするベクターを含む遺伝子調節システムであって、前記1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、前記遺伝子調節システム。
  235. 複数のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするベクターを含む遺伝子調節システムであって、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、前記遺伝子調節システム。
  236. 1つ以上のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするmRNA分子を含む遺伝子調節システムであって、前記1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、前記遺伝子調節システム。
  237. 複数のgRNAをコードするベクター、及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質をコードするmRNA分子を含む遺伝子調節システムであって、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、前記遺伝子調節システム。
  238. 1つ以上のgRNA及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質を含む遺伝子調節システムであって、
    前記1つ以上のgRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、
    前記1つ以上のgRNAと、前記Casエンドヌクレアーゼタンパク質が複合化して、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する、前記遺伝子調節システム。
  239. 複数のgRNA及びCasエンドヌクレアーゼタンパク質を含む遺伝子調節システムであって、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538または配列番号1539〜1566から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、
    前記複数のgRNAのうちの少なくとも1つが、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した核酸配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含み、
    前記1つ以上のgRNAと、前記Casエンドヌクレアーゼタンパク質が複合化して、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する、前記遺伝子調節システム。
  240. 請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを含むキット。
  241. (a)BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群、(b)ZC3H12A、(c)MAP4K1、(d)NR4A3、(e)IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2、または(f)CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORから選択した内在性標的遺伝子内の標的配列に結合するターゲティングドメイン核酸配列を含むgRNA核酸分子。
  242. a.前記内在性遺伝子が、BCL2L11、FLI1、CALM2、DHODH、UMPS、RBM39、SEMA7A、CHIC2、PCBP1、PBRM1、WDR6、E2F8、SERPINA3及びGNASからなる群から選択されており、前記gRNAが、表6A及び6Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、
    b.前記内在性遺伝子が、ZC3H12Aであり、前記gRNAが、表6C及び表6Dに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、
    c.前記内在性遺伝子が、MAP4K1であり、前記gRNAが、表6E及び表6Fに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、
    d.前記内在性遺伝子が、NR4A3であり、前記gRNAが、表6G及び表6Hに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、
    e.前記内在性遺伝子が、IKZF1、IKZF3、GATA3、BCL3、TNIP1、TNFAIP3、NFKBIA、SMAD2、TGFBR1、TGFBR2、TANK、FOXP3、RC3H1、TRAF6及びIKZF2からなる群から選択されており、前記gRNAが、表5A及び表5Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含むか、または
    f.前記内在性遺伝子が、CBLB、PPP2R2D、NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4、PTPN6、PDCD1及びBCORからなる群から選択されており、前記gRNAが、表5A及び表5Bに示されているゲノム座標から選択したゲノム座標に位置する標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、
    請求項241〜247のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  243. 前記gRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した標的DNA配列に結合するターゲティングドメイン配列を含む、請求項241〜247のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  244. 前記gRNAが、配列番号814〜1064、配列番号1065〜1509、配列番号510〜1538、配列番号1539〜1566、配列番号154〜498または配列番号499〜813から選択した配列によってコードされるターゲティングドメイン配列を含む、請求項241〜247のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  245. 前記標的配列が、PAM配列を含む、請求項241〜244のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  246. 前記gRNAが、モジュラーgRNA分子である、請求項241〜245のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  247. 前記gRNAが、デュアルgRNA分子である、請求項241〜245のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  248. 前記ターゲティングドメインが、16ヌクレオチド長、17ヌクレオチド長、18ヌクレオチド長、19ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、21ヌクレオチド長、22ヌクレオチド長、23ヌクレオチド長、24ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、26ヌクレオチド長またはそれを上回るヌクレオチド長である、請求項241〜247のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  249. その5’末端もしくはその5’末端近傍(例えば、その5’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドもしくは1〜2ヌクレオチド以内)の改変、及び/またはその3’末端もしくはその3’末端近傍(例えば、その3’末端から1〜10ヌクレオチド、1〜5ヌクレオチドもしくは1〜2ヌクレオチド以内)の改変を含む、請求項241〜248のいずれか1項に記載のgRNA分子。
  250. 前記改変gRNAをT細胞に導入すると、ヌクレアーゼに対する安定性が向上する、請求項249に記載のgRNA分子。
  251. 前記改変gRNAをT細胞に導入すると、自然免疫応答が軽減される、請求項249または請求項250に記載のgRNA分子。
  252. 請求項241〜251のいずれか1項に記載のgRNA分子をコードするポリヌクレオチド分子。
  253. 請求項241〜251のいずれか1項に記載の1つ以上のgRNA分子、または請求項252に記載のポリヌクレオチドを含む組成物。
  254. 請求項241〜251のいずれか1項に記載のgRNA分子、または請求項252に記載のポリヌクレオチドを含むキット。
  255. 改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、
    a.免疫エフェクター細胞を対象から採取すること、
    b.請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞に導入すること、ならびに
    c.前記免疫エフェクター細胞を培養して、1つ以上の内在性標的遺伝子の発現及び/または機能が、改変していない免疫エフェクター細胞と比べて低下するようにすること、
    を含む、前記方法。
  256. 改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞に導入することを含む、前記方法。
  257. CAR及びTCRから選択した操作免疫受容体をコードするポリヌクレオチド配列を導入することをさらに含む、請求項255または256に記載の方法。
  258. 前記遺伝子調節システム及び/または前記操作免疫受容体をコードする前記ポリヌクレオチドを、前記免疫エフェクター細胞に、トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーションまたはマイクロフルイディクスデバイスによる細胞膜の物理的破壊によって導入する、請求項257に記載の方法。
  259. 前記遺伝子調節システムの1つ以上の構成成分をコードするポリヌクレオチド配列として、タンパク質として、またはリボ核タンパク質(RNP)複合体として、前記システムを導入する、請求項255〜258のいずれか1項に記載の方法。
  260. 改変免疫エフェクター細胞の作製方法であって、
    a.免疫エフェクター細胞集団を培養液で増殖させること、
    b.請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞集団に導入すること、
    を含む、前記方法。
  261. 前記免疫エフェクター細胞集団を対象から採取することをさらに含む、請求項260に記載の方法。
  262. 増殖前、増殖中または増殖後に、前記遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項260または請求項261に記載の方法。
  263. 前記免疫エフェクター細胞集団の前記増殖が、第1ラウンドの増殖及び第2ラウンドの増殖を含む、請求項260または請求項261に記載の方法。
  264. 前記遺伝子調節システムを、前記第1ラウンドの増殖前、前記第1ラウンドの増殖中、または前記第1ラウンドの増殖後に、前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項263に記載の方法。
  265. 前記遺伝子調節システムを、前記第2ラウンドの増殖前、前記第2ラウンドの増殖中、または前記第2ラウンドの増殖後に、前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項263に記載の方法。
  266. 前記遺伝子調節システムを、前記第1ラウンド及び前記第2ラウンドの増殖の前に、前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項263に記載の方法。
  267. 前記遺伝子調節システムを、前記第1ラウンド及び前記第2ラウンドの増殖の後に、前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項263に記載の方法。
  268. 前記遺伝子調節システムを、前記第1ラウンドの増殖後、かつ前記第2ラウンドの増殖前に、前記免疫エフェクター細胞集団に導入する、請求項263に記載の方法。
  269. 治療の必要な対象の疾患または障害の治療方法であって、請求項1〜149のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞、または請求項150〜155のいずれか1項に記載の組成物を有効量投与することを含む、前記方法。
  270. 前記疾患または障害が、細胞増殖性障害、炎症性障害または感染症である、請求項269に記載の方法。
  271. 前記疾患または障害が、がんまたはウイルス感染症である、請求項269に記載の方法。
  272. 前記がんが、白血病、リンパ腫または固形腫瘍から選択される、請求項271に記載の方法。
  273. 前記固形腫瘍が、メラノーマ、膵臓腫瘍、膀胱腫瘍、肺腫瘍もしくは肺転移、大腸癌または頭頸部癌である、請求項272に記載の方法。
  274. 前記がんが、PD1耐性またはPD1非感受性のがんである、請求項271〜273のいずれか1項に記載の方法。
  275. 前記対象が以前に、PD1阻害剤またはPDL1阻害剤による治療を受けたことがある、請求項271〜274のいずれか1項に記載の方法。
  276. NRP1、HAVCR2、LAG3、TIGIT、CTLA4またはPDCD1によってコードされるタンパク質に特異的に結合して、そのタンパク質の機能を阻害する抗体またはその結合断片を前記対象に投与することをさらに含む、請求項271〜275のいずれか1項に記載の方法。
  277. 前記改変免疫エフェクター細胞が、前記対象に対して自家である、請求項269〜276のいずれか1項に記載の方法。
  278. 前記改変免疫エフェクター細胞が、前記対象に対して同種異系である、請求項269〜276のいずれか1項に記載の方法。
  279. がん細胞の殺傷方法であって、請求項1〜149のいずれか1項に記載の改変免疫エフェクター細胞、または請求項150〜155のいずれか1項に記載の組成物に、前記がん細胞を暴露することを含む、前記方法。
  280. 前記暴露が、in vitro、in vivoまたはex vivoでの暴露である、請求項279に記載の方法。
  281. 免疫エフェクター細胞の1つ以上のエフェクター機能の増強方法であって、請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞に導入することを含む、前記方法。
  282. 免疫エフェクター細胞の1つ以上のエフェクター機能の増強方法であって、請求項156〜239のいずれか1項に記載の遺伝子調節システムを前記免疫エフェクター細胞に導入することを含み、前記改変された免疫エフェクター細胞において、1つ以上のエフェクター機能が、改変しなかった前記免疫エフェクター細胞と比べて増強される、前記方法。
  283. 前記1つ以上のエフェクター機能が、細胞増殖性、細胞生存能、細胞傷害性、腫瘍への浸潤性、サイトカイン産生の増加、抗腫瘍免疫応答性及び/または疲弊耐性から選択される、請求項282に記載の方法。

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